説明

光記録装置

【課題】金属膜表面から離れた位置に生成される光スポットを利用して光記録を行う光記録装置において、記録密度を高くするとともに、再生時の読み取り誤差を小さくする。
【解決手段】光記録用ヘッド1は、光源2と金属膜3とを備えている。金属膜3には、光源2と反対側の面に貫通孔及び周期的凹凸構造が形成されており、光源2から金属膜3の貫通孔に直線偏光で光が照射される。光記録用ヘッド1は、記録媒体104の周方向と、上記金属膜に入射される光の偏光方向とが平行となるように、スライダ107に取り付けられており、スピンドル101により記録媒体104を回転させることによって、光記録用ヘッド1と記録媒体104とを、上記偏光方向と平行な方向に相対的に走査させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光記録用ヘッドにより記録媒体に記録を行う光記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表面プラズモンポラリトンを用いた技術が精力的に開発されており、光記録用ヘッドおよび光記録装置への応用が盛んに提案されている。その1つとして、貫通孔・スリットなどの周囲に周期的凹凸構造が形成された金属膜に光を入射すると、金属膜で表面プラズモンポラリトンが励起されるという技術がある。この技術では、励起された表面プラズモンポラリトンが、周期的凹凸構造により、貫通孔・スリット部に集められるため、局所的に強い強度の表面プラズモンポラリトンを発生させることができる。
【0003】
そして、特許文献1には、貫通孔と周期的凹凸構造が形成された金属膜からなる光学素子を、スライダに搭載することにより、貫通孔近傍に局在した強い表面プラズモンポラリトンで光記録を行う方法が記載されている。
【0004】
また、非特許文献1には、励起された表面プラズモンポラリトンが再放射されることにより、金属膜表面から離れた位置に光スポットが発生し、この光スポットが光記録に利用可能であることが記載されている。
【0005】
ここで、これらの技術に用いる周期的凹凸構造には大きく分けて2種類ある。すなわち、同心円パターンと直線パターンである。そして、いずれの場合でも、表面プラズモンポラリトンの励起効率と、表面プラズモンポラリトンからの再放射効率を上げるためには、偏光方向が、周期的凹凸構造の周期方向に平行な方向の光を入射することが好ましい。よって、同心円パターンについては、例えば、非特許文献2に、無偏光が好ましいと記載されており、非特許文献1でも、無偏光の光が入射されている。一方、特許文献1では、偏光面の角度を可変にする手段を設け、この手段により偏光面の角度を調整することで、貫通孔から出射される金属膜表面の光スポットの強度を最大にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−61880号公報
【特許文献2】特開2003−217172号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】“Beaming Light from a Subwavelength Aperture”H. J. Lezec, et al., Science, 297, 820, (2002)
【非特許文献2】“Diffracted evanescent wave model for enhanced and suppressed optical transmission through subwavelength hole arrays”H. J. Lezec, et al., Optics Express, 12, 3629, (2004)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献1のようにスライダに記録素子を搭載するためには、コスト・作製容易性などの点から、できるだけ部材の数が少ないことが望ましい。しかしながら、特許文献1では、偏光面の角度を可変にする手段としてファラデー素子を設けている。また、スライダ外部に設けた光源から、光を伝送させている。そのため、光学素子をスライダへ搭載するのに加え、スライダをサスペンションへ搭載する必要があり、非常に組立てが困難なものとなる。
【0009】
ここで、スライダに光源と光学素子の両方を搭載することが考えられるが、これは、偏光方向を操作するための部材を、金属膜と光源の間に設けることが困難であり、現実的でない。さらに、スライダに光源を搭載する場合、現実的に搭載可能な光源は半導体レーザとなるが、半導体レーザからの出射光は直線偏光であるため、非特許文献1、非特許文献2に記載されているような無偏光とするのも困難であり、現実的でない。
【0010】
これらに鑑みると、スライダへ光源と光学素子を搭載する場合には、偏光方向を操作するための部材を設けずに、さらに、光学素子に直線偏光を入射させるのが現実的である。
【0011】
また、貫通孔近傍に局在した強い表面プラズモンポラリトンで光記録する場合、特許文献2に記載されているように、貫通孔、スリットなどのエッジ部に強度の強いスポット光が発生するので、記録密度を高くするとともに、再生時の読み取り誤差を小さくするためには、偏光方向に対して直交方向に記録媒体を走査することが好ましいとされる。また、直線パターンの周期的凹凸構造を設ける場合、パターン方向に対して直交する方向の偏光方向を持つ光を入射して表面プラズモンポラリトンを励起するので、記録密度を高くすることができるとともに、再生時の読み取り誤差を小さくするためには、貫通孔、スリットなどのこの方向のエッジ部に強度の強いスポット光が発生するため、偏光方向に対して直交方向に記録媒体を走査することが好ましいとされる。
