説明

免疫調節複素環化合物

式(I):
【化1】


(式中、
R1およびR3は独立して、H;F;Cl;Br;-NO2;-CN;FもしくはClで任意に置換されていてもよいC1-C6アルキル基;または、Fで任意に置換されていてもよいC1-C6アルコキシ基を表し、
R4はカルボン酸基(-COOH)もしくはそのエステル、または -C(=O)NR6R7、-NR7C(=O)R6、-NR7C(=O)OR6、-NHC(=O)NR7R6もしくは-NHC(=S)NR7R6(ここで、R6はHまたは式-(Alk)m-Qの基(ここで、mは0または1であり、Alkは任意に置換されていてもよい2価の直鎖または分枝のC1-C12アルキレンもしくはC2-C12アルケニレンもしくはC2-C12アルキニレン基、または2価のC3-C12炭素環式基であり、これらの基はいずれも、一つ以上の-O-、-S-または-N(R8)-結合(ここで、R8はHまたはC1-C4アルキル、C3-C4アルケニル、C3-C4アルキニルもしくはC3-C6 シクロアルキルを表す)を有していてもよく、そしてQはH、-NR9R10(ここで、R9およびR10は独立して、H;C1-C4アルキル;C3-C4アルケニル;C3-C4アルキニル;C3-C6シクロアルキル;エステル基;任意に置換されていてもよい炭素環式基もしくは複素環式基を表すか、またはR9およびR10はそれらが結合している窒素と一緒になって環を形成し、その環は任意に置換されていてもよい)を表す)を表し、
R7はHもしくはC1-C6アルキルを表すか、またはR6およびR7はそれらが結合している1つまたは複数の原子と一緒になって、任意に置換されていてもよい5、6もしくは7の環原子を有する単環式の複素環を形成する)を表し、そして
Xは結合手または式-(Z)n-(Alk)-もしくは-(Alk)-(Z)n-(ここで、Zは-O-、-S-または-NH-を表し、AlkはR6に関して定義されたとおりであり、nは0または1である)の2価の基である)
の化合物は、CD80の阻害剤であり、免疫調節治療に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な複素環化合物、それらの製造法、それらを含む医薬組成物ならびに免疫調節から恩恵を受け得る病態、例えば自己免疫疾患、リウマチ性関節炎、多発性硬化症、糖尿病、喘息、移植、全身性エリテマトーデス および乾癬の臨床治療のための方法および使用に関する。より具体的には、本発明は、CD80とCD28との間の相互作用を抑制することができるCD80拮抗剤であり、免疫抑制に役立つ新規な複素環化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
免疫系は、免疫応答の間および後の種々の調節的作用機作により、リンパ球の活性化と非活性化との間の恒常性を制御する能力を有する。これらの中に、特に免疫応答を抑制および/または止める作用機作がある。したがって、抗原がT-細胞受容体に対するMHC分子で表されるとき、T-細胞は、さらなる副刺激シグナルの存在下でのみ、適宜活性化される。これらの補助的シグナルの非存在下では、リンパ球の活性化は起こらず、アネルギーもしくは寛容と呼ばれる機能的不活性の状態が誘導されるか、あるいは具体的にアポトーシスによりT-細胞を消滅する。
【0003】
そのような副刺激シグナルの一つに、特殊抗原-存在細胞上のCD80とT-細胞上のCD28との相互作用を含み、このシグナルがT-細胞の完全な活性化のために必須であることが示されている(Lenschowら (1996) Annu. Rev. Immunol., 14, 233-258)。それゆえに、このCD80/CD28相互作用を抑制する化合物の提供が望まれている。
【発明の開示】
【0004】
発明の詳細な説明
本発明によれば、式(I):
【化1】

(式中、
R1およびR3は独立して、H;F;Cl;Br;-NO2;-CN;FもしくはClで任意に置換されていてもよいC1-C6アルキル基;または、Fで任意に置換されていてもよいC1-C6アルコキシ基を表し、
R4はカルボン酸基(-COOH)もしくはそのエステル、または-C(=O)NR6R7、-NR7C(=O)R6、-NR7C(=O)OR6、-NHC(=O)NR7R6もしくは-NHC(=S)NR7R6 (ここで、R6はHまたは式-(Alk)m-Qの基(ここで、mは0または1であり、Alkは任意に置換されていてもよい2価の直鎖または分枝のC1-C12アルキレンもしくはC2-C12アルケニレンもしくはC2-C12アルキニレン基、または2価のC3-C12炭素環式基であり、これらの基はいずれも、一つ以上の-O-、-S-または-N(R8)-結合(ここで、R8はHまたはC1-C4アルキル、C3-C4アルケニル、C3-C4アルキニルもしくはC3-C6 シクロアルキルを表す)を有していてもよく、そしてQはH、-NR9R10(ここで、R9およびR10は独立して、H;C1-C4アルキル;C3-C4アルケニル;C3-C4アルキニル;C3-C6シクロアルキル;エステル基;任意に置換されていてもよい炭素環式基もしくは複素環式基を表すか、またはR9およびR10はそれらが結合している窒素と一緒になって環を形成し、その環は任意に置換されていてもよい)を表す)を表し、
R7はHもしくはC1-C6アルキルを表すか、またはR6およびR7はそれらが結合している1つまたは複数の原子と一緒になって、任意に置換されていてもよい5、6もしくは7の環原子を有する単環式の複素環を形成する)を表し、そして
Xは結合手または式-(Z)n-(Alk)-もしくは-(Alk)-(Z)n-(ここで、Zは-O-、-S-または-NH-を表し、AlkはR6に関して定義されたとおりであり、nは0または1である)の2価の基である)
の化合物または医薬的もしくは動物薬的に許容される塩、それらの水和物もしくは溶媒和物が提供される。
【0005】
化合物(I)は、(I1)および(I2):
【化2】

