光検出装置
【課題】チップ上の複数の箇所に光照射が可能であるにも関わらず、装置の小型化や消費エネルギーの削減も実現可能な技術を提供すること。
【解決手段】本発明では、サンプルへの光照射によってサンプル中から発せられる蛍光の検出が行われる複数の検出領域が設けられた基板と、前記光照射を行う光照射手段と、該光照射手段から出射された光を、複数の前記検出領域に対して照射するための光学的制御手段と、前記蛍光を検出する光検出手段と、が少なくとも備えられた光検出装置を提供する。
【解決手段】本発明では、サンプルへの光照射によってサンプル中から発せられる蛍光の検出が行われる複数の検出領域が設けられた基板と、前記光照射を行う光照射手段と、該光照射手段から出射された光を、複数の前記検出領域に対して照射するための光学的制御手段と、前記蛍光を検出する光検出手段と、が少なくとも備えられた光検出装置を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光検出装置に関する。より詳細には、遺伝子発現解析、感染症検査、またSNP解析等の遺伝子解析、タンパク質解析、細胞解析などに供せられる光検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療分野、創薬分野、臨床検査分野、食品分野、農業分野、工学分野、法医学分野、犯罪鑑識分野などの様々な分野で、遺伝子解析、タンパク質解析、細胞解析などに関する技術研究が広く進められている。特に最近では、核酸やタンパク質、細胞などの検出や解析など各種の反応を、チップに設けられたマイクロスケールの流路やウエル内で行うラボ・オン・チップの技術開発や実用化が進められており、生体分子などを簡便に計測する手法として注目を集めている。
【0003】
このようなチップに設けられたマイクロスケールの流路やウエル内で行うラボ・オン・チップの技術では、実際の現場(例えば、医療現場など)において、各種解析を行うことが可能な装置の開発が切望されており、装置の小型化を如何に実現させるかが、避けて通れない課題である。そのため、コンパクトな装置内において効率的に検出や解析を行うためには、用いるチップ・装置や検出・解析方法などに様々な工夫を行う必要がある。
【0004】
例えば、特許文献1では、試薬が熱溶解性結合剤と混合されてマイクロ流路内の所定位置に担架され、被検査液の導入時温度からの昇温により熱溶解性結合剤が担架されている所定位置で溶解を開始することで、溶解処理、混合処理を効率よく実施でき、更に、その後の反応処理や分析処理を同一位置で実施可能なため、マイクロ流路上の処理位置の削減により、小型化や、製造コストの低減を図ることができるマイクロ流路チップが提案されている。
【0005】
特許文献2では、1)蛍光プローブ分子及び生分子を準備する工程、2)ラボオンアチップ(Lab−on−a−chip)のマイクロチャンネルに蛍光プローブ分子及び生分子を注入して複合体を形成させる工程、3)前記複合体に偏光を照射して蛍光偏光を測定する工程、及び4)前記蛍光偏光を定量化して蛍光偏光度を決定する工程を行うことで、既存の方法に比べて1/100程度の少量の試料を使用した分析が可能な蛍光偏光測定方法が提案されている。
【0006】
特許文献3では、第1の電極を具備する核酸調製部と、該核酸調製部に試料流体を流入するための試料流入部と、該核酸調製部と流路によって連通した第2の電極を具備する反応部と、該反応部に薬液を流入するための薬液流入部と、該反応部から流体を流出させる流出部と、前記第一及び第2の電極と接続した制御回路と、前記第2の電極と接続した検出回路とを、一つの基板100上に具備することにより、核酸の複製や合成、反応及び検出等を、一つの基板上で行うことが可能なラボ・オン・チップが提案されている。
【0007】
特許文献4では、作用電極、参照電極、及び対抗電極からなる検出電極と、薄膜トランジスタと、を備えることにより、軽薄短小、高性能、かつ低コストのバイオセンシングデバイスを実現可能であり、インクジェットヘッド部を備えたバイオセンサに着脱可能なバイオチップが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−151770号公報
【特許文献2】特開2007−139744号公報
【特許文献3】特開2008−17779号公報
【特許文献4】特開2007−187582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
サンプル中に存在する物質の検出は、ラボ・オン・チップ内に導入されたサンプルへ光照射を行うことにより、サンプル中から発せられた蛍光などの光を検出することで行われるのが一般的である。サンプルへの光照射や光検出は、通常、チップ内の複数の箇所で行われる場合が多いが、複数の箇所に光照射するためには、複数の光照射手段を設ける必要があり、装置の大型化や消費エネルギーの増大を余儀なくされるのが実情である。
【0010】
また、単一の光照射手段をチップ上で走査させることにより、チップ内の複数の箇所を光照射することも可能であるが、この場合には、光照射手段を走査させる手段が別途必要であり、これもまた、装置の大型化や消費エネルギーの増大が避けられなかった。
【0011】
そこで、本発明では、チップ上の複数の箇所に光照射が可能であるにも関わらず、装置の小型化や消費エネルギーの削減も実現可能な技術を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、光照射手段から照射された光の制御方法に着目することにより、チップ上の複数の箇所に光照射を可能とする装置において、装置の小型化や消費エネルギーの削減を実現することに成功し、本発明を完成させるに至った。
【0013】
即ち、本発明では、まず、サンプルへの光照射によってサンプル中から発せられる蛍光の検出が行われる複数の検出領域が設けられた基板と、
前記光照射を行う光照射手段と、
該光照射手段から出射された光を、複数の前記検出領域に対して照射するための光学的制御手段と、
前記蛍光を検出する光検出手段と、
が少なくとも備えられた光検出装置を提供する。
本発明に係る光検出装置における光照射手段からの光照射の方向は、特に限定されないが、例えば、基板の側方から光照射を行い、光照射手段から出射された光の光路上に、複数の前記検出領域に対して複数配置されたレンズまたはミラーを用いることにより、光照射手段から出射された光を、複数の検出領域に対して照射可能に光学的制御することが可能である。
また、基板の側方から光照射を行い、導光板を用いることにより、光照射手段から出射された光を、複数の検出領域に対して照射可能に光学的制御することも可能である。
その他、本発明に係る光検出装置では、例えば、光照射手段から出射された光の光路上に配置された光分割素子を用いることにより、光照射手段から出射された光を、複数の検出領域に対して照射可能に光学的制御することも可能である。
本発明に係る光検出装置における検出領域は、サンプルへの光照射によってサンプル中から発せられる蛍光の検出が行うことができる領域であれば、その具体的構成は特に限定されないが、例えば、複数のウエルや流路中に検出領域を設けることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、光照射手段から出射された光を、複数の検出領域に対して照射可能に光学的制御を行うことができるため、検出領域の数より光照射手段を少なくしても、複数の検出領域に確実に光照射することが可能である。その結果、装置全体の装置の小型化や消費エネルギーの削減を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る光検出装置1の第1実施形態を模式的に示す斜視模式図である。
【図2】本発明に係る光検出装置1の第2実施形態を模式的に示す斜視模式図である。
【図3】本発明に係る光検出装置1の第3実施形態を模式的に示す斜視模式図である。
【図4】本発明に係る光検出装置1の第4実施形態を模式的に示す斜視模式図である。
【図5】本発明に係る光検出装置1の第5実施形態における励起系のみを、基板11の上方から視た上方視模式平面図である。
【図6】本発明に係る光検出装置1の第6実施形態における励起系のみを、基板11の上方から視た上方視模式平面図である。
【図7】本発明に係る光検出装置1の第7実施形態を、基板11の側方から視た側方視模式断面図である。
【図8】本発明に係る光検出装置1の第8実施形態を、基板11の側方から視た側方視模式断面図である。
【図9】本発明に係る光検出装置1の光検出手段14で検出した結果の一例を示す図面代用グラフである。
【図10】本発明に係る光検出装置1の第9実施形態を、基板11の側方から視た側方視模式断面図である。
【図11】本発明に係る光検出装置1の第10実施形態を、基板11の側方から視た側方視模式断面図である。
【図12】波長640nmの場合における開口数NAとスポットサイズ、焦点深度の関係を示す図面代用グラフである。
【図13】流路チップとレンズアレイとの間に生じる傾きの一例を示す模式図である。
【図14】式(1)の、流路本数Nと流路間隔pの関係を示す図面代用グラフである。
【図15】流路Cを有するチップとレンズアレイの傾きを最小限に抑えるための、ホルダHおよび平行度出し台Pの構成の一例を示す模式図である。
【図16】屈折率1.5のカバーで覆われた流路からの蛍光を集光する場合の、集光レンズのNAと集光効率の関係を示す図面代用グラフである。
【図17】レンズ径0.8mm、NA0.56の場合の、カバーガラス厚さと作動距離の関係を示す図面代用グラフである。
【図18】本発明に係る光検出装置1の第11実施形態を、基板11の側方から視た側方視模式断面図である。
【図19】導光板Gや光分割素子Bを用いた場合のスポット位置の調整方法を説明するための、基板11の上方から視た上方視模式平面図である。
【図20】導光板Gや光分割素子Bを用いた場合のスポット位置の調整方法を説明するための、基板11の上方から視た上方視模式平面図である。
