説明

光送信器を備える文書

本発明は、視覚的に知覚可能でないスペクトル領域内の機械可読光信号を出力する光送信器102を備える文書に関する。この文書は光送信器が一体化されている文書本体101、103、105を有する。この文書は少なくとも1つの部分領域(107)においてスペクトル領域内で透明である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文書、特に重要文書又はセキュリティ文書と、このような文書のための読み取り装置と、通信方法とに関する。
【背景技術】
【0002】
集積電子回路を備える文書自体は、現行の技術水準から様々な形態で既知である。例えばこのような文書は、主に紙ベースの形態で、例えば電子パスポートとして又はチップカード、特にいわゆるスマートカードとして、接触型、非接触型、又はデュアルインタフェース型に実装されて存在している。
【0003】
特に、このような文書のための様々な無線検出システムが現行の技術水準から既知であり、これらのシステムは無線周波数識別(RFID)システムとも呼ばれる。既知のRFIDシステムは概して、少なくとも1つのトランスポンダ及び送受信装置を備える。トランスポンダは、RFIDマーカ、RFIDチップ、RFIDタグ、RFIDラベル、又は無線マーカとも呼ばれる。送受信装置は、読み取り装置又はリーダとも呼ばれる。さらに、多くの場合、サーバ、サービス、及び、例えばレジシステム又は在庫管理システムのような他のシステムと、いわゆるミドルウェアを介して統合することが意図されている。
【0004】
RFIDトランスポンダ上に記録されているデータは無線波を介して使用可能になる。これは、周波数が低い場合は近傍界を介して誘導的に生じ、周波数が高い場合は遠方電磁界を介して生じる。RFIDトランスポンダに対して要求及び読み取りを行うことができる距離は、実装(パッシブ/アクティブ)、利用される周波数帯域、送信強度、及び他の環境の影響に起因して、数センチメートル〜1キロメートルを超える長さの間で変動する。
【0005】
RFIDトランスポンダは通常、キャリア若しくはハウジング内に収容されているか又は基板上に印刷されているマイクロチップ及びアンテナを備える。アクティブRFIDトランスポンダは、パッシブトランスポンダとは異なり、さらに例えば蓄電池のようなエネルギー源を使用する。
【0006】
RFIDトランスポンダは、例えば電子財布を実現するために又は電子チケット発行のために、特にチップカード内で様々な文書に使用可能である。さらに、これらのRFIDトランスポンダは、例えば重要文書及びセキュリティ文書、特に紙幣及び証明書のような紙又はプラスチックに一体化される。
【0007】
特許文献1から、例えば、積層プラスチック及び/又は射出成形プラスチックから成る身分証明セキュリティカードが既知であり、このカードは、RFID方式を実施するためのアンテナを備える集積回路を備える。さらに、特許文献2から、例えばパスポートのような、トランスポンダ装置を備えるブック型セキュリティ文書が既知である。
【0008】
このようなセキュリティ文書又は重要文書は、現行の技術水準においては部分的にチップカードとして実現される。例えば特許文献3、特許文献4、及び特許文献5から既知であるように、チップカードは、一体化されている表示装置を備えることができる。
【0009】
例えば特許文献5及び特許文献3から、ディスプレイを備える柔軟なカードが既知である。しかし、これらのカードは1つのみの表示要素しか有しない。さらに、特許文献6から電子ペーパが既知であり、この電子ペーパによって再度使用可能な用紙が形成される。
【0010】
さらに、AU Optronics社によって両面OLEDディスプレイが紹介されており、このディスプレイは、前面及び背面上で互いから独立して2つのカラー画像を表示することができる。このようなディスプレイは、携帯電話において使用されるように意図されている。特許文献7から、マイクロスフィア又はマイクロカップを有する電気泳動ディスプレイが既知である。
【0011】
重要文書又はセキュリティ文書は、接触型インタフェース若しくは非接触型インタフェース、例えばRFIDインタフェース、又は、チップカード端末との有線通信も無線通信も可能にするインタフェースを備えることができる。後者の場合、いわゆるデュアルインタフェースチップカードという用語も使用される。チップカード通信のプロトコル及び方式は例えば規格ISO 14443において定義されている。
【0012】
RFID機能を有するこのような文書の欠点は、文書が例えば文書の所持者の財布内に存在する場合に、文書の所持者の了承なしにRFIDインタフェースに対して要求が行われる可能性があるということである。そのような文書からデータを無許可で読み出すことからの保護のための旅券用保護メカニズムは「基本アクセス制御」として既知であり、これに関しては、非特許文献1を参照されたい。
【0013】
さらに、現行の技術水準から、暗号保護下のデータを電子的に記憶する方法が既知である。保護される記憶装置の、過去20年間において大幅に普及した形態は電子チップカードであり、電子チップカードはISO7816によってパート1からパート4まで規格化されている。チップカード技術の用途分野には機械可読旅券の導入が含まれており、この導入によって、特に世界規模の航空における乗客管理の安全性及び効率が向上することが見込まれる。
【0014】
出願時には公開されていない、同一出願人による特許文献8から、視覚的に知覚可能な光領域内にあるが、人の目が残像性を有するためにその繰り返し周波数に起因して知覚可能ではない光信号を出力する表示装置を備える重要文書又はセキュリティ文書が既知である。
【0015】
特許文献9から、発光体を備える非接触データキャリアが既知である。データキャリア上には例えば赤外線発光ダイオードが配置されている(特許文献9の段落0027及び図2を参照されたい)。この発明では読み取り装置への光学的データ伝送を赤外線領域内で行うことができるが、データキャリア上で赤外線発光ダイオードの存在をはっきりと視認することができるため、この光学的データ伝送が気付かれないままでいることはない。これは、非接触データキャリアの追跡と、赤外線接続を介して伝送されるデータの探知とを容易にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】独国実用新案登録第201 00 158号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第10 2004 008 841号明細書
