説明

光量デジタル変換回路、IC、および電子機器

【課題】各誤差要因に依存しない光量の測定を行い、高精度なデジタル変換を行う。
【解決手段】光量に応じて光電流を出力するPD101と、参照電流を出力する定電流源102と、第1制御信号に基づいて光電流を選択するとともに、第2制御信号に基づいて参照電流を選択するセレクタ103と、光電流または参照電流の大きさに応じた周波数のクロック信号を作成するI−F変換回路104と、クロック信号のパルスをカウントするカウンタ105と、第1制御信号および第2制御信号をセレクタ103に出力するコントロール部108と、参照電流を基に作成されたクロック信号に対して、所定のパルス数がカウントされた時間を計測し、そのM倍(M:正の定数)を基準時間として保持する時間計測装置107と、光電流を基に作成されたクロック信号に対して、上記基準時間にカウントされたパルス数に基づいてデジタル値を作成するレジスタ106と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光−周波数変換方式を用いる光量デジタル変換回路、並びに、それを備えるICおよび電子機器に関するものであり、詳細には、光量を測定してデジタル値に変換・出力する測定技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、可視光センサとして、シリコンフォトダイオードとCdS(硫化カドミウム)セルとの2つのセンサが代表的である。シリコンフォトダイオードは、小型かつ高速応答で、安定性が高い。それゆえ、シリコンフォトダイオードは、受光手段として、光通信、光ディスク用受光素子、および光センサーなどで幅広く用いられている。但し、シリコンフォトダイオードの分光感度特性は、人間の視感度とは大きく異なり、赤外線領域に感度を持っている。
【0003】
それに比べて、CdSセルは、人間の視感度に近い分光感度特性を持っており、古くからカメラの露出計や可視光センサとして用いられてきている。しかし、近年では、環境負荷物質の問題によって、硫化カドミウムを主成分とするCdSセルの使用が制限されつつあり、欧州では2006年7月以降、カドミウム、鉛、6価クロム、および水銀を使用した製品の持ち込みが禁止されている。よって、環境負荷が小さいシリコンフォトダイオードで実現可能な、人間の視感度に近い分光感度特性を持つセンサの要望が高まっている。
【0004】
そこで、人間の視感度に近い分光感度特性を持つ照度センサの需要が急増している。このような照度センサは、例えば、波長選択フィルタを使用する方法や、フォトダイオードの材料を変えて(例えばアモルファスシリコンを使用して)吸収波長を人間の視感度に合わせる方法や、PN接合の深さが違うフォトダイオードを2種類用意して、それぞれのフォトダイオードの光電流の差をとることで吸収波長を人間の視感度に合わせる方法、などが施されることによって実現されている。
【0005】
照度センサは、例えば、携帯電話や液晶テレビなどに搭載されている。携帯電話や液晶テレビでは、照度センサにより検出した周囲の明るさに応じて、バックライトの明るさを自動的に調光することにより、携帯電話のバッテリー消耗を抑えたり、液晶画面の視認性を向上させている。
【0006】
照度センサには、受光素子(フォトダイオード)にて受光した光の強度を、デジタル値で出力するものと、アナログ値で出力するものとがある。シリアルインターフェースを備えたデジタル出力の照度センサの方が、ノイズにも強く、少ない配線で機器の小型化に貢献できるため、普及が進んでいる。デジタル出力の照度センサでは、受光素子からの光電流の大きさに比例した周波数のクロック信号のパルスをカウントすることにより、光強度をデジタル値として得ることが可能な技術が採用されている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0007】
ここで、図8に、デジタル出力の照度センサを実現する、従来の光量デジタル変換回路500の構成を示す。
【0008】
図8に示すように、従来の光量デジタル変換回路500は、周囲の光を受光するフォトダイオード(PD)501と、PD501から出力された光電流を、該光電流の大きさに応じた周波数のクロック信号に変換するI−F変換回路502と、I−F変換回路502から出力されたクロック信号における一定時間のパルス数をカウントするカウンタ503と、予め設定された一定時間をカウンタ503に通知する時間計測装置504と、を備えている。光量デジタル変換回路500では、カウンタ503にて一定時間カウントしたパルス数に応じて、デジタル値が作成され得る。つまりは、このデジタル値に基づいて、PD501から出力された光電流を測定している。
【特許文献1】特開平6−308585号公報(1994年11月4日公開)
【特許文献2】特開平5−215607号公報(1993年8月24日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記従来の光量デジタル変換回路500では、I−F変換回路502の製造ばらつきによる変換比のばらつき、時間計測装置504における発振周波数の製造ばらつきによる計測する一定時間のばらつき、並びに、温度や電源電圧の環境条件、などの各誤差要因に、カウンタ503にて一定時間カウントするパルス数が依存してしまうという問題点を有している。このため、PD501から出力された光電流の測定値、すなわち光量の測定値の精度が悪くなるので、高精度なデジタル変換を行うことができない。
【0010】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、各誤差要因に依存しない光量の測定を行い、高精度なデジタル変換を行うことができる光量デジタル変換回路、IC、および電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の光量デジタル変換回路は、上記課題を解決するために、光量に応じた周波数のクロック信号のパルスをカウントすることにより、上記光量に応じたデジタル値を作成する光量デジタル変換回路において、光量に応じて第1電流を出力する受光素子と、一定値の第2電流を出力する定電流源と、上記第1電流および第2電流が入力され、第1制御信号に基づいて上記第1電流を選択するとともに、第2制御信号に基づいて上記第2電流を選択する選択回路と、上記選択回路から出力された第1電流または第2電流の大きさに応じた周波数のクロック信号を作成する変換回路と、上記変換回路から出力されたクロック信号のパルスをカウントするカウント回路と、上記第1制御信号および第2制御信号を上記選択回路に出力する制御部と、上記制御部が第2制御信号を出力することにより上記第2電流に基づいて作成されたクロック信号に対して、所定のパルス数がカウントされた時間を計測し、計測した時間のM倍(M:正の定数)を基準時間として保持する時間計測回路と、上記制御部が第1制御信号を出力することにより上記第1電流に基づいて作成されたクロック信号に対して、上記基準時間にカウントされたパルス数に基づいてデジタル値を作成するデジタル値作成手段と、を備えていることを特徴としている。
【0012】
上記の構成によれば、第2制御信号が出力されることにより一定値の第2電流に基づいて作成されたクロック信号に対して、所定のパルス数がカウントされた時間が計測され、そのM倍が基準時間として保持される。そして、第1制御信号が出力されることにより光量に応じた第1電流に基づいて作成されたクロック信号に対して、保持されている基準時間にカウントされたパルス数に基づいてデジタル値が作成される。
【0013】
これにより、下記の式に示すように、第1電流と第2電流とにおける基準時間のパルス数の比が成立する。
【0014】
=M×N×I÷I
:第1電流の電流値
:第2電流の電流値
:第1電流に基づいて作成されたクロック信号の基準時間におけるパルス数
:所定のパルス数、すなわち第2電流に基づいて作成されたクロック信号の、基準時間のM分の1の時間におけるパルス数
それゆえ、第2電流の電流値(I)は一定値であり、第2電流に基づいて作成されたクロック信号に対して基準時間のM分の1の時間にカウントするパルス数(N)は所定値であるので、第1電流に基づいて作成されたクロック信号の基準時間におけるパルス数(N)は、第1電流の電流値(I)に比例して算出されることになる。すなわち、デジタル値の基となる、第1電流に基づいて作成されたクロック信号の基準時間におけるパルス数は、第1電流以外に依存しない。
【0015】