のような互変異性体の形態で存在し得る。
以後、本発明の化合物は、互変異性のいずれかの形態(I)で表され得るし、言及され得る。そして、式(I)の互変異性のいずれかおよびあらゆる形態、特に(I1)および(I2)は、本発明に含まれることが理解されるべきである。
【0006】
一般式(I)の化合物はCD80拮抗剤である。これらはCD80とCD28との間の相互作用を抑制し、かくしてT細胞の活性化を抑制し、それにより免疫応答を調節する。
したがって、本発明は:
(i) 免疫調節から恩恵を受ける病態の治療における使用のために、特に免疫抑制のために、式(I)の化合物または医薬的もしくは動物薬的に許容されるそれらの塩、
(ii) 免疫調節から恩恵を受ける病態の治療用、特に免疫抑制用の医薬を製造する際に、式(I)の化合物または医薬的もしくは動物薬的に許容されるそれらの塩の使用、
(iii) 式(I)の化合物または医薬的もしくは動物薬的に許容されるそれらの塩の免疫調節の有効量を、そのような治療を必要とするヒトを含む哺乳類に投与することを含む、免疫調節、特に免疫抑制の方法、
(iv) 式(I)の化合物または医薬的もしくは動物薬的に許容されるそれらの塩を医薬的または動物薬的に許容される賦形剤もしくは担体と一緒に含む医薬もしくは動物用医薬組成物
をも含む。
【0007】
免疫調節から恩恵を受ける病態は:
急性播種性脳脊髄炎
副腎機能不全
アレルギー性血管炎および肉芽腫症
アミロイド症
強直性脊椎炎
喘息
自己免疫性アジソン病
自己免疫性脱毛症
自己免疫性慢性活動性肝炎
【0008】
自己免疫性溶血性貧血
自己免疫ニュートロジーナ(Neutrogena)
自己免疫性血小板減少性紫斑病
ベーチェット病
小脳変性
慢性活動性肝炎
慢性炎症脱髄性多発神経根障害
単一クローン性高ガンマグロブリン血症を伴う慢性神経障害
古典的結節性多発動脈炎
先天性副腎過形成
【0009】
寒冷症
疱疹状皮膚炎
糖尿病
イートン・ランバート筋無力症候群
脳脊髄炎
後天性表皮水泡症
結節性紅斑
グルテン感受性腸症
グッドパスチャー症候群
ギラン・バレー症候群
【0010】
橋本病
甲状腺機能亢進症
特発性血色素症
特発性膜性糸球体腎炎
中枢神経系の孤立性脈管炎
川崎病
微少変化腎疾患
多種多様な脈管炎
混合結合組織病
伝導遮断を伴う多病巣性運動神経障害
【0011】
多発性硬化症
重症性筋無力症
眼球クローヌス−筋クローヌス症候群
類天疱瘡
天疱瘡
悪性貧血
多発性筋炎/皮膚筋炎
感染後関節炎
原発性胆管硬化症
乾癬
【0012】
反応性関節炎
ライター病
網膜症
リウマチ性関節炎
硬化性胆管炎
シェーグレン症候群
スティッフマン症候群
亜急性甲状腺炎
全身性エリテマトーデス
全身性壊死性脈管炎
【0013】
全身性硬化症(強皮症)
高安動脈炎
側頭動脈炎
閉塞性血栓血管炎
I型およびII型自己免疫性多腺性症候群
潰瘍性大腸炎
ブドウ膜炎
ウェーグナー肉芽腫症
を含む。
【0014】
ここで使用されている、「エステル」の語は、-COOR(ここで、RはアルコールROHから概念的に誘導される基である)の形の基をいう。エステル基の例は、メチル、エチル、n-およびiso-プロピル、sec-およびtert-ブチルならびにベンジルエステルのような、生理的に加水分解できるエステルを含む。
ここで使用されている、「アルキレン」の語は、二つの不飽和の原子価を有する直鎖または分枝のアルキル鎖、例えば-CH2-、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH(CH3)CH2-、-CH(CH2CH3)CH2CH2CH2-および-C(CH3)3をいう。
【0015】
ここで使用されている、「アルケニレン」の語は、二つの不飽和の原子価を有する直鎖または分枝のアルケニル鎖、例えば-CH=CH-、-CH2CH=CH-、-C(CH3)=CH-および-CH(CH2CH3)CH=CHCH2-をいう。
ここで使用されている、「アルキニレン」の語は、二つの不飽和の原子価を有する直鎖または分枝のアルキニル鎖、例えば-C≡C-、-CH2C≡C-および-CH(CH2CH3)C≡CCH2-をいう。
【0016】
その語が存在する文脈中で別の方法で明記されていなければ、ここで用いられている「置換された」の語はいずれも、例えば(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルケニル、(C2-C6)アルキニル、フルオロ-置換(C1-C6)アルキル、フロオロ-置換(C1-C6)アルケニル、フルオロ-置換(C2-C6)アルキニル、(C1-C6)アルコキシおよびフルオロ-置換(C1-C6)アルコキシ(環が、隣接する環炭素原子上で、メチレンジオキシまたはエチレンジオキシのようなアルキレンジオキシで置換されている特別な場合を含む)、(C1-C6)アルキルチオ、フェニル、ベンジル、フェノキシ、ベンジルオキシ、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、フルオロ、クロロ、ブロモ、シアノ、ニトロ、オキソ、-COOH、-SO2OH、-CONH2、-SO2NH2、-CORA、-COORA、-SO2ORA、-NHCORA、-NHSO2RA、-CONHRA、-SO2NHRA、-NHRA、-NRARB、-CONRARBまたは-SO2NRARB(ここで、RAおよびRBは独立して、(C1-C6)アルキルもしくは(C2-C6)アルコキシ基または5〜7員の単環式の炭素環式基もしくは複素環式基であるか、あるいはRAおよびRBはそれらが結合している窒素原子と一緒になって環を形成する)から選択される、少なくとも一つの置換基で置換されることを意味する。
【0017】
「置換された」がフェニル、ベンジル、フェノキシまたはベンジルオキシで置換されることを意味する場合、そのフェニル環は、そのフェニル環自体が、フェニル、ベンジル、フェノキシまたはベンジルオキシを除く前記のいずれかで置換され得る
ここで使用されている、「アリール」の語は、モノ-、ビ-またはトリ-炭素環式芳香族基、およびが互いに共有結合しているそのような二つ基をいう。そのような基の例は、フェニル、ビフェニルおよびナフチルである。
【0018】
ここで使用されている、「炭素環式基」または「炭素環式」の非限定的な語は、アリール、シクロアルキルおよびシクロアルケニルを含み、環原子が全て炭素である環系(単環の、二環の、三環のまたは架橋された)をいう。
ここで使用されている、「シクロアルキル」の非限定的な語は、環炭素間に単結合のみを有する炭素環式の環をいう。
ここで使用されている、「シクロアルケニル」の非限定的な語は、一対の環炭素間に少なくとも一つの二重結合を有する炭素環式の環をいう。
【0019】
ここで使用されている、「ヘテロアリール」の語は、S、NおよびOから選択される一つ以上のヘテロ原子を有する1-、2-または3-環式芳香族基をいう。そのような基の例は、チエニル、ベンゾチエニル、フリル、ベンゾフリル、ピロリル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、イソチアゾリル、ベンズイソチアゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、ベンズオキサゾリル、イソキサゾリル、ベンズイソキサゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、ベンゾトリアゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、インドリルおよびインダゾリルである。
【0020】
ここで使用されている、「複素環基」または「複素環式」の非限定的な語は、上記で定義された「ヘテロアリール」を含み、特に1-、2-もしくは3-環式の、または架橋された、S、NおよびOから選択される一つ以上のヘテロ原子を含む非芳香族基、ならびに別の上記の基または単環の炭素環式に共有結合している一つ以上の上記ヘテロ原子を有する単環の非芳香族基からなる基を意味する。そのような基の例は、ピロリル、フラニル、テトラヒドロフラニル、チエニル、ピペリジニル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ピロリジニル、ピリミジニル、モルホリニル、ピペラジニル、インドリル、モルホリニル、ベンゾフラニル、ピラニル、テトラヒドロピラニル、キヌクリジニル、イソキサゾリル、ベンズイミダゾリル、メチレンジオキシフェニル、エチレンジオキシフェニル、マレイミドおよびスクシンイミド基である。
【0021】
本発明のいくつかの化合物は、不斉炭素原子の存在により一つ以上のキラル中心を有する。不斉炭素原子の存在は、各キラル中心でのRまたはS立体化学による立体異性体またはジアステレオマーを生じる。本発明は、そのような立体異性体およびジアステレオマーの全て、ならびにそれらの混合物を含む。
【0022】
本発明の塩形成性化合物の塩は、生理学的に許容される酸付加塩および塩基の塩を含む。好適な酸付加塩は無毒性の塩を形成する酸から作られる。その例は、酢酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシレート(besylate)、重炭酸塩/炭酸塩、重硫酸塩/硫酸塩、ホウ酸塩、カムシレート(camsylate)、クエン酸塩、エジシレート(edisylate)、エシレート、ギ酸塩、フマル酸塩、グルセプテート、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ハイベンゼート(hibenzate)、塩酸塩/クロライド、臭化水素酸塩/ブロマイド、ヨウ化水素酸塩/ヨーダイド、イセチオネート(isethionate)、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、ナフチレート、2-ナプシレート(2-napsylate)、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロチン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモエート、リン酸塩/リン酸水素塩/リン酸二水素塩、糖酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩およびトリフルオロ酢酸塩を含む。
【0023】
好適な塩基の塩は、無毒性の塩を形成する塩基から作られる。その例は、アルミニウム、アルギニン、ベンザチン、カルシウム、コリン、ジエチルアミン、ジオールアミン、カリウム、ナトリウム、トロメタミンおよび亜鉛の塩を含む。
【0024】
方法
R4がアミド基-C(=O)NR6R7を表す本発明の化合物は、適当なアミンHNR6R7と、式(II)の化合物:
【化3】

