説明

光走査装置および画像形成装置

【課題】 光走査装置の筐体のリブと底部との間の温度差による筐体の歪みを低減する。
【解決手段】 被走査面に光ビームLを照射する光走査装置100は、光ビームを射出する光源101と、光源から射出された光ビームが被走査面を走査するように光ビームを偏向する偏向器150と、偏向器によって偏向された光ビームを被走査面に導く光学素子103、104と、光源、偏向器、および光学素子を保持し、繊維を含有する筺体105と、筺体の底部111、112と一体的であり、光ビームが前記被走査面を走査する走査方向における前記筐体の変形を抑制するために、偏向器と光学素子との間において偏向器と光学素子が設置された底部から立設するリブ110(110a、110b)と、を有し、リブの繊維は、走査方向に沿って配向され、底部の繊維は、底部に沿って且つ走査方向に垂直な方向に配向されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維強化樹脂で成型された光走査装置および該光走査装置を有する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真画像形成装置において、繊維強化樹脂で成型された筐体を用いた光走査装置が多く用いられている。
【0003】
光走査装置は、光源から射出された光ビームが被走査面を走査するように光ビームを偏向する偏向器を有する。偏向器は、光ビームを反射する複数の反射面を有する多角形状の反射部材、反射部材を回転させるためのモータ、およびモータを駆動するための集積回路が設けられた駆動基板を有する。モータおよび集積回路は、供給される電力により発熱する。筐体は、モータおよび集積回路から発生する熱により変形する。筐体の熱変形により、筐体により支持されているミラーおよびレンズの位置が変化するため、カラー画像形成装置においては、色ずれを生じることがある。
【0004】
筐体を構成する繊維強化樹脂の繊維配向に沿った方向における平均線膨張係数は、繊維配向に沿っていない方向における平均線膨張係数よりも小さい。そのため、筐体の熱変形量は、繊維配向に依存する。繊維強化樹脂で成型された筐体における繊維配向は、筐体の成型方法に依存する。すなわち、筐体は、熱変形し易い方向と熱変形しにくい方向を有する。
【0005】
特許文献1は、光走査装置以外の装置において、繊維強化樹脂で成型された部材の繊維配向を制御して熱変形量を低減する技術を開示している。特許文献1は、繊維強化樹脂で成型された部材に発熱部材を接着する場合に、繊維強化樹脂で成型された部材と発熱部材との間の熱変形量の差によって発生する発熱部材の剥離や破壊を抑えることを課題にしている。その課題を解決するために、特許文献1は、繊維強化樹脂で成型された部材の熱変形量を抑制したい方向に沿って繊維配向を一様に揃える。それによって、熱変形量を抑制したい方向において、繊維強化樹脂で成型された部材と発熱部材との間の平均線膨張係数の差を低減し、熱変形量の差を低減している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008‐168622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
光走査装置は、筐体の剛性を確保するために筐体にリブが設けられている。発熱源からの熱により、筐体の底部材と、筐体の底部材と繊維強化樹脂で一体的に成型されたリブとの間に温度差が生じる。この温度差により、筐体が歪むことがある。
また、リブおよび底部材の繊維配向を単に一方向に揃えただけでは、筐体の熱変形量を増大させることがある。
【0008】
そこで、本発明は、筐体のリブと底部材との間の温度差による筐体の歪みを低減することができる光走査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、被走査面に光ビームを照射する光走査装置は、光ビームを射出する光源と、前記光源から射出された光ビームが前記被走査面を走査するように前記光ビームを偏向する偏向器と、前記偏向器によって偏向された光ビームを前記被走査面に導く光学素子と、前記光源、前記偏向器、および前記光学素子を保持し、繊維を含有する筺体と、前記筺体の底部と一体的であり、前記光ビームが前記被走査面を走査する走査方向における前記筐体の変形を抑制するために、前記偏向器と前記光学素子との間において前記偏向器と前記光学素子が設置された前記底部から立設するリブと、を有し、前記リブの繊維は、前記走査方向に沿って配向され、前記底部の繊維は、前記底部に沿って且つ前記走査方向に垂直な方向に配向されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、筐体のリブおよび底部材の繊維配向を規定することにより、リブと底部材との間に温度差が生じたときのリブと底部材との間の変形量の差を低減して筐体の歪みを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る光走査装置を示す図。
【図2】本実施形態に係る光走査装置の断面図。
【図3】繊維強化樹脂における繊維配向を示す図。
【図4】本実施形態に係る光走査装置の筐体の繊維配向を示す図。
【図5】繊維配向を示す簡易筐体モデルの斜視図。
【図6】熱変形した簡易筐体モデルを示す図。
【図7】光源が取り付けられた前壁部材の傾きを示す図。
