説明

入力装置および入力システム

【課題】筐体を操作した際に使用者へのフィードバックが得られる入力装置および入力システムを提供する。
【解決手段】入力装置10は、筐体16と、筐体16に収容され、回転軸44に対して軸対称な質量を有する回転体43が回転することにより応力を発生させるジャイロ20と、筐体16の変位速度に基づいて回転体43の回転軸44の向きを制御するジャイロ制御部19とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体内の回転体を回転することにより応力を発生させて使用者が筐体を操作したときに操作感(抵抗感)が感じられるようにした入力装置および入力システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、ディスプレイ用のリモートコントローラ(以下、「入力装置」という)のなかには、ディスプレイ(表示装置)のメニュー画面を見ながら入力装置の筐体を、例えばスイング移動(スイング操作)や旋回移動(旋回操作)させることで、メニュー画面の入力操作や確認操作などをおこなうものがある(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2007−61489号公報
【0003】
特許文献1の入力装置によれば、筐体を振ったり(スイング)旋回させることで、入力操作や確認操作ができるように構成されているので、入力操作用の操作ボタンや確認操作用の操作ボタンを少なくすることができ、使用者による操作性を向上させることができる入力装置である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、例えば、筐体を振ったり旋回させて、メニュー画面に写った対象物の選択や操作等を行うためには、筐体の操作を適正におこなう必要がある。このため、筐体を振ったり旋回させた際に、筐体の操作状況を使用者にフィードバックさせて、筐体の操作状況や操作感を使用者に感覚的に認識させることが求められている。このような操作感を使用者に与えるために、入力装置の筐体内部にバイブレータを設け、使用者の操作に応じてバイブレータを動作させ、使用者に操作状況や操作感を感覚的にフィードバックさせることが考えられる。
【0005】
しかしながら、特許文献1の入力装置を用いて3次元的な操作により入力を行い、その操作に応じてバイブレータによる操作感のフィードバックを行うのでは、使用者に適切な操作を促すには情報量が足りないという問題があった。また、この入力装置をゲームに使用する場合は、3次元的な操作も可能であるが、ゲームの興趣性は向上するものの、入力装置から得られるフィードバックは振動だけであり、入力装置の操作における方向性がないという問題があった。
【0006】
そこで本発明は、前述した課題を解決するためになされたもので、その目的は、入力装置を操作した際に、操作に対応した方向性を持ったフィードバックを使用者に与えることができる入力装置および入力システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の入力装置は、筐体と、前記筐体に収容され、回転軸に対して軸対称な質量を有する回転体を備えたジャイロと、前記回転体の回転軸を回動させる回動手段と、前記筐体の変位方向および変位量を検出する変位検出手段と、前記変位検出手段の検出結果に基づいて前記回動手段を制御する制御手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
このように構成することで、入力装置の変位方向や変位量に基づいてジャイロの回転軸の向きを回動制御することにより、ジャイロ効果(後述)を利用したトルクを入力装置の変位方向とは逆向きに発生させることができ、筺体の操作に応じて筐体が初期位置に戻ろうとする抵抗感を使用者に感じさせることができる。これにより、使用者は、筐体の操作に応じた直感的な(感覚的な)フィードバックを与えることができる。
【0009】
また、本発明は、前記ジャイロの回転体を回転させる回転手段を備え、前記制御手段は、前記変位検出手段の検出結果に基づいて前記回転手段を制御することを特徴とする。
【0010】
