説明

光通信モジュール

【課題】親基板の側方からの光の入出力を行うことができ、その上で小型化及び部品点数の削減を図ることが可能な、また、作製の容易化などを図ることが可能な光通信モジュールを提供する。
【解決手段】回路基板1の表面には、光通信モジュール11がリフロー接続にて実装されている。光通信モジュール11は、回路基板1の側方から光の入出力を行うことができるように実装されている。光通信モジュール11は、樹脂ブロック12を有している。樹脂ブロック12には、これをベースにして電気回路13が設けられている。また、樹脂ブロック12には、これをベースにして電子回路部14、光結合部15、及び表面実装用端子部16、17が設けられている。光通信モジュール11は、光送信器と光受信器を同一モジュール内に集積し、小型化されたものとなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子及び受光素子を実装してなる光通信モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば下記特許文献1には、光通信モジュールに関しての技術が開示されている。この開示技術によれば、光通信モジュールは、筐体、発光素子、及びリードピンを有する発光側光アッセンブリと、筐体、受光素子、及びリードピンを有する受光側光アッセンブリと、所定の電気回路を有するリジッド回路基板と、発光側光アッセンブリ及び受光側光アッセンブリの各リードピンをリジッド回路基板に電気的に接続するフレキシブル回路基板(FPC)とを備えて構成されている。光通信モジュールは、複数の部品を備えて構成されている。
【0003】
リジッド回路基板は、所謂カードエッジ基板であって、基板のエッジ部分には、外部接続用のエッジコネクタが形成されている。このエッジコネクタは、親基板に実装されたカードエッジコネクタに対し着脱自在に接続されるようになっている。
【0004】
各リードピンとフレキシブル回路基板、及び、リジッド回路基板とフレキシブル回路基板は、半田付けにより電気的に接続されている。各リードピンは、フレキシブル回路基板の電極パッド上に平行に載置されて、又は、フレキシブル回路基板のスルーホールに差し込まれて半田付けされている。フレキシブル回路基板は、略クランク形状又は略L字形状に湾曲した状態に組み付けられている。
【0005】
発光側光アッセンブリ及び受光側光アッセンブリは、各筐体同士の間隔を保った状態でリジッド回路基板に組み付けられている。発光側光アッセンブリ及び受光側光アッセンブリは、光軸がリジッド回路基板の側方に沿う向き(親基板の側方に沿う向き)に組み付けられている。すなわち、発光側光アッセンブリ及び受光側光アッセンブリは、側方からの光の入出力を行うことができるように組み付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−252918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記従来の光通信モジュールにあっては、モジュールサイズが大きくなってしまうという問題点を有している。具体的には、(1)発光側光アッセンブリ及び受光側光アッセンブリに関し、発光素子、受光素子をそれぞれ別の筐体に収容・実装する構造であることから、例えば筐体を共用する場合と比べると、モジュールサイズが大きくなってしまうという問題点を有している。(2)発光側光アッセンブリ及び受光側光アッセンブリと、リジッド回路基板との接続に関し、フレキシブル回路基板を必要とする構造であることから、例えば発光側光アッセンブリ及び受光側光アッセンブリをリジッド回路基板に対し直接実装できた場合と比べると、少なくともフレキシブル回路基板の配設分だけモジュールサイズが大きくなってしまうという問題点を有している。
【0008】
また、上記従来の光通信モジュールにあっては、部品点数が多くなってしまうという問題点を有している。具体的には、光通信モジュールの構成として発光側光アッセンブリ、受光側光アッセンブリ、リジッド回路基板、及びフレキシブル回路基板を備えることから、部品点数が多くなってしまうという問題点を有している。
【0009】
尚、フレキシブル回路基板に関しては、従来の光通信モジュールが親基板の側方からの光の入出力を行うものとなることから、発光側光アッセンブリ及び受光側光アッセンブリと、リジッド回路基板とを接続するために必要な部品となっている。このため、部品点数増大の一因となっている。
【0010】
さらに、上記従来の光通信モジュールにあっては、工程が複雑になってしまうという問題点を有している。具体的には、発光側光アッセンブリ及び受光側光アッセンブリの作製に係る工程とは別に、フレキシブル回路基板を用いての発光側光アッセンブリ及び受光側光アッセンブリとリジッド回路基板との半田付けに係る工程を必要とすることから、全体的に見ると、作製に係る工程が複雑になってしまうという問題点を有している。尚、工程が複雑になるのは、部品点数が多いことも一因となっている。
【0011】
さらにまた、上記従来の光通信モジュールにあっては、リフロー接続が困難であるという問題点を有している。具体的には、フレキシブル回路基板を用いての半田付けを必要とすることから、また、親基板に対しカードエッジでの接続を必要とすることから、リフロー接続への切り替えが困難であるという問題点を有している。
【0012】
電気的な接続に関しては、隣り合う電気回路同士を余剰半田等によって導通させないことが重要である。従来の光通信モジュールはモジュールサイズが大きいことから、この小型化を図る際に電気回路のピッチを単に狭めてしまうことが考えられるが、この場合は上記の導通が懸念される。また、電気回路のピッチを単に狭めてしまうと、光素子モジュールは発光素子に係る電気回路及び受光素子に係る電気回路を有することから、クロストークの抑制が困難になってしまう。
【0013】
この他、上記従来の光通信モジュールにあっては、これ自体の設置スペースを十分に確保しなければならないという問題点を有している。具体的には、親基板に対しカードエッジでの接続を必要とすることから、親基板の側方に光通信モジュールが大きく突出してしまう虞があり、このため設置スペースを十分に確保しなければならないという問題点を有している。
【0014】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、親基板の側方からの光の入出力を行うことができ、その上で小型化及び部品点数の削減を図ることが可能な、また、作製の容易化などを図ることが可能な光通信モジュールを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の本発明の光通信モジュールは、複数の面を有する樹脂ブロックの表面に複数の回路部分を有する電気回路を設けてなり、また、電子部品を実装し且つ前記電気回路の第一回路部分を含んでなる電子回路部と、発光素子及び受光素子を実装し且つ前記電気回路の第二回路部分を含んでなる光結合部と、親基板に対する表面実装部分となり且つ前記電気回路の第三回路部分を含んでなる表面実装用端子部とを設けてなり、さらに、前記発光素子及び前記受光素子をこの光軸が前記親基板の側方に沿う向きに実装してなることを特徴とする。