【図8】本実施形態に係る流入および流出ゲートと樹脂の流れを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
添付図面を用いて、本発明の実施形態に係る光走査装置100を説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る光走査装置100を示す図である。図1(a)は、上蓋106を装着した光走査装置100を示す図である。図1(b)は、光走査装置100の内部を説明するために、上蓋106を取り外した光走査装置100を示す図である。図1(c)は、図1(b)の線IC−ICに沿って取った光走査装置100の縦断面図である。図1(d)は、カラー画像形成装置200に取り付けられた光走査装置100を示す図である。
【0013】
光走査装置100は、画像形成装置200に装着された感光体ドラム(照射対象)202(202Y、202M、202C、および202K)の表面(被走査面)に光ビーム(レーザー光)を照射する。光走査装置100は、画像情報に従って変調された光ビームを射出する光源101(101a、101b)と、光源101から射出された光ビームを偏向する偏向器150を有する。
【0014】
光源101aは、イエロー(Y)の画像を形成するための光源とマゼンタ(M)の画像を形成するための光源を含んでいる。光源101bは、シアン(C)の画像を形成するための光源とブラック(K)の画像を形成するための光源を含んでいる。
【0015】
偏向器150は、光ビームを反射する複数の反射面を有する多角形状の反射部材(以下、ポリゴンミラーという。)102と、ポリゴンミラー102を回転させるモータ108とを有する。偏向器150は、モータ108を駆動するための集積回路(IC)が設けられた駆動基板109を有していてもよい。偏向器150は、光源101から射出された光ビームが感光体ドラム202の表面を走査するように光ビームを偏向する。
【0016】
光走査装置100は、偏向器150によって偏向された光ビームを感光体ドラム202の表面に導く光学素子を有する。光学素子は、光ビームを感光体ドラム202の表面上にスポット状に結像し等速走査する複数のレンズ103と、光ビームを所定の方向へ反射する複数のミラー104とを含む。光学素子は、光ビームを感光体ドラム202の表面上に結像する結像光学系を構成する。
【0017】
レンズ103は、光ビームを感光体ドラム202の表面上で等速走査させる機能を有するfθレンズであるとよい。本実施形態では、レンズ103は、図2に示されているように配置されているが、レンズ103の数はこれに限られるものではない。
【0018】
ミラー104は、偏向器150によって偏向され走査された光ビームを感光体ドラム202の表面へ導くように、光ビームの光路上に配置されている。本実施形態では、ミラー104は、図2に示されているように配置されているが、ミラー104の数はこれに限られるものではない。
【0019】
筐体(光学箱)105は、底部材(底部)111、112a、および112bと、前壁部材120と、後壁部材121と、側壁部材122および123とからなり、箱形状に形成されている。しかし、本発明において、箱形状は必須ではなく、筐体105は、箱形状に限定されるものではない。
【0020】
筐体105は、光源101、偏向器150、および光学素子を保持する。光源101は、筐体105の前壁部材120に取り付けられている。偏向器150は、筐体105の底部材111により支持されている。レンズ103およびミラー104は、筐体105のそれぞれの取り付け部に固定され、位置決めされている。
【0021】
光走査装置100は、ポリゴンミラー102に対して、反対方向にそれぞれ光ビームを走査する方式を用いている。光走査装置100のコンパクト化を実現するために、光走査装置100内で光ビームをミラー104によって複数回折り返している。そのため、光走査装置100内に配置される光学素子の数が多く、筐体105の剛性が不足気味となる。そこで、筐体105の剛性を高めるために、筐体105の底部材112aおよび112bから上蓋(天井)106まで延在する高さを有するリブ110(110a、110b)が筐体105と一体的に成型されている。
筐体105およびリブ110は、強化繊維301(図3)を含有する繊維強化樹脂300で成型されている。
【0022】
しかし、ポリゴンミラー102により偏向された光ビームの光路を確保するために、高さを有するリブ110を配置できる箇所には制限がある。通常、ポリゴンミラー102は、光走査装置100の中央部に設けられる。そのため、筐体105の剛性を効果的に高めるためには、ポリゴンミラー102を挟むようにリブ110を設けることが好ましい。本実施形態の光走査装置100では、ポリゴンミラー102を有する偏向器150を挟み偏向走査領域を除いた部分に、光走査装置100の剛性を確保するためのリブ110を設けている。
リブ110は、光ビームが感光体ドラム202の表面を走査する走査方向(リブ110の長手方向Y)における筐体105の変形を抑制する。リブ110は、偏向器150と光学素子との間において、偏向器150と光学素子が設置された底部材(111、112a、および112b)から立設している。
【0023】