このように構成することで、ジャイロの回転体を回転させるように構成することで、変位検出手段の検出結果に基づいて回転体の速度を制御することで、使用者に直感的なフィードバックを与えることができる。
【0011】
また、本発明は、前記制御手段が前記回転体の回転速度または前記回転軸の回動速度の少なくとも一方を制御することを特徴とする。
【0012】
このように構成することで、筺体に設けられたジャイロの回転体の回転速度や回転軸の回動速度の少なくとも一方を制御することで、入力装置の動作に基づいて、使用者に直感的なフィードバックを与えることができる。なお、回転体の速度や回転軸の回動速度は、入力装置の操作に応じて適宜自動的に調整することでジャイロ効果を利用することができ、入力操作の動作に比例した抵抗力(反発力)が使用者にフィードバックされるように構成されている。
ここで、ジャイロ効果とは、回転体の回転速度と回転軸の回動速度との積に比例するトルクが発生させることができる。したがって、例えば、筐体の変位速度が速い場合などには、それに応じて回転体の回転速度または回転軸の回動速度を速くする制御を行うことによって、より強い抵抗感が使用者に感じられる。これにより、使用者は、筐体の操作に応じた直感的な(感覚的な)フィードバックを得ることができる。
【0013】
さらに、本発明は、前記筺体が、前記変位検出手段からの検出結果を筺体外部に送信する送信手段と、前記筺体の外部からデータを受信する受信手段を備えることを特徴とする。
【0014】
このように構成することで、入力された情報の送り先である装置本体と入力装置との間で、変位データや入力装置へのフィードバック情報などをやりとりすることが可能になり、使用者の操作状況やゲームの場面に応じた適切なフィードバックを与えることができる。
【0015】
また、本発明は、前記変位検出手段が、加速度センサで構成されることを特徴とする。
【0016】
このように構成することで、入力装置の動作を加速度センサで検出することができ、検出結果を用いて入力装置の利用者にフィードバックさせることができる。
【0017】
さらに、本発明は、前記ジャイロが、2軸ジャイロまたは3軸ジャイロで構成されることを特徴とする。
【0018】
このように構成することで、例えば3軸ジャイロで構成した場合は、入力装置に発生させるトルクの方向を3軸方向(ロール、ピッチ、ヨー)に行うことができる。したがって、3次元的な操作が可能な入力装置において、フィードバック情報も3次元的に得られることになるため、使用者に適切な操作を促したり、ゲームの興趣性を向上させることができる。
【0019】
さらに、本発明は、筐体と、前記筐体に収容され、回動可能な回転軸と、この回転軸に対して軸対称な質量を有する回転体とを備えたジャイロを備え、前記ジャイロは、前記回転体の回転軸に対して直交する線に沿う第1支持軸により前記筐体に対して回動自在に軸支され、前記ジャイロの重心は第1支持軸の下方に設けられていることを特徴とする。
【0020】
ジャイロ効果によれば、回転体の回転軸方向が変位することにより、回転軸の方向と回転軸の変位方向の双方に直交する方向にトルクが発生する。したがって、筐体と回転体の回転軸とが固定された状態では、使用者の操作方向と直交する方向に筐体を回動させようとするトルクが感じられることになり、使用者にとって直感的な操作感覚とはならない。
【0021】
そこで、回転体をトルクが発生する方向に対して回動自在となるように軸支することによって、回転体に発生するトルクが使用者に伝達されず、使用者には回転体が回動するのに必要なエネルギーに相当する抵抗感のみが感じられる。なお、回転体は発生したトルクによって第1支持軸回りを所定角度回動するが、その後自重によって元の位置に戻る。これにより、使用者は、筐体の操作に応じた直感的な(感覚的な)フィードバックを得ることができる。
【0022】
また、本発明の入力システムは、前記入力装置と、前記入力装置からの入力情報を受ける装置本体で構成された入力操作システムであって、前記装置本体は、前記変位検出手段の検出結果を受信する変位情報受信手段と、前記受信手段で受信した検出結果に基づいて画像を出力する画像出力手段と、前記画像出力手段からの出力結果を前記入力装置に送信する出力結果送信手段とを備え、前記入力装置の操作に基づいて、前記画像出力手段から画像出力すると共に、前記画像出力の出力結果に基づいて前記ジャイロを制御することを特徴とする。
