説明

光情報記録再生装置および光情報記録再生方法

【課題】
ホログラム記録媒体に情報を記録する、またはホログラム記録媒体から情報を再生する光情報記録再生装置において、光量の強度分布が均一でない光ビームを用いて記録再生を行った場合に、記録密度が低下するという課題があった。
【解決手段】
光検出器により信号光の強度分布を検出し、検出した情報を基に強度分布補正素子によりレーザ光の強度分布を制御し、強度分布を制御したレーザ光をホログラム記録媒体に照射することにより情報を記録または再生する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体から情報を記録または再生する、装置及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、青紫色半導体レーザを用いた、Blu−ray Disc(TM)規格により、民生用においても50GB程度の記録密度を持つ光ディスクの商品化が可能となってきた。今後は、光ディスクでも100GB〜1TBというHDD(Hard Disc Drive)容量と同程度まで大容量化が望まれる。
【0003】
しかしながら、このような超高密度を光ディスクで実現するためには、短波長化と対物レンズ高NA化による高密度化技術とは異なる新しい方式による高密度化技術が必要である。
【0004】
次世代のストレージ技術に関する研究が行われる中、ホログラフィを利用してデジタル情報を記録するホログラム記録技術が注目を集めている。
【0005】
ホログラム記録技術とは、空間光変調器により2次元的に変調されたページデータの情報を有する信号光を、記録媒体の内部で参照光と重ね合わせ、その時に生じる干渉縞パターンによって記録媒体内に屈折率変調を生じさせることで情報を記録媒体に記録する技術である。
【0006】
情報の再生時には、記録時に用いた参照光を記録媒体に照射すると、記録媒体中に記録されているホログラムが回折格子のように作用して回折光を生じる。この回折光が記録した信号光と位相情報を含めて同一の光として再生される。
【0007】
再生された信号光は、CMOSやCCDなどの光検出器を用いて2次元的に高速に検出される。このようにホログラム記録技術は、1つのホログラムによって2次元的な情報を一気に光記録媒体に記録し、さらにこの情報を再生することを可能とするものであり、そして、記録媒体のある場所に複数のページデータを重ね書きすることができるため、大容量かつ高速な情報の記録再生を果たすことができる。
【0008】
ホログラム記録技術として、例えば特開2004−272268号公報(特許文献1)がある。本公報には、信号光束をレンズで光情報記録媒体に集光すると同時に、平行光束の参照光を照射して干渉させてホログラムの記録を行い、さらに参照光の光記録媒体への入射角度を変えながら異なるページデータを空間光変調器に表示して多重記録を行う、いわゆる角度多重記録方式が記載されている。さらに本公報には、信号光をレンズで集光してそのビームウエストに開口(空間フィルタ)を配することにより、隣接するホログラムの間隔を短くすることができ、従来の角度多重記録方式に比べて記録密度/容量を増大させる技術が記載されている。
【0009】
また、信号光の強度分布を補正する技術として、例えば特開2007−234111号公報(特許文献2)がある。本公報には、空間光変調器が有する複数の画素の少なくとも一部の画素について、撮像素子によって検出された信号光の強度分布に基づいて当該画素に担持する情報の量を表す値を求め、空間光変調器を制御する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2004−272268号公報
【特許文献2】特開2007−234111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ホログラフィックメモリにおいては多数のピクセルを並べたページと呼ばれる単位で記録再生が行われる。光量の強度分布が均一ではない光ビームを用いて記録した場合、各ピクセルの光量が均一ではなくなる。このため、各ピクセルに対応して形成されるホログラムの強度が均一ではなくなる。このように記録されたホログラムを再生した場合、再生されたページの各ピクセルに光量の偏りが発生するため、品質が均一とならない。一般的に再生されたページでは光量が大きいほど品質は良く、光量が小さいほど品質は悪い。ページ内で品質が均一ではない場合、ページ内の光量が小さい箇所の品質が確保できるようにする必要がある。例えば記録時の光照射時間を長くして品質を確保した場合、ページ内の光量が大きい箇所では必要以上に光が照射される。一般的な記録媒体であるフォトポリマーでは、モノマーが光量に応じてポリマー化することで記録が行われるが、必要以上に光が照射された場合、記録媒体のモノマーを浪費することとなる。記録媒体内のモノマー量には限りがあるため、結果的に、重ね書きできるページ数が低下することとなり、記録密度が低下する。すなわち、光量の強度分布が均一でない光ビームを用いて記録再生を行った場合に記録密度が低下するという課題があった。
