説明

光量調整装置及び撮像装置

【課題】 光軸方向における薄型化を図る。
【解決手段】 カバー板91、第1のセパレーター92及び第2のセパレーター93が取り付けられるベース体68を第1の金型600と第2の金型700を用いた射出成形によって成形し、第1の金型と第2の金型のそれぞれに、互いに近付く方向へ突出されキャビティー800に溶融樹脂900が充填される金型同士の突き当て時に接触する取付溝形成用突部601、701を設けて取付溝89d、89d、89dを形成し、弾性変形させた一方のセパレーターを弾性復帰させて外周部の少なくとも一部を取付溝に挿入して取り付けるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は光量調整装置及び撮像装置についての技術分野に関する。詳しくは、光量を調整する一方の光量調整羽根を2枚のセパレーターによって保持して光軸方向における薄型化を図る技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
ビデオカメラやスチルカメラ等の撮像装置には、レンズ群を介して取り込まれた光の量を調整する光量調整装置が設けられている。
【0003】
このような光量調整装置には、シャッター羽根とフィルター羽根の二つの光量調整羽根が組み込まれ、シャッター羽根が樹脂材料によって形成されたベース体と一方のセパレーターの間に配置され、フィルター羽根が一方のセパレーターと他方のセパレーターの間に配置されたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2005−173133号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1に記載された光量調整装置にあっては、一方の光量調整羽根(シャッター羽根)が樹脂材料によって形成されたベース体とセパレーターの間に配置されており、ベース体が樹脂材料によって形成される分厚みが厚く、ベース体を挟んでセパレーターの反対側に配置される部材がある場合に、この部材をベース体に干渉しない位置に配置せざるを得ず、その分、光軸方向における配置スペースが大きくなり薄型化に支障を来たすと言う問題がある。
【0006】
そこで、本発明光量調整装置及び撮像装置は、上記した問題点を克服し、光軸方向における薄型化を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明光量調整装置及び撮像装置は、上記した課題を解決するために、光透過孔を有するカバー板と、シート状に形成され透過孔を有する第1のセパレーターと、弾性変形可能なシート状に形成されると共に第1のセパレーターを挟んでカバー板の反対側に位置され透過孔を有する第2のセパレーターと、カバー板と第1のセパレーターの間で移動可能とされ光量を調整する第1の光量調整羽根と、第1のセパレーターと第2のセパレーターの間で移動可能とされ光量を調整する第2の光量調整羽根と、カバー板、第1のセパレーター及び第2のセパレーターが取り付けられると共に第2のセパレーターの透過孔より大きな径に形成された透孔と第2のセパレーターを取り付け透孔側に開口された取付溝とを有するベース体と、第1の光量調整羽根を動作させる第1のアクチュエーターと、第2の光量調整羽根を動作させる第2のアクチュエーターとを設け、ベース体を透孔の貫通方向に離型される第1の金型と第2の金型を用いた射出成形によって成形し、第1の金型と第2の金型のそれぞれに、互いに近付く方向へ突出されキャビティーに溶融樹脂が充填される金型同士の突き当て時に接触する取付溝形成用突部を設けて取付溝を形成し、弾性変形させた第2のセパレーターを弾性復帰させて外周部の少なくとも一部を取付溝に挿入し、第2のセパレーターを透孔より第2の光量調整羽根側に位置させると共に透孔の内側に透過孔を位置させるようにしてベース体に取り付けるようにしたものである。
【0008】
従って、本発明光量調整装置及び撮像装置にあっては、ベース体を挟んで第2のセパレーターの反対側に配置される部材がベース体の透孔内に配置可能とされる。
【発明の効果】
【0009】
本発明光量調整装置は、光透過孔を有するカバー板と、シート状に形成され透過孔を有する第1のセパレーターと、弾性変形可能なシート状に形成されると共に第1のセパレーターを挟んでカバー板の反対側に位置され透過孔を有する第2のセパレーターと、カバー板と第1のセパレーターの間で移動可能とされ光量を調整する第1の光量調整羽根と、第1のセパレーターと第2のセパレーターの間で移動可能とされ光量を調整する第2の光量調整羽根と、カバー板、第1のセパレーター及び第2のセパレーターが取り付けられると共に第2のセパレーターの透過孔より大きな径に形成された透孔と第2のセパレーターを取り付け透孔側に開口された取付溝とを有するベース体と、第1の光量調整羽根を動作させる第1のアクチュエーターと、第2の光量調整羽根を動作させる第2のアクチュエーターとを備え、ベース体を透孔の貫通方向に離型される第1の金型と第2の金型を用いた射出成形によって成形し、第1の金型と第2の金型のそれぞれに、互いに近付く方向へ突出されキャビティーに溶融樹脂が充填される金型同士の突き当て時に接触する取付溝形成用突部を設けて取付溝を形成し、弾性変形させた第2のセパレーターを弾性復帰させて外周部の少なくとも一部を取付溝に挿入し、第2のセパレーターを透孔より第2の光量調整羽根側に位置させると共に透孔の内側に透過孔を位置させるようにしてベース体に取り付けるようにしたことを特徴とする。
【0010】
従って、ベース体を挟んで第2のセパレーターの反対側に配置される部材を透孔内に挿入される位置まで移動させることが可能となり、光量調整装置の光軸方向における薄型化を図ることができる。
【0011】
請求項2に記載した発明にあっては、第2のセパレーターの外周部にベース体の取付溝に挿入されて取り付けられる複数の取付用突部を周方向に離隔して設けたので、第2のセパレーターのベース体に対する取付状態の安定化を図ることができる。
【0012】
請求項3に記載した発明にあっては、第1の光量調整羽根として一対のシャッター羽根を用い、第2の光量調整羽根に減光用フィルターを用い、カバー板を金属材料によって形成し、カバー板に第1の光量調整羽根が摺動される摺動突部を設けたので、シャッター羽根の動作時における摩擦力が小さく、動作の信頼性の向上及び消費電力の低減を図ることができる。
【0013】
請求項4に記載した発明にあっては、カバー板の摺動突部として突出量が異なり一対のシャッター羽根にそれぞれ摺動される第1の摺動突部と第2の摺動突部を設けたので、一対のシャッター羽根を厚み方向において異なる位置に保持することができ、一対のシャッター羽根が回動時に干渉し難く一対のシャッター羽根の動作の円滑化を図ることができる。
【0014】
請求項5に記載した発明にあっては、シャッター羽根をベース体に回動可能に支持し、カバー板の摺動突部をシャッター羽根の回動中心を中心とした略円弧状に形成したので、回動時においてシャッター羽根の摺動突部に対する摩擦抵抗が変化し難く、シャッター羽根の動作の円滑化を図ることができる。
【0015】
本発明撮像装置は、内部に所定のレンズ群が配置されたレンズ鏡筒と該レンズ鏡筒を支持する装置本体とを備え、レンズ鏡筒にレンズ群を介して取り込まれる光の量を調整する光量調整装置が組み込まれた撮像装置であって、光透過孔を有するカバー板と、シート状に形成され透過孔を有する第1のセパレーターと、弾性変形可能なシート状に形成されると共に第1のセパレーターを挟んでカバー板の反対側に位置され透過孔を有する第2のセパレーターと、カバー板と第1のセパレーターの間で移動可能とされ光量を調整する第1の光量調整羽根と、第1のセパレーターと第2のセパレーターの間で移動可能とされ光量を調整する第2の光量調整羽根と、カバー板、第1のセパレーター及び第2のセパレーターが取り付けられると共に第2のセパレーターの透過孔より大きな径に形成された透孔と第2のセパレーターを取り付け透孔側に開口された取付溝とを有するベース体と、第1の光量調整羽根を動作させる第1のアクチュエーターと、第2の光量調整羽根を動作させる第2のアクチュエーターとを備え、ベース体を透孔の貫通方向に離型される第1の金型と第2の金型を用いた射出成形によって成形し、第1の金型と第2の金型のそれぞれに、互いに近付く方向へ突出されキャビティーに溶融樹脂が充填される金型同士の突き当て時に接触する取付溝形成用突部を設けて取付溝を形成し、弾性変形させた第2のセパレーターを弾性復帰させて外周部の少なくとも一部を取付溝に挿入し、第2のセパレーターを透孔より第2の光量調整羽根側に位置させると共に透孔の内側に透過孔を位置させるようにしてベース体に取り付けるようにしたことを特徴とする。
【0016】
従って、ベース体を挟んで第2のセパレーターの反対側に配置される部材を透孔内に挿入される位置まで移動させることが可能となり、光量調整装置の光軸方向における薄型化を図ることができ、撮像装置の小型化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明を実施するための最良の形態を添付図面に従って説明する。
【0018】
以下に示した最良の形態は、本発明をスチルカメラに適用したものである。尚、本発明の適用範囲はスチルカメラに限られることはなく、例えば、ビデオカメラや他の機器に組み込まれた各種の撮像装置に広く適用することができる。
【0019】
以下の説明にあっては、スチルカメラの撮影時において撮影者から見た方向で前後上下左右の方向を示すものとする。従って、被写体側が前方となり、撮影者側が後方となる。