【0012】
しかしながら、特許文献1、2に記載されているのは、金属膜表面に生成される光スポットを用いて記録を行う場合についてであり、非特許文献1に記載されているように、金属膜表面から離れた位置に生成される光スポットを利用して光記録を行う場合には、偏光方向と記録媒体の走査方向と関係を特許文献1、2に記載されているようなものとしても、記録密度を高くすること、及び、再生時の読み取り誤差を小さくすることはできない。
【0013】
本発明の目的は、金属膜表面に直線偏光の光を入射させることにより、金属膜表面から離れた位置に生成される光スポットを利用して光記録を行う、記録密度を高くすることができるとともに、再生時の読み取り誤差を小さくすることが可能な光記録装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
第1の発明に係る光記録装置は、光源と、上記光源からの直線偏光の光が照射される入射面と上記入射面と反対側の出射面とを接続する貫通孔、及び、上記入射面及び上記出射面の少なくともいずれか一方に形成された周期的凹凸構造とを有する金属膜と、からなる光記録用ヘッドと、上記光記録ヘッドと記録媒体とを、金属膜に入射する光の偏光方向と直交しない方向に、相対的に走査させる相対走査手段とを備えていることを特徴とするものである。
【0015】
上記構成によると、光記録用ヘッドと記録媒体とを、金属膜表面から離れた位置に発生する光スポットの幅が狭い方向に相対的に走査させることになり、走査方向の光強度の立ち上がりが急峻になるため、記録密度を高くすることができるとともに、再生時の読み取り誤差を小さくすることができる。また、金属膜表面から離れた位置に生成される光スポットで記録できるため、スライダの制御マージンが緩和され、記録媒体の取り外しも可能となる。
【0016】
第2の発明に係る光記録装置は、第1の発明に係る光記録装置であって、上記走査方向が、上記偏光方向と平行であることを特徴とするものである。
【0017】
上記構成によると、光記録用ヘッドと記録媒体とを、金属膜表面から離れた位置に発生する光スポットの幅が最も狭い方向に相対的に走査させることになり、走査方向の光強度の立ち上がりが最も急峻になるため、記録密度を高くすることができるとともに、再生時の読み取り誤差を小さくすることができる。また、光源、金属膜、周期的凹凸構造をスライダに対して斜めに設置する必要がなく、組立て・調整が容易となる。
【0018】
第3の発明に係る光記録装置は、第1又は第2の発明に係る光記録装置であって、上記周期的凹凸構造が、上記貫通孔を中心とする同心円パターンで形成されていることを特徴とするものである。
【0019】
上記構成によると、金属膜表面から離れた位置に発生する光スポットを小さくすることができるため、記録密度を高くすることができる。また、等方性を有する構造であるため、製造時に、周期的凹凸構造の設置方向を気にする必要がない。
【0020】
第4の発明に係る光記録装置は、第1又は第2の発明に係る光記録装置であって、上記周期的凹凸構造が、上記偏光方向と交差する方向に延びた直線パターンで形成されていることを特徴とするものである。
【0021】
上記構成によると、製造時の位置合わせの精度をそれほど高くする必要がなく、容易な製造工程にすることができる。これにより、製造時間を短くでき、製造コストも下げられる。
【0022】
第5の発明に係る光記録装置は、第4の発明に係る光記録装置であって、上記直線パターンの延在方向に関する長さが、上記金属膜に入射する光の波長より長いことを特徴とするものである。
【0023】
上記構成によると、製造精度が緩和されるため、製造がさらに容易となり、製造時間を短くでき、製造コストも下げられる。また、光の利用効率が高くなり、光スポットの強度を強くすることができる。
【0024】
第6の発明に係る光記録装置は、第4又は第5の発明に係る光記録装置であって、上記偏光方向が、前記直線パターンの延在方向と直交する方向であることを特徴とするものである。
【0025】
上記構成によると、直線パターンに光を入射する場合、直線パターンの延在方向に直交する方向の偏光方向の光で入射するときが、最も光の利用効率が高くなる。よって、光スポットの強度を強くすることができる。
【0026】
第7の発明に係る光記録装置は、第1〜第6のいずれかの発明に係る光記録装置であって、上記貫通孔のサイズが、上記金属膜表面内の少なくとも1方向には、上記金属膜に入射する光の波長より小さいことを特徴とするものである。
【0027】
上記構成によると、入射する波長より小さい方向に光スポットを小さくすることができ、記録密度を高くすることができる。
【0028】
また、第8の発明に係る光記録装置は、第1〜第7のいずれかの発明に係る光記録装置であって、周期的凹凸構造が上記出射面のみに形成されていることを特徴とするものである。
【0029】
上記構成によると、製造が容易となり、製造時間を短くでき、製造コストも下げられる。
【0030】