【0023】
このように構成することで、入力装置の変位情報を基に画像を表示装置に出力し、その出力結果に基づいて、入力装置内のジャイロの制御を行うことにより、使用者が画像を目視で確認しながら、入力装置からフィードバックを得ることができる。したがって、例えば入力装置のスイング操作により、ポインタが画面からはみ出そうとしたときに、入力装置の操作方向と逆向きのトルクを発生させることにより、ポインタを元の位置に戻す方向にフィードバックを与えたり、ゲームの中でボールを打つシーンが登場したときに、使用者にあたかもボールを打ったような手応えが感じられるようにトルクを発生させることができ、使用者が自ら入力した操作が表示される表示装置を見ながら、入力装置から直感的な(感覚的な)フィードバックを得ることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の入力装置および入力システムによれば、入力装置の変位情報に対応したトルクないし抵抗感(反発力)を発生させることで、入力装置を操作した際に使用者に対して入力装置の操作(動作)に基づいた直感的なフィードバックが与えることができるという効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態に係る入力装置について、図面を参照して説明する。
図1は、本発明における第1実施形態の入力システムを示すシステム構成図である。図2は、入力装置の構成を示す構成図である。図3は、入力装置の筺体内部の構成を示す構成図である。
図1に示すように、第1実施形態に係る入力システム10は、メニュー画面、画像、メニュー画面を選択するポインタ12を表示する表示部14を有する表示装置11と、表示制御部25、データ送受信部26を有する装置本体と、画面に表示されているポインタ12の移動操作や、表示部14に表示されたメニュー画面から任意の項目を選択操作するための入力装置15と、一対のマーカ22A、22Bとで構成されている。
【0026】
ポインタ12は、入力装置15の変位量に応じて、表示装置11の制御部25によって、表示部14上を移動させることができる。ポインタ12の動作は、制御部25で検出され、入力装置15の操作によりメニュー画面に表示された項目が選択されたことも検出することができる。
【0027】
一対のマーカ22A,22Bは、一例として、赤外線21を含む光を表示装置11の前方に向かって出力するものである。
【0028】
次に入力装置15の構成について説明する。
入力装置15は、図2及び図3に示すように、外形が使用者の手で握りやすいように形成された筐体16と、筐体16の内部に収容された変位データ検出部(検出部)23、データ送受信部(送受信部)17、ジャイロ制御部(制御部)19およびジャイロ20、回路基板33、ジャイロ駆動用電池35、回路駆動用電池36を有し、筐体外部には、決定ボタン31、キャンセルボタン32、トリガボタン34を備えて構成されている。
なお、入力装置15は、例えば、PC用マウスのような有線のものや、TV用リモートコントローラのような無線のものが該当するものであり、第1実施形態においては、TV用リモートコントローラのような無線通信で行うものとして一例を例示する。
【0029】
データ送受信部27は、変位データ検出部23で検出した変位量を装置本体のデータ送受信部26に送信することができる。また、装置本体のデータ送受信部26から送信されたデータを受信することができるように構成されている。
撮像手段17は、マーカ22A、22Bを撮像すると共に、撮像結果を変位データ検出部23に送信するように構成されている。
【0030】
ジャイロ制御部(制御部)19は、変位データ検出部23で検出した変位量に基づいてジャイロ20の回転体の回転速度や回転軸の回動軸の動作を制御することができるように構成されている。
【0031】
筐体16に収容された変位データ検出部(検出部)23は、一対のマーカ22A,22Bから出力された赤外線のみを撮像素子17で撮像して画像データを生成する。さらに、変位データ検出部(検出部)23は、生成した画像データに基づいて一対のマーカ22A,22Bの画像の変位から入力装置15の変位データを算出し、データ送受信部(送受信部)27に変位データを伝える。
