説明

光送信モジュール

【課題】各レーザから出射される光の波長間隔に関わらず、光信号の伝送品質を容易に確保することができる光送信モジュールを提供する。
【解決手段】光送信モジュール1は、第1の波長の光を出射する第1の半導体レーザ22−1と、第2の波長の光を出射する第2の半導体レーザ22−2と、光フィルタ31−1と、を備える。光フィルタ31−1が、第1の偏光方向については第1の波長の光を反射し、かつ、第2の偏光方向については第2の波長の光を透過する特性を有する。第1の半導体レーザ22−1が出射する光の少なくとも一部が、第1の偏光方向で光フィルタ31−1に入射して、第2の半導体レーザ22−2が出射する光の少なくとも一部が、第2の偏光方向で光フィルタ31−1に入射する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光送信モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットの飛躍的な進展により、動画配信等をはじめとする様々なサービスを受けられるようになっている。このような背景には、光通信網の高速大容量化と低コスト化の著しい進展が挙げられる。更なる利便性の向上には回線容量の拡大と低コスト化が必要不可欠である。
【0003】
このような情勢を受け、現在、標準化を手がける米国のIEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers, Inc.)では、更なる高速大容量化に向けて40ギガビットおよび100ギガビットのイーサネット(登録商標)の標準化が進行中となっている。従来、時間多重などにより光通信における伝送容量を拡大してきた。しかし、低コスト高速化への技術的なハードルが高いため、複数チャンネルの波長を束ねる波長多重方式が標準として採用される見込みとなっている。40ギガビットでは波長間隔が20nmと比較的広いCWDM(Coase Wavelength Division Multiplexing)方式が採用される見込みである。100ギガビットではDVDM(Dense Wavelength Division Multiplexing)程ではないが、CWDM方式に比べ波長間隔が〜4nm程度と狭いLANWDM(Local Area Network Wavelength Division Multiplexing)方式が採用される見込みである。
【0004】
このような波長多重方式を実現するためには、光トランシーバなどの光モジュール内に波長合分波器と複数波長のそれぞれに対応した複数の光サブアセンブリ(光送信サブアセンブリ(TOSA)や光受信サブアセンブリ(ROSA))を収容する必要がある。その一方で、光伝送装置やルータ等の低コスト化、高密度実装を実現するため、実装される光モジュールには低コスト化及び小型化が求められる。従って、従来は別部品であった波長合分波器と複数の光サブアセンブリを低コストかつ小型に集積した光モジュールが必要となる。特に100ギガビットに対応するにはその波長間隔を比較的狭くする必要がある。
【0005】
このような互いに異なる複数の波長を合波する機能を有する部材と互いに異なる複数の波長の光源とを一体集積化する光送信モジュールの実現手段として、光フィルタと光源とを集積化する構造が提案されている。
【0006】
例えば、特許文献1には、光の伝播路上に配置した光フィルタにより、特定波長の半導体レーザ光を反射させ、その他の波長の光を透過させる構成とし、特に波長選択フィルタを光伝搬方向に対して45度の角度に配置することで小型集積化を図った光デバイスが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−140960号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
図10は、従来の光送信モジュールにおいて、光フィルタ131に光が入射される様子の一例を示す図である。図10に例示するように、伝播光路上に配置された光フィルタ131に対して透過にて合波される光の入射角をθt、反射にて合波される光の入射角をθrとする。透過入射光、反射入射光ともにS偏光とP偏光とが混在した状態となっている。
【0009】
図11Aは、従来の光送信モジュールが備える光フィルタ131がエッジフィルタである際の光フィルタ131の透過特性の一例を示す図である。図11Bは、従来の光送信モジュールが備える光フィルタ131がエッジフィルタである際の光フィルタ131の反射特性の一例を示す図である。図12Aは、図11A及び図11Bに例示する光送信モジュールよりも各レーザから出射される光の波長間隔が短く、入射角θt、θrが大きい、従来の光送信モジュールが備える光フィルタ131がエッジフィルタである際の光フィルタ131の透過特性の一例を示す図である。図12Bは、図11A及び図11Bに例示する光送信モジュールよりも各レーザから出射される光の波長間隔が短く、入射角θt、θrが大きい、従来の光送信モジュールが備える光フィルタ131がエッジフィルタである際の光フィルタ131の反射特性の一例を示す図である。