【0016】
また、請求項2記載の本発明の光通信モジュールは、請求項1に記載の光通信モジュールに係り、前記樹脂ブロックの前記複数の面に関し、前記親基板との電気的接続面を下面、該下面の反対側で前記親基板に対し略平行となる面を上面、該上面及び前記光軸に対し略垂直となる面を第一側面、該第一側面及び前記上面に対し略垂直な二つの面を第二側面及び第三側面とすると、前記上面には前記電子回路部を設け、前記上面、前記第二側面、及び前記下面にかけては前記発光素子に係る前記表面実装用端子部を設け、前記上面、前記第三側面、及び前記下面にかけては前記受光素子に係る前記表面実装用端子部を設け、前記上面及び前記第一側面にかけては前記光結合部を設け、該光結合部を設けるにあたっては前記第一側面の側から前記発光素子及び前記受光素子を実装することを特徴とする。
【0017】
また、請求項3記載の本発明の光通信モジュールは、請求項1に記載の光通信モジュールに係り、前記樹脂ブロックの前記複数の面に関し、前記親基板との電気的接続面を下面、該下面の反対側で前記親基板に対し略平行となる面を上面、該上面及び前記光軸に対し略垂直となる面を第一側面、該第一側面及び前記上面に対し略垂直な二つの面を第二側面及び第三側面とすると、前記上面には前記電子回路部を設け、前記上面、前記第二側面、及び前記下面にかけては前記発光素子に係る前記表面実装用端子部を設け、前記上面、前記第三側面、及び前記下面にかけては前記受光素子に係る前記表面実装用端子部を設け、前記上面及び前記第一側面にかけてはこれらの連続部分に凹部を設けつつ前記光結合部を設け、該光結合部を設けるにあたっては前記凹部に対し前記上面の側から前記発光素子及び前記受光素子を実装することを特徴とする。
【0018】
また、請求項4記載の本発明の光通信モジュールは、請求項2又は3に記載の光通信モジュールに係り、前記樹脂ブロックの前記第一側面には光結合相手に対する受発光共通の結合部分としての突き出し部を設けることを特徴とする。
【0019】
また、請求項5記載の本発明の光通信モジュールは、請求項2、3、又は4に記載の光通信モジュールに係り、前記樹脂ブロックには前記下面から前記上面に向けて凹む溝状の空洞部を設けることを特徴とする。
【0020】
また、請求項6記載の本発明の光通信モジュールは、請求項2、3、4、又は5に記載の光通信モジュールに係り、前記樹脂ブロックの前記下面には前記表面実装用端子部の前記第三回路部分に対する凹状の余剰逃がし部を設けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に記載された本発明によれば、樹脂ブロックをベースにして電気回路を有するとともに、樹脂ブロックをベースにして電子回路部、光結合部、及び表面実装用端子部を有することから、一部品構成の光通信モジュールを提供することができるという効果を奏する。また、本発明によれば、表面実装用端子部を有することから、親基板に対し表面実装をすることができるという効果を奏する。従って、本発明によれば、光通信モジュールの小型化及び部品点数の削減を図ることができるという効果や、工程の簡素化を図ることができるという効果を奏する。
【0022】
請求項2に記載された本発明によれば、樹脂ブロックをベースにして、この樹脂ブロックの上面に電子回路部を設け、また、樹脂ブロックの上面、第二側面、及び下面にかけて発光素子に係る表面実装用端子部を設け、また、樹脂ブロックの上面、第三側面、及び下面にかけて受光素子に係る表面実装用端子部を設け、また、樹脂ブロックの上面及び第一側面にかけて光結合部を設けることから、樹脂ブロックをベースに電子回路部、光結合部、及び表面実装用端子部を有する一部品構成の光通信モジュールにすることができるという効果を奏する。従って、本発明によれば、光通信モジュールの小型化及び部品点数の削減を図ることができるという効果を奏する。
【0023】
また、請求項2に記載された本発明によれば、光結合部を設けるにあたり、樹脂ブロックの第一側面の側から発光素子及び受光素子を実装することから、電子回路部に係る実装と、光結合部に係る実装とに関し、樹脂ブロックの向きを変えるだけで行うことができるという効果を奏する。従って、本発明によれば、作製の容易化を図ることができるという効果を奏する。また、本発明によれば、樹脂ブロックの下面を含んで表面実装用端子部を設けることから、親基板に対し表面実装をすることができるという効果を奏する。従って、本発明によれば、工程の簡素化を図ることができるという効果を奏する。また、本発明によれば、樹脂ブロックにおける異なる面を用いて発光素子に係る表面実装用端子部と受光素子に係る表面実装用端子部とを設けることから、クロストークを抑制することができるという効果を奏する。
【0024】
請求項3に記載された本発明によれば、樹脂ブロックをベースにして、この樹脂ブロックの上面に電子回路部を設け、また、樹脂ブロックの上面、第二側面、及び下面にかけて発光素子に係る表面実装用端子部を設け、また、樹脂ブロックの上面、第三側面、及び下面にかけて受光素子に係る表面実装用端子部を設け、また、樹脂ブロックの上面及び第一側面にかけて光結合部を設けることから、樹脂ブロックをベースに電子回路部、光結合部、及び表面実装用端子部を有する一部品構成の光通信モジュールにすることができるという効果を奏する。従って、本発明によれば、光通信モジュールの小型化及び部品点数の削減を図ることができるという効果を奏する。
【0025】
また、請求項3に記載された本発明によれば、光結合部を設けるにあたり、樹脂ブロックの上面及び第一側面にかけて凹部を設け、この凹部に対し樹脂ブロックの上面側から発光素子及び受光素子を実装することから、電子回路部に係る実装と、光結合部に係る実装とに関し、樹脂ブロックの向きを変えずに行うことができるという効果を奏する。すなわち、一度の工程で実装をすることができるという効果を奏する。従って、本発明によれば、作製の容易化を図ることができるという効果を奏する。また、本発明によれば、樹脂ブロックの下面を含んで表面実装用端子部を設けることから、親基板に対し表面実装をすることができるという効果を奏する。従って、本発明によれば、工程の簡素化を図ることができるという効果を奏する。また、本発明によれば、樹脂ブロックにおける異なる面を用いて発光素子に係る表面実装用端子部と受光素子に係る表面実装用端子部とを設けることから、クロストークを抑制することができるという効果を奏する。
【0026】
請求項4に記載された本発明によれば、請求項2又は請求項3の効果の他に、次のような効果を奏する。すなわち、突き出し部を有することから、この突き出し部を介して光結合を行うことができるという効果を奏する。突き出し部は、受発光共通の結合部分となることから、光通信モジュールの小型化を図ることができるという効果を奏する。
【0027】