【0032】
データ送受信部(送受信部)27は、変位データ検出部(検出部)23から伝えられた変位データをジャイロ制御部(制御部)19に伝えると共に、変位データを装置本体に無線送信する。また、使用者が決定ボタン31、キャンセルボタン32、トリガボタン34を押した際には、それらの入力データ(以下、単に「入力データ」という)を装置本体に送信する。
【0033】
変位データとしては、変位速度や、変位方向、変位量がある。
具体的には、変位データは、以下のデータのうちいずれか1つ、または複数をいう。
・単位時間当たりの入力装置15の位置P(入力装置15の移動方向が判る)
・単位時間当たりの入力装置15の位置を基に算出した変位速度(入力装置15を振ったときの移動速度)V
・単位時間当たりの入力装置15の位置を基に算出した変位量S
【0034】
入力装置15の位置P、変位速度V、変位量Sは、筐体16の内部に設けられたジャイロ制御部(制御部)19で演算され、後述のようにジャイロ20の制御に用いられる。
【0035】
装置本体は、データ送受信部26により、入力装置15から送信された変位データや入力データを受信し、受信されたデータは、表示制御部25に送られる。表示制御部25は、変位データや入力データに基づいて、メニュー画面やポインタの画像データを生成し、表示部14に送る。表示部14に送られたメニュー画面やポインタの画像データは、画像12として表示される。
【0036】
ジャイロ制御部19は、変位データ検出部23から伝えられた変位データ(位置P、変位速度V、変位量S)に基づいて、回転体43の回転速度または回転体43の回転軸44の向き(傾き)のうちの少なくとも一方を制御する信号をジャイロ20に伝えるものである。
回転軸44の向き(傾き)のデータとして、例えば、回転軸44の回動方向と回動角度、回動速度などが用いられる。
ジャイロ20は、ジャイロ制御部19から送られたデータに基づいて制御可能なモータ40と、モータ40に連結された回転軸44と、回転軸44に連結された回転体43と、回転体43およびモータ40を傾斜可能に支持する支持軸46と、支持軸46を軸にして回転体43およびモータ40を回動、傾斜させるモータ41とを備えている。モータ41もジャイロ制御部19から送られたデータに基づいて制御可能に構成されている。
このジャイロ20は、回転体43の回転軸44に対して直交する線45に沿う支持軸46を介して筐体16に支持されている。
入力装置15が変位した際には、ジャイロ制御部19から送られた信号(データ)に基づいてモータ41が駆動し、回転体43および回転軸44を支持軸46を軸にして矢印方向(図3(B)参照)に傾斜させることによりジャイロ効果によるトルクを発生させるものである。
【0037】
すなわち、ジャイロ20が回転軸44の向きを変えることで、ジャイロ効果により、入力装置の筐体の変位方向とは逆向きのトルクが発生し、使用者に変位方向に対する抵抗感として伝達されるため、直感的なフィードバックを与えることができる。
【0038】
ここで、ジャイロ効果について簡単に説明する。図4において、Hをジャイロ回転体の角速度ベクトル、Ωをジャイロ回転軸の角速度ベクトル、Tをジャイロに生じるトルクベクトルとすると、H×Ω=T(式1)の関係が成り立つ。例えば、ジャイロ回転軸がZ軸回りのA方向(−Ω方向)に回動すると、ジャイロに生じるトルクは下向き(−T方向)となり、逆にジャイロがZ軸回りのB方向(Ω方向)に回動すると、ジャイロに生じるトルクは上向き(T方向)となる。
【0039】
上記のジャイロを内蔵する入力装置の前方向をH方向と一致させ、入力装置の変位方向(A、B方向)を検知して、変位方向と逆向きのトルクが回転軸に発生するようにY軸(T方向)についてジャイロを所定角度回動させる制御を行えば、使用者には入力装置の変位方向とは逆向きの抵抗感が感じられる。
【0040】
例えば、入力装置がA方向(−Ω方向)に変位したときには、ジャイロを下向き(−T方向)に回動させる制御を行う。また、入力装置がB方向(Ω方向)に変位したときには、ジャイロを上向き(T方向)に回動させる制御を行う。
【0041】
