説明

光記録媒体及びその記録・再生方法

【課題】 記録型の光記録媒体において、クロスライト、クロスイレースを抑制し、トラックピッチを従来より大幅に縮小することができる光記録媒体及びその記録・再生方法を提供することである。
【解決手段】 支持体と、構造体と、光を吸収し発熱する発熱部とを少なくとも有し、前記構造体が、記録トラック方向に周期的に存在し、円形状もしくは楕円形状で、かつ、記録トラック間で分離されていることを特徴とする光記録媒体である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光によって情報を記録する記録型の光記録媒体、詳しくはトラックピッチを縮小し高記録密度を得る記録型の光記録媒体及びその記録・再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、記録型の光ディスクでは、クロスライト、クロスイレース及びクロストーク(隣接トラック間の熱干渉)を抑制するためにトラックピッチにマージンを設けることが知られている。例えば、レーザビームの波長が405nm、光学系の対物レンズの開口数NAが0.85である場合、トラックピッチは320nm以上に設定される。
【0003】
上述したクロスライト、クロスイレースの抑制については多くの提案がある。例えば記録媒体の構造に関して、ディスク基板上に形成されている記録領域がトラックごとに分断され、トラック間に前記記録領域を構成する記録材料より熱伝導率の小さい材料を介在させる(例えば特許文献1参照)、あるいは基板に形成されている案内溝上にのみ記録層を備え、案内溝間には記録層を存在させない(例えば特許文献2参照)、あるいは基板のランド平坦部がランド・グルーブ境界斜面と接する両側の境界部分に、上記ランド平坦部よりも高い突起部をランドの長さ方向に連続的に形成する(例えば特許文献3参照)、あるいは石英製の基板上の隣接したランド部及びグルーブ部に積層された記録層を不連続に形成する(例えば特許文献4参照)などが提案されている。
【0004】
しかしながら、何れの構造もクロスライト、クロスイレースを完全に防止することは不可能であり、トラックピッチを大幅に縮小することはできない。本出願人も支持基板にレーザビームのトラック方向と平行なライン状の導電体を設けた媒体(特許文献5参照)を提案したが、十分ではない。
【特許文献1】特開2000−276770号公報
【特許文献2】特開2001−236689号公報
【特許文献3】特開2004−39106号公報
【特許文献4】特開2001−266405号公報
【特許文献5】特開2003−228880号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、記録型の光記録媒体において、クロスライト、クロスイレースを抑制し、トラックピッチを従来より大幅に縮小することができる光記録媒体及びその記録・再生方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、次の(1)ないし(10)の発明(以下、本発明1ないし10という)によって解決される。
(1)支持体と、構造体と、光を吸収し発熱する発熱部とを少なくとも有し、前記構造体が、記録トラック方向に周期的に存在し、円形状もしくは楕円形状で、かつ、記録トラック間で分離されていることを特徴とする光記録媒体。
(2)前記構造体が、シリコン化合物を材料A、硫化物材料、セレン化物材料、フッ化物材料、窒化物材料の群から選ばれる少なくとも一種の材料を材料Bとすると、材料A及び材料Bを含有することを特徴とする(1)に記載の光記録媒体。
(3)前記支持基板が記録・再生光の案内溝(凹部および凸部)を有し、前記構造体が前記凹部および前記凸部上に存在していることを特徴とする(1)又は(2)に記載の光記録媒体。
(4)前記発熱部が、相変化材料、半導体材料、低融点金属材料、金属間化合物材料の群から選ばれる少なくとも一種の材料よりなる単層もしくは複数層からなることを特徴とする(1)乃至(3)のいずれかに記載の光記録媒体。
(5)記録・再生光の波長をλ、対物レンズの開口数をNAとした場合に、分離した前記構造体の媒体半径方向の周期(トラックピッチ)がλ/2NA以下であることを特徴とする(1)乃至(4)のいずれかに記載の光記録媒体。
(6)前記円形状もしくは楕円形状である構造体の媒体面内における配列状態が、3回対称配列(最密充填配列)であることを特徴とする(1)乃至(5)のいずれかに記載の光記録媒体。
(7)前記支持体上に前記構造体を有し、前記構造体上に前記発熱部を有することを特徴とする(1)乃至(6)のいずれかに記載の光記録媒体。
(8)前記(7)に記載の光記録媒体に対して、前記発熱部側からレーザ光を照射し、トラック方向における前記構造体の周期でレーザ光のパワーレベルを上げて情報を記録することを特徴とする記録方法。
(9)前記(7)に記載の光記録媒体に対して、前記発熱部側からレーザ光を照射し、トラック方向における前記構造体の周期でレーザ光のパワーレベルを上げて情報を記録し、トラック方向における前記構造体の周期でレーザ光のパワーレベルを上げて信号を検出することを特徴とする記録・再生方法。
(10)前記(7)に記載の光記録媒体に対して、前記発熱部側からレーザ光を照射し、トラック方向における前記構造体の周期でレーザ光のパワーレベルを上げて情報を記録し、トラック方向における前記構造体の周期で信号を検出することを特徴とする記録・再生方法。
【発明の効果】
【0007】
