説明

入力装置

【課題】操作対象ごとに要求される操作特性に応じた入力操作を行うことができる入力装置を提供する。
【解決手段】マイクロコンピュータは、第1及び第2の回転角センサを通じてレバー25の操作角度を取得し、当該操作角度に基づきレバー25が、その時々で割り当てられる操作対象ごとに定められた操作角度だけ操作された旨判断されるとき、当該操作を有効として当該機能の選択を決定する。そしてこの選択を決定した機能を実行させる旨指令する制御信号を所定の操作対象に出力する。すなわち、マイクロコンピュータは、割り当てられる付帯機器の機能などに応じて、前記制御信号を出力するか否かの判定基準となる操作量判定閾値θhを変更する。すなわち、制御対象となる機器あるいは機能に応じて、その選択及び調整が実行されるのに必要とされるレバー25の中立位置からの操作量が変更される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数種類の電気機器に対する入力操作を単一の操作部材の操作を通じて集中的に行う入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に示されるように、オーディオ装置、空調装置及びナビゲーション装置等の各種の車載機器を集中的に操作する入力装置としてジョイスティックが知られている。例えばセンターコンソールに配設される表示装置の画面上には各種の車載機器に対応する機能項目が表示される。ユーザは、ジョイスティックの操作を通じて、画面上に表示されるカーソルを所望の機能項目へ移動させて所定の決定操作を行うことにより、当該決定された機能項目に対応する車載機器の作動あるいはその機能調節、または当該機能項目に対応する下層画面の表示制御等を実行させる。すなわち、複数の車載機器についての所望の機能選択及び機能調整等を単一のジョイスティックの操作を通じて容易に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−67017号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、前記従来の入力装置には、次のような問題があった。すなわち、ジョイスティックのケーシングの内部において、レバーの基端部が傾動可能に支持される支持部材の周辺には複数個の電気接点が配設されており、これら電気接点はレバーが所定方向へ所定角度だけ傾動した際に対応するものがオン動作するように設けられている。そして、オン動作した電気接点に対応して前記表示装置の画面上に表示されている機能項目の中から所望の機能項目が選択される。このように従来の入力装置では、各電気接点の取付け位置が固定されていることから、レバーの中立位置から各電気接点がオン動作するまでの操作量(操作角度又は操作距離)は一定となる。すなわち、所望の機能項目を選択等する際には、特定の電気接点がオン動作する位置までレバーを必ず操作しなければならない。
【0005】
ここで、操作対象となる車載機器あるいは機能によっては、レバーの操作量が少ない方がよい場合もあれば、多いほうがよい場合もある。例えばオーディオ装置の音量のアップ及びダウン等の調節機能は、レバーの操作が繰り返し行われることから、必要とされるレバーの操作量が多いと煩わしい。このため、前記音量調節等を含む各種の機能調節を行う場合には、レバーの操作量は少ないことが望ましい。逆に、車両のトランクルームの開操作等のように、誤操作の回避が求められる機能については、レバーの操作量を少なくすることは好ましくない。このような場合には、ユーザに対し明確な意思をもった操作を要求する観点から、レバーの操作量は多いことが望ましい。
【0006】
このように、操作対象となる車載機器あるいは機能ごとに要求されるレバーの操作量、正確には電気接点がオン動作するタイミングが異なるところ、前記従来のジョイスティックでは、電気接点がオン動作するタイミングが固定的であることから、前述したような操作対象ごとに要求される操作特性が十分に得られないおそれがあった。なお、各種の車載機器を集中的に操作する入力装置としては、前述したジョイスティック以外にも、例えばスライド操作を通じた入力操作が行われるスライド操作タイプのものも知られているところ、このスライド操作タイプのものについても前述したジョイスティックと同様の問題を有する。
【0007】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、操作対象ごとに要求される操作特性に応じた入力操作を行うことができる入力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、操作対象である複数種類の電気機器について所望の機能選択及び機能調整を単一の操作部材の操作を通じて行うべく割り当てられる電気機器が適宜切り替えられる入力装置において、前記操作部材の原位置からの操作量を電気的に検出し、当該検出される操作量が定められた操作量判定閾値に達した際に、割り当てられている電気機器について所望の機能選択及び機能調整を実行するべく当該電気機器へ電気信号を出力する制御手段を有し、当該制御手段は、割り当てられる電気機器の機能に応じて、前記電気信号を出力するか否かの判定基準となる前記操作量判定閾値を変更することをその要旨とする。
【0009】
本発明によれば、操作対象である複数種類の電気機器について所望の機能選択及び機能調整を行うに際して、これら機能に応じて操作量判定閾値が変更される。すなわち、各機能に応じて、その選択及び調整が実行されるのに必要とされる操作部材の原位置からの操作量が変更される。換言すれば、割り当てられている電気機器について所望の機能選択及び機能調整を実行するべく電気信号が出力されるタイミングが機能ごとに異なる。例えば繰り返し操作を伴うような機能は、操作性の観点から少なめの操作量とすることが望ましく、また誤操作すると危険度が高い機能は、操作者が明確な意思をもって操作しなければ動作しないようにする観点から多めの操作量とすることが望ましい。このように、操作対象である各機能の操作特性に合った操作方法(操作量)を割り当てることができる。その結果、機能毎に要求される操作特性に応じて、例えば操作性が高められる、あるいは誤操作が抑制される、といった技術的な効果が得られる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の入力装置において、前記制御手段は、検出される前記操作部材の原位置からの操作量に応じて当該操作部材に作動連結されるアクチュエータを駆動制御することにより、割り当てられている電気機器の機能ごとに異なる操作反力を前記操作部材に付与するフォースフィードバック機能を有し、前記操作部材の原位置からの操作量が前記操作量判定閾値に達した旨判定されるときには、前記操作部材の操作限界であるとしてその旨示す操作反力を前記アクチュエータの駆動制御を通じて前記操作部材に付与することをその要旨とする。