【0020】
尚、以下に示す前後上下左右の方向は説明の便宜上のものであり、本発明の実施に関しては、これらの方向に限定されることはない。
【0021】
撮像装置1は、図1及び図2に示すように、装置本体2と該装置本体2に前後方向(光軸方向)へ移動自在に支持されたレンズ鏡筒3とを備え、非撮影時等にレンズ鏡筒3が装置本体2に収納され(図1参照)、撮影時等にレンズ鏡筒3が装置本体2から前方へ突出される(図2参照)所謂沈胴式のレンズ鏡筒3を備えた撮像装置である。
【0022】
このような沈胴式のレンズ鏡筒3を備えることにより、非撮影時における小型化(薄型化)と撮影時における良好な光学性能の確保とを両立させることができる。
【0023】
装置本体2は、例えば、横長の扁平な筐体4の内外に所要の各部が配置されて成る(図1乃至図3参照)。
【0024】
装置本体2の前面にはフラッシュ5とファインダー窓6が設けられている。装置本体2の上面にはシャッター釦7、モード切替ダイヤル8及び電源釦9が設けられている。装置本体2の側面(右側面)にはバッテリーカバー10が設けられ、該バッテリーカバー10を開閉することにより装置本体2に対する図示しないバッテリーの出し入れが可能とされる。装置本体2の後面にはファインダー11、ズームスイッチ12、表示画面13、操作釦14、14、・・・及び端子カバー15が設けられている。端子カバー15の内側には図示しない電源端子や入出力端子等が設けられている。
【0025】
レンズ鏡筒3は、図4乃至図6に示すように、固定部材16と該固定部材16に固定された固定環17と該固定環17に回転自在に支持されたカム筒18と該カム筒18に前後方向(光軸方向)へ移動自在に支持された第1の可動ユニット19とを備えている。
【0026】
固定部材16は、図7及び図8に示すように、前後方向を向く略板状に形成された基板部20と、該基板部20の下端部から前方へ突出された取付用突部21とを有している。
【0027】
基板部20の略中央部には前後に貫通された配置孔20aが形成されている。基板部20の下端寄りの位置における右端部には前方に開口された軸受凹部20bが形成されている。基板部20の左右方向における略中央部の下端寄りの位置には、前方へ突出された案内軸部20cが設けられている。
【0028】
基板部20の軸受凹部20bには案内軸22が取り付けられる。
【0029】
取付用突部21の前端部にはバネ掛け片21aが設けられている。
【0030】
取付用突部21にはフォーカスモーターユニット23が取り付けられる。フォーカスモーターユニット23はモーター24とモーター取付板25とモーター24のモータ軸となるリードスクリュー26と該リードスクリュー26に螺合されたナット部材27とを有している。
【0031】
フォーカスモーターユニット23はモーター取付板25が取付用突部21に取り付けられる。
【0032】
フォーカスモーターユニット23によってフォーカス移動ユニット28が前後方向、即ち、光軸方向へ移動される。フォーカス移動ユニット28は保持アーム29にフォーカスレンズ群30が取り付けられて成る。
【0033】
保持アーム29は円環状に形成されたレンズ取付部31と該レンズ取付部31から右斜め下方へ突出され板状に形成されたアーム部32と該アーム部32から前方へ突出された被支持筒部33とを有している。
【0034】
レンズ取付部31にはフォーカスレンズ群30が取り付けられている。
【0035】
アーム部32の下端寄りの位置には、バネ掛け突片32aが設けられている。アーム部32にはコ字状に形成された被支持片32bが設けられている。
【0036】
フォーカス移動ユニット28は被支持筒部33が案内軸22に摺動自在に支持され被支持片32bが案内軸部20cに摺動自在に支持されて固定部材16に移動自在に支持される。フォーカス移動ユニット28が固定部材16に支持された状態において、アーム部32の一部がフォーカスモーターユニット23のナット部材27に固定され、固定部材16のバネ掛け片21aとフォーカス移動ユニット28のバネ掛け突片32aとの間に引張コイルバネ34が支持される。従って、フォーカス移動ユニット28は引張コイルバネ34によって前方へ付勢される。
【0037】
フォーカスモーターユニット23のモーター24が起動されリードスクリュー26が回転されると、該リードスクリュー26の回転方向へ応じた方向へナット部材27が移動され、フォーカス移動ユニット28が案内軸22及び案内軸部20cに案内されて光軸方向へ移動される。
【0038】
固定部材16には後方から撮像ユニット35が取り付けられる(図4参照)。撮像ユニット35は保持枠部材36と該保持枠部材36に保持された撮像素子37、例えば、CCD(Charge Coupled Device)とを有している。撮像ユニット35は保持枠部材36が固定部材16に取り付けられ、撮像素子37が固定部材16の配置孔20aに配置される(図6参照)。
【0039】
固定部材16にはフォトインタラプター38が所定の位置に取り付けられる(図4参照)。フォトインタラプター38によってフォーカス移動ユニット28の光軸方向における位置検出が行われる。
【0040】
固定部材16には前側から固定環17が取り付けられる(図4及び図5参照)。固定環17は略円筒状に形成された円筒状基部39と該円筒状基部39の右端側の下端部から突出されたユニット押さえ部40と円筒状基部39の左端側の下端部から突出されたケース取付部41とを有している。
【0041】
円筒状基部39にはケース取付部41に対応する位置に図示しないギヤ配置孔が形成されている。円筒状基部39の内面には、図9に示すように、直進用傾斜案内溝39a、39a、39aと回転用案内溝39bが連続して形成されている。直進用傾斜案内溝39a、39a、39aは周方向に離隔して形成され前後方向に対して傾斜されている。回転用案内溝39bは直進用傾斜案内溝39a、39a、39aの前端に連続して形成され、周方向に延びるようにされている。
【0042】
円筒状基部39の内面には前後に延び後方に開口された直進用案内溝39c、39c、39cが形成されている。
【0043】
ケース取付部41は前端に位置され前後方向を向く前面部41aと該前面部41aに連続し左右方向を向く側面部41bとを有し、下方及び後方に開口された形状に形成されている。
【0044】
固定環17が固定部材16に取り付けられた状態において、ユニット押さえ部40によって案内軸22が前方から押さえられると共にフォーカスモーターユニット23が前方から覆われる。
【0045】
固定環17が固定部材16に取り付けられた状態において、ケース取付部41の前面部41aと固定部材16の間で軸方向に長い伝達ギヤ42が回転自在に支持される(図10参照)。伝達ギヤ42は円筒状基部39のギヤ配置孔に配置される。
【0046】
固定環17のケース取付部41にはケース体43が取り付けられる(図4及び図5参照)。ケース体43は、図10乃至図12に示すように、前ハーフ44と後ハーフ45が前後で結合されて成る。
【0047】
前ハーフ44には、その前面における上端寄りの位置に、上方を向く取付段差44aが形成されている。前ハーフ44には前方に開口され凹状に形成された素子取付部44bが設けられている。前ハーフ44には素子取付部44bに前後に貫通された素子配置孔44cが形成されている。
【0048】
後ハーフ45には、その後面から後方へ突出された取付突部45aが設けられている。後ハーフ45には後方に開口され凹状に形成された素子取付部45bが設けられている。後ハーフ45には素子取付部45bに前後に貫通された素子配置孔45cが形成されている。
【0049】
ケース体43にはモーター46が取り付けられ、該モーター46のモーター軸には遮光羽根47とウォーム48が固定されている(図4参照)。モーター46はケース体43に取り付けられた状態において、モーター軸、遮光羽根47及びウォーム48がケース体43の内部に配置される。
【0050】
ケース体43の内部には図示しない伝達ギヤ群が配置され、該伝達ギヤ群はウォーム48と伝達ギヤ42とに噛合されている。
【0051】
モーター46が起動されると、モーター軸の回転に伴って遮光羽根47とウォーム48が回転され、ウォーム48から伝達ギヤ群を介して駆動力が伝達ギヤ42に伝達される。
【0052】
ケース体43には一対の検出素子49、49、例えば、フォトインタラプターが取り付けられる。検出素子49は基板49aに検出体49bが搭載されて成る。検出素子49、49は、図11及び図12に示すように、それぞれ基板49a、49aがケース体43の素子取付部44b、45b側に外面側から押し付けられ素子配置孔44c、45cに検出体49b、49bが配置された状態で取付用板バネ50によって取り付けられる。
【0053】
取付用板バネ50は一方向に長い板状の材料が所定の形状に折り曲げられて形成され、最下方に位置し上下方向を向くベース面部51と、該ベース面部51の前後両端縁からそれぞれ上方へ突出された素子押さえ部52、53と、前側の素子押さえ部52の上縁から後方へ突出された係合部54と、該係合部54の後縁から上方へ突出された被押さえ部55と、後側の素子押さえ部53の上縁から後方へ突出された連設部56と、該連設部56の後縁から上方へ突出された被押さえ部57と、該被押さえ部57の上縁から前方へ突出された係合部58とから成る。
【0054】
素子押さえ部52、53にはそれぞれ互いに近付く方向へ突出された打出状の押さえ突起52a、53aが設けられている。
【0055】
