説明

光活性組成中の発色団含有有機分子の電子的励起をクエンチする方法

【課題】
【解決手段】UV吸収性分子からの光安定化電子的励起状態エネルギー(特に一重項状態エネルギー)は、フェニル環の1つまたは両方の上にアルコキシラジカル(好適には4(パラ)位にあるもの)(本明細書中、以下メトキシクリレン)を有する化学式(I)および(V)のa−シアノジフェニルアクリラート化合物に容易に転移する(によって受け入れられる)ことが分かっている。


ここで、RおよびRのうち少なくとも1つは直鎖または分枝鎖C−C12アルコキシラジカルであり、好適にはC−Cであり、より好適にはC−Cであり、最も好適にはメトキシであり、アルコキシラジカルでないRまたはRはいずれも水素であり、Rは直鎖または分枝鎖C−C24アルキル基であり、好適にはC12−C24であり、より好適にはC20である。


ここで、AおよびBは同一であるかまたは異なり、酸素、アミノおよび硫黄からなる群から選択され、RおよびRは、同一であるかまたは異なり、C−C30アルキル、C−C30アルキレン、C−C30アルキン、C−Cシクロアルキル、C−C30置換アルキレン、C−C30置換アルキン、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロアリールおよび置換ヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、Rは、C−C30アルキル、C−C30アルキレン、C〜C30アルキン、C−Cシクロアルキル、C−C30置換アルキル、C−C置換シクロアルキル、C−C30置換アルキレン、C−C30置換アルキンからなる群から選択され、R、R、RおよびRは、同一であるかまたは異なり、分岐上のC−C30アルコキシ直鎖からなる群から選択され、a、b、cおよびdはそれぞれ0または1であり、a、b、cおよびdは合計1、2、3、または4となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光活性組成中の発色団含有UV吸収性有機分子の電子的励起状態(単数または複数)をクエンチする方法に関する。より詳細には、(好適には、フェニル環の1つの上の(あるいは双方のフェニル環上の))アルコキシラジカルを有するα−シアノ−β、βジフェニルアクリレート(クリレン)は、励起状態エネルギー(一重項および場合によっては三重項状態も)を受け入れることにより発色団の励起状態をクエンチし、これにより前記UV吸収性分子をその基底状態に戻して、前記発色団が例えば紫外線(UV)光からより多くの光子を吸収できるようにし、これにより、光活性組成中のUV吸収性発色団含有有機分子(特に、ブチルメトキシジベンゾイルメタン(アヴォベンゾン)、オクチルメトキシシンナメート(オクチノキセート)、およびオクチルサリシレート(オクチサレート))を光安定化することが分かっている。
【背景技術】
【0002】
発色団含有有機分子によって紫外線光が吸収されると、初期に占有していた低エネルギー軌道からのより高いエネルギーの以前に占有されていない軌道への発色団部分中の電子が励起される。前記吸収された光子のエネルギーは、電子の活性化に用いられ、また、前記吸収された光子のエネルギーにより、電子がより高いエネルギー軌道へと「ジャンプ」する(Turro、Modern molecular Photochemistry、1991を参照)。2つの励起電子状態は、UV光吸収により生成される電子軌道構成から導出される。1つの状態において、電子スピンは、対であり(逆並列)、他方の状態において、電子スピンは不対である(並列)。対にされたスピンの状態からはスピン磁気モーメントは発生しないが、不対スピンの状態からは純スピン磁気モーメントが発生する。対にされたスピンの状態からは、磁界の存在下で単一の状態が保持され、一重項状態と呼ばれる。不対スピンの状態は磁界と相互作用し、3つの量子化状態に分割され、三重項状態と呼ばれる。
【0003】
電子励起状態において、発色団含有有機分子は、多数の既知の経路を介して劣化しがちであるため、さらなるUV光をほとんど吸収できなくなる。十分なUV保護を得るために電子的に励起された発色団含有有機分子を光安定化するには、そのUV吸収能力に対して破壊的な光化学反応を受ける前に基底状態に戻す必要がある。既知の光安定化日焼け止め添加剤には、例えば、励起三重項状態エネルギーのクエンチが可能な、本譲受人の米国特許第6,113,931号、6,284,916号、6,518,451号、および6,551,605号(これら全てを参考のため援用する)のオクトクリレン、メチルベンジリデンカンファー、およびナフタレンジカルボン酸のエステルまたはポリエステルがある。驚くべきことに、アルコキシクリレン(特にメトキシクリレン)は、発色団含有有機分子(特にブチルメトキシジベンゾイルメタン(アヴォベンゾン)、オクチルメトキシシンナメート(オクチノキセート)、およびオクチルサリシレート(オクチサレート))を電子的に励起一重項状態および励起三重項状態双方からその基底状態へと戻し、これによりUV吸収性有機分子を光安定化させることが分かった。
【0004】
Deflandreの米国5,576,354号は一般的には、少なくとも1重量%のα−シアノ−β、β−ジフェニルアクリレートを含む化粧品用日焼け止め組成を開示している。α−シアノ−β、β−ジフェニルアクリレートは、前記組成が脂肪相(例えば、グリセロールステアレート、イソプロピルミリステート)を含みかつα−シアノ−β、β−ジフェニルアクリレートのジベンゾイルメタン誘導体に対するモル比が少なくとも0.8である場合、ジベンゾイルメタン誘導体(例えば、Parsol1789(アヴォベンゾン))を光安定化させる。前記’354特許中で好適とされまた上記例において開示されている化合物として、オクトクリレンがある。オクトクリレンは、アルコキシラジカル(単数または複数)(UVINULN539);β、β−ビス(4−メトキシフェニル)アクリレート(シアン基を含まない)およびアルコキシラジカル(単数または複数)を含まないα−シアノ−β、β−ジフェニルアクリレートを含まない。
【0005】
本譲受人の係属中の出願(シリアル番号第10/241,388号、10/361,223号、および10/7865,793号)に記載のように、α−シアノ−β、β−ジフェニルアクリレート化合物(例えば、オクトクリレン)は、前記エネルギーを動力学的に高速異性化の形態で放散させることにより、励起光活性化合物の励起三重項状態エネルギーをクエンチする(受け入れる)ことが知られている。このプロセスを以下に示す。
【0006】
【化1】