【0011】
本発明によれば、入力装置の操作者は、割り当てられている電気機器について所望の機能選択及び機能調整が実行される位置まで操作部材が操作された旨、すなわち操作部材の操作限界である旨触覚を通じて知得することができる。このため、入力装置の操作性が高められる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の入力装置が車両のステアリングホイールに設けられてなることをその要旨とする。
本発明によるように、請求項1又は請求項2に記載される入力装置は、運転中に操作されるステアリングスイッチとして車両のステアリングホイールに設けることも可能である。この場合、入力装置には高い操作性能が要求される。前述したように、請求項1請求項2に記載の入力装置によれば、操作対象である各機能の操作特性に合った操作方法(操作量)が割り当てられることにより入力装置の操作性の向上が図られるので、ステアリングホイール等の高い操作性が要求される取付け対象への適用に好適である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、操作対象である各機能の特性に合った操作方法(操作量)が割り当てられることにより、操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施の形態における入力装置の配設態様を示す運転席の斜視図。
【図2】同じく入力装置の機械的な概略構成を示す斜視図。
【図3】同じく入力装置の電気的な概略構成を示すブロック図。
【図4】同じくマイクロコンピュータに格納されるマップの構成図。
【図5】同じくレバーに対する操作反力の付与パターンを示すグラフ。
【図6】(a)は、同じくマイクロコンピュータによる制御信号の出力制御手順を示すフローチャート、(b)は、同じく反力付与用のモータの制御手順を示すフローチャート。
【図7】(a)は、同じくオーディオの音量調節画面を示す正面図、(b)は、同じくレバーの操作範囲を示す入力装置の側面図。
【図8】同じくオーディオの音量調節時においてレバーに付与される操作反力の付与パターンを示すグラフ。
【図9】(a)は、同じくドア開閉機構の機能選択画面を示す正面図、(b)は、同じくレバーの操作範囲を示す入力装置の側面図。
【図10】同じくドア開閉機構の操作時においてレバーに付与される操作反力の付与パターンを示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を、車両用の電子機器であるディスプレイシステムに使用される入力装置に具体化した一実施の形態を図1〜図4に基づいて説明する。当該ディスプレイシステムは、エアコンディショナ、オーディオ及びナビゲーションシステム等の付帯装備の操作を行うものである。
【0016】
<ディスプレイシステムの概要>
まず、ディスプレイシステム10の概要を説明する。図1に示すように、ディスプレイシステム10は、車室内においてユーザが容易に視認可能とするべく例えばセンタクラスタに配設されるディスプレイ11、及び車室内においてユーザによる操作を容易にするべくステアリングホイールに配設されるジョイスティック型の入力装置12を備えてなる。また、例えば前記センタクラスタのディスプレイ11の周辺には、エアコンディショナ、オーディオ及びナビゲーションシステム等の車両の付帯機器、並びにトランクドア及びスライドドアの開閉操作等の各種の付帯機能を選択する複数個の選択スイッチ13が設けられている。これら選択スイッチ13のうちいずれか一つが操作された際、ディスプレイ11の画面11aには、操作された選択スイッチ13に対応する付帯機器及び付帯機能に応じた操作状況、及び単数個もしくは複数個の機能項目等が表示される。
【0017】
例えばエアコンディショナに対応する選択スイッチ13が操作された場合には、その操作状況及び温度設定のための機能項目等が画面11aに表示される。ナビゲーションシステムに対応する選択スイッチ13が操作された場合には、案内地図又は目的地設定等の機能項目が画面11aに表示される。ユーザは、画面11aを目視しながら入力装置12を操作することにより、当該画面11a上に表示された複数の機能項目から一つの機能項目を選択して、所望の画面に切り換えたり、車両の付帯装備及び付帯機能を作動させたりする。
【0018】
このように、ディスプレイ11に表示される画面11aは多岐にわたり、各種の画面に表示される機能項目数及びそれらの配置間隔は画面毎に異なる。また、画面11aに表示される各種の機能項目に割り当てられている機能に応じて、要求される操作特性が異なる。例えばオーディオ装置の音量調節等のように、繰り返し操作を伴う機能については、操作性の観点から入力装置の操作量は少ないことが求められる。また、トランクドア及びスライドドア等の各種ドアの開動作等のように、誤操作すると危険度が高い機能については、当該誤操作を抑制する観点から入力装置の操作量は多くすることが求められる。
【0019】
こうした多種多様な画面11aに対する入力操作は、入力装置の設置スペースの節約及び操作性の確保等の観点から、単一の入力装置12により共用される。そして、単一の入力装置12を多機能に使用するため、またユーザが視覚を通じて画面11aを確認しなくてもある程度の操作確認を可能とするために、当該入力装置12として、次のような構成が採用されている。すなわち、当該入力装置12は、前述した各種の付帯機器及び付帯機能毎に異なる操作感触を生成してユーザに操作反力として付与する反力付与型の入力装置として構成されている。なお、操作反力とは、当該入力装置を構成する後述のレバー25の操作方向と反対方向への外力をいう。