取付用板バネ50は素子押さえ部52、53が互いに遠ざかるように広げられて弾性変形され、弾性復帰することによりケース体43に取り付けられる。取付用板バネ50がケース体43に取り付けられた状態においては、被押さえ部55、57以外の各部がケース体43の外面に面接触される。このときケース体43の素子取付部44b、45bに配置されている検出素子49、49の基板49a、49aがそれぞれ外方から取付用板バネ50の押さえ突起52a、53aによって押さえられて固定され、検出素子49、49のケース体43からの脱落が防止される。
【0056】
取付用板バネ50はケース体43の取付突部45aが連設部56と係合部58に挟持され、被押さえ部55、57がそれぞれ固定環17と固定部材16によって互いに近付く方向において押さえられる。このとき被押さえ部55と前ハーフ44の前面との間、被押さえ部57と後ハーフ45の取付突部45aとの間には、それぞれ隙間59、60が形成されている。
【0057】
モーター46が回転されると、遮光羽根47が回転され、該遮光羽根47の回転に伴って検出素子49、49によって遮光と透光の切替状態が検出され、モーター46の回転方向及び回転数が検出される。
【0058】
上記したように、撮像装置1にあっては、検出素子49、49をそれぞれ押さえる素子押さえ部52、53と、固定環17と固定部材16によってそれぞれ外面側から互いに近付く方向において押さえられる被押さえ部55、57と、該被押さえ部55、57が押さえられる方向と直交する方向からケース体43に係合する係合部54、58とを有する取付用板バネ50によって検出素子49、49をケース体43に固定するようにしている。
【0059】
従って、検出素子49、49のケース体43への固定を接着剤を用いて行う必要がなく、接着剤の塗布時におけるレンズや他の部品に対する飛散や浸潤という不具合の発生を回避することができる。
【0060】
また、接着剤の硬化時間や接着剤の塗布のための専用の治具の必要もなく、組立時間の短縮化及び組立コストの低減を図ることができる。
【0061】
さらに、検出素子49、49の交換等のメンテナンス作業を、取付用板バネ50をケース体43から取り外すことにより容易に行うことができ、メンテナンス性の向上を図ることができる。
【0062】
さらにまた、撮像装置1にあっては、ケース体43を挟持して取り付ける固定環16と固定部材17によって被押さえ部55、57をそれぞれ押さえるようにしているため、ケース体43が取り付けられる部材と被押さえ部55、57を押さえる部材が共通であり、部品の共通化による部品点数の削減を図ることができる。
【0063】
さらには、取付用板バネ50の素子押さえ部52、53にそれぞれ検出素子49、49側へ突出された押さえ突起52a、53aを設けているため、検出素子49、49のケース体43に対する保持を容易に行うことができる。
【0064】
加えて、取付用板バネ50は被押さえ部55、57とケース体43の外面との間にそれぞれ隙間59、60が形成されるようにケース体43に取り付けられるため、ケース体43への取付用板バネ50の取付を容易に行うことができる。
【0065】
カム筒18は固定環17に前後方向へ移動自在かつ周方向に回転自在に支持される(図4、図6及び図9参照)。
【0066】
カム筒18は略円環状に形成され、外周面における後端部の一部にラックギヤ18aを有している。カム筒18の外周面には、周方向に離隔して被案内突部18b、18b、18bが設けられている。
【0067】
カム筒18の内周面には、その後端部に周方向に延びる支持溝18cが形成されている。カム筒18の内周面には、それぞれ所定の形状に形成されたガイド部18d、18d、18dと案内部18e、18e、18eが形成され、ガイド部18d、18d、18dと案内部18e、18e、18eはそれぞれ溝状に形成されている。
【0068】
カム筒18は被案内突部18b、18b、18bが直進用傾斜案内溝39a、39a、39a又は回転用案内溝39bに摺動自在に係合され、固定環17に移動自在に支持される。カム筒18は、被案内突部18b、18b、18bが直進用傾斜案内溝39a、39a、39aに対して摺動されるときには回転しながら前後方向へ移動され、被案内突部18b、18b、18bが回転用案内溝39bに摺動されるときには前後方向へ移動することなく回転される。
【0069】
カム筒18が固定環17に支持された状態においては、ラックギヤ18aが固定部材16と固定環17の間で回転自在に支持された伝達ギヤ42に噛合される。従って、ケース体43に保持されたモーター46が回転されると、その駆動力が伝達ギヤ群及び伝達ギヤ42を介してラックギヤ18aに伝達され、モーター46の回転方向に応じた方向へカム筒18が回転され、固定環17に対して回転しながら前後方向へ移動又は回転される。
【0070】
固定環17には直進ガイド61が前後方向へ移動自在に支持される。直進ガイド61は環状部62と該環状部62から前方へ突出されたガイド突部63、63、63とが一体に形成されて成る。
【0071】
環状部62には周方向に離隔してそれぞれ外方へ突出された被案内突部62a、62a、62cが設けられている。環状部62には被案内突部62a、62a、62cの前側に周方向に離隔してそれぞれ外方へ突出された被支持突片62b、62b、62bが設けられている。
【0072】
ガイド突部63、63、63にはそれぞれ前方及び外方に開口された摺動溝63a、63a、63aが形成されている。
【0073】
直進ガイド61は被案内突部62a、62a、62cがそれぞれ直進用案内溝39c、39c、39cに摺動自在に係合されて固定環17に前後方向へ移動自在に支持される。直進ガイド61は被支持突片62b、62b、62bがカム筒18の支持溝18cに摺動自在に係合され、カム筒18に対して回転可能とされる。従って、カム筒18が回転されると、直進ガイド61の被案内突部62a、62a、62cがそれぞれ直進用案内溝39c、39c、39cに摺動自在に係合されているため、カム筒18が直進ガイド61に対して回転され、カム筒18が固定環17に対して前後方向へ移動されるときには直進ガイド61がカム筒18と一体となって前後方向へ移動される。
【0074】
固定環17の前半部には飾りリング64が取り付けられる(図4及び図6参照)。
【0075】
カム筒18には第2の可動ユニット65が支持される(図6参照)。第2の可動ユニット65は中間可動ユニット66と該中間可動ユニット66に取り付けられた光量調整装置67とから成る。
【0076】
中間可動ユニット66はベース枠68に所要の各部材が支持又は取り付けられて成る(図13乃至図16参照)。
【0077】
ベース枠68は円板部69と該円板部69の外周部に設けられた被支持面部70、70、70とを有し、被支持面部70、70、70は周方向に離隔して設けられている。
【0078】
円板部69の中央部には前後に貫通された透過用開口69aが形成されている。円板部69の外周縁には後方へ向けて突出された取付枠部69b、69b、69bが設けられ、該取付枠部69b、69b、69bは周方向に離隔して被支持面部70、70、70間に位置されている。
【0079】
円板部69の前面には、透過用開口69aの下方に軸受部69c、69cが設けられ、透過用開口69aの上方に軸受部69dが設けられている。軸受部69c、69cは左右に離隔して設けられている。
【0080】
円板部69の外周面には周方向に離隔し外方へ突出された被ガイド部69e、69e、69eが設けられている。
【0081】
ベース枠68の被支持面部70、70、70にはそれぞれ前後に延びる被支持溝部70a、70a、70aが形成されている。
【0082】
円板部69には平板状のヨーク71、71が、例えば、接着等により固定される。ヨーク71、71はそれぞれ円板部69の前面における下端寄りの位置と左端寄りの位置に固定される。ヨーク71、71の前面にはそれぞれ駆動用マグネット72、72が固定されている。
【0083】
ベース枠68の前面側には第1のガイド軸73と第1のサブガイド軸74を介して第1の補正用移動枠75が左右方向(第1の方向)へ移動自在に支持される(図13及び図14参照)。
【0084】
第1の補正用移動枠75には中央部に透過用開口75aが形成されている。第1の補正用移動枠75には、下端部に第1の軸支持部76が設けられ、上端部に第1のサブ軸支持部77、77が設けられ、左端部に第2の軸支持部78が設けられ、右端部に第2のサブ軸支持部79、79が設けられている。第1の軸支持部76には左右に貫通された第1の貫通孔76aが形成され、第2の軸支持部78には上下に貫通された第2の貫通孔78aが形成されている。
【0085】
第1の軸支持部76の第1の貫通孔76aの中心Pと第2の軸支持部78の第2の貫通孔78aの中心Qと第1のサブ軸支持部77、77の孔の中心Rとは、図17に示すように、何れも光軸に直交する略同一平面上に位置され、第2のサブ軸支持部79、79は第1の軸支持部76と第2の軸支持部78と第1のサブ軸支持部77、77より前方に位置されている。
【0086】
第1の軸支持部76の第1の貫通孔76aには第1のガイド軸73が摺動自在に挿入され、第1のサブ軸支持部77、77には第1のサブガイド軸74が固定され、第2の軸支持部78の第2の貫通孔78aには第2のガイド軸80が、例えば、圧入により固定され、第2のサブ軸支持部79、79には第2のサブガイド軸81が固定される。
【0087】
第1の補正用移動枠75は、第1のガイド軸73の両端部が軸受部69c、69cに固定され第1のサブガイド軸74の中間部が軸受部69dに摺動自在に支持されることによりベース枠68に左右方向へ移動自在に支持される。従って、第1の補正用移動枠75は第1のガイド軸73に対して摺動されて左右方向へ移動される。
