光送信装置
【課題】SC光を用いたWDM伝送によりブロードキャストを実現する光送信装置を提供する。
【解決手段】短パルス光を非線形媒質に入射する前に、ビット列パターン(配信データ)により強度変調してから、非線形媒質に入射する。ビット値「0」に対応するパルス光は、非線形媒質に入射されたときに、当該パルス光のスペクトル幅が非線形現象により所定スペクトル領域まで広がらないように強度変調され、光分波器からは、光が出力されない状態とし、ビット値「1」に対応するパルス光は非線形媒質に入射されたときに、当該パルス光のスペクトル幅が非線形現象により所定スペクトル領域まで広がるように強度変調され、光分波器からは光が出力される状態とする。
【解決手段】短パルス光を非線形媒質に入射する前に、ビット列パターン(配信データ)により強度変調してから、非線形媒質に入射する。ビット値「0」に対応するパルス光は、非線形媒質に入射されたときに、当該パルス光のスペクトル幅が非線形現象により所定スペクトル領域まで広がらないように強度変調され、光分波器からは、光が出力されない状態とし、ビット値「1」に対応するパルス光は非線形媒質に入射されたときに、当該パルス光のスペクトル幅が非線形現象により所定スペクトル領域まで広がるように強度変調され、光分波器からは光が出力される状態とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバーネットワークにおいて、波長多重された光信号を送信する光送信装置に関し、特に、波長多重された光信号により配信データをブロードキャストするための光送信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信インフラのブロードバンド化により、通信と放送の融合が進んでいる。これまでの通信と言えば、局間を1対1で結ぶPoint_to_Pointの伝送がメインであったが、放送では同一の信号(配信データ)を複数の方路に向かって配信する1対Nのブロードキャストが必要になる。
【0003】
現在、基幹系の通信ネットワークは大容量光ファイバ伝送システムで構築されている。図1乃至図3は、この大容量光ファイバ伝送システム上で配信データのブロードキャストを行うための光送信装置の従来の構成例を示す。
【0004】
例えば、図1の構成は、ある波長(λ1)で発振するレーザダイオード(LD)からなる単一波長光源1の光を光強度変調器2が配信データにより光強度変調し、その光を1:Nに光パワー分岐するスターカプラ3で分配する方式である。しかしながら、近年の基幹系光通信ネットワークは、大容量化を実現するために波長多重(WDM)化されており、例えば波長に応じて信号方路の切り替えを行う。このようなネットワーク上でブロードキャストを行うには、同一配信データを複数の波長に乗せる必要がある。
【0005】
これを実現する手段としては、図2の構成に示すように、異なる波長で発振する単一波長光源1を複数用意し、各波長の光を光波長合波器4で多重化し、光強度変調器2が波長多重された光を同一配信データで一括変調し、一括変調された波長多重光を光波長分波器5で分離する方式(図2(a))が知られている。また、異なる波長の光ごとに光強度変調器2を設け、各光強度変調器2が同一配信データによりそれぞれの変調する方式(図2(b))等が知られている。しかし、現在のWDMネットワークは、数十〜数百の波長多重化がされており、波長毎に光源を用意すると膨大なコストが掛かる。
【0006】
一方、このような懸念に対して、ひとつの光源で複数の波長を同時に出力可能な多波長光源が検討されている。下記特許文献1乃至5は、様々な多波長光源に関する発明について開示している。中でも、広い波長帯域に渡ってコヒーレントな光を生成できるスーパーコンティニウム(SC)光源は、WDM用の光源として様々な検討がなされている。SC光源は、高エネルギー(例えばピーク値で数ワット)の短パルス光(例えばピコ秒幅のパルス幅)を特殊なファイバ(非線形媒質)に通すことで、スペクトルが非常に広がる現象を利用する広帯域光源である。
【0007】
図3は、SC光源10を用いた光送信装置の構成例を示す。また、図4は、図3の構成におけるSC光源10の光の波長軸上及び時間軸上での特性を示す図である。図3において、SC光源10は、短パルス光源11、非線形媒質12を備え、短パルス光源111からの出力光(繰り返しパルス列)が非線形媒質12に入射される。図4(a)に示すように、短パルス光源11からの出力光は、時間軸で見ると、繰り返しパルス列であり、波長軸で見ると、光波長分波器5の波長透過範囲とずれた狭いスペクトルを有する光である。
【0008】
短パルス光源11からの出力光は、非線形媒質12に入射されると、図4(b)に示すように、非線形現象(自己位相変調、四光波混合、誘導ラマン散乱)と波長分散により、波長軸上において、そのスペクトルは、光波長分波器5の波長透過範囲を含んで大きく広がる。また、時間軸上では、パルス幅が圧縮され、その分パワーが増大する。図4(b)に示すスペクトルが広がった光をSC光と呼ぶ。このとき、非線形現象は非線形媒質12に入射するパワーが高いほど顕著に現れるため、入射するパルス光のピークパワーが高いほどスペクトルの広がりが顕著になり、逆にパワーが低ければスペクトル広がりは抑圧される。
【0009】
次に、非線形媒質12から出力されるSC光は光波長分波器5に入射され、波長成分毎にフィルタで切り出される。その後、各波長の光は光強度変調器2にて変調され、各波長(ch)に信号を乗せることでWDM伝送を行う。光強度変調器2からの出力光は、図4(c)に示すように、光波長分波器5を透過した所定の波長の光に対して強度変調されている。データ「0」のときの光パワーをPoff、データ「1」のときの光パワーをPonとすると、Pon/Poffを消光比と呼ぶ。
【0010】
一般に、短パルス光源11としては、コヒーレンスのよい縦モード成分を得るためモードロックレーザが用いられ、非線形媒質12には、効率よく非線形現象を発生させるため波長分散値や非線形係数が管理された光ファイバが用いられる。現在の基幹系WDM伝送では、C-band帯(1530nm〜1565nm)とL-band帯(1565nm〜1625nm)の波長(信号)帯域が多く使用されており、これに対してSC光源10は、例えば1450nm〜1650nmにわたって良好な連続スペクトルが得られることが報告されている。
【0011】
なお、特許文献6は、光通信システムにおける中間中継器により、主信号に副信号を重畳して送信する構成について開示している。
【特許文献1】特開平8−234250号公報
【特許文献2】特開平9−244076号公報
【特許文献3】特開2003−18126号公報
【特許文献4】特開2003−69502号公報
【特許文献5】特開2001−264830号公報
【特許文献6】特開平7−312575号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
このようなSC光源10を用いてブロードキャスト用の光送信装置を構成する場合、図5の構成が知られている。図5は、SC光源10を用いたブロードキャスト用の光送信装置の従来の構成例を示す図である。図6は、図5の構成におけるSC光源10の光の波長軸上及び時間軸上での特性を示す図である。
【0013】
図5において、多波長成分の同一配信データを一括して生成するために、非線形媒質12から出力されたSC光を、光強度変調器2により配信データで強度変調し、その後、光波長分波器5で各波長成分に分波することにより、光波長分波器5の各波長ポートから同一配信データが出力される。図6(a)は、短パルス光源11からの出力光の特性、図6(b)は、非線形媒質12からの出力光の特性、図6(c)は、光強度変調器2からの出力光の特性を示す。各波長の光に対して、同一の配信データを乗せるので、光波長分波器5により各波長に分波する前に、多重された全ての波長帯域に対して一括して同一の配信データで変調をすることができる。
【0014】
しかし、図5の光送信装置の構成では、以下に説明する問題点がある。
【0015】
