説明

光照射装置

【課題】 ランプを過冷却にすることなく、集光鏡に対して十分な冷却風を供給できる構造を実現すること
【解決手段】 ランプと、このランプからの光を反射する曲面の反射面を有する集光鏡と、この集光鏡を上向きに支持する集光鏡支持機構と、ランプと集光鏡を冷却する冷却風を取り入れる冷却風取入れ口ランプと集光鏡を冷却した後の冷却風を排気する冷却風排気口とを備えた光照射装置において、集光鏡支持機構は、集光鏡を裏面側から集光鏡の曲面に対して法線方向に弾性体により持上げる支持棒を設けた複数個の支持体と、支持体を取り付けられるフレームと、集光鏡の光出射口の周縁が押付けられる集光鏡押さえ板を備える。集光鏡の光出射口の周縁は、集光鏡押さえ板の開口とこの開口の周辺に形成した通風孔との間に押付ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子やプリント基板、液晶基板などの製造用の露光装置に用いる光照射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子やプリント基板、液晶表示基板の露光装置に用いられる光源として、ショートアーク型の放電ランプ、例えば数kWから数10kWの大型の超高圧水銀ランプが用いられてきた。
図6に、上記露光装置の光照射部として使用される、従来の光照射装置の構造の一例を示す。
光照射装置は、ショートアーク型の放電ランプ1、楕円集光鏡2、第1の平面鏡13、インテグレータレンズ14、シャッタ機構15、第2平面鏡16、コリメータレンズ17などを備える。
ランプ1は、発光点が楕円集光鏡2の第一焦点に来るように配置される。ランプ1からの紫外線を含む光は、集光鏡2の内側に形成されている反射面により反射されて集光され、同図上側の光出射口2bから出射する。
【0003】
光出射口2bから出射した光は、第1の平面鏡13により反射され、集光鏡の第二焦点に配置されたインテグレータレンズ14に入射する。インテグレータレンズ14はフライアイレンズとも言い、光照射面18での照度分布を均一にするはたらきをする。
インテグレータレンズ14から出射した光は、シャッタ機構15を介して第二の平面鏡16により折り返され、光を平行光にするコリメータレンズ17に入射し、平行光となって光照射装置から出射し、光照射面18に照射される。なお、コリメータレンズ17の代わりにコリメータミラーを使用しても良い。
【0004】
図7に、従来の光照射装置のランプと集光鏡を備える光源部の拡大図を示す。また図8は、従来の光源部の集光鏡と集光鏡の支持板との関係を示す斜視図である。これらの図を用いて、ランプと集光鏡の支持構造について説明する。
集光鏡2は、曲面の反射面を有し、この反射面で反射した光を出射する光出射口2bと、光出射口2bとは反対側に貫通孔2aとが形成されている。
また、集光鏡2は、光出射口2bが上向きになるように集光鏡支持板3の上に置かれ、貫通孔2aの周辺部が集光鏡支持板3の表面に接して支持される。なお、集光鏡支持板3にも集光鏡の貫通孔2aとほぼ同じ径の貫通孔3cが形成されている。
【0005】
集光鏡支持板3は、フレーム6に対してばね3aを介して取り付けられている。このばね3aにより、集光鏡支持板3には、集光鏡2を同図上方向に持ち上げようとする力が働く。このことにより、集光鏡2は光出射口2bの周縁が、集光鏡押さえ板7に押し付けられる。なお、集光鏡押さえ板7には、光出射口2bから出射する光が通過する開口7bが形成されている。
集光鏡内に取り付けられるショートアーク型のランプ1は、ランプの軸1aを集光鏡2の貫通孔2aと集光鏡支持板3の貫通孔3cに通し、フレーム6の冷却風流入口6aを介して集光鏡2の外側背後に設けられた台座4に固定され支持される。この台座4は光照射装置のランプ軸調機構5に取り付けられている。
ランプ軸調機構5は、ランプ1をXYZ方向に移動させるステージを備える。ランプ軸調機構5を移動させることにより、ランプ1をその発光点が集光鏡2の第一焦点に来るように調節する。
【0006】
また、台座4はランプ点灯電源11に接続されている。ランプ1への電力の供給は、ランプの台座4に固定される側の極にはこの台座4を介して、他方集光鏡2の光出射口2b側の極には、ランプ電源11からの給電線11aが取り付けられ、この給電線11aを介して行われる。