【図21】本発明に係る光検出装置1の第12実施形態を、基板11の側方から視た側方視模式断面図である。
【図22】実施例1における光検出装置1の具体的な構成を示す側方視模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための好適な形態について図面を参照しながら説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。なお、説明は以下の順序で行う。
1.光検出装置1
(1)基板11
(2)光照射手段12
(3)光学的制御手段13
ア.レンズL
イ.ミラーM
ウ.導光板G
エ.光分割素子B
オ.導光板Gや光分割素子Bを用いた場合のスポット位置の調整方法
(4)光検出手段14
(5)集光レンズ15a、15b
(6)光学フィルター16a、16b
(7)アパーチャー17a、17b、隔壁
【0017】
<1.光検出装置1>
図1は、本発明に係る光検出装置1の第1実施形態を模式的に示す断面模式図である。
本発明に係る光検出装置1は、(1)基板11と、(2)光照射手段12と、(3)光学的制御手段13と、(4)光検出手段14と、を少なくとも備える装置である。また、必要に応じて、(5)集光レンズ15a、15b、(6)光学フィルター16a、16b、(7)アパーチャー17a、17b、隔壁などを備えることも可能である。以下、各構成について、詳細に説明する。
【0018】
(1)基板11
基板11には、複数の検出領域111を設ける。検出領域111は、検出対象となるサンプルが存在し、該サンプルへの光照射(励起光E)によってサンプル中から発せられる蛍光Fの検出が行われる領域である。
【0019】
本発明に係る光検出装置1における検出領域111は、サンプルへの光照射(励起光E)によってサンプル中から発せられる蛍光Fの検出が行うことができる領域であれば、その具体的構成は特に限定されないが、例えば、図1に示す第1実施形態のように、流路C中に検出領域111を設けることが可能である。なお、図1に示す第1実施形態では、一つの流路Cに対して一つの検出領域11を設けているが、これに限らず、後述するように、一つの流路Cに対して複数の検出領域11を設けることも自由である。
【0020】
また、図2に示す第2実施形態のように、ウエルW中に検出領域11を設けることもできる。また、図3に示す第3実施形態のように、基板11内にウエルWと流路Cとを組み合わせて設け、ウエルW中や流路C中に検出領域11を複数設けることも可能である。
【0021】
検出領域11を流路C中に設ける場合、流路Cの流路幅、流路深さ、流路断面形状も特に限定されず、自由に設計することができる。例えば、流路幅1mm以下のマイクロ流路なども、本発明に係る光検出用チップ1に用いることが可能である。
【0022】
検出領域11は、蛍光検出を行うだけでなく、例えば、核酸増幅、ハイブリダイゼーション、核酸、タンパク質、細胞などの物質間相互作用などが進行する反応場として用いることも可能である。また、図1に示す第1実施形態のように、流路C中に検出領域11を設ける場合には、流路C中でサンプルを移動させながら各反応を進行させ、所定の位置に到達した時点で蛍光検出を行うことも可能である。また、図3に示す第3実施形態のように、基板T内にウエルWと流路Cとを組み合わせて設ける場合、流路C中でサンプルを移動させながら各反応を進行させ、所定のウエルWに到達した時点で蛍光検出を行ったり、ウエルW内で各反応を進行させ、流路C中でサンプルを移動させながら蛍光検出を行ったりすることも可能である。
【0023】
本発明に係る光検出装置1の基板11を形成する素材は特に限定されず、通常、バイオアッセイ用チップなどの光検出用チップに用いることが可能な素材を自由に選択して用いることができる。本発明では特に、光検出用に用いるため、光透過性を有するポリカーボネート、ポリオレフィン系、アクリル系などのプラスチック樹脂、PDMS(polydimethylsiloxane)などのシリコン系樹脂、ガラス等の基板を用いることが好ましい。
【0024】
(2)光照射手段12
光照射手段12は、サンプルへ励起光Eを照射するための手段である。本発明に係る光検出装置1には、後述する光学的制御手段13を備えているため、一つの光照射手段12から複数の検出領域111への光照射が可能である。そのため、複数の検出領域111に光照射が必要な場合であっても、従来の光検出装置に比べ、光照射手段12の数を減らすことが可能である。その結果、装置の小型化や消費エネルギーの削減に貢献することができる。
【0025】
本発明に係る光検出装置1において、光照射手段12の具体的配置方法は、サンプルへの光照射が可能であれば特に限定されず、自由に配置することが可能である。例えば、図1〜3に示す第1〜3実施形態のように、1つの基板11に対して1つの光照射手段12を設けるだけであっても、本発明に係る光検出装置1には、後述する光学的制御手段13を備えているため、複数の検出領域111への光照射が可能である。この時、例えば、図2に示す第2実施形態のように、光照射手段12を、照射する励起光Eの光路に対して垂直方向(図2中符号S、S’参照)に走査させることにより、基板11に設けられた全ての検出領域111に確実に光照射を行うことも可能である。
【0026】
また、例えば、図4に示す第4実施形態のように、1つの基板11に対して複数の光照射手段12を設けることも可能である。このように複数の光照射手段12を配置することで、例えば、各検出領域111に対して、それぞれ異なる波長の励起光Eを照射することで、同時に異なる検出を行うことが可能である。
【0027】
本発明に係る光検出装置1において、光照射手段12からの光照射方向は、後述する光学的制御手段13の機能に応じて自由に設定することができる。例えば、光学的制御手段13として、レンズ、ミラー、導光板などを用いる場合には、基板11の側方から光照射を行うとよい(図1〜8参照)。また、例えば、光学的制御手段13として、光分割素子などを用いる場合には、基板11の上方または下方から光照射を行うとよい(図10、11、18、21参照)。
【0028】
本発明に係る光検出装置1の光照射手段12に用いることができる光照射方法は、特に限定されず、公知の光照射方法を自由に選択して用いることができる。例えば、LED(Light Emitting Diode)、半導体レーザー、EL照明などを用いた光照射方法を1種または2種以上自由に選択して用いることが可能である。
【0029】
光照射手段12を基板11に対応して複数配置する場合、光照射手段12での光照射は、一括で点灯させ、後述する光検出手段14を用いて一括で検出することにより、シグナル取得時間を短縮することができる。あるいは、各光照射手段12を、高速で順次点灯させることで、隣接する光照射手段12からのノイズを抑制することも可能である。
【0030】
(3)光学的制御手段13
光学的制御手段13は、光照射手段12から出射された光(励起光E)を、複数の検出領域111に対して照射するために光学的制御を行う手段である。本発明に係る光検出装置1では、この光学的制御手段13を備えているため、一つの光照射手段12から複数の検出領域111への光照射が可能である。そのため、複数の検出領域111へ光照射が必要な場合であっても、従来の光検出装置に比べ、光照射手段12の数を減らすことが可能である。その結果、装置の小型化や消費エネルギーの削減に貢献することができる。以下、本発明に係る光検出手段1に用いることが可能な光学的制御手段13の具体的構成について、具体例を挙げながら詳細に説明する。
【0031】
ア.レンズL
本発明に係る光検出装置1には、光学的制御手段13として、図1〜4に示す第1〜4実施形態のように、レンズLを用いることが可能である。例えば、光照射手段12から出射された光(励起光E)の光路上に、各検出領域111に対応するように、レンズLを複数挿入することで、励起光Eの光路上で、励起光Eを検出領域111に向かって集光させ、集光させた励起光Eを再び増幅させることを繰り返すことが可能である。このように励起光Eの光路上にレンズLを複数挿入することで、光照射手段12から照射された励起光Eの光量を減少させることなく、複数の検出領域111全てに対して十分な励起光Eを照射することが可能となる。
【0032】
本発明に係る光検出装置1において、光学的制御手段13として用いることが可能なレンズLの種類は特に限定されず、光検出装置に用いることが可能なレンズを自由に選択して用いることができる。例えば、図1〜4に示す第1〜4実施形態で用いている凸レンズに限らず、図5に示す第5実施形態のように、凹レンズを用いることも可能である。なお、図5は、本発明に係る光検出装置1の第5実施形態における励起系のみを、基板11の上方から視た上方視模式平面図である。
【0033】
イ.ミラーM
図6は、本発明に係る光検出装置1の第6実施形態における励起系のみを、基板11の上方から視た上方視模式平面図である。本発明に係る光検出装置1には、光学的制御手段13として、本実施形態のように、ミラーMを用いることが可能である。例えば、光照射手段12から出射された光(励起光E)の光路上に、各検出領域111に対応するように、ミラーMを複数挿入することで、励起光Eの光路上で、励起光Eを検出領域111に向かって集光させることが可能である。このように励起光Eの光路上にミラーMを複数挿入することで、光照射手段12から照射された励起光Eの光量を減少させることなく、複数の検出領域111全てに対して十分な励起光Eを照射することが可能となる。
【0034】
ウ.導光板G
図7は、本発明に係る光検出装置1の第7実施形態を、基板11の側方から視た側方視模式断面図である。本発明に係る光検出装置1には、光学的制御手段13として、本実施形態のように、導光板Gを用いることが可能である。例えば、光照射手段12から出射された光(励起光E)の光路上に導光板Gを配置し、各検出領域111に対応するように開口部171が設けられたアパーチャー17aを、導光板Gと基板11との間に挿入することで、励起光Eを複数の検出領域111に照射することが可能である。