【0010】
図12A及び図12Bの例では、透過すべき波長λ2(波長λ2を中心とする所定の範囲内の波長であっても構わない。以下同様。)のS偏光成分の一部の透過率が劣化し、挿入損失が大きくなる。同様に、反射すべき波長λ3のP偏光成分の一部の反射率が劣化し、挿入損失が大きくなってしまう。
【0011】
図11A及び図11Bに例示するように、各レーザから出射される光の波長間隔が充分長い場合は、光フィルタ131の透過特性や反射特性が偏光方向により異なるような波長の光が出射されないよう各レーザから出射される光の波長を設定することにより、光信号の伝送品質を確保した光送信モジュールの設計を容易に行うことができる。
【0012】
一方、図12A及び図12Bに例示するように、各レーザから出射される光の波長間隔が短い(例えば、LANWDM(〜4nm)やDWDM(〜0.8nm))場合は、光フィルタ131の透過特性や反射特性が偏光方向により異なるような波長の光が出射されないよう各レーザから出射される光の波長を設定することが困難となるので、光信号の伝送品質が確保された光送信モジュールの設計が困難となる。このことは、特に入射角θt、θrが大きくなるほど顕著になる。
【0013】
図13Aは、従来の光送信モジュールが備える光フィルタ131がバンドパスフィルタである際の光フィルタ131の透過特性の一例を示す図である。図13Bは、従来の光送信モジュールが備える光フィルタ131がバンドパスフィルタである際の光フィルタ131の反射特性の一例を示す図である。図14Aは、図13A及び図13Bに例示する光送信モジュールよりも各レーザから出射される光の波長間隔が短く、入射角θt、θrが大きい場合の、従来の光送信モジュールが備える光フィルタ131がエッジフィルタである際の光フィルタ131の透過特性の一例を示す図である。図14Bは、図13A及び図13Bに例示する光送信モジュールよりも各レーザから出射される光の波長間隔が短く、入射角θt、θrが大きい場合の、従来の光送信モジュールが備える光フィルタ131がエッジフィルタである際の光フィルタ131の反射特性の一例を示す図である。光フィルタ131がバンドパスフィルタであっても、上述と同様の傾向が生じる。
【0014】
このような挿入損失の増大は、光送信モジュールによる光信号の伝送品質の低下につながる。
【0015】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、各レーザから出射される光の波長間隔に関わらず、光信号の伝送品質を容易に確保することができる光送信モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記課題を解決するために、本発明に係る光送信モジュールは、第1の波長の光と第2の波長の光とを合波して出射する光送信モジュールであって、前記第1の波長の光を出射する第1のレーザと、前記第2の波長の光を出射する第2のレーザと、光フィルタと、を備え、前記光フィルタが、第1の偏光方向については前記第1の波長の光を反射し、かつ、第2の偏光方向については前記第2の波長の光を透過する特性を有し、前記第1のレーザが出射する光の少なくとも一部が、前記第1の偏光方向で前記光フィルタに入射して、前記第2のレーザが出射する光の少なくとも一部が、前記第2の偏光方向で前記光フィルタに入射する、ことを特徴とする。
【0017】
本発明では、第1のレーザから出射された光が第1の偏光方向で光フィルタに入射されるので、第1のレーザから出射された光は光フィルタで反射される。また、第2のレーザから出射された光が第2の偏光方向で光フィルタに入射されるので、第2のレーザから出射された光は光フィルタで透過される。このようにすれば、たとえ光フィルタの透過特性や反射特性が偏光方向により異なるような波長の範囲の光をレーザが出射したとしても、挿入損失の発生を低減し、光送信モジュールによる光信号の伝送品質を容易に確保することができる。このように、本発明によれば、各レーザから出射される光の波長間隔に関わらず、光信号の伝送品質を容易に確保することができる。
【0018】
本発明の一態様では、前記第1の偏光方向と前記第2の偏光方向とが対応することを特徴とする。この態様によれば、光フィルタで透過される光と反射される光とを互いに対応する偏光方向で光フィルタに入射させればよいので、本構成を有さない場合よりも光送信モジュールを容易に構成することができる。