よって、各誤差要因(例えば、変換回路の製造ばらつきによる変換比のばらつき、時間計測回路の製造ばらつきによる計測時間のばらつき、温度や電源電圧の環境条件など。)に依存しない光量の測定が可能となり、高精度なデジタル変換を行うことが可能となる。
【0016】
また、上記正の定数Mを大きな値に設定すればするほど、合計の計測時間を短くすることが可能となる。これにより、光量デジタル変換回路における消費電力を低減するという効果を併せて奏することができる。
【0017】
また、本発明の光量デジタル変換回路は、上記変換回路の変換係数が、
=a×I
(F:第2電流に基づいて作成されたクロック信号の周波数、I:第2電流の電流値、a:変換係数)
を満たすように設定されている場合、上記基準時間は、
T=M×N/(I×a)
(T:基準時間、N:所定のパルス数)
により決定されることが好ましい。これにより、変換回路の変換係数(a)、第2電流の電流値(I)、M、または所定のパルス数(N)を変更することによって、基準時間(T)を容易に調整することが可能となる。
【0018】
また、本発明の光量デジタル変換回路は、上記受光素子が商用交流電源により駆動されている光源からの光を受光する場合、上記第2電流の電流値と、上記所定のパルス数とは、上記基準時間が上記商用交流電源の周期の整数倍となるように設定されていることが好ましい。
【0019】
受光素子が受光する光の光源が、蛍光灯や白熱灯のように商用交流電源により駆動されている場合、光源により生成される光の光量も、商用交流電源の周波数(ハム周波数)に合わせた変動を受ける。このため、基準時間が商用交流電源の周期よりも短い場合、第1電流に基づいて作成されたクロック信号の基準時間におけるパルス数も、交流電源の周波数に合わせた変動を受ける。これに対し、上記の構成によれば、第1電流に基づいて作成されたクロック信号の基準時間におけるパルス数における、商用交流電源の周波数の影響を完全に除去することが可能となる。
【0020】
また、本発明の光量デジタル変換回路は、上記受光素子が上記第1電流を光の照度に比例するように出力する波長の光を抽出して、上記受光素子に受光させる抽出手段をさらに備え、上記所定のパルス数は、
/(M×N)=照度A(lux)での第1電流の電流値 (Aは定数)
(I:第2電流の電流値、N:所定のパルス数)
を満たすように設定されていることが好ましい。
【0021】
ここで、第1電流と第2電流とにおける基準時間のパルス数の比が成立(N=M×N×I÷I)しているので、上記の構成によれば、第1電流に基づいて作成されたクロック信号の基準時間におけるパルス数(N)は、「N=A×照度」と定義される。よって、照度−デジタル変換を実現することが可能となる。また、照度に比例したデジタル値を出力する際の比例係数を、任意に設定することが可能となる。
【0022】
また、上記定数Aは1であることが望ましい。これにより、第1電流に基づいて作成されたクロック信号の基準時間におけるパルス数(N)は、照度そのものを表すことになり、パルス数から照度に換算する計算をする必要がない。よって、照度情報を処理する際の計算が単純になるという有利な効果がある。
【0023】
また、本発明の光量デジタル変換回路は、上記時間計測回路は、発振周波数に基づいて発振信号を出力する発振器と、上記発振信号に基づいて時間を計測するカウンタと、上記カウンタが上記所定のパルス数をカウントするのに要した時間のM倍を基準時間として保持するレジスタと、により構成されていてもよい。
【0024】
ここで一般的に、デジタル回路では、M倍するという処理は乗算器が必要となり、回路が巨大となってしまうが、2倍するときはビットをシフトするだけなので簡単に行うことが可能である。それゆえ、上記正の定数Mは、M=2(N:整数)であることが望ましい。
【0025】
なお、上記発振信号の発振周波数は低い方が消費電力には有利であるが、低すぎるとカウンタでの計測時間精度が悪化し、出力するデジタル値の誤差が増大する。この計測時間精度は、発振周波数の周期と計測時間との比(「発振周期/計測時間」)で決まる。例えば、実際に計測する計測時間は最大でも0.1〜0.4秒程度であるので、上記発振周波数の周期は、1(ms)以下に設定されていることが好ましい。これにより、誤差1%以下の精度を実現することが可能となる。
【0026】
また、本発明の光量デジタル変換回路は、上記制御部は、時間計測機能を有しており、光量に応じたデジタル値を作成するデジタル値作成状態と、上記デジタル値の作成を停止する待機状態とが、上記制御部によって、一定時間ごとに交互に切り替えられていることが好ましい。
【0027】
上記の構成によれば、制御部は、光量に応じたデジタル値を作成するデジタル値作成状態と、上記デジタル値の作成を停止する待機状態とを、一定時間ごとに交互に切り替えるように、光量デジタル変換回路における各構成部分を制御している。これにより、周囲の光の量を示すデジタル値取得の必要頻度を考慮しながら、消費電力を低減することが可能となる。
【0028】
本発明のICは、上記光量デジタル変換回路を含むことを特徴としている。これにより、上記光量デジタル変換回路、あるいは、上記光量デジタル変換回路およびその周辺回路をICの形態で簡単に実現することが可能となる。
【0029】
また、本発明のICは、上記第2電流の電流値をトリミングにより調整するトリミング回路をさらに備えていることが好ましい。これにより、第2電流の電流値における誤差ばらつきを除去して、第2電流の電流値を精度良く設定することが可能となる。
【0030】
また、本発明のICは、少なくとも上記デジタル値作成手段にて作成されたデジタル値を示すデータを、シリアル形式により転送するシリアルインターフェース回路をさらに備え、上記IC上には、上記シリアルインターフェース回路用の信号の入出口となる単数または複数の外部接続端子が設けられており、上記シリアルインターフェース回路用の外部接続端子は、当該外部接続端子の上記IC内の接続先を、上記シリアルインターフェース回路と上記トリミング回路とで切り替える切替手段を介して、上記シリアルインターフェース回路と上記トリミング回路とにそれぞれ接続されていることが好ましい。
【0031】
上記の構成によれば、切替手段により、シリアルインターフェース回路用の外部接続端子が接続される先を、シリアルインターフェース回路とトリミング回路とで切り替えている。よって、トリミング回路用の外部接続端子と、シリアルインターフェース回路用の外部接続端子とを共用することが可能となる。さらには、IC上の外部接続端子の数を削減することが可能となり、これによりICの小型化が可能となる。
【0032】
また、本発明のICは、少なくとも上記デジタル値作成手段にて作成されたデジタル値を示すデータを、シリアル形式により転送するシリアルインターフェース回路をさらに備え、上記光量デジタル変換回路に供給される電源電圧には、上記シリアルインターフェース回路に供給される電源電圧が用いられていることが好ましい。これにより、電源電圧の違いによるデジタル値の読み取り不具合を防止することが可能となる。
【0033】
本発明の電子機器は、出力光強度調整機能を有する表示画面と、周囲の光の光量を測定する光量測定手段とを備え、上記光量に応じて上記表示画面の出力光強度を調整する電子機器において、上記光量測定手段は、上記光量デジタル変換回路または上記ICであることを特徴としている。
【0034】
上記の構成によれば、上記光量デジタル変換回路または上記ICを備えることにより、各誤差要因に依存せずに測定された光量を示すデジタル値に基づき、表示画面の出力光強度の調整を、周囲の光に応じて自動的に行うことが可能となっている。それゆえ、表示画面の視認性を向上し、バッテリーの消耗を抑える電子機器を提供することが可能となる。
【発明の効果】
【0035】
以上のように、本発明の光量デジタル変換回路は、光量に応じて第1電流を出力する受光素子と、一定値の第2電流を出力する定電流源と、上記第1電流および第2電流が入力され、第1制御信号に基づいて上記第1電流を選択するとともに、第2制御信号に基づいて上記第2電流を選択する選択回路と、上記選択回路から出力された第1電流または第2電流の大きさに応じた周波数のクロック信号を作成する変換回路と、上記変換回路から出力されたクロック信号のパルスをカウントするカウント回路と、上記第1制御信号および第2制御信号を上記選択回路に出力する制御部と、上記制御部が第2制御信号を出力することにより上記第2電流に基づいて作成されたクロック信号に対して、所定のパルス数がカウントされた時間を計測し、計測した時間のM倍(M:正の定数)を基準時間として保持する時間計測回路と、上記制御部が第1制御信号を出力することにより上記第1電流に基づいて作成されたクロック信号に対して、上記基準時間にカウントされたパルス数に基づいてデジタル値を作成するデジタル値作成手段と、を備えている構成である。