【0007】
ここで、前記α−シアノ−β、β−ジフェニルアクリレート化合物(構造Aとして上記に示したオクトクリレン)は、光活性化合物からの三重項励起状態エネルギーを受け入れ、前記アクリレートのα位置およびβ位置においてジラジカル(構造Aとして上記に示す)を形成し、これにより、前記二重結合が一重結合に変換され、前記フェニル基の自由回転が可能となる。この回転は高速で発生し、前記光活性化合物からのα−シアノ−β、β−ジフェニルアクリレート化合物によって受け入れられた任意の励起三重項状態エネルギーを効率的に放散させる。
【0008】
オクトクリレンは光活性化合物からの三重項励起状態エネルギーをクエンチする(受け入れる)ことで、ジベンゾイルメタン誘導体(Deflandreらの米国特許第5,576,354号(同文献を参考のため援用する)の例1、4、6および8中に示すようなもの)を一定レベルまで光安定化させるものの、光活性組成分野において、オクトクリレンでは不可能な、光活性化合物からの一重項励起状態エネルギーを(および好適には三重項励起状態エネルギーも)クエンチする(受け入れる)1つ以上の化合物を発見する必要が存在している。
【0009】
極めて驚くべきことに、アルコキシ置換α−シアノ−β、β−ジフェニルアクリレート(アルコキシクリレン)は、UV吸収性化合物の量と比較してローディング量が極めて低い場合においても、UV吸収性有機分子の電子励起一重項状態エネルギー(例えば、米国特許第5,576,354号のジベンゾイルメタン誘導体)をクエンチすることが分かっている。
【0010】
前記光安定化電子的励起状態エネルギー(特に、UV吸収性分子からの一重項状態エネルギー)は、前記化学式(I)を有するフェニル環のうちの1つまたは両方上の4(パラ)位(以下メトキシクリレン)中のアルコキシラジカルを有するα−シアノジフェニルアクリラート化合物に容易に転移する(によって受け入れられる)ことが、分かっている。
【0011】
【化2】

【0012】
ここで、RおよびRのうち1つまたは両方は、直鎖または分枝鎖C−C30アルコキシラジカル(好適にはC−C、より好適にはメトキシ)であり、非アルコキシラジカルRまたはRは水素であり、Rは直鎖または分枝鎖C−C30アルキル基(好適にはC−C20)である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、4.5%オクチルドセジルメトキシクリレン(C2OMC)および2.75%オクトクリレン(OC)によって得られた例1〜3の日焼け止め組成の光安定性を示すグラフ(35MEDのUV照射時)であり、UV照射前の光安定性との比較と、光安定化剤を含まない組成との比較とを示す。
【図2】図2は、例4の日焼け止め組成の35MEDのUV照射の前後の光安定性を示すグラフである。
【図3】図3は、例5の日焼け止め組成の35MEDのUV照射の前後の光安定性を示すグラフである。
【図4】図4は、例6の日焼け止め組成の35MEDのUV照射の前後の光安定性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書中、範囲は、「約」または「およそ」の後に続く特定値から「約」または「およそ」の後に続く別の特定値までとして示され得る。このような範囲が示される場合、別の実施形態は、特定の値からおよび/または他方の特定の値までを含む。同様に、「約」という先行詞によって近似値として値が示された場合、前記特定の値は別の実施形態を形成することが理解される。
【0015】
本明細書中、「アルコキシ」という用語は、化学式O−Rを有するフェニル環のうち1つまたは両方のパラ位置からの基を示す。化学式O−Rにおいて、Rは、1〜30個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖アルキル基であり、好適にはR=C〜C、より好適にはC〜C20、最も好適には−O−CH(メトキシ)である。前記アルコキシラジカルの酸素原子は、前記フェニル環のうち1つまたは両方のパラ炭素原子(好適には、好適には化学式(II)または(III)を有する前記フェニルのうち1つのみ)に共有結合する。
【0016】
【化3】

