光電変換装置の製造方法および光電変換装置
【課題】支持体の各凹部内に単体の球状光電変換素子を収容する方式の太陽電池において、所定位置に球状素子を正確かつ確実に固定し、さらに球状素子の半導体と導電体層間を低抵抗で電気的接続ができる製造法を提供する。
【解決手段】球状の第1半導体を被覆する第2半導体層の一部から露出させた面に電極を形成した球状素子を、第1導電体層である支持体の凹部に、電極が支持体の裏側に突出するように位置決めし、支持体の凹部の底部の孔周辺部に塗布した導電性ペーストの熱処理により固定する。支持体の裏面側に電気絶縁体層を形成し、電気絶縁体層から露出する電極を相互に連結するように塗布した導電性ペーストを熱処理して第2導電体層を形成する。
【解決手段】球状の第1半導体を被覆する第2半導体層の一部から露出させた面に電極を形成した球状素子を、第1導電体層である支持体の凹部に、電極が支持体の裏側に突出するように位置決めし、支持体の凹部の底部の孔周辺部に塗布した導電性ペーストの熱処理により固定する。支持体の裏面側に電気絶縁体層を形成し、電気絶縁体層から露出する電極を相互に連結するように塗布した導電性ペーストを熱処理して第2導電体層を形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、球状の光電変換素子を実装した光電変換装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からの代表的な光電変換装置として、結晶シリコン半導体ウエハからなる光電変換素子を用いた結晶シリコン太陽電池がある。この太陽電池では、単結晶インゴットを製造するための工程ならびに単結晶インゴットから半導体ウエハを製造するまでのカッティング、スライシングおよびポリッシングなどの工程が繁雑であるためコストが高くなる。さらにカッティング、スライシングおよびポリッシングなどの工程で生じる結晶の切削屑が多く、原料の約50%以上が無駄になる。
【0003】
この問題を解決するため、アモルファスシリコン(a−Si)薄膜からなる半導体層を用いたa−Si太陽電池が開発されている。この太陽電池は、プラズマ化学気相成長法によって光電変換層を薄膜状に形成するので、前記のカッティング、スライシングおよびポリッシングなどの工程が不要であり、堆積した膜の全てを素子の活性層として用いることができる。その反面、この太陽電池にはアモルファス構造に起因して光電変換効率が経時的に低下する問題がある。これを解決するために、水素化処理による不活性化技術などが検討されているが、前記の問題を解消することは不可能である。そのため、a−Si太陽電池では、依然として光電変換効率が数年間で15〜25%程度劣化するという問題を残している。
【0004】
上記の問題を解決するため、球状のp型半導体にn型半導体層を被覆した球状光電変換素子(以下、球状素子で表す)を用いた球状太陽電池が検討されている。これに関しては、例えば、穴のあいた偏平なアルミニウム(Al)箔にシリコン(Si)の球状素子を埋込み、そのAl箔の裏面から、n型半導体層をエッチングして内部のp型半導体を露出させ、露出したp型半導体を、もう1つのAl箔に接続して構成したソーラ・アレーが開示されている(特許文献1参照)。
【0005】
この提案は、直径1mm前後の小さな球状素子を用いることにより、光電変換部全体の平均厚みを薄くして、高純度Siの使用量を軽減しようとするものである。この球状太陽電池は反射光を活用しない方式なので、モジュールの受光面当たりの変換効率を向上させるために、球状素子を相互に近接して配置する必要がある。そのため、球状素子とAl箔との接続作業が繁雑な上に、極めて多数の球状素子が必要となり原価を低減させる効果が少ない。さらに、上記と類似の球状太陽電池が提案されているが、いずれも反射光を活用しないか、多数配列された球状素子のブロック全体に反射光を照射する構造を採っている(特許文献2および3参照)。従って、前記特許文献1の場合と同様に、多数の小径の球状素子を密に敷き詰める必要があり、原価を低減させる効果が少ない。
【0006】
この問題を解決するため、支持体に多数の凹部を設け、各凹部に単体の球状素子を収容する方式の太陽電池が提案されている。この球状太陽電池は、凹部内面を反射鏡として作用させ、集光率を高めることで球状素子一個当りの出力を高め、Siの消費量低減を図るものである(特許文献4、5、および6参照)。これらの太陽電池はマイクロ集光型または低集光型の球状太陽電池と呼ばれている。
【0007】
マイクロ集光型球状太陽電池の1例を図20に示す。Al箔製の第1導電体層100、電気絶縁体層101およびAl箔製の第2導電体層102からなる三層構造の支持体103に凹部104が形成され、各凹部104内に球状素子105が配置されている。球状素子105の表面層の第2導電型半導体層(以下、第2半導体層で表す)106の一部はエッチングにより除去され、中心部の球状の第1導電型半導体107(以下、第1半導体で表す)の一部に露出部108が形成されている(特許文献5参照)。
【0008】
この提案では、各凹部に球状素子が収容された支持体に弾性体を重ね合わせて球状素子を押圧することで、第2半導体層の外周部を第2導電体層の開口部に嵌め込むと同時に第1半導体の露出部分を第1導電体層と接合させる。さらに、この加圧状態のまま、約150℃で1時間加熱し、さらに、200〜300℃で30分間〜1時間、無酸素雰囲気中にて焼結処理が行われる。これらの加圧および加熱処理により、第1導電体層と第1半導体、および第2導電体層と第2半導体層との電気的接続を果たそうとするものである。しかし、実際には、上記のように導電体層と半導体との直接的な接触、あるいは、これに上記のような低い温度で加熱処理を施したのみでは、接触抵抗とそのバラツキも大きく、太陽電池の変換効率向上の大きな妨げになる。
【0009】
Al箔製の導電体層とSi半導体とを直接的に接合させた状態で良好な電気的接続を得るために、例えば特許文献1では、500〜577℃で熱処理を行うことにより接合部にAlとSiの合金層を形成する方法が提案されている。しかし、この高温での熱処理に耐える電気絶縁体層の樹脂材料の選択が困難である。そのため、樹脂製電気絶縁体層と一体化された支持体の凹部内に球状素子を配置する工程を有する太陽電池の製造方法には、上記の熱処理を適用することは不適切である。また、第2半導体層は厚み0.5μm以下の薄層であるため、高温での熱処理時に導電体層のAlが第2半導体層を突き抜け、短絡現象を引き起こすので、開放電圧および曲線因子等の大幅な低下を招く。
【0010】
上記の問題を解決するために、本発明者らは、予め第1半導体の露出部および第2半導体層の外周部にそれぞれ電極を形成する方法を提案している(特許文献7参照)。これは、支持体に球状素子を配置する以前に高温の熱処理が必要な電極形成を行い、球状素子を支持体に配置した後に電極と導電体層とを半田などの導電材により比較的低温で電気的に接続するものである。これにより、電気絶縁体層にダメージを与えることなく、半導体と導電体層を電気的に接続すると同時に球状素子を所定位置に固定しょうとするものである。
【0011】
この提案において第1半導体側の電極は、平面部に円形の導電層を形成すれば良いので、比較的容易に形成することができる。しかし、第2半導体側電極は、微小な球状素子の第2半導体層の開口部周辺の曲面の同一円周上に正確に位置決めして、極めて微細な導電層を形成する必要がある。その方法として、インクジェット法やディスペンサー法により導電性ペーストを塗布し熱処理する方法が提案されている。しかし現状技術では、正確なパターンの電極層を高速で形成することは困難であり、この方式により球状太陽電池を量産する上での妨げになっている。
【0012】
上記提案における支持体は、球状素子を収納する凹部を形成した第2導電体層と、その裏面側に結合した樹脂製の電気絶縁体層からなる二層構造になっている。従って、もし、予め第1半導体側の電極が形成されていないならば、第2半導体層と第2導電体層を接続する工程での熱処理により、電気絶縁体層が軟化や変形などのダメージを受けることを回避できない。
【0013】
また、二層構造の支持体は、例えば、金属製の厚板を切削加工して底部に開口部を有する複数の凹部を形成した本体部と、所定ピッチで孔が形成された電気絶縁体シートとを重ね合わせて、一体化して作製される。しかし、実際には、接着や熱圧着などにより両者を一体化する過程において、樹脂製の電気絶縁体シートが変形するため、孔のピッチや寸法形状が変化して位置ずれが起こり易く、精度良く支持体を製作することは困難である。図20に示した三層構造の支持体においても二層構造の支持体と同様の問題がある。
【0014】
さらに、球状太陽電池では、極めて多数の球状素子の全てを支持体の個々の凹部内に正確かつ迅速に位置決めすることが非常に重要な課題であるが、適切な解決手段が見出されていない。また、位置決めされた球状素子を固定する方法として、底部を第2導電体層の開口部に嵌め込み、さらにその状態で加熱する方法などが提案されているが、その効果は必ずしも十分ではない。そのため、光電変換装置を高速で製造することができず、さらに製造中および取り扱い時に球状素子の位置ずれが発生し易い。この位置ずれにより、第1半導体と第2半導体層との短絡、半導体と導電体層との電気的接続不良、および支持体の凹部内面での反射光の集光効率低下などが多発するという問題が残っている。
【特許文献1】特公平7−54855号公報
【特許文献2】国際公開公報WO98/15983
【特許文献3】特開2001−339086号公報
【特許文献4】特開平11−031837号公報
【特許文献5】特開2002−050780号公報
【特許文献6】特開2002−164554号公報
【特許文献7】特開2004−063564号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、多数の凹部を設けた支持体の各凹部内に単体の球状素子を収容する方式の球状太陽電池の上記問題点を解決するものである。本発明は、電気絶縁体層や支持体が工程中にダメージを受けることをなくし、前記各凹部内の所定位置に球状素子を正確に位置決めして確実に固定し、さらに球状素子の半導体と導電体層間を低抵抗で電気的に接続できる光電変換装置の製造方法を提供することを目的とする。さらに、高品質かつ高信頼性の光電変換装置を製造し、提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の光電変換装置の製造方法は、(1)球状の第1半導体およびその表面を被覆する第2半導体層からなり、前記第2半導体層が前記第1半導体の一部を露出させる開口部を有する複数のほぼ球状の光電変換素子を用意する工程、(2)前記第1半導体の露出部に電極を形成する工程、(3)前記光電変換素子を内部に配置するための隣接する複数の凹部を有し、前記凹部が底部に前記第2半導体層の開口部より大きい孔を有する支持体であって、前記凹部に配置される各光電変換素子の第2半導体層と電気的に接続される第2導電体層を兼ねる支持体を用意する工程、(4)前記第2半導体層が前記孔の縁部に接し、前記第1半導体の露出部が前記支持体の裏面側に位置するように、前記光電変換素子を前記凹部内に位置決めする工程、(5)前記光電変換素子を前記位置決めされた位置に固定するとともに前記光電変換素子の第2半導体層を前記第2導電体層に電気的に接続する工程、(6)前記光電変換素子が固定された支持体の裏面側に、前記電極の少なくとも一部が露出する電気絶縁体層を形成する工程、および、(7)前記支持体に固定された光電変換素子の電極を電気的に並列に接続する第1導電体層を形成する工程を有することを特徴とするものである。
【0017】
本発明の光電変換装置の製造方法の工程(5)は、孔の縁部もしくはその周辺部に導電性ペーストを塗布する工程、および、塗布された導電性ペーストを加熱して固化させる工程を含むことが好ましい。この場合、孔の縁部もしくはその周辺部に導電性ペーストを塗布する工程は工程(4)に先立って行うことがさらに好ましい。さらに、工程(7)は、複数の光電変換素子のそれぞれの電極を相互に繋ぐように電気絶縁体層上に導電性ペーストを塗布し、加熱して固化させることにより第1導電体層を形成する工程を含むことが好ましい。
【0018】
本発明の光電変換装置の製造方法の工程(6)は、支持体の裏面側のほぼ全面に電気絶縁体層を形成する工程、および電気絶縁体層に、各電極の少なくとも一部を露出させる孔を形成する工程からなることが好ましい。
【0019】
本発明の光電変換装置は、球状の第1半導体およびその表面を被覆する第2半導体層からなり、第2半導体層が第1半導体の一部を露出させる開口部を有し、前記第1半導体の露出部に電極が形成されたほぼ球状の複数の光電変換素子、前記光電変換素子を個々に取り付ける複数の凹部を有し、前記第2半導体層と電気的に接続される第2導電体層を兼ねる支持体であって、前記凹部が、前記第2半導体層の開口部より大きい孔を底部に有する支持体、前記支持体の裏面側に各電極を露出させるように形成された電気絶縁体層、並びに、前記電極を電気的に並列に接続する第1導電体層を含み、前記光電変換素子は、その第2半導体層が熱処理により固化された導電性ペーストによって前記支持体の前記孔の縁部に電気的に接続されて前記支持体に物理的に固定され、前記第1導電体層が熱処理により固化された導電性ペーストからなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明の製造方法により、電気絶縁体層や支持体にダメージを与えることがなくなり、球状太陽電池の支持体の凹部内の所定位置に多数の球状素子を正確に位置決めして確実に固定し、かつ球状素子の半導体と導電体層間を低抵抗で電気的に接続することができる。これにより、高品質、高信頼性の光電変換装置を工業的規模で供給することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明は、従来技術、特に前記の本発明者らの特許文献7による提案の利点を取り入れ、かつ問題点を解決する手法を見出すことにより完成し、高品質、高信頼性を備えた球状太陽電池を製造することを可能にしたものである。本発明における球状素子は、第1半導体側のみに予め電極を形成することを不可欠とするが、第2半導体側には、必ずしも電極形成を必要としない。球状素子に予め第1半導体側電極を形成することにより、後の工程において、電気絶縁体層および支持体(第1導電体層)などがダメージを受けるような高温に曝されることを回避できる。
【0022】
