説明

光結合デバイス

【課題】細径であっても高い接合強度を得ることができる光結合デバイスを提供すること。
【解決手段】光結合デバイス10は、光ファイバ21を保持する第1の保持部材31と、光学素子41を保持し、光ファイバ21と光学素子41とが光結合するように第1の保持部材31と接続する第2の保持部材51とを有している。光結合デバイス10は、光ファイバ21と光学素子41とが光結合するように、第1の保持部材31と第2の保持部材51とを互いに接合する接合部材71と、接合部材71が第1の保持部材31と第2の保持部材51とに接合する際第1の保持部材31と第2の保持部材51とにおける接合部材71の接合範囲を規定すると共に、接合部材71が接合範囲からはみださずに配設されるように接合範囲に向けて接合部材71をガイドする規定ガイド部材81とをさらに有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバと光学素子とを光結合する光結合デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、高温高湿試験後に見られたスリーブ内部における光ファイバの断線や光ファイバのクラックの発生といった不良を低減し、高い信頼性を有するピグテイル型光ファイバが開示されている。
【0003】
この特許文献1において、光ファイバはルースチューブによって覆われており、接着剤はルースチューブを覆うようにしてスリーブの端面とルースチューブとを接着している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−20754号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した特許文献1において、接着剤は、接着する前に、接着剤の粘性や接着剤の量に応じて、ルースチューブに沿って例えば光ファイバの軸方向に流れてしまう。また接着剤は、接着する前に、接着剤の粘性や接着剤の量に応じて、接着部位からこぼれてしまう。これにより、接着部位において接着剤が不足する。よってこの接着部位に応力が集中すると、接着部位が破壊されてしまう。このように、接合強度は低下してしまう。特に、接合強度の低下は、接着部位が細いほど顕著となる。
【0006】
また接合強度を高めるためには、接着剤の量を増やす必要がある。しかしこの場合、接着剤が光ファイバの軸周りに集中し、接着部位が太くなり、光ファイバが太くなってしまう。
【0007】
このため本発明は、これらの事情に鑑みてなされたものであり、細径であっても高い接合強度を得ることができる光結合デバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は目的を達成するために、光を導光する導光部材と、前記導光部材を保持する第1の保持部材と、前記導光部材によって導光された前記光を照射されることで機能する光学素子と、前記光学素子を保持し、前記導光部材と前記光学素子とが光結合するように前記第1の保持部材と接続する第2の保持部材と、前記導光部材と前記光学素子とが光結合するように、前記第1の保持部材と前記第2の保持部材とを互いに接合する接合部材と、前記接合部材が前記第1の保持部材と前記第2の保持部材とに接合する際前記第1の保持部材と前記第2の保持部材とにおける前記接合部材の接合範囲を規定すると共に、前記接合部材が前記接合範囲からはみださずに配設されるように前記接合範囲に向けて前記接合部材をガイドする規定ガイド部材と、を具備することを特徴とする光結合デバイスを提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、細径であっても高い接合強度を得ることができる光結合デバイスを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態に係る光結合デバイスの概略図である。
【図2A】図2Aは、光結合デバイスの組み立て方法を示す図である。
【図2B】図2Bは、光結合デバイスの組み立て方法を示す図である。
【図2C】図2Cは、光結合デバイスの組み立て方法を示す図である。
【図2D】図2Dは、光結合デバイスの組み立て方法を示す図である。
【図3】図3は、第1の実施形態の第1の変形例の光結合デバイスの概略図である。
【図4A】図4Aは、第2の実施形態に係る光結合デバイスの分解図である。
【図4B】図4Bは、図4Aに示す光結合デバイスを組み立てた状態を示す図である。
【図5】図5は、第2の実施形態の第1の変形例を示す図である。
【図6A】図6Aは、第3の実施形態に係る光結合デバイスの概略図である。
