入射瞳のバック・フォーカスが負である投影対物系および投影露光装置
【課題】光学要素を取り付けるのに十分な設計空間を、特に対物系の前方部分に確保する投影対物系を提供する。
【解決手段】物体視野が形成される物体平面(20、100、300、2103)と、入射瞳(VE)と、前記物体平面において前記入射瞳(VE)を鏡像化することによって得られる、鏡像化入射瞳平面(103)内の鏡像化入射瞳(RE)と、像平面(21、102、302、2102)と、光軸(HA)と、少なくとも第1の鏡(S1)と第2の鏡(S2)とを備える。この投影対物系の入射瞳のバック・フォーカスが負であり、物体視野の中心点から発生して、物体平面から像平面にかけて対物系を横断する主光線(CR、CRP)が、少なくとも1つの交差点(CROSS)において光軸(HA)と交差し、すべての交差点(CROSS、CROSS1、CROSS2)の幾何学的位置が、像平面(21、102、302、2102)と鏡像化入射瞳平面(103)との間にある。
【解決手段】物体視野が形成される物体平面(20、100、300、2103)と、入射瞳(VE)と、前記物体平面において前記入射瞳(VE)を鏡像化することによって得られる、鏡像化入射瞳平面(103)内の鏡像化入射瞳(RE)と、像平面(21、102、302、2102)と、光軸(HA)と、少なくとも第1の鏡(S1)と第2の鏡(S2)とを備える。この投影対物系の入射瞳のバック・フォーカスが負であり、物体視野の中心点から発生して、物体平面から像平面にかけて対物系を横断する主光線(CR、CRP)が、少なくとも1つの交差点(CROSS)において光軸(HA)と交差し、すべての交差点(CROSS、CROSS1、CROSS2)の幾何学的位置が、像平面(21、102、302、2102)と鏡像化入射瞳平面(103)との間にある。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投影対物系および投影露光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許出願公開第2005/0088760号に示されている照明系においては、物体平面内の反射性物体に反射した光線が、分岐経路上の投影対物系に入射する。これは、光軸を有する軸対称投影対物系の場合には、投影対物系の入射瞳のバック・フォーカスが負であることを意味する。また、軸対称系の場合には、物体平面内の反射性物体の場所に正の主光線角度γが存在することを意味する。米国特許出願公開第2005/0088760号に示された例では、正の主光線角度γは、7°未満であり、6°未満であることが好ましい。
【0003】
入射瞳のバック・フォーカスが負である場合は、物体平面上の鏡面反射によって、鏡像化(mirrored)入射瞳平面内に鏡像化入射瞳が得られる。この場合、鏡像化入射瞳平面は、物体平面の像側にある。
【0004】
正のバック・フォーカスが存在するのは、物体平面内の主光線角度γが負である場合、すなわち、物体平面内の反射性物体(たとえば、反射性レチクル)に反射した後の中心視野点の主光線が、光軸に向かって収斂する経路上を進む場合である。入射瞳のバック・フォーカスが正である場合、投影対物系の入射瞳は物体平面の像側にあり、したがって、鏡像化入射瞳平面は物体平面の反対側にある。
【0005】
バック・フォーカスは、物体平面から、物体平面内の照明視野の中心視野点に向けられた主光線が光軸と交差する点までの距離によって決まる。物体またはレチクルの場所における主光線角度が正(たとえば、γ=8°)であって、視野半径r=125mmである場合、バック・フォーカスSEPは、SEP=−R/tanγ=−889.4mmとして得られる。入射瞳のバック・フォーカスが負である系の場合、物体の場所における主光線角度γは正である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0088760号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】「Handbook of Optics」(Vol.1、2nd part、Michael Bass (McGraw Hill),Inc.(1995)、35.3頁)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、入射瞳のバック・フォーカスが負であるマイクロリソグラフィ投影対物系の第1の実施態様が提案され、この実施態様は、少なくとも2つの鏡、すなわち、第1の鏡(S1)と第2の鏡(S2)を含み、物体視野の中心点から発生して、物体平面から像平面にかけて対物系を横断する各主光線CRが、その光線に固有の交差点において、少なくとも1回、光軸(HA)と交差し、各交差点が、幾何学的には、投影対物系の像平面と、投影対物系の鏡像化入射瞳の鏡像化入射瞳平面との間に位置するように、対物系が設計される。「入射瞳」と「鏡像化入射瞳」という用語については、図1aで詳細に説明している。
【0009】
本発明の第1の態様によれば、主光線の、投影対物系の光軸とのすべての交差点が、投影対物系の鏡像化入射瞳平面と像平面との間にある。
【0010】
有利な実施態様では、光軸HAに対して回転対称であるように鏡を配置することが可能である。
【0011】
本発明の有利な実施態様では、少なくとも1つの交差点が、物体平面までの光軸方向の第1の距離A1を有し、鏡像化入射瞳が、物体平面までの第2の距離A2を有し、距離A1とA2は、A2が常にA1より小さいという規則に従い、A2<0.9・A1であることが好ましく、A2<0.8・A1であることがさらに好ましく、A2<0.7・A1であることが特に好ましく、A2<0.5・A1であることが最も好ましい。
【0012】
この種の対物系は、たとえば光学要素を配置するのに十分な設計空間を、鏡像化入射瞳の領域に残している。
【0013】
この応用では、投影対物系は、物体平面から像平面に放射を方向付けるように配置された複数の光学要素を用いて、物体平面から像平面までの放射を結像させるように配置された投影系である。
【0014】
特に、入射瞳のバック・フォーカスが負である、この種の投影対物系を投影露光装置に用いると、モジュール設計の可能性が開ける。投影露光装置は、一般に、照明系と投影対物系とで構成される。照明系は、物体平面内の視野を照明するように動作し、投影対物系は、物体平面内に配置された物体の像を像平面に投影するように動作する。モジュール構成の投影露光装置では、照明系の各要素が第1の設計空間に配置され、投影対物系の各要素が第2の設計空間に配置されるように、光線経路の形状が選択される。したがって、照明系は第1のモジュールを形成し、投影対物系は第2のモジュールを形成する。それぞれのモジュールは装置から隔てられ、したがって、他のモジュールに影響しないようにすることが可能である。たとえば、照明系の保守または調整が必要な場合は、たとえば、投影系に影響を及ぼすことなく、照明系を交換することが可能である。
【0015】
さらに、この種の投影露光装置の特徴は、透過率が高いことであり、これは、米国特許出願公開第2005/088760号に記載されているように、入射瞳のバック・フォーカスが負であることにより、照明系内の鏡を節約することが可能なためである。
【0016】
本発明による系では、たとえば、二重にファセットされた照明系の瞳ファセット鏡のような光学要素を、投影対物系の光軸の領域に、バック・フォーカスを負にして配置することが可能であり、これは、この設計空間が投影対物系の鏡には必要でないためと、さらに、この種のファセット鏡に占有された設計空間を通過する、結像光線パターンの光線がないためである。
【0017】
さらに、本発明の特に有利な実施態様では、別の実施態様であれば光線経路を曲げるために物体平面の前の照明系に配置されるであろうかすめ入射鏡を避けるように、投影系が構成される。この措置も、この種の対物系が用いられているマイクロリソグラフィ投影露光装置の透過率を上げるように作用する。
【0018】
本発明の好ましい実施態様では、投影対物系は、少なくとも4枚の鏡を含み、特に好ましい実施態様では、少なくとも6枚の鏡を含む。
【0019】
本発明の好ましい実施態様では、投影対物系内に開口絞り平面が1つだけ形成される。対物系は、好ましくは、第1と第2の数の鏡を有する第1と第2の副対物系に分割され、第2の副対物系は開口絞り平面を含む。第2の副対物系は、好ましくは、2枚の鏡、すなわち、全部で6枚の鏡を有する実施態様における第5と第6の鏡を有し、第1の副対物系は、第1、第2、第3、第4の鏡を含む。
【0020】
本発明による、入射瞳のバック・フォーカスが負である投影対物系の像側開口数は、好ましくはNA=0.2、より好ましくはNA=0.25、最も好ましくはNA=0.3の条件を満たす。
【0021】
投影対物系の一設計では、第1の鏡の鏡面が凸形鏡面として構成され、第2の鏡の鏡面が凹形鏡面として構成され、第3の鏡の鏡面が凹形鏡面として構成され、第4の鏡の鏡面が凸形鏡面として構成され、第5の鏡の鏡面が凸鏡面として構成され、第6の鏡の鏡面が凹形鏡面として構成される。
【0022】
対物系内部のドリフト経路を可能な限り最長にするために、少なくとも6枚の鏡、またはちょうど6枚の鏡を有する投影対物系の実施態様を、第1と第2の鏡を有する第1の部分対物系と、第3、第4、第5、第6の鏡を有する第2の部分対物系とに細分することが考えられ、その場合、第1の部分対物系と第2の部分対物系との間の光軸に沿ったの幾何学的距離は、対物系の全体長さの30%より長く、好ましくは40%より長く、より好ましくは50%より長く、特に好ましくは、対物系の全体長さの60%より長い。「対物系の全体長さ」という用語は、投影対物系の物体平面から像平面までの、光軸方向に測定された距離を意味する。
【0023】
本発明のさらに好ましい実施態様では、入射瞳のバック・フォーカスが負である投影対物系において、投影対物系の第1の鏡に向かって進む入射主光線(CRE)が、鏡面に反射した主光線(CRR)と投影対物系の光軸(HA)との間の経路上にある、投影対物系のメリジオナル平面の中を伝搬することが考えられる。これを図1hに示す。このケースでは、入射主光線(CRE)および反射主光線(CRR)が、両方とも、同じ視野点(たとえば、中心視野点)に関連付けられる。
【0024】
物体平面から伝搬して第1の鏡に入射する主光線(CRE)が、鏡面に反射した主光線(CRR)と投影対物系の光軸(HA)との間の、投影対物系のメリジオナル平面内を延びる経路にあれば、光学要素(たとえば、照明系の瞳ファセット鏡、またはかすめ入射鏡)を取り付けるのに十分な設計空間を、特に対物系の前方部分に確保することができる。
【0025】
投影対物系の代替実施態様として、物体平面から像平面までの光線経路上に少なくとも1つの中間像を形成することが考えられる。
【0026】
入射瞳のバック・フォーカスが負である投影対物系の代替実施態様では、投影対物系のメリジオナル平面において、物体平面から第1の鏡(S1)までの光線経路が、第2の鏡(S2)から像平面までの光線経路と交差し、物体平面と第1の鏡(S1)との間に鏡が追加配置されないように、対物系が設計される。
【0027】
本文脈における「メリジオナル平面」という用語は、投影対物系の光軸(HA)と、物体平面内の視野の中心視野点とを含む平面を意味する。投影対物系内の光線経路は、対物系の、物体平面に最も近い部分において、自身と交差することが好ましい。投影対物系のこの部分は、レチクルが配置される物体平面までの距離が短い鏡を含む。強く好ましくは、物体から第1の鏡まで進む光束が、第2の鏡から第3の鏡まで伝搬する光束と交差する。これにより、特に、第2の鏡を光軸から遠くに配置することが可能になる。開口絞りは、第2の鏡と第3の鏡との間に配置されることが好ましく、第3の鏡と同様に、物体平面からの軸方向の距離が長い。
【0028】
この種の投影対物系は、4枚の鏡を含むことが好ましく、6枚の鏡を含むことが特に好ましい。
【0029】
入射瞳のバック・フォーカスが負である、本発明による投影対物系においては、第1と第2の鏡の、光軸からの距離を長くすると、光軸と、中心視野点に向かう主光線(CR)との交差点またはその近くに光学要素(具体的には、光学積分器)を配置することが可能になる。
【0030】
米国特許出願公開第2005/0088760号に開示されている、バック・フォーカスが負である系と異なり、本発明による投影対物系の実施態様は、光線経路を曲げるために物体平面の前に鏡を配置することが、もはや不要である。それによって、系の透過率が大幅に上がる。さらに、この種の投影対物系を投影露光装置で使用することにより、照明系の光線経路と投影系の光線経路との交差が避けられ、それによって、投影露光装置は、その空間配置および技術的構成に関して、モジュール設計が可能になる。
【0031】
中間像を有する投影対物系の特に好ましい実施態様では、対物系が6枚の鏡を有する場合には、中間像が、対物系の第4の鏡と第5の鏡との間に形成されることが好ましい。
【0032】
本発明による、バック・フォーカスが負である投影対物系が、6枚の鏡を含む対物系として構成されている好ましい実施態様では、第1の鏡の鏡面が凹形であり、第2の鏡の鏡面が凹形であり、第3の鏡の鏡面が凸形であり、第4の鏡の鏡面が凹形であり、第5の鏡の鏡面が凸形であり、第6の鏡の鏡面が凹形である。
【0033】
開口絞りは、第2の鏡と第3の鏡との間に配置されることが好ましい。投影対物系の像側開口数NAは、0.2より大きいことが好ましく、0.25より大きいことがより好ましく、0.3より大きいことが特に好ましい。
【0034】
好ましい実施態様では、本発明による対物系は、入射瞳のバック・フォーカスが負であり、像側波面収差WRMSが0.01λ未満であり、各鏡において最大入射角度が21°未満である反射光学投影対物系である。像側波面収差WRMSは0.07λであることが好ましく、0.06λであることが特に好ましい。メリジオナル平面における、各鏡に対する最大入射角度は20°であることが好ましい。記号λは、ここでは、物体平面から像平面までの結像光線経路に沿って投影対物系を横断する光の波長を表す。
【0035】
好ましい実施態様の投影対物系は、少なくとも4枚の鏡を有し、物体平面から像平面までの光線経路における第1の鏡と第4の鏡が凸面鏡である。
【0036】
メリジオナル平面内のすべての鏡のうちの最大鏡径は、特に好ましくは190mm未満であり、さらに好ましくは180mm未満である。
【0037】
ここまでに挙げた個々の尺度(たとえば、開口のサイズ、対物系の鏡の数、入射角度、鏡径など)のすべては、本明細書に示したすべての実施態様について(したがって、本発明の趣旨から逸脱することなく)任意の組合せが可能である。これらの組合せのすべてが、本発明についての開示内容の範囲内にある。
【0038】
本発明は、マイクロリソグラフィ投影対物系だけでなく、マイクロリソグラフィ投影露光装置も提供する。本発明によるマイクロリソグラフィ投影露光装置は、照明光束によって横断される照明系を含み、さらに、物体視野が照明される物体平面と、投影対物系とを含み、投影対物系は、物体平面から像平面までの結像光線経路によって横断され、投影対物系は、バック・フォーカスが負である入射瞳を有する。マイクロリソグラフィ投影露光装置は、照明系の、光線経路内の最後から2番目の位置にある光学部品から物体平面まで伝搬する照明光束が、反射性物体(すなわち、レチクル)の近傍を除き、メリジオナル平面内で結像光線経路と交差しないように設計される。
【0039】
入射瞳のバック・フォーカスが負である投影露光装置では、光学要素(たとえば、光学積分器の一部、あるいは第2のファセットされた光学要素(いわゆる瞳ファセット鏡))を鏡像化入射瞳の領域に配置することが可能である。結果として、第2のファセットされた光学要素の像を生成する光学結像要素を省略することが可能である。
【0040】
これにより、バック・フォーカスが正である、従来技術の既知の投影露光装置より透過率が高くなるように、本発明に従って設計されたマイクロリソグラフィ投影露光装置を特定することが可能になる。「透過率」という用語は、光源から発せられた光の一部分が、マイクロリソグラフィ投影露光装置を通過し、投影される物体が配置されている像平面に入射することを意味する。マイクロリソグラフィ投影露光装置内の鏡の数は、透過率に対して特に重要な意味がある。これは、多層鏡の、EUV波長での反射率がせいぜい約70%だからである。第1の設計のマイクロリソグラフィ投影露光装置が、第2の設計のマイクロリソグラフィ投影露光装置より鏡を2枚多く含んでいるとすると、第1の設計のマイクロリソグラフィ投影露光装置における透過率は、その2枚多い鏡によって、第2の設計のマイクロリソグラフィ投影露光装置の約2分の1に下がる。これは、2枚の鏡のそれぞれの反射率が約70%だからである。
【0041】
照明光線経路および投影光線経路が互いに交差しなくなるので、本発明による系の全体設計にモジュール設計を適用することが可能になり、これは、照明系を、その空間配置と技術的構成に関して、投影対物系から隔離することが可能になることを意味する。モジュール設計は、照明系の要素を第1の設計空間に配置し、投影対物系の要素を第2の設計空間に配置することによって達成される。この種のマイクロリソグラフィ投影装置の場合は、非常にシンプルな方法(複数)で、照明系と投影対物系とを隔離することが可能である。
【0042】
本発明の第1の実施態様では、投影対物系が、物体平面から像平面までの光線経路において中間像を有しないように、投影対物系のレイアウトが設計される。代替実施態様では、対物系の、物体平面に最も近い部分(すなわち、物体平面までの幾何学的距離がより短い部分)で、対物系の光線経路同士が交差する。
【0043】
入射瞳のバック・フォーカスが負である対物系を含むマイクロリソグラフィ投影露光装置の照明系は、様々な方法で構成可能である。
【0044】
かくして、第1の実施態様は、照明系が、二重にファセットされた照明系であるように設計することが可能である。
【0045】
二重にファセットされた照明系は、多数の第1のファセット(いわゆる視野ファセット)を有する第1のファセットされた鏡と、多数の第2のファセット(いわゆる瞳ファセット)を有する第2のファセットされた鏡とを有することを特徴とする。上述のように、この種の系は、投影対物系の鏡像化入射瞳の中または近くに瞳ファセットが配置された、第2のファセットされた要素を有する。好ましい実施態様における瞳ファセット鏡は、約200〜300個の瞳ファセットを有することが可能であり、これらは、オプションとして、切換制御されることによって、第1のファセットから第2のファセットへの対応関係が変更されることが可能であるように設計可能である。設定の調整のために第1のファセットから第2のファセットへの対応関係を変更することは、二重にファセットされた照明系において、たとえば、第1のファセットされた光学要素を視野ファセットと交換することによって達成される。波長193nmに対して設計されたシステム、特に波長100nmに対して設計されたシステム、好ましくはEUV波長範囲の10〜30nmに対して設計されたシステムにおいて、ファセットは反射板(すなわち、鏡)として設計される。
【0046】
二重にファセットされた照明系の代わりに、投影対物系の鏡像化入射瞳の中または近くにディフューザが配置された照明系を指定することも可能である。この種のディフューザは、たとえば、多数の拡散中心を有することが可能である。これらの拡散中心は、たとえば、搬送台上に並べられた500〜1000個またはそれ以上の小さな鏡ファセットによって構成されたり、ホログラフィック格子によって形成されることが可能である。このディフューザに入射する光は、拡散中心からすべての方向に散乱する。
【0047】
拡散中心を、主に円形またはやや楕円形に並べることにより、光源からの入射光を、所定形状(すなわち、アーチ形)で、立体角が大きい要素に向かって拡散させる光源が形成される。
【0048】
ディフューザ板を有する、この種の設計の利点は、二重にファセットされた照明系と異なり、物体平面内の視野の照明、および瞳平面の照明に必要な光学要素が1つ少ないので、二重にファセットされた照明系より透過率が高くなることである。
【0049】
瞳平面内の照明の設定を制御するために、ディフューザの前または後の光線経路内に開口絞りを配置することを設計に含めることが可能である。
【0050】
照明系の、特に有利な実施態様は、視野平面と瞳平面または共役瞳平面の照明のために、位置可変または視野依存のディフューザまたは光学積分器を含むことである。この種のディフューザは、鏡面反射板とも称される。鏡面反射板は、瞳平面、または瞳平面に関連付けられた共役平面に配置されなくてもよいので、光線経路内の他のシステム要素との関連でディフューザが最適配置されるように、マイクロリソグラフィ投影露光装置を設計することが可能である。ディフューザは、高精度の角度を有する個々のファセットを簡単に生成できるようなサイズであることが好ましい。鏡ファセットのサイズは、好ましくは2mmより大きく、より好ましくは3mmより大きく、特に好ましくは5mmより大きい。
【0051】
腎臓形に設計されることが好ましい、ディフューザの最適な(すなわち、ほぼ無損失の)照明のために、光源からディフューザまでの光線経路内の、ディフューザの前に、光学要素(具体的には、軸外円錐成分を有する自由曲面として構成されることが好ましい垂直入射鏡)を配置する。この種の鏡は、円錐軸を含まない、円錐の一部分である。この種の円錐の軸外部分が照明されると、ディフューザの腎臓形とほぼ一致する、完全には環状でない照明が得られる。
【0052】
光線経路の先に向かって垂直入射鏡を配置することは、フィルタリング効果が得られるという、さらなる利点を有する。垂直入射鏡の多層コーティングは、本質的に、波長スペクトルの使用可能部分にある放射だけを反射し、したがって、有用な光(すなわち、たとえばEUV系の場合はλ=13.5の波長範囲の光)だけがディフューザに到達するという結果が得られる。多層鏡のフィルタリング効果は、鏡の形状に依存しない。
【0053】
ディフューザの個々のファセットを平面鏡として構成する場合(製造工程において有利な設計)、光学要素(具体的には、垂直入射鏡)をディフューザの後の光線経路に配置することが可能である。このように配置すると、ディフューザの後に配置された垂直入射鏡が、光源の、強度に拡大された像を、照明される物体が収容される物体平面に投影する。位置可変または視野依存のディフューザは、この物体平面において、光源の、互いに重なり合った多数の像を生成する。垂直入射鏡がさらに、屈折力を有するように設計されると、像の変倍比率を、垂直入射鏡を用いて設定することが可能になる。結果として、位置可変または視野依存のディフューザのサイズに関係なく、設定された結像変倍比率に基づく同じ照明が、瞳平面において常に得られる。
【0054】
これにより、ディフューザを非常に大きなサイズで設計することが可能になり、このことは、面が大きいことにより、ディフューザの放射露光が低減され、それによって、ディフューザの熱ストレスが低減されるという利点がある。
【0055】
前述の、軸外円錐成分を有する自由曲面の鏡の代わりに、光源の光を集めて、ディフューザに向かって反射させるコレクタに腎臓形の設計を施すことにより、位置可変または視野依存のディフューザの腎臓形の照明を得ることも可能になる。この考えは、反射の数が少ないことから、透過率が高い、特に効率的な照明系を可能にする。特に好ましいのは、マイクロリソグラフィ投影露光装置のコレクタとしてかすめ入射コレクタが用いられ、照明系の光線パターンが中間像を含まないことである。これにより、レチクルの直前にディフューザを配置することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1a】入射瞳の負のバック・フォーカスを可視化した図である。
【図1b】マイクロリソグラフィ投影露光装置の概略図である。
【図1c】像側開口数を定義する光線の円錐を示す図である。
【図1d】メリジオナル断面内の鏡面の一部分を示す図である。
【図1e】メリジオナル平面に直交する平面にある鏡面の一部分を示す図である。
【図1f】円環視野の形状を示す図である。
【図1g】米国特許出願公開第2005/088760号に記載の従来技術による、入射瞳のバック・フォーカスが負である投影対物系を有するマイクロリソグラフィ投影露光装置を示す図である。
【図1h】第1の鏡の近傍における光線経路の形状を説明する概略図である。
【図2a】本発明による、入射瞳のバック・フォーカスが負であって、物体平面から像平面までの光線経路に中間像が形成されない投影対物系を実現する第1の例を示す図である。
【図2b】表1である。
【図3a】第1の実施形態による投影対物系の代替を示す図である。
【図3b】表2である。
【図4】図2aによる投影対物系を含むマイクロリソグラフィ投影露光装置を示す図である。
【図5a】第1の部分対物系の中のメリジオナル平面において光線経路同士が交差する、入射瞳のバック・フォーカスが負である投影対物系の第2の実施形態である。
【図5b】表3である。
【図6a】第2の実施形態による投影対物系の第1の代替系を示す図である。
【図6b】表4である。
【図6c】第2の実施形態による投影対物系の第2の代替系を示す図である。
【図6d】表5である。
【図7】バック・フォーカスが負である投影対物系、狭帯域波長フィルタとして動作する垂直入射鏡、ならびに第1と第2のファセットされた光学要素を有する、マイクロリソグラフィ投影露光装置の第1の実施形態を示す図である。
【図8】瞳平面内、または瞳平面の後の光線経路内にディフューザが配置されたマイクロリソグラフィ投影露光装置を示す図である。
【図9】マイクロリソグラフィ投影露光装置の第3の実施形態を示す図である。
【図10】位置可変または視野依存のディフューザを有する、マイクロリソグラフィ投影露光装置の第4の実施形態を示す図である。
【図11】光線経路において、位置可変または視野依存のディフューザの前に、自由曲面および円錐成分を有する垂直入射鏡がある、光源からディフューザまでの光線パターンを示す図である。
【図12】位置可変または視野依存のディフューザと、ディフューザを腎臓形に照明するために光線経路においてディフューザの前に配置されたコレクタ鏡とを有する、マイクロリソグラフィ投影露光装置の第5の実施形態を示す図である。
【図13】中間像を有さず、位置可変または視野依存のディフューザを有する、照明系を有する、マイクロリソグラフィ投影露光装置の第6の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
以下では、本発明の実施形態の例を説明し、図に示す。
【0058】
以下では、何ら限定的でない例を示す図面を参照することにより、本発明を説明する。
【0059】
まず、図1a〜1hを参照して、すべての実施形態において用いられ、示されたすべての例に関連する一般概念を下記に詳細に説明する。
【0060】
図1aは、本明細書において負のバック・フォーカスと称する概念を可視化したものである。
【0061】
図1aは、たとえば図1fに示したような照明視野の中心視野点に向けられた照明光束の主光線CRBを示す。図に示すように、反射性物体REFLOBJ(たとえば、レチクル)に反射した、照明光束の主光線CRBは、今度は投影光束の主光線として、投影対物系に入射する。図には、第1の鏡S1と第2の鏡S2を示している。「入射瞳のバック・フォーカスが負である」とは、反射性物体(たとえば、レチクル)の場所における主光線角度γが正であることを意味する。主光線角度γは、反射性物体REFLOBJの法線方向NOに対する主光線CRPの傾きの角度である。入射瞳のバック・フォーカスが負である系の場合、角度γは、定義によって正であり、反時計回りに測定される。
【0062】
反射性物体REFLOBJが配置されている物体平面において入射瞳VEを鏡像化することにより、鏡像化入射瞳REが得られる。入射瞳VEのバック・フォーカスが負である場合、鏡像化入射瞳REは、物体平面の像側に形成される。言い換えると、鏡像化入射瞳REと、(たとえばウェハが配置される)像平面とが、物体平面に対して同じ側にある。
【0063】
図1bは、マイクロリソグラフィ投影露光装置2100を示す。マイクロリソグラフィ投影露光装置2100は、光源2110、照明系2120、投影対物系2101、ならびに支持構造物またはワーク面2130を含む。さらに、デカルト座標系が示されている。光源2110からの放射は、照明系2120に向けられている。照明系2120は、光源2110から発生する放射に対して影響力を有する。それは、たとえば、放射を均質化したり、(たとえば、図示された方向転換鏡2121を用いて)放射の光線束2122を、物体平面2103内に位置するマスク2140に方向付けたりする影響力である。投影対物系2101は、マスク2140に反射した放射を、像平面2102内に位置する基板面2150に投影する。本発明によれば、物体側の光線束2142は、正の主光線角度γを有する主光線CRPを有する。図にはさらに、マスク2140の近傍における物体平面2103の面法線方向NOも示されている。基板2150は支持構造物2130によって支持または保持されており、その支持構造物2130が基板2150を投影対物系2101に対して動かすことによって、投影対物系2101がマスク2140の像を基板2150の様々な領域に投影する。
【0064】
投影対物系2101は、光軸2105を含む。図1aに示すように、投影対物系2101は、マスク2140の、投影対物系2101の光軸を含まない部分を像平面2102に投影させる。光源2110は、マイクロリソグラフィ投影露光装置を動作させるために用いられる動作波長λの電磁放射を行うように選択される。記載した例のいくつかでは、光源2110は、EUV放射を発するレーザ・プラズマ源またはプラズマ放電源である。代替として、他の波長に適した光源を用いることも可能であり、たとえば、電磁スペクトルの青帯域またはUV帯域の放射を、たとえば、それぞれ365nmまたは248nmで行う発光ダイオード(LED)などを用いることが可能である。これは特に、広帯域光源が鏡システムとともに用いられるシステムの場合に好ましい。
【0065】
マイクロリソグラフィ投影露光装置の動作波長λは、電磁スペクトルの紫外帯域または極紫外(EUV)帯域にある。動作波長は、たとえば、193nm以下、特に100nm以下であることが可能である。本明細書に記載の実施形態の例では、動作波長は、たとえば、193nm程度であり、好ましくは157nm程度であり、特に好ましくは、EUV帯域の波長(具体的には、13nmの近傍)である。
