説明

免震積層ゴム用防水カバー及び免震装置

【課題】積層部への浸水を防ぐことができる免震積層ゴム用防水カバー及び免震装置を提供することを目的としている。
【解決手段】ゴム層10と硬質板11とを交互に複数積層してなる積層部4が上下一対の支持板2,3間に介在された構成の免震積層ゴム1に装着され、少なくとも積層部4を被覆する免震積層ゴム用防水カバー5であって、積層部4の軸線O方向に沿って延在し内側に少なくとも積層部4が収容される筒形状を成し、カバー周方向に延在した剛性を有する硬質部20と、カバー周方向に延在した可撓性を有する軟質部21と、が備えられ、両端が支持板2,3に着脱可能にそれぞれ取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免震積層ゴムに装着される免震積層ゴム用防水カバー、及びそれを備える免震装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ビルや橋梁等の構造物に設置される免震装置として、上下のフランジ間に積層部が介在された構成からなる免震積層ゴムを備えるものがある。上記積層部は、ゴム層と内部鋼板とが交互に複数積層された構成からなる。また、近年、上記した積層部の外周面が被覆ゴムで被覆された構成の免震積層ゴムが提供されている。上記被覆ゴムは、積層部のゴム層と一体に成形され、或いは、積層部の外周面に対して加硫接着等により強固に接着されている。上記した構成の免震積層ゴムは下部構造と上部構造との間に配置され、下側のフランジが下部構造の上面に取り付けられるとともに上側のフランジが上部構造の下面に取り付けられる。この免震積層ゴムによれば、地震等が発生したときに積層部が水平方向に変形することで、下部構造から上部構造に伝達される振動が低減され、上部構造の揺れを抑えることができる。また、積層部の外周面が被覆ゴムにより被覆されていることにより、積層部の長期劣化を抑えることができる(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開昭64−29538号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一般に、免震積層ゴムを設置する免震ピットに排水設備等が備えられ、基本的に水が入り込まない或いは水が貯まらない構造になっているため、免震積層ゴムが長期間水に曝されることは想定されていない。ところが、建設途中においては、上記した排水設備等が未完成であるため、免震積層ゴムが水に曝される場合がある。また、竣工後においても、台風や洪水などにより想定以上の浸水が生じた場合、免震積層ゴムが水に曝される場合がある。
【0004】
また、竣工後の積層部への長期荷重や地震等による積層部の変形等により、被覆ゴムにクラックが発生する場合がある。被覆ゴムは、上述したとおり、積層部のゴム層と一体に成形され、或いは、積層部の外周面に強固に接着されており、被覆ゴムを積層部から取り外すのが困難であるため、被覆ゴムにクラックが発生したときに、被覆ゴムを新しく交換するのは困難である。
【0005】
したがって、従来の技術では、上述したように免震積層ゴムが長期間水に曝されると、被覆ゴムに生じたクラックから積層部内に水が浸入し、これにより、内部鋼板が発錆するおそれがある。
【0006】
本発明は、上記した従来の問題が考慮されたものであり、積層部への浸水を防ぐことができる免震積層ゴム用防水カバー及び免震装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る免震積層ゴム用防水カバーは、ゴム層と硬質板とを交互に複数積層してなる積層部が上下一対の支持板間に介在された構成の免震積層ゴムに装着され、少なくとも前記積層部を被覆する免震積層ゴム用防水カバーであって、前記積層部の軸線方向に沿って延在し内側に少なくとも前記積層部が収容される筒形状を成し、カバー周方向に延在した剛性を有する硬質部と、カバー周方向に延在した可撓性を有する軟質部と、が備えられ、両端が前記支持板に着脱可能にそれぞれ取り付けられていることを特徴としている。
【0008】
このような特徴により、防水カバー内に免震積層ゴムの積層部が収容されるので、防水カバーによって外部からの水が遮断され、積層部が水に曝されることが防止される(防水性)。