【0012】
しかし、特許文献1は、信号光の強度分布を補正する技術であり、参照光については補正できないため、ページ内で品質が不均一となってしまう可能性がある。
【0013】
また、高速で記録を行うためには、高速に透過率を変化させることが可能なコストの高い空間光変調器が必要であり、さらに強度分布補正のための階調を持たせた場合、空間光変調器のコストが増加してしまう。
【0014】
そこで、本発明の目的は、光ビームの光量の強度分布を補正し、高密度の記録再生が可能な光情報記録再生装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題は、例えば特許請求の範囲に記載の発明により解決される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、光ビームの光量の強度分布を補正し、高密度の記録再生が可能な光情報記録再生装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】光情報記録再生装置の光量の補正方法を表す概略図
【図2】光情報記録再生装置のブロック図を表す概略図
【図3】光情報記録再生装置内のピックアップの実施例を表す概略図
【図4】光情報記録再生装置内のピックアップの実施例を表す概略図
【図5】光情報記録再生装置の動作フローの実施例を表す概略図
【図6】光情報記録再生装置の記録データと再生データを表す概略図
【図7】光情報記録再生装置内のピックアップの実施例を表す概略図
【図8】光情報記録再生装置内の強度分布補正素子の例を表す概略図
【図9】光情報記録再生装置の動作フローの例を表す概略図
【図10】光情報記録再生装置の動作フローの例を表す概略図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施例について説明する。
【0019】
本発明の実施形態を添付図面にしたがって説明する。図2はホログラフィを利用してデジタル情報を記録および/または再生する光情報記録媒体の記録再生装置を示すブロック図である。
【0020】
光情報記録再生装置10は、ピックアップ11、位相共役光学系12、ディスクCure光学系13、ディスク回転角度検出用光学系14、及び回転モータ50を備えており、光情報記録媒体1は回転モータ50によって回転可能な構成となっている。
【0021】
ピックアップ11は、参照光と信号光を光情報記録媒体1に出射してホログラフィを利用してデジタル情報を記録媒体に記録する役割を果たす。この際、記録する情報信号はコントローラ89によって信号生成回路86を介してピックアップ11内の空間光変調器に送り込まれ、信号光は空間光変調器によって変調される。
【0022】
光情報記録媒体1に記録した情報を再生する場合は、ピックアップ11から出射された参照光の位相共役光を位相共役光学系12にて生成する。ここで位相共役光とは、入力光と同一の波面を保ちながら逆方向に進む光波のことである。位相共役光によって再生される再生光をピックアップ11内の後述する光検出器によって検出し、信号処理回路85によって信号を再生する。
【0023】
光情報記録媒体1に照射する参照光と信号光の照射時間は、ピックアップ11内のシャッタの開閉時間をコントローラ89によってシャッタ制御回路87を介して制御することで調整できる。
【0024】
ディスクCure光学系13は、光情報記録媒体1のプリキュアおよびポストキュアに用いる光ビームを生成する役割を果たす。プリキュアとは、光情報記録媒体1内の所望の位置に情報を記録する際、所望位置に参照光と信号光を照射する前に予め所定の光ビームを照射する前工程である。ポストキュアとは、光情報記録媒体1内の所望の位置に情報を記録した後、該所望の位置に追記不可能とするために所定の光ビームを照射する後工程である。
【0025】
ディスク回転角度検出用光学系14は、光情報記録媒体1の回転角度を検出するために用いられる。光情報記録媒体1を所定の回転角度に調整する場合は、ディスク回転角度検出用光学系14によって回転角度に応じた信号を検出し、検出された信号を用いてコントローラ89によってディスク回転モータ制御回路88を介して光情報記録媒体1の回転角度を制御する事が出来る。
【0026】
光源駆動回路82からは所定の光源駆動電流がピックアップ11、ディスクCure光学系13、ディスク回転角度検出用光学系14内の光源に供給され、各々の光源からは所定の光量で光ビームを発光することができる。
【0027】
また、ピックアップ11、そして、ディスクCure光学系13は、光情報記録媒体1の半径方向に位置をスライドできる機構が設けられており、アクセス制御回路81を介して位置制御がおこなわれる。
【0028】