請求項5に記載された本発明によれば、樹脂ブロックに溝状の空洞部を設けることから、樹脂ブロック自体の形状を略コ字状の立体形状にすることができるという効果を奏する。これにより、樹脂ブロックの肉厚を均一化することができ、樹脂成型における「ひけ」を防止することができるという効果を奏する。また、本発明によれば、樹脂ブロックを略コ字状の立体形状にすることから、放熱性の高い樹脂ブロックにすることができるという効果を奏する。また、本発明によれば、樹脂ブロックを略コ字状の立体形状にして空洞部を形成することから、この空洞部により生じるスペースを有効利用することができるという効果を奏する。具体的には、空洞部により生じるスペースを部品の実装スペースにすることができ、以て小型化を図ることができるという効果を奏する。
【0028】
請求項6に記載された本発明によれば、光通信モジュールの小型化を図るにあたり、電気回路のピッチを狭めても、隣り合う電気回路同士の半田等による導通を防止することができるという効果を奏する。従って、本発明によれば、小型化に有効であり且つ信頼性の高い光通信モジュールを提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の光通信モジュールに係る図であり、(a)及び(b)は光通信モジュールの実装位置に係る模式図、(c)及び(d)は光通信モジュールの斜視図である。
【図2】本発明の光通信モジュールに係る図であり、親基板に対し表面実装された光通信モジュールの斜視図である(実施例1)。
【図3】樹脂ブロックの上面側から見た光通信モジュールの斜視図である。
【図4】樹脂ブロックの下面側から見た光通信モジュールの斜視図である。
【図5】図2の光通信モジュールの変形例に係る斜視図である(実施例2)。
【図6】レンズ部品を組み付ける前の光通信モジュールの斜視図である。
【図7】本発明の光通信モジュールに係る図であり、親基板に対し表面実装された他の例としての光通信モジュールの斜視図である(実施例3)。
【図8】電子回路部の拡大斜視図である。
【図9】光結合部の拡大斜視図である。
【図10】表面実装用端子部における余剰逃がし部の拡大図であり、(a)は斜視図、(b)は側面図である。
【図11】空洞部により生じるスペースを有効利用した図であり、(a)及び(b)は光通信モジュールの斜視図である。
【図12】他の例となる余剰逃がし部の拡大図であり、(a)は斜視図、(b)は側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の光通信モジュールについて、図1を参照しながら説明をする。図1(a)において、引用符号1は回路基板(親基板)を示している。回路基板1は、FR−4等のガラエポ基板が用いられている。このような回路基板1の表面には、光通信モジュール11(101)がリフロー接続にて実装(表面実装:SMT(Surface mount technology))されている。光通信モジュール11(101)は、図1(a)の場合、回路基板1の縁部2の近傍に実装されている。また、図1(b)の場合、ピッグテール部3を用いて回路基板1の所望位置に実装されている。
【0031】
光通信モジュール11(101)は、回路基板1の側方から光の入出力を行うことができるように実装されている。上記側方は、矢印Pの方向に一致するものとする。矢印Pは光軸の方向にも一致するものとする。ピッグテール部3は、図示しない光結合相手との嵌合部分であるコネクタ部4と、一対の光ファイバ部5とを備えて構成されている。
【0032】
光通信モジュール11(101)は、従来例に比べると、小型化及び部品点数の削減を図ることができるようになっている。また、作製の容易化などを図ることができるようにもなっている。具体的には、図1(c)に示す如くの光通信モジュール11、又は、図1(d)に示す如くの光通信モジュール101を採用することにより、小型化等を図ることができるようになっている。光通信モジュール11、101は、どちらも一部品構成のものになっている。
【0033】
図1(c)において、光通信モジュール11は、樹脂ブロック12を有している。樹脂ブロック12には、これをベースにして電気回路13が設けられている。また、樹脂ブロック12には、これをベースにして電子回路部14、光結合部15、及び表面実装用端子部16、17が設けられている。光通信モジュール11は、光送信器(TX:Transmitter )と光受信器(Rx:Receiver)を同一モジュール内に集積し、小型化されたものとなっている。光通信モジュール11に関しては、実施例1、2の欄において詳細に説明するものとする。
【0034】
図1(d)において、光通信モジュール101は、樹脂ブロック102を有している。樹脂ブロック102には、これをベースにして電気回路103が設けられている。また、樹脂ブロック102には、これをベースにして電子回路部104、光結合部105、及び表面実装用端子部106、107が設けられている。光通信モジュール101は、光送信器(TX:Transmitter )と光受信器(Rx:Receiver)を同一モジュール内に集積し、小型化されたものとなっている。光通信モジュール101に関しては、実施例3の欄において詳細に説明するものとする。
【実施例1】
【0035】
以下、図面を参照しながら実施例1を説明する。図2は本発明の光通信モジュールに係る図であり、親基板に対し表面実装された光通信モジュールの斜視図である。また、図3は樹脂ブロックの上面側から見た光通信モジュールの斜視図、図4は樹脂ブロックの下面側から見た光通信モジュールの斜視図である。
【0036】
以下の説明において、具体的な形状、材料、数値、方向等は、本発明の理解を容易にするための例示であって、用途、目的、仕様等に合わせて適宜変更することができるものとする。
【0037】
図2において、親基板としての回路基板1の表面、且つ縁部2の近傍には、本発明に係る光通信モジュール11がリフロー接続にて実装されている。光通信モジュール11は、樹脂ブロック12を有している。樹脂ブロック12は、複数の面を有している。このような樹脂ブロック12には、これをベースにして電気回路13が設けられている。電気回路13は、複数の回路部分を有している。また、樹脂ブロック12には、これをベースにして電子回路部14、光結合部15、及び表面実装用端子部16、17が設けられている。光通信モジュール11は、回路基板1の側方からの光の入出力を行うことができるように構成されている。
【0038】
図2ないし図4において、樹脂ブロック12は、三次元的な立体形状となる射出成形品であって、本実施例においては略コ字状に形成されている。尚、この形状は一例であるものとするが、例えば直方体形状となる樹脂の塊と比べた場合、略コ字状の立体形状は肉厚を均一化して樹脂成型における「ひけ」を防止することができる。このことから、本実施例の形状を採用することが好ましいものとする。樹脂ブロック12は、絶縁性を有している。
【0039】