【0035】
なお、導光板Gを用いた光照射は、図7に示す第7実施形態のように、1つの流路C中の一箇所に対して行うことも可能であるが、例えば、図8に示す第8実施形態のように、1つの流路C中の複数個所に対して行うことも可能である。このように、流路C中の流れる方向に対して複数個所に光照射することにより、後述する光検出手段14によって、例えば、図9に示すような結果を得ることができる。この際、先行スポットと後行スポットの信号量を差分することで、同相のノイズは打ち消されるため、差分信号のSN比は向上する。また、差分信号の0クロスを検出することで、流路C中を通流する物質の正確な通過時間を測定することが可能である。
【0036】
エ.光分割素子B
図10は、本発明に係る光検出装置1の第9実施形態を、基板11の側方から視た側方視模式断面図である。本発明に係る光検出装置1には、光学的制御手段13として、本実施形態のように、光分割素子Bを用いることが可能である。例えば、光照射手段12から出射された光(励起光E)の光路上に光分割素子Bを配置することにより、光照射手段12から出射された励起光Eを複数の光束に分割することができ、分割された各励起光Eを複数の検出領域111に同時に照射することが可能である。
【0037】
本発明に係る光検出装置1において、光学的制御手段13として用いることが可能な光分割素子Bの種類は特に限定されず、光検出装置に用いることが可能な光分割素子を自由に選択して用いることができる。例えば、グレーティングやプリズム、図11に示す第10実施形態のように、レンズアレイを用いることができる。
【0038】
レンズアレイを用いる場合、流路を波長λの光源と開口数NAの対物レンズを用いて励起光を照射するとき、流路に形成されるスポットのサイズは1.22λ/NAとなる。またこのスポットの焦点深度はλ/NA2となる。波長640nmの場合における開口数NAとスポットサイズ、焦点深度の関係を図12に示す。
【0039】
用いる流路Cの幅を10〜20μmと考えると、流路Cに形成されるスポットのサイズは、2〜8μm程度が望ましい。また流路Cの深さを10〜20μmと考えると、照射光学系の光軸方向の位置制御誤差を考慮すると、焦点深度は10μm以上あることが望ましい。これらより、照射に用いるレンズの開口数NAは0.1〜0.25が望ましい。ここで用いる対物レンズの開口数は、必ずしもこの開口数でなくてもよく、より開口数の大きなレンズを用い、照射光の光束を小さくしたり、何らかの光学素子を挿入したりすることで、このスポットサイズ、焦点深度を実現することも可能である。
【0040】
図11に示す第10実施形態のように、複数本の流路Cを有するチップに対し、流路Cの本数と同数のレンズからなるレンズアレイを用いて、すべての流路Cを同時に励起する場合、図13に示すように、流路チップとレンズアレイとの間には、傾きが生じてしまう場合がある。
【0041】
例えば、N本の流路Cを持つチップとレンズアレイが角度θをなしている場合、左端のレンズと右端のレンズの光軸方向の焦点位置の差Δdは、下記の式(1)で示される。また、Δdの値は、各流路Cを均等に励起するため、下記式(2)に示すように(光軸方向のスポット位置制御誤差αを含め)焦点深度内に入っている必要がある。
【0042】
【数1】
【0043】
【数2】
【0044】
前記式(1)の、流路本数Nと流路間隔pの関係を図14に示す。ここでは、実現可能な値としてθ=0.1deg. λ/NA2-α=10、20μmとした。同時に計測できる流路Cの本数は多いほうが好ましいが、本数が多くなると流路ピッチは狭くなり、チップの作製が難しくなる。作製可能な流路間隔や同時計測本数のメリットを考慮すると、流路本数6〜12本、流路ピッチ 0.6〜2.0mm程度が望ましい。また、レンズアレイの大きさは、レンズピッチ×流路本数により決定されるので、この値が小さいほうが光学系を小型化できるという利点もある。
【0045】
このように、流路Cを有するチップとレンズアレイの傾きを最小限に抑えるために、図15に示すようなホルダHおよび平行度出し台Pを用いることができる。該ホルダHおよび平行度出し台Pの具体的な構成の一例としては、例えば、流路Cを有するチップと接触して平行度を出すホルダHと、上下動が可能な高さ調整台P2と、流路Cの位置を合わせるために回転が可能な回転調整台P1と、金属製などのバネ、あるいはゴムなどの弾性体からなりホルダHとチップとの角度ずれを吸収する弾性体Rと、からなる構成を挙げることができる。
【0046】
次に、流路Cに励起光が照射され、流路C中のサンプルより発生する蛍光を集光する場合、蛍光をできるだけ集光するためには集光に使用する対物レンズの開口数NAはできるだけ高いほうがよい。図16に、屈折率1.5のカバーで覆われた流路Cからの蛍光を集光する場合の、集光レンズのNAと集光効率の関係を示す。ここではNA=0.6の時の集光効率で規格化している。図16に示す通り、集光レンズのNAは、少なくとも0.4以上であることが望ましいことが分かる。
【0047】
前述のようなレンズピッチ0.6〜2.0mmのレンズアレイを用いて、各流路Cからの蛍光を集光する場合、このようなピッチのレンズアレイを作製する方法として、半導体プロセスによりガラスを直接加工する方法や、金型を作製しガラスモールドレンズを作製する方法がある。しかし、どちらの方法もレンズのsag(図13参照)を大きくすることができず、レンズの開口数の大きなレンズを作製することは難しい。例えば、レンズ径を0.8mm、レンズ厚さを0.6mm、sag量を0.11mm、レンズ硝材の屈折率を1.5の両面非球面形状とした場合、作製可能なNAの上限は0.6程度となる。(ただしより高い屈折率の硝材の使用することでNAをもう少し高くできる可能性はある。)
【0048】
図17にレンズ径0.8mm、NA0.56の場合の、カバーガラス厚さと作動距離の関係を示す。ここでカバーガラスとはチップカバー層のことで、カバー層の最下部に流路Cがある。この厚さが薄すぎると、流路Cにサンプルを閉じ込めることが難しくなる。また、作動距離は、チップとレンズの距離を調整する時にどちらかを動かすため、ある程度以上の距離があるほうが好ましい。図17より、これら2つの条件を同時に満たす範囲として、カバーガラス厚さ0.2〜0.4mm程度とすると、作動距離として0.15〜0.3mmが確保できる。
【0049】
このように、レンズを並べてレンズアレイを作製する際、作製上の理由から隣接するレンズ領域間にスペースが必要である。また、計測の際、隣接流路からのクロストークの低減を容易にするため、実際のレンズ径はレンズピッチより少し狭くすることが好ましい。
【0050】
なお、光分割素子Bを用いた光照射は、図10に示す第9実施形態や図11に示す第10実施形態のように、1つの流路C中の一箇所に対して行うことも可能であるが、例えば、図18に示す第11実施形態のように、1つの流路C中の複数個所に対して行うことも可能である。
【0051】
オ.導光板Gや光分割素子Bを用いた場合のスポット位置の調整方法
導光板Gや光分割素子Bを用いて複数の検出領域111に光照射を行う場合、スポット位置の間隔には、製造誤差が生じる場合がある。また、複数の検出領域111を流路CやウエルW内に設ける場合、各検出領域111の間隔にも、製造誤差が生じる場合がある。そこで、以下の方法を行うことにより、本発明では簡単にスポット位置を調整することが可能である。
【0052】
まず、図19に示すように、予め、検出領域111の間隔よりスポットの間隔を広く設定する。次に、例えば図20に示すように、矢印Xの方向にスポットの位置を回転調整することにより、検出領域111へ確実に光照射を行うように調整することができる。なお、この場合、各スポットの位置に、流路Cの通流方向にズレYが生じるが、このズレYが各測定に問題のない範囲内に、予め、スポット間隔を設定しておけば問題ない。
【0053】
(4)光検出手段14
光検出手段14は、サンプル中から発せられる蛍光Fを検出するための手段である。
【0054】
本発明に係る光検出装置1において、光検出手段14の具体的配置方法は、サンプル中から発せられた蛍光Fの検出が可能であれば特に限定されず、自由に配置することが可能である。例えば、図1〜4、7、8、10および11に示す第1〜4、7、8、10および11実施形態のように、各検出領域111に対応して複数の光検出手段14を配置することができる。このように複数の光検出手段14を配置することで、各検出領域111に存在するサンプル中から発せられた蛍光Fを同時に検出することが可能である。
【0055】
また、例えば、図示しないが、複数の検出領域111に対して1つの光検出手段14を設け、光検出手段14を走査させることで、各検出領域111に存在するサンプル中から発せられた蛍光Fを検出可能な構成にすることも可能である。
【0056】
また、本発明に係る光検出装置1では、光照射手段12と光検出手段14とを、検出領域111に対して、同一方向に配置しないことが好ましい。光照射手段12と光検出手段14を、検出領域11に対して別の位置に配置することで、光照射手段12や光検出手段14を、より自由な構成で配置させることができる。
【0057】
本発明に係る光検出装置1の光検出手段14に用いることができる検出方法は、特に限定されず、公知の光検出方法を自由に選択して用いることができる。例えば、PD(photo Diode)、電荷結合素子(CCD)、Complementary Metal Oxide Semiconductor(CMOS)、などのエリア撮像素子を用いた方法、複数の光検出器をアレイ状に並べた、いわゆるマルチチャンネル光検出器を用いた方法などを採用することができる。
【0058】
(5)集光レンズ15a、15b