第1半導体はそれ自体の不純物濃度が低く高抵抗であるため、第1導電体層と低抵抗で電気的接続するには、前記のように半導体層とAlが直接に接した状態で高温下の熱処理を行うか、導電性の優れた電極を介して接続することが不可欠である。第1半導体側電極を形成するためには、例えば、ガラスフリットをバインダーとするガラスフリット型導電性ペーストを塗布し、これに550〜750℃、好ましくは650〜750℃で熱処理を施す必要がある。しかし、このような高温下では、樹脂製の電気絶縁体層に止まらず、導電体層の一般的材料であるAlですらも、変形・変質・破損などのダメージを受ける。この問題は、球状素子を支持体に位置決めする以前に第1半導体側電極を形成することによって解決される。
【0023】
一方、本発明において予め第2半導体側電極を形成することを必ずしも必要としない理由は、第1半導体と異なり、第2半導体層は不純物が高濃度に拡散されているので低抵抗であることに起因する。第2半導体層とAlなどからなる第2導電体層とは、例えば熱硬化性樹脂をバインダーとする樹脂型導電性ペーストを介し、100〜200℃程度の比較的低い温度で熱処理することにより、低抵抗で電気的に接続される。低融点ガラスフリットをバインダーとする低温ガラスフリット型導電性ペーストを用いても、550℃以下の熱処理で良好な電気的接続が得られ、導電体層にダメージを与えることもない。
【0024】
従って、予め球状素子に第2半導体側電極を形成せずとも、支持体内に位置決めされた
球状素子の第2半導体層を、例えば、第2導電体層の所定箇所に塗布された導電性ペーストで繋ぎ、これを熱処理することにより、支持体にダメージを与えることなく、第2半導体層と第2導電体層を電気的に接続し、同時に球状素子を支持体内の所定位置に固定することができる。
【0025】
本発明における支持体は、少なくとも受光面側の表面が導電性を有し、第2導電体層として機能する。この支持体は電気絶縁体層と分離したものであり、第2半導体層と第2導電体層とを接続する場合の熱処理によりダメージを受ける懸念がない。一方、従来の二層もしくは三層構造の支持体を用いた場合には、支持体の凹部に位置決めされた球状素子が、電気絶縁層の熱変形により位置ずれを起こし、内部短絡や電気的接続不良を引き起こすことになる。さらに本発明では、上記の熱処理工程の後に電気絶縁体層を形成するので、熱変形させることなく高精度なパターンで電気絶縁体層を形成することができる。
【0026】
また、樹脂型導電性ペーストを用いて比較的低温で熱処理を行う場合には従来の二層もしくは三層構造の支持体を用いても、電気絶縁体層がダメージを受ける懸念が少ないが、高精度の支持体が製作できないという問題が残る。支持体に所期の寸法精度が得られない場合には、所定の位置に球状素子を位置決めすることが困難になる。本発明による電気絶縁体層と分離した支持体は高精度で製作することが容易であり、熱変形の懸念がないので、上記の問題は全て解決される。
【0027】
本発明における球状素子を支持体の凹部に位置決めする工程の好ましい実施形態の一例は、第1半導体側電極またはその周辺部に、他の部位よりも強い磁性を備えさせ、この球状素子に所定方向から磁場を印加することである。この方法により、多数の球状素子を所定方位に一斉に配列させることができ、正確かつ迅速に球状素子を所定位置に位置決めすることができる。
【0028】
位置決めされた球状素子は、例えば、支持体の凹部の底部に印刷法などで高速で塗布した導電性ペーストを熱処理することにより、迅速かつ確実に固定し、同時に第2半導体層と第2導電体層との確実な電気的接続が得られる。この場合、比較的低い温度での熱処理で十分な導電性が得られる樹脂型導電性ペーストあるいは低温ガラスフリット型導電性ペーストを用いることにより、支持体(第2導電体層)が変質もしくは変形することはない。
【0029】
本発明では、支持体の背面側に配したAl箔などの導電性シートからなる第1導電体層を電気絶縁体層を介して半田や導電性ペーストなどにより電極と繋ぐという従来法と異なり、好ましい方法として、固化させた導電性ペーストそのものから第1導電体層を形成する方法が含まれている。この方法では、支持体に固定された複数の球状素子のそれぞれの第1半導体側電極を繋ぐように導電性ペーストを塗布し、これを熱処理することにより、第1導電体層を形成する。通常は、樹脂型導電性ペーストを用いて比較的低温で熱処理すればよく、エポキシ系樹脂などからなる電気絶縁体層がダメージを受けることはない。この方法によれば、部品点数が削減され、印刷法やスプレー法などで導電性ペーストを所定のパターンで比較的高速で塗布できるので、生産性を高めることができる。
以下、本発明の光電変換装置の製造方法の各工程について詳細に説明する。
【0030】
1)工程(1)
本工程では、球状の第1半導体およびその表面を被覆する第2半導体層からなり、第2半導体層から第1半導体の一部を露出させたほぼ球状の光電変換素子を用意する。球状の第1半導体は、例えば、極微量のホウ素を含むp型多結晶Si塊を坩堝内に供給して不活性ガス雰囲気中で溶融させ、この融液を坩堝底部の微小なノズル孔から滴下させ、その液滴を自然落下中に冷却して固化させることにより、多結晶または単結晶の球状のp型半導体として作製することができる。
【0031】
球状のp型半導体の表面を研磨し、さらにエッチングなどにより表面層の約50μmを除去した後、例えば、オキシ塩化リンを拡散源として800〜950℃で10〜30分間熱処理する。これにより、p型半導体の表面に燐を拡散させた厚さ約0.5μm程度のn型半導体層を第2半導体層として形成する。n型半導体層は、フォスフィンを含むシランなどの混合ガスを用いたCVD法によっても形成することができる。
【0032】
第2半導体層を形成後、第2半導体層上に反射防止膜を形成しても良い。この場合には、後の工程(5)において、第2半導体層と支持体(第2導電体層)とを反射防止膜を介して電気的に接続することになる。従って、本発明における反射防止膜は導電性を有することが必要であり、例えば、溶液析出法、霧化法あるいはスプレー法などで形成したZnO、SnO2 およびITO(In2O3−Sn)などを主体とする薄膜を用いることができる。
【0033】
上記のように第2半導体層を形成し、必要に応じて反射防止膜を形成後、その一部を例えばグラインディングなどで研削して除去することにより、第2半導体層に開口部を形成し、第1半導体の一部を露出させる。この方法で加工した球状素子の縦断面図を図1に示し、図2にその底面図を示す。第2半導体層2で被覆された球状の第1半導体1の一部が切除され、平滑な切断面の外周部に第2半導体層の開口部3が形成され、その内側に第1半導体層の円形の露出部4が形成されている。
【0034】
開口部は、球状素子の表面の一部を残してパラフィンなどでマスキングし、エッチング処理によりマスキング部分以外の第2半導体層を除去する方法によっても形成できる。図3はこの方法による球状素子の縦断面図であり、第2半導体層2の開口部13の内側に第1半導体1の露出部14が形成されている。第2半導体層2は非常に薄いため、球状素子の外形は加工前後で殆ど変わらず、露出部14の表面は第1半導体1とほぼ同じ形状の曲面を有する。
【0035】
第1半導体は、真球であることが好ましいが、ほぼ球状であればよい。他の実施形態では、第1半導体は、芯体の外周面に第1半導体層が被覆されたものであってもよく、第1半導体の中心付近が空洞であってもよい。球状素子の直径は、好ましくは0.8〜1.2mmであり、0.5〜2mmであってもよい。これによって高純度Si等の高価な材料の使用量が充分に少なく、発生電力が大きく、しかも取り扱いが容易な球状素子が得られる。例えば図1の球状素子の中心点から開口部の外周部を結んだ中心角θは、45〜90°であればよく、60〜90°が好ましい。これにより、切削による廃棄材料の量を充分に低減した上で、第1半導体と第1導電体層の電気的接続に必要な適切な開口部面積が得られる。
【0036】
上記の実施形態では、第1半導体がp型半導体であり、第2半導体層がn型半導体層である球状素子を例示したが、第1半導体がn型半導体であり、第2半導体層がp型半導体層であっても良い。上記の実施形態では結晶Si半導体からなる球状素子を例示したが、化合物半導体その他の材料からなってもよく、単結晶、多結晶以外に、アモルファス材料からなってもよい。また、第1半導体と第2半導体層の界面にノンドープ層を形成したpin形構造のものの他に、MIS形、ショットキーバリヤ形、ホモ接合形、およびヘテロ接合形などの構成を有していてもよい。
【0037】
2)工程(2)
本工程では、球状素子の第1半導体の露出部に電極を形成する。第1半導体側電極は、例えば、第1半導体の露出部に導電性ペーストを塗布し、熱処理することにより形成することができる。第1半導体がp型半導体である場合には、一般的に、Al粉もしくはこれにAg粉などを混合した導電材を分散させたガラスフリット型導電性ペーストが用いられる。第1半導体がn型半導体である場合には、燐化合物とAg粉の混合物を導電材として用いるのが好ましい。これらの場合、所望の形状に導電性ペーストを塗布し、100℃前後で約10分程度乾燥させた後、650〜750℃で10分間程度の熱処理をすれば良好な導電層(電極)を形成できる。前記事由により、上記の高温での熱処理工程は、球状素子を支持体に配置した後には実施できない。
【0038】
上記の熱処理により、導電性ペースト中の導電材が第1半導体に拡散して合金層が形成され、同時に溶融したガラスフリットがバインダーとなって電極が形成される。この合金層の作用により第1半導体と電極の接合部の接触抵抗が小さくなる。図4は、図1の球状素子の第1半導体の露出部に円形の電極を形成した球状素子の縦断面図であり、図5はその底面図である。電極5は、図1の球状素子の第1半導体の露出部4の中央部に、導電性ペーストを直径約300μmの円形部分にディスペンサーにより2ドット/秒の速度で塗布し、約700℃で熱処理して形成できる。導電性ペーストの塗布方法は、スクリーン印刷、オフセット印刷もしくはインクジェット法で行うこともできる。電極の形状は特に限定せず、円形以外に、楕円形、多角形、リング状あるいは点の集合などであっても良い。
【0039】
工程(4)の説明の中で後述するように、球状素子を支持体の凹部の所定位置により正確かつ迅速に位置決めするために、第1半導体側電極そのもの、その上部もしくは周辺部に、他の部位より強い磁性を付与することが有効である。磁性を付与された電極は、ガラスフリット型導電性ペーストにNi、Feなどの強磁性体材料の粉末を添加したペーストを用いて、図4の球状素子の電極と同じ方法によって、同形状の電極を形成することができる。
【0040】
電極の上部もしくは周辺部に強い磁性を付与する方法としては、それらの部位に強磁性体材料を含む磁性体層を形成すればよい。磁性体層は、例えば、Ni、Feなどの導電性を有する強磁性体材料の粉末および必要に応じてAgなどの導電剤を有機溶剤や熱硬化性樹脂などに分散させた磁性体部形成用ペーストを、ディスペンサーなどにより、電極の上面、あるいは周囲に塗布し、熱処理することで形成することができる。図6に、図4の球状素子の電極の上面に磁性体層6を形成した球状素子7の縦断面を示す。
【0041】
3)工程(3)
本工程では、工程(2)で用意した球状素子を内部に配置するための多数の凹部を有し、球状素子の第2半導体層と電気的に接続される第2導電体層を兼ねる支持体を用意する。この支持体の代表例として、厚さ0.2mmのAl薄板をプレス加工して作製した支持体の部分的な平面図を図7に示し、図8にその8−8線の断面図を示す。支持体15の凹部16は蜂の巣状に形成されその開口端は六角形である。各開口端は相互に隣接し、凹部16は底になるほど狭くなっている。凹部16の底部に形成された孔17は球状素子の第1半導体の露出部4よりやや大きい。孔は円形であってもその他の形状であってもよいが、第1半導体の露出部と相似形であることが好ましい。
【0042】
後の工程(5)において第2半導体層と支持体の凹部の底部を接続させることにより、支持体は第2半導体側導電体(第2導電体層)として機能し、各球状素子の第2半導体層を電気的に並列に接続する役割を果たす。そのため、本発明における支持体の少なくとも受光面側は導電性を有することを必要とする。
【0043】
支持体に耐熱性が乏しい材料を用いると、球状素子を位置決めした後の熱処理工程などによって変形あるいは変質し易いので、本発明では金属などの耐熱性を確保できる支持体用材料を使用することが好ましい。支持体の主材料としては、加工性、導電性、フレキシブル性およびコスト等を総合するとAlが好ましいが、Cu、ステンレス鋼およびNiなどの他の導電性材料であっても良い。導電性および反射性に優れたAgなどのメッキ層を表面に形成することにより、導電体層あるいは反射鏡としての機能を高めることもできる。
【0044】
図7の支持体以外に、図9〜11に例示するような様々な形態の支持体を使用できる。図9の支持体は、底部に孔27を有する多数の凹部26を形成した、Al製あるいはステンレス鋼製の基板部25をプレス加工等により作製し、少なくとも凹部26の内面に、メッキもしくは真空蒸着などによりAgなどの反射鏡層29を形成したものである。反射鏡層29の作用により、太陽電池の出力電流を大幅に増大させることができる。入射光を有効に球状素子に集光するために、各凹部の開口部の稜線部23はできるだけ狭いことが好ましい。
【0045】
図10の支持体は、孔37を有する多数の凹部36をプレス加工あるいは切削加工等により形成した厚み約1.0mmのAl製の支持体35である。支持体の底面32は必ずしも平坦である必要はなく、凹凸状であっても良い。支持体の凹部の内面は機械研磨などで鏡面化されている。鏡面化研磨の代わりに、メッキもしくは真空蒸着などでAgなどの反射鏡層を形成しても良い。
【0046】
後の工程における熱処理温度が比較的低い場合には、高融点を有する比較的耐熱性が優れた樹脂材料と金属材料を複合させた支持体を用いることができる。図11の支持体は、孔47を有する多数の凹部46を成型加工により形成した樹脂製の基板部45とその表面に形成された金属薄膜44(第2導電体層)からなっている。凹部内面の金属薄膜44は反射鏡層49としても作用する。支持体の底部43は特に平坦である必要はなく、凹凸があっても良い。基板部45の材料としては、アクリル樹脂、ポリカーボネイト樹脂およびABC樹脂などを使用できるが、長期信頼性およびフレキシブル性などが優れたポリカーボネイト樹脂が好ましい。
【0047】
金属材料を主体とする図7、図9および図10に例示したような支持体は、後の工程で第2半導体層と第2導電体層を接続する際に、例えば低温ガラスフリット型導電性ペーストおよび樹脂型導電性ペーストの何れを用いた場合でも、熱処理によりダメージを受けることはない。例えば、Alを主材料とする通常の支持体の場合は、熱処理の最高温度が550℃に達しても何ら支障がない。一方、図11のような樹脂基体と金属薄膜(第2導電体層)の複合支持体を用いる場合には、比較的低温で熱処理できる樹脂型導電性ペーストを用いることが好ましい。
【0048】
4)工程(4)