第9の発明に係る光記録用ヘッドは、第1〜第7のいずれかの発明に係る光記録装置であって、周期的凹凸構造が上記入射面及び上記出射面の両面に形成されていることを特徴とするものである。
【0031】
上記構成によると、光の利用効率が高くなり、光スポットの強度を強くすることができる。
【0032】
第10の発明に係る光記録用ヘッドは、第1〜第9のいずれかの発明に係る光記録装置であって、金属膜が光源と一体化されていることを特徴とするものである。
【0033】
上記構成により、小型化が可能となり、スライダに搭載したときの光記録用ヘッドと記録媒体との距離の制御がしやすくなる。また、スライダ搭載時の組立て・調整が容易になるため、製造時間を短くでき、製造コストも下げられる。また、光源と金属膜との間に不要な光学素子がないため、それによる光の反射などによるロスがなくなり、光の利用効率が高くなり、光スポットの強度を強くすることができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によると、金属膜表面から離れた位置に発生する光スポットの幅が狭い方向に走査することになり、走査方向の光強度の立ち上がりが急峻になるため、記録密度を高くすることができるとともに、再生時の読み取り誤差を小さくすることができる。また、金属膜表面から離れた位置に生成される光スポットで記録できるため、スライダの制御マージンが緩和され、記録媒体の取り外しも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】第1実施形態に係る光記録装置の斜視図である。
【図2】第1実施形態に係る光記録用ヘッドの概略構成を示す斜視図である。
【図3】第1実施形態に係る光記録用ヘッドの上面図と断面図である。
【図4】図2および3で示される、第1実施形態に係る光記録用ヘッドで生成される光の強度分布を示す図である。
【図5】第1実施形態に係る光記録用ヘッドの製造方法を示す断面図である。
【図6】第2実施形態に係る光記録用ヘッドの概略構成を示す斜視図である。
【図7】図6で示される、第2実施形態に係る光記録用ヘッドで生成される光の強度分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態について説明する。
【0037】
〔光記録装置〕
第1実施形態に係る光記録装置100について、図1を参照して説明する。なお、本実施の形態に係る光記録装置100は、後述する光記録用ヘッド1を用いて光記録を行う装置である。なお、光記録装置100は、少なくとも光を利用して、記録媒体104に情報を記録するものであればよい、つまり、光のみを用いて記録媒体104に情報の記録を行うものであってもよいし、光に加えて磁界を利用して記録媒体104に情報を記録するものであってもよい。
【0038】
図1は、本発明の光記録用ヘッド1を用いた光記録装置100の斜視図である。光記録装置100は、図1に示すように、スピンドル101と、駆動部102と、制御部103とを備えている。
【0039】
スピンドル101は、記録媒体104を回転させるスピンドルモータに相当するものである。駆動部102は、アーム105と、回転軸106と、スライダ107とを備えている。アーム105は、ディスク形状の記録媒体104の略半径方向にスライダ107を移動させるためのものである。アーム105は、回転軸106によって揺動可能に支持されている。
【0040】
スライダ107は、アーム105の先端部に取り付けられている。スライダ107には、記録媒体104に光スポットを照射する光記録ヘッド1が搭載されている。スライダ107は、光記録ヘッド1と記録媒体104との間隔を予め設定された距離に保持するためのものである。
【0041】
ここで、光記録ヘッド1は、後述するように、光記録ヘッド1の金属膜3に入射する光の偏光方向が、記録媒体104の光記録ヘッド1と対向する部分における周方向と直交しない方向、好ましくは記録媒体104の周方向と平行な方向となるようにスライダ107に設置される。これにより、スピンドル101により記録媒体104を回転させると、記録媒体104の光記録ヘッド1と対向する部分が、上記偏光方向と平行な方向に移動する。すなわち、光記録ヘッド1と記録媒体104とが、上記偏光方向と平行な方向に相対的に走査される。
【0042】
制御部103は、制御回路108と、アクセス回路109と、記録用回路110と、スピンドル駆動回路111とを備えている。アクセス回路109は、スライダ107を記録媒体104の所望の位置で走査させるために、駆動部102におけるアーム105の回転位置を制御するためのものである。記録用回路110は、光記録用ヘッド1の光源2の強度および照射時間を制御するためのものである。スピンドル駆動回路111は、スピンドル101(記録媒体104)の回転を制御するためのものである。制御回路108は、アクセス回路109、記録用回路110およびスピンドル駆動回路111を統括的に制御するためのものである。
【0043】
次に、光記録装置100の動作について説明する。光記録装置100により記録媒体104に対して情報の記録または再生等を行うとき、つまり、光記録装置100の動作時には、制御部103中のスピンドル駆動回路111は、記録媒体104が設置されたスピンドル101を適切な回転数で回転させる。また、制御部103中のアクセス回路109は、駆動部102を動かすことによって、上述したスライダ107を記録媒体104上の所望の場所へと走査する。