ところで、ホログラフィの角度多重の原理を利用した記録技術は、参照光角度のずれに対する許容誤差が極めて小さくなる傾向がある。従って、ピックアップ11内に、参照光角度のずれ量を検出する機構を設けて、サーボ信号生成回路83にてサーボ制御用の信号を生成し、サーボ制御回路84を介して該ずれ量を補正するためのサーボ機構を光情報記録再生装置10内に備えることが必要となる。
【0029】
また、ピックアップ11、ディスクCure光学系13、ディスク回転角度検出用光学系14は、いくつかの光学系構成または全ての光学系構成をひとつに纏めて簡素化しても構わない。
【0030】
図3は、光情報記録再生装置10におけるピックアップ11の光学系構成の一例における記録原理を示したものである。光源201を出射した光ビームはコリメートレンズ202を透過し、シャッタ203に入射する。シャッタ203が開いている時は、光ビームはシャッタ203を通過し、光ビームの光量の強度分布を補正可能な強度分布補正素子227を透過し、例えば2分の1波長板などで構成される光学素子204によってP偏光とS偏光の光量比が所望の比になるように偏光方向が制御された後、PBS(Polarization Beam Splitter)プリズム205に入射する。
【0031】
光ビームのP偏光成分はPBSプリズム205を透過し、信号光206として働き、2分の1波長板226を透過し、ビームエキスパンダ208によって光ビーム径が拡大された後、位相マスク209、リレーレンズ210、PBSプリズム211を透過して空間光変調器212に入射する。記録時には2分の1波長板226はP偏光をP偏光のまま透過させるように制御しておく。
【0032】
空間光変調器212によって情報が付加された信号光は、PBSプリズム211を反射し、リレーレンズ213ならびに空間フィルタ214を伝播する。その後、対物レンズ215によって光情報記録媒体1に集光する。
【0033】
一方、PBSプリズム205を反射した光ビームは参照光207として働き、偏光方向変換素子216によって記録時または再生時に応じて所定の偏光方向に設定された後、ミラー217、ミラー218を経由して、ガルバノミラー219に入射する。ガルバノミラー219はミラー219−aとアクチュエータ219−bで構成され、アクチュエータ219−bによってミラー219−aの角度を調整可能である。ガルバノミラー219で反射した参照光は、レンズ221とレンズ222を通過した後に、光情報記録媒体1に入射する。
【0034】
このように信号光と参照光とを光情報記録媒体1において、互いに重ね合うように入射させることで、記録媒体内には干渉縞パターンが形成され、このパターンを記録媒体に書き込むことで情報を記録する。また、ガルバノミラー219によって光情報記録媒体1に入射する参照光の入射角度を変化させることができるため、角度多重による記録が可能である。
【0035】
以降、同じ領域に参照光角度を変えて記録されたホログラムにおいて、1つ1つの参照光角度に対応したホログラムをページと呼び、同領域に角度多重されたページの集合をブックと呼ぶことにする。
【0036】
図4は、光情報記録再生装置10におけるピックアップ11の光学系構成の一例における再生原理を示したものである。記録した情報を再生する場合は、前述したように参照光を光情報記録媒体1に入射し、光情報記録媒体1を透過した光ビームを、ガルバノミラー223にて反射させる。ガルバノミラー223はミラー223−aとアクチュエータ223−bで構成され、アクチュエータ223−bによってミラー223−aの角度を調整可能である。
【0037】
ガルバノミラー223にて反射された光によって再生された再生光は、対物レンズ215、リレーレンズ213ならびに空間フィルタ214を伝播する。その後、再生光はPBSプリズム211を透過して光検出器225に入射し、記録した信号を再生することができる。光検出器225としては、CCDもしくはCMOSに代表されるような撮像素子を用いて構成することができる。
【0038】
図5は、光情報記録再生装置10における記録、再生の動作フローを示したものである。ここでは、特にホログラフィを利用した記録再生に関するフローを説明する。
【0039】
図5(a)は、光情報記録再生装置10に光情報記録媒体1を挿入した後、記録または再生の準備が完了するまでの動作フローを示し、図5(b)は準備完了状態から光情報記録媒体1に情報を記録するまでの動作フロー、図5(c)は準備完了状態から光情報記録媒体1に記録した情報を再生するまでの動作フローを示したものである。
【0040】
図5(a)に示すように媒体を挿入すると(501)、光情報記録再生装置10は、例えば挿入された媒体がホログラフィを利用してデジタル情報を記録または再生する媒体であるかどうかディスク判別を行う(502)。
【0041】
ディスク判別の結果、ホログラフィを利用してデジタル情報を記録または再生する光情報記録媒体であると判断されると、光情報記録再生装置10は光情報記録媒体に設けられたコントロールデータを読み出し(503)、例えば光情報記録媒体に関する情報や、例えば記録や再生時における各種設定条件に関する情報を取得する。