樹脂ブロック12は、上記の如く複数の面を有している。この複数の面に関し具体的に説明をすると、光通信モジュール11は回路基板1に対し表面実装されることから、回路基板1との電気的接続面として、樹脂ブロック12は下面18を有している。また、樹脂ブロック12は、下面18の反対側で回路基板1に対し略平行となる面として上面19を有している。また、樹脂ブロック12は、上面19、下面18、及び上記光軸(矢印Pの方向に一致)に対し略垂直となる面として第一側面20を有している。
【0040】
また、樹脂ブロック12は、第一側面20、上面19、及び下面18に対し略垂直な二つの面として第二側面21及び第三側面22を有している。また、樹脂ブロック12は、第一側面20の反対側で上面19、下面18、第二側面21、及び第三側面22に対し略垂直となる面として第四側面23を有している。尚、第一側面20を前面、第二側面21を左側面、第三側面22を右側面、第四側面23を後面、と言い換えてもよいものとする。
【0041】
樹脂ブロック12には、下面18から上面19に向けて凹む溝状の空洞部24が設けられている。また、樹脂ブロック12には、第一側面20を突出させるようにして突き出し部25が設けられている。
【0042】
空洞部24は、樹脂ブロック12の形状を略コ字状の立体形状にする有効な部分となっている。また、空洞部24は、樹脂の塊に比べて樹脂材料を低減するのに有効な部分となっている。さらに、空洞部24は、樹脂ブロック12の放熱性を高める有効な部分となっている。空洞部24に関し、光通信モジュール11は、空洞部24を形成する内面に熱電冷却素子(TEC:Thermoelectric Cooler 、ペルチェなど)151などの部品を実装してもよいものとする(図11参照)。
【0043】
突き出し部25は、図示しない光結合相手に対する受発光共通の結合部分として設けられている。突き出し部25は、上記側方に沿って、言い換えれば上記光軸(矢印Pの方向に一致)に沿って突出する図示の形状に形成されている。突き出し部25は、上記光結合相手に合わせた形状に形成されている(図示の形状は一例であるものとする)。突き出し部25は、後述する発光素子40及び受光素子41と、図示しない光ファイバ端面とを近接させることができ、高効率な光結合をすることが可能な部分として形成されている。
【0044】
このような突き出し部25には、二つの凹部が形成されている。具体的には、凹部底面が上面19に連続する第一凹部26と、この第一凹部26に対し略垂直となり且つ連続する第二凹部27とが形成されている。第二凹部27の凹部底面は、後述する発光素子40及び受光素子41を実装する面として形成されている。第一凹部26の凹部底面及び第二凹部27の凹部底面は、面取り部28を介在させて連続するようになっている。面取り部28は、後述する第二回路部分36の急峻(90度)な曲げをなくし、高周波に対応した回路パターンにするための部分として形成されている。
【0045】
突き出し部25の突出先端面29には、上記光結合相手との位置合わせに用いるガイドピン穴30が形成されている。このガイドピン穴30は、第二凹部27の両側に配置形成されている。ガイドピン穴30には、上記光結合相手の図示しないガイドピンが挿入されるようになっている。ガイドピン穴30は、本実施例において、後述する発光素子40及び受光素子41を第二凹部27の凹部底面に実装する際の基準位置になっている。
【0046】
樹脂ブロック12には、幾つかの面取り部が形成されている。この幾つかのうち、上面19と第二側面21との連続部分の面取り部31、上面19と第三側面22との連続部分の面取り部32、第二側面21と下面18との連続部分の面取り部33、及び、第三側面22と下面18との連続部分の面取り部34は、上記面取り部28と同様に、回路部分の急峻(90度)な曲げをなくし、高周波に対応した回路パターンにするための部分として形成されている。
【0047】
樹脂ブロック12の表面には、複数の回路部分を有する電気回路13が設けられている。樹脂ブロック12及び電気回路13は、立体回路形成技術(MID:Molded Interconnect Devices )によりなる立体回路部品となっている。この立体回路部品においては、樹脂ブロック12がベース部材になっている。立体回路形成技術(MID)は、公知の技術であり、樹脂ブロック12の表面に電気回路13として複数の回路部分を設けることは容易になっている。樹脂ブロック12及び電気回路13の作製に係る工程は良好である。
【0048】
電気回路13の複数の回路部分に関し具体的に説明をすると、電気回路13は第一回路部分35、第二回路部分36、及び、第三回路部分37、38を有している。
【0049】
第一回路部分35は、電子回路部14を構成する回路部分として、樹脂ブロック12の上面19に複数本設けられている。また、第二回路部分36は、光結合部15を構成する回路部分として、樹脂ブロック12の上面19及び第一側面20にかけて複数本設けられている。具体的には、突き出し部25の第一凹部26の凹部底面及び第二凹部27の凹部底面にかけて複数本設けられている。また、第三回路部分37は、表面実装用端子部16を構成する回路部分として、樹脂ブロック12の上面19、第二側面21、及び下面18にかけて複数本設けられている。また、第三回路部分38は、表面実装用端子部17を構成する回路部分として、樹脂ブロック12の上面19、第三側面22、及び下面18にかけて複数本設けられている。
【0050】
第三回路部分37、38は、樹脂ブロック12の下面18に対応する回路部分が表面実装用のパッドとして機能するように形成されている。樹脂ブロック12の下面18に形成することにより、親基板としての回路基板1との接触に関しては十分に確保されるようになっている(接触に係る精度を確保する機器や管理は不要である)。尚、下面18には、第三回路部分37、38に対する凹状の余剰逃がし部(実施例3にて説明する)を設けることが好ましいものとする。
【0051】
電子回路部14は、樹脂ブロック12の上面19に設けられている。電子回路部14は、複数の電子部品39と、上記第一回路部分35とを含んで構成されている。電子部品39は、発光素子駆動ICや受信IC、さらにはチップ部品(L、C、Rなど)であり、特に図示しないが、所定の第一回路部分35に対しボンディングワイヤ等で接続されている。平坦な樹脂ブロック12の上面19に第一回路部分35を設けていることから、また、上面19が実装面であることから、複数の電子部品39は公知のチップ部品実装機で実装することができるようになっている。すなわち、作製の自動化が可能であり、作製工程の簡素化を図ることができるようになっている。
【0052】
光結合部15は、樹脂ブロック12の上面19及び第一側面20にかけて設けられている。光結合部15は、発光素子40及び受光素子41と、上記第二回路部分36とを含んで構成されている。発光素子40及び受光素子41としては、例えば面発光レーザー、上面で受光する受光素子などが挙げられるものとする(これに限定されないものとする)。
【0053】