(符号R1、R3、X、R6およびR7は、上記の式(I)に関して定義されたとおりである)
との反応によりカルボキシ基をアミド化して製造され得る。
【0025】
式(II)(すなわち、R4がカルボキシ基である本発明の化合物(I))は、式(III)の化合物と式(IV)のヒドラジン:
【化4】

との反応により製造され得る。
【0026】
この反応は、位置異性体の(IIA)と(IIB):
【化5】

の混合物の製造をもたらし、そこから所望の異性体(IIA)が分離され得る。
【0027】
R4がエステルまたはアミド基である化合物(I)は、適当なヒドラジン(IVA):
【化6】

(式中、R4はエステルまたはアミド基である)
との反応により、中間体(III)からも製造され得る。この反応も、カルボン酸(IIA)および(IIB)のエステルまたはアミド類縁体の混合物をもたらし、そこから所望のエステルまたはアミド異性体(I)が分離され得る。あるいは、カルボン酸化合物(II)が単にエステル化またはアミド化され得る。
【0028】
化合物(I)(ここで、R4は「逆のアミド」基-NR7C(=O)R6である)は、カルボン酸(II)のイソシアネート(V):
【化7】

へのCurtius転位(Ninomiya, K.; Shioiri, T.; Yamada, S. Tetrahedron (1974), 30(14), 2151-7を参照)により、次いでイソシアネート基のアミノ基への加水分解、および例えば酸塩化物Cl-C(=O)R6でのアミノ基のアシル化により製造され得る。R7が水素でない場合、R7置換基は、イソシアネート誘導工程後またはアシル化工程後に導入され得る。
【0029】
本発明の「逆のアミド」化合物(R4 = -NR7C(=O)R6)への代替ルートにおいて、イソシアネート部分がニトロ基に置き換わった構造(V)の化合物が、対応するアミンに還元され、次いで所望の逆のアミド体を作るためにアシル化される。
R4がウレア基-NHC(=O)NHR6またはチオウレア基-NHC(=S)NHR6である化合物(I)は、適当なアミンH2NR6との反応によりイソシアネート(V)または対応するイソチオシアネートからも製造され得る。
R4がカーバメート基-NR7C(=O)OR6である化合物(I)は、適当なアルコールR6OHとイソシアネートの反応により製造され得る。
【0030】
本発明の化合物(I)、および(III)のような中間体の製造のための合成方法のより詳細については、ここの実施例中に見出され得る。
本発明の化合物において:
基R4X-は、フェニル環の4位にあるのが好ましい。
Xは、例えば結合手または-CH2-もしくは-CH2CH2-基であり得る。ここで、結合手が好ましい。
R3は、例えばH、F、Cl、メチル、メトキシまたはメチレンジオキシであり得る。ここで、R3がHであるのが好ましい。
R1は、例えばH、F、Cl、メチル、メトキシまたはメチレンジオキシであり得る。ここで、R1が水素またはヨウ素であるのが好ましく、特に3-オキソ-1,3-ジヒドロ-2H-ピラゾロ[4,3-c]シンノリン-2-イル環系の6位にあるのが好ましい。
【0031】
R4はカルボン酸基(-COOH)もしくはそのエステル、またはすべて上記で定義されたような-C(=O)NR6R7、-NR7C(=O)R6、-NR7C(=O)OR6もしくは-NHC(=O)NHR6を表す。
R4がエステル基のとき、その例は、式-COOR(ここで、Rはメチル、エチル、n-もしくはiso-プロピル、n-、sec-もしくはtert-ブチルである)のエステルまたはベンジルエステルを含む。
【0032】
R6が存在するとき、それはHまたは式-(Alk)m-Q(ここで、m、AlkおよびQは上記で定義されたとおりである)の基を表す。mが1のとき、Alkは、例えば-CH2-、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-および-CH2CH(CH3)CH2-のような直鎖または分枝のC1-C6アルキレン基であり得る。Alkはまた、例えば二価のシクロプロピレン、シクロペンチレンまたはシクロへキシレン基であり得る。基Alkは、例えばOH、オキソ、CF3、メトキシまたはエトキシで任意に置換されていてもよい。基Alkは、例えばエーテル、チオエーテルまたはアミノ結合の形態のように、任意にヘテロ原子を含んでいてもよい。
【0033】
基Qは、例えば水素;-NR9R10(ここで、R9およびR10は同一または異なって、水素、メチル、エチル、n-もしくはイソプロピルまたはtert-ブチルから選択され得る);例えばメチル、エチルまたはベンジルエステルのようなエステル基;または例えば、フェニル、フェノキシ、シクロペンチル、シクロヘキシル、フリル、チエニル、キヌクリジニル、ピペリジルまたはピペラジニル基のような、任意に置換されていてもよいアリール、アリールオキシ、シクロアルキル、シクロアルケニルもしくは複素環式基を表し得る。
【0034】
R7 が存在するとき、それはHまたは例えばメチル、エチル、n-もしくはiso-プロピル、n-、sec-もしくはtert-ブチルのようなC1-C6アルキル;あるいはそれらが結合している原子と一緒になってR6およびR7 5、6または7の環原子を有する単環の複素環式基を形成する。
R4が-C(=O)NR6R7または-NHC(=O)NR7R6(ここで、R7は水素であり、R6 は式-(Alk)m-Q(ここで、mは1であり、二価基Alkは3または4の炭素原子を含み無置換であり、Qは-NR9R10(ここで、R9およびR10は独立してH;C1-C4アルキル;C3-C4アルケニル;C3-C4アルキニル;C3-C6シクロアルキル;エステル基;任意に置換されていてもよい炭素環式基もしくは複素環式基を表すか;またはそれらが結合している窒素と一緒になって環を形成し、その環は任意に置換されていてもよい)を表す)の基を表す)を表す場合が特に好ましい。
【0035】
本発明の化合物の具体的に好ましい部分集合は、式(IC):
【化8】

(ここで、XおよびR4は上記で特定されたとおりである)
を有する。この部分集合において、基R4X-はフェニル環の4-位に存在し得る。この部分集合は、特にXが結合手で、R4が-C(=O)NR6R7(ここで、R6およびR7は上記で特定されたとおりである)である化合物を含む。例えば、そのような化合物中で、R6はキヌクリジニルで、R7は水素であり得る。
【0036】
本発明の具体的な化合物は、ここの実施例のそれらを含む。
本発明の好ましい化合物は、式(A):
【化9】

の4-(6-フルオロ-3-オキソ-1,3-ジヒドロ-ピラゾロ[4,3-c]シンノリン-2-イル)-N-(2,2-ジフルオロ-エチル)-ベンズアミドまたは医薬的もしくは動物薬的に許容される塩、それらの水和物もしくは溶媒和物である。
【0037】
本発明のもう一つの好ましい化合物は、式(B):
【化10】

