説明

光安定化時間温度インジケータ

本発明は、式(I)(式中、R1は、水素、−C1〜C6アルコキシ、ハロゲン、−C1〜C6アルキル又は−NO2であり、R2は、水素又は−C1〜C6アルコキシであり、R3は、NO2又はハロゲンであり、R4は、水素、−C1〜C6アルコキシ又はハロゲンであり、R5は、水素、ハロゲン、−C1〜C6アルコキシ、−COOH、−COO−C1〜C6アルキル、−CF3又はフェニルであり、R11は、水素であるか、R5と一緒になってフェニル環を形成し、Yは、フェニル、ナフチル、アントラセン−9−イル、9H−フルオレン−9−イル又は式(A)の残基であり、R6は、水素、ハロゲン、−C1〜C6アルコキシ、−NO2、−CF3、−O−CF3、−CN、−COO−C1〜C6アルキル、フェニル又はビフェニル、9H−フルオレン−9−イルであり、R7は、水素、ハロゲン、−CN、−C1〜C6アルコキシであるか、R6と一緒になってフェニル環を形成し、R8は、水素、ハロゲン、−CN又は−C1〜C6アルコキシであり、R9は、水素又はハロゲン又はCNであり、R10は、水素又はハロゲン又はCNであり、Raは、−(CH2n−(n=1〜6)又は−CH2−CH=CH−である)のスピロピランインジケータ(ただし、式(B)及び式(C)を除く)を含む時間温度インジケータ(TTI)システムに関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、増大した光安定性を有する置換スピロ芳香族化合物を活性物質として含む、時間温度インジケータ(TTI)システムに関する。本発明はまた、そのような時間温度インジケータを製造する方法であって、(a)マトリックスの中又は上に前記インジケータ化合物を組み込むステップ、及び(b)前記組み込まれたインジケータ化合物の準安定状態の形成を誘導するステップを含む方法に関する。
【0002】
時間温度インジケータ、TTIは、それが熱的に結びつけられた製品の部分的又は完全な時間温度履歴を報告することができる、傷みやすい製品の包装又は傷みやすい製品への取り付けのための基材である。
【0003】
適正でない温度が、期日の前製品の品質低下のもっとも頻繁に認められる原因の一つである。したがって、好ましくは安価で消費者にわかりやすい手段を使用して、そのような傷みやすい製品の時間温度履歴をモニタすることが重要であり、かつ望ましい。時間温度インジケータとは、物質、ひいてはそれが関連する傷みやすい製品の時間温度履歴の概要を視覚的に報告することができる物質である。末端消費者のために設計されているため、時間温度インジケータは通常、明白な視覚的「はい/いいえ」の信号を報告するように設計されている。
【0004】
WO99/39197は、TTIの活性物質としての、結晶状態で組み込まれた、転移反応に基づくフォトクロミック染料の使用を記載している。これらの物質に基づくTTIは、精度及び再現性が高く、励起させる光を使用して励起することができる。さらに、活性物質の上に特殊なフィルタを配置することにより、光のUV及び可視スペクトルの大部分をろ波することができ、それがTTIの望ましくない再励起を防ぐことを教示している。
【0005】
WO2005/075978はまた、フォトクロミックインジケータ化合物に基づくTTIを教示している。具体的に開示されているものは
【0006】
【化1】

【0007】
である。
【0008】
フォトクロミックインジケータ化合物に基づくTTIは、理想的には、周囲の光によって影響を受けるべきではない。適切なフィルタシステムの大きな選択があるが、既存のフィルタはインジケータ化合物の光漂白及び/又は光劣化に対する完全な防護を保証することができないため、光安定性に関して改良されているフォトクロミックインジケータの要求がなおもある。
【0009】
したがって、本発明の基本的な課題は、増大した光安定性を有する時間温度インジケータシステムを提供し、さらに多少なりとも傷みやすい製品の温度のモニタリングを可能にすることである。
【0010】
活性物質として、特別に置換されたスピロ芳香族化合物に基づく、新規な時間温度インジケータ(TTI)システムが上記課題を解決する。
【0011】
したがって、本発明の第一の実施態様は、時間的な温度変化を指示するための時間温度インジケータであって、
式(I)
【0012】
【化2】

【0013】
(式中、
1は、水素、−C1〜C6アルコキシ、ハロゲン、−C1〜C6アルキル又は−NO2であり、
2は、水素又は−C1〜C6アルコキシであり、
3は、NO2又はハロゲンであり、
4は、水素、−C1〜C6アルコキシ又はハロゲンであり、
5は、水素、ハロゲン、−C1〜C6アルコキシ、−COOH−、−COO−C1〜C6アルキル、−CF3又はフェニルであり、
11は、水素であるか、R5と一緒になってフェニル環を形成し、
Yは、フェニル、ナフチル、アントラセン−9−イル、9H−フルオレン−9−イル又は残基
【0014】
【化3】

【0015】
であり、
6は、水素、ハロゲン、−C1〜C6アルコキシ、−NO2、−CF3、−O−CF3、−CN、−COO−C1〜C6アルキル、フェニル又はビフェニル、9H−フルオレン−9−イルであり、
7は、水素、ハロゲン、−CN、−C1〜C6アルコキシであるか、R6と一緒になってフェニル環を形成し、
8は、水素、ハロゲン、−CN又は−C1〜C6アルコキシであり、
9は、水素又はハロゲン又はCNであり、
10は、水素又はハロゲン又はCNであり、
aは、−(CH2n−(n=1〜6)又は−CH2−CH=CH−である)
の少なくとも一つのスピロピランインジケータ
(ただし、
【0016】
【化4】