本発明に係る光検出装置1には、図10に示す第9実施形態や図18に示す第11実施形態のように、光照射手段12からの光を各検出領域111へ集光するために、各光照射手段12と各検出領域111との間に、複数の励起用集光レンズ15aを配置することができる。本発明に係る光検出装置1では、この励起用集光レンズ15aは必須のものではないが、これらの実施形態のように励起用集光レンズ15aを設ければ、検出領域111内のサンプルに対して、より正確な光照射を行うことが可能である。
【0059】
また、本発明に係る光検出装置1には、図1〜4、7、8、10、11に示す第1〜4、7〜10実施形態のように、各検出領域111に存在するサンプル中から発せられた蛍光Fを光検出手段14に集光するために、各検出領域111と各光検出手段14との間に、複数の受光用集光レンズ15bを配置することができる。本発明に係る光検出装置1では、この受光用集光レンズ15bも必須のものではないが、これらの実施形態のように受光用集光レンズ15bを設ければ、蛍光F等のシグナルをより高めることができる。その結果、SN比の向上を図ることが可能である。
【0060】
(6)光学フィルター16a、16b
図21は、本発明に係る光検出装置1の第12実施形態を、基板11の側方から視た側方視模式断面図である。本実施形態では、各光照射手段12と各検出領域111との間に、励起用光学フィルター16aを設けている。本発明に係る光検出装置1では、この励起用光学フィルター16aは必須のものではないが、本実施形態のように励起用光学フィルター16aを設ければ、各検出領域111に、所望の波長の励起光を選択的に照射することができる。
【0061】
また、本実施形態では、各検出領域111と各光検出手段14との間に、受光用光学フィルター16bを設けている。本発明に係る光検出装置1では、この受光用光学フィルター16bは必須のものではないが、本実施形態のように受光用光学フィルター16bを設ければ、各検出領域111中に存在するサンプル中から発せられる蛍光Fから、所望の波長の光を選択的に受光することができる。
【0062】
(7)アパーチャー17a、17b、隔壁
図21に示す第12実施形態では、各光照射手段12と各検出領域111との間に、アパーチャー17aを設けている。本発明に係る光検出装置1では、このアパーチャー17aは必須のものではないが、本実施形態のようにアパーチャー17aを設ければ、各光照射手段12から、対応する検出領域111以外の検出領域111(隣の検出領域など)への光照射を防止することができ、その結果、SN比の向上を図ることが可能である。
【0063】
また、本実施形態では、各検出領域111と各光検出手段14との間にも、アパーチャー17bを設けている。本発明に係る光検出装置1では、このアパーチャー17bも必須のものではないが、本実施形態のようにアパーチャー17bを設ければ、対応する検出領域111以外の検出領域111(隣の検出領域など)からのクロストークを低減することができ、その結果、SN比の向上を図ることが可能である。
【0064】
なお、本発明に係る光検出装置1では、アパーチャー17a、17b以外に、図示しないが、レンズ間に隔壁を設けることでも、同様の効果を発揮することができる。
【0065】
以上説明した本発明に係る光検出用装置1は、検出領域111内のサンプル中に含まれる物質の物性に関する分析・解析を行うだけでなく、例えば、流路C内に検出領域111を設け、電気泳動法と組み合わせることにより、サンプル中に含まれる物質の定量的な分析を行うことも可能である。
【0066】
また、例えば、液状サンプルをシース流で挟み込んでフローセルを形成し、そのフローセル中を流れる物質からの蛍光強度ないし蛍光画像を、光検出手段14で取得することもできる。このようなフローセルの構造としては、フローサイトメトリー技術として広く研究開発および実用化がなされているものを用いることができる。このように、マイクロ流路C内を通流中のサンプルから光検出を行うことで、流路下流において、サンプル中の細胞や核酸などの微小粒子を、得られた情報に基づいて分取することも可能である。
【実施例1】
【0067】
実施例1では、光学的制御手段13として機能する光分割素子Bとして、レンズアレイを用いた光検出装置1を作製した。より具体的には、8本の流路Cを有するチップを用いて、8本同時に励起と蛍光検出を行った。
【0068】
本実施例1で用いたレンズアレイの仕様は、レンズ数8個、レンズピッチ:0.8mm、レンズ径:0.77mm、厚さ:0.63mm、焦点距離:0.69mm、開口数(NA):0.55、レンズ材質:石英であり、カバーガラス厚さ:0.2mmに対して球面収差が補正された物を用いた。なお、前述した通り、レンズアレイの仕様は、本実施例1で使用した仕様に限定されず、レンズピッチ:0.6〜1.8mm、レンズ数:6〜12個、CG層厚さ:0.2〜0.6mm、集光時レンズNA:0.4〜0.65(励起時レンズの実効NA:0.1〜0.25)の範囲であっても、同様の効果を得ることが可能である。
【0069】
本実施例1で作製した光検出装置1の具体的構成は、図22に示す通りである。
光照射手段12であるレーザダイオードから出射した励起光は、コリメータレンズCLにより平行光となり、その偏光面は1/2波長板WP1により所望の角度θだけ回転される。ここで、所望の角度θというのは、紙面に垂直な偏光方向の光量I1と紙面に平行な偏光方向の光量I2と、下記に示す式(3)の関係にある。
【0070】
【数3】
【0071】
紙面に垂直な偏光方向の励起光は、バンドパスフィルタBFにより反射され、受光用集光レンズ15bで光検出手段14であるフロントAPC用フォトディテクタ14aに入射し電気信号に変換され、光照射手段12であるレーザダイオードの出射光量の制御に用いられる。また紙面に平行な偏光方向の光は、バンドパスフィルタBFを透過し、ダイクロイックミラーDMと立ち上げミラーMで反射し、1/4波長板WP2により円偏光となり、光学的制御手段13として機能する光分割素子Bであるレンズアレイ(対物レンズ)で流路C(図示せず)に集光される。
【0072】
流路Cからの反射光は、往路と同じ経路を戻るが、1/4波長板WP2で紙面に垂直な偏光方向となっているため、バンドパスフィルタBFで反射され、受光用集光レンズ15b1(レンズアレイ)で光検出手段14である焦点検出用フォトディテクタ14bに入射し電気信号に変換され、この信号は流路C(図示せず)の位置検出に用いられる。
【0073】
また、流路C(図示せず)の光照射位置に蛍光物質が存在する場合は、光照射手段12であるレーザダイオードの波長より少し長い波長の光が生じる。この光は、光学的制御手段13として機能する光分割素子Bであるレンズアレイ(対物レンズ)で集光されほぼ平行光となり、1/4波長板WP2を透過、立ち上げミラーMで反射、受光用フィルタ16bを透過し、受光用集光レンズ15b2で、光検出手段14である蛍光検出用フォトディテクタ14cに入射し、電気信号に変換され、流路C内で発生した蛍光量の計測に用いられる。
【実施例2】
【0074】
実施例2では、流路Cを有するチップとレンズアレイの傾きを最小限に抑えるために、図15に示すようなホルダHおよび平行度出し台Pを用いた場合に、該ホルダHの厚みを算出した。
【0075】
焦点深度はその時の光源の波長をλ、対物レンズの開口数をNAとすると、λ/NA2となる。ホルダHの(レンズ表面からチップ接触面までの)厚さは、対物レンズの作動距離+チップカバーガラス厚さ±1/2×λ/NA2とすることが望ましい。
【0076】
本実施例2では、照明時実効対物レンズ開口数NA:0.1、光源波長λ:640nmとした。これらの数値から焦点深度を算出すると、640×10E-6/0.12=0.064mmとなった。したがって、ホルダの厚みは±0.032mm(32μm)の精度に製作する必要があることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明によれば、光照射手段から出射された光を、複数の検出領域に対して照射可能に光学的制御を行うことができるため、検出領域の数より光照射手段を少なくしても、複数の検出領域に確実に光照射することが可能である。その結果、装置全体の装置の小型化や消費エネルギーの削減を実現することができる。
【0078】
この技術を用いることで、医療分野(病理学、腫瘍免疫学、移植学、遺伝学、再生医学、化学療法など)、創薬分野、臨床検査分野、食品分野、農業分野、工学分野、法医学分野、犯罪鑑識分野、など様々な分野における実際の現場(例えば、医療現場など)において、少ない消費電力で分析・解析などを行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0079】
1 光検出装置
11 基板
111 検出領域
12 光照射手段
13 光学的制御手段
14 光検出手段
15a、15b 集光レンズ
16a、16b 光学フィルター
17a、17b アパーチャー
E 励起光
F 蛍光
W ウエル
C 流路
L レンズ
M ミラー
G 導光板
B 光分割素子
【技術分野】
【0001】
本発明は、光検出装置に関する。より詳細には、遺伝子発現解析、感染症検査、またSNP解析等の遺伝子解析、タンパク質解析、細胞解析などに供せられる光検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療分野、創薬分野、臨床検査分野、食品分野、農業分野、工学分野、法医学分野、犯罪鑑識分野などの様々な分野で、遺伝子解析、タンパク質解析、細胞解析などに関する技術研究が広く進められている。特に最近では、核酸やタンパク質、細胞などの検出や解析など各種の反応を、チップに設けられたマイクロスケールの流路やウエル内で行うラボ・オン・チップの技術開発や実用化が進められており、生体分子などを簡便に計測する手法として注目を集めている。
【0003】
このようなチップに設けられたマイクロスケールの流路やウエル内で行うラボ・オン・チップの技術では、実際の現場(例えば、医療現場など)において、各種解析を行うことが可能な装置の開発が切望されており、装置の小型化を如何に実現させるかが、避けて通れない課題である。そのため、コンパクトな装置内において効率的に検出や解析を行うためには、用いるチップ・装置や検出・解析方法などに様々な工夫を行う必要がある。
