説明

光情報再生方法、光情報再生装置及び光情報再生プログラム

【課題】 従来装置では、2次元デジタルパターン(ページデータ)の歪みや回転には対応できず、ビット単位の位置を特定することができず、光ディスクの厚みムラや、面ブレ、偏心などにより生じた収差がデータの回転や湾曲、歪みとなって生じる。
【解決手段】 ホログラフィを利用して情報を記録した情報記録層を備えた光情報記録媒体に対して再生用参照光を照射し、その再生用参照光が照射されることによって発生される再生光を検出して情報を再生する光情報再生方法において、信号処理回路は、読み出したSYNCデータを利用してY方向の周波数・位相補正を実現すると共に、SYNCデータの周囲の情報データもリサンプリング演算してデータを再生成する(S2)。このY方向の周波数・位相補正の実現には、リサンプリングDPLLを利用する。SYNCパターンの周囲のデータも同様にリサンプリング演算して、データを再生成する(S2)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光情報再生方法、光情報再生装置及び記録媒体に係り、特にホログラフィを利用して情報を記録した情報記録層を具備した光情報記録媒体から記録情報を光学的に再生する光情報再生方法、光情報再生装置及びその光情報再生装置に用いられる光情報再生プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ホログラフィを利用して記録媒体に情報を記録するホログラフィック記録は、一般的に、イメージ情報を持った光と参照光とを記録媒体の内部で重ね合わせ、そのときにできる干渉縞を記録媒体に書き込むことによって行われる。記録された情報の再生時には、その記録媒体に参照光を照射することにより、干渉縞による回折によりイメージ情報が再生される。
【0003】
近年では、超高密度光記録のために、ボリュームホログラフィ、特にデジタルボリュームホログラフィが実用域で開発され注目を集めている。ボリュームホログラフィとは、記録媒体の厚み方向も積極的に活用して、3次元的に干渉縞を書き込む方式であり、厚みを増すことで回折効率を高め、多重記録を用いて記録容量の増大を図ることができるという特徴がある。そして、デジタルボリュームホログラフィとは、ボリュームホログラフィと同様の記録媒体と記録方式を用いつつも、記録するイメージ情報は2値化したデジタルパターンに限定した、コンピュータ指向のホログラフィック記録方式である。
【0004】
このデジタルボリュームホログラフィでは、例えばアナログ的な絵のような画像情報も、一旦デジタイズして、2次元デジタルパターン情報(ページデータともいう)に展開し、これをイメージ情報として記録する。再生時は、このデジタルパターン情報を読み出してデコードすることで、元の画像情報に戻して表示する。これにより、再生時にSN比(信号対雑音比)が多少悪くても、微分検出を行ったり、2値化データをコード化しエラー訂正を行ったりすることで、極めて忠実に元の情報を再現することが可能になる。
【0005】
このような2次元デジタルパターン情報には、パターン検出の際に使用される、位置決め用の同期コード(以下、Syncコードという)が含まれている。このSyncコードはCCD(Charge Coupled Devise:電荷結合素子)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor:相補性金属酸化膜半導体)で構成された画像検出器上に設けられたSyncコードとのマッチングが取られる。そして、両Syncコードが一致するようにして位置決めがなされ、再生画像が検出される。
【0006】
なお、図3は2次元デジタルパターン(ページデータ)の一例を示す。図3において、複数個ある明るい大きめのマークがSyncコードであり、これを用いてCCDやCMOSなどの画像検出器上で位置合わせが行われる。
【0007】
2つの画像のマッチングを取るための1つの方法として、テンプレートマッチングが知られている(例えば、非特許文献1参照)。テンプレートマッチングは、ある画像情報の中から所望画像パターンが効率良く検知することができるものである。しかしながら、このテンプレートマッチングでは、最大相関値を所定の式を用いて算出する必要があるが、その式は再生像の中のあるパターンとテンプレート画像との類似性を示す相関値を求めるものであり、その相関値は全体のページデータを複数分割して設けられた1つの領域における再生像の中のすべての座標位置について算出するものであるため、計算量が膨大となり、迅速な処理による画像検出実現には問題である。
【0008】
そこで、この問題を解決するため、ホログラフィを利用して情報を記録した情報記録層を備えた光情報記録媒体から情報を再生する装置において、再生用参照光を上記の情報記録層に対して照射することによって発生される再生光を検出する検出手段を、再生光に含まれる再生像の位置決めを行うためのシンクコード(Syncコード)は全て同一のピクセル値を持つように設定し、XY平面からなるサーチ範囲においていずれか一方の成分を固定して、もう一方向での相関値を求め、次いで固定していた方の方向での相関値を取得し、サーチ範囲において得られた全ての相関値から最大となるものをマッチングが取れた位置とするようにした光情報再生装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0009】
この特許文献1記載の従来の光情報再生装置によれば、全て同一のピクセル値を持つSyncコードを導入することで、相関値を算出するための計算量を減らし、更に、相関値を計算する際に、X方向又はY方向を固定して、どちらか一方のサーチを行い、それが終了した後で、もう一方のサーチを行うことにより計算を簡略化することにより、計算処理時間の短縮を図っている。
【0010】
【非特許文献1】「コンピュータ画像処理入門」、総研出版、昭和61年6月1日発行、p.149〜151
【特許文献1】特開2004−310957号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかるに、上記の特許文献1記載の従来の光情報再生装置では、SYNCコード位置を見つけたとしても、実際の記録データビットを抽出するためには、2次元デジタルパターン(ページデータ)の歪みや回転には対応できず、ビット単位の位置を特定することができない。特に、実際のシステム上においては、光情報記録媒体である光ディスクの厚みムラや、面ブレ、偏心などにより生じた収差がデータの回転や湾曲、歪みとなって生じてくる。
【0012】
2次元デジタルパターン(ページデータ)は画像処理として考えると、演算で回転をさせることも可能であるが、膨大な処理時間を要することは明白である。また、記録ビットが確定しないままの画像処理では、記録したビット数よりも多くのピクセルに対する処理を行わなければならなくなり、非現実な処理時間を有する。
【0013】
また、SYNCコード位置での回転・歪み検出情報でしかないため、ビット単位の制御は近似でしかなくなる。本来は、ビット単位での位相ずれを検出し、直接そのビットにフィードバックすることが望ましい。また、符号間干渉を効率良くかけるためにも、2次元デジタルパターン(ページデータ)の歪みや回転を修正することは重要である。
【0014】
更に、ホログラフィのようなページ処理は、シャノン限界に近い訂正能力を有するLDPC(Low Density Parity Check Code:低密度パリティ検査符号)との組み合わせが有効であるが、LDPCによるエラーレート改善過程において、入力信号のビット位置ずれは致命的であり、訂正能力が低下するだけでなく、本来正しいデータまで誤ったデータに置き換えてしまう可能性が高くなる。
【0015】
本発明は以上の点に鑑みなされたもので、ホログラフィを利用して情報を記録した情報記録層を備えた光情報記録媒体から再生されたデータに回転、湾曲、歪みなどが生じても、正確に有効ビットの周波数・位相を検出し得る光情報再生方法、光情報再生装置及び光情報再生プログラムを提供することを目的とする。
【0016】
また、本発明の他の目的は、再生信号のエラーレートを改善した光情報再生方法、光情報再生装置及び光情報再生プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の目的を達成するため、第1の発明はホログラフィを利用して情報を記録した情報記録層を備えた光情報記録媒体に対して再生用参照光を照射し、その再生用参照光が照射されることによって発生される再生光を検出して情報を再生する光情報再生方法において、光情報記録媒体の再生用参照光が照射される情報記録層のXY平面には、X方向(もしくはY方向)の最小反転間隔が2以上であるシンクビットが、Y方向(もしくはX方向)に並行に配置されると共に、情報ビットがシンクビットの間に挟まれるように配置されており、再生用参照光が照射されることによって情報記録層で発生される再生光を収集し、検出する第1のステップと、第1のステップでY方向(もしくはX方向)に検出したシンクビット列に対して、ディジタル位相同期ループ回路を用いてリサンプリング演算を行い、Y方向(もしくはX方向)のシンクビットの周波数・位相を補正する第2のステップと、第1のステップでY方向(もしくはX方向)にシンクビット列と共に検出したシンクビット列の周囲の1以上のY方向(もしくはX方向)の情報ビットからなる隣接情報データに対して、第2のステップで周波数・位相補正されたシンクビットに同期させてリサンプリング処理を行う第3のステップとを含むことを特徴とする。
【0018】
また、上記の目的を達成するため、第2の発明は、光情報記録媒体の再生用参照光が照射される情報記録層のXY平面には、X方向(もしくはY方向)の最小反転間隔が2以上であるシンクビットが、X方向(もしくはY方向)に繰り返し配置されると共に、情報ビットがシンクビットの間に挟まれるように配置されており、再生用参照光が照射されることによって情報記録層で発生される再生光を収集し、検出する第1のステップと、第1のステップでX方向(もしくはY方向)に検出したシンクビット列に対して、ディジタル位相同期ループ回路を用いてリサンプリング演算を行い、X方向(もしくはY方向)のシンクビットの周波数・位相を補正する第2のステップと、第1のステップでX方向(もしくはY方向)にシンクビット列と共に検出したシンクビット列の周囲の1以上のX方向(もしくはY方向)の情報ビットからなる隣接情報データに対して、第2のステップで周波数・位相が補正されたシンクビットに同期させてリサンプリング処理を行う第3のステップとを含むことを特徴とする。
【0019】
第1及び第2の発明では、ホログラフィを利用して情報を記録した情報記録層を備えた光情報記録媒体には、情報ビットのほかにX方向(又はY方向)に、少なくとも最小反転間隔が2以上の同期ビットを、Y方向(又はX方向)に並行に配置するようにしたため、リサンプリング処理によりシンクビットと情報ビットを同期させて再生するようにできる。
【0020】
ここで、第2の発明において、シンクビットの反転間隔は、隣接するシンクビット間隔と等しいようにしてもよい。これは後述する図14のような状態であり、例えば3Tの繰り返しである。また、第2の発明において、シンクビットのX方向(もしくはY方向)の並びは、同一パターンの繰り返しであり、かつ、その同一パターンの積分値は0であるようにしてもよい。これは、例えば、3T3T2T2T5T5Tの繰り返しなどがある。
【0021】