本工程では、開口部よりやや上部の第2半導体層が支持体の凹部の孔の端部に接し、第1半導体の露出部が孔を通して支持体の裏面側に位置するように球状素子を凹部内に位置決めする。本工程は、工程(3)で準備された支持体に球状素子を位置決めしてもよいが、後に説明する工程(8)により予め導電性ペーストが塗布された支持体に球状素子を位置決めすることが好ましい。
【0049】
導電性ペーストが予め塗布された支持体に球状素子を位置決めする方法の最大の利点は、位置決めと同時にその位置に球状素子を仮固定できることにある。この方法の実施形態を図12Aおよび図12Bにより説明する。まず、図12A(1)のように、図7の支持体15の凹部16の配列パターンに対応するパターンで多数の窪み60が形成された仮基板61を用意する。窪み60の上端の開口部68の直径は図4の球状素子の直径よりやや大きく、深さ寸法は第1半導体側の電極5の中心部から球状素子の頂点までの距離よりやや大きい。窪み60の底部には貫通孔64が設けられている。貫通孔64の上端の開口部63の直径は球状素子の第2半導体の開口部3の直径よりやや大きく、壁面は球状素子とほぼ同形状の曲面を有し、下部になるほど直径が小さい。貫通孔64の下部には開口部62が設けられている。
【0050】
次いで、工程(2)により作製した図4に示す球状素子を多数用意し、これらを仮基板61上に転がして、それぞれの窪み60に球状素子65、66および67をランダムな方位で収納する。図12A(2)に示すように、球状素子が仮配置された仮基板61の上面を軽く擦るように、樹脂製の平板70にスポンジシート71を張り合わせた摺動板69を静かに左から右方向に移動させる。これにより、窪み60から突出した部分の球状素子がスポンジシート71に擦られて、各球状素子は窪み60の内部を矢印方向に滑りながら回転する。例えば球状素子65の姿勢は、球状素子66のような姿勢に変化し、さらに球状素子67のような姿勢に変化する。
【0051】
摺動板69を左から右方向に移動させる操作を継続すると、窪み60の上端の開口部68の中央部に球状素子の電極5が位置するような姿勢になるまで球状素子が回転する。この時、球状素子の窪み60からの突出部がなくなり、摺動板69の移動による球状素子への外力がなくなって、上記の姿勢を維持したまま、球状素子の回転が停止する。上記の摺動板69の移動操作を数回繰り返すことにより、最終的には、全ての球状素子65、66および67は、図12A(3)に示すように、電極を有する第1半導体の露出面が上を向く姿勢に制御されて窪み60の内部に収納される。
【0052】
一方では、図14のように、図7に示した支持体15の凹部の孔17の縁部およびその周辺部に導電性ペースト51を塗布し、この支持体15と、全ての球状素子が姿勢制御された図12A(3)の仮基板61とを、対応する支持体の凹部16と仮基板の窪み60のそれぞれの中心部が対向するように重ね合わせる。次いで、貫通孔64に対応するパターンで貫通孔64の下部の開口部62より小径の突起部73が形成された押し出し板74を、図12B(4)のように、仮基板61の背面に配置する。
【0053】
押し出し板74を押し上げることにより、突起部73が仮基板61の貫通孔64を通して窪み60に挿入され、各球状素子65、66、および67が支持体の凹部16に押し込まれる。これにより、図12B(5)のように、各球状素子が所定位置に位置決めされると同時に、開口部よりやや上部の第2半導体層2と支持体の凹部の孔17の縁部ないしはその周辺部とが、導電性ペースト51によって粘着し、各球状素子が仮固定される。以上のように、予め塗布された導電性ペーストが固化する以前に本工程(4)を実施することにより、球状素子を仮固定する効果を十分に発揮させることができる。
【0054】
本発明は、工程(8)で導電性ペーストを塗布した後に本工程(4)により球状素子を位置決めする上記の方法に拘ることなく、工程(3)で用意したそのままの支持体の凹部内に球状素子を位置決めしてもよい。
【0055】
次に、工程(4)の他の実施形態として、電極もしくはその周辺部に、他の部位よりも強い磁性を有する磁性体部を備えた球状素子を工程(2)において作製し、この球状素子を支持体の所定位置に位置合わせする方法を図13により説明する。この方法は、球状素子に所定方向から磁場を印加することにより、その球状素子を所定方位に配列させるものである。まず、図13(1)のように、図10に示した支持体を用意し、図13(2)のように球状素子7を、支持体35に形成された全ての凹部36に、それぞれ一個ずつランダムな方向に仮配置する。この球状素子7は、図6のように、電極5上に他の部位よりも磁性が強い磁性体部6を形成したものである。
【0056】
次いで、支持体の凹部の孔37とほぼ等しい0.5〜0.9mmの直径を有する長さ10〜20mm程度の棒磁石145が所定の間隔で固定された鉄製の磁石保持板142を、支持体35の下部に近接させる。この際、図13(3)に示すように、それぞれの孔37の下部に磁石棒145が同軸で配置される。これにより各磁石棒145から対応する孔37に向けて垂直方向に磁場が印加され、各球状素子7の磁性体部6が孔37の方向に引き寄せられる。その結果、仮配置されていた各球状素子7は、それぞれ、電極5が形成された第1半導体の露出部が孔37に嵌まり込むように各凹部36内に位置決めされる。棒磁石145としては、フェライト磁石、Ni−Fe−B磁石、Sm−Co磁石などの永久磁石を用いることができる。
【0057】
5)工程(5)
本工程では、支持体の凹部の所定位置に位置決めされた球状素子をその位置に固定するとともに球状素子の第2半導体層を第2導電体層(支持体)に電気的に接続する。本工程(5)の好ましい実施形態は、支持体の凹部の底部に塗布した導電性ペーストを熱処理して固化させることにより、位置決めされた球状素子を支持体の凹部内に固定する方法である。即ち、この実施形態においては、本工程(5)は、支持体の凹部の孔の縁部もしくはその周辺部に導電性ペーストを塗布する工程(8)、および塗布された導電性ペーストを加熱して固化させることにより、支持体の凹部の所定の位置に球状素子を固定し、同時に第2半導体層と支持体(第2導電体層)とを電気的に接続する工程(9)が含まれる。
【0058】
工程(8)では、通常、樹脂型導電性ペーストを用いることで十分な効果が得られる。場合によっては、550℃以下の温度で固化する低温ガラスフリット型導電性ペーストを用いてもよい。導電性ペーストに添加する導電材は、第2半導体層がn型半導体である場合にはAg粉などを用い、第2半導体がp型半導体である場合には、Al粉とAg粉の混合物を含むペーストを用いるのが好ましい。
【0059】
工程(8)は、前記のように、球状素子を位置決めする工程(4)に先立って行うことが好ましく、工程(4)に次いで行ってもよい。前者の一例として、図14にスタンプ印刷による導電性ペーストの塗布方法を示す。図14(1)のように導電性ペースト51を適量付着させたゴム製のスタンプ55の先端を、図7に示す支持体15の孔17の周縁部に接するように押し付ける。スタンプ55は中空円筒状で、その外径は支持体15の孔17の直径より約0.15mm程度大きく、内径は約0.15mm程度小さい。導電性ペースト51は図14(2)のように孔17の縁部22およびその周辺部に転写されて塗布される。導電性ペーストの粘度は約100Pa.sに調整されている。
【0060】
次に、工程(4)に次いで工程(8)により導電性ペーストを塗布する方法の一例を示す。図15に、図13の工程によって球状素子7が位置決めされた支持体35に導電性ペースト39が塗布された状態を示す。この導電性ペースト39は、支持体の孔37の縁部とその周辺部から、球状素子の第2半導体の下部にかけて塗布されている。この場合、導電性ペーストの塗布量が多過ぎると、支持体の凹部内面の反射鏡として機能する部位を導電性ペーストが覆い、受光効率を低下させる。また、支持体の裏面側に導電性ペーストが余分に付着すると、支持体に配置される球状素子の第1半導体の露出部および電極が導電性ペーストを介して第2半導体層と導通し、内部短絡を引き起こす危険性がある。導電性ペーストの塗布量が少な過ぎると、工程(9)において十分な強度で球状素子を支持体に固定できない。
【0061】
上記本発明の実施形態では、導電性ペーストの塗布箇所が、支持体の凹部の孔の縁部ないしはその周辺部であることに特徴がある。前記特許文献7では、予め球状素子の第2半導体側に形成した電極上に導電性ペーストを塗布した球状素子を、支持体の凹部に配置し熱処理を施すことにより、球状素子を支持体に固定すると共に第2導電体層と第2半導体層とを電気的に接続する方法が開示されている。しかし、小さな球状素子の開口部周辺の曲面の微小な部位に適量の導電性ペーストを塗布すること、および粘着性の導電性ペーストが付着した球状素子を支持体の凹部の所定位置に配置することが極めて困難であるために、この工程を迅速に進めることは事実上不可能である。本発明では、例えば上記のスタンプ印刷法やディスペンサー法などにより比較的容易に導電性ペーストを所定箇所に塗布することができる。さらに、球状素子側に粘着性の導電性ペーストを塗布しないので、球状素子を位置決めする工程において、取り扱い易く、位置決めを比較的容易に行うことができる。
【0062】
工程(9)においては、樹脂型導電性ペーストが塗布されている場合には、100〜150℃で10〜20分間の低温度での熱処理を行えば十分である。低温ガラスフリット型導電性ペーストが塗布されている場合には、約100〜150℃で乾燥させた後、500〜550℃で10〜20分間の熱処理を行って固化させるのが有効である。
【0063】
上記のように、工程(9)における熱処理温度は最高でも550℃であり、Alを主材料とする支持体の変形や破損がなく、かつ、第2半導体層と第1半導体との短絡も皆無であることが確認されている。また、従来のAlとSiを接触させて高温で熱処理して形成される合金層によるAl支持体と第2半導体層との電気的接続と、本発明における導電性ペーストの熱処理による電気的接続の状態を信頼性試験等により確認したが、両者の間に差はなく何れも良好であった。さらに、球状素子と支持体との接着強度も強く、球状素子が十分な強度で固定されていることが確認されている。
【0064】
工程(5)による球状素子の固定および第2半導体層と第2導電体層(支持体)との電気的接続の方法としては、上記の方法以外に様々な方法を採ることが可能である。例えば、位置決めされた球状素子の第2半導体層と第2導電体層を半田により接続する方法がある。この場合、半田を凹部の孔縁部ないしはその周辺に付着させ、支持体に球状素子を位置決めした後、加熱して第2半導体層と凹部の底部を半田付けする方法がある。また、球状素子を支持体の凹部に位置決めした後、半田ボールを支持体の凹部内面と第2半導体層の隙間に挿入し、これを加熱して凹部内面と第2半導体層を半田付けする方法などがある。
【0065】
もし、上記の所定位置に球状素子が固定されず、第2半導体層の開口部とその内側の第
1半導体側の露出部に跨る部分が、支持体の孔の縁部あるいはその周辺に触れた状態
で固定されたり、固定力不足のために位置ずれを起こしたりすると、支持体を介しての第
1半導体と第2半導体層とが短絡するなどの問題が発生する。本工程により支持体の所定
位置に球状素子が強固に固定されるので、上記の問題が解決される。
【0066】
6)工程(6)
本工程(6)では、工程(5)で球状素子が所定位置に固定された支持体の裏面側に、球状素子の電極上の少なくとも一部が露出した電気絶縁体層を形成する。電気絶縁体層を高速で形成する方法としては、スクリーン印刷法、スプレー法、オフセット印刷法、インクジェット法などにより樹脂ペーストを塗布し、乾燥する手法がある。樹脂ペーストの材料としては、エポキシ系、ポリイミド系、シリコーン系、ウレタン系、アクリル系などの各種の樹脂を用いることができる。コスト面および作業性を重視すれば、エポキシ系樹脂を用いるのが最も好ましい。樹脂ペーストは、上記の樹脂材料を有機溶媒や水に溶解または分散させたものである。
【0067】
スクリーン印刷法、オフセット印刷法は高速でパターン印刷ができるというメリットがある。これらの印刷法により均一に樹脂ペーストを塗布するには、支持体裏面側の被塗布面(支持体野裏面側)の凹凸を少なくすることが好ましい。スプレー法は設備の簡便性、生産性などの面から最も好ましく、低コストで電気絶縁体層を形成できる。この方法では、樹脂ペーストを塗布する前に第1半導体側電極の少なくとも一部をマスキングするか、塗布後に電極上部の絶縁樹脂層を除去する。インクジェット法は、現時点では塗布速度向上に課題があるが、パターン印刷ができ、樹脂ペーストの利用効率も良く、将来的には有望な技術である。
【0068】
上記の樹脂ペースト塗布による電気絶縁体層を形成法に代わり、樹脂シートを支持体裏面側に接着剤や熱圧着などで接着すれば、所望の電気絶縁体層を形成することができる。この場合、支持体の裏面側に露出した各電極の配列に対応したパターンで予め小孔を形成したシートを用いてもよく、接着後に電極上部の樹脂層を除去してもよい。ここに用いる樹脂シートの材料としては、ポリイミド系、ポリエーテルサルホン系、ポリエーテルエーテルケトン系、芳香族ポリアミド系、ポリエーテルスルホン系、ポリエーテルイミド系およびフッ素系などの樹脂を用いることができる。
【0069】
樹脂ペーストを塗布して電気絶縁体層を形成する工程の実施形態を図16に例示する。この実施形態では、スプレー法にて支持体の裏面側に樹脂ペーストを塗布し熱処理した後、レーザ光照射により電極の一部を露出させる。樹脂ペーストとして、例えば、エポキシ系樹脂(十条ケミカル社製:MIG−N)をグリコールエステル系溶剤に分散させ、粘度が約20Pa.sになるよう調整されたものを用いることができる。
【0070】
図16(1)に樹脂ペーストの塗布工程を示す。図12(5)のように位置決めされた球状素子が固定された支持体15を受光面が下になるよう配置し、上方のスプレー塗布装置のノズル31より樹脂ペースト32を霧状に噴霧する。ノズル31を左より右方向に移動させ、支持体の裏面側に露出した部位の球状素子(第2半導体層の開口部3とその周辺部、および第1半導体の露出部4と電極5)および支持体の裏面全面に厚み約30μmの樹脂ペーストの塗布層33を形成する。
【0071】
次いで、塗布層33に約150℃で約30分間の熱処理を施すことにより、図16(2)に示すような電気絶縁体層50が形成される。電気絶縁体層50と支持体15の裏面側との密着性は極めて良く、支持体15と第1半導体層の露出部4は電気的に完全に絶縁される。次いで、図16(3)に示すように、電極5の上部を覆う部位の電気絶縁体層50の全面もしくは一部にレーザ光35を照射し、被照射部の電気絶縁体層50を除去する。レーザ光照射用装置52として出力50WのYAGレーザを用い、約0.01秒の照射時間で直径約100〜150μmの照射部領域の電気絶縁体層50を除去することができる。