【0088】
上記したように、第1の軸支持部76の第1の貫通孔76aの中心Pと第2の軸支持部78の第2の貫通孔78aの中心Qとは光軸に直交する略同一平面に位置されているため、これらに挿入される第1のガイド軸73の軸中心と第2のガイド軸80の軸中心も光軸に直交する略同一平面に位置される。
【0089】
第1の補正用移動枠75は射出成形によって成形され、第2の軸支持部78は光軸方向において離型される第1の金型200と第2の金型300によって形成される(図18及び図19参照)。
【0090】
第1の金型200には後方へ突出された貫通孔形成用突部201、201、・・・が設けられ、該貫通孔形成用突部201、201、・・・は上下に離隔して位置されている。
【0091】
第2の金型300には前方へ突出された貫通孔形成用突部301、301、・・・が設けられ、該貫通孔形成用突部301、301、・・・は上下に離隔して位置されている。
【0092】
第1の金型200と第2の金型300は前後方向で突き当てられキャビティー400、400、・・・が形成される(図18参照)。このとき第1の金型200の貫通孔形成用突部201、201、・・・と第2の金型300の貫通孔形成用突部301、301、・・・とは、上下方向において互い違いに接触される。
【0093】
キャビティー400、400、・・・には溶融樹脂500、500、・・・が充填され、溶融樹脂500、500、・・・の固化後に第1の金型200と第2の金型300が離型されることにより第1の補正用移動枠75が形成される(図19参照)。第2の軸支持部78の第2の貫通孔78aは互い違いに接触されていた貫通孔形成用突部201、201、・・・と貫通孔形成用突部301、301、・・・によって所謂食い切り形状として形成される。
【0094】
このように第2の軸支持部78の第2の貫通孔78aを第1の金型200と第2の金型300による食い切り形状として容易に形成することができるため、第1の補正用移動枠75の製造の容易化及び製造コストの低減を図ることができる。
【0095】
また、第2の貫通孔78aを食い切り形状として形成することにより、簡単な金型の構成で第2の貫通孔78aを高精度で形成することができる。
【0096】
尚、上記には、第2の軸支持部78の第2の貫通孔78aを第1の金型200と第2の金型300による食い切り形状として形成した例を示したが、第1の軸支持部76の第1の貫通孔76aを2つの金型によって食い切り形状として形成してもよく、また、第1の貫通孔76aと第2の貫通孔78aをともに2つずつの金型によって食い切り形状として形成することも可能である。また、第1のサブ軸支持部77、77や第2のサブ軸支持部79、79を食い切り形状として形成することも可能である。
【0097】
第1の補正用移動枠75には第2の補正用移動枠82が上下方向(第2の方向)へ移動自在に支持される(図14及び図15参照)。
【0098】
第2の補正用移動枠82の略中央部にはレンズ群83が取り付けられている。第2の補正用移動枠82には、左端寄りの位置に後方へ突出された被支持筒部82a、82aが上下に離隔して設けられ、右端部に右方へ突出された被支持突部82bが設けられている。
【0099】
第2の補正用移動枠82には、左端部と下端部にそれぞれ前後に貫通した大開口82c、82cが形成され、該大開口82c、82cの近傍にそれぞれ小開口82d、82dが形成されている。
【0100】
第2の補正用移動枠82は、被支持筒部82a、82aが第2のガイド軸80の両端部に摺動自在に支持され、被支持突部82bが第2のサブ軸81の中間部に摺動自在に支持される。従って、第2の補正用移動枠82は第1の補正用移動枠75に対して上下方向へ移動可能とされ、第1の補正用移動枠75が左右方向へ移動されるときには一体となって左右方向へ移動される。
【0101】
第2の補正用移動枠82が第1の補正用移動枠75に支持された状態において、大開口82c、82cがそれぞれベース枠68に固定された駆動用マグネット72、72の前側に位置される。
【0102】
第2の補正用移動枠82の前面には回路基板84が取り付けられる(図15及び図16参照)。回路基板84は、前後方向を向く基面部84aと、該基面部84aの上端部から突出された第1の接続面部84bとによって構成されている。
【0103】
基面部84aには、下端部と左端部にそれぞれ駆動用コイル85、85が一体に設けられている。基面部84aには、駆動用コイル85、85の近傍に第1の補正用移動枠75と第2の補正用移動枠82の位置検出を行うためのホール素子84d、84dがそれぞれ搭載されている。
【0104】
第1の接続面部84bには図示しない回路配線が形成され、各回路配線がそれぞれ駆動用コイル85、85に接続されている。
【0105】
回路基板84は基面部84aが第2の補正用移動枠82の前面に接着等によって取り付けられ、第1の接続面部84bがそれぞれ図示しない電源駆動回路に接続される。回路基板84が第2の補正用移動枠82の前面に取り付けられた状態において、駆動用コイル85、85がそれぞれ第2の補正用移動枠82の大開口82c、82cの内側に位置され、ホール素子84d、84dがそれぞれ第2の補正用移動枠82の小開口82d、82dの内側に位置される。
【0106】
上記したように、駆動用マグネット72、72が固定されたベース枠68に第1の補正用移動枠75が支持され、該第1の補正用移動枠75に第2の補正用移動枠82が支持され、該第2の補正用移動枠82に回路基板84が取り付けられた状態において、ベース枠68の前面に接着等により略L字状に形成された外ヨーク86が取り付けられて中間可動ユニット66が構成される(図16参照)。
【0107】
上記したヨーク71、71、駆動用マグネット72、72、第1の補正用移動枠75、第1のガイド軸73、第1のサブガイド軸74、第2のガイド軸80、第2のサブガイド軸81、第2の補正用移動枠82、駆動用コイル85、85及び外ヨーク86によってブレ補正機構87が構成される(図13参照)。
【0108】
ブレ補正機構87において駆動用コイル85、85に電源駆動回路から駆動電流が供給されると、供給された駆動電流の向きに応じて駆動用コイル85、85と駆動用マグネット72、72とによって所定の方向への推進力が発生し、この推進力によって第1の補正用移動枠75とレンズ群83を保持する第2の補正用移動枠82が一体となって第1のガイド軸73及び第1のサブガイド軸74に案内されて左右方向(第1の方向)へ移動され、また、この推進力によってレンズ群83を保持する第2の補正用移動枠82が第2のガイド軸80及び第2のサブガイド軸81に案内されて上下方向(第2の方向)へ移動され、レンズ群83が光軸と直交する面内で移動されることにより焦点の位置が補正されて像ブレの防止が行われる。
【0109】
尚、駆動用マグネット72、72はホール素子84d、84dの位置検出用のマグネットとしても機能し、駆動用コイル85、85からホール素子84d、84dに対向するように所定の方向に長く形成されている。
【0110】
上記のようにブレ補正動作が行われるときには、第2のガイド軸80の両端部に対して第2の補正用移動枠82が摺動される。このようにブレ補正機構87にあっては、第2のガイド軸80の両端部以外の部分が第1の補正用移動枠75の第2の軸支持部78に固定され第2のガイド軸80の両端部に対して第2の補正用移動枠82が移動されるように構成されており、第2のガイド軸80の両端部側に第2の補正用移動枠82の被支持筒部82a、82aとの間に摺動用のクリアランスが形成されるため、第2の補正用移動枠82の移動時におけるガタツキが発生し難くブレ補正動作の信頼性の向上を図ることができる。
【0111】
中間可動ユニット66の後面側には光量調整装置67が取り付けられ、両者によって第2の可動ユニット65が構成される(図20及び図21参照)。
【0112】
第2の可動ユニット65は、図6及び図22に示すように、ベース枠68の被支持面部70、70、70に形成された被支持溝部70a、70a、70aがそれぞれ直進ガイド61のガイド突部63、63、63に摺動自在に支持されると共に被ガイド部69e、69e、69eがそれぞれカム筒18のガイド部18d、18d、18dに摺動自在に支持される。従って、第2の可動ユニット65はカム筒18の回転により被ガイド部69e、69e、69eのガイド部18d、18d、18dに対する位置が変化され、直進ガイド61に案内されて前後方向(光軸方向)へ移動される。
【0113】
尚、レンズ鏡筒3にあっては、直進ガイド61は全体が筒状に形成されず環状部62と該環状部62から突出された複数のガイド突部63、63、63とによって構成された形状とされているため、第2の可動ユニット65の直進ガイド61への組付の容易化を図ることができる。
【0114】
上記のように第2の可動ユニット65が直進ガイド61に支持された状態においては、図22に示すように、駆動用コイル85、85間に直進ガイド61の一つのガイド突部63、即ち、左斜め下方に存在するガイド突部63(図22に示すガイド突部63A)が対応して位置される。従って、第2の可動ユニット65がカム筒18の回転によって光軸方向へ移動されるとき及び直進ガイド61がカム筒18と一体となって光軸方向へ移動されるときに、駆動用コイル85、85とガイド突部63Aが干渉することがなく、レンズ鏡筒3の内部に配置されたブレ補正機構87と他の機構との干渉を容易に回避することができ、レンズ鏡筒3の小型化を図ることができる。
【0115】