請求項1の光記録媒体によれば、記録トラック方向に周期的に存在し、円形もしくは楕円形で、記録トラック間で分離されている構造体を設けることから、記録時に熱の拡がりが抑制され、記録マークの拡がりを構造体以下に制限することができるので、クロスライト、クロスイレースを抑制することができる。
【0008】
請求項2の光記録媒体によれば、上記に加え、特定の構造体材料を用いることから、半導体の製造で用いられるフォトリソグラフィーを用いなくても簡便に構造体を形成することができる。
【0009】
請求項3の光記録媒体によれば、支持基板に凹部及び凸部からなる案内溝を設けることから、記録・再生光のトラッキングの安定化を図ることができる。
【0010】
請求項4の光記録媒体によれば、発熱部に特定の発熱材料を用いることから、構造体を簡便に分離することができ、また、次の請求項5の効果で示すように再生時には解像限界の微小マークを再生することができる。
【0011】
請求項5の光記録媒体によれば、構造体の周期をλ/2NA以下にして記録密度を上げた場合に、ビーム径内の高温部分の光学特性が変化する発熱材料を用いることにより、クロストークを抑制し、解像限界以下の周期で記録した微小マークを再生することができる。
【0012】
請求項6の光記録媒体によれば、構造体の媒体面内における配列状態を3回対称配列(最密充填配列)とすることから、構造体の周期をλ/2NA以下にして記録密度を上げた場合に、クロストークを利用して記録情報を多値判定することができる。
【0013】
請求項7の光記録媒体によれば、光記録媒体の構成として、構造体を支持基板側に、発熱部を構造体の上に来るように配置構成することによって、発熱部側から光を照射することができ、発熱層で効率よく光が吸収され、記録再生に要するレーザパワーを下げることができる。また、NAを大きくすることができ、それによりレーザビームスポット径を小さくでき、記録密度を上げることができる。
【0014】
請求項8の記録方法によれば、構造体の周期でレーザ光のパワーレベルを上げて記録することから、構造体上のみが高温になり記録マークの拡がりを構造体の直径以下に制限することができ、クロスライト、クロスイレースを抑制することができる。
【0015】
請求項9の記録・再生方法によれば、記録時には請求項8と同様、クロスライト、クロスイレースの原因となる熱の拡がりを抑制することができ、再生時には発熱材料の光学特性をビーム径内の一部のみ変化させることによってクロストークを抑制し、解像限界以下の周期で記録した微小マークを再生することができる。
【0016】
請求項10の記録・再生方法によれば、記録時には請求項8と同様、クロスイレースの原因となる熱の拡がりを抑制することができ、再生時には構造体の周期で信号を検出することによって記録情報を信号レベルの変化として多値判定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明を詳細に説明する。
図1は本発明1の光記録媒体の構成を例示するものである。図1の101は発熱部、102は構造体、103は支持基板であり、半径方向に構造体102と発熱部101からなる複数の積層体が分離して設けられている。そして図1からは見られないが、構造体102は記録トラック方向に周期的に、円形状または楕円形状に設けられている。本発明1はこのように構造体102が記録トラック方向に周期的に(一定の間隔で)存在し、円形状もしくは楕円形状で、かつ、記録トラック間で分離されて設けられていることを特徴とする。
【0018】
このような構成によれば、クロスライト、クロスイレースの原因となる熱の拡がりが抑制され、記録マークの拡がりを構造体以下に制限することができるので、トラックピッチを従来より大幅に縮小することができる光記録媒体を得ることができる。
【0019】
発熱部101を構成する材料としては、記録光を吸収し発熱する材料であればどのような材料でもよい。
【0020】
構造体102を構成する材料としては、発熱部101の発熱で変化する材料であれば、どのような材料を用いてもよい。構造体102と支持基板103が同一材料であってもよい。また、構造体102と支持基板103が異なる材料であってもよい。
【0021】
上記した構造体の高さは10nm〜100nmであり、直径は50nm〜500nmである。構造体端部の形状は垂直から逆テーパー形状であることが好ましい。構造体は、構造体上に積層する発熱部を分離するために設ける。構造体端部の形状が垂直から逆テーパー形状であることによって、構造体上に積層した発熱部の被覆性は、構造体端部で低下する。被覆性が低下することによって、発熱部は構造体毎に分離された状態になる。
【0022】
支持基板103には、ガラス、石英などを用いることができる。また、Si、SOI(シリコンオンインシュレーター)などの半導体製造に用いられる基板も使える。また、Al、不透明ガラス基板など、HDD(ハードディスク)用の基板も用いることができる。また、ポリカーボネート、アクリル、ポリオレフィン、エポキシ、ビニルエステル、PET(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートならびにエチレン(テレ)フタレート、ブチレンテレフタレート、エチレンナフタレートなどの(共)重合体)などの樹脂基板を用いることができる。
【0023】