【0036】
これにより、第1電流と第2電流とにおける基準時間のパルス数の比が成立する。それゆえ、第2電流の電流値は一定値であり、第2電流に基づいて作成されたクロック信号に対して基準時間のM分の1の時間にカウントするパルス数は所定値であるので、デジタル値の基となる、第1電流に基づいて作成されたクロック信号の基準時間におけるパルス数は、第1電流以外に依存しない。
【0037】
したがって、各誤差要因(例えば、変換回路の製造ばらつきによる変換比のばらつき、時間計測回路の製造ばらつきによる計測時間のばらつき、温度や電源電圧の環境条件など。)に依存しない光量の測定ができ、高精度なデジタル変換を行うことができるという効果を奏する。
【0038】
また、上記正の定数Mを大きな値に設定すればするほど、合計の計測時間を短くすることができる。これにより、消費電力を低減するという効果を併せて奏する光量デジタル変換回路を提供することができる。
【0039】
また、本発明のICは、上記光量デジタル変換回路を含む構成である。これにより、上記光量デジタル変換回路、あるいは、上記光量デジタル変換回路およびその周辺回路をICの形態で簡単に実現することができるという効果を奏する。
【0040】
また、本発明の電子機器は、出力光強度調整機能を有する表示画面と、周囲の光の光量を測定する光量測定手段として上記光量デジタル変換回路または上記ICとを備え、上記光量に応じて上記表示画面の出力光強度を調整する構成である。
【0041】
それゆえ、各誤差要因に依存せずに測定された光量を示すデジタル値に基づき、表示画面の出力光強度の調整を、周囲の光に応じて自動的に行うことができるという効果を奏する。また、表示画面の視認性を向上し、バッテリーの消耗を抑える電子機器を提供することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
〔実施の形態1〕
本発明の一実施形態について図面に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0043】
(光量デジタル変換回路の構成)
図1は、本実施の形態の光量デジタル変換回路100の一構成例を示すブロック図である。
【0044】
図1に示すように、光量デジタル変換回路100は、フォトダイオード(PD)101(受光素子)、定電流源102、セレクタ103(選択回路)、I−F(電流−周波数)変換回路104(変換回路)、カウンタ105(カウント回路)、レジスタ106(デジタル値作成手段)、メモリ機能付き時間計測装置107(時間計測回路)、およびコントロール部108(制御部)を備えている。
【0045】
PD101は、周囲の光を受光(入力)することにより、光の大きさ(光量)に応じた光電流(第1電流)を作成する。PD101は、例えばシリコンからなるが、これに限るものではない。PD101は、光電流をセレクタ103に出力する。
【0046】
定電流源102は、一定値の定電流を発生するように構成されている電流源である。定電流は、参照電流(第2電流)としてセレクタ103に供給される。
【0047】
セレクタ103は、コントロール部108からの制御信号に応じて、PD101からの光電流、および、定電流源102からの参照電流のいずれか一方を選択し、I−F変換回路104に出力する。詳細には、コントロール部108からの第1制御信号を受けると、セレクタ103は光電流を選択し、コントロール部108からの第2制御信号を受けると、セレクタ103は参照電流を選択する。すなわち、セレクタ103にて、I−F変換回路104に送出される電流が切り替えられている。
【0048】
I−F変換回路104は、光の大きさを周波数に変換する回路である。詳細には、I−F変換回路104は、セレクタ103からの出力電流の大きさに比例した周波数のクロック信号(パルス信号)を作成する(入射光強度に比例した発振周波数の矩形波を出力する。)。すなわち、セレクタ103から光電流が出力される場合は、光電流の大きさに応じた周波数のクロック信号が作成され、セレクタ103から参照電流が出力される場合は、参照電流の大きさに応じた周波数のクロック信号が作成される。そして、I−F変換回路104は、作成したクロック信号をカウンタ105に出力する。
【0049】
カウンタ105は、I−F変換回路104からのクロック信号におけるパルスをカウントする。カウンタ105は、カウント値を時間計測装置107に通知するために、カウント値を示すカウント信号を、カウントする毎に時間計測装置107に出力する。また同時に、カウント信号はレジスタ106にも出力されている。カウンタ105は、コントロール部108からのリセット信号を受けると、カウント値をリセットする。
【0050】
レジスタ106は、時間計測装置107からの指示信号を受けると、その時点で入力したカウント信号に示されているカウント値(パルス数)を格納する。そして、レジスタ106は、格納したカウント値に基づくデジタル値を作成し、図示しない後段の構成(例えばCPUなど)に出力する。
【0051】
メモリ機能付き時間計測装置107(以下、時間計測装置107と略記する。)は、内部にメモリを有しており、内部で発振する発振周波数に基づいて時間を計測する。時間計測装置107は、次の2つの機能を有している。
【0052】
1つ目は、セレクタ103にて参照電流が選択された場合の計測処理である。時間計測装置107は、コントロール部108からの第2開始信号を受けると、その時点からの時間の計測を開始する。時間計測装置107は、予め設定される条件に基づいて、基準時間をメモリに格納する。詳細には、時間計測装置107には、参照電流に基づいて作成されたクロック信号に対してカウンタ105にてカウントするパルス数の設定値が与えられる。時間計測装置107は、カウンタ105からのカウント信号に示されているカウント値が、上記設定値と一致した時点で、そのときの計測時間のM倍(M:正の定数)を基準時間として内部のメモリに格納するとともに、コントロール部108に通知信号を出力する。
【0053】
2つ目は、セレクタ103にて光電流が選択された場合の計測処理である。時間計測装置107は、コントロール部108からの第1開始信号を受けると、その時点からの時間の計測を開始する。そして、内部のメモリに格納した基準時間になった時点で、指示信号をレジスタ106に出力する。
【0054】
コントロール部108は、各構成の処理動作を制御する。コントロール部108は、電源が投入される、または、光量に応じたデジタル値の取得が指示されると、セレクタ103に第2制御信号を出力するとともに、時間計測装置107に第2開始信号を出力する。また、コントロール部108は、時間計測装置107からの通知信号を受けると、カウンタ105にリセット信号を出力するとともに、セレクタ103に第1制御信号を出力する。リセット信号および第1制御信号を出力すると続けて自動的に、コントロール部108は、第1開始信号を時間計測装置107に出力する。
【0055】
(光量デジタル変換回路の動作)
次に、図1を参照しながら、光量デジタル変換回路100が、周囲の光の量を示すデジタル値を出力する際の動作について説明する。なお、周囲の光とは、光量デジタル変換回路100が配置された周囲の外部空間の光のことである。このとき、PD101は外部空間に露出するように配置されている。
【0056】
まず、予め、定電流源102が出力する参照電流Irefの電流値を所定値に設定しておく。この所定値は適宜変更可能である。また、予め、時間計測装置107の内部のメモリに、参照電流Irefに基づいて作成されたクロック信号に対してカウンタ105にてカウントするパルス数の設定値Nrefを格納しておく。この設定値Nrefは、変更可能であり、適宜入力してもよいし、製造段階で格納しておいてもよい。
【0057】
電源が投入されたときなどでは、光量デジタル変換回路100は、スタンバイモードとなり動作していない停止状態となっている。このスタンバイモードにおいて、図示しないCPUなどから出力されるスタンバイモード解除信号を受信することにより、光量デジタル変換回路100は動作を開始する。
【0058】