また、撮像装置1にあっては、直進ガイド61のガイド突部63、63、63を第2の可動ユニット65の前後移動の案内手段として用い、直進ガイド61をカム筒18と一体で前後方向へ移動させるようにしているため、例えば、第2の可動ユニット65の案内手段としてレンズ鏡筒3の内部に固定された案内軸を用いる場合に比し、直進ガイド61が前後方向へ移動される分、レンズ鏡筒3の光軸方向における長さを短縮化することができる。
【0116】
さらに、直進ガイド61に周方向に離隔して設けられた三つのガイド突部63、63、63を設けているため、第2の可動ユニット65に対する直進ガイド61の保持力が大きく、第2の可動ユニット65の光軸方向における移動の安定化を図ることができる。
【0117】
尚、上記には、直進ガイド61に周方向に離隔して三つのガイド突部63、63、63を設けた例を示したが、ガイド突部63、63、63の数は三つに限られることはなく、複数であれば任意である。
【0118】
さらにまた、直進ガイド61は環状部62とガイド突部63、63、63とが一体に形成されているため、部品点数の削減及び製造コストの低減を図ることができる。
【0119】
また、上記したように、撮像装置1にあっては、ブレ補正機構87における第1の補正用移動枠75を案内する第1のガイド軸73と第2のガイド軸80を光軸に直交する略同一平面に位置させているため、ブレ補正機構87の光軸方向における長さを短くすることができ、レンズ鏡筒3の小型化を図ることができる。
【0120】
加えて、ブレ補正機構87にあっては、第1のガイド軸73に第1の補正用移動枠75が摺動自在に支持され、第2のガイド軸80が第1の補正用移動枠75に固定される構成とされているため、第1の補正用移動枠75の移動時に第1のガイド軸73と第2のガイド軸80の双方が移動されず第2のガイド軸80のみが移動されるため、その分、一方の軸方向における長さを短くすることができる。
【0121】
第2の可動ユニット65の光量調整装置67は、ベース枠68の後面側に取り付けられる(図20及び図21参照)。
【0122】
光量調整装置67はベース体88に所要の各部材が支持又は取り付けられて成る(図20、図21、図23及び図24参照)。
【0123】
ベース体88は樹脂材料によって略円環状に形成され、図25に示すように、前面側の外周部89を除いた部分に前方に開口された浅い装着用凹部90を有している。ベース体88は装着用凹部90が形成された部分の厚みが外周部89の厚みより薄く形成されている。
【0124】
ベース体88の後面側の一部には、後方に開口された溝状の切欠88aを形成することにより薄肉部88bが設けられ(図20参照)、該薄肉部88bは他の部分より厚みが薄く形成されている。
【0125】
ベース体88の外周部89には周方向に離隔して係合爪89a、89a、89aが設けられている(図23及び図24参照)。ベース体88の外周面には周方向に離隔して取付用突部89b、89b、89bが設けられている。
【0126】
ベース体88の外周部89には後方に開口された成形穴89c、89c、89cが形成され(図26参照)、該成形穴89c、89c、89cは周方向に離隔して位置されている。成形穴89c、89c、89cの前端部は、それぞれ装着用凹部90に連通された取付溝89d、89d、89dとして形成されている。
【0127】
ベース体88は射出成形によって成形され、取付溝89d、89d、89dを含む成形穴89c、89c、89cは、光軸方向において離型される第1の金型600と第2の金型700によって形成される(図27及び図28参照)。
【0128】
第1の金型600には後方へ突出された取付溝形成用突部601、601、601が設けられている。
【0129】
第2の金型700には前方へ突出された取付溝形成用突部701、701、701が設けられている。
【0130】
第1の金型600と第2の金型700は前後方向で突き当てられキャビティー800、800、・・・が形成される(図27参照)。このとき第1の金型600の取付溝形成用突部601、601、601と第2の金型700の取付溝形成用突部701、701、701とは一部が接触される。
【0131】
キャビティー800、800、・・・には溶融樹脂900、900、・・・が充填され、溶融樹脂900、900、・・・の固化後に第1の金型600と第2の金型700が離型されることによりベース体88が形成される(図28参照)。取付溝89d、89d、89dを含む成形穴89c、89c、89cは、接触されていた取付溝形成用突部601、601、601と取付溝形成用突部701、701、701によって所謂食い切り形状として形成される。
【0132】
このように取付溝89d、89d、89dを含む成形穴89c、89c、89cを、第1の金型600と第2の金型700による食い切り形状として容易に形成することができるため、ベース体88の製造の容易化及び製造コストの低減を図ることができる。
【0133】
また、取付溝89d、89d、89dを含む成形穴89c、89c、89cを食い切り形状として形成することにより、簡単な金型の構成で取付溝89d、89d、89dを高精度で形成することができる。
【0134】
装着用凹部90には大きな透孔90aが形成されている(図25参照)。装着用凹部90には、透孔90aの周囲の位置に、前方へ突出されたフィルター用回動中心軸90b、それぞれ前方へ突出されたシャッター用回動中心軸90c、90dが設けられている。装着用凹部90にはそれぞれ前後に貫通された円弧状の挿通孔90e、90fが形成されている。
【0135】
フィルター用回動中心軸90bとシャッター用回動中心軸90c、90dは、透孔90aを挟んだ略反対側に位置され、シャッター用回動中心軸90c、90dは周方向において離隔して位置され、挿通孔90eはフィルター用回動中心軸90bの近傍に位置され、挿通孔90fはシャッター用回動中心軸90c、90dの間に位置されている。
【0136】
ベース体88には装着用凹部90の外周部に前方へ突出された配置用段差部90g、90g、90gが周方向に離隔して設けられている。
【0137】
ベース体88の前面側にはカバー板91、第1のセパレーター92及び第2のセパレーター93が取り付けられる(図24参照)。
【0138】
カバー板91は、例えば、金属材料によって形成され、前後方向を向く覆い部94と該覆い部94の外周部からそれぞれ後方へ突出された被取付用突片95、95、95とから成る。
【0139】
覆い部94の中央部にはベース体88の透孔90aより小さな光透過孔94aが形成されている。覆い部94には後方へ打ち出されることにより形成された第1の摺動突部94b、94bと第2の摺動突部94c、94cが設けられている(図23及び図29参照)。
【0140】
第1の摺動突部94b、94bと第2の摺動突部94c、94cは透孔94aを挟んで略反対側に位置され、それぞれ円弧状に形成されている。第1の摺動突部94b、94bと第2の摺動突部94c、94cは突出量、即ち、打出量が異なり、第1の摺動突部94b、94bの高さが第2の摺動突部94c、94cの高さより高くされている。
【0141】
覆い部94の外周部には、軸挿入孔94d、94e、94fとそれぞれ円弧状に形成された挿通孔94g、94hが形成されている。軸挿入孔94dと軸挿入孔94e、94fは、光透過孔94aを挟んだ略反対側に位置され、軸挿入孔94e、94fは周方向において離隔して位置され、挿通孔94gは軸挿入孔94dの近傍に位置され、挿通孔94hは軸挿入孔94e、94f間に位置されている。
【0142】
第1の摺動突部94b、94bは軸挿入孔94fを中心とした円弧状に形成され、第2の摺動突部94c、94cは軸挿入孔94eを中心とした円弧状に形成されている。
【0143】
覆い部94の所定の位置には後方へ打ち出されて形成された突起94i、94iが設けられている。
【0144】
被取付用突片95、95、95にはそれぞれ係合孔95a、95a、95aが形成されている。
【0145】
第1のセパレーター92は、例えば、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂材料又は金属材料によってシート状に形成され、中央部にカバー板91の光透過孔94aと略同じ大きさに形成された透過孔92aを有している。第1のセパレーター92の外周部には、軸挿入孔92b、92c、92dとそれぞれ円弧状に形成された挿通孔92e、92fが形成されている。軸挿入孔92bと軸挿入孔92c、92dは、透過孔92aを挟んだ略反対側に位置され、軸挿入孔92c、92dは周方向において離隔して位置され、挿通孔92eは軸挿入孔92bの近傍に位置され、挿通孔92fは軸挿入孔92c、92d間に位置されている。
【0146】
第2のセパレーター93は、例えば、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂材料又は金属材料によってシート状に形成され、中央部にカバー板91の光透過孔94aと略同じ大きさに形成された透過孔93aを有している。第1のセパレーター93の外周部には、軸挿入孔93b、93cとそれぞれ円弧状に形成された挿通孔93d、93eが形成されている。軸挿入孔93bと軸挿入孔93cは透過孔93aを挟んだ略反対側に位置され、挿通孔93d、93eはそれぞれ軸挿入孔93b、93cの近傍に位置されている。
【0147】
第2のセパレーター93の外周部には、それぞれ外方へ突出された取付用突部93f、93f、93fが周方向に離隔して設けられている。
【0148】