ここで、Rは上記にて定義した通りである。
【0017】
本明細書中用いられるような「クリレン」という用語は、α−シアノ−β、β−ジフェニルプロパン酸エステルを含む色素体部分を示す。本明細書中用いられるような「シアノ」という用語は、−C≡N基(「−CN」とも示す)を示す。
【0018】
光活性組成(例えば日焼け止め組成)は一般的には、化粧品用途に受け入れられているキャリア(必要に応じて添加剤(例えば、皮膚軟化剤、安定剤、乳化剤ならびにこれらの組み合わせ)を含む)中にUV−AおよびUV−B光活性化合物を含む。これらの添加剤を用いて、1つ以上の光活性化合物と、溶媒または1つ以上の有機溶媒および水を含む溶媒組み合わせとを含む組成から、乳剤(水中油型または油中水型)中のUVフィルタ組成を作製することができる。作製時、好適には前記乳剤は水中油型乳剤であり、その油相は、主に前記UVフィルタ化合物(単数または複数)および1つ以上の有機溶媒の混合物から形成される。
【0019】
典型的な光活性組成は1つ以上の光活性化合物を含み、前記光活性化合物(単数または複数)は、UV照射を吸収することで、素地(例えば、ヒトの皮膚、樹脂、フィルム)をUV照射の有害な影響から保護するように機能する。前記吸収プロセスにより光活性化合物は励起状態に達し、前記励起状態は、前記光活性化合物の基底状態と比較して、励起電子エネルギー(例えば、一重項状態エネルギーまたは三重項状態エネルギー)の存在によって特徴付けられる。光活性化合物が励起状態に達した後は、前記励起光活性化合物がその過剰エネルギー(例えば、一重項および/または三重項エネルギー)を放散する際の経路が複数存在する。しかし、これらの経路のうち多くは、前記光活性化合物が持つUV照射をさらに吸収する能力に悪影響を与える。本明細書中記載されるアルコキシクリレン分子は、UV吸収剤(特に、アヴォベンゾン、オクチルメトキシシンナメート(オクチノキセート)、およびオクチルサリシレート(オクチサレート))からの電子一重項励起状態エネルギーを受け入れる。前記アルコキシクリレンはまた、日焼け止め組成中の他のUV吸収性化合物をクエンチする電子一重項状態エネルギーを提供することができるのに加え、極めて有効なUVA吸収剤でもある。本明細書中記載されるアルコキシクリレン分子は、1つ以上のさらなる電子一重項励起状態クエンチ化合物(例えばオキシベンゾン)と組み合わされると、特に効果的である。本明細書中記載のアルコキシクリレン分子ならびにオクチルメトキシシンナメートおよびアヴォベンゾンを含む日焼け止め組成において、特に驚くべき光安定化が達成される。
【0020】
光活性化合物とは、光に対して光電的に反応するものである。本明細書中開示される組成および光安定化方法において、光活性化合物は、UV照射に対して光電的に反応するものである。例えば、光活性化合物光分解によりUV照射に光電的に反応する光活性化合物含有組成は全て、本明細書中記載のアルコキシクリレン分子を含むことにより、大きな恩恵を受ける。本明細書中記載のアルコキシクリレンは、Shaath,Nadim,Encyclopedia of UV filters、(c)2007(同文献を参考のため援用する)に記載されている任意の単一の光活性化合物またはその組み合わせと組み合わされた場合、有用な光安定化剤および/または光活性化合物となる。全てのUVフィルタは、UV照射に晒された際に電子一重項励起状態に達するため、光安定性が問題となる。
【0021】
以下のUVフィルタは、本明細書中記載のアルコキシクリレン分子により光安定化されると理論付けられる。本明細書中記載のアルコキシクリレンは、以下のもの全てを含み、任意の2つ以上の組み合わせを含み、以下のカテゴリー(特定例を含む)から選択された化合物を含む:p−アミノ安息香酸、その塩およびその誘導体(エチル、イソブチル、グリセリルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸)、アントラニル酸塩(o−アミノ安息香酸塩、メチル、メンチル、フェニル、ベンジル、フェニルエチル、リナリル、テルピニル、およびシクロヘキセニルエステル)、サリシレート(オクチル、アミル、フェニル、ベンジル、メンチル(ホモサラート)、グリセリル、およびジプロピレングリコールエステル)、桂皮酸誘導体(メンチルおよびベンジルエステル、アルファ−フェニル桂皮酸ニトリル、ブチルシンナモイルピルビン酸塩)、ジヒドロキシ桂皮酸誘導体(ウンベリフェロン、メチルウンベリフェロン、メチルアセト−ウンベリフェロン)、カンファー誘導体(3ベンジリデン、4メチルベンジリデン、ポリアクリルアミドメチルベンジリデン、ベンザルコニウムメトサルフェート、ベンジリデンカンファースルホン酸、およびテレフタリリデンジカンフルスルホン酸)、トリヒドロキシ桂皮酸誘導体(エスクレチン、メチルエスクレチン、ダフネチン、および前記グルコシド、エスクリンおよびダフニン)、炭化水素(ジフェニルブタジエン、スチルベン)、ジベンザルアセトン、ベンザルアセトフェノン、ナフトールスルホン酸塩(2−ナフトール−3、6−ジスルホンおよび2−ナフトール−6、8−ジスルホン酸のナトリウム塩)、ジヒドロキシ−ナフトエ酸およびその塩、o−およびp−ヒドロキシジフェニル二硫酸塩、クマリン誘導体(7−ヒドロキシ、7−メチル、3−フェニル)、ジアゾール(2−アセチル−3−ブロモインダゾール、フェニルベンゾオキサゾール、メチルナフトオキサゾール、多様なアリールベンゾチアゾール)、キニーネ塩(重硫酸塩、硫酸塩、塩化物、オレイン酸塩、およびタンニン酸塩)、キノリン誘導体(8−ヒドロキシキノリン塩、2−フェニルキノリン)、ヒドロキシ−またはメトキシ置換ベンゾフェノン、尿酸誘導体、ビロ尿酸誘導体、タンニン酸およびその誘導体、ハイドロキノン、およびベンゾフェノン(オキシベンゾン、スリソベンゾン、ジオキシベンゾン、ベンゾレゾルシノール、オクタベンゾン、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、エトクリレン、および4−イソプロピル−ジベンゾイルメタン)。
【0022】
以下のUVフィルタは、本明細書中記載のアルコキシクリレン分子により、特に光安定化されるべきである:2−エチルヘキシルp−メトキシシンナメート、4、4’−t−ブチルメトキシジベンゾイルメタン、オクチルジメチルp−アミノ安息香酸塩、ジガロイル三オレイン酸塩、エチル4−[ビス(ヒドロキシプロピル)]アミノ安息香酸塩、2−エチルヘキシルサリシレート、グリセロールp−アミノ安息香酸塩、3、3、5−トリメチルシクロヘキシルサリシレート、およびこれらの組み合わせ。
【0023】
本明細書中開示される光活性組成は、好適には1つ以上のUV−A光活性化合物および1つ以上のUV−B光活性化合物を含む多様な光活性化合物を含むことができる。好適には、日焼け止め組成は、p−アミノ安息香酸および塩およびその誘導体、アントラニル酸塩およびその誘導体、ジベンゾイルメタンおよびその誘導体、サリシレートおよびその誘導体、桂皮酸およびその誘導体、ジヒドロキシ桂皮酸およびその誘導体、カンファーおよび塩およびその誘導体、トリヒドロキシ桂皮酸およびその誘導体、ジベンザルアセトンナフトールスルホン酸塩および塩およびその誘導体、ベンザルアセトフェノンナフトールスルホン酸塩および塩およびその誘導体、ジヒドロキシ−ナフトエ酸およびその塩、o−ヒドロキシジフェニル二硫酸塩および塩およびその誘導体、p−ヒドロキシジフェニル二硫酸塩および塩およびその誘導体、クマリンおよびその誘導体、ジアゾール誘導体、キニーネ誘導体およびその塩、キノリン誘導体、尿酸誘導体、ビロ尿酸誘導体、タンニン酸およびその誘導体、ハイドロキノン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシルベンゾエートおよび塩およびその誘導体、ならびに上記の組み合わせからなる群から選択された光活性化合物を含む。
【0024】
UVA照射(約320nm〜約400nm)は、皮膚(特に、薄く色づいた皮膚または敏感な皮膚)へのダメージの一因となることが知られている。本明細書中開示される日焼け止め組成は好適には、UV−A光活性化合物を含む。好適には、本明細書中開示される日焼け止め組成は、ジベンゾイルメタン誘導体UV−A光活性化合物を含む。好適なジベンゾイルメタン誘導体を挙げると、2−メチルジベンゾイルメタン、4−メチルジベンゾイルメタン、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、4−tert−ブチルジベンゾイルメタン、2、4−ジメチルジベンゾイルメタン、2、5−ジメチルジベンゾイルメタン、4、4’−ジイソプロピルジベンゾイルメタン、4、4’−ジメトキシジベンゾイルメタン、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2−メチル−5−イソプロピル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2−メチル−5−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、2、4−ジメチル4’−メトキシジベンゾイルメタン、2、6−ジメチル4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン、およびこれらの組み合わせ。
【0025】
米国内で市販される製品の場合、好適な化粧品用途として受け入れ可能な光活性化合物および濃度(化粧品用日焼け止め組成合計の重量パーセントとして報告されている)を挙げると、アミノ安息香酸(パラアミノ安息香酸およびPABAとも呼ばれる、15%以下)、アヴォベンゾン(ブチルメトキシジベンゾイルメタンとも呼ばれる、3%以下)、シノキサート(2エトキシエチルpメトキシシンナメートとも呼ばれる、3%以下)、ジオキシベンゾン(ベンゾフェノン8とも呼ばれる、3%以下)、ホモサラート(3、3、5−トリメチルシクロヘキシルサリシレートとも呼ばれる、15%以下)、メンチルアントラニル酸塩(メンチル2アミノ安息香酸塩とも呼ばれる、5%以下)、オクトクリレン(2エチルヘキシル2シアノ3、3ジフェニルアクリレートとも呼ばれる、10%以下)、オクチルメトキシシンナメート(7.5%以下)、オクチルサリシレート(2エチルヘキシルサリシレートとも呼ばれる、5%以下)、オキシベンゾン(ベンゾフェノン3とも呼ばれる、6%以下)、パジマートO(オクチルジメチルPABAとも呼ばれる、8%以下)、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸(水溶性、4%以下)、スリソベンゾン(ベンゾフェノン4とも呼ばれる、10%以下)、二酸化チタン(25%以下)、トロラミンサリチル塩(トリエタノールアミンサリシレートとも呼ばれる、12%以下)、および酸化亜鉛(25%以下)がある。
【0026】
他の好適な化粧品用途に受け入れ可能な光活性化合物および好適な濃度(化粧品用日焼け止め組成合計の重量パーセント)を挙げると、ジエタノールアミンメトキシシンナメート(10%以下)、エチル−[ビス(ヒドロキシプロピル)]アミノ安息香酸塩(5%以下)、グリセリルアミノ安息香酸塩(3%以下)、4イソプロピルジベンゾイルメタン(5%以下)、4メチルベンジリデンカンファー(6%以下)、テレフタリリデンジカンフルスルホン酸(10%以下)、およびスリソベンゾン(ベンゾフェノン4とも呼ばれる、10%以下)がある。
【0027】
欧州連合内で市販される製品の場合、好適な化粧品用途に受け入れ可能な光活性化合物および好適な濃度(化粧品用日焼け止め組成合計の重量パーセントとして報告される)を挙げると、PABA(5%以下)、カンファーベンザルコニウムメトサルフェート(6%以下)、ホモサラート(10%以下)、ベンゾフェノン3(10%以下)、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸(8%以下、酸として示される)、テレフタリデンジショウノウスルホン酸(10%以下、酸として示される)、ブチルメトキシジベンゾイルメタン(5%以下)、ベンジリデンカンファースルホン酸(6%以下、酸として示される)、オクトクリレン(10%以下、酸として示される)、ポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンファー(6%以下)、エチルヘキシルメトキシシンナメート(10%以下)、PEG25PABA(10%以下)、イソアミルpメトキシシンナメート(10%以下)、エチルヘキシルトリアゾン(5%以下)、ドラマトリアゾールトリエルオキサン(15%以下)、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン(10%以下)、4メチルベンジリデンカンファー(4%以下)、3ベンジリデンカンファー(2%以下)、エチルヘキシルサリシレート(5%以下)、エチルヘキシルジメチルPABA(8%以下)、ベンゾフェノン4(5%、酸として示される)、メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール(10%以下)、二ナトリウムフェニルジベンズイミダゾールテトラスルホナート(10%以下、酸として示される)、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェノールトリアジン(10%以下)、メチレンビスベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール(10%以下、TINOSORB Mまたはビソクトリゾールとも呼ばれる)、およびビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(10%以下、TINOSORB Sまたはベモトリジノールとも呼ばれる)がある。
【0028】
上記したUVフィルタは全て、市販されている。例えば、適切な市販されている有機UVフィルタは、以下の表1中の商標名および供給業者により、特定される。
【0029】
【表1】