【0044】
記録用回路110は、決められた強度および時間間隔で光源2を発光させる。これにより、後述するように、金属膜3に光が照射され、表面プラズモンポラリトンが励起される。そして、励起された表面プラズモンポラリトンが再放射されることにより光スポットが発生して、記録媒体104に光が照射される。記録媒体104への記録に光だけでなく磁界も利用する場合には、記録用回路110は、磁界の強度および時間間隔も制御し、光スポットとほぼ同時に、記録媒体104に対して磁界を照射する。
【0045】
以上のようにして光源2の発光に対応した強さ、時間間隔で発生する光スポットにより、記録媒体104にマークが記録される。制御回路108では、光源2の発光、駆動部102の動作、スピンドル101の回転を総括し、各回路に指示を出すことで、所望の場所に所望の記録ができるようにしている。
【0046】
記録媒体104は、光によって記録される光記録媒体であり、相変化媒体を用いればよい。その場合、記録媒体104の記録層が光スポットにより昇温されると、結晶相からアモルファス相へと変化し、記録マークとなる。また、記録媒体104は、光と磁界によって記録される磁気記録媒体であってもよく、その場合、記録媒体104の記録層が光スポットにより昇温されると同時に磁界を印加されることによって、記録層内部の磁気モーメントの向きが反転され、記録マークとなる。
【0047】
次に、光記録装置100に設けられた光記録用ヘッド1について、図2〜図4を参照して説明する。図2は、本実施形態に係る光記録用ヘッド1の概略構成を示す斜視図である。また、図3は、光記録用ヘッド1の上面図(a)と断面図(b)である。以後、図2のようにX、Y、Z軸を取る。なお、後述する周期的凹凸構造5を見やすくするため、図2、図3においては、その上下方向を、図1とは逆にしている。
【0048】
本発明の光記録用ヘッド1は、少なくとも光源2と金属膜3からなっている。光源2は、小型化のために半導体レーザが好ましい。さらには、出射される光の波長が表面プラズモンポラリトンを励起できるように、金属膜3の材料との組み合わせにより選択するのが好ましい。
【0049】
なお、半導体レーザは、従来と同様のものであるので、ここではその詳細な説明を省略するが、例えば、照射する光の波長を800nmとする場合には、n−GaAs基板、厚さ1.2μmのn−AlxGa(1−x)Asクラッド層(x=0.55)、厚さ100nmのAlxGa(1−x)As光ガイド層(x=0.30)、厚さ10nmのAlxGa(1−x)As量子井戸活性層(x=0.07)、厚さ100nmのAlxGa(1−x)As光ガイド層(x=0.30)、厚さ1.2μmのp−AlxGa(1−x)As光ガイド層(x=0.55)、厚さ0.3μmのp−GaAsコンタクト層が、有機金属気相成長法(MOVPE)や、分子線エピタキシー法(MBE)等一般的な化合物半導体成膜方法により積層されたものであり、p−GaAsコンタクト層表面には、Ti/Au p電極が、n−GaAs基板裏面には、Au/Ge/Ni/Au n電極が、真空蒸着やスパッタ等の一般的な金属薄膜成膜方法により成膜されている。また、上述した材料及び膜構成は、照射する光の波長によって異なる。
【0050】
金属膜3は、表面プラズモンポラリトンを励起させ、これを再放射することで光を集束させるためのものである。金属膜3の材料は、表面プラズモンポラリトンを強く励起させることができるものであればよく、金、銀、銅、アルミニウム、プラチナなどが好ましい。また、金属膜3には、金属膜3を貫通する貫通孔4、その周囲には、これにより接続された金属膜3表面上に周期的凹凸構造5が形成されている。
【0051】
貫通孔4は、円形・四角形などの形状で、少なくとも1方向のサイズは、光の波長以下が好ましい。これにより、光スポットを小さくすることができ、記録媒体104における記録密度を高くすることができる。また、貫通孔4は、スリットであってもよい。第1実施形態においては円形貫通孔を用いている。
【0052】
周期的凹凸構造5の形状は、光を垂直に入射した際に表面プラズモンポラリトンを励起させるとともに、励起させた表面プラズモンポラリトンを再放射させるためのものである。光スポットの金属膜3表面からの距離は、主に周期的凹凸構造5の周期により調整することができる。また、深さは光の利用効率がよくなるように選択される。具体的には、周期は光源2から照射される光の半波長程度、すなわち数百nm、深さは数十nmであり、断面形状は、矩形・波形などである。
【0053】
なお、パターン形状は、回折格子のように直線パターンであってもよいし、同心円パターンでもよいが、第1実施形態においては貫通孔4を中心とする同心円パターンを用いている。同心円パターンを用いた場合には、金属膜3の表面から離れた位置に発生する光スポットのサイズが、偏光方向には周期的凹凸構造5、偏光方向と直交方向には、貫通孔4のサイズと周期的凹凸構造5に依存することが知られている。また、同心円パターンは貫通孔4を中心として、いずれの方向にも均一な構造(等方性を有する構造)であるため、製造時に、周期的凹凸構造の設置方向を気にする必要がないというメリットがある。
【0054】