図2に示すように、二つのリブ110(110a、110b)は、偏向器150を間に挟んで筐体105に設けられている。リブ110aおよび110bには、開口部110a1および110b1がそれぞれ設けられている。イエローおよびマゼンタの画像用の光ビームL(LYおよびLM)は、リブ110aの開口部110a1を通過してレンズ103へ向かう。シアンおよびブラックの画像用の光ビームL(LCおよびLK)は、リブ110bの開口部110b1を通過してレンズ103へ向かう。
【0024】
二つのリブ110は、偏向器150および光学素子を支持する筐体105の底部材111、112aおよび112bと繊維強化樹脂で一体的に成型されている。リブ110aは、偏向器150が設けられている底部材111と、リブ110aに対して偏向器150と反対側の底部材112aとの間に設けられている。リブ110bは、偏向器150が設けられている底部材111と、リブ110bに対して偏向器150と反対側の底部材112bとの間に設けられている。すなわち、二つのリブ110aと110bは、偏向器150を間に挟んで対向して設けられている。二つのリブ110aと110bは、筐体105の剛性を強化するために設けられている。また、二つのリブ110aと110bは、フレア光を防止するために、偏向器150を間に挟んで設けられている。
【0025】
リブ110aに対して偏向器150と反対側の底部材112aは、イエロー画像を形成するための感光体ドラム202Yとマゼンタ画像を形成するための感光体ドラム202Mに光ビームを照射する光学素子(レンズ103およびミラー104)を支持している。リブ110bに対して偏向器150と反対側の底部材112bは、シアン画像を形成するための感光体ドラム202Cとブラック画像を形成するための感光体ドラム202Kに光ビームを照射する光学素子(レンズ103およびミラー104)を支持している。底部材111、112a、および112bは、偏向器150または光学素子(レンズ103およびミラー104)を支持する支持部材である。底部材111、112a、および112bは、画像形成装置200に装着される光走査装置100の向きに従って、光走査装置100の下部または上部になり、あるいは、鉛直方向に沿って配置されることがある。
【0026】
リブ110aは、底部材112aにより支持されたレンズ103の入射面または射出面からの反射光が、偏向器150の方向へ戻り反対側の底部材112bにより支持されたレンズ103へ入射してしまう所謂フレア光を防止する。
同様に、リブ110bは、底部材112bにより支持されたレンズ103の入射面または射出面からの反射光が、偏向器150の方向へ戻り反対側の底部材112aにより支持されたレンズ103へ入射してしまう所謂フレア光を防止する。
【0027】
筐体105の上部に上蓋106が取り付けられている。筐体105の上部の開口部105aは、上蓋106により覆われている。上蓋106は、筐体105の内部を外部光から遮蔽するとともに、筐体105の内部への異物の侵入を防止する。上蓋106には、光ビームを光走査装置100の外へ出す穴106aが設けられている。穴106aから光走査装置100の内部へ異物が侵入することを防ぐために、穴106aは、防塵ガラス107(107Y、107M、107C、および107K)により覆われている。
【0028】
光走査装置100は、光源101、偏向器150、および光学素子103および104を支持して画像形成装置200に取り付けられる。これによって、光源101、偏向器150、および光学素子103および104は、画像形成装置200の感光体ドラム202に対して位置決めされる。
【0029】
図1(d)および図2を用いて、光走査装置100が設けられた画像形成装置200における画像形成過程を説明する。
図2は、本実施形態に係る光走査装置100の断面図である。図2は、光走査装置100と画像形成装置200の画像形成部220との関係を示している。
【0030】
画像形成部220は、光走査装置100の上方に配置されている。画像形成部220には、4つの感光体ドラム202(202Y、202M、202C、および202K)が一列に並んで配置されている。それぞれの感光体ドラム202の周りには、帯電ローラ209、現像装置203(203Y、203M、203C、および203K)、および一次転写ローラ201が配置されている。感光体ドラム202は、図1(d)の矢印Dで示す方向に回転する。中間転写ベルト204は、感光体ドラム202と一次転写ローラ201との間に配置されて、矢印Rで示す方向に回転する。
帯電ローラ209(209Y、209M、209C、および209K)は、それぞれの感光体ドラム202(202Y、202M、202C、および202K)の表面を均一に帯電する。
【0031】
本実施形態の画像形成装置200に設けられた光走査装置100は、感光体ドラム202の下部の表面に光ビームL(LY、LM、LC、およびLK)をそれぞれ照射する。光走査装置100は、帯電ローラ209によって均一に帯電された感光体ドラム202の表面の上に、画像情報に従って変調された光ビームLを走査して感光体ドラム202の表面の上に静電潜像を形成する。
【0032】
現像装置203Yは、現像剤(イエロートナー)で感光体ドラム202Yの上の静電潜像を現像して、感光体ドラム202Yの上にイエロートナー像を形成する。現像装置203Mは、現像剤(マゼンタトナー)で感光体ドラム202Mの上の静電潜像を現像して、感光体ドラム202Mの上にマゼンタトナー像を形成する。現像装置203Cは、現像剤(シアントナー)で感光体ドラム202Cの上の静電潜像を現像して、感光体ドラム202Cの上にシアントナー像を形成する。現像装置203Kは、現像剤(ブラックトナー)で感光体ドラム202Kの上の静電潜像を現像して、感光体ドラム202Kの上にブラックトナー像を形成する。