(1)SC光はパルス圧縮によってスペクトルを広げて生成されるため、パルスのピークパワーが上昇する。例えば、ピークパワー約+32dBmにまで達する。このような高パワーのパルス列は、一般的な光強度変調器2の最大入力光パワー耐力を考えるとそのまま入力することは難しい。一般的によく用いられるLN(LiNO2)光強度変調器では、入力上限値はせいぜい約+20dBm程度であるため、光強度変調器2を破壊しないために予め減衰器でレベルを落とす必要がある。この結果、レベル補償のために別途広帯域な光アンプが必要になってしまう。
【0016】
(2)SC光はスペクトル幅が広いため、光強度変調器2の各種特性(通過損失、消光比等)の波長依存性が大きな問題となる。例えば、SC光のスペクトル幅の範囲で通過損失特性が均一(フラット)でない場合、光波長分波器5で切り分けた後の各波長ポートの光パワーも均一にならないため、別途波長(ch)毎にレベル調整が必要になってしまう。
【0017】
(3)SC光を一括変調する場合は、波長分散の影響にも注意を払う必要がある。図7は波長分散を説明する図である。図7(a)に示す短パルス光源11からの出力光(パルス幅:Δt、パルス繰り返し周期:T)を、非線形媒質12に入射してSC光を発生させる。このとき、光ファイバである非線形媒質12の波長分散が完全にゼロの場合(図7(b)参照)は、SC光でスペクトルが広がってもパルス内の群遅延時間差が発生しないので、どの波長成分も同じ時間タイミングで、光強度変調器2によって強度変調することができる。
【0018】
しかし、波長分散がある場合(図7(c)参照)は、SC光の波長帯域内で群遅延時間差が発生するため、光強度変調器2に入る前で波長成分間の時間ずれが生じる。これを一括して強度変調すると、光強度変調器2で正しく変調できない波長領域が生じる。この問題は、特にパルスのビットレートが高く(繰り返し時間Tが短く)なると注意が必要となる。例えば、非線形媒質12として、3kmのsingle-mode dispersion-shifted fiber(DSF)を用いる場合、一般的なDSFファイバの分散係数を考慮すると、ゼロ分散波長1550nmとL-bandの最長波長1625nmでは約180ps/kmの遅延差が発生し、3kmでは約540psの遅延時間が生じる。仮にビットレートが10Gbpsの場合、繰り返し時間T=100psであるから、繰り返し時間以上に遅延が発生し、一括変調は不可能となる。
【0019】
(4)図5の構成では、パルスの消光比(Pon/Poff)は光強度変調器2の特性によって決まる。光強度変調器2は、一般に光の通過を完全に遮断できない。SC光はパルスパワーのピークレベルが高いため、消光比が小さい場合は、光パワーPoff(データ「0」の場合)のときでも、残留光として、高い光パワーが通過することになる。
【0020】
そこで、本発明の目的は、上記問題点を解決し、SC光を用いたWDM伝送によりブロードキャストを実現する光送信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的を達成するため、本発明の実施態様にかかる光送信装置の第一の構成は、パルス光又は連続光を出力する光源と、前記光源からの光が入射され、前記光源から出力された光を所定のビット列パターンに従って強度変調したパルス光を出力する強度変調器と、 前記強度変調器からのパルス光が入射され、前記強度変調器からのパルス光に非線形現象を引き起こさせ、所定レベル以上のピーク強度を有する前記変調されたパルス光のスペクトル幅を所定スペクトル領域まで広げる非線形媒質と、前記非線形媒質からのパルス光が入射され、前記所定スペクトル領域の波長成分を有するパルス光を複数の波長の光に分波して出力する光波長分波器とを備えることを特徴とする。
【0022】
本発明の実施態様にかかる光送信装置の第二の構成は、上記第一の構成において、前記強度変調器は、ビット値「0」に対応するパルス光が前記非線形媒質に入射されたときに、当該パルス光のスペクトル幅が非線形現象により前記所定スペクトル領域まで広がらないように、ビット値「0」に対応するパルス光を強度変調し、ビット値「1」に対応するパルス光が前記非線形媒質に入射されたときに、当該パルス光のスペクトル幅が非線形現象により前記所定スペクトル領域まで広がるように、ビット値「1」に対応するパルス光を強度変調することを特徴とする。
【0023】
本発明の実施態様にかかる光送信装置の第三の構成は、上記第一の構成において、前記光源は、短パルスを生成するモードロックレーザであることを特徴とする。
【0024】
本発明の光送信装置の第四の構成は、上記第一の構成において、前記光源は、連続光を生成する直流発光レーザであることを特徴とする。
【0025】
本発明の実施態様にかかる光送信装置の第五の構成は、上記第一の構成において、前記光源は、短パルスを生成するモードロックレーザであり、前記強度変調器は、前記モードロックレーザに内蔵されるモードロック用強度変調器と共用され、モードロック用の周期信号に前記ビット列パターンが重畳された信号が前記モードロック調強度変調器に供給されることを特徴とする。
【0026】
本発明の実施態様にかかる光送信装置の第六の校正構成は、上記第一の構成において、前記強度変調器からのパルス光を増幅する光アンプを備え、前記強度変調器からのパルス光は、前記光アンプにより増幅されて、前記非線形媒質に入射されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、短パルス光を非線形媒質に入射する前に、ビット列パターン(配信データ)により強度変調することで、単一の光源からの光信号から、同一の配信データにより一括変調された複数の光波長成分を生成することができ、WDM伝送によるブロードキャスト用の光送信装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。しかしながら、かかる実施の形態例が、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0029】
図8は、本発明の実施の形態における光送信装置の原理を説明する図である。本発明の光送信装置は、従来技術のように、短パルス光源11からの出力光を非線形媒質12に入射させ、非線形媒質12から出力されるスーパーコンティニウム(SC)光を光強度変調器2により変調するのではなく、図8(a)に示すように、短パルス光源11からの出力光を光強度変調器2により変調した後、光強度変調器2からの出力光を非線形媒質12に入射し、SC光を生成する。
【0030】
すなわち、短パルス光源11からの出力光を非線形媒質12に入射する前に、ビット列パターン(配信データ)により強度変調してから、非線形媒質に入射する。ビット値「0」に対応するパルス光は、非線形媒質に入射されたときに、当該パルス光のスペクトル幅が非線形現象によりWDM信号帯域まで広がらないように強度変調され、光波長分波器5からは、光が出力されない状態とし、ビット値「1」に対応するパルス光は非線形媒質12に入射されたときに、当該パルス光のスペクトル幅が非線形現象によりWDM信号帯域まで広がるように強度変調され、光波長分波器5からは光が出力される状態とする。
【0031】
図8(b)は、非線形媒質12に入射するパルス光(強度変調された光)のピークパワーとそのときに生成されるSC光のスペクトル幅の関係を示す図である。非線形媒質12の非線形効果により入射光のスペクトル幅は広がるが、入射光のピークパワーが大きいほど、スペクトル幅の広がりも大きくなり(非線形効果大)、入射パルス光のピークパワーが低いとスペクトルが広がらない(非線形効果小)。図8(b)に示されるように、ある程度のパワーの光が入射すると、スペクトルの広がりが顕著に発生し最終的にはロスや分散の影響によりスペクトルの広がりが飽和する領域が現れる。スペクトル幅の具体的な数値は、例えば、光ファイバからなる非線形媒質12の場合、分散係数やファイバのコア径などのパラメータによって決定される。
【0032】