【特許文献3】欧州特許第0920675号明細書
【特許文献4】国際公開第2004/080100号パンフレット
【特許文献5】米国特許第6,019,284号明細書
【特許文献6】米国特許第6,340,965号明細書
【特許文献7】国際公開第03/009059号パンフレット
【特許文献8】独国特許出願第10 2006 031 422号明細書
【特許文献9】独国特許出願公開第103 17 257号明細書
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】「Machine Readable Travel Document」(Technical Report, PKI for Machine Readable Travel Documents Offering ICC Read-Only Access, Version 1.1, Oktober 01, 2004, International Civil Aviation Organisation (ICAO) (http://www.icao.int/mrtd/download/documents/TR-PKI%20mrtds%20ICC%20readonly%20access%20v1_1.pdf))
【発明の概要】
【0018】
本発明が基づく複数の課題はそれぞれ、独立請求項の特徴によって解決される。本発明の好ましい実施の形態は、従属請求項において提示されている。
【0019】
本発明によれば、人の目が視覚的に知覚することができないスペクトル領域内の少なくとも1つの機械可読光信号を出力する光送信器を備える文書、特に重要文書又はセキュリティ文書が作成される。
【0020】
したがって、本発明は、例えば暗号鍵、暗号化及び/又は署名された情報、トランザクション番号、バーコード、有効期限、資格情報、パーソナライゼーションデータ等のような様々な種類のデータを重要文書又はセキュリティ文書から光学的に出力することを可能にし、詳細には、これが同時に補助技術を必要とすることなくユーザが視覚的に知覚可能であるように出力することを可能にする。
【0021】
本発明によれば、これによって、既知の重要文書又はセキュリティ文書に対する代替の文書が作成される。信号出力が無線波を介して行われる既知の重要文書又はセキュリティ文書と比べて、本発明の実施の形態は、重要文書又はセキュリティ文書からのデータ出力を気付かれずに、文書の所持者の同意なしに行うことができないという利点を有する。これは、文書が例えば文書の所持者の財布外にある場合にのみ可能な、読み取り装置との光接続が確立可能でなければならないためである。これは特に、機械可読渡航文書(Machine Readable Travel Document(MRTD))のように規格化された方法によって保護されていない文書にとって有利である。
【0022】
本発明の実施の形態はさらに、偽造に対する安全性及び改竄に対する安全性の向上という点で現行の技術水準よりも有利である。すなわち、ユーザが視覚的に捉えることができない機械可読光信号を出力する表示装置を備える、実装された重要文書又はセキュリティ文書が、偽造者によってコピー可能又は改竄可能であることはほとんどない。
【0023】
本発明の1つの実施の形態によれば、文書本体は送信器を完全に囲み、その結果、ユーザは文書内の送信器の存在を補助技術なしでは確認することができない。例えば、文書本体は、送信器が送信を行う視覚的に知覚可能でないスペクトル領域内で透明であり且つ視覚的に知覚可能な領域内で不透明である材料から成る。特に、文書本体はプラスチック射出成形部品とすることができる。ここで、プラスチックと顔料とを混合することができ、それによって、視覚的に知覚可能な領域内でプラスチックを不透明にする。
【0024】
本発明の1つの実施の形態によれば、光送信器は、赤外線(IR)スペクトル領域及び/又は紫外線(UV)スペクトル領域内で放射を行うように形成されている。例えば、光送信器は、1つ又は複数のIR発光ダイオード(LED)及び/又はUV発光ダイオードを含む。
【0025】
本発明の1つの実施の形態によれば、文書は、紙ベース且つ/又はプラスチックベースとすることができる文書本体を有する。文書の光送信器は文書本体に一体化されている。これは、文書本体内の光送信器の存在をユーザが視覚的に知覚することができないように行われる。文書本体を通過する機械可読光信号の放射を可能にするために、文書は、機械可読光信号に対して実質的に透明である少なくとも1つの部分領域を有する。この部分領域は、例えば文書の片側にあり、当該部分領域の下方にある光送信器を覆う。
【0026】
本発明の1つの実施の形態によれば、文書は層形状の構造を有する。文書の表面は、視覚的に知覚可能でないスペクトル領域の使用される部分において透明であり且つ視覚的に知覚可能なスペクトル領内で不透明である、すなわち実質的に放射を通過させない層によって形成される。この層は、例えばポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、又はポリプロペリン(PP)のようなプラスチック材料から成ることができる。プラスチック材料は添加物を含むことができ、それによってプラスチック材料が視覚的に知覚可能なスペクトル領域内で不透明になる。添加物は、プラスチック材料に着色するための着色顔料、又は、例えば二酸化チタンのような光を散乱させる効果を有する顔料とすることができる。代替的に又は付加的に、層によって覆われている光送信器をユーザが視覚的に知覚することができないようにするために、層に印刷を施すことができる。
【0027】