また、第1実施形態においては、周期的凹凸構造5の周期数を4周期としている。ここで、周期的凹凸構造5の周期数は、多い方が光の利用効率は上がるが、入射光の照射範囲および表面プラズモンポラリトンの伝播距離以上に多くしてもあまり効果はないことが知られている。詳細は、特許文献1、非特許文献1、非特許文献2などに記載されている。
【0055】
周期的凹凸構造5は、金属膜3の貫通孔4で接続された、光源2から光が照射される入射面、及び、入射面と反対側の出射面のうち、一方だけに設けられていても、両方に設けられていてもよい。周期的凹凸構造5を入射面及び出射面の一方にだけに設ける場合には、出射面に設けた方が、作成は容易である。また、周期的凹凸構造5を金属膜3の両面に設けると、入射光から出射光への光の利用効率が高くなる。
【0056】
また、光源2と金属膜3の間や金属膜3表面に、屈折率制御や密着性向上のため、別の膜を設けてもよい。また、金属膜3の出射面に、保護膜を設けてもよい。
【0057】
次に、本実施形態の光記録用ヘッド1で生成される光スポットの、偏光方向依存性について、FDTD法(Finite-Difference Time-Domain method)を用いたシミュレーション結果である、図4を参照して説明する。
【0058】
図4のシミュレーションでは、貫通孔径100nm、金属膜3の厚み200nm、周期的凹凸構造の周期480nm、深さ40nmのものを4周期作成している。入射光は、波長800nmで、偏光方向はX軸方向としている。金属膜3はAgからなり、表面に保護層として石英を50nm積層している。また、記録媒体にカバーガラスがあることを想定して、石英表面からギャップ50nmを挟んで、屈折率1.5の記録媒体を設定している。よって、図4の結果は、現実的な構成を想定して、保護層が積層された金属膜3からの光が、カバーガラス内部で集光した場合の強度分布を見ていることになる。保護層およびカバーガラスを設定したことは、本発明の本質とは関係なく、設定しない場合でも同様の状況になることは明らかである。
【0059】
図4(a)は、図3の一点鎖線で示すX−Z断面の強度分布である。貫通孔4に表面プラズモンポラリトンが集中し、強い強度になっている。また、金属膜3表面から離れた位置にも光スポットが生成されていることがわかる。
【0060】
金属膜3の表面から離れた、図4(a)の点線で示す面での強度分布を図4(b)に示す。また、図4(b)の点線で示す線上での強度分布を図4(c)に示す。これらの結果から、第1実施形態では、後述する第2実施形態の結果(図7参照)に比べて、小さい光スポットを生成しているが、Y方向、つまり、偏光方向と直交する方向に光スポットが並んでいることがわかる。このようなサイドスポットは、同心円パターンの周期的凹凸構造5に対して、直線偏光の光を照射しているため、周期的凹凸構造5が、偏光方向と直交しない方向にも存在することとなり、この部分からの再放射により現れるものである。したがって、上記パラメータと異なるパラメータで光スポットを発生させた場合でも、Y方向に光スポットが並ぶことは明らかである。また、図4(b)および図4(c)では、Y方向に3つの光スポットが並んでいるが、周期的凹凸構造5の形状・周期数によっては、それ以上の光スポットが並ぶ場合もある。
【0061】
光記録装置100により記録媒体104に記録を行う際には、前述したように、光記録用ヘッド1と記録媒体104とを相対的に走査させながら光スポットによって熱を与えるため、記録マークが走査方向(記録媒体104の周方向)に尾を引き、涙滴形状になってしまう。このような記録マークは再生時に時間的誤差(ジッター)が生まれやすいという問題点がある。ジッターを小さくするためには、記録マークの記録開始部の立ち上がりが急峻であることが好ましい。しかしながら、上述したのとは異なり、光記録用ヘッド1と記録媒体104とを偏光方向と直交する方向に相対的に走査させて記録を行うと、図4(b)および図4(c)に示すように、光スポットがY方向に並んでいるため、記録媒体104に対して緩やかに熱を与えることになり、記録開始部の立ち上がりが緩やかになってしまう。また、この場合には、熱が蓄積される方向(Y方向)に光スポットが長くなっているため、さらに熱広がりを起こし、記録マークを大きくしてしまう。
【0062】
さらに最近では、記録時のパルス幅を短くし、パルス強度を上げで、光スポットの強度の強い部分のみを利用することで、より高密度にする工夫がなされているが、この場合にY方向に並ぶ3つのスポットのうち、中央のものを利用したとしても、この光スポットの立ち上がりは、Y方向よりも、X方向の方が急峻になっており、ジッターを小さくしやすくなっている。
【0063】
また、光記録においては、ランドとグルーブと呼ばれる凹凸構造を媒体に作成することにより、トラックに直交する方向の熱の広がりを抑えることもできるため、光スポットをトラック方向に短くすることにより、高密度化が図れる。
【0064】
よって、第1実施形態において記録媒体104に記録を行う際には、上述したように、光記録用ヘッド1と記録媒体104とを、偏光方向と直交する方向でない方向、特に、偏光方向と平行な方向(X方向)に相対的に走査させることが好ましい。
【0065】