【0030】
本発明の譲受人に譲渡された米国特許第6,485,713号および6,537,529号(本明細書中、同文献の開示内容を参考のため援用する)中に、例えば組成の油相に極性溶媒を付加することにより、日焼け止め組成中の光活性化合物の光安定性を増加させる組成および方法についての記載がある。本明細書中記載されるアルコキシクリレン(例えばメトキシクリレン)を含む日焼け止め組成の油相の極性を増加させることにより、オクトクリレンと比較して、前記日焼け止め組成の安定性が驚くほど増加する。本明細書中記載される日焼け止め組成において、好適には、前記組成の油相中に1つ以上の高極性溶媒が存在する。好適には、前記日焼け止め組成中には、前記組成の油相の誘電率を少なくとも約7(好適には少なくとも約8)に増加させるために、十分な量の極性溶媒が存在する。前記油相中に高極性溶媒があってもなくても、本明細書中記載のメトキシクリレン分子は、オクトクリレンと比較して、予期しない光安定性を生み出す。
【0031】
光活性化合物は、例えば30MED照射後に、或る波長または対象波長範囲(例えば、光活性化合物がピーク吸光度(例えば、アヴォベンゾンの場合350−370nm)を有する波長)において、その元々の吸光度の少なくとも約90%を保持するような場合、安定したものとみなすことができる。同様に、日焼け止め組成は、複数の光活性化合物および日焼け止め組成を含むことができ、全体として、例えば30MED照射後に、1つ以上の対象波長において(例えば、主要光活性化合物のピーク吸光度波長においてまたはその近隣において)、その元々の吸光度の少なくとも約90%を保持するような場合、安定したものとみなすことができる。
【0032】
メチルまたはエチル2−シアノ−3−(4’−メトキシフェニル)−3−フェニルプロペノアート(メチルまたはエチルメトキシクリレンまたはメチルまたはエチルMeOクリレン)の合成
【0033】
【化4】