本発明の1つの実施の形態によれば、光送信器は表示装置として形成されている。表示装置は、セグメント化された表示装置、例えば、個々のディスプレイセグメントの直接電気アドレス指定が可能な表示装置、特に個々のセグメントを駆動するためのワード線及びビット線を備える表示装置とすることができる。さらなる1つの実施の形態によれば、表示装置は、セグメントディスプレイ、アクティブマトリクス、又はパッシブマトリクスである。
【0028】
本発明の1つの実施の形態によれば、表示装置は、LEDディスプレイ、LCDディスプレイ、エレクトロウェッティング効果に基づくディスプレイ、双安定ディスプレイ、特に電気泳動ディスプレイ若しくは回転要素(Drehelement: rotating element)ディスプレイ、又は、例えばエレクトロクロミックディスプレイのような準双安定(semi-bistabil: semi-bistable)ディスプレイである。
【0029】
本発明の1つの実施の形態によれば、文書は、視覚的に知覚可能でないスペクトル領域内の放射を通過させる、表示装置の前方に配置されているフィルタを有する。
【0030】
本発明の1つの実施の形態によれば、表示装置は反射型又は透過型に形成されている。
【0031】
本発明の1つの実施の形態によれば、表示装置は、視覚的に知覚可能でないスペクトル領域内で吸収効果を有する表示要素を含む。これらの表示要素は、視覚的に知覚可能でないスペクトル領域内で吸収効果を有するのではなく実質的に透明である液体内に存在する。表示要素の駆動によって視覚的に知覚可能でないスペクトル領域内でコントラストを生成することができ、このコントラストは光センサによって捕捉可能である。
【0032】
本発明の1つの実施の形態によれば、機械可読光信号のうちの1つ又は複数を出力する表示装置は、シリアルデータ伝送及び/又はパラレルデータ伝送のために形成されている。ここで、光信号の変調は、例えば振幅変調、パルス幅変調、位相変調、及び/又は周波数変調によって行われる。
【0033】
本発明の1つの実施の形態によれば、重要文書又はセキュリティ文書は表示装置のための駆動回路を有し、この駆動回路は駆動装置として、機械可読光信号を出力するために表示装置を駆動するのに用いられる。
【0034】
本発明の1つの実施の形態によれば、重要文書又はセキュリティ文書は、表示装置を駆動すると共に機械可読光信号を変調する集積電子回路を有する。特に、この集積電子回路は、重要文書又はセキュリティ文書のデータ記憶装置にアクセスするのに用いられ、それによって、このデータ記憶装置から読み出されたデータ又はこれらのデータに基づいて生成されたさらなるデータが、機械可読光信号の形態で出力される。
【0035】
本発明の1つの実施の形態によれば、重要文書又はセキュリティ文書は、暗号プロトコルを実施する集積電子回路を有し、機械可読光信号の出力及び/又は表示装置上におけるデータの表示は先行して行われる暗号プロトコルの実施に依存する。これによって、表示装置を介する出力及び表示のそれぞれが、対応する資格が存在する場合にのみ行われることが保証される。
【0036】
本発明の1つの実施の形態によれば、暗号プロトコルの実施に使用される情報は、表示装置を通じて送信される。この情報は、識別子、暗号文、暗号鍵等とすることができる。例えば、この情報に基づいてチャレンジ・レスポンス方式等が実施される。
【0037】
本発明の1つの実施の形態によれば、文書は、証明書、特に身分証明書、パスポート、査証又は社員証、クレジットカード、運転免許証、資格証明書等である。
【0038】
本発明の1つの実施の形態によれば、紙ベースの文書又はチップカードが考慮される。
【0039】
本発明の1つの実施の形態によれば、重要文書又はセキュリティ文書は、表示装置、集積電子回路、及び/又は駆動回路にエネルギー供給するための、且つ/又は読み取り装置と通信するためのインタフェースを有する。インタフェースは、接触型インタフェース又は非接触型インタフェース、特にRFIDインタフェースとして形成することができる。さらに、インタフェースは、いわゆるデュアルモードインタフェースとして形成することもできる。インタフェースは、電気結合方法、容量結合方法、誘導結合方法、磁気結合方法、光結合方法、又は別の物理的結合方法に基づくことができる。アンテナを介する非接触型結合のために、これは、例えばコイル、双極子として又は容量性平面(kapazitiven Flaechen: capacitive planes)の形態で形成することができる。
【0040】
例えばインタフェースは、外部の書き込み及び/又は読み取り装置から電気エネルギーを供給するためのアンテナ、特にRFIDアンテナを有する。しかし、代替的に又は付加的に、重要文書又はセキュリティ文書は、例えば蓄電池、フォトセル等のような一体化されたエネルギー供給装置を使用することもできる。
【0041】
本発明の1つの実施の形態によれば、表示装置は、経時的に変化する情報を機械可読信号の形態で表示及び/又は出力するように駆動される。ここでこの情報は、時間及び/又は日付に応じて変化する情報、又は周期的に変化する情報とすることができる。
【0042】
さらなる一態様では、本発明は重要文書又はセキュリティ文書のための通信方法に関し、機械可読光信号の出力によるデータ出力は重要文書又はセキュリティ文書の光送信器を介して行われ、機械可読光信号は、人の目が視覚的に知覚することができないスペクトル領域内にある。
【0043】
さらなる一態様において、本発明は、本発明による重要文書又はセキュリティ文書のための読み取り装置に関する。読み取り装置は、重要文書又はセキュリティ文書の機械可読光信号を受信するように形成されている。
【0044】
以下において、本発明の実施例を図面を参照してより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明による文書の第1の実施形態の概略展開図である。
【図2】本発明による文書のさらなる1つの実施形態の平面図である。
【図3】透過型表示装置又は発光型表示装置を備える、本発明による文書の1つの実施形態の概略断面図である。
【図4】反射型表示装置を備える、本発明による文書の1つの実施形態の概略断面図である。