のN-[3-(tert-ブチル-メチル-アミノ)-ブチル]-4-(6-フルオロ-3-オキソ-1,3-ジヒドロ-ピラゾロ[4,3-c]シンノリン-2-イル)-ベンズアミドまたは医薬的もしくは動物薬的に許容される塩、それらの水和物もしくは溶媒和物である。
【0038】
上記のように、本発明は、式(I)の化合物または医薬的もしくは動物薬的に許容されるその塩を、医薬的もしくは動物薬的に許容される賦形剤もしくは担体と一緒に含む医薬または動物用医薬の組成物を含む。そのような組成物において、特定の患者への具体的な投与量レベルは、用いられる特定化合物の活性、年齢、体重、身体全体の健康状態、性別、食事、投与時間、投与経路、排泄速度、薬の組合せならびに治療を受ける特定の疾病の原因および重篤度を含む種々の因子に依存することが理解されるであろう。最適な投与量レベルと投与回数は臨床試験によって決定されるであろう。
【0039】
本発明に関する化合物は、それらの薬物動態の性質に矛盾しない、いずれの経路による投与用としても製造され得る。経口投与可能な組成物は、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、トローチ剤、経口用、局所用または無菌非経口用の溶液もしくは懸濁液のような液もしくはゲル製剤の形態であり得る。
経口投与用の錠剤およびカプセル剤は、単位投与量を含む形態であり、それは、例えばシロップ、アラビアゴム、ゼラチン、ソルビトール、トラガントガムまたはポリビニル-ピロリドンのような結合剤;例えば乳糖、砂糖、トウモロシ-デンプン、リン酸カルシウム、ソルビトールまたはグリシンのような充填剤;例えばステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコールまたはシリカのような錠剤用滑沢剤;例えば馬鈴薯デンプンのような崩壊剤あるいはラウリル硫酸ナトリウムのような許容される湿潤剤のような慣用の賦形剤を含み得る。錠剤は、標準的な製薬の実務で周知の方法に従ってコーティングされ得る。
【0040】
経口の液剤は、例えば水性もしくは油性の懸濁液、溶液、乳液、シロップまたはエリキシルの形態であるか、または使用前に水または他の適当な媒体で溶解する乾燥製品として存在し得る。上記の液剤は、例えばソルビトール、シロップ、メチルセルロース、グルコースシロップ、ゼラチン、水素化食用油脂のような懸濁化剤;例えばレシチン、オレイン酸ソルビタンまたはアラビアゴムのような乳化剤;例えばアーモンド脂、ヤシ油、グリセリンのような油状エステル、ポリエチレングリコールもしくはエチルアルコールのような非-水性媒体(食用油を含み得る);例えばp-ヒドロキシ安息香酸メチルもしくはプロピルまたはソルビン酸のような保存剤、ならびに所望により慣用の香味剤または着色剤のような慣用の添加剤を含み得る。
【0041】
皮膚に対する局所適用のために、医薬はクリーム、ローションまたは軟膏にされ得る。そのような医薬のために使用されるクリームもしくは軟膏の製剤化は、例えば英国薬局方のような製剤学の標準的な教科書に記載されているような、当分野で周知慣用の製剤化である。
目に対する局所適用のために、医薬は、適当な無菌の水性または非水性の媒体中で溶液または懸濁液にされ得る。それは、例えばメタ重亜硫酸ナトリまたはエデト酸ジナトリウムのような緩衝剤;酢酸もしくは硝酸フェニル水銀、塩化ベンザルコニウムまたはクロルヘキシジンのような殺菌および殺真菌剤を含む保存剤、ならびにヒプロメロースのような粘稠化剤のような添加剤をも含み得る。
【0042】
活性成分は、無菌媒体中、非経口的にも投与され得る。用いられる媒体および濃度により、医薬は媒体に懸濁させるか、または溶解させることできる。局所麻酔剤のような補助剤、保存剤および緩衝剤も媒体中に溶解することができる。
本発明の具体的実施例が、以下の非限定的な実施例に記載されている。
【0043】
次の略語が、実験的な記述中で使用される。
DMF ジメチルホルムアミド
DMA ジメチルアセトアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
HBTU O-ベンゾトリアゾール-1-イル-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
LCMS 液体クロマトグラフィーマススペクトル
NMR 核磁気共鳴スペクトル
【実施例】
【0044】
実施例1
工程1: (フェニルヒドラゾノ)マロン酸の製造:
【化11】

メソキサル酸ナトリウム一水和物(5.00 g、27.8 mmol)を1 M塩酸(50 ml)に溶解し、無色の濁った溶液を得た。フェニルヒドラジン(3.00 g、2.72 ml、27.8 mmol)を、撹拌混合物に室温で滴下した。90分後に、生成した黄色の沈殿物をろ取し、水(50 ml)で洗浄した。ろ過ケークを酢酸エチル/ヘキサン[1:1]で粉砕し、ろ過し、真空下に乾燥した。黄色の粉末として、表題の化合物(4.74 g、22.7 mmol、82%)が単離された。
LCMS: m/z 207 [M-H]+.
一方、生成物は、酢酸エチル(2×250 ml)で抽出し、有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、溶媒を真空下に除去し、水相から抽出することもできる。
【0045】
工程 2: (フェニルヒドラゾノ)マロノイルジクロライドの製造:
【化12】

(フェニルヒドラゾノ)マロン酸(1.00 g、4.80 mmol)を不活性雰囲気下で乾燥クロロホルム(15 ml)と混合し、黄色の懸濁液を得た。混合物を室温で撹拌し、五塩化リン(2.19 g、10.5 mmol)を少しずつ加えた。反応混合物を1.5時間加熱還流し、緑色の溶液を得た。混合物を室温に冷却し、ヘキサン(15 ml)で希釈した。生成した緑色の沈殿物をろ取し、真空下に乾燥した。緑色粉末として、表題の化合物 (645 mg、2.63 mmol、53%)が単離された。
【0046】
工程 3: 4-ヒドロキシシンノリン-3-カルボン酸メチルの製造
【化13】

(フェニルヒドラゾノ)マロノイルジクロライド(2.45 g、0.01 mmol)を不活性雰囲気下、1,2-ジクロロエタン(15 ml)と混合し、黄色の懸濁液を得た。四塩化チタン(1.89 g、1.09 ml)を滴下し、褐色の溶液を生じた。混合物を一晩加熱還流し、室温に冷却し、メタノール(15 ml)を滴下してクエンチした。撹拌を30分間継続し、揮発性物質を真空下に除去した。水(100 ml)を加え、得られた懸濁液をn-ブタノール(2×50 ml)で抽出した。合わせた有機相を水(2×20 ml)で洗浄し、真空下に濃縮した。緑色の固体として、表題の化合物(1.04 g、5.10 mmol、51%)が単離された。
LCMS: m/z 205 [M+H]+.
【0047】
工程 4: 4-クロロシンノリン-3-カルボン酸メチルの製造:
【化14】

塩化チオニル(8.15 g、5 ml)を、不活性雰囲気下、4-ヒドロキシシンノリン-3-カルボン酸メチル(0.50 g、2.45 mmol)に滴下した。混合物を1.5時間加熱還流し、室温に冷却し、過剰な塩化チオニルを真空下に除去した。残渣にトルエン(5 ml)を加えた。混合物を室温で一晩撹拌した。固体をろ取し、真空下で乾燥した。褐色の固体として、表題の化合物(248 mg、1.11 mmol、45%)が単離された。
LCMS: m/z 223 [M+H]+.
【0048】
工程 5: 4-(3-オキソ-1,3-ジヒドロ-2H-ピラゾロ[4,3-c]シンノリン-2-イル)安息香酸の製造:
【化15】

4-ヒドラジノ安息香酸(68.4 mg、0.45 mmol)を、エタノール(5 ml)と室温で混合し、クリーム色の懸濁液を得た。4-クロロシンノリン-3-カルボン酸メチル(100 mg、0.45 mmol)を加え、混合物を45〜50℃で1時間加熱した。混合物を室温に冷却し、溶媒を真空下に除去した。残渣に酢酸エチル(10 ml)を加えた。混合物を室温で1時間撹拌した。固体をろ取し、真空下で乾燥した。褐色の粉末として、表題の化合物(120 mg、0.39 mmol、86%)が単離された。LCMS: m/z 307 [M+H]+.
NMR [DMSO-d6]: δ = 7.69-7.77 (m, 1 Hアリール); 7.81-7.90 (m, 2 Hアリール); 8.05 (d, J = 8.85, 2 Hアリール); 8.20 (d, J = 7.92 Hz, 1 Hアリール); 8.33 (d, J = 8.85 Hz, 2 Hアリール); 14.64 (s, NH).
上記の代りに、反応は室温で行うこともできる。この場合、2〜3時間のより長い反応時間が必要となる。
【0049】
実施例 2
N-[(ジメチルアミノ)プロピル]-4-(3-オキソ-1,3-ジヒドロ-2H-ピラゾロ[4,3-c]シンノリン-2-イル)ベンズアミドの製造:
【化16】