記録時には、発熱部101の発熱で構造体102が変化する。変化(記録)する形態は、構造体の材質によって異なる。即ち材料密度の変化、記録光照射部分が高密度化していてもよい。また、構造体材料の結晶状態の変化によってもよい。また、発熱部101と構造体102間での元素の相互拡散によってもよい。また、発熱部101と構造体102の変形によってもよい。また、発熱部101、構造体102および支持基板103の変形によってもよい。
【0024】
次に本発明2の光記録媒体について説明する。
図2〜図5は本発明2の光記録媒体の構成例をそれぞれ示すものである。
図2の201は発熱部、202は構造体、203は発熱部、204は支持基板を示す。発熱部201、203としては、記録光を吸収し発熱する材料であればどのような材料でも構わない。発熱部201と203は同じ材料でもよく、異なる材料でもよい。
【0025】
発熱部203は構造体を円形もしくは楕円形状に加工する際に作用する。構造体を加工する際には、発熱部203での発熱で構造体とする部分を変化させる。変化部分を選択的に残して円形もしくは楕円形状に加工する。これに対して発熱部201は、記録時に発熱し構造体を変化させるために作用する。
【0026】
構造体202を構成する材料としては、発熱部201の発熱で変化する材料であれば、どのような材料でもよいが、シリコン化合物を材料A、硫化物材料、セレン化物材料、フッ化物材料、窒化物材料、金属材料の群から選ばれる少なくとも一つの材料を材料Bとすると、材料A及び材料Bを含有することが好ましく、本発明2は構造体が材料A及び材料Bを含有することを特徴とする。これによれば構造体を簡便に形成することができる。
【0027】
材料Aのシリコン化合物としては、SiO2、SiONなどを用いることができる。また材料Bの硫化物材料としては、ZnS、CaS、BaSなどを、セレン化物材料としてはZnSe、BaSeなどを、フッ素化物材料としてはCaF2、BaF2などを、窒化物材料としては、AlN、GaN、SiNなどを用いることができる。材料Bの金属材料としてはAg、Au、Ptなどを用いることができる。材料Aと材料Bの混合比は、材料Aが5〜40mol%であり、残りが材料Bである。
【0028】
本発明2のようにシリコン化合物である材料Aを含有する混合体とすることによって構造体202の熱伝導率が低下する。記録時はレーザ光が発熱部201で吸収され、発熱部の熱により構造体202が変化し、記録マークが形成されるが、構造体202が低熱伝導率であることによって熱の拡散が抑制され、微細な記録マークを形成することができる。そして微細な記録マークが形成できることによって記録密度を上げることができる。
【0029】
記録時には、前述のように発熱部201の発熱で構造体202が変化する。変化(記録)する形態は、構造体の材質によって異なる。即ち材料密度の変化や、記録光照射部分が高密度化していてもよい。また、構造体材料の結晶状態の変化によってもよい。また、発熱部201と構造体202間での元素の拡散によってもよい。また、発熱部201、203、構造体203及び支持基板204の変形によってもよい。
【0030】
図3の301は記録部、201は発熱部、202は構造体、203は発熱部、204は支持基板を示す。図3の媒体は図2の媒体とは記録部301を設けるところが異なる。記録時は、記録光が発熱部201で吸収され、発熱部の熱により記録部301および構造体202が変化し記録マークが形成される。
【0031】
記録部301の材料としては、情報を記録する光の波長において光透過率が高い無機誘電体材料を用いることができる。例えば、SiO2、SiON、SiNなどのシリコン(含有)化合物材料、ZnS、CaS、BaSなどの硫化物材料、ZnSe、BaSeなどのセレン化物材料、CaF2、BaF2などのフッ素化合物材料、ZnOなどの酸化物材料を用いることができる。また、好ましい材料としては、シリコン酸化物(SiOx;ここでxは2以下)と、その他の材料Mを含有する材料である。その他の材料Mとしては、ZnS、CaS、BaSなどの硫化物材料、ZnSe、BaSeなどのセレン化物材料、CaF2、BaF2などのフッ素化合物材料、ZnOなどの酸化物材料を用いることができる。
【0032】
これらシリコン酸化物(SiOx;ここでxは2以下)と材料Mを含有する材料は、スパッタリング法で成膜する場合、成膜速度が速い。高速で成膜できることによって、媒体の製造コストを下げることができる。
【0033】
構造体材料、発熱部材料、支持基板として用いることのできる材料は、図2の媒体の場合と同じである。
【0034】
図4の301は記録部、201は発熱部、202は構造体、203は発熱部、401は熱伝導抑止部、204は支持基板を示す。図4の媒体は図3の媒体とは熱伝導抑止部401を設けることが異なっている。熱伝導抑止部401は発熱部203から基板204への熱拡散を抑制するために設ける。
熱伝導抑止部401を構成する材料としては熱伝導が抑制できる材料であれば、どのような材料であっても構わない。
【0035】
例えば、熱伝導抑制材料としては、SiO2、SiON、SiNなどのシリコン化合物材料、CaF2、BaF2などのフッ素化合物材料を用いる。また、構造体202の材料と同様に、シリコン酸化物を材料Aとする材料Aと材料Bの混合体材料を用いることができる。構造体材料、記録部材料、発熱部材料、支持基板として用いることのできる材料は図3の媒体と同じである。
【0036】
図5の501は保護層を示し、301は記録部を示し、201は発熱部を示し、202は構造体を示し、203は発熱部を示し、401は熱伝導抑止部を示し、204は支持基板を示す。図5の媒体は図4の媒体とは保護層を設けるところが異なる。保護層501は媒体保護のために設ける。保護層を構成する材料としては、媒体を保護できる材料であれば、どのような材料であっても構わない。