【0017】
を除く)
を含む時間温度インジケータに関する(請求項1)。
【0018】
但し書きは、WO205/075978(Freshpoint)における特定の開示、すなわちその中の化合物22及び35のため、必要である。
【0019】
一つの実施態様で、Yは、フェニル、ナフチル、アントラセン−9−イル、9H−フルオレン−9−イルである(請求項2)。
例は、
【0020】
【化5】

【0021】
である。
【0022】
Yは、好ましくは残基
【0023】
【化6】

【0024】
である(請求項3)。
【0025】
したがって、好ましいスピロ芳香族インジケータは、式(II)
【0026】
【化7】

【0027】
(式中、
1は、水素、−C1〜C6アルコキシ、ハロゲン、−C1〜C6アルキル又は−NO2であり、
2は、H又は−C1〜C6アルコキシであり、
3は、NO2又はハロゲンであり、
4は、−C1〜C6アルコキシ又はハロゲンであり、
5は、ハロゲン、−C1〜C6アルコキシ、−COOH、−COO−C1〜C6アルキル、−CF3又はフェニルであり、
11は、水素であるか、R5と一緒になってフェニル環を形成し、
6は、水素、ハロゲン、−C1〜C6アルコキシ、−NO2、−CF3、−O−CF3、−CN、−COO−C1〜C6アルキル、フェニル又はビフェニルであり、
7は、水素、ハロゲン、−CN、−C1〜C6アルコキシであるか、R6と一緒になってフェニル環を形成し、
8は、水素、ハロゲン、−CN又は−C1〜C6アルコキシであり、
9は、水素又はハロゲンであり、
10は、水素又はハロゲンであり、
aは、−(CH2n−(n=1〜6)又は−CH2−CH=CH−である)
の化合物(ただし、請求項1記載の但し書きが加えられる)である。
【0028】
Raにおけるnは、好ましくは1、2又は3、たとえば−CH2−、−(CH22−、−(CH23−であり、もっとも好ましくは1である。
【0029】
Raが−(CH22−、−(CH23−又は−CH2−CH=CH−であるスピロピランインジケータの例は、
【0030】
【化8】

【0031】
である。
【0032】
5とR11とが環を形成するスピロピランインジケータの例は、
【0033】
【化9】

【0034】
である。
【0035】
Raは好ましくはCH2であり、R11は好ましくはHである。
したがって、好ましいスピロピランインジケータは、式(III)
【0036】
【化10】

【0037】
(式中、
1は、水素、−C1〜C6アルコキシ、ハロゲン、−C1〜C6アルキル又は−NO2であり、
2は、H又は−C1〜C6アルコキシであり、
3は、NO2又はハロゲンであり、
4は、水素、−C1〜C6アルコキシ又はハロゲンであり、
5は、ハロゲン、−C1〜C6アルコキシ、−COOH−、−COO−C1〜C6アルキル、−CF3又はフェニルであり、
6は、水素、ハロゲン、−C1〜C6アルコキシ、−NO2、−CF3、−O−CF3、−CN、−COO−C1〜C6アルキル、フェニル又はビフェニル、9H−フルオレン−9−イルであり、
7は、水素、ハロゲン、−CN、−C1〜C6アルコキシであるか、R6と一緒になってフェニル環を形成し、
8は、水素、ハロゲン、−CN又は−C1〜C6アルコキシであり、
9は、水素、ハロゲン、−C1〜C6アルコキシ、−NO2、−CF3、−O−CF3、−CN、−COO−C1〜C6アルキル、フェニル又はビフェニルである)
の化合物(ただし、請求項1記載の但し書きが加えられる)である(請求項4)。
【0038】
以下の表は式(III)の化合物の例を示す。
【0039】
【表1】



【0040】
ハロゲンは、F、Cl、Br又はJであり、好ましくはF、Br、Jであり、より好ましくはFである。C1〜C6アルキルは、好ましくはメチルである。
【0041】
1は、好ましくはメトキシであり、R3は、好ましくはニトロである。
2は、好ましくは水素又はメトキシであり、より好ましくは水素である。
4は、好ましくは水素、メトキシ又はBrであり、より好ましくは水素である。
5は、好ましくは水素、Cl、Br、メトキシ、−COOH、−COOCH3、−CF3又はフェニルであり、より好ましくは水素、Cl、Br、メトキシ、−COOH、−COOCH3である。
6は、好ましくは水素、ハロゲン、メトキシ、−NO2、−CF3、−O−CF3、−CN、−COOCH3、フェニル又はビフェニルであり、より好ましくはハロゲン、−NO2、−CF3、−O−CF3、ビフェニルである。
7は、好ましくは水素、F、−CN、メトキシであり、より好ましくは水素又はFである。
8は、好ましくは水素、F、−CN、メトキシであり、より好ましくは水素又はFである。
9は、好ましくは水素、F又はCNであり、より好ましくは水素である。
10は、好ましくは水素、F又はCNであり、より好ましくは水素である。
以下のスピロピランを用いて最良の結果が得られた。
【0042】
【化11】



