光源装置、画像表示装置及びモニタ装置
【課題】複数のレーザ光同士のコヒーレンスを低減させ、スペックルノイズを抑えた光源装置、画像表示装置及びモニタ装置を提供すること。
【解決手段】光を発する複数の発光素子11a〜11fと、該複数の発光素子11a〜11fから射出された光に対してそれぞれ選択が行われる複数の光選択領域A〜Fを有し、複数の発光素子11a〜11fから射出された光を選択的に反射させる波長選択素子12と、該波長選択素子12の複数の光選択領域A〜Fの状態を検出する状態検出手段21と、該状態検出手段21により検出された複数の光選択領域A〜Fの状態に応じて、複数の光選択領域A〜Fによって選択される光の波長が互いに異なるように、波長選択素子12の光選択領域A〜Fの状態を変化させる状態変化手段22とを備えることを特徴とする。
【解決手段】光を発する複数の発光素子11a〜11fと、該複数の発光素子11a〜11fから射出された光に対してそれぞれ選択が行われる複数の光選択領域A〜Fを有し、複数の発光素子11a〜11fから射出された光を選択的に反射させる波長選択素子12と、該波長選択素子12の複数の光選択領域A〜Fの状態を検出する状態検出手段21と、該状態検出手段21により検出された複数の光選択領域A〜Fの状態に応じて、複数の光選択領域A〜Fによって選択される光の波長が互いに異なるように、波長選択素子12の光選択領域A〜Fの状態を変化させる状態変化手段22とを備えることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置、画像表示装置及びモニタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の投射型画像表示装置では、光源として超高圧水銀ランプなどの放電ランプが用いられるのが一般的である。しかし、このような放電ランプは、寿命が比較的短い、瞬時点灯が難しい、色再現性範囲が狭い、ランプから放射された紫外線が液晶ライトバルブを劣化させてしまうことがある等の課題がある。そこで、このような放電ランプの代わりに、単色光を照射するレーザ光源を用いた投射型画像表示装置が提案されている。しかしながら、レーザ光源は、上記の課題を持たない反面、干渉性を有するという欠点を持っている。これにより、レーザ光が投射される被投射面において干渉縞がスペックルノイズとして現れ画像が劣化してしまうので、高精細な画像を表示させるためには、スペックルノイズの対策が必要となる。
【0003】
スペックルノイズを除去する手段としては、複数の発光素子を備え、設計上少しずつ異なる中心波長を有する発光素子をアレイ化することによって、1つの発光素子を用いた場合に比べて、広いスペクトル帯域を得ることで、スペックルノイズを低減させることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2004−503923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
また、特許文献1に記載のスペックルノイズを除去する手段は、外部共振器構造を必要としない光源、すなわち、直接レーザ光を出力する光源の使用を前提としたものである。
確かに、外部共振器構造を必要としない光源の場合には、スペックルノイズを抑える効果がある。
ここで、外部共振器を備える光源の場合、基本構成要素は、発光素子と、波長選択素子(共振器ミラー)とである。また、複数の発光素子を用いる場合であっても、コストや組み立ての容易さを考慮して、単一の波長を選択する波長選択素子が用いられるのが一般的である。この波長選択素子においては、レーザ発振させるために、選択する波長の帯域を狭くする必要がある。その結果、特許文献1に記載のように、アレイ光源から射出される光それぞれの波長にばらつきを持たせたとしても、波長選択素子により、単一の波長が選択されることになり、波長選択素子を含めた光源全体のコヒーレンスは低下しない。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、複数のレーザ光同士のコヒーレンスを低減させ、スペックルノイズを抑えた光源装置、画像表示装置及びモニタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明の光源装置は、光を発する複数の発光素子と、該複数の発光素子から射出された光に対してそれぞれ選択が行われる複数の光選択領域を有し、前記複数の発光素子から射出された光を選択的に反射させる波長選択素子と、該波長選択素子の複数の光選択領域の状態を検出する状態検出手段と、該状態検出手段により検出された前記複数の光選択領域の状態に応じて、前記複数の光選択領域によって選択される光の波長が互いに異なるように、前記波長選択素子の光選択領域の状態を変化させる状態変化手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る光源装置では、複数の発光素子から射出された光は、波長選択素子において、所定の選択波長の一部の光が反射し、発光素子と波長選択素子との間で共振し増幅され、残りの光が増幅されずに透過する。また、状態検出手段が、波長選択素子の複数の光選択領域の状態を検出し、この検出された状態に応じて、状態変化手段が、複数の光選択領域によって選択される光の波長が互いに異なるように、波長選択素子の光選択領域の状態を変化させる。これにより、光選択領域ごとに選択される光の波長が異なる。したがって、たとえ、複数の発光素子から射出される光のピーク波長が同じであったとしても、発光素子から射出される光は、ある程度の帯域幅を持っているので、帯域幅内で異なる波長の光が増幅され取り出される。すなわち、発光素子から射出されたそれぞれの光は、波長選択素子のそれぞれの光選択領域において共振すると、光源と波長選択素子との間の共振器ミラー構造において増幅され、各領域から射出される光の波長が異なることになる。したがって、本発明は、従来のように、波長選択素子が単一波長の光を射出するものではないため、波長選択素子を透過した光の波長帯域は全体として広がることになる。これにより、波長選択素子の各領域から射出された増幅光同士のコヒーレンスが低減するため、スペックルノイズを抑えることが可能となる。
また、状態検出手段により検出された状態に応じて、状態変化手段により波長選択素子の光選択領域の状態を変化させているため、複数の光選択領域から射出される光の波長を確実に異ならせることができる。
【0008】
また、本発明の光源装置は、前記状態検出手段及び前記状態変化手段が前記波長選択素子の光選択領域ごとにそれぞれ設けられていることが好ましい。
【0009】
本発明に係る光源装置では、波長選択素子には、複数の光選択領域ごとに状態検出手段及び状態変化手段がそれぞれ設けられている。このとき、状態検出手段により、波長選択素子の個々の光選択領域の状態を検出し、この検出された状態に応じて、個々の光選択領域によって選択される光の波長が互いに異なるように、波長選択素子の複数の光選択領域のそれぞれの状態を変化させる。すなわち、光選択領域ごとに状態を変化させることができるため、波長選択素子から射出される出力波長分布の変化の自由度が高まる。したがって、発光素子から射出された光の波長と対応する波長選択素子の各光選択領域の選択する光の波長とを揃えることが可能となる。これにより、発光素子が製造誤差等により、出力波長にばらつきがあっても、スペックルノイズを低減させつつ、波長選択素子から射出される光の利用効率を向上させることが可能となる。
なお、状態変化手段が複数設けられ、状態変化手段が複数の光選択領域ごとに設けられていても良い。この構成の場合も、複数の光選択領域によって選択される光の波長が互いに異なるように状態を変化させれば良い。
【0010】
また、本発明の光源装置は、前記状態変化手段により前記複数の光選択領域の状態を時間的に変化させることが好ましい。
【0011】
本発明に係る光源装置では、状態変化手段により複数の光選択領域の状態を時間的に変化させる。これにより、各光選択領域から射出される光のスペックルパターンが時間とともに複雑に変化する。その変化に伴い、視認されるスペックル(干渉による斑点模様)が移動するため、人間の眼の残像時間内でスペックルのパターンが積分平均化され、スペックルの発生を低減させることが可能となる。
【0012】
また、本発明の光源装置は、前記複数の光選択領域から射出される光の強度をそれぞれ検出する光強度検出手段を備え、該光強度検出手段により検出された光の強度に基づいて、前記複数の発光素子から射出される光の強度をそれぞれ調整することが好ましい。
【0013】
本発明に係る光源装置では、光強度検出手段により検出された光の強度に基づいて、複数の発光素子から射出される光の強度をそれぞれ調整することにより、複数の光選択領域から射出される光の強度を均一にすることができる。波長選択素子の各領域から射出される光の強度が不均一である場合に比べて、本発明のように光の強度が均一である方が、波長を異ならせたときのスペックル低減の効果が大きくなる。つまり、波長選択素子から射出される光のコヒーレンスをより効果的に低下させることが可能となる。
【0014】
また、本発明の光源装置は、前記状態検出手段が、前記波長選択素子の光選択領域の温度を検出する温度検出手段であり、前記状態変化手段が、前記温度検出手段により検出された温度に応じて、前記波長選択素子の光選択領域の温度を互いに異ならせる温度変化手段であることが好ましい。
【0015】
本発明に係る光源装置では、温度変化手段により、波長選択素子の光選択領域ごとの温度を異ならせるため、各光選択領域の温度に応じて波長選択素子の内部の格子の間隔が変化する。これにより、波長選択素子は、各光選択領域において選択される光の波長が異なることになる。したがって、複数の発光素子から射出され、波長選択素子の各光選択領域から射出されたそれぞれの光は、波長が異なる光となる。このように、波長選択素子に、外力を与えることなく各光選択領域の温度が変わるだけで波長選択素子の内部の周期格子の間隔が変わる。これにより、より簡易な構成で波長選択素子の各領域を反射し増幅された光同士のコヒーレンスが低減するため、スペックルノイズを抑えることが可能となる。
【0016】
また、本発明の光源装置は、前記状態検出手段が、前記波長選択素子の光選択領域の歪みの大きさを検出する歪み検出手段であり、前記状態変化手段が、前記歪み検出手段により検出された歪みの大きさに応じて、前記波長選択素子の光選択領域の歪みの大きさを互いに異ならせる歪み付与手段であることが好ましい。
【0017】
本発明に係る光源装置では、歪み付与手段として、例えば、圧電素子を用いて波長選択素子の領域ごとに歪みが異なるように歪みを付与する。これにより、波長選択素子の内部の格子の間隔が変化するため、波長選択素子は、領域ごとに反射させる波長が異なることになる。したがって、複数の発光素子から射出された光は、波長選択素子により反射され共振を起こすと、各領域から射出される際、増幅された光は異なる波長となる。したがって、簡易な構成により、波長選択素子の各領域を透過した光同士のコヒーレンスが低減するため、低コスト化を図りつつ、スペックルノイズを抑えることが可能となる。
なお、歪み付与手段が複数設けられ、歪み付与手段が複数の光選択領域ごとにそれぞれ設けられていても良い。この構成の場合も、複数の光選択領域によって選択される光の波長が互いに異なるように歪みを付与すれば良い。
【0018】
本発明の光源装置は、光を発する複数の発光素子と、該複数の発光素子から射出された光がそれぞれ通過する複数の光通過領域を有し、前記複数の発光素子から射出された光のうち、少なくとも一部の波長をそれぞれ所定の波長に変換する波長変換素子と、該波長変換素子の複数の光通過領域から射出された光がそれぞれ選択される複数の光選択領域を有し、前記波長変換素子から射出される光を前記発光素子に向けて選択的に反射させる波長選択素子と、前記波長変換素子の複数の光通過領域の状態を検出する変換側状態検出手段と、該変換側状態検出手段により検出された前記複数の光通過領域の状態に応じて、前記複数の光通過領域によって変換される光の波長が互いに異なるように、前記波長変換素子の光通過領域の状態を変化させる変換側状態変化手段と、前記波長選択素子の複数の光選択領域の状態を検出する選択側状態検出手段と、該選択側状態検出手段により検出された前記複数の光選択領域の状態に応じて、前記複数の光選択領域によって選択される光の波長が互いに異なるように、前記波長選択素子の光選択領域の状態を変化させる選択側状態変化手段とを備えることを特徴とする。
【0019】
本発明に係る光源装置では、例えば、緑色の光を射出させる場合、発光素子として、1060nmの波長の光源を用い、波長変換素子で発光素子より射出された光の波長を半分にした後、波長選択素子として、緑色の光を透過させるものを用いる。これにより、発光素子から射出された光は、波長変換素子を透過し、発光素子と波長選択素子との間で反射を繰り返す。その後、緑色に変換された光は、波長選択素子より射出される。
また、このとき、変換側状態検出手段により検出された状態に応じて変換側状態変化手段により波長変換素子の光通過領域の状態を変化させ、さらに、選択側状態検出手段により検出された状態に応じて選択側状態変化手段により波長選択素子の光選択領域の状態を変化させている。これにより、複数の光通過領域及び光選択領域から射出される光の波長を確実に異ならせることができる。
したがって、波長変換素子により、所望の波長の光を得ることができ、スペックルノイズを抑えた光を射出することが可能となる。
【0020】
また、本発明の光源装置は、前記変換側状態検出手段及び前記変換側状態変化手段が前記波長変換素子の光通過領域ごとにそれぞれ設けられ、前記選択側状態検出手段及び前記選択側状態変化手段が前記波長選択素子の光選択領域ごとにそれぞれ設けられ、前記変換側状態変化手段及び前記選択側状態変化手段により、前記波長変換素子の各光通過領域の変換波長と前記波長選択素子の各光選択領域の選択波長とが略一致して変化するように、それぞれの領域の状態を変化させることが好ましい。
【0021】
本発明に係る光源装置では、波長変換素子の各光通過領域において変換される光の波長(変換波長)が、対応する波長選択素子の各光選択領域において選択される光の波長と略同一となる。これにより、波長変換素子の各光通過領域において変換されたそれぞれの光は、対応する波長選択素子の各光選択領域を透過する際、効果的に取り出される。
なお、選択側状態変化手段が複数設けられ、選択側状態変化手段が複数の光選択領域ごとに設けられていても良い。この構成の場合も、複数の光選択領域によって選択される光の波長が互いに異なるように温度を変化させれば良い。同様に、変換側状態変化手段が複数の光通過領域ごとに設けられていても良い。
【0022】
また、本発明の光源装置は、前記複数の光通過領域の状態及び前記複数の光選択領域の状態のうち少なくとも一方の状態を時間的に変化させることが好ましい。
【0023】
本発明に係る光源装置では、複数の光通過領域の状態及び複数の光選択領域の状態のうち少なくとも一方の状態を時間的に変化させる。これにより、波長選択素子の光選択領域から射出される光のスペックルパターンが時間とともに複雑に変化する。その変化に伴い、視認されるスペックル(干渉による斑点模様)が移動するため、人間の眼の残像時間内でスペックルのパターンが積分平均化され、スペックルの発生を低減させることが可能となる。
【0024】
また、本発明の光源装置は、前記複数の光選択領域から射出される光の強度をそれぞれ検出する光強度検出手段を備え、該光強度検出手段により検出された光の強度に基づいて、前記複数の発光素子から射出される光の強度をそれぞれ調整することが好ましい。
本発明に係る光源装置では、上記光強度検出手段を備えた場合と同様の効果を得ることができる。
【0025】
また、本発明の光源装置は、前記波長変換素子は、前記複数の発光素子から射出された光の中心軸に沿って、分極が互いに反転したドメインの繰り返し構造を有しており、前記変換側状態検出手段が、前記波長変換素子の光通過領域の電圧を検出する電圧検出手段であり、前記変換側状態変化手段が、前記電圧検出手段により検出された電圧に応じて、前記波長変換素子の光通過領域に印加する電圧を互いに異ならせる電圧印加手段であることが好ましい。
【0026】
本発明に係る光源装置では、電圧検出手段により検出された電圧に応じて、波長変換素子の各光通過領域の電圧印加手段に印加する印加電圧を異ならせることにより、波長変換素子の光通過領域ごとに確実に屈折率が異なる。このように、波長変換素子の光通過領域ごとに印加する電圧を変えることで、複数の発光素子から射出される光の出力波長と、各発光素子に対応する波長変換素子の各光通過領域において透過する光の波長とを同一にすることができる。さらに、波長変換素子の各光通過領域において変換される光の波長と、この各領域に対応する波長選択素子の各光選択領域において選択される光の波長とを同一にすることができる。これにより、波長変換素子の各光通過領域において変換される光の波長を変えることができる。したがって、より簡易な構成で、複数の発光素子から射出される光の利用効率を向上させつつ、スペックルノイズを抑えた光源装置を得ることが可能となる。
【0027】
また、本発明の光源装置は、前記選択側状態検出手段が、前記波長選択素子の光選択領域の温度を検出する温度検出手段であり、前記選択側状態変化手段が、前記温度検出手段により検出された温度に応じて、前記波長選択素子の光選択領域の温度を互いに異ならせる温度変化手段であることが好ましい。
また、本発明の光源装置では、上記状態検出手段が温度検出手段であり、状態変化手段が温度変化手段である場合と同様の効果を得ることができる。
【0028】
また、本発明の光源装置は、前記選択側状態検出手段が、前記波長選択素子の光選択領域の歪みの大きさを検出する歪み検出手段であり、前記選択側状態変化手段が、前記歪み検出手段により検出された歪みの大きさに応じて、前記波長選択素子の光選択領域の歪みの大きさを互いに異ならせる歪み付与手段であることが好ましい。