【0066】
特に短波長である放射を用いることが特に望ましく、これは、投影対物系の光学分解能が、一般に、用いられる動作波長に比例するからである。この理由により、より短い波長を用いる投影対物系は、より長い波長を用いる同種の投影対物系に比べて、像の、より微細な構造を解像することが可能である。
【0067】
照明系2120は、ほぼ均一な強度分布を有する平行光ビームを発生させる光学部品を含む。照明系2120はさらに、光束2122をマスク2140に方向付けるよう動作する光学的構成を含む。特に好ましい実施形態では、照明系2120はさらに、光線束の固有の偏光特性を発生させる部品を含む。
【0068】
像平面2102は、物体平面2103から距離Lだけ離れており、この距離を、投影対物系2101の全長Bとも称する。
【0069】
本明細書に記載の実施形態の例では、この全長は、1メートルから約3メートルの範囲にあり、好ましくは、約1.3m〜2.5mの範囲にある。
【0070】
実施形態の特定の例では、全長は2m未満であり、たとえば、1.9m未満であり、好ましくは1.8m未満であり、より好ましくは1.7m未満であり、さらに好ましくは1.6m未満であり、特に好ましくは1.5m未満である。
【0071】
投影対物系2101は、像平面2102内の投影視野の、対応する寸法に対する、物体平面2103内の視野の寸法の比に該当する結像係数を有する。一般に、リソグラフィ・システムに用いられる投影対物系は、縮小投影対物系であり、これは、像の寸法が物体の寸法より小さいことを意味する。したがって、いくつかの例では、投影対物系2101が、物体平面2103の寸法の2分の1から10分の1(好ましくは4分の1から5分の1)に縮小された像寸法を有する視野を像平面2102内に生成することが可能である。しかしながら、拡大像、または物体と同サイズの像を生成する投影対物系を開発することも可能である。
【0072】
図1cは、物体を像平面2102に投影する光束の周縁光線2152を示す。周縁光線2152は、光線の円錐を決めている。
【0073】
光線の円錐の角度は投影対物系2101の像側開口数(NA)に関連付けられる。像側開口数は、NA=n0・sinΘNAで表される。n0は、基板2150の付近の媒体の屈折率である。この媒体は、たとえば、空気、窒素、水、または真空である。記号ΘNAは、投影対物系2101の周縁光線によって決まる角度を表している。
【0074】
一般に、投影対物系2101は、像側の開口数NAが比較的大きい。たとえば、投影対物系2101の像側開口数NAは、いくつかの実施形態では0.15より大きく、特に0.20より大きく、0.25より大きい場合さえある。投影対物系2101の光学分解能は、一般に、波長および像側開口数NAの関数として変動する。
【0075】
投影対物系の分解能に対する、波長と像側開口数との関係は、次式で概算することが可能である。
R=k・(λ/NA)
ただし、Rは、投影対物系の最小分解能であり、kは、プロセス係数と呼ばれる無次元係数である。プロセス係数kは、様々な因子(たとえば、像投影の偏光特性や、選択された照明モード)の関数として変動する。プロセス係数kは、一般に、0.4〜0.8の範囲にあるが、用途によっては、0.4を下回ることも0.8を上回ることもありうる。
【0076】
いくつかの実施形態における投影対物系2101は、分解能が比較的高い(すなわち、Rの数値が比較的小さい)。たとえば、分解能Rの値は150nm以下であり、好ましくは130nm以下であり、さらに、より好ましくなる方向には、100nm以下、75nm以下、50nm以下、40nm以下、35nm以下、32nm以下、30nm以下、28nm以下、25nm以下、22nm以下、20nm以下、18nm以下、15nm以下、14nm以下、13nm以下、12nm以下、11nm以下であり、最も好ましくは10nm以下である。投影対物系2101によって形成される像の品質は、様々な方法で定量化することが可能である。
【0077】
たとえば、像の、理想的な像点からの偏差の測定値または計算値に基づいて、像を特徴付けたり、像の品質レベルを定量化したりすることができる。これらの偏差は、通常、収差と呼ばれる。波面の、理想的な、または所望の形状からの収差を定量化するために用いられる尺度として、二乗平均平方根波面収差またはRMS値WRMSが知られている。WRMSの定義は、たとえば、「Handbook of Optics」(Vol.1、2nd part、Michael Bass (McGraw Hill),Inc.(1995)、35.3頁)に示されている。一般的な法則として、対物系のWRMS値が低いほど、波面の、所望の、または理想的な形状からの偏差が小さくなり、像の品質が良好になる。
【0078】
好ましい実施形態では、投影対物系2101は、像平面2102内の像のWRMS値が非常に小さい。たとえば、投影対物系2101のWRMS値は約0.1・λ以下であり、好ましくは0.07・λ未満であり、さらに、より好ましくなる方向には、0.07・λ未満、0.06・λ未満、0.05・λ未満、0.045・λ未満、0.04・λ未満、0.035・λ未満、0.03・λ未満、0.025・λ未満、0.02・λ未満、0.015・λ未満、0.01・λ未満、0.008・λ未満であり、最も好ましくは0.006・λ未満である。
【0079】
像の品質を評価するために用いることが可能な別の尺度として、像視野の湾曲(像側湾曲と呼ばれる)がある。像側湾曲は、視野点の関数としての、焦点面の軸位の山−谷間の変動(言い換えると、焦点面の最大視野変動)として定義される。いくつかの実施形態では、投影対物系2101は、像平面2102内の像の像側湾曲が比較的小さい。たとえば、投影対物系2101の像側湾曲は20nm未満であり、好ましくは15nm未満であり、さらに、より好ましくなる方向には、12nm未満、10nm未満、9nm未満、8nm未満、7nm未満、6nm未満、5nm未満、4nm未満、3nm未満、2nm未満であり、最も好ましくは1nm未満である。
【0080】
投影対物系の光学性能を評価するために用いることが可能な別の尺度として、歪みがある。歪みは、視野点に依存する、像平面内の像点の理想的な位置からの像点の偏差の最大絶対値として定義される。いくつかの例における投影対物系の歪みは比較的小さく、10nm以下であり、好ましくは9nm以下であり、さらに、より好ましくなる方向には、8nm以下、7nm以下、6nm以下、5nm以下、4nm以下、3nm以下、2nm以下であり、最も好ましくは1nm以下である。
【0081】
投影対物系は、反射光学投影対物系であっても、反射屈折光学投影対物系であってもよい。反射光学投影対物系は、たとえば鏡などのような、排他的反射性光学要素を有する。反射屈折系は、反射性であり屈折性である光学要素を有する。
【0082】
対物系が反射系として構成されている場合、対物系は、マスク2140から基板2150に伝搬する放射が鏡に反射して、マスク2140の像が基板2150の表面に形成されるように配置された多数の鏡を含む。以下のパラグラフに記載したように構成された、特殊な設計の投影対物系がある。一般的に言えば、鏡の数、サイズ、構造は、投影対物系2101の所望の光学特性と、投影露光装置2100の物理的境界条件とによって決まる。
【0083】
投影対物系2101内の鏡の数は、様々であってよい。一般に、鏡の数は、対物系の光学特性に対して課せられる様々な要件に関連する。
【0084】
特定の実施形態では、投影対物系2101の鏡の数は2枚以上であり、好ましくは4枚以上であり、さらに、より好ましくなる方向には、5枚以上、6枚以上、7枚以上であり、最も好ましくは8枚以上である。対物系の鏡が物体平面と像平面との間に配置される、本発明の特に好ましい実施形態では、投影対物系2101が偶数枚(たとえば、4枚、6枚、または8枚)の鏡を有する。
【0085】
投影対物系2101は、一般に、正の光学的屈折力を有する1枚または複数枚の鏡を含む。これは、言い換えると、鏡の反射部分が凹面を有し、したがって、凹面鏡または凹形鏡と呼ばれることを意味する。投影対物系2101は、2枚以上(たとえば3枚以上、特に4枚以上)の凹面鏡を含むことが可能である。投影対物系2101はさらに、負の光学的屈折力を有する1枚または複数枚の鏡を含むことも可能である。これは、1枚または複数枚の鏡が凸面の反射部分を有することを意味する。この種の鏡も、凸面鏡または凸形鏡と呼ばれる。いくつかの実施形態では、投影対物系2101は、2枚以上(特に3枚以上、さらに特に4枚以上)の凸面鏡を含むことが可能である。
【0086】
特定の実施形態では、物体平面2103から発せられた放射が1つまたは複数の中間像を形成するように、鏡が投影対物系2101内に配置される。
【0087】
1つまたは複数の中間像を有する、本発明の実施形態は、2つ以上の瞳平面を含む。好ましい実施形態では、それらの瞳平面のうちの少なくとも1つに、開口絞りが、物理的にアクセスできるように配置される。
【0088】
鏡は、一般に、ある角度または角度範囲内で鏡の表面に入射する、投影対物系の動作波長の光の大部分を、ほぼ反射するように構成される。鏡は、鏡の表面に入射する、波長λの放射の、たとえば、50%超を反射し、好ましくは60%超、より好ましくは70%超、さらに好ましくは80%超、最も好ましくは90%超を反射するように構成される。いくつかの実施形態では、鏡に複数の層のスタック(いわゆる多層スタック)が塗布され、これらの層は様々な材料からなり、スタックは、表面に入射する波長λの放射をほとんど反射するように設計される。スタックの各塗膜の光学的厚さは、約λ/4である。多層スタックは、20個以上の層、好ましくは30個以上の層、より好ましくは40個以上の層、特に好ましくは50個以上の層を含む。多層システムは、10nm〜30nmの波長範囲の放射(たとえば、波長λが13nmまたは11nmの放射)を反射する鏡を形成するために、たとえば、モリブデンとシリコン、またはモリブデンとベリリウムからなる複数の交互層の組で構成される。
【0089】
特定の実施形態における鏡は石英ガラスで作られ、アルミニウムの単層を塗布される。たとえば、波長が約193nmの場合には、このアルミニウムの単層の上に、MgF2、LaF2、Al2O3などの材料からなる誘電体層が重ねられる。
【0090】
一般に、放射の、鏡で反射する部分は、放射の、鏡の表面への入射角の関数として変動する。像を生成する放射は、反射光学投影対物系内の複数の異なる経路を伝搬するので、放射の入射角は、鏡同士の間で異なることがある。このことを図1dに示した。この図は、鏡2300の一部分の、メリジオナル平面に沿う断面を示している。鏡2300は、凹面反射性鏡面2301を含む。異なる経路を通って面2301に到達した、像を生成する放射は、たとえば、光線2310、2320、2330で表される経路を含む。光線2310、2320、2330は、鏡面2301の一部分に入射する。鏡面2301のその部分において、鏡面上の面法線方向は変化し、光線2310、2320、2330の入射点に対して線2311、2321、2331で表される。光線2310、2320、2330は、それぞれ角度Θ2310、Θ2320、Θ2330で表面に入射する。
【0091】
投影対物系2101内のすべての鏡について、像を生成する光線の入射角を様々な形式で表現することが可能である。可能な表現形式の1つでは、投影対物系2101のメリジオナル断面における、各鏡に入射する光線のそれぞれの最大角度を用いる。この最大角度をΘmaxで表す。一般に、角度Θmaxは、投影対物系2101の異なる鏡の間で異なることが可能である。本発明の特定の実施形態では、投影対物系2101のすべての鏡についての全体の最大値(Θmax)maxは、60°以下であり、好ましくは55°以下、特に50°以下、最も特に45°以下である。いくつかの例では、全体の最大値(Θmax)maxは、比較的小さく、たとえば、40°以下であり、好ましくは35°以下、より好ましくは30°以下、特に25°であり、最も特に20°以下である。
【0092】
別の可能性として、鏡に対する入射光を、物体平面内で照らされる視野の中心視野点の主光線の、メリジオナル断面における、各鏡に対する入射角度を用いて特徴付けることが可能である。この角度をΘCRで表す。主光線角度ΘCRに関しては、前書き部分で前述した内容も参照する。この場合も、投影対物系内の最大角度ΘCR(max)を、中心視野点の最大主光線角度として定義することが可能である。この角度ΘCR(max)は、比較的小さく、たとえば、40°未満、好ましくは35°未満、より好ましくは30°未満、特に25°未満、より特に20°未満、さらに特別に15°未満である。
【0093】
投影対物系2101内の各鏡はさらに、投影対物系2101のメリジオナル断面における入射角度の範囲によって特徴付けられることもある。各鏡ごとの、角度Θの変動範囲をΔΘで表す。各鏡ごとの範囲ΔΘは、角度Θ(max)と角度Θ(min)との差として定義され、Θ(min)は、投影対物系2101のメリジオナル断面における、鏡面に入射する、像を形成する光線の最小入射角度を表し、Θ(max)は、既に前で定義したように、鏡面に対する、像を形成する入射光線の最大角度を表す。範囲ΔΘは、一般に、投影対物系2101内の鏡同士の間で異なり、鏡によっては比較的小さいことが可能であり、たとえば、25°未満、好ましく20°未満、特に15°未満、さらに特に10°未満である。一方、投影対物系2101内の他の鏡については、ΔΘは比較的大きい。たとえば、ΔΘは、20°以上であり、特に25°以上、特に好ましくは30°以上、さらに好ましくは35°以上、特に好ましくは40°以上である。いくつかの実施形態では、すべての範囲ΔΘに対する最大値ΔΘmax、すなわち、各鏡ごとの変動範囲ΔΘの、投影対物系2101のすべての鏡を通しての最大値は、比較的小さく、たとえば、25°未満、特に20°未満、さらに特に15°未満、よりさらに特に12°未満、さらに特に10°未満、よりさらに特に8°未満である。
【0094】
図1eは、投影対物系で用いられるタイプの鏡2660の例を示す。鏡2660の形状は、円環の一部分、すなわち、直径Dの円形鏡2670の一部分である。鏡2660は、x方向に最大寸法Mxを有する。実施形態の例では、寸法Mxは、800mm以下、好ましくは700mm以下であり、さらに、より好ましくなる方向には、600mm以下、500mm以下、400mm以下、300mm以下、200mm以下であり、最も好ましくは100mm以下である。
【0095】
鏡2660は、メリジオナル断面2675に対して対称である。メリジオナル平面は、局所座標系のy軸とz軸によって定義される。鏡2660は、メリジオナル線2675の方向の寸法Myを有し、MyはMxより小さくても大きくてもよい。円形鏡の場合、たとえば、開口絞り平面内に配置された鏡の場合は、MxとMyの寸法が等しい(すなわちMx=My)。いくつかの実施形態では、Myは、0.1Mx近辺にあり、好ましくは0.2Mx以上であり、さらに、より好ましくなる方向には、0.4Mx以上、0.5Mx以上、0.6Mx以上、0.7Mx以上、0.8Mx以上であり、最も好ましくは0.9Mx以上である。一方、特定の実施形態におけるMyは、1.1Mx以上であり、好ましくは1.5Mx以上、または2Mx〜10Mxの範囲である。Myは、約800mm以下、好ましくは700mm以下であり、さらに、より好ましくなる方向には、600mm以下、500mm以下、400mm以下、300mm以下、200mm以下であり、最も好ましくは100mm以下である。
【0096】
投影対物系の鏡は、光軸2105と鏡とが交差するように配置されるが、光軸2105と鏡とが交差しないように配置されてもよい。
【0097】
投影対物系2101は、設計次第で、様々な形状とサイズの鏡を広く含む。いくつかの例では、投影対物系の各鏡の最大寸法Dは、1000mm以下であり、特に900mm以下、好ましくは800mm以下、特に好ましくは700mm以下である。
【0098】
一般に、投影対物系2101の視野の形状は、様々なであってよい。図1fは、円環視野とも呼ばれる円環部分2700を示す。円環部分2700は、x寸法のDx、y寸法のDy、半径寸法Drによって特徴付けられる。DxとDyは、それぞれ、x方向とy方向で測定された視野寸法である。これらの寸法の大きさは、以下の説明の中で指定される。たとえば、像平面内の26×2mm2の視野の場合は、寸法Dxが26mmであり、Dyが2mmである。寸法Drは、光軸2105から視野2700の内側のへりまでを計測した円環半径を表す。円環視野部分2700は、線2710で示される、y/z平面に平行な平面に対して対称である。一般に、Dx、Dy、Drの大きさは、投影対物系2101の設計に応じて様々である。通常、DxはDyより大きい。物体平面2103内と像平面2102内の視野寸法または視野測定値の相対的な大きさDx、Dy、Drは、投影対物系2101の拡大率または縮小率の関数として、様々な値をとる。いくつかの例では、像平面2102内のDxは、比較的大きく、たとえば、1mmより大きく、好ましくは3mmより大きく、さらに、より好ましくなる方向には、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、10mm、11mm、12mm、13mm、14mm、15mm、18mm、20mm、25mmより大きく、特に好ましくは30mmより大きい。像平面2102内の寸法Dyは、0.5〜5mmの範囲にあり、たとえば、最大1mm、好ましくは最大2mm、特に最大3mmであり、特に好ましくは最大4mmである。通常、像平面2102内のDrは、10〜50mmの範囲にあり、たとえば15mm以上、あるいは特に20mm以上、好ましくは25mm以上、特に好ましくは30mm以上である。
【0099】
一般的に言うと、たとえば矩形視野のような、他の視野形状の場合、投影対物系2101の像平面2102内の最大視野寸法または視野測定値は、1mmより大きいことがあり、好ましくは3mmより大きく、さらに、より好ましくなる方向には、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、10mm、11mm、12mm、13mm、14mm、15mm、18mm、20mm、25mmより大きく、特に好ましくは30mmより大きい。図1eはさらに、中心視野点Zを示している。中心視野点Zは、局所x−y−z座標系の原点を定義する。走査型マイクロリソグラフィ・システムの場合、y方向は、一般に走査方向を示す。
【0100】
一般に、投影対物系2101は、市販の光学設計プログラム(たとえば、ZEMAX、OSLO、Code V)を用いることにより、最適化と解析が可能である。波長、視野サイズ、開口数が、最初に決まって、投影対物系に必要とされる光学特性(たとえば、波面収差、テレセントリック性、均質性、歪み、像側湾曲など)を最適化することが可能である。以下では、本発明を実現する例を、光学データを用いて詳細に説明する。ここで示す光学データはすべて、Code F形式で与えられる。
【0101】
図1gは、米国特許出願公開第2005/088760号で開示された、従来技術のマイクロリソグラフィ投影露光装置を詳細に示した図である。投影対物系1のバック・フォーカスは負である。照明系は、一次光源3と集光光学要素(いわゆるコレクタ)5を含む。コレクタ5は、かすめ入射コレクタである。光源から発せられた放射は、スペクトル・フィルタ7と開口絞り9によって、開口絞りの後では使用可能な(たとえば、波長が13.5nmの)放射だけが残るようにフィルタリングされる。格子要素の形のスペクトル・フィルタは、格子要素に入射する光を様々な方向に(たとえば、一次回折で)回折させる。開口絞りは、一次回折における、一次光源3の中間像11の中または近くに配置される。投影露光装置はさらに、第1のファセットを有する第1のファセットされた光学要素13(小さなファセット鏡として構成された、いわゆる視野ラスタ要素)と、第2のファセットを有する第2の光学要素15(いわゆる瞳ラスタ要素)とを含む。視野ファセットを含む第1の光学要素13は、一次光源3から到着した入射光束17を多数の光束に分解する。これらの各光束は、瞳ラスタ要素を有する第2の光学要素15が配置された場所またはその近くで合焦し、二次光源を形成する。
【0102】
図示した例のように、視野ラスタ要素が、照明される視野の形状を有する場合は、視野を整形する鏡を設ける必要がない。
【0103】
マイクロリソグラフィ投影露光装置の物体平面20においては、移送台19上にレチクルが配置される。物体平面20内に配置されたレチクルは、同様に搬送台23上に配置された感光基板22(たとえば、ウェハ)に、投影対物系1によって投影される。ここに示した投影対物系は、共通光軸HAに対して調整された配置の6枚の鏡、すなわち、第1の鏡S1、第2の鏡S2、第3の鏡S3、第4の鏡S4、第5の鏡S5、第6の鏡S6を含む。投影対物系1は、入射瞳のバック・フォーカスが負である。照明系の第2のファセットされた光学要素15は、関連する鏡像化入射瞳REの平面の中または近くに配置される。
【0104】
図1gから明らかであるように、従来技術の投影対物系の構成では、照明系と投影対物系との間で光線経路がそれ自体と交差するため、このシステムは、照明系を投影対物系から分離させようなモジュール構成には適さない。
【0105】
図1hは、本明細書において示した投影対物系の実施形態の多くの場合の光線経路を示しており、この投影対物系は、投影対物系の物体平面51の領域と、物体平面から像平面までの光線経路において最初に入射する鏡S1の領域とにおいて負のバック・フォーカスを有する(図1hでは像平面を示していない)。図1hの記号CREは、第1の鏡に入射する入射主光線を示し、CRRは、物体視野の同一視野点(たとえば、中心視野点)に属する反射主光線を示している。図1hからわかるように、本発明の好ましい実施形態では、投影対物系のメリジオナル平面内の入射光束の主光線CREは、鏡S1の表面に反射した光束の主光線CRRと、投影対物系の光軸HAとの間にある。
【0106】
さらに図1hでは、局所x−y−z座標系と、物体視野が形成される物体平面51に垂直な法線方向NOと、主光線CREが物体平面51内の物体(図示せず)に反射する場合の正の主光線角度γとを示している。
【0107】
図2aは、入射瞳のバック・フォーカスが負である6鏡式投影対物系の第1の実施形態を示しているが、これは、マイクロリソグラフィ投影露光装置のモジュール式設計構成には適さない。図2aによる対物系は、物体平面100、像平面102、第1の鏡S1、第2の鏡S2、第3の鏡S3、第4の鏡S4、第5の鏡S5、第6の鏡S6を有する。
【0108】
図2aから明らかであるように、この図に示した投影対物系における物体平面100から像平面102までの光線経路には中間像が形成されない。この対物系は、開口絞り平面104を1つだけ有し、これは、図示した例では、第5の鏡に接する場所、すなわち、第5の鏡S5と第6の鏡S6からなる、対物系の後方部分に位置する。開口絞り平面104をこのように配置することにより、対物系の前方部分の中の鏡S1とS2を光軸HAから離して配置することが可能になる。この種の投影対物系を、物体平面内に反射性物体を有する投影露光装置において用いる場合は、対物系の前方部分の中の鏡を光軸から離して配置することにより、照明系の部品(具体的には、照明系のファセットされた光学要素)を、投影系の光軸上のこの空間に、つまり、鏡像化入射瞳REの中または近くに配置することが可能になる。図2aに示した投影対物系は、像側開口数NAが0.25であり、縮小率が4である。像平面に投影された視野の視野サイズは2×26mm2であり、これは、y軸(図1eを参照)方向に測定された視野の寸法Dyが2mmで、寸法Dxが26mmであることを意味する。図2に示した例では、第1の鏡S1の鏡面に入射する入射光線束の主光線CREは、反射光線束の同じ視野点に対応する反射主光線CRRと投影対物系の光軸HAとの間のメリジオナル平面上にある。図にはさらに、平面103内にある、投影対物系の鏡像化入射瞳REを示している。物体平面から像平面に伝搬する光ビーム105の主光線CRの、光軸との交差点は、参照符号「CROSS」で示されている。本発明によれば、この、「CROSS」で示された交差点は、対物系の後方部分の、鏡像化入射瞳REがある平面103と、交差点CROSSを含む平面との間のメリジオナル断面の中にある。図2aの構成における投影対物系は、分解能が22nmであり、像側波面収差RMSが0.008λであり、像側湾曲が7nmであり、歪みが2.5nmである。対物系は、中間像を有さず、アクセスできる開口絞り平面104を有する。前述のように、開口絞りBは、第5の鏡に接する、(同時に瞳平面でもあり、交差点CROSSを含む)アクセスできる開口絞り平面104の中に形成される。図2aはさらに、交差点CROSSを含む平面104の、物体平面100からの光軸HA方向の距離A1と、鏡像化入射瞳REを含む平面103の、物体平面100からの距離A2とを示している。この2つの距離は、規則A2<A1に適合する。さらに図2aは、第1の副対物系(SUBO1)と第2の副対物系(SUBO2)を示している。第2の副対物系(SUBO2)は開口絞りBを含む。
【0109】
さらに図2aからわかるように、投影対物系は、2つの部分系、すなわち、第1の部分系PART1と第2の部分系PART2に細分される。鏡S1とS2を有する第1の部分系PART1は、鏡S3、S4、S5、S6を有する第2の部分系PART2から、光軸HA方向に距離DISだけ離れている。
【0110】
距離DISは、第1の部分系PART1において物体平面100から最も距離がある鏡の裏面と、第2の部分系PART2において像平面102から最も距離がある鏡の裏面との間の距離として定義される。図示したケースにおいては、距離DISは、第1の鏡S1の裏面と第4の鏡S4の裏面との間の距離である。
【0111】
物体平面100と像平面102との間の距離は1500mmであり、メリジオナル断面において計測された、すべての鏡のうちの最大鏡径、すなわち、最大寸法Myは131mmであり、x方向に計測された、すべての鏡のうちの最大鏡径、すなわち、最大寸法Mxは370mmである。
【0112】
第1の鏡S1から、第2の鏡S2、第3の鏡S3、第4の鏡S4、第5の鏡S5、第6の鏡S6までのシーケンスにおいて、それぞれの鏡の湾曲はN−P−P−N−N−P、すなわち、凸−凹−凹−凸−凸−凹である。
【0113】
第1の実施形態の主光線角度γ、すなわち、物体平面100内の視野の中心視野点に対応する、主光線CRの角度は、面法線方向に対してγ=7°である。光軸から中心視野点までの距離は132mmである。これらのデータに基づいて、鏡像化入射瞳REの、物体平面からの最大距離が1075mmであることが計算できる。図2aに示した実施形態の光学データを、図2bとして添付した表1にCode V形式でリストする。Code V形式の表の用語については、当業者であれば自明である。反射系についてのCode V表では、厚さは、鏡系の文脈では、隣接する2つの光学的表面の間の空間の厚さ、すなわち、光線経路において直接連なる2つの光学的表面の間の光軸方向の距離を意味する。
【0114】
図3aは、中間像を有さず、入射瞳のバック・フォーカスが負である、本発明による6鏡式投影対物系の第2の実施形態を示す。この実施形態は、像側開口数NAが0.30であり、視野サイズDy×Dxが2×26mm2であり、縮小率が4xである。像側波面収差は0.03λであり、像側湾曲は18nmであり、歪みは4nmである。物体平面から像平面までの鏡のシーケンスにおいて、鏡の湾曲はN−P−P−N−N−P、すなわち、凸−凹−凹−凸−凸−凹と続く。この投影対物系は、アクセスできる開口絞り平面104を含む。開口絞りBは、第5の鏡に接する、アクセスできる開口絞り平面104の中に配置される。開口絞り平面は、同時に、主光線CRと光軸HAとの交差点CROSSを含む瞳平面でもある。物体平面100から像平面102までの距離は1600mmであり、メリジオナル断面における、すべての鏡のうちの最大寸法Myは176mmであり、x方向に計測された、すべての鏡のうちの最大鏡径、すなわち、最大寸法Mxは459mmである。
【0115】
中心視野点における主光線角度は、物体においてγ=7°であり、光軸から中心視野点までの距離は159mmである。平面103内の鏡像化入射瞳REの、物体平面100からの軸方向の距離A2は1295mmである。図2aに示した要素と類似する要素には、同じ参照符号が付いている。図2aと同様に、第1の鏡S1の表面に入射する入射光線束の主光線CREは、光軸と、第1の鏡の表面に反射した、同じ視野点に対応する光線束の主光線CRRとの間のメリジオナル断面内にある。中心視野点の主光線CRと、投影対物系の光軸HAとの交差点CROSSは、幾何学的には、投影対物系の鏡像化入射瞳REを有する平面103と像平面102との間に位置する。交差点CROSSを含む平面104と物体平面との間の光軸方向の距離は参照符号A1で示されており、鏡像化入射瞳を含む平面103と物体平面との間の光軸方向の距離は、参照符号A2で示されている。この実施形態では、A2はA1より短い。これは、交差点CROSSが鏡像化入射瞳REと像平面との間に位置するためである。
【0116】
図3aからわかるように、主光線の、物体平面100から像平面102までの光線経路上には、光軸との交差点CROSSが1つだけ存在する。したがって、本発明によれば、投影対物系のすべての交差点が、鏡像化入射瞳REの面103と像平面102との間にある。
【0117】
第2の実施形態は、同様に、互いに距離DISだけ離れた2つの部分系、すなわち、第1の部分系PART1と第2の部分系PART2とを含む。
【0118】
図3aによる第2の実施形態の、Code V形式の系データを図3bの表2にリストした。
【0119】