本実施形態では、使用者が入力装置を横方向にスイング操作した場合に、回転体43および回転軸44が支持軸46を軸にして縦方向(図3(B)の矢印方向)に回動制御される。ジャイロ効果によって、スイング方向と逆向きのトルクが発生し、使用者に抵抗感として伝達される。
このように、ジャイロ20の回転体43および回転軸44の向きを変動させることで、使用者は感覚的なフィードバックを得ることができる。
【0042】
なお、本実施形態の回転体43は、盤状に形成されたもので、モータ40の回転で回転するものである。
盤状の回転体43として、例えば、円盤や多角形のように回転軸44に対して軸対称な質量を有するものが該当する。その他の例としては、回転軸44に対して軸対称な質量を有していれば星形のようにスリットを有していても使用可能である。
【0043】
なお、本実施形態では、一対のマーカ22A,22Bから発される赤外線を撮像し、この撮像画像の変位を基に入力装置の変位データを検出する例について説明したが、これに代えて、あるいはこれとともに加速度センサを筐体16に内蔵させ、加速度を基に入力装置の変位を検出することも可能である。
筐体16内部の加速度センサにより得られた加速度情報に基づいて、ジャイロ制御部19が回転体43を起動または回転速度を増速または回転軸44を傾斜させることも可能である。
この変形例によれば、より簡易な構成で、使用者は、筐体の操作に応じた直感的な(感覚的な)フィードバックを得ることができる。
【0044】
なお、入力装置15の変位速度や加速度を検知し、この変位速度や加速度に基づいて回転体43の回転速度または回転軸44の回動速度を制御してもよい。
入力装置15の変位速度が速い場合、あるいは加速度が大きい場合には、回転体43の回転速度または回転軸44の回動速度を速くする制御を行うことによって、変位速度に応じたより強い抵抗感が使用者に感じられる。
これにより、使用者は、筐体の操作に応じた直感的な(感覚的な)フィードバックを得ることができる。
なお、本実施形態では、入力装置と本体とが無線により変位データを送受信する例を挙げたが、有線により変位データを送受信しても差し支えない。この場合は、データ送受信部は不要となる。また、入力装置15の電源を装置本体から供給できるというメリットもある。
【0045】
(第2実施形態)
次に、表示装置11に表示された画像12を見ながら、入力装置15で入力操作や確認操作などを行い、画像の出力結果に基づいて入力装置内のジャイロを制御する実施形態を図1、図5に基づいて説明する。
図5(A),(B)に示すように、使用者が入力装置15を手47で握り、表示部14の画像12を見ながら、入力装置15を、スイング移動(スイング操作)や旋回移動(旋回操作)などをさせることにより入力操作を行う。例えば、画像12がメニュー画面である場合は、入力装置の変位に対し、ポインタが追従する動きをするように画像12の制御を行い、メニューの選択、決定等を行う。画像12がゲーム画面(例えばテニスゲーム)である場合は、入力装置の変位に、ゲーム画像中のプレーヤーが持つラケットの動きが追従するように画像12の制御を行う。
【0046】
入力装置15の操作中に、図2に示す筐体16の変位データ検出部(検出部)23で、図1に示す一対のマーカ22A,22Bから出力された赤外線21のみを撮像素子17で撮像して画像データを生成する。
生成した画像データに基づいて一対のマーカ22A,22Bの変位を算出し、送受信部27に変位データを伝える。送受信部27から装置本体に送信された変位データは、データ送受信部26を経由して表示制御部25に送られる。
【0047】
表示制御部25は、変位データに基づいて、表示部14に表示される画像12の画像データを生成する。
画像12がメニュー画面である場合、使用者が入力装置15を大きく動かすと、画像12の中のポインタが、入力装置の動きに追従して表示部14の表示領域外に飛び出してしまう可能性がある。このとき、表示制御部はポインタの位置と変位速度から、ポインタが表示部14の表示領域外に飛び出す可能性が高いと判断した場合には、ポインタの変位方向(入力装置15の変位方向)と逆の方向にトルクを発生させる制御データを生成する。例えば、入力装置15を大きく右側にスイング操作して、ポインタが表示部の右端に切れそうになった場合は、入力装置に左向きのトルクが発生するように、制御データを生成する。