また、本発明の光源装置では、上記状態検出手段が歪み検出手段であり、状態変化手段が歪み付与手段である場合と同様の効果を得ることができる。
【0029】
本発明の画像表示装置は、上記の光源装置と、該光源装置から射出された光を画像信号に応じて変調する光変調装置と、該光変調装置により形成された画像を投射する投射装置とを備えることを特徴とする。
【0030】
本発明に係る画像表示装置では、光源装置より射出された光は光変調装置に入射される。そして、光変調装置により形成された画像が、投射装置によって投射される。このとき、光源装置より射出される光は、上述したように、コヒーレンスが低減された光となっているので、投射装置によって投射される光はスペックルノイズを抑えたものとなる。したがって、良好な画像を表示することができる。
【0031】
本発明の画像表示装置は、上記の光源装置と、該光源装置から射出された光を被投射面上で走査する走査手段とを備えることを特徴とする。
【0032】
本発明に係る画像表示装置では、光源装置から射出された光は走査手段により走査される。そして、走査手段により走査された光は、被投射面に投影される。このとき、光源装置より射出される光は、上述したように、コヒーレンスが低減された光となっているので、被投射面に照射される光はスペックルノイズが抑えられたものとなる。したがって、輝度ムラがなく良質な画像を表示することが可能となる。
【0033】
本発明のモニタ装置は、上記の光源装置と、該光源装置により照射された被写体を撮像する撮像手段とを備えることを特徴とする。
【0034】
本発明に係るモニタ装置では、光源装置より射出された光は被写体を照射し、撮像手段により被写体を撮像する。このとき、上述したように、光源装置は、コヒーレンスが低減された光を射出するため、輝度むらのない明るい光により被写体が照射される。したがって、撮像手段により被写体を鮮明に撮像することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の第1実施形態に係る光源装置を示す平面図である。
【図2】図1の光源装置に用いられるフローチャートである。
【図3】図1の光源装置の変形例を示す平面図である。
【図4】図1の光源装置の変形例を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第2実施形態に係る光源装置を示す平面図である。
【図6】図5の光源装置の変形例を示す斜視図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係る光源装置を示す平面図である。
【図8】図7の光源装置の変形例を示す平面図である。
【図9】図8の光源装置の変形例を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第4実施形態に係る光源装置を示す平面図である。
【図11】図10の光源装置用いられるフローチャートである。
【図12】本発明の第5実施形態に係る画像表示装置を示す平面図である。
【図13】本発明の画像表示装置の変形例を示す平面図である。
【図14】本発明の第6実施形態に係るモニタ装置を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図面を参照して、本発明に係る光源装置、画像表示装置及びモニタ装置の実施形態について説明する。なお、以下の図面においては、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。
[第1実施形態]
次に、本発明の第1実施形態について、図1を参照して説明する。
本実施形態に係る光源装置10は、図1に示すように、発光部11と、波長選択素子12と、制御部20とを備えている。
発光部11は、レーザ光を射出する6つの発光素子(半導体レーザ;LD)11a,11b,11c,11d,11e,11fを備えている。これらの発光素子11a〜11fは、いずれも支持部13に支持されている。発光素子11a〜11fから射出される光のピーク波長は、発光素子11a〜11fの製造誤差により、数nm程度異なっている。ここで、発光素子11a〜11fから射出される光の波長をλ1,λ2,λ3,λ4,λ5,λ6とすると、λ1>λ4>λ5>λ3>λ2>λ6である。なお、製造誤差で偶然的に異なるのではなく、設計当初から意図的に異なる波長の光を射出する発光素子を用いても良い。
【0037】
波長選択素子12は、入射したレーザ光のうち所定の選択波長の光(図1に示す破線)W1の一部(98〜99%程度)を選択して発光部11に向かって反射させることによって発光素子11a〜11fの共振器ミラーとして機能するとともに、残りのレーザ光(図1に示す二点鎖線)W2を透過させるものである。波長選択素子12としては、例えば、周期格子を有するホログラムのような光学素子を用いることができる。
発光部11から射出された基本波の光(図1に示す実線)W3は、発光部11と波長選択素子12との間で反射を繰り返し、増幅された後、レーザ光W2として、波長選択素子12から射出されるようになっている。波長選択素子12はある程度の範囲の波長の光を透過させるが、そのうち、所定の波長の光だけが増幅されている。増幅された光の強度は、他の波長の光の強度と比較して著しく高い。よって、波長選択素子12を透過した光W2は、ほぼ単一波長の光とみなすことができる。この光W2の波長は、波長選択素子12の選択波長、つまり波長選択素子12が反射する光W1の波長とほぼ同一である。波長選択素子12は、所定の選択波長の光の一部(98〜99%程度)を反射するので、その残り(1〜2%程度)の光が出力光として利用されることになる。
【0038】
ここで、波長選択素子12を構成する1つの基体において、発光素子11a〜11fから射出された光が選択される領域(光選択領域)をそれぞれA,B,C,D,E,Fとする。ただし、領域A〜Fは実際には選択波長の大きさが異なる連続した領域であるため、これらの間に物理的な境界は存在しない。
【0039】
制御部20は、図1に示すように、温度センサ(状態検出手段)21、ペルチェ素子(状態変化手段)22、温度調整部23を備えている。
温度センサ21及びペルチェ素子22は、波長選択素子12の各領域A〜Fの表面12aにそれぞれ接着されている。また、各領域A〜Fに設けられた温度センサ21及びペルチェ素子22は温度調整部23に接続されている。
温度センサ21は、波長選択素子12の各領域A〜Fの温度を測定するセンサである。
また、ペルチェ素子22は、各領域A〜Fの表面12aに設けられているため、波長選択素子12は、各領域A〜Fの表面12aから裏面(紙面裏側の面)に向かって加熱または冷却される。波長選択素子12は、加熱により膨張し冷却により収縮して屈折率が変化する。この屈折率に対応して、波長選択素子12の選択波長、つまり、波長選択素子12によって反射される光W1の波長が異なる。
また、ペルチェ素子22は、所定の間隔をあけて表面12a上の領域A〜Fそれぞれに設けられている。なお、隣接するペルチェ素子22の間には断熱材を設けて、隣接する領域A〜F間で熱が伝わらないようにしても良い。
さらに、ペルチェ素子22は、温度センサ21により検出された領域A〜Fの温度に応じて、領域A〜Fによって選択される光の波長が互いに異なるように、波長選択素子12の領域A〜Fの状態を変化させる。
【0040】
温度調整部23が、領域A〜Fごとに、温度センサ21により検出された温度に基づいて、それぞれのペルチェ素子22に供給する電流を制御する。そして、領域A〜Fごとの温度を異ならせ、選択波長を異ならせている。このように、本実施形態では、各領域A〜Fの温度を個別に制御し、各領域A〜Fの温度を異ならせることにより、波長選択素子12によって反射される光W1の波長を領域ごとに異ならせることが可能となる。具体的には、高温で熱膨張が大きい領域ほど選択波長は、長波長側にシフトする。つまり、波長選択素子12の領域A〜Fによって反射される光W1の波長をそれぞれλ1,λ2,λ3,λ4,λ5,λ6とすると、発光素子11a〜11fの波長の長短に合わせて、λ1>λ4>λ5>λ3>λ2>λ6となるように、温度調整部23によりペルチェ素子22を制御し各領域A〜Fの温度を調整する。
【0041】
そして、このように、波長選択素子12によって反射される光W1の波長が、領域A〜Fごとに異なることにより、発光部11と波長選択素子12との間で反射を繰り返し、増幅された後、波長選択素子12から射出される光W2も、領域A〜Fごとに異なったものとなる。
【0042】
次に、本実施形態に係る光源装置10の具体例について説明する。
まず、発光素子11a〜11fは、赤色の半導体レーザであり、射出される光のピーク波長λ1,λ2,λ3,λ4,λ5,λ6は、それぞれ630nm,626nm,627nm,629nm,628nm,625nmとなっている。
そして、波長選択素子12の領域A,B,C,D,E,Fにおける選択波長λ1,λ2,λ3,λ4,λ5,λ6が、それぞれ630nm,626nm,627nm,629nm,628nm,625nm(選択波長の差が、最大で5nm)となるように温度調整部23によりペルチェ素子22を制御すると、波長選択素子12の領域A,B,C,D,E,Fから射出される光W2の波長も、それぞれ630nm,626nm,627nm,629nm,628nm,625nmとなる。
【0043】
温度調整部23の具体的な制御について、図2に示すフローチャートを用いて説明する。
ここで、波長選択素子12の領域Aは温度がT1のとき選択波長が630nmとなり、領域Bは温度がT2のとき選択波長が626nmとなり、波長選択素子12の領域Cは温度がT3のとき選択波長が627nmとなり、波長選択素子12の領域Dは温度がT4のとき選択波長が629nmとなり、波長選択素子12の領域Eは温度がT5のとき選択波長が628nmとなり、波長選択素子12の領域Fは温度がT6のとき選択波長が625nmとなるものとする。
まず、温度調整部23に、各領域A〜Fにおける波長分布を設定する(ステップS0)。ここで、領域Aで代表して説明すると、波長分布が決まると、波長と温度との関係から領域Aの温度がT1に設定され(ステップS1)、領域Aの温度がT1となるように温度調整部23によりペルチェ素子22を制御する(ステップS2)。そして、温度センサ21により領域Aの温度を測定し(ステップS3)、温度センサ21により測定された温度と、設定温度T1とが一致しているかを判断する(ステップS4)。温度センサ21により測定された温度と、設定温度T1とが一致していない場合(ステップS4「NO」)、すなわち、実際の領域Aの温度が設定温度T1より低い場合、温度調整部23の制御によりペルチェ素子22が領域Aを加熱し、実際の領域Aの温度が設定温度T1より高い場合、温度調整部23の制御によりペルチェ素子22が領域Aを冷却する。このような操作を繰り返すことにより、温度センサ21により測定された温度と、設定温度T1とが一致した場合(ステップS4「YES」)、ペルチェ素子22により領域Aの温度を変化させず、この温度を維持する(ステップS5)。このとき、温度センサ21において、常時、あるいは、断続的に領域Aの温度を測定し設定温度T1との比較を行っている。そして、温度センサ21において測定された領域Aの温度が設定温度T1から外れると、温度調整部23がペルチェ素子22の制御を行う。
また、領域B〜Fにおいても、温度調整部23により同様の制御が行われる。
【0044】
本実施形態に係る光源装置10では、ペルチェ素子22により各領域A〜Fの温度を互いに異ならせることにより、波長選択素子12から射出される光の帯域が、すべての領域A〜Fから同一の波長が射出する場合に比べて広がる。また、ペルチェ素子22は、温度センサ21により測定された温度に応じて、波長選択素子12の領域A〜Fの状態を変化させているため、領域A〜Fから射出される光の波長を確実に異ならせることができる。
このため、レーザ光同士のコヒーレンスが低減し、その結果、スペックルノイズを抑えた光源装置10を得ることが可能となる。
また、領域A〜Fごとに温度を変化させることができるため、波長選択素子12から射出される出力波長分布の自由度が高まる。したがって、発光素子11a〜11fから射出された光の波長と対応する波長選択素子12の各領域A〜Fの選択する光の波長とを揃えることが可能となる。これにより、発光素子11a〜11fが製造誤差等により、出力波長にばらつきがあっても、波長選択素子12から射出される光の利用効率を向上させることが可能となる。
つまり、本実施形態の光源装置10は、高い光利用効率を維持しつつ複数のレーザ光同士のコヒーレンスを低減させ、スペックルノイズを抑えることが可能となる。
【0045】
なお、製造誤差がなく、発光素子11a〜11fから射出される光のピーク波長が同じであっても良い。この構成では、若干光の利用効率は落ちるが、スペックルノイズを低減することが可能となる。
また、ペルチェ素子22に代えて発熱素子、圧電素子(歪み付与手段)を用いても良い。圧電素子は、電圧が印加されると変位し、この変位によって波長選択素子12に歪みを生じさせるものである。波長選択素子12は歪みが大きいほど、選択波長が短くなる。したがって、各領域A〜Fの歪みを検出する他の圧電素子(歪み検出手段)を備え、他の圧電素子により検出された歪みに応じて圧電素子により各領域A〜Fの歪みの量を調整することにより、各領域A〜Fから射出される光の波長を異ならせることが可能となる。なお、歪み付与手段としては、例えば、歪みゲージや磁歪素子を用いても良い。
また、上の例では、複数の発光素子11a〜11fに対して1つの波長選択素子12を設け、1つの基体を複数の領域に分けたが、波長選択素子を発光素子ごとに個々に設ける構成であっても良い。
さらに、複数の領域A〜Fごとに、すなわち、2つや3つの領域をまとめて1つのペルチェ素子22により温度を制御しても良い。この構成の場合も、複数の領域A〜Fによって選択される光の波長が互いに異なるように温度を付与すれば良い。
【0046】
[第1実施形態の変形例1]
図1に示す第1実施形態では、各領域A〜Fの温度を変化させるために、ペルチェ素子22を用いたが、ペルチェ素子22に代えて、図3に示すように、温度変化部(温度変化手段)35を用いた光源装置30であっても良い。
光源装置30に用いられる温度変化部(温度変化手段)35は、熱発生用レーザ光源32と、ミラー33と、熱吸収膜31と、第1実施形態と同様の温度センサ21とを備えている。
【0047】
熱吸収膜31は、ペルチェ素子22と同様に所定の間隔をあけて表面12a上の領域A〜Fそれぞれに設けられている。なお、各領域A〜Fの熱吸収膜31間に断熱材を設けて、隣接する領域A〜F間で熱が伝わらないようにしても良い。また、熱吸収膜31の膜厚は各領域A〜Fで同じである。
また、ミラー33は、熱発生用レーザ光源32から射出されたレーザ光を熱吸収膜31に向かって走査するものである。そして、ミラー33の傾き角度を制御することにより、どの領域A〜Fの熱吸収膜31に光を照射するかを制御し、ある傾き角度に保持する時間を決めることにより、熱吸収膜31への光の照射時間を制御する。
熱吸収膜31に照射されるレーザ光の時間を調整する。これにより、照射されるレーザ光の時間が長いほど熱吸収膜31の温度が上昇し、領域A〜Fの温度が上昇する。そして、領域A〜Fの温度がそれぞれ異なるように、熱吸収膜31に照射するレーザ光の時間を制御する。すなわち、本変形例においても、各領域A〜Fに設けられた温度センサ21により検出された温度に応じて、温度調整部23により熱発生用レーザ光源32の出力を調整する。
本変形例の光源装置30においても、第1実施形態の光源装置と同様にスペックルノイズを低減させることができるとともに、光の利用効率を向上させることが可能となる。
【0048】
なお、本変形例では、熱吸収膜31の膜厚を同じにしたが、熱吸収膜31の膜厚を不規則に代えておいても良い。すなわち、熱吸収膜31の膜厚が厚いほど熱の吸収量が多くなり高温になるため、本変形例では、ミラー33の走査速度(1つの熱吸収膜31への光の照射時間)を変えることなく、波長選択素子12の各領域A〜Fに温度分布を持たせることができる。つまり、領域A〜Fごとにレーザ光の照射時間を変えるのでなく、領域A〜Fまでミラー33を振る1走査ごとの走査速度は一定で良いため、ミラー33の制御が容易になる。
なお、熱吸収膜31を領域A〜Fごとに設けたが、波長選択素子12の表面12aの全面に設けても良い。
また、ミラー83としてはMEMSミラーを用いることも可能である。
【0049】
[第1実施形態の変形例2]
図1に示す第1実施形態では、各領域A〜Fが設定温度となった場合は、温度を常に維持(各領域A〜Fの選択波長は時間的に一定)したが、各領域A〜Fの温度を時間的に変化させても良い。
すなわち、図4のフローチャートに示すように、まず、温度調整部23に、各領域A〜Fの時間の経過に伴う温度変化パターンをタイムテーブル(波長分布設定)として設定する(ステップS0)。そして、第1実施形態と同様に各領域A〜Fの温度を調整し、温度センサ21により測定された温度と、設定温度T1とが一致した後、この温度を維持する(ステップS5)。その後、次の温度設定待ち(ステップS6)となり、再びステップS0に戻り、各領域A〜Fの時間における温度が設定される(ステップS0)。このとき、各領域A〜Fの温度は1つ前の設定温度と異なる温度が設定される。このように、時間的に各領域A〜Fの温度を変えることにより、領域A〜Fごとの熱膨張の度合いが変わり屈折率が変化し、選択波長が時間的に異なる。したがって、各領域A〜Fから射出される光の波長は時間的に変化する。
【0050】
本変形例において、領域A〜Fの温度を時間的に変化させることにより、領域A〜Fから射出される光のスペックルパターンが時間とともに複雑に変化する。その変化に伴い、視認されるスペックル(干渉による斑点模様)が移動するため、人間の眼の残像時間内でスペックルのパターンが積分平均化され、スペックルの発生を低減させることが可能となる。
