説明

入力装置及び入力方法

【課題】ドライバが操作すべきスイッチ数の増加を抑えつつ、ドライバが安全かつ快適に車載機器を操作すること。
【解決手段】車両情報検出部102は、車両の速度に基づいて、車両が停車中であるか走行中であるかを検出し、操作制御部105は、車両が停車中の場合には、ステアリングコントローラA,Bで検知された入力操作を、第1の処理に対する操作であると判断し、車両が走行中の場合には、ステアリングコントローラA,Bで検知された入力操作を、第1の処理と異なる第2の処理に対する操作であると判断し、処理制御部107は、入力操作が第1の処理に対する操作であると判断された場合、第1の処理に対応する操作画面を表示するとともに、第1の処理の実行を制御し、入力操作が第2の処理に対する操作であると判断された場合、第2の処理に対応する操作画面を表示するとともに、第2の処理の実行を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力装置及び入力方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車の電子化、情報化、及び、車内への電子機器持ち込みの増加により、ドライバ、及びパッセンジャが操作すべき機能が増加している。これに伴い、昨今の車両のインパネ(instrument panel)及びセンターコンソール周辺には、様々な方式のスイッチが様々な位置に配置されている。このため、ドライバ及びパッセンジャは、操作する機能に応じて、様々な位置に配置されたスイッチに対する操作(様々な操作体系での操作)を行う必要が生じる。
【0003】
特許文献1には、タッチセンサで構成された複数のタッチパッドがステアリングに設置され、各タッチパッドでのドライバの指によるジェスチャの組み合わせに基づいて複数の操作を制御する技術が開示されている。これにより、ドライバがステアリングを把持した状態で多くの情報を入力することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−298285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
今後、車両内に様々な方式のスイッチが様々な位置に配置される傾向は益々顕著となり、車両のコックピットでの操作が複雑かつ煩雑になると思われる。上記傾向が顕著になると、特許文献1を用いて複数の操作を行う場合には、タッチパッドでのジェスチャの組み合わせが増加し操作が複雑化するのに加え、車両運転中のドライバに対する安全性に影響を及ぼし得る。このように、上記傾向に伴い、ドライバの安全性及び利便性が損なわれていく恐れがある。
【0006】
本発明の目的は、ドライバが操作すべきスイッチ数の増加を抑えつつ、ドライバが安全かつ快適に車載機器を操作することができる入力装置及び入力方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る入力装置は、車両のステアリングに設置され、物体(ドライバ)による入力操作を検知可能なセンサを有するコントローラと、前記車両の速度に基づいて、前記車両が停車中であるか走行中であるかを検出する検出手段と、前記車両が停車中の場合には、前記コントローラで検知された入力操作を、第1の処理に対する操作であると判断し、前記車両が走行中の場合には、前記コントローラで検知された入力操作を、前記第1の処理と異なる第2の処理に対する操作であると判断する判断手段と、前記判断手段において前記入力操作が前記第1の処理に対する操作であると判断された場合、前記第1の処理に対応する操作画面を表示するとともに、前記入力操作に従って前記第1の処理の実行を制御し、前記判断手段において前記入力操作が前記第2の処理に対する操作であると判断された場合、前記第2の処理に対応する操作画面を表示するとともに、前記入力操作に従って前記第2の処理の実行を制御する処理制御手段と、を具備する構成を採る。
【0008】
本発明の一態様に係る入力方法は、前記車両の速度に基づいて、前記車両が停車中であるか走行中であるかを検出し、前記車両が停車中の場合には、前記車両のステアリングに設置され、物体(ドライバ)による入力操作を検知可能なセンサを有するコントローラで検知された入力操作を、第1の処理に対する操作であると判断し、前記車両が走行中の場合には、前記コントローラで検知された入力操作を、前記第1の処理と異なる第2の処理に対する操作であると判断し、前記入力操作が前記第1の処理に対する操作であると判断された場合、前記第1の処理に対応する操作画面を表示するとともに、前記入力操作に従って前記第1の処理の実行を制御し、前記入力操作が前記第2の処理に対する操作であると判断された場合、前記第2の処理に対応する操作画面を表示するとともに、前記入力操作に従って前記第2の処理の実行を制御するようにした。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ドライバが操作すべきスイッチ数の増加を抑えつつ、ドライバが安全かつ快適に車載機器を操作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る車載機器システムの構成を示す図