【0043】
本発明のTTIは、可逆的にフォトクロミックであるスピロ芳香族化合物に基づく。インジケータ化合物は、そのフォトクロミック性のため、特定のエネルギー範囲の光子の照射によって光誘導呈色(第二の異性体から第一の異性体への変換)を起こすことができ、その呈色ののち、時間及び温度依存性の退色(第一の異性体から第二の異性体への変換)が起こる。インジケータ化合物の呈色が、既定の時点に、好ましくは、たとえば、基材(とりわけ傷みやすい材料の包装)上への印刷の直後に起こってもよい。
可逆的にフォトクロミックな活性物質であるTTIとしてのスピロピラン化合物は結晶の形態にあることが好ましい。
【0044】
たとえば、はじめは無色のインジケータ化合物が光、好ましくはUV光又は近UV光の照射を受けると、インジケータ化合物内の異性化(第二の異性体から第一の異性体への転換)及び関連したインジケータ化合物の呈色が起こる。そのような光誘導異性化は時間及び温度の関数として反対の方向に再び進行するため、インジケータは引き続いて退色する。
【0045】
各スピロピラン化合物中、共有結合の異性化によって相互に変換されることができる少なくとも二つの別個の異性体、すなわち少なくとも一つの開環体及び少なくとも一つの閉環異性体が存在する。
【0046】
【化12】