また、上記の目的を達成するため、第5の発明は、ホログラフィを利用して情報を記録した情報記録層を備えた光情報記録媒体に対して再生用参照光を照射し、その再生用参照光が照射されることによって発生される再生光を検出して情報を再生する光情報再生方法において、光情報記録媒体の再生用参照光が照射される情報記録層のXY平面には、X方向(もしくはY方向)の最小反転間隔が2以上であるシンクビットが、Y方向(もしくはX方向)に並行に配置されると共に、X方向(もしくはY方向)に繰り返し配置され、かつ、情報ビットがシンクビットの間に挟まれるように配置されており、再生用参照光が照射されることによって情報記録層で発生される再生光を収集し、検出する第1のステップと、第1のステップでX方向又はY方向に検出したシンクビットのDC成分を検出し、そのDC成分を一定に制御するDC制御を行う第2のステップと、第1のステップでX方向又はY方向に検出したシンクビットの周囲の1以上のX方向又はY方向の情報ビットからなる隣接情報データに対して、第2のステップで得られたDC制御情報に基づいてDC制御を行う第3のステップとを含むことを特徴とする。
【0022】
また、上記の目的を達成するため、第6の発明は、第5の発明のDC制御に替えて利得制御を行う点に特徴がある。第5、第6の発明では、光情報記録媒体から再生したシンクビット及び情報ビットがDC制御あるいは利得制御されるため、安定したシンクビットからDC情報や利得情報を抽出することができる。
【0023】
また、上記の目的を達成するため、第7の発明の光情報再生装置は、ホログラフィを利用して情報を記録した情報記録層を備えた光情報記録媒体に対して再生用参照光を照射し、その再生用参照光が照射されることによって発生される再生光を検出して情報を再生する光情報再生装置において、光情報記録媒体の再生用参照光が照射される情報記録層のXY平面には、X方向(もしくはY方向)の最小反転間隔が2以上であるシンクビットが、Y方向(もしくはX方向)に並行に配置されると共に、情報ビットがシンクビットの間に挟まれるように配置されており、
再生用参照光が照射されることによって情報記録層で発生される再生光を収集し、検出する検出手段と、検出手段によりY方向(もしくはX方向)に検出したシンクビット列に対して、ディジタル位相同期ループ回路を用いてリサンプリング演算を行い、Y方向(もしくはX方向)のシンクビットの周波数・位相を補正する第1のリサンプリング処理手段と、検出手段によりY方向(もしくはX方向)にシンクビット列と共に検出したシンクビット列の周囲の1以上のY方向(もしくはX方向)の情報ビットからなる隣接情報データに対して、第1のリサンプリング処理手段から出力されるシンクビットに同期させてリサンプリング処理を行う第2のリサンプリング処理手段とを有することを特徴とする。
【0024】
また、上記の目的を達成するため、第8の発明の光情報再生装置は、光情報記録媒体の再生用参照光が照射される情報記録層のXY平面には、X方向(もしくはY方向)の最小反転間隔が2以上であるシンクビットが、X方向(もしくはY方向)に繰り返し配置されると共に、情報ビットがシンクビットの間に挟まれるように配置されており、
再生用参照光が照射されることによって情報記録層で発生される再生光を収集し、検出する検出手段と、検出手段によりX方向(もしくはY方向)に検出したシンクビット列に対して、ディジタル位相同期ループ回路を用いてリサンプリング演算を行い、X方向(もしくはY方向)のシンクビットの周波数・位相を補正する第1のリサンプリング処理手段と、検出手段によりX方向(もしくはY方向)にシンクビット列と共に検出したシンクビット列の周囲の1以上のX方向(もしくはY方向)の情報ビットからなる隣接情報データに対して、第1のリサンプリング処理手段から出力されるシンクビットに同期させてリサンプリング処理を行う第2のリサンプリング処理手段とを有することを特徴とする。
【0025】
第7及び第8の発明の光情報再生装置では、ホログラフィを利用して情報を記録した情報記録層を備えた光情報記録媒体に対して再生用参照光を照射し、その再生用参照光が照射されることによって発生される再生光を検出して情報を再生する光情報再生装置において、ホログラフィを利用して情報を記録した情報記録層を備えた光情報記録媒体には、情報ビットのほかにX方向(又はY方向)に、少なくとも最小反転間隔が2以上の同期ビットを、Y方向(又はX方向)に並行に配置するようにしたため、リサンプリング処理によりシンクビットと情報ビットを同期させて再生するようにできる。
【0026】
ここで、第9の発明のように、第8の発明におけるシンクビットの反転間隔を隣接するシンクビット間隔と等しくしてもよく、第10の発明のように第8の発明におけるシンクビットのX方向(もしくはY方向)の並びは、同一パターンの繰り返しであり、同一パターンの積分値は0であるようにしてもよい。
【0027】
また、上記の目的を達成するため、第11の発明は、光情報記録媒体の再生用参照光が照射される情報記録層のXY平面には、シンクビットが第1のリサンプリング処理手段でリサンプリング処理したシンクビット列の方向と直交する方向にも繰り返し配置されると共に、情報ビットが直交する方向にシンクビットに挟まれるように配置されており、
第1のリサンプリング処理手段でリサンプリング処理したシンクビット列の方向と直交する方向の第2のシンクビット列に対して、ディジタル位相同期ループ回路を用いてリサンプリング演算を行い、第2のシンクビット列の周波数・位相を補正する第3のリサンプリング処理手段と、第3のリサンプリング処理手段によりリサンプリング演算される第2のシンクビット列の周囲の1以上のX方向(もしくはY方向)の情報ビットからなる隣接情報データに対して、第3のリサンプリング処理手段から出力される第2のシンクビット列に同期させてリサンプリング処理を行う第4のリサンプリング処理手段とを、第3又は第4の発明に更に付加したことを特徴とする。この発明では、シンクビットの周波数・位相の補正をX方向とY方向の両方でできる。
【0028】
また、上記の目的を達成するため、第12の発明の光情報再生装置は、第1のリサンプリング処理手段でリサンプリング処理したシンクビット列の方向と直交する方向に検出した情報ビットに対して、ディジタル位相同期ループ回路を用いてリサンプリング同期処理する第5のリサンプリング処理手段と、第5のリサンプリング処理手段によりリサンプリング同期処理される情報ビットと共に検出手段により検出した情報ビットの周囲の1以上のX方向(もしくはY方向)の情報ビットからなる隣接情報データに対して、リサンプリング処理する第6のリサンプリング処理手段とを、第5、第6、第7の発明のいずれかに更に付加したことを特徴とする。この発明では、シンクビットの周囲の隣接情報データはこのシンクビットの並びから得られる情報に基づき、有効データをリサンプリングすることにより、安定してエラーレートを確保できる。
【0029】
また、上記の目的を達成するため、第13の発明の光情報再生装置は、第12の発明において第5のリサンプリング処理手段によりリサンプリング処理されたリサンプリング後情報データに対して、符号間干渉の影響を取り除くための波形等化処理を行う波形等化処理手段を有することを特徴とする。
【0030】
また、上記の目的を達成するため、第14の発明は、光情報記録媒体の前記再生用参照光が照射される前記情報記録層のXY平面には、X方向(もしくはY方向)の最小反転間隔が2以上であるシンクビットが、Y方向(もしくはX方向)に並行に配置されると共に、X方向(もしくはY方向)に繰り返し配置され、かつ、情報ビットがシンクビットの間に挟まれるように配置されており、再生用参照光が照射されることによって情報記録層で発生される再生光を収集し、検出する検出手段と、検出手段でX方向又はY方向に検出したシンクビットのDC成分を検出し、そのDC成分を一定に制御するDC制御を行う第1のDC制御手段と、検出手段でX方向又はY方向に検出したシンクビットの周囲の1以上のX方向又はY方向の情報ビットからなる隣接情報データに対して、第1のDC制御手段で得られたDC制御情報に基づいてDC制御を行う第2のDC制御手段とを有することを特徴とする。
【0031】
また、第15の発明は、上記の目的を達成するため、X方向又はY方向に対して直交する方向に検出したシンクビットのDC成分を検出し、そのDC成分を一定に制御するDC制御を行う第3のDC制御手段と、検出手段でX方向又はY方向に対して直交する方向に検出したシンクビットの周囲の1以上の前記情報ビットからなる隣接情報データに対して、第3のDC制御手段で得られたDC制御情報に基づいてDC制御を行う第4のDC制御手段を更に有することを特徴とする。
【0032】
また、第16の発明は第14の発明のDC制御に替えてレベルを一定に制御する利得制御を行うことを特徴とする。更に、第17の発明は、第16の発明の利得制御がX方向又はY方向に対して検出されたシンクビットや隣接情報データに対して利得制御を行っていたのに対し、X方向又はY方向に直交する方向に検出されたシンクビットや隣接情報データに対して利得制御を行う。
【0033】
第14乃至第17の発明では、光情報記録媒体から再生したシンクビット及び情報ビットがDC制御あるいは利得制御されるため、安定したシンクビットからDC情報や利得情報を抽出することができる。
【0034】
また、上記の目的を達成するため、第18の発明は、第1のDC制御手段及び第3のDC制御手段の少なくとも一方でDC制御されたシンクビットに対して、ディジタル位相同期ループ回路を用いてリサンプリング演算を行い、X方向又はY方向のシンクビットの周波数・位相を補正する第1のリサンプリング処理手段と、第2のDC制御手段及び第4のDC制御手段の少なくとも一方でDC制御された隣接情報データに対して、第1のリサンプリング処理手段から出力されるシンクビットに同期させてリサンプリング処理を行う第2のリサンプリング処理手段とを第15の発明に更に付加したことを特徴とする。
【0035】
また、第19の発明は、上記の目的を達成するため、第1の利得制御手段及び第3の利得制御手段の少なくとも一方で利得制御されたシンクビットに対して、ディジタル位相同期ループ回路を用いてリサンプリング演算を行い、X方向又はY方向のシンクビットの周波数・位相を補正する第1のリサンプリング処理手段と、第2の利得制御手段及び第4の利得制御手段の少なくとも一方で利得制御された隣接情報データに対して、第1のリサンプリング処理手段から出力されるシンクビットに同期させてリサンプリング処理を行う第2のリサンプリング処理手段とを第17の発明に更に付加したことを特徴とする。
【0036】
また、上記の目的を達成するため、第20の発明の光情報再生装置は、第9の発明において第6のリサンプリング処理手段によりリサンプリング処理されたリサンプリング後隣接情報データを用いて擬似クロストーク信号を生成する擬似クロストーク信号生成手段と、波形等化処理手段により波形等化処理された情報データに対して、生成された擬似クロストーク信号をキャンセルするクロストークキャンセル処理手段とを有することを特徴とする。本発明では、複数次元のクロストークキャンセルを行うことにより、より一層エラーレートを改善できる。
【0037】
ここで、上記の波形等化処理手段は、クロストークキャンセル処理手段により擬似クロストーク信号がキャンセルされた波形等化後情報データに対して、信号のゼロクロスを示す情報の少なくとも3つの並びと、情報データに付与されているパーシャルレスポンス特性から定まる状態遷移とを用いて仮判別する仮判別回路を有する構成でもよく、クロストークキャンセル処理手段により擬似クロストーク信号がキャンセルされた波形等化後情報データに対して、信号のピーク及びボトムを示す情報の少なくとも3つの並びと、情報データに付与されているパーシャルレスポンス特性から定まる状態遷移とを用いて仮判別する仮判別回路を有する構成でもよい。
【0038】
また、本発明における情報ビットは、LDPC変調(又はターボ符号化)された信号、もしくはLDPC変調(又はターボ符号化)された信号を並び替えた信号や、LDPC変調(又はターボ符号化)された信号をランレングス変調した信号、もしくはLDPC変調(又はターボ符号化)された信号を並び替えた信号をランレングス変調した信号、あるいは、ランレングス変調した信号にLDPC変調(又はターボ符号化)を施した後、パリティ部にのみランレングス変調を施した信号であることを特徴とする。