スタンバイモード解除信号をコントロール部108が受信すると、コントロール部108は、第2制御信号をセレクタ103に出力するとともに、第2開始信号を時間計測装置107に出力する。セレクタ103は、第2制御信号を受けると、定電流源102からの参照電流Irefを選択して、I−F変換回路104に出力する。そして、I−F変換回路104は、参照電流Irefの大きさに比例した周波数Frefのクロック信号CLK_refを作成して、カウンタ105に出力する。すなわち、この時点で、電流が周波数に変換されて送出されている。
【0059】
続いて、カウンタ105は、I−F変換回路104から出力されたクロック信号CLK_refを入力し、クロック信号CLK_refのパルスをカウントする。カウンタ105は、カウントする毎に、カウント信号を、時間計測装置107およびレジスタ106に出力する。カウンタ105からカウント信号が出力されている間、時間計測装置107は、カウント信号に示されているカウント値が、内部のメモリに格納されている設定値Nrefに一致するかを判定している。
【0060】
一方、時間計測装置107は、第2開始信号を受けると、時間の計測を開始している。そして、時間計測装置107は、カウント値が設定値Nrefに一致したと判定した時点で、そのときの計測時間のM倍を基準時間Tとして内部のメモリに格納するとともに、通知信号をコントロール部108に出力する。
【0061】
コントロール部108は、通知信号を受けると、リセット信号をカウンタ105に出力するとともに、第1制御信号をセレクタ103に出力する。そして続けて自動的に、コントロール部108は、第1開始信号を時間計測装置107に出力する。これにより、カウンタ105は、リセット信号を受けた時点でカウント値をリセットする。そして、セレクタ103は、第1制御信号を受けた時点で選択する電流を切り替える。また、時間計測装置107は、第1開始信号を受けた時点でゼロから時間の計測を開始する。
【0062】
セレクタ103は、第1制御信号を受けると、周囲の光の大きさに応じて作成されたPD101からの光電流Ipdを選択して、I−F変換回路104に出力する。そして、I−F変換回路104は、光電流Ipdの大きさに比例した周波数Fpdのクロック信号CLK_pdを作成して、カウンタ105に出力する。
【0063】
カウンタ105は、I−F変換回路104から出力されたクロック信号CLK_pdを入力し、クロック信号CLK_pdのパルスをカウントする。カウンタ105は、カウントする毎に、カウント信号を、時間計測装置107およびレジスタ106に出力する。カウンタ105からカウント信号が出力されている間、時間計測装置107は、計測時間がメモリに格納した基準時間Tに一致するかを判定している。
【0064】
時間計測装置107は、計測時間が、格納した基準時間Tに達すると、レジスタ106に指示信号を出力する。レジスタ106は、指示信号を受けると、その時点で入力したカウント信号に示されているカウント値Npdを格納する。そして、レジスタ106は、格納したカウント値Npdに基づいてデジタル値を作成する。これにより、光量デジタル変換回路100では、周囲の光の量を示すデジタル値が出力される。
【0065】
つまり簡潔に言うと、まず、参照電流Irefが変換されたクロック信号CLK_refに対して、所定のパルス数(設定値Nref)をカウントした時間が計測され、そのM倍(M:正の定数)の基準時間Tが保持される。そして、光電流Ipdが変換されたクロック信号CLK_pdに対して、保持した基準時間Tにおけるパルス数(カウント値Npd)がカウントされる。これにより、このパルス数(カウント値Npd)に基づいてデジタル値が作成され得る。
【0066】
それゆえ、カウント値Npdは、次の式(1)で表される。
【0067】
Npd=M×Nref×Ipd÷Iref ・・・式(1)
このように、光電流Ipdと参照電流Irefとの、基準時間Tのパルス数の比を成立させて、PD101における光電流すなわち周囲の光量を測定している。
【0068】
よって、参照電流Irefは一定値であり、設定値Nrefは所定値であるので、カウント値Npdは、光電流Ipdに比例して算出されることになる。すなわち、デジタル値の基となるカウント値Npdは、光電流Ipdのみに依存することになる。
【0069】
したがって、カウント値Npdは、例えば、温度や電源電圧などの環境条件、I−F変換回路104の製造ばらつきによる変換比のばらつき、並びに、計測時間装置107の製造ばらつきによる計測時間のばらつき、といった各誤差要因に依存しない。それゆえ、各誤差要因に依存しない光量の測定が可能となり、高精度なデジタル変換を行うことが可能となる。
【0070】
なお、上述した光量デジタル変換回路100の一連の動作は、停止指示がくるまで自動的にループする(第2制御信号→第1制御信号→第2制御信号→・・・)。このとき、低消費電力モードとして、間欠動作させるモードを追加して繰り返し動作してもよい(第2制御信号→第1制御信号→一定時間待つ→第2制御信号→・・・)。
【0071】
図2は、低消費電力モードを実行する光量デジタル変換回路100aの一構成例を示すブロック図である。
【0072】
図2に示すように、光量デジタル変換回路100aは、図1に示した光量デジタル変換回路100の構成のうちコントロール部108を除いた構成に加えて、一定時間計測機能付きコントロール部108a(以下、コントロール部108aと略記する。)を備えている。
【0073】
光量デジタル変換回路100aは、光量デジタル変換動作を一定時間ごとに行い、光量デジタル変換動作と光量デジタル変換動作との間は、光量デジタル変換動作を停止する待機状態(スタンバイモード)となる。上記光量デジタル変換動作(デジタル値作成状態)と待機状態との交互の切替は、コントロール部108aにより制御されている。
【0074】
コントロール部108aは、コントロール部108と同一の機能を有するとともに、光量デジタル変換動作を行った後の一定時間は、低消費電力状態になるように各構成部分を制御している。一定時間の設定値は、適宜変更可能なように与えられる。例えば、待機状態とする際には、コントロール部108aは、定電流源102の電流生成動作を停止するように制御する。これにより、周囲の光の量を示すデジタル値取得の必要頻度を考慮しながら、消費電力を低減することが可能となる。
【0075】
また、上述した説明では、時間計測装置107は、参照電流Irefに基づいて作成されたクロック信号CLK_refに対して、所定のパルス数(設定値Nref)がカウントされるのに要した時間のM倍(M:正の定数)を、基準時間Tとして内部のメモリに格納している。
【0076】
ここで、M=1の場合、参照電流Irefを選択して基準時間Tを作成するのに要する時間と、光電流Ipdを選択して計測する基準時間Tとが等しいため、合計の計測時間が基準時間Tの2倍となる。例えば、参照電流Irefを選択して所定のパルス数(設定値Nref)がカウントされた時間が0.1秒であった場合、光電流Ipdを選択したときのパルス数(カウント値Npd)が0.1秒の間で計測される。これにより、合計の計測時間は0.2秒となる。
【0077】
一方、M=8の場合、M=1の場合と比較して、合計の計測時間が56.25%となる。つまりは、参照電流Irefを選択して所定のパルス数(設定値Nref)の1/8がカウントされた時間が0.0125秒となり、この時間を8倍した時間(0.1秒)の間、光電流Ipdを選択したときのパルス数(カウント値Npd)が計測されることになる。これにより、合計の計測時間は0.1125秒(0.2秒の56.25%)となる。
【0078】
したがって、正の定数Mを大きな値に設定すればするほど、合計の計測時間を短くすることが可能となる。またこれにより、光量デジタル変換回路100における消費電力を低減することが可能となる。上記低消費電力モードのような場合においては、計測時間が短くなることで計測時の消費電力も少なくすることができるので、消費電力低減の効果を最も奏することができる。
【0079】
但し、一般的に、デジタル回路では、M倍するという処理は乗算器が必要となり、回路が巨大となってしまう。しかしながら、2倍するときはビットをシフトするだけなので簡単に行うことが可能である。例えば、「00111」という2進数を4倍するときは、左に2ビットシフトすればいいので「11100」となる。それゆえ、上記正の定数Mは、M=2(N:整数)であることが望ましい。
【0080】
また、光量デジタル変換回路100では、I−F変換回路104において、参照電流Irefの大きさに比例した周波数Frefのクロック信号CLK_refが作成されるときの変換係数aが、次の式(2)を満たすように設定されているとする。