【0020】
<反力付与型の入力装置>
次に、入力装置12の構成について詳細に説明する。図2に示すように、入力装置12は、図示しないケース内に収容される上側可動アーム21及び下側可動アーム22を備えてなる。上側可動アーム21及び下側可動アーム22は、それぞれ所定幅を有する帯状の板材を半円状に湾曲させることにより形成されるとともに、互いに直交するように配設されている。上側可動アーム21及び下側可動アーム22には、それらの軸方向に延びる長孔23,24が形成されるとともに、これら長孔23,24の交差する位置には、レバー25が挿通されている。レバー25の先端部には、ユーザにより直接的に操作される部分である操作ノブ26が設けられている。
【0021】
上側可動アーム21の両端部には2つの軸部27a,27bが互いに反対側へ延びるように、また下側可動アーム22の両端部には2つの軸部28a,28bが互いに反対側へ延びるように設けられている。軸部27a,27b及び軸部28a,28bはそれぞれ同軸上に配設されるとともに、これら軸部27a,27b及び軸部28a,28bを介して上側可動アーム21及び下側可動アーム22は前記ケースの内部において回転可能に支持されている。そして、上側可動アーム21及び下側可動アーム22の一方の軸部27a,28aには前記ケースの内部に固定される第1及び第2のモータ29,30の図示しない出力軸が、他方の軸部27b,28bには第1及び第2の回転角センサ31,32が設けられている。この第1及び第2の回転角センサ31,32としては、光学式あるいは磁気式のロータリエンコーダ、またはロータリポテンショメータなどが採用可能である。
【0022】
したがって、レバー25の傾動に伴い、上側可動アーム21及び下側可動アーム22は、軸部27a,27b及び軸部28a,28bを支点として互いに直交する2方向、すなわち図1に矢印で示される第1及び第2の方向へ揺動する。レバー25の第1及び第2の方向への操作量は、第1及び第2の回転角センサ31,32を通じて軸部27b,28bの回転量として検出される。またこの際、レバー25には、第1及び第2のモータ29,30の駆動を通じて所定の操作反力が付与される。この操作反力は、第1及び第2の回転角センサ31,32を通じて検出されるレバー25の操作量に基づき、操作対象となる付帯機器及び付帯機能に応じて付与される。
【0023】
レバー25は、前記ケースの内部に設けられる図示しない案内部材のゲートに案内されることによりその操作パターンが規制される。図2に二点鎖線で示されるように、例えば案内部材には、第1の方向に沿って延びる第1のゲートG1、及びこの第1のゲートG1に直交する方向、すなわち第2の方向に沿う方向へ延びる3つの第2、第3、第4のゲートG2,G3,G4が形成される。第2〜第4のゲートG2〜G4は、第1のゲートG1の延びる方向において等間隔に、且つ第3のゲートG3が第2及び第4のゲートG2,G4の中間に位置するように設けられる。レバー25は、これらゲートに沿って第1及び第2の方向へ操作される。
【0024】
なお、レバー25が2つの長孔23,24のいずれに対しても中央に位置する状態を当該レバー25の中立状態とする。そして、レバー25がその中立位置にある場合には、当該レバー25は第1のゲートG1と第3のゲートG3とが交わる部位に位置する。
【0025】
<電気的な構成>
次に、入力装置12の電気的な構成について説明する。図3に示すように、入力装置12の制御回路を構成するマイクロコンピュータ41には、前述した複数個の選択スイッチ13、並びに第1及び第2の回転角センサ31,32が接続されている。また、このマイクロコンピュータ41には、前述したディスプレイ11、並びに第1及び第2のモータ29,30が接続されている。さらにこのマイクロコンピュータ41には、エアコンディショナ、オーディオ及びナビゲーションシステム、並びに各種ドアの自動開閉装置等の付帯機器42が接続されている。
【0026】
各選択スイッチ13は、自身が操作された際にはその旨示す電気信号をマイクロコンピュータ41に出力する。第1及び第2の回転角センサ31,32は、軸部27b,28bの回転角度を検出して、これをレバー25の操作角度情報としてマイクロコンピュータ41に出力する。第1及び第2のモータ29,30は、マイクロコンピュータ41からの駆動制御信号に基づきレバー25に所定の操作反力を付与するべく駆動する。ディスプレイ11は、マイクロコンピュータ41からの表示制御信号に基づき所定の画像を画面11a上に表示する。
【0027】
マイクロコンピュータ41の不揮発性メモリ43には、ディスプレイシステム10の全体を統括的に制御するための各種の制御プログラム及びデータが格納されている。当該制御プログラムには、例えばディスプレイ11の表示制御を行う表示制御プログラム、並びに第1及び第2のモータ29,30を駆動制御するモータ制御プログラム(反力付与プログラム)が含まれている。また、当該制御プログラムには、第1及び第2の回転角センサ31,32からの出力に基づきレバー25の操作量が当該レバー操作による機能選択を決定(確定)するべく定められた操作量に達したか否かを判定する操作判定プログラムも含まれている。なお、不揮発性メモリ43としては、EEPROM及びフラッシュメモリ等が採用可能である。
【0028】
また、前記データとしては、例えば前記操作判定プログラムを実行した際に参照されるマップデータがある。図4に示されるように、このマップMpは、各選択スイッチ13に割り当てられた付帯機器と各付帯機器の機能等に応じて設定されたレバー25の中立位置からの操作量との関係を規定するものである。レバー25の中立位置からの操作量は、レバー25が中立位置にあるときの回転角度θ(操作角度)を0°としたときの正負の回転角度θとして設定されている。また、このレバー25の中立位置からの操作量は、付帯機器42の機能等に応じて要求される前述した操作特性(操作量の多少)を満足するように設定されている。すなわち、このマップデータに規定される回転角度θ(中立位置0°を基準)は、その時々で操作対象として割り当てられる付帯機器の機能選択及び機能調節等にかかるレバー操作の確定の可否を判定する際の基準となる操作量判定閾値θhとなる。
【0029】