【図6B】図6Bは、第3の実施形態における規定ガイド部材の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1と図2Aと図2Bと図2Cと図2Dとを参照して第1の実施形態について説明する。
なお一部の図面では、図示の明瞭化のために、部材の一部の図示を省略している。
【0012】
図1に示すように、光結合デバイス10は、光を導光する例えば光ファイバ21などの導光部材と、光ファイバ21を保持する第1の保持部材31と、光ファイバ21によって導光された光を照射されることで機能する光学素子41と、光学素子41を保持し、光ファイバ21と光学素子41とが光結合するように第1の保持部材31と接続する第2の保持部材51とを有している。
【0013】
図1に示すように、光ファイバ21は、光を出射する出射端面23aを一端部23に有している。光ファイバ21の他端部25は、光ファイバ21を保護する例えば樹脂製の被覆層25aによって被覆されている。光ファイバ21は、例えばガラスとプラスチックとの少なくとも一方によって形成されている。
【0014】
第1の保持部材31は、例えばジルコニアとガラスと金属との少なくとも1つによって形成されているフェルールである。この金属は、例えばニッケルとSUSと真鍮との少なくとも1つによって構成されている。第1の保持部材31は、例えば円筒形状を有している。第1の保持部材31の外径は、例えば1mm以下となっている。また、図1に示すように、円筒形状の第1の保持部材31は、光ファイバ21が嵌合または接着する貫通孔31aを、第1の保持部材31の中心に有している。貫通孔31aは、第1の保持部材31の軸方向において、第1の保持部材31を貫通している。貫通孔31aは、第1の保持部材31が光ファイバ21を保持するために配設されており、保持孔として機能する。第1の保持部材31は、光ファイバ21の出射端面23aが第1の保持部材31の一端面31bと同一平面上に配設されるように、光ファイバ21を保持している。一端面31bは、第1の保持部材31の一端部33に配設されている。
【0015】
貫通孔31aは、一端面31bにおいて開口している。一端面31bにおいて、貫通孔31aの開口部周辺は、例えば平面として形成されている。また一端面31bにおいて、第1の保持部材31の縁側は、第1の保持部材31の軸方向において、第1の保持部材31の他端面31c側から一端面31b側に向かって縮径するように、テーパ形状に形成されている。このように第1の保持部材31の一端部33は、第1の保持部材31の軸方向において、第1の保持部材31の他端面31c側から第1の保持部材31の一端面31b側に向かって縮径している円錐台形状を有している。
【0016】
また第1の保持部材31は、貫通孔31aと連通し、光ファイバ21が貫通孔31aに挿入されるように、光ファイバ21の一端部23を貫通孔31aにガイドするガイド口31dを他端面31cに有している。ガイド口31dと他端面31cとは、第1の保持部材31の他端部35に配設されている。ガイド口31dは、第1の保持部材31の他端面31cから第1の保持部材31の一端面31b側に向かって縮径している円錐台形状を有しており、傾斜しているテーパとなっている。なお前述した被覆層25aは、第1の保持部材31の他端面31c側、詳細にはガイド口31d付近にまで配設されているのみであり、貫通孔31aには挿入されない。このため光ファイバ21の一端部23は、被覆層25aから露出している。
【0017】
ガイド口31dには、被覆層25aを含む光ファイバ21の他端部25側を第1の保持部材31に接着する接着部材37が配設される。接着部材37は、被覆層25aにも配設される。接着部材37は、例えば、光学用の接着剤や、シリコンやエポキシ等の接着剤などである。
【0018】
光学素子41は、例えばセラミックとガラスとの少なくとも一方によって形成されている。光学素子41は、例えば蛍光体である。光学素子41は、例えば円錐台形状を有している。なお光学素子41は、円錐台形状に限定することはなく、円柱形状や半球形状や放物形状であってもよい。光学素子41は、例えば平面状の一端面43aを有している。この一端面43aは、光ファイバ21と光学素子41とが光結合するために、出射端面23aと当接する。一端面43aは、出射端面23aから出射された光が入射する入射端面である。一端面43aは、出射端面23aよりも大きい。
【0019】
第2の保持部材51は、例えば金属によって形成されている。この金属は、例えばニッケルとSUSと真鍮との少なくとも1つによって構成される。第2の保持部材51は、第1の保持部材31とは別体である。第2の保持部材51は、例えば円筒形状を有している。第2の保持部材51の外径は第1の保持部材31の外径よりも大きく、第2の保持部材51は第1の保持部材31よりも太い。第2の保持部材51の外径は、例えば1mm以下となっている。