【0051】
[第2実施形態]
次に、本発明に係る第2実施形態について、図5を参照して説明する。なお、以下に説明する各実施形態の図面において、上述した第1実施形態に係る光源装置10と構成を共通とする箇所には同一符号を付けて、説明を省略することにする。
本実施形態に係る光源装置40では、領域A〜Fから射出される光の強度を調整する光強度調整部45を備える点において第1実施形態と異なる。その他の構成においては第1実施形態と同様である。
【0052】
光強度調整部45は、図5に示すように、光強度センサ(光強度検出手段)41と、ミラー42と、発光素子制御部43とを備えている。なお、本実施形態において、第1実施形態と同様の温度調整部23を備えているが、図5においては、図を簡略にするため温度調整部23を省略して示している。
光強度センサ41は、波長選択素子12の射出端面12bの発光素子11a〜11fから射出された光の中心軸Oから外れた位置に設けられている。
ミラー42は、波長選択素子12の射出端面12b側の各領域A〜Fに対応してそれぞれ設けられており、軸Kを中心に回転可能となっている。そして、ミラー42は、軸Kの回転により、各領域A〜Fから射出された光をそれぞれ反射させ、射出端面12bに設けられた光強度センサ41に入射させる。
また、発光素子制御部43は、光強度センサ41により検出された光強度に基づいて、各発光素子11a〜11fから射出される光の出力を調整する。
【0053】
次に、光強度調整部45の作用について説明する。
発光素子11a〜11fから光が射出されると、ミラー42は、一定の時間ごとに軸Kを中心に光の中心軸Oを基準に左周りに略80°回転し、ミラー42において反射された光の強度は、光強度センサ41により検出される。そして、発光素子制御部43は、光強度センサ41により検出された光強度が所定の値より小さい場合は、その領域に光を射出する発光素子11a〜11fの光出力を上げ、所定の値より大きい場合は、その領域に光を射出する発光素子11a〜11fの光出力を下げる。このようにして、波長選択素子12の各領域A〜Fから射出される光の強度を均一にする。
【0054】
本実施形態に係る光源装置40では、波長選択素子12の各領域A〜Fから射出される光の強度を均一にすることができる。これにより、波長選択素子12の各領域A〜Fから射出される光の強度が不均一である場合に比べて、本実施形態のように光の強度が均一である方が、波長を異ならせたときのスペックル低減の効果が大きくなる。つまり、波長選択素子12から射出される光のコヒーレンスをより効果的に低下させることが可能となる。
【0055】
なお、本実施形態ではミラー42を設けて、波長選択素子12から射出される光の強度を測定したが、ミラー42を設けなくても良い。すなわち、図6に示すように、発光素子11a〜11f及び波長選択素子12の外側に設けられたキャップ46に嵌め込まれたガラス47を傾斜させ、波長選択素子12を通過した光の一部をこのガラス47で反射させ、光強度センサにより光強度を検出しても良い。この構成の場合、光強度センサは、キャップで反射した光を検出可能な位置に配置しておけば良い。
また、光強度センサ41を設ける位置は射出端面12bに限るものではない。
また、光強度センサ41により検出された光強度に基づいて、各発光素子11a〜11fから射出される光の出力を調整したが、波長選択素子12に設けられたペルチェ素子22にフィードバックし、波長選択素子12の各領域A〜Fの温度を調整し出力波長を変えることで出力強度を調整させても良い。この構成では、若干光利用効率は落ちるが、発光素子制御部43を設ける必要がないため、コストの低減を図ることが可能となる。
【0056】
[第3実施形態]
次に、本発明に係る第3実施形態について、図7を参照して説明する
本実施形態に係る光源装置50は、図7に示すように、発光部51と、発光部51から射出された光の波長を変換する波長変換素子53と、波長変換素子53により変換される波長を選択して反射させる波長選択素子52とを備えている。
なお、図7においては、図を簡略にするため波長選択素子52側の温度調整部23を省略して示している。
発光部51は、レーザ光を射出する6つの発光素子(半導体レーザ;LD)51a,51b,51c,51d,51e,51fを備えている。これらの発光素子51a〜51fは、いずれも支持部54に支持されている。発光素子51a〜51fから射出される光のピーク波長は、発光素子51a〜51fの製造誤差により、数nm程度異なっている。ここで、発光素子51a〜51fから射出される光の波長をλ01,λ02,λ03,λ04,λ05,λ06とすると、λ01>λ04>λ05>λ03>λ02>λ06である。なお、意図的に異なる波長の光を射出する発光素子を用いても良い。
【0057】
波長変換素子(第2高調波発生素子、SHG:Second Harmonic Generation)53は、入射光をほぼ半分の波長に変換する非線形光学素子である。
発光部51から射出され、波長選択素子52に向かう光W3は、波長変換素子を通過することによって、ほぼ半分の波長の光に変換される。波長変換素子53による波長変換効率は非線形の特性を有しており、例えば、波長変換素子53に入射するレーザ光の強度が強いほど、変換効率が向上する。ただし、波長変換素子53の変換効率は40〜50%程度である。つまり、発光部51から射出されたレーザ光のすべてが、所定波長のレーザ光に変換されるわけではない。
【0058】
波長変換素子53としては、板形状のものを用いている。波長変換素子53は、複数の発光素子51a〜51eに対応して5つの領域P,Q,R,S,T,Uに分かれている。
すなわち、発光素子51a,51b,51c,51d,51e,51fから射出された光が通過する領域を、それぞれ領域(光通過領域)P,Q,R,S,T,Uとする。
【0059】
また、波長変換素子53は、領域P〜Uごとに分極周期構造、つまり、分極が互いに反転したドメインの繰り返し構造を有している。この分極周期構造内を光が透過することにより、入射した光の波長を変換するようになっている。この波長変換素子53の領域P,Q,R,S,T,Uの各ドメインのレーザ光の中心軸O方向の幅(以下、「ピッチ」という)Λ1は、同一である。
このような分極周期構造は、まず、非線形強誘電体材料(例えばLiTaO3)からなる基板に、レーザ光の中心軸O方向に沿って電極が有る領域と無い領域とが交互に並んだストライプ状の電極パターンを形成する。次に、これら電極パターンにパルス状の電圧を印加することにより、図7に示したような分極周期構造が得られる。このようにして分極周期構造を形成した後、通常電極パターンは除去されるが、そのまま残しておいても良い。
このように、波長変換素子53は、領域P〜Uにおいて、それぞれ周期(ピッチ)が同一である分極反転構造を有している。
【0060】
制御部60は、図7に示すように、温度センサ(状態検出手段)61、ペルチェ素子(状態変化手段)62、温度調整部63を備えている。
温度センサ61及びペルチェ素子62は、波長変換素子53の各領域A〜Fの表面53aにそれぞれ接着されている。また、各領域P〜Uに設けられた温度センサ61及びペルチェ素子62は温度調整部63に接続されている。
温度センサ61は、波長変換素子53の各領域P〜Uの温度を測定するセンサである。
また、ペルチェ素子62は、各領域P〜Uの表面53aに設けられているため、波長変換素子53は、各領域P〜Uの表面53aから裏面(図示略)に向かって加熱または冷却される。波長変換素子53も波長選択素子52と同様に、加熱により膨張し冷却により収縮してドメインピッチが変化する。このドメインピッチに対応して、波長変換素子53の変換波長、つまり、波長変換素子53によって変換される光W1の波長が異なる。
また、ペルチェ素子62は、温度センサ61により検出された領域P〜Uの温度に応じて、領域P〜Uによって変換される光の波長が互いに異なるように、波長変換素子53の領域P〜Uの状態を変化させる
【0061】
次に、青色光源装置の場合の波長を例に挙げて説明すると、発光素子51a〜51fからそれぞれ射出される光のピーク波長は、λ01=920nm,λ02=914nm,λ03=912nm,λ04=916nm,λ05=918nm,λ06=910nmである。ただし、ここで挙げた波長は単なる一例に過ぎない。
そして、領域Pでは、ペルチェ素子62により920nmの波長の光を半波長に変換する温度T2aに温度が設定される。また、ペルチェ素子62により、領域Qでは914nmの波長の光を半波長に変換する温度T2bに温度が設定され、領域Rでは912nmの波長の光を半波長に変換する温度T2cに温度が設定され、領域Sでは916nmの波長の光を半波長に変換する温度T2dに温度が設定され、領域Tでは918nmの波長の光を半波長に変換する温度T2eに温度が設定され、領域Uでは910nmの波長の光を半波長に変換する温度T2fに温度が設定される。そして、温度調整部63により、各領域P〜Uが温度T2a〜T2fとなるように、ペルチェ素子62を制御する。これにより、波長変換素子53の各領域P〜Uから射出される光の波長は、λ1=460nm,λ2=457nm,λ3=456nm,λ4=458nm,λ5=459nm,λ6=455nmとなる。
【0062】
波長選択素子52は、第1実施形態と同様に、温度センサ21、ペルチェ素子22、温度調整部23とを備えている。
また、波長選択素子52は、波長変換素子53によって所定波長λ1〜λ6に変換される波長(つまり、波長λ01〜λ06)のレーザ光W1(つまり、波長変換素子53によって変換されず透過した分の光)のみを選択して発光部51に向かって反射させ、それ以外のレーザ光を透過させるものである。ペルチェ素子22は、領域P〜Uにおいて変換される光の波長λ01〜λ06と、波長選択素子52の領域A〜Eにおいて選択される光の波長とが、それぞれ同じ値となるように制御される。
つまり、青色光源装置の場合、温度調整部23は、領域A〜Fにおいて反射される光の波長が、それぞれ異なるようにペルチェ素子22により各領域A〜Fの温度を制御する。
【0063】
波長選択素子52によって反射された光W1(図7に示す二点鎖線)は、再び波長変換素子53を通過し、発光素子51a〜51eに戻る。発光素子51a〜51eへ戻された光は、一部そこで吸収されて熱となってしまうが、大部分は発光のエネルギーとして用いられたり、発光素子51a〜51e内で反射されて再度発光素子51a〜51eから射出されたりすることで、有効に利用される。
【0064】
一方、波長変換素子53によって波長選択素子52を通過する波長λ1〜λ6に変換された光W2(図7に示す一点鎖線)は、波長選択素子52を透過する。
以上説明したように、発光部51から射出された光W3は、発光部51と波長選択素子52との間で反射を繰り返し、所定の波長に変換された変換光W2(図7に示す一点鎖線)が、波長選択素子52から射出されるようになっている。つまり、波長選択素子52は、第1実施形態の波長選択素子12とは若干作用が異なるものの、発光素子51a〜51eの共振器ミラーとしての機能を有している。
【0065】
本実施形態に係る光源装置50では、ペルチェ素子62により各領域P〜Uのドメインピッチを変えることにより、異なる波長λ1〜λ6への変換を可能とした波長変換素子53と、領域A〜Fごとに選択波長が異なる波長選択素子52とを組み合わせることにより、波長選択素子52から射出される光の波長を互いに異ならせることができる。したがって、波長選択素子52から射出される光の帯域が、すべての領域から同一の波長が射出する場合に比べて広がるため、レーザ光同士のコヒーレンスが低減する。その結果、スペックルノイズを抑えた光源装置50を得ることが可能となる。
また、領域P〜Tごとにペルチェ素子62が設けられているため、波長変換素子53から射出される出力波長分布の自由度が高まる。したがって、発光素子51a〜51eから射出された光の波長と対応する波長変換素子53の各領域P〜Uの変換する光の波長とを揃えることが可能となる。これにより、発光素子51a〜51eが製造誤差等により、出力波長にばらつきがあっても、波長変換素子53から射出される光の利用効率を向上させることが可能となる。
さらに、領域P〜Uごとにペルチェ素子62が設けられているため、領域P〜Tごとの変換波長の差を2nmに限らず大きくすることや小さくすることができるため、より効率的にスペックルノイズを低減させることが可能となる。
【0066】
なお、ペルチェ素子62に代えて発熱素子、圧電素子(歪み付与手段)を用いても良い。圧電素子は、電圧が印加されると変位し、この変位によって波長変換素子53に歪みを生じさせるものである。波長変換素子53は歪みが大きいほど、選択波長が短くなるため、各領域P〜Uの歪みの量を調整することにより、各領域P〜Uから射出される光の波長を異ならせることが可能となる。なお、歪み付与手段としては、例えば、歪みゲージや磁歪素子を用いても良い。
また、第1実施形態の変形例1の図3で示した温度変化部35を用いて、各領域P〜Uから射出される光の波長を異ならせても良い。
また、第2実施形態の図5で示した光強度調整部45を備えた、図8に示す光源装置65であっても良い。この構成の場合も、第2実施形態と同様に、波長選択素子52の各領域A〜Fから射出される光の強度を均一にすることができるため、波長選択素子52から射出される光のコヒーレンスをより効果的に低下させることが可能となる。
【0067】
[第3実施形態の変形例]
図7に示す第3実施形態では、各領域P〜Uが設定温度となった場合は、温度を常に維持(各領域P〜Uの選択波長は時間的に一定)したが、各領域P〜Uの温度を時間的に変化させた光源装置であっても良い。
さらに、本変形例の光源装置では、波長変換素子53の各領域P〜Uの温度が、対応する波長選択素子52の各領域A〜Fの温度と同期するように制御を行う。なお、全体構成は第3実施形態の光源装置50と同様である。
本変形例の光源装置は、図9のフローチャートに示すように、温度調整部23に、各領域A〜Fの時間における温度がタイムテーブル(波長分布設定)、温度調整部63に、各領域P〜Uの時間における温度が波長分布を設定する(ステップS0)。
ここで、各領域P〜Uのフローチャートは同じであるため、図9の左側に示す発光素子51aに対応する領域P及び領域Aの制御について説明する。
まず、ある時間における波長選択素子52から射出される波長が設定され(ステップS1)、その波長の光を射出する波長選択素子52の温度T1aが設定される(ステップS2a)。そして、第1実施形態と同様に各領域Aの温度をペルチェ素子22により制御し(ステップS3a)、温度センサ21により各領域Aの温度を測定する(ステップS4a)。そして、温度センサ21により測定された温度と、設定温度T1aとを比較し(ステップS5a)、一致した後、この温度を維持する(ステップS6)。
また、波長選択素子52のステップS1a〜S5aのフローが行われるのと同時に、波長変換素子53においても同様に、設定された波長の光を変換する波長変換素子53の温度T2aが設定される(ステップS2b)。そして、ペルチェ素子62により各領域Pの温度を制御し(ステップS3b)、温度センサ61により各領域Pの温度を測定する(ステップS4b)。その後、温度センサ61により測定された温度と、設定温度T2aとを比較し(ステップS5b)、一致した後、この温度を維持する(ステップS6)。
【0068】
その後、次の温度設定待ち(ステップS7)となり、再びステップS0に戻り、各領域A及び領域Pの時間における温度が設定される(ステップS0)。このとき、各領域Aの温度は1つ前の設定温度と異なる温度が設定され、各領域Pの温度も1つ前の設定温度と異なる温度が設定される。
このとき、波長選択素子52の温度と、波長変換素子53の温度とが同期して変化するように、波長選択素子52のペルチェ素子22により各領域A〜Fの温度制御を行い、波長変換素子53のペルチェ素子62により各領域P〜Uの温度制御を行う。
すなわち、例えば、波長変換素子53の領域Pを918nmの波長の光を半波長に変換させる温度T2aに設定した場合、波長選択素子52の領域Aを918nmの波長の光を反射させる温度T1aに設定する。このように、波長選択素子52の温度と、波長変換素子53の温度とを同期させて変化させることにより、波長選択素子52における光の利用効率を向上させることが可能となる。
【0069】
本変形例において、波長選択素子52の領域A〜F及び波長変換素子53の領域P〜Uの温度を時間的に変化させることにより、領域A〜Fから射出される光のスペックルパターンが複雑に変化する。その変化に伴い、視認されるスペックル(干渉による斑点模様)が移動するため、人間の眼の残像時間内でスペックルのパターンが積分平均化され、スペックルの発生を低減させることが可能となる。
さらには、波長選択素子52の温度と波長変換素子53の温度とが同期して変化するため、波長変換素子53の各領域P〜Uにおいて変換される光の波長が、対応する波長選択素子52の各領域A〜Uにおいて選択される光の波長と同一である。これにより、波長変換素子53の各領域P〜Uにおいて変換されたそれぞれの光は、対応する波長選択素子52の各領域P〜Uを透過する際、効果的に取り出される。
なお、波長選択素子52及び波長変換素子53のうち少なくとも一方の領域の温度を時間的に変化させても良い。
また、本変形例の光源装置において、図5に示すように、第2実施形態で示した光強度調整部45を備えていても良い。本変形例に光強度調整部45を設けることにより、波長選択素子12から射出される光のコヒーレンスを低下させつつ、人間の眼の残像時間内でスペックルのパターンが積分平均化される。したがって、スペックルノイズをより効果的に低減することが可能となる。
【0070】
[第4実施形態]
次に、本発明に係る第4実施形態について、図10及び図11を参照して説明する