【0081】
Fref=a×Iref ・・・式(2)
この場合、基準時間Tは、次の式(3)で表される。
【0082】
T=M×Nref/(Iref×a)
これにより、I−F変換回路104の変換係数a、参照電流Iref、M、または設定値Nrefを変更することによって、基準時間Tを容易に調整することが可能となる。また、Mおよび設定値Nrefはデジタル回路で設定される値であるので、シリアルインターフェースにより外部から簡単に書換えることが可能である。
【0083】
〔実施の形態2〕
本発明の他の実施の形態について図面に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施の形態1と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施の形態1の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0084】
本実施の形態の光量デジタル変換回路は、I−F変換回路104の変換方式が異なる点を除いて、前記実施の形態1における図1に示した光量デジタル変換回路100または図2に示した光量デジタル変換回路100aと同じ構成を有し、同様に動作する。
【0085】
つまりは、本実施例におけるI−F変換回路104は、公開特許2004−325409号公報(平成16年11月18日公開)に記載された積分方式により、電流を周波数に変換する。これにより、カウント値Npdは、基準時間Tにおける光電流Ipdの積分値を表すことになる。すなわち、カウント値Npdは、基準時間Tにおける光量の平均値として出力されることになる。
【0086】
ここで、PD101が受光する周囲の光の光源が、蛍光灯や白熱灯のように一般の交流電源(商用交流電源)により駆動されているとする。この場合、光源により生成される光の光量も、交流電源の周波数(ハム周波数)に合わせた変動を受ける。このため、基準時間Tが交流電源の周期よりも短い場合、カウント値Npdも交流電源の周波数に合わせた変動を受ける。
【0087】
これに対し本実施例では、時間計測装置107の内部のメモリに格納する設定値Nrefと、定電流源102が出力する参照電流Irefとを調整することにより、基準時間Tを交流電源の周期の整数倍となるように設定することが好ましい。これにより、カウント値Npdにおける交流電源の周波数の影響を完全に除去することが可能となる。
【0088】
また、基準時間Tを交流電源の周期よりも長くした場合は、交流電源の周期をThumとすると、「Thum/T」で示される交流電源の周波数の影響による誤差を小さくすることが可能となる。
【0089】
〔実施の形態3〕
本発明の他の実施の形態について図面に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施の形態1,2と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施の形態1,2の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0090】
図3は、本実施の形態の光量デジタル変換回路100bの一構成例を示すブロック図である。
【0091】
図3に示すように、光量デジタル変換回路100bは、図1に示した前記実施の形態1の光量デジタル変換回路100の構成のうち時間計測装置107を除いた構成に加えて、発振器111、カウンタ112、およびレジスタ113を備えている。つまりは、時間計測手段が、発振器111、カウンタ112、およびレジスタ113により構成されている。
【0092】
発振器111は、所定の発振周波数で発振信号をカウンタ112に供給する。発振周波数は低い方が消費電力には有利であるが、低すぎるとカウンタ112での計測時間精度が悪化し、出力するデジタル値の誤差が増大する。この計測時間精度は、発振周波数の周期Toscと計測時間との比で決まり、「Tosc/計測時間」で表される。実際には、例えば、計測時間は最大でも0.1〜0.4秒程度であるので、発振周波数の周期Toscを1ms以下と設定することにより、誤差1%以下の精度を実現することが可能となる。
【0093】
カウンタ112は、発振器111からの発振信号に基づいて、コントロール部108からの第1開始信号および第2開始信号を受けるとゼロから時間を計測する。また、カウンタ112は、計測時間を示す時間信号を、時間を計測する毎にレジスタ113に出力する。
【0094】
レジスタ113は、コントロール部108から出力される、第1開始信号および第2開始信号に応じた機能を有している。レジスタ113には、参照電流に基づいて作成されたクロック信号に対してカウンタ105にてカウントするパルス数の設定値Nrefが格納される。
【0095】
第2開始信号を受けた場合は、カウンタ105からのカウント信号に示されているカウント値が、格納されている設定値に一致するかを判定する。レジスタ113は、カウント値が設定値に一致した時点で、その時点で入力した時間信号に示されている計測時間のM倍(M:正の定数)を基準時間として格納するとともに、コントロール部108に通知信号を出力する。第1開始信号を受けた場合は、カウンタ112からの時間信号に示されている計測時間が、格納した基準時間になった時点で、指示信号をレジスタ106に出力する。
【0096】
次に、図3を参照しながら、光量デジタル変換回路100bが、周囲の光の量を示すデジタル値を出力する際の動作について説明する。なお、時間計測装置107が担う処理が、発振器111、カウンタ112、およびレジスタ113により構成される時間計測手段で行われている点以外は、光量デジタル変換回路100の動作と同じであるので、異なる点を中心に説明する。
【0097】
まず、予め、レジスタ113に、参照電流Irefに基づいて作成されたクロック信号に対してカウンタ105にてカウントするパルス数の設定値Nrefを格納しておく。そして、スタンバイモード解除信号をコントロール部108が受信すると、コントロール部108は、第2制御信号をセレクタ103に出力するとともに、第2開始信号をカウンタ112に出力する。これによって、セレクタ103により定電流源102からの参照電流Irefが選択され、I−F変換回路104により参照電流Irefの大きさに比例した周波数Frefのクロック信号CLK_refが作成されて、カウンタ105に出力される。
【0098】
続いて、カウンタ105は、I−F変換回路104から出力されたクロック信号CLK_refを入力し、クロック信号CLK_refのパルスをカウントする。カウンタ105は、カウントする毎に、カウント信号を、レジスタ113およびレジスタ106に出力する。カウンタ105からカウント信号が出力されている間、レジスタ113は、カウント信号に示されているカウント値が、内部のメモリに格納されている設定値Nrefに一致するかを判定している。
【0099】
一方、カウンタ112は、第2開始信号を受けると、発信器111からの発信信号に基づいて時間の計測を開始している。カウンタ112は、時間を計測する毎に、時間信号をレジスタ113に出力する。そして、レジスタ113は、カウント値が設定値Nrefに一致したと判定した時点で、その時点で入力した時間信号に示されている計測時間のM倍を基準時間Tとして格納するとともに、通知信号をコントロール部108に出力する。
【0100】
コントロール部108は、通知信号を受けると、リセット信号をカウンタ105に出力するとともに、第1制御信号をセレクタ103に出力した後、第1開始信号をカウンタ112およびレジスタ113に出力する。これにより、カウンタ105はカウント値をリセットし、セレクタ103は選択する電流を切り替える。また、カウンタ112は、第1開始信号を受けた時点でゼロから時間の計測を開始する。
【0101】
続いて、セレクタ103によりPD101からの光電流Ipdが選択され、I−F変換回路104により光電流Ipdの大きさに比例した周波数Fpdのクロック信号CLK_pdが作成されて、カウンタ105に出力される。
【0102】
カウンタ105は、I−F変換回路104から出力されたクロック信号CLK_pdを入力し、クロック信号CLK_pdのパルスをカウントする。カウンタ105は、カウントする毎に、カウント信号を、レジスタ113およびレジスタ106に出力する。カウンタ105からカウント信号が出力されている間、カウンタ112からの時間信号に基づいて、レジスタ113は、計測時間が格納した基準時間Tに一致するかを判定している。