【0042】
コントロールデータの読み出し後は、コントロールデータに応じた各種調整やピックアップ11に関わる学習処理(504)を行い、光情報記録再生装置10は、記録または再生の準備が完了する(505)。
【0043】
準備完了状態から情報を記録するまでの動作フローは図5(b)に示すように、まず記録するデータを受信して(511)、該データに応じた情報をピックアップ11内の空間光変調器に送り込む。
【0044】
その後、光情報記録媒体に高品質の情報を記録できるように、必要に応じて各種学習処理を事前に行い(512)、シーク動作(513)によりピックアップ11ならびにディスクCure光学系13の位置を光情報記録媒体の所定の位置に配置する。
【0045】
その後、ディスクCure光学系13から出射する光ビームを用いて所定の領域をプリキュアし(514)、ピックアップ11から出射する参照光と信号光を用いてデータを記録する(515)。
【0046】
データを記録した後は、必要に応じてデータをベリファイし(516)、ディスクCure光学系13から出射する光ビームを用いてポストキュアを行う(517)。
【0047】
準備完了状態から記録された情報を再生するまでの動作フローは図5(c)に示すように、光情報記録媒体から高品質の情報を再生できるように、必要に応じて各種学習処理を事前に行う(521)。その後、シーク動作(522)によりピックアップ11ならびに位相共役光学系12の位置を光情報記録媒体の所定の位置に配置する。
【0048】
その後、ピックアップ11から参照光を出射し、光情報記録媒体に記録された情報を読み出す(523)。
【0049】
本発明は512の記録時の学習処理、515のデータ記録、521の再生時の学習処理、もしくは523のデータ再生において適用される。
【0050】
図6は記録データと再生データを表す概略図である。記録データ601は多数のOnピクセルとOffピクセルから構成されており、各ピクセルが情報をあらわしている。Onピクセルについてはページ内で均一な階調のデータを空間光変調器212に送信したとしても、光ビームが一例としてガウス分布の強度分布を持っていた場合には、再生データ602に示すように、ページデータの周辺に向かって光量が低下してしまう。一般的に光ビームはガウス分布の強度分布を持ち、また光学系の組み立て時のずれや温度変化、経年変化等の要因によりこの強度分布は変化する。ホログラフィックメモリにおいて、記録媒体を効率良く利用し、記録密度を高めるためには光量の強度分布を均一にする必要がある。
【0051】
図7は光情報記録再生装置10におけるピックアップ11において光ビームの強度分布を補正するための構成を示す概略図である。
【0052】
光源201を出射した光ビームはコリメートレンズ202を透過し、シャッタ203に入射する。シャッタ203を開いておくことで、光ビームはシャッタ203を通過し、強度分布補正素子227を透過し、光学素子204によってP偏光となるように偏光方向が制御された後、PBSプリズム205に入射する。
【0053】
PBSプリズム205を透過した光ビームは、2分の1波長板226によってP偏光とS偏光の光量比が所望の比になるように偏光方向が制御された後、ビームエキスパンダ208によって光ビーム径が拡大された後、位相マスク209、リレーレンズ210に入射する。S偏光成分はPBSプリズム211で反射して光検出器225に入射する。光検出器225により検出した光ビームの強度分布に基づき強度分布補正素子227を制御する。なお、S偏光成分の光量は、例えば、記録時の信号光の光量の1%程度以下でよい。通常の再生時に光検出器225で検出される光量は参照光の0.1%程度であり,参照光は信号光の5倍程度であることから,光検出器225は信号光の0.5%程度の強度の光でも十分に検出可能なためである。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
【0054】
図8は強度分布補正素子227の例を光ビームの進行方向から見て示したものである。227−aは画素毎に透過率を変化させることが可能な空間光変調器と同様の構成であり、任意の強度分布に対して2次元的に細かな制御が可能となる。227−bは同心円状に透過率を変化させられる領域を区切った構成であり、227−aと比較して簡素な構成でガウス分布の強度分布を補正することが可能となる。227−a、227−bともに液晶素子により構成し、印加する電圧を変化させることで透過率を制御することが可能であるが、同様の効果を奏することができれば、他の材料例えばエレクトロクロミック素子を用いて構成しても構わない。
【0055】