【0019】
また、本発明の一態様では、前記光フィルタが、第1の偏光方向については前記第1の偏光方向とは異なる偏光方向に比べて前記第1の波長の光をより反射する、及び/又は、第2の偏光方向については前記第2の偏光方向とは異なる偏光方向に比べて前記第2の波長の光をより透過する特性を有することを特徴とする。この態様によれば、光フィルタに他の偏光方向で光が入射する場合よりも、挿入損失を小さくすることができる。
【0020】
また、本発明の一態様では、前記第1のレーザが出射する光の偏光方向が前記第1の偏光方向に対応する、及び/又は、前記第2のレーザが出射する光の偏光方向が前記第2の偏光方向に対応することを特徴とする。この態様によれば、レーザと光フィルタの間に、偏光方向を変える部材を設けることなく挿入損失が増大する可能性を低減することができる。
【0021】
また、本発明の一態様では、前記第1のレーザがTEモード若しくはTMモードにて前記第1の波長の光を出射する、及び/又は、前記第2のレーザがTEモード若しくはTMモードにて前記第2の波長の光を出射することを特徴とする。
【0022】
また、本発明の一態様では、前記光フィルタが、P偏光若しくはS偏光のいずれか一方について他方よりも前記第1の波長の光を反射する特性を有する、及び/又は、P偏光若しくはS偏光のいずれか一方について他方よりも前記第2の波長の光を透過する特性を有することを特徴とする。
【0023】
また、本発明の一態様では、前記第1のレーザから前記光フィルタに入射する光の入射面の方向と、前記第1のレーザの活性層面の方向若しくは当該活性層面に対して垂直な方向と、が対応する、及び/又は、前記第2のレーザから前記光フィルタに入射する光の入射面の方向と、前記第2のレーザの活性層面の方向若しくは当該活性層面に対して垂直な方向と、が対応することを特徴とする。
【0024】
また、本発明の一態様では、前記光フィルタが、エッジフィルタ又はバンドパスフィルタであることを特徴とする。
【0025】
また、本発明の一態様では、前記光フィルタが、前記第1のレーザ、及び/又は、前記第2のレーザからの光の入射角が45度に対応する角度となるよう配置されていることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態に係る光送信モジュールの構成の一例を模式的に示す図である。
【図2】第2光フィルタに光が入射される様子の一例を模式的に示した図である。
【図3A】光フィルタの透過特性の一例を示す図である。
【図3B】光フィルタの反射特性の一例を示す図である。
【図4】本発明の別の実施形態に係る光送信モジュールの構成の一例を模式的に示す図である。
【図5】本発明のさらに別の実施形態に係る光送信モジュールの構成の一例を模式的に示す図である。
【図6】本発明のさらに別の実施形態に係る光送信モジュールの構成の一例を模式的に示す図である。
【図7】本発明のさらに別の実施形態に係る光送信モジュールの構成の一例を模式的に示す図である。
【図8】本発明のさらに別の実施形態に係る光送信モジュールの構成の一例を模式的に示す図である。
【図9】本発明のさらに別の実施形態に係る光送信モジュールの構成の一例を模式的に示す図である。
【図10】従来の光送信モジュールにおいて、光フィルタへの光の入射される様子の一例を示す図である。
【図11A】従来の光送信モジュールが備える光フィルタの透過特性の一例を示す図である。
【図11B】従来の光送信モジュールが備える光フィルタの反射特性の一例を示す図である。
【図12A】従来の光送信モジュールが備える光フィルタの透過特性の一例を示す図である。
【図12B】従来の光送信モジュールが備える光フィルタの反射特性の一例を示す図である。
【図13A】従来の光送信モジュールが備える光フィルタの透過特性の一例を示す図である。
【図13B】従来の光送信モジュールが備える光フィルタの反射特性の一例を示す図である。
【図14A】従来の光送信モジュールが備える光フィルタの透過特性の一例を示す図である。
【図14B】従来の光送信モジュールが備える光フィルタの反射特性の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の一実施形態について図面に基づき詳細に説明する。
【0028】
図1は、本実施形態に係る光送信モジュール1の構成の一例を模式的に示す図である。図1に例示するように、本実施形態に係る光送信モジュール1は、複数の光送信サブアセンブリ2(本実施形態では、例えば、4つの光送信サブアセンブリ2(第1光送信サブアセンブリ2−1〜第4光送信サブアセンブリ2−4)と、光合波部3と、ファイバアセンブリ4と、を備えている。
【0029】