【0020】
図1に示すように、第2の保持部材51の一端部53は、光ファイバ21と光学素子41とが光結合する際、第1の保持部材31の一端部33と対向する。一端部53の外径は、一端部33の外径とは異なっており、一端部33の外径よりも例えば大きい。一端部53は、第1の保持部材31の一端面31bと当接する平面状の一端面53aを有している。このように、第1の保持部材31と第2の保持部材51とは、第1の保持部材31と第2の保持部材51とが接続する(光ファイバ21と光学素子41とが光結合する)際に、互いに対向し、当接する一端面31b,53aを有していることとなる。
【0021】
第2の保持部材51は、光学素子41が嵌合または接着する貫通孔51aを、第2の保持部材51の中心に有している。貫通孔51aは、第2の保持部材51の軸方向において、第2の保持部材51を貫通している。貫通孔51aは、第2の保持部材51が光学素子41を保持するために配設されており、保持孔として機能する。このため、貫通孔51aは、光学素子41と同形状、例えば円錐台形状を有している。第2の保持部材51は、光学素子41の一端面43aが一端部53の一端面53aと同一平面上に配設されるように、光学素子41を保持している。
【0022】
また図1に示すように、光結合デバイス10は、光ファイバ21と光学素子41とが光結合するように、第1の保持部材31と第2の保持部材51とを互いに接合する接合部材71と、接合部材71が第1の保持部材31と第2の保持部材51とに接合する際第1の保持部材31と第2の保持部材51とにおける接合部材71の接合範囲を規定すると共に、接合部材71が接合範囲からはみださずに配設されるように接合範囲に向けて接合部材71をガイドする規定ガイド部材81とをさらに有している。
【0023】
接合部材71は、例えば液体として形成され、接合部材71の粘性と接合部材71の量とに応じて流動可能となっている。また液状の接合部材71は、例えばUV光を照射されることで硬化する。このように接合材は、例えばエポキシ系の接着剤である。液状の接合部材71、つまり流動可能状態の接合部材71は、接合範囲からはみだざすに接合範囲に配設されるように、規定ガイド部材81によって接合範囲に向けてガイドされる。
【0024】
なお接合部材71は、アクティブアライメントが行われた後に、UV光を照射されることで硬化する。アクティブアライメントとは、例えば、第1の保持部材31と第2の保持部材51とが所望の相対位置に調整され、光ファイバ21と光学素子41とが光結合することを示す。接合部材71は、硬化によって第1の保持部材31と第2の保持部材51とに接合し、第1の保持部材31と第2の保持部材51とを互いに接合する。この場合、第1の保持部材31の外周面31fと一端面31bと、第2の保持部材51における一端部53の一端面53aとは、接合面となる。
【0025】
規定ガイド部材81は、例えば線状部材によって形成されている。規定ガイド部材81は、例えば金属によって形成されている。規定ガイド部材81は、規定ガイド部材81の径方向及び軸方向に沿って伸縮する伸縮性を有している。
【0026】
規定ガイド部材81は、第1の保持部材31を巻回するために例えば螺旋形状を有している。規定ガイド部材81は、一端部81aと、一端部81aの外径よりも大きい外径を有する他端部81bとを有している。このような規定ガイド部材81は、規定ガイド部材81の軸方向において、一端部81aから他端部81bに向かって徐々に拡径している。よって規定ガイド部材81は、先細に形成されている。
【0027】
規定ガイド部材81が第1の保持部材31を巻回するように配設された際、一端部81aは、第1の保持部材31を巻回し、第1の保持部材31と嵌合する。またこのとき他端部81bは、一端面53aと当接する。一端部81aは、他端部81bが一端面53aに当接できるような第1の保持部材31の所望な位置にて、第1の保持部材31と嵌合する。また一端部81aは、一端面31bよりも他端面31c側にて嵌合する。他端部81bの外径は第2の保持部材51の外径と略同一となっている。
【0028】
また規定ガイド部材81が第1の保持部材31を巻回するように配設され、一端部81aが第1の保持部材31と嵌合し、他端部81bが一端面53aに当接した際、第1の保持部材31の径方向において、規定ガイド部材81と第1の保持部材31との間には充填部83が形成される。接合部材71は、この充填部83に充填される。なお規定ガイド部材81は前述したように一端部81aから他端部81bに向かって徐々に拡径しているため、充填部83も同様に徐々に拡径している。接合部材71は、充填部83の形状に略対応するように形成される。