図4は、図2aと図2bの実施形態による投影対物系を有するマイクロリソグラフィ投影露光装置を示す。図4からわかるように、投影系の光線パターンと照明系の光線パターンとの間に交差がない。この点は図1gの系と異なる。言い換えると、照明光線束211は、最後から2番目の光学部品206から(レチクルなどの物体が配置される)物体平面212までの光線経路において、投影対物系内を物体平面212から像平面214に進む、像を生成する光線パターン213と交差しない(レチクルにおいて発生する必要な交差を除く)。このケースでは、メリジオナル平面は、図面の、光軸HAを含む平面である。投影露光装置の両部分(すなわち、照明系と投影系)の光学要素は、別々の設計エンベロープに配置される。照明系の光学要素は、第1の設計空間B1に配置され、投影系の光学要素は、第2の設計空間B2に配置される。第1の設計空間B1は、たとえば壁Wによって、第2の設計空間B2と隔てられる。異なる2つの設計空間B1とB2を分離することにより、投影露光装置のモジュール設計構造が可能になる。さらに図からわかるように、たとえば、二重にファセットされた照明系の瞳ファセット鏡208を取り付けるのに十分な空間がある。
【0120】
図4に示した、100nmより長い波長で動作する投影露光装置は、具体的にはEUVリソグラフィ用である投影露光装置の一例であり、像側開口数NAが0.25以上(好ましくは0.26超)であり、垂直入射反射を有する光学要素が10個未満であって、照明系の光線パターンと投影系の光線パターンとの間の光線の交差が回避される。
【0121】
図4に示したマイクロリソグラフィ投影露光装置の照明は、光源200と、入れ子型かすめ入射コレクタ202と、スペクトル格子フィルタ204とを含む。スペクトル格子フィルタは、参照符号204で示されているが、スペクトル格子フィルタに続く開口絞りがこの例では示されていない。スペクトル格子フィルタの後の光線経路には、二重にファセットされた照明系の2つのファセットされた光学要素が続く。第1のファセットされた光学要素は、多数の第1のラスタ要素(いわゆる視野ファセット)を含み、参照符号206で示され、第2のファセットされた光学要素(いわゆる瞳ファセット鏡)は、参照符号208で示される。第2のファセットされた光学要素208は、投影対物系の鏡像化入射瞳REの平面内に配置される。投影対物系210の入射瞳のバック・フォーカスが負であることから、鏡像化入射瞳REは、(たとえば、反射性レチクルが配置される)物体平面212の像側にある。物体平面は212で示され、像平面は214、光軸はHA、第1の鏡はS1、第2の鏡はS2、第3の鏡はS3、第4の鏡はS4、第5の鏡はS5、第6の鏡はS6で、それぞれ示される。
【0122】
図5a、5bと図6a、bによる、入射瞳のバック・フォーカスが負であるマイクロリソグラフィ投影対物系の以下の実施形態では、対物系の前方部分における光線束の交差に備えるという設計思想により、マイクロリソグラフィ投影露光装置の、鏡像化入射瞳REの領域内に自由空間が作成される。対物系の前方部分は、物体平面の最も近くに配置される鏡を含む投影対物系の部分である。この種の設計では、特に、図5aと6aの例に示した6鏡式対物系の第2の鏡S2を、投影対物系の光軸HAから大きく離して配置することが可能である。投影対物系の光軸HAを含むメリジオナル平面での光線の交差は、図5a、5bと図6a、6bに示した例においては、物体平面300から第1の鏡S1に進む光線束と、第2の鏡S2から第3の鏡S3に進む光線束との間で発生する。開口絞りBは、第2の鏡S2から第3の鏡S3までの光線経路に配置される。対物系の前方部分の鏡が光軸から大きく離れているため、メリジオナル平面において照明系の光線パターンと対物系の光線パターンとが交差しないマイクロリソグラフィ投影露光装置を設計することが可能であり、それによって、たとえば、図4の系の場合と同様に、照明系と投影対物系との分離が可能である。
【0123】
図5aに示した例は、対物系の前方部分で光線束が交差する6鏡式投影対物系であり、第4の鏡S4と第5の鏡S5との間に中間像ZWが形成される。第1の鏡はS1、第2の鏡はS2、第3の鏡はS3の参照符号で示されており、物体平面300から像平面302までの光線経路内にある第6の鏡は参照符号S6で示されている。図2aと図3aの場合と同様に、図5aは、各鏡の使用可能部分だけを示しており、第1の鏡S1の使用可能部分はN1、第2の鏡S2の使用可能部分はN2、第3の鏡S3の使用可能部分はN3、第4の鏡S4の使用可能部分はN4、第5の鏡S5の使用可能部分はN5、第6の鏡S6の使用可能部分はN6の各参照符号で示されている。鏡の使用可能部分は、物体平面から像平面に伝搬する光束の各光線が入射する領域である。図5による実施形態は、像側開口数NAが0.25であり、縮小率が4xであり、物体平面の視野の視野サイズが2×26mm2(すなわち、Dy=2mmおよびDx=26mm)である。中心視野点の主光線角度は、物体においてγ=7°であり、光軸から中心視野点までの距離は93mmである。これらのデータから計算されるように、鏡像化入射瞳REの、物体平面からの軸方向の距離は757mmである。分解能は22nmであり、像側波面収差RMSは0.006λであり、像側湾曲は1.5nmであり、歪みは6nmである。鏡は、P−P−N−P−N−P、すなわち、凹−凹−凸−凹−凸−凹のシーケンスで連なる。入射瞳と共役である2つの平面(いわゆる瞳平面)312、314が系内に形成される。瞳平面312は、主光線CRと光軸との交差点CROSS1を含み、瞳平面314は、交差点CROSS2を含む。投影対物系は、像側ではテレセントリックであり、したがって、射出瞳は無限遠にある。この系は、射出瞳が遮蔽されていないことを特徴とする。「射出瞳」という用語は、開口絞りの後に来る部分対物系によって生成される開口絞りの像を意味する。2つの瞳平面312、314のうちの、投影対物系の少なくとも一方の側からアクセスできる瞳平面の中に、アクセスできる開口絞りBが配置される。この例の開口絞りBは、第2の鏡と第3の鏡との間に形成される。メリジオナル断面において計測された、すべての鏡のうちの最大鏡径、すなわち、最大寸法Myは157mmであり、x方向に計測された、すべての鏡のうちの最大鏡径、すなわち、最大寸法Mxは389mmである。すべての鏡に対する、中心視野点の主光線の最大角度ΔΘCR(max)は16.4°であり、メリジオナル断面における、すべての鏡に対する最大入射角度Θmax(max)は21°である。各鏡に対する、メリジオナル断面における入射角度の最大帯域幅ΔΘmaxは、すべての鏡に対して17.3°である。
【0124】
物体平面と像平面との間の距離は1550mmである。
【0125】
図5aの例の光学データを、図5bの表3に、Code V形式でリストした。
【0126】
図6aは、中間像を有し、入射瞳のバック・フォーカスが負である、本発明による6鏡式投影対物系のさらなる実施形態を示す。この実施形態は、像側開口数NAが0.30であり、縮小率が4xであり、視野サイズが2×26mm2(すなわち、Dy=2mmおよびDx=26mm)である。中心視野点における主光線角度は、物体においてγ=7°であり、光軸から中心視野点までの距離は106mmである。物体平面300と像平面302との間の距離は1520mmである。鏡像化入射瞳REの、物体平面からの軸方向の距離は754mmである。この系は、分解能が18nmであり、像側波面収差RMSが0.018λであり、像側湾曲が11nmであり、歪みが3.2nmである。6個の鏡は、物体平面から像平面にかけて、P−P−N−P−N−P、すなわち、凹−凹−凸−凹−凸−凹のシーケンスで連なる。物体平面から像平面までの光線経路内に2つの瞳平面が形成され、これらの瞳平面のうちの1つにアクセスできる。開口絞りBは、アクセスできる瞳平面に配置される。開口絞り平面Bは、第2の鏡と第3の鏡との間に形成される。メリジオナル断面において計測された、すべての鏡のうちの最大鏡径、すなわち、最大寸法Myは189mmであり、x方向に計測された、すべての鏡のうちの最大鏡径、すなわち、最大寸法Mxは423mmである。すべての鏡に対する、中心視野点の主光線の最大入射角度ΔΘCR(max)は19°であり、メリジオナル断面における、すべての鏡に対する最大角度Θmax(max)は24.1°であり、すべての鏡に対する入射角度の最大範囲ΔΘmaxは19.8°である。図5aに示した要素と類似する要素は、同じ参照符号で示してある。図5aと図6aの系の両方に共通するのは、対物系の前方部分における鏡の、次のような光軸方向の空間配置である。すなわち、
第2の鏡S2−第4の鏡S4−第1の鏡S1−第3の鏡S3
【0127】
さらに、図5aと図6aの系の両方に共通する点として、開口絞りBが、瞳平面312の中または近くの、第2の鏡S2と第3の鏡との間に配置される。
【0128】
図6aによる実施形態の光学データを図6bの表4にCode V形式でリストする。
【0129】
図6cの実施形態は、図5aと6aによる系の代替実施形態である。図6cの実施形態の開口絞りBは、瞳平面312内の第3の鏡S3に接して位置する。開口絞りを鏡に接して配置することは、通過する光線束が互いに強くは分離されず、したがって、入射角度を小さくできること、または入射角を同じに保つ場合は全体の長さを小さくできること(ここでの例はこれにあたる)の点で有利である。図6cによる系はさらに、すべての鏡に対する入射角度が小さいという点で有利である。対物系の前方部分における鏡の空間配置は次のとおりである。 すなわち、
第4の鏡S4−第2の鏡S2−第1の鏡S1−第3の鏡S3
図6aの実施形態と比較して、鏡S2と鏡S4の、光軸方向の位置が入れ替わっている。
【0130】
図6cは、前述の系のレンズ部を示す。この系の光学データを、図6dの表5に、Code V形式でリストした。この系の像側開口数NAは0.25であり、視野サイズは2×26mm2であり、視野は円環視野部分として構成される。図6cの系の縮小率は4xであり、像分解能は22nmであり、像側波面収差のRMS値は0.019λであり、像側湾曲は20nmであり、歪みは0.8nmである。全部で6個の鏡が、PPNPNP、すなわち、凹−凹−凸−凹−凸−凹のシーケンスで連なる。全体として、系は2つの瞳平面312、314を有し、その一方にはアクセスできる。アクセスできる瞳平面は、同時に、開口絞りBが配置されている平面でもある。開口絞りBは、第3の鏡に接して配置されている。物体平面100と像平面102との間の距離は1490mmであり、メリジオナル断面において計測された、すべての鏡のうちの最大鏡径、すなわち、最大寸法Myは197mmであり、x方向に計測された、すべての鏡のうちの最大鏡径、すなわち、最大寸法Mxは464mmであり、すべての鏡に対する、中心視野点の主光線の最大入射角度ΔΘCR(max)は16.6°であり、メリジオナル断面における、すべての鏡に対する最大角度Θmax(max)は19.2°であり、メリジオナル断面における、すべての鏡に対する入射角度の最大範囲ΔΘmaxは16.7°である。
【0131】
次の図7〜13は、本明細書で開示したような(または、米国特許出願公開第2005/0088760号にも記載されているような)入射瞳のバック・フォーカスが負である投影対物系の使用に適合するマイクロリソグラフィ投影露光装置の有利な実施形態を示している。
【0132】
周知の従来技術の照明系においては、投影対物系の入射瞳のバック・フォーカスは、正である場合がほとんどである。バック・フォーカスが正である投影対物系を有する投影系では、たとえば、ホログラフィック・ディフューザや、さらには、二重にファセットされた系として構成される照明系の第2のファセットされた光学部品などの光学要素は、投影対物系の入射瞳の中に配置することはできないが、光学要素を用いて、光源から像平面までの光線経路内の、物体平面の後方に位置する入射瞳に、像として投影される。
【0133】
入射瞳のバック・フォーカスが負である投影対物系では、鏡像化入射瞳は、(たとえば、反射性レチクルが配置される)物体平面の像側に位置する。これらの系では、たとえば、ディフューザや、さらには、二重にファセットされた照明系の瞳ファセット鏡などの光学積分器を、鏡像化入射瞳REの中または近くに配置することが可能である。
【0134】
このタイプの系の第1の実施形態を図7に示す。図7による系は、バック・フォーカスが負であって、第1の鏡S1、第2の鏡S2、第3の鏡S3、第4の鏡S4、第5の鏡S5、第6の鏡S6を有する投影対物系1000を含む。さらに、照明系は、入れ子型かすめ入射コレクタ1002を含み、入れ子型かすめ入射コレクタ1002は、光源の下流の光線経路内に位置し、光源1004からの放射をNA≧0.7の大開口の半空間で受け取る。この概略スケッチに示されたコレクタは、回転軸に対して回転対称である鏡シェルを2つだけ有し、各シェルにおいて2つの反射が発生する。もちろん、3つ以上のシェルを有し、シェルごとに3つ以上の反射が発生するコレクタも同様に考えられる。図7に示した実施形態では、光源1004から物体平面1006までの光線経路内に垂直入射鏡1008が配置される。垂直入射鏡1008は、その多層コーティング(たとえば、40層から70層のMo/Siコーティング)により、狭帯域波長フィルタとして動作する。多層コーティングにより狭帯域波長フィルタとして動作する垂直入射鏡を用いるという考え方は、周知の従来技術に属する。このタイプの鏡は様々な位置に動かすことが可能なので、別々の使用可能領域1008.1および1008.2を光線経路内に配置することが可能である。この例では、別の場所への移動は、回転軸RAのまわりを回転することによって行われる。多層鏡1008の、光線経路からはずした領域を、たとえばクリーニングデバイスでクリーニングすることが可能である。さらに、垂直入射多層鏡1008の現在有効な使用可能範囲1008.1、1008.2の上にスペクトル格子フィルタを設置することが可能である。従来技術のスペクトル・フィルタが、使用可能波長でない光を除外する方法では、使用可能波長より著しく大きい(好ましくは使用可能波長の150〜200倍の大きさである)格子平面において少なくとも1格子周期を有する格子に、光源の光が入射する。使用可能波長が、たとえば、約13.5nmであれば、この方法でスペクトル・フィルタとして動作するバイナリ格子の周期性は、ミクロンのオーダーである。
【0135】
光源から第1のファセットされた要素までの光線経路では、図示した実施形態の照明光線経路内に第1の中間像IMIが形成される。中間像IMIの前の照明光線光路内にある光学部品、すなわち、光源1004、コレクタ1002、垂直入射鏡1008は、第1の空間1020において組み合わせられる。この第1の空間1020は、中間像IMIがほぼ位置する場所である唯一の開口部1022を有するスクリーンによって部品の他の部分と隔てられる。第1のファセットされた光学要素は鏡を含み、この鏡は、この例では物体平面内で照明される視野と同じ形状を有する視野ファセットを多数有し、視野ファセット鏡1024と称される。したがって、視野ファセットは、アーチ形に構成される。照明の設定を調整する場合のオプションとして、視野ファセット鏡1024を別の視野ファセット鏡と交換することが可能である。あるファセット鏡を別のファセット鏡と交換することを可能にする方法の1つとして可能性があるのは、たとえば、軸のまわりを回ることが可能な部品に様々なファセット配置の視野ファセット鏡を設置することである。
【0136】
視野ファセット鏡1024は、入射光束を、個々の視野ファセットに関連付けられる多数の光束に分解する。視野ファセットに関連付けられた各光束は二次光源を形成する。この二次光源の場所またはその近くに、第2のファセットされた光学要素が配置されるが、これは、投影対物系の鏡像化入射瞳REが位置する平面の中または近くである。第2のファセットされた光学要素は、瞳ファセット鏡1026とも称され、その上に配置されるラスタ要素は瞳ファセットと称される。視野ファセット鏡と同様に、瞳ファセット鏡1026も、200個から300個のファセットされた要素(このケースでは瞳ファセット)を含む。個々の瞳ファセットは、設定の調整が可能であるように、交換可能に構成されている。瞳ファセット鏡の、使用されない領域には、投影対物系内の光伝搬の経路を妨げないような切り欠きがあってもよい。散乱光を抑圧して、それらが投影対物系に入射しないようにするために、ファセット鏡の上方にスクリーン1030が配置される。チャネル割り当ての変更による設定調整の代替として、瞳ファセット鏡の前のしかるべき場所に開口絞りを設置することも可能であるが、この実施形態には示していない。
【0137】
図8は、光学積分器がディフューザとして構成された、照明系の代替構成を示す。図8の光源は、参照符号2000で示されている。光源2000は、このケースでは、水平方向のポンプ・ジェットを有するレーザプラズマ源である。この配置は、放射源の後方に発せられた放射部分を集めるために、回転楕円体として構成可能な垂直入射鏡2004を含む。可能な代替方法は、複数のコレクタを用いて(たとえば、デュアル・コレクタを用いて)光を集めることである。デュアル・コレクタ系は、斜めに配置された垂直入射コレクタ鏡を2つ有する垂直入射コレクタ系である。コレクタの楕円体の上にスペクトル格子フィルタを組み込むことが可能である。
【0138】
基本的に、ディフューザ2002は、500個から1000個の小さな鏡ファセットを有するディフューザ鏡として、あるいは、ホログラフィック格子網として構成される。
【0139】
図8に示すように、照明系は、非常にコンパクトな設計であり、光源2000、コレクタ2004、ディフューザ2002だけで構成される。入射瞳のバック・フォーカスが負である投影対物系から照明系を隔離するために、マイクロリソグラフィ投影装置内に、スクリーンが、好ましくは冷却可能な保護シールドの形で設置される。このスクリーンは、参照符号2005で示されている。投影対物系は、第1の鏡S1、第2の鏡S2、第3の鏡S3、第4の鏡S4、第5の鏡S5、第6の鏡S6を有する6鏡式投影対物系である。図8に示した系の、光学積分器の形のディフューザ2002は、このケースでも、投影対物系の鏡像化入射瞳REの中または近くに配置される。設計空間が限られていること、および伝搬の角度のために、σ>1という設定は図7と図8による系では不可能である。
【0140】
図8の系では、投影対物系の光源から、照明される物体(たとえば、ウェハ)が配置される像平面までの光線経路に鏡が8枚しかない。しかしながら、図8による系の場合、物体平面内の反射性レチクルは、鏡の数に含まれない。図8による系の代替可能性として、コレクタ2004を他のコレクタ(たとえば、かすめ入射コレクタ)に置き換えることが可能である。そのような、かすめ入射コレクタを有する種類の系であっても、2×26mm2の視野サイズで像側開口数NAが0.25以上(好ましくは0.3以上)とすることが可能な、9枚以下の鏡を有するEUV投影露光装置を指定することができる。
【0141】
σ>1の設定を可能にするためには、たとえば平面鏡を用いて、照明系の光線経路を曲げることが有利である。これを示したのが図9の系である。これまでの例にある部品と類似の部品は、同じ参照符号で示してある。鏡2008を用いて、第2のラスタ要素(図示せず)を有する第2の光学要素2007より前の光線経路を、物体平面2009内に配置されたレチクルに向かって曲げることにより、第1のラスタ要素を有する第1の光学要素2006(すなわち、視野ファセット鏡)を、アクセスしやすい空間に配置することが可能になる。この視野ファセット鏡を、異なる複数の視野ファセット鏡を含む支持物2010に配置することが可能であり、回転軸R1のまわりを回転させることが可能である。この回転可能な支持物は、同じ構成のファセット鏡同士を交換して、交換した鏡が汚れていればクリーニングするように動作することが可能である。別の可能性として、ファセット鏡の支持要素は、異なる複数のファセット鏡(すなわち、ラスタ要素の配置が異なる複数のファセット鏡)を保持して、軸R1のまわりの回転によって様々な照明設定が実現可能であるようにすることも可能である。これらの考え方を組み合わせることも可能である。
【0142】
オプションとして、折り曲げ鏡2008は、屈折力を有する鏡である。図9に示した系では、視野ファセットは、それぞれの瞳ファセットとの間に交差相関を有する。つまり、図9に示したメリジオナル断面において視野ファセット鏡の右側部分にある視野ファセットと、そのメリジオナル断面において瞳ファセット鏡の左側部分にある瞳ファセットとの間に相関関係がある。この交差相関の結果として、光線パターンの狭窄部、すなわち、光源の中間像IMI1が、第1のファセットされた光学要素から第2のファセットされた光学要素までの光線経路に形成される。この狭窄部または中間像IMI1によって、光源2000、コレクタ2004.1、第1のファセットされた光学要素2006を含むユニットを、投影対物系を含むユニットから隔てる保護壁2020の中に、限られた通過開口部OPを配置することが可能となる。さらに、光源の中間像IMI2も、光源2000、コレクタ2004.1、第1のファセットされた光学要素2006を含むユニットの中に形成される。
【0143】
図10は、特にEUVレンジの波長の場合の、マイクロリソグラフィ投影露光装置のさらなる実施形態を示し、ここでは、光学積分器が鏡像化入射瞳の中に配置されない。
【0144】
このマイクロリソグラフィ投影露光装置の照明系は、位置可変または視野依存のディフューザ3006を含む。このディフューザ3006は、鏡像化入射瞳の平面またはその平面と共役である平面に配置されることが必須ではなく、ほぼ任意に選択された平面に配置されるように設計される。このディフューザは、多数の(好ましくは1000個を超える)個別の鏡ファセットを含み、これらの鏡ファセットは、照明系内のディフューザの配置場所に依存する偏向角度を有し、それによって、各ファセットが、光源からの光を受け、その光を、照明系の物体平面3007内に形成された視野(図示せず)の割り当てられた離散点に向ける。物体平面3007内の離散点は、物体平面3007内の視野が、所定の形状(たとえば、アーチ形)で照明されるように選択される。ファセットはさらに、物体平面内の視野の離散点がそれぞれ割り当てられている状態でそのファセットが投影対物系の瞳平面内の特定領域を照明するように配置される。
【0145】
ディフューザ3006は、いわゆる鏡面反射板とも称される。その特徴は、各ファセットのサイズ、位置、傾斜角度がそれぞれ異なり、傾斜角度が、それぞれに関連付けられた視野点によって規定されるという点である。鏡面反射板は、照明される視野とほぼ同じ形状を有することが好ましい。照明される視野がアーチ形であれば、鏡面反射板は腎臓形である。
【0146】
位置可変または視野依存のディフューザ3006の場所は、照明系の設計時に任意に選択できるので、系の他の部分のレイアウトに無関係に、ディフューザ3006にとって最適な場所を選択することが可能である。ディフューザは、系のレイアウトが最適化され、ディフューザのサイズが最適であるように、配置されることが好ましい。位置可変または視野依存のディフューザ3006を有する系を図10に示した。図10の系は、光源3000を含む。光源の光は、コレクタ鏡3002によって集められ、折り曲げ鏡3004に向けられる。折り曲げ鏡3004は、照明系の光線パターンを、投影対物系の光線パターンから隔てるために必要である。鏡3004に入射する光は、反射し、位置可変または視野依存のディフューザ3006に向かう。前述の系と異なり、位置可変または視野依存のディフューザ3006は、鏡像化入射瞳平面やその共役平面ではなく、物体平面のような視野平面やその共役平面でもない、任意に選択された平面に配置される。
【0147】
光源3000からディフューザまでの光線経路において、ディフューザ3006より前に配置された垂直入射鏡3004は、前述の例で示したように、位置可変または視野依存のディフューザに入射する光のフィルタとして動作する役割がある。このフィルタリング作用により、位置可変または視野依存のディフューザは、使用可能な放射(具体的には、波長13.5nmのEUV光)だけを受ける。これにより、ディフューザ3006の放射露光負荷が最小になり、結果として、熱ストレス負荷が軽減され、汚れが少なくなる。
【0148】
垂直入射鏡3004は、軸外円錐成分を有する自由曲面として構成可能であることが好ましい。この種の垂直入射鏡の動作を図11に示す。図11は、垂直入射鏡を(たとえば、軸外円錐成分を有する)自由曲面として設計することにより、腎臓形レイアウトを有する、位置可変または視野依存のディフューザ3006が、腎臓形の、したがってほとんど無損失の照明を受ける様子を示している。
【0149】
図11では、光源から到達する入射光束を参照符号4000で示している。光束4000は、図11に斜視図で示したような円錐成分を有する垂直入射鏡3004に入射し、反射する。この反射によって、位置可変または視野依存の反射板またはディフューザが配置されている平面に生成される照明パターンを、参照符号4502で示した。図11から明らかであるように、位置可変または視野依存のディフューザが配置されている平面における照明は、腎臓形であり、互いにオフセットしている複数の副瞳4504からなる。
【0150】
垂直入射鏡を使用することの代替として、(たとえば、かすめ入射コレクタのシェルを有する)かすめ入射鏡を用いて、ほぼ腎臓形の照明を実現することも可能である。さらに、垂直入射鏡に、照明機能だけでなく、光学機能も持たせることが可能である。この光学機能は、鏡に屈折力を与えるために、球状、環状、またはほぼ非球面の成分を円錐成分に追加することにより実現可能である。
【0151】
図10の系では、ディフューザ3006の光は、かすめ入射鏡3008によって物体平面3007に向けられる。物体平面内の物体は、6枚の鏡S1、S2、S3、S4、S5、S6を有する投影対物系3010によって像平面3022に投影され、像平面3022には、露光される物体(たとえば、ウェハ3024)が搬送台3026に配置されている。投影対物系は、バック・フォーカスが負であり、光軸HAを有する。
【0152】
図10による系により、0.25以上(好ましくは0.3以上)の像側開口数NAで、26×2mm2の視野を照明する投影露光装置が使用可能になる。この投影露光装置は、垂直入射反射が発生する、最大10個以下の要素を有する。
【0153】
図12、13は、位置可変または視野依存のディフューザを照明系に有するマイクロリソグラフィ投影露光装置の代替構成を示す。
【0154】
図12の実施形態では、光線経路において、位置可変または視野依存のディフューザの後に、光を集める垂直入射鏡が続く。図10に示した要素と類似する要素は、同じ参照符号で示してある。光源から像平面までの光線経路において、位置可変または視野依存のディフューザの後に垂直入射鏡3050を配置することは、位置可変ディフューザの個々のファセットを平面鏡として設計できる点で特に有利である。光を集める垂直入射鏡3050は、光源3000の、強度に拡大された像を、レチクルが配置された物体平面3007に生成し、その一方で、位置可変ディフューザが、光源の多数の像の重ね合わせを物体平面3007に与える。図示した例の光線経路において、屈折力を有する垂直入射鏡3050の後に、平面鏡として構成された、さらなる鏡3054が続く。この鏡3054の役割は、光線経路を曲げることである。可能な代替として、第2の垂直入射鏡3054にも屈折力を与えることにより、第1の垂直入射鏡3050と組み合わせて、結像倍率を指定の目標値に設定し、したがって、位置可変ディフューザのサイズを制御することが可能になる。これにより、位置可変ディフューザ3006上の個々のファセット要素が、測定可能なサイズになるように、位置可変ディフューザ3006を非常に大きく設計することが可能になる。位置可変ディフューザ3006とその上に配置された個々のファセットのサイズ次第で、前述のように、熱ストレス負荷を大幅に軽減することが可能である。位置可変ディフューザを、湾曲した搬送台の上で形成することも可能である。
【0155】
図12に示したような位置可変ディフューザを有する系の実施形態では、光源3000の光が、方向反転反射板3060によって集められ、方向反転反射板3060は、位置可変ディフューザ3006上で腎臓形の領域が照明されるように構成される。この例では、図10、11の実施形態の、軸外円錐成分を有する自由曲面の垂直入射鏡と異なり、方向反転反射板が、位置可変ディフューザ3006のほぼ円弧形の照明を与える。
【0156】
位置可変または視野依存のディフューザを有する、特にシンプルな照明系を、図13による例において示す。図10〜12に示した要素と類似する要素は、同じ参照符号で示してある。図13の実施形態では、光源の光が、多数の鏡シェル3070.1および3070.2を有するかすめ入射コレクタ3070によって集められる。かすめ入射コレクタが受けた光は、物体平面3007の直前に配置された位置可変または視野依存のディフューザ3006に向けられる。位置可変または視野依存のディフューザ3006に反射した光は、物体平面3007に向かう。鏡3080を追加し、これによって、ディフューザに反射した光が折り曲げられて物体平面3007に戻ることにより、系の形状的な効率を大幅に高めることが可能である。図13に示した実施形態の特徴は、設計構造が非常にシンプルであることと、照明系の照明光線経路内に中間像がないことである。
【0157】
図12と図13による投影対物系は、入射瞳のバック・フォーカスが負であり、6枚の鏡S1、S2、S3、S4、S5、S6を有する対物系である。
【0158】
本発明は、第1に、マイクロリソグラフィ投影露光装置の照明光線経路と像投影光線経路との間の交差がほとんど避けられるように設計された、入射瞳のバック・フォーカスが負である投影対物系を提供する。そして、これにより、投影露光装置のモジュール設計が実現可能になる。
【0159】
前述のモジュール設計を実現可能にする、入射瞳のバック・フォーカスが負であるマイクロリソグラフィ投影系に加えて、本発明はさらに、光学部品の数が少なく、像側開口数NAが0.25以上(好ましくは0.3以上)であり、像側視野の最大寸法(Dx、Dy)が、1mmより大きく、好ましくは3mmより大きく、さらに、より好ましくなる方向には、4mm、5mm、6mm、8mm、10mm、12mm、15mm、20mmより大きく、特に好ましくは25mmより大きいマイクロリソグラフィ投影系を提供する。このタイプのシステムでは、光源と像平面との間の光学要素に対する垂直入射反射が10以下であることが好ましく、この数には、物体平面内に配置された反射性物体(具体的には反射性レチクル)に対する反射が含まれない。像視野のサイズは、たとえば、2×26mm2であってよい。この文脈において特に有利であるのは、光学積分器を1つしか必要としないマイクロリソグラフィ投影系である。光学積分器が1つしかない系の中でも、特に有利なのは、マイクロリソグラフィ投影露光装置内の任意に選択された場所に光学積分器を配置することが可能であることを特徴とする系である。これらの要件に適合する光学積分器は、具体的には、いわゆる位置可変または視野依存の光学積分器または鏡面反射板である。