【図2】本発明に係るサポートディスプレイにおけるLEDの表示例を示す図
【図3】本発明に係るステアリングコントローラの構成を示す図
【図4】本発明に係るディスプレイの格納例を示す図
【図5】本発明の実施の形態1に係る入力装置の構成を示すブロック図
【図6】本発明の実施の形態1に係る入力装置における処理の流れを示す図
【図7】本発明の実施の形態1に係るダイレクト操作処理の一例を示す図
【図8】本発明の実施の形態1に係るダイレクト操作処理の一例を示す図
【図9】本発明の実施の形態1に係るポインティング操作処理の一例を示す図
【図10】本発明の実施の形態1に係るポインティング操作処理の一例を示す図
【図11】本発明の実施の形態2に係るステアリングコントローラ及び助手席の構成を示す図
【図12】本発明の実施の形態2に係る入力装置の構成を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明の各実施の形態に係る車両に搭載される車載機器システム10の構成を示すブロック図である。
【0013】
図1に示すように、本発明に係る車載機器システム10は、メータディスプレイ11と、サポートディスプレイ12と、ステアリングコントローラ13と、超指向性スピーカ14と、パッセンジャディスプレイ15と、から主に構成される。
【0014】
具体的には、メータディスプレイ11は、車両の速度情報、ナビゲーション情報等の表示情報を集約して表示する。例えば、メータディスプレイ11として、8インチの液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)のような汎用サイズのパネルを用いることでコストを抑制できる。また、メータディスプレイ11は、状況に応じて表示内容を変更することで、表示面積が制約される中でユーザ(ドライバ)に対する視認性を確保することができる。例えば、メータディスプレイ11は、アナログメータの針が指し示す速度を、逐次、数字でディジタル表示してもよい。又は、メータディスプレイ11は、実際の速度が制限速度を超えたか否かに応じて、速度情報の表示内容(例えば、アナログメータの目盛りの色、ディジタル表示された速度情報(数字)の色、大きさ等)を変更してもよい。また、メータディスプレイ11は、ユーザの好みに応じて画面のデザインをカスタマイズしてもよい(例えば、スキン選択)。これにより、例えば、高齢者及び色弱者等を考慮した表示が可能となる。また、メータディスプレイ11に対して低反射フィルムにより外光の反射を防止してもよい。これにより、メータディスプレイ11用の庇が不要となり、車両のデザイン性を向上させることができる。
【0015】
サポートディスプレイ12は、故障情報、危険・警告情報及び案内情報等を2次元または3次元グラフィックス表示することで、重要性/緊急性の高い情報をドライバに直感的に提示することが可能となる。例えば、サポートディスプレイ12は、8インチの液晶ディスプレイ(LCD)であって、オンダッシュに配置される。また、サポートディスプレイ12は、例えばレーザースキャン式のHUD(Head-Up Display)及び有機ELディスプレイ等の他の表示デバイスで実現しても構わない。
【0016】
また、サポートディスプレイ12の表示内容を更新する際には、更新された旨を通知するために、サポートディスプレイ12の周辺(例えば下部)に設置されたLEDを点灯させてもよい。図2にLEDの点灯例(a)〜(e)を示す。なお、図2ではサポートディスプレイ12の下部に3個のLEDが設置され、各LEDは赤色、黄色、緑色等の複数の色の光を発光可能とする。点灯例(a)では、交差点での案内においてユーザに左折(「TURN LEFT」)を案内する際、右側から左側(つまり、進行方向)に光が流れるように3個のLEDを点滅させる。点灯例(b)では、予め実施されたレーン検出の結果を踏まえて、車両の右側の車線を跨ぐ危険性があることを警告する際、左側から右側(つまり、危険が迫っている方向)に光が流れるように3個のLEDを点滅させる。点灯例(c)では、制限速度超過を警告する際、中央のLED(又はLED全部(図示せず))を赤色で点滅させる。点灯例(d)では、後方から接近車両があることを警告する際、中央のLED(又はLED全部(図示せず))を赤色で点滅させる。点灯例(e)では、タイヤの空気圧低下を警告(「Air Check」)する際、中央のLED(又はLED全部(図示せず))を黄色で点滅させる。これにより、ドライバに対して気付きを促すことが可能となる。つまり、ドライバは、サポートディスプレイ12を注視しなくても、周辺視によって警告の内容を瞬時に判断することができる。
【0017】