【0072】
電気絶縁体層形成法の他の実施形態として、ポリエーテルエーテルケトン系の樹脂シートを用いて電気絶縁体層を形成し、その後レーザ光を照射して、電極の一部を露出させる方法を図17により説明する。まず、図17(1)のように、球状素子が固定された支持体15を受光面が下になるよう配置し、支持体15の裏面側全面を覆うように樹脂シート36を配置する。
【0073】
次いで、約380℃で約10分間の熱処理を行う。熱処理後の状態を図17(2)に示す。厚み約50μmの薄い樹脂シート36を用いた場合でも、支持体15の裏面側との密着性は極めて良く、また支持体15と第1半導体層の露出部4は電気的に完全に絶縁されている。樹脂シート36と支持体15の裏面の間に一部空隙があるが、樹脂シート36の厚みが約50μm以上であれば強度的にも十分である。次いで、図17(3)に示すように、樹脂シート36の電極5の上面を覆う部位の全面もしくは一部にレーザ光35を照射し、被照射部の樹脂シート36を除去する。レーザ光照射用の装置53として50WのYAGレーザを用い、照射時間約0.01秒で直径約100〜150μmの被照射部領域で樹脂シート36を除去できる。
【0074】
レーザ光を用いて電気絶縁体層の一部を所定のパターンで除去する方法は、図4に示すような球状素子に代わって、電極5上に磁性体部6を形成した図6に示すような球状素子を用いる場合に適用することも有効である。上記の実施形態のようにレーザ光を照射すると、被照射部の電気絶縁体層とともに磁性体部6が同時に除去される。磁性体部6は、図13により説明したように、球状素子を位置決めする際の姿勢制御には有効であるが、電極5に比べると一般的に電気的抵抗が大きい。従って、後の工程(8)において、磁性体部6が第1導電体層と第1半導体を低抵抗で電気的に接続するための妨げになる場合があるので、工程(8)以前に、磁性体部6が予め除去されていることが好ましい。
【0075】
7)工程(7)
本工程では、支持体の所定位置に固定された各球状素子の第1半導体間を第1導電体層により電気的に接続する。本工程(7)は、電気絶縁体層から露出している各球状素子の電極間を相互に繋ぐように電気絶縁体層上に導電性ペーストを塗布し、加熱して固化させることにより第1導電体層を形成する工程(10)を含むことが好ましい。固化された導電性ペーストにより第1導電体層が構成され、この第1導電体層により、支持体に固定された各球状素子の第1半導体側電極の相互間が電気的に接続される。
【0076】
上記の導電性ペーストは、工程(6)で形成した電気絶縁体層が変形・変質などのダメージを受けない温度下で固化するものを選択することが好ましい。一般的には、100〜200℃という比較的低い熱処理温度で固化できる樹脂型導電性ペーストを用いることが好ましい。電気絶縁体層が、高融点ガラスやフッ素系樹脂など比較的耐熱性が優れた材料からなる場合には、低温ガラスフリット型導電性ペーストも使用できる。導電性ペーストの塗布方法としては、ディスペンサー法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、およびスプレー法がある。支持体裏面に凹凸がある場合には、凹部にも導電性ペーストを塗布することが必要であり、特に凹部が深い場合は、ディスペンサー法およびスプレー法が好ましい。
【0077】
ディスペンサー法により、導電性ペーストを塗布し熱処理を施すことにより第1導電体層を形成し、各電極を電気的に接続する工程の具体的な実施形態を図18に示す。まず、裏面側に電気絶縁体層50が形成された図16(3)の支持体を用意する。そして、図18(1)のように、ディスペンサーのノズル40から導電性ペースト41を吐出させながら、電気絶縁体層50から露出している各球状素子の電極5を繋ぐ直線に沿ってノズル40を移動させ、図18(2)のように、電気絶縁体層50上に線状の導電性ペースト塗布層42を形成する。これにより、支持体15に固定された多数の球状素子の各電極5は、支持体15の裏面側において電気絶縁体層50を介して、導電性ペースト塗布層42で連結される。
【0078】
導電性ペーストをディスペンサーにより塗布する際には、ノズルの内径に応じて移動速度を適切に調整することにより、適切な線幅で断線が無い導電性ペースト塗布層を形成できる。例えば、ノズル内径を0.15mmとし、ヘッドの移動速さを毎秒80mmにした時、導電性ペーストの塗布層の線幅は490μmであり、ノズル内径を0.1mmとし、ヘッドの移動速さを毎秒10mmにした時、線幅310μmの塗布層が形成される。これらの条件で形成された塗布層は何れも、被塗布面に凹凸があるにも拘らず、断線することなく、各電極間は導電性ペーストにより確実に繋がっている。太陽電池の電気特性から判断した場合には、塗布層の線幅が310μm以上であれば充分である。
【0079】
上記の方法により導電性ペーストを線状に塗布するパターンには様々なものがあり、その一例を図19に示す。図19は、図18の工程により導電性ペースト塗布層42が形成された支持体15の裏面側の平面図である。簡略化のため、電極、およびレーザ光による電気絶縁体層の除去部などの細部は図中から省略する。一直線上に配列された複数の支持体の凹部16のそれぞれに固定された球状素子の各電極を繋ぐように、線状の導電性ペースト塗布層42が電気絶縁体層50上に形成されている。
【0080】
導電性ペースト塗布層42の線幅は支持体の凹部の孔17の直径よりやや小さく、球状素子の第1半導体の露出部の直径とほぼ等しい。複数の導電性ペースト塗布層42が電気絶縁体層33上に平行に配列して形成されている。これら導電性ペースト塗布層42の先端部は、支持体の端部に形成された他の線状の導電性ペースト塗布層52により連結されている。
【0081】
上記の塗布パターンは比較的単純で、作業性が良く、材料消費量も少ないので、低コスト化のためには好ましい。しかし、これに拘ることなく、例えば、線状の導電性ペースト塗布層を網の目状に形成し、網の目を構成する各線状塗布層の交点にそれぞれの電極が位置するようなパターンとすることにより、一層確実な電極間の電気的接続が可能になる。
【0082】
上記の導電性ペーストの塗布パターンは、線状の導電性ペースト塗布層により各電極を繋ぐ方法を例示したが、本発明においては、導電性ペーストの塗布パターンは、支持体に固定された全ての球状素子のそれぞれの電極が、電気絶縁体層により支持体および第2半導体層と絶縁され、何らかの形で導電性ペーストで連結されていれば、どの様なパターンであっても良い。例えば、導電性ペーストを印刷法により電気絶縁体層の全面に塗布しても良い。また、予め電極面が露出している部分に点状に導電性ペーストを塗布した後、線状もしくは面状に導電性ペーストを塗布すれば、より確実な電気的接続を行うことができる。
【0083】
上記のように形成された導電性ペースト塗布層に前記の条件で熱処理を施して、塗布層を固化させることにより、第1半導体側の各電極を電気的に接続する第1導電体層が電気絶縁体層を介して支持体の裏面側に形成される。この方法によれば、第1半導体と第1導電体層を電気的に接続する工程を高速で行うことができ、さらに部品点数を削減することができる。上記以外に、別途用意したAl箔などの第1導電体層を導電性ペーストや半田などにより電極に接続する方法を採ることもできる。この場合、予め電極面が露出している部分に点状に導電性ペーストを塗布した後、電気絶縁体層上にAlなどの金属薄板を圧着し熱処理を施す方法などがある。
【0084】
本発明による光電変換装置は、前記の本発明の製造方法によって製造される典型的な太陽電池であり、球状の第1半導体およびその表面を被覆する第2半導体層からなり、第2半導体層が第1半導体の一部を露出させる開口部を有し、第1半導体の露出部に電極が形成されたほぼ球状の複数の光電変換素子、光電変換素子を個々に取り付ける複数の凹部を有し、第2半導体層と電気的に接続される第2導電体層を兼ねる支持体であって、凹部が、第2半導体層の開口部より大きい孔を底部に有する支持体、支持体の裏面側に各電極を露出させるように形成された電気絶縁体層、並びに、電極を電気的に並列に接続する第1導電体層を含み、光電変換素子は、その第2半導体層が熱処理により固化された導電性ペーストによって支持体の凹部の孔の縁部に電気的に接続されて支持体に物理的に固定され、第1導電体層が熱処理により固化された導電性ペーストからなるものである。
【0085】
これにより、球状素子が支持体の凹部内の所定位置に強固に固定され、さらに、支持体に固定された全ての球状素子の半導体側と導電体側とが確実に電気的に接続された、低コストで高品質・高信頼性の光電変換装置を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明により、高品質・高信頼性のマイクロ集光型球状太陽電池を製造することができ、低コストかつ工業的規模で高品質・高信頼性の光電変換装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の実施形態における第2半導体層に開口部を有する光電変換素子の縦断面図である。
【図2】図1の光電変換素子の底面図である。
【図3】本発明の他の実施形態における第2半導体層の開口部を有する光電変換素子の縦断面図である。
【図4】本発明の実施形態における電極を形成した光電変換素子の縦断面図である。
【図5】図4の光電変換素子の底面図である。
【図6】本発明の他の実施形態における電極を形成した光電変換素子の縦断面図である。
【図7】本発明における支持体の第1の実施形態の平面図である。
【図8】図7の8−8線の断面図である。
【図9】本発明における支持体の第2の実施形態の縦断面図である。
【図10】本発明における支持体の第3の実施形態の縦断面図である。
【図11】本発明における支持体の第4の実施形態の縦断面図である。
【図12A】本発明において球状素子を位置決めする工程の前半部分の実施形態を示す縦断面図である。
【図12B】本発明において球状素子を位置決めする工程の後半部分の実施形態を示す縦断面図である。
【図13】本発明において球状素子を位置決めする工程の他の実施形態を示す縦断面図である。
【図14】本発明の実施形態における支持体の底部に導電性ペースト塗布する工程の縦断面図である。
【図15】本発明の他の実施形態により底部に導電性ペーストが塗布された支持体の縦断面図である。
【図16】本発明における電気絶縁体層形成工程の実施形態の縦断面図である。
【図17】本発明における電気絶縁体層形成工程の他の実施形態の縦断面図である。
【図18】本発明における電気絶縁体層形成の実施形態における導電性ペーストの塗布工程を示す縦断面図である。
【図19】図18の工程で塗布された導電性ペーストの塗布パターンを示す平面図である。
【図20】従来の球状太陽電池における光電変換素子が配置された支持体の縦断面図である。
【符号の説明】
【0088】
1、107 第1半導体
2、106 第2半導体層
3、13 第2半導体層の開口部
4、14、108 第1半導体の露出部
5 電極
6 磁性体層
7、65、66、67、105 光電変換素子
15、25、35、102 支持体(第2導電体層)
16、26、36、46、102 凹部
17、27、37、47 孔
22 孔の縁部
25、45 支持体の基板部
29、49 反射鏡層
32 樹脂ペースト
33 樹脂ペーストの塗布層
35 レーザ光
36 樹脂シート
39、51、41 導電性ペースト
42 導電性ペーストの塗布層
50、101 電気絶縁体層
【技術分野】
【0001】
本発明は、球状の光電変換素子を実装した光電変換装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からの代表的な光電変換装置として、結晶シリコン半導体ウエハからなる光電変換素子を用いた結晶シリコン太陽電池がある。この太陽電池では、単結晶インゴットを製造するための工程ならびに単結晶インゴットから半導体ウエハを製造するまでのカッティング、スライシングおよびポリッシングなどの工程が繁雑であるためコストが高くなる。さらにカッティング、スライシングおよびポリッシングなどの工程で生じる結晶の切削屑が多く、原料の約50%以上が無駄になる。
【0003】
この問題を解決するため、アモルファスシリコン(a−Si)薄膜からなる半導体層を用いたa−Si太陽電池が開発されている。この太陽電池は、プラズマ化学気相成長法によって光電変換層を薄膜状に形成するので、前記のカッティング、スライシングおよびポリッシングなどの工程が不要であり、堆積した膜の全てを素子の活性層として用いることができる。その反面、この太陽電池にはアモルファス構造に起因して光電変換効率が経時的に低下する問題がある。これを解決するために、水素化処理による不活性化技術などが検討されているが、前記の問題を解消することは不可能である。そのため、a−Si太陽電池では、依然として光電変換効率が数年間で15〜25%程度劣化するという問題を残している。
【0004】
上記の問題を解決するため、球状のp型半導体にn型半導体層を被覆した球状光電変換素子(以下、球状素子で表す)を用いた球状太陽電池が検討されている。これに関しては、例えば、穴のあいた偏平なアルミニウム(Al)箔にシリコン(Si)の球状素子を埋込み、そのAl箔の裏面から、n型半導体層をエッチングして内部のp型半導体を露出させ、露出したp型半導体を、もう1つのAl箔に接続して構成したソーラ・アレーが開示されている(特許文献1参照)。
【0005】
この提案は、直径1mm前後の小さな球状素子を用いることにより、光電変換部全体の平均厚みを薄くして、高純度Siの使用量を軽減しようとするものである。この球状太陽電池は反射光を活用しない方式なので、モジュールの受光面当たりの変換効率を向上させるために、球状素子を相互に近接して配置する必要がある。そのため、球状素子とAl箔との接続作業が繁雑な上に、極めて多数の球状素子が必要となり原価を低減させる効果が少ない。さらに、上記と類似の球状太陽電池が提案されているが、いずれも反射光を活用しないか、多数配列された球状素子のブロック全体に反射光を照射する構造を採っている(特許文献2および3参照)。従って、前記特許文献1の場合と同様に、多数の小径の球状素子を密に敷き詰める必要があり、原価を低減させる効果が少ない。
【0006】
この問題を解決するため、支持体に多数の凹部を設け、各凹部に単体の球状素子を収容する方式の太陽電池が提案されている。この球状太陽電池は、凹部内面を反射鏡として作用させ、集光率を高めることで球状素子一個当りの出力を高め、Siの消費量低減を図るものである(特許文献4、5、および6参照)。これらの太陽電池はマイクロ集光型または低集光型の球状太陽電池と呼ばれている。
【0007】