【0039】
また、本発明は、ホログラフィを利用して情報を記録した情報記録層を備えた光情報記録媒体に対して再生用参照光を照射し、その再生用参照光が照射されることによって発生される再生光を検出して情報を再生する、第7乃至第22の発明のうちいずれか一の発明の光情報再生装置を、コンピュータにより実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0040】
本発明によれば、ホログラフィを利用して情報を記録した情報記録層を備えた光情報記録媒体には、情報ビットのほかにX方向(又はY方向)に、少なくとも最小反転間隔が2以上の同期ビットを、Y方向(又はX方向)に並行に配置することにより、リサンプリング処理によりシンクビットと情報ビットを同期させて再生することにより、光情報記録媒体の厚みムラ、面ブレ、偏心などに起因する再生データの回転、湾曲、歪みが生じても、正確に有効ビットの周波数・位相を検出することができ、また、本発明によれば、シンクビットをY方向(又はX方向)にも連続パターンとして配置するようにしたため、完全にページの回転、湾曲、歪みを補正できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
次に、本発明の実施の形態について図面と共に説明する。図1は本発明になる光情報再生装置の一実施の形態の構成図、図2は図1中のピックアップ装置の一例の構成図を示す。本実施の形態に係る光情報再生装置の構成について図1と共に説明するに、本実施の形態の光情報再生装置10は、光情報記録媒体(ここでは光ディスク)1が取り付けられるスピンドル21と、このスピンドル21を回転させるスピンドルモータ22と、光情報記録媒体1に対して再生用参照光を照射し、再生光を検出して、光情報記録媒体1に記録されている情報を再生するためのピックアップ装置23と、このピックアップ装置23を光情報記録媒体1の半径方向に移動可能とする駆動装置24とを備えている。
【0042】
また、光情報再生装置10は、ピックアップ装置23の出力信号よりフォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TE及び再生信号RFを検出するための検出回路25と、上記フォーカスエラー信号FEに基づいて、ピックアップ装置23内の対物レンズを光情報記録媒体1の厚み方向に移動させて光情報記録媒体1上の光ビームの焦点を制御するフォーカスサーボと、上記トラッキングエラー信号TEに基づいてピックアップ装置23内の対物レンズを移動制御して光情報記録媒体1上の光ビーム照射位置を光情報記録媒体1上のトラックに追従走査させるトラッキングサーボとを行うフォーカス/トラッキングサーボ回路26と、本実施の形態の要部を構成する信号処理回路27と、光情報再生装置10全体の制御を行うコントローラ28と、コントローラ28に対して種々の指示を与える操作部29とより構成されている。
【0043】
なお、図示は省略したが、トラッキングエラー信号TE及びコントローラ28からの指令に基づいて駆動装置24を制御してピックアップ装置23を光情報記録媒体1の半径方向に移動させるスライドサーボを行うスライドサーボ回路や、コントローラ28からの指令に基づいてスピンドルモータ22の回転を制御するスピンドルサーボ回路も設けられている。
【0044】
コントローラ28は、信号処理回路27より出力される基本クロックやアドレス情報を入力として受け、ピックアップ装置23や各種サーボ回路の動作を制御する。コントローラ28は、CPU(中央処理装置)、ROM(リード・オンリ・メモリ)及びRAM(ランダム・アクセス・メモリ)を有し、CPUがRAMを作業領域として、ROMに格納されたプログラムを実行することによって、コントローラ28の機能を実現する。
【0045】
また、信号処理回路27は、本実施の形態の要部をなす回路で、ピックアップ装置23内の後述するCMOSセンサ又はCCDアレイの出力データをデコードして、光情報記録媒体1のデータエリアに記録されたデータを後述するフローチャートに従って再生したり、検出回路25からの再生RF信号より基本クロックを再生したりアドレスを判別する。
【0046】
次に、光情報記録媒体1の構成とピックアップ装置23の構成について図2と共に更に詳細に説明する。図2において、光情報記録媒体1は、円盤状の透明基板2の一面に、ボリュームホログラフィを利用して情報が記録される情報記録層としてのホログラム記録層3と、保護層の機能を有する透明基板4と、アルミニウム製の反射膜5とが、この順番で積層された光ディスクの構成とされている。透明基板4は、例えば、インジェクションで作成されたアドレス付基板であり、アドレス・サーボエリアが所定の角度間隔で設けられ、隣り合うアドレス・サーボエリア間の区間がデータエリアになっている。なお、ホログラム記録層3は、光が照射されたときに光の強度に応じて屈折率、誘電率、反射率等の光学的特性が変化する公知のホログラム材料によって形成されている。
【0047】
一方、ピックアップ装置23は、光情報記録媒体1の透明基板2側に対向する対物レンズ12と、対物レンズ12の光情報記録媒体1の反対側に配設された1/4波長板13、ミラー14が配置されおり、また、レーザダイオード等の光源15、コリメータレンズ16、デフォーカス用凸レンズ17、偏光ビームスプリッタ(PBS)18及び光検出器20を有する構成とされている。
【0048】
光源15から出射した光は、コリメータレンズ16で平行光とされ、デフォーカス用凸レンズ17によって平行光を対物レンズ12に発散して入射する再生用参照光に生成されてPBS18に入射し、その偏光分離面18aを透過してミラー14に入射し、更に1/4波長板13によりP偏光の光が円偏光とされ、対物レンズ12により光情報記録媒体1に再生用参照光として照射される。この再生用参照光は光情報記録媒体1に今回再生すべき情報を記録する際に用いられた記録用参照光と同じものである。なお、対物レンズ12は、図示しないアクチュエータにより光情報記録媒体1の厚み方向及び半径方向に移動可能とされている。
【0049】
光情報記録媒体1からの戻り光(再生光)は、対物レンズ12を透過し、1/4波長板13により円偏光からS偏光の光とされた後、ミラー14で反射されてPBS18に入射し、PBS18の偏光分離面18aで反射されて再生光検出手段であるCCDまたはCMOSセンサからなる光検出器20で受光される。
【0050】
次に、本実施の形態の特徴であるページの記録パターンフォーマットについて、図3を用いて説明する。同図に示すページは、前記対物レンズ12により収束されて光情報記録媒体1上に形成される再生用参照光の一つのビームスポットの領域内における光情報記録媒体1の記録ページの一部であり、その記録パターンフォーマットは、SYNC部分とDATA部分に分かれており、SYNC部分は、図中、横方向であるX方向(この図ではX方向だが、全体を回転させて、Y方向でも構わない。)に少なくとも最小反転間隔が2以上のシンクビット(図の場合は3ビットのSYNCデータ)が、並行に配置されており、図中、縦方向のY方向に着目すると、一定周期で反転が繰り返されるような信号となっている(すなわち、Y方向にSYNCビットが連続して繰り返し配置されている。)。また、X方向に隣接する2つのSYNC部分の間に挟まれたDATA部分には情報データ(情報ビット)が配置されている。
【0051】
SYNC部分の構成は、様々なパターン、例えば、X方向毎にアドレスを入れたり、Y方向の周期も、図3では1ビット毎の繰り返しとなるが、2ビット以上の繰り返し、もしくはデューティを変えたもの、もしくは変調したものなどがあるが、後述するように本実施の形態の目的でもある、Y方向の周波数・位相をビット単位で特定することができれば、いずれのパターンでも構わない。
【0052】
このような記録パターンで記録された信号が光情報記録媒体1に記録された後、再生されると、図2の光検出器20には、光情報記録媒体1の厚みムラや、面ブレ、偏心などにより生じた収差がデータの回転や湾曲、歪みとなって生じる。そこで、本実施の形態では、図1の信号処理回路27が、図5に示すフローチャートに従って、上記の収差を現実的な処理時間、及び回路で補正する。
【0053】
まず、図1の信号処理回路27は、図2の光検出器20で取り込んだデータに対して、図4に矢印A、B、Cで示す順番で、SYNCデータとその周辺の情報データをY方向に順次に読み出す(図5のステップS1)。なお、図4中、斜線の部分は矢印Aで示すY方向に読み出しているときの、SYNCデータとその周辺の情報データを示す。
【0054】
続いて、信号処理回路27は、読み出したSYNCデータを利用してY方向の周波数・位相補正を実現すると共に、SYNCデータの周囲の情報データもリサンプリング演算してデータを再生成する(図5のステップS2)。上記のY方向の周波数・位相補正の実現には、リサンプリングDPLL(Digital Phase Locked Loop)を利用する。リサンプリングDPLLとは、自分自身のブロックの中でループが完結しているディジタルPLL(位相同期ループ)回路で、入力信号に対し所望のビットレートでサンプリングしたディジタルデータをリサンプリング(間引き補間)演算して生成する。つまり、データの収縮に追従し、データを再生成する。また、リサンプリングDPLLは、ビットサンプリングのためのビットクロックBCLKを生成する。
【0055】
信号処理回路27内にあるリサンプリングDPLL(図7に40で示す)は、例えば図6のブロック図に示す如く、補間器41、位相検出器42、ループフィルタ43及びタイミング発生器44からなる一巡のループ構成とされている。同図において、補間器41は、SYNCデータの中央に相当するビットのY方向の並びを入力ディジタル信号として受けると共に、後述のタイミング発生器44からの信号を入力信号として受け、タイミング発生器44から入力されるデータ点位相情報とビットクロックから位相点データのデータ値を補間により推定して出力する。この補間器41の出力データ値は位相検出器42に供給される。
【0056】
位相検出器42は、リサンプリングデータを生成し、出力する。更に、位相検出器42は入力データ値、つまり位相0°のサンプリングデータからゼロクロス点を検出し、ゼロクロス点でのデータ値を利用して位相誤差として出力する。例えば、1ビット前のデータDt-1と現時点でのデータDtとからゼロクロス点を検出し、Dt-1の極性に(Dt-1+Dt)/2を乗ずることにより、位相誤差が得られる。従来は位相検出器42からは位相誤差のみを出力するようにしているが、この例では、位相検出器42からゼロクロス点を示す0ポイント情報も出力するようにしている。この0ポイント情報は、リサンプリングDPLLがロックすべきゼロクロス点に相当する、位相180°のサンプルポイントが存在するタイミングを示す。
【0057】
位相検出器42の出力位相誤差信号は、ループフィルタ43で積分された後、タイミング発生器44に供給され、ここでループフィルタ43の出力の次のデータ点位相の推定が行われ、このデータ点位相情報と、同じく生成されたビットクロックが補間器41に供給される。このように、リサンプリングDPLL40によりSYNCデータ(Y方向)を使用して周囲の情報データ(Y方向)の周波数・位相を制御することができる。
【0058】
また、ステップS2では、信号処理回路27内のリサンプリングDPLL40がリサンプリング演算するための内分する割合を示すパラメータT_ratioを利用し、それらを用いて、SYNCパターンの周囲のデータ(図4の斜線の部分)を同様にリサンプリング演算して、データを再生成する。このステップS2での信号処理回路27による具体的構成例を図7に示す。
【0059】