本実施形態に係る光源装置80は、ペルチェ素子62に代えて波長変換素子81の領域P〜Uを含む表面81aに、電極(状態変化手段:電圧印加手段)85が設けられている点において第3実施形態と異なる。
本実施形態の波長変換素子81では、表面81a上の領域P〜Uそれぞれに、隣接する電極と所定の間隔を保つように、シート状の電極85がそれぞれ設けられている。
制御部90は、図10に示すように、電圧測定素子(状態検出手段)91、電源(状態変化手段)V、電圧調整部93を備えている。
電圧測定素子91及び電極85は、波長変換素子81の各領域P〜Uの表面81aにそれぞれ接着されている。また、各領域P〜Uに設けられた電圧測定素子91は電圧調整部93に接続され、電極85は電源Vを介して電圧調整部93に接続されている。
電圧測定素子91は、波長変換素子81の各領域P〜Uの温度を測定する素子である。
また、波長変換素子81は、電圧が印加されると屈折率が変化する。この屈折率に対応して、波長変換素子81の変換波長、つまり、波長変換素子81によって変換される光W1の波長が異なる。
【0071】
また、電極85には、電源Vにより、それぞれの電極85に異なった電圧が印加されるようになっている。そして、印加される電圧に従って、各領域P〜Tは異なった温度となる。この温度の違いによって、波長変換素子81の領域P〜Uにおいて、それぞれ温度が変化するとともに、熱膨張によるドメインピッチの変化が生じる。そして、電極85には、それぞれ異なる電圧が印加されるように制御されている。
なお、図10では表面81a上に形成された電極85のみが示されているが、表面81aとは反対側の表面上にも電極85とそれぞれ対になる6つの電極がそれぞれ形成されており、この対になった電極によって領域P〜Uを挟み込むことにより、領域P〜Uにそれぞれ所定の電圧を印加するような構成となっている。
【0072】
また、第3実施形態の変形例と同様に、各領域P〜Uの温度を時間的に変化させ、波長変換素子の各領域P〜Uの屈折率が、対応する波長選択素子52の各領域A〜Fの温度と同期するように制御を行う。
すなわち、図11のフローチャートに示すように、まず、温度調整部23に、各領域A〜Fの時間における温度がタイムテーブル(波長分布設定)、温度調整部63に、各領域P〜Uの時間における波長分布を設定する(ステップS0)。
ここで、波長選択素子52のフローチャートは図9に示すフローと同じであるため、波長変換素子53の制御について説明する。
まず、ある時間における波長変換素子53から射出される波長が設定され(ステップS1)、その波長の光を射出する波長変換素子53の電圧値V2aが設定される(ステップS2b)。そして、電源Vにより各領域P〜Uに印加される電圧値を制御し(ステップS3b)、電圧測定素子91により各領域P〜Uの電圧を測定する(ステップS4b)。その後、電圧測定素子91により測定された電圧値と、設定電圧値V2aとを比較し(ステップS5b)が、一致した後、この電圧値を維持する(ステップS6)。
【0073】
その後、波長選択素子52は次の温度設定待ち、波長変換素子53は次の電圧設定待ち(ステップS7)となり、再びステップS0に戻り、各領域A〜Fの時間における温度及び各領域P〜Uの時間における電圧が設定される(ステップS0)。このとき、各領域A〜Fの温度は1つ前の設定温度と異なる温度が設定され、各領域P〜Uの電圧値は1つ前の設定電圧値と異なる電圧値が設定される。
このとき、波長選択素子52の温度と、波長変換素子53の電圧値とが同期して変化するように、波長選択素子52のペルチェ素子22により各領域A〜Fの温度制御を行い、波長変換素子81の電圧測定素子91により各領域P〜Uの電圧制御を行う。
すなわち、波長変換素子81の領域Pを918nmの波長の光を半波長に変換させる電圧値V2aに設定した場合、波長選択素子52の領域Aにおいて918nmの波長の光を反射させる温度T1aに設定する。このように、波長選択素子52の温度と、波長変換素子81の電圧値とを同期させて変化させることにより、波長選択素子52における光の利用効率を向上させることが可能となる。
【0074】
本実施形態の光源装置80においても、第3実施形態と同様の効果を得ることができる。また、光源装置80は、各領域P〜Uに印加する電圧を変えることで、各領域P〜Uから射出される光の波長を異ならせているため、波長変換素子81の制御が容易となる。
【0075】
[第5実施形態]
次に、本発明に係る第5実施形態について、図12を参照して説明する。
本実施形態では、上記第1実施形態の光源装置10を備える画像表示装置100について説明する。なお、図12中においては、簡略化のため画像表示装置100を構成する筐体は省略している。
【0076】
画像表示装置100において、赤色光を射出する赤色レーザ光源(光源装置)101Rとしては、上記第1実施形態の光源装置10を用い、緑色光、青色光を射出する緑色レーザ光源(光源装置)101G、青色レーザ光源(光源装置)101Bとしては、上記第3実施形態の光源装置50を用いる。
また、画像表示装置100は、レーザ光源101R,101G,101Bから射出されたレーザ光をそれぞれ変調する液晶ライトバルブ(光変調装置)104R,104G,104Bと、液晶ライトバルブ104R,104G,104Bから射出された光を合成して投写レンズ107に導くクロスダイクロイックプリズム(色光合成手段)106と、液晶ライトバルブ104R,104G,104Bによって形成された像を拡大してスクリーン110に投射する投射レンズ(投射装置)107とを備えている。
【0077】
さらに、画像表示装置100は、レーザ光源101R,101G,101Bから射出されたレーザ光の照度分布を均一化させるため、各レーザ光源101R,101G,101Bよりも光路下流側に、均一化光学系102R,102G,102Bを設けており、これらによって照度分布が均一化された光によって、液晶ライトバルブ104R,104G,104Bを照明している。例えば、均一化光学系102R,102G、102Bは、例えば、ホログラム102a及びフィールドレンズ103bによって構成される。
【0078】
各液晶ライトバルブ104R,104G,104Bによって変調された3つの色光は、クロスダイクロイックプリズム106に入射する。このプリズムは4つの直角プリズムを貼り合わせて形成され、その内面に赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが十字状に配置されている。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成され、カラー画像を表す光が形成される。そして、合成された光は投写光学系である投射レンズ107によりスクリーン110上に投写され、拡大された画像が表示される。
【0079】
上述した本実施形態の画像表示装置100は、赤色レーザ光源101R,緑色レーザ光源101G,青色レーザ光源101Bより射出される光は、コヒーレンスが低減された光となっているので、投射レンズ107によって投射される光は、スペックルノイズを抑えたものとなる。したがって、スクリーン110に良好な画像を表示することができる。
【0080】
なお、本実施形態の画像表示装置において、緑色及び青色のレーザ光源101G、101Bについては、第3実施形態の光源装置50を用いたものを説明したが、他の実施形態の光源装置を用いることも可能である。このとき、光源装置101R,101G,101Bのそれぞれに異なる実施形態の光源装置を採用することも可能であるし、同じ実施形態の光源装置を採用することも可能である。
【0081】
また、光変調装置として透過型の液晶ライトバルブを用いたが、液晶以外のライトバルブを用いても良いし、反射型のライトバルブを用いても良い。このようなライトバルブとしては、例えば、反射型の液晶ライトバルブや、デジタルマイクロミラーデバイス(Digital Micromirror Device)が挙げられる。投射光学系の構成は、使用されるライトバルブの種類によって適宜変更される。
また、第1〜第4実施形態(変形例を含む)の光源装置は、走査型の画像表示装置にも適用される。このような画像表示装置の例を図13に示す。図13に示した画像表示装置200は、第1実施形態の光源装置10と、光源装置10から射出された光をスクリーン210に向かって走査するMEMSミラー(走査手段)202と、光源装置10から射出された光をMEMSミラー202に集光させる集光レンズ203とを備えている。光源装置10から射出された光は、MEMSミラーを動かすことによって、スクリーン210上を横方向、縦方向に走査するように導かれる。カラーの画像を表示する場合は、発光部11を構成する複数の発光素子を、赤、緑、青のピーク波長を持つ発光素子の組み合わせによって構成すれば良い。
【0082】
[第6実施形態]
次に、第3実施形態に係る光源装置50を応用したモニタ装置300の構成例について説明する。図14は、モニタ装置の概略を示す模式図である。モニタ装置300は、装置本体310と、光伝送部320とを備える。装置本体310は、前述した第1実施形態のレーザ光源装置10を備える。
【0083】
光伝送部320は、光を送る側と受ける側の2本のライトガイド321,322を備える。各ライトガイド321,322は、多数本の光ファイバを束ねたもので、レーザ光を遠方に送ることができる。光を送る側のライトガイド321の入射側にはレーザ光源装置10が配設され、その出射側には拡散板323が配設されている。レーザ光源装置10から出射したレーザ光は、ライトガイド321を伝って光伝送部320の先端に設けられた拡散板323に送られ、拡散板323により拡散されて被写体を照射する。
【0084】
光伝送部320の先端には、結像レンズ324も設けられており、被写体からの反射光を結像レンズ324で受けることができる。その受けた反射光は、受け側のライトガイド322を伝って、装置本体310内に設けられた撮像手段としてのカメラ311に送られる。この結果、レーザ光源装置10により出射したレーザ光により被写体を照射したことで得られる反射光に基づく画像をカメラ311で撮像することができる。
【0085】
以上のように構成されたモニタ装置300によれば、光源装置50は、スペックルノイズが抑えられた光を射出するため、カメラ311により被写体を鮮明に撮像することが可能となる。
なお、本実施形態のモニタ装置として、第3実施形態の光源装置50を用いたものを説明したが、他の実施形態(変形例を含む)の光源装置を用いることも可能である。
【0086】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、色光合成手段として、クロスダイクロイックプリズムを用いたが、これに限るものではない。色光合成手段としては、例えば、ダイクロイックミラーをクロス配置とし色光を合成するもの、ダイクロイックミラーを平行に配置し色光を合成するものを用いることができる。
【符号の説明】
【0087】
10,30,40,50,65,80…光源装置、11a〜11f、51a〜51f…発光素子、12,52…波長選択素子、21…温度センサ(状態検出部)、22…ペルチェ素子(状態変化手段)、41…光強度センサ(光強度検出手段)、53,81…波長変換素子、61…温度センサ(状態検出手段)、62…ペルチェ素子(状態変化手段)、100,200…画像表示装置、300…モニタ装置、311…カメラ(撮像手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置、画像表示装置及びモニタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の投射型画像表示装置では、光源として超高圧水銀ランプなどの放電ランプが用いられるのが一般的である。しかし、このような放電ランプは、寿命が比較的短い、瞬時点灯が難しい、色再現性範囲が狭い、ランプから放射された紫外線が液晶ライトバルブを劣化させてしまうことがある等の課題がある。そこで、このような放電ランプの代わりに、単色光を照射するレーザ光源を用いた投射型画像表示装置が提案されている。しかしながら、レーザ光源は、上記の課題を持たない反面、干渉性を有するという欠点を持っている。これにより、レーザ光が投射される被投射面において干渉縞がスペックルノイズとして現れ画像が劣化してしまうので、高精細な画像を表示させるためには、スペックルノイズの対策が必要となる。
【0003】
スペックルノイズを除去する手段としては、複数の発光素子を備え、設計上少しずつ異なる中心波長を有する発光素子をアレイ化することによって、1つの発光素子を用いた場合に比べて、広いスペクトル帯域を得ることで、スペックルノイズを低減させることが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2004−503923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
また、特許文献1に記載のスペックルノイズを除去する手段は、外部共振器構造を必要としない光源、すなわち、直接レーザ光を出力する光源の使用を前提としたものである。
確かに、外部共振器構造を必要としない光源の場合には、スペックルノイズを抑える効果がある。
ここで、外部共振器を備える光源の場合、基本構成要素は、発光素子と、波長選択素子(共振器ミラー)とである。また、複数の発光素子を用いる場合であっても、コストや組み立ての容易さを考慮して、単一の波長を選択する波長選択素子が用いられるのが一般的である。この波長選択素子においては、レーザ発振させるために、選択する波長の帯域を狭くする必要がある。その結果、特許文献1に記載のように、アレイ光源から射出される光それぞれの波長にばらつきを持たせたとしても、波長選択素子により、単一の波長が選択されることになり、波長選択素子を含めた光源全体のコヒーレンスは低下しない。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、複数のレーザ光同士のコヒーレンスを低減させ、スペックルノイズを抑えた光源装置、画像表示装置及びモニタ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の手段を提供する。
本発明の光源装置は、光を発する複数の発光素子と、該複数の発光素子から射出された光に対してそれぞれ選択が行われる複数の光選択領域を有し、前記複数の発光素子から射出された光を選択的に反射させる波長選択素子と、該波長選択素子の複数の光選択領域の状態を検出する状態検出手段と、該状態検出手段により検出された前記複数の光選択領域の状態に応じて、前記複数の光選択領域によって選択される光の波長が互いに異なるように、前記波長選択素子の光選択領域の状態を変化させる状態変化手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る光源装置では、複数の発光素子から射出された光は、波長選択素子において、所定の選択波長の一部の光が反射し、発光素子と波長選択素子との間で共振し増幅され、残りの光が増幅されずに透過する。また、状態検出手段が、波長選択素子の複数の光選択領域の状態を検出し、この検出された状態に応じて、状態変化手段が、複数の光選択領域によって選択される光の波長が互いに異なるように、波長選択素子の光選択領域の状態を変化させる。これにより、光選択領域ごとに選択される光の波長が異なる。したがって、たとえ、複数の発光素子から射出される光のピーク波長が同じであったとしても、発光素子から射出される光は、ある程度の帯域幅を持っているので、帯域幅内で異なる波長の光が増幅され取り出される。すなわち、発光素子から射出されたそれぞれの光は、波長選択素子のそれぞれの光選択領域において共振すると、光源と波長選択素子との間の共振器ミラー構造において増幅され、各領域から射出される光の波長が異なることになる。したがって、本発明は、従来のように、波長選択素子が単一波長の光を射出するものではないため、波長選択素子を透過した光の波長帯域は全体として広がることになる。これにより、波長選択素子の各領域から射出された増幅光同士のコヒーレンスが低減するため、スペックルノイズを抑えることが可能となる。
また、状態検出手段により検出された状態に応じて、状態変化手段により波長選択素子の光選択領域の状態を変化させているため、複数の光選択領域から射出される光の波長を確実に異ならせることができる。
【0008】
また、本発明の光源装置は、前記状態検出手段及び前記状態変化手段が前記波長選択素子の光選択領域ごとにそれぞれ設けられていることが好ましい。
【0009】
本発明に係る光源装置では、波長選択素子には、複数の光選択領域ごとに状態検出手段及び状態変化手段がそれぞれ設けられている。このとき、状態検出手段により、波長選択素子の個々の光選択領域の状態を検出し、この検出された状態に応じて、個々の光選択領域によって選択される光の波長が互いに異なるように、波長選択素子の複数の光選択領域のそれぞれの状態を変化させる。すなわち、光選択領域ごとに状態を変化させることができるため、波長選択素子から射出される出力波長分布の変化の自由度が高まる。したがって、発光素子から射出された光の波長と対応する波長選択素子の各光選択領域の選択する光の波長とを揃えることが可能となる。これにより、発光素子が製造誤差等により、出力波長にばらつきがあっても、スペックルノイズを低減させつつ、波長選択素子から射出される光の利用効率を向上させることが可能となる。
なお、状態変化手段が複数設けられ、状態変化手段が複数の光選択領域ごとに設けられていても良い。この構成の場合も、複数の光選択領域によって選択される光の波長が互いに異なるように状態を変化させれば良い。
【0010】
また、本発明の光源装置は、前記状態変化手段により前記複数の光選択領域の状態を時間的に変化させることが好ましい。
【0011】