また、地震等により水平方向に変位が発生した際には、防水カバーのうちの軟質部が変形することにより、防水カバーは、免震積層ゴムの水平方向への変形に追随して変形する(追随性)。
さらに、防水カバーは着脱可能に取り付けられているので、竣工後、免震積層ゴムの定期検査を行う際には、防水カバーが取り外される。また、防水カバーが損傷・劣化した際には、その防水カバーが取り外されて新しい防水カバーに交換される(着脱容易性)。
【0009】
また、本発明に係る免震積層ゴム用防水カバーは、複数の前記硬質部と複数の前記軟質部とが前記軸線方向に交互に連結されていることが好ましい。
これにより、防水カバーは、変形可能な部分(軟質部)が複数層形成された構成になり、防水カバーの水平方向への変形性能が高くなる。これにより、免震積層ゴムの水平変形に対する防水カバーの追随性が向上する。
【0010】
また、本発明に係る免震積層ゴム用防水カバーは、縦割り状に分割された複数の分割体を組み合わせて筒状に形成されていることが好ましい。
これにより、防水カバーが更に着脱容易になる。すなわち、防水カバーを取り付ける際には、積層部を挟み込むようにして複数の分割体を筒状に組み立てればよく、取り付け容易である。一方、防水カバーを取り外す際には、筒状に組み立てられた複数の分割体を分解すればよく、取り外し容易である。
【0011】
また、本発明に係る免震積層ゴム用防水カバーは、前記両端が磁石を介して前記支持板に取り付けられていることが好ましい。
これにより、防水カバーの両端が磁石の磁力によって支持板にそれぞれ接着されるので、防水カバーがさらに着脱容易になる。また、防水カバーの両端が磁石の磁力によって確実に接着されるので、防水カバーの端部が確実に止水され、防水カバーによる防水性が向上する。
【0012】
また、本発明に係る免震積層ゴム用防水カバーは、前記軟質部が、前記軸線方向に沿った縦断面視において湾曲されていることが好ましい。
これにより、軟質部の変形時に当該軟質部に作用する引張応力や圧縮応力が低減され、軟質部が容易に変形される。
【0013】
また、本発明に係る免震装置は、ゴム層と硬質板とを交互に複数積層してなる積層部が上下一対の支持板間に介在された構成の免震積層ゴムを備える免震装置において、上記した免震積層ゴム用防水カバーを備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る免震積層ゴム用防水カバー及び免震装置によれば、外部から防水カバー内への水の浸入が遮断されるので、積層部への水の浸入を防止することができる。したがって、建設中或いは竣工後に免震積層ゴムの周りに水が溜まっても、積層部が水に曝されることがなく、積層部の硬質板の発錆等の積層部の劣化を防止することができる。
また、防水カバーが免震積層ゴムの変形に対して追随性を発揮するので、地震等による水平方向の変位が発生しても、防水カバーが破損することがない。したがって、地震等が発生した後も防水性を確保することができる。また、上記した防水カバーの追随性により、防水カバーによって免震積層ゴムの免震効果が低減されることも無いので、免震効果を十分に発揮させることができる。
さらに、防水カバーの着脱が容易であるので、竣工後の積層部の定期検査や防水カバーの交換が容易であり、免震積層ゴムのメンテナンスを容易に行うことができる。また、防水カバーの交換が容易であるので、防止カバーが劣化・破損した場合に新しい防水カバーに簡単に交換することができ、防水性を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係る免震積層ゴム用防水カバー及び免震装置の実施の形態について、図面に基いて説明する。
【0016】
図1は本発明の一例である免震装置30の縦断面図であり、図2は免震装置30の側面図であり、図3は図2に示すA−A間の平断面図である。
【0017】
図1〜図3に示すように、免震装置30は、免震積層ゴム1と防水カバー5とを備えた構成からなる。