図7において、Y方向のSYNCデータが信号処理回路27内の図6に示した構成のリサンプリングDPLL40に供給される一方、上記のY方向のSYNCデータに対して一方の側のY方向の情報データ(図4の斜線部分のデータSD1)が、信号処理回路27内の複数のリサンプリング回路51に別々に入力される一方、Y方向のSYNCデータに対して他方の側のY方向の情報データ(図4の斜線部分のデータSD2)が複数のリサンプリング回路52に別々に入力される。また、リサンプリングDPLL40から出力されたパラメータT_ratioが、複数のリサンプリング回路51及び52に共通に入力される。
【0060】
これにより、複数のリサンプリング回路51及び52からは、上記のパラメータT_ratioを用いて、SYNCパターンの周囲のデータSD1及びSD2がリサンプリング演算により再生成されたリサンプリング後情報データ(Y方向)が出力される。これを、それぞれのY方向のSYNCに対して繰り返すことにより、全てのデータに対して、データの回転や湾曲、歪みを補正できる。
【0061】
このとき、各SYNCに対しては、同時に並行処理を行ってもよいし、同じ回路にて順番に処理してもよい。図4では、周囲のリサンプリング演算するデータSD1、SD2をSYNCに対して両側の等しい面積に対して行っており、最も信頼できる位相を示すSYNCの情報を最大限に利用しているが、処理としては、片側だけや、左右非対称の方が都合がよい場合もある。それはシステムに応じて、決定すればよく、本願の目的と効果は同じである。
【0062】
また、少なくとも最小反転間隔が2以上のシンクビットSYNCを、並行に配置した理由は、ページ内のデータの回転や湾曲、歪みが生じても、Y方向の周波数・位相の情報が得られるデータを失わないためである。特に、信号処理の最初の段階で、確実にY方向処理で周波数・位相ずれの情報を抽出することが、後段全ての信号処理にとって、最も重要となる。
【0063】
上記のステップS2の処理が終了すると、信号処理回路27は再生成されたY方向のリサンプリング後情報データを、一旦、内部のRAMなどのメモリに蓄積し(図5のステップS3)、次の処理として必要なX方向のデータが揃った時点で、次にX方向のデータ再生に移るため、RAMなどのメモリより、X方向のデータを順次読み出す(図5のステップS4)。
【0064】
X方向も伸縮したデータとなっているので、Y方向のデータと同様に、読み出したX方向のSYNCデータに対してリサンプリングDPLLを施して再生すると共に、X方向のSYNCデータの周囲の情報データもリサンプリング演算してデータを再生成する(図5のステップS5)。
【0065】
続いて、信号処理回路27は等化処理を行って、X方向の符号間干渉の影響を取り除く(図5のステップS6)。X方向の等化処理には、トランスバーサルフィルタを用いて、公知のLMS法によって行うことができるが、さらに、Y方向の符号間干渉の影響も取り除くため、2次元の等化処理を行うとより効果的である。また、上記のステップS6では、2次元の等化処理により、隣接した1以上のデータ列の情報を用いて擬似クロストークを生成して、クロストークをキャンセルするクロストークキャンセル処理を行う。
【0066】
このようにして、上記のステップS6の処理が終了すると、信号処理回路27は再生成されたX方向のリサンプリング後情報データを、内部のRAMなどのメモリに蓄積する(図5のステップS7)。
【0067】
次に、上記のステップS5及びS6の処理について更に詳細に説明する。ステップS5によるリサンプリングDPLL及び隣接情報データのリサンプリング演算は、信号処理回路27内の図8に示す回路により実行され、ステップS6の等化処理及びクロストークキャンセル処理は信号処理回路27内の図9に示す回路により実行される。なお、図8の回路部分は図9に含まれ、同一構成部分には同一符号を付してある。また、図8ではSYNCパターンに隣接する一方の側の隣接情報データは3以上の複数としているが、図9では一例として、図示の便宜上、一方の側の隣接情報データは1つ(両側の隣接情報データが計2つ)としているが、隣接情報データに1対1に対応してリサンプリング回路61、62等が設けられることは勿論である。
【0068】
図8及び図9において、SYNCデータ及び情報データ(X方向)は、信号処理回路27内のリサンプリングDPLL45に供給される一方、上記のX方向のSYNCデータに対して一方の側のX方向の隣接情報データが、信号処理回路27内の複数のリサンプリング回路61に別々に入力される一方、X方向のSYNCデータに対して他方の側のX方向の隣接情報データが複数のリサンプリング回路52に別々に入力される。図9のトランスバーサルフィルタ63には図13に矢印で示すX方向に走査された領域の情報データが入力され、トランスバーサルフィルタ64には、図13の矢印の上側に斜線で示した隣接するX方向の隣接情報データが、また、トランスバーサルフィルタ65には、図13の矢印の下側に斜線で示した隣接するX方向の隣接情報データが入力される。
【0069】
リンサンプリングDPLL45は、前記のリサンプリングDPLL40と同様の図6に示す構成であり、自分自身のブロック中でループが完結しているディジタルPLL(位相同期ループ)回路で、入力信号に対し所望のビットレートでリサンプリング(間引き補間)演算して生成し、図9のトランスバーサルフィルタ63に供給する。更に、リサンプリングDPLL45は、ビットサンプリングのためのビットクロックBCLKを生成すると共に、リサンプリング演算するための内分する割合を示すパラメータT_ratioを生成し、それらをリサンプリング回路61及び62にそれぞれ供給する。
【0070】
これにより、リサンプリング回路61及び62からは、隣接情報データがパラメータT_ratioが示す割合でビットクロックBCLKでリサンプリング演算により再生成されたリサンプリング後隣接情報データ(X方向)が出力される。ビットクロックBCLKは、歯抜けクロック(Punctured Clock)である。リサンプリング回路61及び62から出力されたリサンプリング後隣接情報データ(X方向)は、図9に示すトランスバーサルフィルタ64、65にそれぞれ供給される。
【0071】
前記トランスバーサルフィルタ63と上記のトランスバーサルフィルタ64及び65は、それぞれ乗算器・低域フィルタ(LPF)66、67、68よりフィルタ係数(タップ係数)が入力されてそれに応じた特性のフィルタリング処理を入力信号に対して行う。トランスバーサルフィルタ63は、乗算器・LPF66よりのタップ係数(フィルタ係数)に基づいて波形等化処理を行い、再生すべき所望のデータ列からの読取信号の前後の信号との符号間干渉の影響を低減する。このトランスバーサルフィルタ63の出力波形等化後読取信号は、後述の減算器69及び70を通して仮判別回路71に供給される。
【0072】
仮判別回路71では、暫定的に入力信号を判別し、理想的な値(目標となる値)を出力する。この仮判別結果と仮判別回路71の入力信号(減算器70の出力信号)とが減算器72において減算され、その差分値がエラー信号としてインバータ73で極性を反転された後、減算器・LPF66に供給され、ここでトランスバーサルフィルタ63のタップ出力と乗算されて相関が検出され、LPFで積分される。
【0073】
乗算器・LPF66の出力積分値は、上記のエラー信号の値を0にする、トランスバーサルフィルタ63のフィルタ係数(タップ係数)としてトランスバーサルフィルタ63に入力される。上記のトランスバーサルフィルタ21、乗算器・LPF27、仮判別回路33、タップ遅延回路74、減算器34、インバータ35よりなるフィードバックループは、よく知られるLMSアルゴリズムを基本としている。
【0074】
一方、図9のリサンプリング回路61及び62よりそれぞれ取り出された信号は、トランスバーサルフィルタ64、65に入力される。このトランスバーサルフィルタ64、65にタップ係数(フィルタ係数)を供給する乗算器・LPF67、68は、前記減算器72から出力されるエラー信号が入力され、ここでトランスバーサルフィルタ64、65のタップ出力と乗算して隣接情報データの相関を抽出し、更にその相関値をLPFで積分してトランスバーサルフィルタ64、65に入力する。
【0075】
このようにして、トランスバーサルフィルタ64、65のタップ係数(フィルタ係数)は、隣接情報データの相関値に応じて更新され、トランスバーサルフィルタ64、65からは各隣接情報データからの読取信号に対応した擬似クロストーク信号が取り出される。これらのトランスバーサルフィルタ64、65の出力擬似クロストーク信号は、トランスバーサルフィルタ63からの波形等化後の再生すべき情報データの再生信号に、減算器69、70でそれぞれ減算される。
【0076】
これにより、減算器70からは、トランスバーサルフィルタ63からの波形等化後の再生すべき情報データ列の再生信号中のクロストークが相殺除去された、S/Nの良好な再生信号(X方向の等化後情報データ)が出力される。この実施の形態は、フィードバック処理であるため、安定な動作が実現できる。
【0077】
この実施の形態では、トランスバーサルフィルタ63を含む再生すべき情報データ列の再生信号の符号間干渉除去ブロックと、トランスバーサルフィルタ64及び65を含む隣接情報データ列からの再生信号に基づく擬似クロストーク生成ブロックには、いずれも同一のエラー信号を0にするべく各タップ係数(フィルタ係数)を制御しているので、制御の衝突は発生しない。
【0078】
なお、ステップS6の等化処理及びクロストークキャンセル処理は図9の回路に限定されるものではなく、パーシャルレスポンス等化を前提とした仮判別を行う方法もある。図10はパーシャルレスポンス等化を前提とした仮判別(収束目標設定)を行う等化処理及びクロストークキャンセル回路の他の例のブロック図を示す。同図中、図9と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0079】
図10において、リサンプリングDPLL45は、ゼロレベルを読取信号が横切ることを検出しており、それにより得られる0ポイント情報を後述のタップ遅延回路74に供給する。前記0ポイント情報は、ビットサンプリングのデータが、ゼロレベルとクロスするポイントをビットクロック単位で示している。仮判別回路75は、タップ遅延回路74よりの遅延信号と、パーシャルレスポンス(PR)の種類を示すPRモード信号と、光ディスクに記録されている信号のランレングス制限符号長(最小反転間隔や最大反転間隔)を示すRLLモード信号とが入力され、これらに基づいて仮判別結果を出力する。
【0080】
この仮判別結果と仮判別回路75の入力信号(減算器70の出力信号)とが減算器76において減算され、この差分値がエラー信号としてインバータ73で極性を反転された後、乗算器・LPF66に供給され、ここでトランスバーサルフィルタ63のタップ出力と乗算されて相関が検出され、LPFで積分される。乗算器・LPF66の出力積分値は、上記のエラー信号の値を0にする、トランスバーサルフィルタ63のフィルタ係数(タップ係数)としてトランスバーサルフィルタ63に入力される。
【0081】
上記のトランスバーサルフィルタ63、乗算器・LPF66、仮判別回路75、タップ遅延回路74、減算器76、インバータ73よりなるフィードバックループは、よく知られるLMSアルゴリズムを基本としているが、仮判別回路75は、パーシャルレスポンス等化を前提とした仮判別(収束目標設定)を行う回路であり、本発明者が開示した公知の回路である(例えば、特許第3395734号公報参照)。
【0082】
ここで、パーシャルレスポンス(PR)特性について更に説明するに、例えばPR(a,b,b,a)の特性を孤立波に付与して等化すると、その等化波形は(1,7)RLLの場合、よく知られているように、0,a,a+b,2a,2b,a+2b,2a+2bの7値をとる。この7値をビタビ復号器に入力すると、元のデータ(入力値)とPR等化後の再生信号(出力値)は、過去の信号の拘束を受け、これと(1,7)RLLによって入力信号の“1”は2回以上続かないことを利用すると、図12に示すような状態遷移図で表わすことができることが知られている。