マイクロ集光型球状太陽電池の1例を図20に示す。Al箔製の第1導電体層100、電気絶縁体層101およびAl箔製の第2導電体層102からなる三層構造の支持体103に凹部104が形成され、各凹部104内に球状素子105が配置されている。球状素子105の表面層の第2導電型半導体層(以下、第2半導体層で表す)106の一部はエッチングにより除去され、中心部の球状の第1導電型半導体107(以下、第1半導体で表す)の一部に露出部108が形成されている(特許文献5参照)。
【0008】
この提案では、各凹部に球状素子が収容された支持体に弾性体を重ね合わせて球状素子を押圧することで、第2半導体層の外周部を第2導電体層の開口部に嵌め込むと同時に第1半導体の露出部分を第1導電体層と接合させる。さらに、この加圧状態のまま、約150℃で1時間加熱し、さらに、200〜300℃で30分間〜1時間、無酸素雰囲気中にて焼結処理が行われる。これらの加圧および加熱処理により、第1導電体層と第1半導体、および第2導電体層と第2半導体層との電気的接続を果たそうとするものである。しかし、実際には、上記のように導電体層と半導体との直接的な接触、あるいは、これに上記のような低い温度で加熱処理を施したのみでは、接触抵抗とそのバラツキも大きく、太陽電池の変換効率向上の大きな妨げになる。
【0009】
Al箔製の導電体層とSi半導体とを直接的に接合させた状態で良好な電気的接続を得るために、例えば特許文献1では、500〜577℃で熱処理を行うことにより接合部にAlとSiの合金層を形成する方法が提案されている。しかし、この高温での熱処理に耐える電気絶縁体層の樹脂材料の選択が困難である。そのため、樹脂製電気絶縁体層と一体化された支持体の凹部内に球状素子を配置する工程を有する太陽電池の製造方法には、上記の熱処理を適用することは不適切である。また、第2半導体層は厚み0.5μm以下の薄層であるため、高温での熱処理時に導電体層のAlが第2半導体層を突き抜け、短絡現象を引き起こすので、開放電圧および曲線因子等の大幅な低下を招く。
【0010】
上記の問題を解決するために、本発明者らは、予め第1半導体の露出部および第2半導体層の外周部にそれぞれ電極を形成する方法を提案している(特許文献7参照)。これは、支持体に球状素子を配置する以前に高温の熱処理が必要な電極形成を行い、球状素子を支持体に配置した後に電極と導電体層とを半田などの導電材により比較的低温で電気的に接続するものである。これにより、電気絶縁体層にダメージを与えることなく、半導体と導電体層を電気的に接続すると同時に球状素子を所定位置に固定しょうとするものである。
【0011】
この提案において第1半導体側の電極は、平面部に円形の導電層を形成すれば良いので、比較的容易に形成することができる。しかし、第2半導体側電極は、微小な球状素子の第2半導体層の開口部周辺の曲面の同一円周上に正確に位置決めして、極めて微細な導電層を形成する必要がある。その方法として、インクジェット法やディスペンサー法により導電性ペーストを塗布し熱処理する方法が提案されている。しかし現状技術では、正確なパターンの電極層を高速で形成することは困難であり、この方式により球状太陽電池を量産する上での妨げになっている。
【0012】
上記提案における支持体は、球状素子を収納する凹部を形成した第2導電体層と、その裏面側に結合した樹脂製の電気絶縁体層からなる二層構造になっている。従って、もし、予め第1半導体側の電極が形成されていないならば、第2半導体層と第2導電体層を接続する工程での熱処理により、電気絶縁体層が軟化や変形などのダメージを受けることを回避できない。
【0013】
また、二層構造の支持体は、例えば、金属製の厚板を切削加工して底部に開口部を有する複数の凹部を形成した本体部と、所定ピッチで孔が形成された電気絶縁体シートとを重ね合わせて、一体化して作製される。しかし、実際には、接着や熱圧着などにより両者を一体化する過程において、樹脂製の電気絶縁体シートが変形するため、孔のピッチや寸法形状が変化して位置ずれが起こり易く、精度良く支持体を製作することは困難である。図20に示した三層構造の支持体においても二層構造の支持体と同様の問題がある。
【0014】
さらに、球状太陽電池では、極めて多数の球状素子の全てを支持体の個々の凹部内に正確かつ迅速に位置決めすることが非常に重要な課題であるが、適切な解決手段が見出されていない。また、位置決めされた球状素子を固定する方法として、底部を第2導電体層の開口部に嵌め込み、さらにその状態で加熱する方法などが提案されているが、その効果は必ずしも十分ではない。そのため、光電変換装置を高速で製造することができず、さらに製造中および取り扱い時に球状素子の位置ずれが発生し易い。この位置ずれにより、第1半導体と第2半導体層との短絡、半導体と導電体層との電気的接続不良、および支持体の凹部内面での反射光の集光効率低下などが多発するという問題が残っている。
【特許文献1】特公平7−54855号公報
【特許文献2】国際公開公報WO98/15983
【特許文献3】特開2001−339086号公報
【特許文献4】特開平11−031837号公報
【特許文献5】特開2002−050780号公報
【特許文献6】特開2002−164554号公報
【特許文献7】特開2004−063564号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、多数の凹部を設けた支持体の各凹部内に単体の球状素子を収容する方式の球状太陽電池の上記問題点を解決するものである。本発明は、電気絶縁体層や支持体が工程中にダメージを受けることをなくし、前記各凹部内の所定位置に球状素子を正確に位置決めして確実に固定し、さらに球状素子の半導体と導電体層間を低抵抗で電気的に接続できる光電変換装置の製造方法を提供することを目的とする。さらに、高品質かつ高信頼性の光電変換装置を製造し、提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の光電変換装置の製造方法は、(1)球状の第1半導体およびその表面を被覆する第2半導体層からなり、前記第2半導体層が前記第1半導体の一部を露出させる開口部を有する複数のほぼ球状の光電変換素子を用意する工程、(2)前記第1半導体の露出部に電極を形成する工程、(3)前記光電変換素子を内部に配置するための隣接する複数の凹部を有し、前記凹部が底部に前記第2半導体層の開口部より大きい孔を有する支持体であって、前記凹部に配置される各光電変換素子の第2半導体層と電気的に接続される第2導電体層を兼ねる支持体を用意する工程、(4)前記第2半導体層が前記孔の縁部に接し、前記第1半導体の露出部が前記支持体の裏面側に位置するように、前記光電変換素子を前記凹部内に位置決めする工程、(5)前記光電変換素子を前記位置決めされた位置に固定するとともに前記光電変換素子の第2半導体層を前記第2導電体層に電気的に接続する工程、(6)前記光電変換素子が固定された支持体の裏面側に、前記電極の少なくとも一部が露出する電気絶縁体層を形成する工程、および、(7)前記支持体に固定された光電変換素子の電極を電気的に並列に接続する第1導電体層を形成する工程を有することを特徴とするものである。
【0017】
本発明の光電変換装置の製造方法の工程(5)は、孔の縁部もしくはその周辺部に導電性ペーストを塗布する工程、および、塗布された導電性ペーストを加熱して固化させる工程を含むことが好ましい。この場合、孔の縁部もしくはその周辺部に導電性ペーストを塗布する工程は工程(4)に先立って行うことがさらに好ましい。さらに、工程(7)は、複数の光電変換素子のそれぞれの電極を相互に繋ぐように電気絶縁体層上に導電性ペーストを塗布し、加熱して固化させることにより第1導電体層を形成する工程を含むことが好ましい。
【0018】
本発明の光電変換装置の製造方法の工程(6)は、支持体の裏面側のほぼ全面に電気絶縁体層を形成する工程、および電気絶縁体層に、各電極の少なくとも一部を露出させる孔を形成する工程からなることが好ましい。
【0019】
本発明の光電変換装置は、球状の第1半導体およびその表面を被覆する第2半導体層からなり、第2半導体層が第1半導体の一部を露出させる開口部を有し、前記第1半導体の露出部に電極が形成されたほぼ球状の複数の光電変換素子、前記光電変換素子を個々に取り付ける複数の凹部を有し、前記第2半導体層と電気的に接続される第2導電体層を兼ねる支持体であって、前記凹部が、前記第2半導体層の開口部より大きい孔を底部に有する支持体、前記支持体の裏面側に各電極を露出させるように形成された電気絶縁体層、並びに、前記電極を電気的に並列に接続する第1導電体層を含み、前記光電変換素子は、その第2半導体層が熱処理により固化された導電性ペーストによって前記支持体の前記孔の縁部に電気的に接続されて前記支持体に物理的に固定され、前記第1導電体層が熱処理により固化された導電性ペーストからなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明の製造方法により、電気絶縁体層や支持体にダメージを与えることがなくなり、球状太陽電池の支持体の凹部内の所定位置に多数の球状素子を正確に位置決めして確実に固定し、かつ球状素子の半導体と導電体層間を低抵抗で電気的に接続することができる。これにより、高品質、高信頼性の光電変換装置を工業的規模で供給することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明は、従来技術、特に前記の本発明者らの特許文献7による提案の利点を取り入れ、かつ問題点を解決する手法を見出すことにより完成し、高品質、高信頼性を備えた球状太陽電池を製造することを可能にしたものである。本発明における球状素子は、第1半導体側のみに予め電極を形成することを不可欠とするが、第2半導体側には、必ずしも電極形成を必要としない。球状素子に予め第1半導体側電極を形成することにより、後の工程において、電気絶縁体層および支持体(第1導電体層)などがダメージを受けるような高温に曝されることを回避できる。
【0022】
第1半導体はそれ自体の不純物濃度が低く高抵抗であるため、第1導電体層と低抵抗で電気的接続するには、前記のように半導体層とAlが直接に接した状態で高温下の熱処理を行うか、導電性の優れた電極を介して接続することが不可欠である。第1半導体側電極を形成するためには、例えば、ガラスフリットをバインダーとするガラスフリット型導電性ペーストを塗布し、これに550〜750℃、好ましくは650〜750℃で熱処理を施す必要がある。しかし、このような高温下では、樹脂製の電気絶縁体層に止まらず、導電体層の一般的材料であるAlですらも、変形・変質・破損などのダメージを受ける。この問題は、球状素子を支持体に位置決めする以前に第1半導体側電極を形成することによって解決される。
【0023】
一方、本発明において予め第2半導体側電極を形成することを必ずしも必要としない理由は、第1半導体と異なり、第2半導体層は不純物が高濃度に拡散されているので低抵抗であることに起因する。第2半導体層とAlなどからなる第2導電体層とは、例えば熱硬化性樹脂をバインダーとする樹脂型導電性ペーストを介し、100〜200℃程度の比較的低い温度で熱処理することにより、低抵抗で電気的に接続される。低融点ガラスフリットをバインダーとする低温ガラスフリット型導電性ペーストを用いても、550℃以下の熱処理で良好な電気的接続が得られ、導電体層にダメージを与えることもない。
【0024】
従って、予め球状素子に第2半導体側電極を形成せずとも、支持体内に位置決めされた
球状素子の第2半導体層を、例えば、第2導電体層の所定箇所に塗布された導電性ペーストで繋ぎ、これを熱処理することにより、支持体にダメージを与えることなく、第2半導体層と第2導電体層を電気的に接続し、同時に球状素子を支持体内の所定位置に固定することができる。
【0025】
本発明における支持体は、少なくとも受光面側の表面が導電性を有し、第2導電体層として機能する。この支持体は電気絶縁体層と分離したものであり、第2半導体層と第2導電体層とを接続する場合の熱処理によりダメージを受ける懸念がない。一方、従来の二層もしくは三層構造の支持体を用いた場合には、支持体の凹部に位置決めされた球状素子が、電気絶縁層の熱変形により位置ずれを起こし、内部短絡や電気的接続不良を引き起こすことになる。さらに本発明では、上記の熱処理工程の後に電気絶縁体層を形成するので、熱変形させることなく高精度なパターンで電気絶縁体層を形成することができる。
【0026】
また、樹脂型導電性ペーストを用いて比較的低温で熱処理を行う場合には従来の二層もしくは三層構造の支持体を用いても、電気絶縁体層がダメージを受ける懸念が少ないが、高精度の支持体が製作できないという問題が残る。支持体に所期の寸法精度が得られない場合には、所定の位置に球状素子を位置決めすることが困難になる。本発明による電気絶縁体層と分離した支持体は高精度で製作することが容易であり、熱変形の懸念がないので、上記の問題は全て解決される。
【0027】
本発明における球状素子を支持体の凹部に位置決めする工程の好ましい実施形態の一例は、第1半導体側電極またはその周辺部に、他の部位よりも強い磁性を備えさせ、この球状素子に所定方向から磁場を印加することである。この方法により、多数の球状素子を所定方位に一斉に配列させることができ、正確かつ迅速に球状素子を所定位置に位置決めすることができる。
【0028】
位置決めされた球状素子は、例えば、支持体の凹部の底部に印刷法などで高速で塗布した導電性ペーストを熱処理することにより、迅速かつ確実に固定し、同時に第2半導体層と第2導電体層との確実な電気的接続が得られる。この場合、比較的低い温度での熱処理で十分な導電性が得られる樹脂型導電性ペーストあるいは低温ガラスフリット型導電性ペーストを用いることにより、支持体(第2導電体層)が変質もしくは変形することはない。
【0029】
本発明では、支持体の背面側に配したAl箔などの導電性シートからなる第1導電体層を電気絶縁体層を介して半田や導電性ペーストなどにより電極と繋ぐという従来法と異なり、好ましい方法として、固化させた導電性ペーストそのものから第1導電体層を形成する方法が含まれている。この方法では、支持体に固定された複数の球状素子のそれぞれの第1半導体側電極を繋ぐように導電性ペーストを塗布し、これを熱処理することにより、第1導電体層を形成する。通常は、樹脂型導電性ペーストを用いて比較的低温で熱処理すればよく、エポキシ系樹脂などからなる電気絶縁体層がダメージを受けることはない。この方法によれば、部品点数が削減され、印刷法やスプレー法などで導電性ペーストを所定のパターンで比較的高速で塗布できるので、生産性を高めることができる。
以下、本発明の光電変換装置の製造方法の各工程について詳細に説明する。
【0030】
1)工程(1)