また、本実施形態に係る光記録用ヘッド1を光磁気記録装置に使用する場合、再生時には、GMRやTMRなどの磁気再生素子を利用することになる。磁気再生素子は、走査方向の分解能が、走査方向に直交する方向の分解能に対して高いため、記録マークの走査方向に関する長さを短くすることで、記録密度を上げることができる。よって、光磁気記録する場合にも、記録媒体104に記録を行う際に、光記録用ヘッド1と記録媒体104とを、偏光方向と直交しない方向、特に、偏光方向に平行な方向(X方向)に走査させる方が好ましい。
【0066】
以上のように、本発明の光記録装置100では、既に述べたように、光記録用ヘッド1と記録媒体104とが、金属膜3に入射する光の偏光方向と直交しない方向、好ましくは、上記偏光方向と平行に相対的に走査されるため、光記録用ヘッド1と記録媒体104とが、金属膜3の表面から離れた位置に発生する光スポットの幅が狭い方向に相対的に走査されることになり、走査方向の光強度の立ち上がりが急峻になるため、記録密度を高くすることができるとともに、再生時の読み取り誤差を小さくすることができる。
【0067】
特に、記録ヘッド1と記録媒体104とを相対的に走査させる方向を上記偏光方向と平行にした場合には、走査方向の光スポットの立ち上がりが最も急峻になるため、記録密度を最も高くすることができるとともに、再生時の読み取り誤差を最も小さくすることができる。さらに、記録ヘッド1と記録媒体104とを相対的に走査させる方向を上記偏光方向と平行にした場合には、光源2、金属膜3(周期的構造5)をスライダ107に対して斜めに設置する必要がなく、組み立て、調整が容易となる。
【0068】
また、記録媒体104の記録マークの形成速度すなわち記録速度は記録層の昇温速度に依存し、この昇温速度は加えられる光スポットの強度に依存する。つまり、照射される光スポットの強度が強いと、記録媒体104を必要な温度まで昇温する時間が短くなるため、転送レートを向上させることができる。
【0069】
また、金属膜3表面から離れた位置に生成される光スポットで記録できるため、スライダ107の制御マージンが緩和され、記録媒体104の取り外しも可能となる。
【0070】
〔光記録用ヘッドの製造方法〕
ここで、本発明の光記録用ヘッド1の製造方法について、図5(a)〜図5(e)に基づいて説明する。図5(a)〜図5(e)は、本発明の光記録用ヘッドの製造方法を示す断面図である。
【0071】
光記録用ヘッド1を製造するには、まず、図5(a)に示すように、光源2上に金属膜3をスパッタまたは蒸着により製膜する。そして、金属膜3の表面全体に、フォトレジスト6をスピンコーター等により塗布する。次に、フォトレジスト6がマスク7により覆われた状態で、露光および現像することにより、図5(b)に示すように、マスク7で覆われていない部分のフォトレジスト6は取り除かれる。このとき、フォトレジスト6がポジ型である場合は、周期的凹凸構造5の溝を形成する部分以外のフォトレジスト6をマスク7により覆う。なお、図5(b)に示すように、マスク7とフォトレジスト6とを離して設置してもよいし、互いに密着させて露光してもよい。また、マスク7の形状を等倍でフォトレジスト6へ転写してもよいし、縮小してもよい。次に、図5(c)に示すように、フォトレジスト6が除去された部分の金属膜3をエッチングすることにより、溝を作る。そして、残っているフォトレジスト6を除去すると、図5(d)に示すように、周期的凹凸構造5が出来上がる。最後に、図5(e)に示すように、貫通孔4をエッチング、FIB(Focused Ion Beam)などにより作成する。
【0072】
光記録用ヘッド1の製造には、ウェットエッチングプロセス、およびイオンエッチングや反応性イオンエッチング(RIE)等のドライエッチングプロセスが用いられる。
【0073】
なお、上述した光記録用ヘッド1の製造方法において、露光には主にアライナーもしくはステッパーが使用される。また、エッチングの代わりにFIB(Focused Ion Beam)や、ナノインプリントによるプロセスを用いてもよい。
【0074】
なお、金属膜3を光源2上に直接製膜する場合について説明したが、間に別の膜がある場合などでも、同様の方法で作成することができる。また、金属膜3と光源2が一体化された場合について説明したが、金属膜3を別の部材上に作成し、後で光源2と組み合わせてもよい。ただし、金属膜3と光源2が一体化された方が、小型化が可能となり、スライダに搭載時の浮上量(光記録用ヘッド1と記録媒体104との距離)の制御がしやすくなる。また、スライダ搭載時の組立て・調整が容易になるため、製造時間を短くでき、製造コストも下げられる。また、光源2と金属膜3との間に不要な光学素子がないため、それによる光の反射などによるロスがなくなり、光の利用効率が高くなり、光スポットの強度を強くすることができる。
【0075】
〔第2実施形態〕
次に、本発明に係る第2実施形態について説明する。図6は、本発明の第2実施形態に係る光記録用ヘッド11の概略構成を示す斜視図である。なお、第1実施形態の光記録用ヘッド11における構成要素と、同等の機能を有する構成要素については同一の符号を付記している。第2実施形態が第1実施形態と異なる点は、金属膜13に形成する周期的凹凸構造15として、直線パターンを用いている点であるため、周期的凹凸構造15の部分のみ説明する。
【0076】
