説明

免疫刺激性の組み合わせおよび治療

本発明は、免疫刺激性の組み合わせおよび方法を提供する。一般に、この免疫刺激性の組み合わせは、IRM化合物の局所製剤と、医薬組成物と、を含む。一般に、この方法は、(a)IRM化合物の局所製剤と、(b)医薬組成物と、を対象の投与部位に投与することを含む。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
近年、免疫系の特定の主要な面を刺激することによって、ならびに他の特定の面を抑制することによって、作用する新規な薬物化合物を発見するために、著しい成功を収めながら、かなりの努力が注がれてきた(例えば、米国特許第6,039,969号明細書および米国特許第6,200,592号明細書参照)。本明細書において免疫応答修飾因子(IRM)と呼ばれるこれらの化合物は、Toll様受容体(TLR)として知られる基本免疫系メカニズムを介して作用し、選択されたサイトカイン生合成を誘導すると思われている。
【0002】
IRMは、限定されないが、抗ウイルスおよび抗腫瘍活性を含む強力な免疫調節活性を有する化合物である。特定のIRMは、例えば米国特許第4,689,338;4,929,624;4,988,815;5,037,986;5,175,296;5,238,944;5,266,575;5,268,376;5,346,905;5,352,784;5,367,076;5,389,640;5,395,937;5,446,153;5,482,936;5,693,811;5,741,908;5,756,747;5,939,090;6,039,969;6,083,505;6,110,929;6,194,425;6,245,776;6,331,539;6,376,669;6,451,810;6,525,064;6,541,485;6,545,016;6,545,017;6,558,951;6,573,273;6,656,938;6,660,735;6,660,747;6,664,260;6,664,264;6,664,265;6,667,312;6,670,372;6,677,347;6,677,348;6,677,349;6,683,088;6,756,382号明細書;欧州特許第0 394 026号明細書;米国特許出願公開第2002/0016332;2002/0055517;2002/0110840;2003/0133913;2003/0199538;および2004/0014779号明細書;国際公開第01/74343号パンフレット;国際公開第02/46749号パンフレット;国際公開第02/102377号パンフレット;国際公開第03/020889号パンフレット;国際公開第03/043572号パンフレット;国際公開第03/045391号パンフレット;国際公開第03/103584号パンフレット;および国際公開第04/058759号パンフレットに開示されるような有機小分子(例えば、タンパク質、ペプチド等の大きな生体分子とは対照的に、約1000ダルトン未満、好ましくは約500ダルトン未満の分子量)である。
【0003】
小分子IRMの他の例としては、特定のプリン誘導体(米国特許第6,376,501号明細書および米国特許第6,028,076号明細書に記載の誘導体など)、特定のイミダゾキノリンアミド誘導体(米国特許第6,069,149号明細書に記載の誘導体など)、特定のイミダゾピリジン誘導体(米国特許第6,518,265号明細書に記載の誘導体など)、特定のベンズイミダゾール誘導体(米国特許第6,387,938に記載の誘導体など)、5員窒素含有複素環に縮合した4−アミノピリミジンの特定の誘導体(米国特許第6,376,501;6,028,076および6,329,381号明細書;および国際公開第02/08905号パンフレットに記載のアデニン誘導体など)、および特定の3−β−D−リボフラノシルチアゾロ[4,5−d]ピリミジン誘導体(米国特許出願公開第2003/0199461号明細書に記載の誘導体など)が挙げられる。
【0004】
他のIRMとしては、オリゴヌクレオチド配列などの大きな生体分子が挙げられる。一部のIRMオリゴヌクレオチド配列は、シトシン−グアニンジヌクレオチド(CpG)を含有し、例えば米国特許第6,194,388;6,207,646;6,239,116;6,339,068;および6,406,705号明細書に記載されている。一部のCpG含有オリゴヌクレオチドは、米国特許第6,426,334号明細書および米国特許第6,476,000号明細書に記載の構造モチーフなどの合成免疫修飾物質構造モチーフを含み得る。他のIRMヌクレオチド配列はCpG配列を欠いており、例えば国際公開第00/75304号パンフレットに記載されている。
【0005】
他のIRMとしては、アミノアルキルグルコサミニドリン酸(AGP)などの生体分子が挙げられ、例えば米国特許第6,113,918;6,303,347;6,525,028;および6,649,172号明細書に記載されている。
【0006】
特定のIRMは、1種または複数種のToll様受容体(TLR)のアゴニストとして作用することが知られている。例えば、一部の小分子IRMは、例えばTLR6、TLR7、またはTLR8のアゴニストとして作用し得る。一部の化合物は、1種類を超えるTLR、例えばTLR7およびTLR8のアゴニスト、いわゆるTLR7/8アゴニストであり得る。一部のCpG IRMは、少なくともTLR9のアゴニストとして作用し得る。
【0007】
特定のIRM、例えば特定の小分子IRMなどは、ワクチンアジュバントとして有用であることが示されている(例えば、米国特許第6,083,505号明細書参照)。また、イミキモッド(1−(2−メチルプロピル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミン)、TLR7アゴニストは、局所的ワクチンアジュバントとして有効であることが示されている。
【0008】
IRMの治療上の大きな可能性を考慮し、かつ既になされている重要な研究にもかかわらず、実質的には、その使用および治療上の利点を拡大することが必要とされている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
特定のIRMを使用して、例えばワクチンなどの医薬組成物の対象への投与を受けて、対象によって引き起こされる免疫応答を増強することができることが見出されている。
【0010】
したがって、本発明は、医薬組成物中の抗原に対する対象における免疫応答を引き起こす方法を提供する。一般に、この方法は、抗原に対する免疫応答を増強するのに有効な量で対象の投与部位にIRM化合物を局所投与すること、および抗原に対する免疫応答を引き起こすのに有効な量で抗原を含む医薬組成物を投与部位で投与することを含む。
【0011】
一部の場合には、本発明が、接種部位でのワクチンの投与を受けて、対象によって引き起こされる免疫応答を高める方法を提供するために、その医薬組成物はワクチンであることができる。一般に、この場合には、その方法は、ワクチンに対する免疫応答を高めるのに有効な量で接種部位にてIRM化合物を対象に局所投与することを含む。
【0012】
一部の実施形態において、IRM化合物は、TLR8アゴニスト、またはその薬学的に許容される形態であることができる。特定の実施形態において、IRM化合物は、TLR8−選択的アゴニスト、またはその薬学的に許容される形態であることができる。他の実施形態において、IRM化合物は、TLR7/8アゴニスト、またはその薬学的に許容される形態であることができる。
【0013】
一部の実施形態において、IRM化合物は、イミダゾキノリンアミン;テトラヒドロイミダゾキノリンアミン;イミダゾピリジンアミン;1,2−架橋イミダゾキノリンアミン;6,7−縮合シクロアルキルイミダゾピリジンアミン;イミダゾナフチリジンアミン;テトラヒドロイミダゾナフチリジンアミン;オキサゾロキノリンアミン;チアゾロキノリンアミン;オキサゾロピリジンアミン;チアゾロピリジンアミン;オキサゾロナフチリジンアミン;チアゾロナフチリジンアミン;またはピリジンアミン、キノリンアミン、テトラヒドロキノリンアミン、ナフチリジンアミン、またはテトラヒドロナフチリジンアミンに縮合した1H−イミダゾ二量体、または前記化合物のうちのいずれか1種類の薬学的に許容される形態であることができる。特定の実施形態において、イミダゾキノリンアミンは、置換イミダゾキノリンアミンである。
【0014】
一部の実施形態において、IRM化合物は、医薬組成物が投与される前に投与される。他の実施形態において、IRM化合物は、医薬組成物の後に、または医薬組成物と同時に投与される。
【0015】
一部の実施形態において、IRM化合物は、1回投与される。他の実施形態では、IRM化合物は、少なくとも2回投与される。
【0016】