免震積層ゴム1は、下部構造8から上部構造9に伝達される振動を低減させるための装置であり、下部構造8と上部構造9との間に介装されるものである。この免震積層ゴム1には、下部構造8に取り付けられる下フランジ2(支持板)と、上部構造9に取り付けられる上フランジ3(支持板)と、下フランジ2と上フランジ3との間に介在された積層部4と、が備えられている。
【0018】
下フランジ2及び上フランジ3は、それぞれ円形の鋼板からなり、上下に所定の間隔をあけて互いに対向する位置に設けられている。下フランジ2及び上フランジ3の各外周部には複数のボルト孔2a、3aが所定の間隔をあけてそれぞれ形成されており、これらのボルト孔2a、3aに挿通されたアンカーボルト7を介して、下フランジ2は下部構造8に固定され、上フランジ3は上部構造9に固定されている。
【0019】
積層部4は、円形のゴム層10と円形の内部鋼板11(硬質板)とが交互に複数積層されて全体として略円柱形状を成し、さらにその外周面に被覆ゴム12が被覆された構成からなる。ゴム層10及び被覆ゴム12は一体に成形されたものであり、天然ゴムや高減衰ゴム等からなる。積層部4の軸線O方向の両端(上下端)にはそれぞれゴム層10が形成されており、この積層部4の両端(上下端のゴム層10)は下フランジ2や上フランジ3に加硫接着されて固定されている。
【0020】
上記した構成からなる免震積層ゴム1には、積層部4を被覆する防水カバー5が装着されている。
防水カバー5は、軸線O方向に沿って延在した円筒形状の部材であり、積層部4と略同軸に配設されている。この防水カバー5の内径は、積層部4、下フランジ2及び上フランジ3のいずれの外径よりも大きく、防水カバー5の内側には、積層部4、下フランジ2及び上フランジ3がそれぞれ収容されている。
【0021】
上記した防水カバー5は、縦割り状に分割された一対の分割体5A,5Bからなる。すなわち、一対の分割体5A,5Bは、それぞれ図3に示すように横断面視(軸線Oの垂直面に沿った断面視)において半円弧形状を成す部材であり、これら一対の分割体5A,5Bを組み合わせることで円筒形状に形成されている。また、これら一対の分割体5A,5Bは、接合部材6を介して接合されている。接合部材6は、一対の分割体5A,5Bの接合部分に沿って延設されており、一対の分割体5A,5Bの各側端部にそれぞれ接合されている。また、接合部材6は、防水カバー5の変形に応じて自在に変形可能な部材であり、例えば長方形のゴム板からなる。
【0022】
また、一対の分割体5A,5B(防水カバー5)には、カバー周方向に延在する複数(6つ)の硬質部20と、カバー周方向に延在する複数(5つ)の軟質部21と、が備えられている。硬質部20は、半リング形状のものであり、例えば金属や樹脂等の剛性を有するものからなる。図3に示すように、一対の分割体5A,5Bの各硬質部20,20の端面同士は互いに当接されており、上記2つの硬質部20,20はリング状に形成されている。一方、軟質部21は、半リング形状のものであり、例えばゴムやフッ素樹脂等の可撓性を有するものからなる。一対の分割体5A,5Bの各軟質部21,21の端面同士は、互いの間隔をあけられており、これら端面同士の間には上記した接合部材6が配設されている。また、軟質部21は、図1に示すように軸線O方向に沿った縦断面視において、カバー径方向の外側に凸の略U字形状に湾曲されており、硬質部20の外周面からカバー径方向外側に向けて突出されている。
【0023】
上記した複数の硬質部20と複数の軟質部21とは、軸線O方向に交互に連結されている。つまり、軟質部21は、上下の硬質部20の間に配設され、その上下端が硬質部20にそれぞれ接合されている。なお、防水カバー5の両端(上下端)部分には、それぞれ硬質部20(端部硬質部20A)が配設されており、これら端部硬質部20Aは、防水カバー5の中間部分に配設された硬質部20(中間硬質部20B)よりも軸線O方向の寸法が長くなっている。
【0024】
上記した構成の防水カバー5は、その軸線O方向の両端が、鋼板(磁性体)からなる下フランジ2、上フランジ3に磁石22を介して着脱可能にそれぞれ取り付けられている。具体的に説明すると、下側の端部硬質部20Aの下端内周面及び上側の端部硬質部20Aの上端内周面には、例えばゴム磁石からなる磁石22がそれぞれ接着されている。磁石22は、図3に示すようにカバー周方向に延在した横断面視半リング形状のものである。磁石22の内周面は、下フランジ2や上フランジ3の外周面(側端面)に磁着されている。なお、一方の分割体5Aに設けられた磁石22と他方の分割体5Bに設けられた磁石22とは、硬質部20と同様に、図3に示すように互いの端面同士が突き合わされてリング形状に形成されている。
