説明

光拡散性偏光板および液晶表示装置

【課題】光拡散フィルムの光拡散層上に粘着剤層を介して諸機能を示す表面処理フィルムが積層された光拡散性偏光板であって、光拡散層の表面粗さが大きい場合であっても、光拡散層の表面凹凸に気泡が噛み込むことなく、もって色抜けが生じず視認性が良好な光拡散性偏光板およびこれを用いた液晶表示装置を提供する。
【解決手段】偏光フィルム101と、その上に積層される光拡散フィルム102と、その上に積層される表面処理フィルム103とを備え、光拡散フィルム102は、表面の中心線平均粗さRaが0.1μm以上1μm未満である光拡散層106を有するものであり、光拡散層106と表面処理フィルム103とが、25℃における貯蔵弾性率が1.0×106Pa未満である粘着剤層104を介して互いに貼合された光拡散性偏光板およびこれを用いた液晶表示装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光拡散性偏光板およびこれを用いた液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置は、携帯電話、パソコン用モニター、テレビ、液晶プロジェクタなどへの用途展開が急速に進んでいる。一般に、液晶表示装置は、バックライト装置と、液晶セル、該液晶セルのバックライト側に配置された背面側偏光板および該液晶セルの視認側に配置された前面側偏光板からなる液晶パネルと、を含んで構成される。
【0003】
従来、液晶表示装置においては、表示画面を斜め方向から見た場合に、高いコントラストが得られない、さらには画像の明暗が逆転する階調反転現象等により良好な表示特性が得られないなどといった問題、すなわち、視野角が狭いという問題が指摘されてきた。
【0004】
このような視野角特性の問題を解決するための方法として、前面側偏光板に光拡散機能を付与する技術が従来知られている。たとえば、特開2009−301014号公報(特許文献1)および特開2010−160527号公報(特許文献2)には、液晶セルの前面側に、比較的高い光拡散性を有する偏光板(特許文献1および2では「第2光拡散層」と表現されている)を配置することが開示されている。この第2光拡散層は、たとえば、偏光板と、該偏光板の前面側に設けられる、比較的多量のフィラー(光拡散剤)を含有する光拡散機能が付与された樹脂層(光拡散層)とからなるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−301014号公報
【特許文献2】特開2010−160527号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、液晶表示装置の視認性のさらなる改善を目的として、液晶表示装置の最表面、すなわち、前面側偏光板の最表面に、表示面に外光が映り込むことを防止または低減するための防眩処理や、表示面に入射した外光の反射を防止または低減するための反射防止処理などの光学的処理を施すことがある。
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載の前面側偏光板が有する光拡散層のように、比較的多量のフィラーを含有する光拡散層は、極端に大きな突起が形成され、JIS B 0601に従う中心線平均粗さRaで表したとき、その表面粗さが0.1μm以上になることがあり、このような場合、該光拡散層の表面に上記のような光学的処理を直接施すことが困難であったり、あるいは、光学的処理を直接施すこと自体は可能であっても、防眩機能や反射防止機能等の所定の機能を良好に発現させることができないことがあった。
【0008】
また、基材となる樹脂フィルムの表面に光学的処理を施した表面処理フィルムを粘着剤を用いて光拡散層に貼合することにより、防眩機能や反射防止機能等の所定の機能を付与することも考えられるが、上記のように光拡散層の表面粗さが0.1μm以上になるような場合には、貼合時に光拡散層の表面凹凸に気泡が噛み込み、液晶表示装置に適用したときに、ドット形状の色抜けが生じて視認性が低下する場合があった。
【0009】
そこで本発明の目的は、光拡散フィルムの光拡散層上に粘着剤層を介して防眩機能や反射防止機能などを示す表面処理フィルムが積層された光拡散性偏光板であって、光拡散層の表面粗さが0.1μm以上と大きい場合であっても、光拡散層の表面凹凸に気泡が噛み込むことなく、もって色抜けが生じず視認性が良好な光拡散性偏光板およびこれを用いた液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、偏光フィルムと、該偏光フィルム上に積層される光拡散フィルムと、該光拡散フィルム上に積層される、透明樹脂フィルムの一方の表面に光学的処理が施されている表面処理フィルムとを備え、光拡散フィルムは、表面の中心線平均粗さRaが0.1μm以上1μm未満である光拡散層を有するものであり、光拡散フィルムの光拡散層と表面処理フィルムとが、25℃における貯蔵弾性率が1.0×106Pa未満である粘着剤層を介して互いに貼合されている光拡散性偏光板を提供する。粘着剤層の25℃における貯蔵弾性率は、好ましくは1.0×105Pa以上である。
【0011】
本発明の光拡散性偏光板においては、光拡散層と、表面処理フィルムの光学的処理が施されていない面とが、上記粘着剤層を介して互いに貼合されていることが好ましい。
【0012】
表面処理フィルムは、たとえば、透明樹脂フィルムの一方の表面に防眩処理が施されている防眩フィルム、または、透明樹脂フィルムの一方の表面に反射防止処理が施されている反射防止フィルムであることができる。
【0013】
光拡散フィルムは、透明基材フィルムと、該透明基材フィルム上に積層される、透光性樹脂中に透光性微粒子が分散された光拡散層とを備えるものであることが好ましい。このような光拡散フィルムの光拡散層は、透明基材フィルム上に、透光性微粒子が分散された樹脂液を塗布することにより形成することができる。また、光拡散層は、透明基材フィルム上に、透光性微粒子が分散された樹脂液を塗布した後、該樹脂液からなる層の表面に、金型の鏡面または凹凸面を転写することにより形成してもよい。
【0014】
また本発明は、バックライト装置と、光拡散手段と、バックライト側偏光板と、液晶セルと、上記光拡散性偏光板とをこの順で備える液晶表示装置を提供する。本発明の液晶表示装置において、光拡散性偏光板は、その偏光フィルム側が液晶セルに対向するように配置される。
【0015】
本発明の液晶表示装置において、光拡散手段からの出射光は、液晶セルの光入射面の法線方向から70°傾いた方向の輝度が該法線方向の輝度に対して20%以下である配光特性を有し、かつ、非平行光を含むものであることが好ましい。
【0016】
光拡散手段は、バックライト装置側から、光拡散板と、光偏向板とをこの順で備えるものであることができる。液晶セルとしては、TN(Twisted Nematic)方式液晶セル、IPS(In−Plane Switching)方式液晶セルまたはVA(Vertical Alignment)方式液晶セルなどを用いることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、光拡散層の表面凹凸に気泡の混入がなく、もって色抜けが生じず視認性が良好な光拡散性偏光板を提供できる。本発明の光拡散性偏光板は、高い光拡散性を有するとともに、防眩機能や反射防止機能などの他の光学機能をも良好に発揮する。当該光拡散性偏光板を適用した本発明の液晶表示装置は、高い視野角特性を有するとともに、光拡散性偏光板に付与された他の光学機能を兼備しており、視認性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の光拡散性偏光板の好ましい一例を示す概略断面図である。
【図2】光拡散フィルムを製造するための装置の一例を示す概略図である。
【図3】本発明の液晶表示装置の好ましい一例を示す概略断面図である。
【図4】光拡散手段の一例を示す概略断面図である。
【図5】光拡散手段の他の一例を示す概略断面図である。
【図6】2枚の光偏向板(プリズムシート)が有する線状プリズムの稜線方向と、偏光板の透過軸方向との関係を説明するための概略斜視図である。
【図7】光拡散手段について、液晶セルの光入射面の法線に対して70°方向の輝度値を測定する方法の一例である。
【図8】非平行光の定義を説明する図である。
【図9】本発明の液晶表示装置の他の好ましい一例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<光拡散性偏光板>
図1は、本発明の光拡散性偏光板の好ましい例を示す概略断面図である。本発明に係る図1に示される光拡散性偏光板100は、偏光フィルム101と、偏光フィルム101上に積層される、光拡散層106を有する光拡散フィルム102と、光拡散フィルム102上に積層される、一方の表面に光学的処理が施された(具体的には、表面処理層108が付与された)透明樹脂フィルム107からなる表面処理フィルム103とを備え、光拡散フィルム102の光拡散層106と、表面処理フィルム103とが、粘着剤層104を介して互いに貼合されていることを特徴とする。
【0020】
図1に示される光拡散性偏光板100において、光拡散フィルム102は、透明基材フィルム105と、透明基材フィルム105上に積層される光拡散層106とを備えるものであり、光拡散層106は、透光性樹脂106b中に透光性微粒子106aが分散された樹脂層からなる。光拡散フィルム102は、その透明基材フィルム105側が偏光フィルム101に対向するように、偏光フィルム101上に積層される。光拡散フィルム102は、その光拡散層106の表面のJIS B 0601に従う中心線平均粗さRaが0.1μm以上1μm未満である。