第n光送信サブアセンブリ2−n(n=1,2,3,4。以下同様。)は、例えば、第nパッケージ20−n内に、第nコリメータレンズ21−nと、第nレーザ(本実施形態では、例えば、第n半導体レーザ22−n)と備えている。なお、半導体レーザ22として、光変調器半導体レーザや面発光レーザを用いてもよい。第nパッケージ20−nには、例えば、電気信号の入出力を行う第n配線ピン23−nが接続されている。本実施形態では、第n半導体レーザ22−nは、第nの波長の光を出射する。本実施形態では、各半導体レーザ22は、互いに異なる発振波長の光を出射する。ここで、第n半導体レーザ22−nから出射される光の波長をλn(λ1<λ2<λ3<λ4)とする。
【0030】
本実施形態では、光合波部3は、例えば、その筐体内に、ミラー30と、複数の光フィルタ31(第1光フィルタ31−1〜第4光フィルタ31−4)と、を備えている。各光フィルタ31は、本実施形態では、具体的には、例えば、誘電体多層膜フィルタである。なお、光フィルタ31が、ハーフミラーなどであっても構わない。本実施形態では、第n光フィルタ31−nは、第n半導体レーザ22からの光の入射角が45度に対応する角度(例えば、略45度)となるよう光合波部3内に配置されている。すなわち、第n光フィルタ31−nが光路に対して45度となるよう光合波部3内に配置されていてもよい。
【0031】
ファイバアセンブリ4は、例えば、その筐体内に、光ファイバ40と、フェルール41と、コリメータ42と、アイソレータ43と、を含んで構成される。
【0032】
図2は、第2光フィルタ31−2に光が入射される様子の一例を模式的に示す図である。図3Aは、第2光フィルタ31−2の透過特性の一例を示す図である。図3Bは、第2光フィルタ31−2の反射特性の一例を示す図である。図3A及び図3Bに例示するように、本実施形態では、各光フィルタ31は、第1の偏光方向(例えば、P偏光)と第2の偏光方向(例えば、S偏光)とで透過特性や反射特性が分離している。また、本実施形態では、各光フィルタ31は、エッジフィルタ(より具体的には、長波長パスフィルタ)である。本実施形態では、図3A及び図3Bに例示するように、第2光フィルタ31−2は、P偏光された波長λ1及び波長λ2の光を効率よく反射する。また、P偏光された波長λ3及び波長λ4の光を効率よく透過する。そのため、例えば、図2に例示するように、例えば、第2光フィルタ31−2の面が左上から右下に向かうよう第2光フィルタ31−2が配置されている場合に、下から入射するP偏光された波長λ2の光は左へと反射され、右から入射するP偏光された波長λ3及び波長λ4の光は左へ透過される。このようにして、互いに異なる波長の光が合波される。
【0033】
一方、第2光フィルタ31−2は、S偏光された波長λ3の光や、P偏光、S偏光が混合された波長λ3の光については、透過率が低下してしまう。このように、本実施形態では、第2光フィルタ31−2は、例えば、P偏光された光についてS偏光された光よりも波長λ3の光をより透過する。
【0034】
本実施形態では、第1光フィルタ31−1は、P偏光された波長λ1の光を効率よく反射して、P偏光された波長λ2、波長λ3及び波長λ4の光を効率よく透過する。また、第3光フィルタ31−3は、P偏光された波長λ1、波長λ2及び波長λ3の光を効率よく反射して、P偏光された波長λ4の光を効率よく透過する。また、第4光フィルタ31−4は、P偏光された波長λ1、波長λ2、波長λ3及び波長λ4の光を効率よく反射する。なお、第4光フィルタ31−4がミラー30であっても構わない。
【0035】
また、本実施形態では、図2に例示するように、第2半導体レーザ22−2の基板面(本実施形態では、半導体レーザ22の基板面は、例えば、活性層面に対応している。以下同様。)の方向と、第2半導体レーザ22−2から第2光フィルタ31−2に入射する光の入射面の方向と、が対応している(例えば、略平行である。)。そして、第2半導体レーザ22−2は、TEモードにて波長λ2の光を出射する。すなわち、第2半導体レーザ22−2から出射される光の電界ベクトルの方向が、第2半導体レーザ22−2の基板面(活性層面)の方向に対応する(例えば、略平行となる。)。この場合、第2半導体レーザ22−2から出射される光の電界ベクトルの方向は、第2光フィルタ31−2に入射する光の入射面の方向に対応する(例えば、略平行となる。)ので、P偏光された波長λ2の光が第2光フィルタ31−2に入射することとなる。そのため、この波長λ2の光は光フィルタ31−2の反射面で効率よく反射される。
【0036】
本実施形態では、各半導体レーザ22について、半導体レーザ22の基板面(活性層面)の方向と、半導体レーザ22から光フィルタ31に入射する光の入射面の方向と、が対応している(例えば、略平行である。)。そして、各半導体レーザ22は、TEモードにて光を出射する。