【0033】
それぞれの色のトナー像は、一次転写ローラ201(201Y、201M、201C、および201K)により中間転写ベルト204の上に転写されて重ね合わされる。中間転写ベルト204の上に重ね合わされたトナー像は、画像形成装置200の下部に設けられた記録材収納部206から給送された記録材に、二次転写ローラ205によって一括して転写される。トナー像が転写された記録材は、定着装置207へ搬送される。定着装置207において、記録材およびトナー像に熱及び圧力が付与されてトナーが溶融混色して記録材の表面にフルカラー画像が定着される。定着装置207を通過した記録材は、排出部208へ排出される。このようにして、カラー画像形成が完了する。
【0034】
次に、本発明の筐体と比較するために、繊維配向を規定しない場合の筐体の熱変形について説明する。比較のための筐体の外観形状は、本実施形態の筐体105と同様であるので、図1および図2に示した参照符号を使用して、以下に、繊維配向を規定しない場合の筐体の熱変形を説明する。
光走査装置100に搭載されているモータ108および駆動基板109上の集積回路は、これらに供給される電力により発熱している。モータ108および駆動基板109上の集積回路は、光走査装置100内の主な発熱源である。モータ108および駆動基板109の集積回路から発生した熱は、筐体105へ伝達される。筐体105へ伝達された熱は、筐体105の温度を上昇させ、筐体105を熱変形させる。筐体105の変形により、筐体105に取り付けられた光源101は、傾く。傾いた光源101から射出される光ビームLは、感光体ドラム202の表面上の所定の走査位置からずれた位置を走査する。この走査位置のずれは、イエロー、マゼンタ、シアン、及びブラックの光ビームLY、LM、LC、およびLKの走査によって画像を形成するカラー画像形成装置において、各色の画像の重なりがずれてしまう色ずれの主な原因となっていた。
【0035】
次に、筐体105の熱変形の仕方と熱変形の主な発生原因を詳細に述べる。
リブ110aおよび110bは、光走査装置100内の主な発熱源であるモータ108および駆動基板109の集積回路に隣接している。発熱源で熱せられた気体、発熱源から筐体105を介してリブ110aおよび110bへの熱伝達、または発熱源からの輻射によって、リブ110aおよび110bの温度は、上昇する。一方、リブ110aおよび110bを境界としてモータ108と反対側の光学素子103および104が配置された底部材112aおよび112bは、リブ110aおよび110bと比較して低温である。したがって、底部材112aおよび112bの熱膨張量は、リブ110aおよび110bの熱膨張量よりも小さい。そのため、底部材112aおよび112bにそれぞれ接続しているリブ110aおよび110bの下部の熱膨張は、底部材112aおよび112bにより阻害される。しかし、リブ110aおよび110bの上部に対する拘束力は、小さいので、リブ110aおよび110bの上部と下部とで熱膨張量は、異なる。この熱膨張量の差により、リブ110は、図1(c)の矢印Wで示すように、上凸の湾曲変形を引き起こす。
【0036】
ここで、防塵を目的とする上蓋106は、組み立てやすさを考慮して筐体105に強固に連結されていない。そのため、上蓋106によるリブ110の上部の拘束力は、小さい。
リブ110の長手方向は、図1(b)の矢印Yで示されている。リブ110の湾曲変形に伴い、リブ110の長手方向Yの延長上に存在する、光源101が取り付けられた筐体105の前壁部材120は、傾きを生じる。その結果、光ビームLの走査位置ずれが生じる。
リブ110の湾曲変形は、リブ110の熱膨張量とリブ110が接続されている底部材112の熱膨張量との差が主な原因となっている。
筐体105におけるリブ110と底部材112との間の熱膨張量の差を低減するために、本実施形態においては、筐体105のリブ110と底部材112の繊維配向を規定する。
【0037】
次に、筐体105を形成する繊維強化樹脂における繊維配向について述べる。
図3は、繊維強化樹脂300における繊維配向を示す図である。繊維強化樹脂300は、成型方法に依存した繊維配向を有する。繊維強化樹脂300の平均線膨張係数は、繊維配向に依存する。つまり、繊維配向に対する方向に従って繊維強化樹脂300の平均線膨張係数は、異なる。
【0038】
繊維強化樹脂300の樹脂302は、強化繊維301を含有している。強化繊維301の平均線膨張係数は、樹脂302の平均線膨張係数よりも小さいため、強化繊維301の繊維配向に沿う矢印Vで示す方向の平均線膨張係数は、矢印Vで示す方向に垂直な矢印Hで示す方向の平均線膨張係数よりも小さい。矢印Vで示す方向の平均線膨張係数に対する矢印Hで示す方向の平均線膨張係数の比は、1.4倍〜5倍程度である。
【0039】
本実施形態では、強化繊維301の繊維配向に対する方向の違いに応じて繊維強化樹脂300の平均線膨張係数が異なることを利用して、リブ110の熱変形による湾曲を抑制する。本実施形態によれば、光走査装置100の構造を変えることなく成型方法の変更のみによって、筐体105の熱変形を抑制することができる。