【0034】
4−メトキシベンゾフェノン(MW=182.22g/モル;500g;2.74モル;1モル等量)およびシアノ酢酸メチル(MW=99.09g/モル;367.06g;3.70モル;1.35モル等量)を、メカニカルスターラーおよび窒素入口を取り付けた1Lの三つ口フラスコ中に配置した。これらのメカニカルスターラーおよび窒素入口により、反応混合物中を窒素が連続的に流れるようになっている(窒素は反応混合物中で泡立てられる)。次に、トルエン(1200ml)および酢酸(240ml;トルエン/酢酸比=5/1)を前記フラスコに追加し、その後、酢酸アンモニウムを追加する(MW=77.09g/モル;21.12g;0.274モル、0.1モル等量;反応時間中、触媒をこの量で4回付加する)。その後、前記フラスコにディーン−スターク受器を取り付ける。ディーン−スターク受器を通じて、反応水が連続的に除去される。
【0035】
コメント:
1.アリコートの前記反応混合物を取り出して、前記反応の完了率を確認する。
2.この反応から予期される水の量は49.5mlである。しかし、私は約120mlの水相を収集した。これは、前記水が混合物(水/酢酸/トルエン)の形態で蒸留されたためである。
3.前記反応混合物からメチルアセテートが失われないようにするため、ディーン−スターク受器と前記フラスコとの間に短尺の充填カラムを配置するとよい。
【0036】
ワークアップ
前記反応混合物を室温まで冷却し、酢酸エチルを付加して全固形物を溶解させた後、粗混合物を水で数回洗浄して酢酸および塩を除去する。その後、前記溶媒を蒸留により前記反応混合物から除去する。粗固形生成物を熱メタノール(またはトルエン/メタノール混合物(ただし、好適な場合))から再結晶化させる。
【0037】
コメント
最終生成物は、前記冷却反応混合物から結晶化し始めるため濾過することができるが、それでも極めて高酸性であるため、結晶を水/メタノール混合物で洗浄して、あらゆる酢酸および塩残留物を洗い落とすべきである。その後、このようにして得られた生成物を再結晶化させることができ、母液を水で洗浄し、乾燥させることができ、第2クロップの生成物を得ることができる。
アルキル2−シアノ−3−(4’−メトキシフェニル)−3−フェニルプロペノアートの合成
【0038】
【化5】

【0039】
反応手順
メチル(またはエチル)2−シアノ−3−(4’−メトキシフェニル)−3−フェニルプロペノアート(900g、3.06モル;MW=293.32)、アルキルアルコール(3.84モル;1.25モル等量)、およびTegokat250(総バッチ重量の0.03%)を2L三つ口丸底フラスコ中に配置し、185C(365F)に設定された温度まで加熱し、窒素によりこれを良好にパージして、充填カラムを備えた簡単な蒸留セットアップを介して、生成メタノール(またはエタノール)を除去する。
3時間後、GCから、メチル2−シアノ−3−(4’−メトキシフェニル)−3−フェニルプロペノアートは所望の生成物へ完全に変換されたことが分かった。
【0040】
ワークアップ
真空蒸留により、未反応のアルキルアルコールを完全に除去した。前記反応の温度を110C(230F)まで下げ、計算された量(総バッチ重量の2%)の前記SSP(スズ除去剤)を付加した。前記生成物をこの温度で2時間攪拌した後、高温濾過した。少量のセリットを付加した直後に濾過を行って濾過を促進させた。セリットの使用により、濾過がより高効率かつ高速になった。
【0041】
結果
生成物収率:化学量論量の94%
最終生成物の純度:99.81%(エリアカウント、GC)
【0042】

本明細書中記載のアルコキシクリレンの光安定性効果を示すために、記載の手順に従って以下の組成(表1)を作成した。「メトキシクリレン」として示される化合物は、以下の化学式(IV)を有した。
【0043】
【化6】

【0044】

【0045】
先行技術のオクトクリレンと比較した、表1の日焼け止め組成(メトキシクリレンを含む)の驚くべき光安定性を、上記例1〜例3のデータのグラフである図1および例4〜例6に関する以下のSPF報告書のグラフに示す。
【0046】
【表2】

【0047】
表2中に示す手順に従って、さらなるメトキシクリレン分子を試験した。ここで、化学式(I)のメトキシクリレンの基RはR=エチルヘキシル(化学式V)を有する。
【0048】
【化7】

【0049】
例4の日焼け止め組成のデータを図2のグラフに示し、例5の組成のデータを図3のグラフに示す。例4〜例6については、例6のデータ(図4のようなグラフ形態で示す)では、7%のエチルヘキシルメトキシクリレン(化学式V)および1.8%のオクトクリレン(例4)を8.8%のオクトクリレン(アルコキシクリレン無し)と比較している。図4のグラフおよび例4〜6に関する以下のSPF報告書に示すように、本明細書中記載のアルコキシクリレンは、オクトクリレンよりも予期しないほど良好な光安定化剤である。
【0050】



【0051】
化学式(I)〜(V)の簡単なエステルアルコキシクリレン化合物に加え、前記アルコキシクリレン部分を、ポリエステル分子上の1つ以上の末端部分(例えば、本譲受人の米国特許第7,235,587号(’587)(同文献を参考のため援用する)中に開示されているDi(NPGクリレン)フメレートポリエステルのアルコキシ誘導体)として、化学式(VI)中に示すように付加することができる。
【0052】
【化8】

【0053】
ここで、AおよびBは同一であるかまたは異なり、酸素、アミノおよび硫黄からなる群から選択される。RおよびRは、同一であるかまたは異なり、C−C30アルキル、C−C30アルキレン、C−C30アルキン、C−Cシクロアルキル、C−C30置換アルキレン、C−C30置換アルキン、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロアリールおよび置換ヘテロシクロアルキルからなる群から選択される。Rは、C−C30アルキル、C−C30アルキレン、C30アルキン、C−Cシクロアルキル、C−C30置換アルキル、C−C置換シクロアルキル、C−C30置換アルキレン、C−C30置換アルキンからなる群から選択される。R、R、RおよびRは、同一であるかまたは異なり、分岐上のC−C30アルコキシ直鎖からなる群から選択される。a、b、cおよびdはそれぞれ0または1であり、a、b、cおよびdは、合計1、2、3または4になる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光活性化合物および化学式(I)の化合物の混合物を含む光安定化された光活性組成であって、
前記光活性化合物は、UV照射に晒されると一重項励起状態となり、前記化学式(I)の化合物は、前記組成中の前記光子励起光活性組成からの前記一重項励起状態を受け入れて、前記光子励起光活性組成からの前記一重項励起状態をクエンチし、前記光子励起光活性組成からの前記一重項励起状態を前記化学式(I)の化合物へと転移させることで、前記光子励起光活性組成をその基底状態へと戻し、これにより、前記光子励起光活性組成がUV照射からより多くの光子を吸収した後、そのUV吸収能力に対して破壊的な光化学的反応を受けるようにし、