【0029】
なお充填部83は、第1の保持部材31の径方向において、規定ガイド部材81と第1の保持部材31との間を示す隙間である。この充填部83は、接合部材71が第1の保持部材31と第2の保持部材51とに対して接合する接合範囲として形成される。充填部83は、接合部位でもある。
【0030】
充填部83(接合範囲)の大きさは、例えば規定ガイド部材81の軸方向における規定ガイド部材81の長さと、規定ガイド部材81の外径の大きさとに影響され、これらに基づいて所望に調整される。
規定ガイド部材81の長さは、例えば規定ガイド部材81が第1の保持部材31よりも短くなるように、所望に調整される。
また規定ガイド部材81の外径の大きさは、規定ガイド部材81(他端部)の外径が第2の保持部材51の外径と略同一となるように、所望に調整される。
【0031】
このように規定ガイド部材81は、規定ガイド部材81の長さと規定ガイド部材81の外径の大きさとを基に、充填部83、つまり接合範囲を規定する。これにより、規定ガイド部材81は、硬化する接合部材71の形状を制御することとなる。
【0032】
また規定ガイド部材81は、液状の接合部材71が規定ガイド部材81を伝わって充填部83に充填され、液状の接合部材71が充填部83からこぼれないように、接合部材71を充填部83に向けてガイドする。このとき表面張力が液状の接合部材71に作用し、充填部83に充填された液状の接合部材71が充填部83からこぼれることを表面張力が防止するように、規定ガイド部材81における間隔Dは所望に調整されている。これら各間隔Dは、例えば略均一となっている。またこの間隔Dは、UV光が充填部83に充填されている接合部材71を照射可能となるように配設されている必要がある。
【0033】
また一端部81aと他端部81bとは、接合部材71が第1の保持部材31の軸方向において充填部83を越えて外周面31fと第2の保持部材51の外周面51fにはみ出ることを防止する。つまり一端部81aと他端部81bとは、接合部材71を塞き止める塞き止め部として機能する。このように規定ガイド部材81は、接合部材71を収容する。
【0034】
また規定ガイド部材81は、前述したように線状部材によって形成され、螺旋形状を有することで、接合部材71を、充填部83においてムラ無く均一に広げ、充填部83においてムラ無く均一に配設する。
【0035】
このように規定ガイド部材81は、液状の接合部材71の流動を規制・制御することとなる。また規定ガイド部材81は、充填部83(接合範囲)を規定し、接合部材71を規定ガイド部材81に係留させる骨格として形成されている。
【0036】
次に図2Aと図2Bと図2Cと図2Dとを参照して、本実施形態の光結合デバイス10の組み立て方法について説明する。
図2Aに示すように、光学素子41は貫通孔51aに配設され、第2の保持部材51は光学素子41を保持する。一端面43aには、屈折率整合部材61が配設される。屈折率整合部材61は、出射端面23aと一端面43aとの間且つ光路上において空気が入ることで光結合効率が低下することを防止するために配設されている。屈折率整合部材61の屈折率は、光ファイバ21の屈折率と光学素子41の屈折率とに近似している。屈折率整合部材は、一端面53aにも塗布されてもよい。このような屈折率整合部材61は、例えばマッチングオイルなどである。
【0037】
また図2Aに示すように、光ファイバ21はガイド口31dから貫通孔31aに配設され、接着部材37はガイド口31dにて被覆層25aを含む光ファイバ21を第1の保持部材31に接着する。これにより、第1の保持部材31は、光ファイバ21を保持する。
【0038】
なお前述した屈折率整合部材61は、出射端面23aに配設されてもよい。また屈折率整合部材65は、一端面31bにも塗布されてもよい。つまり屈折率整合部材65は、少なくとも出射端面23aと一端面43aとの間に介在していればよい。
【0039】
一端部81aは、伸縮性によって、第1の保持部材31よりも拡径する。この状態で、図2Aに示すように、規定ガイド部材81は、第1の保持部材31を巻回するように配設される。そして他端部81bが一端面53aに当接できるような所望な位置にて、一端部81aは縮径して第1の保持部材31と嵌合する。
【0040】
第1の保持部材31と第2の保持部材51とは、それぞれ図示しない治具に配設される。
【0041】
次にアクティブアライメントが以下のように行われる。