4-(3-オキソ-1,3-ジヒドロ-2H-ピラゾロ[4,3-c]シンノリン-2-イル)安息香酸(25 mg、0.08 mmol)をDMF(1 ml)と混合した。ジイソプロピルエチルアミン(21 mg、28 μl、0.16 mmol)および3-ジメチルアミノプロピルアミン(8.2 mg、10.0 μl、0.09 mmol)、次いでHBTU(30.3 mg、0.08 mmol)を加えた。混合物を室温で2時間撹拌した。生成物をプレパラティブHPLCで精製した。赤色の固体として、表題の化合物(12.6 mg、0.032 mmol、40%)が単離された。LCMS: m/z 391 [M+H]+.
【0050】
実施例 3
N-ベンジル-4-(3-オキソ-1,3-ジヒドロ-2H-ピラゾロ[4,3-c]シンノリン-2-イル)ベンズアミドの製造:
【化17】

4-(3-オキソ-1,3-ジヒドロ-2H-ピラゾロ[4,3-c]シンノリン-2-イル)安息香酸(52 mg、0.17 mmol)をDMF(2 ml)と混合した。ジイソプロピルエチルアミン(22 mg、29 μl、0.17 mmol)およびベンジルアミン(18.2 mg、18.6 μl、0.17 mmol)、次いでHBTU(64.5 mg、0.17 mmol)を加えた。混合物を室温で4時間撹拌した。生成物をプレパラティブHPLCで精製した。赤色の固体として、表題の化合物(6.6 mg、0.02 mmol、10%)が単離された。
LCMS: m/z 396 [M+H]+.
【0051】
実施例 4
工程 1: 4-(3-オキソ-1,3-ジヒドロ-2H-ピラゾロ[4,3-c]シンノリン-2-イル)ベンゾイルクロライドの製造:
【化18】

塩化チオニル(90 ml)を、4-(3-オキソ-1,3-ジヒドロ-2H-ピラゾロ-[4,3-c]シンノリン-2-イル)安息香酸(2.36 g、7.70 mmol)に加えた。混合物を2時間、窒素雰囲気下で加熱還流した。暗赤色の溶液が得られ、室温に冷却し、過剰の塩化チオニルを真空下に除去した。残渣にトルエン(30 ml)を加え、混合物を室温で窒素雰囲気下、沈殿が完了するまで撹拌した。固体をろ取し、トルエン(2×30 ml)で洗浄した。赤色の固体として、表題の化合物(2.20 g、6.77 mmol、88%)が単離された。
LCMS: m/z 321 [M+H]+ (メタノール中で調製されたサンプルより得られるメチルエステル).
【0052】
工程 2: N-[(シクロヘキシルアミノ)プロピル]-4-(3-オキソ-1,3-ジヒドロ-2H-ピラゾロ[4,3-c]シンノリン-2-イル)ベンズアミドの製造:
【化19】

4-(3-オキソ-1,3-ジヒドロ-2H-ピラゾロ[4,3-c]シンノリン-2-イル)ベンゾイルクロライド(97 mg、0.30 mmol)を無水DMA(2 ml)中に溶解した。ジイソプロピルエチルアミン(39 mg、53 μl、0.60 mmol)、次いでN-シクロヘキシル-1,3-プロパンジアミン(52 mg、0.60 mmol)を加えた。混合物を30分間撹拌した。水(5 ml)を加え、暗赤色の懸濁液を得た。混合物をn-ブタノール(2×20 ml)で抽出した。合わせた有機相を水で洗浄し、沈殿が観察されるまで真空下に濃縮した。ヘキサン(20 ml)および酢酸エチル(10 ml)を加え、固体をろ取し、真空下で乾燥した。暗赤色の粉末として、生成物(82 mg、0.18 mmol、62%)が単離された。
LCMS: m/z 445 [M+H]+.
【0053】
実施例 5:
工程 1: [(2-フルオロフェニル)ヒドラゾノ]マロン酸の製造:
【化20】

メソキサル酸ナトリウム一水和物(2.21 g、12.3 mmol)を1 M塩酸(50 ml) に溶解し、無色の濁った溶液を得た。撹拌混合物に、2-フルオロフェニルヒドラジン塩酸塩(2.00 g、12.3 mmol)を少しずつ室温で加えた。黄色の沈殿が生じ、混合物を水(50 ml)で希釈し、一晩撹拌を継続した。酢酸エチル(150 ml)を加え、それらの相を、固体が溶解するまで激しく混合した。相を分離し、水相を酢酸エチル(50 ml)で洗浄した。合わせた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、溶媒を真空下で除去した。黄色の粉末として、表題の化合物(2.55 g、11.7 mmol、92%)が単離された。
LCMS: m/z 227 [M-H]+.
【0054】
工程 2: [(2-フルオロフェニル)ヒドラゾノ]マロノイルジクロライドの製造:
【化21】

(2-フルオロフェニルヒドラゾノ)マロン酸(1.33 g、5.88 mmol)を、不活性雰囲気下、乾燥クロロホルム(20 ml)と混合し、黄色の懸濁液を得た。混合物を室温で撹拌し、五塩化リン(2.69 g、12.9 mmol)を少しずつ加えた。反応混合物を2時間加熱還流し、暗黄色の溶液を得た。混合物を室温に冷却し、沈殿が生じるまで真空下に濃縮した。固体をろ取し、ヘキサン(30 ml)で洗浄し、真空下で乾燥した。黄色の粉末として、表題の化合物(760 mg、2.89 mmol、49%)が単離された。
【0055】
工程 3: 8-フルオロ-4-ヒドロキシシンノリン-3-カルボン酸メチルの製造:
【化22】

(2-フルオロフェニルヒドラゾノ)マロノイルジクロライド(19.4 g、74 mmol)を、不活性雰囲気下、1,2-ジクロロエタン(100 ml)と混合し、黄色の懸濁液を得た。四塩化チタン(13.9 g、8.08 ml、74 mmol)を滴下し、褐色の溶液を生じた。混合物を一晩加熱還流した。さらに四塩化チタン(13.9 g、8.08 ml、74 mmol)を加え、24時間加熱を継続した。反応混合物を0〜5℃に冷却し、メタノール(50 ml)を滴下し、クエンチした。室温で1時間撹拌を継続し、揮発性物質を真空下に除去した。水(300 ml)を加え、得られた懸濁液を酢酸エチル(3×100 ml)で抽出した。合わせた有機相を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、真空下に濃縮した。黄色の固体を得た(粗生成物12 g)。
LCMS: m/z 223 [M+H]+.
【0056】
工程 4: 4-(6-フルオロ-3-オキソ-1,3-ジヒドロ-2H-ピラゾロ[4,3-c]シンノリン-2-イル)安息香酸の製造:
【化23】