【図5】モノクロ液晶ディスプレイに基づく、本発明による表示装置の1つの実施形態の概略展開図である。
【図6】本発明による透過型表示装置の1つの実施形態の概略展開図である。
【図7】本発明による電気泳動表示装置の概略断面図である。
【図8】電気泳動ディスプレイに基づく、本発明による表示装置のさらなる1つの実施形態の概略断面図である。
【図9】電気泳動ディスプレイに基づく、本発明による表示装置のさらなる1つの実施形態の概略断面図である。
【図10】本発明による文書及びこの文書用の読み取り装置の1つの実施形態のブロック図である。
【図11】本発明による通信方法の1つの実施形態のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下の図面の互いに対応する要素は同じ参照符号を付される。
【0047】
図1は、カード形状に形成されている文書100を示す。文書100は、パーソナライゼーション情報を印刷された表側103と裏側105との間にインレー(Inlay: inlay)101を有する。加えて文書100は、図1では明瞭さのために図示されていないさらなる層を備えることができる。
【0048】
インレー101は凹部を有し、この凹部内には、例えば1つ若しくは複数のLED及び/又は表示装置102を備える光送信器がある。この送信器は、視覚的に知覚可能でないスペクトル領域内の機械可読光信号を放射するように形成されている。ここで、「視覚的に知覚可能でないスペクトル領域」は、人の目が補助技術なしでは知覚することができないスペクトル領域と理解される。例えば、光信号は、光周波数スペクトルの赤外線領域又は紫外線領域内にある。
【0049】
文書100は、当該文書が送信器を完全に囲み、その結果、ユーザが文書100内の送信器の存在を補助技術なしでは確認することができなくなるように形成されている。
【0050】
光送信器によって出力される機械可読光信号を外部読み取り装置が受信することができるように、文書100は少なくとも1つの部分領域において、光送信器が放射を行う視覚的に知覚可能でないスペクトル領域に対して透明である。ここで考察される実施形態では、視覚的に知覚可能でないスペクトル領域内で透明である、文書のこのような部分領域107が、インレー101内に嵌め込まれている送信器の上方において表側103に存在する。
【0051】
例えば、部分領域107は、特に700nm〜1100nmの範囲内の赤外線放射に対して透明である。少なくとも部分領域107において又は全体において、表側103は、例えばPC、PET、PVC、PE、又はPPのような赤外線領域内で透明な対応する材料から成る。材料は添加物を含むことができ、それによって材料が光学的に知覚可能なスペクトル領域内で不透明になる。その結果、送信器102が遮蔽され、それによって観察者から送信器が隠される。代替的に又は付加的に、送信器102を隠すために、部分領域107に印刷を施すことができる。
【0052】
表側103に印刷された、例えば文書100の所持者の名前、性別、国籍等のようなパーソナライゼーションデータ、及び/又は表側に印刷された、例えば線印刷等のような安全のための特徴は、赤外線スペクトル領域内で十分に透明である印刷インクを用いて実現することができる。このような印刷インクは市販されており、当業者に既知である。
【0053】
図2は、本発明による文書100の1つの実施形態を示す。文書100は、例えば証明書、特に身分証明書、パスポート、査証又は社員証、クレジットカード、運転免許証、資格証明書等のような重要文書又はセキュリティ文書である。
【0054】
ここで考察される実施形態では、文書100は、例えば光発光−消光ディスプレイ(Photolumineszenz-Loeschungsanzeige: photoluminescence-quenching display)、電気泳動ディスプレイ、エレクトロクロミックディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、LEDディスプレイ、特に無機LED若しくは有機LEDディスプレイ(OLED)、回転要素ディスプレイ、棒グラフディスプレイ、又はエレクトロウェッティング効果に基づくディスプレイ、又は例えばCitala社(http:www.citala.com)から発売されているフレキシブルディスプレイのようなフレキシブルディスプレイ、又はハイブリッドディスプレイのような、単一の表示装置102を有する。ハイブリッドディスプレイは、様々なディスプレイの組み合わせであるディスプレイである。好ましくは、フレキシブルディスプレイが使用される。
【0055】
表示装置102の駆動には駆動装置104が用いられる。駆動装置104は、データ線106を介して集積電子回路108と接続している。駆動装置104は、集積電子回路108の一体化される構成部分を形成することもできる。
【0056】
集積電子回路108は、いわゆるモジュール110、特にチップカードモジュール内に存在することができる。モジュール110によって、集積回路108との通信のための接触型若しくは非接触型のインタフェース又はデュアルインタフェース型インタフェースが形成される。
【0057】
文書100はさらに、1つ又は複数のアンテナ112を備えることができる。アンテナ112はモジュール110に接続している。アンテナ112は、集積回路108、駆動装置104、及び/又は表示装置102のエネルギー供給に用いることができる。このために、外部装置から電気エネルギーがアンテナ112を用いて供給される。代替的に又は付加的に、アンテナ112は、例えばRFID方式によって外部装置との無線通信に用いられる。
【0058】
集積電子回路108は、データ線106を介して駆動装置104に伝送される制御信号を生成する。この制御信号によって、駆動装置104は、視覚的に知覚可能でないスペクトル領域内の機械可読光信号が表示装置102を介して出力されるように駆動される。
【0059】
例えば、表示装置102は、セグメントディスプレイ又はマトリクスディスプレイとして形成されている。この場合、機械可読光信号の出力は、例えば表示要素のうちの1つ又は複数を駆動装置104によって駆動することによって行われる。表示装置102を介して出力される光信号は、駆動装置104の対応する駆動に基づいて集積電子回路108によって、例えば振幅変調、パルス幅変調、位相変調、及び/又は周波数変調を通じて、情報で変調されている。