ステアリングコントローラ13には、ドライバによる操作入力のためのスイッチが集約されている。このため、ドライバはステアリングから手を離すことなく操作入力を行うことが可能となり、安全かつ快適な操作入力が可能となる。例えば、ステアリングコントローラ13に備えられるスイッチには、静電容量式の3次元スイッチ(3D SW)が含まれる。3D SWでは、例えば、接触することで反応してX、Y座標を出力し、押し込むことで処理が確定する操作(例えば、タッチパッド操作)が行われる。これにより、ユーザにとって軽度の操作で操作入力が可能となり、例えば、ブラインド操作を実現し、操作性を向上させることができる。例えば、ステアリングコントローラ13の左右に3D SWを設置することで、ユーザは、両手(両手の親指)を用いた複雑な操作を容易にかつ素早く行うことが可能となる。更に、ステアリングコントローラ13に備えられるスイッチには、ショートカットスイッチが含まれる。ショートカットスイッチには、例えば、エアコン操作及びオーディオ操作等の操作頻度の高い機能が割り当てられ、複雑な操作が不要となる。また、ステアリングコントローラ13における操作内容を、メータディスプレイ11(又はサポートディスプレイ12)に逐次表示してもよい。例えば、ステアリングコントローラ13に設置された3D SWが検知した、物体(例えば親指)との接触による座標入力操作に対応する、メータディスプレイ11の画面上の位置を示すカーソルを親指画像で表してもよい。これにより、ユーザはステアリングコントローラ13に設置されたスイッチを直感的に操作することができる。
【0018】
例えば、ステアリングコントローラ13の一例を図3に示す。図3に示すステアリングコントローラ13は、ショートカットスイッチとして機能するダイレクト操作コントローラと、3D SWとして機能するダイレクト/ポインティング操作複合コントローラとを、左手用及び右手用の2つずつ備える。図3では、左手用のダイレクト操作コントローラはオーディオ基本機能(再生・停止、音量調整等)を操作するためのスイッチであり、右手用のダイレクト操作コントローラはエアコン基本機能(モード設定、温度調整等)を操作するためのスイッチである。
【0019】
超指向性スピーカ14は、サポートディスプレイ12(又はメータディスプレイ11)の表示内容に応じてドライバに指向性を向けて音声の提示を行う。これにより、例えば、パッセンジャが後述するパッセンジャディスプレイ15でテレビ、映画等を視聴している場合でも、サポートディスプレイ12の表示内容(例えば、車両の運転に関する情報)をドライバのみに通知することができ、パッセンジャの快適性を確保することができる。また、超指向性スピーカ14は、危険警告及び案内情報等に応じて3次元音響(3D音響)で音声を提示してもよい。これにより、ドライバは通知された情報に対応する方向(ドライバが注目すべき方向)を直感的に把握することができる。
【0020】
パッセンジャディスプレイ15は、例えば、12.3インチの液晶ディスプレイ(LCD)であって、助手席正面に配置され、大画面化、及び、エアバックとの干渉回避の双方を両立している。パッセンジャディスプレイ15は、例えば、ムービー、オーディオ、Web閲覧等の機能を全て提供し、パッセンジャの快適性を確保する。更に、パッセンジャディスプレイ15では、案内操作、空調操作等の機能(メータディスプレイ11又はサポートディスプレイ12で操作可能な機能)も操作可能とし、例えばパッセンジャが運転中のドライバに代行して操作を行うことで、利便性を向上させることができる。
【0021】
また、メータディスプレイ11、サポートディスプレイ12及びパッセンジャディスプレイ15は、例えばコンソール内部に格納可能としてもよい。例えば、メータディスプレイ11、サポートディスプレイ12及びパッセンジャディスプレイ15を、イグニッションのオン/オフにより、自動昇降(自動チルト)してもよい。また、メータディスプレイ11、サポートディスプレイ12及びパッセンジャディスプレイ15を、例えば、ドライバ又はパッセンジャの着座で電源オン及び自動チルトアップし(例えば図4A参照)、座席から離れると各ディスプレイをコンソール内部に格納してもよい(例えば図4B参照)。更に、液晶ディスプレイは直射日光による紫外線の影響を受けるとカラーフィルタ等が劣化するため、これらのディスプレイをコンソール内に格納する際、紫外線反射素材で表面処理されたカバーで蓋をしてもよい。これにより、駐車時等のユーザがディスプレイを使用していないときには、直射日光によるデバイスの劣化を抑制することができる。また、ユーザが不使用時にはディスプレイの電源をオフにすることにより、不要な電力の使用を抑え、省エネを実現できる。
【0022】
このように、図1に示す車載機器システム10では、メータディスプレイ11、サポートディスプレイ12、ステアリングコントローラ13及び超指向性スピーカ14により、ドライバに対する安全かつ快適な操作入力を可能とする。また、パッセンジャディスプレイ15により、パッセンジャに対する快適性を確保することが可能となる。
【0023】
(実施の形態1)
図5は、図1に示すステアリングコントローラ13での操作入力を制御する入力装置100の構成を示すブロック図である。