【0037】
例えば、保護層材料としては、SiN、SiO2、SiON、SiCなどのシリコン化合物を用いることができる。また、ポリカーボネート、アクリル、ポリオレフィン、エポキシ、ビニルエステル、ペットなど透光性樹脂材料を用いることもできる。各材料を単層で保護層材料としてもよい。また、シリコン化合物材料と、透光性樹脂材料の積層構成を保護層材料としてもよい。構造体材料、記録部材料、発熱部材料、熱伝導抑止部材料、支持基板として用いることのできる材料は図4の媒体と同じである。
【0038】
次に本発明3の光記録媒体について説明する。
図6は第3の発明に係る光記録媒体を示したものである。
図6の光記録媒体は、図4の光記録媒体を用いたもので、301は記録部を示し、201は発熱部を示し、202は構造体を示し、203は発熱部を示し、401は熱伝導抑止部を示し、204は支持基板を示す。601は記録・再生の際のレーザ光照射方向を示す。
支持基板204には記録・再生レーザ光の案内溝(凹部および凸部)が存在する。602は凸部を示し、603は凹部を示す。凹部の深さは10nm〜100nmの範囲である。604はトラックピッチを示す。
【0039】
図6に示す通りに、支持基板204には凹部、凸部が存在し、円形もしくは楕円形状である構造体202は、凹部および凸部上に存在している。支持基板の凹部、凸部は同心円状であっても螺旋状であってもよい。
記録・再生の際は、レーザ光を凸部602もしくは凹部603に対してトラッキングする。トラッキングの方法としてはプッシュプル法、もしくはディファレンシャルプッシュプル法を用いることができる。支持基板に凹凸が存在することから、構造体の形状の影響を受けることなく、プッシュプル信号が生成できる。従って、記録・再生光の安定なトラッキングができる。
【0040】
次に第4の発明について説明する。
これまで本発明1〜3の光記録媒体の構成について説明してきたが、発熱部の材料について、以下に述べる。
【0041】
発熱部を構成する材料としては、基本的には記録光を吸収し発熱する材料であればどのような材料でもよいが、相変化材料、半導体材料、低融点金属材料、金属間化合物材料の群から選ばれる少なくとも一種の材料を用い、その材料からなる単層、もしくは複数層からなる構成が好ましく、本発明4は発熱部がこのような発熱材料からなることを特徴とする。
このような発熱部によれば、構造体を簡便な方法で分離することができ、また、再生時には解像限界の微小マークを再生することができる。なお、図2〜図5における発熱部201、203の複数層の場合は同じ材料でも異なる材料であっても良い。
【0042】
発熱部に用いる相変化材料としては、SbとTeを少なくとも含有し、SbとTeの比Sb/Teが、1〜4の範囲にある材料を用いる。
発熱部に用いる相変化材料としては、例えば、Sb(70at%)Te(30at%)、Sb(75at%)Te(25at%)、Sb(80at%)Te(20at%)などを用いることができる。また、SbとTeの比Sb/Teが、1〜4の範囲にあるSbTeと、このSbTe以外に、他の元素を含んでも構わない。
【0043】
含んでいてもよい他の元素としては、Ag、In、Ge、Gaなどを用いることができる。例えば、Ag−In−Sb(65at%)−Te(25at%)、Ag−In−Sb(60at%)−Te(30at%)、Ge−Sb(70at%)−Te(25at%)、Ga−Sb(70at%)−Te(25at%)、Ge−Ga−Sb(65at%)−Te(25at%)などの材料組成を発熱材料に用いることができる。
【0044】
発熱部に用いる半導体材料としては、Si、Geなどの半導体材料を用いることができる。
また低融点金属材料としては、Bi、In、Snなどを用いることができ、金属間化合物材料としては、Bi、Ga、In、Snなどの低融点金属を含む化合物材料を用いることができる。BiTe、BiIn、GaSb、GaP、InP、InSb、InTe、SbSnなどの材料である。
発熱部の膜厚は10nm〜50nmの範囲である。
【0045】
図7に本発明1〜3の光記録媒体の最も好ましい作製方法を示す。
図7(a)は構造体材料を円形状に加工する前の構成を示す。
202は、構造体の材料からなる層である。この構造体の材料はZnS−SiO2であり、この材料の比率は、ZnSが60〜95mol%の範囲で、SiO2が40〜5mol%の範囲である。202の膜厚は20〜100nmの範囲である。
203は発熱部の材料からなる層である。材質はAgInSbTeで、膜厚は5〜50nmである。401は熱伝導抑制部の材料からなる層である。材質はZnS−SiO2であり、材料の比率および膜厚は、前記202と同範囲である。
204は支持基板である。材質はポリカーボネートである。厚みは0.3〜1.2mmである。媒体の大きさは直径12cmのたとえばCDサイズとなっている。基板にはトラッキング用の溝が螺旋状に設けられている。
701は凸部、702は凹部を示す。凹部の深さは20nmである。
【0046】
図7(b)はレーザ光照射工程を示す。構造体として残す部分にレーザ光を照射する。
703はレーザ光照射方向を示す。レーザ光源には波長405nmの半導体レーザを用いた。対物レンズの開口数は0.85である。レーザ光を凸部701、凹部702に対してトラッキングしながら照射した。構造体の周期のタイミングでパルス光を照射した。照射条件は、レーザパワー1.5〜10mWの範囲であり、パルス幅は10〜30nsecである。レーザ照射部の構造体の材料からなる層202が緻密化および結晶化によって変化する。
