説明

光送受信器

【課題】光部品接続用光ファイバの余長部の収納作業をスムーズに行うことが可能な光送受信器を提供する。
【解決手段】光部品接続用光ファイバ3の余長部を収納するための余長ファイバ収納用部材12を備え、筐体4内に回路基板2を収容すると共に、回路基板2の上方の筐体4内に余長ファイバ収納用部材12を収容し、光部品接続用光ファイバ3の余長部を回路基板2から余長ファイバ収納用部材12の上方に取り出すと共に、当該取り出した光部品接続用光ファイバ3の余長部を余長ファイバ収納用部材12に収納し、該余長ファイバ収納用部材12の上方から、筐体4の開口部を塞ぐようにカバー用部材10を設けたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光部品同士を接続する光部品接続用光ファイバを、回路基板と共に筐体内に収納した光送受信器に係り、特に、光部品接続用光ファイバの収納作業をスムーズに行うことが可能な光送受信器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、固定波長の半導体レーザを送信部に用いた光送受信器が知られている。この半導体レーザを用いた光送受信器の1つとして、現在では、300pin型の標準パッケージとして規格化されている。特に、10Gb/sクラスの高速長距離用光送受信器の送信部は、光部品としての光変調器と半導体レーザとを組み合わせた外部光変調構成とされており、互いに特性が異なる光変調器と半導体レーザとを組み合わせることで、DWDM(Dense Wavelength Division Multiplex;高密度波長多重分割)伝送やシングルチャンネル伝送などの互いに異なるシステムに対応させている。
【0003】
このように送信部を外部光変調構成とする場合、光部品接続用光ファイバにより光変調器と半導体レーザを接続する。光部品接続用光ファイバは余長を持ったピッグテール構造とされ、その余長部は筐体内に収容される。
【0004】
光部品接続用光ファイバの余長部を筐体内に収容する方法としては、従来、光部品や電子部品を搭載する回路基板上に直接らせん状に配置する方法や、専用の固定ボビンや固定金具に巻きつける方法、あるいは特許文献1に記載されるように、回路基板の表裏面の周縁近傍に沿って切欠きを形成し、その切欠きに巻きつける方法などがある。
【0005】
ところで、高密度波長分割多重伝送では、複数の波長の光信号を伝播するため、複数の固定波長レーザが必要になる。そこで、固定波長レーザに替えて、波長選択性能を有する波長可変レーザモジュール(Integrable Tunable Laser Assembly:ITLA)が用いられるようになっている。
【0006】
波長可変レーザモジュールは、一般に、コマンド(波長に対応するチャンネル番号)を入力すれば所望の波長の光が得られるようパッケージ化されているため、コマンドコントロールなどの取り扱いが容易であり、管理コストおよび開発コストに優れるという特徴がある。
【0007】
しかし、送信部に波長可変レーザモジュールを用いた場合、波長可変レーザモジュールは固定波長レーザよりも容積が大きいため、例えば、波長可変レーザモジュール、光変調器、受光素子を並列に配置した一般的な構成では、外部通信基板に搭載する際の実装面積が大きくなってしまう。スイッチングハブやメディアコンバータなどの通信機器内に設けられる外部通信基板には、複数の光送受信器が搭載されるため、その搭載密度を向上させるためには、光送受信器の実装面積は小さい方が好ましい。
【0008】
そこで、本発明者らは、図7に示すように、回路基板72をL字形に形成してその表裏面に光変調器77と受光素子(図示せず)を搭載し、L字形の回路基板72の欠損部に波長可変レーザモジュール76を配置することで、実装面積を小さくした光送受信器71を提案している(特願2009−23768号)。
【0009】
光送受信器71では、上部が開口した筐体73内に波長可変レーザモジュール76を搭載し、その波長可変レーザモジュール76の周りを囲む形でL字形の回路基板72を配置している。回路基板72の表面側には、光送受信器71の外部(外部通信基板)と通信するためのコネクタ74、光変調器77、光変調器用コネクタ77aなどが実装され、回路基板72の裏面側には、図示していないが受光素子が実装されている。光変調器77と波長可変レーザモジュール76とは、図示していないが光部品接続用光ファイバにより光学的に接続されている。また、筐体73の上側の開口部は、光部品と電子部品を保護するためのカバー用部材75で覆われる。