【0060】
光信号が例えばIR領域又はUV領域内の搬送波周波数を有する場合、この光信号をユーザが知覚することはできない。文書100の実施形態は付加的に、ユーザによって視覚的に捉えることができる形態、例えば2Dバーコード等の形態における機械可読光信号の、文書のさらなる表示装置(図2には図示せず)上での出力を可能にする。しかしながら、この場合においても、光信号をユーザが認知的に捉えることはできない。これは、この光信号が、機械のみによって評価されてさらに処理されることが意図されているためである。しかし、機械可読光信号に加えて、視覚的且つ認知的にユーザが捉えることができる信号をさらなる表示装置から出力することもできる。
【0061】
特に、表示装置102を介して、例えば暗号鍵、暗号化及び/又は署名された情報、トランザクション番号、資格情報、パーソナライゼーションデータ、バイオメトリックデータ等のような機密情報を機械可読光信号の形態で出力することができる。
【0062】
付加的に、これらの情報は、完全に又は部分的に文書100のさらなる表示装置上に平文で表示することもでき、それによってユーザが情報を視覚的に知覚することができるようになる。さらに、所定の情報を機械可読光信号の形態においてのみ表示装置102を介して、また他の情報を平文でのみさらなる表示装置を介して出力することが可能である。
【0063】
アンテナ112の代替として又はアンテナ112に加えて、文書100は、例えば蓄電池又は太陽電池のような内部エネルギー源を使用することができる。さらなる1つの実施形態では、文書は、エネルギーを使用する際に用いられる接触型インタフェースを使用することができる。この接触型インタフェースは、アンテナ112を介する外部のエネルギー供給のために、これは、例えばコイル、双極子として又は容量性平面の形態で形成することができる。アンテナ112は、例えば表示装置102及び/若しくは集積電子回路108及び/若しくは駆動装置104のエネルギー供給のためにのみ使用することができるか、又は代替的に若しくは付加的に、外部装置からのデータの送信及び/又は受信のための通信接続、特にRFID通信接続の構築のためにも使用することができる。
【0064】
図3は、本発明による文書100の1つの実施形態の概略断面図を示す。この実施形態では、表示装置102は、複数の表示素子、すなわちセグメント114、116、118、及び120に分割されている、すなわちセグメント/アクティブ又はパッシブマトリクスディスプレイである。セグメント114〜120のうちの1つ又は複数は、機械可読光信号122を出力するように、集積電子回路108によって駆動装置104を介して駆動され、この信号は外部装置124によって受信される。ここでは読み取り装置として形成されている装置124は、光信号122を復調し、それによって、この信号内で受信された情報を得る。これらの情報は、例えば制御目的のために装置124によって機械的にさらに処理及び/又は出力される。
【0065】
例えば、セグメントのうちの少なくとも1つは、視覚的に知覚可能でないスペクトル領域内の機械可読光信号122を放射するように形成されている。
【0066】
図3の表示装置102の1つの実施形態は、光の不可視領域内の背景光を有する透過型ディスプレイである。この実施形態では、不透明な表側103は開口を有し、この開口内にはさらなる表示装置111が配置されている。表示装置111は、視覚的に知覚可能なスペクトル領域において再生を行うのに用いられる。表示装置111は表側103に入り込んでいるため、ユーザは表示装置111の存在をはっきりと視認することができる。表示装置111は、文書100の別個の駆動装置(図3には図示せず)を介して回路108によって駆動することができる。
【0067】
図4は代替の1つの実施形態を示す。この実施形態では、表示装置は反射性を有するように形成されている。この場合、装置124は光学読み取り光線126を生成し、それによって、視覚的に知覚可能でないスペクトル領域内で表示装置102によって出力される信号を捕捉する。
【0068】
図5は、赤外線フィルタ(IRフィルタ)8を備えるモノクロ液晶LCディスプレイに基づく、本発明による表示装置102の1つの実施形態を示す。表示装置102は反射器1を有する。この反射器の前方に第1の偏光方向の偏光器2が配置されている。偏光器2には、透明背後電極を備える基板3が続く。基板3に続いて液晶層4があり、この液晶層に続いて構造化電極5がある。
【0069】
図5に示されている実施形態では、構造化電極5は8つの駆動可能な部分電極を含み、これらの部分電極は表示装置102の対応する画像点、いわゆるピクセルに対応する。電極5に続いて透明基板6があり、透明基板には第2の偏光方向の偏光器7が続き、この第2の偏光方向は偏光器2の第1の偏光方向に対して実質的に垂直である。偏光器7にはフィルタ8が続き、このフィルタは実質的にIR放射のみに対して透明である。フィルタ8は表示装置102の一体型構成要素とすることができる。フィルタ8は、例えば図1の実施形態における文書100の表側3の部分領域107におけるように、文書100の層のうちの1つにおいて実現することができる。
【0070】
図5に示されている反射実施形態の代わりに、図6に示されているように、LCD技術に基づいて表示装置102を透過性に設計することができる。この実施形態では反射器1の代わりに、例えばIR放射を放出する放出体1'が使用されている。
【0071】
さらなる1つの実施形態によれば、表示装置102は、IR−LEDに基づくLEDディスプレイとして形成されており、好ましくは、700nm〜3000nm、特に好ましくは700nm〜1100nm、特に750nm〜950nmの範囲内の発光を有する。この場合、無機LED、有機LEDも、ハイブリッドLEDも使用することができる。
【0072】