【0083】
図12において、S0〜S5は直前の出力値により定まる状態を示す。この状態遷移図から例えば状態S2にあるときは、入力値が”a+2b”のとき出力値が”1”となって状態S3へ遷移し、入力値が”2b”のとき出力値が”1”となって状態S4へ遷移するが、それ以外の入力値は入力されないことが分かり、また、もし入力されればそれはエラーであることが分かる。
【0084】
ここで、図10のタップ遅延回路74に供給される上記の0ポイント情報の値Zが“1”であるときはゼロクロスポイントを示しており、これは、図12に示したPR(a,b,b,a)の状態遷移図では「a+b」という値で表されており、状態S1→S2又は状態S4→S5へ遷移する過程において発生する。この場合、図12中、右半分の状態S2、S3及びS4は正の値の経路(a+b=0に正規化した場合、a+2b、2a+2b、2bのいずれか)を辿り、左半分の状態S5、S0及びS1は負の値の経路(a+b=0に正規化した場合、0、a、2bのいずれか)を辿るため、ゼロクロスポイントの前又は後の値を参照することにより、正の経路なのか、負の経路なのかが判別できる。
【0085】
しかも、あるゼロクロスポイントから次のゼロクロスポイントまでの間隔が分かれば、つまり状態S2から状態S5に至るまで、又は状態S5から状態S2に至るまでの遷移数がわかれば、経路が確定し、取り得るべき値が各々のサンプル点に対して明確になる。
【0086】
また、上記の状態遷移図で「a+b」以外の値、すなわちゼロクロスポイントでないときは、上記の0ポイント情報の値Zは“0”である。この状態遷移図から、ゼロクロスポイント(Z=1)は2つ連続して取り出されることはなく、また、RLL(1,X)の場合は、隣接するZ=1の間には最低1つの“0”が存在する(0ポイント情報の値Zが1→0→1と変化したとき、すなわち、状態S1→S2→S4→S5、あるいは状態S4→S5→S1→S2と状態遷移したとき)。なお、RLL(2,X)の場合は、隣接するZ=1の間には最低2つの“0”が存在する。
【0087】
実際の信号では、ノイズ等の影響により、ゼロクロスポイント自体の検出を誤ることも十分に予想されるが、フィードバック制御の場合、正しい判定のできる確率が誤る確率を上回っていれば、正しい方向に収束していくはずであり、また、十分な積分処理のため、単発のノイズは実用上問題ない。
【0088】
以上の点に着目し、図10の仮判別回路75は、タップ遅延回路74からビットクロックの周期毎に入力される0ポイント情報の値Zを識別し、連続する5クロック周期の5つの値がオール“0”であるかどうか、上記の5つの値のうちの最初の値のみが“1”かどうか、上記の5つの値のうちの最後の値のみが“1”かどうか、上記の5つの値のうちの最初と最後の値が“1”で残りの3つの値は“0”かどうかを判別する。
【0089】
これらのパターンは、着目する0ポイント情報の値Zを“0”としたとき、両側の0ポイント情報の値Zがいずれも“0”である場合であり、このときは信号波形が正側、又は負側に張り付いている場合であるので、これらのパターンのいずれかを満たすときは、大なる値P1を算出する。
【0090】
上記のパターンのいずれでもないときは、連続する5クロック周期の5つの0ポイント情報の値Zが“01010”であるかどうか判別しこのパターンのときはRLLモード信号に基づき、RRL(1,X)のパーシャルレスポンス等化であるかどうか判定する。このパターンは、RLL(1,X)のときのみ発生する可能性があるので、RLL(1,X)であるときは小なる値P2を算出する。
【0091】
連続する5クロック周期の5つの0ポイント情報の値Zが“01010”でないときは、それら5つの0ポイント情報の値Zが“01001”、“10010”、“00010”及び“01000”のうちのいずれかのパターンであるかどうか判別する。これら4つのパターンは、着目する0ポイント情報の値Zを“0”としたとき、両側に隣接する0ポイント情報の値Zの一方が“1”である場合である。4つのパターンのどれかであるとき、あるいは“01010”であり、かつ、RLLモードが(1,X)でないと判定されたときは、P1及びP2の中間レベルの値P3が算出される。
【0092】
値P1、P2又はP3を算出すると、仮判別回路75に入力される現在時刻の波形等化信号が0以上であるときは最終仮判別レベルQをそのときのP1、P2又はP3の値とし、負であるときは最終仮判定レベルQをそのときのP1、P2又はP3の値と極性を反転する。また、上記のいずれでもないときは、最終仮判定レベルQを0とする。
【0093】
このように、仮判別回路75は、パーシャルレスポンス等化の種類を示すPRモード信号と、再生信号のランレングス制限符号の種類を示すRLLモード信号と、タップ遅延回路74からの複数のゼロポイント情報と、減算器70の出力波形等化後再生信号とを入力として受け、PRモード信号とRLLモード信号で定まる状態遷移と、複数のゼロポイント情報のパターンとに基づき、波形等化信号の仮判別レベルQを算出する。この仮判定レベルQは目標値として図10の減算器76に供給され,実際の信号である波形等化後再生信号との差がとられてエラー信号とされる。
【0094】
なお、パーシャルレスポンス等化に対応した2次的効果として、すべてのサンプリングポイントの情報からエラー信号を抽出できるということがある。クロストーク成分がはっきり識別できるのは、所望データ列の再生信号が平坦のとき(反転間隔が大きい状態)であり、従来はこのレベルが確定できないため、ゼロクロスポイントのみでクロストーク成分の相関をとっていた。
【0095】
これに対し、この実施の形態では、値が0又は2a+2bというような明確な値に向かって収束するため、この値からの誤差をエラー信号としてクロストーク成分との相関をとるようにしているため、正確、かつ、迅速な収束が可能である。他の値(a,2a,a+2b,2b等)の場合も同じである。よって、仮に信号の平均反転間隔を5T(Tはビット周期)とすると、収束は5倍以上速くなることが容易に想像でき、かつ、誤った方向への収束もしなくなる。
【0096】
また、リサンプリングDPLL45を用いる場合、CCDを用いた図2の光検出器20で検出された信号はビットクロックに同期しておらず、それは隣接情報データ列信号についても同様である。一定の位相ずれは擬似クロストーク発生器でも吸収できる(トランスバーサルフィルタ64、65自体もリサンプリング演算器と見ることができる。)が、周波数がずれている場合などでは、サンプリング時間間隔が一定にならないため、従来の擬似クロストーク発生器では対応できない。
【0097】
一方、この実施の形態では、リサンプリングDPLL45により生成した、リサンプリング演算時の内分割合T_ratio及びビットクロックBCLKを利用し、リサンプリング回路61、62で隣接情報データからのリサンプリング演算を行うようにしている。
【0098】
次に、図5のステップS6の等化処理及びクロストークキャンセル処理を、パーシャルレスポンス等化を前提とした仮判別を利用した他の方法について説明する。図11はパーシャルレスポンス等化を前提とした仮判別(収束目標設定)を行う等化処理及びクロストークキャンセル回路の更に他の例のブロック図を示す。同図中、図10と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0099】
この実施の形態では、図10の実施の形態のリサンプリングDPLL45の替わりに、電圧制御発振器(VCO)81を用いた点に特徴がある。図11において、減算器70から出力された等化後情報データ(X方向)は、仮判別回路77、減算器78に供給される一方、ゼロクロス検出・位相比較器79に供給され、ここでゼロクロスが検出され、その検出ゼロクロス点とVCO81からのビットクロックと位相比較される。
【0100】
ゼロクロス検出・位相比較器79から出力された位相誤差信号は、ループフィルタ80を通してVCO81に供給され、その出力信号を上記の位相誤差が所定値になるように可変制御する。VCO81からは上記のビットクロックを含むシステムクロックが出力される。この実施の形態は、記録したビット情報に対して、図2の光検出器20を構成するCCDの撮像ピクセルの解像度が大きい場合に利用可能である。
【0101】
以上述べたクロストークキャンセル処理の実施の形態では、積分系であるPR(1,2,2,1)を例として、信号のゼロクロス示す情報の少なくとも3つの並びと、記録信号のランレングス制限とパーシャルレスポンス特性から定まる状態遷移を用いて、仮判別する方法を示しているが、その他のパーシャルレスポンス特性PR(1,1)などでもよいことは勿論である。また、PR(1,−1)やPR(1,0,−1)、PR(1,2,−2,−1)などの微分系に対しても、ゼロクロスの情報の替わりに、ピーク及びボトムの情報を利用することで対応可能である。つまり、前記2次元等化もしくはクロストークキャンセル処理は、信号のピーク及びボトムを示す情報の少なくとも3つの並びと、記録信号のランレングス制限とパーシャルレスポンス特性から定まる状態遷移を用いて、仮判別することを特徴とする方法が可能であり、効果は積分系と同じである。
【0102】
以上述べたクロストークキャンセル処理の実施の形態では、同じページ内の処理であったが、隣接したページとの間のクロストークキャンセル処理を行ってもよいことは勿論である。その場合は、隣接情報データ列として、ページ方向のデータ列を入力すればよい。
【0103】
また、SYNC間に挟まれる形となる情報データは、ベースバンド信号でもよいし、変調されたものでもよい。当然、CD、DVD、BD(ブルーレイディスク)等の光情報記録媒体で使用されているランレングス制限された信号でもよく、この場合は、前述のように、等化処理の仮判別に、本発明者が開示した前記方式の適用が効果的である。
【0104】
次に、光情報記録媒体1の厚みムラや、面ブレ、偏心などに起因して生じるデータの回転、湾曲、歪みを補正する図1の信号処理回路27の他の実施の形態の動作について、図15に示すフローチャートと共に説明する。同図中、図5と同一処理ステップには同一符号を付し、その説明を省略する。
【0105】
図15において、ステップS1、S2において、Y方向のSYNCパターンを利用してY方向の周波数・位相補正を行い、その補正結果のSYNCデータ及び情報データを図1の信号処理回路27内のRAMなどのメモリに格納する(図15のステップS3)。続いて、信号処理回路27は、上記のメモリからSYNCデータ及びその周辺の情報データをX方向に読み出す(図15のステップS11)。
【0106】
図14は上記のステップS11において読み出されるX方向のSYNCデータ及びその周辺の情報データのデータパターンの一例を示す。同図中、矢印で示すX方向のSYNCデータと、その周辺の斜線で示すX方向の周辺の情報データのうち、X方向のSYNCデータが図8に示したリサンプリングDPLL45に供給され、周辺の情報データがリサンプリング回路61、62に供給される。なお、図14では黒の矩形で示す3ビットのY方向に隣接するSYNCデータの間が7行あり、2で割り切れないため、SYNCデータの上側の周辺の4行の情報データがリサンプリング回路61に入力され、下側の周辺の3行の情報データがリサンプリング回路62に入力される。
【0107】
リサンプリングDPLL45からはX方向のSYNCデータに応じてSYNCデータのX方向の周波数・位相補正されたSYNCデータが出力されると共に、パラメータT_ratioが出力されて、複数のリサンプリング回路61及び62に共通に入力される。これにより、複数のリサンプリング回路61及び62からは、上記のパラメータT_ratioを用いて、SYNCパターンの周囲の情報データがSYNCパターンに同期してリサンプリング演算により再生成されたリサンプリング後情報データ(X方向)が出力される(図15のステップS12)。これを、それぞれのX方向のSYNCに対して繰り返すことにより、全てのデータに対して、データの回転や湾曲、歪みを補正できる。