画像12がテニスゲームの画面である場合、使用者が入力装置15を前方にスイング操作すると、ゲーム画像中のプレーヤーが持つラケットの動きが追従するように前方にスイングされる。そして、ゲーム画像中のラケットがボールにヒットする瞬間に、表示制御部はラケットの変位方向(入力装置15の変位方向)と逆の方向(後方)にトルクを発生させる制御データを生成する。
【0048】
この制御データが、データ送受信部26、27を経てジャイロ制御部19に伝えられる。ジャイロ制御部19は伝えられた制御データに基づいて、回転体43の回転軸44の向きを制御する信号をジャイロ20に伝える。
【0049】
ジャイロ20は、ジャイロ制御部19から送られたデータに基づいて、モータ41が駆動し、回転体43を支持軸46を軸にして矢印方向(図3(B)参照)に回動、傾斜させる。
回転体43を回動、傾斜させることでジャイロ効果により、入力装置15にトルクが発生する。
【0050】
ここで、筐体16を速く・大きく動かす(変位させる)ほど、回転体の回転速度または回転軸の回動速度を大きくする制御を行ってもよい。この場合はジャイロ効果(数式1)によって筐体16を元に戻そうとするトルクが強く発生し、抵抗感が増す。
【0051】
このように、入力装置15の変位データを基に生成された画像を表示装置に出力し、その画像データに基づいて、ジャイロの制御データを生成することにより、使用者が画像を目視で確認しながら、入力装置からフィードバックを得ることができる。したがって、例えば入力装置のスイング操作により、ポインタが表示部からはみ出そうとしたときに、入力装置の操作方向と逆向きのトルクを発生させることにより、ポインタを元に戻す方向にフィードバックを与えたり、ゲームの中でボールを打つシーンが登場したときに、使用者にあたかもボールを打ったような手応えが入力装置15を通じて感じられるように、入力装置15にトルクを発生させることができる。
【0052】
つぎに、第2〜第5の実施形態を図6〜図9に基づいて説明する。なお、第2〜第5の実施形態において、第1実施形態の入力装置10と同一類似部材については同じ符号を付して説明を省略する。
【0053】
(第3実施形態)
図6に示す第2実施形態のジャイロ50は、回転体43の回転軸44に対して直交する線に沿う第1支持軸52により筐体16に対して矢印A−B方向に回動自在に軸支され、かつ、ジャイロ50の重心が第1支持軸52の下方に設けられたもので、その構成は第1実施形態のジャイロ20と同じである。
【0054】
ここで、回転体43のジャイロ効果によれば、回転体43の回転軸44方向が変位することにより、回転軸44の方向と回転軸44の変位方向の双方に直交する方向にトルクが発生する。
【0055】
したがって、筐体16に回転軸44が固定された状態では、使用者の操作方向と直交する方向に筐体16を回動させようとするトルクが感じられ、使用者にとって直感的な操作感覚とはならない。
そこで、第2実施形態において、回転体43をトルクが発生する方向に対して回動自在となるように第1支持軸52を軸にして矢印A−B方向に回動自在に軸支することにした。
【0056】
よって、例えば、回転体43を回転させた状態で、入力装置を図6の紙面左方向に移動した際に、回転体43が第1支持軸52を軸にして矢印A方向に回動する。
回転体43が矢印A方向に回動することで、回転体43に発生する下向きのトルクを使用者に伝達しないようにできる。
これにより、使用者には変位方向と直交する方向のトルクが感じられることなく、回転体43が回動するのに必要なエネルギーに相当する抵抗感F1のみが感じられる。
【0057】
なお、回転体43は発生したトルクによって第1支持軸52の回りを矢印A方向に所定角度回動するが、ジャイロ50の重心位置を第1支持軸52の真下に設けているので、回動した後、ジャイロ50の自重によって元の位置に戻る。
これにより、使用者は、筐体16の操作に応じた直感的な(感覚的な)フィードバックF1を得ることができる。
【0058】
一方、入力装置を図6の紙面右方向に移動した際に、回転体43が第1支持軸52を軸にして矢印B方向に回動する。
回転体43が矢印B方向に回動することで、回転体43に発生する上向きのトルクを使用者に伝達しないようにできる。