発光素子40及び受光素子41は、この光軸が矢印Pの方向に一致するようにして第二凹部27の凹部底面に実装されている。発光素子40及び受光素子41は、公知のものが用いられている。発光素子40及び受光素子41は、第二凹部27の凹部底面に実装されることから、突き出し部25の突出先端面29よりも奥まった位置に実装されることになっている。従って、図示しない光結合相手との突き当たり(フェルール等との突き当たり)による損傷を防止することができるようになっている。
【0054】
発光素子40及び受光素子41は、図示しない光ファイバ端面との距離が第二凹部27の凹み量によって調節されている。尚、上記光ファイバ以外としては、レンズ、ファイバスタブ等が挙げられるものとする。第二凹部27の凹み量の調節は、間隙距離の管理に有効である。
【0055】
発光素子40及び受光素子41は、例えば電子回路部14における複数の電子部品39を実装した後、樹脂ブロック12を90度傾けることにより、公知のチップ部品実装機で実装することができるようになっている。すなわち、作製の自動化が可能であり、作製工程の簡素化を図ることができるようになっている。
【0056】
発光素子40及び受光素子41は、本実施例において、透明な樹脂保護材42により覆われて、湿度やゴミ等から保護されている。樹脂保護材42は、透明樹脂を成型加工、若しくはポッティングすることにより設けられている。
【0057】
第二回路部分36は、上記の如く、樹脂ブロック12の上面19、突き出し部25の第一凹部26の凹部底面、及び第二凹部27の凹部底面にかけて複数本設けられている。
【0058】
表面実装用端子部16は、発光素子40に係る部分であって、樹脂ブロック12の上面19、第二側面21、及び下面18にかけて設けられている。表面実装用端子部16は、第三回路部分37を含んで構成されている。また、表面実装用端子部17は、受光素子41に係る部分であって、樹脂ブロック12の上面19、第三側面22、及び下面18にかけて設けられている。表面実装用端子部17は、第三回路部分38を含んで構成されている。尚、発光素子40及び受光素子41の実装位置を逆にすれば、表面実装用端子部16及び表面実装用端子部17の配置等も逆になるものとする。
【0059】
表面実装用端子部16及び表面実装用端子部17は、略脚状となる形状の部分であって、脚の長さは図示しない光結合相手との光結合位置に合わせて設定されている。表面実装用端子部16及び表面実装用端子部17は、この脚の長さを調節することで、図示しない光ファイバとの光軸合わせをすることができるようになっている。表面実装用端子部16及び表面実装用端子部17は、離れて配設されることから、第三回路部分37及び第三回路部分38も離れて配設され、結果、クロストーク(電気的な信号の乗り移り)の抑制に有効になっている。
【0060】
上記構成及び構造において、本発明に係る光通信モジュール11は、樹脂ブロック12をベースにして電子回路部14と光結合部15とを一体にしていることから、従来必要であったフレキシブル回路基板や筐体等を不要にし、さらには、光送信器と光受信器を同一モジュール内に集積することから、小型化及び部品点数の削減を図ることができる。
【0061】
また、本発明に係る光通信モジュール11は、樹脂ブロック12の上面19及び第一側面20にかけて発光素子40及び受光素子41を含む光結合部15を設けていることから、従来同様に側方からの光の入出力を行うことができる。
【0062】
また、本発明に係る光通信モジュール11は、樹脂ブロック12の上面19及び第一側面20にかけて光結合部15を設けていることから、従来必要であったフレキシブル回路基板やリードピン等を不要にすることができる。
【0063】
また、本発明に係る光通信モジュール11は、樹脂ブロック12をベースにして表面実装用端子部16及び表面実装用端子部17を一体にしていることから、親基板としての回路基板1に対し光通信モジュール11を表面実装することができる。
【0064】
また、本発明に係る光通信モジュール11は、表面実装用のパッドとして機能する回路部分を樹脂ブロック12の平坦な下面18に設けていることから、接触確保に係る高精度な機器や管理を不要にすることができる。
【0065】
また、本発明に係る光通信モジュール11は、複数の電子部品39や発光素子40及び受光素子41を樹脂ブロック12の平面上に実装する構造であることから、公知のチップ部品実装機で実装することができ、結果、作製の自動化や作製工程の簡素化を図ることができる。
【0066】
また、本発明に係る光通信モジュール11は、突き出し部25を受発光共通の結合部分としていることから、突き出し部25を光通信モジュール11の小型化に有効な部分とすることができる。
【0067】
また、本発明に係る光通信モジュール11は、突き出し部25の突出先端面29よりも奥まった位置に発光素子40及び受光素子41を実装することから、図示しない光結合相手との突き当たりによる損傷を防止することができる。
【0068】
また、本発明に係る光通信モジュール11は、第二回路部分36を突き出し部25の第一凹部26及び第二凹部27に設けていることから、図示しない光結合相手との例えばコネクタ嵌合の際に、第二回路部分36の損傷を防止することができる。
【0069】
また、本発明に係る光通信モジュール11は、表面実装用端子部16及び表面実装用端子部17を離して配設していることから、光送信器及び光受信器間のクロストークを抑制することができる。
【0070】
また、本発明に係る光通信モジュール11は、クロストークの抑制をすることができることから、光通信モジュール11の小型化を図り易くすることができる。
【0071】
また、本発明に係る光通信モジュール11は、樹脂ブロック12に面取り部28、31〜34を有することから、回路部分の急峻(90度)な曲げをなくして高周波対応の回路パターンにすることができる。
【0072】
また、本発明に係る光通信モジュール11は、樹脂ブロック12を略コ字状の立体形状に樹脂成型していることから、「ひけ」を防止することができるとともに、使用する樹脂材料も低減することができ、さらには、放熱性も高めることができる。
【0073】
また、本発明に係る光通信モジュール11は、樹脂ブロック12を略コ字状の立体形状にして空洞部24を形成することから、この空洞部24により生じるスペースを有効利用することができるという効果を奏する。
【実施例2】
【0074】
以下、図面を参照しながら実施例2を説明する。図5は実施例1の光通信モジュールの変形例に係る斜視図である。また、図6はレンズ部品を組み付ける前の光通信モジュールの斜視図である。尚、上記実施例1と同一の構成部材には同一の符号を付して詳細な説明を省略するものとする。
【0075】
図5及び図6において、実施例2の光通信モジュール51は、実施例1の光通信モジュール11に対し次の点で相違している。すなわち、透明な樹脂保護材42(図2及び図4参照)に替えてレンズ部品52を設けてなる点で相違している。レンズ部品52は、発光素子40及び受光素子41と、図示しない光ファイバとの光結合効率を向上させるために設けられている。
【0076】