【0108】
このようにして、データの回転、湾曲、歪みが補正されたSYNCデータ及び情報データが信号処理回路27内のRAMなどのメモリに格納される(図15のステップS13)。その後、前述したステップS4〜S7の処理が行われる。
【0109】
この実施の形態では、図5の実施の形態に比較すると、処理に時間がかかるが、SYNCデータがX方向とY方向の両方について歪みが完全に除去されるので、後の情報データに対する処理(必要に応じてクロストークキャンセル処理含む)の効果アップが期待される。
【0110】
更に、図14のパターンの特徴としては、SYNCのX方向の並びにおいて、シンクビットの反転間隔と、隣接するシンクビット間隔とが等しいことが挙げられる。固定反転間隔の繰り返し(図14の場合は3Tの繰り返し)となっており、再生信号が連続波となるため、PLLが最も安定してロックする。その他のPLLにとって有利なパターンとしては、前記シンクビットのX方向(もしくはY方向)の並びを、同一パターンの繰り返しとした場合であり、かつ、同一パターンの積分値は0である場合であり、例えば、(3T3T2T2T5T5T)の繰り返しなどが挙げられる。
【0111】
また、DC変動が少ないので、PLLが安定してかかり、かつ、PRMLを使用した場合も、比較的多くの目標値に相当するサンプリングポイントが得られるので、適応等化やクロストークキャンセルも正しく収束することが可能となる。このパターンの例を図23に示す。
【0112】
更に、SYNCを最大反転間隔(この場合は、5T)に設定すると、図24のようになる。この場合は、反転間隔の最大を見付けることで、SYNCを簡易的に見付けることができるというメリットがある。
【0113】
次に、信号処理回路27内のY方向のSYNCパターンを利用した周波数・位相補正とリサンプリング演算回路の他の例について説明する。図16は上記のY方向のSYNCパターンを利用した周波数・位相補正とリサンプリング演算回路の他の例のブロック図を示す。図16において、図4に示したようなY方向で読み出されるSYNCデータは、DC検出・DC制御回路85に供給され、ここでそのDC成分が検出され、検出されたDC成分が一定となるようなDC制御が行われた後、そのDC制御後のSYNCデータが出力される一方、DC制御情報が各々複数のDC制御回路86、87にそれぞれ共通に入力される。
【0114】
Y方向のSYNCデータの周辺の情報データのうち、Y方向のSYNCデータパターンの一方の側(例えば図4では左側)の複数列の情報データが各列毎に対応するDC制御回路86に供給され、Y方向のSYNCデータパターンの他方の側(例えば図4では右側)の複数列の情報データが各列毎に対応するDC制御回路87に供給される。
【0115】
複数のDC制御回路86及び87は、DC検出・DC制御回路85からのDC制御情報に基づいて、入力情報データ(Y方向)をDC制御する。これにより、Y方向のSYNCデータ及びその周辺のY方向の情報データは共通のDC制御が行われてDC成分がSYNCデータに揃えられて出力される。DC検出・DC制御回路85の出力DC制御後SYNCデータと、DC制御回路86及び87の各DC制御後情報データとは、例えば図7のリサンプリングDPLL40やリサンプリング回路51、52に出力される。
【0116】
図17は上記のY方向のSYNCパターンを利用した周波数・位相補正とリサンプリング演算回路の更に他の例のブロック図を示す。図17において、図4に示したようなY方向で読み出されるSYNCデータは、レベル検出・利得制御回路88に供給され、ここでそのレベルが検出され、検出されたレベルが一定となるような利得制御が行われた後、その利得制御後のSYNCデータが出力される一方、利得情報が利得制御回路89、90にそれぞれ共通に入力される。
【0117】
Y方向のSYNCデータの周辺の情報データのうち、Y方向のSYNCデータパターンの一方の側(例えば図4では左側)の複数列の情報データが各列毎に対応する利得制御回路89に供給され、Y方向のSYNCデータパターンの他方の側(例えば図4では右側)の複数列の情報データが各列毎に対応する利得制御回路90に供給される。
【0118】
複数の利得制御回路89及び90は、レベル検出・利得制御回路88からの利得情報に基づいて、入力情報データ(Y方向)を利得制御する。これにより、Y方向のSYNCデータ及びその周辺のY方向の情報データは共通の利得制御が行われて、レベルがSYNCデータのレベルに揃えられて出力される。レベル検出・利得制御回路88の出力利得制御後SYNCデータと、利得制御回路89及び90の各利得制御後情報データとは、例えば図7のリサンプリングDPLL40やリサンプリング回路51、52に出力される。
【0119】
図18はX方向のSYNCパターンを利用した周波数・位相補正とリサンプリング演算回路の他の例のブロック図を示す。図18において、図14に示したようなX方向で読み出されるSYNCデータは、DC検出・DC制御回路91に供給され、ここでそのDC成分が検出され、検出されたDC成分が一定となるようなDC制御が行われた後、そのDC制御後のSYNCデータが出力される一方、DC制御情報が各々複数のDC制御回路92、93にそれぞれ共通に入力される。
【0120】
X方向のSYNCデータの周辺の情報データのうち、X方向のSYNCデータパターンの一方の側(例えば図14では上側)の複数行の情報データが各行毎に対応するDC制御回路92に供給され、X方向のSYNCデータパターンの他方の側(例えば図14では下側)の複数行の情報データが各行毎に対応するDC制御回路93に供給される。
【0121】
複数のDC制御回路92及び93は、DC検出・DC制御回路91からのDC制御情報に基づいて、入力情報データ(X方向)をDC制御する。これにより、X方向のSYNCデータ及びその周辺のX方向の情報データは共通のDC制御が行われてDC成分がSYNCデータに揃えられて出力される。DC検出・DC制御回路91の出力DC制御後SYNCデータと、DC制御回路92及び93の各DC制御後情報データとは、例えば図8のリサンプリングDPLL45やリサンプリング回路61、62に出力される。
【0122】
図19は上記のX方向のSYNCパターンを利用した周波数・位相補正とリサンプリング演算回路の更に他の例のブロック図を示す。図19において、図14に示したようなX方向で読み出されるSYNCデータは、レベル検出・利得制御回路95に供給され、ここでそのレベルが検出され、検出されたレベルが一定となるような利得制御が行われた後、その利得制御後のSYNCデータが出力される一方、利得情報が各々複数の利得制御回路96、97にそれぞれ共通に入力される。
【0123】
X方向のSYNCデータの周辺の情報データのうち、X方向のSYNCデータパターンの一方の側(例えば図14では上側)の複数行の情報データが各行毎に対応する利得制御回路96に供給され、X方向のSYNCデータパターンの他方の側(例えば図14では下側)の複数行の情報データが各行毎に対応する利得制御回路97に供給される。
【0124】
複数の利得制御回路96及び97は、レベル検出・利得制御回路95からの利得情報に基づいて、入力情報データ(X方向)を利得制御する。これにより、X方向のSYNCデータ及びその周辺のX方向の情報データは共通の利得制御が行われてレベルがSYNCデータのレベルに揃えられて出力される。レベル検出・利得制御回路95の出力利得制御後SYNCデータと、利得制御回路96及び97の各利得制御後情報データとは、例えば図8のリサンプリングDPLL45やリサンプリング回路61、62に出力される。
【0125】
次に、信号処理回路27内の等化処理及びクロストークキャンセル処理回路の他の各例について説明する。図20は等化処理及びクロストークキャンセル処理回路の他の第1例のブロック図を示す。この例は、図9に示した回路に図18及び図19の回路を組み合わせた構成であり、図9、図18、図19と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0126】
図20において、レベル検出・利得制御回路95から利得制御されて出力されたX方向の情報データ(又はSYNCデータ)は、リサンプリングDPLL45に供給され、利得制御回路96、97からDC成分及びレベルが上記情報データ(又はSYNCデータ)のレベルと揃えられて出力された上記X方向の情報データ(又はSYNCデータ)の両側に隣接するX方向の隣接情報データが、リサンプリング回路61、62に供給される。これにより、安定したSYNCデータからDC情報及び利得情報が抽出されるので、安定した再生が期待でき、結果としてエラーレートが大幅に向上する。
【0127】
図21は等化処理及びクロストークキャンセル処理回路の他の第2例のブロック図を示す。この例は、図10に示した回路に図18及び図19の回路を組み合わせた構成であり、図10、図18、図19と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0128】
図21において、レベル検出・利得制御回路95から利得制御されて出力されたX方向の情報データ(又はSYNCデータ)は、リサンプリングDPLL45に供給され、利得制御回路96、97からDC成分及びレベルが上記情報データ(又はSYNCデータ)のレベルと揃えられて出力された上記X方向の情報データ(又はSYNCデータ)の両側に隣接するX方向の隣接情報データが、リサンプリング回路61、62と遅延回路98、99を介してトランスバーサルフィルタ64、65に供給される。これにより、安定したSYNCデータからDC情報及び利得情報が抽出されるので、安定した再生が期待でき、結果としてエラーレートが大幅に向上する。
【0129】
図22は等化処理及びクロストークキャンセル処理回路の他の第3例のブロック図を示す。この例は、図11に示した回路に図18及び図19の回路を組み合わせた構成であり、図11、図18、図19と同一構成部分には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0130】
図22において、レベル検出・利得制御回路95から利得制御されて出力されたX方向の情報データ(又はSYNCデータ)は、トランスバーサルフィルタ63に供給され、利得制御回路96、97からDC成分及びレベルが上記情報データ(又はSYNCデータ)のレベルと揃えられて出力された上記X方向の情報データ(又はSYNCデータ)の両側に隣接するX方向の隣接情報データが、トランスバーサルフィルタ64、65に供給される。これにより、安定したSYNCデータからDC情報及び利得情報が抽出されるので、安定した再生が期待でき、結果としてエラーレートが大幅に向上する。
【0131】
なお、上記の図20〜図22はX方向の情報データ(又はSYNCデータ)に対して適用したが、Y方向の情報データ(又はSYNCデータ)に対してのみ適用するようにしてもよいし、X方向とY方向の両方の情報データ(又はSYNCデータ)に適用するようにしてもよい。要は、X方向及びY方向の少なくとも一方向の情報データをクロストークキャンセルをする直前又はその前工程でページの歪みが抑制され、正しいビットをサンプルして処理でき、かつ、DCレベルや利得が正しくサンプリングされていればよい。
【0132】
以上、本発明の構成及び動作をその原理と実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されず、発明の本旨を逸脱しない範囲において、様々な変形が可能である。なお、本発明は光情報記録媒体として円盤状の光ディスクに適用が限定されるものではなく、カード状の光情報記録媒体を用いることもできる。
【0133】