その他の態様において、本発明は、IRM化合物と、例えばワクチンなどの医薬組成物と、を含む薬剤の組み合わせを提供する。一部の実施形態において、IRMはTLR8アゴニストであることができる。一部の実施形態において、IRM化合物は、イミダゾキノリンアミン;テトラヒドロイミダゾキノリンアミン;イミダゾピリジンアミン;1,2−架橋イミダゾキノリンアミン;6,7−縮合シクロアルキルイミダゾピリジンアミン;イミダゾナフチリジンアミン;テトラヒドロイミダゾナフチリジンアミン;オキサゾロキノリンアミン;チアゾロキノリンアミン;オキサゾロピリジンアミン;チアゾロピリジンアミン;オキサゾロナフチリジンアミン;チアゾロナフチリジンアミン;またはピリジンアミン、キノリンアミン、テトラヒドロキノリンアミン、ナフチリジンアミン、またはテトラヒドロナフチリジンアミンに縮合した1H−イミダゾ二量体、または前記の化合物のうちのいずれか1種類の薬学的に許容される形態であることができる。特定の実施形態において、イミダゾキノリンアミンは、置換イミダゾキノリンアミンである。
【0017】
さらに他の態様において、本発明は、医薬組成物を収容する第1容器;IRM化合物またはその薬学的に許容される形態を収容する第2容器;を備えるキットを提供する。一部の実施形態において、IRM化合物は、TLR8アゴニストを含む。一部の実施形態において、IRM化合物は、イミダゾキノリンアミン;テトラヒドロイミダゾキノリンアミン;イミダゾピリジンアミン;1,2−架橋イミダゾキノリンアミン;6,7−縮合シクロアルキルイミダゾピリジンアミン;イミダゾナフチリジンアミン;テトラヒドロイミダゾナフチリジンアミン;オキサゾロキノリンアミン;チアゾロキノリンアミン;オキサゾロピリジンアミン;チアゾロピリジンアミン;オキサゾロナフチリジンアミン;チアゾロナフチリジンアミン;またはピリジンアミン、キノリンアミン、テトラヒドロキノリンアミン、ナフチリジンアミン、またはテトラヒドロナフチリジンアミンに縮合した1H−イミダゾ二量体、または前記の化合物のうちのいずれか1種類の薬学的に許容される形態であることができる。特定の実施形態において、イミダゾキノリンアミンは、置換イミダゾキノリンアミンである。
【0018】
本発明の他の種々の特徴および利点は、以下の詳細な説明、実施例、特許請求の範囲および添付の図面を参照すれば、容易に理解されるはずである。本明細書を通じていくつかの箇所に、実施例のリストによって、ガイダンスが提供されている。それぞれの場合において、記載のリストは、代表的な群としてのみ役割を果たし、限定的なリストとして解釈されるべきではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明は、抗原に対する対象の免疫応答を高めるために、特定のIRM化合物を使用することに関する。したがって、本発明は、対象において抗原に対する免疫応答を引き起こす方法、対象へのワクチン接種を受けて、対象における免疫応答を高める方法、医薬組成物およびIRM化合物を含む薬剤の組み合わせ、並びに医薬組成物およびIRM化合物を含むキットを提供する。一部の実施形態において、IRM化合物はTLR8アゴニストであることができる。
【0020】
別段の指定がない限り、化合物の参考としては、いずれかの異性体(例えば、ジアステレオマーおよび鏡像異性体)、塩、溶媒和化合物、多形等を含む、薬学的に許容される形態の化合物が挙げられる。特に、化合物が光学活性である場合には、化合物の参考としては、化合物の鏡像異性体のそれぞれ、ならびに鏡像異性体のラセミ混合物が挙げられる。
【0021】
一態様において、本発明は、対象において抗原に対する免疫応答を引き起こす方法を提供する。一般に、その方法は、IRM化合物を投与部位において局所投与すること、および抗原を含む医薬組成物を投与部位で投与することを含む。特定の実施形態において、医薬組成物はワクチンであることができる。このように、特定の態様において、本発明は、対象へのワクチンの投与を受けて、対象において引き起こされる免疫応答を増強する方法を提供する。
【0022】
「抗原」およびその変形形態は、その物質に曝露された対象において免疫応答を生じさせることができるいずれかの物質を意味する。種々の実施形態において、抗原は、細胞性免疫反応、体液性免疫応答、またはその両方を引き起こし得る。適切な抗原は、合成の抗原であるか、または天然に存在し、天然に存在する場合には、内因性(例えば、自己抗原)または外来性である。適切な抗原物質としては、限定されないが、ペプチドまたはポリペプチド(その少なくとも一部がペプチドまたはポリペプチドをコードする核酸を含む);脂質;自己抗原;多糖類;炭水化物;ポリヌクレオチド;プリオン;生細菌または不活性化細菌、ウイルス、菌類、または寄生虫;および細菌性、ウイルス、真菌、原生動物免疫原、腫瘍由来免疫原または生物由来免疫原、毒素またはトキソイドが挙げられる。
【0023】
一般に、本発明は、医薬組成物が投与される部位と同じ部位でIRM化合物を局所投与することによって、医薬組成物の有効性を向上させることに関する。例えば、本発明の方法を用いて、例えばワクチンなどの医薬組成物の免疫学的効力(immunological potency)を増大することができる。医薬組成物の有効性を向上することによって、例えば、所望の結果を達成するための医薬組成物の投与回数が少なくなること、医薬組成物の有効性が向上または確立されること、治療がより迅速またはより完全になること、医薬組成物に伴う副作用が低減されること、またはコストが低くなることなど、1つまたは複数の特典を得ることができる。
【0024】
例えば、特定のワクチンは、複数の免疫原性成分を含み、その一部(例えば、トキソイド)によって、例えば痛み、腫脹、圧痛等の望ましくない副作用が起こり得る。本発明の方法は、免疫応答の所望のレベルを得るのに、特定の成分がそれほど必要ないように十分に、医薬組成物の特定の成分(例えば、ワクチントキソイド)に対する免疫応答を増強することができ、それによって、成分の望ましくない副作用を低減するか、または解消することさえできる。
【0025】
所望の免疫応答を達成するのに医薬組成物の各成分がそれほど必要ない結果として、(a)特定の成分が、例えば入手または配合するのに費用がかかる場合などに、医薬組成物を製造するコストが低くなり、または(b)例えば、医薬組成物の特定の成分が希少であるか、または法外な費用がかかる場合などに、医薬組成物をより広く分配する能力が得られる。
【0026】
さらに、本発明の実施は、医薬組成物を要する治療の有効性を向上させるか、または有効性を確立するのに役立つ。一部の場合には、これによって、単独で投与した場合に、有効な治療を提供できない医薬組成物を使用して、有効な治療が得られる。
【0027】
局所適用アジュバントの使用によって、アジュバントの全身曝露を制限することもでき、その結果、全身性副作用が低減され、ワクチンの治療域が広がる。
【0028】
さらに、IRM化合物を局所的に適用するために、抗原に対する免疫応答は、非脅迫的な、非観血的方法で増強することができる。
【0029】
その方法において、(a)IRM化合物を含む局所用医薬製剤、(b)抗原を含む医薬組成物のそれぞれが、対象の投与部位に投与される。投与部位は、例えば、皮膚の適切な表面、または医薬組成物の局所投与に適しているいずれかの粘膜表面、例えば口腔、鼻腔、膣または肛門の粘膜などの対象の体表面である。
【0030】
以下に記載のように、医薬組成物は、例えば表面に適用されると一般にみなされない方法で、筋肉内に、皮内に、経皮的に、または皮下に投与することができる。本発明の目的のために、IRM化合物が投与された、または投与されるであろう体表面を医薬組成物が貫通する方法で投与部位にて、医薬組成物は投与されると考えられる。例えば、筋肉内注射によって例えばワクチンを送達するためには、体表面(例えば、皮膚)を貫通しなければならない(例えば、針によって、またはワクチン粒子によって)。この例では、皮膚が貫通される部位は、投与部位であるとみなされる。
【0031】
抗原を含む医薬組成物が投与される前、投与された後、または投与されるのと実質的に同時に、IRM化合物は投与部位に適用される。IRM化合物は、抗原が投与される約7日前から、抗原が投与されて約10日後に投与されるが、本発明は、この範囲外の時点でIRM化合物を投与することによって実施してもよい。例えばIRM化合物は、例えば、抗原が投与される5日前、3日前、2日前、20時間前、12時間前、4時間前、または1時間前に投与される。代替方法としては、IRM化合物は、抗原を投与するのと実質的に同時に(例えば、抗原を投与して15分以内に)投与される。他の代替の実施形態において、IRM化合物は、例えば、抗原が投与されて1時間後、4時間後、12時間後、20時間後、2日後、3日後、7日後、または10日後に投与される。
【0032】