【0037】
そのため、本実施形態では、第4半導体レーザ22−4から出射された波長λ4の光は、P偏光された光として第4光フィルタ31−4に入射される。そして、この光は第4光フィルタ31−4で反射される。その後、この光は、第3光フィルタ31−3、第2光フィルタ31−2、第1光フィルタ31−1で透過されて、ミラー30で反射される。また、第3半導体レーザ22−3から出射された波長λ3の光は、P偏光された光として第3光フィルタ31−3に入射する。そして、この光は第3光フィルタ31−3で反射される。その後、この光は、第2光フィルタ31−2、第1光フィルタ31−1で透過されて、ミラー30で反射される。また、第2半導体レーザ22−2から出射された波長λ2の光は、P偏光された光として第2光フィルタ31−2に入射される。そして、この光は第2光フィルタ31−2で反射される。その後、この光は、第1光フィルタ31−1で透過されて、ミラー30で反射される。また、第1半導体レーザ22−1から出射された波長λ1の光は、P偏光された光として第1光フィルタ31−1に入射される。そして、この光は第1光フィルタ31−1で反射される。その後、この光は、ミラー30で反射される。このようにして、本実施形態では、波長λ1、波長λ2、波長λ3及び波長λ4の光が合波される。そして、これらの光は、ファイバアセンブリ4を経由して、光送信モジュール1と接続された光ファイバ(図示せず)へと出射される。
【0038】
このように、本実施形態によれば、たとえ光フィルタ31の透過特性や反射特性が偏光方向により異なるような波長の範囲の光を各半導体レーザ22が出射したとしても、挿入損失の発生を低減し、光送信モジュール1による光信号の伝送品質を容易に確保することができる。このように、本実施形態によれば、各半導体レーザ22から出射される光の波長間隔に関わらず、光信号の伝送品質を容易に確保することができる。
【0039】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0040】
例えば、各半導体レーザ22の基板面の方向と、半導体レーザ22から光フィルタ31に入射する光の入射面の方向に垂直な方向と、が対応するようにした上で、各半導体レーザ22がTMモード(半導体レーザ22から出射される光の電界ベクトルの方向が、半導体レーザ22の基板面に垂直な方向に対応する)で光を発振するようにしてもよい。このように、半導体レーザ22が出射する光の偏光方向と、その光が最初に入射する光フィルタ31が、その半導体レーザ22が出射する波長の光について、他の偏光方向よりも効率よく反射する(あるいは、透過する)偏光方向とが対応するようにしてもよい。また、半導体レーザ22が出射する光が、偏光子を透過することによって、上述の偏光方向で光フィルタ31に入射するようにしてもよい。このように、偏光子によって半導体レーザ22から出射される光の偏光方向を制御するようにしてもよい。
【0041】
また、例えば、各光フィルタ31として、S偏光された光について上述の特性を示すものを用いて(例えば、第2光フィルタ31−2が、S偏光された光についてP偏光された光よりも波長λ3の光をより透過するものを用いて)、各半導体レーザ22がTMモードで光を発振するようにしてもよい。
【0042】
また、例えば、各光フィルタ31として、S偏光された光について上述の特性を示すものを用いて(例えば、第2光フィルタ31−2が、S偏光された光についてP偏光された光よりも波長λ3の光をより透過するものを用いて)、各半導体レーザ22の基板面の方向と、半導体レーザ22から光フィルタ31に入射する光の入射面の方向に垂直な方向と、が対応するようにした上で、各半導体レーザ22がTEモードで光を発振するようにしてもよい。
【0043】
また、図4に例示するように、光送信モジュール1に含まれる光合波部3が複数のミラー30(例えば、第1ミラー30−1〜第3ミラー30−3)を備え、それぞれのミラー30で光を反射するようにしてもよい。そして、各半導体レーザ22から出射される光が最初に入射する光フィルタ31で透過されるようにしてもよい。図4に例示する光送信モジュール1では、半導体レーザ22から出射される光はジグザグ状の光路を通ることとなる。
【0044】