【0021】
表面処理フィルム103は、透明樹脂フィルム107と、透明樹脂フィルム107の一方の表面に積層される表面処理層108とを備える。表面処理フィルム103は、その透明樹脂フィルム107の表面処理層108とは反対側の面(表面処理フィルム103の光学的処理が施されていない面)で、粘着剤層104を介して光拡散フィルム102の光拡散層106に貼合されている。
【0022】
なお、保護フィルム109は、偏光フィルム101の他方の表面を保護するためのフィルムであるが、必ずしも必要ではなく省略されてもよい。また、保護フィルム109の代わりに、位相差フィルム(位相差板)等の光学補償フィルムなどが貼合されてもよい。
【0023】
上記構成を有する本発明の光拡散性偏光板によれば、光拡散フィルム102の光拡散層106と、透明樹脂フィルム107上に表面処理層108が形成されてなる表面処理フィルム103とを、25℃における貯蔵弾性率が1.0×106Pa未満と比較的小さい粘着剤層104を介して貼合するため、光拡散層106の表面の中心線平均粗さRaが0.1μm以上である場合においても、光拡散層106の表面凹凸と粘着剤層104との間に気泡混入がなく、もって液晶表示装置に適用したときにドット形状の色抜けが生じず良好な視認性を得ることができる。また、光拡散層106と表面処理フィルム103とを密着性良く接合することができるため、光拡散性偏光板の耐久性を向上させることができる。さらに、粘着剤層による表面処理フィルム103の貼合は、光拡散層106上に所望の光学機能を有する表面処理フィルム103を確実に、しかも、光拡散層106の表面形状による表面処理層108の構造、形状への影響を完全に排除しつつ積層させることを可能にする。したがって、本発明の光拡散性偏光板は、光拡散機能とともに、表面処理層108による所定の光学機能を良好に示すものとなる。
【0024】
以下、本発明の光拡散性偏光板について、さらに詳細に説明する。
(偏光フィルム)
偏光フィルム101としては、たとえば、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、エチレン/酢酸ビニル(EVA)樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル系樹脂等からなるフィルムに、二色性染料またはヨウ素を吸着配向させたもの、分子的に配向したポリビニルアルコールフィルム中に、ポリビニルアルコールの二色性脱水生成物(ポリビニレン)の配向した分子鎖を含有するポリビニルアルコール/ポリビニレンコポリマー等が挙げられる。特に、一軸延伸されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムに二色性染料またはヨウ素を吸着配向させたものが偏光フィルムとして好適に使用される。偏光フィルム101の厚さに特に制限はないが、光拡散性偏光板の薄型化等の観点から、100μm以下が好ましく、より好ましくは10〜50μm、さらに好ましくは25〜35μmである。
【0025】
(光拡散フィルム)
本発明で用いる光拡散フィルムは、図1に示されるように、透明基材フィルム105と、透明基材フィルム105上に積層される光拡散層106とを備え、光拡散層106が透光性樹脂106b中に透光性微粒子(光拡散剤)106aが分散された樹脂層からなるものであることが好ましい。
【0026】
透明基材フィルム105としては、光学的に透明である限り特に制限されず、たとえばガラスやプラスチックフィルムなどを用いることができる。プラスチックフィルムとしては、適度の透明性、機械強度を有するものが好ましく、具体的には、TAC(トリアセチルセルロース)等のセルロースアセテート系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、およびポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂などが挙げられる。透明基材フィルム105の厚さは、たとえば10〜500μmであり、好ましくは20〜300μmである。
【0027】
光拡散層106は、透光性樹脂106bを基材とする層であって、透光性樹脂106b中に透光性微粒子106aが分散されてなる。透光性樹脂106bとしては、透光性を有するものであれば特に制限はなく、たとえば、紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂などの電離放射線硬化型樹脂の硬化物;熱硬化型樹脂の硬化物;熱可塑性樹脂;金属アルコキシドの硬化物などであることができる。この中でも、高い硬度および耐擦傷性を付与できることから、電離放射線硬化型樹脂の硬化物が好適である。電離放射線硬化型樹脂、熱硬化型樹脂または金属アルコキシドを用いる場合は、電離放射線の照射または加熱により当該樹脂を硬化させることにより透光性樹脂106bが形成される。
【0028】
電離放射線硬化型樹脂としては、多価アルコールのアクリル酸またはメタクリル酸エステルのような多官能性のアクリレート;ジイソシアネートと多価アルコールおよびアクリル酸またはメタクリル酸のヒドロキシエステル等とから合成されるような多官能のウレタンアクリレートなどが挙げられる。また、これらの他にも、アクリレート系の官能基を有するポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂等も使用することができる。
【0029】
熱硬化型樹脂としては、アクリルポリオールとイソシアネートプレポリマーとからなる熱硬化型ウレタン樹脂のほか、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂が挙げられる。
【0030】
熱可塑性樹脂としては、アセチルセルロース、ニトロセルロース、アセチルブチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体;酢酸ビニルおよびその共重合体、塩化ビニルおよびその共重合体、塩化ビニリデンおよびその共重合体等のビニル系樹脂;ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール等のアセタール系樹脂;アクリル樹脂およびその共重合体、メタクリル樹脂およびその共重合体等のアクリル系樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリエステル系樹脂;ポリカーボネート系樹脂等が挙げられる。
【0031】
金属アルコキシドとしては、珪素アルコキシド系の材料を原料とする酸化珪素系マトリックス等を使用することができる。具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等であり、加水分解や脱水縮合により無機系または有機無機複合系マトリックス(透光性樹脂)とすることができる。
【0032】
また、透光性微粒子106aとしては、透光性を有する有機微粒子または無機微粒子からなる光拡散剤を用いることができる。たとえば、アクリル樹脂、メラミン樹脂、ポリエチレン、ポリスチレン、有機シリコーン樹脂、アクリル−スチレン共重合体等からなる有機微粒子や、炭酸カルシウム、シリカ、酸化アルミニウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、酸化チタン、ガラス等からなる無機微粒子等が挙げられる。また、有機重合体のバルーンやガラス中空ビーズも使用できる。透光性微粒子106aは、1種類の微粒子から構成されていてもよいし、2種類以上の微粒子を含んでいてもよい。透光性微粒子106aの形状は、球状、扁平状、板状、針状、不定形状等いずれであってもよいが、球状または略球状が好ましい。
【0033】
透光性微粒子106aの重量平均粒径は、0.5〜15μmであることが好ましく、4〜8μmであることがより好ましい。透光性微粒子106aの重量平均粒径が0.5μm未満であると、光拡散フィルム102の光拡散性が不十分となり、その結果、液晶表示装置に光拡散性偏光板を適用した際に、十分な広視野角性能が得られない場合がある。また、重量平均粒径が15μmを超える場合、十分な光拡散性が得られない場合がある。また、透光性微粒子106aは、その粒径の標準偏差と重量平均粒径の比(標準偏差/重量平均粒径)が0.5以下であることが好ましく、0.4以下であることがより好ましい。当該比が0.5を超える場合、透光性微粒子としてその粒径が極端に大きいものが含まれるようになり、その結果、光拡散層106の表面の中心線平均粗さRaが1μm以上となったり、光拡散フィルム102の表面ヘイズが後述する好ましい範囲から逸脱する場合がある。透光性微粒子106aの重量平均粒径および粒径の標準偏差は、コールター原理(細孔電気抵抗法)に基づくコールターマルチサイザー(ベックマンコールター社製)を用いて測定される。
【0034】
光拡散層106における透光性微粒子106aの含有量は、透光性樹脂106bの100重量部に対して20重量部以上100重量部以下であることが好ましく、より好ましくは20重量部以上70重量部以下、さらに好ましくは25重量部以上60重量部以下、特に好ましくは25重量部以上50重量部以下である。透光性微粒子106aの含有量が透光性樹脂100重量部に対して20重量部未満であると、光拡散フィルム102の光拡散性が不十分となり、その結果、液晶表示装置に光拡散性偏光板を適用した際に、十分な広視野角性能が得られにくい。また、透光性微粒子106aの含有量が透光性樹脂100重量部に対して100重量部を超えると、光拡散フィルム102のヘイズが過度に大きくなる結果、光拡散フィルム102の透明性が低下し、液晶表示装置に光拡散性偏光板を適用した際に、正面コントラストの低下を招く。本発明においては、表面処理フィルム103を粘着剤層104を介して光拡散層106に貼合するため、比較的多量の透光性微粒子(光拡散剤)を光拡散層に含有させる場合においても、気泡混入を防止して色抜けの発生を防止することが可能であり、また、確実かつ容易に、しかも表面処理層が所定の光学機能を発現するために必要な構造や形状を損なうことなく、表面処理層を光拡散性偏光板に付与することができる。