【0040】
上述したように、リブ110を湾曲変形させる主な原因は、温度の高いリブ110の熱膨張量と温度の低い底部材112の熱膨張量との間の大きな差である。そこで、リブ110と底部材112の繊維配向を規定することで、温度の高いリブ110の熱膨張量と温度の低い底部材112の熱膨張量との間の差を低減して、リブ110の湾曲変形を低減する。
【0041】
図4は、本実施形態に係る光走査装置100の筐体105の繊維配向FO1およびFO2を示す図である。図4(a)は、リブ110aを示す光走査装置100の縦断面図である。図4(b)は、底部材111および112を示す光走査装置100の横断面図である。
【0042】
図4(a)の矢印FO1は、リブ110a(110b)を形成する繊維強化樹脂に含有されている強化繊維の繊維配向を示す。図4(b)の矢印FO2は、底部材112aおよび112bを形成する繊維強化樹脂に含有されている強化繊維の繊維配向を示す。
図4(a)に示すように、リブ110の繊維配向FO1は、リブ110の長手方向Y(光走査装置100のレーザー走査方向)に沿って揃えられている。図4(b)に示すように、底部材112の繊維配向FO2は、リブ110の長手方向Y(繊維配向FO1)に垂直な方向Xに沿って揃えられている。リブ110の繊維配向FO1は、底部材112の繊維配向FO2に対して垂直である。このようにリブ110と底部材112の繊維配向を規定することにより、リブ110の長手方向Yに沿った方向の平均線膨張係数は、底部材112の長手方向Yに沿った方向の平均線膨張係数よりも小さくなる。すなわち、リブ110の長手方向Yに沿った方向の平均線膨張係数が、底部材112の長手方向Yに沿った方向の平均線膨張係数よりも小さくなるように、リブ110の繊維配向FO1と底部材112の繊維配向FO2とを異ならせている。
【0043】
リブ110は、光走査装置100の主な発熱源であるモータ108および駆動基板109の集積回路に隣接して配置されている。したがって、リブ110の温度は、リブ110に対して発熱源と反対側の底部材112の温度よりも高い。しかし、温度の高いリブ110の長手方向Yの熱膨張量は、リブ110の繊維配向FO1により、繊維配向を規定しない場合のリブ110の長手方向Yの熱膨張量よりも低減される。また、温度の低い底部材112の長手方向Yの熱膨張量は、底部材112の繊維配向FO2により、繊維配向を規定しない場合の底部材112の長手方向Yの熱膨張量よりも増大される。この結果、長手方向Yにおけるリブ110と底部材112の線膨張係数が同じ場合と比較して、長手方向Yにおけるリブ110と底部材112との間の熱膨張量の差を手減することができる。よって、リブ110の湾曲変形および光源101の傾きを抑制することができる。
【0044】
本実施形態では、リブ110の繊維配向FO1が底部材112の繊維配向FO2に直交しているが、本発明は、これに限定されるものではない。熱膨張によるリブ110の湾曲変形を抑制するために、リブ110の繊維配向FO1と底部材112の繊維配向FO2は、必ずしも直交している必要はない。熱膨張によるリブ110の湾曲変形を抑制するためには、高温のリブ110の長手方向Yに沿った方向の平均線膨張係数が、低温の底部材112の長手方向Yに沿った方向の平均線膨張係数よりも小さいとよい。すなわち、リブ110の長手方向Yの平均線膨張係数が、リブ110に対して偏向器150と反対側の底部材112の長手方向Yの平均線膨張係数よりも小さくなるように、リブの繊維配向FO1を、底部材112の繊維配向FO2と異ならせればよい。
リブ110と底部材112の前述の繊維配向の効果をよりよく理解するために、簡易的なモデルを使用して筐体105の熱変形を以下に説明する。
【0045】
図5は、繊維配向を示す簡易筐体モデル405の斜視図である。図5において、筐体105は、箱形状の簡易筐体モデル405として示されている。図5において、熱変形にもっとも寄与するリブ110(110a、110b)をリブ410(410a、410b)として模擬している。また、簡易筐体モデル405の前壁部材401は、筐体105の光源101が取り付けられた前壁部材120に対応している。
【0046】
筐体105のリブ110は、図1(b)および図4(b)に示すように、異なる角度のリブにそれぞれ接続されている。しかし、簡易筐体モデル405のリブ410は、図5に示すように、簡易筐体モデル405を横断してまっすぐに延在している。筐体105のリブ110と簡易筐体モデル405のリブ410は、湾曲変形の仕方や湾曲変形の原因に、本質的な相違はない。
【0047】
図5(a)は、比較例1を示す。比較例1において、リブ410の繊維配向FO3は、リブ410の長手方向Yに垂直な方向Zに沿って揃っている。底部材412(412a、412b)の繊維配向FO2は、リブ410の長手方向Yに垂直な方向Xに沿って揃っている。すなわち、リブ410の繊維配向FO3および底部材412の繊維配向FO2は、それぞれ、リブ410の長手方向Yに垂直な方向ZおよびXに沿って揃っている。これによって、リブ410の平均線膨張係数が最も大きい方向と底部材412の平均線膨張係数が最も大きい方向とが、ともに、リブ410の長手方向Yに平行である。すなわち、リブ410の長手方向Yにおける平均線膨張係数は、底部材412の長手方向Yにおける平均線膨張係数と同じである。