【0010】
このように、回路基板72をL字形に形成し、筐体73内の部品密集度(光部品、電子部品の密集度)を大きくすることで、従来の300pin型のパッケージ(波長可変レーザモジュール76、光変調器77、受光素子を並列に配置した光送受信器)に対して、光送受信器の実装面積を2/3と小さくすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2004−287184号公報
【特許文献2】特開2003−133631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上述の光送受信器71では、筐体73内の部品密集度が従来の構造よりも大きく、筐体73内の面積(容積)が狭くなっているため、光部品接続用光ファイバの余長部を筐体73内に収納する収納作業が困難となる。
【0013】
すなわち、光送受信器71では、筐体73内の部品密集度が大きくなったため、従来のように光部品接続用光ファイバの余長部を回路基板72上に直接らせん状に配置することが困難となり、専用の固定ボビンや固定金具を筐体73内に搭載することも困難になる。また、回路基板72の表裏面の周縁近傍に沿って形成した切欠きに巻き付ける方法も、筐体73内の面積(容積)が狭くなったため同じく困難となる。
【0014】
仮に従来と同様の方法で光部品接続用光ファイバの余長部を筐体73内に収納できる場合であっても、上述のように光部品接続用光ファイバの余長部の収納作業は困難であるため、無理やりに収納しようとして誤って回路基板72に過剰な圧力が加わったり、回路基板72に傷をつけたりして、回路基板72に搭載している回路や信号線などを損傷させ、光送受信器71の特性を劣化させるおそれがある。
【0015】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、光部品接続用光ファイバの余長部の収納作業をスムーズに行うことが可能な光送受信器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、回路基板に光部品を複数個搭載し、これら光部品の一部同士を光学的に接続する光部品接続用光ファイバを、前記回路基板と共に上部が開口した筐体内に収容し、該筐体の開口部を塞ぐようにカバー用部材を設けた光送受信器において、前記光部品接続用光ファイバの余長部を収納するための余長ファイバ収納用部材を備え、前記筐体内に前記回路基板を収容すると共に、前記回路基板の上方の前記筐体内に前記余長ファイバ収納用部材を収容し、前記光部品接続用光ファイバの余長部を前記回路基板から前記余長ファイバ収納用部材の上方に取り出すと共に、当該取り出した光部品接続用光ファイバの余長部を前記余長ファイバ収納用部材に収納し、該余長ファイバ収納用部材の上方から、前記筐体の開口部を塞ぐように前記カバー用部材を設けた光送受信器である。
【0017】
前記余長ファイバ収納用部材は、底板と、該底板の上面に形成された複数のガイド部とを有し、前記ガイド部は、前記底板から上方に垂直に延びる板状の垂直部と、該垂直部の先端部かつ前記底板の中央部側の面から垂直に延びる板状の水平部とからなり、前記光部品接続用光ファイバの余長部は、前記ガイド部の前記垂直部で曲がりが規制されると共に、前記ガイド部の水平部で上下方向の移動が規制された状態で、前記底板上に巻き回して収納されてもよい。
【0018】
前記ガイド部は、前記底板の周縁に沿って前記垂直部が形成された1つ以上の外側ガイド部と、前記底板の周縁以外の位置に前記垂直部が形成された1つ以上の内側ガイド部とからなり、前記光部品接続用光ファイバの余長部の長さに応じて、前記余長部を収納するために用いる前記外側ガイド部又は/及び前記内側ガイド部を選択可能としてもよい。
【0019】
前記光部品として、半導体レーザと光変調器を用い、前記光部品接続用光ファイバは、前記半導体レーザと前記光変調器を光学的に接続してもよい。
【0020】