【0035】
透光性微粒子106aと透光性樹脂106bとの屈折率差は、0.04〜0.15の範囲であることが好ましい。透光性微粒子106aと透光性樹脂106bとの屈折率差を上記範囲内とすることによって、当該屈折率差による適度な内部散乱が生じ、光拡散性が適度に高い光拡散性フィルムを得ることができる。
【0036】
また、光拡散層106の表面(透明基材フィルム105とは反対側の表面)は、透光性樹脂106bのみによって形成されていることが好ましい。すなわち、透光性微粒子106aは、光拡散層106表面から突出しておらず、完全に光拡散層106内に埋没していることが好ましい。このために、光拡散層106の厚さは、透光性微粒子106aの重量平均粒径に対して1倍以上3倍以下であることが好ましい。光拡散層106の厚さが、透光性微粒子106aの重量平均粒径の1倍未満である場合、液晶表示装置に光拡散性偏光板を適用した際に、光拡散層の表面乱反射により画面全体が白っぽく感じられる、いわゆる「白ちゃけ」が生じる場合がある。また、光拡散層106の厚さが透光性微粒子106aの重量平均粒径の3倍を超える場合、光拡散層106の厚さが大きくなり過ぎ、それに伴い光拡散フィルム102の光拡散性が強くなり過ぎるため、その結果、液晶表示装置に光拡散性偏光板を適用した際に、正面コントラストが低下する場合がある。
【0037】
光拡散層106の厚さは、1〜30μmの範囲が好ましい。光拡散層106の厚さが1μm未満の場合、液晶表示装置の視認側表面に配置される光拡散フィルムに要求される十分な耐擦傷性が付与されない場合がある。また、厚さが30μmを超える場合、作製した光拡散フィルムに発生するカールの量が大きくなり、光拡散性偏光板の製造プロセスにおける取り扱い性が低下し得る。
【0038】
光拡散層106の表面(透明基材フィルム105とは反対側の表面)のJIS B 0601に従う中心線平均粗さRaは0.1μm以上1μm未満であり、好ましくは、0.2μm以上0.5μm未満である。光拡散層106表面の中心線平均粗さRaが1μm以上の場合、白ちゃけが顕著となる。本発明によれば、中心線平均粗さRaが0.1μm以上、さらには、0.2μm以上であっても、気泡混入による色抜けの問題を生じることなく、良好な光学機能を示す表面処理層を光拡散性偏光板に付与することができる。JIS B 0601に従う中心線平均粗さRaとは、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さl(エル)だけを抜き取り、この抜き取り部分の平均線の方向にx軸を、縦倍率の方向にy軸をとり、粗さ曲線をY=f(x)で表したときに、下記式(1):
【0039】
【数1】

【0040】
によって求められる値をマイクロメートル(μm)単位で表したものをいう。中心線平均粗さRaは、JIS B 0601に準拠した共焦点干渉顕微鏡(たとえば、株式会社オプティカルソリューション社製の「PLμ2300」)を用いて上記計算式(1)に基づいてRaを計算できるプログラムソフトにより算出することができる。
【0041】
光拡散フィルム102は、全ヘイズが40%以上70%以下であり、かつ内部ヘイズが40%以上70%以下であることが好ましい。また、光拡散層106の表面形状に起因する表面ヘイズは6%未満であることが好ましい。「全ヘイズ」とは、光拡散フィルムに光を照射して透過した光線の全量を表す全光線透過率(Tt)と、光拡散フィルムにより拡散されて透過した拡散光線透過率(Td)との比から下式(2):
全ヘイズ(%)=(Td/Tt)×100 (2)
により求められる。
【0042】
全光線透過率(Tt)は、入射光と同軸のまま透過した平行光線透過率(Tp)と拡散光線透過率(Td)の和である。全光線透過率(Tt)および拡散光線透過率(Td)は、JIS K 7361に準拠して測定される値である。
【0043】
また、光拡散フィルムの「内部ヘイズ」とは、全ヘイズのうち、光拡散層106の表面形状に起因するヘイズ(表面ヘイズ)以外のヘイズである。
【0044】
全ヘイズおよび/または内部ヘイズが40%未満の場合、光散乱性が不十分であり、十分な広視野角性能が得られにくい傾向にある。また、全ヘイズおよび/または内部ヘイズが70%を超える場合は、光散乱が強くなり、液晶表示装置に光拡散性偏光板を適用した際に、正面コントラストが低下する場合がある。また、全ヘイズおよび/または内部ヘイズが70%を超える場合は、光拡散フィルム102の透明性が損なわれる傾向にある。全ヘイズおよび内部ヘイズはそれぞれ、50%以上65%以下であることが好ましい。
【0045】
また、光拡散層106の表面形状に起因する表面ヘイズが6%以上である場合には、表面乱反射により白ちゃけが発生しやすい傾向にある。白ちゃけをより効果的に防止するためには、表面ヘイズは、3%以下であることがより好ましい。
【0046】
光拡散フィルム102の全ヘイズ、内部ヘイズおよび表面ヘイズは、具体的には次のようにして測定される。すなわち、まず、フィルムの反りを防止するため、光学的に透明な粘着剤を用いて光拡散フィルム102を、光拡散層106が表面となるように、透明基材フィルム105側をガラス基板に貼合して測定用サンプルを作製し、当該測定用サンプルについて全ヘイズ値を測定する。全ヘイズ値は、JIS K 7136に準拠したヘイズ透過率計(たとえば、株式会社村上色彩技術研究所製のヘイズメーター「HM−150」)を用いて、全光線透過率(Tt)および拡散光線透過率(Td)を測定し、上記式(2)によって算出される。
【0047】
ついで、光拡散層106の表面に、ヘイズがほぼ0%であるトリアセチルセルロースフィルムを、グリセリンを用いて貼合し、上述の全ヘイズの測定と同様にしてヘイズを測定する。当該ヘイズは、光拡散層106の表面形状に起因する表面ヘイズが、貼合されたトリアセチルセルロースフィルムによってほぼ打ち消されていることから、光拡散フィルム102の「内部ヘイズ」とみなすことができる。したがって、光拡散フィルム102の「表面ヘイズ」は、下記式(3):
表面ヘイズ(%)=全ヘイズ(%)−内部ヘイズ(%) (3)
より求められる。
【0048】
なお、光拡散フィルム102は、透明基材フィルム105と光拡散層106との間に他の層(接着剤層を含む)を有していてもよい。
【0049】
次に、光拡散フィルム102を製造するための方法について説明する。光拡散フィルム102は、透明基材フィルム105上に、透光性微粒子106aが分散された樹脂液を塗布する方法により形成することができる。
【0050】
上記樹脂液は、透光性微粒子106a、光拡散層106を構成する透光性樹脂106bまたはこれを形成する樹脂(たとえば、電離放射線硬化型樹脂、熱硬化型樹脂または金属アルコキシド)、および必要に応じて溶媒等のその他の成分を含む。透光性樹脂106bを形成する樹脂として紫外線硬化型樹脂を用いる場合、上記樹脂液は、光重合開始剤(ラジカル重合開始剤)を含む。光重合開始剤としては、たとえば、アセトフェノン系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤、トリアジン系光重合開始剤、オキサジアゾール系光重合開始剤などが用いられる。また、光重合開始剤として、たとえば、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、2,2’−ビス(o−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、10−ブチル−2−クロロアクリドン、2−エチルアントラキノン、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、フェニルグリオキシル酸メチル、チタノセン化合物等も用いることができる。光重合開始剤の使用量は、通常、樹脂液に含有される樹脂100重量部に対して0.5〜20重量部であり、好ましくは、1〜5重量部である。なお、光拡散フィルム102の光学特性および表面形状を均質なものとするために、樹脂溶液中の透光性微粒子106aの分散は等方分散であることが好ましい。
【0051】
透明基材フィルム105上への上記樹脂液の塗布は、たとえば、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、ロッドコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート法、キスコート法、ダイコート法などによって行なうことができる。樹脂液の塗布にあたっては、上述のように、光拡散層106の厚さが、透光性微粒子106aの重量平均粒径に対して1倍以上3倍以下となるように、塗布膜厚を調整することが好ましい。
【0052】
樹脂液の塗布性の改良または光拡散層106との接着性の改良を目的として、透明基材フィルム105の表面(光拡散層側表面)には、各種表面処理を施してもよい。表面処理としては、コロナ放電処理、グロー放電処理、酸表面処理、アルカリ表面処理、紫外線照射処理などが挙げられる。また、透明基材フィルム105上に、たとえばプライマー層(易接着層)等の他の層を形成し、この他の層の上に、樹脂液を塗布するようにしてもよい。
【0053】