また、本発明においては、SYNCの検出が重要であり、ページ間のクロストークにも配慮することが望ましい。よって、ページ間で、SYNCとSYNCが重なるように配置すると、クロストークの影響も受けにくくなる。また、パーシャルレスポンス等化とビタビ復号を組み合わせることにより(PRML)、よりエラーレートを低減することが可能となる。
【0134】
また、隣接する2つのSYNC間に挟まれる形となる情報データは、LDPC変調(又はターボ符号化)された信号、又はそれを並び替えた信号であることを特徴としてもよい。シャノン限界に近いので、効率が良く、かつ低S/Nでも低いエラーレートを実現することが可能である。また、情報ビットは、LDPC変調(又はターボ符号化)された信号、もしくはそれを並び替えた信号をランレングス変調した信号であってもよい。更に、ランレングス変調してから、LDPC変調(又はターボ符号化)により、パリティを生成し、パリティ部にのみランレングス変調を再度施すと、最も効率の良い信号が得られる。
【0135】
また、光学系、及びホログラフィ媒体を経由した再生信号は、上下の非対称性を有する可能性が高く、その場合には、等化後信号の状態、例えば、各目標値に対応したサンプル値の積分値等に応じて、ビタビ復号の目標値を可変することが望ましい。
【0136】
更に、以上の実施の形態における一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるが、ソフトウェアにより実行させることもでき、本発明は一連の処理をソフトウェアにより実行させるコンピュータプログラムも包含するものである。このコンピュータプログラムは、コンピュータ専用のハードウェアに組み込まれていてもよいし、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行させることが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどにプログラム格納媒体からインストールされたり、あるいは通信ネットワークなどを介して配信されてインストールされてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0137】
【図1】本発明になる光情報再生装置の一実施の形態の構成図である。
【図2】図1中のピックアップ装置の一例の構成図である。
【図3】2次元デジタルパターン(ページデータ)の一例を示す図である。
【図4】SYNCパターンとその周辺のデータをY方向に順次に読み出すときの一例のデータパターン図である。
【図5】図1中の信号処理回路の第1の実施の形態の動作説明用フローチャートである。
【図6】リサンプリングDPLLの一例のブロック図である。
【図7】図1中の信号処理回路内のY方向のデータの周波数・位相補正及びデータ再生成回路部の一例のブロック図である。
【図8】図1中の信号処理回路内のX方向のデータの再生成回路部の一例のブロック図である。
【図9】図1中の信号処理回路内の等化処理及びクロストークキャンセル処理回路の第1の例のブロック図である。
【図10】図1中の信号処理回路内の等化処理及びクロストークキャンセル処理回路の第2の例のブロック図である。
【図11】図1中の信号処理回路内の等化処理及びクロストークキャンセル処理回路の第3の例のブロック図である。
【図12】パーシャルレスポンス等化の一例の状態遷移図である。
【図13】SYNCパターンとその周辺のデータをX方向に順次に読み出すときの一例のデータパターン図である。
【図14】SYNCパターンとその周辺のデータをX方向に順次に読み出すときの他の例のデータパターン図である。
【図15】図1中の信号処理回路の第2の実施の形態の動作説明用フローチャートである。
【図16】Y方向のSYNCパターンを利用した周波数・位相補正とリサンプリング演算回路の他の例のブロック図である。
【図17】Y方向のSYNCパターンを利用した周波数・位相補正とリサンプリング演算回路の更に他の例のブロック図である。
【図18】X方向のSYNCパターンを利用した周波数・位相補正とリサンプリング演算回路の他の例のブロック図である。
【図19】X方向のSYNCパターンを利用した周波数・位相補正とリサンプリング演算回路の更に他の例のブロック図である。
【図20】等化処理及びクロストークキャンセル処理回路の他の第1例のブロック図である。
【図21】等化処理及びクロストークキャンセル処理回路の他の第2例のブロック図である。
【図22】等化処理及びクロストークキャンセル処理回路の他の第3例のブロック図である。
【図23】SYNCパターン等の他の例を示す図である。
【図24】SYNCパターン等の更に他の例を示す図である。
【符号の説明】
【0138】
1 光情報記録媒体
3 ホログラム記録層
10 光情報再生装置
12 対物レンズ
15 光源
20 光検出器
23 ピックアップ装置
25 検出回路
27 信号処理回路
40、45 リサンプリングDPLL
51、52、61、62 リサンプリング回路
63、64、65 トランスバーサルフィルタ
69、70、72、76、78 減算器
71、75、77 仮判別回路
74 タップ遅延回路
79 ゼロクロス検出・位相比較器
81 電圧制御発振器(VCO)
85、91 DC検出・DC制御回路
86、87、92、93 DC制御回路
88、95 レベル検出・利得制御回路
89、90、96、97 利得制御回路



【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホログラフィを利用して情報を記録した情報記録層を備えた光情報記録媒体に対して再生用参照光を照射し、その再生用参照光が照射されることによって発生される再生光を検出して情報を再生する光情報再生方法において、
前記光情報記録媒体の前記再生用参照光が照射される前記情報記録層のXY平面には、X方向(もしくはY方向)の最小反転間隔が2以上であるシンクビットが、Y方向(もしくはX方向)に並行に配置されると共に、情報ビットが前記シンクビットの間に挟まれるように配置されており、
前記再生用参照光が照射されることによって前記情報記録層で発生される前記再生光を収集し、検出する第1のステップと、
前記第1のステップでY方向(もしくはX方向)に検出した前記シンクビット列に対して、ディジタル位相同期ループ回路を用いてリサンプリング演算を行い、Y方向(もしくはX方向)の前記シンクビットの周波数・位相を補正する第2のステップと、
前記第1のステップでY方向(もしくはX方向)に前記シンクビット列と共に検出した前記シンクビット列の周囲の1以上のY方向(もしくはX方向)の前記情報ビットからなる隣接情報データに対して、前記第2のステップで周波数・位相補正された前記シンクビットに同期させてリサンプリング処理を行う第3のステップと
を含むことを特徴とする光情報再生方法。
【請求項2】
ホログラフィを利用して情報を記録した情報記録層を備えた光情報記録媒体に対して再生用参照光を照射し、その再生用参照光が照射されることによって発生される再生光を検出して情報を再生する光情報再生方法において、
前記光情報記録媒体の前記再生用参照光が照射される前記情報記録層のXY平面には、X方向(もしくはY方向)の最小反転間隔が2以上であるシンクビットが、前記X方向(もしくはY方向)に繰り返し配置されると共に、情報ビットが前記シンクビットの間に挟まれるように配置されており、
前記再生用参照光が照射されることによって前記情報記録層で発生される前記再生光を収集し、検出する第1のステップと、
前記第1のステップで前記X方向(もしくはY方向)に検出した前記シンクビット列に対して、ディジタル位相同期ループ回路を用いてリサンプリング演算を行い、前記X方向(もしくはY方向)の前記シンクビットの周波数・位相を補正する第2のステップと、
前記第1のステップでX方向(もしくはY方向)に前記シンクビット列と共に検出した前記シンクビット列の周囲の1以上の前記X方向(もしくはY方向)の前記情報ビットからなる隣接情報データに対して、前記第2のステップで周波数・位相が補正された前記シンクビットに同期させてリサンプリング処理を行う第3のステップと
を含むことを特徴とする光情報再生方法。
【請求項3】
前記シンクビットの反転間隔は、隣接するシンクビット間隔と等しいことを特徴とする請求項2記載の光情報再生方法。
【請求項4】
前記シンクビットのX方向(もしくはY方向)の並びは、同一パターンの繰り返しであり、かつ、前記同一パターンの積分値は0であることを特徴とする請求項2記載の光情報再生方法。
【請求項5】
ホログラフィを利用して情報を記録した情報記録層を備えた光情報記録媒体に対して再生用参照光を照射し、その再生用参照光が照射されることによって発生される再生光を検出して情報を再生する光情報再生方法において、
前記光情報記録媒体の前記再生用参照光が照射される前記情報記録層のXY平面には、X方向(もしくはY方向)の最小反転間隔が2以上であるシンクビットが、Y方向(もしくはX方向)に並行に配置されると共に、X方向(もしくはY方向)に繰り返し配置され、かつ、情報ビットが前記シンクビットの間に挟まれるように配置されており、
前記再生用参照光が照射されることによって前記情報記録層で発生される前記再生光を収集し、検出する第1のステップと、
前記第1のステップでX方向又はY方向に検出した前記シンクビットのDC成分を検出し、そのDC成分を一定に制御するDC制御を行う第2のステップと、
前記第1のステップで前記X方向又はY方向に検出した前記シンクビットの周囲の1以上の前記X方向又はY方向の前記情報ビットからなる隣接情報データに対して、前記第2のステップで得られたDC制御情報に基づいてDC制御を行う第3のステップと
を含むことを特徴とする光情報再生方法。
【請求項6】
ホログラフィを利用して情報を記録した情報記録層を備えた光情報記録媒体に対して再生用参照光を照射し、その再生用参照光が照射されることによって発生される再生光を検出して情報を再生する光情報再生方法において、
前記光情報記録媒体の前記再生用参照光が照射される前記情報記録層のXY平面には、X方向(もしくはY方向)の最小反転間隔が2以上であるシンクビットが、Y方向(もしくはX方向)に並行に配置されると共に、X方向(もしくはY方向)に繰り返し配置され、かつ、情報ビットが前記シンクビットの間に挟まれるように配置されており、
前記再生用参照光が照射されることによって前記情報記録層で発生される前記再生光を収集し、検出する第1のステップと、
前記第1のステップでX方向又はY方向に検出した前記シンクビットのレベルを検出し、その検出レベルを一定に制御する利得制御を行う第2のステップと、
前記第1のステップで前記X方向又はY方向に検出した前記シンクビットの周囲の1以上の前記X方向又はY方向の前記情報ビットからなる隣接情報データに対して、前記第2のステップで得られた利得制御情報に基づいて利得制御を行う第3のステップと
を含むことを特徴とする光情報再生方法。
【請求項7】
ホログラフィを利用して情報を記録した情報記録層を備えた光情報記録媒体に対して再生用参照光を照射し、その再生用参照光が照射されることによって発生される再生光を検出して情報を再生する光情報再生装置において、
前記光情報記録媒体の前記再生用参照光が照射される前記情報記録層のXY平面には、X方向(もしくはY方向)の最小反転間隔が2以上であるシンクビットが、Y方向(もしくはX方向)に並行に配置されると共に、情報ビットが前記シンクビットの間に挟まれるように配置されており、
前記再生用参照光が照射されることによって前記情報記録層で発生される前記再生光を収集し、検出する検出手段と、
前記検出手段によりY方向(もしくはX方向)に検出した前記シンクビット列に対して、ディジタル位相同期ループ回路を用いてリサンプリング演算を行い、Y方向(もしくはX方向)の前記シンクビットの周波数・位相を補正する第1のリサンプリング処理手段と、