IRM化合物の投与と、抗原の投与との特定の時間間隔は、例えば、最初に投与される成分が投与部位に局在した状態になる能力、抗原の効力、IRM化合物の効力、投与される各成分の量、および成分が投与される順序などの多くの因子に、少なくとも一部依存する。したがって、すべての可能性のある用途に関して、IRM化合物と抗原を投与する特定の時間間隔を示すのは実際的ではない。しかしながら、当業者であれば、かかる因子を考慮して、適切な間隔を容易に決定することができる。
【0033】
特定の実施形態において、IRM化合物を投与する頻度および/またはタイミングによって幾分、抗原に対する免疫応答の所望のレベルを制御することができる。例えば、IRM化合物は、複数回投与することができる。この方法がIRM化合物の2回の適用を含む場合、初回の適用は、抗原が投与される前、投与された後、または投与されると同時に行われる。IRM化合物の2回目の適用もまた、抗原が投与される前、投与された後、または投与されると同時に行われる。例えば、IRM化合物の初回の投与は、抗原が投与される前(例えば、20時間前)に行われる。IRM化合物の2回目の投与は、抗原が投与される前(例えば、4時間前)、抗原が投与されると同時に(例えば、数分以内)、または抗原が投与された後(例えば、4または20時間)に行われる。
【0034】
図2は、抗原のみ(破線)を投与するよりも、抗原を投与する4時間前にIRM化合物を局所投与することによって、免疫応答が大きくなることを示している(群3)。抗原を投与する20時間前および4時間前に、IRM化合物を2回投与することによって、抗原に対する免疫応答がさらに大きくなる(群4)。
【0035】
この方法が、IRM化合物の2回を超える適用を含む場合、IRM化合物の追加の適用は、抗原が投与される前、投与された後、または投与されると同時に行われる。
【0036】
一部の実施形態において、抗原は、複数回投与される。例えば、特定のワクチンは、一連のワクチン接種として提供される。本発明の方法は、抗原投与のうちのいずれか1つまたは複数に用いることができる。例えば、特定の治療は、例えば、抗原(または、抗原の組み合わせ)の5回の投与を含み得る。IRM化合物は、1回または複数回の抗原投与と組み合わせて投与することができる。一部の実施形態において、IRM化合物は、初回の抗原投与と組み合わせて投与される。他の実施形態では、IRM化合物は、最終回の抗原投与と組み合わせて投与される。その他の代替の実施形態において、IRM化合物は、例えば、初回および最後の抗原投与と組み合わせて投与される。
【0037】
この方法を実施することによって、TH1(細胞性)免疫応答、TH2(体液性、つまり、抗体)免疫応答、またはその両方を起こすことができる。一実施形態において、この方法は、抗原に対して対象のTH1免疫応答を引き起こす、または増強することを含む。かかる特定の実施形態において、この方法は、抗原に対する対象のTH2免疫応答を低減または抑制することも含む。代替の実施形態では、その方法は、抗原に対する対象のTH2免疫応答を引き起こす、または増強することを含む。
【0038】
本発明の方法は、一部の場合において、抗原の投与を含む治療の有効性を向上させるのに十分な抗原の投与を受けて、対象によって引き起こされる免疫応答の増強を提供することができる。例えば、この方法は、例えば病原に対する予防を提供するために投与される抗原を受けて引き起こされる免疫応答を増強することができる。上述のように、特定の予防的治療(例えば、ワクチン)には現在、一連の処置が必要である。本発明の方法によって、予防の所望のレベルを得るのに必要な抗原投与の回数および/または頻度を低減することができる。
【0039】
他の治療は、例えば、病原体、または抗原を発現する細胞を含有する腫瘍などの既に存在する標的に対して対象の免疫応答を刺激するために、抗原を投与することを含む。本発明の方法は、抗原に対する対象の免疫応答を増強し、その結果、腫瘍または病原体の成長または拡散を遅くする、または逆行させる対象の能力が高められる。
【0040】
他の態様において、本発明は、抗原およびIRM化合物を含む治療的組み合わせを提供する。「治療的組み合わせ」とは、一方は少なくとも抗原を含有し、もう一方は少なくともIRM化合物を含有する医薬組成物の組み合わせを意味し、治療を提供するために別々に投与することができる。したがって、本発明の目的では、「治療的組み合わせ」という表現は、抗原およびIRM化合物のどちらも含有する薬剤混合物を明確に除外する。
【0041】
一部の実施形態において、抗原を含む治療的組み合わせの一部は、例えばワクチンである。
【0042】
一部の実施形態において、治療的組み合わせによって提供される治療は、予防的治療であり、つまり治療が意図される症状の程度、またはその症状を発症する可能性を低減することが意図される治療である。
【0043】
他の態様において、本発明は、医薬組成物を収容する第1容器と、IRM化合物の薬学的に許容される形態を収容する第2容器と、を備えるキットを提供する。IRM化合物を含有する医薬製剤は、以下に詳細に記述される。
【0044】
その容器は、容器の内容物を保存するのに適した条件を提供するいずれかの材料から製造することができる。また、その容器は、容器の内容物を適切に分配するように作られる。
【0045】
いずれかの適切なIRM化合物は、本発明の特定の態様または実施形態を実施するのに有用である。一部の実施形態において、IRM化合物は、小分子免疫応答修飾因子(例えば、分子量約1000ダルトン未満)である。特定の実施形態において、IRM化合物は、5員窒素含有複素環に縮合した2−アミノピリジン、または5員窒素含有複素環に縮合した4−アミノピリジンを含み得る。
【0046】
5員窒素含有複素環に縮合した2−アミノピリジンを有する適切な小分子IRM化合物としては、例えば、イミダゾキノリンアミン、限定されないが、例えばアミド置換イミダゾキノリンアミン、スルホンアミド置換イミダゾキノリンアミン、尿素置換イミダゾキノリンアミン、アリールエーテル置換イミダゾキノリンアミン、複素環式エーテル置換イミダゾキノリンアミン、アミドエーテル置換イミダゾキノリンアミン、スルホンアミドエーテル置換イミダゾキノリンアミン、尿素置換イミダゾキノリンエーテル、チオエーテル置換イミダゾキノリンアミン、および6−、7−、8−、もしくは9−アリールまたはヘテロアリール置換イミダゾキノリンアミンなどの置換イミダゾキノリンアミン;テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、限定されないが、アミド置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、スルホンアミド置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、尿素置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、アリールエーテル置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、複素環式エーテル置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、アミドエーテル置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、スルホンアミドエーテル置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、尿素置換テトラヒドロイミダゾキノリンエーテル、およびチオエーテル置換テトラヒドロイミダゾキノリンアミン;イミダゾピリジンアミン、限定されないが、アミド置換イミダゾピリジンアミン、スルホンアミド置換イミダゾピリジンアミン、尿素置換イミダゾピリジンアミン、アリールエーテル置換イミダゾピリジンアミン、複素環式エーテル置換イミダゾピリジンアミン、アミドエーテル置換イミダゾピリジンアミン、スルホンアミドエーテル置換イミダゾピリジンアミン、尿素置換イミダゾピリジンエーテル、およびチオエーテル置換イミダゾピリジンアミン;1,2−架橋イミダゾキノリンアミン;6,7−縮合シクロアルキルイミダゾピリジンアミン;イミダゾナフチリジンアミン;テトラヒドロイミダゾナフチリジンアミン;オキサゾロキノリンアミン;チアゾロキノリンアミン;オキサゾロピリジンアミン;チアゾロピリジンアミン;オキサゾロナフチリジンアミン;チアゾロナフチリジンアミン;およびピリジンアミン、キノリンアミン、テトラヒドロキノリンアミン、ナフチリジンアミン、またはテトラヒドロナフチリジンアミンに縮合した1H−イミダゾ二量体が挙げられる。
【0047】
特定の実施形態において、IRM化合物は、例えば、2−プロピルチアゾロ[4,5−c]キノリン−4−アミンなどのチアゾロキノリンアミンである。特定の代替の実施形態において、IRM化合物は、4−アミノ−α,α−ジメチル−2−エトキシメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−エタノールである。