【0103】
レジスタ113は、計測時間が、格納した基準時間Tに達すると、レジスタ106に指示信号を出力する。そして、レジスタ106によりカウント値Npdが格納され、該カウント値Npdに基づいてデジタル値が作成される。これにより、光量デジタル変換回路100bでは、周囲の光の量を示すデジタル値が出力される。このデジタル値は、誤差1%以下の精度で実現した計測時間により作成されているので、高精度なデジタル変換を行うことができる。
【0104】
〔実施の形態4〕
本発明の他の実施の形態について図面に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施の形態1〜3と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施の形態1〜3の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0105】
図4は、本実施の形態の光量デジタル変換回路100cの一構成例を示すブロック図である。
【0106】
本実施の形態の光量デジタル変換回路100cは、照度センサなどに用いられるときに、照度に比例したデジタル値を出力することが可能な照度−デジタル変換を実現するものである。図4に示すように、光量デジタル変換回路100cは、図1に示した前記実施の形態1の光量デジタル変換回路100の構成に加えて、波長選択フィルタ109(抽出手段)を備えている。
【0107】
波長選択フィルタ109は、所望の波長の光を選択(抽出)するフィルタである。波長選択フィルタ109は、PD101の上に置かれている(PD101が受光する光が通るように配置されている)。上記所望の波長は、光の照度に比例した光電流を、PD101が出力するように設定される。
【0108】
照度を測定する場合、「Iref/(M×Nref)=照度A(lux)での光電流Ipd」(Aは定数)となるように、時間計測装置107の内部のメモリに格納する設定値Nrefを設定(調整)する。例えば、A(lux)の照度のときにPD101からの光電流が10(pA)となるように、波長選択フィルタ109が抽出する波長を設定し、「Iref/(M×Nref)=10」となるように設定値Nrefを設定する。
【0109】
ここで、上述した式(1)により、「Ipd=Npd×Iref÷(Nref×M)」が成り立つので、カウント値Npdは「Npd=A×照度」と定義される。それゆえ、照度−デジタル変換を実現することが可能となる。よって、光量デジタル変換回路100cにより実現される照度センサは、分光感度特性が人間の視感度に近い。また、照度に比例したデジタル値を出力する際の比例係数を、任意に設定することが可能となる。
【0110】
なお、A=1、すなわち「Iref/(M×Nref)=照度1(lux)での光電流Ipd」に設定すると、カウント値Npdは照度そのものを表すことになり、カウント値Npdから照度に換算する計算をする必要がない。よって、照度情報を処理する際の計算が単純になるという有利な効果がある。
【0111】
また、光量デジタル変換回路100cは、図1に示した光量デジタル変換回路100の構成に加えて、波長選択フィルタ109を備えている場合について説明したが、これに限らず、図2,3にそれぞれ示した光量デジタル変換回路100a,100bの構成に加えて、波長選択フィルタ109を備えている構成であってもよい。
【0112】
〔実施の形態5〕
本発明の他の実施の形態について図面に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施の形態1〜4と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施の形態1〜4の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0113】
前記実施の形態1〜4にそれぞれ示した光量デジタル変換回路100,100a,100b,100cは、特殊なデバイスを必要としていないので、ICとして簡単に構成することが可能である。但し、波長選択フィルタ109はIC上に置かれる形態となる。
【0114】
本実施例では、図4に示した前記実施の形態4の光量デジタル変換回路100cが含まれたICについて説明する。
【0115】
図5は、本実施の形態のIC150の一構成例を示すブロック図である。
【0116】
前記実施の形態4では、「Npd=A×照度」でA=1とすると有利な効果がある点について説明したが、定電流源102が出力する参照電流Irefの値は、製造時のばらつきにより設定値にならない場合が生じることもある。設定値から誤差が生じる場合、出力する照度にも誤差がでてしまう。
【0117】
これに対し、本実施の形態のIC150は、図5に示すように、図4に示した前記実施の形態4の光量デジタル変換回路100cの構成に加えて、定電流源102に接続されたトリミング回路151を備えている。通常ウエハテスト時に、トリミングによって、定電流源102の参照電流の製造ばらつき(誤差)を設定値に調整する。これにより、参照電流における誤差ばらつきを除去して、参照電流の値を精度良く設定することが可能となる。よって、A=1と設定した場合、照度の値を正確に算出することが可能となる。
【0118】
〔実施の形態6〕
本発明の他の実施の形態について図面に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施の形態1〜5と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施の形態1〜5の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0119】
一般的に、前記実施の形態5のIC150を含めICとして構成される際には、内部の構成回路への信号の入出力口となるPAD(外部接続端子)が、IC上に外部と接続可能に設けられている。つまりは、このPADを介して、外部から電源電圧が供給されたり、CPUなどからの制御信号が入力されたり、作成したデジタル値が出力されたり、あらゆるデータが転送されたりなどする。本実施例では、シリアル方式によりデータの転送を行うICについて説明する。
【0120】
図6は、本実施の形態のIC150aの一構成例を示すブロック図である。
【0121】
図6に示すように、本実施の形態のIC150aは、図1に示した前記実施の形態1の光量デジタル変換回路100の構成に加えて、トリミング回路151、シリアルインターフェース回路152、並びにセレクタ153・154(切替手段)を備えている。また、IC150a上には、シリアルインターフェース回路152用のデータ(信号)の入出口となる外部接続端子155・156が設けられている。なお、本実施の形態のIC150aにおける効果を説明するために、図6では2つの外部接続端子155・156のみを図示しているが、これに限るものではなく、シリアルインターフェース回路152用の外部接続端子の数は単数であっても3以上であってもよい。また勿論、IC150a上には、シリアルインターフェース回路152用以外の外部接続端子が設けられていてもよい。
【0122】
シリアルインターフェース回路152は、シリアル形式によりデータを転送するインターフェースであり、内部でデジタル出力の形式をパラレル−シリアル変換している。シリアルインターフェース回路152は、外部とのデータ転送を行う外部入出力部が、セレクタ153・154にそれぞれ接続されている。また、シリアルインターフェース回路152は、IC内部の構成回路とのデータ転送を行う内部入出力部が、各構成回路に接続されている。なお、少なくとも、上記内部入出力部はレジスタ106の出力に接続されており、シリアルインターフェース回路は、レジスタ106からのデジタル出力を、パラレルデータからシリアルデータに変換して、外部のCPUなどに転送する。
【0123】
セレクタ153・154は、シリアルインターフェース回路152から出力される切替信号により、導電経路を切り替える。詳細には、セレクタ153は、外部接続端子155の接続先を、トリミング回路151とシリアルインターフェース回路152とで切り替えている。セレクタ154は、外部接続端子156の接続先を、トリミング回路151とシリアルインターフェース回路152とで切り替えている。
【0124】