本発明に係る光源装置では、状態変化手段により複数の光選択領域の状態を時間的に変化させる。これにより、各光選択領域から射出される光のスペックルパターンが時間とともに複雑に変化する。その変化に伴い、視認されるスペックル(干渉による斑点模様)が移動するため、人間の眼の残像時間内でスペックルのパターンが積分平均化され、スペックルの発生を低減させることが可能となる。
【0012】
また、本発明の光源装置は、前記複数の光選択領域から射出される光の強度をそれぞれ検出する光強度検出手段を備え、該光強度検出手段により検出された光の強度に基づいて、前記複数の発光素子から射出される光の強度をそれぞれ調整することが好ましい。
【0013】
本発明に係る光源装置では、光強度検出手段により検出された光の強度に基づいて、複数の発光素子から射出される光の強度をそれぞれ調整することにより、複数の光選択領域から射出される光の強度を均一にすることができる。波長選択素子の各領域から射出される光の強度が不均一である場合に比べて、本発明のように光の強度が均一である方が、波長を異ならせたときのスペックル低減の効果が大きくなる。つまり、波長選択素子から射出される光のコヒーレンスをより効果的に低下させることが可能となる。
【0014】
また、本発明の光源装置は、前記状態検出手段が、前記波長選択素子の光選択領域の温度を検出する温度検出手段であり、前記状態変化手段が、前記温度検出手段により検出された温度に応じて、前記波長選択素子の光選択領域の温度を互いに異ならせる温度変化手段であることが好ましい。
【0015】
本発明に係る光源装置では、温度変化手段により、波長選択素子の光選択領域ごとの温度を異ならせるため、各光選択領域の温度に応じて波長選択素子の内部の格子の間隔が変化する。これにより、波長選択素子は、各光選択領域において選択される光の波長が異なることになる。したがって、複数の発光素子から射出され、波長選択素子の各光選択領域から射出されたそれぞれの光は、波長が異なる光となる。このように、波長選択素子に、外力を与えることなく各光選択領域の温度が変わるだけで波長選択素子の内部の周期格子の間隔が変わる。これにより、より簡易な構成で波長選択素子の各領域を反射し増幅された光同士のコヒーレンスが低減するため、スペックルノイズを抑えることが可能となる。
【0016】
また、本発明の光源装置は、前記状態検出手段が、前記波長選択素子の光選択領域の歪みの大きさを検出する歪み検出手段であり、前記状態変化手段が、前記歪み検出手段により検出された歪みの大きさに応じて、前記波長選択素子の光選択領域の歪みの大きさを互いに異ならせる歪み付与手段であることが好ましい。
【0017】
本発明に係る光源装置では、歪み付与手段として、例えば、圧電素子を用いて波長選択素子の領域ごとに歪みが異なるように歪みを付与する。これにより、波長選択素子の内部の格子の間隔が変化するため、波長選択素子は、領域ごとに反射させる波長が異なることになる。したがって、複数の発光素子から射出された光は、波長選択素子により反射され共振を起こすと、各領域から射出される際、増幅された光は異なる波長となる。したがって、簡易な構成により、波長選択素子の各領域を透過した光同士のコヒーレンスが低減するため、低コスト化を図りつつ、スペックルノイズを抑えることが可能となる。
なお、歪み付与手段が複数設けられ、歪み付与手段が複数の光選択領域ごとにそれぞれ設けられていても良い。この構成の場合も、複数の光選択領域によって選択される光の波長が互いに異なるように歪みを付与すれば良い。
【0018】
本発明の光源装置は、光を発する複数の発光素子と、該複数の発光素子から射出された光がそれぞれ通過する複数の光通過領域を有し、前記複数の発光素子から射出された光のうち、少なくとも一部の波長をそれぞれ所定の波長に変換する波長変換素子と、該波長変換素子の複数の光通過領域から射出された光がそれぞれ選択される複数の光選択領域を有し、前記波長変換素子から射出される光を前記発光素子に向けて選択的に反射させる波長選択素子と、前記波長変換素子の複数の光通過領域の状態を検出する変換側状態検出手段と、該変換側状態検出手段により検出された前記複数の光通過領域の状態に応じて、前記複数の光通過領域によって変換される光の波長が互いに異なるように、前記波長変換素子の光通過領域の状態を変化させる変換側状態変化手段と、前記波長選択素子の複数の光選択領域の状態を検出する選択側状態検出手段と、該選択側状態検出手段により検出された前記複数の光選択領域の状態に応じて、前記複数の光選択領域によって選択される光の波長が互いに異なるように、前記波長選択素子の光選択領域の状態を変化させる選択側状態変化手段とを備えることを特徴とする。
【0019】
本発明に係る光源装置では、例えば、緑色の光を射出させる場合、発光素子として、1060nmの波長の光源を用い、波長変換素子で発光素子より射出された光の波長を半分にした後、波長選択素子として、緑色の光を透過させるものを用いる。これにより、発光素子から射出された光は、波長変換素子を透過し、発光素子と波長選択素子との間で反射を繰り返す。その後、緑色に変換された光は、波長選択素子より射出される。
また、このとき、変換側状態検出手段により検出された状態に応じて変換側状態変化手段により波長変換素子の光通過領域の状態を変化させ、さらに、選択側状態検出手段により検出された状態に応じて選択側状態変化手段により波長選択素子の光選択領域の状態を変化させている。これにより、複数の光通過領域及び光選択領域から射出される光の波長を確実に異ならせることができる。
したがって、波長変換素子により、所望の波長の光を得ることができ、スペックルノイズを抑えた光を射出することが可能となる。
【0020】
また、本発明の光源装置は、前記変換側状態検出手段及び前記変換側状態変化手段が前記波長変換素子の光通過領域ごとにそれぞれ設けられ、前記選択側状態検出手段及び前記選択側状態変化手段が前記波長選択素子の光選択領域ごとにそれぞれ設けられ、前記変換側状態変化手段及び前記選択側状態変化手段により、前記波長変換素子の各光通過領域の変換波長と前記波長選択素子の各光選択領域の選択波長とが略一致して変化するように、それぞれの領域の状態を変化させることが好ましい。
【0021】
本発明に係る光源装置では、波長変換素子の各光通過領域において変換される光の波長(変換波長)が、対応する波長選択素子の各光選択領域において選択される光の波長と略同一となる。これにより、波長変換素子の各光通過領域において変換されたそれぞれの光は、対応する波長選択素子の各光選択領域を透過する際、効果的に取り出される。
なお、選択側状態変化手段が複数設けられ、選択側状態変化手段が複数の光選択領域ごとに設けられていても良い。この構成の場合も、複数の光選択領域によって選択される光の波長が互いに異なるように温度を変化させれば良い。同様に、変換側状態変化手段が複数の光通過領域ごとに設けられていても良い。
【0022】
また、本発明の光源装置は、前記複数の光通過領域の状態及び前記複数の光選択領域の状態のうち少なくとも一方の状態を時間的に変化させることが好ましい。
【0023】
本発明に係る光源装置では、複数の光通過領域の状態及び複数の光選択領域の状態のうち少なくとも一方の状態を時間的に変化させる。これにより、波長選択素子の光選択領域から射出される光のスペックルパターンが時間とともに複雑に変化する。その変化に伴い、視認されるスペックル(干渉による斑点模様)が移動するため、人間の眼の残像時間内でスペックルのパターンが積分平均化され、スペックルの発生を低減させることが可能となる。
【0024】
また、本発明の光源装置は、前記複数の光選択領域から射出される光の強度をそれぞれ検出する光強度検出手段を備え、該光強度検出手段により検出された光の強度に基づいて、前記複数の発光素子から射出される光の強度をそれぞれ調整することが好ましい。
本発明に係る光源装置では、上記光強度検出手段を備えた場合と同様の効果を得ることができる。
【0025】
また、本発明の光源装置は、前記波長変換素子は、前記複数の発光素子から射出された光の中心軸に沿って、分極が互いに反転したドメインの繰り返し構造を有しており、前記変換側状態検出手段が、前記波長変換素子の光通過領域の電圧を検出する電圧検出手段であり、前記変換側状態変化手段が、前記電圧検出手段により検出された電圧に応じて、前記波長変換素子の光通過領域に印加する電圧を互いに異ならせる電圧印加手段であることが好ましい。
【0026】
本発明に係る光源装置では、電圧検出手段により検出された電圧に応じて、波長変換素子の各光通過領域の電圧印加手段に印加する印加電圧を異ならせることにより、波長変換素子の光通過領域ごとに確実に屈折率が異なる。このように、波長変換素子の光通過領域ごとに印加する電圧を変えることで、複数の発光素子から射出される光の出力波長と、各発光素子に対応する波長変換素子の各光通過領域において透過する光の波長とを同一にすることができる。さらに、波長変換素子の各光通過領域において変換される光の波長と、この各領域に対応する波長選択素子の各光選択領域において選択される光の波長とを同一にすることができる。これにより、波長変換素子の各光通過領域において変換される光の波長を変えることができる。したがって、より簡易な構成で、複数の発光素子から射出される光の利用効率を向上させつつ、スペックルノイズを抑えた光源装置を得ることが可能となる。
【0027】
また、本発明の光源装置は、前記選択側状態検出手段が、前記波長選択素子の光選択領域の温度を検出する温度検出手段であり、前記選択側状態変化手段が、前記温度検出手段により検出された温度に応じて、前記波長選択素子の光選択領域の温度を互いに異ならせる温度変化手段であることが好ましい。
また、本発明の光源装置では、上記状態検出手段が温度検出手段であり、状態変化手段が温度変化手段である場合と同様の効果を得ることができる。
【0028】
また、本発明の光源装置は、前記選択側状態検出手段が、前記波長選択素子の光選択領域の歪みの大きさを検出する歪み検出手段であり、前記選択側状態変化手段が、前記歪み検出手段により検出された歪みの大きさに応じて、前記波長選択素子の光選択領域の歪みの大きさを互いに異ならせる歪み付与手段であることが好ましい。
また、本発明の光源装置では、上記状態検出手段が歪み検出手段であり、状態変化手段が歪み付与手段である場合と同様の効果を得ることができる。
【0029】
本発明の画像表示装置は、上記の光源装置と、該光源装置から射出された光を画像信号に応じて変調する光変調装置と、該光変調装置により形成された画像を投射する投射装置とを備えることを特徴とする。
【0030】
本発明に係る画像表示装置では、光源装置より射出された光は光変調装置に入射される。そして、光変調装置により形成された画像が、投射装置によって投射される。このとき、光源装置より射出される光は、上述したように、コヒーレンスが低減された光となっているので、投射装置によって投射される光はスペックルノイズを抑えたものとなる。したがって、良好な画像を表示することができる。
【0031】
本発明の画像表示装置は、上記の光源装置と、該光源装置から射出された光を被投射面上で走査する走査手段とを備えることを特徴とする。
【0032】
本発明に係る画像表示装置では、光源装置から射出された光は走査手段により走査される。そして、走査手段により走査された光は、被投射面に投影される。このとき、光源装置より射出される光は、上述したように、コヒーレンスが低減された光となっているので、被投射面に照射される光はスペックルノイズが抑えられたものとなる。したがって、輝度ムラがなく良質な画像を表示することが可能となる。
【0033】
本発明のモニタ装置は、上記の光源装置と、該光源装置により照射された被写体を撮像する撮像手段とを備えることを特徴とする。
【0034】
本発明に係るモニタ装置では、光源装置より射出された光は被写体を照射し、撮像手段により被写体を撮像する。このとき、上述したように、光源装置は、コヒーレンスが低減された光を射出するため、輝度むらのない明るい光により被写体が照射される。したがって、撮像手段により被写体を鮮明に撮像することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の第1実施形態に係る光源装置を示す平面図である。
【図2】図1の光源装置に用いられるフローチャートである。
【図3】図1の光源装置の変形例を示す平面図である。
【図4】図1の光源装置の変形例を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第2実施形態に係る光源装置を示す平面図である。
【図6】図5の光源装置の変形例を示す斜視図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係る光源装置を示す平面図である。
【図8】図7の光源装置の変形例を示す平面図である。
【図9】図8の光源装置の変形例を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第4実施形態に係る光源装置を示す平面図である。
【図11】図10の光源装置用いられるフローチャートである。
【図12】本発明の第5実施形態に係る画像表示装置を示す平面図である。
【図13】本発明の画像表示装置の変形例を示す平面図である。
【図14】本発明の第6実施形態に係るモニタ装置を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、図面を参照して、本発明に係る光源装置、画像表示装置及びモニタ装置の実施形態について説明する。なお、以下の図面においては、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。
[第1実施形態]
次に、本発明の第1実施形態について、図1を参照して説明する。
本実施形態に係る光源装置10は、図1に示すように、発光部11と、波長選択素子12と、制御部20とを備えている。
発光部11は、レーザ光を射出する6つの発光素子(半導体レーザ;LD)11a,11b,11c,11d,11e,11fを備えている。これらの発光素子11a〜11fは、いずれも支持部13に支持されている。発光素子11a〜11fから射出される光のピーク波長は、発光素子11a〜11fの製造誤差により、数nm程度異なっている。ここで、発光素子11a〜11fから射出される光の波長をλ1,λ2,λ3,λ4,λ5,λ6とすると、λ1>λ4>λ5>λ3>λ2>λ6である。なお、製造誤差で偶然的に異なるのではなく、設計当初から意図的に異なる波長の光を射出する発光素子を用いても良い。
【0037】
波長選択素子12は、入射したレーザ光のうち所定の選択波長の光(図1に示す破線)W1の一部(98〜99%程度)を選択して発光部11に向かって反射させることによって発光素子11a〜11fの共振器ミラーとして機能するとともに、残りのレーザ光(図1に示す二点鎖線)W2を透過させるものである。波長選択素子12としては、例えば、周期格子を有するホログラムのような光学素子を用いることができる。
発光部11から射出された基本波の光(図1に示す実線)W3は、発光部11と波長選択素子12との間で反射を繰り返し、増幅された後、レーザ光W2として、波長選択素子12から射出されるようになっている。波長選択素子12はある程度の範囲の波長の光を透過させるが、そのうち、所定の波長の光だけが増幅されている。増幅された光の強度は、他の波長の光の強度と比較して著しく高い。よって、波長選択素子12を透過した光W2は、ほぼ単一波長の光とみなすことができる。この光W2の波長は、波長選択素子12の選択波長、つまり波長選択素子12が反射する光W1の波長とほぼ同一である。波長選択素子12は、所定の選択波長の光の一部(98〜99%程度)を反射するので、その残り(1〜2%程度)の光が出力光として利用されることになる。
【0038】
ここで、波長選択素子12を構成する1つの基体において、発光素子11a〜11fから射出された光が選択される領域(光選択領域)をそれぞれA,B,C,D,E,Fとする。ただし、領域A〜Fは実際には選択波長の大きさが異なる連続した領域であるため、これらの間に物理的な境界は存在しない。
【0039】
制御部20は、図1に示すように、温度センサ(状態検出手段)21、ペルチェ素子(状態変化手段)22、温度調整部23を備えている。
温度センサ21及びペルチェ素子22は、波長選択素子12の各領域A〜Fの表面12aにそれぞれ接着されている。また、各領域A〜Fに設けられた温度センサ21及びペルチェ素子22は温度調整部23に接続されている。
温度センサ21は、波長選択素子12の各領域A〜Fの温度を測定するセンサである。
また、ペルチェ素子22は、各領域A〜Fの表面12aに設けられているため、波長選択素子12は、各領域A〜Fの表面12aから裏面(紙面裏側の面)に向かって加熱または冷却される。波長選択素子12は、加熱により膨張し冷却により収縮して屈折率が変化する。この屈折率に対応して、波長選択素子12の選択波長、つまり、波長選択素子12によって反射される光W1の波長が異なる。
また、ペルチェ素子22は、所定の間隔をあけて表面12a上の領域A〜Fそれぞれに設けられている。なお、隣接するペルチェ素子22の間には断熱材を設けて、隣接する領域A〜F間で熱が伝わらないようにしても良い。
さらに、ペルチェ素子22は、温度センサ21により検出された領域A〜Fの温度に応じて、領域A〜Fによって選択される光の波長が互いに異なるように、波長選択素子12の領域A〜Fの状態を変化させる。
【0040】
温度調整部23が、領域A〜Fごとに、温度センサ21により検出された温度に基づいて、それぞれのペルチェ素子22に供給する電流を制御する。そして、領域A〜Fごとの温度を異ならせ、選択波長を異ならせている。このように、本実施形態では、各領域A〜Fの温度を個別に制御し、各領域A〜Fの温度を異ならせることにより、波長選択素子12によって反射される光W1の波長を領域ごとに異ならせることが可能となる。具体的には、高温で熱膨張が大きい領域ほど選択波長は、長波長側にシフトする。つまり、波長選択素子12の領域A〜Fによって反射される光W1の波長をそれぞれλ1,λ2,λ3,λ4,λ5,λ6とすると、発光素子11a〜11fの波長の長短に合わせて、λ1>λ4>λ5>λ3>λ2>λ6となるように、温度調整部23によりペルチェ素子22を制御し各領域A〜Fの温度を調整する。