これにより、使用者には変位方向と直交する方向のトルクが感じられることなく、回転体43が回動するのに必要なエネルギーに相当する抵抗感F2のみが感じられる。
【0059】
なお、回転体43は発生したトルクによって第1支持軸52の回りを所定角度回動するが、ジャイロ50の重心位置を第1支持軸52の下方に設けているので、回動した後、ジャイロ50の自重によって元の位置に戻る。
これにより、使用者は、筐体16の操作に応じた直感的な(感覚的な)フィードバックF2を得ることができる。
【0060】
本実施形態によれば、第1実施形態と異なり、回転体43および回転軸44の向きを制御することはしないため、使用者に感じられる抵抗感は第1実施形態と比較すると小さなものとなる。しかし、回転軸44を回動するモータが不要となることから入力装置を小型化、軽量化することができ、消費電力も抑えられるというメリットがある。
【0061】
(第4実施形態)
図7に示す第4実施形態のジャイロ60は、筐体に1個のジャイロを二軸支持としたもので、二つの支持軸について各々ジャイロを回動させるモータを有している。その他の構成は第1実施形態のジャイロ20と同じである。
【0062】
すなわち、ジャイロ60は、回転体61の回転軸62に対して直交する線63に沿う第1支持軸65と、第1支持軸65を支持する枠部66と、枠部66と筐体16(図2参照)との間に介装され、回転軸62と第1支持軸63に対して直交する線67に沿う第2支持軸68とを有する。
【0063】
よって、第3実施形態のジャイロ60によれば、第1支持軸66および第2支持軸68に連結されたモータによって回転体61および回転軸62の方向を回動制御することにより、使用者がコントローラのスイング操作を上下方向、左右方向いずれに行っても、スイング方向と逆向きのトルクを発生させ、使用者に抵抗感を与えることができる。したがって、使用者に直感的なフィードバックを与えることができる。
【0064】
(第5実施形態)
図8に示す第5実施形態のジャイロ70は、回転軸44および支持軸46の向きが直交する複数(2個)のジャイロを備えたもので、その他の構成は第1実施形態と同じである。
【0065】
ジャイロ70は、通常、2個のジャイロの回転体43は停止または低速回転に保たれている。筐体16を移動させたときに特定のジャイロの回転体43を起動または高速回転に変える。
なお、2個のジャイロの支持軸46の向きは変わらない。
【0066】
よって、第5実施形態のジャイロ70によれば、2つのジャイロを使い分けることや、併用することが可能である。
なお、2個のジャイロに備えた各回転体43の回転速度の制御も併用することが可能である。
【0067】
(第6実施形態)
図9に示す第6実施形態のジャイロ80は、回転軸81の向きが3軸方向に直交する3つのモータ82で球状のジャイロ83を回転駆動可能に構成したもので、その構成は第1実施形態と同じである。
【0068】
球状の回転体83は、支持リング84に等間隔に配置された3個の回転体85に支えられている。回転体85は回転軸81に連結されている。また、ジャイロ83は半球状のカバー87で保持されている。
【0069】
ジャイロ80は、通常、ジャイロ83は停止または低速回転に保たれている。そして、筐体16を移動させたときに特定のモータ82(最大2個、3個は不可)を起動または高速回転に変えることにより、回転体83を3軸方向に任意速度で回転させることができる。
なお、ジャイロ83の回転速度の制御も併用することが可能である。
【0070】
よって、第5実施形態のジャイロ80によれば、前述した各実施形態と同様な効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、筐体内の回転体を回転することにより応力を発生させて使用者に抵抗感が感じられるようにした入力装置および入力システムへの適用に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明に係る第1実施形態の入力システムを示す概略図である。
【図2】第1実施形態の入力装置を示す斜視図である。
【図3】(A)は第1実施形態の入力装置を示す平面図、(B)は第1実施形態の入力装置を示す側面図である。
【図4】ジャイロ効果について説明する図である。