また、図5や図6に例示するように、光合波部3がミラー30を備えないようにしてもよい。図5に例示する光合波部3が備える第1光フィルタ31−1は、例えば、P偏光された波長λ1の光を効率よく透過して、P偏光された波長λ2、波長λ3及び波長λ4の光を効率よく反射する。あるいは、S偏光された波長λ1の光を効率よく透過して、S偏光された波長λ2、波長λ3及び波長λ4の光を効率よく反射する。図6に例示する光合波部3が備える第1光フィルタ31−1は、例えば、P偏光された波長λ1の光を効率よく反射して、P偏光された波長λ2、波長λ3及び波長λ4の光を効率よく透過する。あるいは、S偏光された波長λ1の光を効率よく反射して、S偏光された波長λ2、波長λ3及び波長λ4の光を効率よく透過する。図5に例示する光送信モジュール1では、下から入射される光が上へと出射される。図6に例示する光送信モジュール1では、下から入射される光が左へと出射される。
【0045】
また、光送信モジュール1が、図7に例示するように、3つのミラー30(第1ミラー30−1〜第3ミラー30−3)及び3つの光フィルタ31(第1光フィルタ31−1〜第3光フィルタ31−3)を備えていてもよい。図7に例示する光送信モジュール1では、反射面(透過面)が左下から右上に向かうよう第1ミラー30−1、第2光フィルタ31−2が配置されている。反射面(透過面)が左上から右下に向かうよう第2ミラー30−2、第3ミラー30−3、第1光フィルタ31−1、第3光フィルタ31−3が配置されている。そして、第1半導体レーザ22−1から出射された光が第1ミラー30−1、第2光フィルタ31−2で反射された後に、第1光フィルタ31−1で透過されるようにしてもよい。そして、第2半導体レーザ22−2から出射された光が第2光フィルタ31−2、第1光フィルタ31−1で透過されるようにしてもよい。そして、第3半導体レーザ22−3から出射された光が第3光フィルタ31−3で透過された後で、第2ミラー30−2、第1光フィルタ31−1で反射されるようにしてもよい。そして、第4半導体レーザ22−4から出射された光が第3ミラー30−3、第3光フィルタ31−3、第2ミラー30−2、第1光フィルタ31−1で反射されるようにしてもよい。
【0046】
また、光送信モジュール1が、図8に例示するように、略正方形領域の頂点に対応する位置に配置される4つの光線方向制御部材(3つの光フィルタ31(第1光フィルタ31−1〜第3光フィルタ31−3)及び1つのミラー30)を備えていてもよい。図8に例示する光送信モジュール1では、反射面(透過面)が左下から右上に向かうよう第2光フィルタ31−2は配置されており、反射面(透過面)が左上から右下に向かうようミラー30、第1光フィルタ31−1、第3光フィルタ31−3が配置されている。そして、第1半導体レーザ22−1が光合波部3の左から右に向かって光を出射するようにしてもよい。そして、第2半導体レーザ22−2、第3半導体レーザ22−3が光合波部3の下から上に向かって光を出射するようにしてもよい。そして、第4半導体レーザ22−4が光合波部3の右から左に向かって光を出射するようにしてもよい。そして、第1半導体レーザ22から出射される光が第2光フィルタ31−2で反射された後で、第1光フィルタ31−1で透過されるようにしてもよい。そして、第2半導体レーザ22から出射される光が第2光フィルタ31−2、第1光フィルタ31−1で透過されるようにしてもよい。そして、第3半導体レーザ22から出射される光が第3光フィルタ31−3で透過された後で、ミラー30、第1光フィルタ31−1で反射されてもよい。そして、第4半導体レーザ22から出射される光が第3光フィルタ31−3、ミラー30、第1光フィルタ31−1で反射されてもよい。
【0047】
また、例えば、光送信サブアセンブリ2の数は4つに限定されない。また、合波の対象となる波長は4つに限定されない。また、図9に例示するように、光送信モジュール1が光送信サブアセンブリ2を備える代わりに、光合波部3の筐体内に半導体レーザ22などを設けるようにしてもよい。また、例えば、光送信モジュール1が光送信サブアセンブリ2を備える代わりに、光合波部3の筐体内に半導体レーザ22などを設けるようにしてもよい。また、例えば、光送信モジュール1がファイバアセンブリ4を備える代わりに、光合波部3の筐体内にアイソレータ43やコリメータ42などを設けるようにしてもよい。また、ファイバアセンブリ4は、上述のようなピッグテールモジュールに限られず、光コネクタのレセプタクルであっても構わない。また、λ1>λ2>λ3>λ4の関係にあって、かつ、各光フィルタ31が短波長パスフィルタのエッジフィルタであっても構わない。また、各光フィルタ31がバンドパスフィルタであっても構わない。具体的には、例えば、第2光フィルタ31−2が、波長λ1の光、波長λ3の光及び波長λ4の光を透過して、波長λ2の光を反射するバンドパスフィルタであっても構わない。また、光合波部3が、いくつかのエッジフィルタといくつかのバンドパスフィルタとを備えていてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 光送信モジュール、2 光送信サブアセンブリ、3 光合波部、4 ファイバアセンブリ、20 パッケージ、21 コリメータレンズ、22 半導体レーザ、23 配線ピン、30 ミラー、31 光フィルタ、40 光ファイバ、41 フェルール、42 コリメータ、43 アイソレータ、131 光フィルタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の波長の光と第2の波長の光とを合波して出射する光送信モジュールであって、