【0025】
次に、上記した構成からなる防水カバー5の作用について説明する。
【0026】
上記した構成の防水カバー5が免震積層ゴム1に装着されると、防水カバー5の内側に、積層部4及び上下のフランジ2,3がそれぞれ収容される。このとき、免震積層ゴム1を設置した免震ピットに水が溜まると、防水カバー5によって外部からの水が遮断され、防水カバー5の内側への水の浸入が防止される。特に、上記した構成の防水カバー5では、防水カバー5の両端が磁石22を介して下フランジ2や上フランジ3に取り付けられているので、防水カバー5の両端が磁石22の磁力によって確実に接着され、防水カバー5の上下端からの水の浸入が防止される。また、一対の分割体5A,5Bの接合部分は接合部材6で止水されているので、一対の分割体5A,5Bの境目からの水の浸入が防止される。
【0027】
また、上記した防水カバー5を免震積層ゴム1に取り付ける場合、まず、免震積層ゴム1を両側から挟むようにして一対の分割体5A,5Bを組み合わせる。このとき、一対の分割体5A,5Bの上下端の内周面にそれぞれ設けられた磁石22を上下のフランジ2,3の外周面に当接させる。これにより、磁石22がフランジ2,3の外周面に磁着され、一対の分割体5A,5Bの上下端は下フランジ2及び上フランジ3にそれぞれ取り付けられる。次に、一方の分割体5Aの軟質部21の端面と他方の分割体5Bの軟質部21の端面との間に形成された隙間に接合部材6を配置し、この接合部材6を介して一対の分割体5A,5Bの側端部同士を接合する。以上により、防水カバー5の取り付けが完了する。
【0028】
また、防水カバー5を免震積層ゴム1から取り外す場合、まず、一対の分割体5A,5B間に設けられた接合部材6を外す。次に、組み合わされた一対の分割体5A,5Bを分解する。このとき、一対の分割体5A,5Bの各上下端が磁石22の磁力により上下のフランジ2,3に取り付けられているだけなので、一対の分割体5A,5Bを互いに離間させる方向に移動させるだけで簡単に分解される。以上により、防水カバー5の取り外しが完了する。
【0029】
上記したように、防水カバー5は免震積層ゴム1に対して容易に着脱されるので、竣工後に免震積層ゴム1の定期検査を行う際には、上記した取り外し手順に従い防水カバー5を取り外した後、免震積層ゴム1の検査を行う。そして、検査終了後は、上記した取り付け手順に従いもとの防水カバー5を取り付け、検査が完了する。このとき、防水カバー5の軟質部21等にクラックが発生している等、防水カバー5の劣化が発見された場合には、その防水カバー5の全部又は劣化した分割体5A,5Bを新しいものに交換して取り付ける。
【0030】
また、免震積層ゴム1に防水カバー5が装着された状態で、地震等により水平方向の変位が生じ、免震積層ゴム1が水平方向に変形した場合、防水カバー5は、その免震積層ゴム1の水平変形に追随して変形する。すなわち、下フランジ2と上フランジ3とが水平方向に相対移動され、積層部4が傾斜した形状に変形すると、防水カバー5のうちの軟質部21が変形して、防水カバー5が傾斜した形状に変形される。
【0031】
特に上記した防水カバー5では、複数の硬質部20と複数の軟質部21とが軸線O方向に交互に連結された構成になっているので、防水カバー5は、変形可能な部分(軟質部21)が複数層(本実施の形態では5層)形成された構成になっている。したがって、防水カバー5の水平方向への変形性能は高く、免震積層ゴム1の水平変形に対する防水カバー5の追随性は高い。
【0032】
また、上記した構成の防水カバー5では、軟質部21が縦断面視において湾曲された形状になっているので、軟質部21の変形時に当該軟質部21に作用する引張応力や圧縮応力が低く抑えられ、軟質部21は容易に変形可能である。
【0033】