【0047】
適切な活性物質は以下の特性を示す。
(1)システムは、一つの準安定状態から一つの安定状態に至る少なくとも一つの熱プロセスを有し、スピロ芳香族炭化水素の二つの状態は、明確に異なる色及び/又は他の計測可能な物理的パラメータ、たとえばルミネセンス、屈折率、伝導度などを特徴とする。
(2)安定状態は、一つの刺激又は刺激の組み合わせ、とりわけ以下のプロセス、a)光子誘導、b)熱誘導、c)圧力誘導、d)電気誘導又はe)化学誘導を使用して、準安定状態に変換され、
(3)準安定状態は、温度以外、いずれの刺激又は刺激の組み合わせ、たとえばa)光誘導、b)圧電誘導、c)電気誘導、d)化学誘導によっても実質的に影響されない。
【0048】
本発明の活性物質は、正反応及び逆反応が起こる結晶又は多結晶粉末の形態であってよく、あるいはまた、他の凝縮相の形態、たとえばガラス、ポリマー溶液の形態であってよく、ポリマーに結合していることもできるし、液体又は溶液の形態であってもよい。
【0049】
本発明のTTIに使用されるスピロ芳香族炭化水素の合成は、文献で公知の合成経路にしたがって製造される。
【0050】
本発明のさらに別の態様で、上記スピロ芳香族インジケータ化合物の少なくとも一つを含有する活性物質を含むTTIを製造する方法であって、
(a)請求項1記載の式(I)のスピロピランインジケータをマトリックスの中又は上に組み込むステップ、及び
(b)前記組み込まれたスピロピランインジケータの少なくとも一つの準安定状態の形成を誘導するステップ
を含む方法が提供される(請求項5)。
【0051】
一つの実施態様で、方法は、光再励起及び/又は光漂白を防ぐように設計されたカバー支持体で時間温度インジケータを覆うステップをさらに含む(請求項6)。
【0052】
一定の用途に応じて、要求される挙動を有するスピロ芳香族化合物が選択される。上記システムの大部分及び例のすべては、色が無い又はわずかに色付いた熱力学的に安定な状態及び少なくとも一つの呈色準安定状態が使用されていることを特徴とする。それにもかかわらず、これらの分子は、分子を呈色させる活性化プロセスにおける比較的高い光学量子収率、ならびに分子を退色させる時間及び温度依存性の反応プロセスにおける実質的に低い光学量子収率を特徴とする。呈色状態では、温度以外の刺激に対しては無視できる影響しか見られない。本発明TTIの活性化プロセスは開環ステップを含み、そして退色プロセスは好ましくは閉環を伴う。
【0053】
本発明のTTIとともに使用される化合物の準安定状態は、本明細書で先に述べた様々な刺激の一つによって達成される。一つの実施態様で、準安定状態は、物質を組み込まれたマトリックスを光源の下に配置するか又は通過させ、光励起に適した波長及び強さの光、たとえばUVを放射し、光子誘導によって生成させる。組み込まれた物質が、その色を、既定の量の準安定状態の形成を示唆する色に変化すると、露光を終了させる。
【0054】
もう一つの実施態様で、準安定状態は圧力誘導によって達成される。この手法では、物質を組み込まれた、及び/又は物質をその上に組み込まれたマトリックスを、二つの物体、たとえば金属ロールの間に通し、マトリックスの表面に圧力を加えて、それにより、準安定状態の形成を誘導する。時間及びこれらの物体によって活性物質に付与される圧力を調節することにより、TTI活性マトリックスにおける安定状態から準安定状態への転換の度合を制御することが可能である。
【0055】
さらに別の実施態様では、準安定状態は熱誘導によって達成される。この特定の誘導プロセスでは、誘発される物質を組み込まれたマトリックスを、通常は当該物質の融点よりも低い温度にまで加熱する。限定されないが、熱転写印刷ヘッドをはじめとするあらゆる公知の方法によって、熱を加えることができる。ある特定の場合では、マトリックスが二つの加熱金属ロールの間に通される間に、熱をマトリックスに加える。この場合、表面に加えられる圧力は、それ自体が準安定状態の形成を誘導することはできず、ヒータと試料との間の制御された熱接触を保証するように作用するだけである。準安定状態は、マトリックスと接触するヒータ、すなわち金属ロール及びマトリックスそのものからの熱伝達の結果として達成される。
【0056】
しかし、圧力、光及び熱誘導の組み合わせの使用が望まれるか又は必要である場合があるかもしれない。したがって、本発明のさらなる実施態様は、本発明のTTIとともに使用される物質の準安定状態を刺激の組み合わせによって達成することである。
【0057】
本発明で使用される支持マトリックスは、ポリマー、たとえばPVC、PMMA、PEO、ポリプロピレン、ポリエチレン、あらゆる種類の紙、あらゆる種類の印刷媒体など又はガラス様のフィルムであってもよい。活性インジケータは、マトリックス基材、たとえばポリマー、ガラス、金属、紙などの中及び/又はその上に導入してもよいし、励起されたクロミックプロセスを可逆性にするあらゆる形態をマトリックス中でとってもよい。そのような形態は、マトリックスのインジケータドーピング、マトリックス中のインジケータのゾルゲル組み込み、小結晶、固溶体などとしてのインジケータの組み込みであるか、又はそれらの結果物であってもよい。
【0058】
ある場合、本発明のTTIを製造する方法における活性物質の付着は、それを、当技術分野で公知のあらゆる印刷法、たとえばインクジェット印刷、フレキソ印刷、レーザ印刷などを使用して印刷するのに適した印刷可能なインクに転換することによる。
【0059】
もう一つの特定の実施態様では、活性インジケータは、小結晶子の形態でマトリックスに組み込まれる。さらに別の特定の実施態様では、活性インジケータは、製品の包装材に組み込まれる。
【0060】
本発明の時間温度インジケータは、好ましくは、傷みやすい物品、特に医薬品、生物製剤又は食品などに包装されるか、及び/又は取り付けられる。
【0061】
もう一つの実施態様で、本発明はまた、
(a)請求項1記載の式(I)の少なくとも一つのスピロピランインジケータの準安定状態を形成するステップ、及び
(b)時間及び温度依存的な方法で、前記少なくとも一つのスピロ芳香族インジケータ化合物の初期状態に適合させるステップ
を含み、前記初期状態の形成が、前記準安定状態又は初期状態の物理的特性をモニタすることによって検出される時間温度指示方法に関する(請求項7)。
【0062】
前記最初の状態の適合化は、前記準安定状態と初期状態との色の差に基づく色の変化によって視覚化される(請求項8)。
【0063】
本発明の好ましい実施態様で、時間温度インジケータの活性物質としてのインジケータ化合物は、前記包装材又はラベルの上に直接印刷されるインク調合物の中に提供される(請求項9)。
【0064】
もう一つの実施態様で、インジケータ化合物は、熱転写(TRR)インク組成物の一部であり、TTR層に熱を加えることによって印刷面に転写される。
【0065】
特定の実施態様で、本発明はまた、経時劣化及び温度感受性製品の品質を決定する方法であって、
a)異性化反応に基づくフォトクロミック性を有し、請求項1記載の式(I)の少なくとも一つのスピロピランインジケータを含む、時間温度インテグレータを基材上に印刷するステップ、
b)好ましくは光誘導呈色によってインジケータを活性化するステップ、
c)場合によっては、インジケータの新たな光誘導呈色を防ぐ保護材を適用(apply)させるステップ、及び
d)時間又は温度誘導退色の度合を決定し、その退色の度合を考慮して、製品の品質を決定するステップ
を含む方法に関する(請求項11)。
【0066】
インクジェット印刷を使用する場合、有利には、手順は以下のとおりである。
【0067】
ステップa)で、上記の少なくとも一つのスピロピランインジケータ化合物を含む時間温度インテグレータを、インクジェット印刷により、基材、特に、経時劣化及び温度感受性製品の包装又は包装に付されたラベルに適用する。
【0068】
好ましい実施態様では、ステップa)で、インクジェット印刷により、インジケータの色の変化を時間の関数として再現する基準目盛りを、さらに適用することが可能であり、さらなる文章(又は情報)、たとえば使用期限、製品識別情報、重さ、内容物などを好ましくは黒インクで適用することが可能である。
【0069】
ステップa)に続いて、ステップb)すなわちインジケータ化合物の活性化、特に光誘導呈色が続く。バインダの光誘導硬化は、有利には、インジケータの光誘導呈色を含む。
【0070】
望むならば、ステップb)に続いて、不可逆性の感光性インジケータをカバーの形態の不正開封防止として、時間温度インテグレータの上に適用させることもできる。適切な不可逆性インジケータとしては、たとえば、ピロール誘導体、たとえば2−フェニル−ジ(2−ピロール)メタンがある。そのような物質は、UV光に暴露されると、不可逆的に赤く変わる。
【0071】
ステップc)に続いて、可逆性インジケータの新たな光誘導呈色を防ぐプロテクタ、特にカラーフィルタの適用が続く。UV感受性インジケータの場合、430nmよりも長い一般的な波長を有する光だけを透過させる黄色のフィルタが考慮される。有利には、保護フィルム、すなわちカラーフィルタもまた、同じくインクジェット印刷によって適用することができる。
【0072】
適切なフィルタは、2007年10月16日出願の国際出願EP2007/060987に開示されている。この出願には、フォトクロミック着色剤を含有する下層に接着された少なくとも一つの紫外線及び/又は可視光線吸収層を含む組成物であって、そのフォトクロミック着色剤がUV露光によって活性化されて可逆性の変色を起こし、その色転換が、温度に依存する速度で起こり、光吸収層が、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン、ベンズオキサゾン、α−シアノアクリレート、オキサニリド、トリス−アリール−s−トリアジン、ホルムアミジン、シンナメート、マロネート、ベンジリデン、サリチレート及びベンゾエート紫外線吸収剤からなる群より選択される紫外線吸収剤層の総重量に基づいて、1〜60重量%のバインダを含むものである組成物が開示されている。
【0073】
時間温度時計は、定められた所望の時点で始動させることができる。本発明にしたがって考慮すると、退色が好ましいが、呈色プロセスが時間温度時計の根幹を形成するインジケータの使用もまた考えられる。
【0074】
経時劣化又は温度感受性製品の品質の実際の決定の前に、ステップb)におけるインジケータの活性化が起こる。そして、それよりも後の時点で、時間又は温度誘導退色の度合が計測され、製品の品質がそれから推測される。人の眼によって評価が下される場合、たとえば基材の側方又は下方に、一定の品質等級、一定の時点などを、一定の退色の度合に割り当てる基準目盛りを配置することが好都合であろう。
【0075】
したがって、退色又は呈色の度合を評価することによって製品の品質が決定される場合、基準目盛りを使用することが好ましい。
【0076】
印刷された基準目盛りを時間温度インテグレータとともに用いることにより、品質等級の絶対的決定が可能である。時間温度インテグレータ及び基準目盛りは、有利には、読み取りを容易にするために、淡い色の基材に配置される。
【0077】
適切な基材は、無機材料及び有機材料であり、好ましくは、従来の層及び包装技術から公知の材料である。例として、ポリマー、ガラス、金属、紙、厚紙などが挙げられる。
【0078】
基材は、製品の包装材として使用したり、公知の方法によって製品に取り付けたりするのに適している。本発明のインジケータはまた、食品産業で適用し、使用することができ、本質的に、薬学又は医学の分野で使用される他の製品に対しても同様に有効であるということが理解されよう。
【0079】
基材は、同時に、傷みやすい製品のための包装材を形成することもできるし、たとえばラベルの形態で包装材に適用することもできる。
【0080】
本発明のもう一つの実施態様は、上記の時間温度インジケータを含む包装材又はラベルに関する(請求項10)。
【0081】
さらに別の実施態様で、本発明はまた、上記の少なくとも一つのスピロ芳香族インジケータを含む高分子量材料に関する。
【0082】
高分子量有機材料は、天然又は合成由来のものであってもよく、一般に、103〜108g/molの範囲の分子量を有する。たとえば、天然樹脂もしくは乾性油、ゴムもしくはカゼイン又は改質天然材料、たとえば塩素化ゴム、油改質アルキド樹脂、ビスコース、セルロースエーテルもしくはエステル、たとえば酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、アセト酪酸セルロースもしくはニトロセルロースであってもよく、特に、重合、重縮合又は重付加によって得られるような完全合成有機ポリマー(熱硬化性プラスチック及び熱可塑性プラスチック)、たとえばポリオレフィン、たとえばポリエチレン、ポリプロピレンもしくはポリイソブチレン、置換ポリオレフィン、たとえば塩化ビニル、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルもしくはブタジエンの重合物ならびに前述のモノマーの共重合物、特にABS又はEVAであってもよい。重付加樹脂及び重縮合樹脂の群からは、ホルムアルデヒドとフェノール類との縮合物、いわゆるフェノプラスト及びホルムアルデヒドと尿素、チオ尿素及びメラミンとの縮合物、いわゆるアミノプラスト、表面塗装樹脂として使用されるポリエステル、飽和したものとしてはたとえばアルキド樹脂又は不飽和のものとしてはマレイン酸樹脂、直鎖状ポリエステル及びポリアミド又はシリコーンが挙げられる。前述の高分子量化合物は、個別に存在してもよく、混合物として、プラスチック組成物又は溶融体の形態で存在してもよい。これらはまた、モノマーの形態で存在してもよく、重合状態で、表面コーティング又は印刷インクの塗膜形成剤又はバインダとして溶解した形態、たとえば煮アマニ油、ニトロセルロース、アルキド樹脂、メラミン樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂又はアクリル樹脂として存在してもよい。
【0083】
本発明をより良く理解し、本発明を実施する方法を理解することができるよう、以下、非限定的な例として好ましい実施態様を記載する。
【0084】
実施例
モノマースピロピラン類の一般的合成
第一のステップで、場合によっては置換されている2,3,3−トリメチルインドレニン1及び置換アルキルフェニル臭化物2(好ましくは置換臭化ベンジル)の溶液を反応させた。
【0085】
【化13】