周期的凹凸構造15の形状は、周期的凹凸構造5と同様、光を垂直に入射した際に表面プラズモンポラリトンを励起させるとともに、励起させた表面プラズモンポラリトンを再放射させるためのものである。光スポットの金属膜3表面からの距離は、主に周期的凹凸構造15の周期により調整することができる。また、深さは光の利用効率がよくなるように選択される。具体的には、周期は光源2から照射される光の半波長程度、すなわち数百nm、深さは数十nmであり、断面形状は、矩形・波形などである。第2実施形態に係る光記録用ヘッド11では、周期的凹凸構造15として、Y方向にそれぞれ延びているとともにX方向に配列された直線パターンを用いている。直線パターンを用いると、偏光方向を直線パターンの延在方向と直交する方向とすることにより、すべての光が表面プラズモンポラリトンを励起させる方向となるため、光の利用効率が高くなり、光スポットの強度を強くすることができる。また、この際、偏光方向を直線パターンの延在方向と直交する方向(X方向)に対して調整すればよく、Y方向に対してはそれほど精度を求められないため、容易な製造工程にすることができる。これにより、製造時間を短くでき、製造コストも下げられる。なお、直線パターンの延在方向は、上述したように、金属膜13に入射される光の偏光方向と直交する方向とすれば、光の利用効率が最も高くなるが、直線パターンの延在方向は、他の方向であってもよい。
【0077】
金属膜13を貫通する貫通孔14は、四角形としているが、円形でもよい。貫通孔14および周期的凹凸構造15がともにY方向に長い場合、得られる光スポットもY方向に長くなってしまい、光記録装置100に利用するには不向きである。よって、第2実施形態では、図6に示すように、Y方向に関して、周期的凹凸構造15の長さを貫通孔14よりも短くしている。このとき、貫通孔14を通過した光のうち、Y方向に関して周期的凹凸構造15がある範囲の光が周期的凹凸構造15により増幅されるとともに、光スポットの生成に寄与する。一方、Y方向に関して、貫通孔14の長さを周期的凹凸構造15に対して短くしてもよく、この場合は、貫通孔14を通過した範囲の光が、周期的凹凸構造15により増幅されるとともに、光スポットの生成に寄与する。また、第2実施形態においても、第1実施形態と同様、周期的凹凸構造15の周期数は4周期となっている。
【0078】
次に、本実施形態の光記録用ヘッド11で生成される光スポットの、偏光方向依存性について、FDTD法(Finite-Difference Time-Domain method)を用いたシミュレーション結果である、図7を参照して説明する。
【0079】
図7のシミュレーションでは、貫通孔14のX方向の幅240nm、貫通孔14のY方向の幅2000nm、金属膜3の厚み200nm、周期的凹凸構造の周期500nm、深さ40nm、Y方向長さ1000nmのものを4周期ずつ作成している。入射光は、波長800nmで、偏光方向はX軸方向としている。金属膜3はAgからなり、表面に保護層として石英を50nm積層している。また、記録媒体にカバーガラスがあることを想定して、石英表面からギャップ50nmを挟んで、屈折率1.5の記録媒体を設定している。よって、図7の結果は、現実的な構成を想定して、保護層が積層された金属膜13からの光が、カバーガラス内部で集光した場合の強度分布を見ていることになる。保護層およびカバーガラスを設定したことは、本発明の本質とは関係なく、設定しない場合でも同様の状況になることは明らかである。
【0080】
図7(a)は、X−Z断面の強度分布である。貫通孔14に表面プラズモンポラリトンが集中し、強い強度になっている。また、金属膜13表面から離れた位置にも光スポットが生成されていることがわかる。図7(a)の点線で示す面での強度分布を図7(b)に示す。また、図7(b)の点線で示す線上での強度分布を図7(c)に示す。
【0081】
これらの結果より、偏光方向(X方向)に垂直な方向(Y方向)に、光スポットが広がっていることがわかる。図7(c)で見ると、X方向の裾に小さなスポットが見えるが、図7(b)で明らかなように、強度はほとんどない。また、周期的凹凸構造15のパラメータにより、このサイドスポットを小さくすることができる。
【0082】
また、第2実施形態の場合、X方向の光スポットのサイズは周期的凹凸構造15の形状に依存し、Y方向の光スポットのサイズは貫通孔14のY方向のサイズや周期的凹凸構造15のY方向のサイズに依存することが知られている。そのため、図7のシミュレーションで、周期的凹凸構造15をY方向の長さを短くし、光スポットをY方向に小さくすることは可能であるが、入射光の利用効率が悪くなってしまう。より詳細に説明すると、貫通孔14を通る光の透過率は、貫通孔14のサイズが照射される光の波長以下であれば非常に低くなり、照射される光の波長以上であれば十分高くなることが一般に知られている。したがって、Y方向のサイズが波長より長いことが好ましい。また、Y方向のサイズが長いほど製造精度が緩和されるため、製造がさらに容易となり、製造時間を短くでき、製造コストも下げられる。
【0083】
第2実施形態においても、上述したのとは異なり、光記録用ヘッド11と記録媒体104とを、偏光方向と直交する方向に相対的に走査させて記録を行うと、図7(b)および図7(c)の結果から、光スポットがY方向に広がっているため、記録媒体104に対して緩やかに熱を与えることになり、記録開始部の立ち上がりが緩やかになってしまう。また、この場合には、熱が蓄積される方向(Y方向)に光スポットが長くなってしまうため、さらに熱広がりを起こし、記録マークを大きくしてしまう。