【符号の説明】
【0160】
CRB 照明光束の主光線、REFLOBJ 反射性物体、S1 第1の鏡、S2 第2の鏡、γ 主光線角度、NO 法線方向、CRP 投影光束の主光線、VE 入射瞳、RE 鏡像化入射瞳、D 直径、Mx、My 寸法、HA 光軸、S1、S2、S3、S4、S5、S6 鏡、CRE 入射主光線、CRR 反射主光線、CR 主光線、CROSS 光軸との交差点、20 物体平面、22 感光基板、23 搬送台
【技術分野】
【0001】
本発明は、投影対物系および投影露光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許出願公開第2005/0088760号に示されている照明系においては、物体平面内の反射性物体に反射した光線が、分岐経路上の投影対物系に入射する。これは、光軸を有する軸対称投影対物系の場合には、投影対物系の入射瞳のバック・フォーカスが負であることを意味する。また、軸対称系の場合には、物体平面内の反射性物体の場所に正の主光線角度γが存在することを意味する。米国特許出願公開第2005/0088760号に示された例では、正の主光線角度γは、7°未満であり、6°未満であることが好ましい。
【0003】
入射瞳のバック・フォーカスが負である場合は、物体平面上の鏡面反射によって、鏡像化(mirrored)入射瞳平面内に鏡像化入射瞳が得られる。この場合、鏡像化入射瞳平面は、物体平面の像側にある。
【0004】
正のバック・フォーカスが存在するのは、物体平面内の主光線角度γが負である場合、すなわち、物体平面内の反射性物体(たとえば、反射性レチクル)に反射した後の中心視野点の主光線が、光軸に向かって収斂する経路上を進む場合である。入射瞳のバック・フォーカスが正である場合、投影対物系の入射瞳は物体平面の像側にあり、したがって、鏡像化入射瞳平面は物体平面の反対側にある。
【0005】
バック・フォーカスは、物体平面から、物体平面内の照明視野の中心視野点に向けられた主光線が光軸と交差する点までの距離によって決まる。物体またはレチクルの場所における主光線角度が正(たとえば、γ=8°)であって、視野半径r=125mmである場合、バック・フォーカスSEPは、SEP=−R/tanγ=−889.4mmとして得られる。入射瞳のバック・フォーカスが負である系の場合、物体の場所における主光線角度γは正である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0088760号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】「Handbook of Optics」(Vol.1、2nd part、Michael Bass (McGraw Hill),Inc.(1995)、35.3頁)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、入射瞳のバック・フォーカスが負であるマイクロリソグラフィ投影対物系の第1の実施態様が提案され、この実施態様は、少なくとも2つの鏡、すなわち、第1の鏡(S1)と第2の鏡(S2)を含み、物体視野の中心点から発生して、物体平面から像平面にかけて対物系を横断する各主光線CRが、その光線に固有の交差点において、少なくとも1回、光軸(HA)と交差し、各交差点が、幾何学的には、投影対物系の像平面と、投影対物系の鏡像化入射瞳の鏡像化入射瞳平面との間に位置するように、対物系が設計される。「入射瞳」と「鏡像化入射瞳」という用語については、図1aで詳細に説明している。
【0009】
本発明の第1の態様によれば、主光線の、投影対物系の光軸とのすべての交差点が、投影対物系の鏡像化入射瞳平面と像平面との間にある。
【0010】
有利な実施態様では、光軸HAに対して回転対称であるように鏡を配置することが可能である。
【0011】
本発明の有利な実施態様では、少なくとも1つの交差点が、物体平面までの光軸方向の第1の距離A1を有し、鏡像化入射瞳が、物体平面までの第2の距離A2を有し、距離A1とA2は、A2が常にA1より小さいという規則に従い、A2<0.9・A1であることが好ましく、A2<0.8・A1であることがさらに好ましく、A2<0.7・A1であることが特に好ましく、A2<0.5・A1であることが最も好ましい。
【0012】
この種の対物系は、たとえば光学要素を配置するのに十分な設計空間を、鏡像化入射瞳の領域に残している。
【0013】
この応用では、投影対物系は、物体平面から像平面に放射を方向付けるように配置された複数の光学要素を用いて、物体平面から像平面までの放射を結像させるように配置された投影系である。
【0014】
特に、入射瞳のバック・フォーカスが負である、この種の投影対物系を投影露光装置に用いると、モジュール設計の可能性が開ける。投影露光装置は、一般に、照明系と投影対物系とで構成される。照明系は、物体平面内の視野を照明するように動作し、投影対物系は、物体平面内に配置された物体の像を像平面に投影するように動作する。モジュール構成の投影露光装置では、照明系の各要素が第1の設計空間に配置され、投影対物系の各要素が第2の設計空間に配置されるように、光線経路の形状が選択される。したがって、照明系は第1のモジュールを形成し、投影対物系は第2のモジュールを形成する。それぞれのモジュールは装置から隔てられ、したがって、他のモジュールに影響しないようにすることが可能である。たとえば、照明系の保守または調整が必要な場合は、たとえば、投影系に影響を及ぼすことなく、照明系を交換することが可能である。
【0015】
さらに、この種の投影露光装置の特徴は、透過率が高いことであり、これは、米国特許出願公開第2005/088760号に記載されているように、入射瞳のバック・フォーカスが負であることにより、照明系内の鏡を節約することが可能なためである。
【0016】
本発明による系では、たとえば、二重にファセットされた照明系の瞳ファセット鏡のような光学要素を、投影対物系の光軸の領域に、バック・フォーカスを負にして配置することが可能であり、これは、この設計空間が投影対物系の鏡には必要でないためと、さらに、この種のファセット鏡に占有された設計空間を通過する、結像光線パターンの光線がないためである。
【0017】
さらに、本発明の特に有利な実施態様では、別の実施態様であれば光線経路を曲げるために物体平面の前の照明系に配置されるであろうかすめ入射鏡を避けるように、投影系が構成される。この措置も、この種の対物系が用いられているマイクロリソグラフィ投影露光装置の透過率を上げるように作用する。
【0018】
本発明の好ましい実施態様では、投影対物系は、少なくとも4枚の鏡を含み、特に好ましい実施態様では、少なくとも6枚の鏡を含む。
【0019】
本発明の好ましい実施態様では、投影対物系内に開口絞り平面が1つだけ形成される。対物系は、好ましくは、第1と第2の数の鏡を有する第1と第2の副対物系に分割され、第2の副対物系は開口絞り平面を含む。第2の副対物系は、好ましくは、2枚の鏡、すなわち、全部で6枚の鏡を有する実施態様における第5と第6の鏡を有し、第1の副対物系は、第1、第2、第3、第4の鏡を含む。
【0020】
本発明による、入射瞳のバック・フォーカスが負である投影対物系の像側開口数は、好ましくはNA=0.2、より好ましくはNA=0.25、最も好ましくはNA=0.3の条件を満たす。
【0021】
投影対物系の一設計では、第1の鏡の鏡面が凸形鏡面として構成され、第2の鏡の鏡面が凹形鏡面として構成され、第3の鏡の鏡面が凹形鏡面として構成され、第4の鏡の鏡面が凸形鏡面として構成され、第5の鏡の鏡面が凸鏡面として構成され、第6の鏡の鏡面が凹形鏡面として構成される。
【0022】
対物系内部のドリフト経路を可能な限り最長にするために、少なくとも6枚の鏡、またはちょうど6枚の鏡を有する投影対物系の実施態様を、第1と第2の鏡を有する第1の部分対物系と、第3、第4、第5、第6の鏡を有する第2の部分対物系とに細分することが考えられ、その場合、第1の部分対物系と第2の部分対物系との間の光軸に沿ったの幾何学的距離は、対物系の全体長さの30%より長く、好ましくは40%より長く、より好ましくは50%より長く、特に好ましくは、対物系の全体長さの60%より長い。「対物系の全体長さ」という用語は、投影対物系の物体平面から像平面までの、光軸方向に測定された距離を意味する。
【0023】
本発明のさらに好ましい実施態様では、入射瞳のバック・フォーカスが負である投影対物系において、投影対物系の第1の鏡に向かって進む入射主光線(CRE)が、鏡面に反射した主光線(CRR)と投影対物系の光軸(HA)との間の経路上にある、投影対物系のメリジオナル平面の中を伝搬することが考えられる。これを図1hに示す。このケースでは、入射主光線(CRE)および反射主光線(CRR)が、両方とも、同じ視野点(たとえば、中心視野点)に関連付けられる。
【0024】
物体平面から伝搬して第1の鏡に入射する主光線(CRE)が、鏡面に反射した主光線(CRR)と投影対物系の光軸(HA)との間の、投影対物系のメリジオナル平面内を延びる経路にあれば、光学要素(たとえば、照明系の瞳ファセット鏡、またはかすめ入射鏡)を取り付けるのに十分な設計空間を、特に対物系の前方部分に確保することができる。
【0025】
投影対物系の代替実施態様として、物体平面から像平面までの光線経路上に少なくとも1つの中間像を形成することが考えられる。
【0026】
入射瞳のバック・フォーカスが負である投影対物系の代替実施態様では、投影対物系のメリジオナル平面において、物体平面から第1の鏡(S1)までの光線経路が、第2の鏡(S2)から像平面までの光線経路と交差し、物体平面と第1の鏡(S1)との間に鏡が追加配置されないように、対物系が設計される。
【0027】
本文脈における「メリジオナル平面」という用語は、投影対物系の光軸(HA)と、物体平面内の視野の中心視野点とを含む平面を意味する。投影対物系内の光線経路は、対物系の、物体平面に最も近い部分において、自身と交差することが好ましい。投影対物系のこの部分は、レチクルが配置される物体平面までの距離が短い鏡を含む。強く好ましくは、物体から第1の鏡まで進む光束が、第2の鏡から第3の鏡まで伝搬する光束と交差する。これにより、特に、第2の鏡を光軸から遠くに配置することが可能になる。開口絞りは、第2の鏡と第3の鏡との間に配置されることが好ましく、第3の鏡と同様に、物体平面からの軸方向の距離が長い。
【0028】
この種の投影対物系は、4枚の鏡を含むことが好ましく、6枚の鏡を含むことが特に好ましい。
【0029】
入射瞳のバック・フォーカスが負である、本発明による投影対物系においては、第1と第2の鏡の、光軸からの距離を長くすると、光軸と、中心視野点に向かう主光線(CR)との交差点またはその近くに光学要素(具体的には、光学積分器)を配置することが可能になる。
【0030】
米国特許出願公開第2005/0088760号に開示されている、バック・フォーカスが負である系と異なり、本発明による投影対物系の実施態様は、光線経路を曲げるために物体平面の前に鏡を配置することが、もはや不要である。それによって、系の透過率が大幅に上がる。さらに、この種の投影対物系を投影露光装置で使用することにより、照明系の光線経路と投影系の光線経路との交差が避けられ、それによって、投影露光装置は、その空間配置および技術的構成に関して、モジュール設計が可能になる。
【0031】
中間像を有する投影対物系の特に好ましい実施態様では、対物系が6枚の鏡を有する場合には、中間像が、対物系の第4の鏡と第5の鏡との間に形成されることが好ましい。
【0032】
本発明による、バック・フォーカスが負である投影対物系が、6枚の鏡を含む対物系として構成されている好ましい実施態様では、第1の鏡の鏡面が凹形であり、第2の鏡の鏡面が凹形であり、第3の鏡の鏡面が凸形であり、第4の鏡の鏡面が凹形であり、第5の鏡の鏡面が凸形であり、第6の鏡の鏡面が凹形である。
【0033】
開口絞りは、第2の鏡と第3の鏡との間に配置されることが好ましい。投影対物系の像側開口数NAは、0.2より大きいことが好ましく、0.25より大きいことがより好ましく、0.3より大きいことが特に好ましい。
【0034】
好ましい実施態様では、本発明による対物系は、入射瞳のバック・フォーカスが負であり、像側波面収差WRMSが0.01λ未満であり、各鏡において最大入射角度が21°未満である反射光学投影対物系である。像側波面収差WRMSは0.07λであることが好ましく、0.06λであることが特に好ましい。メリジオナル平面における、各鏡に対する最大入射角度は20°であることが好ましい。記号λは、ここでは、物体平面から像平面までの結像光線経路に沿って投影対物系を横断する光の波長を表す。
【0035】
好ましい実施態様の投影対物系は、少なくとも4枚の鏡を有し、物体平面から像平面までの光線経路における第1の鏡と第4の鏡が凸面鏡である。
【0036】
メリジオナル平面内のすべての鏡のうちの最大鏡径は、特に好ましくは190mm未満であり、さらに好ましくは180mm未満である。
【0037】
ここまでに挙げた個々の尺度(たとえば、開口のサイズ、対物系の鏡の数、入射角度、鏡径など)のすべては、本明細書に示したすべての実施態様について(したがって、本発明の趣旨から逸脱することなく)任意の組合せが可能である。これらの組合せのすべてが、本発明についての開示内容の範囲内にある。
【0038】
本発明は、マイクロリソグラフィ投影対物系だけでなく、マイクロリソグラフィ投影露光装置も提供する。本発明によるマイクロリソグラフィ投影露光装置は、照明光束によって横断される照明系を含み、さらに、物体視野が照明される物体平面と、投影対物系とを含み、投影対物系は、物体平面から像平面までの結像光線経路によって横断され、投影対物系は、バック・フォーカスが負である入射瞳を有する。マイクロリソグラフィ投影露光装置は、照明系の、光線経路内の最後から2番目の位置にある光学部品から物体平面まで伝搬する照明光束が、反射性物体(すなわち、レチクル)の近傍を除き、メリジオナル平面内で結像光線経路と交差しないように設計される。
【0039】
入射瞳のバック・フォーカスが負である投影露光装置では、光学要素(たとえば、光学積分器の一部、あるいは第2のファセットされた光学要素(いわゆる瞳ファセット鏡))を鏡像化入射瞳の領域に配置することが可能である。結果として、第2のファセットされた光学要素の像を生成する光学結像要素を省略することが可能である。
【0040】
これにより、バック・フォーカスが正である、従来技術の既知の投影露光装置より透過率が高くなるように、本発明に従って設計されたマイクロリソグラフィ投影露光装置を特定することが可能になる。「透過率」という用語は、光源から発せられた光の一部分が、マイクロリソグラフィ投影露光装置を通過し、投影される物体が配置されている像平面に入射することを意味する。マイクロリソグラフィ投影露光装置内の鏡の数は、透過率に対して特に重要な意味がある。これは、多層鏡の、EUV波長での反射率がせいぜい約70%だからである。第1の設計のマイクロリソグラフィ投影露光装置が、第2の設計のマイクロリソグラフィ投影露光装置より鏡を2枚多く含んでいるとすると、第1の設計のマイクロリソグラフィ投影露光装置における透過率は、その2枚多い鏡によって、第2の設計のマイクロリソグラフィ投影露光装置の約2分の1に下がる。これは、2枚の鏡のそれぞれの反射率が約70%だからである。
【0041】
照明光線経路および投影光線経路が互いに交差しなくなるので、本発明による系の全体設計にモジュール設計を適用することが可能になり、これは、照明系を、その空間配置と技術的構成に関して、投影対物系から隔離することが可能になることを意味する。モジュール設計は、照明系の要素を第1の設計空間に配置し、投影対物系の要素を第2の設計空間に配置することによって達成される。この種のマイクロリソグラフィ投影装置の場合は、非常にシンプルな方法(複数)で、照明系と投影対物系とを隔離することが可能である。
【0042】
本発明の第1の実施態様では、投影対物系が、物体平面から像平面までの光線経路において中間像を有しないように、投影対物系のレイアウトが設計される。代替実施態様では、対物系の、物体平面に最も近い部分(すなわち、物体平面までの幾何学的距離がより短い部分)で、対物系の光線経路同士が交差する。
【0043】
入射瞳のバック・フォーカスが負である対物系を含むマイクロリソグラフィ投影露光装置の照明系は、様々な方法で構成可能である。
【0044】
かくして、第1の実施態様は、照明系が、二重にファセットされた照明系であるように設計することが可能である。
【0045】
二重にファセットされた照明系は、多数の第1のファセット(いわゆる視野ファセット)を有する第1のファセットされた鏡と、多数の第2のファセット(いわゆる瞳ファセット)を有する第2のファセットされた鏡とを有することを特徴とする。上述のように、この種の系は、投影対物系の鏡像化入射瞳の中または近くに瞳ファセットが配置された、第2のファセットされた要素を有する。好ましい実施態様における瞳ファセット鏡は、約200〜300個の瞳ファセットを有することが可能であり、これらは、オプションとして、切換制御されることによって、第1のファセットから第2のファセットへの対応関係が変更されることが可能であるように設計可能である。設定の調整のために第1のファセットから第2のファセットへの対応関係を変更することは、二重にファセットされた照明系において、たとえば、第1のファセットされた光学要素を視野ファセットと交換することによって達成される。波長193nmに対して設計されたシステム、特に波長100nmに対して設計されたシステム、好ましくはEUV波長範囲の10〜30nmに対して設計されたシステムにおいて、ファセットは反射板(すなわち、鏡)として設計される。
【0046】
二重にファセットされた照明系の代わりに、投影対物系の鏡像化入射瞳の中または近くにディフューザが配置された照明系を指定することも可能である。この種のディフューザは、たとえば、多数の拡散中心を有することが可能である。これらの拡散中心は、たとえば、搬送台上に並べられた500〜1000個またはそれ以上の小さな鏡ファセットによって構成されたり、ホログラフィック格子によって形成されることが可能である。このディフューザに入射する光は、拡散中心からすべての方向に散乱する。
【0047】
拡散中心を、主に円形またはやや楕円形に並べることにより、光源からの入射光を、所定形状(すなわち、アーチ形)で、立体角が大きい要素に向かって拡散させる光源が形成される。
【0048】
ディフューザ板を有する、この種の設計の利点は、二重にファセットされた照明系と異なり、物体平面内の視野の照明、および瞳平面の照明に必要な光学要素が1つ少ないので、二重にファセットされた照明系より透過率が高くなることである。
【0049】
瞳平面内の照明の設定を制御するために、ディフューザの前または後の光線経路内に開口絞りを配置することを設計に含めることが可能である。
【0050】
照明系の、特に有利な実施態様は、視野平面と瞳平面または共役瞳平面の照明のために、位置可変または視野依存のディフューザまたは光学積分器を含むことである。この種のディフューザは、鏡面反射板とも称される。鏡面反射板は、瞳平面、または瞳平面に関連付けられた共役平面に配置されなくてもよいので、光線経路内の他のシステム要素との関連でディフューザが最適配置されるように、マイクロリソグラフィ投影露光装置を設計することが可能である。ディフューザは、高精度の角度を有する個々のファセットを簡単に生成できるようなサイズであることが好ましい。鏡ファセットのサイズは、好ましくは2mmより大きく、より好ましくは3mmより大きく、特に好ましくは5mmより大きい。
【0051】
腎臓形に設計されることが好ましい、ディフューザの最適な(すなわち、ほぼ無損失の)照明のために、光源からディフューザまでの光線経路内の、ディフューザの前に、光学要素(具体的には、軸外円錐成分を有する自由曲面として構成されることが好ましい垂直入射鏡)を配置する。この種の鏡は、円錐軸を含まない、円錐の一部分である。この種の円錐の軸外部分が照明されると、ディフューザの腎臓形とほぼ一致する、完全には環状でない照明が得られる。
【0052】
光線経路の先に向かって垂直入射鏡を配置することは、フィルタリング効果が得られるという、さらなる利点を有する。垂直入射鏡の多層コーティングは、本質的に、波長スペクトルの使用可能部分にある放射だけを反射し、したがって、有用な光(すなわち、たとえばEUV系の場合はλ=13.5の波長範囲の光)だけがディフューザに到達するという結果が得られる。多層鏡のフィルタリング効果は、鏡の形状に依存しない。
【0053】
ディフューザの個々のファセットを平面鏡として構成する場合(製造工程において有利な設計)、光学要素(具体的には、垂直入射鏡)をディフューザの後の光線経路に配置することが可能である。このように配置すると、ディフューザの後に配置された垂直入射鏡が、光源の、強度に拡大された像を、照明される物体が収容される物体平面に投影する。位置可変または視野依存のディフューザは、この物体平面において、光源の、互いに重なり合った多数の像を生成する。垂直入射鏡がさらに、屈折力を有するように設計されると、像の変倍比率を、垂直入射鏡を用いて設定することが可能になる。結果として、位置可変または視野依存のディフューザのサイズに関係なく、設定された結像変倍比率に基づく同じ照明が、瞳平面において常に得られる。
【0054】
これにより、ディフューザを非常に大きなサイズで設計することが可能になり、このことは、面が大きいことにより、ディフューザの放射露光が低減され、それによって、ディフューザの熱ストレスが低減されるという利点がある。
【0055】
前述の、軸外円錐成分を有する自由曲面の鏡の代わりに、光源の光を集めて、ディフューザに向かって反射させるコレクタに腎臓形の設計を施すことにより、位置可変または視野依存のディフューザの腎臓形の照明を得ることも可能になる。この考えは、反射の数が少ないことから、透過率が高い、特に効率的な照明系を可能にする。特に好ましいのは、マイクロリソグラフィ投影露光装置のコレクタとしてかすめ入射コレクタが用いられ、照明系の光線パターンが中間像を含まないことである。これにより、レチクルの直前にディフューザを配置することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1a】入射瞳の負のバック・フォーカスを可視化した図である。
【図1b】マイクロリソグラフィ投影露光装置の概略図である。
【図1c】像側開口数を定義する光線の円錐を示す図である。
【図1d】メリジオナル断面内の鏡面の一部分を示す図である。
【図1e】メリジオナル平面に直交する平面にある鏡面の一部分を示す図である。
【図1f】円環視野の形状を示す図である。
【図1g】米国特許出願公開第2005/088760号に記載の従来技術による、入射瞳のバック・フォーカスが負である投影対物系を有するマイクロリソグラフィ投影露光装置を示す図である。
【図1h】第1の鏡の近傍における光線経路の形状を説明する概略図である。
【図2a】本発明による、入射瞳のバック・フォーカスが負であって、物体平面から像平面までの光線経路に中間像が形成されない投影対物系を実現する第1の例を示す図である。
【図2b】表1である。
【図3a】第1の実施形態による投影対物系の代替を示す図である。
【図3b】表2である。
【図4】図2aによる投影対物系を含むマイクロリソグラフィ投影露光装置を示す図である。
【図5a】第1の部分対物系の中のメリジオナル平面において光線経路同士が交差する、入射瞳のバック・フォーカスが負である投影対物系の第2の実施形態である。
【図5b】表3である。
【図6a】第2の実施形態による投影対物系の第1の代替系を示す図である。
【図6b】表4である。
【図6c】第2の実施形態による投影対物系の第2の代替系を示す図である。
【図6d】表5である。
【図7】バック・フォーカスが負である投影対物系、狭帯域波長フィルタとして動作する垂直入射鏡、ならびに第1と第2のファセットされた光学要素を有する、マイクロリソグラフィ投影露光装置の第1の実施形態を示す図である。
【図8】瞳平面内、または瞳平面の後の光線経路内にディフューザが配置されたマイクロリソグラフィ投影露光装置を示す図である。
【図9】マイクロリソグラフィ投影露光装置の第3の実施形態を示す図である。
【図10】位置可変または視野依存のディフューザを有する、マイクロリソグラフィ投影露光装置の第4の実施形態を示す図である。
【図11】光線経路において、位置可変または視野依存のディフューザの前に、自由曲面および円錐成分を有する垂直入射鏡がある、光源からディフューザまでの光線パターンを示す図である。
【図12】位置可変または視野依存のディフューザと、ディフューザを腎臓形に照明するために光線経路においてディフューザの前に配置されたコレクタ鏡とを有する、マイクロリソグラフィ投影露光装置の第5の実施形態を示す図である。
【図13】中間像を有さず、位置可変または視野依存のディフューザを有する、照明系を有する、マイクロリソグラフィ投影露光装置の第6の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
以下では、本発明の実施形態の例を説明し、図に示す。
【0058】
以下では、何ら限定的でない例を示す図面を参照することにより、本発明を説明する。
【0059】
まず、図1a〜1hを参照して、すべての実施形態において用いられ、示されたすべての例に関連する一般概念を下記に詳細に説明する。
【0060】
図1aは、本明細書において負のバック・フォーカスと称する概念を可視化したものである。
【0061】
図1aは、たとえば図1fに示したような照明視野の中心視野点に向けられた照明光束の主光線CRBを示す。図に示すように、反射性物体REFLOBJ(たとえば、レチクル)に反射した、照明光束の主光線CRBは、今度は投影光束の主光線として、投影対物系に入射する。図には、第1の鏡S1と第2の鏡S2を示している。「入射瞳のバック・フォーカスが負である」とは、反射性物体(たとえば、レチクル)の場所における主光線角度γが正であることを意味する。主光線角度γは、反射性物体REFLOBJの法線方向NOに対する主光線CRPの傾きの角度である。入射瞳のバック・フォーカスが負である系の場合、角度γは、定義によって正であり、反時計回りに測定される。
【0062】
反射性物体REFLOBJが配置されている物体平面において入射瞳VEを鏡像化することにより、鏡像化入射瞳REが得られる。入射瞳VEのバック・フォーカスが負である場合、鏡像化入射瞳REは、物体平面の像側に形成される。言い換えると、鏡像化入射瞳REと、(たとえばウェハが配置される)像平面とが、物体平面に対して同じ側にある。
【0063】
図1bは、マイクロリソグラフィ投影露光装置2100を示す。マイクロリソグラフィ投影露光装置2100は、光源2110、照明系2120、投影対物系2101、ならびに支持構造物またはワーク面2130を含む。さらに、デカルト座標系が示されている。光源2110からの放射は、照明系2120に向けられている。照明系2120は、光源2110から発生する放射に対して影響力を有する。それは、たとえば、放射を均質化したり、(たとえば、図示された方向転換鏡2121を用いて)放射の光線束2122を、物体平面2103内に位置するマスク2140に方向付けたりする影響力である。投影対物系2101は、マスク2140に反射した放射を、像平面2102内に位置する基板面2150に投影する。本発明によれば、物体側の光線束2142は、正の主光線角度γを有する主光線CRPを有する。図にはさらに、マスク2140の近傍における物体平面2103の面法線方向NOも示されている。基板2150は支持構造物2130によって支持または保持されており、その支持構造物2130が基板2150を投影対物系2101に対して動かすことによって、投影対物系2101がマスク2140の像を基板2150の様々な領域に投影する。
【0064】
投影対物系2101は、光軸2105を含む。図1aに示すように、投影対物系2101は、マスク2140の、投影対物系2101の光軸を含まない部分を像平面2102に投影させる。光源2110は、マイクロリソグラフィ投影露光装置を動作させるために用いられる動作波長λの電磁放射を行うように選択される。記載した例のいくつかでは、光源2110は、EUV放射を発するレーザ・プラズマ源またはプラズマ放電源である。代替として、他の波長に適した光源を用いることも可能であり、たとえば、電磁スペクトルの青帯域またはUV帯域の放射を、たとえば、それぞれ365nmまたは248nmで行う発光ダイオード(LED)などを用いることが可能である。これは特に、広帯域光源が鏡システムとともに用いられるシステムの場合に好ましい。
【0065】
マイクロリソグラフィ投影露光装置の動作波長λは、電磁スペクトルの紫外帯域または極紫外(EUV)帯域にある。動作波長は、たとえば、193nm以下、特に100nm以下であることが可能である。本明細書に記載の実施形態の例では、動作波長は、たとえば、193nm程度であり、好ましくは157nm程度であり、特に好ましくは、EUV帯域の波長(具体的には、13nmの近傍)である。
【0066】
特に短波長である放射を用いることが特に望ましく、これは、投影対物系の光学分解能が、一般に、用いられる動作波長に比例するからである。この理由により、より短い波長を用いる投影対物系は、より長い波長を用いる同種の投影対物系に比べて、像の、より微細な構造を解像することが可能である。
【0067】
照明系2120は、ほぼ均一な強度分布を有する平行光ビームを発生させる光学部品を含む。照明系2120はさらに、光束2122をマスク2140に方向付けるよう動作する光学的構成を含む。特に好ましい実施形態では、照明系2120はさらに、光線束の固有の偏光特性を発生させる部品を含む。
【0068】
像平面2102は、物体平面2103から距離Lだけ離れており、この距離を、投影対物系2101の全長Bとも称する。
【0069】
本明細書に記載の実施形態の例では、この全長は、1メートルから約3メートルの範囲にあり、好ましくは、約1.3m〜2.5mの範囲にある。
【0070】