704はこれによって変化した部分を示している。
【0047】
図7(c)はエッチング工程を示す。エッチングで構造体の材料からなる層を円形に加工する。ウエットエッチング法を用いる。エッチング溶液はフッ酸水溶液(たとえば、HF:H2O=1:10)である。
フッ酸水溶液に浸漬することによって、レーザ光非照射部分が除去され、構造体の材料からなる層を円形に加工することができる。
705は円形状に加工した構造体を示す。
706は構造体のトラックピッチを示す。
本第3の発明に示す通り、支持基板には記録・再生光の案内溝(凹部および凸部)が存在し、円形状である構造体は凹部および凸部上に形成されている。
【0048】
図7(d)は光記録媒体の構成を示す。
構造体705上に発熱部201と記録部301をスパッタ法で積層した。
201は発熱部である。材質はAgInSbTeで、膜厚は5〜50nmである。301は記録部である。材質はZnS−SiO2で、この材料の比率はZnSが60〜95mol%であり、SiO2が40〜5mol%である。膜厚は20〜100nmである。以上のようにして光記録媒体を作製した。
【0049】
次に本第5の発明の光記録媒体について説明する。
本第5の発明は、本発明1〜4の光記録媒体における構造体の周期に関する。
記録・再生光の波長をλとし、対物レンズの開口数をNAとすると、円形状もしくは楕円形状である構造体の媒体半径方向の周期(トラックピッチ)Ptは、λ/2NA以下の値となる。
図10に示す平面図において、1003はレーザビーム径を示す。
1004はトラックピッチであり、構造体の媒体半径方向における周期である。
1005は構造体の直径を示す。記録・再生光の波長をλとし、対物レンズの開口数をNAとすると、トラックピッチ(Pt)1004は、λ/2NA以下の値となる。例えば、記録・再生光の波長が405nm、対物レンズの開口数が0.85である場合には、トラックピッチを150〜230nmの範囲に設定する。
【0050】
本第5の発明の光記録媒体によれば、構造体の周期をλ/2NA以下の値にして記録密度を上げた場合に、前記した発熱材料からなる発熱部の光学特性の変化を利用して、ビーム径内の一部の光学特性を変えることによって超解像再生状態にし、クロストークを抑制し、解像限界の微小マークを再生することができる。
超解像再生とは、解像限界より短い周期で記録されたマークを周期信号として観測する現象を指す。レーザ光の波長をλ、対物レンズの開口数をNAとすると、λ/2NA値を、ここでは解像限界としている。
【0051】
次に本第6の発明の光記録媒体について説明する。
本第6の発明6は、本発明1〜5の光記録媒体における構造体の配列状態に関する。
記録・再生光の波長をλとし、対物レンズの開口数をNAとすると、円形状もしくは楕円形状である構造体の媒体半径方向の周期(トラックピッチ)Ptは、λ/2NA以下の値である。図12は図3の媒体を用いて構造体の配列状態を示したものである。図12(a)は、図12(b)のA−A'断面図である。図12(b)は平面図である。
【0052】
図12(a)において、301は記録部を示し、201は発熱部を示し、202は構造体を示し、203は発熱部を示し、1201は記録状態にある構造体(記録マーク)を示す。
図12(b)は構造体202のみを示す。
図12(b)において、1210はレーザビーム径を示す。また1211はビーム径中心に位置する構造体を示し、1212は中心以外に位置する構造体を示し、1213はトラックピッチを示し、1214は構造体の直径を示し、1215は構造体のトラック方向の周期を示し、1216は構造体の中心を結ぶ線がなす角度を示す。
【0053】
記録・再生光の波長をλとし、対物レンズの開口数をNAとすると、トラックピッチ1214はλ/2NA以下である。例えば、記録・再生光の波長が405nm、対物レンズの開口数が0.85である場合には、トラックピッチを100〜230nmの範囲に設定する。本媒体構成では、構造体に倣った記録マークが形成でき、円形状の記録マークになる。従って、構造体の直径1214を小さくする程、記録マーク径を小さくできる。しかしながら記録マーク径が小さくなると信号強度が低下する。
【0054】
よって、好ましくは、構造体の直径1214はトラックピッチの0.6〜1倍に設定する。例えば、記録・再生光の波長が405nm、対物レンズの開口数が0.85である場合には、構造体の直径は、60nm〜230nmの範囲であることが好ましい。構造体202の媒体面内における配列状態は、三回対称(最密充填)配列である。角度1216は、約60°になっている。トラック方向及び半径方向における構造体202の間隔は一定である。
本発明6の光記録媒体によれば、構造体の周期をλ/2NA以下にして記録密度を上げた場合に、3回対称配列とすることによってクロストークを利用して記録情報を多値判定することができる。
【0055】
次に本第7の発明の光記録媒体について説明する。
本発明7は本発明1〜6の光記録媒体における構造体と発熱部との積層順序に関する。即ち支持基体上で、支持基体に近いほうに構造体、支持基体から遠いほうに発熱部を配置する。構造体と発熱部とは上下で接触して積層しても、その間に異なる層が挿入されてもよい。このように発熱部が支持体側から構造体より上部に配置されることによって、発熱部側からレーザ光を照射し情報を記録することができる。すなわち、発熱部側から光を照射することによって発熱部で効率よく光が吸収され、記録再生に要するレーザパワーを下げることができる。また、支持基板を通すことなく発熱部側から光を照射することで、対物レンズの開口数(NA)を大きくすることができ、開口数NAを大きくすることによって、レーザビームスポット径を小さくでき、記録密度が上げられる。