ベース体88には第1の光量調整羽根として用いられたシャッター羽根96、97と第2の光量調整羽根として設けられた光量調整羽根98が回動自在に支持される。
【0149】
シャッター羽根96、97はそれぞれシート状の材料によって形成され、一端部にそれぞれ軸挿入孔96a、97aと一方向に長い作用孔96b、97bとを有している。
【0150】
光量調整羽根98は、図30に示すように、減光用フィルター99の両面にシート部材100、100が、例えば、貼着されて形成され、該シート部材100、100には第1のセパレーター92の透過孔92aより径の大きな円形孔100a、100aが形成されている。従って、光量調整羽根98は円形孔100a、100aに対応する位置に減光用フィルター99が露出される。減光用フィルター99としては、ND(Neutral Density)フィルターが用いられている。
【0151】
光量調整羽根98には一端部に軸挿入孔98aと一方向に長い作用孔98bとが形成されている(図23参照)。
【0152】
第2のセパレーター93は全体が屈曲されるように弾性変形され(図31参照)、弾性復帰されて取付用突部93f、93f、93fがそれぞれ取付溝89d、89d、89dに挿入されることによりベース体88の装着用凹部90に配置されて取り付けられる(図32参照)。第2のセパレーター93は、ベース体88に取り付けられた状態において装着用凹部90の前面に面接触される(図33参照)。このとき第2のセパレーター93の軸挿入孔93b、93cにそれぞれベース体88のフィルター用回動中心軸90b、シャッター用回動中心軸90cが挿入される。シャッター用回動中心軸90dは第2のセパレーター93の直ぐ外側に位置される。
【0153】
第2のセパレーター93の前面側に光量調整羽根98が支持される。光量調整羽根98は軸挿入孔98aにベース体88のフィルター用回動中心軸90bが挿入され、該フィルター用回動中心軸90bを支点としてベース体88に回動自在に支持される。
【0154】
光量調整羽根98がベース体88に支持された状態において、第1のセパレーター92がベース体88の配置用段差部90g、90g、90gに配置されて取り付けられる。従って、光量調整羽根98は第1のセパレーター92と第2のセパレーター93の間で両者に摺動しながら回動可能とされる。
【0155】
光量調整羽根98は上記のように減光用フィルター99の両面にシート部材100、100が貼着されて形成された3枚構成とされており、第1のセパレーター92と第2のセパレーター93の間での回動時における減光用フィルター99の傷付きや損傷の防止を図ることができる。
【0156】
尚、上記には、光量調整羽根98としてNDフィルターを用いた例を示したが、光量調整羽根98はNDフィルターに限られることはなく、第1のセパレーター92の透過孔92aより開口径が小さい絞り羽根であってもよく、また、絞り羽根とNDフィルターの組み合わせであってもよい。
【0157】
第1のセパレーター92がベース体88に取り付けられた状態において、シャッター羽根96、97がベース体88に回動自在に支持される。シャッター羽根96、97はそれぞれ軸挿入孔96a、97aにベース体88のシャッター用回動中心軸90c、90dが挿入され、該シャッター用回動中心軸90c、90dを支点として一部が重ねられた状態でベース体88に回動自在に支持される。
【0158】
シャッター羽根96、97がベース体88に支持された状態において、カバー板91がベース体88に取り付けられる。カバー板91は被取付用突片95、95、95の係合孔95a、95a、95aにそれぞれ係合爪89a、89a、89aが係合されることによりベース体88に取り付けられる。従って、シャッター羽根96、97はカバー板91と第1のセパレーター92の間で回動可能とされる。
【0159】
このとき、カバー板91の突起94i、94i、・・・が第1のセパレーター92の前面に接触し、カバー板91と第1のセパレーター92の間にシャッター羽根96、97の移動空間が確保される。尚、突起94i、94i、・・・はシャッター羽根96、97の移動軌跡となる部分以外の部分に設けられている。
【0160】
また、上記したように、カバー板91の第1の摺動突部94b、94bと第2の摺動突部94c、94cが異なる高さに形成されており、第1の摺動突部94b、94bにシャッター羽根97が摺動され、第2の摺動突部94c、94cにシャッター羽根96が摺動される。
【0161】
このように光量調整装置67にあっては、カバー板91の第1の摺動突部94b、94bと第2の摺動突部94c、94cを異なる高さに形成しているため、シャッター羽根96とシャッター羽根97を厚み方向において異なる位置に保持することができ、シャッター羽根96、97が回動時に干渉し難くシャッター羽根96、97の動作の円滑化を図ることができる。
【0162】
また、上記したように、第1の摺動突部94b、94bを軸挿入孔94fを中心とした円弧状に形成し、第2の摺動突部94c、94cを軸挿入孔94eを中心とした円弧状に形成しているため、回動時においてシャッター羽根96、97の第2の摺動突部94c、94c、第1の摺動突部94b、94bに対する摩擦抵抗が変化し難く、シャッター羽根96、97の動作の円滑化を図ることができる。
【0163】
尚、光量調整装置67にあっては、第1のセパレーター92と第2のセパレーター93の間に光量調整羽根98を配置し、第1のセパレーター92と第1の摺動突部94b、94b及び第2の摺動突部94c、94cを有するカバー板91との間にシャッター羽根96、97を配置するようにしている。
【0164】
このように摩擦抵抗の少ない側にシャッター羽根96、97を配置することにより、特に正確な回動動作を必要とするシャッター羽根96、97の動作が円滑となり、レンズ鏡筒3において行われる動作の信頼性の向上を図ることができる。
【0165】
ベース体88の後面には第1のアクチュエーター101と第2のアクチュエーター102が取り付けられる(図23参照)。
【0166】
第1のアクチュエーター101はヨーク部材103、該ヨーク部材103に保持されたコイル104及び駆動アーム106を有し、該駆動アーム106はベース部106aと該ベース部106aから前方へ突出されたアーム部106bとから成る。駆動アーム106のベース部106aには、着磁されたマグネット105が一体となり保持される。
【0167】
第2のアクチュエーター102はヨーク部材107、該ヨーク部材107に保持されたコイル108及び駆動アーム110を有し、該駆動アーム110はベース部110aと該ベース部110aから前方へ突出されたアーム部110bとから成る。駆動アーム110のベース部110aには、着磁されたマグネット109が一体となり保持される。
【0168】
第1のアクチュエーター101と第2のアクチュエーター102は、それぞれコイル104、108に流れる電流に応じてコイル104、108とマグネット105、109との間に推力が発生し、この推力によって駆動アーム106、110がコイル104、108に流れる電流の向きに応じた方向へ回動される。
【0169】
第1のアクチュエーター101と第2のアクチュエーター102は、ベース体88の周方向に離隔した位置に押さえ板111によって後方から押さえられて取り付けられる。押さえ板111は略蹄鉄状に形成され、例えば、ネジ止めによってベース体88に固定される。押さえ板111はベース体88の薄肉部88b以外の部分に固定される(図20及び図21参照)。
【0170】
第1のアクチュエーター101と第2のアクチュエーター102がベース体88に取り付けられた状態において、駆動アーム106のアーム部106bはベース体88の挿通孔90f、第2のセパレーター93の挿通孔93e、第1のセパレーター92の挿通孔92f、シャッター羽根96、97の作用孔96b、97b及びカバー板91の挿通孔94hを順に挿通され、また、駆動アーム110のアーム部110bはベース体88の挿通孔90e、第2のセパレーター93の挿通孔93d、光量調整羽根98の作用孔98b、第1のセパレーター92の挿通孔92e及びカバー板91の挿通孔94gを順に挿通される。
【0171】
第1のアクチュエーター101の駆動により駆動アーム106が回動されると、アーム部106bによって作用孔96b、97bの開口縁が押圧されシャッター羽根96、97がコイル104に流れた電流の向きに応じた方向へ回動され、第2のアクチュエーター102の駆動により駆動アーム110が回動されると、アーム部110bによって作用孔98bの開口縁が押圧され光量調整羽根98がコイル108に流れた電流の向きに応じた方向へ回動される。
【0172】
押さえ板111の後面には配線板112が取り付けられる(図4参照)。配線板112はコイル104、108に接続され、該コイル104、108に電源を供給する機能を有する。
【0173】
上記のようにして構成された光量調整装置67は、ベース体88の外周面に設けられた取付用突部89b、89b、89bがそれぞれベース枠68の取付枠部69b、69b、69bに係合されて中間可動ユニット66に取り付けられ、該中間可動ユニット66と光量調整装置67によって第2の可動ユニット65が構成される。
【0174】
上記したように、光量調整装置67においては、光量調整羽根98をベース体88に取り付けた第2のセパレーター93と第1のセパレーター92との間に位置させている。従って、ベース体88の透孔90aを第2のセパレーター93の透過孔93aより大きくすることができ、その分、ベース体88の後方に配置される部材、即ち、フォーカス移動ユニット28の保持アーム29を透孔90a内に挿入される位置まで移動させることが可能となり(図33参照)、レンズ鏡筒3の光軸方向における薄型化を図ることができる。
