説明

免疫原性ペプチドおよび免疫障害におけるその使用

本発明は、新規なペプチドおよびそのホモログを提供する。本発明のペプチドは、(i)抗原(自己または非自己)のT細胞エピトープであって、クラスII主要組織適合遺伝子複合体(MHC)決定基によって提示され、場合によりリンカーの使用によって(ii)低下した活性を有するアミノ酸配列、たとえばチオレダクターゼ配列に結合されたCD4+T細胞、より詳細にはアレルゲンまたは自己抗原によって認識される免疫反応を引き起こす可能性を備えているT細胞エピトープに関する。本発明のペプチドは、特に免疫障害、さらに詳細にはアレルギー障害または自己免疫疾患の予防または治療のための有用な薬剤であることが示されている。本発明はそれゆえ、免疫障害の予防または治療用の医薬の製造のための前記ペプチドの使用を提供し、さらに前記ペプチドを使用することによって免疫障害を治療または予防する方法を提供する。本発明は、前記ペプチドを含む組成物も提供する。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工配列を含む抗原タンパク質に由来する単離免疫原性ペプチドであって、
−前記抗原タンパク質のT細胞エピトープ、および
−モチーフC−X(2)−Cであって、前記モチーフが前記エピトープと隣接するか、または多くても7個のアミノ酸のリンカーによって前記エピトープから隔離されるかのどちらかである、モチーフC−X(2)−C
を含む、単離免疫原性ペプチド。
【請求項2】
人工配列を含む抗原タンパク質に由来する単離免疫原性ペプチドであって、
−前記抗原タンパク質のT細胞エピトープ、および
−モチーフC−X(2)−[CST]または[CST]−X(2)−Cであって、前記モチーフが前記エピトープと隣接するか、または多くても7個のアミノ酸のリンカーによって前記エピトープから隔離されるかのどちらかであり、前記モチーフが前記タンパク質中のT細胞エピトープのN末端側またはC末端側のアミノ酸11個の領域内で自然発生しない、モチーフC−X(2)−[CST]または[CST]−X(2)−C
を含む、単離免疫原性ペプチド。
【請求項3】
人工配列を含む抗原タンパク質に由来する単離免疫原性ペプチドであって、
−前記抗原タンパク質のT細胞エピトープ、および
−モチーフC−X(2)−[ST]または[ST]−X(2)−Cであって、前記モチーフが前記エピトープと隣接するか、または多くても7個のアミノ酸のリンカーによって前記エピトープから隔離されるかのどちらかであり、前記モチーフがC−X(2)−SまたはS−X(2)−Cである場合、前記T細胞エピトープがDer p 2のp21−35ペプチドの配列EPCIIHRGKP[配列番号:1]を含まない、モチーフC−X(2)−[ST]または[ST]−X(2)−C
を含む、単離免疫原性ペプチド。
【請求項4】
前記モチーフがC−X(2)−SまたはS−X(2)−Cである場合、前記抗原タンパク質がDer p 2でない、請求項3に記載のペプチド。
【請求項5】
前記配列が晩期エンドソームターゲティング配列をさらに含む、請求項1〜4のいずれかに記載のペプチド。
【請求項6】
エピトープのN末端側に位置決めされたモチーフを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のペプチド。
【請求項7】
前記人工配列がアミノ酸12〜19個の長さを有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載のペプチド。
【請求項8】
モチーフ内の少なくとも1つのXがGly、Ala、SerまたはThrである、請求項1〜6のいずれか1項に記載のペプチド。
【請求項9】
モチーフ内の少なくとも1つのXがHまたはPである、請求項1〜8のいずれか1項に記載のペプチド。
【請求項10】
前記モチーフ内のCがメチル化されている、請求項1〜9のいずれか1項に記載のペプチド。
【請求項11】
抗原タンパク質が自己抗原である、請求項1〜10のいずれか1項に記載のペプチド。
【請求項12】
抗原がサイログロブリン、甲状腺ペルオキシダーゼ、TSH受容体、インスリン(プロインスリン)、グルタミン酸脱炭酸酵素(GAD)、チロシンホスファターゼIA−2、ミエリン乏突起膠細胞タンパク質、熱ショックタンパク質HSP65の群より選択される自己抗原である、請求項11に記載のペプチド。
【請求項13】
抗原タンパク質がアレルゲンである、請求項1〜10のいずれか1項に記載のペプチド。
【請求項14】
アレルゲンがシラカンバBet v1アレルゲン、ウシベータ−ラクトグロブリンおよびDer p 1から成る群より選択される、請求項13に記載のペプチド。
【請求項15】
医薬としての使用のための、請求項1〜14のいずれか1項に記載のペプチド。
【請求項16】
自己免疫障害の治療および予防での使用のための、請求項15に記載のペプチド。
【請求項17】
多発性硬化症、自発的インスリン依存性糖尿病および自己免疫甲状腺炎から成る群より選択される自己免疫障害の治療および予防での使用のための、請求項16に記載のペプチド。
【請求項18】
アレルギー状態の治療および予防での使用のための、請求項15に記載のペプチド。
【請求項19】
チリダニアレルギー、牛乳アレルギーおよびカンバ花粉アレルギーから成る群より選択されるアレルギー状態の治療および予防での使用のための、請求項18に記載のペプチド。
【請求項20】