【0004】
例えば、特許文献1では、試薬が熱溶解性結合剤と混合されてマイクロ流路内の所定位置に担架され、被検査液の導入時温度からの昇温により熱溶解性結合剤が担架されている所定位置で溶解を開始することで、溶解処理、混合処理を効率よく実施でき、更に、その後の反応処理や分析処理を同一位置で実施可能なため、マイクロ流路上の処理位置の削減により、小型化や、製造コストの低減を図ることができるマイクロ流路チップが提案されている。
【0005】
特許文献2では、1)蛍光プローブ分子及び生分子を準備する工程、2)ラボオンアチップ(Lab−on−a−chip)のマイクロチャンネルに蛍光プローブ分子及び生分子を注入して複合体を形成させる工程、3)前記複合体に偏光を照射して蛍光偏光を測定する工程、及び4)前記蛍光偏光を定量化して蛍光偏光度を決定する工程を行うことで、既存の方法に比べて1/100程度の少量の試料を使用した分析が可能な蛍光偏光測定方法が提案されている。
【0006】
特許文献3では、第1の電極を具備する核酸調製部と、該核酸調製部に試料流体を流入するための試料流入部と、該核酸調製部と流路によって連通した第2の電極を具備する反応部と、該反応部に薬液を流入するための薬液流入部と、該反応部から流体を流出させる流出部と、前記第一及び第2の電極と接続した制御回路と、前記第2の電極と接続した検出回路とを、一つの基板100上に具備することにより、核酸の複製や合成、反応及び検出等を、一つの基板上で行うことが可能なラボ・オン・チップが提案されている。
【0007】
特許文献4では、作用電極、参照電極、及び対抗電極からなる検出電極と、薄膜トランジスタと、を備えることにより、軽薄短小、高性能、かつ低コストのバイオセンシングデバイスを実現可能であり、インクジェットヘッド部を備えたバイオセンサに着脱可能なバイオチップが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−151770号公報
【特許文献2】特開2007−139744号公報
【特許文献3】特開2008−17779号公報
【特許文献4】特開2007−187582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
サンプル中に存在する物質の検出は、ラボ・オン・チップ内に導入されたサンプルへ光照射を行うことにより、サンプル中から発せられた蛍光などの光を検出することで行われるのが一般的である。サンプルへの光照射や光検出は、通常、チップ内の複数の箇所で行われる場合が多いが、複数の箇所に光照射するためには、複数の光照射手段を設ける必要があり、装置の大型化や消費エネルギーの増大を余儀なくされるのが実情である。
【0010】
また、単一の光照射手段をチップ上で走査させることにより、チップ内の複数の箇所を光照射することも可能であるが、この場合には、光照射手段を走査させる手段が別途必要であり、これもまた、装置の大型化や消費エネルギーの増大が避けられなかった。
【0011】
そこで、本発明では、チップ上の複数の箇所に光照射が可能であるにも関わらず、装置の小型化や消費エネルギーの削減も実現可能な技術を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、光照射手段から照射された光の制御方法に着目することにより、チップ上の複数の箇所に光照射を可能とする装置において、装置の小型化や消費エネルギーの削減を実現することに成功し、本発明を完成させるに至った。
【0013】
即ち、本発明では、まず、サンプルへの光照射によってサンプル中から発せられる蛍光の検出が行われる複数の検出領域が設けられた基板と、
前記光照射を行う光照射手段と、
該光照射手段から出射された光を、複数の前記検出領域に対して照射するための光学的制御手段と、
前記蛍光を検出する光検出手段と、
が少なくとも備えられた光検出装置を提供する。
本発明に係る光検出装置における光照射手段からの光照射の方向は、特に限定されないが、例えば、基板の側方から光照射を行い、光照射手段から出射された光の光路上に、複数の前記検出領域に対して複数配置されたレンズまたはミラーを用いることにより、光照射手段から出射された光を、複数の検出領域に対して照射可能に光学的制御することが可能である。
また、基板の側方から光照射を行い、導光板を用いることにより、光照射手段から出射された光を、複数の検出領域に対して照射可能に光学的制御することも可能である。
その他、本発明に係る光検出装置では、例えば、光照射手段から出射された光の光路上に配置された光分割素子を用いることにより、光照射手段から出射された光を、複数の検出領域に対して照射可能に光学的制御することも可能である。
本発明に係る光検出装置における検出領域は、サンプルへの光照射によってサンプル中から発せられる蛍光の検出が行うことができる領域であれば、その具体的構成は特に限定されないが、例えば、複数のウエルや流路中に検出領域を設けることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、光照射手段から出射された光を、複数の検出領域に対して照射可能に光学的制御を行うことができるため、検出領域の数より光照射手段を少なくしても、複数の検出領域に確実に光照射することが可能である。その結果、装置全体の装置の小型化や消費エネルギーの削減を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る光検出装置1の第1実施形態を模式的に示す斜視模式図である。
【図2】本発明に係る光検出装置1の第2実施形態を模式的に示す斜視模式図である。
【図3】本発明に係る光検出装置1の第3実施形態を模式的に示す斜視模式図である。
【図4】本発明に係る光検出装置1の第4実施形態を模式的に示す斜視模式図である。
【図5】本発明に係る光検出装置1の第5実施形態における励起系のみを、基板11の上方から視た上方視模式平面図である。
【図6】本発明に係る光検出装置1の第6実施形態における励起系のみを、基板11の上方から視た上方視模式平面図である。
【図7】本発明に係る光検出装置1の第7実施形態を、基板11の側方から視た側方視模式断面図である。
【図8】本発明に係る光検出装置1の第8実施形態を、基板11の側方から視た側方視模式断面図である。
【図9】本発明に係る光検出装置1の光検出手段14で検出した結果の一例を示す図面代用グラフである。
【図10】本発明に係る光検出装置1の第9実施形態を、基板11の側方から視た側方視模式断面図である。
【図11】本発明に係る光検出装置1の第10実施形態を、基板11の側方から視た側方視模式断面図である。
【図12】波長640nmの場合における開口数NAとスポットサイズ、焦点深度の関係を示す図面代用グラフである。
【図13】流路チップとレンズアレイとの間に生じる傾きの一例を示す模式図である。
【図14】式(1)の、流路本数Nと流路間隔pの関係を示す図面代用グラフである。
【図15】流路Cを有するチップとレンズアレイの傾きを最小限に抑えるための、ホルダHおよび平行度出し台Pの構成の一例を示す模式図である。
【図16】屈折率1.5のカバーで覆われた流路からの蛍光を集光する場合の、集光レンズのNAと集光効率の関係を示す図面代用グラフである。
【図17】レンズ径0.8mm、NA0.56の場合の、カバーガラス厚さと作動距離の関係を示す図面代用グラフである。
【図18】本発明に係る光検出装置1の第11実施形態を、基板11の側方から視た側方視模式断面図である。
【図19】導光板Gや光分割素子Bを用いた場合のスポット位置の調整方法を説明するための、基板11の上方から視た上方視模式平面図である。
【図20】導光板Gや光分割素子Bを用いた場合のスポット位置の調整方法を説明するための、基板11の上方から視た上方視模式平面図である。
【図21】本発明に係る光検出装置1の第12実施形態を、基板11の側方から視た側方視模式断面図である。
【図22】実施例1における光検出装置1の具体的な構成を示す側方視模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための好適な形態について図面を参照しながら説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。なお、説明は以下の順序で行う。
1.光検出装置1
(1)基板11
(2)光照射手段12
(3)光学的制御手段13
ア.レンズL
イ.ミラーM
ウ.導光板G
エ.光分割素子B
オ.導光板Gや光分割素子Bを用いた場合のスポット位置の調整方法
(4)光検出手段14
(5)集光レンズ15a、15b
(6)光学フィルター16a、16b
(7)アパーチャー17a、17b、隔壁
【0017】
<1.光検出装置1>
図1は、本発明に係る光検出装置1の第1実施形態を模式的に示す断面模式図である。
本発明に係る光検出装置1は、(1)基板11と、(2)光照射手段12と、(3)光学的制御手段13と、(4)光検出手段14と、を少なくとも備える装置である。また、必要に応じて、(5)集光レンズ15a、15b、(6)光学フィルター16a、16b、(7)アパーチャー17a、17b、隔壁などを備えることも可能である。以下、各構成について、詳細に説明する。
【0018】
(1)基板11
基板11には、複数の検出領域111を設ける。検出領域111は、検出対象となるサンプルが存在し、該サンプルへの光照射(励起光E)によってサンプル中から発せられる蛍光Fの検出が行われる領域である。
【0019】
本発明に係る光検出装置1における検出領域111は、サンプルへの光照射(励起光E)によってサンプル中から発せられる蛍光Fの検出が行うことができる領域であれば、その具体的構成は特に限定されないが、例えば、図1に示す第1実施形態のように、流路C中に検出領域111を設けることが可能である。なお、図1に示す第1実施形態では、一つの流路Cに対して一つの検出領域11を設けているが、これに限らず、後述するように、一つの流路Cに対して複数の検出領域11を設けることも自由である。