さらなる1つの実施形態によれば、表示装置102は、UV−LEDに基づいて形成されている。好ましくは、発光は、190nm〜400nm、特に好ましくは250nm〜400nmの範囲内になる。この場合、無機LED、有機LEDも、ハイブリッドLEDも使用することができる。
【0073】
さらなる1つの実施形態によれば、表示装置102は、双安定表示装置として形成されており、例えば回転要素ディスプレイとして、又は電気泳動ディスプレイとして、特にいわゆる電子ペーパ、例えばE−Inkベースの電子ペーパとして形成されている。
【0074】
このような表示装置は例えば、可視スペクトル領域内で同じ色を有すると共に、可視スペクトル領域外でコントラストを生成することができる回転要素を有する。この場合、例えばIR吸収回転要素及びIR透明回転要素又はIR反射回転要素が回転要素ディスプレイ内に存在する。IR透明回転要素又はIR反射回転要素も、IR吸収回転要素も可視領域内で実質的に吸収性を有することができる、すなわち黒の色を有することができる。このような双安定ディスプレイは特に、スイッチング事象のためにのみエネルギーが必要とされるという利点を有する。ここで、情報は、エネルギー供給をオフにした後でも依然として表示される。
【0075】
図7は、E−Ink技術に基づく電気泳動ディスプレイを備える表示装置102の1つの実施形態を示す。表示装置102は自身の表側において透明電極10を有し、この透明電極は、例えばIR領域において又はさらには可視領域においても透明である。さらに、表示装置102は、部分電極16を備える構造化背後電極12を有し、これらの部分電極は、電極10と電極12との間にあるマイクロスフィア13を駆動するように形成されている。マイクロスフィア13は、代替的にマイクロカップとしても形成することができる。
【0076】
マイクロスフィア13のそれぞれの内部には、IR吸収粒子14及び非IR吸収粒子15がある。粒子14及び15は、どの電位が関連する部分電極16に印加されるかに応じて、それぞれのマイクロスフィア13の内部で、電極10への方向又は電極12への方向のいずれかへと動くことができる。IR吸収粒子14は、例えば煤色の粒子とすることができる。
【0077】
粒子15は、CMYの対応する混色によって染められて、実質的に粒子14と同じ色を有する。したがって、粒子14も粒子15も可視光においては実質的に黒に見え、一方、IR光による照射の場合では、粒子14のみがIR吸収性を有し、これに対して粒子15がIRに対して透明であることによってコントラストが生じる。
【0078】
図8は、電気泳動表示装置102の、図7に対する代替の実施形態を示す。この電気泳動表示装置は、マイクロスフィア13の内部で非IR吸収液体17内に存在するIR吸収粒子14を有する。液体17の内部では、粒子14は、それぞれの部分電極16に印加される電位に応じて、すなわち電極10への方向又は電極12への方向のいずれかへと動くことができる。電極10を通じて表示装置102をIR光によって照射する場合、マイクロスフィア13内での粒子14の異なる配置に基づくコントラスト差を検出することができる。
【0079】
さらなる1つの実施形態では、粒子14は非IR吸収性を有し、液体17はこれに対してIR吸収性を有する。
【0080】
図9は、図8の電気泳動表示装置102のさらなる一構成を示す。この実施形態では、マイクロスフィア13はさらに粒子18を含み、当該粒子は、粒子14及び15とは別の色を有し、同様に部分電極16の駆動によってそれぞれのマイクロスフィア13の内部で電極10と電極12との間で動くことができる。例えば、一方では粒子18が、他方では粒子14、15が反対の電荷を有し、その結果、部分電極16の駆動に応じて粒子18又は粒子14及び15のいずれかがマイクロスフィア13内部でグループ化する。一方の粒子14、15と他方の粒子18とが異なる色を有することに基づいて、各スイッチング事象において、表示装置102によって表示される別のパターンが生じる。
【0081】
図10は、プロセッサ130と電子記憶装置132とを備える文書100の1つの実施形態を示す。プロセッサ130及び記憶装置132は、集積電子回路108として実現することができる。駆動装置104も、集積電子回路108の一部として実現することができる。プロセッサ130はプログラム命令134を実施するのに用いられる。プログラム命令134の実施は、文書100に関連する、暗号プロトコルのステップを含むことができる。電子記憶装置132は、例えばパーソナライゼーションデータのようなデータ136を記憶するのに用いられる。
【0082】
文書100は、装置124の対応するインタフェース138'との通信接続140を構築するためのインタフェース138を有する。インタフェース138は好ましくはRFIDインタフェースとして形成されており、アンテナ112を備える(図2の実施形態を参照されたい)。
【0083】
装置124はプログラム命令134'を実施するプロセッサ142を有する。プログラム命令134'の実施によって、装置124に関連する、暗号プロトコルのステップが実施される。
【0084】
装置124は、機械可読光信号122を表示装置102から受信する光受信器144を有する。光受信器144は例えば、視覚的に知覚可能でないスペクトル領域において感応性を有するCCDセンサである。
【0085】
装置124は、表示装置によって生成される表示を読み取るための読み取り光線126用の光送信器146をさらに有する。これは、例えばランプ、LED、又はレーザとすることができる。読み取り光線は、視覚的に知覚可能でないスペクトル領域を含む。好ましくは、読み取り光線は、文書100に読み取り光線が入射するという事実をユーザが視覚的に知覚することができないように、視覚的に知覚可能でないスペクトル領域に制限されている。
【0086】
プログラム命令134の実施に基づいて、プロセッサ130は光信号122を出力するように駆動装置104を駆動する。ここで、プロセッサ130は、例えば振幅変調、パルス幅変調、位相変調、及び/又は周波数変調を用いて、出力される情報で光信号を変調する。光信号122は、シリアル光信号又はパラレル光信号とすることができる。さらに、複数の光信号122を同時に又は時間的に連続してディスプレイ102を介して出力することもできる。光信号122を出力するとき、ディスプレイ102のセグメント(図3及び図4のセグメント114、116、118、及び120を参照されたい)のうちの1つ又は複数が駆動される。