本発明では、非線形媒質12の上記特性を利用して、配信データ「1」(ON)のときは、高いピークパワーのパルス光を非線形媒質12に入射し(図8(b)の(ii)点)、所望の波長帯域(WDM帯域)までスペクトル幅を広げる。一方、配信データ「0」(OFF)のときは、パルス光のピークパワーを所定レベル以下まで低下させ(図8(b)の(i)点)、スペクトル幅の広がりを抑え、WDM帯域までスペクトル幅が広がらないようにする。
【0033】
図9は、光強度変調器2からの出力光と非線形媒質12からの出力光との関係を示す図である。光強度変調器2には、短パルス光源11から、一定周期で一定レベルのピークパワーを有するパルス光が入射される。入射パルス光は、WDM帯域とは異なる波長領域で狭いスペクトル幅を有する。配信データ「0」(OFF)の場合、光強度変調器2からは、入射パルス光を減衰させ、ピークパワーが大きく低下した残留光が出力される。この残留光が非線形媒質12に入射されても、入射光のピークパワーは、入射光のスペクトル幅を大きく広げる程度の非線形効果を生じさせるほど大きくなく、スペクトル幅はWDM領域にまで広がらない。従って、光波長分波器5でWDM領域の波長を分波する場合、WDN領域には、入射光のスペクトル成分がないので、WDM領域の各波長(ch)において、光波長分波器5の各ポートからは、全く光が出力されない。
【0034】
一方、配信データ「1」(ON)の場合、光強度変調器2は入射パルス光は減衰されずに、高いピークパワーのまま光強度変調器2から出力され、非線形媒質12に入射される。この入射パルス光は、顕著な非線形効果を生じさせるのに十分なピークパワーを有しており、スペクトル幅はWDM領域を含む領域まで広がる。従って、光波長分波器5でWDM領域の波長を分波する場合、WDM領域には、入射光のスペクトル成分が存在するので、WDM領域の各波長(ch)において、光波長分波器5の各ポートからは、所定レベルのパルス光信号が出力される。
【0035】
図10は、配信データと光波長分波器5からの出力光との関係を示す図である。図10において、光強度変調器2は、短パルス光源11からのパルス光を配信データパターンにより強度変調すると、上述するように、配信データ「0」では、非線形媒質12において、入射光のスペクトル光がWDM領域まで広がらず、光波長分波器5の各ポートからの出力はゼロ、すなわち、光が全く出力されないこととなり、配信データ「0」を出力することができる。
【0036】
また、配信データ「1」では、非線形媒質12において、入射光のスペクトル光がWDM領域を含んで大きく広がるので、光波長分波器5の各ポートからの出力は、所定レベルのパルス信号となり、配信データ「1」を出力することができる。
【0037】
上述した本発明の光送信装置の原理により、従来の問題点は解消される。すなわち、
(1)光強度変調器2に入射されるパルス光は、非線形効果によるパルス幅圧縮前の波形であるため、パルス光のピークパワーはSC光に比べて低い。従って、短パルス光源11からのパルス光のピークパワーが、光強度変調器2の入射光パワーの上限以下であれば、そのまま光強度変調器2に入力することができる。
【0038】
また、スペクトル幅を効率よく広げるために、非線形媒質12に入射するパルス光のピークパワーを上げたい場合は、一旦、光強度変調器2の入力パワー上限を超えない範囲のパルス列を変調しておき、その後、光アンプで増幅すればよい。従来技術では、SC光を増幅するために非常に広帯域な光アンプが必要となるが、本発明の場合、短パルス光源11からの光パルス信号のスペクトル幅は狭く、スペクトル幅の狭い段階で増幅するため、狭帯域の光アンプで十分に増幅できる。
【0039】
(2)スペクトル幅を広げる前の段階で光強度変調器2に光信号を通すため(スペクトル幅の広いSC光を光強度変調器2に通さないため)、SC光を一括変調する場合と比べて、光強度変調器2の各種波長依存特性(透過損失など)に対する制約が低くなる。
【0040】
(3)スペクトル幅を広げる前のパルス光であるため帯域がSC光により十分狭いこと、及びパルス光を生成してすぐに光強度変調器2に入力することから、波長分散によるパルス光内の群遅延時間差がほとんど発生しない。その後、SC光を生成する段階では、波長分散による群遅延は発生するが、すでに変調された後なので、波長間の群遅延時間差によりWDM帯域内の波長を一括変調できないという従来の問題は発生しない。
【0041】
(4)従来の光送信装置の構成では、最終的に生成されるパルス光信号(光波長分波器5からの出力)の消光比は、使用する光強度変調器の消光比特性によって決まってしまうが(図6(c)参照)、本発明では、配信データ「0」(OFF)のときは、全く光が出力されず、完全に光がなくなるので、消光比が大幅に向上する。これは、例えば、消光比の悪い光強度変調器でも、非線形媒質のパラメータによって、生成されるデータパルスの消光比を十分に取ることが可能となるため、光強度変調器の消光比の改善としても有効である。
【0042】
図11は、本発明の実施の形態例における光送信装置の第一の構成例を示す図である。短パルス光源11には、繰り返し短パルス光を生成するモードロックレーザダイオード(Mode-Lock LD)が用いられる。光強度変調器2には、強度変調に一般的に用いられるLN(LiNO2)変調器が用いられる。効率良くスペクトル幅を広げるために、LN変調器2からの出力を増幅する光アンプ6が設けられる。また、余分な雑音光(例えば、ASE(Amplified Spontaneous Emission)光を除去するための光フィルタ7が光アンプ6の後段に配置される。光アンプ6及び光フィルタ7は必ずしも必要な構成要素でない。非線形媒質12には、高非線形分散管理ファイバが用いられ、光波長分波器5には、一般的な波長分波フィルタが用いられる。
【0043】
各パラメータの具体的な値を例示するために、参考文献([6] Electron. Lett., Vol.31, No.13, pp.1064-1066(1995), T.Morioka, et al.)を引用して、以下に計算例を示す。SC光のスペクトルの広がり度合いを示すパラメータをFbと定義する。Fbは非線形媒質12に入射されるパルス光のスペクトル半値幅と生成されたSC光のスペクトルの半値幅との比を表す。上記参考文献には、SC光を生成する非線形媒質(光ファイバ)12が短い(例えば、1km未満)の場合は、Fbは、(式1)の経験式(近似式)によく合うことが示されている。
Fb = 1.49√{(γ・P・T2)/|β2|} - 0.75 (式1)
ここで、γは媒質の非線形係数、Pはパルスピークパワー、Tはパルス幅、β2は群遅延速度(GDV)分散を表す。参考文献によれば、この近似式(式1)は、√の{}内の値が16から1000の間でよく一致する。
【0044】
この条件下に当てはまる適当な現実的パラメータを選び、非線形媒質12に入力されるパルスのピークパワーと、その時生成されるSC光のスペクトル半値幅の関係をグラフ化したものを図12に示す。
【0045】
図12では、パルスピークパワーが+22.5dBm〜+40dBmの間で、SC光スペクトル幅の半分(入射パルスの長波長側、または短波長側のスペクトル幅)が約10nm〜110nmまで広がることが示されている。従って、図11の第一の構成例に当てはめると、光アンプ6の出力において、OFF時:+20dBm、ON時:+40dBm(LN変調器2の消光比は20dB)となるように設定すれば、SC光は、OFF時:〜約1510nm、ON時:〜約1610nmのスペクトル広がりが起こるため、一般的なWDM帯域のC-band、L-bandをカバーする一括変調光源が実現できる。
【0046】
図13は、本発明の実施の形態例における光送信装置の第二の構成例を示す図である。図11の第一の構成例では、繰り返し短パルス列を生成するための短パルス光源11(=モードロックLD)を用い、短パルスの周期と配信データパターンとを同期させていたが、第二の構成例では、例えば、直流発光レーザダイオード(CW−LD)のような連続光を生成する光源13が用いられる。光源以外の構成要素は、図11の第一の構成例と同様である。
【0047】