図4に示されるマップMpにおいて、例えばスイッチNO.1の選択スイッチ13にはオーディオ(正確には、その音量調節機能)が、スイッチNO.2にはドア開閉機構が割り当てられている。そしてオーディオの音量調節機能にかかるレバー25の操作範囲は「−θvol〜+θvol」、ドア開閉機構にかかるレバー25の操作範囲は「−θop〜+θop」とされている。同様にして、スイッチNO.3以降の選択スイッチ13についても、各種の機能及び操作範囲が設定されている。
【0030】
前述したように、繰り返し操作を伴う機能については、レバー25の操作量は少ないことが求められる。このため、例えばオーディオの音量調節機能にかかるレバー25の操作範囲「−θvol〜+θvol」は、レバー25の第1の操作方向あるいは第2の操作方向における最大操作範囲「−θmin〜+θmax」よりも狭くなるように設定されている。なお、本例での最大操作範囲は、前記案内部材の第1〜第4のゲートG1〜G4により規制される操作範囲の最大をいう。
【0031】
また、誤操作すると危険度が高い機能については、入力装置の操作量は多くすることが求められる。このため、例えばドア開閉機構にかかるレバー25の操作範囲「−θop〜+θop」は、オーディオの音量調節機能にかかるレバー25の操作範囲「−θvol〜+θvol」よりも広く、かつ最大操作範囲「−θmin〜+θmax」よりも狭くなるように設定されている。本例では、ドア開閉機構にかかるレバー25の操作範囲「−θop〜+θop」は、最大操作範囲「−θmin〜+θmax」と等しくなるように設定されている。なお、各操作範囲の上限値及び下限値の絶対値は等しくなる。例えば│−θvol│=│+θvol│、│−θop│=│+θop│、│−θmin│=│+θmax│となる。各操作範囲は、いずれもレバー25の中立位置を基準とする角度だからである。
【0032】
さて、マイクロコンピュータ41は、前記表示制御プログラムに従ってディスプレイ11の表示制御を行う。例えばマイクロコンピュータ41は、定められた車両の付帯機器の操作内容、すなわち選択可能とされる機能及び調節可能とされる機能を示す複数の機能項目等をディスプレイ11に表示させる。そして、マイクロコンピュータ41は、入力装置12による操作対象を切り換えるべく選択スイッチ13が操作された際には、ディスプレイ11の画面11aを前記切り替えられた他の操作対象に対応する他の画面に切り換える。
【0033】
また、マイクロコンピュータ41は、第1及び第2の回転角センサ31,32を通じてレバー25の操作角度を取得し、当該操作角度に基づきレバー25が、その時々で割り当てられる操作対象ごとに定められた操作角度だけ操作された旨判断されるとき、当該操作を有効として所定の機能の選択等が決定される。そしてこの選択が決定された機能項目に割り当てられている機能を実行させる旨指令する電気信号としての制御信号を所定の付帯機器42等に出力する。
【0034】
なお、このときマイクロコンピュータ41は、前記表示制御プログラムに従い、ディスプレイ11の画面11a上を移動する可視又は不可視のカーソル等を通じて、レバー操作による選択が決定された機能が割り当てられた機能項目を強調して表示したり、当該機能項目に対応して設定される下層の画面を表示したりする。
【0035】
さらに、マイクロコンピュータ41は前記モータ制御プログラムに従って第1及び第2のモータ29,30の駆動制御を行う。すなわち、マイクロコンピュータ41は、第1及び第2のモータ29,30の駆動制御を通じて、ディスプレイ11の画面11a、正確には当該画面11a上の機能項目数及びそれらの配置間隔等に応じた操作反力、またはレバー25の操作量あるいは操作方向に応じた操作反力を発生させる。マイクロコンピュータ41は、レバー25の第1の方向に沿った操作反力を発生させる際には第1のモータ29を、同じく第2の方向に沿った操作反力を発生させる際には第2のモータ30を駆動制御する。
【0036】
具体的には、マイクロコンピュータ41は、所定の外力付与パターンに従って所定の操作反力がレバー25に付与されるように第1及び第2のモータ29,30を駆動制御する。また、レバー25に付与する操作反力の大きさ及び方向は、レバー25の操作量及び操作方向により決まる。このため、マイクロコンピュータ41は、第1及び第2の回転角センサ31,32を通じてレバー25の中立位置に対する操作量及び操作方向を演算し、この演算結果に応じた大きさ及び方向の操作反力がレバー25に付与されるように第1及び第2のモータ29,30を駆動制御する。
【0037】
<操作反力の付与パターン>
次に、レバー25に付与される操作反力のパターンについて説明する。反力付与パターンは、レバー25の操作性を確保するために、これに加える操作反力のレバー25の操作量に対する規則性を示すものであって、例えば図5のグラフに示されるようなものがある。当該グラフにおいて、横軸はレバー25の第1あるいは第2の方向における操作量、すなわち回転角度θを、縦軸はレバー25に付与される操作反力Fの大きさを示す。また、当該グラフにおいて、レバーの中立位置を基準とする第1又は第2の方向に沿う一方向への操作量をプラス、これと反対方向である他方向への操作量をマイナスとする。また、当該グラフにおいて、レバー25の操作方向と反対方向への外力である操作反力はプラスの値とする。さらに、当該グラフの原点0は、図2に示されるレバー25の中立位置、すなわちレバー25が上側可動アーム21及び下側可動アーム22に形成された長孔23,24のいずれに対しても中央となる位置に対応する。
【0038】
さて、図5のグラフに示される反力付与パターンでは、レバー25が中立位置にあるときには、操作反力は付与されない。すなわち、レバー25の中立位置からの操作量がゼロのときには、操作反力Fもゼロとされる。そしてレバー25が第1及び第2の方向における一方向及び当該方向と反対方向である他方向への操作量が増大するにつれて、レバー25に付与される操作反力が徐々に大きくなる。レバー25の操作量が、割り当てられている機能に応じて設定される操作範囲の上限値及び下限値、すなわちプラス側及びマイナス側の操作量判定閾値θhの近似値に達した際には、当該操作反力が急激に低下され、その後レバー25の操作量がプラス側及びマイナス側の操作量判定閾値θhに達した際には当該操作反力が急激に増大される。これにより、節度感触(クリック感)がレバー25を通じてユーザに付与されるとともに、それ以上のレバー操作が困難となる。したがって、ユーザは、レバー25の操作範囲の限界を感覚的、正確には触覚を通じて把握することができる。操作の途中などにおいて、ユーザによるレバー25への外力の印加が解除された場合には、図5のグラフに示されるように、当該操作反力が原点0に向かうにつれて徐々に小さくなる特性を有していることから、レバー25は当該操作反力により原点位置へ自動復帰される。