これにより、外部接続端子155・156は、トリミング回路151およびシリアルインターフェース回路152の両方のためにそれぞれ使用することが可能となる。すなわち、トリミング回路151のために用いる外部接続端子と、シリアルインターフェース回路152のために用いる外部接続端子とを共用することが可能となる。さらには、IC150a上の外部接続端子の数を削減することが可能となり、これによりIC150aの小型化が可能となる。
【0125】
なお、シリアルインターフェース回路152と外部接続端子155・156との間の接続をオフにすると、IC150aは、外部とのデータ転送ができなくなってしまう。この場合、IC150aを再起動させることにより初期設定に戻すことが可能となっている。よって、シリアルインターフェース回路152と外部接続端子155・156との間の接続は、復元することが可能である。
【0126】
また、トリミングは、ICのウエハテスト時に実施されることが多い。このとき、外部接続端子を共用すると、トリミング時のストレス(電圧、電流)が、シリアルインターフェース回路152まで破壊してしまう虞がある。
【0127】
この場合、テスト装置からデジタル制御信号をIC150aに与えることにより、シリアルインターフェース回路152がこれを受け切替信号を出力することによって、IC150a内部の状態を操作することができる(内部スイッチのオン/オフ)。つまりは、この操作により、トリミング時には、シリアルインターフェース回路152と外部接続端子155・156との間の接続をオフにするように、セレクタ153・154を制御する。これにより、シリアルインターフェース回路を保護することが可能となっている。
【0128】
なお、シリアル方式によりデータ転送を行う場合に限らず、IC150aは、パラレル方式によりデータ転送を行う構成であってもよい。但し、パラレル方式ではビット数の数だけ通信線が必要となるが、シリアル方式では、ビット数によらず通信線は1〜3本でよいという有利な効果がある。
【0129】
〔実施の形態7〕
本発明の他の実施の形態について図面に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施の形態1〜6と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施の形態1〜6の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0130】
一般的に、シリアルインターフェース回路を搭載したICでは、シリアルインターフェース回路に構成されているHi/Lowを判別する回路が、インバータ回路やシュミットトリガ回路などのデジタル回路である場合、Hi/Lowの閾値が、シリアルインターフェース回路の電源電圧に対する依存性を持っている。
【0131】
例えば、電源電圧が違うIC同士がデジタルデータを通信する場合、電源電圧の違いが問題となる。10Vの電源電圧が供給されているICでは、出力されるデジタルデータのHigh電圧は10V、Low電圧は0Vとなる。一方、3Vの電源電圧が供給されているICでは、出力されるデジタルデータのHigh電圧は3V、Low電圧は0Vとなる。このため、3Vの電源電圧が供給されているICがHigh電圧のつもりで3Vを出力しても、10Vの電源電圧が供給されているICは、High電圧と認識せず、Low電圧とみなす。これにより、適切に通信することができない。
【0132】
それゆえ、シリアルインターフェース回路を搭載したICでは、通信相手のICの電源電圧に対応できるように、シリアルインターフェース回路の電源電圧が設定されているか、または、対応可能な電源電圧が制限されている。よって、シリアルインターフェース回路の電源電圧が、ICの電源電圧と異なる場合、シリアルインターフェース回路用の、通信相手のICの電源電圧を入力する外部接続端子が必要となっている。
【0133】
ここで、図6に示したIC150aにおいて、シリアルインターフェース回路152の電源電圧と、光量デジタル変換回路100の電源電圧とが異なる場合、上述した同様の不具合が、例えば、シリアルインターフェース回路152とレジスタ106との間で生じる可能性がある。
【0134】
それゆえ、光量デジタル変換回路100の電源電圧をシリアルインターフェース回路152の電源電圧に合わせる、換言すれば、光量デジタル変換回路100の電源電圧にはシリアルインターフェース回路152の電源電圧を用いることにより、上記のような電源電圧の違いによるデジタル値の読み取り不具合を防止することが可能となる。すなわち、通信間の電源電圧が異なるため読み取り不具合の問題が生じるので、IC150aの電源電圧範囲を広くしておけば問題は起こらない。
【0135】
また、シリアルインターフェース回路152の電源電圧用の外部接続端子を削減することが可能となり、IC150aの小型化が可能となる。さらに、シリアルインターフェース回路152の電源電圧用の外部接続端子への配線が減るため、IC150aを搭載する機器の小型化、および低コスト化にも貢献することが可能となる。
【0136】
なお、上記Hi/Lowを判別する回路が、コンパレータ回路などのアナログ回路であれば、Hi/Lowの閾値は、シリアルインターフェース回路の電源電圧に対する依存性を持たない。しかしながら、バイアス電流を必要とするため、シャットダウンモードでの消費電力が増加することとなり、低消費電力が要求されるモバイル機器では許容できないことが多い。
【0137】
〔実施の形態8〕
本発明の他の実施の形態について図面に基づいて説明すれば、以下の通りである。なお、本実施の形態において説明すること以外の構成は、前記実施の形態1〜7と同じである。また、説明の便宜上、前記の実施の形態1〜7の図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0138】
図7は、本実施の形態の電子機器200の一構成例を示すブロック図である。
【0139】
本実施の形態の電子機器200は、出力光の強度を調整する機能(出力光強度調整機能)を有する表示画面と、周囲の光の光量を測定する光量測定手段とを備え、表示画面の出力光の強度を、光量に応じて自動的に調整するものである。電子機器200としては、例えば、携帯電話や液晶テレビなどが挙げられ、その表示画面としては、バックライト付きのディスプレイや、有機ELなどの自発光型ディスプレイなどがある。
【0140】
図7に示すように、電子機器200は、CPU201、ドライバ202、出力強度調整機能付きディスプレイ203(表示画面)(以下、ディスプレイ203と略記する。)、および光量デジタル変換装置204(光量測定手段)を備えている。なお、CPU201、ドライバ202、出力強度調整機能付きディスプレイ203、および光量デジタル変換装置204は、電子機器200における出力光強度調整システムを構成する部材であり、電子機器200における図示しない残りの部分は、用途に応じた従来の一般的な構成で実現可能である。
【0141】
電子機器200では、CPU201が制御信号をドライバ202に出力すると、ドライバ202は、制御信号に応じて駆動信号を作成し、ディスプレイ203に出力する。この駆動信号に基づいてディスプレイ203が駆動し、発光によりディスプレイ出力する。ここで、電子機器200では、光量デジタル変換装置204により周囲の光の大きさが検出(測定)されている。
【0142】
光量デジタル変換装置204は、光量測定手段として、前記実施の形態1〜4のいずれかに記載の光量デジタル変換回路を少なくとも含んで構成されている。例えば、光量デジタル変換装置204は、前記実施の形態5〜7のいずれかに記載のICとして備えられていてもよい。光量デジタル変換装置204が前記実施の形態5〜7のいずれかに記載のICであるとすると、光量デジタル変換装置204におけるシリアルインターフェース回路152が、シリアルバスによりCPU201に接続され、デジタルデータの転送を行っている。
【0143】
CPU201が光量デジタル変換装置204に周囲の光の大きさを問い合わせる、すなわちスタンバイモード解除の信号を送信すると、光量デジタル変換装置204は、周囲の光の量を示すデジタル値を作成する。そして、光量デジタル変換装置204は、作成したデジタル値を、シリアル方式によりシリアルバスを介してCPU201に出力する。
【0144】
CPU201は、このデジタル値に基づいて、ディスプレイ203の発光強度を指定する制御信号をドライバ202に出力する。ドライバ202は、制御信号に応じて駆動信号を作成し、ディスプレイ203に出力する。これにより、ディスプレイ203の発光強度が、周囲の光の大きさに応じて変更される。