【0086】
別個のステップで、置換ニトロサリチルアルデヒド5を調製した。
【0087】
【化14】

【0088】
次のステップで、化合物3を化合物5と反応させて
【0089】
【化14】

【0090】
を得た。
いくつかの化合物の調製を詳細に説明する。式(I)のすべての化合物は同様なやり方で調製される。
【0091】
1−(4’−フルオロベンジル)−3,3−ジメチル−2−メチレン−インドリン(中間体)
乾燥トルエン30ml中2,3,3−トリメチルインドレニン(5.0g、31.4mmol)及び臭化4−フルオロベンジル(3.0g、15.7mmol)の溶液を80〜85℃で一晩かく拌した。混合物を室温まで冷まし、ガラスフィルタに通してろ過し、エーテルで洗浄し、減圧下で乾燥させた。粗生成物をCH2Cl2に溶解し、5%NaOH(水性)で、かく拌下30分間処理した。有機相を分離させ、Na2SO4で乾燥させ、短いアルミナカラム中、ヘキサン−CH2Cl250%に通し、蒸発させて(窒素下で冷却しながら)対応する遊離塩基を得、それをただちに、数滴のEt3Nを含有するエタノール10mlに溶解した。
【0092】
1−(4’−フルオロベンジル)−3,3−ジメチル−2−メチレン−インドリン(2.7g、10.0mmol)及び2−ヒドロキシ−3−メトキシ−5−ニトロベンズアルデヒド(3.6g、13.0mmol)の溶液をエタノール25ml中で2時間環流させ、室温まで冷まし、ろ過し、1%Et3N(水性)とで粉砕し、水洗し、エタノールから結晶化させ、減圧下で乾燥させた。収量:3.0g、66.5%
【0093】
化合物142の調製
【0094】
【化16】