図1は光検出器225において検出した光ビームの強度分布と強度分布補正素子において設定する透過率とを表す概略図である。いずれも図8のx方向において検出した光量と、設定する透過率とを示すものとする。光検出器上の位置をx、位置xにおいて検出した光量をI(x)とする。記録に利用する信号光の範囲で検出された最小の光量をIminとする。一方、強度分布補正素子上の位置xにおける透過率をL(x)、透過率の最大値をLmaxとする。強度分布を均一にするためにはI(x)・L(x)=Imin・Lmaxで一定になるように、L(x)を制御すれば良い。すなわちL(x)=Imin・Lmax/I(x)と制御すれば良い。なお、ここではビーム径が光検出器と強度分布補正素子とで変わらないものとして考えたが、光検出器と強度分布補正素子との間にビームエキスパンダが配置され、ビーム径が変わる場合には、検出器上の位置と強度分布補正素子上の位置との対応が取れるように位置を変換して用いれば良い。
【0056】
また、図1ではx方向についてのみ考えたが、y方向についても同様に制御することで、強度分布を均一にすることができる。また、図1では光量や透過率を連続的な値として記載したが、光検出器の検出分解能や検出するピクセルの大きさ、強度分布補正素子の透過率設定分解能や透過率を設定する領域の大きさにより、実際には光量や透過率は離散的な値となるが、L(x)はImin・Lmax/I(x)に最も近い値となるように制御すれば良い。
【0057】
図9は強度分布補正処理の動作の一例を示すフロー図である。まず、2分の1波長板226によりP偏光とS偏光の光量比が所望の比になるように偏光方向を制御する(901)。ここで全てをS偏光とすると、全ての光量が光検出器に入射することとなるが、光検出器のダイナミックレンジを超えてしまうため、一部がS偏光となるようにしている。強度分布補正素子227の透過率を一定になるように制御する(902)。信号光の強度分布の内、S偏光とした成分を光検出器225により検出する(903)。検出された強度分布に基づいて、強度分布補正素子227に設定すべき透過率を算出する(904)。算出された透過率となるように、強度分布補正素子227を制御する(905)。最後に2分の1波長板226により信号光がP偏光となるように制御することによって、信号光がPBS211を透過するようにして、信号光を全て記録に用いることができるようにする(906)。
【0058】
上記処理は記録前もしくは再生前の学習処理で実行しても良いし、記録や再生の途中に例えば温度変化が大きく発生した場合に記録や再生を中断して再度実行しても良い。
【0059】
また、記録動作中に、2分の1波長板226を常に信号光の一部がS偏光となるように制御しておき、強度分布が均一になっているかをモニタし、均一でない場合には均一となるように再度制御することも可能である。この場合には901と906のビーム比率を変更する処理は不要である。
【0060】
図10は強度分布補正処理の別の一例を示すフロー図である。まず、2分の1波長板226によりP偏光とS偏光の光量比が所望の比になるように偏光方向を制御する(1001)。強度分布補正素子227の透過率を一定になるように制御する(1002)。信号光の強度分布の内、S偏光とした成分を光検出器225により検出する(1003)。検出された強度分布に基づいて、強度分布補正素子227に設定すべき透過率を算出する(1004)。算出された透過率となるように、強度分布補正素子227を制御する(1005)。光検出器225により再び信号光の強度分布を検出する(1006)。検出した強度分布が均一であるか判断を行う(1007)。強度分布が均一とみなせる場合は、2分の1波長板226により信号光がP偏光となるように制御し、信号光がPBS211を透過するようにして、信号光を全て記録に用いることができるようにし、処理を終了する(1008)。強度分布が均一とみなせない場合は、光検出器で検出された情報を基に、均一に設定したい強度分布のレベルからの誤差量を算出し、誤差量に応じて強度分布補正素子227に設定する透過率の補正量を算出し(1009)、再び1005の強度分布補正素子227の透過率設定処理を行う。図9に示した方式と比較して、処理時間は増加するものの、透過率の設定誤差を吸収しより均一な強度分布にすることができる。
【0061】
なお、1002〜1004の工程を省略し、予め予測した光量分布を基に1005で強度分布補正素子227の透過率を設定しても構わないし、以前の処理結果を記憶しておき、その情報を基に1005で強度分布補正素子227の透過率を設定しても構わない。
【0062】
以上では空間光変調器とは別途配置した強度分布補正素子によって強度分布を補正する構成について示したが、光検出器225で検出した情報を基に空間光変調器212で光ビームの強度分布を補正する構成も可能である。この場合、強度分布補正素子227が不要となる利点があるが、信号光のみの強度分布補正が可能であり、参照光については補正できない。また、高速で記録を行うためには、高速に透過率を変化させることが可能なコストの高い空間光変調器が必要であり、さらに強度分布補正のための階調を持たせた場合、空間光変調器のコストが増加する。光ビームの強度分布の変化は低速であるため、強度分布補正素子227は低速な変調器で構成可能である。このため、コストの高いデータ変調用の空間光変調器212は2値記録であれば2値、多値記録であれば多値に対応したレベルのみ変調可能な素子としてコストを抑え、コストの低い強度分布補正素子227を追加する方が、コストの高いデータ変調用の空間光変調器212で階調を持たせるよりもトータルコストを低減することができる。