【0048】
特定の実施形態において、IRM化合物は、イミダゾナフチリジンアミン、テトラヒドロイミダゾナフチリジンアミン、オキサゾロキノリンアミン、チアゾロキノリンアミン、オキサゾロピリジンアミン、チアゾロピリジンアミン、オキサゾロナフチリジンアミン、またはチアゾロナフチリジンアミンである。
【0049】
特定の実施形態において、IRM化合物は、置換イミダゾキノリンアミン、テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、イミダゾピリジンアミン、1,2−架橋イミダゾキノリンアミン、6,7−縮合シクロアルキルイミダゾピリジンアミン、イミダゾナフチリジンアミン、テトラヒドロイミダゾナフチリジンアミン、オキサゾロキノリンアミン、チアゾロキノリンアミン、オキサゾロピリジンアミン、チアゾロピリジンアミン、オキサゾロナフチリジンアミン、またはチアゾロナフチリジンアミンである。
【0050】
本明細書において使用される「置換イミダゾキノリンアミン」とは、アミド置換イミダゾキノリンアミン、スルホンアミド置換イミダゾキノリンアミン、尿素置換イミダゾキノリンアミン、アリールエーテル置換イミダゾキノリンアミン、複素環式エーテル置換イミダゾキノリンアミン、アミドエーテル置換イミダゾキノリンアミン、スルホンアミドエーテル置換イミダゾキノリンアミン、尿素置換イミダゾキノリンエーテル、チオエーテル置換イミダゾキノリンアミン、または6−、7−、8−、もしくは9−アリールまたはヘテロアリール置換イミダゾキノリンアミンを指す。本明細書において使用される、置換イミダゾキノリンアミンは具体的かつ明確に、1−(2−メチルプロピル)−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−4−アミンおよび4−アミノ−α,α−ジメチル−2−エトキシメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−エタノールを除く。
【0051】
適切なIRM化合物は、プリン誘導体、イミダゾキノリンアミド誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、アデニン誘導体、上記のオリゴヌクレオチド配列も含み得る。
【0052】
一部の実施形態において、IRM化合物は、1つまたは複数のTLRのアゴニストとして同定される化合物である。一部の実施形態において、IRM化合物は、TLR8のアゴニストとして働く。特定の実施形態では、IRM化合物は、TLR8−選択的アゴニストである。他の実施形態では、IRM化合物は、TLR7/8アゴニストである。
【0053】
「アゴニスト」とは、受容体(例えば、TLR)と組み合わせると、細胞応答を引き起こすことができる化合物を意味する。アゴニストは、受容体に直接結合するリガンドであり得る。一方、例えば(a)受容体に直接結合するもう1つの分子と錯体を形成することによって、または(b)さもなければ、他の化合物が受容体に直接結合するように、もう1つの化合物が修飾されることによって、アゴニストは受容体と間接的に結合することができる。ある化合物は、特定のTLRのアゴニスト(例えば、TLR8アゴニスト)と呼ばれる。一方、ある化合物は、TLR(複数)の特定の組み合わせのアゴニストと呼ばれる。例えば、TLR7/8アゴニストは、TLR7およびTLR8両方のアゴニストとして働く化合物である。
【0054】
本発明に関して使用される、TLRのアゴニストとは、TLRと結合した場合に、TLR仲介細胞応答を引き起こすことができる化合物を意味する。ある化合物は、(a)TLRに直接結合するか、または(b)例えば、TLRに直接結合するもう1つの分子と錯体を形成することによって、またはさもなければ、他の化合物がTLRに直接結合できるように、もう1つの化合物が修飾されることによって、TLRと間接的に結合することによって、その化合物がTLR仲介細胞応答を引き起こすことができるかどうかにかかわらず、TLRのアゴニストとみなされる。
【0055】
本明細書において使用される、「TLR8−選択的アゴニスト」という用語は、TLR8のアゴニストとして働くが、TLR7のアゴニストとしては働かない化合物を意味する。したがって、TLR8−選択的アゴニストは、TLR8のアゴニスト、およびTLR1、TLR2、TLR3、TLR4、TLR5、TLR6、TLR9、またはTLR10のうちの1つまたは複数のアゴニストとして作用することができる。したがって、TLR8−選択的アゴニストは、TLR8のアゴニストとして作用し、他のTLRには作用しない化合物であることができるのに対して、TLR8のアゴニスト、および例えばTLR6のアゴニストとして働く化合物であることができる。
【0056】
特定の化合物のTLRアゴニズムは、いずれかの適切な方法で評価することができる。例えば、試験化合物のTLRアゴニズムを検出するアッセイは、例えば国際公開第04/053452号パンフレットに記載されており、かかるアッセイで使用するのに適している組換え細胞系は、例えば国際公開第04/053057号パンフレットに記載されている。あるTLRに関して化合物のアゴニズムを評価するのに使用されるアッセイは、他のTLRに関して化合物のアゴニズムを評価するのに使用されるアッセイと同じであってもよいし、または異なってもよい。
【0057】
用いられる特定のアッセイにかかわらず、化合物でアッセイを行った結果、いくつかのTLR8仲介生物活性の少なくとも閾値が増加した場合には、化合物をTLR8のアゴニストとして同定することができる。同様に、化合物のTLRアゴニズムは、化合物がいくつかのTLR7仲介生物活性の閾値の増加を示すかどうかを決定することによって同定することができる。アッセイにおいてTLR8仲介生物活性およびTLR7仲介生物活性の両方の閾値の増加を示す化合物は、TLR7/8アゴニストであると同定することができる。TLR8仲介生物活性の閾値の増加を示すが、TLR7仲介生物活性の閾値の増加を示さない化合物は、TLR8−選択的アゴニストであると同定される。
【0058】
別段の指定がない限り、生物活性の増加は、適切な対照で認められた生物活性を超える、同じ生物活性の増加を意味する。アッセイは、適切な対照と実施してもよいし、またはしなくてもよい。経験から、当業者は、特定のアッセイ(例えば、具体的なアッセイ条件下にて適切な対照において認められる値の範囲)を十分によく知っているため、対照の実施は、特定のアッセイにおいて化合物のTLRアゴニズムを決定するのに、常に必要なわけではない。
【0059】
所定のアッセイにおいて、特定の化合物が特定のTLRのアゴニストであるかどうかを決定するための、TLR仲介生物活性の正確な閾値の増加は、限定されないが、アッセイの終点として確認される生物活性、アッセイの終点を測定または検出するのに使用される方法、アッセイのシグナル対ノイズ比、アッセイの精度、およびTLR7とTLR8の両方について化合物のアゴニズムを決定するために、同じアッセイが使用されるかどうかなど、当技術分野で公知の因子によって異なる。したがって、すべての可能性のあるアッセイに関して、一般に、特定のTLRのアゴニストまたは非アゴニストであると化合物を同定するのに必要とされる、TLR仲介生物活性の閾値の増加を示すのは実際的ではない。しかしながら、当業者であれば、かかる因子を考慮すれば、適切な閾値を容易に決定することができる。
【0060】
発現可能なTLR構造遺伝子をトランスフェクトしたHEK293細胞を用いたアッセイでは、細胞にトランスフェクトされたTLRのアゴニストとして化合物を同定するために、化合物が、例えば約1nM〜約10μMの濃度で提供された場合に、TLR仲介生物活性(例えば、NFκB活性化)における、例えば少なくとも3倍増加した閾値が使用される。しかしながら、異なる閾値および/または異なる濃度範囲は、特定の状況では適している場合がある。また、異なる閾値は、異なるアッセイには適している場合がある。
【0061】
IRM化合物は、対象の皮膚または粘膜表面に局所投与するのに適した剤形で提供される。剤形の適切な種類は、例えば、米国特許第6,245,776号明細書および米国特許第5,939,090号明細書;国際公開第03/045391号パンフレット;米国特許出願第10/821,335号明細書;および国際特許出願番号PCT/US04/25277号明細書に記載されている。IRM化合物は、限定されないが、懸濁液、エマルジョン、または混合物のいずれかの形態を含む適切な形態で提供される。IRMは、いずれかの薬学的に許容される添加剤、担体、または賦形剤を含有する剤形で送達される。その製剤は、限定されないが、クリーム、軟膏、エアロゾル製剤、非エアロゾルスプレー、ゲル、ローション等を含む、従来のいずれかの剤形で送達される。この製剤はさらに、アジュバント、皮膚浸透向上剤、着色剤、芳香、モイスチャーライザー、増粘剤等を含む1種または複数の添加剤を含有することができる。