上記した構成からなる防水カバー5及び免震装置30によれば、防水カバー5内への水の浸入が防止されるので、高い防水性を実現することができ、建設中或いは竣工後に免震積層ゴム1の周りに水が溜まっても、積層部4や上下のフランジ2,3が水に曝されることはない。これにより、積層部4内の内部鋼板11や上下のフランジ2,3の発錆を防止することができる。
【0034】
また、防水カバー5が免震積層ゴム1の変形に対して追随性を発揮するので、地震等による水平方向の変位が発生しても、防水カバー5が破損することがない。したがって、地震等が発生した後も防水性を確保することができる。
特に、上記した防水カバー5は、免震積層ゴム1の水平変形に対する追随性が高いので、大きな変位に対しても対応することができる。
【0035】
また、上記した防水カバー5の追随性により、防水カバー5によって免震積層ゴム1の免震効果が低減されることも無いので、免震効果を十分に発揮させることができる。
【0036】
また、免震積層ゴム1に対する防水カバー5の着脱が容易であるので、竣工後の積層部4の定期検査や防水カバー5の交換が容易であり、免震積層ゴム1のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0037】
また、防水カバー5の交換が容易であるので、防止カバー5が劣化・破損した場合に新しい防水カバー5に簡単に交換することができ、防水性を維持することができる。
特に、防水カバー5では、軟質部21が湾曲されており、軟質部21の変形時に当該軟質部21に作用する引張応力や圧縮応力が低く抑えられるので、軟質部21にクラック等の破損が生じにくくなり、防水カバー5の寿命の長期化を図ることができる。
【0038】
以上、本発明に係る免震積層ゴム用防水カバー及び免震装置30の実施の形態について説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記した実施の形態では、防水カバー5は円筒形状になっているが、本発明は、角筒形状の防水カバーであってもよい。
【0039】
また、上記した実施の形態では、防水カバー5の内側に積層部4及び上下のフランジ2,3がそれぞれ配設され、免震積層ゴム1全体が防水カバー5によって被覆されているが、本発明は、上下のフランジ2,3が防水カバーの外側に配設されており、免震積層ゴム1のうちの積層部4のみが防水カバーによって被覆されていてもよい。例えば、防水カバーの内径が積層部4の外径よりも大きく且つ上下のフランジ2,3よりも小さくなっており、さらに、防水カバーの上下端に、カバー径方向外側に張り出された鍔部がそれぞれ形成されており、これら上下の鍔部が下フランジ2の上面や上フランジ3の下面に着脱可能に取り付けられた構成にすることが可能である。
【0040】
また、上記した実施の形態では、6つの硬質部20と5つの軟質部21とが軸線O方向に交互に連結されているが、本発明は、硬質部20や軟質部21の数は適宜変更可能である。例えば、両端の端部硬質部20Aの間に1つの筒状の軟質部が介装された構成にすることも可能である。
【0041】
また、上記した実施の形態では、防水カバー5の両端部分に硬質部20(端部硬質部20A)がそれぞれ配設されているが、本発明は、防水カバー5の両端部分に軟質部が配設された構成にすることも可能である。例えば、鉄成分を含有したゴム製の軟質部を防水カバー5の両端部分に配設し、この両端の軟質部を上下のフランジ2,3に磁石22を介して取り付ける構成であってもよく、或いは、防水カバー5の両端部分にゴム磁石からなる軟質部を配設し、この両端の軟質部を上下のフランジ2,3に直接磁着させる構成であってもよい。
【0042】
また、上記した実施の形態では、縦割り状に分割された一対の分割体5A,5Bを組み合わせて筒状に形成されているが、本発明は、3つ以上に分割された分割体を組み合わせて筒状に形成される防水カバーであってもよい。さらに、本発明は、複数の分割体に分割されない防水カバーであってもよい。例えば、1枚の板状の部材を免震積層ゴム1の外周に巻き付けるようにして筒状に形成される防水カバーであってもよい。
【0043】
また、上記した実施の形態では、磁石22が端部硬質部20Aの内周面に接着されるとともに下フランジ2又は上フランジ3の外周面に磁着されているが、本発明は、端部硬質部20A(防水カバーの両端)が鉄等の磁性体の場合、磁石22がフランジ2,3の外周面に沿って接着され、この磁石22の外周面が端部硬質部20Aの内周面に磁着された構成にすることも可能であり、或いは、磁石22が、フランジ2,3の外周面及び端部硬質部20Aの内周面にそれぞれ磁着された構成にすることも可能である。