【0039】
なお、図5のグラフでは、プラス側の操作量判定閾値を「+θh」で、マイナス側の操作量判定閾値を「−θh」として示す。また、レバー25の第2の方向への操作時における節度感触の発生タイミングは、前述したように、割り当てられる操作対象ごとに異なる。すなわち、操作量判定閾値θhは、割り当てられる操作対象に応じて適宜変更して設定される。これに対して、レバー25の第1の方向への操作時には、当該レバー25の中立位置から第2のゲートG2あるいは第4のゲートG4に達するタイミングで節度感触及びバリヤ感触が発生される。当該タイミングは固定(操作量判定閾値θh=一定値)とされる。なお、レバー25の第1の方向への操作時には節度感触及びバリヤ感触を発生させないようにしてもよい。
【0040】
<制御信号の出力制御手順>
次に、マイクロコンピュータの付帯機器42等に対する制御信号の出力制御手順を、図6(a)に示されるフローチャートに従って説明する。当該フローチャートは、不揮発性メモリ43に格納された前記操作判定往路グラム等の制御プログラムに基づき実行される。
【0041】
まずマイクロコンピュータ41は、選択スイッチ13からの電気信号等に基づき、ユーザにより選択された付帯機器42あるいは付帯機能等の操作対象を判別する(ステップS101)。
【0042】
次に、マイクロコンピュータ41は、不揮発性メモリ43に格納されたマップMpに基づき、各選択スイッチ13に割り当てられた操作対象に応じて設定されたレバー25の中立位置からの操作量、すなわち操作量判定閾値θhを設定する(ステップS102)。
【0043】
そして、マイクロコンピュータ41は、第1及び第2の回転角センサ31,32を通じて検出されるレバー25の操作量、すなわち回転角度θが前記ステップS103で設定した操作量判定閾値θhに達した旨検出したとき(ステップS103)、当該レバー操作を有効として当該操作対象である機能の選択あるいは機能の実行等を決定する(ステップS104)。
【0044】
最後にマイクロコンピュータは、選択対象である機能を選択あるいは実行させる旨指令する電気信号としての制御信号を所定の付帯機器42に出力する。当該付帯機器42は、マイクロコンピュータ41から入力される制御信号に基づき所定の動作を行う。
【0045】
以上で、付帯機器42等に対する制御信号の出力制御は完了となる。以後、ユーザにより選択スイッチ13の操作などを通じて入力装置12に割り当てられる操作対象が切り替えられるたびに、あるいはレバー25の操作が繰り返されるたびに前記S101〜S105の処理が繰り返される。
【0046】
<モータ制御手順>
前述したレバー25の操作時には所定の操作反力が付与されることについては、既に述べた通りである。次に、このレバー25の操作時において、これに所定の操作反力を付与するべく実行されるマイクロコンピュータによるモータ制御の手順を、図6(b)に示されるフローチャートに従って説明する。当該フローチャートは、不揮発性メモリ43に格納されたモータ制御プログラムに基づき実行される。
【0047】
まずマイクロコンピュータ41は、選択スイッチ13からの電気信号等に基づき、ユーザにより選択された付帯機器42あるいは付帯機能等の操作対象を判別する(ステップS201)。
【0048】
次に、マイクロコンピュータ41は、不揮発性メモリ43に格納されたマップMpに基づき、各選択スイッチ13に割り当てられた操作対象に応じて設定されたレバー25の中立位置からの操作量、すなわち操作量判定閾値θhを設定する(ステップS202)。
【0049】
そして、マイクロコンピュータ41は、第1及び第2の回転角センサ31,32を通じて検出されるレバー25の操作量、及び前記ステップS202で設定した操作量判定閾値θhに基づき第1及び第2のモータ29,30を駆動制御する(ステップS203)。これにより、レバー25には図5に示されるようなパターンで所定の操作反力が付与される。
【0050】
以上で、操作反力の発生にかかる一連のモータ制御は完了となる。ユーザにより選択スイッチ13の操作などを通じて入力装置12に割り当てられる操作対象が切り替えられるたびに、あるいはレバー25の操作が繰り返されるたびに前記S201〜S203の処理が繰り返される。
【0051】
<入力装置の操作態様>
次に、前述のように構成された入力装置の操作態様について説明する。ここでは、選択スイッチ13などの操作を通じて入力装置12の操作対象としてオーディオの音量調節機能が選択された場合、及びドア開閉機構(オープナ)が選択された場合について例示的に説明する。
【0052】
<オーディオが選択された場合>
オーディオの音調調節機能が選択された場合には、ディスプレイ11の画面11aは、図7(a)に示される音量調節画面に切り替わる。この音量調節画面には、レバー25の中立位置を示す図柄、及びレバー25の操作が可能とされる操作経路として第1〜第4のゲートG1〜G4を示す図柄が模式的に表示される。図7(a)では、レバー25の中立位置を示す図柄として円形図形が、第1〜第4のゲートG1〜G4を示す図柄として線分が採用されている。なお、便宜上、図7(a)においては、各図柄には入力装置12の構成要素と同一の部材番号を付す。また、同図において、画面11aの左右方向はレバー25の第1の方向に、画面の上下方向はレバー25の第2の方向に対応する。また、当該第2の方向において、図7(a)における上方をプラス側、同じく下方をマイナス側とする。
【0053】