このように、光出射口を上向きに配置した集光鏡の支持構造に関する先行技術として、特許文献1がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−40655号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記したように、冷却風はランプと集光鏡の冷却に使われる。光照射装置が露光装置の光照射部として使用される場合、集光鏡は露光に不要な光(例えば可視光や赤外光)を反射せず、露光に必要な光(例えば紫外線)を反射する蒸着膜を反射面に形成した反射鏡を用いることが多い。
そのような蒸着膜反射鏡を用いる場合には、蒸着膜がはがれないように、反射鏡の温度を、例えば350℃以下に保つ必要がある。これに対して、ランプの封体と呼ばれる発光管の部分の、点灯中の最適温度は650℃〜750℃といわれている。そのため、集光鏡は冷却を行わないと、ランプの封体からの輻射熱などにより温度が上昇して350℃以上となり、蒸着膜がはがれてしまうなどの不具合を生じることがある。
【0009】
即ち、集光鏡はランプよりも低い温度に保たなければならず、冷却は、ランプよりもむしろ集光鏡を重点的に行う必要がある。特に、集光鏡2は、ランプの軸が通る貫通孔2aの近傍の部分(貫通孔2aの周縁から幅約10mmの領域)が、ランプの発光部分に最も近くなるので温度が高くなりやすい。したがって、冷却風は、集光鏡の貫通孔2aの近傍に多くの量を供給しなければならない。
一方、光源部を流れる冷却風は、上記したように、貫通孔2aから入って集光鏡2の内側(反射面側)に入って流れる風(図7の(a))と、集光鏡2の外側を回って流れる風(図7の(b))の二つに分かれる。ここで、貫通孔2aから集光鏡2の内側に入った冷却風(a)は、大部分がランプ1の表面に沿って流れてランプを冷却するのに使われる。一方、集光鏡2の冷却は、実質的には、集光鏡2の外側を回って流れる風(b)によって行われる。
【0010】
ところが、上記したように、集光鏡2は貫通孔2aの周辺部において集光鏡支持板3により支持されている。そのため、図8に示すように、集光鏡2の貫通孔2aの周囲には集光鏡支持板3があり、図7に示すように、この集光鏡支持板3が遮風板となり、集光鏡2の外側を回って流れる風(b)は、最も温度が高くなる集光鏡2の貫通孔2aの近傍には近づくことができない。
【0011】
このような状態では、冷却風は集光鏡2を効率よく冷却することができない。集光鏡2の温度を下げようとして冷却風量を多くすると、その分ランプの冷却風も増えることとなる。そのため、ランプが上記に示した適切な温度範囲(650℃〜750℃)以下、即ち過冷却になり、場合によってはランプが消えてしまうことがある。
一方、ランプを上記適切な温度範囲にするために冷却風を減らすと、今度は集光鏡を冷却するための風量も減るので、集光鏡の温度が蒸着膜のはがれない温度(350℃)以上になり、蒸着膜のはがれの原因となることがある。
【0012】
本発明は、上記の問題点に鑑み、集光鏡の外側を流れる風が、集光鏡の温度が最も高くなる貫通孔近傍の領域をできるだけ多く流れるようにすること、即ち、集光鏡の外側であって貫通孔近傍の領域に、できるだけ多くの冷却風を供給できる構造を実現し、ランプへの冷却風を増やすことなく、即ちランプの温度を下げることなく(ランプを過冷却にすることなく)、集光鏡の温度を下げられるように、集光鏡に十分な冷却風を供給できる構造を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
従来は、集光鏡を板状の集光鏡支持板により持上げて支持していた。そのため、これが集光鏡の外側を流れる冷却風の遮風板になり、集光鏡の貫通孔の外側近傍に冷却風が届かない原因となっていた。
そこで、本発明においては、集光鏡を光出射口が上向きになるように支持する集光鏡支持機構を、次のように構成することにより、上記課題を解決する。
ランプと、このランプからの光を反射する曲面の反射面を有する集光鏡と、この集光鏡を上向きに支持する集光鏡支持機構と、ランプと集光鏡を冷却する冷却風を取り入れる冷却風取入れ口ランプと集光鏡を冷却した後の冷却風を排気する冷却風排気口とを備えた光照射装置において、集光鏡支持機構は、集光鏡を裏面側から集光鏡の曲面に対して法線方向に弾性体により持上げる支持棒を設けた複数個の支持体と、支持体を取り付けられるフレームと、集光鏡の光出射口の周縁が押付けられる集光鏡押さえ板を備える。