また、透明基材フィルム105と偏光フィルム101との接着性を向上させるために、透明基材フィルム105の光拡散層106とは反対側の表面に、上記したような表面処理を施すことが好ましい。
【0054】
光拡散フィルム102は、透明基材フィルム105上に、透光性微粒子106aが分散された樹脂液を塗布した後、樹脂液からなる層の表面に、金型の鏡面または凹凸面を転写する方法によっても形成することができる。すなわち、上記中心線平均粗さRaを有する光拡散層106は、上記樹脂液を塗布した後、当該樹脂液からなる層の表面に、必要に応じて鏡面を有する金型(鏡面金型)の当該鏡面または凹凸面を有する金型(エンボス加工用金型)の当該凹凸面を密着させて、鏡面または凹凸面を転写することによっても形成することができる。鏡面金型は鏡面金属製ロールでもよく、また、エンボス加工用金型はエンボス加工用金属製ロールでもよい。
【0055】
透光性樹脂106bを形成する樹脂として電離放射線硬化型樹脂、熱硬化型樹脂または金属アルコキシドを用いる場合は、上記樹脂液からなる層を形成し、必要により乾燥(溶媒の除去)を行ない、必要に応じてその樹脂液からなる層の表面に金型の鏡面または凹凸面を密着させた状態でまたは密着させた後、電離放射線の照射(電離放射線硬化型樹脂を用いる場合)または加熱(熱硬化型樹脂または金属アルコキシドを用いる場合)により樹脂液からなる層を硬化させる。電離放射線としては、樹脂液に含まれる樹脂の種類に応じて紫外線、電子線、近紫外線、可視光、近赤外線、赤外線、X線などから適宜選択することができるが、これらの中で紫外線、電子線が好ましく、特に取り扱いが簡便で高エネルギーが得られることから紫外線が好ましい。
【0056】
紫外線の光源としては、たとえば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。また、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、エキシマランプまたはシンクロトロン放射光等も用いることができる。これらの中でも、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、キセノンアーク、メタルハライドランプが好ましく用いられる。
【0057】
また、電子線としては、コックロフトワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される50〜1000keV、好ましくは100〜300keVのエネルギーを有する電子線を挙げることができる。
【0058】
次に、光拡散フィルム102を製造するための好ましい実施形態について説明する。当該好ましい実施形態に係る製造方法は、光拡散フィルム102を連続的に製造するために、ロール状に巻き付けられた透明基材フィルム105を連続的に送り出す工程、透光性微粒子106aが分散された樹脂液を塗布し、必要に応じて乾燥させる工程、樹脂液からなる層を硬化させる工程、および、得られた光拡散フィルム102を巻き取る工程を含む。かかる製造方法は、たとえば図2に示される製造装置を用いて実施することができる。
【0059】
まず、巻き出し装置301により透明基材フィルム105が連続的に巻き出される。ついで、巻き出された透明基材フィルム105上に、塗工装置302およびこれに対向するバックアップロール303を使用して、透光性微粒子106aが分散された樹脂液が塗工される。次に、樹脂液に溶媒が含まれる場合には、乾燥機304を通過させることにより乾燥される。次に、樹脂液からなる層が設けられた透明基材フィルム105は、鏡面金属製ロールまたはエンボス加工用金属製ロール305とニップロール306との間へ、その樹脂液からなる層が鏡面金属製ロールまたはエンボス加工用金属製ロール305と密着するように巻き掛けられる。これにより、樹脂液からなる層の表面に鏡面金属製ロールの鏡面またはエンボス加工用金属製ロールの凹凸面が転写される。ついで、透明基材フィルム105が鏡面金属製ロールまたはエンボス加工用金属製ロール305に巻き掛けられた状態で、透明基材フィルム105を通して、紫外線照射装置308から紫外線を照射することにより、樹脂液からなる層を硬化させる。紫外線照射により照射面が高温になることから、鏡面金属製ロールまたはエンボス加工用金属製ロール305は、その表面温度を室温〜80℃程度に調整するための冷却装置をその内部に備えることが好ましい。また、紫外線照射装置308は、1機、もしくは複数機を使用することができる。光拡散層106が形成された透明基材フィルム105(光拡散フィルム102)は、剥離ロール307によって、鏡面金属製ロールまたはエンボス加工用金属製ロール305から剥離される。以上のようにして作製された光拡散フィルム102は、巻き取り装置309へ巻き取られる。この際、光拡散層106を保護する目的で、再剥離性を有した粘着剤層を介して、光拡散層106表面にポリエチレンテレフタレートやポリエチレン等からなる表面保護フィルムを貼着しながら巻き取ってもよい。
【0060】
なお、剥離ロール307によって鏡面金属製ロールまたはエンボス加工用金属製ロール305から剥離された後に、追加の紫外線照射を行なってもよい。また、鏡面金属製ロールまたはエンボス加工用金属製ロール305に巻き掛けられた状態で紫外線照射を行なう代わりに、未硬化の樹脂液からなる層が形成された透明基材フィルム105を鏡面金属製ロールまたはエンボス加工用金属製ロール305から剥離した後に、紫外線を照射して硬化させてもよい。
【0061】
光拡散フィルム102と偏光フィルム101とは、接着剤層などを介して互いに貼合される。光拡散フィルム102は、偏光フィルム101の保護フィルムとしても機能しており、このような構成は、光拡散性偏光板の薄膜化に有利である。接着剤としては、エポキシ樹脂を含有する硬化性樹脂組成物等の活性エネルギー線または熱硬化性樹脂組成物からなる接着剤や、接着剤成分としてポリビニルアルコール系樹脂またはウレタン樹脂を含有する水系接着剤などを好ましく用いることができる。なかでも、乾燥工程を要しない等の生産効率の向上を図ることができ、良好な接着強度が得られることから、エポキシ樹脂を含有する硬化性樹脂組成物からなる接着剤がより好ましく用いられる。
【0062】
エポキシ樹脂を含有する硬化性樹脂組成物からなる接着剤を用いた光拡散フィルム102と偏光フィルム101との貼合は、該接着剤を光拡散フィルム102または偏光フィルム101の貼合面に塗工し、未硬化の接着剤層を介して両フィルムを積層した後、活性エネルギー線を照射するか、または加熱することにより、未硬化の接着剤層を硬化させることにより行なうことができる。接着剤の塗工方法に特別な限定はなく、たとえば、ドクターブレード、ワイヤーバー、ダイコーター、コンマコーター、グラビアコーターなど、種々の塗工方式が利用できる。各塗工方式には各々最適な粘度範囲があるため、有機溶剤を用いて接着剤の粘度調整を行なってもよい。硬化後の接着剤層の厚さは、通常0.1〜20μmであり、好ましくは0.2〜10μm、さらに好ましくは0.5〜5μmである。
【0063】
(表面処理フィルム)
表面処理フィルム103は、透明樹脂フィルム107の一方の面に光学的処理が施されたフィルムであり、具体的には、透明樹脂フィルム107の一方の面に所望の光学機能を有する表面処理層108を形成したフィルムであることができる。透明樹脂フィルム107としては、たとえば、TAC(トリアセチルセルロース)等のセルロースアセテート系樹脂、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系樹脂、ポリカーボネート樹脂、およびポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂などからなる樹脂フィルムを用いることができる。透明樹脂フィルム107の厚さは、たとえば10〜500μmであり、好ましくは20〜300μmである。
【0064】
表面処理フィルム103としては、たとえば、表面処理層108が表面での乱反射を利用して表示画面への映り込みを低減または防止する、表面凹凸を有する防眩層である(すなわち、上記光学的処理が防眩処理である)防眩フィルムや、表面処理層108が表示画面に入射した外光の反射を低減または防止することにより、表示画面への映り込みを低減または防止する反射防止層である(すなわち、上記光学的処理が反射防止処理である)反射防止フィルムを挙げることができる。
【0065】
防眩フィルムとしては、たとえば、透明樹脂フィルム107上に微粒子を含有する、または含有しない紫外線硬化型樹脂組成物を塗工した後、形成された紫外線硬化型樹脂層に所定の表面凹凸形状を有する金型の該凹凸面を押し付けながら紫外線硬化型樹脂層を硬化させることにより、防眩層に所定の表面凹凸を付与したものや、透明樹脂フィルム107上に微粒子を含有する紫外線硬化型樹脂組成物を塗工した後、金型を用いることなく、紫外線硬化型樹脂層を硬化させることにより、防眩層に微粒子による所定の表面凹凸を付与したものなどを用いることができる。防眩フィルムとして、市販の防眩フィルムを使用することもできる。
【0066】
反射防止フィルムとしては、たとえば、光拡散層106の屈折率よりも低い材料から構成された低屈折率層を反射防止層として備えるものや、光拡散層106の屈折率より高い材料から構成された高屈折率層と、この高屈折率層の屈折率より低い材料から構成された低屈折率層との積層構造を反射防止層として備えるものなどを挙げることができる。低屈折率層は、たとえば、シリカ、金属フッ化物微粒子(LiF、MgF、3NaF・AlF、AlF、Na3AlF6等)、内部に空隙を有する微粒子(中空シリカ微粒子等)、フッ素含有ポリマーなどの低屈折率材料およびバインダー樹脂を含有するものであることができる。バインダー樹脂形成材料は従来公知のものであってよく、ポリシロキサン樹脂、ケイ素アルコキシドの加水分解物、光または熱硬化性多分岐化合物(デンドリマーやハイパーブランチポリマー等)、その他の光または熱硬化性樹脂を用いることができる。透明樹脂フィルムと低屈折率層または高屈折率層との間には、ハードコート層や帯電防止層等の他の層の1種または2種以上が介在していてもよい。反射防止フィルムとして、市販の反射防止フィルムを使用することもできる。