ここで操作対象となる音量調節機能としては例えば、操作されるごとにオーディオの音量を一定量ずつ増大させる音量増大機能、及び操作されるごとにオーディオの音量を一定量ずつ減少させる音量減少機能がある。画面11a上には、これら機能を示す文字列「Vol Up」,「Vol Down」が第3のゲートG3の上下2つの端部に対応して表示される。これにより、ユーザは、当該画面11aの表示を通じて、レバー25を中立位置から第2の方向におけるプラス側(図7(a)中の上方)へ操作することにより音量を増大させることが、同じく第2の方向におけるマイナス側((図7(a)中の下方)へ操作することにより音量を減少させることができる旨視覚的に認識することができる。
【0054】
さらに、画面11a上には、このときのレバー25の操作範囲、すなわち音量増大及び音量減少にかかるレバー操作が有効とされる操作量が表示される。例えば図7(a)に示されるように、操作すべきレバー25の操作量は、第3のゲートG3を示す線分よりも線幅の大きな線分を当該第3のゲートG3を示す線分に重ねて表示される。これにより、ユーザは音量を増大又は減少させるために必要とされるレバー25の操作量を視覚的に把握することができる。画面11aに表示されるレバー25の操作範囲は、音量調節機能にかかるレバー操作が有効とされる操作量を示す操作範囲「−θvol〜+θvol」に対応して示されるものであって、ここでは、レバー25の最大操作範囲となる第3のゲートG3の形成範囲よりも狭い範囲として表示される。
【0055】
さて、ユーザがオーディオの音量を増大させる際には、図7(a),(b)に示されるように、中立位置にあるレバー25を第2の方向におけるプラス側へ操作する。これに伴い当該レバー25には第2のモータ30の駆動を通じて所定の操作反力が付与される。この操作反力は、図8に示されるように、レバー25の操作量に対して比例的に増大する。そして、レバー25の操作量が、割り当てられている機能に応じて設定される操作範囲の上限値(ここでは「+θvol」)の近似値に達した際には、当該操作反力が急激に低下され、その後レバー25の操作量がプラス側の操作量判定閾値θh(ここでは「+θvol」)に達した際には当該操作反力が急激に増大される。これにより、節度感触がレバー25を通じてユーザに付与されるとともに、それ以上のレバー操作が困難となる。したがって、ユーザは、音量調節にかかるレバー25の操作範囲の限界を感覚的に、正確には触覚を通じて把握することができる。
【0056】
音量調節は何度も繰り返し操作される。例えば音量を3段階だけ増大させる際には、レバー25を3回だけ繰り返して操作する必要がある。このように、レバー操作を繰り返し行う機能については、レバー25の操作量は少ないことが好ましい。レバー25の操作範囲が広く設定された場合にはレバー操作が煩わしくなるからである。この点、本例では、音量調節機能にかかるレバー操作が有効とされる操作量(「−θvol〜+θvol」)は、レバー25の最大操作範囲となる第3のゲートG3の形成範囲よりも狭い範囲とされる。このため、レバー25の繰り返し操作が楽である。また、当該レバー25の操作量が、その操作限界(「−θvol,「+θvol」)に達するタイミングで所定の節度感触が付与される。このため、ユーザが無駄にレバー25を継続操作することが回避される。ひいてはレバー25の操作性が高められる。
【0057】
なお、ユーザがオーディオの音量を減少させる場合については、前述した音量を増大させる場合と同様であることから、その詳細な説明を省略する。
<ドア開閉機構が選択された場合>
ドア開閉機構(オープナ)が選択された場合には、ディスプレイ11の画面11aは、図9(a)に示されるオープナ画面に切り替わる。このオープナ画面には、前述した音量調節画面と同様に、レバー25の中立位置を示す図柄、及びレバー25の操作が可能とされる操作経路として第1〜第4のゲートG1〜G4を示す図柄が模式的に表示される。また、画面11aとレバー25の操作方向との関係も、前述した音量調節画面におけるそれらの関係と同様である。
【0058】
操作対象となる機能としては例えば、車両の左右のスライドドアの開閉操作機能、及びトランクドアの開閉機能がある。画面11a上には、これら機能を示す文字列が第2〜第4のゲートG2〜G4を示す図柄である3つの線分の上下における各端部に対応して表示される。
【0059】
具体的には、図9(a)に示されるように、左側スライドドアの閉操作を示す文字列「L側スライド閉」は第2のゲートG2を示す線分の上端に対応して、同じく開操作を示す文字列「L側スライド開」は第2のゲートG2を示す線分の下端に対応して表示される。右側スライドドアの閉操作を示す文字列「R側スライド閉」は第4のゲートG4を示す線分の上端に対応して、同じく開操作を示す文字列「R側スライド開」は第4のゲートG4を示す線分の下端に対応して表示される。トランクドアの閉操作を示す文字列「トランク閉」は第3のゲートG3を示す線分の上端に対応して、同じく開操作を示す文字列「トランク開」は第3のゲートG3を示す線分の下端に対応して表示される。
【0060】
これにより、ユーザは、当該画面11aの表示を通じて、左右のスライドドア及びトランクドアの開閉操作を行う際には、レバー25をどの位置に操作すればよいのかについて、視覚を通じて容易に認識することができる。
【0061】
さらに、画面11a上には、このときのレバー25の操作範囲、すなわち各ドアの開閉にかかるレバー操作が有効とされる操作量が表示される。例えば図9(a)に示されるように、操作すべきレバー25の操作量は、第2〜第4のゲートG2〜G4を示す線分よりも線幅の大きな線分を当該第3のゲートG3を示す線分に重ねて表示される。これにより、ユーザはスライドドア及びトランクドアを開閉せるために必要とされるレバー25の操作量を視覚的に把握することができる。画面11aに表示されるレバー25の操作範囲は、スライドドア及びトランクドアにかかるレバー操作が有効とされる操作量を示す操作範囲「−θop〜+θop」に対応して示されるものであって、ここでは、レバー25の最大操作範囲となる第2〜第4のゲートG2〜G4の形成範囲と同じ範囲として表示される。
【0062】
さて、ユーザがスライドドア及びトランクドアを開閉する際には、図9(a),(b)に示されるように、レバー25をその中立位置から第2〜第4のゲートG2〜G4のいずれかの端部まで操作する。これに伴い当該レバー25には第1及び第2のモータ29,30の駆動を通じて所定の操作反力が付与される。この操作反力は、図10に示されるように、レバー25の操作量に対して比例的に増大する。