【0056】
次に本第8の発明の記録方法について説明する。
本発明8は本発明7の光記録媒体を用いた記録方法に係る。この方法では、支持基板、構造体、発熱部の積層構成に対して発熱部側からレーザ光を照射し、トラック方向における構造体の周期でレーザパワーレベルを上げて情報を記録することを特徴とする。
レーザ光源としてたとえば半導体レーザを用いる。好ましい波長は、390〜410nmの範囲である。例えば、GaN系による半導体レーザ(いわゆる青色発光の半導体レーザ)を用いる。対物レンズの開口数(NA)は、0.5〜2.0の範囲である。好ましい開口数NAは、0.8〜0.95の範囲である。
図8は従来媒体の記録状態を示す。また図9は、図3に示す本発明の光記録媒体を用いて記録したときの記録状態を示すものである。
【0057】
本第8の発明の記録方法を説明するにあたり、まず、従来の光記録媒体による記録方法を比較のために説明する。
図8は、薄膜を積層した従来の光記録媒体である。図8の801は記録部を示し、802は発熱部を示し、803は支持基板を示し、804はレーザ光の照射方向を示し、805は記録マークを示す。矢印は、媒体半径方向の記録マークの大きさ(以降、記録マーク幅と記載)を示す。
806はレーザ照射時の発熱部802の温度分布を示す。媒体半径方向の温度分布である。807は記録温度を示す。808はレーザビーム径を示す。
温度分布806は、レーザビームの強度分布を反映して、ガウシアン分布(ガウス分布)になる。記録マークは記録温度807以上に昇温した部分の記録部が変化して記録マークになる。媒体半径方向における温度分布は、前述のようにレーザビームの強度分布に従うことから、マーク幅805はレーザビーム径で一義的に決まってしまう。そしてビーム径に対してマーク幅を極端に狭くすることはできない。そのため、従来媒体では、記録マークは半径方向に拡がった状態になる。通常、記録マークの重なり(クロスライト)を避けるため、トラックピッチに余裕を持たせるが、トラックピッチは、マーク幅805以下には縮小することはできない。
【0058】
このような従来の記録状態に対して、本発明8の記録方法を以下に説明する。
図9の301は記録部を示し、201は発熱部を示し、202は構造体を示し、203は発熱部を示す。構造体202は円形状であり、媒体半径方向において完全に分離されている。901はレーザ光の照射方向を示す。902は記録マークを示す。矢印は、記録マーク幅を示す。903はレーザ照射時の発熱部の温度分布を示す。これは媒体半径方向の温度分布である。904は記録温度を示す。905はレーザビーム径を示す。906は構造体の直径を示す。記録部301および発熱部201は、円形状である構造体202上に積層されている。構造体端部では、各材料の被覆率が低下することから、各材料は媒体半径方向において分離されたような状態になっている。発熱部201が分離された状態になっていることから、面内での熱拡散が制限され、レーザビーム中心の発熱部が特に高温になる。記録温度904以上に昇温する構造体部分のみに記録マークが形成できる。マーク幅902の半径方向への拡がりは、構造体の直径906以下に制限される。記録マークは構造体の上下のみに形成される。このように記録マーク幅が縮小できることから、トラックピッチは図8に示す従来媒体よりも狭く設定することができる。
【0059】
図10に記録状態を平面図で示す。図10には、構造体1001、1002のみを示している。1001は記録状態にある構造体である。1002は未記録状態の構造体である。1003はレーザビーム径を示す。1004はトラックピッチを示す。1005は構造体の直径を示す。1006はレーザパワーの変調方法を示す。1006に示すように構造体上でレーザ光のパワーレベルを上げる。図9に記載したように、レーザビーム中心の発熱部が特に高温になる。ビーム径1003内には複数個の構造体が含まれるが、レーザビーム中心に位置する構造体1001のみが変化し記録マークになる。
【0060】
次に本発明9の記録・再生方法について説明する。
本発明9は本発明7の光記録媒体に対する記録・再生方法に係わり、支持基板、構造体、発熱部の積層構成に対して発熱部側からレーザ光を照射し、トラック方向における構造体の周期でレーザ光のパワーレベルを上げて情報を記録し、トラック方向における構造体の周期でレーザ光のパワーレベルを上げて信号を検出することを特徴とする。
【0061】
本発明9の記録方法は本発明8の記録方法と同様であり、図9に記録方法を、図10には、前述した記録状態を示したとおりである。以下に、再生方法を説明する。
図11に本発明9における再生方法を平面図で示す。図11には、構造体1101、1102と、発熱部1104のみを示す。1101は記録状態にある構造体(記録マーク)である。1102は未記録状態の構造体である。1103はレーザビーム径を示す。1104は構造体上に積層された発熱部である。1105は発熱部の変化部分を示す。1106はトラックピッチを示す。1107はレーザパワーレベルの変調方法を示す。1108はビームがトラック方向に移動しながら構造体の周期で検出する信号レベルの変化を示す。1109は信号レベルの変化を検出するために設けるしきい値を示す。1107に示すように構造体の周期に一致させて再生パワーレベルを上げる。この場合、図9に示した記録方法と同様に構造体部分が特に高温になる。温度が上がることによって、発熱部の変化部分1105では光学特性が変化する。光学特性が変化することによって、透過率もしくは反射率が変化する。