集光鏡の光出射口の周縁は、集光鏡押さえ板の開口とこの開口の周辺に形成した通風孔との間に押付ける。
【発明の効果】
【0014】
本発明において、以下の効果を得ることができる。
集光鏡の持上げを複数点状に配置した支持体により行うので、集光鏡の外側を流れる冷却風を遮風するものがなくなり、集光鏡の貫通孔近傍に冷却風が流れる。したがって、集光鏡の最も温度が高くなる貫通孔近傍の領域の温度を低くすることができる。
【0015】
さらに、集光鏡押さえ板の、集光鏡の光出射口の周縁が押付けられる部分の周辺に通風孔を形成しているので、集光鏡の外側を流れる冷却風は、集光鏡の裏面に沿って流れ、集光鏡全体を効率よく冷却し排気される。したがって、集光鏡全体の温度を低くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】露光装置の光照射部として使用される本発明の光照射装置の構造の一例を示す図である。
【図2】本発明の光照射装置のランプと集光鏡を備える光源部の拡大図を示す図である。
【図3】本発明の光源部の集光鏡と集光鏡の支持体および集光鏡押さえ板との関係を示す斜視図である。
【図4】集光鏡支持体の断面図を示す図である。
【図5】集光鏡持体の斜視図を示す図である。
【図6】露光装置の光照射部として使用される従来の光照射装置の構造の一例を示す図である。
【図7】従来の光照射装置のランプと集光鏡を備える光源部の拡大図を示す図である。
【図8】従来の光源部の集光鏡と集光鏡の支持板との関係を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1に、露光装置の光照射部として使用される本発明の光照射装置の構造の一例を示す。
本発明の光照射装置は、ランプ1と集光鏡2を備える光源部10の構造を除いて、基本的には図6の構成と同じである。
ランプ1は、ショートアーク型の超高圧水銀ランプが使用され、集光鏡2は、ガラス製の楕円集光鏡が使用される。そして、放電ランプ1の発光中心が集光鏡2の第1焦点に位置するように配置される。
集光鏡2は、露光に必要な光である紫外線を反射し不要な赤外線や可視光を除くために、紫外線を反射し赤外線や可視光を透過する無機多層蒸着膜を、曲面の光反射面の表面に形成している。光反射面により反射された紫外線を含む光は光出射口2bから出射する。
【0018】
集光鏡2の光出射口2bより出射した光は、第1平面鏡13で反射され、照射領域での照度分布を均一化するインテグレータレンズ14に入射する。
インテグレータレンズ14から出射した光は、インテグレータレンズ14の光出射側に配置されたシャッタ機構15を介し、第2平面鏡16に反射され、コリメータレンズ17に入射する。コリメータレンズ17に入射した光は平行光になり、光照射面18に載置されたマスクやワークといった被照射物を照射する。なお、コリメータレンズ17に代えてコリメータミラーを使用しても良い。
【0019】
被照射物の紫外線照射量はシャッタ機構15の開閉により制御される。なお、シャッタ機構15は、インテグレータレンズ14の光入射側に配置してもよい。
ランプ1および集光鏡2を冷却する冷却風は、光照射装置の、集光鏡2の光出射口2bとは反対側に設けられた冷却風取入口10aから取り入れられ、集光鏡2の光出射口2b側に設けられた排気ファン20により排気口19から排気される。
図2に、本発明の光照射装置のランプと集光鏡を備える光源部の拡大図を示す。同図は、図7と同様に、冷却風の流れを図の左側しか示していない。また、図3に、本発明の光源部の集光鏡と集光鏡の支持体および集光鏡押さえ板との関係を示す斜視図を示す。
【0020】
図2と図3を用いて、光源部の構造と冷却風の流れにについて説明する。
従来と同様、集光鏡2は、曲面の光反射面を有し、反射した光を出射する光出射口2bと、光出射口2bとは反対側に貫通孔2aとが形成されている。そして、集光鏡支持機構により、光出射口2bが上向きになるように支持される。集光鏡支持機構の詳細については後述する。上記したように、集光鏡2の光反射面には、紫外線を反射し赤外線や可視光を透過する無機多層膜が蒸着されている。
集光鏡2内に取り付けられるショートアーク型のランプ1は、ランプ1の軸1aが集光鏡の貫通孔2aとフレーム6に形成されている冷却風流入口6aを貫通し、集光鏡2の外側背後に設けた台座4に固定され支持される。