前記半導体レーザとして、波長可変レーザモジュールを用い、前記回路基板をL字形に形成すると共に、そのL字形の回路基板の欠損部に前記波長可変レーザモジュールを配置し、前記L字形の回路基板の一方の面に光変調器を、他方の面に受光素子を搭載してもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、光部品接続用光ファイバの余長部の収納作業をスムーズに行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施の形態に係る光送受信器の分解斜視図である。
【図2】図1の光送受信器において、カバー用部材と余長ファイバ収納用部材を省略したときの平面図である。
【図3】図1の光送受信器に用いる余長ファイバ収納用部材の平面図である。
【図4】(a),(b)は、図1の光送受信器において、余長ファイバ収納用部材に光部品接続用光ファイバの余長部を収納する方法を説明する図である。
【図5】(a),(b)は、図1の光送受信器において、余長ファイバ収納用部材に光部品接続用光ファイバの余長部を収納する他の方法を説明する図である。
【図6】図1の光送受信器の動作を説明する図である。
【図7】従来の光送受信器の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面にしたがって説明する。
【0024】
図1は、本実施の形態に係る光送受信器の分解斜視図である。
【0025】
図1に示すように、光送受信器1は、回路基板2に光部品を複数個搭載し、これら光部品の一部同士を光学的に接続する光部品接続用光ファイバ3(図2参照)を、回路基板2と共に筐体4内に収容したものである。光送受信器1はスイッチングハブやメディアコンバータなどの通信機器内に設けられる外部通信基板に搭載される。
【0026】
本実施の形態では、光部品として、波長可変レーザモジュール(ITLA)5と、波長可変レーザモジュール5からの光を変調して出力する光変調器6と、入力された光信号を受光する受光素子(図示せず)を用い、波長可変レーザモジュール5と光変調器6とを光部品接続用光ファイバ3で光学的に接続する場合を説明する。光変調器6としては、例えば、LN(LiNbO3(ニオブ酸リチウム))変調器を用い、受光素子としては、例えば、APD(Avalanche Photodiode)を用いる。なお、本実施の形態では、光部品として波長可変レーザモジュール5、光変調器6、および受光素子を用いる場合を説明するが、光部品はこれに限定されない。
【0027】
図1および図2に示すように、回路基板2は、長方形のベース基板2aと、そのベース基板2aと一体形成された細長の延長基板2bとからなり、L字形に形成される。
【0028】
ベース基板2aの上面には、外部通信基板と電気的に接続される多ピンのコネクタ7が設けられる。コネクタ7は、その接続端子(図示せず)が回路基板2の長手方向(図2では左右方向)に沿うように形成される。
【0029】
延長基板2bの上面には、光変調器6と光変調器6の信号入射端である光変調器用コネクタ6aが搭載され、延長基板2bの下面には、図示していないが受光素子が搭載される。光変調器6に接続される送信光ファイバ8と受光素子に接続される受信光ファイバ9は、回路基板2を挟んで平行に引き出すようにされる。
【0030】
L字形の回路基板2の欠損部には、波長可変レーザモジュール5が配置され、全体として平面視で長方形状となるように構成される。換言すれば、光送受信器1では、筐体4内に波長可変レーザモジュール5を搭載し、その周りを囲む形でL字型の回路基板2を搭載している。
【0031】
波長可変レーザモジュール5と回路基板2とは、図示しないフレキシブルプリント基板(FPC)を介して電気的に接続される。
【0032】
また、図1では図の簡略化のため省略しているが、波長可変レーザモジュール5と光変調器6とは光部品接続用光ファイバ3により光学的に接続されている。
【0033】
光部品接続用光ファイバ3は、波長可変レーザモジュール5に付属するITLA付属光ファイバ3aと、光変調器6に付属する光変調器付属光ファイバ3bとをファイバ融着器で融着接続して形成される。両付属光ファイバ3a,3bの融着接続を行う際には、付属光ファイバ3a,3bの保護膜を剥き、素線の状態にして融着が行われるので、素線の状態である両付属光ファイバ3a,3bの接続部を保護するために、両付属光ファイバ3a,3bの接続部には補強スリーブ3cが設けられる。詳細は後述するが、この補強スリーブ3cが光部品接続用光ファイバ3を収納する際の基準となる。
【0034】