レンズ部品52は、透明な樹脂成型品であって、突き出し部25の突出先端面29及び第二凹部27に係合する本体53と、突き出し部25の第一凹部26に係合する回路保護部54とを有している。本体53には、発光素子40及び受光素子41に対応する位置に一対のレンズ55が形成されている。また、本体53には、一対のガイドピン穴56が形成されている。このガイドピン穴56は、突き出し部25のガイドピン穴30に連続するように配置形成されている。回路保護部54は、略板状の部分であって、第一凹部26に設けられた第二回路部分36を覆うことができるように形成されている。
【0077】
以上、実施例2の光通信モジュール51は、実施例1の光通信モジュール11と同様の効果を奏するのは勿論である。また、実施例2の光通信モジュール51は、レンズ部品52を設けていることから、上記の如く光結合効率を向上させることもできる。
【実施例3】
【0078】
以下、図面を参照しながら実施例3を説明する。図7は本発明の光通信モジュールに係る図であり、親基板に対し表面実装された他の例としての光通信モジュールの斜視図である。また、図8は電子回路部の拡大斜視図、図9は光結合部の拡大斜視図、図10は表面実装用端子部における余剰逃がし部の拡大図である。
【0079】
以下の説明において、具体的な形状、材料、数値、方向等は、本発明の理解を容易にするための例示であって、用途、目的、仕様等に合わせて適宜変更することができるものとする。
【0080】
図7において、親基板としての回路基板1の表面、且つ縁部2の近傍には、本発明に係る光通信モジュール101がリフロー接続にて実装されている。光通信モジュール101は、樹脂ブロック102を有している。樹脂ブロック102は、複数の面を有している。このような樹脂ブロック102には、これをベースにして電気回路103が設けられている。電気回路103は、複数の回路部分を有している。また、樹脂ブロック102には、これをベースにして電子回路部104、光結合部105、及び表面実装用端子部106、107が設けられている。光通信モジュール101は、回路基板1の側方からの光の入出力を行うことができるように構成されている。
【0081】
樹脂ブロック102は、三次元的な立体形状となる射出成形品であって、本実施例においては略コ字状に形成されている。尚、この形状は一例であるものとするが、例えば直方体形状となる樹脂の塊と比べた場合、略コ字状の立体形状は肉厚を均一化して樹脂成型における「ひけ」を防止することができる。このことから、本実施例の形状を採用することが好ましいものとする。樹脂ブロック102は、絶縁性を有している。
【0082】
樹脂ブロック102は、上記の如く複数の面を有している。この複数の面に関し具体的に説明をすると、光通信モジュール101は回路基板1に対し表面実装されることから、回路基板1との電気的接続面として、樹脂ブロック102は下面108を有している。また、樹脂ブロック102は、下面108の反対側で回路基板1に対し略平行となる面として上面109を有している。また、樹脂ブロック102は、上面109、下面108、及び上記光軸(矢印Pの方向に一致)に対し略垂直となる面として第一側面110を有している。
【0083】
また、樹脂ブロック102は、第一側面110、上面109、及び下面108に対し略垂直な二つの面として第二側面111及び第三側面112を有している。また、樹脂ブロック102は、第一側面110の反対側で上面109、下面108、第二側面111、及び第三側面112に対し略垂直となる面として第四側面113を有している。尚、第一側面110を前面、第二側面111を左側面、第三側面112を右側面、第四側面113を後面、と言い換えてもよいものとする。
【0084】
樹脂ブロック102には、下面108から上面109に向けて凹む溝状の空洞部114が設けられている。また、樹脂ブロック102には、上面109を凹ませるように複数の電子部品収容凹部115が設けられている。さらに、樹脂ブロック102には、上面109及び第一側面110の連続部分を凹ませるように一対の素子収容凹部116(凹部)が設けられている。
【0085】
空洞部114は、樹脂ブロック102の形状を略コ字状の立体形状にする有効な部分となっている。また、空洞部114は、樹脂の塊に比べて樹脂材料を低減するのに有効な部分となっている。さらに、空洞部114は、樹脂ブロック102の放熱性を高める有効な部分となっている。空洞部114に関し、光通信モジュール101は、空洞部114を形成する内面に熱電冷却素子(TEC:Thermoelectric Cooler 、ペルチェなど)151などの部品を実装してもよいものとする(図11参照)。
【0086】
電子部品収容凹部115は、電子回路部104の後述する電子部品126を収容するような凹み部分として形成されている。また、素子収容凹部116は、光結合部105の後述する発光素子128及び受光素子129を収容するような凹み部分として形成されている。素子収容凹部116は、上面109の側が開口するとともに、第一側面110の側も開口するような凹み部分として形成されている。
【0087】
樹脂ブロック102には、幾つかの面取り部が形成されている。この幾つかのうち、上面109と第二側面111との連続部分の面取り部117、上面109と第三側面112との連続部分の面取り部118、第二側面111と下面108との連続部分の面取り部119、及び、第三側面112と下面108との連続部分の面取り部120は、電気回路103の後述する回路部分の急峻(90度)な曲げをなくし、高周波に対応した回路パターンにするための部分として形成されている。
【0088】
樹脂ブロック102の表面には、複数の回路部分を有する電気回路103が設けられている。樹脂ブロック102及び電気回路103は、立体回路形成技術(MID:Molded Interconnect Devices )によりなる立体回路部品となっている。この立体回路部品においては、樹脂ブロック102がベース部材になっている。立体回路形成技術(MID)は、公知の技術であり、樹脂ブロック102の表面に電気回路103として複数の回路部分を設けることは容易になっている。樹脂ブロック102及び電気回路103の作製に係る工程は良好である。
【0089】
電気回路103の複数の回路部分に関し具体的に説明をすると、電気回路103は第一回路部分121、第二回路部分122、及び、第三回路部分123、124を有している。
【0090】
第一回路部分121は、電子回路部104を構成する回路部分として、樹脂ブロック102の上面109に複数本設けられている。また、第二回路部分122は、光結合部105を構成する回路部分として、樹脂ブロック102の上面109に複数本設けられている。また、第三回路部分123は、表面実装用端子部106を構成する回路部分として、樹脂ブロック102の上面109、第二側面111、及び下面108にかけて複数本設けられている。また、第三回路部分124は、表面実装用端子部107を構成する回路部分として、樹脂ブロック102の上面109、第三側面112、及び下面108にかけて複数本設けられている。
【0091】