【0063】
そして、同図10に示されるように、レバー25の第2の操作方向において、当該レバー25の操作量が、割り当てられている機能に応じて設定される操作範囲の上限値(ここでは「+θop」)あるいは下限値(ここでは、「−θop」)の近似値に達した際には、当該操作反力が急激に低下され、その後レバー25の操作量が操作量判定閾値θh(ここでは「+θop」あるいは「−θop」)に達した際には当該操作反力が急激に増大される。これにより、節度感触がレバー25を通じてユーザに付与されるとともに、それ以上のレバー操作が困難となる。したがって、ユーザは、スライドドア及びトランクドアの開閉にかかるレバー25の操作範囲の限界を感覚的に、正確には触覚を通じて把握することができる。
【0064】
スライドドア及びトランクドアの開閉操作は、これが誤操作されると危険である。そしてこうした誤操作による危険度が高い機能については、入力装置12の操作量は多くすることが求められることについては前述した通りである。この点、本例では、スライドドア及びトランクドアにかかるレバー操作が有効とされる操作量(「−θvop〜+θvop」)は、レバー25の最大操作範囲となる第2〜第4のゲートG2〜G4の形成範囲と同じ範囲とされる。レバー25の操作ストロークが十分に確保されることから、スライドドア及びトランクドアの開閉に関し誤操作が抑制される。また、当該レバー25の第2の操作方向における操作量が、その操作限界(「−θop,「+θop」)に達するタイミングで所定の節度感触が付与される。このため、レバー25の操作性が高められる。
【0065】
<実施の形態の効果>
したがって、本実施の形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1)マイクロコンピュータ41は、第1及び第2の回転角センサ31,32を通じてレバー25の操作角度を取得し、当該操作角度に基づきレバー25がその時々で割り当てられる付帯機器42ごとに定められた操作角度だけ操作された旨判断されるとき、当該操作を有効として当該機能の選択を決定する。そしてマイクロコンピュータ41は、選択を決定した機能を実行させる旨指令する制御信号を所定の付帯機器42に出力する。すなわち、マイクロコンピュータ41は、割り当てられる付帯機器42の機能に応じて、前記制御信号を出力するか否かの判定基準となる前記操作量判定閾値θhを変更する。
【0066】
この構成によれば、操作対象である複数種類の付帯機器42について所望の機能選択及び機能調整を行うに際して、これら機能に応じて操作量判定閾値θhが変更される。すなわち、各機能に応じて、その選択及び調整が実行されるのに必要とされるレバー25の中立位置からの操作量が変更される。換言すれば、割り当てられている付帯機器42について所望の機能選択及び機能調整を実行するべく前記制御信号が出力されるタイミングが機能ごとに異なる。例えば繰り返し操作を伴うような機能は、必要とされる操作量を減少させることにより楽に操作することができる。また、誤操作等のおそれが高い機能は、必要とされる操作量を増大させることにより、ユーザが明確な意思をもって操作しなければ動作しないように設定することができる。このように、操作対象である各機能の操作特性に合った操作方法(操作量)を割り当てることができる。その結果、機能毎に要求される操作特性に対応して、例えばレバー25の操作性が高められる、あるいは誤操作が抑制される、といった効果が得られる。
【0067】
(2)また、マイクロコンピュータ41は、検出されるレバー25の中立位置からの操作量に応じて当該レバー25に作動連結されるアクチュエータとして第1及び第2のモータ29,30を駆動制御することにより、割り当てられている付帯機器42の機能ごとに異なる操作反力を前記レバー25に付与するフォースフィードバック機能を有してなる。そして、マイクロコンピュータ41は、レバー25の中立位置からの操作量が操作量判定閾値θhに達した旨判定されるときには、レバー25の操作限界であるとしてその旨示す操作反力を第1及び第2のモータ29,30の駆動制御を通じてレバー25に付与する。
【0068】
この構成によれば、レバー25の操作時において、適度な操作反力が付与されることによりレバー25の操作性が確保される。また、ユーザは、割り当てられている付帯機器42について所望の機能選択及び機能調整が実行される位置までレバー25が操作された旨、すなわちレバー25の操作限界である旨触覚を通じて知得することができる。本例では、ユーザは、レバー25を介して付与される節度感触によりレバー25の操作限界を容易に知得することができる。このため、入力装置12の操作性が高められる。
【0069】
(3)入力装置12は、運転中に操作されるステアリングスイッチとして車両のステアリングホイールに設けられてなる。この場合、入力装置12には高い操作性能が要求される。前述したように、本例の入力装置12によれば、操作対象である各機能の操作特性に合った操作方法(操作量)が割り当てられるとともに、この割り当てられる操作量に応じて操作反力がレバー25に付与されることにより、入力装置12の操作性が高められるので、ステアリングホイール等の高い操作性が要求される取付け対象への適用に好適である。
【0070】
<他の実施の形態>
なお、前記実施の形態は、次のように変更して実施してもよい。
・本実施の形態では、レバー25を備えてなるジョイスティック型の入力装置に本発明を具体化したが、図示しない操作ノブのスライド操作を通じて所定の入力がなされるスライドスイッチ、あるいは図示しない操作ノブの回転操作を通じて所定の入力がなされるロータリスイッチ等として具体化することも可能である。なお、この場合には、採用する入力装置の操作タイプに応じて、操作反力の発生パターンを適宜変更することも可能である。例えば、マイクロコンピュータは、そのメモリに記憶されている複数種類の外力付与パターンの中から、画面上の機能項目の数、配置間隔、あるいは大きさ等に適したパターンを選択し、この選択した外力付与パターンに従って所定の外力がスライド操作ノブ、あるいはロータリノブ等に付与されるようにモータ等の電動アクチュエータを駆動制御する。
【0071】