【0024】
図5に示す入力装置100において、ステアリング操作部101は、ステアリングに設置され、物体(例えばユーザの指)による入力操作を検知可能なセンサをそれぞれ有するステアリングコントローラA及びBを備える。ステアリングコントローラA及びBは、例えば、センサに対する物体による押圧操作(押し込み操作)、及び、物体とセンサとの接触による座標入力操作(なぞり操作)を検知する。また、例えば、ステアリングコントローラAは図3に示す左手用のダイレクト/ポインティング操作複合コントローラであり、ステアリングコントローラBは図3に示す右手用のダイレクト/ポインティング操作複合コントローラである。ステアリング操作部101は、ステアリングコントローラA又はBでの入力操作(押圧操作又は座標入力操作)を検出すると、検出結果である操作信号を操作系制御部103の操作信号解析部104に出力する。
【0025】
車両情報検出部102は、入力される車両の速度(車速)に基づいて、車両の状態を検出する。例えば、車両情報検出部102は、車速の値が0より大きいか否かに応じて、車両が停車中であるか走行中であるかを検出する。そして、車両情報検出部102は、検出した状態を車両情報として操作系制御部103の操作制御部105に出力する。
【0026】
操作系制御部103は、操作信号解析部104と操作制御部105とから主に構成される。
【0027】
操作信号解析部104は、ステアリング操作部101から入力される、ステアリングコントローラA又Bの操作信号に対して信号解析を行い、ステアリングコントローラ上でどのような操作が行われたかを特定する。例えば、操作信号解析部104は、各ステアリングコントローラで検知された入力操作が押圧操作(押し込み操作)であるか否かを解析し、押圧操作の場合には、例えば、解析結果として押圧操作を検知した旨を示す信号(押し込み入力信号)を処理制御部107に出力する。また、操作信号解析部104は、各ステアリングコントローラで検知された入力操作が座標入力操作(なぞり操作)であるか否かを解析し、座標入力操作の場合には、例えば、解析結果として、検知された座標位置の変化を示す信号(なぞり入力信号)を処理制御部107に出力する。
【0028】
操作制御部105は、車両情報に応じて、ステアリングコントローラで検知された入力操作がどの処理に対する操作であるかを判断する。例えば、操作制御部105は、車両が停止中の場合には、各ステアリングコントローラで検知された入力操作を、ポインティング操作処理に対する操作であると判断し、車両が走行中の場合には、各ステアリングコントローラで検知された入力操作を、ダイレクト操作処理に対する操作であると判断する。そして、操作制御部105は、処理制御部107に対して、ポインティング操作とダイレクト操作との切替を指示する。
【0029】
ここで、ポインティング操作処理とは、ステアリングコントローラA又はBにおける座標入力操作(なぞり操作)及び押圧操作(押し込み操作)を組み合わせて実行される処理である。例えば、ポインティング操作処理として、ステアリングコントローラA又はBにおける座標入力操作(例えば、連続座標入力によるスライド操作)に応じて複数の機能を選択可能であって、ステアリングコントローラA又Bにおける押圧操作に応じて、座標入力操作により選択された特定の機能を実行する処理が挙げられる。
【0030】
また、ダイレクト操作処理とは、ステアリングコントローラにおける押圧操作(押し込み操作)と特定の機能とが1対1で対応付けられて実行される処理である。例えば、ダイレクト操作処理として、ステアリングコントローラA及びBでの押圧操作と、特定の機能とがそれぞれ1対1で対応付けられた処理が挙げられる。ここで、ステアリングに複数のステアリングコントローラが設置される場合(ここでは2個の場合)には、各ステアリングコントローラでの押圧操作に対して異なる機能がそれぞれ1対1で対応付けられてもよい。一例として、或る機能の実行の可否(Yes又はNo)をユーザに問い合わせる処理において、ステアリングコントローラAでの押圧操作と“実行する(Yes)”とを対応付け、ステアリングコントローラBでの押圧操作と“実行しない(No)”とを対応付ける。
【0031】
ディスプレイ部106は、例えば、図1に示すメータディスプレイ11(又はサポートディスプレイ12、パッセンジャディスプレイ15)である。また、ディスプレイ部106は、処理制御部107と表示部108とから主に構成される。
【0032】