光強度変調器2において、連続光を配信データパターンにより強度変調することで、強度変調器2からは、第一の構成例と同様に、変調された光パルス信号を出力することができる。すなわち、CW−LD13とLN変調器2との組み合わせは短パルス光源となり、LN変調器2は、配信データパターンにより強度変調するとともに、パルス光を生成する手段として機能する。但し、一般的に連続光を出力する光源(CW−LD)13からの連続光のピークパワーは、短パルス光源11からのパルス光のピークパワーと比較して低いので、CW−LD13と光アンプ6によって十分に高い(非線形現象を引き起こすに十分な)ピークパワーを持つパルスが生成できることが前提となる。
【0048】
図14は、本発明の実施の形態例における光送信装置の第三の構成例を示す図である。第三の構成例は、短パルス光源11として、モードロックリングレーザが用いられ、モードロックリングレーザを構成するモードロック用光強度変調器112に供給される変調信号として、モードロック用の基本周期信号(モードロック信号)に配信データパターンを重畳した変調信号が供給される。
【0049】
図14の短パルス光源11は、モードロック・リングレーザであり、種光が増幅器111で増幅され、増幅された光はリングを一周する周期のタイミングで光強度変調器112を通過する。光パワー分岐部113は、通過した光の一部を外部に出力するとともに、残りの光をアイソレータ114を介して増幅器111に戻す。これにより、モードロック用光強度変調器112に供給される周期的なモードロック信号に同期したパルス光を生成することができる。
【0050】
第三の構成例では、光強度変調器112に供給される周期的なモードロック信号(正弦波信号)に、配信データパターンを重畳する。この場合、リングの基本周波数は配信データのビットレート周波数と一致することが前提となる。この時、リング内に配置されたモードロック用光強度変調器112に対して、(A)モードロックを起こさせるため、リングの基本周波数で正弦波変調(モードロック信号)を掛け、(B)かつ配信データパターンで強度変調するための2種類の強度変調器駆動信号を混合し、供給する。こうすることで、モードロックによる短パルス光の生成と、配信データによる短パルス光の変調を同時に行うことができる。光源以外の構成要素は、図11の第一の構成例と同様である。
【0051】
(付記1)
パルス光又は連続光を出力する光源と、
前記光源からの光が入射され、前記光源から出力された光を所定のビット列パターンに従って強度変調したパルス光を出力する強度変調器と、
前記強度変調器からのパルス光が入射され、前記強度変調器からのパルス光に非線形現象を引き起こさせ、所定レベル以上のピーク強度を有する前記変調されたパルス光のスペクトル幅を所定スペクトル領域まで広げる非線形媒質と、
前記非線形媒質からのパルス光が入射され、前記所定スペクトル領域の波長成分を有するパルス光を複数の波長の光に分波して出力する光波長分波器とを備えることを特徴とする光送信装置。
【0052】
(付記2)
付記1において、
前記強度変調器は、ビット値「0」に対応するパルス光が前記非線形媒質に入射されたときに、当該パルス光のスペクトル幅が非線形現象により前記所定スペクトル領域まで広がらないように、ビット値「0」に対応するパルス光を強度変調し、ビット値「1」に対応するパルス光が前記非線形媒質に入射されたときに、当該パルス光のスペクトル幅が非線形現象により前記所定スペクトル領域まで広がるように、ビット値「1」に対応するパルス光を強度変調することを特徴とする光送信装置。
【0053】
(付記3)
付記1において、
前記光源は、短パルスを生成するモードロックレーザであることを特徴とする光送信装置。
【0054】
(付記4)
付記1において、
前記光源は、連続光を生成する直流発光レーザであることを特徴とする光送信装置。
【0055】
(付記5)
付記1において、
前記光源は、短パルスを生成するモードロックレーザであり、
前記強度変調器は、前記モードロックレーザに内蔵されるモードロック用強度変調器と共用され、モードロック用の周期信号に前記ビット列パターンが重畳された信号が前記モードロック調強度変調器に供給されることを特徴とする光送信装置。
【0056】
(付記6)
付記1において、
前記強度変調器からのパルス光を増幅する光アンプを備え、
前記強度変調器からのパルス光は、前記光アンプにより増幅されて、前記非線形媒質に入射されることを特徴とする光送信装置。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】大容量光ファイバ伝送システム上でデータのブロードキャストを行うための光送信装置の従来の構成例を示す図である。
【図2】大容量光ファイバ伝送システム上でデータのブロードキャストを行うための光送信装置の従来の構成例を示す図である。
【図3】大容量光ファイバ伝送システム上でデータのブロードキャストを行うための光送信装置の従来の構成例を示す図である。
【図4】図3の構成におけるSC光源10の光の波長軸上及び時間軸上での特性を示す図である。
【図5】SC光源10を用いたブロードキャスト用の光送信装置の従来の構成例を示す図である。
【図6】図5の構成におけるSC光源10の光の波長軸上及び時間軸上での特性を示す図である。
【図7】波長分散を説明する図である。
【図8】本発明の実施の形態における光送信装置の原理を説明する図である。
【図9】光強度変調器2からの出力光と非線形媒質12からの出力光との関係を示す図である。
【図10】配信データと光波長分波器5からの出力光との関係を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態例における光送信装置の第一の構成例を示す図である。
【図12】非線形媒質12に入力されるパルスのピークパワーと生成されるSC光のスペクトル半値幅の関係を示すグラフである。
【図13】本発明の実施の形態例における光送信装置の第二の構成例を示す図である。
【図14】本発明の実施の形態例における光送信装置の第三の構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0058】
2:光強度変調器、5:光波長分波器、6:光アンプ、7:ノイズ除去用光フィルタ、10:SC光源、11:短パルス光源、12:非線形媒質、13:連続光光源、112:モードロック用光強度変調器
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバーネットワークにおいて、波長多重された光信号を送信する光送信装置に関し、特に、波長多重された光信号により配信データをブロードキャストするための光送信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、通信インフラのブロードバンド化により、通信と放送の融合が進んでいる。これまでの通信と言えば、局間を1対1で結ぶPoint_to_Pointの伝送がメインであったが、放送では同一の信号(配信データ)を複数の方路に向かって配信する1対Nのブロードキャストが必要になる。
【0003】
現在、基幹系の通信ネットワークは大容量光ファイバ伝送システムで構築されている。図1乃至図3は、この大容量光ファイバ伝送システム上で配信データのブロードキャストを行うための光送信装置の従来の構成例を示す。
【0004】
例えば、図1の構成は、ある波長(λ1)で発振するレーザダイオード(LD)からなる単一波長光源1の光を光強度変調器2が配信データにより光強度変調し、その光を1:Nに光パワー分岐するスターカプラ3で分配する方式である。しかしながら、近年の基幹系光通信ネットワークは、大容量化を実現するために波長多重(WDM)化されており、例えば波長に応じて信号方路の切り替えを行う。このようなネットワーク上でブロードキャストを行うには、同一配信データを複数の波長に乗せる必要がある。
【0005】
