説明

入退室管理システムおよび方法

【課題】区画やドアの追加・削除が発生した場合、あるいは一時的に入退室管理状況の変更が必要になった場合でも、容易に対応できるようにする。
【解決手段】各ドアのドアIDと当該区画への入室許可順位を示す区画レベルとの組からなる区画情報を区画情報記憶部44Aで記憶するとともに、利用者の利用者識別情報と、当該利用者の入室許可順位を示す利用者レベルとの組からなる利用者情報を利用者情報記憶部44Bで記憶し、情報管理部45で、区画情報変更操作に応じて、区画情報の当該区画レベルを変更する。入退室判定部35で、リーダ端末22からの利用者識別情報に対応する利用者情報から取得した利用者レベルの入室許可順位と、ドアIDに対応する区画情報から取得した区画レベルの入室許可順位とを比較することにより、当該利用者による当該ドアの通行可否を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入退室管理技術に関し、特に各区画の入退室管理状況を変更する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
建物内に設けた各区画について、これら区画を利用する利用者の入退室を管理する入退室管理システムでは、個々の利用者に固有のIDと当該利用者が通行可能な区画のドアを示すドアIDとを組として含む利用者情報が、通行可否判定を行う制御装置に予め登録されている。
【0003】
そして、任意のドアの通行を希望する利用者が、自己の利用者識別情報を、当該ドアと対応して設置されているリーダ端末で入力した場合、当該リーダ端末は、当該利用者識別情報と当該ドアのドアIDとを制御装置へ通知する。これに応じて、制御装置は、当該利用者識別情報と対応する利用者情報に、当該ドアIDが登録されているか否かを確認することにより、当該利用者に対する当該ドアの通行可否を判定するものとなっている(例えば、特許文献1など参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−169378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来技術では、利用者ごとに、通行可能な区画のドアを登録しているため、建物内のレイアウト変更に伴い区画やドアの追加・削除が発生した場合、個々の利用者情報を書き換える必要があり、大きな作業負担が発生するという問題点があった。特に、一時的に特定の区画への入室を許可する必要がある場合、あるいは侵入警報発令時やテロ対策などの緊急時に、特定の区画への入室を禁止する必要がある場合、容易に対応することができないという問題点があった。
【0006】
本発明はこのような課題を解決するためのものであり、区画やドアの追加・削除が発生した場合、あるいは一時的に入退室管理状況の変更が必要になった場合でも、容易に対応できる入退室管理技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的を達成するために、本発明にかかる入退室管理システムは、入退室を管理する区画ごとに、当該区画に設けられているドアを示すドアIDと、当該区画への入室許可順位を示す区画レベルとの組からなる区画情報を記憶する区画情報記憶部と、これら区画を利用する利用者ごとに、当該利用者を示す利用者識別情報と、当該利用者の入室許可順位を示す利用者レベルとの組からなる利用者情報を記憶する利用者情報記憶部と、区画情報変更操作に応じて、区画情報記憶部で記憶している区画情報の当該区画レベルを変更して保存する情報管理部と、ドアごとに設けられて、利用者の入力操作に応じて、入力された当該利用者の利用者識別情報と当該ドアのドアIDとを送信するリーダ端末と、リーダ端末から送信された利用者識別情報とドアIDとを受信し、当該利用者識別情報に対応する利用者情報から取得した利用者レベルの入室許可順位と、当該ドアIDに対応する区画情報から取得した区画レベルの入室許可順位とを比較することにより、当該利用者による当該ドアの通行可否を判定し、当該判定結果に基づいて当該ドアに設けられている電気錠の開閉を指示する入退室判定部とを備えている。
【0008】
また、本発明にかかる入退室管理方法は、区画情報記憶部が、入退室を管理する区画ごとに、当該区画に設けられているドアを示すドアIDと、当該区画への入室許可順位を示す区画レベルとの組からなる区画情報を記憶する区画情報記憶ステップと、利用者情報記憶部が、これら区画を利用する利用者ごとに、当該利用者を示す利用者識別情報と、当該利用者の入室許可順位を示す利用者レベルとの組からなる利用者情報を記憶する利用者情報記憶ステップと、情報管理部が、区画情報変更操作に応じて、区画情報記憶部で記憶している区画情報の当該区画レベルを変更して保存する情報管理ステップと、リーダ端末が、ドアごとに設けられて、利用者の入力操作に応じて、入力された当該利用者の利用者識別情報と当該ドアのドアIDとを送信する送信ステップと、入退室判定部が、リーダ端末から送信された利用者識別情報とドアIDとを受信し、当該利用者識別情報に対応する利用者情報から取得した利用者レベルの入室許可順位と、当該ドアIDに対応する区画情報から取得した区画レベルの入室許可順位とを比較することにより、当該利用者による当該ドアの通行可否を判定し、当該判定結果に基づいて当該ドアに設けられている電気錠の開閉を指示する入退室判定ステップとを備えている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、区画やドアの追加・削除が発生した場合、侵入警報発令時やテロ対策などの緊急時、あるいは一時的に入退室管理状況の変更が必要になった場合でも、変更対象となる区画の区画情報に含まれている区画レベルを変更するだけで、新たな入退室管理状況を提供することができる。したがって、従来のように個々の利用者情報を書き換える必要がなくなり、大きな作業負担を必要とすることなく、入退室管理状況を容易に変更することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施の形態にかかる入退室管理システムの構成を示すブロック図である。