前工程からの粗8-フルオロ-4-ヒドロキシシンノリン-3-カルボン酸エステル(1.00 g、4.95 mmol)を塩化チオニル(50 ml)に溶解した。溶液を、さらなる気体の発生が観察されなくなるまで、2〜3時間加熱還流した。反応混合物を室温に冷却し、過剰な塩化チオニルを真空下に除去した。粗中間体を、トルエン(3×25 ml)で共沸した。暗褐色の固体を得、エタノール(25 ml)中に採取した。4-ヒドラジノ安息香酸(640 mg、4.21 mmol)を加え、混合物を室温で一晩撹拌した。固体をろ取し、1 M HCl(100 ml)中でスラリーにし、ヘキサン(50 ml)で洗浄し、真空下で乾燥した。褐色の固体を得た(粗生成物890 mg)。LCMS: m/z [M+H]+ 325.
【0057】
実施例 6
工程 1: 4-(6-フルオロ-3-オキソ-1,3-ジヒドロ-2H-ピラゾロ[4,3-c]シンノリン-2-イル)安息香酸クロライドの製造:
【化24】

前工程からの粗4-(6-フルオロ-3-オキソ-1,3-ジヒドロ-2H-ピラゾロ[4,3-c]シンノリン-2-イル)-安息香酸(1.45 g)を塩化チオニル(50 ml)に溶解した。混合物を、さらなる気体の発生が観察されなくなるまで、70℃で2〜3時間加熱した。混合物を室温に冷却し、過剰な塩化チオニルを真空下に除去した。残渣をトルエン(2×20 ml)で共沸し、固体を生じた。固体をろ取し、トルエンで洗浄し、真空下に乾燥した。黄色の粉末として、生成物(670 mg、1.95 mmol)が単離された。
LCMS: m/z [M+H]+ 339 (メタノール中で調製されたサンプルより得られるメチルエステル).
【0058】
工程 2: 4-(6-フルオロ-3-オキソ-1,3-ジヒドロ-2H-ピラゾロ[4,3-c]シンノリン-2-イル)-N-(ピロリジン-1-イル-ブチル)ベンズアミドの製造:
【化25】

4-(6-フルオロ-3-オキソ-1,3-ジヒドロ-2H-ピラゾロ[4,3-c]シンノリン-2-イル)ベンゾイルクロライド(100 mg、0.29 mmol)を無水DMA(2 ml)に溶解した。ジイソプロピルエチルアミン(75 mg、101μl、0.58 mmol)、次いで1-(4-アミノブチル)ピロリジン(41 mg)を加えた。混合物を室温で、一晩撹拌した。水(5 ml)およびn-ブタノール(5 ml)を加えた。相を分離した。有機相を水(2×5 ml)で洗浄した。揮発性物質を真空下に除去した。褐色の粉末として、生成物(50 mg、0.11 mmol、37%)が単離された。
LCMS: m/z [M+H]+ 463.
【0059】
実施例 7
4-(6-フルオロ-3-オキソ-1,3-ジヒドロ-2H-ピラゾロ[4,3-c]シンノリン-2-イル)-N-(1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン-4-イル)ベンズアミドの製造:
【化26】

4-(6-フルオロ-3-オキソ-1,3-ジヒドロ-2H-ピラゾロ[4,3-c]シンノリン-2-イル)ベンゾイルクロライド(100 mg、0.29 mmol)を無水DMA(2 ml)に溶解した。ジイソプロピルエチルアミン(75 mg、101μl、0.58 mmol)、次いで4-アミノ-1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジン(49 mg、0.29 mmol)を加えた。混合物を一晩撹拌した。水(5 ml)およびn-ブタノール(5 ml)を加えた。相を分離した。有機相を水(2× 5 ml)で洗浄し、溶液を真空下に濃縮した。暗赤色の固体として、表題の化合物(50 mg、0.105 mmol、36%)が単離された
LCMS: m/z [M+H]+ 477.
【0060】
実施例 8
工程 1: 2-(4-ニトロフェニル)-1,2-ジヒドロ-3H-ピラゾロ[4,3-c]シンノリン-3-オンの製造
【化27】

不活性雰囲気下、塩化チオニル(326 g、200 ml)を、4-ヒドロキシシンノリン-3-カルボン酸メチル(10.0 g、49 mmol)に滴下した。混合物を2.5時間加熱還流し、室温に冷却し、過剰な塩化チオニルを真空下に除去した。残渣にトルエン(100 ml)を加え、真空下に除去した。この操作をさらなるトルエン(100 ml)で繰り返した。褐色の半-固体の物質を得、エタノー(200 ml)中に採取した。4-ニトロフェニルヒドラジン(5.99 g、39.2 mmol)を少しずつ加えた。混合物を室温で一晩撹拌した。混合物を40〜45℃で1時間加熱し、室温に冷却した。固体をろ取し、エタノール(100 ml)で粉砕し、真空下で乾燥した。褐色の固体として、表題の化合物(8.42 g、27.4 mmol、70%)が単離された。
LCMS: m/z 308 [M+H]+.
【0061】
工程 2: 2-(4-アミノフェニル)-1,2-ジヒドロ-3H-ピラゾロ[4,3-c]シンノリン-3-オンの製造
【化28】

2-(4-ニトロフェニル)-1,2-ジヒドロ-3H-ピラゾロ[4,3-c]シンノリン-3-オン(11.4 g、37.2 mmol)を、エタノール(100 ml)と水(100 ml)の混液に懸濁する。鉄粉(11.1 g、200 mmol)および塩化アンモニウム(5.34 g、100 mmol)を加えた。混合物を80℃で一晩加熱し、室温に冷却し、炭酸カリウムでpH 9-10の塩基性にした。固体を、セライト(商標)のパッドを通すろ過により除去した。ろ液をn-ブタノール(2×200 ml)で抽出した。合わせた有機相を真空下に濃縮し、暗赤色の固体が生じた。固体をメタノール(100 ml)で粉砕し、ろ過し、真空下で乾燥した。暗赤色の粉末として、表題の化合物(5.58g、20.1 mmol、57%)が単離された。
LCMS: m/z 278 [M+H]+.
【0062】
工程 3: N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]-N'-[4-(3-オキソ-1,3-ジヒドロ-2H-ピラゾロ[4,3-c]シンノリン-2-イル)フェニル]尿素の製造
【化29】

窒素雰囲気下、0〜5℃で、トルエン(0.5 ml)に2-(4-アミノフェニル)-1,2-ジヒドロ-3H-ピラゾロ[4,3-c]シンノリン-3-オン(44 mg、0.16 mmol)を懸濁した。DMA(0.5 ml)、次いでN,N'-カルボニルジイミダゾール(26 mg、0.16 mmol)を加えた。混合物を、トルエン(0.5 ml)中の3-ジメチルアミノプロピルアミン(18 mg、0.18 mmol)の溶液と混合する前に、0〜5℃で1時間撹拌した。撹拌を1時間継続し、生成物をプレパラティブHPLCで精製した。暗赤色の粉末として、表題の化合物(2.6 mg、6 μmol、4%)が単離された。
LCMS: m/z 406 [M+H]+.
【0063】
実施例 9: 4-(3-オキソ-1,3-ジヒドロ-2H-ピラゾロ[4,3-c]シンノリン-2-イル)安息香酸エチルエステルの製造.
【化30】