【0044】
また、上記した実施の形態では、防水カバー5の両端が磁石22を介して上下のフランジ2,3に着脱可能に取り付けられているが、本発明は、磁石22を用いずに防水カバー5の両端を上下のフランジ2,3に着脱可能に取り付けることも可能である。例えば、防水カバー5の両端がボルトとナット等の締結部材を用いて上下のフランジ2,3に取り付けられていてもよく、或いは、端部硬質部20A自体に磁石で形成して、端部硬質部20Aを上下のフランジ2,3に直接磁着させる構成であってもよい。
【0045】
また、上記した実施の形態では、軟質部21が、縦断面視においてカバー径方向外側に凸の略U字形状に湾曲されているが、本発明は、軟質部が、カバー径方向内側に凸に湾曲されていてもよく、また、略V字形状に湾曲されていてもよい。さらに、本発明は、軟質部が湾曲されてなく、縦断面視においてストレート形状にすることも可能である。
【0046】
その他、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施の形態を説明するための免震装置の縦断面図である。
【図2】本発明の実施の形態を説明するための免震装置の側面図である。
【図3】図2に示すA−A間の平断面図である。
【符号の説明】
【0048】
1 免震積層ゴム
2 下フランジ(支持板)
3 上フランジ(支持板)
4 積層部
5 防水カバー(免震積層ゴム用防水カバー)
5A、5B 分割体
10 ゴム層
11 内部鋼板(硬質板)
20 硬質部
21 軟質部
22 磁石
30 免震装置
O 軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム層と硬質板とを交互に複数積層してなる積層部が上下一対の支持板間に介在された構成の免震積層ゴムに装着され、少なくとも前記積層部を被覆する免震積層ゴム用防水カバーであって、
前記積層部の軸線方向に沿って延在し内側に少なくとも前記積層部が収容される筒形状を成し、
カバー周方向に延在した剛性を有する硬質部と、カバー周方向に延在した可撓性を有する軟質部と、が備えられ、
両端が前記支持板に着脱可能にそれぞれ取り付けられていることを特徴とする免震積層ゴム用防水カバー。
【請求項2】
請求項1記載の免震積層ゴム用防水カバーにおいて、
複数の前記硬質部と複数の前記軟質部とが前記軸線方向に交互に連結されていることを特徴とする免震積層ゴム用防水カバー。
【請求項3】
請求項1または2記載の免震積層ゴム用防水カバーにおいて、
縦割り状に分割された複数の分割体を組み合わせて筒状に形成されていることを特徴とする免震積層ゴム用防水カバー。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか記載の免震積層ゴム用防水カバーにおいて、
前記両端が磁石を介して前記支持板に取り付けられていることを特徴とする免震積層ゴム用防水カバー。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか記載の免震積層ゴム用防水カバーにおいて、
前記軟質部は、前記軸線方向に沿った縦断面視において湾曲されていることを特徴とする免震積層ゴム用防水カバー。
【請求項6】
ゴム層と硬質板とを交互に複数積層してなる積層部が上下一対の支持板間に介在された構成の免震積層ゴムを備える免震装置において、
請求項1から5のいずれか記載の免震積層ゴム用防水カバーを備えることを特徴とする免震装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−24863(P2009−24863A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−191768(P2007−191768)
【出願日】平成19年7月24日(2007.7.24)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】