これを実現する手段としては、図2の構成に示すように、異なる波長で発振する単一波長光源1を複数用意し、各波長の光を光波長合波器4で多重化し、光強度変調器2が波長多重された光を同一配信データで一括変調し、一括変調された波長多重光を光波長分波器5で分離する方式(図2(a))が知られている。また、異なる波長の光ごとに光強度変調器2を設け、各光強度変調器2が同一配信データによりそれぞれの変調する方式(図2(b))等が知られている。しかし、現在のWDMネットワークは、数十〜数百の波長多重化がされており、波長毎に光源を用意すると膨大なコストが掛かる。
【0006】
一方、このような懸念に対して、ひとつの光源で複数の波長を同時に出力可能な多波長光源が検討されている。下記特許文献1乃至5は、様々な多波長光源に関する発明について開示している。中でも、広い波長帯域に渡ってコヒーレントな光を生成できるスーパーコンティニウム(SC)光源は、WDM用の光源として様々な検討がなされている。SC光源は、高エネルギー(例えばピーク値で数ワット)の短パルス光(例えばピコ秒幅のパルス幅)を特殊なファイバ(非線形媒質)に通すことで、スペクトルが非常に広がる現象を利用する広帯域光源である。
【0007】
図3は、SC光源10を用いた光送信装置の構成例を示す。また、図4は、図3の構成におけるSC光源10の光の波長軸上及び時間軸上での特性を示す図である。図3において、SC光源10は、短パルス光源11、非線形媒質12を備え、短パルス光源111からの出力光(繰り返しパルス列)が非線形媒質12に入射される。図4(a)に示すように、短パルス光源11からの出力光は、時間軸で見ると、繰り返しパルス列であり、波長軸で見ると、光波長分波器5の波長透過範囲とずれた狭いスペクトルを有する光である。
【0008】
短パルス光源11からの出力光は、非線形媒質12に入射されると、図4(b)に示すように、非線形現象(自己位相変調、四光波混合、誘導ラマン散乱)と波長分散により、波長軸上において、そのスペクトルは、光波長分波器5の波長透過範囲を含んで大きく広がる。また、時間軸上では、パルス幅が圧縮され、その分パワーが増大する。図4(b)に示すスペクトルが広がった光をSC光と呼ぶ。このとき、非線形現象は非線形媒質12に入射するパワーが高いほど顕著に現れるため、入射するパルス光のピークパワーが高いほどスペクトルの広がりが顕著になり、逆にパワーが低ければスペクトル広がりは抑圧される。
【0009】
次に、非線形媒質12から出力されるSC光は光波長分波器5に入射され、波長成分毎にフィルタで切り出される。その後、各波長の光は光強度変調器2にて変調され、各波長(ch)に信号を乗せることでWDM伝送を行う。光強度変調器2からの出力光は、図4(c)に示すように、光波長分波器5を透過した所定の波長の光に対して強度変調されている。データ「0」のときの光パワーをPoff、データ「1」のときの光パワーをPonとすると、Pon/Poffを消光比と呼ぶ。
【0010】
一般に、短パルス光源11としては、コヒーレンスのよい縦モード成分を得るためモードロックレーザが用いられ、非線形媒質12には、効率よく非線形現象を発生させるため波長分散値や非線形係数が管理された光ファイバが用いられる。現在の基幹系WDM伝送では、C-band帯(1530nm〜1565nm)とL-band帯(1565nm〜1625nm)の波長(信号)帯域が多く使用されており、これに対してSC光源10は、例えば1450nm〜1650nmにわたって良好な連続スペクトルが得られることが報告されている。
【0011】
なお、特許文献6は、光通信システムにおける中間中継器により、主信号に副信号を重畳して送信する構成について開示している。
【特許文献1】特開平8−234250号公報
【特許文献2】特開平9−244076号公報
【特許文献3】特開2003−18126号公報
【特許文献4】特開2003−69502号公報
【特許文献5】特開2001−264830号公報
【特許文献6】特開平7−312575号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
このようなSC光源10を用いてブロードキャスト用の光送信装置を構成する場合、図5の構成が知られている。図5は、SC光源10を用いたブロードキャスト用の光送信装置の従来の構成例を示す図である。図6は、図5の構成におけるSC光源10の光の波長軸上及び時間軸上での特性を示す図である。
【0013】
図5において、多波長成分の同一配信データを一括して生成するために、非線形媒質12から出力されたSC光を、光強度変調器2により配信データで強度変調し、その後、光波長分波器5で各波長成分に分波することにより、光波長分波器5の各波長ポートから同一配信データが出力される。図6(a)は、短パルス光源11からの出力光の特性、図6(b)は、非線形媒質12からの出力光の特性、図6(c)は、光強度変調器2からの出力光の特性を示す。各波長の光に対して、同一の配信データを乗せるので、光波長分波器5により各波長に分波する前に、多重された全ての波長帯域に対して一括して同一の配信データで変調をすることができる。
【0014】
しかし、図5の光送信装置の構成では、以下に説明する問題点がある。
【0015】
(1)SC光はパルス圧縮によってスペクトルを広げて生成されるため、パルスのピークパワーが上昇する。例えば、ピークパワー約+32dBmにまで達する。このような高パワーのパルス列は、一般的な光強度変調器2の最大入力光パワー耐力を考えるとそのまま入力することは難しい。一般的によく用いられるLN(LiNO2)光強度変調器では、入力上限値はせいぜい約+20dBm程度であるため、光強度変調器2を破壊しないために予め減衰器でレベルを落とす必要がある。この結果、レベル補償のために別途広帯域な光アンプが必要になってしまう。
【0016】
(2)SC光はスペクトル幅が広いため、光強度変調器2の各種特性(通過損失、消光比等)の波長依存性が大きな問題となる。例えば、SC光のスペクトル幅の範囲で通過損失特性が均一(フラット)でない場合、光波長分波器5で切り分けた後の各波長ポートの光パワーも均一にならないため、別途波長(ch)毎にレベル調整が必要になってしまう。
【0017】
(3)SC光を一括変調する場合は、波長分散の影響にも注意を払う必要がある。図7は波長分散を説明する図である。図7(a)に示す短パルス光源11からの出力光(パルス幅:Δt、パルス繰り返し周期:T)を、非線形媒質12に入射してSC光を発生させる。このとき、光ファイバである非線形媒質12の波長分散が完全にゼロの場合(図7(b)参照)は、SC光でスペクトルが広がってもパルス内の群遅延時間差が発生しないので、どの波長成分も同じ時間タイミングで、光強度変調器2によって強度変調することができる。
【0018】
しかし、波長分散がある場合(図7(c)参照)は、SC光の波長帯域内で群遅延時間差が発生するため、光強度変調器2に入る前で波長成分間の時間ずれが生じる。これを一括して強度変調すると、光強度変調器2で正しく変調できない波長領域が生じる。この問題は、特にパルスのビットレートが高く(繰り返し時間Tが短く)なると注意が必要となる。例えば、非線形媒質12として、3kmのsingle-mode dispersion-shifted fiber(DSF)を用いる場合、一般的なDSFファイバの分散係数を考慮すると、ゼロ分散波長1550nmとL-bandの最長波長1625nmでは約180ps/kmの遅延差が発生し、3kmでは約540psの遅延時間が生じる。仮にビットレートが10Gbpsの場合、繰り返し時間T=100psであるから、繰り返し時間以上に遅延が発生し、一括変調は不可能となる。
【0019】
(4)図5の構成では、パルスの消光比(Pon/Poff)は光強度変調器2の特性によって決まる。光強度変調器2は、一般に光の通過を完全に遮断できない。SC光はパルスパワーのピークレベルが高いため、消光比が小さい場合は、光パワーPoff(データ「0」の場合)のときでも、残留光として、高い光パワーが通過することになる。
【0020】