処理制御部107は、操作制御部105の指示に従って、操作信号解析部104から入力される解析結果を用いて、表示部108で表示される画面の構成を制御する。具体的には、処理制御部107は、操作制御部105からポインティング操作処理の指示がある場合(操作制御部105において入力操作がポインティング操作処理に対する操作であると判断された場合)、ポインティング操作処理に対応する操作画面(ポインティング操作用のメニュー画面)を表示部108に表示させるとともに、操作信号解析部104から入力される解析結果(ステアリングコントローラでの操作内容)に従ってポインティング操作処理の実行を制御する。また、処理制御部107は、操作制御部105からダイレクト操作処理の指示がある場合(操作制御部105において入力操作がダイレクト操作処理に対する操作であると判断された場合)、ダイレクト操作処理に対応する操作画面(ダイレクト操作用のメニュー画面)を表示部108に表示させるとともに、操作信号解析部104から入力される解析結果(ステアリングコントローラでの操作内容)に従ってダイレクト操作処理の実行を制御する。
【0033】
表示部108は、処理制御部107の指示に従って操作画面を表示する。
【0034】
次に、本実施の形態に係る入力装置100の動作について詳細に説明する。
【0035】
図6は、入力装置100における処理の流れを示す図である。
【0036】
図6において、ステップ(以下、STという)101では、車両情報検出部102は、車両の速度を示す車両信号を検出する。ST102では、車両情報検出部102は、ST101で検出した車両信号に示される車両の速度(車速)が0より大きいか否かを判断する。
【0037】
車速が0より大きい場合(ST102:YES)、つまり、車両情報検出部102で車両が走行中であることが検出された場合、ST103では、操作制御部105は、各ステアリングコントローラで検知される入力操作を、ダイレクト操作処理に対する操作であると判断する。そこで、操作制御部105は、処理制御部107に対してダイレクト操作用メニューを表示するよう指示し、処理制御部107は、ダイレクト操作用メニューを表示部108に表示させる。
【0038】
ST104では、操作信号解析部104は、ステアリングコントローラAからの入力操作の解析を行う。操作信号解析部104での解析の結果、ステアリングコントローラAからの押し込み入力信号(押圧操作)がある場合(ST104:YES)、ST105では、処理制御部107は、解析結果に対応する画面を構成する。また、処理制御部107は、ステアリングコントローラAに1対1で対応付けられた機能を実行させる。
【0039】
操作信号解析部104での解析の結果、ステアリングコントローラAからの押し込み入力信号(押圧操作)が無い場合(ST104:NO)、ST106では、操作信号解析部104は、ステアリングコントローラBからの入力操作の解析を行う。操作信号解析部104での解析の結果、ステアリングコントローラBからの押し込み入力信号(押圧操作)がある場合(ST106:YES)、ST107では、処理制御部107は、解析結果に対応する画面を構成する。また、処理制御部107は、ステアリングコントローラBに1対1で対応付けられた機能を実行させる。
【0040】
ここで、ST105又はST107におけるダイレクト操作処理の一例を図7及び図8に示す。
【0041】
図7はメールの送信決定処理を示す。具体的には、図7Aに示すように、ステアリングの左下に設置されたコントローラ(例えば、ステアリングコントローラA)と、メール送信メニューにおける「YES」操作とが1対1で対応付けられている。また、図7Bに示すように、ステアリングの右下に設置されたコントローラ(例えば、ステアリングコントローラB)と、メール送信メニューにおける「NO」操作とが1対1で対応付けられている。すなわち、図7では、入力装置100は、ステアリングコントローラA及びステアリングコントローラBのうちいずれで押圧操作を検知するかに応じて、メールを送信するか否かを決定する。
【0042】
次いで、図8はリルート(ルート変更)決定処理を示す。具体的には、図8Aに示すように、ステアリングの左下に設置されたコントローラ(例えば、ステアリングコントローラA)と、リルートメニューにおける「YES」操作とが1対1で対応付けられている。また、図8Bに示すように、ステアリングの右下に設置されたコントローラ(例えば、ステアリングコントローラB)と、リルートメニューにおける「NO」操作とが1対1で対応付けられている。すなわち、図8では、入力装置100は、ステアリングコントローラA及びステアリングコントローラBのうちいずれで押圧操作を検知するかに応じて、リルートを実行するか否かを決定する。
【0043】
すなわち、図7及び図8(2つのステアリングコントローラを有する場合)では、ステアリングコントローラA及びBは、ユーザに対して二者択一の選択をさせるダイレクト操作ボタンとして機能する。このように、入力装置100は、車両が走行中の場合(ST102:YES)には、ステアリングコントローラにおける押圧操作(押し込み入力)のみを操作の対象とする。つまり、処理制御部107は、車両が走行中の場合には、各ステアリングコントローラで検知される押圧操作のみを、ダイレクト操作処理に対する操作として用いる。
【0044】