レーザ光は、図示しない光源から出射され、光ファイバ21を透過する。光ファイバ21を透過したレーザ光は、出射端面23aから出射し、入射端面である一端面43aを介して光学素子41に入射する。光学素子41は、レーザ光を照射されることで所望の波長の光を励起し、この光を出射する。
【0042】
光学素子41から出射されたレーザ光の光量は、図示しない測定部によって測定される。
【0043】
第1の保持部材31と第2の保持部材51とのいずれか一方は、冶具によって位置を固定される。以下において、第2の保持部材51が固定されていると仮定する。
【0044】
図2Bに示すように、光ファイバ21の光軸と光学素子41の光軸とが同一直線上に配置され、測定部によって測定されるレーザ光の光量が最大となるように、第1の保持部材31は、冶具によって第2の保持部材51に対して相対的に位置調整される。この後、例えば出射端面23aと一端面43aとが屈折率整合部材61を介して当接するように、第1の保持部材31は、冶具によって第2の保持部材51に向かって移動する。このとき、他端部81bは、一端面53aに当接する。これにより、充填部83が形成され、接合範囲が規定される。
これにより、アクティブアライメントが終了する。
【0045】
次に図2Cに示すように、液状の接合部材71は、規定ガイド部材81の他端部81bに向かうように図示しない装置から滴下される。なお接合部材71の滴下量は、充填部83に対応し、充填部83からこぼれないように所望に調整される。このとき第1の保持部材31と第2の保持部材51とは、冶具によって、例えば光ファイバ21の光軸周りに回転せず、また光軸に沿って移動せず、固定されたままとなっている。
【0046】
このとき規定ガイド部材81は、線状部材によって形成され、螺旋形状を有している。よって、接合部材71は、規定ガイド部材81に沿って矢印Aに示すように下方に流れ、さらに規定ガイド部材81に沿って矢印Bに示すように一端部81aに向かって流れ、充填部83に充填される。
【0047】
また規定ガイド部材81は、線状部材によって形成され、螺旋形状を有している。よって、接合部材71は、充填部83においてムラ無く均一に広がり、充填部83においてムラ無く均一に配設される。
【0048】
また規定ガイド部材81における間隔Dは所望に調整され、表面張力が充填部83に充填された液状の接合部材71に作用する。これにより充填部83に充填された液状の接合部材71は、表面張力によって充填部83からこぼれることを防止される。なお接合部材71は、間隔Dにおいて、表面張力によって例えばフィレット形状に形成される。
【0049】
また接合部材71は、一端部81aと他端部81bとによって、充填部83を超えて外周面31f,51fにはみ出ることを防止される。
【0050】
このように規定ガイド部材81は、液状の接合部材71の流動を規制・制御することとなる。また規定ガイド部材81は、接合部材71を規定ガイド部材81に係留させる骨格として機能する。
【0051】
図2Dに示すように、接合部材71は、図示しないUV照射装置から照射されるUV光を、間隔Dを介して所望な時間照射される。これにより接合部材71は、硬化し、第1の保持部材31と第2の保持部材51とに接合し、第1の保持部材31と第2の保持部材51とを接合する。
【0052】
なお各間隔Dが例えば略均一となっているため、接合部材71は充填部83においてムラ無くUV光を照射される。よって接合部材71は、充填部83においてムラ無く均一に硬化する。また硬化する接合部材71は、充填部83の形状に対応するように形成される。
【0053】
このように規定ガイド部材81は、硬化する接合部材71の形状を制御することとなる。
【0054】
前記をまとめると、図2Aと図2Bとに示すように、規定ガイド部材81は、接合部材71の接合範囲である充填部83を規定する。また図2Cに示すように、液状の接合部材71が充填部83からこぼれずに充填部83に配設されるように、規定ガイド部材81が液状の接合部材71を充填部83に向けてガイドする。このように本実施形態では、規定ガイド部材81は液状の接合部材71の流動を規制・制御する。
【0055】
これにより、接合部材71が充填部83に確実に充填され、接合部材71が接合部位である充填部83からこぼれることが防止され、接合部材71が接合部位である充填部83にて不足することが防止される。よって光結合デバイス10は、接合部材71によって高い接合強度を得られる。また応力が接合部位である充填部83に集中しても、光結合デバイス10において、充填部83の破壊は接合部材71によって防止される。
【0056】