【0067】
本発明の光拡散性偏光板において、表面処理フィルム103は、通常、その透明樹脂フィルム107の表面処理層108とは反対側の面(表面処理フィルム103の光学的処理が施されていない面)で、粘着剤層104を介して光拡散フィルム102の光拡散層106に貼合される。
【0068】
(粘着剤層)
粘着剤層104は、25℃における貯蔵弾性率が1.0×106Pa未満である粘着剤層からなる。かかる範囲内の貯蔵弾性率を示す粘着剤層を介して、光拡散層106に表面処理フィルム103を貼合することにより、光拡散層106の表面凹凸と粘着剤層104との間への気泡混入による色抜け発生を効果的に抑制することができる。25℃における貯蔵弾性率が1.0×106Pa以上であると、貼合時に光拡散層106の表面凹凸と粘着剤層104に気泡が入り込み、液晶表示装置に適用した際に、該気泡に対応するドット形状の色抜けが発生する。貼合時の気泡混入をより効果的に抑制する観点から、粘着剤層104の25℃における貯蔵弾性率は、5.0×105Pa以下であることが好ましい。
【0069】
また、粘着剤層104の25℃における貯蔵弾性率は、1.0×105Pa以上であることが好ましい。これにより、光拡散性偏光板の最表面(表面処理108の表面)の良好な硬度(鉛筆硬度)を確保することができる。貯蔵弾性率が1.0×105Pa未満であると、最表面が凹みやすくなり、十分な硬度を維持できないことがある。
【0070】
貯蔵弾性率(動的弾性率)とは、一般的に用いられる粘弾性測定の用語を意味するものであるが、試料に時間によって変化(振動)する歪みまたは応力を与えて、それによって発生する応力または歪みを測定することにより、試料の力学的な性質を測定する方法(動的粘弾性測定)によって求められる値であり、歪みを応力と同位相と、応力に対して位相が90度ずれた2成分の波に分けたとき、振動応力と同位相にある弾性率である。貯蔵弾性率は、市販の粘弾性測定装置、たとえば、後掲の実施例に示すような動的粘弾性測定装置(Dynamic Analyzer RDA II:REOMETRIC株式会社製)を用いて測定することができる。粘弾性測定装置の温度制御には、循環恒温槽、電気ヒーター、ペルチェ素子等の種々公知の温度制御デバイスが用いられており、これによって測定時の温度を設定することができる。
【0071】
上記貯蔵弾性率を示す粘着剤層を形成する粘着剤としては、たとえば、アクリル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテルなどをベースポリマーとする粘着剤を挙げることができる。なかでも、透明性、粘着力、信頼性、リワーク性などの観点から、アクリル系ポリマーをベースポリマーとするアクリル系粘着剤が好ましく用いられる。アクリル系ポリマーにおいては、メチル基、エチル基、ブチル基等の炭素数が20以下のアルキル基を有するアクリル酸のアルキルエステルと、(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルなどからなる官能基含有アクリル系モノマーとを、ガラス転移温度が好ましくは25℃以下、さらに好ましくは0℃以下となるように共重合させた、重量平均分子量が10万以上のアクリル系共重合体が、ベースポリマーとして有用である。
【0072】
アクリル系ベースポリマーとしては、特に限定されるものではないが、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルなどの(メタ)アクリル酸エステル系ベースポリマーや、これらの(メタ)アクリル酸エステルを2種類以上用いた共重合系ベースポリマーが好適に用いられる。また、これらのベースポリマーには、極性モノマーが共重合されていてもよい。極性モノマーとしては、たとえば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリルアミド、2−N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートなどの、カルボキシル基、水酸基、アミド基、アミノ基、エポキシ基などの極性官能基を有するモノマーを挙げることができる。
【0073】
これらのアクリル系ポリマーは、単独でも粘着剤として使用可能であるが、粘着剤には通常、架橋剤が配合される。架橋剤としては、2価または多価金属イオンであって、カルボキシル基との間でカルボン酸金属塩を形成するもの、ポリアミン化合物であって、カルボキシル基との間でアミド結合を形成するもの、ポリエポキシ化合物またはポリオール化合物であって、カルボキシル基との間でエステル結合を形成するもの、ポリイソシアネート化合物であって、カルボキシル基との間で尿素結合を形成するものなどが例示される。
【0074】
たとえば架橋剤の種類や量を適宜に選択してベースポリマーの架橋密度を比較的低くしたり、ベースポリマーを形成するモノマーの種類などを適宜に選択してその酸価を比較的小さくしたり、あるいはまた、ベースポリマーの重合度を下げて低分子量成分の含有量を比較的大きくさせたりすることによって粘着剤層の貯蔵弾性率を上記範囲内にまで低くすることができる。一方、粘着剤組成物にオリゴマー(ウレタンアクリレート系オリゴマーなど)を配合したり、このようなオリゴマー配合粘着剤組成物にさらにエネルギー線を照射して硬化させたりすることにより、貯蔵弾性率を高くすることが可能であるので、貯蔵弾性率を調整するために、このような手法を併用してもよい。
【0075】
粘着剤には、上記のベースポリマーおよび架橋剤のほか、必要に応じて、粘着剤の粘着力、凝集力、粘性、弾性率、ガラス転移温度などを調整するために、たとえば、天然物または合成物である樹脂類、粘着性付与樹脂、酸化防止剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、消泡剤、腐食抑制剤、光重合開始剤などの適宜な添加剤を配合することもできる。紫外線吸収剤としては、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、シアノアクリレート系化合物およびニッケル錯塩系化合物などが挙げられる。
【0076】
粘着剤層は、上述のような粘着剤を、たとえば有機溶剤溶液とし、それを透明樹脂フィルム107上にダイコーターやグラビアコーターなどによって塗布し、乾燥させる方法によって設けることができる他、離型処理が施されたプラスチックフィルム(セパレートフィルムと呼ばれる)上に形成されたシート状粘着剤を光拡散層106または透明樹脂フィルム107に転写する方法によっても設けることができる。粘着剤層の厚さは、通常2〜40μmの範囲であり、好ましくは5〜30μmの範囲である。
【0077】
透明樹脂フィルム107および/または光拡散層106の貼合面には、粘着剤による貼合に先立って、コロナ放電処理、プライマー処理(プライマー層の形成)などの易接着処理が施されてもよい。
【0078】
(保護フィルム)
図1に示されるように、本発明の光拡散性偏光板は、偏光フィルム101の光拡散フィルム102とは反対側に接着剤層等を介して積層された保護フィルム109を備えていてもよい。保護フィルム109は、低複屈折性で、透明性や機械的強度、熱安定性や水分遮蔽性などに優れるポリマーからなるフィルムであることが好ましい。このようなフィルムとしては、たとえば、TAC(トリアセチルセルロース)などのセルロースアセテート系樹脂;アクリル系樹脂;四フッ化エチレン/六フッ化プロピレン系共重合体のようなフッ素系樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ポリイミド系樹脂;ポリスルホン系樹脂;ポリエーテルスルホン系樹脂;ポリスチレン系樹脂;ポリビニルアルコール系樹脂;ポリ塩化ビニル系樹脂;ポリオレフィン系樹脂もしくはポリアミド系樹脂等からなる樹脂フィルムが挙げられる。これらの中でも、偏光特性や耐久性などの点から、トリアセチルセルロースフィルムやノルボルネン系熱可塑性樹脂フィルムが好ましく使用される。ノルボルネン系熱可塑性樹脂フィルムは、耐湿熱性が高いため、偏光板の耐久性を大幅に向上させることができるとともに、吸湿性が少ないため、寸法安定性が高く、特に好適である。上記樹脂のフィルムへの成形加工は、キャスティング法、カレンダー法、押出法の従来公知の方法を用いることができる、保護フィルム109の厚さは特に限定されないが、偏光板の薄膜化等の観点から500μm以下が好ましく、より好ましくは5〜300μmの範囲、さらに好ましくは5〜150μmの範囲である。
【0079】
偏光フィルム101と保護フィルム109との接着剤を用いた貼合は、表面処理フィルム103と光拡散フィルム102との貼合について上述したものと同様の接着剤を用いて同様の方法によって行なうことができる。
【0080】
偏光フィルム101には、保護フィルム109の代わりに、位相差フィルム(位相差板)等の光学補償フィルムなどが貼合されてもよい。
【0081】
以上のような構成の光拡散性偏光板は、典型的には、液晶表示装置に適用する場合、表面処理フィルム103が視認側となるように、粘着剤層等を介して液晶セルのガラス基板に貼着されて液晶表示装置に組み込まれる。
【0082】
<液晶表示装置>