第三回路部分123、124は、樹脂ブロック102の下面108に対応する回路部分が表面実装用のパッドとして機能するように形成されている。樹脂ブロック102の下面108に形成することにより、親基板としての回路基板1との接触に関しては十分に確保されるようになっている(接触に係る精度を確保する機器や管理は不要である)。
【0092】
樹脂ブロック102の下面108には、凹状の余剰逃がし部125(図10参照)が複数設けられている。この余剰逃がし部125は、余剰となる半田やAgペースト等を逃がす部分であって、第三回路部分123、124の各回路両側に所望の幅で配置形成されている。余剰逃がし部125は、各回路同士の半田等による導通を防止する部分として設けられている。余剰逃がし部125は、上記余剰を逃がすことができれば、特に形状や配置等は限定されないものとする(他の配置例は図12を参照しながら後述する)。
【0093】
図7及び図8において、電子回路部104は、樹脂ブロック102の上面109に設けられている。電子回路部104は、複数の電子部品126と、上記第一回路部分121とを含んで構成されている。電子部品126は、発光素子駆動ICや受信IC、さらにはチップ部品(L、C、Rなど)であり、所定の第一回路部分121に対しボンディングワイヤ127で接続されている。本実施例におけるボンディングワイヤ127は、電子部品126を電子部品収容凹部115に収容することから、収容しない場合と比べると短尺化された伝送線路となっている。尚、短尺化により伝送特性の向上、耐ノイズ性の向上を図ることが可能であるものとする。
【0094】
複数の電子部品126は、樹脂ブロック12の上面109側からの実装になることから、公知のチップ部品実装機で実装することができるようになっている。すなわち、作製の自動化が可能であり、作製工程の簡素化を図ることができるようになっている。
【0095】
光結合部105は、樹脂ブロック102の上面109及び第一側面110にかけて設けられている。光結合部105は、発光素子128及び受光素子129と、上記第二回路部分122とを含んで構成されている。
【0096】
発光素子128及び受光素子129は、この光軸が矢印Pの方向に一致するようにして素子収容凹部116の凹部底面に実装されている。発光素子128及び受光素子129は、公知のものが用いられている。発光素子128及び受光素子129は、素子収容凹部116の深さ寸法Qを調節することにより、図示しない光ファイバとの光軸合わせをすることができるようになっている(深さ寸法Qの調節は、光学部品(光ファイバ、レンズ、ファイバスタブ)との位置合わせを簡素化することができるようになっている)。発光素子128及び受光素子129は、素子収容凹部116に収容されて図示しない光結合相手が突き当たらないようになっている。尚、特に限定するものでないが、発光素子128及び受光素子129としては、例えばエッジエミッティングレーザー、側面受光型の受光素子などが挙げられるものとする。
【0097】
発光素子128及び受光素子129は、公知のチップ部品実装機により、例えば電子回路部104における複数の電子部品126と同時に実装されるようになっている。本実施例においては、作製の自動化が可能であり、作製工程の簡素化を図ることができるようになっている。
【0098】
表面実装用端子部106は、発光素子128に係る部分であって、樹脂ブロック102の上面109、第二側面111、及び下面108にかけて設けられている。表面実装用端子部106は、第三回路部分123を含んで構成されている。また、表面実装用端子部107は、受光素子129に係る部分であって、樹脂ブロック102の上面109、第三側面112、及び下面108にかけて設けられている。表面実装用端子部107は、第三回路部分124を含んで構成されている。尚、発光素子128及び受光素子129の実装位置を逆にすれば、表面実装用端子部106及び表面実装用端子部107の配置等も逆になるものとする。
【0099】
表面実装用端子部106及び表面実装用端子部107は、略脚状となる形状の部分であって、脚の長さは図示しない光結合相手との光結合位置に合わせて設定されている。表面実装用端子部106及び表面実装用端子部107は、この脚の長さを調節することで、図示しない光ファイバとの光軸合わせをすることができるようになっている。表面実装用端子部106及び表面実装用端子部107は、離れて配設されることから、第三回路部分123及び第三回路部分124も離れて配設され、結果、クロストーク(電気的な信号の乗り移り)の抑制に有効になっている。
【0100】
上記構成及び構造において、本発明に係る光通信モジュール101は、樹脂ブロック102をベースにして電子回路部104と光結合部105とを一体にしていることから、従来必要であったフレキシブル回路基板や筐体等を不要にし、さらには、光送信器と光受信器を同一モジュール内に集積することから、小型化及び部品点数の削減を図ることができる。
【0101】
また、本発明に係る光通信モジュール101は、樹脂ブロック102の上面109及び第一側面110にかけて発光素子128及び受光素子129を含む光結合部105を設けていることから、従来同様に側方からの光の入出力を行うことができる。
【0102】
また、本発明に係る光通信モジュール101は、樹脂ブロック102の上面109及び第一側面110にかけて光結合部105を設けていることから、従来必要であったフレキシブル回路基板やリードピン等を不要にすることができる。
【0103】
また、本発明に係る光通信モジュール101は、樹脂ブロック102をベースにして表面実装用端子部106及び表面実装用端子部107を一体にしていることから、親基板としての回路基板1に対し光通信モジュール101を表面実装することができる。
【0104】
また、本発明に係る光通信モジュール101は、表面実装用のパッドとして機能する回路部分を樹脂ブロック102の平坦な下面108に設けていることから、接触確保に係る高精度な機器や管理を不要にすることができる。
【0105】
また、本発明に係る光通信モジュール101は、複数の電子部品126や発光素子128及び受光素子129を樹脂ブロック102の同一面上に実装する構造であることから、公知のチップ部品実装機で実装することができ、結果、作製の自動化や作製工程の簡素化、さらには実装コスト低減を図ることができる。
【0106】
また、本発明に係る光通信モジュール101は、素子収容凹部116に発光素子128及び受光素子129を実装することから、図示しない光結合相手との突き当たりによる損傷を防止することができる。
【0107】
また、本発明に係る光通信モジュール101は、表面実装用端子部106及び表面実装用端子部107を離して配設していることから、光送信器及び光受信器間のクロストークを抑制することができる。
【0108】
また、本発明に係る光通信モジュール101は、クロストークの抑制をすることができることから、光通信モジュール101の小型化を図り易くすることができる。
【0109】