また規定ガイド部材81の最大外径である他端部81bの外径は、第2の保持部材51の外径と略同一である。このため、充填部83と、充填部83に充填された接合部材71とは、規定ガイド部材81によって、第2の保持部材51よりも太くはならない。よって光結合デバイス10は、接合部材71と規定ガイド部材81とによって太径にならず、細径を維持する。
【0057】
また前述したように、接合部材71が充填部83に確実に充填され、接合部材71が接合部位である充填部83からこぼれることが防止され、接合部材71が接合部位である充填部83にて不足することが防止される。このため、接合部材71は、充填部83の体積以上に配設される必要はなく、接合部材71が充填部83(規定ガイド部材81)以上に太くなる必要は無い。よって光結合デバイス10は、接合部材71と規定ガイド部材81とによって太径にならず、細径を維持する。
【0058】
このように本実施形態では、接合部材71と規定ガイド部材81とによって細径であっても高い接合強度を得ることができる。
【0059】
また本実施形態では、規定ガイド部材81が線状部材によって形成され、規定ガイド部材81が螺旋形状を有している。これにより本実施形態では、接合部材71を、規定ガイド部材81に沿って矢印Aに示すように下方に流すことができ、さらに規定ガイド部材81に沿って矢印Bに示すように一端部81aに向かって流すことができ、充填部83に充填できる。またこれにより本実施形態では、接合部材71を、充填部83においてムラ無く均一に広げることができ、充填部83においてムラ無く均一に配設できる。よって本実施形態では、充填部83においてどこであっても均一の接合強度を得ることができる。
【0060】
また本実施形態では、また規定ガイド部材81における間隔Dを所望に調整し、表面張力を充填部83に充填された液状の接合部材71に作用させている。これにより本実施形態では、充填部83に充填された液状の接合部材71が充填部83からこぼれることを防止できる。
【0061】
また本実施形態では、一端部81aと他端部81bとによって、接合部材71が充填部83を超えて外周面31f,51fにはみ出ることを防止できる。よって本実施形態では、接合部材71によって光結合デバイス10が太くなることを防止できる。
【0062】
また本実施形態では、第1の保持部材31と第2の保持部材51とに対応するように、他端部81bの外径を一端部81aの外径よりも大きくさせている。これにより本実施形態では、接合部材71を一端部81aよりも先に他端部81bに流すことで、接合部材71を充填部83においてムラ無く均一に広げることができ、接合部材71を他端部81bから一端部81aに流しやすくできる。
【0063】
また本実施形態では、他端部81bの外径は第2の保持部材51の外径と略同一となっており、接合部材71が一端面53a全体と接合するために、高い接合強度を得ることができる。
【0064】
また本実施形態では、他端部81bの外径は第2の保持部材51の外径と略同一となっており、他端部81bは第2の保持部材51よりも径方向外側にはみ出さない。これにより、本実施形態では、充填部83に充填される接合部材71も第2の保持部材51よりも径方向外側にはみ出さない。よって本実施形態では、光結合デバイス10は接合部材71と規定ガイド部材81とによって太くならないために、光結合デバイス10を細径にできる。
【0065】
なお本実施形態では、第2の保持部材51は第1の保持部材31よりも太いがこれに限定する必要は無い。第1の保持部材31と第2の保持部材51との一方が他方より細ければよい。この場合、一端部81aが細い一方を巻回及び嵌合し、他端部81bが太い他方と当接すればよい。他端部81bの外径は他方の外径と略同一またはこれによりも小さくなっている。
【0066】
また本実施形態では、規定ガイド部材81は一端部81aから他端部81bに向かって徐々に拡径しているがこれに限定する必要は無く、一端部81aから他端部81bまで同径であっても良い。また他端部81bの外径は、第2の保持部材51の外径よりも小さければよい。
【0067】
次に図3を参照して、本実施形態の第1の変形例について説明する。
第2の保持部材51は、段付き形状に形成されており、このため例えば凸形状の外形を有している。このような第2の保持部材51は、段部57が形成されるように、一端部53と、一端部53よりも大きい(太い)他端部55とから構成されている。一端部53と他端部55とは、例えば円柱形状を有している。この場合、一端部53は細径部として形成され、他端部55は太径部として形成されている。一端部53の外径は、一端部33の外径と略同一である。
【0068】