【0095】
1−(2’,4’−ジフルオロベンジル)−3,3−ジメチル−2−メチレン−インドリン
乾燥トルエン15ml中2,3,3−トリメチルインドレニン(2.5g、12.1mmol)及び臭化2,4−ジフルオロベンジル(2.1g、13.3mmol)の溶液を窒素下90℃で12時間かく拌し、室温まで冷まし、固体(臭化水素酸インドレニン)をろ過し、エーテルで洗浄した。減圧下、母液を蒸発させ、残渣をジクロロメタンに溶解し、5%NaOHで、かく拌下30分間処理した。有機相を分離させ、Na2SO4で乾燥させ、短いアルミナカラム中ヘキサン−CH2Cl2(1:1)に通し、蒸発させた(窒素下で冷却しながら)。対応する遊離塩基をただちに、数滴のEt3Nを含有するエタノール10mlに溶解した。
【0096】
3−メトキシ−5−ニトロサリチルアルデヒド(0.59g、3.0mmol)を、かく拌下、1−(2’,4’−ジフルオロベンジル)−3,3−ジメチル−2−メチレン−インドリン(1.0g、2.73mmol)の溶液に加え、反応混合物を30分間環流させた。反応混合物を室温まで冷まし、ガラスフィルタに通してろ過し、固体生成物をエタノールで洗浄し、1%Et3N(水性)とで粉砕し、エタノールから結晶化させると、標記化合物が黄色がかった粉末として得られた。収量0.5g、39.4%
【0097】
化合物152の調製
【0098】
【化17】

【0099】
1−(4’−トリフルオロメチル−ベンジル)−3,3−ジメチル−2−メチレン−インドリン
2,3,3−トリメチルインドレニン(3g、12.3mmol)及び臭化4−(トリフルオロメチル)ベンジル(2.35g、14.8mmol)の溶液を、トルエン20ml中、窒素下90℃で24時間かく拌した。混合物を室温まで冷まし、減圧下で蒸発させ、残渣をCH2Cl2に溶解し、5%NaOH(水性)で45分間処理した。有機相を分離させ、Na2SO4で乾燥させ、短いアルミナカラム中ヘキサン−CH2Cl2(1:1)に通してクロマトグラフィーに付した。溶媒を蒸発させて(窒素下で冷却しながら)151(2.9g、9.1mmol)を遊離塩基として得、それをただちに、数滴のEt3Nを含有するエタノール45mlに溶解した。
3−メトキシ−5−ニトロサリチルアルデヒド(1.8g、9.1mmol)をその溶液に加え、反応混合物を50分間環流させた。反応混合物を室温まで冷まし、溶媒を減圧下で除去し、残渣を短いアルミナカラムでクロマトグラフィーに付した。溶離剤:ヘキサン−CH2Cl2(10〜40%)。エーテル−ヘキサンから生成物を結晶化させ、真空中で乾燥させた。収量1.35g、19.7%
【0100】
化合物154の調製
【0101】
【化18】

【0102】
(1−(4’−トリフルオロメトキシ−ベンジル)−3,3−ジメチル−2−メチレン−インドリン
2,3,3−トリメチルインドレニン(1.8g、11.5mmol)及び臭化4−(トリフルオロメチル)ベンジル(2.4g、9.6mmol)の溶液を、トルエン(20ml)中、窒素下90℃で24時間かく拌した。混合物を室温まで冷まし、減圧下で蒸発させ、残渣をCH2Cl2に溶解し、5%NaOH(水性)とともに45分間かく拌した。有機相を分離させ、Na2SO4で乾燥させ、短いアルミナカラム中ヘキサン−CH2Cl2(1:1)に通した。溶媒を蒸発させて(窒素下で冷却しながら)標記インドリンを遊離塩基として得(1.27g、3.80mmol)、それをただちに、数滴のEt3Nを含有するエタノール45mlに溶解し、次にステップに付した。
【0103】
3−メトキシ−5−ニトロサリチルアルデヒド(0.79g、4.00mmol)をかく拌下その溶液に加え、反応混合物を30分間環流させた。反応混合物を室温まで冷まし、乾燥状態まで蒸発させ、アルミナ上のクロマトグラフィーによって精製した(溶離剤:ヘキサン−CH2Cl2(5〜50%)。エーテル−ヘキサンから生成物を結晶化させた。収量0.53g、27.2%
【0104】
化合物258の調製
【0105】
【化19】