本工程では、球状の第1半導体およびその表面を被覆する第2半導体層からなり、第2半導体層から第1半導体の一部を露出させたほぼ球状の光電変換素子を用意する。球状の第1半導体は、例えば、極微量のホウ素を含むp型多結晶Si塊を坩堝内に供給して不活性ガス雰囲気中で溶融させ、この融液を坩堝底部の微小なノズル孔から滴下させ、その液滴を自然落下中に冷却して固化させることにより、多結晶または単結晶の球状のp型半導体として作製することができる。
【0031】
球状のp型半導体の表面を研磨し、さらにエッチングなどにより表面層の約50μmを除去した後、例えば、オキシ塩化リンを拡散源として800〜950℃で10〜30分間熱処理する。これにより、p型半導体の表面に燐を拡散させた厚さ約0.5μm程度のn型半導体層を第2半導体層として形成する。n型半導体層は、フォスフィンを含むシランなどの混合ガスを用いたCVD法によっても形成することができる。
【0032】
第2半導体層を形成後、第2半導体層上に反射防止膜を形成しても良い。この場合には、後の工程(5)において、第2半導体層と支持体(第2導電体層)とを反射防止膜を介して電気的に接続することになる。従って、本発明における反射防止膜は導電性を有することが必要であり、例えば、溶液析出法、霧化法あるいはスプレー法などで形成したZnO、SnO2 およびITO(In2O3−Sn)などを主体とする薄膜を用いることができる。
【0033】
上記のように第2半導体層を形成し、必要に応じて反射防止膜を形成後、その一部を例えばグラインディングなどで研削して除去することにより、第2半導体層に開口部を形成し、第1半導体の一部を露出させる。この方法で加工した球状素子の縦断面図を図1に示し、図2にその底面図を示す。第2半導体層2で被覆された球状の第1半導体1の一部が切除され、平滑な切断面の外周部に第2半導体層の開口部3が形成され、その内側に第1半導体層の円形の露出部4が形成されている。
【0034】
開口部は、球状素子の表面の一部を残してパラフィンなどでマスキングし、エッチング処理によりマスキング部分以外の第2半導体層を除去する方法によっても形成できる。図3はこの方法による球状素子の縦断面図であり、第2半導体層2の開口部13の内側に第1半導体1の露出部14が形成されている。第2半導体層2は非常に薄いため、球状素子の外形は加工前後で殆ど変わらず、露出部14の表面は第1半導体1とほぼ同じ形状の曲面を有する。
【0035】
第1半導体は、真球であることが好ましいが、ほぼ球状であればよい。他の実施形態では、第1半導体は、芯体の外周面に第1半導体層が被覆されたものであってもよく、第1半導体の中心付近が空洞であってもよい。球状素子の直径は、好ましくは0.8〜1.2mmであり、0.5〜2mmであってもよい。これによって高純度Si等の高価な材料の使用量が充分に少なく、発生電力が大きく、しかも取り扱いが容易な球状素子が得られる。例えば図1の球状素子の中心点から開口部の外周部を結んだ中心角θは、45〜90°であればよく、60〜90°が好ましい。これにより、切削による廃棄材料の量を充分に低減した上で、第1半導体と第1導電体層の電気的接続に必要な適切な開口部面積が得られる。
【0036】
上記の実施形態では、第1半導体がp型半導体であり、第2半導体層がn型半導体層である球状素子を例示したが、第1半導体がn型半導体であり、第2半導体層がp型半導体層であっても良い。上記の実施形態では結晶Si半導体からなる球状素子を例示したが、化合物半導体その他の材料からなってもよく、単結晶、多結晶以外に、アモルファス材料からなってもよい。また、第1半導体と第2半導体層の界面にノンドープ層を形成したpin形構造のものの他に、MIS形、ショットキーバリヤ形、ホモ接合形、およびヘテロ接合形などの構成を有していてもよい。
【0037】
2)工程(2)
本工程では、球状素子の第1半導体の露出部に電極を形成する。第1半導体側電極は、例えば、第1半導体の露出部に導電性ペーストを塗布し、熱処理することにより形成することができる。第1半導体がp型半導体である場合には、一般的に、Al粉もしくはこれにAg粉などを混合した導電材を分散させたガラスフリット型導電性ペーストが用いられる。第1半導体がn型半導体である場合には、燐化合物とAg粉の混合物を導電材として用いるのが好ましい。これらの場合、所望の形状に導電性ペーストを塗布し、100℃前後で約10分程度乾燥させた後、650〜750℃で10分間程度の熱処理をすれば良好な導電層(電極)を形成できる。前記事由により、上記の高温での熱処理工程は、球状素子を支持体に配置した後には実施できない。
【0038】
上記の熱処理により、導電性ペースト中の導電材が第1半導体に拡散して合金層が形成され、同時に溶融したガラスフリットがバインダーとなって電極が形成される。この合金層の作用により第1半導体と電極の接合部の接触抵抗が小さくなる。図4は、図1の球状素子の第1半導体の露出部に円形の電極を形成した球状素子の縦断面図であり、図5はその底面図である。電極5は、図1の球状素子の第1半導体の露出部4の中央部に、導電性ペーストを直径約300μmの円形部分にディスペンサーにより2ドット/秒の速度で塗布し、約700℃で熱処理して形成できる。導電性ペーストの塗布方法は、スクリーン印刷、オフセット印刷もしくはインクジェット法で行うこともできる。電極の形状は特に限定せず、円形以外に、楕円形、多角形、リング状あるいは点の集合などであっても良い。
【0039】
工程(4)の説明の中で後述するように、球状素子を支持体の凹部の所定位置により正確かつ迅速に位置決めするために、第1半導体側電極そのもの、その上部もしくは周辺部に、他の部位より強い磁性を付与することが有効である。磁性を付与された電極は、ガラスフリット型導電性ペーストにNi、Feなどの強磁性体材料の粉末を添加したペーストを用いて、図4の球状素子の電極と同じ方法によって、同形状の電極を形成することができる。
【0040】
電極の上部もしくは周辺部に強い磁性を付与する方法としては、それらの部位に強磁性体材料を含む磁性体層を形成すればよい。磁性体層は、例えば、Ni、Feなどの導電性を有する強磁性体材料の粉末および必要に応じてAgなどの導電剤を有機溶剤や熱硬化性樹脂などに分散させた磁性体部形成用ペーストを、ディスペンサーなどにより、電極の上面、あるいは周囲に塗布し、熱処理することで形成することができる。図6に、図4の球状素子の電極の上面に磁性体層6を形成した球状素子7の縦断面を示す。
【0041】
3)工程(3)
本工程では、工程(2)で用意した球状素子を内部に配置するための多数の凹部を有し、球状素子の第2半導体層と電気的に接続される第2導電体層を兼ねる支持体を用意する。この支持体の代表例として、厚さ0.2mmのAl薄板をプレス加工して作製した支持体の部分的な平面図を図7に示し、図8にその8−8線の断面図を示す。支持体15の凹部16は蜂の巣状に形成されその開口端は六角形である。各開口端は相互に隣接し、凹部16は底になるほど狭くなっている。凹部16の底部に形成された孔17は球状素子の第1半導体の露出部4よりやや大きい。孔は円形であってもその他の形状であってもよいが、第1半導体の露出部と相似形であることが好ましい。
【0042】
後の工程(5)において第2半導体層と支持体の凹部の底部を接続させることにより、支持体は第2半導体側導電体(第2導電体層)として機能し、各球状素子の第2半導体層を電気的に並列に接続する役割を果たす。そのため、本発明における支持体の少なくとも受光面側は導電性を有することを必要とする。
【0043】
支持体に耐熱性が乏しい材料を用いると、球状素子を位置決めした後の熱処理工程などによって変形あるいは変質し易いので、本発明では金属などの耐熱性を確保できる支持体用材料を使用することが好ましい。支持体の主材料としては、加工性、導電性、フレキシブル性およびコスト等を総合するとAlが好ましいが、Cu、ステンレス鋼およびNiなどの他の導電性材料であっても良い。導電性および反射性に優れたAgなどのメッキ層を表面に形成することにより、導電体層あるいは反射鏡としての機能を高めることもできる。
【0044】
図7の支持体以外に、図9〜11に例示するような様々な形態の支持体を使用できる。図9の支持体は、底部に孔27を有する多数の凹部26を形成した、Al製あるいはステンレス鋼製の基板部25をプレス加工等により作製し、少なくとも凹部26の内面に、メッキもしくは真空蒸着などによりAgなどの反射鏡層29を形成したものである。反射鏡層29の作用により、太陽電池の出力電流を大幅に増大させることができる。入射光を有効に球状素子に集光するために、各凹部の開口部の稜線部23はできるだけ狭いことが好ましい。
【0045】
図10の支持体は、孔37を有する多数の凹部36をプレス加工あるいは切削加工等により形成した厚み約1.0mmのAl製の支持体35である。支持体の底面32は必ずしも平坦である必要はなく、凹凸状であっても良い。支持体の凹部の内面は機械研磨などで鏡面化されている。鏡面化研磨の代わりに、メッキもしくは真空蒸着などでAgなどの反射鏡層を形成しても良い。
【0046】
後の工程における熱処理温度が比較的低い場合には、高融点を有する比較的耐熱性が優れた樹脂材料と金属材料を複合させた支持体を用いることができる。図11の支持体は、孔47を有する多数の凹部46を成型加工により形成した樹脂製の基板部45とその表面に形成された金属薄膜44(第2導電体層)からなっている。凹部内面の金属薄膜44は反射鏡層49としても作用する。支持体の底部43は特に平坦である必要はなく、凹凸があっても良い。基板部45の材料としては、アクリル樹脂、ポリカーボネイト樹脂およびABC樹脂などを使用できるが、長期信頼性およびフレキシブル性などが優れたポリカーボネイト樹脂が好ましい。
【0047】
金属材料を主体とする図7、図9および図10に例示したような支持体は、後の工程で第2半導体層と第2導電体層を接続する際に、例えば低温ガラスフリット型導電性ペーストおよび樹脂型導電性ペーストの何れを用いた場合でも、熱処理によりダメージを受けることはない。例えば、Alを主材料とする通常の支持体の場合は、熱処理の最高温度が550℃に達しても何ら支障がない。一方、図11のような樹脂基体と金属薄膜(第2導電体層)の複合支持体を用いる場合には、比較的低温で熱処理できる樹脂型導電性ペーストを用いることが好ましい。
【0048】
4)工程(4)
本工程では、開口部よりやや上部の第2半導体層が支持体の凹部の孔の端部に接し、第1半導体の露出部が孔を通して支持体の裏面側に位置するように球状素子を凹部内に位置決めする。本工程は、工程(3)で準備された支持体に球状素子を位置決めしてもよいが、後に説明する工程(8)により予め導電性ペーストが塗布された支持体に球状素子を位置決めすることが好ましい。
【0049】
導電性ペーストが予め塗布された支持体に球状素子を位置決めする方法の最大の利点は、位置決めと同時にその位置に球状素子を仮固定できることにある。この方法の実施形態を図12Aおよび図12Bにより説明する。まず、図12A(1)のように、図7の支持体15の凹部16の配列パターンに対応するパターンで多数の窪み60が形成された仮基板61を用意する。窪み60の上端の開口部68の直径は図4の球状素子の直径よりやや大きく、深さ寸法は第1半導体側の電極5の中心部から球状素子の頂点までの距離よりやや大きい。窪み60の底部には貫通孔64が設けられている。貫通孔64の上端の開口部63の直径は球状素子の第2半導体の開口部3の直径よりやや大きく、壁面は球状素子とほぼ同形状の曲面を有し、下部になるほど直径が小さい。貫通孔64の下部には開口部62が設けられている。
【0050】
次いで、工程(2)により作製した図4に示す球状素子を多数用意し、これらを仮基板61上に転がして、それぞれの窪み60に球状素子65、66および67をランダムな方位で収納する。図12A(2)に示すように、球状素子が仮配置された仮基板61の上面を軽く擦るように、樹脂製の平板70にスポンジシート71を張り合わせた摺動板69を静かに左から右方向に移動させる。これにより、窪み60から突出した部分の球状素子がスポンジシート71に擦られて、各球状素子は窪み60の内部を矢印方向に滑りながら回転する。例えば球状素子65の姿勢は、球状素子66のような姿勢に変化し、さらに球状素子67のような姿勢に変化する。
【0051】
摺動板69を左から右方向に移動させる操作を継続すると、窪み60の上端の開口部68の中央部に球状素子の電極5が位置するような姿勢になるまで球状素子が回転する。この時、球状素子の窪み60からの突出部がなくなり、摺動板69の移動による球状素子への外力がなくなって、上記の姿勢を維持したまま、球状素子の回転が停止する。上記の摺動板69の移動操作を数回繰り返すことにより、最終的には、全ての球状素子65、66および67は、図12A(3)に示すように、電極を有する第1半導体の露出面が上を向く姿勢に制御されて窪み60の内部に収納される。
【0052】
一方では、図14のように、図7に示した支持体15の凹部の孔17の縁部およびその周辺部に導電性ペースト51を塗布し、この支持体15と、全ての球状素子が姿勢制御された図12A(3)の仮基板61とを、対応する支持体の凹部16と仮基板の窪み60のそれぞれの中心部が対向するように重ね合わせる。次いで、貫通孔64に対応するパターンで貫通孔64の下部の開口部62より小径の突起部73が形成された押し出し板74を、図12B(4)のように、仮基板61の背面に配置する。
【0053】
押し出し板74を押し上げることにより、突起部73が仮基板61の貫通孔64を通して窪み60に挿入され、各球状素子65、66、および67が支持体の凹部16に押し込まれる。これにより、図12B(5)のように、各球状素子が所定位置に位置決めされると同時に、開口部よりやや上部の第2半導体層2と支持体の凹部の孔17の縁部ないしはその周辺部とが、導電性ペースト51によって粘着し、各球状素子が仮固定される。以上のように、予め塗布された導電性ペーストが固化する以前に本工程(4)を実施することにより、球状素子を仮固定する効果を十分に発揮させることができる。
【0054】
本発明は、工程(8)で導電性ペーストを塗布した後に本工程(4)により球状素子を位置決めする上記の方法に拘ることなく、工程(3)で用意したそのままの支持体の凹部内に球状素子を位置決めしてもよい。
【0055】
次に、工程(4)の他の実施形態として、電極もしくはその周辺部に、他の部位よりも強い磁性を有する磁性体部を備えた球状素子を工程(2)において作製し、この球状素子を支持体の所定位置に位置合わせする方法を図13により説明する。この方法は、球状素子に所定方向から磁場を印加することにより、その球状素子を所定方位に配列させるものである。まず、図13(1)のように、図10に示した支持体を用意し、図13(2)のように球状素子7を、支持体35に形成された全ての凹部36に、それぞれ一個ずつランダムな方向に仮配置する。この球状素子7は、図6のように、電極5上に他の部位よりも磁性が強い磁性体部6を形成したものである。