【図5】(A)は第1実施形態の入力装置の先端を回すことによりアイコンを選択する例を説明する図、(B)は第1実施形態の入力装置の先端を上下左右に振ることによりアイコンを選択する例を説明する図である。
【図6】本発明に係る第2実施形態のジャイロを説明する図である。
【図7】本発明に係る第3実施形態のジャイロを示す斜視図である。
【図8】(A)は本発明に係る第4実施形態の入力装置を示す平面図、(B)は本発明に係る第4実施形態の入力装置を示す側面図である。
【図9】本発明に係る第5実施形態のジャイロを示す分解斜視図である。
【符号の説明】
【0073】
10 入力システム
11 表示装置
15 入力装置
16 筐体
19 ジャイロ制御部(制御部)
20,50,60,70,80 ジャイロ
22 データ送受信部(送受信部)
23 変位データ検出部(検出部)
27 データ送受信部(送受信部)
43,61 回転体
44,62 回転軸
45,63 回転軸に対して直交する線
46 支持軸
52,65 第1支持軸
66 枠部
67 第1支持軸に対して直交する線
68 第2支持軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体に収容され、回転軸に対して軸対称な質量を有する回転体を備えたジャイロと、
前記回転体の回転軸を回動させる回動手段と、
前記筐体の変位方向および変位量を検出する変位検出手段と、
前記変位検出手段の検出結果に基づいて前記回動手段を制御する制御手段と、
を備えることを特徴とする入力装置。
【請求項2】
前記ジャイロは、前記回転体を回転させる回転手段を備え、前記制御手段は、前記変位検出手段の検出結果に基づいて前記回転手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の入力装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記回転体の回転速度または前記回転軸の回動速度の少なくとも一方を制御することを特徴とする請求項1または2記載の入力装置。
【請求項4】
前記筺体は、前記変位検出手段からの検出結果を筺体外部に送信する送信手段と、前記筺体の外部からデータを受信する受信手段を備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の入力装置。
【請求項5】
前記変位検出手段は、加速度センサで構成されることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の入力装置。
【請求項6】
前記ジャイロは、2軸ジャイロまたは3軸ジャイロで構成されることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の入力装置。
【請求項7】
筐体と、
前記筐体に収容され、回動可能な回転軸と、この回転軸に対して軸対称な質量を有する回転体とを備えたジャイロを備え、
前記ジャイロは、前記回転体の回転軸に対して直交する線に沿う第1支持軸により前記筐体に対して回動自在に軸支され、前記ジャイロの重心は第1支持軸の下方に設けられていることを特徴とする入力装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか一項に記載した入力装置と、前記入力装置からの入力情報を受ける装置本体で構成された入力操作システムであって、
前記装置本体は、
前記変位検出手段の検出結果を受信する受信手段と、
前記受信手段で受信した検出結果に基づいて画像を生成する画像生成手段と、
前記画像生成手段からの出力結果を前記入力装置に送信する送信手段とを備え、前記入力装置の操作に基づいて、前記画像出力手段から画像出力すると共に、前記画像出力の出力結果に基づいて前記ジャイロを制御することを特徴とする入力操作システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−75861(P2009−75861A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−244200(P2007−244200)
【出願日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】