【0175】
また、第2のセパレーター93を弾性変形させて取付用突部93f、93f、93fを所謂食い切り形状として形成した取付溝89d、89d、89dに挿入することによりベース体88に取り付けるようにしているため、第2のセパレーター93のベース体88への取付が容易であると共に取付溝89d、89d、89dを容易に形成することができる。
【0176】
さらに、光量調整装置67にあっては、第2のセパレーター93の外周部にベース体88の取付溝89d、89d、89dに挿入されて取り付けられる複数の取付用突部93f、93f、93fを周方向に離隔して設けているため、第2のセパレーター93のベース体88に対する取付状態の安定化を図ることができる。
【0177】
加えて、光量調整装置67にあっては、カバー板91を金属材料によって形成してシャッター羽根96、97が摺動される第2の摺動突部94c、94cと第1の摺動突部94b、94bを設けているため、シャッター羽根96、97の動作時における摩擦力が小さく、動作の信頼性の向上及び消費電力の低減を図ることができる。
【0178】
第1の可動ユニット19は移動枠113にレンズ群114が保持されて成る(図4及び図6参照)。移動枠113は、図34及び図35に示すように、前後方向を向く板状の円環部115と該円環部115の外周縁に設けられた周面部116とから成り、該周面部116は円環部115から前方及び後方へ突出されている。
【0179】
移動枠113には、周面部116が円環部115から前方及び後方へ突出されることにより、前方に開口された前側凹部113aと後方に開口された後側凹部113bが形成される。
【0180】
円環部115の中心部には、レンズホルダー117を介してレンズ群114が取り付けられる。
【0181】
周面部116の外周面には外方へ突出された被案内部116a、116a、116aが周方向に離隔して設けられている。周面部116の内周面における円環部115より後側には、内方へ突出された被支持突条116b、116b、116bが周方向に離隔して設けられている。被支持突条116b、116b、116bは前後に延びるように形成されている。
【0182】
周面部116の後端部には後方に開口された挿入切欠116c、116c、116cが周方向に離隔して形成されている。
【0183】
第1の可動ユニット19は、移動枠113の周面部116の内周面に設けられた被支持突条116b、116b、116bがそれぞれ直進ガイド61のガイド突部63、63、63の摺動溝63a、63a、63aに摺動自在に支持されると共に周面部116の外周面に設けられた被案内部116a、116a、116aがそれぞれカム筒18の案内部18e、18e、18eに摺動自在に支持される。従って、第1の可動ユニット19はカム筒18の回転により被案内部116a、116a、116aの案内部18e、18e、18eに対する位置が変化され、直進ガイド61に案内されて前後方向(光軸方向)へ移動される。
【0184】
第1の可動ユニット19の前面側にはレンズバリヤー118が取り付けられる(図4及び図6参照)。レンズバリヤー118は一対の開閉部材119、119が円形ホルダー120に支持されて成り、開閉部材119、119が動作されることにより光路が開閉される。円形ホルダー120は前側部材120aと後側部材120bが前後で結合されて成る。
【0185】
レンズバリヤー118は円形ホルダー120の外周部が移動枠113の周面部116の前面に取り付けられ、開閉部材119が移動枠113の前側凹部113aに位置される。
【0186】
第1の可動ユニット19にレンズバリヤー118が取り付けられた状態において、移動枠113と円形ホルダー120の外面側に飾りリング121が取り付けられる。
【0187】
レンズ鏡筒3が上記のように構成された状態においては、図22に示すように、光軸方向から見て、直進ガイド61のガイド突部63、63、63間にそれぞれ光量調整装置67の第1のアクチュエーター101、光量調整装置67の第2のアクチュエーター102及びフォーカス移動ユニット28の保持アーム29のアーム部32が位置される。
【0188】
従って、光量調整装置67及びフォーカス移動ユニット28が光軸方向へ移動されるときに、第1の可動ユニット19と第2の可動ユニット65を光軸方向へ案内する直進ガイド61のガイド突部63、63、63と第1のアクチュエーター101、第2のアクチュエーター102及び保持アーム29が相互に干渉することがなく、配置スペースの有効利用による小型化を図ることができる。
【0189】
尚、第2の可動ユニット65のベース体88には薄肉部88bが形成されると共に押さえ板111は略蹄鉄状に形成されてベース体88の薄肉部88b以外の部分に固定され(図21参照)、保持アーム29が前方へ移動されるときにはアーム部32が薄肉部88bを形成するための切欠88aに挿入される。従って、第2の可動ユニット65とフォーカス移動ユニット28を支持する固定部材16とを近付けて配置することができ、レンズ鏡筒3の光軸方向における薄型化を図ることができる。
【0190】
また、光軸方向において、ブレ補正機構87の駆動用コイル85、85間に直進ガイド61の一つのガイド突部63(図22に示すガイド突部63A)が位置されるため、駆動用コイル85、85とガイド突部63Aの相互干渉が回避され、レンズ鏡筒3の一層の小型化を図ることができる。
【0191】
さらに、直進ガイド61のガイド突部63、63、63が周方向において略等間隔に設けられているため、第1の可動ユニット19と第2の可動ユニット65の光軸方向への移動時における動作の安定化を図ることができる。
【0192】
上記のように構成されたレンズ鏡筒3において、第1の可動ユニット19、第2の可動ユニット65及びフォーカス移動ユニット28が何れも後方側の移動端に位置されている状態が、装置本体2の内部に収納された沈胴位置とされる(図6参照)。沈胴位置においてはレンズ鏡筒3が装置本体2から前方へ突出されていない(図1参照)。
【0193】
沈胴位置(図6参照)から広角位置(図36参照)に至るときには、カム筒18が回転しながら前方へ移動され、直進ガイド61がカム筒18と一体となって前方へ移動される。カム筒18の回転により第1の可動ユニット19と第2の可動ユニット65が前方へ移動されるが、第1の可動ユニット19の前方への移動量は大きく第2の可動ユニット65の前方への移動量は小さい。
【0194】
広角位置から望遠位置(図37参照)に至るときには、カム筒18が前後方向へ移動されることなく回転される。カム筒18の回転により第2の可動ユニット65が第1の可動ユニット19に近付くように前方へ移動される。望遠位置においては、第2の可動ユニット65は、ベース枠68に設けられた被ガイド部69e、69e、69eがそれぞれ移動枠113に形成された挿入切欠116c、116c、116cに挿入され(図35参照)、一部を除いて第1の可動ユニット19の後側凹部113bの内部に位置される(図37参照)。
【0195】
フォーカス移動ユニット28は第1の可動ユニット19と第2の可動ユニット65とは別駆動により動作され、沈胴位置の状態から望遠位置の状態までの各状態において、フォーカスレンズ群30が光軸方向へ移動されることによりフォーカス機能が実行される。
【0196】
上記のように第1の可動ユニット19のレンズ群114、第2の可動ユニット65のレンズ群83及びフォーカス移動ユニット28のフォーカスレンズ群30はズーミングやフォーカシングが行われるときに光軸方向へ移動される可動レンズ群として用いられており、レンズ群114は第1のレンズ群として機能し、レンズ群83は第2のレンズ群として機能し、フォーカスレンズ群30は第3のレンズ群として機能する。尚、レンズ群114、レンズ群83及びフォーカスレンズ群30は、何れも複数のレンズの組み合わせでもよく、単体のレンズであってもよい。
【0197】
望遠位置から広角位置に至るときには、カム筒18が前後方向へ移動されることなく上記とは逆方向へ移動されて第2の可動ユニット65が第1の可動ユニット19から離隔するように後方へ移動され、広角位置から沈胴位置に至るときには、カム筒18が同じく逆方向へ回転しながら直進ガイド61と一体となって後方へ移動され、第1の可動ユニット19と第2の可動ユニット65が後方へ移動される。
【0198】
尚、第2の可動ユニット65のベース枠68にあっては、図35に示すように、外周面をカットして複数の平面状の部分に形成し、左側の面を左方を向く第1の平面部68Aとし、右斜め下方の面を右斜め下方を向く第2の平面部68Bとして形成している。
【0199】
第1の平面部68Aに合わせて一方の駆動用コイル85の長手方向を上下方向とすることにより、駆動用コイル85の有利な配置スペースを確保するようにしている。
【0200】
また、第1の補正用移動枠75の移動範囲の右端に合わせて第2の平面部68Bを形成しており、一方のホール素子84dを近傍に位置する駆動用コイル85に対して第2の平面部68B側(右側)に配置している。このように外形状が小さなホール素子84dを外形状の大きな駆動用コイル85より第2の平面部68B側に配置することにより、配置スペースの有効活用を図るようにしている。
【0201】