【0041】
そして、このように、波長選択素子12によって反射される光W1の波長が、領域A〜Fごとに異なることにより、発光部11と波長選択素子12との間で反射を繰り返し、増幅された後、波長選択素子12から射出される光W2も、領域A〜Fごとに異なったものとなる。
【0042】
次に、本実施形態に係る光源装置10の具体例について説明する。
まず、発光素子11a〜11fは、赤色の半導体レーザであり、射出される光のピーク波長λ1,λ2,λ3,λ4,λ5,λ6は、それぞれ630nm,626nm,627nm,629nm,628nm,625nmとなっている。
そして、波長選択素子12の領域A,B,C,D,E,Fにおける選択波長λ1,λ2,λ3,λ4,λ5,λ6が、それぞれ630nm,626nm,627nm,629nm,628nm,625nm(選択波長の差が、最大で5nm)となるように温度調整部23によりペルチェ素子22を制御すると、波長選択素子12の領域A,B,C,D,E,Fから射出される光W2の波長も、それぞれ630nm,626nm,627nm,629nm,628nm,625nmとなる。
【0043】
温度調整部23の具体的な制御について、図2に示すフローチャートを用いて説明する。
ここで、波長選択素子12の領域Aは温度がT1のとき選択波長が630nmとなり、領域Bは温度がT2のとき選択波長が626nmとなり、波長選択素子12の領域Cは温度がT3のとき選択波長が627nmとなり、波長選択素子12の領域Dは温度がT4のとき選択波長が629nmとなり、波長選択素子12の領域Eは温度がT5のとき選択波長が628nmとなり、波長選択素子12の領域Fは温度がT6のとき選択波長が625nmとなるものとする。
まず、温度調整部23に、各領域A〜Fにおける波長分布を設定する(ステップS0)。ここで、領域Aで代表して説明すると、波長分布が決まると、波長と温度との関係から領域Aの温度がT1に設定され(ステップS1)、領域Aの温度がT1となるように温度調整部23によりペルチェ素子22を制御する(ステップS2)。そして、温度センサ21により領域Aの温度を測定し(ステップS3)、温度センサ21により測定された温度と、設定温度T1とが一致しているかを判断する(ステップS4)。温度センサ21により測定された温度と、設定温度T1とが一致していない場合(ステップS4「NO」)、すなわち、実際の領域Aの温度が設定温度T1より低い場合、温度調整部23の制御によりペルチェ素子22が領域Aを加熱し、実際の領域Aの温度が設定温度T1より高い場合、温度調整部23の制御によりペルチェ素子22が領域Aを冷却する。このような操作を繰り返すことにより、温度センサ21により測定された温度と、設定温度T1とが一致した場合(ステップS4「YES」)、ペルチェ素子22により領域Aの温度を変化させず、この温度を維持する(ステップS5)。このとき、温度センサ21において、常時、あるいは、断続的に領域Aの温度を測定し設定温度T1との比較を行っている。そして、温度センサ21において測定された領域Aの温度が設定温度T1から外れると、温度調整部23がペルチェ素子22の制御を行う。
また、領域B〜Fにおいても、温度調整部23により同様の制御が行われる。
【0044】
本実施形態に係る光源装置10では、ペルチェ素子22により各領域A〜Fの温度を互いに異ならせることにより、波長選択素子12から射出される光の帯域が、すべての領域A〜Fから同一の波長が射出する場合に比べて広がる。また、ペルチェ素子22は、温度センサ21により測定された温度に応じて、波長選択素子12の領域A〜Fの状態を変化させているため、領域A〜Fから射出される光の波長を確実に異ならせることができる。
このため、レーザ光同士のコヒーレンスが低減し、その結果、スペックルノイズを抑えた光源装置10を得ることが可能となる。
また、領域A〜Fごとに温度を変化させることができるため、波長選択素子12から射出される出力波長分布の自由度が高まる。したがって、発光素子11a〜11fから射出された光の波長と対応する波長選択素子12の各領域A〜Fの選択する光の波長とを揃えることが可能となる。これにより、発光素子11a〜11fが製造誤差等により、出力波長にばらつきがあっても、波長選択素子12から射出される光の利用効率を向上させることが可能となる。
つまり、本実施形態の光源装置10は、高い光利用効率を維持しつつ複数のレーザ光同士のコヒーレンスを低減させ、スペックルノイズを抑えることが可能となる。
【0045】
なお、製造誤差がなく、発光素子11a〜11fから射出される光のピーク波長が同じであっても良い。この構成では、若干光の利用効率は落ちるが、スペックルノイズを低減することが可能となる。
また、ペルチェ素子22に代えて発熱素子、圧電素子(歪み付与手段)を用いても良い。圧電素子は、電圧が印加されると変位し、この変位によって波長選択素子12に歪みを生じさせるものである。波長選択素子12は歪みが大きいほど、選択波長が短くなる。したがって、各領域A〜Fの歪みを検出する他の圧電素子(歪み検出手段)を備え、他の圧電素子により検出された歪みに応じて圧電素子により各領域A〜Fの歪みの量を調整することにより、各領域A〜Fから射出される光の波長を異ならせることが可能となる。なお、歪み付与手段としては、例えば、歪みゲージや磁歪素子を用いても良い。
また、上の例では、複数の発光素子11a〜11fに対して1つの波長選択素子12を設け、1つの基体を複数の領域に分けたが、波長選択素子を発光素子ごとに個々に設ける構成であっても良い。
さらに、複数の領域A〜Fごとに、すなわち、2つや3つの領域をまとめて1つのペルチェ素子22により温度を制御しても良い。この構成の場合も、複数の領域A〜Fによって選択される光の波長が互いに異なるように温度を付与すれば良い。
【0046】
[第1実施形態の変形例1]
図1に示す第1実施形態では、各領域A〜Fの温度を変化させるために、ペルチェ素子22を用いたが、ペルチェ素子22に代えて、図3に示すように、温度変化部(温度変化手段)35を用いた光源装置30であっても良い。
光源装置30に用いられる温度変化部(温度変化手段)35は、熱発生用レーザ光源32と、ミラー33と、熱吸収膜31と、第1実施形態と同様の温度センサ21とを備えている。
【0047】
熱吸収膜31は、ペルチェ素子22と同様に所定の間隔をあけて表面12a上の領域A〜Fそれぞれに設けられている。なお、各領域A〜Fの熱吸収膜31間に断熱材を設けて、隣接する領域A〜F間で熱が伝わらないようにしても良い。また、熱吸収膜31の膜厚は各領域A〜Fで同じである。
また、ミラー33は、熱発生用レーザ光源32から射出されたレーザ光を熱吸収膜31に向かって走査するものである。そして、ミラー33の傾き角度を制御することにより、どの領域A〜Fの熱吸収膜31に光を照射するかを制御し、ある傾き角度に保持する時間を決めることにより、熱吸収膜31への光の照射時間を制御する。
熱吸収膜31に照射されるレーザ光の時間を調整する。これにより、照射されるレーザ光の時間が長いほど熱吸収膜31の温度が上昇し、領域A〜Fの温度が上昇する。そして、領域A〜Fの温度がそれぞれ異なるように、熱吸収膜31に照射するレーザ光の時間を制御する。すなわち、本変形例においても、各領域A〜Fに設けられた温度センサ21により検出された温度に応じて、温度調整部23により熱発生用レーザ光源32の出力を調整する。
本変形例の光源装置30においても、第1実施形態の光源装置と同様にスペックルノイズを低減させることができるとともに、光の利用効率を向上させることが可能となる。
【0048】
なお、本変形例では、熱吸収膜31の膜厚を同じにしたが、熱吸収膜31の膜厚を不規則に代えておいても良い。すなわち、熱吸収膜31の膜厚が厚いほど熱の吸収量が多くなり高温になるため、本変形例では、ミラー33の走査速度(1つの熱吸収膜31への光の照射時間)を変えることなく、波長選択素子12の各領域A〜Fに温度分布を持たせることができる。つまり、領域A〜Fごとにレーザ光の照射時間を変えるのでなく、領域A〜Fまでミラー33を振る1走査ごとの走査速度は一定で良いため、ミラー33の制御が容易になる。
なお、熱吸収膜31を領域A〜Fごとに設けたが、波長選択素子12の表面12aの全面に設けても良い。
また、ミラー83としてはMEMSミラーを用いることも可能である。
【0049】
[第1実施形態の変形例2]
図1に示す第1実施形態では、各領域A〜Fが設定温度となった場合は、温度を常に維持(各領域A〜Fの選択波長は時間的に一定)したが、各領域A〜Fの温度を時間的に変化させても良い。
すなわち、図4のフローチャートに示すように、まず、温度調整部23に、各領域A〜Fの時間の経過に伴う温度変化パターンをタイムテーブル(波長分布設定)として設定する(ステップS0)。そして、第1実施形態と同様に各領域A〜Fの温度を調整し、温度センサ21により測定された温度と、設定温度T1とが一致した後、この温度を維持する(ステップS5)。その後、次の温度設定待ち(ステップS6)となり、再びステップS0に戻り、各領域A〜Fの時間における温度が設定される(ステップS0)。このとき、各領域A〜Fの温度は1つ前の設定温度と異なる温度が設定される。このように、時間的に各領域A〜Fの温度を変えることにより、領域A〜Fごとの熱膨張の度合いが変わり屈折率が変化し、選択波長が時間的に異なる。したがって、各領域A〜Fから射出される光の波長は時間的に変化する。
【0050】
本変形例において、領域A〜Fの温度を時間的に変化させることにより、領域A〜Fから射出される光のスペックルパターンが時間とともに複雑に変化する。その変化に伴い、視認されるスペックル(干渉による斑点模様)が移動するため、人間の眼の残像時間内でスペックルのパターンが積分平均化され、スペックルの発生を低減させることが可能となる。
【0051】
[第2実施形態]
次に、本発明に係る第2実施形態について、図5を参照して説明する。なお、以下に説明する各実施形態の図面において、上述した第1実施形態に係る光源装置10と構成を共通とする箇所には同一符号を付けて、説明を省略することにする。
本実施形態に係る光源装置40では、領域A〜Fから射出される光の強度を調整する光強度調整部45を備える点において第1実施形態と異なる。その他の構成においては第1実施形態と同様である。
【0052】
光強度調整部45は、図5に示すように、光強度センサ(光強度検出手段)41と、ミラー42と、発光素子制御部43とを備えている。なお、本実施形態において、第1実施形態と同様の温度調整部23を備えているが、図5においては、図を簡略にするため温度調整部23を省略して示している。
光強度センサ41は、波長選択素子12の射出端面12bの発光素子11a〜11fから射出された光の中心軸Oから外れた位置に設けられている。
ミラー42は、波長選択素子12の射出端面12b側の各領域A〜Fに対応してそれぞれ設けられており、軸Kを中心に回転可能となっている。そして、ミラー42は、軸Kの回転により、各領域A〜Fから射出された光をそれぞれ反射させ、射出端面12bに設けられた光強度センサ41に入射させる。
また、発光素子制御部43は、光強度センサ41により検出された光強度に基づいて、各発光素子11a〜11fから射出される光の出力を調整する。
【0053】
次に、光強度調整部45の作用について説明する。
発光素子11a〜11fから光が射出されると、ミラー42は、一定の時間ごとに軸Kを中心に光の中心軸Oを基準に左周りに略80°回転し、ミラー42において反射された光の強度は、光強度センサ41により検出される。そして、発光素子制御部43は、光強度センサ41により検出された光強度が所定の値より小さい場合は、その領域に光を射出する発光素子11a〜11fの光出力を上げ、所定の値より大きい場合は、その領域に光を射出する発光素子11a〜11fの光出力を下げる。このようにして、波長選択素子12の各領域A〜Fから射出される光の強度を均一にする。
【0054】
本実施形態に係る光源装置40では、波長選択素子12の各領域A〜Fから射出される光の強度を均一にすることができる。これにより、波長選択素子12の各領域A〜Fから射出される光の強度が不均一である場合に比べて、本実施形態のように光の強度が均一である方が、波長を異ならせたときのスペックル低減の効果が大きくなる。つまり、波長選択素子12から射出される光のコヒーレンスをより効果的に低下させることが可能となる。
【0055】
なお、本実施形態ではミラー42を設けて、波長選択素子12から射出される光の強度を測定したが、ミラー42を設けなくても良い。すなわち、図6に示すように、発光素子11a〜11f及び波長選択素子12の外側に設けられたキャップ46に嵌め込まれたガラス47を傾斜させ、波長選択素子12を通過した光の一部をこのガラス47で反射させ、光強度センサにより光強度を検出しても良い。この構成の場合、光強度センサは、キャップで反射した光を検出可能な位置に配置しておけば良い。
また、光強度センサ41を設ける位置は射出端面12bに限るものではない。
また、光強度センサ41により検出された光強度に基づいて、各発光素子11a〜11fから射出される光の出力を調整したが、波長選択素子12に設けられたペルチェ素子22にフィードバックし、波長選択素子12の各領域A〜Fの温度を調整し出力波長を変えることで出力強度を調整させても良い。この構成では、若干光利用効率は落ちるが、発光素子制御部43を設ける必要がないため、コストの低減を図ることが可能となる。
【0056】
[第3実施形態]
次に、本発明に係る第3実施形態について、図7を参照して説明する
本実施形態に係る光源装置50は、図7に示すように、発光部51と、発光部51から射出された光の波長を変換する波長変換素子53と、波長変換素子53により変換される波長を選択して反射させる波長選択素子52とを備えている。
なお、図7においては、図を簡略にするため波長選択素子52側の温度調整部23を省略して示している。
発光部51は、レーザ光を射出する6つの発光素子(半導体レーザ;LD)51a,51b,51c,51d,51e,51fを備えている。これらの発光素子51a〜51fは、いずれも支持部54に支持されている。発光素子51a〜51fから射出される光のピーク波長は、発光素子51a〜51fの製造誤差により、数nm程度異なっている。ここで、発光素子51a〜51fから射出される光の波長をλ01,λ02,λ03,λ04,λ05,λ06とすると、λ01>λ04>λ05>λ03>λ02>λ06である。なお、意図的に異なる波長の光を射出する発光素子を用いても良い。
【0057】
波長変換素子(第2高調波発生素子、SHG:Second Harmonic Generation)53は、入射光をほぼ半分の波長に変換する非線形光学素子である。
発光部51から射出され、波長選択素子52に向かう光W3は、波長変換素子を通過することによって、ほぼ半分の波長の光に変換される。波長変換素子53による波長変換効率は非線形の特性を有しており、例えば、波長変換素子53に入射するレーザ光の強度が強いほど、変換効率が向上する。ただし、波長変換素子53の変換効率は40〜50%程度である。つまり、発光部51から射出されたレーザ光のすべてが、所定波長のレーザ光に変換されるわけではない。
【0058】
波長変換素子53としては、板形状のものを用いている。波長変換素子53は、複数の発光素子51a〜51eに対応して5つの領域P,Q,R,S,T,Uに分かれている。
すなわち、発光素子51a,51b,51c,51d,51e,51fから射出された光が通過する領域を、それぞれ領域(光通過領域)P,Q,R,S,T,Uとする。
【0059】
また、波長変換素子53は、領域P〜Uごとに分極周期構造、つまり、分極が互いに反転したドメインの繰り返し構造を有している。この分極周期構造内を光が透過することにより、入射した光の波長を変換するようになっている。この波長変換素子53の領域P,Q,R,S,T,Uの各ドメインのレーザ光の中心軸O方向の幅(以下、「ピッチ」という)Λ1は、同一である。
このような分極周期構造は、まず、非線形強誘電体材料(例えばLiTaO3)からなる基板に、レーザ光の中心軸O方向に沿って電極が有る領域と無い領域とが交互に並んだストライプ状の電極パターンを形成する。次に、これら電極パターンにパルス状の電圧を印加することにより、図7に示したような分極周期構造が得られる。このようにして分極周期構造を形成した後、通常電極パターンは除去されるが、そのまま残しておいても良い。
このように、波長変換素子53は、領域P〜Uにおいて、それぞれ周期(ピッチ)が同一である分極反転構造を有している。
【0060】
制御部60は、図7に示すように、温度センサ(状態検出手段)61、ペルチェ素子(状態変化手段)62、温度調整部63を備えている。
温度センサ61及びペルチェ素子62は、波長変換素子53の各領域A〜Fの表面53aにそれぞれ接着されている。また、各領域P〜Uに設けられた温度センサ61及びペルチェ素子62は温度調整部63に接続されている。
温度センサ61は、波長変換素子53の各領域P〜Uの温度を測定するセンサである。
また、ペルチェ素子62は、各領域P〜Uの表面53aに設けられているため、波長変換素子53は、各領域P〜Uの表面53aから裏面(図示略)に向かって加熱または冷却される。波長変換素子53も波長選択素子52と同様に、加熱により膨張し冷却により収縮してドメインピッチが変化する。このドメインピッチに対応して、波長変換素子53の変換波長、つまり、波長変換素子53によって変換される光W1の波長が異なる。
また、ペルチェ素子62は、温度センサ61により検出された領域P〜Uの温度に応じて、領域P〜Uによって変換される光の波長が互いに異なるように、波長変換素子53の領域P〜Uの状態を変化させる