また、本発明に係る光通信モジュール101は、樹脂ブロック102に面取り部117〜120を有することから、回路部分の急峻(90度)な曲げをなくして高周波対応の回路パターンにすることができる。
【0110】
また、本発明に係る光通信モジュール101は、樹脂ブロック102を略コ字状の立体形状に樹脂成型していることから、「ひけ」を防止することができるとともに、使用する樹脂材料も低減することができ、さらには、放熱性も高めることができる。
【0111】
また、本発明に係る光通信モジュール101は、樹脂ブロック102を略コ字状の立体形状にして空洞部114を形成することから、この空洞部114により生じるスペースを有効利用することができるという効果を奏する。
【0112】
また、本発明に係る光通信モジュール101は、樹脂ブロック102の下面108に余剰逃がし部125を設けていることから、光通信モジュール101の小型化を図るにあたり、電気回路のピッチを狭めても、隣り合う電気回路同士の半田等による導通を防止することができる。これにより、信頼性の高い光通信モジュール101を提供することができる。
【0113】
上記余剰逃がし部125に関しては、図12に示す如く変更してもよいものとする。図12において、樹脂ブロック102の下面108に配置される第三回路部分152には、凹状(溝状)となる余剰逃がし部153が形成されている。この余剰逃がし部153は、余剰となる半田やAgペースト等を逃がす部分として形成されている。従って、光通信モジュール101の小型化を図るにあたり、電気回路のピッチを狭めても、隣り合う電気回路同士の半田等による導通を防止することができる。これにより、信頼性の高い光通信モジュール101を提供することができる。
【0114】
この他、本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。
【符号の説明】
【0115】
P…側方(又は光軸の方向)、 1…回路基板(親基板)、 2…縁部、 3…ピッグテール部、 4…コネクタ部、 5…光ファイバ部、 11…光通信モジュール、 12…樹脂ブロック、 13…電気回路、 14…電子回路部、 15…光結合部、 16、17…表面実装用端子部、 18…下面、 19…上面、 20…第一側面、 21…第二側面、 22…第三側面、 23…第四側面、 24…空洞部、 25…突き出し部、 26…第一凹部、 27…第二凹部、 28…面取り部、 29…突出先端面、 30…ガイドピン穴、 31〜34…面取り部、 35…第一回路部分、 36…第二回路部分、 37、38…第三回路部分、 39…電子部品、 40…発光素子、 41…受光素子、 42…樹脂保護材、 51…光通信モジュール、 52…レンズ部品、 53…本体、 54…回路保護部、 55…レンズ、 56…ガイドピン穴、 101…光通信モジュール、 102…樹脂ブロック、 103…電気回路、 104…電子回路部、 105…光結合部、 106、107…表面実装用端子部、 108…下面、 109…上面、 110…第一側面、 111…第二側面、 112…第三側面、 113…第四側面、 114…空洞部、 115…電子部品収容凹部、 116…素子収容凹部(凹部)、 117〜120…面取り部、 121…第一回路部分、 122…第二回路部分、 123、124…第三回路部分、 125…余剰逃がし部、 126…電子部品、 127…ボンディングワイヤ、 128…発光素子、 129…受光素子、 151…熱電冷却素子、 152…第三回路部分、 153…余剰逃がし部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の面を有する樹脂ブロックの表面に複数の回路部分を有する電気回路を設けてなり、
また、電子部品を実装し且つ前記電気回路の第一回路部分を含んでなる電子回路部と、発光素子及び受光素子を実装し且つ前記電気回路の第二回路部分を含んでなる光結合部と、親基板に対する表面実装部分となり且つ前記電気回路の第三回路部分を含んでなる表面実装用端子部とを設けてなり、
さらに、前記発光素子及び前記受光素子をこの光軸が前記親基板の側方に沿う向きに実装してなる
ことを特徴とする光通信モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の光通信モジュールにおいて、
前記樹脂ブロックの前記複数の面に関し、前記親基板との電気的接続面を下面、該下面の反対側で前記親基板に対し略平行となる面を上面、該上面及び前記光軸に対し略垂直となる面を第一側面、該第一側面及び前記上面に対し略垂直な二つの面を第二側面及び第三側面とすると、
前記上面には前記電子回路部を設け、
前記上面、前記第二側面、及び前記下面にかけては前記発光素子に係る前記表面実装用端子部を設け、
前記上面、前記第三側面、及び前記下面にかけては前記受光素子に係る前記表面実装用端子部を設け、
前記上面及び前記第一側面にかけては前記光結合部を設け、
該光結合部を設けるにあたっては前記第一側面の側から前記発光素子及び前記受光素子を実装する
ことを特徴とする光通信モジュール。
【請求項3】
請求項1に記載の光通信モジュールにおいて、
前記樹脂ブロックの前記複数の面に関し、前記親基板との電気的接続面を下面、該下面の反対側で前記親基板に対し略平行となる面を上面、該上面及び前記光軸に対し略垂直となる面を第一側面、該第一側面及び前記上面に対し略垂直な二つの面を第二側面及び第三側面とすると、
前記上面には前記電子回路部を設け、
前記上面、前記第二側面、及び前記下面にかけては前記発光素子に係る前記表面実装用端子部を設け、
前記上面、前記第三側面、及び前記下面にかけては前記受光素子に係る前記表面実装用端子部を設け、
前記上面及び前記第一側面にかけてはこれらの連続部分に凹部を設けつつ前記光結合部を設け、
該光結合部を設けるにあたっては前記凹部に対し前記上面の側から前記発光素子及び前記受光素子を実装する
ことを特徴とする光通信モジュール。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の光通信モジュールにおいて、
前記樹脂ブロックの前記第一側面には光結合相手に対する受発光共通の結合部分としての突き出し部を設ける
ことを特徴とする光通信モジュール。
【請求項5】
請求項2、3、又は4に記載の光通信モジュールにおいて、
前記樹脂ブロックには前記下面から前記上面に向けて凹む溝状の空洞部を設ける
ことを特徴とする光通信モジュール。
【請求項6】
請求項2、3、4、又は5に記載の光通信モジュールにおいて、
前記樹脂ブロックの前記下面には前記表面実装用端子部の前記第三回路部分に対する凹状の余剰逃がし部を設ける
ことを特徴とする光通信モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−50497(P2013−50497A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186928(P2011−186928)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】