実施形態の特定の例では、全長は2m未満であり、たとえば、1.9m未満であり、好ましくは1.8m未満であり、より好ましくは1.7m未満であり、さらに好ましくは1.6m未満であり、特に好ましくは1.5m未満である。
【0071】
投影対物系2101は、像平面2102内の投影視野の、対応する寸法に対する、物体平面2103内の視野の寸法の比に該当する結像係数を有する。一般に、リソグラフィ・システムに用いられる投影対物系は、縮小投影対物系であり、これは、像の寸法が物体の寸法より小さいことを意味する。したがって、いくつかの例では、投影対物系2101が、物体平面2103の寸法の2分の1から10分の1(好ましくは4分の1から5分の1)に縮小された像寸法を有する視野を像平面2102内に生成することが可能である。しかしながら、拡大像、または物体と同サイズの像を生成する投影対物系を開発することも可能である。
【0072】
図1cは、物体を像平面2102に投影する光束の周縁光線2152を示す。周縁光線2152は、光線の円錐を決めている。
【0073】
光線の円錐の角度は投影対物系2101の像側開口数(NA)に関連付けられる。像側開口数は、NA=n0・sinΘNAで表される。n0は、基板2150の付近の媒体の屈折率である。この媒体は、たとえば、空気、窒素、水、または真空である。記号ΘNAは、投影対物系2101の周縁光線によって決まる角度を表している。
【0074】
一般に、投影対物系2101は、像側の開口数NAが比較的大きい。たとえば、投影対物系2101の像側開口数NAは、いくつかの実施形態では0.15より大きく、特に0.20より大きく、0.25より大きい場合さえある。投影対物系2101の光学分解能は、一般に、波長および像側開口数NAの関数として変動する。
【0075】
投影対物系の分解能に対する、波長と像側開口数との関係は、次式で概算することが可能である。
R=k・(λ/NA)
ただし、Rは、投影対物系の最小分解能であり、kは、プロセス係数と呼ばれる無次元係数である。プロセス係数kは、様々な因子(たとえば、像投影の偏光特性や、選択された照明モード)の関数として変動する。プロセス係数kは、一般に、0.4〜0.8の範囲にあるが、用途によっては、0.4を下回ることも0.8を上回ることもありうる。
【0076】
いくつかの実施形態における投影対物系2101は、分解能が比較的高い(すなわち、Rの数値が比較的小さい)。たとえば、分解能Rの値は150nm以下であり、好ましくは130nm以下であり、さらに、より好ましくなる方向には、100nm以下、75nm以下、50nm以下、40nm以下、35nm以下、32nm以下、30nm以下、28nm以下、25nm以下、22nm以下、20nm以下、18nm以下、15nm以下、14nm以下、13nm以下、12nm以下、11nm以下であり、最も好ましくは10nm以下である。投影対物系2101によって形成される像の品質は、様々な方法で定量化することが可能である。
【0077】
たとえば、像の、理想的な像点からの偏差の測定値または計算値に基づいて、像を特徴付けたり、像の品質レベルを定量化したりすることができる。これらの偏差は、通常、収差と呼ばれる。波面の、理想的な、または所望の形状からの収差を定量化するために用いられる尺度として、二乗平均平方根波面収差またはRMS値WRMSが知られている。WRMSの定義は、たとえば、「Handbook of Optics」(Vol.1、2nd part、Michael Bass (McGraw Hill),Inc.(1995)、35.3頁)に示されている。一般的な法則として、対物系のWRMS値が低いほど、波面の、所望の、または理想的な形状からの偏差が小さくなり、像の品質が良好になる。
【0078】
好ましい実施形態では、投影対物系2101は、像平面2102内の像のWRMS値が非常に小さい。たとえば、投影対物系2101のWRMS値は約0.1・λ以下であり、好ましくは0.07・λ未満であり、さらに、より好ましくなる方向には、0.07・λ未満、0.06・λ未満、0.05・λ未満、0.045・λ未満、0.04・λ未満、0.035・λ未満、0.03・λ未満、0.025・λ未満、0.02・λ未満、0.015・λ未満、0.01・λ未満、0.008・λ未満であり、最も好ましくは0.006・λ未満である。
【0079】
像の品質を評価するために用いることが可能な別の尺度として、像視野の湾曲(像側湾曲と呼ばれる)がある。像側湾曲は、視野点の関数としての、焦点面の軸位の山−谷間の変動(言い換えると、焦点面の最大視野変動)として定義される。いくつかの実施形態では、投影対物系2101は、像平面2102内の像の像側湾曲が比較的小さい。たとえば、投影対物系2101の像側湾曲は20nm未満であり、好ましくは15nm未満であり、さらに、より好ましくなる方向には、12nm未満、10nm未満、9nm未満、8nm未満、7nm未満、6nm未満、5nm未満、4nm未満、3nm未満、2nm未満であり、最も好ましくは1nm未満である。
【0080】
投影対物系の光学性能を評価するために用いることが可能な別の尺度として、歪みがある。歪みは、視野点に依存する、像平面内の像点の理想的な位置からの像点の偏差の最大絶対値として定義される。いくつかの例における投影対物系の歪みは比較的小さく、10nm以下であり、好ましくは9nm以下であり、さらに、より好ましくなる方向には、8nm以下、7nm以下、6nm以下、5nm以下、4nm以下、3nm以下、2nm以下であり、最も好ましくは1nm以下である。
【0081】
投影対物系は、反射光学投影対物系であっても、反射屈折光学投影対物系であってもよい。反射光学投影対物系は、たとえば鏡などのような、排他的反射性光学要素を有する。反射屈折系は、反射性であり屈折性である光学要素を有する。
【0082】
対物系が反射系として構成されている場合、対物系は、マスク2140から基板2150に伝搬する放射が鏡に反射して、マスク2140の像が基板2150の表面に形成されるように配置された多数の鏡を含む。以下のパラグラフに記載したように構成された、特殊な設計の投影対物系がある。一般的に言えば、鏡の数、サイズ、構造は、投影対物系2101の所望の光学特性と、投影露光装置2100の物理的境界条件とによって決まる。
【0083】
投影対物系2101内の鏡の数は、様々であってよい。一般に、鏡の数は、対物系の光学特性に対して課せられる様々な要件に関連する。
【0084】
特定の実施形態では、投影対物系2101の鏡の数は2枚以上であり、好ましくは4枚以上であり、さらに、より好ましくなる方向には、5枚以上、6枚以上、7枚以上であり、最も好ましくは8枚以上である。対物系の鏡が物体平面と像平面との間に配置される、本発明の特に好ましい実施形態では、投影対物系2101が偶数枚(たとえば、4枚、6枚、または8枚)の鏡を有する。
【0085】
投影対物系2101は、一般に、正の光学的屈折力を有する1枚または複数枚の鏡を含む。これは、言い換えると、鏡の反射部分が凹面を有し、したがって、凹面鏡または凹形鏡と呼ばれることを意味する。投影対物系2101は、2枚以上(たとえば3枚以上、特に4枚以上)の凹面鏡を含むことが可能である。投影対物系2101はさらに、負の光学的屈折力を有する1枚または複数枚の鏡を含むことも可能である。これは、1枚または複数枚の鏡が凸面の反射部分を有することを意味する。この種の鏡も、凸面鏡または凸形鏡と呼ばれる。いくつかの実施形態では、投影対物系2101は、2枚以上(特に3枚以上、さらに特に4枚以上)の凸面鏡を含むことが可能である。
【0086】
特定の実施形態では、物体平面2103から発せられた放射が1つまたは複数の中間像を形成するように、鏡が投影対物系2101内に配置される。
【0087】
1つまたは複数の中間像を有する、本発明の実施形態は、2つ以上の瞳平面を含む。好ましい実施形態では、それらの瞳平面のうちの少なくとも1つに、開口絞りが、物理的にアクセスできるように配置される。
【0088】
鏡は、一般に、ある角度または角度範囲内で鏡の表面に入射する、投影対物系の動作波長の光の大部分を、ほぼ反射するように構成される。鏡は、鏡の表面に入射する、波長λの放射の、たとえば、50%超を反射し、好ましくは60%超、より好ましくは70%超、さらに好ましくは80%超、最も好ましくは90%超を反射するように構成される。いくつかの実施形態では、鏡に複数の層のスタック(いわゆる多層スタック)が塗布され、これらの層は様々な材料からなり、スタックは、表面に入射する波長λの放射をほとんど反射するように設計される。スタックの各塗膜の光学的厚さは、約λ/4である。多層スタックは、20個以上の層、好ましくは30個以上の層、より好ましくは40個以上の層、特に好ましくは50個以上の層を含む。多層システムは、10nm〜30nmの波長範囲の放射(たとえば、波長λが13nmまたは11nmの放射)を反射する鏡を形成するために、たとえば、モリブデンとシリコン、またはモリブデンとベリリウムからなる複数の交互層の組で構成される。
【0089】
特定の実施形態における鏡は石英ガラスで作られ、アルミニウムの単層を塗布される。たとえば、波長が約193nmの場合には、このアルミニウムの単層の上に、MgF2、LaF2、Al2O3などの材料からなる誘電体層が重ねられる。
【0090】
一般に、放射の、鏡で反射する部分は、放射の、鏡の表面への入射角の関数として変動する。像を生成する放射は、反射光学投影対物系内の複数の異なる経路を伝搬するので、放射の入射角は、鏡同士の間で異なることがある。このことを図1dに示した。この図は、鏡2300の一部分の、メリジオナル平面に沿う断面を示している。鏡2300は、凹面反射性鏡面2301を含む。異なる経路を通って面2301に到達した、像を生成する放射は、たとえば、光線2310、2320、2330で表される経路を含む。光線2310、2320、2330は、鏡面2301の一部分に入射する。鏡面2301のその部分において、鏡面上の面法線方向は変化し、光線2310、2320、2330の入射点に対して線2311、2321、2331で表される。光線2310、2320、2330は、それぞれ角度Θ2310、Θ2320、Θ2330で表面に入射する。
【0091】
投影対物系2101内のすべての鏡について、像を生成する光線の入射角を様々な形式で表現することが可能である。可能な表現形式の1つでは、投影対物系2101のメリジオナル断面における、各鏡に入射する光線のそれぞれの最大角度を用いる。この最大角度をΘmaxで表す。一般に、角度Θmaxは、投影対物系2101の異なる鏡の間で異なることが可能である。本発明の特定の実施形態では、投影対物系2101のすべての鏡についての全体の最大値(Θmax)maxは、60°以下であり、好ましくは55°以下、特に50°以下、最も特に45°以下である。いくつかの例では、全体の最大値(Θmax)maxは、比較的小さく、たとえば、40°以下であり、好ましくは35°以下、より好ましくは30°以下、特に25°であり、最も特に20°以下である。
【0092】
別の可能性として、鏡に対する入射光を、物体平面内で照らされる視野の中心視野点の主光線の、メリジオナル断面における、各鏡に対する入射角度を用いて特徴付けることが可能である。この角度をΘCRで表す。主光線角度ΘCRに関しては、前書き部分で前述した内容も参照する。この場合も、投影対物系内の最大角度ΘCR(max)を、中心視野点の最大主光線角度として定義することが可能である。この角度ΘCR(max)は、比較的小さく、たとえば、40°未満、好ましくは35°未満、より好ましくは30°未満、特に25°未満、より特に20°未満、さらに特別に15°未満である。
【0093】
投影対物系2101内の各鏡はさらに、投影対物系2101のメリジオナル断面における入射角度の範囲によって特徴付けられることもある。各鏡ごとの、角度Θの変動範囲をΔΘで表す。各鏡ごとの範囲ΔΘは、角度Θ(max)と角度Θ(min)との差として定義され、Θ(min)は、投影対物系2101のメリジオナル断面における、鏡面に入射する、像を形成する光線の最小入射角度を表し、Θ(max)は、既に前で定義したように、鏡面に対する、像を形成する入射光線の最大角度を表す。範囲ΔΘは、一般に、投影対物系2101内の鏡同士の間で異なり、鏡によっては比較的小さいことが可能であり、たとえば、25°未満、好ましく20°未満、特に15°未満、さらに特に10°未満である。一方、投影対物系2101内の他の鏡については、ΔΘは比較的大きい。たとえば、ΔΘは、20°以上であり、特に25°以上、特に好ましくは30°以上、さらに好ましくは35°以上、特に好ましくは40°以上である。いくつかの実施形態では、すべての範囲ΔΘに対する最大値ΔΘmax、すなわち、各鏡ごとの変動範囲ΔΘの、投影対物系2101のすべての鏡を通しての最大値は、比較的小さく、たとえば、25°未満、特に20°未満、さらに特に15°未満、よりさらに特に12°未満、さらに特に10°未満、よりさらに特に8°未満である。
【0094】
図1eは、投影対物系で用いられるタイプの鏡2660の例を示す。鏡2660の形状は、円環の一部分、すなわち、直径Dの円形鏡2670の一部分である。鏡2660は、x方向に最大寸法Mxを有する。実施形態の例では、寸法Mxは、800mm以下、好ましくは700mm以下であり、さらに、より好ましくなる方向には、600mm以下、500mm以下、400mm以下、300mm以下、200mm以下であり、最も好ましくは100mm以下である。
【0095】
鏡2660は、メリジオナル断面2675に対して対称である。メリジオナル平面は、局所座標系のy軸とz軸によって定義される。鏡2660は、メリジオナル線2675の方向の寸法Myを有し、MyはMxより小さくても大きくてもよい。円形鏡の場合、たとえば、開口絞り平面内に配置された鏡の場合は、MxとMyの寸法が等しい(すなわちMx=My)。いくつかの実施形態では、Myは、0.1Mx近辺にあり、好ましくは0.2Mx以上であり、さらに、より好ましくなる方向には、0.4Mx以上、0.5Mx以上、0.6Mx以上、0.7Mx以上、0.8Mx以上であり、最も好ましくは0.9Mx以上である。一方、特定の実施形態におけるMyは、1.1Mx以上であり、好ましくは1.5Mx以上、または2Mx〜10Mxの範囲である。Myは、約800mm以下、好ましくは700mm以下であり、さらに、より好ましくなる方向には、600mm以下、500mm以下、400mm以下、300mm以下、200mm以下であり、最も好ましくは100mm以下である。
【0096】
投影対物系の鏡は、光軸2105と鏡とが交差するように配置されるが、光軸2105と鏡とが交差しないように配置されてもよい。
【0097】
投影対物系2101は、設計次第で、様々な形状とサイズの鏡を広く含む。いくつかの例では、投影対物系の各鏡の最大寸法Dは、1000mm以下であり、特に900mm以下、好ましくは800mm以下、特に好ましくは700mm以下である。
【0098】
一般に、投影対物系2101の視野の形状は、様々なであってよい。図1fは、円環視野とも呼ばれる円環部分2700を示す。円環部分2700は、x寸法のDx、y寸法のDy、半径寸法Drによって特徴付けられる。DxとDyは、それぞれ、x方向とy方向で測定された視野寸法である。これらの寸法の大きさは、以下の説明の中で指定される。たとえば、像平面内の26×2mm2の視野の場合は、寸法Dxが26mmであり、Dyが2mmである。寸法Drは、光軸2105から視野2700の内側のへりまでを計測した円環半径を表す。円環視野部分2700は、線2710で示される、y/z平面に平行な平面に対して対称である。一般に、Dx、Dy、Drの大きさは、投影対物系2101の設計に応じて様々である。通常、DxはDyより大きい。物体平面2103内と像平面2102内の視野寸法または視野測定値の相対的な大きさDx、Dy、Drは、投影対物系2101の拡大率または縮小率の関数として、様々な値をとる。いくつかの例では、像平面2102内のDxは、比較的大きく、たとえば、1mmより大きく、好ましくは3mmより大きく、さらに、より好ましくなる方向には、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、10mm、11mm、12mm、13mm、14mm、15mm、18mm、20mm、25mmより大きく、特に好ましくは30mmより大きい。像平面2102内の寸法Dyは、0.5〜5mmの範囲にあり、たとえば、最大1mm、好ましくは最大2mm、特に最大3mmであり、特に好ましくは最大4mmである。通常、像平面2102内のDrは、10〜50mmの範囲にあり、たとえば15mm以上、あるいは特に20mm以上、好ましくは25mm以上、特に好ましくは30mm以上である。
【0099】
一般的に言うと、たとえば矩形視野のような、他の視野形状の場合、投影対物系2101の像平面2102内の最大視野寸法または視野測定値は、1mmより大きいことがあり、好ましくは3mmより大きく、さらに、より好ましくなる方向には、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、10mm、11mm、12mm、13mm、14mm、15mm、18mm、20mm、25mmより大きく、特に好ましくは30mmより大きい。図1eはさらに、中心視野点Zを示している。中心視野点Zは、局所x−y−z座標系の原点を定義する。走査型マイクロリソグラフィ・システムの場合、y方向は、一般に走査方向を示す。
【0100】
一般に、投影対物系2101は、市販の光学設計プログラム(たとえば、ZEMAX、OSLO、Code V)を用いることにより、最適化と解析が可能である。波長、視野サイズ、開口数が、最初に決まって、投影対物系に必要とされる光学特性(たとえば、波面収差、テレセントリック性、均質性、歪み、像側湾曲など)を最適化することが可能である。以下では、本発明を実現する例を、光学データを用いて詳細に説明する。ここで示す光学データはすべて、Code F形式で与えられる。
【0101】
図1gは、米国特許出願公開第2005/088760号で開示された、従来技術のマイクロリソグラフィ投影露光装置を詳細に示した図である。投影対物系1のバック・フォーカスは負である。照明系は、一次光源3と集光光学要素(いわゆるコレクタ)5を含む。コレクタ5は、かすめ入射コレクタである。光源から発せられた放射は、スペクトル・フィルタ7と開口絞り9によって、開口絞りの後では使用可能な(たとえば、波長が13.5nmの)放射だけが残るようにフィルタリングされる。格子要素の形のスペクトル・フィルタは、格子要素に入射する光を様々な方向に(たとえば、一次回折で)回折させる。開口絞りは、一次回折における、一次光源3の中間像11の中または近くに配置される。投影露光装置はさらに、第1のファセットを有する第1のファセットされた光学要素13(小さなファセット鏡として構成された、いわゆる視野ラスタ要素)と、第2のファセットを有する第2の光学要素15(いわゆる瞳ラスタ要素)とを含む。視野ファセットを含む第1の光学要素13は、一次光源3から到着した入射光束17を多数の光束に分解する。これらの各光束は、瞳ラスタ要素を有する第2の光学要素15が配置された場所またはその近くで合焦し、二次光源を形成する。
【0102】
図示した例のように、視野ラスタ要素が、照明される視野の形状を有する場合は、視野を整形する鏡を設ける必要がない。
【0103】
マイクロリソグラフィ投影露光装置の物体平面20においては、移送台19上にレチクルが配置される。物体平面20内に配置されたレチクルは、同様に搬送台23上に配置された感光基板22(たとえば、ウェハ)に、投影対物系1によって投影される。ここに示した投影対物系は、共通光軸HAに対して調整された配置の6枚の鏡、すなわち、第1の鏡S1、第2の鏡S2、第3の鏡S3、第4の鏡S4、第5の鏡S5、第6の鏡S6を含む。投影対物系1は、入射瞳のバック・フォーカスが負である。照明系の第2のファセットされた光学要素15は、関連する鏡像化入射瞳REの平面の中または近くに配置される。
【0104】
図1gから明らかであるように、従来技術の投影対物系の構成では、照明系と投影対物系との間で光線経路がそれ自体と交差するため、このシステムは、照明系を投影対物系から分離させようなモジュール構成には適さない。
【0105】
図1hは、本明細書において示した投影対物系の実施形態の多くの場合の光線経路を示しており、この投影対物系は、投影対物系の物体平面51の領域と、物体平面から像平面までの光線経路において最初に入射する鏡S1の領域とにおいて負のバック・フォーカスを有する(図1hでは像平面を示していない)。図1hの記号CREは、第1の鏡に入射する入射主光線を示し、CRRは、物体視野の同一視野点(たとえば、中心視野点)に属する反射主光線を示している。図1hからわかるように、本発明の好ましい実施形態では、投影対物系のメリジオナル平面内の入射光束の主光線CREは、鏡S1の表面に反射した光束の主光線CRRと、投影対物系の光軸HAとの間にある。
【0106】
さらに図1hでは、局所x−y−z座標系と、物体視野が形成される物体平面51に垂直な法線方向NOと、主光線CREが物体平面51内の物体(図示せず)に反射する場合の正の主光線角度γとを示している。
【0107】
図2aは、入射瞳のバック・フォーカスが負である6鏡式投影対物系の第1の実施形態を示しているが、これは、マイクロリソグラフィ投影露光装置のモジュール式設計構成には適さない。図2aによる対物系は、物体平面100、像平面102、第1の鏡S1、第2の鏡S2、第3の鏡S3、第4の鏡S4、第5の鏡S5、第6の鏡S6を有する。
【0108】
図2aから明らかであるように、この図に示した投影対物系における物体平面100から像平面102までの光線経路には中間像が形成されない。この対物系は、開口絞り平面104を1つだけ有し、これは、図示した例では、第5の鏡に接する場所、すなわち、第5の鏡S5と第6の鏡S6からなる、対物系の後方部分に位置する。開口絞り平面104をこのように配置することにより、対物系の前方部分の中の鏡S1とS2を光軸HAから離して配置することが可能になる。この種の投影対物系を、物体平面内に反射性物体を有する投影露光装置において用いる場合は、対物系の前方部分の中の鏡を光軸から離して配置することにより、照明系の部品(具体的には、照明系のファセットされた光学要素)を、投影系の光軸上のこの空間に、つまり、鏡像化入射瞳REの中または近くに配置することが可能になる。図2aに示した投影対物系は、像側開口数NAが0.25であり、縮小率が4である。像平面に投影された視野の視野サイズは2×26mm2であり、これは、y軸(図1eを参照)方向に測定された視野の寸法Dyが2mmで、寸法Dxが26mmであることを意味する。図2に示した例では、第1の鏡S1の鏡面に入射する入射光線束の主光線CREは、反射光線束の同じ視野点に対応する反射主光線CRRと投影対物系の光軸HAとの間のメリジオナル平面上にある。図にはさらに、平面103内にある、投影対物系の鏡像化入射瞳REを示している。物体平面から像平面に伝搬する光ビーム105の主光線CRの、光軸との交差点は、参照符号「CROSS」で示されている。本発明によれば、この、「CROSS」で示された交差点は、対物系の後方部分の、鏡像化入射瞳REがある平面103と、交差点CROSSを含む平面との間のメリジオナル断面の中にある。図2aの構成における投影対物系は、分解能が22nmであり、像側波面収差RMSが0.008λであり、像側湾曲が7nmであり、歪みが2.5nmである。対物系は、中間像を有さず、アクセスできる開口絞り平面104を有する。前述のように、開口絞りBは、第5の鏡に接する、(同時に瞳平面でもあり、交差点CROSSを含む)アクセスできる開口絞り平面104の中に形成される。図2aはさらに、交差点CROSSを含む平面104の、物体平面100からの光軸HA方向の距離A1と、鏡像化入射瞳REを含む平面103の、物体平面100からの距離A2とを示している。この2つの距離は、規則A2<A1に適合する。さらに図2aは、第1の副対物系(SUBO1)と第2の副対物系(SUBO2)を示している。第2の副対物系(SUBO2)は開口絞りBを含む。
【0109】
さらに図2aからわかるように、投影対物系は、2つの部分系、すなわち、第1の部分系PART1と第2の部分系PART2に細分される。鏡S1とS2を有する第1の部分系PART1は、鏡S3、S4、S5、S6を有する第2の部分系PART2から、光軸HA方向に距離DISだけ離れている。
【0110】
距離DISは、第1の部分系PART1において物体平面100から最も距離がある鏡の裏面と、第2の部分系PART2において像平面102から最も距離がある鏡の裏面との間の距離として定義される。図示したケースにおいては、距離DISは、第1の鏡S1の裏面と第4の鏡S4の裏面との間の距離である。
【0111】
物体平面100と像平面102との間の距離は1500mmであり、メリジオナル断面において計測された、すべての鏡のうちの最大鏡径、すなわち、最大寸法Myは131mmであり、x方向に計測された、すべての鏡のうちの最大鏡径、すなわち、最大寸法Mxは370mmである。
【0112】
第1の鏡S1から、第2の鏡S2、第3の鏡S3、第4の鏡S4、第5の鏡S5、第6の鏡S6までのシーケンスにおいて、それぞれの鏡の湾曲はN−P−P−N−N−P、すなわち、凸−凹−凹−凸−凸−凹である。
【0113】
第1の実施形態の主光線角度γ、すなわち、物体平面100内の視野の中心視野点に対応する、主光線CRの角度は、面法線方向に対してγ=7°である。光軸から中心視野点までの距離は132mmである。これらのデータに基づいて、鏡像化入射瞳REの、物体平面からの最大距離が1075mmであることが計算できる。図2aに示した実施形態の光学データを、図2bとして添付した表1にCode V形式でリストする。Code V形式の表の用語については、当業者であれば自明である。反射系についてのCode V表では、厚さは、鏡系の文脈では、隣接する2つの光学的表面の間の空間の厚さ、すなわち、光線経路において直接連なる2つの光学的表面の間の光軸方向の距離を意味する。
【0114】
図3aは、中間像を有さず、入射瞳のバック・フォーカスが負である、本発明による6鏡式投影対物系の第2の実施形態を示す。この実施形態は、像側開口数NAが0.30であり、視野サイズDy×Dxが2×26mm2であり、縮小率が4xである。像側波面収差は0.03λであり、像側湾曲は18nmであり、歪みは4nmである。物体平面から像平面までの鏡のシーケンスにおいて、鏡の湾曲はN−P−P−N−N−P、すなわち、凸−凹−凹−凸−凸−凹と続く。この投影対物系は、アクセスできる開口絞り平面104を含む。開口絞りBは、第5の鏡に接する、アクセスできる開口絞り平面104の中に配置される。開口絞り平面は、同時に、主光線CRと光軸HAとの交差点CROSSを含む瞳平面でもある。物体平面100から像平面102までの距離は1600mmであり、メリジオナル断面における、すべての鏡のうちの最大寸法Myは176mmであり、x方向に計測された、すべての鏡のうちの最大鏡径、すなわち、最大寸法Mxは459mmである。
【0115】
中心視野点における主光線角度は、物体においてγ=7°であり、光軸から中心視野点までの距離は159mmである。平面103内の鏡像化入射瞳REの、物体平面100からの軸方向の距離A2は1295mmである。図2aに示した要素と類似する要素には、同じ参照符号が付いている。図2aと同様に、第1の鏡S1の表面に入射する入射光線束の主光線CREは、光軸と、第1の鏡の表面に反射した、同じ視野点に対応する光線束の主光線CRRとの間のメリジオナル断面内にある。中心視野点の主光線CRと、投影対物系の光軸HAとの交差点CROSSは、幾何学的には、投影対物系の鏡像化入射瞳REを有する平面103と像平面102との間に位置する。交差点CROSSを含む平面104と物体平面との間の光軸方向の距離は参照符号A1で示されており、鏡像化入射瞳を含む平面103と物体平面との間の光軸方向の距離は、参照符号A2で示されている。この実施形態では、A2はA1より短い。これは、交差点CROSSが鏡像化入射瞳REと像平面との間に位置するためである。
【0116】
図3aからわかるように、主光線の、物体平面100から像平面102までの光線経路上には、光軸との交差点CROSSが1つだけ存在する。したがって、本発明によれば、投影対物系のすべての交差点が、鏡像化入射瞳REの面103と像平面102との間にある。
【0117】
第2の実施形態は、同様に、互いに距離DISだけ離れた2つの部分系、すなわち、第1の部分系PART1と第2の部分系PART2とを含む。
【0118】
図3aによる第2の実施形態の、Code V形式の系データを図3bの表2にリストした。
【0119】
図4は、図2aと図2bの実施形態による投影対物系を有するマイクロリソグラフィ投影露光装置を示す。図4からわかるように、投影系の光線パターンと照明系の光線パターンとの間に交差がない。この点は図1gの系と異なる。言い換えると、照明光線束211は、最後から2番目の光学部品206から(レチクルなどの物体が配置される)物体平面212までの光線経路において、投影対物系内を物体平面212から像平面214に進む、像を生成する光線パターン213と交差しない(レチクルにおいて発生する必要な交差を除く)。このケースでは、メリジオナル平面は、図面の、光軸HAを含む平面である。投影露光装置の両部分(すなわち、照明系と投影系)の光学要素は、別々の設計エンベロープに配置される。照明系の光学要素は、第1の設計空間B1に配置され、投影系の光学要素は、第2の設計空間B2に配置される。第1の設計空間B1は、たとえば壁Wによって、第2の設計空間B2と隔てられる。異なる2つの設計空間B1とB2を分離することにより、投影露光装置のモジュール設計構造が可能になる。さらに図からわかるように、たとえば、二重にファセットされた照明系の瞳ファセット鏡208を取り付けるのに十分な空間がある。
【0120】
図4に示した、100nmより長い波長で動作する投影露光装置は、具体的にはEUVリソグラフィ用である投影露光装置の一例であり、像側開口数NAが0.25以上(好ましくは0.26超)であり、垂直入射反射を有する光学要素が10個未満であって、照明系の光線パターンと投影系の光線パターンとの間の光線の交差が回避される。
【0121】