そこで、本発明の目的は、上記問題点を解決し、SC光を用いたWDM伝送によりブロードキャストを実現する光送信装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記目的を達成するため、本発明の実施態様にかかる光送信装置の第一の構成は、パルス光又は連続光を出力する光源と、前記光源からの光が入射され、前記光源から出力された光を所定のビット列パターンに従って強度変調したパルス光を出力する強度変調器と、 前記強度変調器からのパルス光が入射され、前記強度変調器からのパルス光に非線形現象を引き起こさせ、所定レベル以上のピーク強度を有する前記変調されたパルス光のスペクトル幅を所定スペクトル領域まで広げる非線形媒質と、前記非線形媒質からのパルス光が入射され、前記所定スペクトル領域の波長成分を有するパルス光を複数の波長の光に分波して出力する光波長分波器とを備えることを特徴とする。
【0022】
本発明の実施態様にかかる光送信装置の第二の構成は、上記第一の構成において、前記強度変調器は、ビット値「0」に対応するパルス光が前記非線形媒質に入射されたときに、当該パルス光のスペクトル幅が非線形現象により前記所定スペクトル領域まで広がらないように、ビット値「0」に対応するパルス光を強度変調し、ビット値「1」に対応するパルス光が前記非線形媒質に入射されたときに、当該パルス光のスペクトル幅が非線形現象により前記所定スペクトル領域まで広がるように、ビット値「1」に対応するパルス光を強度変調することを特徴とする。
【0023】
本発明の実施態様にかかる光送信装置の第三の構成は、上記第一の構成において、前記光源は、短パルスを生成するモードロックレーザであることを特徴とする。
【0024】
本発明の光送信装置の第四の構成は、上記第一の構成において、前記光源は、連続光を生成する直流発光レーザであることを特徴とする。
【0025】
本発明の実施態様にかかる光送信装置の第五の構成は、上記第一の構成において、前記光源は、短パルスを生成するモードロックレーザであり、前記強度変調器は、前記モードロックレーザに内蔵されるモードロック用強度変調器と共用され、モードロック用の周期信号に前記ビット列パターンが重畳された信号が前記モードロック調強度変調器に供給されることを特徴とする。
【0026】
本発明の実施態様にかかる光送信装置の第六の校正構成は、上記第一の構成において、前記強度変調器からのパルス光を増幅する光アンプを備え、前記強度変調器からのパルス光は、前記光アンプにより増幅されて、前記非線形媒質に入射されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、短パルス光を非線形媒質に入射する前に、ビット列パターン(配信データ)により強度変調することで、単一の光源からの光信号から、同一の配信データにより一括変調された複数の光波長成分を生成することができ、WDM伝送によるブロードキャスト用の光送信装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。しかしながら、かかる実施の形態例が、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0029】
図8は、本発明の実施の形態における光送信装置の原理を説明する図である。本発明の光送信装置は、従来技術のように、短パルス光源11からの出力光を非線形媒質12に入射させ、非線形媒質12から出力されるスーパーコンティニウム(SC)光を光強度変調器2により変調するのではなく、図8(a)に示すように、短パルス光源11からの出力光を光強度変調器2により変調した後、光強度変調器2からの出力光を非線形媒質12に入射し、SC光を生成する。
【0030】
すなわち、短パルス光源11からの出力光を非線形媒質12に入射する前に、ビット列パターン(配信データ)により強度変調してから、非線形媒質に入射する。ビット値「0」に対応するパルス光は、非線形媒質に入射されたときに、当該パルス光のスペクトル幅が非線形現象によりWDM信号帯域まで広がらないように強度変調され、光波長分波器5からは、光が出力されない状態とし、ビット値「1」に対応するパルス光は非線形媒質12に入射されたときに、当該パルス光のスペクトル幅が非線形現象によりWDM信号帯域まで広がるように強度変調され、光波長分波器5からは光が出力される状態とする。
【0031】
図8(b)は、非線形媒質12に入射するパルス光(強度変調された光)のピークパワーとそのときに生成されるSC光のスペクトル幅の関係を示す図である。非線形媒質12の非線形効果により入射光のスペクトル幅は広がるが、入射光のピークパワーが大きいほど、スペクトル幅の広がりも大きくなり(非線形効果大)、入射パルス光のピークパワーが低いとスペクトルが広がらない(非線形効果小)。図8(b)に示されるように、ある程度のパワーの光が入射すると、スペクトルの広がりが顕著に発生し最終的にはロスや分散の影響によりスペクトルの広がりが飽和する領域が現れる。スペクトル幅の具体的な数値は、例えば、光ファイバからなる非線形媒質12の場合、分散係数やファイバのコア径などのパラメータによって決定される。
【0032】
本発明では、非線形媒質12の上記特性を利用して、配信データ「1」(ON)のときは、高いピークパワーのパルス光を非線形媒質12に入射し(図8(b)の(ii)点)、所望の波長帯域(WDM帯域)までスペクトル幅を広げる。一方、配信データ「0」(OFF)のときは、パルス光のピークパワーを所定レベル以下まで低下させ(図8(b)の(i)点)、スペクトル幅の広がりを抑え、WDM帯域までスペクトル幅が広がらないようにする。
【0033】
図9は、光強度変調器2からの出力光と非線形媒質12からの出力光との関係を示す図である。光強度変調器2には、短パルス光源11から、一定周期で一定レベルのピークパワーを有するパルス光が入射される。入射パルス光は、WDM帯域とは異なる波長領域で狭いスペクトル幅を有する。配信データ「0」(OFF)の場合、光強度変調器2からは、入射パルス光を減衰させ、ピークパワーが大きく低下した残留光が出力される。この残留光が非線形媒質12に入射されても、入射光のピークパワーは、入射光のスペクトル幅を大きく広げる程度の非線形効果を生じさせるほど大きくなく、スペクトル幅はWDM領域にまで広がらない。従って、光波長分波器5でWDM領域の波長を分波する場合、WDN領域には、入射光のスペクトル成分がないので、WDM領域の各波長(ch)において、光波長分波器5の各ポートからは、全く光が出力されない。
【0034】
一方、配信データ「1」(ON)の場合、光強度変調器2は入射パルス光は減衰されずに、高いピークパワーのまま光強度変調器2から出力され、非線形媒質12に入射される。この入射パルス光は、顕著な非線形効果を生じさせるのに十分なピークパワーを有しており、スペクトル幅はWDM領域を含む領域まで広がる。従って、光波長分波器5でWDM領域の波長を分波する場合、WDM領域には、入射光のスペクトル成分が存在するので、WDM領域の各波長(ch)において、光波長分波器5の各ポートからは、所定レベルのパルス光信号が出力される。
【0035】
図10は、配信データと光波長分波器5からの出力光との関係を示す図である。図10において、光強度変調器2は、短パルス光源11からのパルス光を配信データパターンにより強度変調すると、上述するように、配信データ「0」では、非線形媒質12において、入射光のスペクトル光がWDM領域まで広がらず、光波長分波器5の各ポートからの出力はゼロ、すなわち、光が全く出力されないこととなり、配信データ「0」を出力することができる。
【0036】
また、配信データ「1」では、非線形媒質12において、入射光のスペクトル光がWDM領域を含んで大きく広がるので、光波長分波器5の各ポートからの出力は、所定レベルのパルス信号となり、配信データ「1」を出力することができる。
【0037】
上述した本発明の光送信装置の原理により、従来の問題点は解消される。すなわち、
(1)光強度変調器2に入射されるパルス光は、非線形効果によるパルス幅圧縮前の波形であるため、パルス光のピークパワーはSC光に比べて低い。従って、短パルス光源11からのパルス光のピークパワーが、光強度変調器2の入射光パワーの上限以下であれば、そのまま光強度変調器2に入力することができる。
【0038】