【0106】
5−メトキシ−2,3,3−トリメチル−インドレニンの調製
エタノール(無水)100ml中4−メトキシフェニル−ヒドラジン塩酸塩(12.0g、68.7mmol)及びメチルイソプロピルケトン(5.92g、7.35ml、68.7mol)の溶液を2時間環流させた。混合物をガラスフィルタに通してろ過し、溶媒を蒸発させた。残渣をジクロロメタンで抽出し、5%NaOHで処理し、NaOH(ペレット)で乾燥させ、アルミナパッドに通し、乾燥状態まで蒸発させて、対応するインドレニンを得た。収量12.7g(98%)。この生成物を、さらに精製することなく、そのまま後続のステップで使用した。
【0107】
乾燥トルエン20ml中5−メトキシ−2,3,3−トリメチル−インドレニン(3.8g、20.1mmol)及び臭化4−トリフルオロメチル−ベンジル(4.8g、20.1mmol)の溶液を80〜85℃で一晩かく拌し、室温まで冷まし、溶媒を減圧下で除去し、残渣をCH2Cl2に溶解し、5%NaOH(水性)とともに30分間かく拌した。有機相を分離させ、Na2SO4で乾燥させ、短いアルミナカラム中ヘキサン−CH2Cl2(1:1)に通した。溶媒を蒸発させて(窒素下で冷却しながら)遊離塩基257を得(2.8g、8.0mmol)、それをただちに、数滴のEt3Nを含有するエタノール40mlに溶解した。
【0108】
エタノール(20ml)中3−メトキシ−5−ニトロサリチルアルデヒド(0.9g、4.6mmol)及び遊離塩基257(1.6g、4.6mmol)の溶液を50分間環流させた。反応混合物を室温まで冷まし、ろ過した。固体生成物をエタノールで洗浄し、ガラスフィルタ上で乾燥させ、ジクロロメタンに溶解し、短いアルミナカラムに通した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣をエタノールから結晶化させ、真空中で乾燥させたた。収量1.3g、54.2%
【0109】
光漂白に対する安定化
顔料の試料を同一の水性インクに混合し、同じ条件下、ミルを使用して分散させた。そのインクを同じ紙基材に印刷し、室温で24時間乾燥させた。試料を、熱溜めとして働く5mmのガラス板に載せ、同じ光源(TLC灯、365nm)を使用して励起した。二つの同一試料を各インクから調製し、励起した。一つのシステムを0℃で暗所に配置し、他方を蛍光灯(”OSRAM” DULUX S G23、900lm、11W/840)、距離30cm)のろ波光(カットオフフィルタ455nm)に暴露した。比色計(Eye One GretagMacbeth)を使用して試料を計測した。暗所に保持した励起されたラベルのCIE Lab値を、光漂白光に暴露された同一ラベルの値に比較した。以下のグラフから明白であるように、ニトロフェニル基上の3−メトキシ基は呈色種の感光度を一貫して低下させる。同様に、重原子の存在が同じ望ましい効果を生じさせる。
【0110】
インク調製の手順
水性インク組成物:10%TTI
【0111】
ステップ1 ポリマーマトリックス調製
Glascol(登録商標)LS-16(Ciba Specialty Chemicals)20g
Glascol(登録商標)LS-20(Ciba Specialty Chemicals)20g
消泡剤TEGO(登録商標)Foamex 845(Evonic Industries)0.25g
トリエタノールアミン(TEA)0.1g−1分間かく拌
【0112】
ステップ2 最終インク組成物
TTI0.2g
ポリマーマトリックス1.6g
水(HPLC用)0.4g
Pulverisette(Planetary Fritsch Pulverisette 7)上、600rpmで6×5分間、2回分散させ、800rpmで6×5分間分散させて、10%TTIインクを得た。
【0113】
溶媒系インク組成物10%TTI
ステップ1 ポリ酪酸ビニル(PVB)ワニス調製
Pioloform BN 18 PVB樹脂(Ciba Specialty Chemicals)2g+エタノール(無水)8g(10ml)
2時間かく拌して明澄な溶液を得た。
【0114】
ステップ2 溶媒系インク濃縮物調製
TTI0.2g
PVBワニス0.5g
エタノール(無水)0.2g
酢酸エチル(AR)0.1g
Pulverisette上で分散させて(600rpmで2×5分間)インク濃縮物を得た。
【0115】
ステップ3 最終インク調製
インク濃縮物に以下を加えた。
PVBワニス0.6g
エタノール(無水)0.4g
酢酸エチル(AR)0.2g
Pulverisette上で分散させて(6×5分間、次いで800rpmで2回、6×5分間)10%TTIを得た。
【0116】
0℃での光漂白の表
暗所に保持した励起されたラベルのCIE Lab値を、光漂白光に暴露された同一ラベルの値に比較した。
【0117】
【表2】









【0118】
化合物135(最新技術の化合物、WO2005/075978の化合物)の調製
【0119】
【化20】

【0120】
化合物(77)の手順(上記参照)に記載したようにして、1−(4’−フルオロベンジル)−3,3−ジメチル−2−メチレン−インドリン(62)を調製した。
【0121】
6−メトキシ−3−ニトロサリチルアルデヒド(134)
酢酸(6ml)中2−ヒドロキシ−6−メトキシ−ベンズアルデヒド(3.0g、6.57mmol)を氷槽中5℃でかく拌した。発煙硝酸(10ml、15.2g、241当量)を、温度が10℃を超えないような速度で滴下した。混合物を25℃で1時間かく拌した。次いで、激しくかく拌しながら溶液を氷水(250ml)に注加した。それによって形成した濃赤色の沈殿物をガラスろ過板に通してろ過し、1M HCl(20ml)で洗浄し、減圧下で乾燥させ、CH2Cl2に溶解し、シリカパッドに通してクロマトグラフィーに付して、黄色の粗生成物3.8gを得た。この生成物をエタノールから再結晶させ、真空下で乾燥させた。収量0.6g(15.4%)
【0122】
化合物135
6−メトキシ−3−ニトロサリチルアルデヒド(0.45g、2.31mmol)を、エタノール15ml中1−(4’−フルオロベンジル)−3,3−ジメチル−2−メチレン−インドリン(0.6g、2.24mmol)の溶液に加えた。この混合物を1.5時間環流させ、室温まで冷まし、減圧下、6ml量まで濃縮し、ろ過し、エタノールで洗浄し、エタノールから再結晶させた。収量0.52g(52.0%)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化21】