【0061】
次に、青色光源装置の場合の波長を例に挙げて説明すると、発光素子51a〜51fからそれぞれ射出される光のピーク波長は、λ01=920nm,λ02=914nm,λ03=912nm,λ04=916nm,λ05=918nm,λ06=910nmである。ただし、ここで挙げた波長は単なる一例に過ぎない。
そして、領域Pでは、ペルチェ素子62により920nmの波長の光を半波長に変換する温度T2aに温度が設定される。また、ペルチェ素子62により、領域Qでは914nmの波長の光を半波長に変換する温度T2bに温度が設定され、領域Rでは912nmの波長の光を半波長に変換する温度T2cに温度が設定され、領域Sでは916nmの波長の光を半波長に変換する温度T2dに温度が設定され、領域Tでは918nmの波長の光を半波長に変換する温度T2eに温度が設定され、領域Uでは910nmの波長の光を半波長に変換する温度T2fに温度が設定される。そして、温度調整部63により、各領域P〜Uが温度T2a〜T2fとなるように、ペルチェ素子62を制御する。これにより、波長変換素子53の各領域P〜Uから射出される光の波長は、λ1=460nm,λ2=457nm,λ3=456nm,λ4=458nm,λ5=459nm,λ6=455nmとなる。
【0062】
波長選択素子52は、第1実施形態と同様に、温度センサ21、ペルチェ素子22、温度調整部23とを備えている。
また、波長選択素子52は、波長変換素子53によって所定波長λ1〜λ6に変換される波長(つまり、波長λ01〜λ06)のレーザ光W1(つまり、波長変換素子53によって変換されず透過した分の光)のみを選択して発光部51に向かって反射させ、それ以外のレーザ光を透過させるものである。ペルチェ素子22は、領域P〜Uにおいて変換される光の波長λ01〜λ06と、波長選択素子52の領域A〜Eにおいて選択される光の波長とが、それぞれ同じ値となるように制御される。
つまり、青色光源装置の場合、温度調整部23は、領域A〜Fにおいて反射される光の波長が、それぞれ異なるようにペルチェ素子22により各領域A〜Fの温度を制御する。
【0063】
波長選択素子52によって反射された光W1(図7に示す二点鎖線)は、再び波長変換素子53を通過し、発光素子51a〜51eに戻る。発光素子51a〜51eへ戻された光は、一部そこで吸収されて熱となってしまうが、大部分は発光のエネルギーとして用いられたり、発光素子51a〜51e内で反射されて再度発光素子51a〜51eから射出されたりすることで、有効に利用される。
【0064】
一方、波長変換素子53によって波長選択素子52を通過する波長λ1〜λ6に変換された光W2(図7に示す一点鎖線)は、波長選択素子52を透過する。
以上説明したように、発光部51から射出された光W3は、発光部51と波長選択素子52との間で反射を繰り返し、所定の波長に変換された変換光W2(図7に示す一点鎖線)が、波長選択素子52から射出されるようになっている。つまり、波長選択素子52は、第1実施形態の波長選択素子12とは若干作用が異なるものの、発光素子51a〜51eの共振器ミラーとしての機能を有している。
【0065】
本実施形態に係る光源装置50では、ペルチェ素子62により各領域P〜Uのドメインピッチを変えることにより、異なる波長λ1〜λ6への変換を可能とした波長変換素子53と、領域A〜Fごとに選択波長が異なる波長選択素子52とを組み合わせることにより、波長選択素子52から射出される光の波長を互いに異ならせることができる。したがって、波長選択素子52から射出される光の帯域が、すべての領域から同一の波長が射出する場合に比べて広がるため、レーザ光同士のコヒーレンスが低減する。その結果、スペックルノイズを抑えた光源装置50を得ることが可能となる。
また、領域P〜Tごとにペルチェ素子62が設けられているため、波長変換素子53から射出される出力波長分布の自由度が高まる。したがって、発光素子51a〜51eから射出された光の波長と対応する波長変換素子53の各領域P〜Uの変換する光の波長とを揃えることが可能となる。これにより、発光素子51a〜51eが製造誤差等により、出力波長にばらつきがあっても、波長変換素子53から射出される光の利用効率を向上させることが可能となる。
さらに、領域P〜Uごとにペルチェ素子62が設けられているため、領域P〜Tごとの変換波長の差を2nmに限らず大きくすることや小さくすることができるため、より効率的にスペックルノイズを低減させることが可能となる。
【0066】
なお、ペルチェ素子62に代えて発熱素子、圧電素子(歪み付与手段)を用いても良い。圧電素子は、電圧が印加されると変位し、この変位によって波長変換素子53に歪みを生じさせるものである。波長変換素子53は歪みが大きいほど、選択波長が短くなるため、各領域P〜Uの歪みの量を調整することにより、各領域P〜Uから射出される光の波長を異ならせることが可能となる。なお、歪み付与手段としては、例えば、歪みゲージや磁歪素子を用いても良い。
また、第1実施形態の変形例1の図3で示した温度変化部35を用いて、各領域P〜Uから射出される光の波長を異ならせても良い。
また、第2実施形態の図5で示した光強度調整部45を備えた、図8に示す光源装置65であっても良い。この構成の場合も、第2実施形態と同様に、波長選択素子52の各領域A〜Fから射出される光の強度を均一にすることができるため、波長選択素子52から射出される光のコヒーレンスをより効果的に低下させることが可能となる。
【0067】
[第3実施形態の変形例]
図7に示す第3実施形態では、各領域P〜Uが設定温度となった場合は、温度を常に維持(各領域P〜Uの選択波長は時間的に一定)したが、各領域P〜Uの温度を時間的に変化させた光源装置であっても良い。
さらに、本変形例の光源装置では、波長変換素子53の各領域P〜Uの温度が、対応する波長選択素子52の各領域A〜Fの温度と同期するように制御を行う。なお、全体構成は第3実施形態の光源装置50と同様である。
本変形例の光源装置は、図9のフローチャートに示すように、温度調整部23に、各領域A〜Fの時間における温度がタイムテーブル(波長分布設定)、温度調整部63に、各領域P〜Uの時間における温度が波長分布を設定する(ステップS0)。
ここで、各領域P〜Uのフローチャートは同じであるため、図9の左側に示す発光素子51aに対応する領域P及び領域Aの制御について説明する。
まず、ある時間における波長選択素子52から射出される波長が設定され(ステップS1)、その波長の光を射出する波長選択素子52の温度T1aが設定される(ステップS2a)。そして、第1実施形態と同様に各領域Aの温度をペルチェ素子22により制御し(ステップS3a)、温度センサ21により各領域Aの温度を測定する(ステップS4a)。そして、温度センサ21により測定された温度と、設定温度T1aとを比較し(ステップS5a)、一致した後、この温度を維持する(ステップS6)。
また、波長選択素子52のステップS1a〜S5aのフローが行われるのと同時に、波長変換素子53においても同様に、設定された波長の光を変換する波長変換素子53の温度T2aが設定される(ステップS2b)。そして、ペルチェ素子62により各領域Pの温度を制御し(ステップS3b)、温度センサ61により各領域Pの温度を測定する(ステップS4b)。その後、温度センサ61により測定された温度と、設定温度T2aとを比較し(ステップS5b)、一致した後、この温度を維持する(ステップS6)。
【0068】
その後、次の温度設定待ち(ステップS7)となり、再びステップS0に戻り、各領域A及び領域Pの時間における温度が設定される(ステップS0)。このとき、各領域Aの温度は1つ前の設定温度と異なる温度が設定され、各領域Pの温度も1つ前の設定温度と異なる温度が設定される。
このとき、波長選択素子52の温度と、波長変換素子53の温度とが同期して変化するように、波長選択素子52のペルチェ素子22により各領域A〜Fの温度制御を行い、波長変換素子53のペルチェ素子62により各領域P〜Uの温度制御を行う。
すなわち、例えば、波長変換素子53の領域Pを918nmの波長の光を半波長に変換させる温度T2aに設定した場合、波長選択素子52の領域Aを918nmの波長の光を反射させる温度T1aに設定する。このように、波長選択素子52の温度と、波長変換素子53の温度とを同期させて変化させることにより、波長選択素子52における光の利用効率を向上させることが可能となる。
【0069】
本変形例において、波長選択素子52の領域A〜F及び波長変換素子53の領域P〜Uの温度を時間的に変化させることにより、領域A〜Fから射出される光のスペックルパターンが複雑に変化する。その変化に伴い、視認されるスペックル(干渉による斑点模様)が移動するため、人間の眼の残像時間内でスペックルのパターンが積分平均化され、スペックルの発生を低減させることが可能となる。
さらには、波長選択素子52の温度と波長変換素子53の温度とが同期して変化するため、波長変換素子53の各領域P〜Uにおいて変換される光の波長が、対応する波長選択素子52の各領域A〜Uにおいて選択される光の波長と同一である。これにより、波長変換素子53の各領域P〜Uにおいて変換されたそれぞれの光は、対応する波長選択素子52の各領域P〜Uを透過する際、効果的に取り出される。
なお、波長選択素子52及び波長変換素子53のうち少なくとも一方の領域の温度を時間的に変化させても良い。
また、本変形例の光源装置において、図5に示すように、第2実施形態で示した光強度調整部45を備えていても良い。本変形例に光強度調整部45を設けることにより、波長選択素子12から射出される光のコヒーレンスを低下させつつ、人間の眼の残像時間内でスペックルのパターンが積分平均化される。したがって、スペックルノイズをより効果的に低減することが可能となる。
【0070】
[第4実施形態]
次に、本発明に係る第4実施形態について、図10及び図11を参照して説明する
本実施形態に係る光源装置80は、ペルチェ素子62に代えて波長変換素子81の領域P〜Uを含む表面81aに、電極(状態変化手段:電圧印加手段)85が設けられている点において第3実施形態と異なる。
本実施形態の波長変換素子81では、表面81a上の領域P〜Uそれぞれに、隣接する電極と所定の間隔を保つように、シート状の電極85がそれぞれ設けられている。
制御部90は、図10に示すように、電圧測定素子(状態検出手段)91、電源(状態変化手段)V、電圧調整部93を備えている。
電圧測定素子91及び電極85は、波長変換素子81の各領域P〜Uの表面81aにそれぞれ接着されている。また、各領域P〜Uに設けられた電圧測定素子91は電圧調整部93に接続され、電極85は電源Vを介して電圧調整部93に接続されている。
電圧測定素子91は、波長変換素子81の各領域P〜Uの温度を測定する素子である。
また、波長変換素子81は、電圧が印加されると屈折率が変化する。この屈折率に対応して、波長変換素子81の変換波長、つまり、波長変換素子81によって変換される光W1の波長が異なる。
【0071】
また、電極85には、電源Vにより、それぞれの電極85に異なった電圧が印加されるようになっている。そして、印加される電圧に従って、各領域P〜Tは異なった温度となる。この温度の違いによって、波長変換素子81の領域P〜Uにおいて、それぞれ温度が変化するとともに、熱膨張によるドメインピッチの変化が生じる。そして、電極85には、それぞれ異なる電圧が印加されるように制御されている。
なお、図10では表面81a上に形成された電極85のみが示されているが、表面81aとは反対側の表面上にも電極85とそれぞれ対になる6つの電極がそれぞれ形成されており、この対になった電極によって領域P〜Uを挟み込むことにより、領域P〜Uにそれぞれ所定の電圧を印加するような構成となっている。
【0072】
また、第3実施形態の変形例と同様に、各領域P〜Uの温度を時間的に変化させ、波長変換素子の各領域P〜Uの屈折率が、対応する波長選択素子52の各領域A〜Fの温度と同期するように制御を行う。
すなわち、図11のフローチャートに示すように、まず、温度調整部23に、各領域A〜Fの時間における温度がタイムテーブル(波長分布設定)、温度調整部63に、各領域P〜Uの時間における波長分布を設定する(ステップS0)。
ここで、波長選択素子52のフローチャートは図9に示すフローと同じであるため、波長変換素子53の制御について説明する。
まず、ある時間における波長変換素子53から射出される波長が設定され(ステップS1)、その波長の光を射出する波長変換素子53の電圧値V2aが設定される(ステップS2b)。そして、電源Vにより各領域P〜Uに印加される電圧値を制御し(ステップS3b)、電圧測定素子91により各領域P〜Uの電圧を測定する(ステップS4b)。その後、電圧測定素子91により測定された電圧値と、設定電圧値V2aとを比較し(ステップS5b)が、一致した後、この電圧値を維持する(ステップS6)。
【0073】
その後、波長選択素子52は次の温度設定待ち、波長変換素子53は次の電圧設定待ち(ステップS7)となり、再びステップS0に戻り、各領域A〜Fの時間における温度及び各領域P〜Uの時間における電圧が設定される(ステップS0)。このとき、各領域A〜Fの温度は1つ前の設定温度と異なる温度が設定され、各領域P〜Uの電圧値は1つ前の設定電圧値と異なる電圧値が設定される。
このとき、波長選択素子52の温度と、波長変換素子53の電圧値とが同期して変化するように、波長選択素子52のペルチェ素子22により各領域A〜Fの温度制御を行い、波長変換素子81の電圧測定素子91により各領域P〜Uの電圧制御を行う。
すなわち、波長変換素子81の領域Pを918nmの波長の光を半波長に変換させる電圧値V2aに設定した場合、波長選択素子52の領域Aにおいて918nmの波長の光を反射させる温度T1aに設定する。このように、波長選択素子52の温度と、波長変換素子81の電圧値とを同期させて変化させることにより、波長選択素子52における光の利用効率を向上させることが可能となる。
【0074】
本実施形態の光源装置80においても、第3実施形態と同様の効果を得ることができる。また、光源装置80は、各領域P〜Uに印加する電圧を変えることで、各領域P〜Uから射出される光の波長を異ならせているため、波長変換素子81の制御が容易となる。
【0075】
[第5実施形態]
次に、本発明に係る第5実施形態について、図12を参照して説明する。
本実施形態では、上記第1実施形態の光源装置10を備える画像表示装置100について説明する。なお、図12中においては、簡略化のため画像表示装置100を構成する筐体は省略している。
【0076】
画像表示装置100において、赤色光を射出する赤色レーザ光源(光源装置)101Rとしては、上記第1実施形態の光源装置10を用い、緑色光、青色光を射出する緑色レーザ光源(光源装置)101G、青色レーザ光源(光源装置)101Bとしては、上記第3実施形態の光源装置50を用いる。
また、画像表示装置100は、レーザ光源101R,101G,101Bから射出されたレーザ光をそれぞれ変調する液晶ライトバルブ(光変調装置)104R,104G,104Bと、液晶ライトバルブ104R,104G,104Bから射出された光を合成して投写レンズ107に導くクロスダイクロイックプリズム(色光合成手段)106と、液晶ライトバルブ104R,104G,104Bによって形成された像を拡大してスクリーン110に投射する投射レンズ(投射装置)107とを備えている。
【0077】
さらに、画像表示装置100は、レーザ光源101R,101G,101Bから射出されたレーザ光の照度分布を均一化させるため、各レーザ光源101R,101G,101Bよりも光路下流側に、均一化光学系102R,102G,102Bを設けており、これらによって照度分布が均一化された光によって、液晶ライトバルブ104R,104G,104Bを照明している。例えば、均一化光学系102R,102G、102Bは、例えば、ホログラム102a及びフィールドレンズ103bによって構成される。
【0078】
各液晶ライトバルブ104R,104G,104Bによって変調された3つの色光は、クロスダイクロイックプリズム106に入射する。このプリズムは4つの直角プリズムを貼り合わせて形成され、その内面に赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが十字状に配置されている。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成され、カラー画像を表す光が形成される。そして、合成された光は投写光学系である投射レンズ107によりスクリーン110上に投写され、拡大された画像が表示される。
【0079】
上述した本実施形態の画像表示装置100は、赤色レーザ光源101R,緑色レーザ光源101G,青色レーザ光源101Bより射出される光は、コヒーレンスが低減された光となっているので、投射レンズ107によって投射される光は、スペックルノイズを抑えたものとなる。したがって、スクリーン110に良好な画像を表示することができる。
【0080】
なお、本実施形態の画像表示装置において、緑色及び青色のレーザ光源101G、101Bについては、第3実施形態の光源装置50を用いたものを説明したが、他の実施形態の光源装置を用いることも可能である。このとき、光源装置101R,101G,101Bのそれぞれに異なる実施形態の光源装置を採用することも可能であるし、同じ実施形態の光源装置を採用することも可能である。
【0081】
また、光変調装置として透過型の液晶ライトバルブを用いたが、液晶以外のライトバルブを用いても良いし、反射型のライトバルブを用いても良い。このようなライトバルブとしては、例えば、反射型の液晶ライトバルブや、デジタルマイクロミラーデバイス(Digital Micromirror Device)が挙げられる。投射光学系の構成は、使用されるライトバルブの種類によって適宜変更される。