【0048】
図5(b)は、比較例2を示す。比較例2において、リブ410の繊維配向FO1と底部材412の繊維配向FO4は、ともに、リブ410の長手方向Yに沿って揃っている。これによって、リブ410の平均線膨張係数が最も小さい方向と底部材の平均線膨張係数が最も小さい方向とが、ともに、リブ410の長手方向Yに平行である。すなわち、リブ410の長手方向Yにおける平均線膨張係数は、底部材412の長手方向Yにおける平均線膨張係数と同じである。
【0049】
図5(c)は、本実施形態を示す。本実施形態において、リブ410の繊維配向FO1は、長手方向Yに沿って揃っており、底部材412の繊維配向FO2は、長手方向Yに垂直な方向Xに沿って揃っている。これによって、リブ410の平均線膨張係数が最も小さい方向と底部材の平均線膨張係数が最も大きい方向とが、ともに、リブ410の長手方向Yに平行である。すなわち、リブ410の長手方向Yにおける平均線膨張係数は、底部材412の長手方向Yにおける平均線膨張係数と異なる。具体的には、リブ410の長手方向Yにおける平均線膨張係数は、底部材412の長手方向Yにおける平均線膨張係数よりも小さい。
【0050】
図6は、熱変形した簡易筐体モデル405を示す図である。図6は、モータ108および駆動基板109の集積回路から簡易筐体モデル405への伝熱によりリブ410の温度が底部材412の温度よりも高くなるという条件で求めた簡易筐体モデル405の熱変形の計算結果を示す。
【0051】
図6(a1)は、図5(a)に示す比較例1の簡易筐体モデル405の熱変形の計算結果を示す斜視図である。図6(a2)は、比較例1の簡易筐体モデル405の熱変形の計算結果を側方(図5(a)の矢印Aにより示す方向)から見た図である。
図6(b1)は、図5(b)に示す比較例2の簡易筐体モデル405の熱変形の計算結果を示す斜視図である。図6(b2)は、比較例2の簡易筐体モデル405の熱変形の計算結果を側方(図5(b)の矢印Aにより示す方向)から見た図である。
図6(c1)は、図5(c)に示す本実施形態の簡易筐体モデル405の熱変形の計算結果を示す斜視図である。図6(c2)は、本実施形態の簡易筐体モデル405の熱変形の計算結果を側方(図5(c)の矢印Aにより示す方向)から見た図である。
【0052】
図6から、それぞれの簡易筐体モデル405において、リブ410は上凸に湾曲変形し、その結果、光源101が取り付けられている前壁部材401の上部が外側へ開くように、前壁部材401が傾いていることがわかる。しかし、リブ410と底部材412の強化繊維301の配向方向を一方向に揃えた比較例1(図6(a2))および比較例2(図6(b2))のモデルよりも、異なる繊維配向を規定した本実施形態のモデル(図6(c2))の方が前壁部材401の傾きが小さい。
【0053】
図7は、光源101が取り付けられた前壁部材401の傾きを示す図である。図7において、横軸は、前壁部材401のX方向の位置を示す。縦軸は、X方向の軸線に対する前壁部材401傾き量を示す。
図7から、本実施形態における前壁部材401の傾き量が、比較例1および比較例2の前壁部材401の傾き量よりも小さいことが分かる。
【0054】
本実施形態においては、リブ110の繊維配向FO1を、偏向器150と反対側の底部材112の繊維配向FO2と異ならせている。その結果、リブ110の長手方向Yの平均線膨張係数は、リブ110に対して偏向器150と反対側の底部材112の長手方向Yの平均線膨張係数よりも小さい。したがって、リブ110と底部材112の長手方向Yの熱膨張量の差を低減して筐体105の歪みを低減できる。よって、熱変形による筐体105の前壁部材120に取り付けられた光源101の傾きは、低減されて、光源101からの光ビームLの走査位置のずれを低減できる。
【0055】
本実施形態によれば、筺体105に含有される強化繊維の配向を規定することにより、熱源の近傍に配置されたリブ110の熱変形による上凸湾曲変形を抑制することができる。よって、光源101からの光ビームLの走査位置のずれを低減できる。
【0056】
本実施形態においては、リブ110の繊維配向FO1の方向と底部材112の繊維配向FO2の方向が平行ではなく、交差していればよい。
本実施形態によれば、リブ110の繊維配向FO1と底部材112の繊維配向FO2を異ならせることにより、温度の高いリブ110と温度の低い底部材112との間の熱膨張量の差を低減している。しかし、リブ110aとリブ110bに挟まれた底部材111の繊維配向を規定することにより、さらに筐体105の歪みを低減することができる。
【0057】
光走査装置100内の主な熱源は、底部材111に設けられているので、底部材111の温度は、底部材112の温度よりも高い。従って、底部材111の熱膨張量は、底部材112の熱膨張量よりも大きい。そこで、リブ110の長手方向Yに沿った方向の平均線膨張係数を小さくとともに、底部材111の長手方向Yに沿った方向の平均線膨張係数を小さくすることにより、リブ110の熱膨張量を低減して、筐体105の歪みをさらに低減することができる。
【0058】
具体的には、例えば、底部材111の繊維配向をリブ110の繊維配向と同様に長手方向Yと平行に揃えることにより、底部材111と底部材112との間の熱膨張量の差を低減することができる。この場合も、前述したように、底部材111の繊維は、リブ110の長手方向に配向していなくてもよい。底部材112の長手方向Yの平均線膨張係数よりも底部材111の長手方向Yの平均線膨張係数が小さくなるように、底部材111の繊維配向が規定されていれば、本実施例の効果を得られる。