表題の化合物は、実施例1の工程 5の方法により、元の酸の代わりに4-ヒドラジノ安息香酸エチルエステルを用いて製造された。
MS: MH+ = 335.2
【0064】
結果
ビアコア(BIAcore)生体分子相互作用分析の使用
ビオチン化されたヒトCD80(hCD80-BT)は、T-細胞の活性化を引き起こすためにCD28と結合する膜結合受容体分子(CD80)の組み換え可溶形である。CD80とCD28の間の相互作用は、広範に研究されている(Collinsら、2002)。ビオチン化されたヒトHLA-A2-taxは、コントロール蛋白質としてこの実施例中で用いられている、膜結合受容体分子の組み換え可溶形であり、本化合物と相互作用を起こさないと考えられる。
【0065】
ビアコアS51(商標)システムが、上記の実施例1〜4の化合物のスクリーニングに用いられた。シリーズSセンサーチップCM5がビアコアS51(商標)上にドッキングされた。ストレプトアビジン(Streptavidin)が、標準のアミンカップリングを用いて、カルボキシメチル表面にカップリングされた。チップ表面は0.2M EDC/0.05M NHSで活性化され、次いでストレプトアビジン(10 mM 酢酸ナトリウムpH 5.0中0.25 mg/ml)で結合および1M エチレンジアミンで非占有サイトを飽和された。ビアコアS51センサーチップは、蛋白質の固定化のための二つの独立したセンサー箇所を有している。hCD80-BTは、凡そ3000 RUの応答が観測されるまで、一つのセンサー箇所のストレプトアビジンでコーティングされた表面に固定化された。化合物の非特異的結合をコントロールする蛋白質は第二のセンサー箇所に固定された。これらの試験で使用されたコントロール蛋白質は、ビオチン化された、可溶形のヒトHLA蛋白質であった。
【0066】
化合物の一連の希釈(1000nM〜0.05nM)がランニング緩衝液(10 mM、pH 7.4、150 mM NaCl、0.005% P20; 5% DMSO)中で調製された。
ビアコアS51(商標)を、ランニング緩衝液を用いて30 μl/分の流速で運転した。溶媒効果のデータ補正のために、化合物とDMSO標準溶液が注入された。データは自動的に記録され、ビアコアS51評価ソフトウエアを用いて分析された。
【0067】
CD80と内因性蛋白質リガンド(CD28)との相互作用は、4750 nMのKD、0.2 s-1より大きなオフ-レート(off-rate)を有し、非常に特異的だが、比較的弱かった。実施例2、3、4、6、7の化合物は、CD28よりもCD80に対して、より大きな親和力およびより長い滞留時間を有し、100nMよりも小さいKDおよび2x10-2のオフ-レートを有し、これらのシンノリン化合物が内因性リガンドと効果的に競合することができるであろうことを示している。これらのシンノリン化合物はコントロール蛋白質と、検出可能な相互作用を示さなかった。
参考文献
Collins AVら、(2002) Immunity 17, 201-210 "The interaction properties of costimulatory molecules revisited"
【0068】
ヒトジャーカト(Jurkat)T細胞によるインターロイキン-2(IL-2)産生阻害
方法
96-ウェル丸底マイクロタイタープレート中の、10%ウシ胎児血清、1%ペニシリン/ストレプトマイシン、1%グルタミンを補ったRPMI-1640培地(RPMI培地)中に、ヒトラジ(Raji)細胞がウェル当り2×105細胞の濃度で分配された。試験下の化合物(100%DMSO中に溶解)が、RPMI培地中、所望の最終濃度の8倍に希釈され、ウェル当り全容量200μlについて要求される最終濃度まで添加された。37℃で20分間インキュベート後、ジャーカトT細胞が、ウェル当り2×105細胞濃度で添加された。CD3に対するモノクローナル抗体 (UCHT1, R&D Systems) が、1μg/mlの最終濃度で培養物に添加され、指定された所に、CD28に対するモノクローナル抗体(CD28.2, BD-Pharmingen)も2.5μg/mlの最終濃度で添加された。細胞を37℃で5時間培養し、その後、プレートを遠心分離し、製造者の指示に従ってIL-2 Eli-pairキット(DIACLONE Research, Besancon, France)を用いたIL-2 ELISA測定のために、上清液が回収された。
一例として、実施例2の化合物(AV1142005)は30μMで65%の阻害であった。
【0069】
ホモジニアス時間分解蛍光測定(Homogenous Time Resolved Fluorescence Assay)
上記の実施例化合物が、CD80-CD28相互作用の阻害剤としての活性を測定するために、無細胞ホモジニアス時間分解蛍光(HTRF)測定において試験された。
この測定において、ユーロピウムおよびアロフィコシアニン(APC)が、CD28 およびCD80と間接的に結合(抗体リンカーを通して)して、複合体を形成し、極めて接近したユーロピウムとAPCがシグナルを発生する。この複合体は次の6つの蛋白質:蛍光標識1、リンカー抗体1、CD28融合蛋白質、CD80融合蛋白質、リンカー抗体2および蛍光標識2を含む。以下の
表にこれらの試薬をより詳細に記載する。
【0070】
【表1】

【0071】
複合体の形成によりユーロピウムとAPCが接近し、シグナルが発生する。
非特異的相互作用は、CD80マウスFabフラグメント融合蛋白質の代わりにマウスFabフラグメント(C215)(1.9μg/ml)を用いて、測定された。この測定は、最終容量30μlでのブラック384ウェルプレート中で行われた。測定緩衝液:50mM Tris-HCl、150mM NaCl pH7.8、使用直前に添加された0.1% BSA (w/v)を含む。
化合物を100μM〜1.7nMの範囲の一連の濃度で上記の試薬に加えた。反応物を室温で4時間インキュベートした。Wallac Victor 1420 Multilabel Counterを用いて、2重測定を行った。第1測定:励起340nm、発光665nm、遅延50μs、ウインドー時間200μs。第2測定:励起340nm、発光615nm、遅延50μs、ウインドー時間200μs。計数は、蛍光クロスオーバー、クエンチングおよびバックグラウンドに対して、自動的に補正された。試験された化合物のEC50活性は、次のように:
EC50: * = >10 μM、** = 1〜10 μM、*** = <1 μM
記録される。
【0072】
実施例1〜8の化合物は、上記のHTRF測定で以下の活性:
実施例1 *
実施例2 ***
実施例3 ***
実施例4 ***
実施例5 *
実施例6 ***
実施例7 ***
実施例8 ***
実施例9 **
を有した。
【0073】
追加実施例
本発明の化合物のさらなる例が、上記実施例1〜8のそれらと同様の方法で合成された。合成された化合物の構造は、上記のHTRF測定における活性とともに、以下の表に示される。
【0074】
【表2−1】

【0075】
【表2−2】

【0076】
【表2−3】

【0077】
【表2−4】

【0078】
【表2−5】

【0079】
【表2−6】

【0080】
【表2−7】

【0081】
【表2−8】

【0082】
【表2−9】

【0083】
【表2−10】

【0084】
【表2−11】

【0085】
【表2−12】

【0086】
【表2−13】

【0087】
【表2−14】

【0088】
【表2−15】

【0089】
【表2−16】

【0090】
【表2−17】

【0091】
【表2−18】

【0092】
【表2−19】

【0093】
【表2−20】

【0094】
【表2−21】

【0095】
【表2−22】

【0096】
【表2−23】

【0097】
【表2−24】

【0098】
【表2−25】

【0099】
【表2−26】

【0100】
【表2−27】

【0101】
【表2−28】

【0102】
【表2−29】

【0103】
【表2−30】

【0104】
【表2−31】

【0105】
【表2−32】

【0106】
上記の化合物のヒトジャーカトT細胞によるインターロイキン-2(IL-2)誘導阻害に対する測定の試験結果の例は、以下のとおりである。
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