また、スペクトル幅を効率よく広げるために、非線形媒質12に入射するパルス光のピークパワーを上げたい場合は、一旦、光強度変調器2の入力パワー上限を超えない範囲のパルス列を変調しておき、その後、光アンプで増幅すればよい。従来技術では、SC光を増幅するために非常に広帯域な光アンプが必要となるが、本発明の場合、短パルス光源11からの光パルス信号のスペクトル幅は狭く、スペクトル幅の狭い段階で増幅するため、狭帯域の光アンプで十分に増幅できる。
【0039】
(2)スペクトル幅を広げる前の段階で光強度変調器2に光信号を通すため(スペクトル幅の広いSC光を光強度変調器2に通さないため)、SC光を一括変調する場合と比べて、光強度変調器2の各種波長依存特性(透過損失など)に対する制約が低くなる。
【0040】
(3)スペクトル幅を広げる前のパルス光であるため帯域がSC光により十分狭いこと、及びパルス光を生成してすぐに光強度変調器2に入力することから、波長分散によるパルス光内の群遅延時間差がほとんど発生しない。その後、SC光を生成する段階では、波長分散による群遅延は発生するが、すでに変調された後なので、波長間の群遅延時間差によりWDM帯域内の波長を一括変調できないという従来の問題は発生しない。
【0041】
(4)従来の光送信装置の構成では、最終的に生成されるパルス光信号(光波長分波器5からの出力)の消光比は、使用する光強度変調器の消光比特性によって決まってしまうが(図6(c)参照)、本発明では、配信データ「0」(OFF)のときは、全く光が出力されず、完全に光がなくなるので、消光比が大幅に向上する。これは、例えば、消光比の悪い光強度変調器でも、非線形媒質のパラメータによって、生成されるデータパルスの消光比を十分に取ることが可能となるため、光強度変調器の消光比の改善としても有効である。
【0042】
図11は、本発明の実施の形態例における光送信装置の第一の構成例を示す図である。短パルス光源11には、繰り返し短パルス光を生成するモードロックレーザダイオード(Mode-Lock LD)が用いられる。光強度変調器2には、強度変調に一般的に用いられるLN(LiNO2)変調器が用いられる。効率良くスペクトル幅を広げるために、LN変調器2からの出力を増幅する光アンプ6が設けられる。また、余分な雑音光(例えば、ASE(Amplified Spontaneous Emission)光を除去するための光フィルタ7が光アンプ6の後段に配置される。光アンプ6及び光フィルタ7は必ずしも必要な構成要素でない。非線形媒質12には、高非線形分散管理ファイバが用いられ、光波長分波器5には、一般的な波長分波フィルタが用いられる。
【0043】
各パラメータの具体的な値を例示するために、参考文献([6] Electron. Lett., Vol.31, No.13, pp.1064-1066(1995), T.Morioka, et al.)を引用して、以下に計算例を示す。SC光のスペクトルの広がり度合いを示すパラメータをFbと定義する。Fbは非線形媒質12に入射されるパルス光のスペクトル半値幅と生成されたSC光のスペクトルの半値幅との比を表す。上記参考文献には、SC光を生成する非線形媒質(光ファイバ)12が短い(例えば、1km未満)の場合は、Fbは、(式1)の経験式(近似式)によく合うことが示されている。
Fb = 1.49√{(γ・P・T2)/|β2|} - 0.75 (式1)
ここで、γは媒質の非線形係数、Pはパルスピークパワー、Tはパルス幅、β2は群遅延速度(GDV)分散を表す。参考文献によれば、この近似式(式1)は、√の{}内の値が16から1000の間でよく一致する。
【0044】
この条件下に当てはまる適当な現実的パラメータを選び、非線形媒質12に入力されるパルスのピークパワーと、その時生成されるSC光のスペクトル半値幅の関係をグラフ化したものを図12に示す。
【0045】
図12では、パルスピークパワーが+22.5dBm〜+40dBmの間で、SC光スペクトル幅の半分(入射パルスの長波長側、または短波長側のスペクトル幅)が約10nm〜110nmまで広がることが示されている。従って、図11の第一の構成例に当てはめると、光アンプ6の出力において、OFF時:+20dBm、ON時:+40dBm(LN変調器2の消光比は20dB)となるように設定すれば、SC光は、OFF時:〜約1510nm、ON時:〜約1610nmのスペクトル広がりが起こるため、一般的なWDM帯域のC-band、L-bandをカバーする一括変調光源が実現できる。
【0046】
図13は、本発明の実施の形態例における光送信装置の第二の構成例を示す図である。図11の第一の構成例では、繰り返し短パルス列を生成するための短パルス光源11(=モードロックLD)を用い、短パルスの周期と配信データパターンとを同期させていたが、第二の構成例では、例えば、直流発光レーザダイオード(CW−LD)のような連続光を生成する光源13が用いられる。光源以外の構成要素は、図11の第一の構成例と同様である。
【0047】
光強度変調器2において、連続光を配信データパターンにより強度変調することで、強度変調器2からは、第一の構成例と同様に、変調された光パルス信号を出力することができる。すなわち、CW−LD13とLN変調器2との組み合わせは短パルス光源となり、LN変調器2は、配信データパターンにより強度変調するとともに、パルス光を生成する手段として機能する。但し、一般的に連続光を出力する光源(CW−LD)13からの連続光のピークパワーは、短パルス光源11からのパルス光のピークパワーと比較して低いので、CW−LD13と光アンプ6によって十分に高い(非線形現象を引き起こすに十分な)ピークパワーを持つパルスが生成できることが前提となる。
【0048】
図14は、本発明の実施の形態例における光送信装置の第三の構成例を示す図である。第三の構成例は、短パルス光源11として、モードロックリングレーザが用いられ、モードロックリングレーザを構成するモードロック用光強度変調器112に供給される変調信号として、モードロック用の基本周期信号(モードロック信号)に配信データパターンを重畳した変調信号が供給される。
【0049】
図14の短パルス光源11は、モードロック・リングレーザであり、種光が増幅器111で増幅され、増幅された光はリングを一周する周期のタイミングで光強度変調器112を通過する。光パワー分岐部113は、通過した光の一部を外部に出力するとともに、残りの光をアイソレータ114を介して増幅器111に戻す。これにより、モードロック用光強度変調器112に供給される周期的なモードロック信号に同期したパルス光を生成することができる。
【0050】
第三の構成例では、光強度変調器112に供給される周期的なモードロック信号(正弦波信号)に、配信データパターンを重畳する。この場合、リングの基本周波数は配信データのビットレート周波数と一致することが前提となる。この時、リング内に配置されたモードロック用光強度変調器112に対して、(A)モードロックを起こさせるため、リングの基本周波数で正弦波変調(モードロック信号)を掛け、(B)かつ配信データパターンで強度変調するための2種類の強度変調器駆動信号を混合し、供給する。こうすることで、モードロックによる短パルス光の生成と、配信データによる短パルス光の変調を同時に行うことができる。光源以外の構成要素は、図11の第一の構成例と同様である。
【0051】
(付記1)
パルス光又は連続光を出力する光源と、
前記光源からの光が入射され、前記光源から出力された光を所定のビット列パターンに従って強度変調したパルス光を出力する強度変調器と、
前記強度変調器からのパルス光が入射され、前記強度変調器からのパルス光に非線形現象を引き起こさせ、所定レベル以上のピーク強度を有する前記変調されたパルス光のスペクトル幅を所定スペクトル領域まで広げる非線形媒質と、
前記非線形媒質からのパルス光が入射され、前記所定スペクトル領域の波長成分を有するパルス光を複数の波長の光に分波して出力する光波長分波器とを備えることを特徴とする光送信装置。
【0052】
(付記2)
付記1において、