およびRのうち1つは直鎖または分枝鎖C−C30アルコキシラジカルであり、前記アルコキシでないRおよびRは水素であり、Rは直鎖または分枝鎖C−C30アルキル基であることを特徴とする光安定化された光活性組成。
【請求項2】
はメトキシであり、Rは水素であることを特徴とする請求項1に記載の光安定化された光活性組成。
【請求項3】
はメトキシであり、Rは水素であることを特徴とする請求項1に記載の光安定化された光活性組成。
【請求項4】
はC12〜C30直鎖または分岐アルキルであることを特徴とする請求項2に記載の光安定化された光活性組成。
【請求項5】
前記化学式(I)の化合物は、前記組成の総重量に基づいて、0.1%〜20%の重量範囲の量で存在することを特徴とする請求項1に記載の光安定化された光活性組成。
【請求項6】
前記化学式(I)の化合物は、前記組成の総重量に基づいて、0.5%〜10%の重量範囲の量で存在することを特徴とする請求項1に記載の光安定化された光活性組成。
【請求項7】
前記化学式(I)の化合物は、前記組成の総重量に基づいて、0.1%〜10%の重量範囲の量で存在することを特徴とする請求項1に記載の光安定化された光活性組成。
【請求項8】
前記化学式(I)の化合物は、前記組成の総重量に基づいて、3%〜8%の重量範囲の量で存在することを特徴とする請求項7に記載の光安定化された光活性組成。
【請求項9】
前記光活性化合物は、p−アミノ安息香酸および塩およびその誘導体、アントラニル酸塩およびその誘導体、ジベンゾイルメタンおよびその誘導体、サリシレートおよびその誘導体、桂皮酸およびその誘導体、ジヒドロキシ桂皮酸およびその誘導体、カンファーおよび塩およびその誘導体、トリヒドロキシ桂皮酸およびその誘導体、ジベンザルアセトンナフチルスルホネートおよび塩およびその誘導体、ベンザルアセトフェノンナフトールスルホン酸塩および塩およびその誘導体、ジヒドロキシ−ナフトエ酸およびその塩、o−ヒドロキシジフェニル二硫酸塩および塩およびその誘導体、p−ヒドロキシジフェニル二硫酸塩および塩およびその誘導体、クマリンおよびその誘導体、ジアゾール誘導体、キニーネ誘導体およびその塩、キノリン誘導体、ヒドロキシル置換ベンゾフェノン誘導体、ナフタレート誘導体、メトキシ置換ベンゾフェノン誘導体、尿酸誘導体、ビロ尿酸誘導体、タンニン酸およびその誘導体、ハイドロキノン、ベンゾフェノン誘導体、1、3、5−トリアジン誘導体、フェニルジベンズイミダゾールテトラスルホナートおよび塩およびその誘導体、テレフタリリデンジカンフルスルホン酸および塩およびその誘導体、メチレンビス−ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノールおよび塩およびその誘導体、ビス−エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンおよび塩、ジエチルアミノヒドロキシルベンゾイルおよびその誘導体、ならびに前記の組み合わせからなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の光安定化された光活性組成。
【請求項10】
前記光活性化合物はジベンゾイルメタン誘導体を含むことを特徴とする請求項1に記載の光安定化された光活性組成。
【請求項11】
シンナメートエステルをさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の光安定化された光活性組成。
【請求項12】
前記シンナメートエステルは、2−エチルヘキシルp−メトキシシンナメート、イソアミルp−メトキシシンナメート、およびその組み合わせからなる群から選択されることを特徴とする請求項11に記載の光安定化された光活性組成。
【請求項13】
前記シンナメートエステルは2−エチルヘキシルp−メトキシシンナメートであることを特徴とする請求項12に記載の光安定化された光活性組成。
【請求項14】
前記ジベンゾイルメタン誘導体はブチルメトキシジベンゾイルメタンを含むことを特徴とする請求項13に記載の光安定化された光活性組成。
【請求項15】
1〜10重量%のナフタレンジカルボン酸エステルをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の光安定化された光活性組成。
【請求項16】
前記ナフタレンジカルボン酸エステルは、ジエチルヘキシル2、6−ナフタレンジカルボン酸エステルを含むことを特徴とする請求項15に記載の光安定化された光活性組成。
【請求項17】
サリシレートまたはその誘導体を0.1〜10重量%さらに含むことを特徴とする請求項1に記載の光安定化された光活性組成。
【請求項18】
サリシレートまたはその誘導体を0.1〜10重量%さらに含むことを特徴とする請求項14に記載の光安定化された光活性組成。
【請求項19】
ベンゾフェノンまたはその誘導体を0.1〜10重量%さらに含むことを特徴とする請求項1に記載の光安定化された光活性組成。
【請求項20】
前記ベンゾフェノンは、0.1〜10重量%のベンゾフェノン−3を含むことを特徴とする請求項19に記載の光安定化された光活性組成。
【請求項21】
ビス−エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンを0.1〜10重量%さらに含むことを特徴とする請求項13に記載の光安定化された光活性組成。
【請求項22】
ジエチルヘキシルシリンギリデンマロン酸を0.1〜10重量%さらに含むことを特徴とする請求項13に記載の光安定化された光活性組成。
【請求項23】
前記光活性化合物は、1、3、5−トリアジン誘導体を含むことを特徴とする請求項1に記載の光安定化された光活性組成。
【請求項24】
メチレンビス−ベンゾトリアゾイルテトラメチルブチルフェノールを0.1〜10重量%さらに含むことを特徴とする請求項13に記載の光安定化された光活性組成。
【請求項25】
ジエチルアミノヒドロキシベンゾイルヘキシル安息香酸エステルを0.1〜10重量%さらに含むことを特徴とする請求項13に記載の光安定化された光活性組成。
【請求項26】
二ナトリウムフェニルジベンジルイミダゾールスルホン酸を0.1〜10重量%さらに含むことを特徴とする請求項13に記載の光安定化された光活性組成。
【請求項27】
2−(メチルベンジリデン)−カンファーをさらに含むことを特徴とする請求項13に記載の光安定化された光活性組成。
【請求項28】
前記光活性化合物は、ジベンゾイルメタン誘導体、オクトクリレン、ナフタレンジカルボン酸エステル、ジエチルヘキシルシリンギリデンマロン酸、2−(4−メチルベンジリデン)−カンファー、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されることを特徴とする請求項19に記載の光安定化された光活性組成。
【請求項29】
フェニルベンズイミダゾールスルホン酸またはその塩を0.1〜10重量%さらに含むことを特徴とする請求項13に記載の光安定化された光活性組成。
【請求項30】
前記光活性化合物は、2−メチルジベンゾイルメタン、4−メチルジベンゾイルメタン、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、4−tert−ブチルジベンゾイルメタン、2、4−ジメチジベンゾイルメタン、2−5−ジメチジベンゾイルメタン、4、4−ジイソプロピルジベンゾイルメタン、4、4−ジメトキシジベンゾイルメタン、4−tert−ブチル−4−メトキシジベンゾイルメタン、2−メチル−5−イソプロピ−4−メトキシジベンゾイルメタン、2−メチル−5−tert−ブチル−4−メトキシジベンゾイルメタン、2、4−ジメチル−4−メトキシジベンゾイメタン、2、6−ジメチル−4−tert−ブチル−4−メトキシジベンゾイルメタン、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されたジベンゾイルメタン誘導体を含むことを特徴とする請求項10に記載の光安定化された光活性組成。
【請求項31】
オクトクリレン、メチルベンジリデンカンファー、ジエチルヘキシル2、6−ナフタレート、ジエチルヘキシルシリンギリデンマロン酸、ならびにこれらの組み合わせからなる群から選択された三重項クエンチャをさらに0.1〜10重量%含むことを特徴とする請求項30に記載の光安定化された光活性組成。
【請求項32】
0.1〜10重量%のベンゾフェノン−3をさらに含むことを特徴とする請求項15に記載の光安定化された光活性組成。
【請求項33】
0.1〜10重量%のオクチルサリシレートをさらに含むことを特徴とする請求項15に記載の光安定化された光活性組成。
【請求項34】
前記光活性化合物は桂皮酸の誘導体を含むことを特徴とする請求項9に記載の光安定化された光活性組成。
【請求項35】
前記光活性化合物は2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナメートを含むことを特徴とする請求項34に記載の光安定化された光活性組成。
【請求項36】
前記光活性化合物はイソアミルメトキシシンナメートを含むことを特徴とする請求項34に記載の光安定化された光活性組成。
【請求項37】
シアノジフェニルプロペン酸のエステルを含むことを特徴とする請求項1に記載の光安定化された光活性組成。
【請求項38】
前記混合物はメチルベンジリデンカンファーを含むことを特徴とする請求項1に記載の光安定化された光活性組成。
【請求項39】
前記組成は、メチレンビス−ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール、塩およびその誘導体、ビス−エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン、および塩およびその誘導体からなる群から選択された化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の光安定化された光活性組成。
【請求項40】
前記組成は、ヒドロキシル置換ベンゾフェノン誘導体またはメトキシ置換ベンゾフェノン誘導体、またはその組み合わせを含むことを特徴とする請求項1に記載の光安定化された光活性組成。
【請求項41】
化学式(II)および(III)の化合物からなる群から選択されるナフタレンジカルボン酸のジエステルまたはポリエステル、およびこれらの組み合わせをさらに含み、