次に、本発明に係る液晶表示装置について説明する。本発明の液晶表示装置は、バックライト装置と、光拡散手段と、バックライト側偏光板と、液晶セルと、上記本発明の光拡散性偏光板とをこの順で備えるものである。図3は、本発明の液晶表示装置の好ましい一例を示す概略断面図である。図3の液晶表示装置400は、ノーマリーホワイトモードのTN方式の液晶表示装置であって、バックライト装置402、光拡散手段403、バックライト側偏光板404、一対の透明基板411a、411bの間に液晶層412が設けられてなる液晶セル401、および、視認側偏光板である本発明に係る光拡散性偏光板405がこの順で配置されてなる。バックライト側偏光板404と光拡散性偏光板405は、それらの透過軸が直交ニコルの関係となるように配置される。
【0083】
バックライト装置402は、上面開口の直方体形状のケース421と、ケース421内に複数本並列配置された、線状光源としての冷陰極管422とを備える直下型のバックライト装置である。また、光拡散手段403は、バックライト装置402上に配置された光拡散板403aと、光拡散板403aの前面側(光拡散板403aとバックライト側偏光板404との間)に設けられた光偏向板(プリズムシート)403bとから構成される。
【0084】
このような構成の液晶表示装置400において、バックライト装置402から放射された光は、光拡散手段403の光拡散板403aによって拡散された後、光偏向板403bによって液晶セル401の光入射面の法線方向に対する所定の指向性が付与される。この法線方向に対する指向性は従来の装置よりも高い設定とされている。そして、所定の指向性が付与された光は、バックライト側偏光板404によって偏光とされて液晶セル401に入射する。液晶セル401に入射した光は、液晶層412によって偏光状態が制御されて液晶セル401から出射する。そして、液晶セル401から出射した光は、光拡散性偏光板405によって拡散される。
【0085】
このように、本発明の液晶表示装置では、光拡散手段403における、液晶セル401に入射する光の法線方向への指向性を従来よりも高くする、すなわち液晶セル401への入射光を従来よりも集光されたものとし、これを光拡散性偏光板405によってさらに拡散させる。これによって、従来の装置に比べて色再現性などの優れた画像品位が得られるようになる。
【0086】
以下、本発明の液晶表示装置を構成する構成部材についてより詳細に説明する。
(液晶セル)
液晶セル401は、スペーサーにより所定距離を隔てて対向配置された一対の透明基板411a、411bと、この一対の透明基板411a、411bの間に液晶を封入してなる液晶層412を備える。一対の透明基板411a、411bには、それぞれ透明電極や配向膜が積層形成されており、透明電極間に表示データに基づいた電圧が印加されることによって液晶が配向する。液晶セル401の表示方式は、上記の例ではTN方式であるが、IPS方式、VA方式などの表示方式も採用してもよい。
【0087】
(バックライト装置)
バックライト装置402は、上面開口の直方体形状のケース421と、ケース421内に複数本並列配置された、線状光源としての冷陰極管422とを備える。ケース421は、樹脂材料や金属材料から成形されてなり、冷陰極管422から放射された光をケース421内周面で反射させる観点から、少なくともケース421内周面は白色または銀色であることが望ましい。光源としては、冷陰極管の他、線状形状等の各種形状のLED等も使用できる。線状光源を用いる場合、配置する線状光源の本数に特に限定はないが、発光面の輝度ムラの抑制等の観点から、隣接する線状光源の中心間距離が15mmから150mmの範囲であることが好ましい。なお、本発明で使用するバックライト装置402は、図3に示す直下型のものに限定されるものではなく、導光板の側面に線状光源または点状光源を配置したサイドライト型、あるいは平面状光源型などの各種のものが使用できる。
【0088】
〔光拡散手段〕
光拡散手段403は、図4に示されるように、バックライト装置402上に配置された光拡散板403aと、光拡散板403aの前面側(光拡散板403aとバックライト側偏光板404との間)に設けられた光偏向板(プリズムシート)403bとから構成されることが好ましい。光拡散板403aは、たとえば、図4に示されるように、基材430に光拡散剤440が分散混合されてなるフィルムまたはシートであることができる。基材430としては、ポリカーボネート系樹脂、メタクリル系樹脂、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂、メタクリル酸−スチレン共重合体樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリプロピレンやポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリイミド系樹脂等が使用できる。
【0089】
また、基材430に混合分散させる光拡散剤440は、基材430となる材料とは屈折率が異なる材料からなる微粒子である限り特に制限されないが、たとえば、基材430となる材料とは異なる種類のアクリル系樹脂、メラミン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、有機シリコーン樹脂、アクリル−スチレン共重合体樹脂などからなる有機微粒子、および炭酸カルシウム、シリカ、酸化アルミニウム、炭酸バリウム、硫酸バリウム、酸化チタン、ガラスなどからなる無機微粒子が挙げられる。使用する光拡散剤440は、1種のみであってもよく、2種以上を併用してもよい。また、有機重合体のバルーンやガラス中空ビーズも光拡散剤440として使用できる。光拡散剤440の重量平均粒径は0.5〜30μmの範囲が好ましい。また、光拡散剤440の形状は球形、偏平、板状、針状等であってよいが、好ましくは球形である。
【0090】
一方、光偏向板(プリズムシート)403bは、光入射面側(バックライト装置402側)が平坦面で、光出射側の面(バックライト側偏光板404に対向する表面)に、断面が先細の多角形状、好ましくは三角形状の線状プリズム450が平行に複数形成されたものである。光偏向板403bの材料としては、たとえば、ポリカーボネート系樹脂、ABS樹脂、メタクリル樹脂、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂等が挙げられる。光偏向板403bの作製方法としては、通常の熱可塑性樹脂の成形法を用いることができ、たとえば、金型を用いた熱プレス成形や、押出成形などが挙げられる。光偏向板403bの厚さは、通常、0.1〜15mmであり、好ましくは0.5〜10mmである。
【0091】
光拡散板403aと光偏向板403bとは一体に成形してもよいし、別々に作製した後接合してもよい。また、別々に作製し接合する場合、光拡散板403aと光偏向板403bとの間に空気層を介して接触させてもよい。また、光拡散板403aと光偏向板403bとは、離間して配置してもよい。
【0092】
光拡散手段403は、図5に示すように、光偏向機能を奏する光偏向板403bに光拡散剤440を分散混合させて、光拡散機能を付与したものであってもよい。
【0093】
さらに、光拡散手段403は、図6に示すように、光拡散板403aの前面側に配置された2枚の光偏向板(プリズムシート)を有するものであってもよい。この場合、図6を参照して、光拡散板403aに近い側に配置される光偏向板403bは、その線状プリズム450の稜線451の方向がバックライト側偏光板404の透過軸方向と実質的に平行となるよう配置され、光偏向板403bの前面側に配置される光偏向板403b’は、その線状プリズム450’の稜線451’の方向が光拡散性偏光板405の透過軸方向と実質的に平行となるように配置されることが好ましい。このような構成により、液晶表示装置における正面方向の輝度をより向上させることができる。ただし、光偏向板403b’の線状プリズム450’の稜線451’の方向がバックライト側偏光板404の透過軸方向と実質的に平行となるよう配置し、光偏向板403bの線状プリズム450の稜線451の方向が光拡散性偏光板405の透過軸方向と実質的に平行となるように配置することも可能である。
【0094】
光拡散手段403を通過した光の配光特性は、液晶セル401の光入射面の法線方向から70°傾いた方向の輝度値が、正面輝度値、すなわち、液晶セル401の光入射面の法線方向の輝度値に対して20%以下であり、かつ、光拡散手段403からの出射光は非平行光を含むものであることが好ましい。より好ましい配光特性は、液晶セル401の光入射面の法線に対して60°を超える光がないようにすることである。通常、図3に示すように、光拡散手段403の背面と、液晶セル401の光入射面とは平行に配置されるので、液晶セル401の光入射面の法線に対して70°方向の輝度値とは、たとえば、図7に示すように、光拡散手段403の長手方向をx方向とし、光拡散手段403の背面に平行な面をxy面としたときに、このxy面に対する法線であるz軸に対して70°方向の輝度値となり、好ましくは、xz面上においてz軸となす角が70°となる方向の輝度値である。このような配光特性とするには、たとえば、光偏向板403bの断面三角形状の線状プリズム450(および/または線状プリズム450’)の形状を調整すればよい。線状プリズム450,450’の頂角θ(図4および図5参照)は、60〜120°の範囲が好ましく、より好ましくは90〜110°である。この三角形の形状は、等辺、不等辺は任意であるが、液晶セル401の法線方向(液晶表示装置の正面方向)に集光しようとする場合には二等辺三角形が好ましい。また、線状プリズムから構成されるプリズム面は、三角形の頂角に相対した底辺が互いに隣接するように順次配置され、複数の線状プリズムが互いにほぼ平行になるように配列した構造とするのが好ましい。この場合、集光能力が著しく減退しない限り、線状プリズムの頂点および隣接する線状プリズムによって形成されるV字状溝は、曲線形状となっていてもよい。線状プリズムの稜線間の距離(図4および図5に示される距離d)は、通常、10μm〜500μmの範囲であり、好ましくは、30μm〜200μmの範囲である。