【0021】
この台座4は光照射装置のランプ軸調機構5に取り付けられ、ランプ軸調機構5は、ランプ1をXYZ方向に移動させるステージを備える。台座4はランプ点灯電源11に接続され、また、集光鏡2の開口2b側のランプ1の極には、ランプ電源11からの給電線11aが取り付けられ、ランプ1への電力の供給は台座4とこの給電線11aを介して行なわれる。
続いて集光鏡支持機構の構造について説明する。
集光鏡支持機構は、集光鏡2の裏面に点状に接し弾性体の力により集光鏡を上に持上げる複数個の支持体30、支持体30が取り付けられるフレーム6、支持体30により持上げられた集光鏡2が押付けられる集光鏡押さえ板7を備える。
【0022】
集光鏡2は、光出射口2bを上にして集光鏡支持体30の上に置かれる。集光鏡支持体30が上に載っている集光鏡2を弾性体の力で持上げることにより、集光鏡2の光出射口2bの周縁が、集光鏡押さえ板7に押付けられる。これにより集光鏡2は光出射口2bが上になった状態で支持固定される。集光鏡支持体30の詳しい構造については後述する。
集光鏡支持体30は、複数個フレーム6上に固定されて設けられている。また、フレーム6には、光照射装置の冷却風取入れ口10aから取り入れた冷却風を、光源部10に導入するための冷却風流入口6aが形成されている。
【0023】
集光鏡押さえ板7には、集光鏡2の光出射口2bから出射する光が通過する開口7bが形成され、さらに、この開口7bの周辺には、集光鏡2の外側を流れた冷却風が通過する通風孔7aが形成されている。集光鏡支持体30により持上げられた集光鏡2の光出射口2bの周縁は、この開口7bと通風孔7aの間に押付けられる。
次に、集光鏡支持体30の構造について説明する。
図4は集光鏡支持体30の断面図であり、同図(a)は集光鏡支持体30が集光鏡2を支持していない状態、(b)は集光鏡2を支持している状態を示している。また、図5は集光鏡支持体の斜視図である。
集光鏡支持体30は、フレーム6にねじなどで固定される本体部31と、集光鏡2の裏面(反射面とは反対側の面)に点状に接して持上げる支持棒32とを備える。
【0024】
支持棒32は、本体部31内部に設けられたばね33などの弾性体を介して本体部31取り付けられている。支持棒32はばね33により本体部31に対して出入りする。
支持棒32の先端が集光鏡2の裏面に接する。そのため、支持棒32の先端には集光鏡2を傷つけないように、また高温に耐えられるように、耐熱性の緩衝材34を取り付けている。
【0025】
集光鏡支持体30が集光鏡2を支持していない場合は、図4(a)に示すように、ばね33が伸びて支持棒32は本体より大きく出ている。
一方、集光鏡支持体30が集光鏡2を支持している場合は、図4(b)に示すように、集光鏡2の重みによりばね33が縮み、支持棒32には集光鏡2を上に押し上げる力がはたらく。これにより、集光鏡2の光出射口2bの周縁が集光鏡押さえ板7に押し付けられ、集光鏡2は支持固定される。
ここで、集光鏡支持体30の支持棒32は、ガラス製である集光鏡2に無理な力がかかるのを防ぐために、基本的には集光鏡の曲面に対して法線方向に力を加えるよう配置する。
【0026】
集光鏡支持体30が集光鏡2を支持する位置、即ち支持棒32が集光鏡2の裏面に接する位置は、集光鏡2の下端(貫通孔2aの周縁)から、40mm〜50mm上側である。上記したように、集光鏡2の最も温度が高くなる部分は、貫通孔2aの周縁から幅およそ10mmの領域であり、この領域に支持棒32が接すると、その部分は冷却風があたらなくなり、冷えにくくなるからである。
また、集光鏡2をしっかりと支持固定するためには、集光鏡2を集光鏡押さえ板7に押付ける力、即ち集光鏡2を持上げる力が大きいほど良い。
【0027】
集光鏡支持体30の支持棒32が集光鏡2の曲面に対して法線方向に力を加えた時、集光鏡2を持上げる力を大きくするためには、支持棒32は、集光鏡2のできるだけ下側(貫通孔2aに近い部分)に配置したほうが良い。
しかし、上記したように、集光鏡の下側(貫通孔2aに近い部分)は、最も高温になり冷却を行いたい部分であるので支持棒32を配置できない。そこで、支持棒32は、集光鏡の温度が最も高くなる貫通孔2a近傍の領域を避け、かつ、集光鏡2の曲面に対して法線方向に力を加えた時、集光鏡2を持上げる力ができるだけ大きくなる部分に配置する。