細胞溶解性CD4+T細胞活性を誘発できる抗原タンパク質のペプチドを調製する方法であって、
(a)前記抗原タンパク質のT細胞エピトープから成るペプチド配列を提供するステップ、および
(b)前記ペプチド配列にモチーフC−X(2)−Cを含む配列を、前記モチーフおよび前記エピトープが相互に隣接するか、または多くてもアミノ酸7個のリンカーによって隔離されるかのどちらかであるように、結合するステップ
を含む、方法。
【請求項21】
細胞溶解性CD4+T細胞活性を誘発できる抗原タンパク質のペプチドを調製する方法であって、
(a)前記抗原タンパク質のT細胞エピトープから成るペプチド配列を提供するステップ(ここでモチーフC−X(2)−[CST]または[CST]−X(2)−Cが前記タンパク質中のT細胞エピトープのN末端側またはC末端側のアミノ酸11個の領域内で自然発生しない)、および
(b)前記ペプチド配列にモチーフC−X(2)−[CST]または[CST]−X(2)−Cを含む配列を、前記モチーフおよび前記エピトープが相互に隣接するか、または多くてもアミノ酸7個のリンカーによって隔離されるかのどちらかであるように、結合するステップ
を含む、方法。
【請求項22】
細胞溶解性CD4+T細胞活性を誘発できる抗原タンパク質のペプチドを調製する方法であって、
(a)前記抗原タンパク質のT細胞エピトープから成るペプチド配列を提供するステッ
プ、および
(b)前記ペプチド配列にモチーフC−X(2)−[CST]または[CST]−X(2)−Cを含む配列を、前記モチーフおよび前記エピトープが相互に隣接するか、または多くてもアミノ酸7個のリンカーによって隔離されるかのどちらかであるように、結合するステップを含み、
前記モチーフがC−X(2)−SまたはS−X(2)−Cである場合、前記T細胞エピトープがDer p 2のp21−35ペプチドの配列EPCIIHRGKP[配列番号:1]を含まない、方法。
【請求項23】
前記抗原タンパク質がDer p 2でない、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
エピトープ中のアミノ酸を修飾することによって前記ペプチドの配列を修飾することと、それによりMHCII溝に適合する能力が維持されるように前記修飾ペプチドにおけるエピトープの配列が修飾されるのを確実にすることをさらに含む、請求項20〜23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
細胞溶解性CD4+T細胞活性を誘発できる抗原タンパク質の単離免疫原性ペプチドを調製する方法であって、
(a)前記抗原タンパク質内でT細胞エピトープのN末端側またはC末端側のアミノ酸11個の領域内のモチーフC−X(2)−[CST]または[CST]−X(2)−Cに前記抗原タンパク質中で隣接された前記T細胞エピトープを含む配列を同定するステップ、および
(b)アミノ酸12〜19個の単離ペプチドとして前記配列を含むペプチドを産生するステップ
を含み、
前記抗原タンパク質がDer p 2でない、方法。
【請求項26】
モチーフ中のアミノ酸を修飾することによって、および/またはモチーフとエピトープとの間のアミノ酸の数を変更することによって、および/またはエピトープ配列を修飾することによって、前記ペプチドの配列を修飾することと、それにより前記修飾されたペプチドにおいて:
−T細胞エピトープのMHCII溝に適合する能力が維持される、
−モチーフが保存される、ならびに
−前記モチーフおよび前記エピトープが相互に隣接されたままか、または多くてもアミノ酸7個のリンカーによって隔離されたままであることを確実にすることをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
晩期エンドソームターゲティング配列を、ステップb)で得たペプチドに結合するステップをさらに含む、請求項20〜26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
細胞傷害性Tregの集団を同定する方法であって、細胞が次の特徴:
−細胞がCD4を発現すること、
−細胞がIL−10またはTGF−ベータを発現しないこと、ならびに
−細胞がKrox−20を発現して、グランザイムおよびFasリガンドを生成すること
を有することを判定することを含む、方法。
【請求項29】
細胞傷害性Tregの集団を同定する方法であって、非細胞傷害性Tregと比較したときに、次の特徴:
a)活性化時におけるCD103、CTLA−4、FasLおよびICOSを含む表面
マーカーの発現増進、
b)CD25の高度発現、CD4、ICOS、CTLA−4、GITRの発現およびCD127(IL7−R)の低発現または無発現、
c)転写因子T−betおよび/またはegr−2(Krox−20)の発現、しかし転写抑制因子Foxp3の無発現、
d)IFN−ガンマの高度産生およびIL−10、IL−4、IL−5、IL−13またはTGF−ベータがないか、ごく微量、
e)活性化時のFasLならびにグランザイムBおよびCを含むマーカーの発現増進、の1つ以上を判定することを含む、方法。
【請求項30】
これらの細胞がTCR認識による活性化に応答しないことを判定することをさらに含む、請求項28または29に記載の方法。
【請求項31】
細胞傷害特性を備えた抗原特異的調節T細胞の集団を得る方法であって、
−末梢血球を提供するステップ、
−前記血球に請求項1〜14のいずれかに記載の免疫原性ペプチドを接触させるステップ、および