一方、図6において、車速が0の場合(ST102:NO)、つまり、車両情報検出部102で車両が停車中であることが検出された場合、ST108では、操作制御部105は、各ステアリングコントローラで検知される入力操作を、ポインティング操作処理に対する操作であると判定する。そこで、操作制御部105は、処理制御部107に対してポインティング操作用メニューを表示するよう指示し、処理制御部107は、ポインティング操作用メニューを表示部108に表示させる。
【0045】
ST109では、操作信号解析部104は、ステアリングコントローラA又はBからの入力操作の解析を行う。操作信号解析部104での解析の結果、ステアリングコントローラA又はからのなぞり入力信号(座標入力操作)がある場合(ST109:YES)、ST110では、処理制御部107は、解析結果(例えば、画面上のカーソルの移動内容)に対応する画面を構成する。これにより、例えば、メータディスプレイ11の画面上のカーソルが移動する。
【0046】
一方、操作信号解析部104での解析の結果、ステアリングコントローラA又はBからのなぞり入力信号が無い場合(ST109:NO)、ST111の処理に進む。
【0047】
ST111では、操作信号解析部104は、ステアリングコントローラA又はBからの入力操作の解析を行う。操作信号解析部104での解析の結果、ステアリングコントローラA又はBからの押し込み入力信号(押圧操作)がある場合(ST111:YES)、ST112では、処理制御部107は、解析結果に対応する画面を構成する。また、処理制御部107は、例えばメータディスプレイ11の画面上において、現時点でカーソルが選択している機能を実行させる。
【0048】
一方、操作信号解析部104での解析の結果、ステアリングコントローラA又はBからの押し込み入力信号が無い場合(ST111:NO)、ST113の処理に進む。
【0049】
ここで、ST110及びST112におけるポインティング操作処理の一例を図9及び図10に示す。
【0050】
図9はキーボード入力処理を示す。具体的には、図9Aに示すように、ステアリングの左下に設置されたコントローラ(例えば、ステアリングコントローラA)及びステアリングの右下に設置されたコントローラ(例えば、ステアリングコントローラB)の双方、又は、図9B及び図9Cに示すように、ステアリングコントローラA及びBのうちいずれか一方によりメータディスプレイ11に表示されたキーボード上の特定の文字(図9A〜Cではアルファベット「r」)が選択される。この際、メータディスプレイ11には、各ステアリングコントローラでのスライド操作に対応して、カーソル(例えば親指画像)が移動する(ST110)。そして、ステアリングコントローラでの押圧操作により、現在選択されている文字(カーソル(親指画像)が現在位置する文字。図9A〜Cでは「r」)の入力が決定される。
【0051】
次いで、図10は複数のアプリケーション(例えば、ナビゲーション機能、電話機能、WEB閲覧機能、カメラ機能等)の選択処理を示す。具体的には、図10A及び図10Bに示すように、ステアリングの左下に設置されたコントローラ(例えば、ステアリングコントローラA)又はステアリングの右下に設置されたコントローラ(例えば、ステアリングコントローラB)でのスライド操作によりメータディスプレイ11に表示された複数の機能から特定の機能(図10Aではナビゲーション機能、図10Bではナビゲーション機能におけるアドレス検索)が選択される。そして、ステアリングコントローラでの押下操作により、現在選択されている機能の実行が確定される。
【0052】
すなわち、図9及び図10では、入力装置100は、ステアリングコントローラA又はBにおける、座標入力操作(スライド操作)により画面上のカーソルを移動させ、押圧操作により、現在選択されている機能の実行を確定する。
【0053】
すなわち、図9及び図10では、ステアリングコントローラA及びBは、複数の選択候補の中から特定の機能を選択し、実行を確定するポインティング操作ボタンとして機能する。このように、入力装置100は、車両が停車中の場合(ST102:NO)には、ステアリングコントローラにおける押圧操作(押し込み入力)及び座標入力操作(なぞり入力)の双方を操作の対象とする。つまり、処理制御部107は、車両が停車中の場合には、各ステアリングコントローラで検知される押圧操作及び座標入力操作を、ポインティング操作処理に対する操作として用いる。
【0054】
図6において、ST113では、入力装置100は、ステアリングコントローラA及びBでの入力操作が終了したか否かを判断する。入力操作が終了していない場合(ST113:NO)、ST102の処理に戻り、入力操作が終了した場合(ST113:YES)、処理を終了する。
【0055】
以上、本実施の形態に係る入力装置100の動作について説明した。
【0056】
このようにして、入力装置100は、車両が走行中である場合と、車両が停車中である場合とで、ステアリングコントローラを互いに異なる入力操作デバイスとして用いる。つまり、入力装置100は、ステアリングコントローラでの同一の入力操作であっても、車両が走行中の場合と停車中の場合とで処理内容を切り替える。換言すると、1つのステアリングコントローラは、車両の複数の状態(ここでは走行中又は停車中)にそれぞれ対応して複数の種類の入力操作デバイスとして機能する。これにより、ステアリングに設置するステアリングコントローラ(スイッチ)の数の増加を抑えつつ、ドライバが操作可能な機能を増加させることが可能となる。