筐体4は、上部が開口した形状に形成されており、筐体4内に回路基板2を収納した後、筐体4の開口部を塞ぐようにカバー用部材(カバー用板金)10を設けることで、筐体4内に収容された光部品、電子部品などを保護するようにされる。カバー用部材10には、コネクタ7を通すための孔10aが形成されており、光送受信器1は、カバー用部材10の上面を外部通信基板側として、外部通信基板に実装される。
【0035】
筐体4としては、放熱性を向上させるため、金属など熱伝導性の高い材料からなるものを用いるとよい。筐体4には、筐体4内で発生する熱を放熱するための放熱フィン11が一体に形成されている。
【0036】
図6に示すように、波長可変レーザモジュール5を用いた光送受信器1では、外部通信基板から入力された電気信号は、コネクタ7、ドライバIC61、光変調器6の信号入射端である光変調器用コネクタ6aを介して、光変調器6に入力される。光変調器6は、入力された電気信号に応じて波長可変レーザモジュール5からの光を変調して光信号に変換し、その光信号を送信光ファイバ8から出力する。他方、受信光ファイバ9から入力された光信号は、受光素子62で受光されて電気信号に変換され、コネクタ7を介して外部通信基板に出力される。また、光送受信器1では、制御回路63にて、外部通信基板からの制御信号をコネクタ7を介して受信し、波長可変レーザモジュール5に波長(チャンネル番号)と出力パワーのパラメータ(コマンド)を送信する。制御回路63は、外部通信基板からの制御信号に応じて、光変調器6、受光素子62、ドライバIC61を制御する。
【0037】
さて、本実施の形態に係る光送受信器1は、光部品接続用光ファイバ3の余長部(余長ファイバ)を収納するための余長ファイバ収納用部材(余長ファイバ収納用板金)12を備えている。
【0038】
図1および図3に示すように、余長ファイバ収納用部材12は、底板12aと、底板12aの上面に形成された複数のガイド部12bとを有し、1枚の金属板を加工(切断加工、折曲げ加工)して形成される。底板12aは、上面視で略長方形状に形成される。
【0039】
ガイド部12bは、底板12aの上面から上方に垂直に延びる板状の垂直部12cと、垂直部12cの先端部かつ底板12aの中央部側の面から垂直に延びる板状の水平部12dとからなる。つまり、ガイド部12bは、底板12aとなる金属板を2回折曲げ加工して形成される。ここでは、ガイド部12bのうち、底板12aの周縁に沿って垂直部12cが形成されたものを外側ガイド部13、底板12aの周縁以外の位置に垂直部12cが形成されたものを内側ガイド部14と呼称する。
【0040】
本実施の形態では、略長方形状の底板12aにおける一方の長辺を構成する周縁(図3では上側の周縁)に沿って3つの外側ガイド部13a,13b,13cを形成すると共に、他方の長辺を構成する周縁(図3では下側の周縁)に沿って2つの外側ガイド部13d,13eを形成し、短辺を構成する周縁(図3では右側、左側の周縁)に沿ってそれぞれ1つの外側ガイド部13f,13gを形成した。一方の長辺を構成する周縁に沿って形成した外側ガイド部13a,13b,13cのうち、中央に形成される外側ガイド部13bは、底板12aの長手方向中央部に形成されており、補強スリーブ3cを挟み込み収納する役割を有する。
【0041】
また、底板12aの幅方向(図3では上下方向)の中央部で、かつ長手方向(図3では左右方向)の2箇所には、内側ガイド部14a,14bがそれぞれ形成される。内側ガイド部14a,14bは、その垂直部12cが幅方向に沿って形成されており、底板12aの長手方向中央部に対して左右に位置するよう対向して形成される。
【0042】
余長ファイバ収納用部材12の底板12aには、コネクタ7を通すためのガイド付きホール15a、光変調器用コネクタ6aを通すためのガイド付きホール15bが形成される。ガイド付きホール15a,15bは、底板12aとなる金属板を1回折曲げ加工して形成される。
【0043】
また、余長ファイバ収納用部材12の底板12aには、余長ファイバ収納用部材12を筐体4にネジ止めして固定するための複数(ここでは4個)のネジ孔17と、回路基板2側から底板12a上に光部品接続用光ファイバ3の余長部を取り出すための切欠き部(取出し孔)16a,16bがそれぞれ形成される。
【0044】