およびRは同一であるかまたは異なり、C〜C22アルキル基、構造HO−R−OHを有するジオールおよび構造HO‐R−(−O−R−)−OHを有するポリグリコールからなる群から選択され、RおよびRは同一であるかまたは異なり、C〜C直鎖または分枝鎖アルキル基からなる群から選択され、mおよびnはそれぞれ、1〜100の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の光安定化された光活性組成。
【請求項42】
化学式(III)のジエステルを含み、前記化学式(III)において、RおよびRは2−エチルヘキシルであることを特徴とする請求項14に記載の光安定化された光活性組成。
【請求項43】
前記混合物は、化粧品用途に受け入れ可能なキャリアを含むことを特徴とする請求項1に記載の光安定化された光活性組成。
【請求項44】
前記混合物は、少なくとも約8の誘電率を有する油相を含むことを特徴とする請求項1に記載の光安定化された光活性組成。
【請求項45】
光子励起光活性化合物からの電子一重項状態励起エネルギーを受け入れる方法であって、前記光子励起光活性化合物は、日焼け止め組成においてUV照射に晒されると、前記組成中の前記光子励起光活性組成から前記一重項励起状態を受け入れて、前記光子励起光活性組成からの前記一重項励起状態をクエンチすることにより、一重項励起状態となり、かつ、前記光子励起光活性組成から前記一重項励起状態を前記化学式(I)の化合物へと転移させることにより、前記光子励起光活性組成をその基底状態へと戻し、これにより、前記光子励起光活性組成がUV照射からより多くの光子を吸収した後、そのUV吸収能力に対して破壊的な光化学的反応を受けるようにし、これにより、前記光活性化合物を光安定化させ、
前記光活性化合物を化学式(I)の化合物と混合する工程であって、

およびRのうち1つは直鎖または分枝鎖C−C12アルコキシラジカルであり、前記アルコキシでないRおよびRは水素であり、Rは直鎖または分枝鎖C−C24アルキル基である、工程と、
前記光活性化合物が電子一重項励起状態に達するのに十分な量だけ前記混合物をUV照射に晒すことで、前記化学式(I)の化合物が前記励起光活性化合物からの前記一重項励起状態エネルギーを受け入れ、これにより前記光活性化合物をその基底状態に戻して、前記光活性化合物がさらなるUV照射を吸収できるようにする工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項46】
はメトキシであり、Rは水素であることを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項47】
はメトキシであり、Rは水素であることを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項48】
はC12−C24直鎖または分岐アルキルであることを特徴とする請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記化学式(I)の化合物は、前記組成の総重量に基づいて、0.1%〜20%の重量範囲の量で存在することを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項50】
前記化学式(I)の化合物は、前記組成の総重量に基づいて、0.1%〜10%の重量範囲の量で存在することを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項51】
前記化学式(I)の化合物は、前記組成の総重量に基づいて、0.1%〜5%の重量範囲の量で存在することを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項52】
前記化学式(I)の化合物の前記光活性化合物に対するモル比は0.8未満であることを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項53】
前記化学式(I)の化合物の前記光活性化合物に対するモル比は約0.1〜約0.6であることを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項54】
前記化学式(I)の化合物は、前記組成の総重量に基づいて、3%〜8%の重量範囲の量で存在することを特徴とする請求項50に記載の方法。
【請求項55】
前記光活性化合物は、p−アミノ安息香酸および塩およびその誘導体、アントラニル酸塩およびその誘導体、ジベンゾイルメタンおよびその誘導体、サリシレートおよびその誘導体、桂皮酸およびその誘導体、ジヒドロキシ桂皮酸およびその誘導体、カンファーおよび塩およびその誘導体、トリヒドロキシ桂皮酸およびその誘導体、ジベンザルアセトンナフチルスルホネートおよび塩およびその誘導体、ベンザルアセトフェノンナフトールスルホン酸塩および塩およびその誘導体、ジヒドロキシ−ナフトエ酸およびその塩、o−ヒドロキシジフェニル二硫酸塩および塩およびその誘導体、p−ヒドロキシジフェニル二硫酸塩および塩およびその誘導体、クマリンおよびその誘導体、ジアゾール誘導体、キニーネ誘導体およびその塩、キノリン誘導体、ヒドロキシル置換ベンゾフェノン誘導体、メトキシ置換ベンゾフェノン誘導体、尿酸誘導体、ビロ尿酸誘導体、タンニン酸およびその誘導体、ハイドロキノン、ベンゾフェノン誘導体、1、3、5−トリアジン誘導体、フェニルジベンズイミダゾールテトラスルホネートおよび塩およびその誘導体、テレフタリリデンジカンフルスルホン酸および塩およびその誘導体、メチレンビス−ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノールおよび塩およびその誘導体、ビス−エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジンおよび塩およびその誘導体、ならびに前記の組み合わせからなる群から選択されることを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項56】
前記光活性化合物はジベンゾイルメタン誘導体を含むことを特徴とする請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記光活性化合物は、2−メチルジベンゾイルメタン、4−メチルジベンゾイルメタン、4−イソプロピルジベンゾイルメタン、4−tert−ブチルジベンゾイルメタン、2、4−ジメチジベンゾイルメタン、2−5−ジメチジベンゾイルメタン、4、4−ジイソプロピルジベンゾイルメタン、4、4−ジメトキシジベンゾイルメタン、4−tert−ブチル−4−メトキシジベンゾイルメタン、2−メチル−5−イソプロピ−4−メトキシジベンゾイルメタン、2−メチル−5−tert−ブチル−4−メトキシジベンゾイルメタン、2、4−ジメチル−4−メトキシジベンゾイメタン、2、6−ジメチル−4−tert−ブチル−4−メトキシジベンゾイルメタン、およびこれらの組み合わせからなる群から選択されたジベンゾイルメタン誘導体を含むことを特徴とする請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記光活性化合物は桂皮酸の誘導体を含むことを特徴とする請求項55に記載の方法。
【請求項59】
前記光活性化合物は2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナメートを含むことを特徴とする請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記日焼け止め組成は、化学式(II)および(III)の化合物からなる群から選択されたナフタレンジカルボン酸のジエステルまたはポリエステル、およびこれらの組み合わせをさらに含み