【0062】
レーザビームは隣接する構造体にかかる状態にあるが、ビーム径中心に位置する構造体付近でのみ反射率もしくは透過率が変化することから、隣接する構造体からの信号の漏れ込み、つまりクロストークが低減できる。1108には信号レベルの変化を示す。クロストークが低減できることから、解像限界以下の記録周期の構造体からの周期信号が観測できる。記録状態にある構造体1101と、未記録状態の構造体1102とでは、信号レベルが異なる。しきい値1109を設定し信号レベルの大きさを判定することによって、構造体の記録状態、つまり、記録状態を判定する。
【0063】
次に本発明10の記録・再生方法について説明する。
本発明10は本発明7の光記録媒体に対する記録・再生方法に係わり、支持基板、構造体、発熱部の積層構成に対して発熱部側からレーザ光を照射し、トラック方向における構造体の周期でレーザ光のパワーレベルを上げて情報を記録し、トラック方向における構造体の周期で信号を検出することを特徴とする。
本発明10における記録方法は、前述した本発明8の記録方法と同様であり、図9に記録方法を、図10に記録状態を示したとおりである。以下に、本発明10の再生方法を説明する。
【0064】
図12(b)の平面図に、本発明10の再生方法を示す。
図12(b)に示したように、ビーム径1210内に複数の構造体が含まれる。構造体の配列は、本発明6に示す3回対称配列(最密充填配列)である。トラック方向における構造体の周期で信号レベルを検出する。ビーム径内に含まれる記録状態にある構造体(記録マーク)と未記録状態の構造体では反射光のレベルが異なる。また、記録状態にある構造体のビーム径内での位置によっても信号レベルは変化する。その様子を図13に示す。
【0065】
図13には、記録状態にある構造体の配列と信号レベルの関係を示す。トラック方向における構造体の周期で信号を検出した際の信号レベルの変化である。130はビーム径を示す。131は記録状態にある構造体を示す。132は未記録状態の構造体を示す。1301はビーム径内の全ての構造体が未記録状態である様子を示す。1314はビーム径内の全ての構造体が記録状態である様子を示す。1302はビーム径内の中心以外の構造体一個が記録状態にある様子を示す。この場合には、複数の組み合わせが生じるが、何れも同じ信号レベルになる。1303はビーム径の中心以外の構造体2個が記録状態にある様子を示す。この場合にも、複数の組み合わせが生じるが、何れも同じ信号レベルにある。
【0066】
1304はビーム径内の中心に位置する構造体1個が記録状態である様子を示す。1個が記録状態にあるが、ガウス分布をするレーザビーム中心の強度は強いため、1302とは異なる信号レベルになる。以上のようにビーム径内において、記録状態にある構造体の位置と個数によって再生の信号レベルが変化する。
【0067】
図12(b)の平面図に示すように構造体を三回対称(最密充填)配列として、ビーム中心に位置する構造体1211から最近接する全ての構造体(例えば1212)の距離を等しくすることによって、複数の配列状態が一つの信号をとる。その結果、記録・未記録状態と記録位置によって変化する信号レベルの数を少なくすることができる。信号レベル数が少なくなることによってS/N比(信号対雑音の比)の低下が軽減できる。その結果、信号レベルの判定が容易になり、構造体の周期で信号レベルの変化を検出し、記録状態にある構造体の配列状態、つまり、記録情報を判定することができる。
【0068】
最も好ましい配列状態は、本発明6で示しており、記録・再生方法は本発明10で示している。媒体の構成は図7(d)に示す通りであり、記録・再生光の波長は405nm、対物レンズの開口数が0.85である。また、図12において、トラックピッチ1213は120nm、構造体の径1214は100nm、構造体のトラック方向の周期1215は140nmである。また、図13において、1301から1314に示す記録、未記録状態の構造体の組み合わせが生じる。この場合、信号レベルは14段階で変化する。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明1に係わる光記録媒体の一例を示す断面図である。
【図2】本発明2に係わる光記録媒体の一例を示す断面図である。
【図3】本発明2に係わる光記録媒体の一例を示す断面図である。
【図4】本発明2に係わる光記録媒体の一例を示す断面図である。
【図5】本発明2に係わる光記録媒体の一例を示す断面図である。
【図6】本発明3に係わる光記録媒体の一例を示す断面図である。
【図7】本発明2に係わる構造体の作製方法の説明図であり、(a)は、構造体を円形状に加工する前の媒体(断面図)を示し、(b)は、レーザ照射工程(断面図)を示し、(c)は、エッチング工程(断面図)を示し、(d)は、構造体を円形状に加工した後の媒体(断面図)を示す図である。
【図8】従来の記録方法を示す図(光記録媒体の断面と記録時の温度分布とを示す図)である。
【図9】本発明8の記録方法を示す図(光記録媒体の断面と記録時の温度分布を示す図)である。
【図10】本発明8の記録方法を示す図(記録状態の平面図)である。