図4に示したマイクロリソグラフィ投影露光装置の照明は、光源200と、入れ子型かすめ入射コレクタ202と、スペクトル格子フィルタ204とを含む。スペクトル格子フィルタは、参照符号204で示されているが、スペクトル格子フィルタに続く開口絞りがこの例では示されていない。スペクトル格子フィルタの後の光線経路には、二重にファセットされた照明系の2つのファセットされた光学要素が続く。第1のファセットされた光学要素は、多数の第1のラスタ要素(いわゆる視野ファセット)を含み、参照符号206で示され、第2のファセットされた光学要素(いわゆる瞳ファセット鏡)は、参照符号208で示される。第2のファセットされた光学要素208は、投影対物系の鏡像化入射瞳REの平面内に配置される。投影対物系210の入射瞳のバック・フォーカスが負であることから、鏡像化入射瞳REは、(たとえば、反射性レチクルが配置される)物体平面212の像側にある。物体平面は212で示され、像平面は214、光軸はHA、第1の鏡はS1、第2の鏡はS2、第3の鏡はS3、第4の鏡はS4、第5の鏡はS5、第6の鏡はS6で、それぞれ示される。
【0122】
図5a、5bと図6a、bによる、入射瞳のバック・フォーカスが負であるマイクロリソグラフィ投影対物系の以下の実施形態では、対物系の前方部分における光線束の交差に備えるという設計思想により、マイクロリソグラフィ投影露光装置の、鏡像化入射瞳REの領域内に自由空間が作成される。対物系の前方部分は、物体平面の最も近くに配置される鏡を含む投影対物系の部分である。この種の設計では、特に、図5aと6aの例に示した6鏡式対物系の第2の鏡S2を、投影対物系の光軸HAから大きく離して配置することが可能である。投影対物系の光軸HAを含むメリジオナル平面での光線の交差は、図5a、5bと図6a、6bに示した例においては、物体平面300から第1の鏡S1に進む光線束と、第2の鏡S2から第3の鏡S3に進む光線束との間で発生する。開口絞りBは、第2の鏡S2から第3の鏡S3までの光線経路に配置される。対物系の前方部分の鏡が光軸から大きく離れているため、メリジオナル平面において照明系の光線パターンと対物系の光線パターンとが交差しないマイクロリソグラフィ投影露光装置を設計することが可能であり、それによって、たとえば、図4の系の場合と同様に、照明系と投影対物系との分離が可能である。
【0123】
図5aに示した例は、対物系の前方部分で光線束が交差する6鏡式投影対物系であり、第4の鏡S4と第5の鏡S5との間に中間像ZWが形成される。第1の鏡はS1、第2の鏡はS2、第3の鏡はS3の参照符号で示されており、物体平面300から像平面302までの光線経路内にある第6の鏡は参照符号S6で示されている。図2aと図3aの場合と同様に、図5aは、各鏡の使用可能部分だけを示しており、第1の鏡S1の使用可能部分はN1、第2の鏡S2の使用可能部分はN2、第3の鏡S3の使用可能部分はN3、第4の鏡S4の使用可能部分はN4、第5の鏡S5の使用可能部分はN5、第6の鏡S6の使用可能部分はN6の各参照符号で示されている。鏡の使用可能部分は、物体平面から像平面に伝搬する光束の各光線が入射する領域である。図5による実施形態は、像側開口数NAが0.25であり、縮小率が4xであり、物体平面の視野の視野サイズが2×26mm2(すなわち、Dy=2mmおよびDx=26mm)である。中心視野点の主光線角度は、物体においてγ=7°であり、光軸から中心視野点までの距離は93mmである。これらのデータから計算されるように、鏡像化入射瞳REの、物体平面からの軸方向の距離は757mmである。分解能は22nmであり、像側波面収差RMSは0.006λであり、像側湾曲は1.5nmであり、歪みは6nmである。鏡は、P−P−N−P−N−P、すなわち、凹−凹−凸−凹−凸−凹のシーケンスで連なる。入射瞳と共役である2つの平面(いわゆる瞳平面)312、314が系内に形成される。瞳平面312は、主光線CRと光軸との交差点CROSS1を含み、瞳平面314は、交差点CROSS2を含む。投影対物系は、像側ではテレセントリックであり、したがって、射出瞳は無限遠にある。この系は、射出瞳が遮蔽されていないことを特徴とする。「射出瞳」という用語は、開口絞りの後に来る部分対物系によって生成される開口絞りの像を意味する。2つの瞳平面312、314のうちの、投影対物系の少なくとも一方の側からアクセスできる瞳平面の中に、アクセスできる開口絞りBが配置される。この例の開口絞りBは、第2の鏡と第3の鏡との間に形成される。メリジオナル断面において計測された、すべての鏡のうちの最大鏡径、すなわち、最大寸法Myは157mmであり、x方向に計測された、すべての鏡のうちの最大鏡径、すなわち、最大寸法Mxは389mmである。すべての鏡に対する、中心視野点の主光線の最大角度ΔΘCR(max)は16.4°であり、メリジオナル断面における、すべての鏡に対する最大入射角度Θmax(max)は21°である。各鏡に対する、メリジオナル断面における入射角度の最大帯域幅ΔΘmaxは、すべての鏡に対して17.3°である。
【0124】
物体平面と像平面との間の距離は1550mmである。
【0125】
図5aの例の光学データを、図5bの表3に、Code V形式でリストした。
【0126】
図6aは、中間像を有し、入射瞳のバック・フォーカスが負である、本発明による6鏡式投影対物系のさらなる実施形態を示す。この実施形態は、像側開口数NAが0.30であり、縮小率が4xであり、視野サイズが2×26mm2(すなわち、Dy=2mmおよびDx=26mm)である。中心視野点における主光線角度は、物体においてγ=7°であり、光軸から中心視野点までの距離は106mmである。物体平面300と像平面302との間の距離は1520mmである。鏡像化入射瞳REの、物体平面からの軸方向の距離は754mmである。この系は、分解能が18nmであり、像側波面収差RMSが0.018λであり、像側湾曲が11nmであり、歪みが3.2nmである。6個の鏡は、物体平面から像平面にかけて、P−P−N−P−N−P、すなわち、凹−凹−凸−凹−凸−凹のシーケンスで連なる。物体平面から像平面までの光線経路内に2つの瞳平面が形成され、これらの瞳平面のうちの1つにアクセスできる。開口絞りBは、アクセスできる瞳平面に配置される。開口絞り平面Bは、第2の鏡と第3の鏡との間に形成される。メリジオナル断面において計測された、すべての鏡のうちの最大鏡径、すなわち、最大寸法Myは189mmであり、x方向に計測された、すべての鏡のうちの最大鏡径、すなわち、最大寸法Mxは423mmである。すべての鏡に対する、中心視野点の主光線の最大入射角度ΔΘCR(max)は19°であり、メリジオナル断面における、すべての鏡に対する最大角度Θmax(max)は24.1°であり、すべての鏡に対する入射角度の最大範囲ΔΘmaxは19.8°である。図5aに示した要素と類似する要素は、同じ参照符号で示してある。図5aと図6aの系の両方に共通するのは、対物系の前方部分における鏡の、次のような光軸方向の空間配置である。すなわち、
第2の鏡S2−第4の鏡S4−第1の鏡S1−第3の鏡S3
【0127】
さらに、図5aと図6aの系の両方に共通する点として、開口絞りBが、瞳平面312の中または近くの、第2の鏡S2と第3の鏡との間に配置される。
【0128】
図6aによる実施形態の光学データを図6bの表4にCode V形式でリストする。
【0129】
図6cの実施形態は、図5aと6aによる系の代替実施形態である。図6cの実施形態の開口絞りBは、瞳平面312内の第3の鏡S3に接して位置する。開口絞りを鏡に接して配置することは、通過する光線束が互いに強くは分離されず、したがって、入射角度を小さくできること、または入射角を同じに保つ場合は全体の長さを小さくできること(ここでの例はこれにあたる)の点で有利である。図6cによる系はさらに、すべての鏡に対する入射角度が小さいという点で有利である。対物系の前方部分における鏡の空間配置は次のとおりである。 すなわち、
第4の鏡S4−第2の鏡S2−第1の鏡S1−第3の鏡S3
図6aの実施形態と比較して、鏡S2と鏡S4の、光軸方向の位置が入れ替わっている。
【0130】
図6cは、前述の系のレンズ部を示す。この系の光学データを、図6dの表5に、Code V形式でリストした。この系の像側開口数NAは0.25であり、視野サイズは2×26mm2であり、視野は円環視野部分として構成される。図6cの系の縮小率は4xであり、像分解能は22nmであり、像側波面収差のRMS値は0.019λであり、像側湾曲は20nmであり、歪みは0.8nmである。全部で6個の鏡が、PPNPNP、すなわち、凹−凹−凸−凹−凸−凹のシーケンスで連なる。全体として、系は2つの瞳平面312、314を有し、その一方にはアクセスできる。アクセスできる瞳平面は、同時に、開口絞りBが配置されている平面でもある。開口絞りBは、第3の鏡に接して配置されている。物体平面100と像平面102との間の距離は1490mmであり、メリジオナル断面において計測された、すべての鏡のうちの最大鏡径、すなわち、最大寸法Myは197mmであり、x方向に計測された、すべての鏡のうちの最大鏡径、すなわち、最大寸法Mxは464mmであり、すべての鏡に対する、中心視野点の主光線の最大入射角度ΔΘCR(max)は16.6°であり、メリジオナル断面における、すべての鏡に対する最大角度Θmax(max)は19.2°であり、メリジオナル断面における、すべての鏡に対する入射角度の最大範囲ΔΘmaxは16.7°である。
【0131】
次の図7〜13は、本明細書で開示したような(または、米国特許出願公開第2005/0088760号にも記載されているような)入射瞳のバック・フォーカスが負である投影対物系の使用に適合するマイクロリソグラフィ投影露光装置の有利な実施形態を示している。
【0132】
周知の従来技術の照明系においては、投影対物系の入射瞳のバック・フォーカスは、正である場合がほとんどである。バック・フォーカスが正である投影対物系を有する投影系では、たとえば、ホログラフィック・ディフューザや、さらには、二重にファセットされた系として構成される照明系の第2のファセットされた光学部品などの光学要素は、投影対物系の入射瞳の中に配置することはできないが、光学要素を用いて、光源から像平面までの光線経路内の、物体平面の後方に位置する入射瞳に、像として投影される。
【0133】
入射瞳のバック・フォーカスが負である投影対物系では、鏡像化入射瞳は、(たとえば、反射性レチクルが配置される)物体平面の像側に位置する。これらの系では、たとえば、ディフューザや、さらには、二重にファセットされた照明系の瞳ファセット鏡などの光学積分器を、鏡像化入射瞳REの中または近くに配置することが可能である。
【0134】
このタイプの系の第1の実施形態を図7に示す。図7による系は、バック・フォーカスが負であって、第1の鏡S1、第2の鏡S2、第3の鏡S3、第4の鏡S4、第5の鏡S5、第6の鏡S6を有する投影対物系1000を含む。さらに、照明系は、入れ子型かすめ入射コレクタ1002を含み、入れ子型かすめ入射コレクタ1002は、光源の下流の光線経路内に位置し、光源1004からの放射をNA≧0.7の大開口の半空間で受け取る。この概略スケッチに示されたコレクタは、回転軸に対して回転対称である鏡シェルを2つだけ有し、各シェルにおいて2つの反射が発生する。もちろん、3つ以上のシェルを有し、シェルごとに3つ以上の反射が発生するコレクタも同様に考えられる。図7に示した実施形態では、光源1004から物体平面1006までの光線経路内に垂直入射鏡1008が配置される。垂直入射鏡1008は、その多層コーティング(たとえば、40層から70層のMo/Siコーティング)により、狭帯域波長フィルタとして動作する。多層コーティングにより狭帯域波長フィルタとして動作する垂直入射鏡を用いるという考え方は、周知の従来技術に属する。このタイプの鏡は様々な位置に動かすことが可能なので、別々の使用可能領域1008.1および1008.2を光線経路内に配置することが可能である。この例では、別の場所への移動は、回転軸RAのまわりを回転することによって行われる。多層鏡1008の、光線経路からはずした領域を、たとえばクリーニングデバイスでクリーニングすることが可能である。さらに、垂直入射多層鏡1008の現在有効な使用可能範囲1008.1、1008.2の上にスペクトル格子フィルタを設置することが可能である。従来技術のスペクトル・フィルタが、使用可能波長でない光を除外する方法では、使用可能波長より著しく大きい(好ましくは使用可能波長の150〜200倍の大きさである)格子平面において少なくとも1格子周期を有する格子に、光源の光が入射する。使用可能波長が、たとえば、約13.5nmであれば、この方法でスペクトル・フィルタとして動作するバイナリ格子の周期性は、ミクロンのオーダーである。
【0135】
光源から第1のファセットされた要素までの光線経路では、図示した実施形態の照明光線経路内に第1の中間像IMIが形成される。中間像IMIの前の照明光線光路内にある光学部品、すなわち、光源1004、コレクタ1002、垂直入射鏡1008は、第1の空間1020において組み合わせられる。この第1の空間1020は、中間像IMIがほぼ位置する場所である唯一の開口部1022を有するスクリーンによって部品の他の部分と隔てられる。第1のファセットされた光学要素は鏡を含み、この鏡は、この例では物体平面内で照明される視野と同じ形状を有する視野ファセットを多数有し、視野ファセット鏡1024と称される。したがって、視野ファセットは、アーチ形に構成される。照明の設定を調整する場合のオプションとして、視野ファセット鏡1024を別の視野ファセット鏡と交換することが可能である。あるファセット鏡を別のファセット鏡と交換することを可能にする方法の1つとして可能性があるのは、たとえば、軸のまわりを回ることが可能な部品に様々なファセット配置の視野ファセット鏡を設置することである。
【0136】
視野ファセット鏡1024は、入射光束を、個々の視野ファセットに関連付けられる多数の光束に分解する。視野ファセットに関連付けられた各光束は二次光源を形成する。この二次光源の場所またはその近くに、第2のファセットされた光学要素が配置されるが、これは、投影対物系の鏡像化入射瞳REが位置する平面の中または近くである。第2のファセットされた光学要素は、瞳ファセット鏡1026とも称され、その上に配置されるラスタ要素は瞳ファセットと称される。視野ファセット鏡と同様に、瞳ファセット鏡1026も、200個から300個のファセットされた要素(このケースでは瞳ファセット)を含む。個々の瞳ファセットは、設定の調整が可能であるように、交換可能に構成されている。瞳ファセット鏡の、使用されない領域には、投影対物系内の光伝搬の経路を妨げないような切り欠きがあってもよい。散乱光を抑圧して、それらが投影対物系に入射しないようにするために、ファセット鏡の上方にスクリーン1030が配置される。チャネル割り当ての変更による設定調整の代替として、瞳ファセット鏡の前のしかるべき場所に開口絞りを設置することも可能であるが、この実施形態には示していない。
【0137】
図8は、光学積分器がディフューザとして構成された、照明系の代替構成を示す。図8の光源は、参照符号2000で示されている。光源2000は、このケースでは、水平方向のポンプ・ジェットを有するレーザプラズマ源である。この配置は、放射源の後方に発せられた放射部分を集めるために、回転楕円体として構成可能な垂直入射鏡2004を含む。可能な代替方法は、複数のコレクタを用いて(たとえば、デュアル・コレクタを用いて)光を集めることである。デュアル・コレクタ系は、斜めに配置された垂直入射コレクタ鏡を2つ有する垂直入射コレクタ系である。コレクタの楕円体の上にスペクトル格子フィルタを組み込むことが可能である。
【0138】
基本的に、ディフューザ2002は、500個から1000個の小さな鏡ファセットを有するディフューザ鏡として、あるいは、ホログラフィック格子網として構成される。
【0139】
図8に示すように、照明系は、非常にコンパクトな設計であり、光源2000、コレクタ2004、ディフューザ2002だけで構成される。入射瞳のバック・フォーカスが負である投影対物系から照明系を隔離するために、マイクロリソグラフィ投影装置内に、スクリーンが、好ましくは冷却可能な保護シールドの形で設置される。このスクリーンは、参照符号2005で示されている。投影対物系は、第1の鏡S1、第2の鏡S2、第3の鏡S3、第4の鏡S4、第5の鏡S5、第6の鏡S6を有する6鏡式投影対物系である。図8に示した系の、光学積分器の形のディフューザ2002は、このケースでも、投影対物系の鏡像化入射瞳REの中または近くに配置される。設計空間が限られていること、および伝搬の角度のために、σ>1という設定は図7と図8による系では不可能である。
【0140】
図8の系では、投影対物系の光源から、照明される物体(たとえば、ウェハ)が配置される像平面までの光線経路に鏡が8枚しかない。しかしながら、図8による系の場合、物体平面内の反射性レチクルは、鏡の数に含まれない。図8による系の代替可能性として、コレクタ2004を他のコレクタ(たとえば、かすめ入射コレクタ)に置き換えることが可能である。そのような、かすめ入射コレクタを有する種類の系であっても、2×26mm2の視野サイズで像側開口数NAが0.25以上(好ましくは0.3以上)とすることが可能な、9枚以下の鏡を有するEUV投影露光装置を指定することができる。
【0141】
σ>1の設定を可能にするためには、たとえば平面鏡を用いて、照明系の光線経路を曲げることが有利である。これを示したのが図9の系である。これまでの例にある部品と類似の部品は、同じ参照符号で示してある。鏡2008を用いて、第2のラスタ要素(図示せず)を有する第2の光学要素2007より前の光線経路を、物体平面2009内に配置されたレチクルに向かって曲げることにより、第1のラスタ要素を有する第1の光学要素2006(すなわち、視野ファセット鏡)を、アクセスしやすい空間に配置することが可能になる。この視野ファセット鏡を、異なる複数の視野ファセット鏡を含む支持物2010に配置することが可能であり、回転軸R1のまわりを回転させることが可能である。この回転可能な支持物は、同じ構成のファセット鏡同士を交換して、交換した鏡が汚れていればクリーニングするように動作することが可能である。別の可能性として、ファセット鏡の支持要素は、異なる複数のファセット鏡(すなわち、ラスタ要素の配置が異なる複数のファセット鏡)を保持して、軸R1のまわりの回転によって様々な照明設定が実現可能であるようにすることも可能である。これらの考え方を組み合わせることも可能である。
【0142】
オプションとして、折り曲げ鏡2008は、屈折力を有する鏡である。図9に示した系では、視野ファセットは、それぞれの瞳ファセットとの間に交差相関を有する。つまり、図9に示したメリジオナル断面において視野ファセット鏡の右側部分にある視野ファセットと、そのメリジオナル断面において瞳ファセット鏡の左側部分にある瞳ファセットとの間に相関関係がある。この交差相関の結果として、光線パターンの狭窄部、すなわち、光源の中間像IMI1が、第1のファセットされた光学要素から第2のファセットされた光学要素までの光線経路に形成される。この狭窄部または中間像IMI1によって、光源2000、コレクタ2004.1、第1のファセットされた光学要素2006を含むユニットを、投影対物系を含むユニットから隔てる保護壁2020の中に、限られた通過開口部OPを配置することが可能となる。さらに、光源の中間像IMI2も、光源2000、コレクタ2004.1、第1のファセットされた光学要素2006を含むユニットの中に形成される。
【0143】
図10は、特にEUVレンジの波長の場合の、マイクロリソグラフィ投影露光装置のさらなる実施形態を示し、ここでは、光学積分器が鏡像化入射瞳の中に配置されない。
【0144】
このマイクロリソグラフィ投影露光装置の照明系は、位置可変または視野依存のディフューザ3006を含む。このディフューザ3006は、鏡像化入射瞳の平面またはその平面と共役である平面に配置されることが必須ではなく、ほぼ任意に選択された平面に配置されるように設計される。このディフューザは、多数の(好ましくは1000個を超える)個別の鏡ファセットを含み、これらの鏡ファセットは、照明系内のディフューザの配置場所に依存する偏向角度を有し、それによって、各ファセットが、光源からの光を受け、その光を、照明系の物体平面3007内に形成された視野(図示せず)の割り当てられた離散点に向ける。物体平面3007内の離散点は、物体平面3007内の視野が、所定の形状(たとえば、アーチ形)で照明されるように選択される。ファセットはさらに、物体平面内の視野の離散点がそれぞれ割り当てられている状態でそのファセットが投影対物系の瞳平面内の特定領域を照明するように配置される。
【0145】
ディフューザ3006は、いわゆる鏡面反射板とも称される。その特徴は、各ファセットのサイズ、位置、傾斜角度がそれぞれ異なり、傾斜角度が、それぞれに関連付けられた視野点によって規定されるという点である。鏡面反射板は、照明される視野とほぼ同じ形状を有することが好ましい。照明される視野がアーチ形であれば、鏡面反射板は腎臓形である。
【0146】
位置可変または視野依存のディフューザ3006の場所は、照明系の設計時に任意に選択できるので、系の他の部分のレイアウトに無関係に、ディフューザ3006にとって最適な場所を選択することが可能である。ディフューザは、系のレイアウトが最適化され、ディフューザのサイズが最適であるように、配置されることが好ましい。位置可変または視野依存のディフューザ3006を有する系を図10に示した。図10の系は、光源3000を含む。光源の光は、コレクタ鏡3002によって集められ、折り曲げ鏡3004に向けられる。折り曲げ鏡3004は、照明系の光線パターンを、投影対物系の光線パターンから隔てるために必要である。鏡3004に入射する光は、反射し、位置可変または視野依存のディフューザ3006に向かう。前述の系と異なり、位置可変または視野依存のディフューザ3006は、鏡像化入射瞳平面やその共役平面ではなく、物体平面のような視野平面やその共役平面でもない、任意に選択された平面に配置される。
【0147】
光源3000からディフューザまでの光線経路において、ディフューザ3006より前に配置された垂直入射鏡3004は、前述の例で示したように、位置可変または視野依存のディフューザに入射する光のフィルタとして動作する役割がある。このフィルタリング作用により、位置可変または視野依存のディフューザは、使用可能な放射(具体的には、波長13.5nmのEUV光)だけを受ける。これにより、ディフューザ3006の放射露光負荷が最小になり、結果として、熱ストレス負荷が軽減され、汚れが少なくなる。
【0148】
垂直入射鏡3004は、軸外円錐成分を有する自由曲面として構成可能であることが好ましい。この種の垂直入射鏡の動作を図11に示す。図11は、垂直入射鏡を(たとえば、軸外円錐成分を有する)自由曲面として設計することにより、腎臓形レイアウトを有する、位置可変または視野依存のディフューザ3006が、腎臓形の、したがってほとんど無損失の照明を受ける様子を示している。
【0149】
図11では、光源から到達する入射光束を参照符号4000で示している。光束4000は、図11に斜視図で示したような円錐成分を有する垂直入射鏡3004に入射し、反射する。この反射によって、位置可変または視野依存の反射板またはディフューザが配置されている平面に生成される照明パターンを、参照符号4502で示した。図11から明らかであるように、位置可変または視野依存のディフューザが配置されている平面における照明は、腎臓形であり、互いにオフセットしている複数の副瞳4504からなる。
【0150】
垂直入射鏡を使用することの代替として、(たとえば、かすめ入射コレクタのシェルを有する)かすめ入射鏡を用いて、ほぼ腎臓形の照明を実現することも可能である。さらに、垂直入射鏡に、照明機能だけでなく、光学機能も持たせることが可能である。この光学機能は、鏡に屈折力を与えるために、球状、環状、またはほぼ非球面の成分を円錐成分に追加することにより実現可能である。
【0151】
図10の系では、ディフューザ3006の光は、かすめ入射鏡3008によって物体平面3007に向けられる。物体平面内の物体は、6枚の鏡S1、S2、S3、S4、S5、S6を有する投影対物系3010によって像平面3022に投影され、像平面3022には、露光される物体(たとえば、ウェハ3024)が搬送台3026に配置されている。投影対物系は、バック・フォーカスが負であり、光軸HAを有する。
【0152】
図10による系により、0.25以上(好ましくは0.3以上)の像側開口数NAで、26×2mm2の視野を照明する投影露光装置が使用可能になる。この投影露光装置は、垂直入射反射が発生する、最大10個以下の要素を有する。
【0153】
図12、13は、位置可変または視野依存のディフューザを照明系に有するマイクロリソグラフィ投影露光装置の代替構成を示す。
【0154】
図12の実施形態では、光線経路において、位置可変または視野依存のディフューザの後に、光を集める垂直入射鏡が続く。図10に示した要素と類似する要素は、同じ参照符号で示してある。光源から像平面までの光線経路において、位置可変または視野依存のディフューザの後に垂直入射鏡3050を配置することは、位置可変ディフューザの個々のファセットを平面鏡として設計できる点で特に有利である。光を集める垂直入射鏡3050は、光源3000の、強度に拡大された像を、レチクルが配置された物体平面3007に生成し、その一方で、位置可変ディフューザが、光源の多数の像の重ね合わせを物体平面3007に与える。図示した例の光線経路において、屈折力を有する垂直入射鏡3050の後に、平面鏡として構成された、さらなる鏡3054が続く。この鏡3054の役割は、光線経路を曲げることである。可能な代替として、第2の垂直入射鏡3054にも屈折力を与えることにより、第1の垂直入射鏡3050と組み合わせて、結像倍率を指定の目標値に設定し、したがって、位置可変ディフューザのサイズを制御することが可能になる。これにより、位置可変ディフューザ3006上の個々のファセット要素が、測定可能なサイズになるように、位置可変ディフューザ3006を非常に大きく設計することが可能になる。位置可変ディフューザ3006とその上に配置された個々のファセットのサイズ次第で、前述のように、熱ストレス負荷を大幅に軽減することが可能である。位置可変ディフューザを、湾曲した搬送台の上で形成することも可能である。
【0155】
図12に示したような位置可変ディフューザを有する系の実施形態では、光源3000の光が、方向反転反射板3060によって集められ、方向反転反射板3060は、位置可変ディフューザ3006上で腎臓形の領域が照明されるように構成される。この例では、図10、11の実施形態の、軸外円錐成分を有する自由曲面の垂直入射鏡と異なり、方向反転反射板が、位置可変ディフューザ3006のほぼ円弧形の照明を与える。
【0156】
位置可変または視野依存のディフューザを有する、特にシンプルな照明系を、図13による例において示す。図10〜12に示した要素と類似する要素は、同じ参照符号で示してある。図13の実施形態では、光源の光が、多数の鏡シェル3070.1および3070.2を有するかすめ入射コレクタ3070によって集められる。かすめ入射コレクタが受けた光は、物体平面3007の直前に配置された位置可変または視野依存のディフューザ3006に向けられる。位置可変または視野依存のディフューザ3006に反射した光は、物体平面3007に向かう。鏡3080を追加し、これによって、ディフューザに反射した光が折り曲げられて物体平面3007に戻ることにより、系の形状的な効率を大幅に高めることが可能である。図13に示した実施形態の特徴は、設計構造が非常にシンプルであることと、照明系の照明光線経路内に中間像がないことである。
【0157】
図12と図13による投影対物系は、入射瞳のバック・フォーカスが負であり、6枚の鏡S1、S2、S3、S4、S5、S6を有する対物系である。
【0158】
本発明は、第1に、マイクロリソグラフィ投影露光装置の照明光線経路と像投影光線経路との間の交差がほとんど避けられるように設計された、入射瞳のバック・フォーカスが負である投影対物系を提供する。そして、これにより、投影露光装置のモジュール設計が実現可能になる。
【0159】
前述のモジュール設計を実現可能にする、入射瞳のバック・フォーカスが負であるマイクロリソグラフィ投影系に加えて、本発明はさらに、光学部品の数が少なく、像側開口数NAが0.25以上(好ましくは0.3以上)であり、像側視野の最大寸法(Dx、Dy)が、1mmより大きく、好ましくは3mmより大きく、さらに、より好ましくなる方向には、4mm、5mm、6mm、8mm、10mm、12mm、15mm、20mmより大きく、特に好ましくは25mmより大きいマイクロリソグラフィ投影系を提供する。このタイプのシステムでは、光源と像平面との間の光学要素に対する垂直入射反射が10以下であることが好ましく、この数には、物体平面内に配置された反射性物体(具体的には反射性レチクル)に対する反射が含まれない。像視野のサイズは、たとえば、2×26mm2であってよい。この文脈において特に有利であるのは、光学積分器を1つしか必要としないマイクロリソグラフィ投影系である。光学積分器が1つしかない系の中でも、特に有利なのは、マイクロリソグラフィ投影露光装置内の任意に選択された場所に光学積分器を配置することが可能であることを特徴とする系である。これらの要件に適合する光学積分器は、具体的には、いわゆる位置可変または視野依存の光学積分器または鏡面反射板である。
【符号の説明】
【0160】
CRB 照明光束の主光線、REFLOBJ 反射性物体、S1 第1の鏡、S2 第2の鏡、γ 主光線角度、NO 法線方向、CRP 投影光束の主光線、VE 入射瞳、RE 鏡像化入射瞳、D 直径、Mx、My 寸法、HA 光軸、S1、S2、S3、S4、S5、S6 鏡、CRE 入射主光線、CRR 反射主光線、CR 主光線、CROSS 光軸との交差点、20 物体平面、22 感光基板、23 搬送台
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体視野が形成される物体平面(20、100、300、2103)と、
入射瞳(VE)と、
前記物体平面(20、100、300、2103)において前記入射瞳(VE)を鏡像化することによって得られる、鏡像化入射瞳平面(103)内の鏡像化入射瞳(RE)と、
像平面(21、102、302、2102)と、
光軸(HA)と