およびRは同一であるかまたは異なり、C〜C22アルキル基、構造HO−R−OHを有するジオールおよび構造HO‐R−(−O−R−)−OHを有するポリグリコールからなる群から選択され、RおよびRは同一であるかまたは異なり、C〜C直鎖または分枝鎖アルキル基からなる群から選択され、mおよびnはそれぞれ、1〜100の範囲にあることを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項61】
化学式(III)のジエステルを含み、前記化学式(III)において、RおよびRは2−エチルヘキサンであることを特徴とする請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記混合物は、化粧品用途に受け入れ可能なキャリアを含むことを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項63】
前記混合物は、少なくとも約8の誘電率を有する油相を含むことを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項64】
光活性化合物および化学式(V)の化合物の混合物を含む光安定化された光活性組成であって、

AおよびBは同一であるかまたは異なり、酸素、アミノおよび硫黄からなる群から選択され、RおよびRは、同一であるかまたは異なり、C−C30アルキル、C−C30アルキレン、C−C30アルキン、C−Cシクロアルキル、C−C30置換アルキレン、C−C30置換アルキン、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロアリールおよび置換ヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、Rは、C−C30アルキル、C−C30アルキレン、C〜C30アルキン、C−Cシクロアルキル、C−C30置換アルキル、C−C置換シクロアルキル、C−C30置換アルキレン、C−C30置換アルキンからなる群から選択され、R、R、RおよびRは、同一であるかまたは異なり、分岐上のC−C30アルコキシ直鎖からなる群から選択され、a、b、cおよびdはそれぞれ0または1であり、a、b、cおよびdは合計1、2、3、または4となることを特徴とする光活性組成。
【請求項65】
前記光活性化合物は、ジベンゾイルメタン誘導体、シンナメートエステル、およびその組み合わせから選択されることを特徴とする請求項64に記載の組成。
【請求項66】
前記光活性化合物はオクチルサリシレートを含むことを特徴とする請求項64に記載の組成。
【請求項67】
光子励起光活性化合物からの電子一重項状態励起エネルギーを受け入れる方法であって、前記光子励起光活性化合物は、日焼け止め組成においてUV照射に晒されると、前記組成中の前記光子励起光活性組成からの前記一重項励起状態を受け入れて、前記光子励起光活性組成からの前記一重項励起状態をクエンチすることにより、一重項励起状態となり、かつ、前記光子励起光活性組成からの前記一重項励起状態を前記化学式(I)の化合物へと転移させることにより、前記光子励起光活性組成をその基底状態へと戻し、これにより、前記光子励起光活性組成がUV照射からより多くの光子を吸収した後、そのUV吸収能力に対して破壊的な光化学的反応を受けるようにし、これにより、前記光活性化合物を光安定化させ、
前記光活性化合物を化学式(VI)の化合物と混合する工程であって、

AおよびBは同一であるかまたは異なり、酸素、アミノおよび硫黄からなる群から選択され、RおよびRは、同一であるかまたは異なり、C−C30アルキル、C−C30アルキレン、C−C30アルキン、C−Cシクロアルキル、C−C30置換アルキレン、C−C30置換アルキン、アリール、置換アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロアリールおよび置換ヘテロシクロアルキルからなる群から選択され、Rは、C−C30アルキル、C−C30アルキレン、C〜C30アルキン、C−Cシクロアルキル、C−C30置換アルキル、C−C置換シクロアルキル、C−C30置換アルキレン、C−C30置換アルキンからなる群から選択され、R、R、RおよびRは、同一であるかまたは異なり、C−C30アルコキシ直鎖または分岐からなる群から選択され、a、b、cおよびdはそれぞれ0または1であり、a、b、cおよびdは合計1、2、3、または4となる、工程と、
前記光活性化合物が電子一重項励起状態に達するのに十分な量だけ前記混合物をUV照射に晒すことで、前記化学式(VI)の化合物が前記励起光活性化合物からの前記一重項励起状態エネルギーを受け入れ、これにより前記光活性化合物をその基底状態に戻して、前記光活性化合物がさらなるUV照射を吸収できるようにする工程を含むことを特徴とする方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2010−535778(P2010−535778A)
【公表日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−520004(P2010−520004)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際出願番号】PCT/US2008/058457
【国際公開番号】WO2009/020675
【国際公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(305048082)ホールスター イノベーションズ コーポレイション (9)
【Fターム(参考)】