【0062】
抗原を含有する医薬組成物は、いずれかの適切な剤形で提供される。抗原(例えば、ワクチン)を含有する製剤は、例えば、例えば、筋肉内、皮内、経皮的、皮下、経粘膜(例えば、吸入による)投与、または局所投与などの適切な方法で投与される。
【0063】
一部の実施形態において、本発明の方法は、例えば約0.0001%〜約10%(別段の指定がない限り、本明細書に示されるすべてのパーセンテージは、製剤全体を基準にして重量/重量である)の製剤中のIRM化合物を対象に投与することを含むが、一部の実施形態において、IRM化合物は、この範囲外の濃度でIRM化合物を与える製剤を使用して投与される。特定の実施形態において、この方法は、IRM化合物を約0.01%〜約5%含有する製剤、例えばIRM化合物を約0.1%〜約0.5%含有する製剤を対象に投与することを含む。
【0064】
対象において抗原に対する免疫応答を引き起こすのに有効なIRM化合物の量は、抗原を含有する医薬組成物と組み合わせて投与した場合に、サイトカイン誘導、免疫調節、抗腫瘍活性、アジュバント活性、および/または抗ウイルス活性などの治療効果(予防を含む)を誘導するのに十分な量である。対象において抗原に対する免疫応答を引き起こすIRM化合物の正確な量は、限定されないが、IRM化合物の物理的および化学的性質、担体の性質、意図する投与計画、対象の免疫系の状態(例えば、抑制された、損なわれた、刺激された状態)、薬剤の組み合わせの抗原部分の本来の抗原性、製剤が投与される種を含む、当技術分野で公知の因子によって異なるだろう。したがって、すべての可能性のある用途に関して、対象において抗原に対する免疫応答を引き起こすのに有効なIRM化合物の量を構成する量を一般的に示すのは実際的ではない。しかしながら、当業者であれば、かかる因子を考慮すれば、適切な量を容易に決定することができる。
【0065】
一部の実施形態において、本発明の方法は、例えば約10ng/kg〜約50mg/kgの用量を提供するのに十分なIRM化合物を対象に投与することを含むが、一部の実施形態では、その方法は、この範囲外のIRM化合物を投与することによって行うことができる。これらの実施形態のうち一部では、この方法は、約10μg/kg〜約25mg/kgの用量を提供するのに十分なIRM化合物を対象に投与することを含む。特定の実施形態において、この方法は、約1mg/kg〜約10mg/kg、例えば、約10mg/kgの用量を提供するのに十分なIRM化合物を投与することを含む。
【0066】
投与計画は、限定されないが、IRM化合物の物理的および化学的性質、担体の性質、投与されるIRMの量、対象の免疫系の状態(例えば、抑制された、損なわれた、刺激された状態)、抗原を含有する医薬組成物の本来の抗原性、投与される抗原の量、および製剤が投与される種を含む、当技術分野で公知の多くの因子に少なくとも一部依存する。したがって、すべての可能性のある用途に関して、対象において抗原に対する免疫応答を引き起こすのに有効な投与計画を一般的に示すのは実際的ではない。しかしながら、当業者であれば、かかる因子を考慮すれば、適切な量を容易に決定することができる。
【0067】
IRM化合物は、いずれかの治療抗原、つまりそれに対する治療が求められる特定の症状と関連する抗原に対する免疫応答を促進または増強することができる。このように、本発明による方法および薬剤の組み合わせは、例えば、
(a)ウイルス性疾患、例えば、アデノウイルス、ヘルペスウイルス(例えば、HSV−I、HSV−II、CMV、またはVZV)、ポックスウイルス(例えば、痘瘡またはワクシニアウイルスなどのオルソポックスウイルス、または伝染性軟肬腫ウィルス)、ピコルナウイルス(例えば、ライノウイルスまたはエンテロウイルス)、オルソミクソウイルス(例えば、インフルエンザウイルス)、パラミクソウイルス(例えば、パラインフルエンザウイルス、ムンプスウイルス、麻疹ウイルス、およびRSウイルス(RSV))、コロナウイルス(例えば、SARS)、パポバウイルス(例えば、陰部疣贅、尋常性疣贅、または足底疣贅を生じさせるウイルスなどのパピローマウイルス)、ヘパドナウイルス(例えば、B型肝炎ウイルス)、フラビウイルス(例えば、C型肝炎ウイルスまたはデングウイルス)、またはレトロウイルス(例えば、HIVなどのレンチウイルス)による感染から生じる疾患など、
(b)細菌性疾患、例えば、エシェリキア属、エンテロバクター属、サルモネラ属、ブドウ球菌属、志賀菌属、リステリア属、好気菌属、ヘリコバクター属、クレブシエラ属、プロテウス属、シュードモナス属、連鎖球菌属、クラミジア属、マイコプラスマ属、肺炎球菌属、ナイセリア属、クロストリジウム属、バチルス属、コリネバクテリウム属、マイコバクテリウム属、カンピロバクター属、ビブリオ属、セラチア属、プロビデンシア属、クロモバクテリウム属、ブルセラ属、エルシニア属、ヘモフィルス属、またはボルデテラ属の細菌による感染から生じる疾患など、
(c)他の感染症、例えば、クラミジア疾患、限定されないが、カンジダ、アスペルギルス症、ヒストプラスマ症、クリプトコックス髄膜炎を含む真菌疾患、または限定されないが、マラリア、ニューモシスチス・カリニ肺炎、リーシュマニア症、クリプトスポリジウム症、トキソプラズマ症、およびトリパノソーマ感染を含む寄生虫疾患など、
(d)腫瘍性疾患、例えば、上皮内新形成、子宮頚部形成異常、光線角化症、基底細胞癌、扁平上皮癌、腎細胞癌、カポジ肉腫、黒色腫、腎細胞癌、限定されないが、骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病を含む白血病、多発性骨髄腫、非ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫、およびヘアリーセル白血病、および他の癌など、
(e)TH2仲介アトピー性疾患、および自己免疫疾患、例えば、アトピー性皮膚炎または湿疹、好酸球増加症、喘息、アレルギー、アレルギー性鼻炎、全身性エリテマトーデス、本態性血小板血症、多発性硬化症、オーメン症候群、円板状ループス、円形脱毛症など:の症状の治療的処置(予防を含む)、ケロイド形成および他の種類の瘢痕化の抑制および慢性創傷を含む創傷治癒の向上に有用である。
【0068】
本明細書において同定されるIRMは、例えば、BCG、コレラ、ペスト、腸チフス、肝炎A、肝炎B、肝炎C、インフルエンザA、インフルエンザB、パラインフルエンザ、ポリオ、狂犬病、麻疹、おたふく風邪、風疹、黄熱、破傷風、ジフテリア、ヘモフィルスインフルエンザb、結核、髄膜炎菌および肺炎球菌ワクチン、アデノウイルス、HIV、ニワトリ痘、サイトメガロウイルス、デング熱、ネコ白血病、家禽ペスト、HSV−1およびHSV−2、ブタコレラ、日本脳炎、RSウイルス、ロタウイルス、乳頭腫ウイルス、黄熱、およびアルツハイマー病に関して使用される、例えば、生ウイルス、細菌、または寄生虫免疫原;不活性化ウイルス、腫瘍由来、原虫、生物由来免疫原、真菌または細菌免疫原、トキソイド、毒素;自己抗原;多糖類;タンパク質;糖タンパク質;ペプチド;細胞ワクチン;DNAワクチン;組換えタンパク質;糖タンパク質;ペプチド;等の、体液性および/または細胞性免疫応答のいずれかを生じさせる物質と共に使用されるワクチンアジュバントとしても有用である。
【0069】
本発明の方法は、いずれかの適切な対象において行うことができる。適切な対象としては、限定されないが、ヒト、非ヒト霊長類、げっ歯類、イヌ、ネコ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、または雌ウシなどの動物が挙げられる。
【実施例】
【0070】
以下の実施例は、単に本発明の特徴、利点および他の詳細をさらに説明するために選択されたものである。しかしながら、実施例はこの目的を果たすと同時に、使用される特定の物質および量ならびに他の条件および詳細は、本発明の範囲を過度に制限するものと解釈されるべきではないことを特に理解されたい。
【0071】
実施例1
IRM1(その合成が、例えば米国特許第6,110,929号明細書明細書の実施例12に記載されている、2−プロピルチアゾロ[4,5−c]キノリン−4−アミン)を以下のように1%局所クリーム剤の形で製造した。
【0072】
【表1】

【0073】
製剤を以下のように製造した。
【0074】
油相製法:必要であれば加熱しながら、IRM1をイソステアリン酸およびミリスチン酸イソプロピルに溶解した。次いで、カルボマー(Carbomer)974Pを油相に分散させた。
【0075】
水相製法:エデト酸二ナトリウムを精製水に溶解した。メチルパラベンおよびプロピルパラベンをプロピレングリコールに溶解し、その溶液を水相に加えた。溶解するまで、ポロキサマー(Poloxamer)188を水相に添加した。
【0076】
相の混合:油相を水相に加えた。得られたエマルジョンを均質化した。均質化した後、水酸化ナトリウムを添加した。滑らかかつ均一になるまで、得られたクリームを混合した。そのクリームのpHを測定し、目的のpH5.2を得るために、必要に応じてpH調整を行った。