【0087】
同様に、プロセッサ130は、プログラム命令134の実施に基づいて、光信号126の捕捉のためにディスプレイ102を駆動するように駆動装置104を駆動することができる。これによって得られる情報はプロセッサ130によってさらに処理することができ、それによって、これに基づいて例えば1つ又は複数のさらなる光信号120が生成され、ディスプレイ102を介して出力される。
【0088】
文書100と装置124との間のデータ伝送は、シリアルでもパラレルでも行うことができる。情報は、シリアルの場合ではディスプレイ102上に表示されるコンテンツの経時的変化によって伝送され、パラレルの場合ではディスプレイ102上に表示される情報の空間分解によって伝送される。より多いデータ量を交換するために、シリアルデータ伝送及びパラレルデータ伝送を互いに組み合わせることもできる。
【0089】
ディスプレイ102の構成は、例えば1ビットの情報を伝送するのに全面的に行うことができるか、又はディスプレイは、セグメントディスプレイ、パッシブマトリクスディスプレイ、若しくはアクティブマトリクスディスプレイとして形成することができる。
【0090】
文書100は、例えば蓄電池のような固有のエネルギー供給源を使用する必要はない。エネルギー供給は、例えばインタフェース138を介して行うことができる。例えば装置124のインタフェース138'からインタフェース138内に電気エネルギーが供給され、この電気エネルギーは、集積電子回路108、駆動装置104、及び/又はディスプレイ102の給電に用いられる。これは、文書がその全作動時間にわたって機能することを確実にするために特に有利である。この場合、インタフェース138が非接触型インタフェースとして形成されていることが特に有利である。これは、そうすることによって、文書の作動時間にわたるインタフェースの接触の腐食及び損耗の問題も無くなるためである。
【0091】
電子記憶装置132に記憶される、文書100のデータ136は、例えば文書の所持者の名前、住所、顔画像、指紋データ、及び署名のようなパーソナライゼーションデータとすることができる。光信号122の形態で且つ/又はインタフェース138を介して文書100からこれらのデータを出力することには、暗号プロトコルの実施を先行して行うという条件を付けることができる。
【0092】
装置124を用いてデータ136を読み取るために、例えば以下のように事が運ばれる。
【0093】
文書100が装置124の近くに運ばれ、その結果、文書に電気エネルギーが文書のインタフェース138を介して供給される。これによって、プロセッサ130によるプログラム命令134の実施が開始する。プログラム命令134の実施によって、例えば乱数のような識別子が生成される。識別子は、光信号122の対応する変調によってディスプレイ102を介して出力され、装置124の光受信器144を用いて受信される。
【0094】
この後、プログラム命令134'を実施することによって、プロセッサ142は、このように受信された識別子及び秘密鍵から、暗号プロトコルの実施に使用されるさらなる鍵が得られるようにする。例えば、このようにして、暗号プロトコルの実施を成功させるために必要な対称鍵又は非対称鍵が生成される。
【0095】
本発明の1つの実施形態では、例えば識別子及び秘密鍵から、秘密鍵と公開鍵とから成る非対称鍵ペアが生成される。この後、公開鍵は、装置124によって、この装置のインタフェース138'及び通信接続140又はこの装置の光送信器146を介して光信号126として文書100に伝送される。この公開鍵は、例えば、続いてチャレンジ・レスポンス方式を実施するために使用される。
【0096】
暗号プトロコルの実行に成功した後、データ136は、プロセッサ130によって電子記憶装置132から読み出され、全て又は一部がディスプレイ102上に平文で表示され、且つ/又は、機械可読光信号122として且つ/若しくは通信接続140を介して装置124に伝送される。
【0097】
表示装置102を光学的に捕捉するために、光受信器144は例えば、例えばSi技術に基づくCCD技術又はCMOS技術のIR感受性カメラとして形成されている。例えば、IR感受性カメラはこのために、対応するロングパスフィルタを有する。
【0098】
UV領域内の機械可読光信号122の放射が行われる場合、アナログCCDカメラ又はCMOSカメラを使用することができる。エネルギーが非常に高い放射の場合、変換層をこれらのカメラ上に設けることができる。
【0099】
図11は本発明による方法の1つの実施形態のフロー図を示す。ステップ200において、例えば外部の書き込み及び/又は読み取り装置から電気エネルギーが文書のインタフェースを介して供給される。この後、ステップ202において、文書の電子記憶装置から、機密的でないか又はほとんど機密的でないデータが読み取られ、ステップ204において文書のさらなる表示装置上に出力される(図3の表示装置111を参照されたい)。ここで、例えば平文のような、人のユーザが視覚的且つ認知的に容易に捉えることができる形態で表示が行われる。
【0100】
ステップ200の後、さらにステップ206が実施され、このステップにおいて、文書の表示装置が光信号を外部装置から受信するように駆動される。ステップ208において、外部装置から光信号を介して受信される情報に基づいて、暗号プロトコルが開始される。代替的に又は付加的に、読み取り装置からの信号の受信がインタフェース138によって行われ、この信号の受信に基づいて暗号プロトコルが開始される。
【0101】
暗号プトロコルの実施に成功した後、ステップ210において、例えば指紋データのような機密データが文書の電子記憶装置から読み取られて、対応する機械可読光信号が生成される。この信号は、外部装置による受信のために、ステップ212において表示装置を対応して駆動することによって視覚的に知覚可能でないスペクトル領域内で出力される。
【0102】