【図11】本発明9の再生方法を示す図(再生状態の平面図)である。
【図12】本発明6の記録媒体と本発明10の再生方法を示す図(構造体の配列状態を示す図)であり、(a)は記録状態の構造体を示す断面図を示し、(b)は、記録状態の構造体を示す平面図である。
【図13】本発明10の再生方法を示す図(信号レベルの変化を示す図)である。
【符号の説明】
【0070】
101 発熱部
102 構造体
103 支持基板
201 発熱部
202 構造体
203 発熱部
204 支持基板
301 記録部
401 熱伝導抑止部
501 保護層
601 光照射方向
602 支持基板凸部
603 支持基板凹部
604 トラックピッチ
701 支持基板凸部
702 支持基板凸部
704 変形部分
705 円形状に加工した構造体
706 構造体のトラックピッチ
801 記録部
802 発熱部
803 支持基板
804 レーザ光照射方向
805 記録マーク幅
806 記録部の温度分布
807 記録温度
808 レーザビーム径
901 レーザ光照射方向
902 記録マーク幅
903 記録部の温度分布
904 記録温度
905 レーザビーム径
906 構造体の直径
1001 記録状態の構造体
1002 未記録状態の構造体
1003 レーザビーム径
1005 構造体の直径
1006 レーザ光のパワーレベル変調方法
1101 記録状態の構造体
1102 未記録状態の構造体
1103 レーザビーム径
1104 発熱部
1105 発熱部の変化部分
1106 トラックピッチ
1107 レーザ光のパワーレベル変調方法
1108 信号レベルの変化
1109 信号検出のしきい値
1201 記録状態の構造体
1210 レーザビーム径
1211 ビーム中心の構造体
1212 ビーム中心以外の構造体
1213 トラックピッチ
1214 構造体の直径
1215 構造体のトラック方向周期
1216 構造体の中心を結ぶ線がなす角度
130 レーザビーム径
131 記録状態の構造体
132 未記録状態の構造体
1301 未記録状態
1302 ビーム中心以外1個の構造体が記録状態
1303 ビーム中心以外2個の構造体が記録状態
1304 ビーム中心1個が記録状態
1314 ビーム径内全てが記録状態

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と、構造体と、光を吸収し発熱する発熱部とを少なくとも有する光記録媒体であって、
前記構造体が、記録トラック方向に周期的に存在し、円形状もしくは楕円形状であり、かつ、前記記録トラック間で分離されていることを特徴とする光記録媒体。
【請求項2】
前記構造体が、硫化物材料、セレン化物材料、フッ化物材料、窒化物材料の群から選ばれる少なくとも一種の材料と、シリコン化合物とを含有することを特徴とする請求項1に記載の光記録媒体。
【請求項3】
前記支持基板が記録光および/または再生光の案内溝である凹部または凸部を有し、前記構造体が前記凹部および前記凸部上に存在していることを特徴とする請求項1又は2に記載の光記録媒体。
【請求項4】
前記発熱部が、相変化材料、半導体材料、低融点金属材料、金属間化合物材料の群から選ばれる少なくとも一種の材料より選択される単層もしくは複数層からなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の光記録媒体。
【請求項5】
前記記録光および/または再生光の波長をλとし、対物レンズの開口数をNAとした場合に、分離した前記構造体の媒体半径方向の周期であるトラックピッチが、λ/2NAの値以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の光記録媒体。
【請求項6】
前記円形状もしくは楕円形状である構造体の媒体面内における配列状態が、3回対称配列である最密充填配列であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の光記録媒体。
【請求項7】
前記支持体上に前記構造体を有し、前記構造体上に前記発熱部を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の光記録媒体。
【請求項8】
請求項7記載の光記録媒体に対して、前記発熱部側からレーザ光を照射し、トラック方向における前記構造体の周期でレーザ光のパワーレベルを上げて情報を記録することを特徴とする記録方法。
【請求項9】
請求項7記載の光記録媒体に対して、前記発熱部側からレーザ光を照射し、トラック方向における前記構造体の周期でレーザ光のパワーレベルを上げて情報を記録し、トラック方向における前記構造体の周期でレーザ光のパワーレベルを上げて信号を検出することを特徴とする記録・再生方法。
【請求項10】
請求項7記載の光記録媒体に対して、前記発熱部側からレーザ光を照射し、トラック方向における前記構造体の周期でレーザ光のパワーレベルを上げて情報を記録し、トラック方向における前記構造体の周期で信号を検出することを特徴とする記録・再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−309857(P2006−309857A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−130465(P2005−130465)
【出願日】平成17年4月27日(2005.4.27)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】