【0063】
なお、以上ではホログラフィックメモリにおける角度多重方式を例として説明を行ったが、信号光と参照光を同軸にして記録を行うコリニア方式においても、同様に適用することが可能である。
【0064】
また、情報記録の際の参照光の光量よりも、再生の際の参照光の光量を大きくしてもよい。再生の際には信号光は不要であり、情報記録の際に信号光としていた分の光量を参照光に追加できるためである。再生の際の参照光の光量を大きくすることで、再生の露光時間を短くし、転送速度を向上させることが可能である。但し、本発明はこれに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0065】
1・・・光情報記録媒体、10・・・光情報記録再生装置、11・・・ピックアップ、
12・・・位相共役光学系、13・・・ディスクCure光学系、
14・・・ディスク回転角度検出用光学系、50・・・回転モータ、
81・・・アクセス制御回路、82・・・光源駆動回路、83・・・サーボ信号生成回路、
84・・・サーボ制御回路、85・・・信号処理回路、86・・・信号生成回路、
87・・・シャッタ制御回路、88・・・ディスク回転モータ制御回路、
89・・・コントローラ、
201・・・光源、202・・・コリメートレンズ、203・・・シャッタ、
204・・・1/2波長板、205・・・偏光ビームスプリッタ、
206・・・信号光、207・・・参照光、
208・・・ビームエキスパンダ、209・・フェーズ(位相)マスク、
210・・・リレーレンズ、211・・・偏光ビームスプリッタ、
212・・・空間光変調器、213・・・リレーレンズ、214・・・空間フィルタ、
215・・・対物レンズ、216・・・偏光方向変換素子、217・・・ミラー、
218・・・ミラー、219・・・ガルバノミラー、
221・・・レンズ、222・・・レンズ、223・・・ガルバノミラー、
225・・・光検出器、226・・・1/2波長板、
227・・・強度分布補正素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホログラム記録媒体に干渉パターンのページデータとして情報を記録する、または干渉パターンがページデータとして記録されているホログラム記録媒体から情報を再生する光情報記録再生装置であって、
レーザ光を出射するレーザ光源と、
前記レーザ光の強度分布を補正可能な強度分布補正素子と、
前記レーザ光を参照光と信号光に分離する光学素子と、
前記参照光により再生されたページデータと前記信号光の光量とを検出する光検出器と、を備え、
前記光検出器により前記信号光の強度分布を検出し、検出した情報を基に前記強度分布補正素子により前記レーザ光の強度分布を制御し、
前記制御したレーザ光をホログラム記録媒体に照射することにより情報を記録または再生することを特徴とする光情報記録再生装置。
【請求項2】
前記強度分布補正素子による前記レーザ光の強度分布の制御は、強度分布が略均一となるように制御することを特徴とする請求項1に記載の光情報記録再生装置。
【請求項3】
前記強度分布補正素子は透過率を可変な画素が2次元アレイ状に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の光情報記録再生装置。
【請求項4】
前記強度分布補正素子は透過率を可変な領域が同心円状に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の光情報記録再生装置。
【請求項5】
前記強度分布補正素子は、液晶素子、またはエレクトロクロミック素子であることを特徴とする請求項1に記載の光情報記録再生装置。
【請求項6】
信号光と参照光とを用いたホログラフィを利用して、光情報記録媒体に情報を記録および再生する光情報記録再生方法において、
レーザ光の強度分布を検出する工程と、
検出した強度分布に基づいて前記レーザ光の強度分布を補正する工程と、
強度分布を補正したレーザ光を前記光情報記録媒体に照射することにより情報を記録再生する工程を含むことを特徴とする光情報記録再生方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−243355(P2012−243355A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−113019(P2011−113019)
【出願日】平成23年5月20日(2011.5.20)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】