【0084】
さらに最近では、記録時のパルス幅を短くし、パルス強度を上げで、光スポットの強度の強い部分のみを利用することで、より高密度にする工夫がなされている。この場合にも、光スポットの立ち上がりは、Y方向よりもX方向の方が急峻になっており、ジッターを小さくしやすくなっている。
【0085】
また、光記録においては、ランドとグルーブと呼ばれる凹凸構造を媒体に作成することにより、トラックに直交する方向の熱の広がりを抑えることもできるため、光スポットをトラック方向に短くすることにより、高密度化が図れる。
【0086】
よって、第2実施形態においても、記録媒体104に記録を行う際には、光記録用ヘッド11と記録媒体104とを、偏光方向と直交する方向でない方向、特に、偏光方向と平行な方向(X方向)に相対的に走査させることが好ましい。
【0087】
また、本実施形態に係る光記録用ヘッド11を光磁気記録装置に使用する場合、再生時には、GMRやTMRなどの磁気再生素子を利用することになる。磁気再生素子は、走査方向の分解能が、走査方向に直交する方向の分解能に対して高いため、記録マークを走査方向に短くすることで、記録密度を上げることができる。よって、光磁気記録する場合にも、記録媒体104に記録を行う際に、光記録用ヘッド11と記録媒体104とを、上記偏光方向と直行しない方向、特に、偏光方向に平行な方向(X方向)に走査させる方が好ましい。
【0088】
特に、記録ヘッド11と記録媒体104とを相対的に走査させる方向を上記偏光方向と平行にした場合には、走査方向の光スポットの立ち上がりが最も急峻になるため、記録密度を最も高くすることができるとともに、再生時の読み取り誤差を最も小さくすることができる。さらに、記録ヘッド1と記録媒体104とを相対的に走査させる方向を上記偏光方向と平行にした場合には、光源2、金属膜13(周期的構造15)をスライダ107に対して斜めに設置する必要がなく、組み立て、調整が容易となる。
【0089】
なお、第2実施形態に係る光記録用ヘッド11も、第1実施形態に係る光記録ヘッド1と同様、図5(a)〜(e)に示す手順により製造することができる。
【0090】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、記録媒体に対して光記録を行う光記録装置に好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0092】
1、11 光記録用ヘッド
2 光源
3、13 金属膜
4、14 貫通孔
5、15 周期的凹凸構造
100 光記録装置
104 記録媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
上記光源から直線偏光の光が照射される入射面と前記入射面と反対側の出射面とを接続する貫通孔、及び、前記入射面及び前記出射面の少なくともいずれか一方に形成された周期的凹凸構造を有する金属膜と、からなる光記録用ヘッドと、
上記光記録用ヘッドと記録媒体とを、上記金属膜に入射する光の偏光方向と直交しない走査方向に、相対的に走査させる相対走査手段とを備えていることを特徴とする光記録装置。
【請求項2】
上記走査方向が、上記偏光方向と平行な方向であることを特徴とする請求項1に記載の光記録装置。
【請求項3】
上記周期的凹凸構造が、上記貫通孔を中心とする同心円パターンで形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光記録装置。
【請求項4】
上記周期的凹凸構造が、上記偏光方向と交差する方向に延びた直線パターンで形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光記録装置。
【請求項5】
上記直線パターンの延在方向に関する長さが、上記金属膜に入射する光の波長より長いことを特徴とする請求項4に記載の光記録装置。
【請求項6】
上記偏光方向が、前記直線パターンの延在方向と直交する方向であることを特徴とする請求項4又は5に記載の光記録装置。
【請求項7】
上記貫通孔のサイズは、上記金属膜表面内の少なくとも1方向には、上記金属膜に入射する光の波長より小さいことを特徴とする請求項1〜6いずれか1項に記載の光記録装置。
【請求項8】
周期的凹凸構造が上記出射面のみに形成されていることを特徴とする請求項1〜7いずれか1項に記載の光記録装置。
【請求項9】
周期的凹凸構造が上記入射面及び上記出射面の両面に形成されていることを特徴とする請求項1〜7いずれか1項に記載の光記録装置。
【請求項10】
金属膜が光源と一体化されていることを特徴とする請求項1〜9いずれか1項に記載の光記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図4】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−250883(P2010−250883A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−97865(P2009−97865)
【出願日】平成21年4月14日(2009.4.14)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】