【0020】
また、図2に示す第2実施形態のように、ウエルW中に検出領域11を設けることもできる。また、図3に示す第3実施形態のように、基板11内にウエルWと流路Cとを組み合わせて設け、ウエルW中や流路C中に検出領域11を複数設けることも可能である。
【0021】
検出領域11を流路C中に設ける場合、流路Cの流路幅、流路深さ、流路断面形状も特に限定されず、自由に設計することができる。例えば、流路幅1mm以下のマイクロ流路なども、本発明に係る光検出用チップ1に用いることが可能である。
【0022】
検出領域11は、蛍光検出を行うだけでなく、例えば、核酸増幅、ハイブリダイゼーション、核酸、タンパク質、細胞などの物質間相互作用などが進行する反応場として用いることも可能である。また、図1に示す第1実施形態のように、流路C中に検出領域11を設ける場合には、流路C中でサンプルを移動させながら各反応を進行させ、所定の位置に到達した時点で蛍光検出を行うことも可能である。また、図3に示す第3実施形態のように、基板T内にウエルWと流路Cとを組み合わせて設ける場合、流路C中でサンプルを移動させながら各反応を進行させ、所定のウエルWに到達した時点で蛍光検出を行ったり、ウエルW内で各反応を進行させ、流路C中でサンプルを移動させながら蛍光検出を行ったりすることも可能である。
【0023】
本発明に係る光検出装置1の基板11を形成する素材は特に限定されず、通常、バイオアッセイ用チップなどの光検出用チップに用いることが可能な素材を自由に選択して用いることができる。本発明では特に、光検出用に用いるため、光透過性を有するポリカーボネート、ポリオレフィン系、アクリル系などのプラスチック樹脂、PDMS(polydimethylsiloxane)などのシリコン系樹脂、ガラス等の基板を用いることが好ましい。
【0024】
(2)光照射手段12
光照射手段12は、サンプルへ励起光Eを照射するための手段である。本発明に係る光検出装置1には、後述する光学的制御手段13を備えているため、一つの光照射手段12から複数の検出領域111への光照射が可能である。そのため、複数の検出領域111に光照射が必要な場合であっても、従来の光検出装置に比べ、光照射手段12の数を減らすことが可能である。その結果、装置の小型化や消費エネルギーの削減に貢献することができる。
【0025】
本発明に係る光検出装置1において、光照射手段12の具体的配置方法は、サンプルへの光照射が可能であれば特に限定されず、自由に配置することが可能である。例えば、図1〜3に示す第1〜3実施形態のように、1つの基板11に対して1つの光照射手段12を設けるだけであっても、本発明に係る光検出装置1には、後述する光学的制御手段13を備えているため、複数の検出領域111への光照射が可能である。この時、例えば、図2に示す第2実施形態のように、光照射手段12を、照射する励起光Eの光路に対して垂直方向(図2中符号S、S’参照)に走査させることにより、基板11に設けられた全ての検出領域111に確実に光照射を行うことも可能である。
【0026】
また、例えば、図4に示す第4実施形態のように、1つの基板11に対して複数の光照射手段12を設けることも可能である。このように複数の光照射手段12を配置することで、例えば、各検出領域111に対して、それぞれ異なる波長の励起光Eを照射することで、同時に異なる検出を行うことが可能である。
【0027】
本発明に係る光検出装置1において、光照射手段12からの光照射方向は、後述する光学的制御手段13の機能に応じて自由に設定することができる。例えば、光学的制御手段13として、レンズ、ミラー、導光板などを用いる場合には、基板11の側方から光照射を行うとよい(図1〜8参照)。また、例えば、光学的制御手段13として、光分割素子などを用いる場合には、基板11の上方または下方から光照射を行うとよい(図10、11、18、21参照)。
【0028】
本発明に係る光検出装置1の光照射手段12に用いることができる光照射方法は、特に限定されず、公知の光照射方法を自由に選択して用いることができる。例えば、LED(Light Emitting Diode)、半導体レーザー、EL照明などを用いた光照射方法を1種または2種以上自由に選択して用いることが可能である。
【0029】
光照射手段12を基板11に対応して複数配置する場合、光照射手段12での光照射は、一括で点灯させ、後述する光検出手段14を用いて一括で検出することにより、シグナル取得時間を短縮することができる。あるいは、各光照射手段12を、高速で順次点灯させることで、隣接する光照射手段12からのノイズを抑制することも可能である。
【0030】
(3)光学的制御手段13
光学的制御手段13は、光照射手段12から出射された光(励起光E)を、複数の検出領域111に対して照射するために光学的制御を行う手段である。本発明に係る光検出装置1では、この光学的制御手段13を備えているため、一つの光照射手段12から複数の検出領域111への光照射が可能である。そのため、複数の検出領域111へ光照射が必要な場合であっても、従来の光検出装置に比べ、光照射手段12の数を減らすことが可能である。その結果、装置の小型化や消費エネルギーの削減に貢献することができる。以下、本発明に係る光検出手段1に用いることが可能な光学的制御手段13の具体的構成について、具体例を挙げながら詳細に説明する。
【0031】
ア.レンズL
本発明に係る光検出装置1には、光学的制御手段13として、図1〜4に示す第1〜4実施形態のように、レンズLを用いることが可能である。例えば、光照射手段12から出射された光(励起光E)の光路上に、各検出領域111に対応するように、レンズLを複数挿入することで、励起光Eの光路上で、励起光Eを検出領域111に向かって集光させ、集光させた励起光Eを再び増幅させることを繰り返すことが可能である。このように励起光Eの光路上にレンズLを複数挿入することで、光照射手段12から照射された励起光Eの光量を減少させることなく、複数の検出領域111全てに対して十分な励起光Eを照射することが可能となる。
【0032】
本発明に係る光検出装置1において、光学的制御手段13として用いることが可能なレンズLの種類は特に限定されず、光検出装置に用いることが可能なレンズを自由に選択して用いることができる。例えば、図1〜4に示す第1〜4実施形態で用いている凸レンズに限らず、図5に示す第5実施形態のように、凹レンズを用いることも可能である。なお、図5は、本発明に係る光検出装置1の第5実施形態における励起系のみを、基板11の上方から視た上方視模式平面図である。
【0033】
イ.ミラーM
図6は、本発明に係る光検出装置1の第6実施形態における励起系のみを、基板11の上方から視た上方視模式平面図である。本発明に係る光検出装置1には、光学的制御手段13として、本実施形態のように、ミラーMを用いることが可能である。例えば、光照射手段12から出射された光(励起光E)の光路上に、各検出領域111に対応するように、ミラーMを複数挿入することで、励起光Eの光路上で、励起光Eを検出領域111に向かって集光させることが可能である。このように励起光Eの光路上にミラーMを複数挿入することで、光照射手段12から照射された励起光Eの光量を減少させることなく、複数の検出領域111全てに対して十分な励起光Eを照射することが可能となる。
【0034】
ウ.導光板G
図7は、本発明に係る光検出装置1の第7実施形態を、基板11の側方から視た側方視模式断面図である。本発明に係る光検出装置1には、光学的制御手段13として、本実施形態のように、導光板Gを用いることが可能である。例えば、光照射手段12から出射された光(励起光E)の光路上に導光板Gを配置し、各検出領域111に対応するように開口部171が設けられたアパーチャー17aを、導光板Gと基板11との間に挿入することで、励起光Eを複数の検出領域111に照射することが可能である。
【0035】
なお、導光板Gを用いた光照射は、図7に示す第7実施形態のように、1つの流路C中の一箇所に対して行うことも可能であるが、例えば、図8に示す第8実施形態のように、1つの流路C中の複数個所に対して行うことも可能である。このように、流路C中の流れる方向に対して複数個所に光照射することにより、後述する光検出手段14によって、例えば、図9に示すような結果を得ることができる。この際、先行スポットと後行スポットの信号量を差分することで、同相のノイズは打ち消されるため、差分信号のSN比は向上する。また、差分信号の0クロスを検出することで、流路C中を通流する物質の正確な通過時間を測定することが可能である。
【0036】
エ.光分割素子B
図10は、本発明に係る光検出装置1の第9実施形態を、基板11の側方から視た側方視模式断面図である。本発明に係る光検出装置1には、光学的制御手段13として、本実施形態のように、光分割素子Bを用いることが可能である。例えば、光照射手段12から出射された光(励起光E)の光路上に光分割素子Bを配置することにより、光照射手段12から出射された励起光Eを複数の光束に分割することができ、分割された各励起光Eを複数の検出領域111に同時に照射することが可能である。
【0037】
本発明に係る光検出装置1において、光学的制御手段13として用いることが可能な光分割素子Bの種類は特に限定されず、光検出装置に用いることが可能な光分割素子を自由に選択して用いることができる。例えば、グレーティングやプリズム、図11に示す第10実施形態のように、レンズアレイを用いることができる。
【0038】
レンズアレイを用いる場合、流路を波長λの光源と開口数NAの対物レンズを用いて励起光を照射するとき、流路に形成されるスポットのサイズは1.22λ/NAとなる。またこのスポットの焦点深度はλ/NA2となる。波長640nmの場合における開口数NAとスポットサイズ、焦点深度の関係を図12に示す。
【0039】