(式中、
1は、水素、−C1〜C6アルコキシ、ハロゲン、−C1〜C6アルキル又は−NO2であり、
2は、水素又は−C1〜C6アルコキシであり、
3は、NO2又はハロゲンであり、
4は、水素、−C1〜C6アルコキシ又はハロゲンであり、
5は、水素、ハロゲン、−C1〜C6アルコキシ、−COOH、−COO−C1〜C6アルキル、−CF3又はフェニルであり、
11は、水素であるか、R5と一緒になってフェニル環を形成し、
Yは、フェニル、ナフチル、アントラセン−9−イル、9H−フルオレン−9−イル又は残基
【化22】


であり、
6は、水素、ハロゲン、−C1〜C6アルコキシ、−NO2、−CF3、−O−CF3、−CN、−COO−C1〜C6アルキル、フェニル又はビフェニル、9H−フルオレン−9−イルであり、
7は、水素、ハロゲン、−CN、−C1〜C6アルコキシであるか、R6と一緒になってフェニル環を形成し、
8は、水素、ハロゲン、−CN又は−C1〜C6アルコキシであり、
9は、水素又はハロゲン又はCNであり、
10は、水素又はハロゲン又はCNであり、
aは、−(CH2n−(n=1〜6)又は−CH2−CH=CH−である)
の少なくとも一つのスピロピランインジケータ
(ただし、
【化23】


を除く)
を含む時間温度インジケータ。
【請求項2】
Yがフェニル、ナフチル、アントラセン−9−イル又は9H−フルオレン−9−イルである式(I)の少なくとも一つのスピロピランインジケータを含む、請求項1記載の時間温度インジケータ。
【請求項3】
Yが残基
【化24】


である式(I)の少なくとも一つのスピロピランインジケータを含む、請求項1記載の時間温度インジケータ。
【請求項4】
式(III)
【化25】


(式中、
1は、水素、−C1〜C6アルコキシ、ハロゲン、−C1〜C6アルキル又は−NO2であり、
2は、H又は−C1〜C6アルコキシであり、
3は、NO2又はハロゲンであり、
4は、水素、−C1〜C6アルコキシ又はハロゲンであり、
5は、ハロゲン、−C1〜C6アルコキシ、−COOH、−COO−C1〜C6アルキル、−CF3又はフェニルであり、
6は、水素、ハロゲン、−C1〜C6アルコキシ、−NO2、−CF3、−O−CF3、−CN、−COO−C1〜C6アルキル、フェニル、ビフェニル又は9H−フルオレン−9−イルであり、
7は、水素、ハロゲン、−CN、−C1〜C6アルコキシであるか、R6と一緒になってフェニル環を形成し、
8は、水素、ハロゲン、−CN又は−C1〜C6アルコキシである)
の少なくとも一つのスピロピラン化合物(ただし、
【化26】


を除く)を含む、請求項1記載の時間温度インジケータ。
【請求項5】
(a)請求項1記載の式(I)のスピロピランインジケータをマトリックスの中又は上に組み込むステップ、及び
(b)前記組み込まれたスピロピランインジケータの準安定状態の形成を誘導するステップ
を含む、時間温度インジケータの製造方法。
【請求項6】
光再励起及び/又は光漂白を防ぐように設計されたカバーサポートで前記時間温度インジケータを覆うステップをさらに含む、請求項5記載の方法。
【請求項7】
(a)請求項1記載の一般式(I)の少なくとも一つのスピロ芳香族インジケータ化合物の準安定状態を形成するステップ、及び
(b)時間及び温度依存的な方法で、前記少なくとも一つのスピロ芳香族インジケータ化合物の初期状態に適合させるステップ
を含み、前記初期状態の形成が、前記準安定状態又は初期状態の物理的特性をモニタすることによって検出される時間温度指示方法。
【請求項8】
前記初期状態の適合化が、前記準安定状態と初期状態との色の差に基づく色の変化によって視覚化される、請求項7記載の方法。
【請求項9】
時間温度インジケータを製造するための、請求項1記載の式(I)の少なくとも一つのスピロピランインジケータを含む印刷インク又は印刷インク濃縮物。
【請求項10】
請求項1記載の時間温度インジケータを含む包装材又はラベル。
【請求項11】
経時劣化及び温度感受性製品の品質を決定する方法であって、
a)異性化反応に基づくフォトクロミック性を有し、請求項1記載の式(I)の少なくとも一つのスピロピランインジケータを含む、時間温度インテグレータを基材上に印刷するステップ、
b)好ましくは光誘導呈色によって前記インジケータを活性化するステップ、
c)場合によっては、前記インジケータの新たな光誘導呈色を防ぐ保護材を適用させるステップ、及び
d)時間又は温度誘導退色の度合を決定し、その退色の度合を考慮して、製品の品質を決定するステップ
を含む方法。
【請求項12】
請求項1記載の時間温度インジケータを使用して経時劣化及び温度感受性製品の品質を決定する方法。

【公表番号】特表2010−515793(P2010−515793A)
【公表日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−545133(P2009−545133)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【国際出願番号】PCT/EP2007/064594
【国際公開番号】WO2008/083925
【国際公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(506173178)フレッシュポイント・ホールディングス・ソシエテ・アノニム (7)
【氏名又は名称原語表記】FRESHPOINT HOLDINGS S.A.
【Fターム(参考)】