【0095】
非平行光とは、図8に示すように、光拡散手段403の出射面における直径1cmの円内から出射された光を、該出射面の法線方向に1m離れた、該出射面に平行な観察面における投影像として観察したとき、その投影像の面内輝度分布の最小半値幅が30cm以上であるような出射特性を有する光である。
【0096】
(バックライト側偏光板)
バックライト側偏光板404としては、通常は、偏光フィルムの片面または両面に保護フィルムを貼合したものを使用することができる。偏光フィルムおよび保護フィルムとしては、光拡散性偏光板について上述したものを用いることができる。
【0097】
(位相差板)
本発明の液晶表示装置は、図9に示されるように、位相差板406を備えることができる。図9に示される液晶表示装置400’おいて位相差板406は、バックライト側偏光板404と液晶セル401との間に配置されている。この位相差板406は、液晶セル401の表面に対して垂直な方向に位相差がほぼゼロのものであり、真正面からは何ら光学的な作用を及ぼさず、斜めから見たときに位相差が発現し、液晶セル401で生じる位相差を補償するものである。これによって、より広い視野角が得られ、より優れた表示品位および色再現性が得られるようになる。位相差板406は、バックライト側偏光板404と液晶セル401の間、もしくは、光拡散性偏光板405と液晶セル401の間の一方、または、その両方に配置することができる。位相差板406は、バックライト側偏光板404の保護フィルム上に積層することもできるし、あるいは保護フィルムの機能を兼ねて、偏光フィルム上に直接積層することもできる。光拡散性偏光板405についても同様である。
【0098】
位相差板406としては、たとえば、ポリカーボネート樹脂や環状オレフィン系重合体樹脂をフィルムにし、このフィルムをさらに二軸延伸したものや、液晶性モノマーをフィルムに塗布し、光重合反応によってその分子配列を固定化したもの等が挙げられる。位相差板406は、液晶の配列を光学的に補償するものであるから、液晶配列と逆の屈折率特性のものを用いる。具体的にはTNモードの液晶セルには、たとえば、「WVフィルム」(富士フイルム株式会社製)、STNモードの液晶表示セルには、たとえば、「LCフィルム」(新日本石油株式会社製)、IPSモードの液晶表示セルには、たとえば、二軸性位相差フィルム、VAモードの液晶表示セルには、たとえば、AプレートおよびCプレートを組み合わせた位相差板や二軸性位相差フィルム、πセルモードの液晶表示セルには、たとえば、「OCB用WVフィルム」(富士フイルム株式会社製)等が好適に使用できる。
【実施例】
【0099】
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、以下の例における光拡散フィルムのヘイズおよび表面の中心線平均粗さRa、光拡散層の厚さおよび光拡散層に用いた透光性微粒子の重量平均粒径、粘着剤層の貯蔵弾性率、ならびに表面処理フィルムの表面(表面処理層表面)の鉛筆硬度の測定方法は次のとおりである。
【0100】
(a)ヘイズ
光学的に透明な粘着剤を用いて、光拡散フィルムを、その基材フィルム側でガラス基板に貼合した測定用サンプルを用いて測定を行なった。全ヘイズ値および内部ヘイズの測定には、JIS K 7136に準拠したヘイズ透過率計(株式会社村上色彩技術研究所製のヘイズメーター「HM−150」)を用いた。その結果に基づき、上記式(3)より表面ヘイズを算出した。
【0101】
(b)中心線平均粗さRa
JIS B 0601に準拠した共焦点干渉顕微鏡(たとえば、株式会社オプティカルソリューション社製の「PLμ2300」)を用いて測定を行ない、上記式(1)に基づいて算出した。
【0102】
(c)光拡散層の厚さ
光拡散フィルムの厚さをNIKON社製 DIGIMICRO MH−15(本体)およびZC−101(カウンター)を用いて測定し、基材厚み80μmを測定層厚から差し引くことにより光拡散層の厚さを測定した。
【0103】
(d)透光性微粒子の重量平均粒径および粒径の標準偏差
コールター原理(細孔電気抵抗法)に基づき、コールターマルチサイザー(ベックマンコールター社製)を用いて測定した。
【0104】
(e)粘着剤層の貯蔵弾性率(25℃)
測定対象の粘着剤からなる直径8mm×厚み1mmの円柱状の試験片を作製し、動的粘弾性測定装置(Dynamic Analyzer RDA II:REOMETRIC株式会社製)を用いて、周波数1Hzの捻りせん断法で初期歪み1Nとし、温度25℃の条件で測定を行なった。
【0105】
(f)表面処理フィルム表面の鉛筆硬度
JIS K 5600−5−4(鉛筆引っかき試験法)に準拠し、荷重500gで5回引っかき測定を行ない、2回以上傷が付かない場合における最も硬い鉛筆の硬度を表面処理フィルム表面の硬度とした。鉛筆硬度の測定は、表面処理フィルムを光拡散フィルムに貼合する前および貼合した後(各実施例、比較例で作製した表面処理フィルムが貼合された光拡散性偏光板における表面処理フィルム表面の硬度)の双方について行なった。
【0106】
〔表面処理フィルムの作製〕
(製造例1:防眩フィルムの作製)
直径200mmの鉄ロール(JISによるSTKM13A)の表面に銅バラードめっきが施されたものを用意した。銅バラードめっきは、銅めっき層/薄い銀めっき層/表面銅めっき層からなるものであり、めっき層全体の厚みは、約200μmであった。その銅めっき表面を鏡面研磨し、さらにその研磨面に、ブラスト装置((株)不二製作所製)を用いて、ジルコニアビーズTZ−B125(東ソー(株)製、平均粒径:125μm)を、ブラスト圧力0.05MPa(ゲージ圧、以下同じ)、微粒子使用量16g/cm2(ロールの表面積1cm2あたりの使用量、以下同じ)でブラストし、表面に凹凸を形成した。その凹凸面に、ブラスト装置((株)不二製作所製)を用いて、ジルコニアビーズTZ−SX−17(東ソー(株)製、平均粒径:20μm)を、ブラスト圧力0.1MPa、微粒子使用量4g/cm2でブラストし、表面凹凸を微調整した。得られた凹凸つき銅めっき鉄ロールに対し、塩化第二銅液でエッチング処理を行なった(エッチング量:3μm)。その後、クロムめっき加工(クロムめっきの厚さ:4μm)を行ない、金属製エンボスロールを作製した。得られた金属製エンボスロールのクロムめっき面のビッカース硬度は1000であった。ビッカース硬度は、超音波硬度計MIC10(Krautkramer社製)を用い、JIS Z 2244に準拠して測定した。
【0107】
ペンタエリスリトールトリアクリレート60重量部、および多官能ウレタン化アクリレート(ヘキサメチレンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリアクリレートの反応生成物)40重量部をプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液に混合し、固形分濃度60重量%となるように調整して紫外線硬化性樹脂組成物を得た。
【0108】
次に、上記紫外線硬化性樹脂組成物の固形分100重量部に対して、光重合開始剤である「ルシリン TPO」(BASF社製、化学名:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド)を5重量部添加し、固形分濃度が60重量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルで希釈して塗布液を調製した。
【0109】
この塗布液を、厚さ80μmのトリアセチルセルロース(TAC)フィルムである透明樹脂フィルム上に塗布し、80℃に設定した乾燥機中で1分間乾燥させた。ついで、乾燥後の透明樹脂フィルムを、上記金属製エンボスロールの凹凸面に、紫外線硬化性樹脂組成物層がロール側となるようにゴムロールで押し付けて密着させた。この状態で透明樹脂フィルム側より、強度20mW/cm2の高圧水銀灯からの光をh線換算光量で300mJ/cm2となるように照射して、紫外線硬化性樹脂組成物層を硬化させ、透明樹脂フィルム上に防眩層が形成された防眩フィルムを得た。得られた防眩フィルムの防眩層表面の鉛筆硬度は3Hであった。
【0110】
(製造例2:反射防止フィルムの作製)
ジペンタエリスリトールトリアクリレート10重量部、ペンタエリスリトールテトラアクリレート10重量部、ウレタンアクリレート(共栄社化学株式会社製「UA−306T」)30重量部、光重合開始剤として「イルガキュア184」(チバジャパン株式会社製)2.5重量部、溶媒としてメチルエチルケトン50重量部、酢酸ブチル50重量部を混合し、紫外線硬化性樹脂組成物であるハードコート層形成用塗布液を調製した。この塗布液を、厚さ80μmのTACフィルムである透明樹脂フィルム(屈折率1.49)上にワイヤーバーコーターにより塗布し、80℃に設定した乾燥機中で1分間乾燥させた。乾燥後の透明樹脂フィルムに対し、メタルハイドランプを用い、120Wの出力で20cmの距離から10秒間紫外線照射を行なうことによりハードコート層を形成した。得られたハードコート層の厚さは5μmであり、屈折率は1.52であった。
【0111】