さらに、第2の可動ユニット65にあっては、左側に位置する駆動用コイル85によって第1の補正用移動枠75が第1のガイド軸73に案内されて左右方向へ移動され、下側に位置する駆動用コイル85によって第2の補正用移動枠82が第2のガイド軸80に案内されて上下方向へ移動される構成としている。このとき左側に位置する駆動用コイル85を近傍に位置するホール素子84dより第1のガイド軸73側に配置し、下側に位置する駆動用コイル85を近傍に位置するホール素子84dより第2のガイド軸80側に配置することにより、左右への移動を行うための駆動用コイル85と左右への案内を行うための第1のガイド軸73とが近付いて位置されると共に上下への移動を行うための駆動用コイル85と上下への案内を行うための第2のガイド軸80とが近付いて位置されるため、第1の補正用移動枠75と第2の補正用移動枠82に移動時のこじりが発生し難く、動作の円滑化を図ることができる。
【0202】
上記した最良の形態において示した各部の具体的な形状及び構造は、何れも本発明を実施する際の具体化のほんの一例を示したものにすぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されることがあってはならないものである。
【図面の簡単な説明】
【0203】
【図1】図2乃至図37と共に本発明の最良の形態を示すものであり、本図は、レンズ鏡筒が装置本体に収納されている状態で示す撮像装置の斜視図である。
【図2】レンズ鏡筒が装置本体から突出されている状態で示す撮像装置の斜視図である。
【図3】撮像装置を図1及び図2とは反対側から見た状態で示す斜視図である。
【図4】レンズ鏡筒の分解斜視図である。
【図5】レンズ鏡筒の拡大斜視図である。
【図6】沈胴位置にある状態を示すレンズ鏡筒の拡大断面図である。
【図7】固定部材とフォーカスモーターユニットとフォーカス移動ユニットを示す拡大分解斜視図である。
【図8】固定部材にフォーカスモーターユニットとフォーカス移動ユニットが支持された状態を示す拡大斜視図である。
【図9】固定環とカム筒と直進ガイドを示す拡大分解斜視図である。
【図10】ケース体の取付状態を示す拡大分解斜視図である。
【図11】ケース体とこれに取り付けられる各部材を示す拡大分解斜視図である。
【図12】ケース体の取付状態を示す拡大断面図である。
【図13】図14乃至図16と共に中間可動ユニットを示すものであり、本図は、全体の分解斜視図である。
【図14】ベース枠に第1の補正用移動枠が支持されている状態を示す拡大分解斜視図である。
【図15】ベース枠に第1の補正用移動枠及び第2の補正用移動枠が支持されている状態を示す拡大分解斜視図である。
【図16】外ヨークと他の部材を分解して示す拡大斜視図である。
【図17】第1の補正用移動枠の拡大断面図である。
【図18】図19と共に第1の補正用移動枠の成形の手順を示すものであり、本図は、第1の金型と第2の金型が突き合わされてキャビティーに溶融樹脂が充填さた状態を示す拡大断面図である。
【図19】第1の金型と第2の金型が離型されて第1の補正用移動枠が成形された状態を示す拡大断面図である。
【図20】中間可動ユニットと光量調整装置を分離して示す拡大斜視図である。
【図21】第2の可動ユニットの拡大斜視図である。
【図22】直進ガイドのガイド突部と他の各部との位置関係を示す概略拡大正面図である。
【図23】光量調整装置の分解斜視図である。
【図24】光量調整装置の拡大斜視図である。
【図25】ベース体の拡大斜視図である。
【図26】ベース体の拡大断面図である。
【図27】図28と共にベース体の成形の手順を示すものであり、本図は、第1の金型と第2の金型が突き合わされてキャビティーに溶融樹脂が充填さた状態を示す拡大断面図である。
【図28】第1の金型と第2の金型が離型されてベース体が成形された状態を示す拡大断面図である。
【図29】カバー板とシャッター羽根を示す拡大分解斜視図である。
【図30】光量調整羽根の拡大分解斜視図である。
【図31】ベース体に第2のセパレーターが取り付けられる前の状態を示す拡大断面図である。
【図32】ベース体に第2のセパレーターが取り付けられた状態を示す拡大断面図である。
【図33】光量調整羽根の概略拡大断面図である。
【図34】移動枠とベース枠を示す拡大分解斜視図である。
【図35】移動枠とベース枠と他の各部との位置関係を示す概略拡大正面図である。
【図36】広角位置にある状態を示すレンズ鏡筒の拡大断面図である。
【図37】望遠位置にある状態を示すレンズ鏡筒の拡大断面図である。
【符号の説明】
【0204】
1…撮像装置、2…装置本体、3…レンズ鏡筒、30…フォーカスレンズ群(レンズ群)、67…光量調整装置、83…レンズ群、88…ベース体、89d…取付溝、90a…透孔、91…カバー板、92…第1のセパレーター、92a…透過孔、93…第2のセパレーター、93a…透過孔、93f…取付用突部、94b…第1の摺動突部、94c…第2の摺動突部、96…シャッター羽根、97…シャッター羽根、98…光量調整羽根、101…第1のアクチュエーター、102…第2のアクチュエーター、114…レンズ群、600…第1の金型、601…取付溝形成用突部、700…第2の金型、701…取付溝形成用突部、800…キャビティー、900…溶融樹脂

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過孔を有するカバー板と、
シート状に形成され透過孔を有する第1のセパレーターと、
弾性変形可能なシート状に形成されると共に第1のセパレーターを挟んでカバー板の反対側に位置され透過孔を有する第2のセパレーターと、
カバー板と第1のセパレーターの間で移動可能とされ光量を調整する第1の光量調整羽根と、
第1のセパレーターと第2のセパレーターの間で移動可能とされ光量を調整する第2の光量調整羽根と、
カバー板、第1のセパレーター及び第2のセパレーターが取り付けられると共に第2のセパレーターの透過孔より大きな径に形成された透孔と第2のセパレーターを取り付け透孔側に開口された取付溝とを有するベース体と、
第1の光量調整羽根を動作させる第1のアクチュエーターと、
第2の光量調整羽根を動作させる第2のアクチュエーターとを備え、
ベース体を透孔の貫通方向に離型される第1の金型と第2の金型を用いた射出成形によって成形し、
第1の金型と第2の金型のそれぞれに、互いに近付く方向へ突出されキャビティーに溶融樹脂が充填される金型同士の突き当て時に接触する取付溝形成用突部を設けて取付溝を形成し、
弾性変形させた第2のセパレーターを弾性復帰させて外周部の少なくとも一部を取付溝に挿入し、第2のセパレーターを透孔より第2の光量調整羽根側に位置させると共に透孔の内側に透過孔を位置させるようにしてベース体に取り付けるようにした
ことを特徴とする光量調整装置。
【請求項2】
第2のセパレーターの外周部にベース体の取付溝に挿入されて取り付けられる複数の取付用突部を周方向に離隔して設けた
ことを特徴とする請求項1に記載の光量調整装置。
【請求項3】
第1の光量調整羽根として一対のシャッター羽根を用い、
第2の光量調整羽根に減光用フィルターを用い、
カバー板を金属材料によって形成し、
カバー板に第1の光量調整羽根が摺動される摺動突部を設けた
ことを特徴とする請求項1に記載の光量調整装置。
【請求項4】
カバー板の摺動突部として突出量が異なり一対のシャッター羽根にそれぞれ摺動される第1の摺動突部と第2の摺動突部を設けた
ことを特徴とする請求項3に記載の光量調整装置。
【請求項5】
シャッター羽根をベース体に回動可能に支持し、
カバー板の摺動突部をシャッター羽根の回動中心を中心とした略円弧状に形成した
ことを特徴とする請求項3に記載の光量調整装置。
【請求項6】
内部に所定のレンズ群が配置されたレンズ鏡筒と該レンズ鏡筒を支持する装置本体とを備え、レンズ鏡筒にレンズ群を介して取り込まれる光の量を調整する光量調整装置が組み込まれた撮像装置であって、
光透過孔を有するカバー板と、
シート状に形成され透過孔を有する第1のセパレーターと、
弾性変形可能なシート状に形成されると共に第1のセパレーターを挟んでカバー板の反対側に位置され透過孔を有する第2のセパレーターと、
カバー板と第1のセパレーターの間で移動可能とされ光量を調整する第1の光量調整羽根と、
第1のセパレーターと第2のセパレーターの間で移動可能とされ光量を調整する第2の光量調整羽根と、
カバー板、第1のセパレーター及び第2のセパレーターが取り付けられると共に第2のセパレーターの透過孔より大きな径に形成された透孔と第2のセパレーターを取り付け透孔側に開口された取付溝とを有するベース体と、
第1の光量調整羽根を動作させる第1のアクチュエーターと、
第2の光量調整羽根を動作させる第2のアクチュエーターとを備え、
ベース体を透孔の貫通方向に離型される第1の金型と第2の金型を用いた射出成形によって成形し、
第1の金型と第2の金型のそれぞれに、互いに近付く方向へ突出されキャビティーに溶融樹脂が充填される金型同士の突き当て時に接触する取付溝形成用突部を設けて取付溝を形成し、
弾性変形させた第2のセパレーターを弾性復帰させて外周部の少なくとも一部を取付溝に挿入し、第2のセパレーターを透孔より第2の光量調整羽根側に位置させると共に透孔の内側に透過孔を位置させるようにしてベース体に取り付けるようにした
ことを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【公開番号】特開2008−170794(P2008−170794A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−4737(P2007−4737)
【出願日】平成19年1月12日(2007.1.12)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】