余長ファイバ収納用部材12は、筐体4内に回路基板2を収容した後、回路基板2の上方の筐体4内に収容される。このとき、光変調器6側の光部品接続用光ファイバ3(光変調器付属光ファイバ3b)を切欠き部16aに通し、かつ、波長可変レーザモジュール5側の光部品接続用光ファイバ3(ITLA付属光ファイバ3a)を切欠き部16bに通して、光部品接続用光ファイバ3の余長部を余長ファイバ収納用部材12の底板12a上に取り出す。余長ファイバ収納用部材12は、そのネジ孔17に図示しないネジを通して筐体4にネジ止めすることで、筐体4に固定される。
【0045】
ここで、光部品接続用光ファイバ3の余長部の具体的な収納方法について図4(a),(b)により説明する。
【0046】
図4(a),(b)に示すように、光部品接続用光ファイバ3の余長部を余長ファイバ収納用部材12に収納する際には、まず、補強スリーブ3cを外側ガイド部13bに挟み込んで収納する。このとき、補強スリーブ3cは、切欠き部16a側にITLA付属光ファイバ3aが、その逆方向に光変調器付属光ファイバ3bがくる向きに固定される。
【0047】
図4(a)に示すように、切欠き部16aを通って底板12aの上面に取り出された光変調器付属光ファイバ3bは、切欠き部16aから時計回りに外側ガイド部13g,13e,13d,13f,13a,13bを順次通り、外側ガイド部13bから内側ガイド部14bを通って外側ガイド部13dに戻ることを2周繰返した後、外側ガイド部13fから補強スリーブ3cにくるよう収納される。
【0048】
図4(b)に示すように、切欠き部16bを通って底板12aの上面に取り出されたITLA付属光ファイバ3aは、切欠き部16bから反時計回りに外側ガイド部13g,13c,13b,13a,13f,13dを順次通り、外側ガイド部13dから内側ガイド部14bを通って外側ガイド部13bに戻った後、外側ガイド部13a,13f,13d,13e,13g,13cを順次通って、補強スリーブ3cにくるよう収納される。
【0049】
このとき、光部品接続用光ファイバ3の余長部は、ガイド部12bの垂直部12cで曲がりが規制されると共に、ガイド部12bの水平部12dで上下方向の移動が規制され、底板12a上にピッグテール構造で巻き回して収納されることになる。
【0050】
余長ファイバ収納用部材12に光部品接続用光ファイバ3の余長部を収納した後、余長ファイバ収納用部材12の上方から、筐体4の開口部を塞ぐようにカバー用部材10を設けると、光送受信器1が得られる。
【0051】
本実施の形態の作用を説明する。
【0052】
本実施の形態に係る光送受信器1では、筐体4内に回路基板2を収容すると共に、回路基板2の上方の筐体4内に余長ファイバ収納用部材12を収容し、光部品接続用光ファイバ3の余長部を回路基板2から余長ファイバ収納用部材12の上方に取り出すと共に、当該取り出した光部品接続用光ファイバ3の余長部を余長ファイバ収納用部材12に収納し、余長ファイバ収納用部材12の上方から、筐体4の開口部を塞ぐようにカバー用部材10を設けている。
【0053】
余長ファイバ収納用部材12を備えたことにより、光部品接続用光ファイバ3の余長部を容易に筐体4内に収納することが可能となり、光部品接続用光ファイバ3の余長部の収納作業をスムーズに行うことが可能となる。
【0054】
さらに、光送受信器1では、光部品接続用光ファイバ3の余長部の収納作業が、余長ファイバ収納用部材12上で行われるため、回路基板2が露出しない状態で収納作業を行うことができ、容易かつ安全に余長部の収納作業を行うことが可能となる。したがって、光部品接続用光ファイバ3の余長部の収納作業時に回路基板2に過剰な圧力が加わったり、回路基板2に傷をつけたりすることがなくなり、回路基板2に搭載している回路や信号線などを損傷させて光送受信器1の特性を劣化させるおそれがない。
【0055】
本発明は、従来の構成に付加価値を持たせるもしくは筐体面積(外部通信基板への実装面積)を小さくすることによって筐体4内部の密度が大きい場合に、特に効果を発揮する。
【0056】
上記実施の形態では、内側ガイド部14aを用いない収納方法を説明したが、光部品接続用光ファイバ3の余長部を収納する方法はこれに限らず、光部品接続用光ファイバ3の余長部の長さに応じて、収納に用いる外側ガイド部13、内側ガイド部14を適宜選択するようにすればよい。
【0057】
例えば、両付属光ファイバ3a,3bの融着作業の際に、付属光ファイバ3a,3bを誤って短く切り取ってしまった場合、あるいは、融着がうまくいかなかったため、両付属光ファイバ3a,3bを切り取って再度融着を行った場合などには、光部品接続用光ファイバ3の余長部が短くなってしまうことが考えられる。