【0056】
次いで、支持体の凹部の孔37とほぼ等しい0.5〜0.9mmの直径を有する長さ10〜20mm程度の棒磁石145が所定の間隔で固定された鉄製の磁石保持板142を、支持体35の下部に近接させる。この際、図13(3)に示すように、それぞれの孔37の下部に磁石棒145が同軸で配置される。これにより各磁石棒145から対応する孔37に向けて垂直方向に磁場が印加され、各球状素子7の磁性体部6が孔37の方向に引き寄せられる。その結果、仮配置されていた各球状素子7は、それぞれ、電極5が形成された第1半導体の露出部が孔37に嵌まり込むように各凹部36内に位置決めされる。棒磁石145としては、フェライト磁石、Ni−Fe−B磁石、Sm−Co磁石などの永久磁石を用いることができる。
【0057】
5)工程(5)
本工程では、支持体の凹部の所定位置に位置決めされた球状素子をその位置に固定するとともに球状素子の第2半導体層を第2導電体層(支持体)に電気的に接続する。本工程(5)の好ましい実施形態は、支持体の凹部の底部に塗布した導電性ペーストを熱処理して固化させることにより、位置決めされた球状素子を支持体の凹部内に固定する方法である。即ち、この実施形態においては、本工程(5)は、支持体の凹部の孔の縁部もしくはその周辺部に導電性ペーストを塗布する工程(8)、および塗布された導電性ペーストを加熱して固化させることにより、支持体の凹部の所定の位置に球状素子を固定し、同時に第2半導体層と支持体(第2導電体層)とを電気的に接続する工程(9)が含まれる。
【0058】
工程(8)では、通常、樹脂型導電性ペーストを用いることで十分な効果が得られる。場合によっては、550℃以下の温度で固化する低温ガラスフリット型導電性ペーストを用いてもよい。導電性ペーストに添加する導電材は、第2半導体層がn型半導体である場合にはAg粉などを用い、第2半導体がp型半導体である場合には、Al粉とAg粉の混合物を含むペーストを用いるのが好ましい。
【0059】
工程(8)は、前記のように、球状素子を位置決めする工程(4)に先立って行うことが好ましく、工程(4)に次いで行ってもよい。前者の一例として、図14にスタンプ印刷による導電性ペーストの塗布方法を示す。図14(1)のように導電性ペースト51を適量付着させたゴム製のスタンプ55の先端を、図7に示す支持体15の孔17の周縁部に接するように押し付ける。スタンプ55は中空円筒状で、その外径は支持体15の孔17の直径より約0.15mm程度大きく、内径は約0.15mm程度小さい。導電性ペースト51は図14(2)のように孔17の縁部22およびその周辺部に転写されて塗布される。導電性ペーストの粘度は約100Pa.sに調整されている。
【0060】
次に、工程(4)に次いで工程(8)により導電性ペーストを塗布する方法の一例を示す。図15に、図13の工程によって球状素子7が位置決めされた支持体35に導電性ペースト39が塗布された状態を示す。この導電性ペースト39は、支持体の孔37の縁部とその周辺部から、球状素子の第2半導体の下部にかけて塗布されている。この場合、導電性ペーストの塗布量が多過ぎると、支持体の凹部内面の反射鏡として機能する部位を導電性ペーストが覆い、受光効率を低下させる。また、支持体の裏面側に導電性ペーストが余分に付着すると、支持体に配置される球状素子の第1半導体の露出部および電極が導電性ペーストを介して第2半導体層と導通し、内部短絡を引き起こす危険性がある。導電性ペーストの塗布量が少な過ぎると、工程(9)において十分な強度で球状素子を支持体に固定できない。
【0061】
上記本発明の実施形態では、導電性ペーストの塗布箇所が、支持体の凹部の孔の縁部ないしはその周辺部であることに特徴がある。前記特許文献7では、予め球状素子の第2半導体側に形成した電極上に導電性ペーストを塗布した球状素子を、支持体の凹部に配置し熱処理を施すことにより、球状素子を支持体に固定すると共に第2導電体層と第2半導体層とを電気的に接続する方法が開示されている。しかし、小さな球状素子の開口部周辺の曲面の微小な部位に適量の導電性ペーストを塗布すること、および粘着性の導電性ペーストが付着した球状素子を支持体の凹部の所定位置に配置することが極めて困難であるために、この工程を迅速に進めることは事実上不可能である。本発明では、例えば上記のスタンプ印刷法やディスペンサー法などにより比較的容易に導電性ペーストを所定箇所に塗布することができる。さらに、球状素子側に粘着性の導電性ペーストを塗布しないので、球状素子を位置決めする工程において、取り扱い易く、位置決めを比較的容易に行うことができる。
【0062】
工程(9)においては、樹脂型導電性ペーストが塗布されている場合には、100〜150℃で10〜20分間の低温度での熱処理を行えば十分である。低温ガラスフリット型導電性ペーストが塗布されている場合には、約100〜150℃で乾燥させた後、500〜550℃で10〜20分間の熱処理を行って固化させるのが有効である。
【0063】
上記のように、工程(9)における熱処理温度は最高でも550℃であり、Alを主材料とする支持体の変形や破損がなく、かつ、第2半導体層と第1半導体との短絡も皆無であることが確認されている。また、従来のAlとSiを接触させて高温で熱処理して形成される合金層によるAl支持体と第2半導体層との電気的接続と、本発明における導電性ペーストの熱処理による電気的接続の状態を信頼性試験等により確認したが、両者の間に差はなく何れも良好であった。さらに、球状素子と支持体との接着強度も強く、球状素子が十分な強度で固定されていることが確認されている。
【0064】
工程(5)による球状素子の固定および第2半導体層と第2導電体層(支持体)との電気的接続の方法としては、上記の方法以外に様々な方法を採ることが可能である。例えば、位置決めされた球状素子の第2半導体層と第2導電体層を半田により接続する方法がある。この場合、半田を凹部の孔縁部ないしはその周辺に付着させ、支持体に球状素子を位置決めした後、加熱して第2半導体層と凹部の底部を半田付けする方法がある。また、球状素子を支持体の凹部に位置決めした後、半田ボールを支持体の凹部内面と第2半導体層の隙間に挿入し、これを加熱して凹部内面と第2半導体層を半田付けする方法などがある。
【0065】
もし、上記の所定位置に球状素子が固定されず、第2半導体層の開口部とその内側の第
1半導体側の露出部に跨る部分が、支持体の孔の縁部あるいはその周辺に触れた状態
で固定されたり、固定力不足のために位置ずれを起こしたりすると、支持体を介しての第
1半導体と第2半導体層とが短絡するなどの問題が発生する。本工程により支持体の所定
位置に球状素子が強固に固定されるので、上記の問題が解決される。
【0066】
6)工程(6)
本工程(6)では、工程(5)で球状素子が所定位置に固定された支持体の裏面側に、球状素子の電極上の少なくとも一部が露出した電気絶縁体層を形成する。電気絶縁体層を高速で形成する方法としては、スクリーン印刷法、スプレー法、オフセット印刷法、インクジェット法などにより樹脂ペーストを塗布し、乾燥する手法がある。樹脂ペーストの材料としては、エポキシ系、ポリイミド系、シリコーン系、ウレタン系、アクリル系などの各種の樹脂を用いることができる。コスト面および作業性を重視すれば、エポキシ系樹脂を用いるのが最も好ましい。樹脂ペーストは、上記の樹脂材料を有機溶媒や水に溶解または分散させたものである。
【0067】
スクリーン印刷法、オフセット印刷法は高速でパターン印刷ができるというメリットがある。これらの印刷法により均一に樹脂ペーストを塗布するには、支持体裏面側の被塗布面(支持体野裏面側)の凹凸を少なくすることが好ましい。スプレー法は設備の簡便性、生産性などの面から最も好ましく、低コストで電気絶縁体層を形成できる。この方法では、樹脂ペーストを塗布する前に第1半導体側電極の少なくとも一部をマスキングするか、塗布後に電極上部の絶縁樹脂層を除去する。インクジェット法は、現時点では塗布速度向上に課題があるが、パターン印刷ができ、樹脂ペーストの利用効率も良く、将来的には有望な技術である。
【0068】
上記の樹脂ペースト塗布による電気絶縁体層を形成法に代わり、樹脂シートを支持体裏面側に接着剤や熱圧着などで接着すれば、所望の電気絶縁体層を形成することができる。この場合、支持体の裏面側に露出した各電極の配列に対応したパターンで予め小孔を形成したシートを用いてもよく、接着後に電極上部の樹脂層を除去してもよい。ここに用いる樹脂シートの材料としては、ポリイミド系、ポリエーテルサルホン系、ポリエーテルエーテルケトン系、芳香族ポリアミド系、ポリエーテルスルホン系、ポリエーテルイミド系およびフッ素系などの樹脂を用いることができる。
【0069】
樹脂ペーストを塗布して電気絶縁体層を形成する工程の実施形態を図16に例示する。この実施形態では、スプレー法にて支持体の裏面側に樹脂ペーストを塗布し熱処理した後、レーザ光照射により電極の一部を露出させる。樹脂ペーストとして、例えば、エポキシ系樹脂(十条ケミカル社製:MIG−N)をグリコールエステル系溶剤に分散させ、粘度が約20Pa.sになるよう調整されたものを用いることができる。
【0070】
図16(1)に樹脂ペーストの塗布工程を示す。図12(5)のように位置決めされた球状素子が固定された支持体15を受光面が下になるよう配置し、上方のスプレー塗布装置のノズル31より樹脂ペースト32を霧状に噴霧する。ノズル31を左より右方向に移動させ、支持体の裏面側に露出した部位の球状素子(第2半導体層の開口部3とその周辺部、および第1半導体の露出部4と電極5)および支持体の裏面全面に厚み約30μmの樹脂ペーストの塗布層33を形成する。
【0071】
次いで、塗布層33に約150℃で約30分間の熱処理を施すことにより、図16(2)に示すような電気絶縁体層50が形成される。電気絶縁体層50と支持体15の裏面側との密着性は極めて良く、支持体15と第1半導体層の露出部4は電気的に完全に絶縁される。次いで、図16(3)に示すように、電極5の上部を覆う部位の電気絶縁体層50の全面もしくは一部にレーザ光35を照射し、被照射部の電気絶縁体層50を除去する。レーザ光照射用装置52として出力50WのYAGレーザを用い、約0.01秒の照射時間で直径約100〜150μmの照射部領域の電気絶縁体層50を除去することができる。
【0072】
電気絶縁体層形成法の他の実施形態として、ポリエーテルエーテルケトン系の樹脂シートを用いて電気絶縁体層を形成し、その後レーザ光を照射して、電極の一部を露出させる方法を図17により説明する。まず、図17(1)のように、球状素子が固定された支持体15を受光面が下になるよう配置し、支持体15の裏面側全面を覆うように樹脂シート36を配置する。
【0073】
次いで、約380℃で約10分間の熱処理を行う。熱処理後の状態を図17(2)に示す。厚み約50μmの薄い樹脂シート36を用いた場合でも、支持体15の裏面側との密着性は極めて良く、また支持体15と第1半導体層の露出部4は電気的に完全に絶縁されている。樹脂シート36と支持体15の裏面の間に一部空隙があるが、樹脂シート36の厚みが約50μm以上であれば強度的にも十分である。次いで、図17(3)に示すように、樹脂シート36の電極5の上面を覆う部位の全面もしくは一部にレーザ光35を照射し、被照射部の樹脂シート36を除去する。レーザ光照射用の装置53として50WのYAGレーザを用い、照射時間約0.01秒で直径約100〜150μmの被照射部領域で樹脂シート36を除去できる。
【0074】
レーザ光を用いて電気絶縁体層の一部を所定のパターンで除去する方法は、図4に示すような球状素子に代わって、電極5上に磁性体部6を形成した図6に示すような球状素子を用いる場合に適用することも有効である。上記の実施形態のようにレーザ光を照射すると、被照射部の電気絶縁体層とともに磁性体部6が同時に除去される。磁性体部6は、図13により説明したように、球状素子を位置決めする際の姿勢制御には有効であるが、電極5に比べると一般的に電気的抵抗が大きい。従って、後の工程(8)において、磁性体部6が第1導電体層と第1半導体を低抵抗で電気的に接続するための妨げになる場合があるので、工程(8)以前に、磁性体部6が予め除去されていることが好ましい。
【0075】
7)工程(7)
本工程では、支持体の所定位置に固定された各球状素子の第1半導体間を第1導電体層により電気的に接続する。本工程(7)は、電気絶縁体層から露出している各球状素子の電極間を相互に繋ぐように電気絶縁体層上に導電性ペーストを塗布し、加熱して固化させることにより第1導電体層を形成する工程(10)を含むことが好ましい。固化された導電性ペーストにより第1導電体層が構成され、この第1導電体層により、支持体に固定された各球状素子の第1半導体側電極の相互間が電気的に接続される。
【0076】
上記の導電性ペーストは、工程(6)で形成した電気絶縁体層が変形・変質などのダメージを受けない温度下で固化するものを選択することが好ましい。一般的には、100〜200℃という比較的低い熱処理温度で固化できる樹脂型導電性ペーストを用いることが好ましい。電気絶縁体層が、高融点ガラスやフッ素系樹脂など比較的耐熱性が優れた材料からなる場合には、低温ガラスフリット型導電性ペーストも使用できる。導電性ペーストの塗布方法としては、ディスペンサー法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法、およびスプレー法がある。支持体裏面に凹凸がある場合には、凹部にも導電性ペーストを塗布することが必要であり、特に凹部が深い場合は、ディスペンサー法およびスプレー法が好ましい。
【0077】
ディスペンサー法により、導電性ペーストを塗布し熱処理を施すことにより第1導電体層を形成し、各電極を電気的に接続する工程の具体的な実施形態を図18に示す。まず、裏面側に電気絶縁体層50が形成された図16(3)の支持体を用意する。そして、図18(1)のように、ディスペンサーのノズル40から導電性ペースト41を吐出させながら、電気絶縁体層50から露出している各球状素子の電極5を繋ぐ直線に沿ってノズル40を移動させ、図18(2)のように、電気絶縁体層50上に線状の導電性ペースト塗布層42を形成する。これにより、支持体15に固定された多数の球状素子の各電極5は、支持体15の裏面側において電気絶縁体層50を介して、導電性ペースト塗布層42で連結される。
【0078】
導電性ペーストをディスペンサーにより塗布する際には、ノズルの内径に応じて移動速度を適切に調整することにより、適切な線幅で断線が無い導電性ペースト塗布層を形成できる。例えば、ノズル内径を0.15mmとし、ヘッドの移動速さを毎秒80mmにした時、導電性ペーストの塗布層の線幅は490μmであり、ノズル内径を0.1mmとし、ヘッドの移動速さを毎秒10mmにした時、線幅310μmの塗布層が形成される。これらの条件で形成された塗布層は何れも、被塗布面に凹凸があるにも拘らず、断線することなく、各電極間は導電性ペーストにより確実に繋がっている。太陽電池の電気特性から判断した場合には、塗布層の線幅が310μm以上であれば充分である。