【0059】
また、リブ110の温度に比べて、側壁部材122および123の温度は低い。そこで、リブ110の長手方向Yの平均線膨張係数が、筺体105の側壁部材122および123の平均線膨係数よりも小さくなるように、リブ110の繊維配向を側壁部材122および123の繊維配向と異ならせる。これによって、筐体105の歪みを低減することができる。
次に、本実施形態によるリブ110と底部材112の繊維配向を規定するための樹脂成型方法を述べる。
強化繊維301の繊維配向は、流れている樹脂302の内部に発生するせん断力の方向によって決定される。強化繊維301の繊維配向は、樹脂302の流れる方向と同じである。従って、強化繊維301を配向したい方向への樹脂302の流れを作るように、金型(不図示)における樹脂302の流入ゲートおよび流出ゲートの位置を設定する。
【0060】
図8は、本実施形態に係る流入ゲート501(501a、501b)、502(502a、502b)および流出ゲート503、504(504a、504b)と繊維強化樹脂の流れを示す図である。流入ゲート501、502は、金型(不図示)へ流れ込む樹脂の入口である。流出ゲート503、504は、金型(不図示)から流れ出す樹脂の出口である。本実施形態では、リブ110と底部材112は、異なる繊維配向を有するので、リブ110と底部材112とのそれぞれのための異なる流入および流出ゲートが設けられている。
【0061】
図8(a)は、筐体105の斜視図であり、流入ゲート501、502および流出ゲート503、504の一例を示す。
円形の流入ゲート501(501a、501b)は、筐体105の前壁部材120に設けられている。流入ゲート501aは、リブ110aと前壁部材120との接続部分またはその近傍で前壁部材120に設けられている。流入ゲート501bは、リブ110bと前壁部材120との接続部分またはその近傍で前壁部材120に設けられている。円形の流出ゲート504(504a、504b)は、筐体105の後壁部材121に設けられている。流出ゲート504aは、リブ110aと後壁部材121との接続部分またはその近傍で後壁部材121に設けられている。流出ゲート504bは、リブ110bと後壁部材121との接続部分またはその近傍で後壁部材121に設けられている。
【0062】
図8(a)に示すように、流入ゲート501と流出ゲート504は、繊維強化樹脂がリブ110の長手方向Yに沿ってリブ110を流れるように配置されている。
円形の流入ゲート502(502a、502b)は、筐体105の底部材112に設けられている。複数(本実施形態において4つ)の流入ゲート502aは、筐体105の側壁部材122の近傍で底部材112aに長手方向Yに沿って一列に並んで設けられている。複数(本実施形態において4つ)の流入ゲート502bは、筐体105の側壁部材123の近傍で底部材112bに長手方向Yに沿って一列に並んで設けられている。複数(本実施形態において4つ)の円形の流出ゲート503は、リブ110aとリブ110bとの間で底部材111に長手方向Yに沿って一列に並んで設けられている。ここで、一列に並んで複数の流入ゲート502および流出ゲート503を設けた理由は、長手方向Yと垂直な方向へ繊維強化樹脂の一様な流れを形成するためである。
【0063】
図8(a)に示すように、流入ゲート502と流出ゲート503は、繊維強化樹脂がリブ110の長手方向Yに垂直な方向に沿って底部材112および111を流れるように配置されている。
図8(b)は、筐体105の平面図であり、繊維強化樹脂の流れを示す。
【0064】
流入ゲート501からの繊維強化樹脂の一部は、リブ110および前壁部材120へ流れる。リブ110へ流れた繊維強化樹脂の一部は、流出ゲート504へ流れる。これによって、リブ110の繊維配向は、長手方向Yに沿って揃えられる。
【0065】
流入ゲート502からの繊維強化樹脂の一部は、底部材112へ流れる。底部材112へ流れた繊維強化樹脂の一部は、リブ110の下を通り、底部材111に設けられた流出ゲート503へ流れる。これによって、底部材112の繊維配向は、長手方向Yに垂直な方向に沿って揃えられる。
従って、リブ110の繊維配向と底部材112の繊維配向とを異ならせることができる。
なお、流入ゲート501と流出ゲート504の繊維強化樹脂の流入出を逆にしたり、流入ゲート502と流出ゲート503の繊維強化樹脂の流入出を逆にしたりしても、同様の繊維配向を得ることができる。
【0066】
図8(c)は、筐体105の斜視図であり、流入ゲート511、512および流出ゲート513、514、515の別の一例を示す。
矩形の流入ゲート511(511a、511b)は、リブ110(110a、110b)の中央部にそれぞれ設けられている。流出ゲート514および515は、筐体105の後壁部材121および前壁部材120にそれぞれ設けられている。矩形の流出ゲート514(514a、514b)は、筐体105の後壁部材121に設けられている。流出ゲート514aは、リブ110aと後壁部材121との接続部分またはその近傍で後壁部材121に設けられている。流出ゲート514bは、リブ110bと後壁部材121との接続部分またはその近傍で後壁部材121に設けられている。矩形の流出ゲート515(515a、515b)は、筐体105の前壁部材120に設けられている。流出ゲート515aは、リブ110aと前壁部材120との接続部分またはその近傍で前壁部材120に設けられている。流出ゲート515bは、リブ110bと前壁部材120との接続部分またはその近傍で前壁部材120に設けられている。