他端部55は、平面状の一端面55aを有している。一端面55aは、一端部53における第2の保持部材51の外周面51fに対して直交している。
【0069】
規定ガイド部材81の他端部81bは、一端部53を巻回する。また他端部81bは、一端面55aと当接する。他端部81bの外径は、一端面55aの外径と略同一またはこれよりも小さい。
【0070】
これにより本変形例では、アクティブアライメント時において、規定ガイド部材81の他端部81bを容易に第2の保持部材51側、つまり一端面55aに当接することができる。これにより本変形例では、充填部83を容易に形成でき、接合範囲を容易に規定できる。
【0071】
また本変形例では、アクティブアライメント時において、第1の保持部材31の外径以上、且つ他端部81bの内径以内の範囲で、第2の保持部材51を冶具によって第1の保持部材31に対して相対的に位置調整すればよい。これにより本変形例では、アクティブアライメントを短時間に実施することができる。
【0072】
また本変形例では、段部57が形成されることで、接合面を増やすことができ、より高い接合強度を得ることができる。
【0073】
なお本変形例では、第2の保持部材51が段部57を有しているが、これに限定する必要は無い。前述したように、第1の保持部材31と第2の保持部材51との一方が細く、他方が太いため、第1の保持部材31と第2の保持部材51とにおける他方が段部57を有していれば良い。
【0074】
次に図4Aと図4Bとを参照して、本発明の第2の実施形態について説明する。
第1の保持部材31は、規定ガイド部材81の位置決めのために、規定ガイド部材81の一端部81aが嵌合する嵌合溝91を有している。嵌合溝91は、第1の保持部材31の外周面31fに配設されており、第1の保持部材31の中心軸の軸周りに沿って形成されている。
【0075】
一端部81aが嵌合溝91に嵌合する際、規定ガイド部材81が伸縮性を有しているため、一端部81aは規定ガイド部材81の径方向に拡径すればよい。第1の保持部材31は、一端部81aが拡径した状態で規定ガイド部材81に挿入される。そして一端部81aは、嵌合溝91において縮径し、嵌合溝91に嵌合する。
【0076】
嵌合溝91は、嵌合溝91に嵌合した一端部81aが第1の保持部材31の径方向において嵌合溝91から突出するような深さを有している。これにより一端部81aは、第1の実施形態と同様に、接合部材71が第1の保持部材31の軸方向において充填部83を越えて外周面31fにはみ出ることを防止する。
【0077】
これにより本実施形態では、規定ガイド部材81を容易に位置決めでき、充填部83を容易に形成でき、接合範囲を容易に規定できる。
【0078】
また本実施形態では、嵌合溝91に嵌合した一端部81aが第1の保持部材31の径方向において嵌合溝91から突出するため、接合部材71が第1の保持部材31の軸方向において充填部83を越えて外周面31fにはみ出ることを防止できる。
【0079】
なお本実施形態では、第1の保持部材31のみが嵌合溝91を有しているが、これに限定する必要は無い。第2の保持部材51は、他端部81bが嵌合する嵌合溝91を有していても良い。このように、第1の保持部材31と第2の保持部材51との少なくとも一方は、規定ガイド部材81が嵌合する嵌合溝91を有していれば良い。
【0080】
次に図5を参照して、本実施形態の第1の変形例について説明する。
嵌合溝91は、第1の保持部材31の軸方向に沿って複数配設されていてもよい。嵌合溝91同士は、所望の間隔D離れて配設されている。規定ガイド部材81が伸縮性を有しているために、一端部81aの嵌合位置に応じて、他端部81bが一端面53aに当接するように、他端部81b側が伸縮すればよい。
【0081】
これにより本変形例では、規定ガイド部材81の配設位置を多段且つ容易に調整でき、充填部83を自在に形成でき、接合範囲を自在に規定でき、接合強度を調整することができる。
【0082】
次に図6Aと図6Bとを参照して、本発明の第3の実施形態について説明する。
規定ガイド部材81は、第1のリング部材85と、第1のリング部材85と同軸上に配設される第2のリング部材87と、第1のリング部材85と第2のリング部材87とを連結する複数の連結部材89とによって構成されている。
【0083】
第1のリング部材85は、第1の保持部材31に嵌合する。第1の保持部材31は、第1のリング部材85を挿通する。第1のリング部材85は、C字形状を有しており、このため切り欠き部85aを有している。
【0084】
第2のリング部材87は、第1のリング部材85よりも大きく、一端面53aに当接する。
【0085】