−IL−2の存在下で前記細胞を増殖させるステップ
を含む、方法。
【請求項32】
細胞傷害性を備えた抗原特異的調節T細胞の集団を得る方法であって、
−請求項1〜14のいずれかに記載の免疫原性ペプチドを提供するステップ、
−前記ペプチドを被験体に投与するステップ、および
−前記被験体から前記抗原特異的調節T細胞の集団を得るステップ
を含む、方法。
【請求項33】
アレルギー状態または自己免疫障害の治療および予防での使用のための、請求項31または32の方法によって得ることができる、T調節細胞の集団。
【請求項34】
個体における自己免疫障害を治療または予防する方法であって、請求項11または12に記載の免疫原性ペプチドを前記個体に投与するステップを含む、方法。
【請求項35】
個体におけるアレルギー状態の症状を治療または低減する方法であって、請求項13または14に記載の免疫原性ペプチドを前記個体に投与するステップを含む、方法。
【請求項36】
個体におけるアレルギー状態または自己免疫障害を治療または予防する方法であって、
−前記個体の末梢血球を提供するステップ、
−前記血球に請求項1〜14のいずれかに記載の抗原ペプチドを接触させるステップ、
−前記血球を増殖させるステップ、および
−前記増殖血球を前記個体に投与するステップ
を含む、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11−1】
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【図11−2】
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【図11−3】
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【図12A】
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【図12】
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【図12D】
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【図13−1】
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【図13−2】
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【図13−3】
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【図14−1】
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【図14−2】
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【図14−3】
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【図14−4】
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【図14−5】
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【図15−1】
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【図15−2】
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【図16−1】
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【図16−2】
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【図17】
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【図18A】
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【図18B】
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【図19A】
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【図19B】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公表番号】特表2010−500308(P2010−500308A)
【公表日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−523209(P2009−523209)
【出願日】平成19年8月13日(2007.8.13)
【国際出願番号】PCT/EP2007/007165
【国際公開番号】WO2008/017517
【国際公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願人】(502014363)ライフ・サイエンシーズ・リサーチ・パートナーズ・フェレニゲング・ゾンデル・ウィンストーメルク (12)
【氏名又は名称原語表記】LIFE SCIENCES RESEARCH PARTNERS VZW
【Fターム(参考)】