【0058】
光部品接続用光ファイバ3の光変調器付属光ファイバ3bが標準よりも短い場合には、図5(a)に示すように、外側ガイド部13fを通る光変調器付属光ファイバ3bのうち1本を、内側ガイド部14aに通すようにすればよい。なお、それでも長さが足りない場合は、外側ガイド部13fを通る光変調器付属光ファイバ3bのうち2本を内側ガイド部14aに通すようにすればよい。
【0059】
同様に、光部品接続用光ファイバ3のITLA付属光ファイバ3aが標準よりも短い場合には、図5(b)に示すように、外側ガイド部13fを通る2本のITLA付属光ファイバ3aのうち1本を、内側ガイド部14aに通すようにすればよい。なお、それでも長さが足りない場合は、外側ガイド部13fを通る2本のITLA付属光ファイバ3aの両方を内側ガイド部14aに通すようにすればよい。
【0060】
上記実施の形態では、波長可変レーザモジュール5を用いた光送受信器1について説明したが、光部品同士を接続する光部品接続用光ファイバ3を筐体4内に収容するものであれば、どのようなものであっても本発明は適用可能である。
【0061】
このように、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0062】
1 光送受信器
2 回路基板
3 光部品接続用光ファイバ
4 筐体
5 波長可変レーザモジュール
6 光変調器
7 コネクタ
10 カバー用部材
12 余長ファイバ収納用部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板に光部品を複数個搭載し、これら光部品の一部同士を光学的に接続する光部品接続用光ファイバを、前記回路基板と共に上部が開口した筐体内に収容し、該筐体の開口部を塞ぐようにカバー用部材を設けた光送受信器において、
前記光部品接続用光ファイバの余長部を収納するための余長ファイバ収納用部材を備え、
前記筐体内に前記回路基板を収容すると共に、前記回路基板の上方の前記筐体内に前記余長ファイバ収納用部材を収容し、前記光部品接続用光ファイバの余長部を前記回路基板から前記余長ファイバ収納用部材の上方に取り出すと共に、当該取り出した光部品接続用光ファイバの余長部を前記余長ファイバ収納用部材に収納し、該余長ファイバ収納用部材の上方から、前記筐体の開口部を塞ぐように前記カバー用部材を設けたことを特徴とする光送受信器。
【請求項2】
前記余長ファイバ収納用部材は、底板と、該底板の上面に形成された複数のガイド部とを有し、
前記ガイド部は、前記底板から上方に垂直に延びる板状の垂直部と、該垂直部の先端部かつ前記底板の中央部側の面から垂直に延びる板状の水平部とからなり、
前記光部品接続用光ファイバの余長部は、前記ガイド部の前記垂直部で曲がりが規制されると共に、前記ガイド部の水平部で上下方向の移動が規制された状態で、前記底板上に巻き回して収納される請求項1記載の光送受信器。
【請求項3】
前記ガイド部は、前記底板の周縁に沿って前記垂直部が形成された1つ以上の外側ガイド部と、前記底板の周縁以外の位置に前記垂直部が形成された1つ以上の内側ガイド部とからなり、
前記光部品接続用光ファイバの余長部の長さに応じて、前記余長部を収納するために用いる前記外側ガイド部又は/及び前記内側ガイド部を選択可能とした請求項2記載の光送受信器。
【請求項4】
前記光部品として、半導体レーザと光変調器を用い、
前記光部品接続用光ファイバは、前記半導体レーザと前記光変調器を光学的に接続する請求項1〜3いずれかに記載の光送受信器。
【請求項5】
前記半導体レーザとして、波長可変レーザモジュールを用い、
前記回路基板をL字形に形成すると共に、そのL字形の回路基板の欠損部に前記波長可変レーザモジュールを配置し、
前記L字形の回路基板の一方の面に光変調器を、他方の面に受光素子を搭載した請求項4記載の光送受信器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−95611(P2011−95611A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−250973(P2009−250973)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(000005120)日立電線株式会社 (3,358)
【Fターム(参考)】