前記第1の波長の光を出射する第1のレーザと、前記第2の波長の光を出射する第2のレーザと、光フィルタと、を備え、
前記光フィルタが、第1の偏光方向については前記第1の波長の光を反射し、かつ、第2の偏光方向については前記第2の波長の光を透過する特性を有し、
前記第1のレーザが出射する光の少なくとも一部が、前記第1の偏光方向で前記光フィルタに入射して、
前記第2のレーザが出射する光の少なくとも一部が、前記第2の偏光方向で前記光フィルタに入射する、
ことを特徴とする光送信モジュール。
【請求項2】
前記第1の偏光方向と前記第2の偏光方向とが対応する、
ことを特徴とする請求項1に記載の光送信モジュール。
【請求項3】
前記光フィルタが、第1の偏光方向については前記第1の偏光方向とは異なる偏光方向に比べて前記第1の波長の光をより反射する、及び/又は、第2の偏光方向については前記第2の偏光方向とは異なる偏光方向に比べて前記第2の波長の光をより透過する特性を有する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の光送信モジュール。
【請求項4】
前記第1のレーザが出射する光の偏光方向が前記第1の偏光方向に対応する、及び/又は、前記第2のレーザが出射する光の偏光方向が前記第2の偏光方向に対応する、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の光送信モジュール。
【請求項5】
前記第1のレーザがTEモード若しくはTMモードにて前記第1の波長の光を出射する、及び/又は、前記第2のレーザがTEモード若しくはTMモードにて前記第2の波長の光を出射する、
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の光送信モジュール。
【請求項6】
前記光フィルタが、P偏光若しくはS偏光のいずれか一方について他方よりも前記第1の波長の光を反射する特性を有する、及び/又は、P偏光若しくはS偏光のいずれか一方について他方よりも前記第2の波長の光を透過する特性を有する、
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の光送信モジュール。
【請求項7】
前記第1のレーザから前記光フィルタに入射する光の入射面の方向と、前記第1のレーザの活性層面の方向若しくは当該活性層面に対して垂直な方向と、が対応する、及び/又は、前記第2のレーザから前記光フィルタに入射する光の入射面の方向と、前記第2のレーザの活性層面の方向若しくは当該活性層面に対して垂直な方向と、が対応する、
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の光送信モジュール。
【請求項8】
前記光フィルタが、エッジフィルタ又はバンドパスフィルタである、
ことを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の光送信モジュール。
【請求項9】
前記光フィルタが、前記第1のレーザ、及び/又は、前記第2のレーザからの光の入射角が45度に対応する角度となるよう配置されている、
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の光送信モジュール。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11A】
image rotate

【図11B】
image rotate

【図12A】
image rotate

【図12B】
image rotate

【図13A】
image rotate

【図13B】
image rotate

【図14A】
image rotate

【図14B】
image rotate


【公開番号】特開2010−211164(P2010−211164A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−60226(P2009−60226)
【出願日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【出願人】(301005371)日本オプネクスト株式会社 (311)
【Fターム(参考)】