前記検出手段によりY方向(もしくはX方向)に前記シンクビット列と共に検出した前記シンクビット列の周囲の1以上のY方向(もしくはX方向)の前記情報ビットからなる隣接情報データに対して、前記第1のリサンプリング処理手段から出力される前記シンクビットに同期させてリサンプリング処理を行う第2のリサンプリング処理手段と
を有することを特徴とする光情報再生装置。
【請求項8】
ホログラフィを利用して情報を記録した情報記録層を備えた光情報記録媒体に対して再生用参照光を照射し、その再生用参照光が照射されることによって発生される再生光を検出して情報を再生する光情報再生装置において、
前記光情報記録媒体の前記再生用参照光が照射される前記情報記録層のXY平面には、X方向(もしくはY方向)の最小反転間隔が2以上であるシンクビットが、前記X方向(もしくはY方向)に繰り返し配置されると共に、情報ビットが前記シンクビットの間に挟まれるように配置されており、
前記再生用参照光が照射されることによって前記情報記録層で発生される前記再生光を収集し、検出する検出手段と、
前記検出手段により前記X方向(もしくはY方向)に検出した前記シンクビット列に対して、ディジタル位相同期ループ回路を用いてリサンプリング演算を行い、前記X方向(もしくはY方向)の前記シンクビットの周波数・位相を補正する第1のリサンプリング処理手段と、
前記検出手段によりX方向(もしくはY方向)に前記シンクビット列と共に検出した前記シンクビット列の周囲の1以上の前記X方向(もしくはY方向)の前記情報ビットからなる隣接情報データに対して、前記第1のリサンプリング処理手段から出力される前記シンクビットに同期させてリサンプリング処理を行う第2のリサンプリング処理手段と
を有することを特徴とする光情報再生装置。
【請求項9】
前記シンクビットの反転間隔は、隣接するシンクビット間隔と等しいことを特徴とする請求項8記載の光情報再生装置。
【請求項10】
前記シンクビットのX方向(もしくはY方向)の並びは、同一パターンの繰り返しであり、かつ、前記同一パターンの積分値は0であることを特徴とする請求項8記載の光情報再生装置。
【請求項11】
前記光情報記録媒体の前記再生用参照光が照射される前記情報記録層のXY平面には、前記シンクビットが前記第1のリサンプリング処理手段でリサンプリング処理した前記シンクビット列の方向と直交する方向にも繰り返し配置されると共に、前記情報ビットが前記直交する方向に前記シンクビットに挟まれるように配置されており、
前記第1のリサンプリング処理手段でリサンプリング処理した前記シンクビット列の方向と直交する方向の第2のシンクビット列に対して、ディジタル位相同期ループ回路を用いてリサンプリング演算を行い、前記第2のシンクビット列の周波数・位相を補正する第3のリサンプリング処理手段と、
前記第3のリサンプリング処理手段によりリサンプリング演算される前記第2のシンクビット列の周囲の1以上の前記X方向(もしくはY方向)の前記情報ビットからなる隣接情報データに対して、前記第3のリサンプリング処理手段から出力される前記第2のシンクビット列に同期させてリサンプリング処理を行う第4のリサンプリング処理手段と
を更に有することを特徴とする請求項7又は8記載の光情報再生装置。
【請求項12】
前記第1のリサンプリング処理手段でリサンプリング処理した前記シンクビット列の方向と直交する方向に検出した前記情報ビットに対して、ディジタル位相同期ループ回路を用いてリサンプリング同期処理する第5のリサンプリング処理手段と、
前記第5のリサンプリング処理手段によりリサンプリング同期処理される前記情報ビットと共に前記検出手段により検出した前記情報ビットの周囲の1以上のX方向(もしくはY方向)の前記情報ビットからなる隣接情報データに対して、リサンプリング処理する第6のリサンプリング処理手段と
を更に有することを特徴とする請求項7乃至11のうちいずれか一項記載の光情報再生装置。
【請求項13】
前記第5のリサンプリング処理手段によりリサンプリング処理されたリサンプリング後情報データに対して、符号間干渉の影響を取り除くための波形等化処理を行う波形等化処理手段を有することを特徴とする請求項12記載の光情報再生装置。
【請求項14】
ホログラフィを利用して情報を記録した情報記録層を備えた光情報記録媒体に対して再生用参照光を照射し、その再生用参照光が照射されることによって発生される再生光を検出して情報を再生する光情報再生装置において、
前記光情報記録媒体の前記再生用参照光が照射される前記情報記録層のXY平面には、X方向(もしくはY方向)の最小反転間隔が2以上であるシンクビットが、Y方向(もしくはX方向)に並行に配置されると共に、X方向(もしくはY方向)に繰り返し配置され、かつ、情報ビットが前記シンクビットの間に挟まれるように配置されており、
前記再生用参照光が照射されることによって前記情報記録層で発生される前記再生光を収集し、検出する検出手段と、
前記検出手段でX方向又はY方向に検出した前記シンクビットのDC成分を検出し、そのDC成分を一定に制御するDC制御を行う第1のDC制御手段と、
前記検出手段で前記X方向又はY方向に検出した前記シンクビットの周囲の1以上の前記X方向又はY方向の前記情報ビットからなる隣接情報データに対して、前記第1のDC制御手段で得られたDC制御情報に基づいてDC制御を行う第2のDC制御手段と
を有することを特徴とする光情報再生装置。
【請求項15】
前記検出手段で前記X方向又はY方向に対して直交する方向に検出した前記シンクビットのDC成分を検出し、そのDC成分を一定に制御するDC制御を行う第3のDC制御手段と、
前記検出手段で前記X方向又はY方向に対して直交する方向に検出した前記シンクビットの周囲の1以上の前記情報ビットからなる隣接情報データに対して、前記第3のDC制御手段で得られたDC制御情報に基づいてDC制御を行う第4のDC制御手段と
を更に有することを特徴とする請求項14記載の光情報再生装置。
【請求項16】
ホログラフィを利用して情報を記録した情報記録層を備えた光情報記録媒体に対して再生用参照光を照射し、その再生用参照光が照射されることによって発生される再生光を検出して情報を再生する光情報再生装置において、
前記光情報記録媒体の前記再生用参照光が照射される前記情報記録層のXY平面には、X方向(もしくはY方向)の最小反転間隔が2以上であるシンクビットが、Y方向(もしくはX方向)に並行に配置されると共に、X方向(もしくはY方向)に繰り返し配置され、かつ、情報ビットが前記シンクビットの間に挟まれるように配置されており、
前記再生用参照光が照射されることによって前記情報記録層で発生される前記再生光を収集し、検出する検出手段と、
前記検出手段でX方向又はY方向に検出した前記シンクビットのレベルを検出し、その検出レベルを一定に制御する利得制御を行う第1の利得制御手段と、
前記検出手段で前記X方向又はY方向に検出した前記シンクビットの周囲の1以上の前記X方向又はY方向の前記情報ビットからなる隣接情報データに対して、前記第1の利得制御手段で得られた利得制御情報に基づいて利得制御を行う第2の利得制御手段と
を有することを特徴とする光情報再生装置。
【請求項17】
前記検出手段で前記X方向又はY方向に対して直交する方向に検出した前記シンクビットのレベルを検出し、その検出レベルを一定に制御する利得制御を行う第3の利得制御手段と、
前記検出手段で前記X方向又はY方向に対して直交する方向に検出した前記シンクビットの周囲の1以上の前記情報ビットからなる隣接情報データに対して、前記第3の利得制御手段で得られた利得制御情報に基づいて利得制御を行う第4の利得制御手段と
を更に有することを特徴とする請求項16記載の光情報再生装置。
【請求項18】
前記第1のDC制御手段及び前記第3のDC制御手段の少なくとも一方でDC制御された前記シンクビットに対して、ディジタル位相同期ループ回路を用いてリサンプリング演算を行い、前記X方向又はY方向の前記シンクビットの周波数・位相を補正する第1のリサンプリング処理手段と、
前記第2のDC制御手段及び前記第4のDC制御手段の少なくとも一方でDC制御された前記隣接情報データに対して、前記第1のリサンプリング処理手段から出力される前記シンクビットに同期させてリサンプリング処理を行う第2のリサンプリング処理手段と
を更に有することを特徴とする請求項15記載の光情報再生装置。
【請求項19】
前記第1の利得制御手段及び前記第3の利得制御手段の少なくとも一方で利得制御された前記シンクビットに対して、ディジタル位相同期ループ回路を用いてリサンプリング演算を行い、前記X方向又はY方向の前記シンクビットの周波数・位相を補正する第1のリサンプリング処理手段と、
前記第2の利得制御手段及び前記第4の利得制御手段の少なくとも一方で利得制御された前記隣接情報データに対して、前記第1のリサンプリング処理手段から出力される前記シンクビットに同期させてリサンプリング処理を行う第2のリサンプリング処理手段と
を更に有することを特徴とする請求項17記載の光情報再生装置。
【請求項20】
前記第6のリサンプリング処理手段によりリサンプリング処理されたリサンプリング後隣接情報データを用いて擬似クロストーク信号を生成する擬似クロストーク信号生成手段と、前記波形等化処理手段により波形等化処理された前記情報データに対して、生成された前記擬似クロストーク信号をキャンセルするクロストークキャンセル処理手段とを有することを特徴とする請求項13記載の光情報再生装置。
【請求項21】
前記波形等化処理手段は、前記クロストークキャンセル処理手段により擬似クロストーク信号がキャンセルされた波形等化後情報データに対して、信号のゼロクロスを示す情報の少なくとも3つの並びと、前記情報データに付与されているパーシャルレスポンス特性から定まる状態遷移とを用いて仮判別する仮判別回路を有することを特徴とする請求項20記載の光情報再生装置。
【請求項22】
前記波形等化処理手段は、前記クロストークキャンセル処理手段により擬似クロストーク信号がキャンセルされた波形等化後情報データに対して、信号のピーク及びボトムを示す情報の少なくとも3つの並びと、前記情報データに付与されているパーシャルレスポンス特性から定まる状態遷移とを用いて仮判別する仮判別回路を有することを特徴とする請求項20記載の光情報再生装置。
【請求項23】
前記情報ビットは、LDPC変調(又はターボ符号化)された信号、もしくはLDPC変調(又はターボ符号化)された信号を並び替えた信号であることを特徴とする請求項7乃至22のうちいずれか一項記載の光情報再生装置。
【請求項24】
前記情報ビットは、LDPC変調(又はターボ符号化)された信号をランレングス変調した信号、もしくはLDPC変調(又はターボ符号化)された信号を並び替えた信号をランレングス変調した信号であることを特徴とする請求項7乃至22のうちいずれか一項記載の光情報再生装置。
【請求項25】
前記情報ビットは、ランレングス変調した信号にLDPC変調(又はターボ符号化)を施した後、パリティ部にのみランレングス変調を施した信号であることを特徴とする請求項7乃至22のうちいずれか一項記載の光情報再生装置。
【請求項26】
ホログラフィを利用して情報を記録した情報記録層を備えた光情報記録媒体に対して再生用参照光を照射し、その再生用参照光が照射されることによって発生される再生光を検出して情報を再生する、請求項7乃至22のうちいずれか一項記載の光情報再生装置を、コンピュータにより実行させることを特徴とする光情報再生プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2006−351132(P2006−351132A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−177777(P2005−177777)
【出願日】平成17年6月17日(2005.6.17)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】