【0145】
これにより、電子機器200では、光量デジタル変換装置204を備えることにより、各誤差要因に依存せずに測定された光量を示すデジタル値に基づき、周囲の光に応じて自動的に出力光強度の調整を行うことが可能となっている。それゆえ、電子機器200では、表示画面の視認性を向上したり、バッテリーの消耗を抑えたりすることが可能となっている。また、光量デジタル変換装置204は低消費電力モードで動作することも可能であるので、電子機器200ではさらに低消費電力化を図ることが可能となっている。
【0146】
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0147】
本発明は、光量に応じたデジタル値を作成し得る光量デジタル変換回路に関する分野に好適に用いることができるだけでなく、光量デジタル変換回路を搭載する電子機器の分野にも広く用いることができる。例えば、本発明は、モバイル機器の液晶モニタのバックライト調光、大型液晶テレビの輝度調整、および照明器具の調光などに好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0148】
【図1】本発明における光量デジタル変換回路の実施の一形態を示すブロック図である。
【図2】本発明における光量デジタル変換回路の他の実施の形態を示すブロック図である。
【図3】本発明における光量デジタル変換回路のさらに他の実施の形態を示すブロック図である。
【図4】本発明における光量デジタル変換回路のさらに他の実施の形態を示すブロック図である。
【図5】本発明におけるICの実施の一形態を示すブロック図である。
【図6】本発明におけるICの他の実施の形態を示すブロック図である。
【図7】本発明における電子機器の実施の一形態を示すブロック図である。
【図8】従来の光量デジタル変換回路の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0149】
100,100a,100b,100c 光量デジタル変換回路
101 フォトダイオード(受光素子)
102 定電流源
103 セレクタ(選択回路)
104 I−F変換回路(変換回路)
105 カウンタ(カウント回路)
106 レジスタ(デジタル値作成手段)
107 メモリ機能付き時間計測装置(時間計測回路)
108 コントロール部(制御部)
109 波長選択フィルタ(抽出手段)
111 発振器
112 カウンタ
113 レジスタ
150 IC
151 トリミング回路
152 シリアルインターフェース回路
153,154 セレクタ(切替手段)
155,156 外部接続端子
200 電子機器
201 CPU
202 ドライバ
203 出力強度調整機能付きディスプレイ(表示画面)
204 光量デジタル変換装置(光量測定手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光量に応じた周波数のクロック信号のパルスをカウントすることにより、上記光量に応じたデジタル値を作成する光量デジタル変換回路において、
光量に応じて第1電流を出力する受光素子と、
一定値の第2電流を出力する定電流源と、
上記第1電流および第2電流が入力され、第1制御信号に基づいて上記第1電流を選択するとともに、第2制御信号に基づいて上記第2電流を選択する選択回路と、
上記選択回路から出力された第1電流または第2電流の大きさに応じた周波数のクロック信号を作成する変換回路と、
上記変換回路から出力されたクロック信号のパルスをカウントするカウント回路と、
上記第1制御信号および第2制御信号を上記選択回路に出力する制御部と、
上記制御部が第2制御信号を出力することにより上記第2電流に基づいて作成されたクロック信号に対して、所定のパルス数がカウントされた時間を計測し、計測した時間のM倍(M:正の定数)を基準時間として保持する時間計測回路と、
上記制御部が第1制御信号を出力することにより上記第1電流に基づいて作成されたクロック信号に対して、上記基準時間にカウントされたパルス数に基づいてデジタル値を作成するデジタル値作成手段と、を備えていることを特徴とする光量デジタル変換回路。
【請求項2】
上記変換回路の変換係数が、
=a×I
(F:第2電流に基づいて作成されたクロック信号の周波数、I:第2電流の電流値、a:変換係数)
を満たすように設定されている場合、上記基準時間は、
T=M×N/(I×a)
(T:基準時間、N:所定のパルス数)
により決定されることを特徴とする請求項1に記載の光量デジタル変換回路。
【請求項3】
上記受光素子が商用交流電源により駆動されている光源からの光を受光する場合、上記第2電流の電流値と、上記所定のパルス数とは、上記基準時間が上記商用交流電源の周期の整数倍となるように設定されていることを特徴とする請求項2に記載の光量デジタル変換回路。
【請求項4】
上記受光素子が上記第1電流を光の照度に比例するように出力する波長の光を抽出して、上記受光素子に受光させる抽出手段をさらに備え、
上記所定のパルス数は、
/(M×N)=照度A(lux)での第1電流の電流値 (Aは定数)
(I:第2電流の電流値、N:所定のパルス数)
を満たすように設定されていることを特徴とする請求項1に記載の光量デジタル変換回路。
【請求項5】
上記定数Aは1であることを特徴とする請求項4に記載の光量デジタル変換回路。
【請求項6】
上記時間計測回路は、発振周波数に基づいて発振信号を出力する発振器と、上記発振信号に基づいて時間を計測するカウンタと、上記カウンタが上記所定のパルス数をカウントするのに要した時間のM倍を基準時間として保持するレジスタと、により構成されていることを特徴とする請求項1に記載の光量デジタル変換回路。
【請求項7】
上記正の定数Mは、M=2(N:整数)であることを特徴とする請求項1または6に記載の光量デジタル変換回路。
【請求項8】
上記発振周波数の周期は、1(ms)以下に設定されていることを特徴とする請求項6に記載の光量デジタル変換回路。
【請求項9】
上記制御部は、時間計測機能を有しており、
光量に応じたデジタル値を作成するデジタル値作成状態と、上記デジタル値の作成を停止する待機状態とが、上記制御部によって、一定時間ごとに交互に切り替えられていることを特徴とする請求項1に記載の光量デジタル変換回路。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の光量デジタル変換回路を含むことを特徴とするIC。
【請求項11】
上記第2電流の電流値をトリミングにより調整するトリミング回路をさらに備えていることを特徴とする請求項10に記載のIC。
【請求項12】
少なくとも上記デジタル値作成手段にて作成されたデジタル値を示すデータを、シリアル形式により転送するシリアルインターフェース回路をさらに備え、
上記IC上には、上記シリアルインターフェース回路用の信号の入出口となる単数または複数の外部接続端子が設けられており、
上記シリアルインターフェース回路用の外部接続端子は、当該外部接続端子の上記IC内の接続先を、上記シリアルインターフェース回路と上記トリミング回路とで切り替える切替手段を介して、上記シリアルインターフェース回路と上記トリミング回路とにそれぞれ接続されていることを特徴とする請求項11に記載のIC。
【請求項13】
少なくとも上記デジタル値作成手段にて作成されたデジタル値を示すデータを、シリアル形式により転送するシリアルインターフェース回路をさらに備え、
上記光量デジタル変換回路に供給される電源電圧には、上記シリアルインターフェース回路に供給される電源電圧が用いられていることを特徴とする請求項10に記載のIC。
【請求項14】
出力光強度調整機能を有する表示画面と、周囲の光の光量を測定する光量測定手段とを備え、上記光量に応じて上記表示画面の出力光強度を調整する電子機器において、
上記光量測定手段は、請求項1〜9のいずれか1項に記載の光量デジタル変換回路、または、請求項10〜13のいずれか1項に記載のICであることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−250842(P2009−250842A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−100726(P2008−100726)
【出願日】平成20年4月8日(2008.4.8)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】