前記強度変調器は、ビット値「0」に対応するパルス光が前記非線形媒質に入射されたときに、当該パルス光のスペクトル幅が非線形現象により前記所定スペクトル領域まで広がらないように、ビット値「0」に対応するパルス光を強度変調し、ビット値「1」に対応するパルス光が前記非線形媒質に入射されたときに、当該パルス光のスペクトル幅が非線形現象により前記所定スペクトル領域まで広がるように、ビット値「1」に対応するパルス光を強度変調することを特徴とする光送信装置。
【0053】
(付記3)
付記1において、
前記光源は、短パルスを生成するモードロックレーザであることを特徴とする光送信装置。
【0054】
(付記4)
付記1において、
前記光源は、連続光を生成する直流発光レーザであることを特徴とする光送信装置。
【0055】
(付記5)
付記1において、
前記光源は、短パルスを生成するモードロックレーザであり、
前記強度変調器は、前記モードロックレーザに内蔵されるモードロック用強度変調器と共用され、モードロック用の周期信号に前記ビット列パターンが重畳された信号が前記モードロック調強度変調器に供給されることを特徴とする光送信装置。
【0056】
(付記6)
付記1において、
前記強度変調器からのパルス光を増幅する光アンプを備え、
前記強度変調器からのパルス光は、前記光アンプにより増幅されて、前記非線形媒質に入射されることを特徴とする光送信装置。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】大容量光ファイバ伝送システム上でデータのブロードキャストを行うための光送信装置の従来の構成例を示す図である。
【図2】大容量光ファイバ伝送システム上でデータのブロードキャストを行うための光送信装置の従来の構成例を示す図である。
【図3】大容量光ファイバ伝送システム上でデータのブロードキャストを行うための光送信装置の従来の構成例を示す図である。
【図4】図3の構成におけるSC光源10の光の波長軸上及び時間軸上での特性を示す図である。
【図5】SC光源10を用いたブロードキャスト用の光送信装置の従来の構成例を示す図である。
【図6】図5の構成におけるSC光源10の光の波長軸上及び時間軸上での特性を示す図である。
【図7】波長分散を説明する図である。
【図8】本発明の実施の形態における光送信装置の原理を説明する図である。
【図9】光強度変調器2からの出力光と非線形媒質12からの出力光との関係を示す図である。
【図10】配信データと光波長分波器5からの出力光との関係を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態例における光送信装置の第一の構成例を示す図である。
【図12】非線形媒質12に入力されるパルスのピークパワーと生成されるSC光のスペクトル半値幅の関係を示すグラフである。
【図13】本発明の実施の形態例における光送信装置の第二の構成例を示す図である。
【図14】本発明の実施の形態例における光送信装置の第三の構成例を示す図である。
【符号の説明】
【0058】
2:光強度変調器、5:光波長分波器、6:光アンプ、7:ノイズ除去用光フィルタ、10:SC光源、11:短パルス光源、12:非線形媒質、13:連続光光源、112:モードロック用光強度変調器
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルス光又は連続光を出力する光源と、
前記光源からの光が入射され、前記光源から出力された光を所定のビット列パターンに従って強度変調したパルス光を出力する強度変調器と、
前記強度変調器からのパルス光が入射され、前記強度変調器からのパルス光に非線形現象を引き起こさせ、所定レベル以上のピーク強度を有する前記変調されたパルス光のスペクトル幅を所定スペクトル領域まで広げる非線形媒質と、
前記非線形媒質からのパルス光が入射され、前記所定スペクトル領域の波長成分を有するパルス光を複数の波長の光に分波して出力する光波長分波器とを備えることを特徴とする光送信装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記強度変調器は、ビット値「0」に対応するパルス光が前記非線形媒質に入射されたときに、当該パルス光のスペクトル幅が非線形現象により前記所定スペクトル領域まで広がらないように、ビット値「0」に対応するパルス光を強度変調し、ビット値「1」に対応するパルス光が前記非線形媒質に入射されたときに、当該パルス光のスペクトル幅が非線形現象により前記所定スペクトル領域まで広がるように、ビット値「1」に対応するパルス光を強度変調することを特徴とする光送信装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記光源は、短パルスを生成するモードロックレーザであることを特徴とする光送信装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記光源は、連続光を生成する直流発光レーザであることを特徴とする光送信装置。
【請求項5】
請求項1において、
前記光源は、短パルスを生成するモードロックレーザであり、
前記強度変調器は、前記モードロックレーザに内蔵されるモードロック用強度変調器と共用され、モードロック用の周期信号に前記ビット列パターンが重畳された信号が前記モードロック調強度変調器に供給されることを特徴とする光送信装置。
【請求項1】
パルス光又は連続光を出力する光源と、
前記光源からの光が入射され、前記光源から出力された光を所定のビット列パターンに従って強度変調したパルス光を出力する強度変調器と、
前記強度変調器からのパルス光が入射され、前記強度変調器からのパルス光に非線形現象を引き起こさせ、所定レベル以上のピーク強度を有する前記変調されたパルス光のスペクトル幅を所定スペクトル領域まで広げる非線形媒質と、
前記非線形媒質からのパルス光が入射され、前記所定スペクトル領域の波長成分を有するパルス光を複数の波長の光に分波して出力する光波長分波器とを備えることを特徴とする光送信装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記強度変調器は、ビット値「0」に対応するパルス光が前記非線形媒質に入射されたときに、当該パルス光のスペクトル幅が非線形現象により前記所定スペクトル領域まで広がらないように、ビット値「0」に対応するパルス光を強度変調し、ビット値「1」に対応するパルス光が前記非線形媒質に入射されたときに、当該パルス光のスペクトル幅が非線形現象により前記所定スペクトル領域まで広がるように、ビット値「1」に対応するパルス光を強度変調することを特徴とする光送信装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記光源は、短パルスを生成するモードロックレーザであることを特徴とする光送信装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記光源は、連続光を生成する直流発光レーザであることを特徴とする光送信装置。
【請求項5】
請求項1において、
前記光源は、短パルスを生成するモードロックレーザであり、
前記強度変調器は、前記モードロックレーザに内蔵されるモードロック用強度変調器と共用され、モードロック用の周期信号に前記ビット列パターンが重畳された信号が前記モードロック調強度変調器に供給されることを特徴とする光送信装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−266675(P2007−266675A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−85226(P2006−85226)
【出願日】平成18年3月27日(2006.3.27)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月27日(2006.3.27)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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