少なくとも第1の鏡(S1)と第2の鏡(S2)とを備える投影対物系であって、 前記入射瞳のバック・フォーカスが負であり、前記物体視野の中心点から発生して、前記物体平面から前記像平面にかけて前記対物系を横断する主光線(CR、CRP)が、少なくとも1つの交差点(CROSS)において前記光軸(HA)と交差し、すべての交差点(CROSS、CROSS1、CROSS2)の幾何学的位置が、前記像平面(21、102、302、2102)と前記鏡像化入射瞳平面(103)との間である、投影対物系。
【請求項2】
物体視野が形成される物体平面(20、100、300、2103)と、
入射瞳(VE)と、
前記物体平面(20、100、300、2103)において前記入射瞳(VE)を鏡像化することによって得られる、鏡像化入射瞳平面(103)内の鏡像化入射瞳(RE)と、
像平面(21、102、302、2102)と、
光軸(HA)と
少なくとも第1の鏡(S1)と第2の鏡(S2)とを備える投影対物系であって、 前記投影対物系の前記入射瞳のバック・フォーカスが負であり、前記物体視野の中心点から発生した主光線(CR、CRP)が、前記物体平面から前記像平面にかけて前記対物系を横断して、少なくとも1つの交差点(CROSS、CROSS1、CROSS2)において前記光軸(HA)と交差し、
個々の交差点のそれぞれ(CROSS、CROSS1、CROSS2)が、前記光軸(HA)の方向に、前記物体平面(20、100、300、2103)からのそれぞれの第1の距離A1を有し、前記鏡像化入射瞳平面(103)が、前記物体平面からの第2の距離A2を有し、それぞれの場合においてA2およびA1が、条件A2<A1、好ましくはA2<0.9・A1、さらに、より好ましくなる方向には、A2<0.8・A1、A2<0.7・A1、A2<0.6・A1、最も好ましくはA2<0.5・A1に適合する、投影対物系。
【請求項3】
少なくとも4枚の鏡(S1、S2、S3、S4)を備える請求項1または2に記載の投影対物系。
【請求項4】
少なくとも6枚の鏡(S1、S2、S3、S4、S5、S6)を備える請求項1から3のいずれか一項に記載の投影対物系。
【請求項5】
開口絞り(B)が配置される開口絞り平面(104)が形成される請求項3または4のいずれか一項に記載の投影対物系。
【請求項6】
前記物体平面から前記像平面までの前記光線経路において前記開口絞り平面の前にある第1の数の鏡が、第1の副対物系(SUB01)を形成し、第2の数の鏡が第2の副対物系(SUB02)を形成し、前記第2の副対物系が前記開口絞り平面(104)を含む請求項5に記載の投影対物系。
【請求項7】
前記第2の副対物系(SUB02)が2枚の鏡を有する請求項6に記載の投影対物系。
【請求項8】
少なくとも6枚の鏡、すなわち、第1の鏡(S1)と、第2の鏡(S2)と、第3の鏡(S3)と、第4の鏡(S4)と、第5の鏡(S5)と、第6の鏡(S6)とを備え、前記第1の副対物系(SUB01)が、少なくとも、前記第1の鏡(S1)と、前記第2の鏡(S2)と、前記第3の鏡(S3)と、前記第4の鏡(S4)とを備える請求項6または7に記載の投影対物系。
【請求項9】
前記第2の副対物系(SUB02)が、前記第5の鏡(S5)と、前記第6の鏡(S6)とを備える請求項8に記載の投影対物系。
【請求項10】
前記像側開口数が0.2以上であり、好ましくは0.25以上であり、特に好ましくは0.3以上である請求項1から9のいずれか一項に記載の投影対物系。
【請求項11】
少なくとも6枚の鏡、すなわち、第1の鏡(S1)と、第2の鏡(S2)と、第3の鏡(S3)と、第4の鏡(S4)と、第5の鏡(S5)と、第6の鏡(S6)とを備え、前記第1の鏡(S1)が凸形であり、前記第2の鏡(S2)が凹形であり、前記第3の鏡(S3)が凹形であり、前記第4の鏡(S4)が凸形であり、前記第5の鏡(S5)が凸形であり、前記第6の鏡(S6)が凹形である請求項1から10のいずれか一項に記載の投影対物系。
【請求項12】
前記物体平面(300)から前記像平面(302)までの前記光線経路において中間像(ZW)が形成される請求項1から11のいずれか一項に記載の投影対物系。
【請求項13】
少なくとも6枚の鏡、すなわち、第1の鏡(S1)と、第2の鏡(S2)と、第3の鏡(S3)と、第4の鏡(S4)と、第5の鏡(S5)と、第6の鏡(S6)とを備え、前記中間像(ZW)が前記第4の鏡(S4)と前記第5の鏡(S5)との間に形成される請求項12に記載の投影対物系。
【請求項14】
前記第1の鏡(S1)が凹形であり、前記第2の鏡(S2)が凹形であり、前記第3の鏡(S3)が凸形であり、前記第4の鏡(S4)が凹形であり、前記第5の鏡(S5)が凸形であり、前記第6の鏡(S6)が凹形である請求項13に記載の投影対物系。
【請求項15】
前記第2の鏡(S2)と前記第3の鏡(S3)との間、または前記第3の鏡(S3)に接して開口絞り(B)が配置される請求項13または14に記載の投影対物系。
【請求項16】
前記像側開口数NAが0.2以上であり、好ましくは0.25以上であり、特に好ましくは0.3以上である請求項12から15のいずれか一項に記載の投影対物系。
【請求項17】
少なくとも5枚の鏡と、
入射瞳(VE)と、
物体視野が形成される物体平面(100、300)と、
像平面(102、302)と、
隠されていない射出瞳とを備える投影対物系であって、
前記少なくとも5枚の鏡が第1の鏡(S1)を含み、前記入射瞳(VE)のバック・フォーカスが負であり、前記物体視野の中心点から発生して前記第1の鏡(S1)に入射する主光線(CRE)が、前記第1の鏡(S1)に反射した後の、前記物体視野の前記中心点の前記主光線(CRR)によって一方の側がふちどられ、他方の側が前記光軸(HA)にふちどられた領域内を伝搬する、投影対物系。
【請求項18】
前記物体平面から前記像平面までの前記光線経路において中間像が形成されないように構成されることを特徴とする請求項17に記載の投影対物系。
【請求項19】
瞳平面(104、321、314)の中または近くに開口絞り(B)が配置される請求項17または18に記載の投影対物系。
【請求項20】
前記物体平面(100、300)から前記像平面(102、302)までの前記光線経路において前記開口絞り(B)の前に位置する、第1の数の鏡が第1の副対物系(SUB01)を形成し、第2の数の鏡が第2の副対物系(SUB02)を形成し、前記第2の副対物系が前記開口絞り(B)を備える請求項19に記載の投影対物系。
【請求項21】
前記第2の副対物系(SUB02)が2枚の鏡を有する請求項20に記載の投影対物系。
【請求項22】
少なくとも6枚の鏡、すなわち、第1の鏡(S1)と、第2の鏡(S2)と、第3の鏡(S3)と、第4の鏡(S4)と、第5の鏡(S5)と、第6の鏡(S6)とを備え、前記第1の副対物系(SUB01)が、少なくとも、前記第1の鏡(S1)と、前記第2の鏡(S2)と、前記第3の鏡(S3)と、前記第4の鏡(S4)とを備える請求項20または21に記載の投影対物系。
【請求項23】
前記第2の副対物系(SUB02)が、前記第5の鏡(S5)と、前記第6の鏡(S6)とを備える請求項22に記載の投影対物系。
【請求項24】
前記像側開口数NAが0.2以上であり、好ましくは0.25以上であり、特に好ましくは0.3以上である請求項17から23のいずれか一項に記載の投影対物系。
【請求項25】
少なくとも6枚の鏡、すなわち、第1の鏡(S1)と、第2の鏡(S2)と、第3の鏡(S3)と、第4の鏡(S4)と、第5の鏡(S5)と、第6の鏡(S6)とを備え、前記第1の鏡(S1)が凸形であり、前記第2の鏡(S2)が凹形であり、前記第3の鏡(S3)が凹形であり、前記第4の鏡(S4)が凸形であり、前記第5の鏡(S5)が凸形であり、前記第6の鏡(S6)が凹形である請求項20から24のいずれか一項に記載の投影対物系。
【請求項26】
少なくとも6枚の鏡、すなわち、第1の鏡(S1)と、第2の鏡(S2)と、第3の鏡(S3)と、第4の鏡(S4)と、第5の鏡(S5)と、第6の鏡(S6)とを備え、前記第1の鏡(S1)と前記第2の鏡(S2)とが第1の部分系(PART1)を形成し、前記第3の鏡(S3)と、前記第4の鏡(S4)と、前記第5の鏡(S5)と、前記第6の鏡(S6)とが第2の部分系(PART2)を形成する請求項19から25のいずれか一項に記載の投影対物系。
【請求項27】
前記第1の部分系(PART1)から前記第2の部分系(PART2)までの、光軸方向の幾何学的距離(DIS)が、前記対物系の全体長の30%より長く、好ましくは40%より長く、さらに好ましくは50%より長く、特に好ましくは60%より長い請求項26に記載の投影対物系。
【請求項28】
入射瞳(VE)と、
物体視野が形成される物体平面(100、300)と、
像平面(102、302)と、
前記物体平面(100、300)から前記像平面(102、302)までの光線経路と、
少なくとも5枚の鏡とを備える投影対物系であって、
前記入射瞳のバック・フォーカスが負であり、前記物体平面(100、300)から前記像平面(102、302)までの前記光線経路において中間像が形成されないように構成される、投影対物系。
【請求項29】
瞳平面(104、321、314)の中または近くに開口絞り(B)が配置される請求項28に記載の投影対物系。
【請求項30】
前記物体平面から前記像平面までの前記光線経路において前記開口絞り(B)の前に位置する、第1の数の鏡が第1の副対物系(SUB01)を形成し、第2の数の鏡が第2の副対物系(SUB02)を形成し、前記第2の副対物系が前記開口絞り(B)を備える請求項29に記載の投影対物系。
【請求項31】
前記第2の副対物系(SUB02)が2枚の鏡を有する請求項30に記載の投影対物系。
【請求項32】
少なくとも6枚の鏡、すなわち、第1の鏡(S1)と、第2の鏡(S2)と、第3の鏡(S3)と、第4の鏡(S4)と、第5の鏡(S5)と、第6の鏡(S6)とを備え、前記第1の副対物系(SUB01)が、少なくとも、前記第1の鏡(S1)と、前記第2の鏡(S2)と、前記第3の鏡(S3)と、前記第4の鏡(S4)とを備える請求項30または31に記載の投影対物系。
【請求項33】
前記第2の副対物系(SUB02)が、前記第5の鏡(S5)と、前記第6の鏡(S6)とを備える請求項32に記載の投影対物系。
【請求項34】
前記像側開口数NAが0.2以上であり、好ましくは0.25以上であり、特に好ましくは0.3以上である請求項28から33のいずれか一項に記載の投影対物系。
【請求項35】
少なくとも6枚の鏡、すなわち、第1の鏡(S1)と、第2の鏡(S2)と、第3の鏡(S3)と、第4の鏡(S4)と、第5の鏡(S5)と、第6の鏡(S6)とを備え、前記第1の鏡(S1)が凸形であり、前記第2の鏡(S2)が凹形であり、前記第3の鏡(S3)が凹形であり、前記第4の鏡(S4)が凸形であり、前記第5の鏡(S5)が凸形であり、前記第6の鏡(S6)が凹形である請求項28から34のいずれか一項に記載の投影対物系。
【請求項36】
少なくとも6枚の鏡、すなわち、第1の鏡(S1)と、第2の鏡(S2)と、第3の鏡(S3)と、第4の鏡(S4)と、第5の鏡(S5)と、第6の鏡(S6)とを備え、前記第1の鏡(S1)と前記第2の鏡(S2)とが第1の部分系(PART1)を形成し、前記第3の鏡(S3)と、前記第4の鏡(S4)と、前記第5の鏡(S5)と、前記第6の鏡(S6)とが第2の部分系(PART2)を形成する請求項28から35のいずれか一項に記載の投影対物系。
【請求項37】
前記第1の部分系(PART1)から前記第2の部分系(PART2)までの、前記光軸HAの方向の幾何学的距離(DIS)が、前記対物系の全体長の30%より長く、好ましくは40%より長く、さらに好ましくは50%より長く、特に好ましくは60%より長い請求項36に記載の投影対物系。
【請求項38】
入射瞳(VE)と、
物体視野が形成される物体平面(100、300)と、
像平面(102、302)、ならびに前記物体平面から前記像平面までの光線経路と、 射出瞳と、
少なくとも第1の鏡(S1)と第2の鏡(S2)とを備える投影対物系であって、 前記射出瞳が隠されていない射出瞳であり、前記入射瞳のバック・フォーカスが負であり、前記投影対物系のメリジオナル平面において、前記物体平面から前記第1の鏡(S1)までの前記光線経路が、前記第2の鏡(S2)から前記像平面(102、302)までの前記光線経路と交差し、前記物体平面(100、300)と前記第1の鏡(S1)との間にさらなる鏡が配置されないように構成される、投影対物系。
【請求項39】
少なくとも4枚の鏡、すなわち、第1の鏡(S1)と、第2の鏡(S2)と、第3の鏡(S3)と、第4の鏡(S4)とを備える請求項38に記載の投影対物系。
【請求項40】
少なくとも6枚の鏡、すなわち、第1の鏡(S1)と、第2の鏡(S2)と、第3の鏡(S3)と、第4の鏡(S4)と、第5の鏡(S5)と、第6の鏡(S6)とを備える請求項38または39に記載の投影対物系。
【請求項41】
前記メリジオナル平面において、前記物体平面(100、300)から前記第1の鏡(S1)までの前記光線経路が、前記第2の鏡(S2)から前記第3の鏡(S3)までの前記光線経路と交差する請求項39または40に記載の投影対物系。
【請求項42】
前記物体平面(100、300)から前記像平面(102、302)までの前記光線経路において中間像(ZW)が形成される請求項38から40のいずれか一項に記載の投影対物系。
【請求項43】
前記中間像(ZW)が前記第4の鏡(S4)と前記第5の鏡(S5)との間に形成される請求項40から42のいずれか一項に記載の投影対物系。
【請求項44】
前記第1の鏡(S1)が凹形であり、前記第2の鏡(S2)が凹形であり、前記第3の鏡(S3)が凸形であり、前記第4の鏡(S4)が凹形であり、前記第5の鏡(S5)が凸形であり、前記第6の鏡(S6)が凹形である請求項40から43のいずれか一項に記載の投影対物系。
【請求項45】
前記第2の鏡(S2)と前記第3の鏡(S3)との間に開口絞り(B)が配置される請求項40から44のいずれか一項に記載の投影対物系。
【請求項46】
開口絞り(B)が、前記第3の鏡に接して配置される請求項40から45のいずれか一項に記載の投影対物系。
【請求項47】
前記像側開口数NAが0.2以上であり、好ましくは0.25以上であり、特に好ましくは0.3以上である請求項38から46のいずれか一項に記載の投影対物系。
【請求項48】
前記投影対物系の前記鏡が、光軸(HA)に対して回転対称であるように配置される請求項1から47のいずれか一項に記載の投影対物系。
【請求項49】
物体平面(100、300)の像を像平面(102、302)に、波長λの放射で投影するように設計され、多数の鏡を備える投影対物系であって、入射瞳のバック・フォーカスが負であり、前記像側のRMS波面収差WRMSが0.01λ未満であり、さらに最大入射角度を有する、反射光学投影対物系であって、メリジオナル平面内の鏡に入射するすべての光線のうちの全体で最大の入射角度Θmax(max)が20°以下である、投影対物系。
【請求項50】
前記像側の波面収差WRMSが0.007λ(特に0.006λ)である請求項49に記載の投影対物系。
【請求項51】
前記メリジオナル平面における前記最大入射角度Θmax(max)が19.5°である請求項49または50に記載の投影対物系。
【請求項52】
前記像側の開口数NAが0.25以上(特に0.30以上)である請求項49から51のいずれか一項に記載の投影対物系。
【請求項53】
少なくとも4枚の鏡を備え、前記物体平面から前記像平面までの光線経路において前記第1の鏡(S1)と前記第4の鏡(S4)とが凸面鏡である請求項49から52のいずれか一項に記載の投影対物系。
【請求項54】
前記鏡が、前記メリジオナル平面内に寸法(My)を有し、すべての鏡についての、前記メリジオナル平面内の最大寸法(My)が190mmより短く、好ましくは180mmより短い請求項49から53のいずれか一項に記載の投影対物系。
【請求項55】
反射光学投影対物系である請求項1から54のいずれか一項に記載の投影対物系。
【請求項56】
反射屈折光学投影対物系である請求項1から54のいずれか一項に記載の投影対物系。
【請求項57】
放射を物体平面(100、300)から像平面(102、302)に向けるように設計され、少なくとも4枚の鏡を備える投影対物系であって、反射光学投影対物系であり、前記入射瞳のバック・フォーカスが負であり、前記物体平面(100、300)から前記像平面(102、302)までの光線経路における前記第1の鏡(S1)と前記第4の鏡(S4)とが凸面鏡である、投影対物系。
【請求項58】
前記物体平面(100、300)から前記像平面(102、302)までの前記光線経路において中間像が形成されない請求項57に記載の投影対物系。
【請求項59】
前記像側の開口数NAが0.25以上(特に0.30以上)である請求項57または58に記載の投影対物系。
【請求項60】
放射を物体平面(100、300)から像平面(102、302)に向けるように設計され、多数の鏡を備える投影対物系であって、前記鏡のそれぞれがメリジオナル平面内に寸法(My)を有し、すべての鏡についての、前記メリジオナル平面内の最大寸法(My)が190mmより短く、好ましくは180mmより短い、投影対物系。
【請求項61】
鏡に入射するすべての光線のうちの最大入射角度Θmax(max)が、すべての鏡に対して25°未満であり、特に21°であり、好ましくは20°である請求項58に記載の投影対物系。
【請求項62】
第1の鏡(S1)と、第2の鏡(S2)と、第3の鏡(S3)と、第4の鏡(S4)と、第5の鏡(S5)と、第6の鏡(S6)とを備える請求項49から61のいずれか一項に記載の投影対物系。
【請求項63】
波長λの放射を物体平面から像平面に向けるように設計され、λ=193nmであり、好ましくはλ=100nmであり、特に好ましくは1nm<λ=30nmである請求項1から62のいずれか一項に記載の投影対物系。
【請求項64】
照明光線束(211)によって横断される照明系と、
照明される物体視野がある物体平面(212)と、
投影対物系(210)とを備えるマイクロリソグラフィ投影露光装置であって、
前記投影対物系(210)が、前記物体平面(212)から像平面(214)までの像投影光線経路(213)によって横断され、前記投影対物系の入射瞳のバック・フォーカスが負であり、前記照明系の光線経路における最後から2番目の光学要素から前記物体平面(212)へ伝搬する照明光線束(211)が、前記物体平面(212)に対する反射が発生する領域を除き、前記像投影光線経路(213)と交差しないように構成される、マイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項65】
前記照明系の前記照明光線束(211)と、前記投影対物系の前記像投影光線経路(213)とが、前記物体平面から前記像平面までの光線経路にあるメリジオナル平面において互いに交差しない請求項64に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項66】
照明系と、
投影対物系とを備え、前記投影対物系の入射瞳のバック・フォーカスが負であり請求項1から65のいずれか一項に記載の投影対物系を有する、マイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項67】
前記物体平面(212)において前記入射瞳(VE)を鏡像化することによって、前記物体平面(212)の像側に前記投影対物系(210)の鏡像化入射瞳(RE)が形成され、前記照明系が、前記鏡像化入射瞳(RE)が形成される平面またはその近くに形成される光学積分器を含む請求項64から66のいずれか一項に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項68】
前記光学積分器がファセットされた鏡である請求項67に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項69】
前記光学積分器がディフューザである請求項68に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項70】
前記ディフューザが500個より多い鏡ファセットを備える請求項69に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項71】
前記ディフューザがホログラフィック格子網である請求項69または70に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項72】
前記ディフューザの前の前記光線経路内に開口絞りが配置される請求項64から71のいずれか一項に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項73】
前記照明系が、多数の第1のラスタ要素を有する第1のファセットされた光学要素と、多数の第2のラスタ要素を有する第2のファセットされた光学要素とを含み、前記第2のファセットされた光学要素が、前記鏡像化入射瞳(RE)の平面またはその近くに配置される請求項64から66のいずれか一項に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項74】
第1のラスタ要素が、前記物体平面に形成される視野の形状をほぼ有する請求項73に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項75】
第1のラスタ要素がアーチ形に構成される請求項74に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項76】
前記光学積分器の後、かつ前記物体平面の前の前記光線経路に、少なくとも1枚の鏡が配置される請求項64から75のいずれか一項に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項77】
前記物体平面において前記入射瞳(VE)を鏡像化することによって、前記物体平面の前記像側の鏡像化入射瞳平面(103)に鏡像化入射瞳が形成され、前記照明系において、前記鏡像化入射瞳平面(103)またはその近くに光学積分器(具体的には、ディフューザ)が配置されない請求項64から66のいずれか一項に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項78】
前記光学積分器が前記物体平面の共役平面に配置されない請求項77に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項79】
前記光学積分器が1000個より多い個別ファセットを有する請求項77または78に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項80】
前記光学積分器が前記物体平面内の視野を照明し、前記視野が視野形状を有する請求項77から79のいずれか一項に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項81】
前記光学積分器が形状を有し、前記形状が、前記視野形状とほぼ同じである請求項80に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項82】
前記光学積分器が腎臓形である請求項77から81のいずれか一項に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項83】
前記光学積分器が多数のファセットを有し、前記各ファセットが、前記物体平面内の多数の離散した視野点と、瞳平面内の多数の瞳位置とを照明する請求項77から82のいずれか一項に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項84】
光源から前記光学積分器までの前記光線経路内に垂直入射鏡が配置される請求項77から83のいずれか一項に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項85】
前記垂直入射鏡が、軸外円錐面を含む鏡面を有する請求項84に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項86】
前記垂直入射鏡が、自由曲面として構成された鏡面を有する請求項84に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項87】
前記自由曲面が、軸外円錐成分を有する種類の自由曲面である請求項86に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項88】
前記光源から前記ディフューザまでの前記光線経路において、前記ディフューザの前にかすめ入射鏡が配置される請求項77から83のいずれか一項に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項89】
前記かすめ入射鏡が、軸外円錐面を含む鏡面を有する請求項88に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項90】
前記かすめ入射鏡または前記垂直入射鏡が、球状、環状、または非球面の部分を含む請求項84から89のいずれか一項に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項91】
前記光源から前記物体平面までの前記光線経路において、前記光学積分器の後に垂直入射鏡が配置される請求項77から90のいずれか一項に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項92】
放射を光源から像平面に向けるように設計され、前記光源からの前記放射が前記像平面に向けられるように配置された多数の光学要素を含むマイクロリソグラフィ投影露光装置であって、前記多数の光学要素が鏡であり、垂直入射条件下で前記放射を反射する鏡の(前記物体平面に配置される反射性物体を含まない)最大枚数が10であり、像側開口数NAが0.25より大きく、特に0.26より大きく、好ましくは0.3以上であり、前記像側の視野の最大寸法(Dx、Dy)が、1mmより大きく、好ましくは4mmより大きく、さらに、より好ましくなる方向には、8mmより大きく、12mmより大きく、16mmより大きく、20mmより大きく、特に好ましくは25mmより大きい、投影露光装置。
【請求項93】
垂直入射条件下で前記放射を反射する鏡の(前記物体平面に配置される反射性物体を含まない)最大枚数が9である請求項92に記載の投影露光装置。
【請求項94】
前記放射が波長λを有し、λ=100nmであり、好ましくはλ=30nmであり、特にλ=15nmである請求項92または93に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項95】
前記光学要素の第1の部分が、照明系の一部分を構成し、前記光学要素の第2の部分が、投影対物系を形成する請求項92から94のいずれか一項に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項96】
前記マイクロリソグラフィ投影露光装置のメリジオナル平面において、垂直入射条件下で前記放射が入射する各光学要素の表面に対する、前記放射の最大入射角度Θmax(max)が20°未満であり、好ましくは17°未満である請求項92から95のいずれか一項に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項97】
前記多数の光学要素が光学積分器を含む請求項92から96のいずれか一項に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項98】
前記光学積分器が、ファセットされた鏡である請求項97に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項99】
前記光学積分器がディフューザである請求項97に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項100】
前記ディフューザが、500個より多い鏡ファセットを有する請求項99に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項101】
前記多数の光学要素が、第1のラスタ要素を有する第1のファセットされた光学要素と、第2のラスタ要素を有する第2のファセットされた光学要素とを備える請求項92から96のいずれか一項に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項102】
前記光学積分器が、1000個より多い個別ファセットを備える請求項97に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項103】
前記多数の光学要素がかすめ入射コレクタを含む請求項92から102のいずれか一項に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項104】
設定を可変調節するデバイスを備える請求項92から103のいずれか一項に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項1】
物体視野が形成される物体平面(20、100、300、2103)と、
入射瞳(VE)と、
前記物体平面(20、100、300、2103)において前記入射瞳(VE)を鏡像化することによって得られる、鏡像化入射瞳平面(103)内の鏡像化入射瞳(RE)と、
像平面(21、102、302、2102)と、
光軸(HA)と
少なくとも第1の鏡(S1)と第2の鏡(S2)とを備える投影対物系であって、 前記入射瞳のバック・フォーカスが負であり、前記物体視野の中心点から発生して、前記物体平面から前記像平面にかけて前記対物系を横断する主光線(CR、CRP)が、少なくとも1つの交差点(CROSS)において前記光軸(HA)と交差し、すべての交差点(CROSS、CROSS1、CROSS2)の幾何学的位置が、前記像平面(21、102、302、2102)と前記鏡像化入射瞳平面(103)との間である、投影対物系。
【請求項2】
物体視野が形成される物体平面(20、100、300、2103)と、
入射瞳(VE)と、
前記物体平面(20、100、300、2103)において前記入射瞳(VE)を鏡像化することによって得られる、鏡像化入射瞳平面(103)内の鏡像化入射瞳(RE)と、