(式中、
R1およびR3は独立して、H;F;Cl;Br;-NO2;-CN;FもしくはClで任意に置換されていてもよいC1-C6アルキル基;または、Fで任意に置換されていてもよいC1-C6アルコキシ基を表し、
R4はカルボン酸基(-COOH)もしくはそのエステル、または-C(=O)NR6R7、-NR7C(=O)R6、-NR7C(=O)OR6、-NHC(=O)NR7R6もしくは-NHC(=S)NR7R6(ここで、R6はHまたは式-(Alk)m-Qの基(ここで、mは0または1であり、Alkは任意に置換されていてもよい2価の直鎖または分枝のC1-C12アルキレンもしくはC2-C12アルケニレンもしくはC2-C12アルキニレン基、または2価のC3-C12炭素環式基であり、これらの基はいずれも、一つ以上の-O-、-S-または-N(R8)-結合(ここで、R8はHまたはC1-C4アルキル、C3-C4アルケニル、C3-C4アルキニルもしくはC3-C6 シクロアルキルを表す)を有していてもよく、そしてQはH、-NR9R10(ここで、R9およびR10は独立して、H;C1-C4アルキル;C3-C4アルケニル;C3-C4アルキニル;C3-C6シクロアルキル;エステル基;任意に置換されていてもよい炭素環式基もしくは複素環式基を表すか、またはR9およびR10はそれらが結合している窒素と一緒になって環を形成し、その環は任意に置換されていてもよい)を表す)を表し、
R7はHもしくはC1-C6アルキルを表すか、またはR6およびR7はそれらが結合している1つまたは複数の原子と一緒になって、任意に置換されていてもよい5、6もしくは7の環原子を有する単環式の複素環を形成する)を表し、そして
Xは結合手または式-(Z)n-(Alk)-もしくは-(Alk)-(Z)n-(ここで、Zは-O-、-S-または-NH-を表し、AlkはR6に関して定義されたとおりであり、nは0または1である)の2価の基である)
の化合物または医薬的もしくは動物薬的に許容される塩、それらの水和物もしくは溶媒和物。
【請求項2】
基R4X-がフェニル環の4位にある、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Xが結合手である、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
R3が水素である、請求項1〜3のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項5】
R1が水素またはフッ素である、請求項1〜4のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項6】
R4が-C(=O)NR6R7(ここで、R6およびR7は請求項1で定義されたとおりである)を表す、請求項1〜5のいずれか1つ記載の化合物。
【請求項7】
R4が-NHC(=O)NR7R6(ここで、R6およびR7は請求項1で定義されたとおりである)を表す、請求項1〜6のいずれか1つ記載の化合物。
【請求項8】
R6がキヌクリジニル基である、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
R6が式-(Alk)m-Qの基(ここで、mは1であり、2価の基Alkは3または4の炭素原子を有していて無置換であり、Qは-NR9R10(ここで、R9およびR10は独立して、H;C1-C4アルキル;C3-C4アルケニル;C3-C4アルキニル;C3-C6シクロアルキル;エステル基;任意に置換されていてもよい炭素環式基もしくは複素環式基を表すか、またはそれらが結合している窒素と一緒になって環を形成し、その環は任意に置換されていてもよい)を表す、請求項1〜8のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項10】
R7が水素である、請求項6〜8のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項11】
Qが、H;-CF3;-OH;-SH;-NR8R8(ここで、R8はそれぞれ独立して、H;C1-C4アルキル;C3-C4アルケニル;C3-C4アルキニル;C3-C6シクロアルキル;エステル基;任意に置換されていてもよいアリール、アリールオキシ、シクロアルキル、シクロアルケニルもしくは複素環式基;またはそれらが結合している窒素と一緒になって環を形成する)を表し、
R7が、HもしくはC1-C6アルキルを表すか、またはR6およびR7がそれらが結合している1つまたは複数の原子と一緒になって5、6もしくは7の環原子を有する単環式の複素環を形成する、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
R4がカルボン酸基(-COOH)または式-COORのエステル基(ここで、Rはメチル、エチル、n-もしくはiso-プロピル、n-、sec-もしくはtert-ブチルまたはベンジルである)を表す、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
R6が式-(Alk)m-Qの基(ここで、mは1であり、Alkは-CH2-、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-もしくは-CH2CH(CH3)CH2-、またはOH、オキソ、CF3、メトキシまたはエトキシで任意に置換されていてもよい2価のシクロプロピレン、シクロペンチレンもしくはシクロへキシレン基であり、そしてQは、水素;-NR8R8(ここで、R8はそれぞれ同一または異なって、水素、メチル、エチル、n-もしくはイソプロピルまたはtert-ブチル;メチル、エチルもしくはベンジルエステル;または任意に置換されていてもよいフェニル、フェノキシ、シクロペンチル、シクロヘキシル、フリル、チエニル、ピペリジルもしくはピペラジニル基から選択される)を表す、請求項11または12に記載の化合物。
【請求項14】
R7 がメチル、エチル、n-もしくはiso-プロピル、n-、sec-もしくはtert-ブチルを表すか、またはR6およびR7がそれらが結合している1つまたは複数の原子と一緒になって5、6もしくは7の環原子を有する単環式の複素環を形成する、請求項11〜13のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項15】
R1がH、F、Cl、メチル、メトキシまたはメチレンジオキシである、請求項11〜14のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項16】
R1が3-オキソ-1,3-ジヒドロ-2H-ピラゾロ[4,3-c]シンノリン-2-イル環系の6位にあるFである、請求項11〜14のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項17】
R3がH、F、Cl、メチル、メトキシまたはメチレンジオキシである、請求項11〜16のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項18】
Xが結合手または-CH2-もしくは-CH2CH2-基である、請求項11〜17のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項19】
式(IC):
【化2】

(式中、XおよびR4は請求項3、7〜10または11〜18のいずれかで定義されたとおりである)
の化合物、または医薬的もしくは動物薬的に許容される塩、それらの水和物もしくは溶媒和物。
【請求項20】
基R4X-がフェニル環の4位にある、請求項18に記載の化合物。
【請求項21】
Xが結合手であり、R4が-C(=O)NR6R7(ここで、R6およびR7は請求項11または請求項13もしくは14でそれぞれ定義されたとおりである)である、請求項19または20に記載の化合物。
【請求項22】
式(A):
【化3】

の4-(6-フルオロ-3-オキソ-1,3-ジヒドロ-ピラゾロ[4,3-c]シンノリン-2-イル)-N-(2,2-ジフルオロ-エチリル)-ベンズアミド化合物、または医薬的もしくは動物薬的に許容される塩、それらの水和物もしくは溶媒和物。
【請求項23】
式(B):
【化4】

のN-[3-(tert-ブチル-メチル-アミノ)-ブチル]-4-(6-フルオロ-3-オキソ-1,3-ジヒドロ-ピラゾロ[4,3-c]シンノリン-2-イル)-ベンズアミド化合物、または医薬的もしくは動物薬的に許容される塩、それらの水和物もしくは溶媒和物。
【請求項24】
医薬的または動物医薬的に許容される賦形剤もしくは担体とともに、請求項1〜23のいずれか1つに記載の化合物を含む医薬または動物医薬組成物。
【請求項25】
免疫調節により恩恵を受ける病態の治療に使用するための、請求項1〜23のいずれか1つに記載の化合物。
【請求項26】
免疫調節により恩恵を受ける病態の治療用医薬を製造するための、請求項1〜23のいずれか1つに記載の化合物の使用。
【請求項27】
請求項1〜23のいずれか1つに記載の化合物の免疫調節性の有効量を、そのような治療を必要とする哺乳動物に投与することを含む、ヒトを含む哺乳動物における免疫調節の方法。
【請求項28】
免疫調節が免疫抑制である、請求項25に記載の使用のための化合物、請求項26に記載の使用または請求項27に記載の方法。
【請求項29】
病態が自己免疫疾患、リウマチ性関節炎、多発性硬化症、糖尿病、喘息、移植、全身性エリテマトーデスおよび乾癬である、請求項25に記載の使用のための化合物、請求項26に記載の使用または請求項27に記載の方法。

【公表番号】特表2006−520372(P2006−520372A)
【公表日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505937(P2006−505937)
【出願日】平成16年3月10日(2004.3.10)
【国際出願番号】PCT/GB2004/001008
【国際公開番号】WO2004/081011
【国際公開日】平成16年9月23日(2004.9.23)
【出願人】(505168388)アヴィデックス リミテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】AVIDEX LIMITED
【住所又は居所原語表記】57C Milton Park,Abingdon,Oxfordshire OX14 4RX,United Kingdom
【Fターム(参考)】