【0067】
図8(c)に示すように、流入ゲート511、流出ゲート514、および流出ゲート515は、繊維強化樹脂がリブ110の長手方向Yに沿ってリブ110を流れるように配置されている。
矩形の流入ゲート512(512a、512b)は、筐体105の底部材112に設けられている。矩形の流入ゲート512aは、筐体105の側壁部材122の近傍で底部材112aに設けられ、長手方向Yに沿って延在している。矩形の流入ゲート512bは、筐体105の側壁部材123の近傍で底部材112bに設けられ、長手方向Yに沿って延在している。矩形の流出ゲート513は、リブ110aとリブ110bとの間で底部材111に設けられ、長手方向Yに沿って延在している。ここで、長手方向Yに延在する矩形の流入ゲート512および流出ゲート513を設けた理由は、長手方向Yと垂直な方向へ繊維強化樹脂の一様な流れを形成するためである。
図8(c)に示すように、流入ゲート512と流出ゲート513は、繊維強化樹脂がリブ110の長手方向Yに垂直な方向に沿って底部材112および111を流れるように配置されている。
【0068】
流入ゲート511からの繊維強化樹脂の一部は、リブ110を通り流出ゲート514へ流れる。また、流入ゲート511からの繊維強化樹脂の一部は、リブ110を通り流出ゲート515へ流れる。これによって、リブ110の繊維配向は、長手方向Yに沿って揃えられる。
流入ゲート512からの繊維強化樹脂の一部は、底部材112へ流れる。底部材112へ流れた繊維強化樹脂の一部は、リブ110の下を通り、底部材111に設けられた流出ゲート513へ流れる。これによって、底部材112の繊維配向は、長手方向Yに垂直な方向に沿って揃えられる。
従って、リブ110の繊維配向と底部材112の繊維配向とを異ならせることができる。
【0069】
なお、流入ゲート511と流出ゲート514、515の繊維強化樹脂の流入出を逆にしたり、流入ゲート512と流出ゲート513の繊維強化樹脂の流入出を逆にしたりしても、同様の繊維配向を得ることができる。
また、本実施形態のような繊維配向を実現するための樹脂成型方法として、二色成型を用いて各箇所の繊維配向を異ならせてもよい。
【符号の説明】
【0070】
100 光走査装置
101 光源
103 レンズ(光学素子)
104 ミラー(光学素子)
105 筐体
110(110a、110b) リブ
112(112a、112b) 底部材
150 偏向器
FO1、FO2、FO3、FO4 繊維配向
L 光ビーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被走査面に光ビームを照射する光走査装置であって、
光ビームを射出する光源と、
前記光源から射出された光ビームが前記被走査面を走査するように前記光ビームを偏向する偏向器と、
前記偏向器によって偏向された光ビームを前記被走査面に導く光学素子と、
前記光源、前記偏向器、および前記光学素子を保持し、繊維を含有する筺体と、
前記筺体の底部と一体的であり、前記光ビームが前記被走査面を走査する走査方向における前記筺体の変形を抑制するために、前記偏向器と前記光学素子との間において前記偏向器と前記光学素子が設置された前記底部から立設するリブと、
を有し、
前記リブの繊維は、前記走査方向に沿って配向され、前記底部の繊維は、前記底部に沿って且つ前記走査方向に垂直な方向に配向されていることを特徴とする光走査装置。
【請求項2】
前記リブの前記走査方向の平均線膨張係数は、前記底部の前記走査方向の平均線膨張係数よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の光走査装置。
【請求項3】
前記リブは、前記偏向器を間に挟んで二つ設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の光走査装置。
【請求項4】
前記二つのリブの間の前記底部の繊維は、前記走査方向に沿って配向されていることを特徴とする請求項3に記載の光走査装置。
【請求項5】
前記筺体は、箱形状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の光走査装置。
【請求項6】
前記箱形状の前記筺体の側壁部材の繊維は、前記側壁部材に沿って且つ前記走査方向に垂直な方向に配向されていることを特徴とする請求項5に記載の光走査装置。
【請求項7】
画像形成装置であって、
画像形成部と、
前記画像形成部の被走査面に光ビームを照射する請求項1乃至6のいずれか一項に記載の光走査装置と、
を有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−113956(P2013−113956A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258642(P2011−258642)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】