【0077】
マウス(BALB/C、マサチューセッツ州ウィルミントンのチャールスリバー社(Charles River Laboratories,Inc.,Wilmington,MA))に、オボアルブミン(メイン州バーハーバーのジャクソン研究所(The Jackson Laboratory,Bar Harbor,ME))に特異的なDO11.10 CD4+遺伝子導入T細胞を導入し、次いで、表2に示されるように群のうちの1つにおいて処置した。
【0078】
【表2】

【0079】
簡潔には、群2〜4のそれぞれを皮下注射によって、抗原(オボアルブミンペプチドDO11.10、メイン州バーハーバーのジャクソン研究所(The Jackson Laboratory,Bar Harbor,ME))100μgに曝露した。群3のマウスは、抗原曝露の4時間前(t=−4時間)に投与部位にて、IRM1 200μgの局所適用も受けた。群4のマウスは、投与部位にてIRM1の2回の局所適用、抗原曝露の20時間前(t=−20時間)に1回目の適用と、抗原曝露の4時間前(t=−4時間)に1回目の適用とを受けた。
【0080】
抗原曝露から3日後に、排出リンパ節をマウスから取り除き、抗CD4+抗体(カルフォルニア州サンディエゴのBDバイオサイエンス・ファーミンゲン社(BD Biosciences Pharmingen,San Diego,CA))およびDO11.10T細胞受容体に特異的なKJ126(カルフォルニア州バーリンゲームのカルタグ社(Caltag Laboratories,Burlingame,CA))で、リンパ節からの細胞を染色した。染色された細胞をフローサイトメトリーを使用して分析した。
【0081】
図1a〜1cのドットプロットは、IRM1を使用した、およびIRM1を使用しないオボアルブミンでの処置に対する、導入T細胞の増殖を示す。導入T細胞の子孫は、KJ126と抗CD4抗体の両方で標識化される。それぞれのドットプロットは、各象限に分かれる細胞のパーセンテージを示し、右上の象限は導入T細胞の子孫である細胞に相当する。処置群1の結果を図1aに示し、処置群3の結果を図1bに示し、処置群4の結果を図1cに示す。特定のドットプロットと群1のドットプロットとの比較から、群に対して指定された処置に応じて、導入T細胞の増殖の程度が示される。
【0082】
図2の棒グラフから、群に対して指定された処置に応じて、各群で認められたCD4+導入T細胞の倍加増殖が示される。破線は、群2のマウスに見られた増殖である。
【0083】
実施例2
IRM2(その合成が例えば、米国特許第5,389,640号明細書明細書の実施例99に記載されている4−アミノ−α,α−ジメチル−2−エトキシメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−エタノール)を以下のように1%局所クリーム剤の形で製造した。
【0084】
【表3】

【0085】
製剤を以下のように製造した。
【0086】
油相製法:必要であれば加熱しながら、IRM2をイソステアリン酸およびミスチリン酸イソプロピルに溶解した。次いで、カルボマー(Carbomer)974Pを油相に分散させた。
【0087】
水相製法:エデト酸二ナトリウムを精製水に溶解した。溶解するまで、ポロキサマー(Poloxamer)188を水相に添加した。メチルパラベンおよびプロピレングリコールを添加し、溶解するまで混合した。
【0088】
相の混合:水相を油相に加えた。得られたエマルジョンを均質化した。均質化した後、水酸化ナトリウムを添加した。滑らかかつ均一になるまで、得られたクリームを混合した。そのクリームのpHを測定し、目的のpH5.2を得るために、必要に応じてpH調整を行った。
【0089】
ニワトリオボアルブミン特異的なCD8+T細胞(OT−1、メイン州バーハーバーのジャクソン研究所(The Jackson Laboratories,Bar Harbor,ME))を、カルボキシフルオロセインスクシンイミジルエステル(CFSE、オレゴン州ユージーンのモレキュラープローブス社(Molecular Probes,Inc.,Eugene,OR))、細胞を染色する蛍光染料を用いて安定な方法で染色し、次いで、同系C57BL/6マウス(マサチューセッツ州ウィルミントンのチャールスリバー社(Charles River Laboratories,Wilmington,MA))に養子移入した。導入リンパ球は精製されなかったため、導入されたおよそ500万個のリンパ球のうち、約100万〜200万個がCD8+OT−1細胞であった。
【0090】
導入して2日後に、2つの実験プロトコルのうちの1つにマウスを入れた。各プロトコルは図3に図示され、0日目でのマウスへの抗原(全オボアルブミン、ミズーリ州セントルイスのシグマケミカル社(Sigma Chemical Co.,St.Louis,MO))の投与に関して述べられている。各プロトコルにおいて、導入は−4日目に行われた。
【0091】
プロトコル番号1(IRM/Ag)については、抗原で免疫化される2日前に、免疫化される1日前に再び、免疫化される日に再び(つまり、−2日目、−1日目、および0日目)、1%IRM2クリーム10マイクロリットル(μL)をその群の各マウスの各耳の皮膚に局所適用した。また、0日目に、その群の各マウスの各耳に抗原50マイクログラム(μg)を皮内注射した。
【0092】
プロトコル番号2(Ag/IRM)については、0日目に、その群の各マウスの各耳に抗原50μgを皮内注射した。0日目に、1日目に再び、2日目に再び、その群の各マウスの各耳の皮膚に1%IRM2クリーム10μLを局所適用した。
【0093】
局所クリーム賦形剤(つまり、IRMを含有しない)を、プロトコル番号1に従ってプラシーボ対照として適用した。
【0094】
各群のマウスの半分を5日目に収集し、残りのマウスを14日目に収集した。深頚リンパ節(排出,DLN)、鼡径リンパ節(非排出,NLN)、および脾臓を分析のために各マウスから取り出した。100μmナイロンスクリーン(マサチューセッツ州ベッドフォードのBDバイオサイエンス社(BD Biosciences,Bedford,MA))にマウスから採取した各組織を通し、遠心分離し、フローサイトメトリー染色バッファー(メリーランド州ロックヴィルのバイオソース・インターナショナル社(Biosource International,Inc.,Rockville,MD))に再懸濁した。次いで、CD8−サイクロ(登録商標)ーム(cychrome)(カルフォルニア州サンディエゴのBDファーミゲン社(BD Pharmigen,San Diego,CA))およびSIINFEKL/Kb四量体−フィコエリトリン(カリフォルニア州フラートンのベックマン・コールター社(Beckman Coulter,Inc.,Fullerton,CA))抗体で細胞を標識化した。次いで、細胞をファックスキャリバー(FACSCaliber)(カルフォルニア州サンノゼのベクトン・ディッキンソン社(Becton,Dickinson,and Co.,San Jose,CA))にかけ、CFSEの発現に関して、CD8+SIINFEKL/Kb四量体+T細胞を分析した。CD8/四量体ポジティブ細胞%に、種々の組織それぞれからの全細胞数を掛けることによって、全OT−1細胞数を計算した。その結果を図4に示す。
【0095】
本明細書に記載の特許、特許文献および出版物の全開示内容は、あたかもそれぞれが個々に組み込まれるがごとく、全体として参照により組み込まれる。矛盾する場合には、定義を含む本明細書は、コントロールされるべきである。
【0096】
本発明の範囲および精神に逸脱することなく、本発明に種々の修正および変更を加えることができることは、当業者ならば理解されよう。例証となる実施形態および実施例は、単に例として示されており、本発明の範囲を制限することを意図するものではない。本発明の範囲は、以下に記載の特許請求の範囲によってのみ制限される。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1a】実施例1の結果を示すフローサイトメトリーのデータを示す。
【図1b】実施例1の結果を示すフローサイトメトリーのデータを示す。
【図1c】実施例1の結果を示すフローサイトメトリーのデータを示す。
【図2】実施例1の結果を示す棒グラフである。
【図3】実施例2で用いられる実験手順を説明するタイムラインである。
【図4a】実施例2の結果を示す棒グラフである。
【図4b】実施例2の結果を示す棒グラフである。
【図4c】実施例2の結果を示す棒グラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象において抗原に対する免疫応答を引き起こす方法であって、以下のステップ:
抗原に対する免疫応答を増強するのに有効な量で、前記対象の投与部位にTLR8アゴニストIRM化合物を局所投与すること、および、
前記抗原に対する免疫応答を引き起こすのに有効な量で、前記抗原を含有する医薬組成物を前記投与部位において投与すること、を含む前記方法。
【請求項2】
前記IRM化合物が、TLR7/8アゴニストを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記IRM化合物が、TLR8−選択的アゴニストである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記IRM化合物が、イミダゾキノリンアミン、テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、イミダゾピリジンアミン、1,2−架橋イミダゾキノリンアミン、6,7−縮合シクロアルキルイミダゾピリジンアミン、イミダゾナフチリジンアミン、テトラヒドロイミダゾナフチリジンアミン、オキサゾロキノリンアミン、チアゾロキノリンアミン、オキサゾロピリジンアミン、チアゾロピリジンアミン、オキサゾロナフチリジンアミン、またはチアゾロナフチリジンアミンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記医薬組成物が、ワクチンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記抗原が、細菌抗原、ウイルス抗原、真菌抗原または腫瘍由来抗原を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記抗原が、ペプチドまたはポリペプチドを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記抗原が、その少なくとも一部が前記ペプチドまたはポリペプチドをコードする核酸として提供される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記抗原が、プリオン、生細菌または不活性化細菌、生ウイルスまたは不活性化ウイルス、或いは生真菌または不活性化真菌を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記IRM化合物が、前記医薬組成物を投与する前に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記IRM化合物が、少なくとも2回投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記IRM化合物が、前記医薬組成物を投与する前に少なくとも2回投与される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記免疫応答がTh1免疫応答を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記医薬組成物が、少なくとも2回投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記IRM化合物が、前記医薬組成物を少なくとも1回投与する前に投与される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
以下のステップ:
抗原に対する免疫応答を増強するのに有効な量で、対象の投与部位にIRM化合物を局所投与すること、および、
前記抗原に対する免疫応答を引き起こすのに有効な量で、前記抗原を含有する医薬組成物を前記投与部位において投与すること、
を含む、前記対象において前記抗原に対する免疫応答を引き起こす方法であって、ここで、
前記IRM化合物が、置換イミダゾキノリンアミン、テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、イミダゾピリジンアミン、1,2−架橋イミダゾキノリンアミン、6,7−縮合シクロアルキルイミダゾピリジンアミン、イミダゾナフチリジンアミン、テトラヒドロイミダゾナフチリジンアミン、オキサゾロキノリンアミン、チアゾロキノリンアミン、オキサゾロピリジンアミン、チアゾロピリジンアミン、オキサゾロナフチリジンアミン、またはチアゾロナフチリジンアミンである前記方法。
【請求項17】
前記IRM化合物が、TLR7/8アゴニストを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記IRM化合物が、TLR8−選択的アゴニストである、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記医薬組成物が、ワクチンを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記抗原が、細菌抗原、ウイルス抗原、真菌抗原または腫瘍由来抗原を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記抗原が、ペプチドまたはポリペプチドを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
前記抗原が、その少なくとも一部が前記ペプチドまたはポリペプチドをコードする核酸として提供される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記抗原が、プリオン、生細菌または不活性化細菌、生ウイルスまたは不活性化ウイルス、或いは生真菌または不活性化真菌を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項24】
前記IRM化合物が、前記医薬組成物を投与する前に投与される、請求項16に記載の方法。
【請求項25】
前記IRM化合物が、少なくとも2回投与される、請求項16に記載の方法。
【請求項26】
前記IRM化合物が、前記医薬組成物を投与する前に少なくとも2回投与される、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記免疫応答がTh1免疫応答を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項28】
前記医薬組成物が、少なくとも2回投与される、請求項16に記載の方法。
【請求項29】
前記IRM化合物が、前記医薬組成物を少なくとも1回投与する前に投与される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
接種部位でのワクチンの投与を受けて対象によって引き起こされる免疫応答を増強する方法であって、前記ワクチンに対する免疫応答を増強するのに有効な量で、前記接種部位において前記対象にIRM化合物を局所投与することを含み、ここで、前記IRM化合物が、置換イミダゾキノリンアミン、テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、イミダゾピリジンアミン、1,2−架橋イミダゾキノリンアミン、6,7−縮合シクロアルキルイミダゾピリジンアミン、イミダゾナフチリジンアミン、テトラヒドロイミダゾナフチリジンアミン、オキサゾロキノリンアミン、チアゾロキノリンアミン、オキサゾロピリジンアミン、チアゾロピリジンアミン、オキサゾロナフチリジンアミン、またはチアゾロナフチリジンアミンである、前記方法。
【請求項31】
前記ワクチンが、細菌抗原、ウイルス抗原、真菌抗原、または腫瘍由来抗原を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記ワクチンが、ペプチドまたはポリペプチドを含む抗原を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記抗原が、その少なくとも一部が前記ペプチドまたはポリペプチドをコードする核酸として提供される、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記ワクチンが、プリオン、生細菌または不活性化細菌、生ウイルスまたは不活性化ウイルス、或いは生真菌または不活性化真菌を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項35】
前記IRM化合物が、TLR8アゴニストを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項36】
前記IRM化合物が、TLR8−選択的アゴニストである、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記IRM化合物が、TLR7/8アゴニストである、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記IRM化合物が、前記ワクチンを投与する前に投与される、請求項30に記載の方法。
【請求項39】