用いる流路Cの幅を10〜20μmと考えると、流路Cに形成されるスポットのサイズは、2〜8μm程度が望ましい。また流路Cの深さを10〜20μmと考えると、照射光学系の光軸方向の位置制御誤差を考慮すると、焦点深度は10μm以上あることが望ましい。これらより、照射に用いるレンズの開口数NAは0.1〜0.25が望ましい。ここで用いる対物レンズの開口数は、必ずしもこの開口数でなくてもよく、より開口数の大きなレンズを用い、照射光の光束を小さくしたり、何らかの光学素子を挿入したりすることで、このスポットサイズ、焦点深度を実現することも可能である。
【0040】
図11に示す第10実施形態のように、複数本の流路Cを有するチップに対し、流路Cの本数と同数のレンズからなるレンズアレイを用いて、すべての流路Cを同時に励起する場合、図13に示すように、流路チップとレンズアレイとの間には、傾きが生じてしまう場合がある。
【0041】
例えば、N本の流路Cを持つチップとレンズアレイが角度θをなしている場合、左端のレンズと右端のレンズの光軸方向の焦点位置の差Δdは、下記の式(1)で示される。また、Δdの値は、各流路Cを均等に励起するため、下記式(2)に示すように(光軸方向のスポット位置制御誤差αを含め)焦点深度内に入っている必要がある。
【0042】
【数1】
【0043】
【数2】
【0044】
前記式(1)の、流路本数Nと流路間隔pの関係を図14に示す。ここでは、実現可能な値としてθ=0.1deg. λ/NA2-α=10、20μmとした。同時に計測できる流路Cの本数は多いほうが好ましいが、本数が多くなると流路ピッチは狭くなり、チップの作製が難しくなる。作製可能な流路間隔や同時計測本数のメリットを考慮すると、流路本数6〜12本、流路ピッチ 0.6〜2.0mm程度が望ましい。また、レンズアレイの大きさは、レンズピッチ×流路本数により決定されるので、この値が小さいほうが光学系を小型化できるという利点もある。
【0045】
このように、流路Cを有するチップとレンズアレイの傾きを最小限に抑えるために、図15に示すようなホルダHおよび平行度出し台Pを用いることができる。該ホルダHおよび平行度出し台Pの具体的な構成の一例としては、例えば、流路Cを有するチップと接触して平行度を出すホルダHと、上下動が可能な高さ調整台P2と、流路Cの位置を合わせるために回転が可能な回転調整台P1と、金属製などのバネ、あるいはゴムなどの弾性体からなりホルダHとチップとの角度ずれを吸収する弾性体Rと、からなる構成を挙げることができる。
【0046】
次に、流路Cに励起光が照射され、流路C中のサンプルより発生する蛍光を集光する場合、蛍光をできるだけ集光するためには集光に使用する対物レンズの開口数NAはできるだけ高いほうがよい。図16に、屈折率1.5のカバーで覆われた流路Cからの蛍光を集光する場合の、集光レンズのNAと集光効率の関係を示す。ここではNA=0.6の時の集光効率で規格化している。図16に示す通り、集光レンズのNAは、少なくとも0.4以上であることが望ましいことが分かる。
【0047】
前述のようなレンズピッチ0.6〜2.0mmのレンズアレイを用いて、各流路Cからの蛍光を集光する場合、このようなピッチのレンズアレイを作製する方法として、半導体プロセスによりガラスを直接加工する方法や、金型を作製しガラスモールドレンズを作製する方法がある。しかし、どちらの方法もレンズのsag(図13参照)を大きくすることができず、レンズの開口数の大きなレンズを作製することは難しい。例えば、レンズ径を0.8mm、レンズ厚さを0.6mm、sag量を0.11mm、レンズ硝材の屈折率を1.5の両面非球面形状とした場合、作製可能なNAの上限は0.6程度となる。(ただしより高い屈折率の硝材の使用することでNAをもう少し高くできる可能性はある。)
【0048】
図17にレンズ径0.8mm、NA0.56の場合の、カバーガラス厚さと作動距離の関係を示す。ここでカバーガラスとはチップカバー層のことで、カバー層の最下部に流路Cがある。この厚さが薄すぎると、流路Cにサンプルを閉じ込めることが難しくなる。また、作動距離は、チップとレンズの距離を調整する時にどちらかを動かすため、ある程度以上の距離があるほうが好ましい。図17より、これら2つの条件を同時に満たす範囲として、カバーガラス厚さ0.2〜0.4mm程度とすると、作動距離として0.15〜0.3mmが確保できる。
【0049】
このように、レンズを並べてレンズアレイを作製する際、作製上の理由から隣接するレンズ領域間にスペースが必要である。また、計測の際、隣接流路からのクロストークの低減を容易にするため、実際のレンズ径はレンズピッチより少し狭くすることが好ましい。
【0050】
なお、光分割素子Bを用いた光照射は、図10に示す第9実施形態や図11に示す第10実施形態のように、1つの流路C中の一箇所に対して行うことも可能であるが、例えば、図18に示す第11実施形態のように、1つの流路C中の複数個所に対して行うことも可能である。
【0051】
オ.導光板Gや光分割素子Bを用いた場合のスポット位置の調整方法
導光板Gや光分割素子Bを用いて複数の検出領域111に光照射を行う場合、スポット位置の間隔には、製造誤差が生じる場合がある。また、複数の検出領域111を流路CやウエルW内に設ける場合、各検出領域111の間隔にも、製造誤差が生じる場合がある。そこで、以下の方法を行うことにより、本発明では簡単にスポット位置を調整することが可能である。
【0052】
まず、図19に示すように、予め、検出領域111の間隔よりスポットの間隔を広く設定する。次に、例えば図20に示すように、矢印Xの方向にスポットの位置を回転調整することにより、検出領域111へ確実に光照射を行うように調整することができる。なお、この場合、各スポットの位置に、流路Cの通流方向にズレYが生じるが、このズレYが各測定に問題のない範囲内に、予め、スポット間隔を設定しておけば問題ない。
【0053】
(4)光検出手段14
光検出手段14は、サンプル中から発せられる蛍光Fを検出するための手段である。
【0054】
本発明に係る光検出装置1において、光検出手段14の具体的配置方法は、サンプル中から発せられた蛍光Fの検出が可能であれば特に限定されず、自由に配置することが可能である。例えば、図1〜4、7、8、10および11に示す第1〜4、7、8、10および11実施形態のように、各検出領域111に対応して複数の光検出手段14を配置することができる。このように複数の光検出手段14を配置することで、各検出領域111に存在するサンプル中から発せられた蛍光Fを同時に検出することが可能である。
【0055】
また、例えば、図示しないが、複数の検出領域111に対して1つの光検出手段14を設け、光検出手段14を走査させることで、各検出領域111に存在するサンプル中から発せられた蛍光Fを検出可能な構成にすることも可能である。
【0056】
また、本発明に係る光検出装置1では、光照射手段12と光検出手段14とを、検出領域111に対して、同一方向に配置しないことが好ましい。光照射手段12と光検出手段14を、検出領域11に対して別の位置に配置することで、光照射手段12や光検出手段14を、より自由な構成で配置させることができる。
【0057】
本発明に係る光検出装置1の光検出手段14に用いることができる検出方法は、特に限定されず、公知の光検出方法を自由に選択して用いることができる。例えば、PD(photo Diode)、電荷結合素子(CCD)、Complementary Metal Oxide Semiconductor(CMOS)、などのエリア撮像素子を用いた方法、複数の光検出器をアレイ状に並べた、いわゆるマルチチャンネル光検出器を用いた方法などを採用することができる。
【0058】
(5)集光レンズ15a、15b
本発明に係る光検出装置1には、図10に示す第9実施形態や図18に示す第11実施形態のように、光照射手段12からの光を各検出領域111へ集光するために、各光照射手段12と各検出領域111との間に、複数の励起用集光レンズ15aを配置することができる。本発明に係る光検出装置1では、この励起用集光レンズ15aは必須のものではないが、これらの実施形態のように励起用集光レンズ15aを設ければ、検出領域111内のサンプルに対して、より正確な光照射を行うことが可能である。
【0059】
また、本発明に係る光検出装置1には、図1〜4、7、8、10、11に示す第1〜4、7〜10実施形態のように、各検出領域111に存在するサンプル中から発せられた蛍光Fを光検出手段14に集光するために、各検出領域111と各光検出手段14との間に、複数の受光用集光レンズ15bを配置することができる。本発明に係る光検出装置1では、この受光用集光レンズ15bも必須のものではないが、これらの実施形態のように受光用集光レンズ15bを設ければ、蛍光F等のシグナルをより高めることができる。その結果、SN比の向上を図ることが可能である。
【0060】
(6)光学フィルター16a、16b
図21は、本発明に係る光検出装置1の第12実施形態を、基板11の側方から視た側方視模式断面図である。本実施形態では、各光照射手段12と各検出領域111との間に、励起用光学フィルター16aを設けている。本発明に係る光検出装置1では、この励起用光学フィルター16aは必須のものではないが、本実施形態のように励起用光学フィルター16aを設ければ、各検出領域111に、所望の波長の励起光を選択的に照射することができる。
【0061】
また、本実施形態では、各検出領域111と各光検出手段14との間に、受光用光学フィルター16bを設けている。本発明に係る光検出装置1では、この受光用光学フィルター16bは必須のものではないが、本実施形態のように受光用光学フィルター16bを設ければ、各検出領域111中に存在するサンプル中から発せられる蛍光Fから、所望の波長の光を選択的に受光することができる。
【0062】
(7)アパーチャー17a、17b、隔壁