連結部材89は、第1のリング部材85の中心軸方向に沿って配設されている。また連結部材89は、第1のリング部材85の中心軸の軸周りに互いに所望な間隔D離れて配設されている。
【0086】
第1のリング部材85と連結部材89とは一体であっても別体であっても良い。第2のリング部材87と連結部材89とは一体であっても別体であっても良い。
【0087】
本実施形態では、連結部材89によって、表面張力が接合部材71に第1の実施形態よりも多く作用する。これにより本実施形態では、接合部材71の外径のばらつきを抑えることができる
また本実施形態では、第1のリング部材85が第1の保持部材31に嵌合する際、切り欠き部85aによって第1のリング部材85を容易に径方向に拡径でき、第1の保持部材31を第1のリング部材85に容易に挿入できる。
【0088】
また本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。
【符号の説明】
【0089】
10…光結合デバイス、21…光ファイバ、31…第1の保持部材、31f…外周面、41…光学素子、51…第2の保持部材、51f…外周面、71…接合部材、81…規定ガイド部材、81a…一端部、81b…他端部、83…充填部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を導光する導光部材と、
前記導光部材を保持する第1の保持部材と、
前記導光部材によって導光された前記光を照射されることで機能する光学素子と、
前記光学素子を保持し、前記導光部材と前記光学素子とが光結合するように前記第1の保持部材と接続する第2の保持部材と、
前記導光部材と前記光学素子とが光結合するように、前記第1の保持部材と前記第2の保持部材とを互いに接合する接合部材と、
前記接合部材が前記第1の保持部材と前記第2の保持部材とに接合する際前記第1の保持部材と前記第2の保持部材とにおける前記接合部材の接合範囲を規定すると共に、前記接合部材が前記接合範囲からはみださずに配設されるように前記接合範囲に向けて前記接合部材をガイドする規定ガイド部材と、
を具備することを特徴とする光結合デバイス。
【請求項2】
前記規定ガイド部材は、線状部材によって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の光結合デバイス。
【請求項3】
前記規定ガイド部材は、螺旋形状を有することを特徴とする請求項2に記載の光結合デバイス。
【請求項4】
前記第1の保持部材と前記第2の保持部材との一方は、他方よりも細く、
前記第1の保持部材と前記第2の保持部材とは、前記第1の保持部材と前記第2の保持部材とが接続する際に互いに対向する端面を有し、
前記規定ガイド部材は、前記一方を巻回し、前記一方と嵌合する一端部と、前記他方の前記端面と当接する他端部とを有し、
前記規定ガイド部材は、前記規定ガイド部材の軸方向において、前記一端部から前記他端部に向かって徐々に拡径していることを特徴とする請求項3に記載の光結合デバイス。
【請求項5】
前記第1の保持部材と前記第2の保持部材とにおける前記他方は、段部を有することを特徴とする請求項4に記載の光結合デバイス。
【請求項6】
前記第1の保持部材と前記第2の保持部材との少なくとも一方は、前記規定ガイド部材が嵌合する嵌合溝を有していることを特徴とする請求項1に記載の光結合デバイス。
【請求項7】
前記嵌合溝部は、前記一方の軸方向に沿って複数配設されていることを特徴とする請求項6に記載の光結合デバイス。
【請求項8】
前記第1の保持部材と前記第2の保持部材との一方は、他方よりも細く、
前記第1の保持部材と前記第2の保持部材とは、前記第1の保持部材と前記第2の保持部材とが接続する際に互いに対向する端面を有し、
前記規定ガイド部材は、
前記一方が挿通し、前記一方と嵌合する第1のリング部材と、
前記第1のリング部材と同軸上に配設され、前記他方の前記端面と当接する第2のリング部材と、
前記第1のリング部材の中心軸方向に沿って配設され、前記第1のリング部材と前記第2のリング部材とを連結する複数の連結部材と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の光結合デバイス。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【公開番号】特開2013−37200(P2013−37200A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173351(P2011−173351)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】