前記IRM化合物が、少なくとも2回投与される、請求項30に記載の方法。
【請求項40】
前記IRM化合物が、前記ワクチンを投与する前に少なくとも2回投与される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記免疫応答が、TH1免疫応答を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項42】
前記ワクチンが、少なくとも2回投与される、請求項30に記載の方法。
【請求項43】
前記IRM化合物が、前記ワクチンを少なくとも1回投与する前に投与される、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
接種部位でのワクチンの投与を受けて対象によって引き起こされる免疫応答を増強する方法であって、前記ワクチンに対する免疫応答を増強するのに有効な量で、前記接種部位において前記対象にTLR8アゴニストIRM化合物を局所投与することを含む、前記方法。
【請求項45】
前記IRM化合物が、テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、イミダゾピリジンアミン、1,2−架橋イミダゾキノリンアミン、6,7−縮合シクロアルキルイミダゾピリジンアミン、イミダゾナフチリジンアミン、テトラヒドロイミダゾナフチリジンアミン、オキサゾロキノリンアミン、チアゾロキノリンアミン、オキサゾロピリジンアミン、チアゾロピリジンアミン、オキサゾロナフチリジンアミン、チアゾロナフチリジンアミン、またはイミダゾキノリンアミンを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記ワクチンが、細菌抗原、ウイルス抗原、真菌抗原、または腫瘍由来抗原を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項47】
前記ワクチンが、ペプチドまたはポリペプチドを含む抗原を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項48】
前記抗原が、その少なくとも一部が前記ペプチドまたはポリペプチドをコードする核酸として提供される、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記ワクチンが、プリオン、生細菌または不活性化細菌、生ウイルスまたは不活性化ウイルス、或いは生真菌または不活性化真菌を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項50】
前記IRM化合物が、TLR8−選択的アゴニストである、請求項44に記載の方法。
【請求項51】
前記IRM化合物が、TLR7/8アゴニストである、請求項44に記載の方法。
【請求項52】
前記IRM化合物が、前記ワクチンを投与する前に投与される、請求項44に記載の方法。
【請求項53】
前記IRM化合物が、少なくとも2回投与される、請求項44に記載の方法。
【請求項54】
前記IRM化合物が、前記ワクチンを投与する前に少なくとも2回投与される、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記免疫応答が、TH1免疫応答を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項56】
前記ワクチンが、少なくとも2回投与される、請求項44に記載の方法。
【請求項57】
前記IRM化合物が、前記ワクチンを少なくとも1回投与する前に投与される、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
以下の:
抗原を含有する成分、および、
TLR8アゴニスト、またはその薬学的に許容される形態を含有する局所製剤、
を含む、薬剤の組み合わせ。
【請求項59】
前記TLR8アゴニストが、テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、イミダゾピリジンアミン、1,2−架橋イミダゾキノリンアミン、6,7−縮合シクロアルキルイミダゾピリジンアミン、イミダゾナフチリジンアミン、テトラヒドロイミダゾナフチリジンアミン、オキサゾロキノリンアミン、チアゾロキノリンアミン、オキサゾロピリジンアミン、チアゾロピリジンアミン、オキサゾロナフチリジンアミン、チアゾロナフチリジンアミン、または前記化合物のうちのいずれか1種類の薬学的に許容される形態を含む、請求項58に記載の薬剤の組み合わせ。
【請求項60】
前記TLR8アゴニストが、イミダゾキノリンアミン、またはその薬学的に許容される形態を含む、請求項58に記載の薬剤の組み合わせ。
【請求項61】
前記TLR8アゴニストが、TLR8−選択的アゴニスト、またはその薬学的に許容される形態である、請求項58に記載の薬剤の組み合わせ。
【請求項62】
前記TLR8アゴニストが、TLR7/8アゴニスト、またはその薬学的に許容される形態である、請求項58に記載の薬剤の組み合わせ。
【請求項63】
抗原を含有する前記成分が、ワクチンである、請求項58に記載の薬剤の組み合わせ。
【請求項64】
以下の:
抗原を含有する成分、および、
テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、イミダゾピリジンアミン、1,2−架橋イミダゾキノリンアミン、6,7−縮合シクロアルキルイミダゾピリジンアミン、イミダゾナフチリジンアミン、テトラヒドロイミダゾナフチリジンアミン、オキサゾロキノリンアミン、チアゾロキノリンアミン、オキサゾロピリジンアミン、チアゾロピリジンアミン、オキサゾロナフチリジンアミン、チアゾロナフチリジンアミン、置換イミダゾキノリンアミン、または前記化合物のうちのいずれかの薬学的に許容される形態からなる群から選択されるIRM化合物を含有する局所製剤、
を含む、薬剤の組み合わせ。
【請求項65】
抗原を含有する前記成分が、ワクチンである、請求項64に記載の薬剤の組み合わせ。
【請求項66】
前記IRM化合物が、TLR8アゴニスト、またはその薬学的に許容される形態である、請求項64に記載の薬剤の組み合わせ。
【請求項67】
前記TLR8アゴニストが、TLR8−選択的アゴニスト、またはその薬学的に許容される形態である、請求項64に記載の薬剤の組み合わせ。
【請求項68】
前記TLR8アゴニストが、TLR7/8アゴニスト、またはその薬学的に許容される形態である、請求項64に記載の薬剤の組み合わせ。
【請求項69】
以下の:
抗原を含有する医薬組成物を収容する第1容器、及び
IRM化合物、またはその薬学的に許容される形態を収容する第2容器、
を含むキット。
【請求項70】
前記IRM化合物が、TLR8アゴニスト、またはその薬学的に許容される形態を含む、請求項69に記載のキット。
【請求項71】
前記IRM化合物が、TLR8−選択的アゴニスト、またはその薬学的に許容される形態である、請求項70に記載のキット。
【請求項72】
前記IRM化合物が、TLR7/8アゴニスト、またはその薬学的に許容される形態である、請求項70に記載のキット。
【請求項73】
前記IRM化合物が、テトラヒドロイミダゾキノリンアミン、イミダゾピリジンアミン、1,2−架橋イミダゾキノリンアミン、6,7−縮合シクロアルキルイミダゾピリジンアミン、イミダゾナフチリジンアミン、テトラヒドロイミダゾナフチリジンアミン、オキサゾロキノリンアミン、チアゾロキノリンアミン、オキサゾロピリジンアミン、チアゾロピリジンアミン、オキサゾロナフチリジンアミン、チアゾロナフチリジンアミン、または前記化合物のうちのいずれか1種類の薬学的に許容される形態を含む、請求項69に記載のキット。
【請求項74】
前記IRM化合物が、イミダゾキノリンアミン、またはその薬学的に許容される形態を含む、請求項69に記載のキット。
【請求項75】
前記医薬組成物が、ワクチンを含む、請求項69に記載のキット。

【図1a】
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【図1b】
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【図1c】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【公表番号】特表2007−504145(P2007−504145A)
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−524843(P2006−524843)
【出願日】平成16年8月25日(2004.8.25)
【国際出願番号】PCT/US2004/027712
【国際公開番号】WO2005/018574
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】