【0057】
これにより、車両が走行中の場合には、入力装置100がステアリングコントローラの押圧操作のみを操作対象とするので(ダイレクト操作処理が実行されるので)、運転中のドライバは、少ない操作(ワンステップ操作)で、かつ、ブラインド操作で画面に表示された機能を実行させることができる。これにより、運転中の安全性を確保することができる。
【0058】
また、車両が停止中の場合には、入力装置100がステアリングコントローラの押圧操作及び座標入力操作(連続座標入力によるスライド操作)の双方を操作対象とすることで(ポインティング操作処理が実行されるので)、ドライバは、画面に表示された複数の機能を選択することができる。これにより、ドライバは複雑なメニュー操作が可能となり、操作の快適性を向上させることができる。
【0059】
よって、本実施の形態によれば、運転中の安全性の確保と停車中の操作快適性とを両立することができ、ドライバが操作すべきスイッチ数の増加を抑えつつ、ドライバが安全かつ快適に車載機器を操作することができる。
【0060】
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1においてステアリングに設置されたステアリングコントローラ13(図3)と同一のデバイスを車両の助手席にも設置する。
【0061】
具体的には、図11に示すように、ステアリングに設置されたステアリングコントローラ13の、ダイレクト操作コントローラ及びダイレクト/ポインティング操作複合コントローラと同一デバイスが、助手席のアームレストに設置される。すなわち、図11において、ステアリングに設置されたステアリングコントローラAと助手席に設置されたステアリングコントローラCとが対応する。また、図11において、ステアリングに設置されたステアリングコントローラBと助手席に設置されたステアリングコントローラDとが対応する。また、ステアリングに設置された2つのダイレクト操作コントローラと助手席に設置された2つのダイレクト操作コントローラとがそれぞれ対応する。
【0062】
図12は、本実施の形態に係る入力装置200の構成を示すブロック図である。なお、図12において、図5と同一構成である部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
【0063】
図12に示す入力装置200において、助手席操作部201は、助手席(例えば助手席のアームレスト)に設置され、物体(例えばユーザの指)による入力操作を検知可能なセンサをそれぞれ有するステアリングコントローラC及びを備える。助手席操作部201は、ステアリング操作部101と同様、ステアリングコントローラC又はDでの入力操作(押圧操作又は座標入力操作)を検出すると、検出結果である操作信号を操作信号解析部104に出力する。
【0064】
これにより、図11に示す助手席に着座したパッセンジャは、実施の形態1におけるドライバによるステアリングでの操作と同様の操作を行うことが可能となる。すなわち、運転席側と助手席側とで共通の操作を行うことが可能となる。
【0065】
よって、本実施の形態によれば、実施の形態1と同様の効果を得るとともに、例えば、パッセンジャはドライバの代わりに車載機器システム10の操作を行うことができる。また、運転席と助手席とで乗員が入れ替わっても、それぞれが違和感無く操作を行うことができる。
【0066】
以上、本発明の各実施の形態について説明した。
【0067】
なお、ステアリングに設置されるステアリングコントローラとしては、静電容量式に限らず、接触式、感圧式または電磁誘導式等により座標入力操作及び押圧操作を検出できるものであればよい。
【0068】
また、上記実施の形態では、ステアリングコントローラAおよびステアリングコントローラBに割り当てるダイレクト操作として、それぞれ「YES」、「NO」の1機能のみを割り当てる例を示した。しかし、ステアリングコントローラに触れる部分に応じて異なる機能を割り当てるようにしても構わない。例えば、ステアリングコントローラの面(例えば、X−Y座標面)を複数の部分に分割し、それぞれの部分に対して異なる機能を割り当てるようにしてもよい。ユーザは、ステアリングコントローラに対する座標入力操作を行うことで、ステアリングコントローラに触れる部分に応じて異なる機能を実行することができる。これにより、ステアリングコントローラA、Bのそれぞれにおいて、複数の機能が割り当てられ、ユーザは、1つのステアリングコントローラで複数の機能についてダイレクト操作を行うことが可能となる。このように、ダイレクト操作処理としては、押圧操作と1対1で対応付けられた特定の機能を実行する処理に限らず、座標入力操作と1対1で対応付けられた特定の機能を実行する処理としても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本発明に係る入力装置及び入力方法は、車両に搭載されて、ドライバの安全性を確保し、車載機器の操作性を向上させる車載機器システムとして有用である。またドライバの運転技術向上等の用途にも応用することができる。