・図5に示される反力付与パターンは例示であって、レバー等に付与する外力の発生間隔、外力の大きさ、外力を付与する方向等は、適宜変更可能である。例えば、前記実施の形態において、レバー25に対して、その操作方向と反対方向への外力(操作反力)のみならず、操作方向と同じ方向への外力(操作推進力)を付与するようにしてもよい。レバー25等を大きく変位させる必要がある場合等には、当該レバー25等に対して推進力を付与することにより、ユーザは少ない力でレバー25等を大きく変位させることができる。
【0072】
・本実施の形態では、選択スイッチ13の操作を通じて入力装置12による操作対象として割り当てられる付帯機器42あるいは各種の機能を切り替えるようにしたが、次のようにしてもよい。すなわち、選択スイッチ13を省略するとともに、これら選択スイッチに割り当てられていた機能項目をディスプレイ11の画面上に機能項目として表示する。そしてこれら機能項目のうちいずれか一を入力装置12の操作を通じて選択することにより、入力装置12の操作対象を切り替えるようにしてもよい。
【0073】
・本実施の形態では、レバー25は、互いに直交する2方向(第1及び第2の操作方向)へ操作可能としたが、いずれか一方向へのみ操作可能としてもよい。
・本実施の形態では、第1〜第4のゲートG1〜G4が形成された図示しない案内部材を通じて、レバー25の操作経路を規定するようにしたが、当該案内部材は省略可能である。
【0074】
・操作対象となる付帯機器42あるいは機能の使用頻度及び重要度などに応じてレバー25の操作範囲(レバー操作が有効である旨判定されるタイミング)を変更するようにしてもよい。例えば、使用頻度の多い機能及び重要度の高い機能については操作範囲を狭く設定し、使用頻度の少ない機能及び重要度の低い機能については操作範囲を広く設定する。この場合にも、レバー25の操作範囲(操作量判定閾値θh)は、割り当てられる機能の使用頻度あるいは重要度に応じてマップとして不揮発性メモリ43に予め格納される。
【0075】
・本実施の形態では、第1及び第2のモータ29,30を通じてレバー25に所定の操作反力を付与するようにしたが、当該操作反力の付与機能を省略してもよい。この場合、レバー25の操作性を確保する観点から、例えば軸部27a,27b及び軸部28a,28b等に捻りコイルばね等の機械的な復帰機構を設けることが望ましい。このようにすれば、ユーザによりレバー25に印加される外力(操作力)が解除された際には、当該レバー25は、捻りコイルバネ等の弾性力により、中立位置に自動復帰する。
【0076】
・本実施の形態では、ステアリングホイールに単数個の入力装置12を設けた場合について説明したが、複数個の入力装置を設けてもよい。また、車室内において、例えば前記センターコンソール等のステアリングホイール以外の部位に単数個又は複数個の入力装置12を設けてもよい。さらに、入力装置12の搭載対象あるいは操作対象は、車両あるいはその搭載機器に限らない。
【0077】
・本実施の形態の入力装置12は、ステアリングホイールと転舵輪との機械的な連結構造が排除されたステアバイワイヤシステム、あるいはシフトレバーと変速機との機械的な連結構造が排除されたシフトバイワイヤシステム等の各種バイワイヤシステムの入力装置としても適用可能である。
【0078】
<他の技術的思想>
次に、前記実施の形態から把握できる技術的思想を以下に追記する。
・請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の入力装置において、前記操作部材は、互いに直交する2方向へ変位可能とされたレバーである入力装置。このような二次元入力装置として構成することもできる。
【0079】
・請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の入力装置において、前記制御手段の記憶手段には、割り当てられる複数種類の電気機器あるいはそれらの機能と、これらに対応して予め定められた操作量判定閾値とが関連付けられたマップデータを格納し、前記制御手段は前記マップデータに基づき、前記操作量判定閾値を設定する入力装置。このように、マップデータに基づき操作量判定閾値を容易に変更して設定することができる。
【符号の説明】
【0080】
12…入力装置、25…レバー(操作部材)、29,30…モータ(アクチュエータ)、41…マイクロコンピュータ(制御手段)、42…付帯機器(電気機器)、Mp…マップ、θh…操作量判定閾値。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作対象である複数種類の電気機器について所望の機能選択及び機能調整を単一の操作部材の操作を通じて行うべく割り当てられる電気機器が適宜切り替えられる入力装置において、
前記操作部材の原位置からの操作量を電気的に検出し、当該検出される操作量が定められた操作量判定閾値に達した際に、割り当てられている電気機器について所望の機能選択及び機能調整を実行するべく当該電気機器へ電気信号を出力する制御手段を有し、当該制御手段は、割り当てられる電気機器の機能に応じて、前記電気信号を出力するか否かの判定基準となる前記操作量判定閾値を変更する入力装置。
【請求項2】
請求項1に記載の入力装置において、
前記制御手段は、検出される前記操作部材の原位置からの操作量に応じて当該操作部材に作動連結されるアクチュエータを駆動制御することにより、割り当てられている電気機器の機能ごとに異なる操作反力を前記操作部材に付与するフォースフィードバック機能を有し、
前記操作部材の原位置からの操作量が前記操作量判定閾値に達した旨判定されるときには、前記操作部材の操作限界であるとしてその旨示す操作反力を前記アクチュエータの駆動制御を通じて前記操作部材に付与する入力装置。
【請求項3】
車両のステアリングホイールに設けられてなる請求項1又は請求項2に記載の入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−176317(P2010−176317A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−17090(P2009−17090)
【出願日】平成21年1月28日(2009.1.28)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】