また、第1〜第4実施形態(変形例を含む)の光源装置は、走査型の画像表示装置にも適用される。このような画像表示装置の例を図13に示す。図13に示した画像表示装置200は、第1実施形態の光源装置10と、光源装置10から射出された光をスクリーン210に向かって走査するMEMSミラー(走査手段)202と、光源装置10から射出された光をMEMSミラー202に集光させる集光レンズ203とを備えている。光源装置10から射出された光は、MEMSミラーを動かすことによって、スクリーン210上を横方向、縦方向に走査するように導かれる。カラーの画像を表示する場合は、発光部11を構成する複数の発光素子を、赤、緑、青のピーク波長を持つ発光素子の組み合わせによって構成すれば良い。
【0082】
[第6実施形態]
次に、第3実施形態に係る光源装置50を応用したモニタ装置300の構成例について説明する。図14は、モニタ装置の概略を示す模式図である。モニタ装置300は、装置本体310と、光伝送部320とを備える。装置本体310は、前述した第1実施形態のレーザ光源装置10を備える。
【0083】
光伝送部320は、光を送る側と受ける側の2本のライトガイド321,322を備える。各ライトガイド321,322は、多数本の光ファイバを束ねたもので、レーザ光を遠方に送ることができる。光を送る側のライトガイド321の入射側にはレーザ光源装置10が配設され、その出射側には拡散板323が配設されている。レーザ光源装置10から出射したレーザ光は、ライトガイド321を伝って光伝送部320の先端に設けられた拡散板323に送られ、拡散板323により拡散されて被写体を照射する。
【0084】
光伝送部320の先端には、結像レンズ324も設けられており、被写体からの反射光を結像レンズ324で受けることができる。その受けた反射光は、受け側のライトガイド322を伝って、装置本体310内に設けられた撮像手段としてのカメラ311に送られる。この結果、レーザ光源装置10により出射したレーザ光により被写体を照射したことで得られる反射光に基づく画像をカメラ311で撮像することができる。
【0085】
以上のように構成されたモニタ装置300によれば、光源装置50は、スペックルノイズが抑えられた光を射出するため、カメラ311により被写体を鮮明に撮像することが可能となる。
なお、本実施形態のモニタ装置として、第3実施形態の光源装置50を用いたものを説明したが、他の実施形態(変形例を含む)の光源装置を用いることも可能である。
【0086】
なお、本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、色光合成手段として、クロスダイクロイックプリズムを用いたが、これに限るものではない。色光合成手段としては、例えば、ダイクロイックミラーをクロス配置とし色光を合成するもの、ダイクロイックミラーを平行に配置し色光を合成するものを用いることができる。
【符号の説明】
【0087】
10,30,40,50,65,80…光源装置、11a〜11f、51a〜51f…発光素子、12,52…波長選択素子、21…温度センサ(状態検出部)、22…ペルチェ素子(状態変化手段)、41…光強度センサ(光強度検出手段)、53,81…波長変換素子、61…温度センサ(状態検出手段)、62…ペルチェ素子(状態変化手段)、100,200…画像表示装置、300…モニタ装置、311…カメラ(撮像手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を発する複数の発光素子と、
該複数の発光素子から射出された光に対してそれぞれ選択が行われる複数の光選択領域を有し、前記複数の発光素子から射出された光を選択的に反射させる波長選択素子と、
該波長選択素子の複数の光選択領域の状態を検出する状態検出手段と、
該状態検出手段により検出された前記複数の光選択領域の状態に応じて、前記複数の光選択領域によって選択される光の波長が互いに異なるように、前記波長選択素子の光選択領域の状態を変化させる状態変化手段とを備えることを特徴とする光源装置。
【請求項2】
前記状態検出手段及び前記状態変化手段が前記波長選択素子の光選択領域ごとにそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記状態変化手段により前記複数の光選択領域の状態を時間的に変化させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記複数の光選択領域から射出される光の強度をそれぞれ検出する光強度検出手段を備え、
該光強度検出手段により検出された光の強度に基づいて、前記複数の発光素子から射出される光の強度をそれぞれ調整することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項5】
前記状態検出手段が、前記波長選択素子の光選択領域の温度を検出する温度検出手段であり、
前記状態変化手段が、前記温度検出手段により検出された温度に応じて、前記波長選択素子の光選択領域の温度を互いに異ならせる温度変化手段であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項6】
前記状態検出手段が、前記波長選択素子の光選択領域の歪みの大きさを検出する歪み検出手段であり、
前記状態変化手段が、前記歪み検出手段により検出された歪みの大きさに応じて、前記波長選択素子の光選択領域の歪みの大きさを互いに異ならせる歪み付与手段であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項7】
光を発する複数の発光素子と、
該複数の発光素子から射出された光がそれぞれ通過する複数の光通過領域を有し、前記複数の発光素子から射出された光のうち、少なくとも一部の波長をそれぞれ所定の波長に変換する波長変換素子と、
該波長変換素子の複数の光通過領域から射出された光がそれぞれ選択される複数の光選択領域を有し、前記波長変換素子から射出される光を前記発光素子に向けて選択的に反射させる波長選択素子と、
前記波長変換素子の複数の光通過領域の状態を検出する変換側状態検出手段と、
該変換側状態検出手段により検出された前記複数の光通過領域の状態に応じて、前記複数の光通過領域によって変換される光の波長が互いに異なるように、前記波長変換素子の光通過領域の状態を変化させる変換側状態変化手段と、
前記波長選択素子の複数の光選択領域の状態を検出する選択側状態検出手段と、
該選択側状態検出手段により検出された前記複数の光選択領域の状態に応じて、前記複数の光選択領域によって選択される光の波長が互いに異なるように、前記波長選択素子の光選択領域の状態を変化させる選択側状態変化手段とを備えることを特徴とする光源装置。
【請求項8】
前記変換側状態検出手段及び前記変換側状態変化手段が前記波長変換素子の光通過領域ごとにそれぞれ設けられ、
前記選択側状態検出手段及び前記選択側状態変化手段が前記波長選択素子の光選択領域ごとにそれぞれ設けられ、
前記変換側状態変化手段及び前記選択側状態変化手段により、前記波長変換素子の各光通過領域の変換波長と前記波長選択素子の各光選択領域の選択波長とが略一致して変化するように、それぞれの領域の状態を変化させることを特徴とする請求項7に記載の光源装置。
【請求項9】
前記複数の光通過領域の状態及び前記複数の光選択領域の状態のうち少なくとも一方の状態を時間的に変化させることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の光源装置。
【請求項10】
前記複数の光選択領域から射出される光の強度をそれぞれ検出する光強度検出手段を備え、
該光強度検出手段により検出された光の強度に基づいて、前記複数の発光素子から射出される光の強度をそれぞれ調整することを特徴とする請求項7から請求項9のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項11】
前記波長変換素子は、前記複数の発光素子から射出された光の中心軸に沿って、分極が互いに反転したドメインの繰り返し構造を有しており、
前記変換側状態検出手段が、前記波長変換素子の光通過領域の電圧を検出する電圧検出手段であり、
前記変換側状態変化手段が、前記電圧検出手段により検出された電圧に応じて、前記波長変換素子の光通過領域に印加する電圧を互いに異ならせる電圧印加手段であることを特徴とする請求項7から請求項10のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項12】
前記選択側状態検出手段が、前記波長選択素子の光選択領域の温度を検出する温度検出手段であり、
前記選択側状態変化手段が、前記温度検出手段により検出された温度に応じて、前記波長選択素子の光選択領域の温度を互いに異ならせる温度変化手段であることを特徴とする請求項7から請求項11のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項13】
前記選択側状態検出手段が、前記波長選択素子の光選択領域の歪みの大きさを検出する歪み検出手段であり、
前記選択側状態変化手段が、前記歪み検出手段により検出された歪みの大きさに応じて、前記波長選択素子の光選択領域の歪みの大きさを互いに異ならせる歪み付与手段であることを特徴とする請求項7から請求項11のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項14】
請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の光源装置と、
該光源装置から射出された光を画像信号に応じて変調する光変調装置と、
該光変調装置により形成された画像を投射する投射装置とを備えることを特徴とする画像表示装置。
【請求項15】
請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の光源装置と、
該光源装置から射出された光を被投射面上で走査する走査手段とを備えることを特徴とする画像表示装置。
【請求項16】
請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の光源装置と、
該光源装置により照射された被写体を撮像する撮像手段とを備えることを特徴とするモニタ装置。
【請求項1】
光を発する複数の発光素子と、
該複数の発光素子から射出された光に対してそれぞれ選択が行われる複数の光選択領域を有し、前記複数の発光素子から射出された光を選択的に反射させる波長選択素子と、
該波長選択素子の複数の光選択領域の状態を検出する状態検出手段と、
該状態検出手段により検出された前記複数の光選択領域の状態に応じて、前記複数の光選択領域によって選択される光の波長が互いに異なるように、前記波長選択素子の光選択領域の状態を変化させる状態変化手段とを備えることを特徴とする光源装置。
【請求項2】
前記状態検出手段及び前記状態変化手段が前記波長選択素子の光選択領域ごとにそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
【請求項3】
前記状態変化手段により前記複数の光選択領域の状態を時間的に変化させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記複数の光選択領域から射出される光の強度をそれぞれ検出する光強度検出手段を備え、
該光強度検出手段により検出された光の強度に基づいて、前記複数の発光素子から射出される光の強度をそれぞれ調整することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項5】
前記状態検出手段が、前記波長選択素子の光選択領域の温度を検出する温度検出手段であり、
前記状態変化手段が、前記温度検出手段により検出された温度に応じて、前記波長選択素子の光選択領域の温度を互いに異ならせる温度変化手段であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項6】
前記状態検出手段が、前記波長選択素子の光選択領域の歪みの大きさを検出する歪み検出手段であり、
前記状態変化手段が、前記歪み検出手段により検出された歪みの大きさに応じて、前記波長選択素子の光選択領域の歪みの大きさを互いに異ならせる歪み付与手段であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項7】
光を発する複数の発光素子と、
該複数の発光素子から射出された光がそれぞれ通過する複数の光通過領域を有し、前記複数の発光素子から射出された光のうち、少なくとも一部の波長をそれぞれ所定の波長に変換する波長変換素子と、
該波長変換素子の複数の光通過領域から射出された光がそれぞれ選択される複数の光選択領域を有し、前記波長変換素子から射出される光を前記発光素子に向けて選択的に反射させる波長選択素子と、
前記波長変換素子の複数の光通過領域の状態を検出する変換側状態検出手段と、
該変換側状態検出手段により検出された前記複数の光通過領域の状態に応じて、前記複数の光通過領域によって変換される光の波長が互いに異なるように、前記波長変換素子の光通過領域の状態を変化させる変換側状態変化手段と、
前記波長選択素子の複数の光選択領域の状態を検出する選択側状態検出手段と、
該選択側状態検出手段により検出された前記複数の光選択領域の状態に応じて、前記複数の光選択領域によって選択される光の波長が互いに異なるように、前記波長選択素子の光選択領域の状態を変化させる選択側状態変化手段とを備えることを特徴とする光源装置。
【請求項8】
前記変換側状態検出手段及び前記変換側状態変化手段が前記波長変換素子の光通過領域ごとにそれぞれ設けられ、
前記選択側状態検出手段及び前記選択側状態変化手段が前記波長選択素子の光選択領域ごとにそれぞれ設けられ、
前記変換側状態変化手段及び前記選択側状態変化手段により、前記波長変換素子の各光通過領域の変換波長と前記波長選択素子の各光選択領域の選択波長とが略一致して変化するように、それぞれの領域の状態を変化させることを特徴とする請求項7に記載の光源装置。
【請求項9】
前記複数の光通過領域の状態及び前記複数の光選択領域の状態のうち少なくとも一方の状態を時間的に変化させることを特徴とする請求項7または請求項8に記載の光源装置。
【請求項10】
前記複数の光選択領域から射出される光の強度をそれぞれ検出する光強度検出手段を備え、
該光強度検出手段により検出された光の強度に基づいて、前記複数の発光素子から射出される光の強度をそれぞれ調整することを特徴とする請求項7から請求項9のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項11】
前記波長変換素子は、前記複数の発光素子から射出された光の中心軸に沿って、分極が互いに反転したドメインの繰り返し構造を有しており、
前記変換側状態検出手段が、前記波長変換素子の光通過領域の電圧を検出する電圧検出手段であり、
前記変換側状態変化手段が、前記電圧検出手段により検出された電圧に応じて、前記波長変換素子の光通過領域に印加する電圧を互いに異ならせる電圧印加手段であることを特徴とする請求項7から請求項10のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項12】
前記選択側状態検出手段が、前記波長選択素子の光選択領域の温度を検出する温度検出手段であり、
前記選択側状態変化手段が、前記温度検出手段により検出された温度に応じて、前記波長選択素子の光選択領域の温度を互いに異ならせる温度変化手段であることを特徴とする請求項7から請求項11のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項13】
前記選択側状態検出手段が、前記波長選択素子の光選択領域の歪みの大きさを検出する歪み検出手段であり、
前記選択側状態変化手段が、前記歪み検出手段により検出された歪みの大きさに応じて、前記波長選択素子の光選択領域の歪みの大きさを互いに異ならせる歪み付与手段であることを特徴とする請求項7から請求項11のいずれか1項に記載の光源装置。
【請求項14】
請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の光源装置と、
該光源装置から射出された光を画像信号に応じて変調する光変調装置と、
該光変調装置により形成された画像を投射する投射装置とを備えることを特徴とする画像表示装置。
【請求項15】
請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の光源装置と、
該光源装置から射出された光を被投射面上で走査する走査手段とを備えることを特徴とする画像表示装置。
【請求項16】
請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の光源装置と、
該光源装置により照射された被写体を撮像する撮像手段とを備えることを特徴とするモニタ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−44189(P2012−44189A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−193224(P2011−193224)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【分割の表示】特願2007−183345(P2007−183345)の分割
【原出願日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【分割の表示】特願2007−183345(P2007−183345)の分割
【原出願日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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