図21に示す第12実施形態では、各光照射手段12と各検出領域111との間に、アパーチャー17aを設けている。本発明に係る光検出装置1では、このアパーチャー17aは必須のものではないが、本実施形態のようにアパーチャー17aを設ければ、各光照射手段12から、対応する検出領域111以外の検出領域111(隣の検出領域など)への光照射を防止することができ、その結果、SN比の向上を図ることが可能である。
【0063】
また、本実施形態では、各検出領域111と各光検出手段14との間にも、アパーチャー17bを設けている。本発明に係る光検出装置1では、このアパーチャー17bも必須のものではないが、本実施形態のようにアパーチャー17bを設ければ、対応する検出領域111以外の検出領域111(隣の検出領域など)からのクロストークを低減することができ、その結果、SN比の向上を図ることが可能である。
【0064】
なお、本発明に係る光検出装置1では、アパーチャー17a、17b以外に、図示しないが、レンズ間に隔壁を設けることでも、同様の効果を発揮することができる。
【0065】
以上説明した本発明に係る光検出用装置1は、検出領域111内のサンプル中に含まれる物質の物性に関する分析・解析を行うだけでなく、例えば、流路C内に検出領域111を設け、電気泳動法と組み合わせることにより、サンプル中に含まれる物質の定量的な分析を行うことも可能である。
【0066】
また、例えば、液状サンプルをシース流で挟み込んでフローセルを形成し、そのフローセル中を流れる物質からの蛍光強度ないし蛍光画像を、光検出手段14で取得することもできる。このようなフローセルの構造としては、フローサイトメトリー技術として広く研究開発および実用化がなされているものを用いることができる。このように、マイクロ流路C内を通流中のサンプルから光検出を行うことで、流路下流において、サンプル中の細胞や核酸などの微小粒子を、得られた情報に基づいて分取することも可能である。
【実施例1】
【0067】
実施例1では、光学的制御手段13として機能する光分割素子Bとして、レンズアレイを用いた光検出装置1を作製した。より具体的には、8本の流路Cを有するチップを用いて、8本同時に励起と蛍光検出を行った。
【0068】
本実施例1で用いたレンズアレイの仕様は、レンズ数8個、レンズピッチ:0.8mm、レンズ径:0.77mm、厚さ:0.63mm、焦点距離:0.69mm、開口数(NA):0.55、レンズ材質:石英であり、カバーガラス厚さ:0.2mmに対して球面収差が補正された物を用いた。なお、前述した通り、レンズアレイの仕様は、本実施例1で使用した仕様に限定されず、レンズピッチ:0.6〜1.8mm、レンズ数:6〜12個、CG層厚さ:0.2〜0.6mm、集光時レンズNA:0.4〜0.65(励起時レンズの実効NA:0.1〜0.25)の範囲であっても、同様の効果を得ることが可能である。
【0069】
本実施例1で作製した光検出装置1の具体的構成は、図22に示す通りである。
光照射手段12であるレーザダイオードから出射した励起光は、コリメータレンズCLにより平行光となり、その偏光面は1/2波長板WP1により所望の角度θだけ回転される。ここで、所望の角度θというのは、紙面に垂直な偏光方向の光量I1と紙面に平行な偏光方向の光量I2と、下記に示す式(3)の関係にある。
【0070】
【数3】
【0071】
紙面に垂直な偏光方向の励起光は、バンドパスフィルタBFにより反射され、受光用集光レンズ15bで光検出手段14であるフロントAPC用フォトディテクタ14aに入射し電気信号に変換され、光照射手段12であるレーザダイオードの出射光量の制御に用いられる。また紙面に平行な偏光方向の光は、バンドパスフィルタBFを透過し、ダイクロイックミラーDMと立ち上げミラーMで反射し、1/4波長板WP2により円偏光となり、光学的制御手段13として機能する光分割素子Bであるレンズアレイ(対物レンズ)で流路C(図示せず)に集光される。
【0072】
流路Cからの反射光は、往路と同じ経路を戻るが、1/4波長板WP2で紙面に垂直な偏光方向となっているため、バンドパスフィルタBFで反射され、受光用集光レンズ15b1(レンズアレイ)で光検出手段14である焦点検出用フォトディテクタ14bに入射し電気信号に変換され、この信号は流路C(図示せず)の位置検出に用いられる。
【0073】
また、流路C(図示せず)の光照射位置に蛍光物質が存在する場合は、光照射手段12であるレーザダイオードの波長より少し長い波長の光が生じる。この光は、光学的制御手段13として機能する光分割素子Bであるレンズアレイ(対物レンズ)で集光されほぼ平行光となり、1/4波長板WP2を透過、立ち上げミラーMで反射、受光用フィルタ16bを透過し、受光用集光レンズ15b2で、光検出手段14である蛍光検出用フォトディテクタ14cに入射し、電気信号に変換され、流路C内で発生した蛍光量の計測に用いられる。
【実施例2】
【0074】
実施例2では、流路Cを有するチップとレンズアレイの傾きを最小限に抑えるために、図15に示すようなホルダHおよび平行度出し台Pを用いた場合に、該ホルダHの厚みを算出した。
【0075】
焦点深度はその時の光源の波長をλ、対物レンズの開口数をNAとすると、λ/NA2となる。ホルダHの(レンズ表面からチップ接触面までの)厚さは、対物レンズの作動距離+チップカバーガラス厚さ±1/2×λ/NA2とすることが望ましい。
【0076】
本実施例2では、照明時実効対物レンズ開口数NA:0.1、光源波長λ:640nmとした。これらの数値から焦点深度を算出すると、640×10E-6/0.12=0.064mmとなった。したがって、ホルダの厚みは±0.032mm(32μm)の精度に製作する必要があることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明によれば、光照射手段から出射された光を、複数の検出領域に対して照射可能に光学的制御を行うことができるため、検出領域の数より光照射手段を少なくしても、複数の検出領域に確実に光照射することが可能である。その結果、装置全体の装置の小型化や消費エネルギーの削減を実現することができる。
【0078】
この技術を用いることで、医療分野(病理学、腫瘍免疫学、移植学、遺伝学、再生医学、化学療法など)、創薬分野、臨床検査分野、食品分野、農業分野、工学分野、法医学分野、犯罪鑑識分野、など様々な分野における実際の現場(例えば、医療現場など)において、少ない消費電力で分析・解析などを行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0079】
1 光検出装置
11 基板
111 検出領域
12 光照射手段
13 光学的制御手段
14 光検出手段
15a、15b 集光レンズ
16a、16b 光学フィルター
17a、17b アパーチャー
E 励起光
F 蛍光
W ウエル
C 流路
L レンズ
M ミラー
G 導光板
B 光分割素子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルへの光照射によってサンプル中から発せられる蛍光の検出が行われる複数の検出領域が設けられた基板と、
前記光照射を行う光照射手段と、
該光照射手段から出射された光を、複数の前記検出領域に対して照射するための光学的制御手段と、
前記蛍光を検出する光検出手段と、
が少なくとも備えられた光検出装置。
【請求項2】
前記光照射手段からの光照射は、前記基板の側方から行われ、
前記光学的制御手段は、前記光照射手段から出射された光の光路上に、複数の前記検出領域に対して複数配置されたレンズまたはミラーである請求項1記載の光検出装置。
【請求項3】
前記光照射手段からの光照射は、前記基板の側方から行われ、
前記光学的制御手段は、導光板である請求項1記載の光検出装置。
【請求項4】
前記光学的制御手段は、前記光照射手段から出射された光の光路上に配置された光分割素子である請求項1記載の光検出装置。
【請求項5】
前記基板上に設けられた複数のウエル中に、前記検出領域が設けられた請求項1から4のいずれか一項に記載の光検出装置。
【請求項6】
前記基板上に設けられた流路中に、前記検出領域が設けられた請求項1から5のいずれか一項に記載の光検出装置。
【請求項1】
サンプルへの光照射によってサンプル中から発せられる蛍光の検出が行われる複数の検出領域が設けられた基板と、
前記光照射を行う光照射手段と、
該光照射手段から出射された光を、複数の前記検出領域に対して照射するための光学的制御手段と、
前記蛍光を検出する光検出手段と、
が少なくとも備えられた光検出装置。
【請求項2】
前記光照射手段からの光照射は、前記基板の側方から行われ、
前記光学的制御手段は、前記光照射手段から出射された光の光路上に、複数の前記検出領域に対して複数配置されたレンズまたはミラーである請求項1記載の光検出装置。
【請求項3】
前記光照射手段からの光照射は、前記基板の側方から行われ、
前記光学的制御手段は、導光板である請求項1記載の光検出装置。
【請求項4】
前記光学的制御手段は、前記光照射手段から出射された光の光路上に配置された光分割素子である請求項1記載の光検出装置。
【請求項5】
前記基板上に設けられた複数のウエル中に、前記検出領域が設けられた請求項1から4のいずれか一項に記載の光検出装置。
【請求項6】
前記基板上に設けられた流路中に、前記検出領域が設けられた請求項1から5のいずれか一項に記載の光検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2011−59095(P2011−59095A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−254508(P2009−254508)
【出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月6日(2009.11.6)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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