さらなる1つの実施形態では、まず文書のインタフェースを介してエネルギーが供給され、読み取り装置のプロセッサに対する通信が確立される。暗号プロトコルを任意選択的に実施した後、情報が表示素子上で視覚的に知覚可能でないスペクトル領域内で表される。
【符号の説明】
【0103】
1 反射器
1' 放出体
2 偏光器
3 基板
4 層
5 部分電極
5' 部分電極
5'' 部分電極
5''' 部分電極
5'''' 部分電極
6 基板
7 偏光器
8 フィルタ
8' フィルタ
8'' フィルタ
8''' フィルタ
8'''' フィルタ
10 電極
12 電極
13 マイクロスフィア
14 粒子
15 粒子
16 部分電極
17 液体
18 粒子
100 文書
101 インレー
102 表示装置
103 表側
104 駆動装置
105 裏側
106 データ線
107 部分領域
108 集積電子回路
109 開口
110 モジュール
111 表示装置
112 アンテナ
114 セグメント
116 セグメント
118 セグメント
120 セグメント
122 光信号
124 装置
126 読み取り光線
128 放射源
130 プロセッサ
132 記憶装置
134 プログラム命令
134' プログラム命令
136 データ
138 インタフェース
140 通信接続
142 プロセッサ
144 受信器
146 送信器
148 パスポート写真
150 部分画像
152 部分画像
154 部分画像
156 部分画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
視覚的に知覚可能でないスペクトル領域内の少なくとも1つの機械可読光信号を出力する光送信器(102)を備える文書であって、前記文書は前記光送信器が一体化されている文書本体(101、103、105)を有し、前記文書は少なくとも1つの部分領域(107)において前記スペクトル領域内で透明である、文書。
【請求項2】
前記文書本体は前記送信器を完全に囲み、その結果、ユーザは前記文書(100)内の前記送信器の存在を補助技術なしでは確認することができない、請求項2に記載の文書。
【請求項3】
前記光送信器は、赤外線(IR)領域及び/又は紫外線(UV)領域内の前記光信号を放射するように形成されている、請求項1又は2に記載の文書。
【請求項4】
前記光送信器は1つ又は複数の発光ダイオードを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の文書。
【請求項5】
前記文書の表面は、前記視覚的に知覚可能でないスペクトル領域内で透明であり且つ前記視覚的に知覚可能なスペクトル領内で不透明である層(103)によって形成される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の文書。
【請求項6】
前記層(103)は前記文書の表側又は裏側にわたって延在する、請求項5に記載の文書。
【請求項7】
前記光送信器は表示装置(102)を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の文書。
【請求項8】
前記表示装置は、LEDディスプレイ、LCDディスプレイ、双安定ディスプレイ、特に電気泳動ディスプレイ若しくは回転要素ディスプレイ、及び/又は準双安定ディスプレイ、例えばエレクトロクロミックディスプレイである、請求項7に記載の文書。
【請求項9】
前記視覚的に知覚可能でないスペクトル領域内の放射を通過させるフィルタ(8、8'''')を備える、請求項7又は8に記載の文書。
【請求項10】
前記表示装置は、発光型、反射型、又は透過型である、請求項7〜9のいずれか一項に記載の文書。
【請求項11】
人の目が視覚的に知覚することができる信号を出力するさらなる表示装置(111)を備える、請求項1〜10のいずれか一項に記載の文書。
【請求項12】
前記さらなる表示装置(111)は前記部分領域の開口内に配置されている、請求項11に記載の文書。
【請求項13】
前記部分領域は、前記文書の前記表側(103)又は裏側(105)である、請求項12に記載の文書。
【請求項14】
前記表示装置は、前記視覚的に知覚可能でない領域内で吸収効果を有すると共に液体(17)内に存在する表示要素(14)を有し、前記液体は、前記視覚的に知覚可能でないスペクトル領域内で透明である、請求項7〜13のいずれか一項に記載の文書。
【請求項15】
重要文書又はセキュリティ文書、例えば証明書、特に身分証明書、パスポート、査証又は社員証、クレジットカード、運転免許証、資格証明書等である、請求項1〜14のいずれか一項に記載の文書。
【請求項16】
請求項1〜15のいずれか一項に記載の文書のための読み取り装置。
【請求項17】
前記光送信器(102)によって放射される前記機械可読光信号又は複数の機械可読光信号を捕捉する手段(144)を備える、請求項16に記載の読み取り装置。
【請求項18】
請求項1〜15のいずれか一項に記載の文書(100)のための通信方法であって、前記文書の光送信器(102)による視覚的に知覚可能でないスペクトル領域内の機械可読光信号の出力によってデータ出力が行われる、通信方法。
【請求項19】
前記光信号によって、暗号プロトコルの実施に使用される情報が受信される、請求項18に記載の通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2010−515986(P2010−515986A)
【公表日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−545132(P2009−545132)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【国際出願番号】PCT/EP2007/064511
【国際公開番号】WO2008/083922
【国際公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(599147447)ブンデスドルケライ ゲーエムベーハー (21)
【氏名又は名称原語表記】BUNDESDRUKEREI GMBH
【Fターム(参考)】