像平面(21、102、302、2102)と、
光軸(HA)と
少なくとも第1の鏡(S1)と第2の鏡(S2)とを備える投影対物系であって、 前記投影対物系の前記入射瞳のバック・フォーカスが負であり、前記物体視野の中心点から発生した主光線(CR、CRP)が、前記物体平面から前記像平面にかけて前記対物系を横断して、少なくとも1つの交差点(CROSS、CROSS1、CROSS2)において前記光軸(HA)と交差し、
個々の交差点のそれぞれ(CROSS、CROSS1、CROSS2)が、前記光軸(HA)の方向に、前記物体平面(20、100、300、2103)からのそれぞれの第1の距離A1を有し、前記鏡像化入射瞳平面(103)が、前記物体平面からの第2の距離A2を有し、それぞれの場合においてA2およびA1が、条件A2<A1、好ましくはA2<0.9・A1、さらに、より好ましくなる方向には、A2<0.8・A1、A2<0.7・A1、A2<0.6・A1、最も好ましくはA2<0.5・A1に適合する、投影対物系。
【請求項3】
少なくとも4枚の鏡(S1、S2、S3、S4)を備える請求項1または2に記載の投影対物系。
【請求項4】
少なくとも6枚の鏡(S1、S2、S3、S4、S5、S6)を備える請求項1から3のいずれか一項に記載の投影対物系。
【請求項5】
開口絞り(B)が配置される開口絞り平面(104)が形成される請求項3または4のいずれか一項に記載の投影対物系。
【請求項6】
前記物体平面から前記像平面までの前記光線経路において前記開口絞り平面の前にある第1の数の鏡が、第1の副対物系(SUB01)を形成し、第2の数の鏡が第2の副対物系(SUB02)を形成し、前記第2の副対物系が前記開口絞り平面(104)を含む請求項5に記載の投影対物系。
【請求項7】
前記第2の副対物系(SUB02)が2枚の鏡を有する請求項6に記載の投影対物系。
【請求項8】
少なくとも6枚の鏡、すなわち、第1の鏡(S1)と、第2の鏡(S2)と、第3の鏡(S3)と、第4の鏡(S4)と、第5の鏡(S5)と、第6の鏡(S6)とを備え、前記第1の副対物系(SUB01)が、少なくとも、前記第1の鏡(S1)と、前記第2の鏡(S2)と、前記第3の鏡(S3)と、前記第4の鏡(S4)とを備える請求項6または7に記載の投影対物系。
【請求項9】
前記第2の副対物系(SUB02)が、前記第5の鏡(S5)と、前記第6の鏡(S6)とを備える請求項8に記載の投影対物系。
【請求項10】
前記像側開口数が0.2以上であり、好ましくは0.25以上であり、特に好ましくは0.3以上である請求項1から9のいずれか一項に記載の投影対物系。
【請求項11】
少なくとも6枚の鏡、すなわち、第1の鏡(S1)と、第2の鏡(S2)と、第3の鏡(S3)と、第4の鏡(S4)と、第5の鏡(S5)と、第6の鏡(S6)とを備え、前記第1の鏡(S1)が凸形であり、前記第2の鏡(S2)が凹形であり、前記第3の鏡(S3)が凹形であり、前記第4の鏡(S4)が凸形であり、前記第5の鏡(S5)が凸形であり、前記第6の鏡(S6)が凹形である請求項1から10のいずれか一項に記載の投影対物系。
【請求項12】
前記物体平面(300)から前記像平面(302)までの前記光線経路において中間像(ZW)が形成される請求項1から11のいずれか一項に記載の投影対物系。
【請求項13】
少なくとも6枚の鏡、すなわち、第1の鏡(S1)と、第2の鏡(S2)と、第3の鏡(S3)と、第4の鏡(S4)と、第5の鏡(S5)と、第6の鏡(S6)とを備え、前記中間像(ZW)が前記第4の鏡(S4)と前記第5の鏡(S5)との間に形成される請求項12に記載の投影対物系。
【請求項14】
前記第1の鏡(S1)が凹形であり、前記第2の鏡(S2)が凹形であり、前記第3の鏡(S3)が凸形であり、前記第4の鏡(S4)が凹形であり、前記第5の鏡(S5)が凸形であり、前記第6の鏡(S6)が凹形である請求項13に記載の投影対物系。
【請求項15】
前記第2の鏡(S2)と前記第3の鏡(S3)との間、または前記第3の鏡(S3)に接して開口絞り(B)が配置される請求項13または14に記載の投影対物系。
【請求項16】
前記像側開口数NAが0.2以上であり、好ましくは0.25以上であり、特に好ましくは0.3以上である請求項12から15のいずれか一項に記載の投影対物系。
【請求項17】
少なくとも5枚の鏡と、
入射瞳(VE)と、
物体視野が形成される物体平面(100、300)と、
像平面(102、302)と、
隠されていない射出瞳とを備える投影対物系であって、
前記少なくとも5枚の鏡が第1の鏡(S1)を含み、前記入射瞳(VE)のバック・フォーカスが負であり、前記物体視野の中心点から発生して前記第1の鏡(S1)に入射する主光線(CRE)が、前記第1の鏡(S1)に反射した後の、前記物体視野の前記中心点の前記主光線(CRR)によって一方の側がふちどられ、他方の側が前記光軸(HA)にふちどられた領域内を伝搬する、投影対物系。
【請求項18】
前記物体平面から前記像平面までの前記光線経路において中間像が形成されないように構成されることを特徴とする請求項17に記載の投影対物系。
【請求項19】
瞳平面(104、321、314)の中または近くに開口絞り(B)が配置される請求項17または18に記載の投影対物系。
【請求項20】
前記物体平面(100、300)から前記像平面(102、302)までの前記光線経路において前記開口絞り(B)の前に位置する、第1の数の鏡が第1の副対物系(SUB01)を形成し、第2の数の鏡が第2の副対物系(SUB02)を形成し、前記第2の副対物系が前記開口絞り(B)を備える請求項19に記載の投影対物系。
【請求項21】
前記第2の副対物系(SUB02)が2枚の鏡を有する請求項20に記載の投影対物系。
【請求項22】
少なくとも6枚の鏡、すなわち、第1の鏡(S1)と、第2の鏡(S2)と、第3の鏡(S3)と、第4の鏡(S4)と、第5の鏡(S5)と、第6の鏡(S6)とを備え、前記第1の副対物系(SUB01)が、少なくとも、前記第1の鏡(S1)と、前記第2の鏡(S2)と、前記第3の鏡(S3)と、前記第4の鏡(S4)とを備える請求項20または21に記載の投影対物系。
【請求項23】
前記第2の副対物系(SUB02)が、前記第5の鏡(S5)と、前記第6の鏡(S6)とを備える請求項22に記載の投影対物系。
【請求項24】
前記像側開口数NAが0.2以上であり、好ましくは0.25以上であり、特に好ましくは0.3以上である請求項17から23のいずれか一項に記載の投影対物系。
【請求項25】
少なくとも6枚の鏡、すなわち、第1の鏡(S1)と、第2の鏡(S2)と、第3の鏡(S3)と、第4の鏡(S4)と、第5の鏡(S5)と、第6の鏡(S6)とを備え、前記第1の鏡(S1)が凸形であり、前記第2の鏡(S2)が凹形であり、前記第3の鏡(S3)が凹形であり、前記第4の鏡(S4)が凸形であり、前記第5の鏡(S5)が凸形であり、前記第6の鏡(S6)が凹形である請求項20から24のいずれか一項に記載の投影対物系。
【請求項26】
少なくとも6枚の鏡、すなわち、第1の鏡(S1)と、第2の鏡(S2)と、第3の鏡(S3)と、第4の鏡(S4)と、第5の鏡(S5)と、第6の鏡(S6)とを備え、前記第1の鏡(S1)と前記第2の鏡(S2)とが第1の部分系(PART1)を形成し、前記第3の鏡(S3)と、前記第4の鏡(S4)と、前記第5の鏡(S5)と、前記第6の鏡(S6)とが第2の部分系(PART2)を形成する請求項19から25のいずれか一項に記載の投影対物系。
【請求項27】
前記第1の部分系(PART1)から前記第2の部分系(PART2)までの、光軸方向の幾何学的距離(DIS)が、前記対物系の全体長の30%より長く、好ましくは40%より長く、さらに好ましくは50%より長く、特に好ましくは60%より長い請求項26に記載の投影対物系。
【請求項28】
入射瞳(VE)と、
物体視野が形成される物体平面(100、300)と、
像平面(102、302)と、
前記物体平面(100、300)から前記像平面(102、302)までの光線経路と、
少なくとも5枚の鏡とを備える投影対物系であって、
前記入射瞳のバック・フォーカスが負であり、前記物体平面(100、300)から前記像平面(102、302)までの前記光線経路において中間像が形成されないように構成される、投影対物系。
【請求項29】
瞳平面(104、321、314)の中または近くに開口絞り(B)が配置される請求項28に記載の投影対物系。
【請求項30】
前記物体平面から前記像平面までの前記光線経路において前記開口絞り(B)の前に位置する、第1の数の鏡が第1の副対物系(SUB01)を形成し、第2の数の鏡が第2の副対物系(SUB02)を形成し、前記第2の副対物系が前記開口絞り(B)を備える請求項29に記載の投影対物系。
【請求項31】
前記第2の副対物系(SUB02)が2枚の鏡を有する請求項30に記載の投影対物系。
【請求項32】
少なくとも6枚の鏡、すなわち、第1の鏡(S1)と、第2の鏡(S2)と、第3の鏡(S3)と、第4の鏡(S4)と、第5の鏡(S5)と、第6の鏡(S6)とを備え、前記第1の副対物系(SUB01)が、少なくとも、前記第1の鏡(S1)と、前記第2の鏡(S2)と、前記第3の鏡(S3)と、前記第4の鏡(S4)とを備える請求項30または31に記載の投影対物系。
【請求項33】
前記第2の副対物系(SUB02)が、前記第5の鏡(S5)と、前記第6の鏡(S6)とを備える請求項32に記載の投影対物系。
【請求項34】
前記像側開口数NAが0.2以上であり、好ましくは0.25以上であり、特に好ましくは0.3以上である請求項28から33のいずれか一項に記載の投影対物系。
【請求項35】
少なくとも6枚の鏡、すなわち、第1の鏡(S1)と、第2の鏡(S2)と、第3の鏡(S3)と、第4の鏡(S4)と、第5の鏡(S5)と、第6の鏡(S6)とを備え、前記第1の鏡(S1)が凸形であり、前記第2の鏡(S2)が凹形であり、前記第3の鏡(S3)が凹形であり、前記第4の鏡(S4)が凸形であり、前記第5の鏡(S5)が凸形であり、前記第6の鏡(S6)が凹形である請求項28から34のいずれか一項に記載の投影対物系。
【請求項36】
少なくとも6枚の鏡、すなわち、第1の鏡(S1)と、第2の鏡(S2)と、第3の鏡(S3)と、第4の鏡(S4)と、第5の鏡(S5)と、第6の鏡(S6)とを備え、前記第1の鏡(S1)と前記第2の鏡(S2)とが第1の部分系(PART1)を形成し、前記第3の鏡(S3)と、前記第4の鏡(S4)と、前記第5の鏡(S5)と、前記第6の鏡(S6)とが第2の部分系(PART2)を形成する請求項28から35のいずれか一項に記載の投影対物系。
【請求項37】
前記第1の部分系(PART1)から前記第2の部分系(PART2)までの、前記光軸HAの方向の幾何学的距離(DIS)が、前記対物系の全体長の30%より長く、好ましくは40%より長く、さらに好ましくは50%より長く、特に好ましくは60%より長い請求項36に記載の投影対物系。
【請求項38】
入射瞳(VE)と、
物体視野が形成される物体平面(100、300)と、
像平面(102、302)、ならびに前記物体平面から前記像平面までの光線経路と、 射出瞳と、
少なくとも第1の鏡(S1)と第2の鏡(S2)とを備える投影対物系であって、 前記射出瞳が隠されていない射出瞳であり、前記入射瞳のバック・フォーカスが負であり、前記投影対物系のメリジオナル平面において、前記物体平面から前記第1の鏡(S1)までの前記光線経路が、前記第2の鏡(S2)から前記像平面(102、302)までの前記光線経路と交差し、前記物体平面(100、300)と前記第1の鏡(S1)との間にさらなる鏡が配置されないように構成される、投影対物系。
【請求項39】
少なくとも4枚の鏡、すなわち、第1の鏡(S1)と、第2の鏡(S2)と、第3の鏡(S3)と、第4の鏡(S4)とを備える請求項38に記載の投影対物系。
【請求項40】
少なくとも6枚の鏡、すなわち、第1の鏡(S1)と、第2の鏡(S2)と、第3の鏡(S3)と、第4の鏡(S4)と、第5の鏡(S5)と、第6の鏡(S6)とを備える請求項38または39に記載の投影対物系。
【請求項41】
前記メリジオナル平面において、前記物体平面(100、300)から前記第1の鏡(S1)までの前記光線経路が、前記第2の鏡(S2)から前記第3の鏡(S3)までの前記光線経路と交差する請求項39または40に記載の投影対物系。
【請求項42】
前記物体平面(100、300)から前記像平面(102、302)までの前記光線経路において中間像(ZW)が形成される請求項38から40のいずれか一項に記載の投影対物系。
【請求項43】
前記中間像(ZW)が前記第4の鏡(S4)と前記第5の鏡(S5)との間に形成される請求項40から42のいずれか一項に記載の投影対物系。
【請求項44】
前記第1の鏡(S1)が凹形であり、前記第2の鏡(S2)が凹形であり、前記第3の鏡(S3)が凸形であり、前記第4の鏡(S4)が凹形であり、前記第5の鏡(S5)が凸形であり、前記第6の鏡(S6)が凹形である請求項40から43のいずれか一項に記載の投影対物系。
【請求項45】
前記第2の鏡(S2)と前記第3の鏡(S3)との間に開口絞り(B)が配置される請求項40から44のいずれか一項に記載の投影対物系。
【請求項46】
開口絞り(B)が、前記第3の鏡に接して配置される請求項40から45のいずれか一項に記載の投影対物系。
【請求項47】
前記像側開口数NAが0.2以上であり、好ましくは0.25以上であり、特に好ましくは0.3以上である請求項38から46のいずれか一項に記載の投影対物系。
【請求項48】
前記投影対物系の前記鏡が、光軸(HA)に対して回転対称であるように配置される請求項1から47のいずれか一項に記載の投影対物系。
【請求項49】
物体平面(100、300)の像を像平面(102、302)に、波長λの放射で投影するように設計され、多数の鏡を備える投影対物系であって、入射瞳のバック・フォーカスが負であり、前記像側のRMS波面収差WRMSが0.01λ未満であり、さらに最大入射角度を有する、反射光学投影対物系であって、メリジオナル平面内の鏡に入射するすべての光線のうちの全体で最大の入射角度Θmax(max)が20°以下である、投影対物系。
【請求項50】
前記像側の波面収差WRMSが0.007λ(特に0.006λ)である請求項49に記載の投影対物系。
【請求項51】
前記メリジオナル平面における前記最大入射角度Θmax(max)が19.5°である請求項49または50に記載の投影対物系。
【請求項52】
前記像側の開口数NAが0.25以上(特に0.30以上)である請求項49から51のいずれか一項に記載の投影対物系。
【請求項53】
少なくとも4枚の鏡を備え、前記物体平面から前記像平面までの光線経路において前記第1の鏡(S1)と前記第4の鏡(S4)とが凸面鏡である請求項49から52のいずれか一項に記載の投影対物系。
【請求項54】
前記鏡が、前記メリジオナル平面内に寸法(My)を有し、すべての鏡についての、前記メリジオナル平面内の最大寸法(My)が190mmより短く、好ましくは180mmより短い請求項49から53のいずれか一項に記載の投影対物系。
【請求項55】
反射光学投影対物系である請求項1から54のいずれか一項に記載の投影対物系。
【請求項56】
反射屈折光学投影対物系である請求項1から54のいずれか一項に記載の投影対物系。
【請求項57】
放射を物体平面(100、300)から像平面(102、302)に向けるように設計され、少なくとも4枚の鏡を備える投影対物系であって、反射光学投影対物系であり、前記入射瞳のバック・フォーカスが負であり、前記物体平面(100、300)から前記像平面(102、302)までの光線経路における前記第1の鏡(S1)と前記第4の鏡(S4)とが凸面鏡である、投影対物系。
【請求項58】
前記物体平面(100、300)から前記像平面(102、302)までの前記光線経路において中間像が形成されない請求項57に記載の投影対物系。
【請求項59】
前記像側の開口数NAが0.25以上(特に0.30以上)である請求項57または58に記載の投影対物系。
【請求項60】
放射を物体平面(100、300)から像平面(102、302)に向けるように設計され、多数の鏡を備える投影対物系であって、前記鏡のそれぞれがメリジオナル平面内に寸法(My)を有し、すべての鏡についての、前記メリジオナル平面内の最大寸法(My)が190mmより短く、好ましくは180mmより短い、投影対物系。
【請求項61】
鏡に入射するすべての光線のうちの最大入射角度Θmax(max)が、すべての鏡に対して25°未満であり、特に21°であり、好ましくは20°である請求項58に記載の投影対物系。
【請求項62】
第1の鏡(S1)と、第2の鏡(S2)と、第3の鏡(S3)と、第4の鏡(S4)と、第5の鏡(S5)と、第6の鏡(S6)とを備える請求項49から61のいずれか一項に記載の投影対物系。
【請求項63】
波長λの放射を物体平面から像平面に向けるように設計され、λ=193nmであり、好ましくはλ=100nmであり、特に好ましくは1nm<λ=30nmである請求項1から62のいずれか一項に記載の投影対物系。
【請求項64】
照明光線束(211)によって横断される照明系と、
照明される物体視野がある物体平面(212)と、
投影対物系(210)とを備えるマイクロリソグラフィ投影露光装置であって、
前記投影対物系(210)が、前記物体平面(212)から像平面(214)までの像投影光線経路(213)によって横断され、前記投影対物系の入射瞳のバック・フォーカスが負であり、前記照明系の光線経路における最後から2番目の光学要素から前記物体平面(212)へ伝搬する照明光線束(211)が、前記物体平面(212)に対する反射が発生する領域を除き、前記像投影光線経路(213)と交差しないように構成される、マイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項65】
前記照明系の前記照明光線束(211)と、前記投影対物系の前記像投影光線経路(213)とが、前記物体平面から前記像平面までの光線経路にあるメリジオナル平面において互いに交差しない請求項64に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項66】
照明系と、
投影対物系とを備え、前記投影対物系の入射瞳のバック・フォーカスが負であり請求項1から65のいずれか一項に記載の投影対物系を有する、マイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項67】
前記物体平面(212)において前記入射瞳(VE)を鏡像化することによって、前記物体平面(212)の像側に前記投影対物系(210)の鏡像化入射瞳(RE)が形成され、前記照明系が、前記鏡像化入射瞳(RE)が形成される平面またはその近くに形成される光学積分器を含む請求項64から66のいずれか一項に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項68】
前記光学積分器がファセットされた鏡である請求項67に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項69】
前記光学積分器がディフューザである請求項68に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項70】
前記ディフューザが500個より多い鏡ファセットを備える請求項69に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項71】
前記ディフューザがホログラフィック格子網である請求項69または70に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項72】
前記ディフューザの前の前記光線経路内に開口絞りが配置される請求項64から71のいずれか一項に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項73】
前記照明系が、多数の第1のラスタ要素を有する第1のファセットされた光学要素と、多数の第2のラスタ要素を有する第2のファセットされた光学要素とを含み、前記第2のファセットされた光学要素が、前記鏡像化入射瞳(RE)の平面またはその近くに配置される請求項64から66のいずれか一項に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項74】
第1のラスタ要素が、前記物体平面に形成される視野の形状をほぼ有する請求項73に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項75】
第1のラスタ要素がアーチ形に構成される請求項74に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項76】
前記光学積分器の後、かつ前記物体平面の前の前記光線経路に、少なくとも1枚の鏡が配置される請求項64から75のいずれか一項に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項77】
前記物体平面において前記入射瞳(VE)を鏡像化することによって、前記物体平面の前記像側の鏡像化入射瞳平面(103)に鏡像化入射瞳が形成され、前記照明系において、前記鏡像化入射瞳平面(103)またはその近くに光学積分器(具体的には、ディフューザ)が配置されない請求項64から66のいずれか一項に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項78】
前記光学積分器が前記物体平面の共役平面に配置されない請求項77に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項79】
前記光学積分器が1000個より多い個別ファセットを有する請求項77または78に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項80】
前記光学積分器が前記物体平面内の視野を照明し、前記視野が視野形状を有する請求項77から79のいずれか一項に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項81】
前記光学積分器が形状を有し、前記形状が、前記視野形状とほぼ同じである請求項80に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項82】
前記光学積分器が腎臓形である請求項77から81のいずれか一項に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項83】
前記光学積分器が多数のファセットを有し、前記各ファセットが、前記物体平面内の多数の離散した視野点と、瞳平面内の多数の瞳位置とを照明する請求項77から82のいずれか一項に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項84】
光源から前記光学積分器までの前記光線経路内に垂直入射鏡が配置される請求項77から83のいずれか一項に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項85】
前記垂直入射鏡が、軸外円錐面を含む鏡面を有する請求項84に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項86】
前記垂直入射鏡が、自由曲面として構成された鏡面を有する請求項84に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項87】
前記自由曲面が、軸外円錐成分を有する種類の自由曲面である請求項86に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項88】
前記光源から前記ディフューザまでの前記光線経路において、前記ディフューザの前にかすめ入射鏡が配置される請求項77から83のいずれか一項に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項89】
前記かすめ入射鏡が、軸外円錐面を含む鏡面を有する請求項88に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項90】
前記かすめ入射鏡または前記垂直入射鏡が、球状、環状、または非球面の部分を含む請求項84から89のいずれか一項に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項91】
前記光源から前記物体平面までの前記光線経路において、前記光学積分器の後に垂直入射鏡が配置される請求項77から90のいずれか一項に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項92】
放射を光源から像平面に向けるように設計され、前記光源からの前記放射が前記像平面に向けられるように配置された多数の光学要素を含むマイクロリソグラフィ投影露光装置であって、前記多数の光学要素が鏡であり、垂直入射条件下で前記放射を反射する鏡の(前記物体平面に配置される反射性物体を含まない)最大枚数が10であり、像側開口数NAが0.25より大きく、特に0.26より大きく、好ましくは0.3以上であり、前記像側の視野の最大寸法(Dx、Dy)が、1mmより大きく、好ましくは4mmより大きく、さらに、より好ましくなる方向には、8mmより大きく、12mmより大きく、16mmより大きく、20mmより大きく、特に好ましくは25mmより大きい、投影露光装置。
【請求項93】
垂直入射条件下で前記放射を反射する鏡の(前記物体平面に配置される反射性物体を含まない)最大枚数が9である請求項92に記載の投影露光装置。
【請求項94】
前記放射が波長λを有し、λ=100nmであり、好ましくはλ=30nmであり、特にλ=15nmである請求項92または93に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項95】
前記光学要素の第1の部分が、照明系の一部分を構成し、前記光学要素の第2の部分が、投影対物系を形成する請求項92から94のいずれか一項に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項96】
前記マイクロリソグラフィ投影露光装置のメリジオナル平面において、垂直入射条件下で前記放射が入射する各光学要素の表面に対する、前記放射の最大入射角度Θmax(max)が20°未満であり、好ましくは17°未満である請求項92から95のいずれか一項に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項97】
前記多数の光学要素が光学積分器を含む請求項92から96のいずれか一項に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項98】
前記光学積分器が、ファセットされた鏡である請求項97に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項99】
前記光学積分器がディフューザである請求項97に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項100】
前記ディフューザが、500個より多い鏡ファセットを有する請求項99に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項101】
前記多数の光学要素が、第1のラスタ要素を有する第1のファセットされた光学要素と、第2のラスタ要素を有する第2のファセットされた光学要素とを備える請求項92から96のいずれか一項に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項102】
前記光学積分器が、1000個より多い個別ファセットを備える請求項97に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項103】
前記多数の光学要素がかすめ入射コレクタを含む請求項92から102のいずれか一項に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【請求項104】
設定を可変調節するデバイスを備える請求項92から103のいずれか一項に記載のマイクロリソグラフィ投影露光装置。
【図1a】
【図1b】
【図1c】
【図1d】
【図1e】
【図1f】
【図1g】
【図1h】
【図2a】
【図2b】
【図3a】
【図3b】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図6d】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図1b】
【図1c】
【図1d】
【図1e】
【図1f】
【図1g】
【図1h】
【図2a】
【図2b】
【図3a】
【図3b】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図6d】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−65051(P2013−65051A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−285891(P2012−285891)
【出願日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【分割の表示】特願2007−81783(P2007−81783)の分割
【原出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【出願人】(503263355)カール・ツァイス・エスエムティー・ゲーエムベーハー (435)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【分割の表示】特願2007−81783(P2007−81783)の分割
【原出願日】平成19年3月27日(2007.3.27)
【出願人】(503263355)カール・ツァイス・エスエムティー・ゲーエムベーハー (435)
【Fターム(参考)】
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