【符号の説明】
【0070】
10 車載機器システム
11 メータディスプレイ
12 サポートディスプレイ
13 ステアリングコントローラ
14 超指向性スピーカ
15 パッセンジャディスプレイ
100,200 入力装置
101 ステアリング操作部
102 車両情報検出部
103 操作系制御部
104 操作信号解析部
105 操作制御部
106 ディスプレイ部
107 処理制御部
108 表示部
201 助手席操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のステアリングに設置され、物体による入力操作を検知可能なセンサを有するコントローラと、
前記車両の速度に基づいて、前記車両が停車中であるか走行中であるかを検出する検出手段と、
前記車両が停車中の場合には、前記コントローラで検知された入力操作を、第1の処理に対する操作であると判断し、前記車両が走行中の場合には、前記コントローラで検知された入力操作を、前記第1の処理と異なる第2の処理に対する操作であると判断する判断手段と、
前記判断手段において前記入力操作が前記第1の処理に対する操作であると判断された場合、前記第1の処理に対応する操作画面を表示するとともに、前記入力操作に従って前記第1の処理の実行を制御し、前記判断手段において前記入力操作が前記第2の処理に対する操作であると判断された場合、前記第2の処理に対応する操作画面を表示するとともに、前記入力操作に従って前記第2の処理の実行を制御する処理制御手段と、
を具備する入力装置。
【請求項2】
前記コントローラは、前記センサに対する物体による押圧操作、及び、物体と前記センサとの接触による座標入力操作を検知し、
前記第1の処理は、前記座標入力操作に応じて複数の機能を選択可能であって、前記押圧操作に応じて、前記複数の機能のうち前記座標入力操作により選択された特定の機能を実行する処理であり、
前記第2の処理は、前記押圧操作と1対1で対応付けられた特定の機能を実行する処理である、
請求項1記載の入力装置。
【請求項3】
前記ステアリングに、複数の前記コントローラが設置され、
前記第2の処理は、前記複数のコントローラでの前記押圧操作に対して互いに異なる機能がそれぞれ1対1で対応付けられる、
請求項2記載の入力装置。
【請求項4】
前記コントローラは、前記センサに対する物体による押圧操作、及び、物体と前記センサとの接触による座標入力操作を検知し、
前記第1の処理は、前記座標入力操作に応じて複数の機能を選択可能であって、前記押圧操作に応じて、前記複数の機能のうち前記座標入力操作により選択された特定の機能を実行する処理であり、
前記第2の処理は、前記座標入力操作と1対1で対応付けられた特定の機能を実行する処理である、
請求項1記載の入力装置。
【請求項5】
前記コントローラは、前記ステアリング、及び、前記車両の助手席に設置される、
請求項1記載の入力装置。
【請求項6】
前記ステアリングに設置される前記コントローラと同一のコントローラが前記助手席に設置される、
請求項5記載の入力装置。
【請求項7】
前記車両の速度に基づいて、前記車両が停車中であるか走行中であるかを検出し、
前記車両が停車中の場合には、前記車両のステアリングに設置され、物体による入力操作を検知可能なセンサを有するコントローラで検知された入力操作を、第1の処理に対する操作であると判断し、前記車両が走行中の場合には、前記コントローラで検知された入力操作を、前記第1の処理と異なる第2の処理に対する操作であると判断し、
前記入力操作が前記第1の処理に対する操作であると判断された場合、前記第1の処理に対応する操作画面を表示するとともに、前記入力操作に従って前記第1の処理の実行を制御し、前記入力操作が前記第2の処理に対する操作であると判断された場合、前記第2の処理に対応する操作画面を表示するとともに、前記入力操作に従って前記第2の処理の実行を制御する、
入力方法。

【図5】
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【図6】
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【図12】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−96670(P2012−96670A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−246224(P2010−246224)
【出願日】平成22年11月2日(2010.11.2)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】