次に、テトラエトキシシランにイソプロピルアルコール、0.1N塩酸を加え、加水分解させることより、オリゴマーからなるテトラエトキシシランの重合体を含む溶液を得た。この溶液に一次粒子径が8nmのアンチモンドープ酸化スズ(ATO)微粒子を混合し、イソプロピルアルコールを加えることにより、テトラエトキシシランの重合体を2.5重量%、アンチモンドープ酸化スズ微粒子を2.5重量%含む帯電防止層形成用塗布液を得た。一方、ハードコート層が形成されたTACフィルムを、50℃の1.5N−NaOH水溶液に2分間浸漬させてアルカリ処理を行ない、水洗後、0.5重量%のH2SO4水溶液に室温で30秒浸漬させることにより中和させ、さらに水洗し、乾燥処理を行なった。上記帯電防止層形成用塗布液をアルカリ処理したハードコート層上にワイヤーバーコーターにより塗布し、120℃に設定した乾燥機中で1分間乾燥させることにより帯電防止層を形成した。得られた帯電防止層の厚さは163nmであり、屈折率は1.53であり、光学膜厚は250nmであった。
【0112】
次に、テトラエトキシシランと1H,1H,2H,2H−パーフルオロオクチルトリメトキシシランの95:5(モル比)混合物にイソプロピルアルコール、0.1N塩酸を加え、加水分解させることより、オリゴマーからなる有機ケイ素化合物の重合体を含む溶液を得た。この溶液に内部に空隙を有する低屈折率シリカ微粒子を混合し、イソプロピルアルコールを加えることにより、有機ケイ素化合物を2重量%、低屈折率シリカ微粒子を2重量%含む低屈折率層形成用塗布液を得た。得られた低屈折率層形成用塗布液を帯電防止層上にワイヤーバーコーターにより塗布し、120℃に設定した乾燥機中で1分間乾燥させることにより低屈折率層を形成した。得られた低屈折率層の厚さは91nmであり、屈折率は1.37であり、光学膜厚は125nmであった。以上により、透明樹脂フィルム上にハードコート層、帯電防止層、低屈折率層を備える反射防止フィルムを作製した。得られた反射防止フィルムの低屈折率層表面の鉛筆硬度は2Hであった。
【0113】
〔光拡散フィルムの作製〕
(製造例3:光拡散フィルムAの作製)
ペンタエリスリトールトリアクリレート60重量部、および多官能ウレタン化アクリレート(ヘキサメチレンジイソシアネートとペンタエリスリトールトリアクリレートの反応生成物)40重量部をプロピレングリコールモノメチルエーテル溶液に混合し、固形分濃度60重量%となるように調整して紫外線硬化性樹脂組成物を得た。なお、該組成物からプロピレングリコールモノメチルエーテルを除去して紫外線硬化した後の硬化物の屈折率は1.53であった。
【0114】
次に、上記紫外線硬化性樹脂組成物の固形分100重量部に対して、第1の透光性微粒子として重量平均粒径が3.0μm、標準偏差が0.39μmであるポリスチレン系粒子を10重量部、第2の透光性微粒子として重量平均粒径が7.2μm、標準偏差が0.73μmであるポリスチレン系粒子を30重量部、および光重合開始剤である「ルシリン TPO」(BASF社製、化学名:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド)を5重量部添加し、固形分率が60重量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルで希釈して塗布液を調製した。
【0115】
この塗布液を、厚さ80μmのTACフィルム(透明基材フィルム)上に塗布し、80℃に設定した乾燥機中で1分間乾燥させた後、透明基材フィルム側より、強度20mW/cm2の高圧水銀灯からの光をh線換算光量で300mJ/cm2となるように照射して、紫外線硬化性樹脂組成物層を硬化させ、光拡散層と透明基材フィルムとからなる光拡散フィルムAを得た。
【0116】
得られた光拡散フィルムAの全ヘイズ、内部ヘイズ、表面ヘイズはそれぞれ、60.1%、59.3%、0.8%であった。また、表面の中心線平均粗さRaは0.31μmであり、光拡散層の厚さは10.5μmであった。
【0117】
<実施例1〜3、比較例1>
製造例3で得られた光拡散フィルムAの透明基材フィルム表面にコロナ処理を施した後、コロナ処理面に紫外線硬化性エポキシ樹脂と光カチオン重合開始剤とを含む紫外線硬化性接着剤を厚み4μmで塗工した。一方、保護フィルムとしてのTACフィルム(厚さ80μm)の片面にコロナ処理を施した後、コロナ処理面に上記と同じ紫外線硬化性接着剤を厚み4μmで塗工した。ついで、一軸延伸したポリビニルアルコール系樹脂フィルムにヨウ素が吸着配向されてなる偏光フィルムの一方の面に上記光拡散フィルムAをその接着剤層を介して積層するとともに、他方の面に上記保護フィルムをその接着剤層を介して積層し、一対のニップロールで挟圧した。その後、保護フィルム側から紫外線を照射し、両方の接着剤層を硬化させて光拡散性偏光板を得た。
【0118】
次に、上記光拡散性偏光板における光拡散フィルムAの光拡散層上に、透明樹脂フィルム側が貼合面となるように、製造例1で得られた防眩フィルムを、表1に示される貯蔵弾性率および厚みを有するシート状粘着剤を介して貼合し、防眩処理が施された光拡散性偏光板を得た。貼合時における光拡散層の表面凹凸への気泡混入を目視で観察した。評価結果を表1に併せて示す。また、得られた防眩処理が施された光拡散性偏光板の防眩層表面の鉛筆硬度を表1に併せて示した。
【0119】
<実施例4〜6、比較例2>
防眩フィルムの代わりに、製造例2で得られた反射防止フィルムを用いたこと以外は、実施例1〜3、比較例1と同様にして反射防止処理が施された光拡散性偏光板を得た。気泡混入の評価結果を表1に示す。また、得られた反射防止処理が施された光拡散性偏光板の低屈折率層表面の鉛筆硬度を表1に併せて示した。
【0120】
【表1】

【符号の説明】
【0121】
100,405 光拡散性偏光板、101 偏光フィルム、102 光拡散フィルム、103 表面処理フィルム、104 粘着剤層、105 透明基材フィルム、106 光拡散層、106a 透光性微粒子、106b 透光性樹脂、107 透明樹脂フィルム、108 表面処理層、109 保護フィルム、301 巻き出し装置、302 塗工装置、303 バックアップロール、304 乾燥機、305 鏡面金属製ロールまたはエンボス加工用金属製ロール、306 ニップロール、307 剥離ロール、308 紫外線照射装置、309 巻き取り装置、400,400’ 液晶表示装置、401 液晶セル、402 バックライト装置、403 光拡散手段、403a 光拡散板、403b,403b’ 光偏向板、404 バックライト側偏光板、406 位相差板、411a,411b 透明基板、412 液晶層、421 ケース、422 冷陰極管、430 基材、440 光拡散剤、450,450’ 線状プリズム、451,451’ 線状プリズムの稜線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏光フィルムと、
前記偏光フィルム上に積層される光拡散フィルムと、
前記光拡散フィルム上に積層される、透明樹脂フィルムの一方の表面に光学的処理が施されている表面処理フィルムと、
を備え、
前記光拡散フィルムは、表面の中心線平均粗さRaが0.1μm以上1μm未満である光拡散層を有するものであり、
前記光拡散フィルムの光拡散層と前記表面処理フィルムとは、25℃における貯蔵弾性率が1.0×106Pa未満である粘着剤層を介して互いに貼合されている光拡散性偏光板。
【請求項2】
前記粘着剤層の25℃における貯蔵弾性率が1.0×105Pa以上である請求項1に記載の光拡散性偏光板。
【請求項3】
前記光拡散層と、前記表面処理フィルムの光学的処理が施されていない面とが、前記粘着剤層を介して互いに貼合されている請求項1または2に記載の光拡散性偏光板。
【請求項4】
前記表面処理フィルムは、透明樹脂フィルムの一方の表面に防眩処理が施されている防眩フィルム、または、透明樹脂フィルムの一方の表面に反射防止処理が施されている反射防止フィルムである請求項1〜3のいずれかに記載の光拡散性偏光板。
【請求項5】
前記光拡散フィルムは、透明基材フィルムと、前記透明基材フィルム上に積層される、透光性樹脂中に透光性微粒子が分散された前記光拡散層とを備える請求項1〜4のいずれかに記載の光拡散性偏光板。
【請求項6】
前記光拡散層は、前記透明基材フィルム上に、前記透光性微粒子が分散された樹脂液を塗布して形成されたものである請求項5に記載の光拡散性偏光板。
【請求項7】
前記光拡散層は、前記透明基材フィルム上に、前記透光性微粒子が分散された樹脂液を塗布した後、前記樹脂液からなる層の表面に、金型の鏡面または凹凸面を転写して形成されたものである請求項5に記載の光拡散性偏光板。
【請求項8】
バックライト装置と、光拡散手段と、バックライト側偏光板と、液晶セルと、請求項1〜7のいずれかに記載の光拡散性偏光板とをこの順で備え、
前記光拡散性偏光板は、その偏光フィルム側が前記液晶セルに対向するように配置される液晶表示装置。
【請求項9】
前記光拡散手段からの出射光は、前記液晶セルの光入射面の法線方向から70°傾いた方向の輝度が前記法線方向の輝度に対して20%以下である配光特性を有し、かつ、非平行光を含む、請求項8に記載の液晶表示装置。
【請求項10】
前記光拡散手段は、前記バックライト装置側から、光拡散板と、光偏向板とをこの順で備える請求項8または9に記載の液晶表示装置。
【請求項11】
前記液晶セルは、TN方式液晶セル、IPS方式液晶セルまたはVA方式液晶セルのいずれかである請求項8〜10のいずれかに記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−78420(P2012−78420A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−221185(P2010−221185)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】