【0028】
また、集光鏡支持体30の数は、集光鏡2の大きさや重さ、支持した状態での集光鏡の安定性を考慮して決める。3個から4個をフレーム6の冷却風流入口6aの周辺部に等間隔に配置することが好ましい。
続いて、光源部の冷却風の流れについて説明する。
光照射装置の、集光鏡2の光出射口2bとは反対側に設けられた冷却風取入れ口10aから取り入れられた冷却風は、フレーム6に形成された冷却風流入口6aから光源部10に入り、集光鏡2の貫通孔2aから集光鏡2の内側に入ってランプ1を冷却する流れ(a)と、集光鏡2の外側を回って集光鏡2を裏面側から冷却する流れ(b)に分かれる。
【0029】
集光鏡支持部体30は、上記のように点状に集光鏡2を支持する。そのため、集光鏡支持部体30は、集光鏡2の外側を流れる冷却風が集光鏡2裏面に沿って流れるのを、実質的に妨げない。即ち、集光鏡2の外側を流れる冷却風は、図2の中で(b)に示すように、ランプの発光部分に近く最も温度が高くなる集光鏡2の貫通孔2aの近傍裏面に当たり、その後集光鏡2全体の熱を奪いながら集光鏡2の裏面に沿って上昇する。
一方、集光鏡2の光出射口2bの周縁は、集光鏡押さえ板7の、光が通過する開口7bとその周辺に形成した通風孔7aの間の部分に押付けられている。
【0030】
そのため、集光鏡2の外側を裏面に沿って流れてきた冷却風は、通風孔7aに向かって集光鏡2の裏面から離れることなく流れて通風孔7aに向かう。そして、通風孔7aから出た集光鏡2を冷却した冷却風は、ランプ1を冷却した冷却風と共に排気口19に向かって流れて排気される。
このことにより、集光鏡2の外側を流れる冷却風は、集光鏡2全体を効率よく冷却することができる。したがって、集光鏡の貫通孔2aの近傍の温度は、従来約320℃〜約350℃であったが、本発明においては、冷却風量を変えることなく約180℃〜約240℃に下げることができた。これにより、ランプを過冷却にすることなく集光鏡の温度を下げることができた。
【符号の説明】
【0031】
1 ランプ
1a ランプの軸
2 集光鏡
2a 貫通孔
2b 光出射口
3 集光鏡支持板
4 台座
5 ランプ軸調機構
6 フレーム
6a 冷却風流入口
7 集光鏡押さえ板
7a 通風孔
7b 開口
10 光源部
10a 冷却風取入れ口
11 ランプ点灯電源
11a 給電線
12 筐体
13 第1平面鏡
14 インテグレータレンズ
15 シャッタ機構
16 第2平面鏡
17 コリメータレンズ
18 光照射面
19 排気口
20 排気ファン
30 集光鏡支持体
31 本体部
32 支持棒
33 ばね
34 緩衝材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランプと、該ランプからの光を反射する曲面の反射面を有すると共に上記反射面で反射した光が出射する光出射口と該光出射口とは反対側に貫通孔を形成した集光鏡と、該集光鏡を上記光出射口が上向きになるように支持する集光鏡支持機構と、上記ランプと上記集光鏡とを冷却する冷却風を、上記集光鏡の光出射口とは反対側から取り入れる冷却風取入れ口と、該冷却風取入れ口から取り入れた冷却風を、上記集光鏡の光出射口側から排気する冷却風排気口とを備えた光照射装置において、
上記集光鏡支持機構は、上記集光鏡を裏面側から集光鏡の曲面に対して法線方向に弾性体により持上げる支持棒を設けた複数個の支持体と、該支持体が取り付けられると共に、上記冷却風取入れ口から取り入れた冷却風を取り込む冷却風流入口を形成したフレームと、上記集光鏡の光出射口から出射する光が通過する開口と該開口の周辺に冷却風が通過する通風孔とが形成され、上記開口と上記通風孔の間に上記支持体の支持棒により持上げられた集光鏡の光出射口の周縁が押付けられる集光鏡押さえ板とを備えることを特徴とする光照射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−204957(P2011−204957A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−71662(P2010−71662)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(000102212)ウシオ電機株式会社 (1,414)
【Fターム(参考)】