【0079】
上記の方法により導電性ペーストを線状に塗布するパターンには様々なものがあり、その一例を図19に示す。図19は、図18の工程により導電性ペースト塗布層42が形成された支持体15の裏面側の平面図である。簡略化のため、電極、およびレーザ光による電気絶縁体層の除去部などの細部は図中から省略する。一直線上に配列された複数の支持体の凹部16のそれぞれに固定された球状素子の各電極を繋ぐように、線状の導電性ペースト塗布層42が電気絶縁体層50上に形成されている。
【0080】
導電性ペースト塗布層42の線幅は支持体の凹部の孔17の直径よりやや小さく、球状素子の第1半導体の露出部の直径とほぼ等しい。複数の導電性ペースト塗布層42が電気絶縁体層33上に平行に配列して形成されている。これら導電性ペースト塗布層42の先端部は、支持体の端部に形成された他の線状の導電性ペースト塗布層52により連結されている。
【0081】
上記の塗布パターンは比較的単純で、作業性が良く、材料消費量も少ないので、低コスト化のためには好ましい。しかし、これに拘ることなく、例えば、線状の導電性ペースト塗布層を網の目状に形成し、網の目を構成する各線状塗布層の交点にそれぞれの電極が位置するようなパターンとすることにより、一層確実な電極間の電気的接続が可能になる。
【0082】
上記の導電性ペーストの塗布パターンは、線状の導電性ペースト塗布層により各電極を繋ぐ方法を例示したが、本発明においては、導電性ペーストの塗布パターンは、支持体に固定された全ての球状素子のそれぞれの電極が、電気絶縁体層により支持体および第2半導体層と絶縁され、何らかの形で導電性ペーストで連結されていれば、どの様なパターンであっても良い。例えば、導電性ペーストを印刷法により電気絶縁体層の全面に塗布しても良い。また、予め電極面が露出している部分に点状に導電性ペーストを塗布した後、線状もしくは面状に導電性ペーストを塗布すれば、より確実な電気的接続を行うことができる。
【0083】
上記のように形成された導電性ペースト塗布層に前記の条件で熱処理を施して、塗布層を固化させることにより、第1半導体側の各電極を電気的に接続する第1導電体層が電気絶縁体層を介して支持体の裏面側に形成される。この方法によれば、第1半導体と第1導電体層を電気的に接続する工程を高速で行うことができ、さらに部品点数を削減することができる。上記以外に、別途用意したAl箔などの第1導電体層を導電性ペーストや半田などにより電極に接続する方法を採ることもできる。この場合、予め電極面が露出している部分に点状に導電性ペーストを塗布した後、電気絶縁体層上にAlなどの金属薄板を圧着し熱処理を施す方法などがある。
【0084】
本発明による光電変換装置は、前記の本発明の製造方法によって製造される典型的な太陽電池であり、球状の第1半導体およびその表面を被覆する第2半導体層からなり、第2半導体層が第1半導体の一部を露出させる開口部を有し、第1半導体の露出部に電極が形成されたほぼ球状の複数の光電変換素子、光電変換素子を個々に取り付ける複数の凹部を有し、第2半導体層と電気的に接続される第2導電体層を兼ねる支持体であって、凹部が、第2半導体層の開口部より大きい孔を底部に有する支持体、支持体の裏面側に各電極を露出させるように形成された電気絶縁体層、並びに、電極を電気的に並列に接続する第1導電体層を含み、光電変換素子は、その第2半導体層が熱処理により固化された導電性ペーストによって支持体の凹部の孔の縁部に電気的に接続されて支持体に物理的に固定され、第1導電体層が熱処理により固化された導電性ペーストからなるものである。
【0085】
これにより、球状素子が支持体の凹部内の所定位置に強固に固定され、さらに、支持体に固定された全ての球状素子の半導体側と導電体側とが確実に電気的に接続された、低コストで高品質・高信頼性の光電変換装置を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明により、高品質・高信頼性のマイクロ集光型球状太陽電池を製造することができ、低コストかつ工業的規模で高品質・高信頼性の光電変換装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の実施形態における第2半導体層に開口部を有する光電変換素子の縦断面図である。
【図2】図1の光電変換素子の底面図である。
【図3】本発明の他の実施形態における第2半導体層の開口部を有する光電変換素子の縦断面図である。
【図4】本発明の実施形態における電極を形成した光電変換素子の縦断面図である。
【図5】図4の光電変換素子の底面図である。
【図6】本発明の他の実施形態における電極を形成した光電変換素子の縦断面図である。
【図7】本発明における支持体の第1の実施形態の平面図である。
【図8】図7の8−8線の断面図である。
【図9】本発明における支持体の第2の実施形態の縦断面図である。
【図10】本発明における支持体の第3の実施形態の縦断面図である。
【図11】本発明における支持体の第4の実施形態の縦断面図である。
【図12A】本発明において球状素子を位置決めする工程の前半部分の実施形態を示す縦断面図である。
【図12B】本発明において球状素子を位置決めする工程の後半部分の実施形態を示す縦断面図である。
【図13】本発明において球状素子を位置決めする工程の他の実施形態を示す縦断面図である。
【図14】本発明の実施形態における支持体の底部に導電性ペースト塗布する工程の縦断面図である。
【図15】本発明の他の実施形態により底部に導電性ペーストが塗布された支持体の縦断面図である。
【図16】本発明における電気絶縁体層形成工程の実施形態の縦断面図である。
【図17】本発明における電気絶縁体層形成工程の他の実施形態の縦断面図である。
【図18】本発明における電気絶縁体層形成の実施形態における導電性ペーストの塗布工程を示す縦断面図である。
【図19】図18の工程で塗布された導電性ペーストの塗布パターンを示す平面図である。
【図20】従来の球状太陽電池における光電変換素子が配置された支持体の縦断面図である。
【符号の説明】
【0088】
1、107 第1半導体
2、106 第2半導体層
3、13 第2半導体層の開口部
4、14、108 第1半導体の露出部
5 電極
6 磁性体層
7、65、66、67、105 光電変換素子
15、25、35、102 支持体(第2導電体層)
16、26、36、46、102 凹部
17、27、37、47 孔
22 孔の縁部
25、45 支持体の基板部
29、49 反射鏡層
32 樹脂ペースト
33 樹脂ペーストの塗布層
35 レーザ光
36 樹脂シート
39、51、41 導電性ペースト
42 導電性ペーストの塗布層
50、101 電気絶縁体層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)球状の第1半導体およびその表面を被覆する第2半導体層からなり、前記第2半導体層が前記第1半導体の一部を露出させる開口部を有する複数のほぼ球状の光電変換素子を用意する工程、(2)前記第1半導体の露出部に電極を形成する工程、(3)前記光電変換素子を内部に配置するための隣接する複数の凹部を有し、前記凹部が底部に前記第2半導体層の開口部より大きい孔を有する支持体であって、前記凹部に配置される各光電変換素子の第2半導体層と電気的に接続される第2導電体層を兼ねる支持体を用意する工程、(4)前記第2半導体層が前記孔の縁部に接し、前記第1半導体の露出部が前記支持体の裏面側に位置するように、前記光電変換素子を前記凹部内に位置決めする工程、(5)前記光電変換素子を前記位置決めされた位置に固定するとともに前記光電変換素子の第2半導体層を前記第2導電体層に電気的に接続する工程、(6)前記光電変換素子が固定された支持体の裏面側に、前記電極の少なくとも一部が露出する電気絶縁体層を形成する工程、および、(7)前記支持体に固定された光電変換素子の電極を電気的に並列に接続する第1導電体層を形成する工程を有することを特徴とする光電変換装置の製造方法。
【請求項2】
前記工程(5)が、前記孔の縁部もしくはその周辺部に導電性ペーストを塗布する工程、および、前記塗布された導電性ペーストを加熱して固化させる工程を含む請求項1に記載の光電変換装置の製造方法。
【請求項3】
前記工程(4)に先立って、前記孔の縁部もしくはその周辺部に導電性ペーストを塗布する工程を行う請求項2に記載の光電変換装置の製造方法。
【請求項4】
前記工程(7)が、前記複数の光電変換素子のそれぞれの電極を相互に繋ぐように前記電気絶縁体層上に導電性ペーストを塗布し、加熱して固化させることにより第1導電体層を形成する工程を含む請求項1〜3のいずれかに記載の光電変換装置の製造方法。
【請求項5】
前記工程(6)が、前記支持体の裏面側のほぼ全面に電気絶縁体層を形成する工程、および前記電気絶縁体層に、前記各電極の少なくとも一部を露出させる孔を形成する工程からなる請求項1〜4のいずれかに記載の光電変換装置の製造方法。
【請求項6】
前記光電変換素子は、主材料がシリコンである請求項1〜5のいずれかに記載の光電変換装置の製造方法。
【請求項7】
球状の第1半導体およびその表面を被覆する第2半導体層からなり、第2半導体層が第1半導体の一部を露出させる開口部を有し、前記第1半導体の露出部に電極が形成されたほぼ球状の複数の光電変換素子、
前記光電変換素子を個々に取り付ける複数の凹部を有し、前記第2半導体層と電気的に接続される第2導電体層を兼ねる支持体であって、前記凹部が、前記第2半導体層の開口部より大きい孔を底部に有する支持体、
前記支持体の裏面側に各電極を露出させるように形成された電気絶縁体層、並びに、
前記電極を電気的に並列に接続する第1導電体層を含み、
前記光電変換素子は、その第2半導体層が熱処理により固化された導電性ペーストによって前記支持体の前記孔の縁部に電気的に接続されて前記支持体に物理的に固定され、前記第1導電体層が熱処理により固化された導電性ペーストからなることを特徴とする光電変換装置。
【請求項1】
(1)球状の第1半導体およびその表面を被覆する第2半導体層からなり、前記第2半導体層が前記第1半導体の一部を露出させる開口部を有する複数のほぼ球状の光電変換素子を用意する工程、(2)前記第1半導体の露出部に電極を形成する工程、(3)前記光電変換素子を内部に配置するための隣接する複数の凹部を有し、前記凹部が底部に前記第2半導体層の開口部より大きい孔を有する支持体であって、前記凹部に配置される各光電変換素子の第2半導体層と電気的に接続される第2導電体層を兼ねる支持体を用意する工程、(4)前記第2半導体層が前記孔の縁部に接し、前記第1半導体の露出部が前記支持体の裏面側に位置するように、前記光電変換素子を前記凹部内に位置決めする工程、(5)前記光電変換素子を前記位置決めされた位置に固定するとともに前記光電変換素子の第2半導体層を前記第2導電体層に電気的に接続する工程、(6)前記光電変換素子が固定された支持体の裏面側に、前記電極の少なくとも一部が露出する電気絶縁体層を形成する工程、および、(7)前記支持体に固定された光電変換素子の電極を電気的に並列に接続する第1導電体層を形成する工程を有することを特徴とする光電変換装置の製造方法。
【請求項2】
前記工程(5)が、前記孔の縁部もしくはその周辺部に導電性ペーストを塗布する工程、および、前記塗布された導電性ペーストを加熱して固化させる工程を含む請求項1に記載の光電変換装置の製造方法。
【請求項3】
前記工程(4)に先立って、前記孔の縁部もしくはその周辺部に導電性ペーストを塗布する工程を行う請求項2に記載の光電変換装置の製造方法。
【請求項4】
前記工程(7)が、前記複数の光電変換素子のそれぞれの電極を相互に繋ぐように前記電気絶縁体層上に導電性ペーストを塗布し、加熱して固化させることにより第1導電体層を形成する工程を含む請求項1〜3のいずれかに記載の光電変換装置の製造方法。
【請求項5】
前記工程(6)が、前記支持体の裏面側のほぼ全面に電気絶縁体層を形成する工程、および前記電気絶縁体層に、前記各電極の少なくとも一部を露出させる孔を形成する工程からなる請求項1〜4のいずれかに記載の光電変換装置の製造方法。
【請求項6】
前記光電変換素子は、主材料がシリコンである請求項1〜5のいずれかに記載の光電変換装置の製造方法。
【請求項7】
球状の第1半導体およびその表面を被覆する第2半導体層からなり、第2半導体層が第1半導体の一部を露出させる開口部を有し、前記第1半導体の露出部に電極が形成されたほぼ球状の複数の光電変換素子、
前記光電変換素子を個々に取り付ける複数の凹部を有し、前記第2半導体層と電気的に接続される第2導電体層を兼ねる支持体であって、前記凹部が、前記第2半導体層の開口部より大きい孔を底部に有する支持体、
前記支持体の裏面側に各電極を露出させるように形成された電気絶縁体層、並びに、
前記電極を電気的に並列に接続する第1導電体層を含み、
前記光電変換素子は、その第2半導体層が熱処理により固化された導電性ペーストによって前記支持体の前記孔の縁部に電気的に接続されて前記支持体に物理的に固定され、前記第1導電体層が熱処理により固化された導電性ペーストからなることを特徴とする光電変換装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2006−229025(P2006−229025A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−42001(P2005−42001)
【出願日】平成17年2月18日(2005.2.18)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究に係る特許出願(平成16年度経済産業省近畿経済産業局地域新生コンソーシアム研究開発事業委託研究、産業再生法第30条の適用を受けるもの
【出願人】(502139910)株式会社クリーンベンチャー二十一 (33)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月18日(2005.2.18)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究に係る特許出願(平成16年度経済産業省近畿経済産業局地域新生コンソーシアム研究開発事業委託研究、産業再生法第30条の適用を受けるもの
【出願人】(502139910)株式会社クリーンベンチャー二十一 (33)
【Fターム(参考)】
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