【図2】制御装置の構成例を示すブロック図である。
【図3】区画情報の構成例である。
【図4】利用者情報の構成例である。
【図5】管理装置の構成例を示すブロック図である。
【図6】入退室管理システムの通行可否判定動作を示すシーケンス図である。
【図7】管理装置での区画情報および利用者情報の設定処理を示すフローチャートである。
【図8】区画情報の設定例である。
【図9】区画情報の他の設定例である。
【図10】区画情報の他の設定例である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
[実施の形態の構成]
まず、図1を参照して、本実施の形態にかかる入退室管理システムについて説明する。図1は、本実施の形態にかかる入退室管理システムの構成を示すブロック図である。
【0012】
この入退室管理システム1には、IDカード10、リーダ端末22、電気錠23、制御装置30、および管理装置40が含まれている。各区画20のドア21に対して設置されているリーダ端末22および電気錠23は、通信回線L1を介してそれぞれデータ通信可能に制御装置30と接続されている。また、管理装置40には、通信回線L2を介して制御装置30がデータ通信可能に接続されている。この際、入退室管理システムの規模に応じて、制御装置30を複数設けてもよい。
【0013】
IDカード10は、メモリカードやICカードなどの携帯可能な情報処理用のカードからなり、当該IDカードを所持する利用者の通行可否を判定するために必要な情報として、利用者に固有の利用者IDなどの利用者識別情報を記録する機能を有している。
【0014】
リーダ端末22は、区画20のドア21ごとに併設された、カードリーダなどのカード処理装置からなり、カードスロットへIDカードを挿入し(接触型)、あるいはカードアンテナへIDカードをかざすことにより(非接触型)、利用者が提示したIDカード10から利用者IDなどの利用者識別情報を読み出す機能と、当該利用者識別情報と予め自己に設定されている当該ドア21に固有のドアIDとを含む判定要求を、通信回線L1を介して制御装置30へ送信する機能とを有している。
【0015】
電気錠23は、区画20のドア21ごとに設けられた電動式の錠前からなり、通信回線L1を介して受信した制御装置30からの開錠/施錠の指示に応じて、ドア21の開錠/施錠を行う機能を有している。なお、電気錠23は、常時、施錠されており、制御装置30から開錠指示が到来した場合にのみ所定期間だけ開錠するものとする。
【0016】
制御装置30は、設備の管理・監視を行う各種制御システムで用いられるコントローラなどの制御装置からなり、リーダ端末22からの判定要求に応じて、利用者に対するドア通信可否の判定を行う機能を有している。
図2は、制御装置の構成例を示すブロック図である。この制御装置30には、主な機能部として、通信インターフェース部(以下、通信I/F部という)31、端末インターフェース部(以下、端末I/F部という)32、記憶部34、判定情報記憶部34A、および入退室判定部35が設けられており、これら機能部は、内部バスを介して相互にデータやり取り可能に接続されている。
【0017】
通信I/F部31は、通信回線L2を介して管理装置40などの外部装置とデータ通信を行う機能を有している。
端末I/F部32は、通信回線L1を介してリーダ端末22や電気錠23などの外部端末とデータ通信を行う機能を有している。
記憶部34は、メモリやハードディスクなどの記憶装置からなり、制御装置30での処理動作に用いる各種情報やプログラムを記憶する機能を有している。
【0018】
判定情報記憶部34Aは、メモリやハードディスクなどの記憶装置からなり、管理装置40からダウンロードした区画情報および利用者情報を記憶する記憶部である。
図3は、区画情報の構成例である。この例では、各区画に固有の区画名ごとに、当該区画に設けられているドアを示すドアIDと、当該区画への入室許可順位を示す区画レベルとの組が、それぞれ登録されている。
図4は、利用者情報の構成例である。この例では、各利用者に固有の利用者識別情報ごとに、当該利用者の氏名およびメールアドレスなどの個人情報と、当該利用者の入室許可順位を示す利用者レベルとの組が、それぞれ登録されている。
【0019】
入退室判定部35は、CPUとプログラムとが協働してなる演算処理部により構成されており、端末I/F部32を介して受信したリーダ端末22からの判定要求に応じて、当該判定要求に含まれている利用者識別情報に対応する判定情報記憶部34Aの利用者情報から、当該利用者の利用者レベルを取得する機能と、当該判定要求に含まれているドアIDに対応する判定情報記憶部34Aの区画情報から、当該区画の区画レベルを取得する機能と、これら利用者レベルと区画レベルの入室許可順位を比較することにより、当該利用者による当該ドアの通行可否を判定する機能と、その判定結果を端末I/F部32から要求元のリーダ端末22へ返送する機能と、通行可を示す判定結果に応じて当該リーダ端末22と対応するドア21の電気錠23に対する開錠指示を端末I/F部32から送信する機能とを有している。
【0020】
管理装置40は、全体としてサーバ装置やパソコンなどの情報処理装置からなり、制御装置30での入退室判定処理に用いる区画情報と利用者情報とを管理する機能を有している。
図5は、管理装置の構成例を示すブロック図である。
管理装置40には、主な機能部として、通信I/F部41、操作入力部42、画面表示部43、記憶部44、区画情報記憶部44A、利用者情報記憶部44B、および情報管理部45が設けられており、これら機能部は、内部バスを介して相互にデータやり取り可能に接続されている。
【0021】
通信I/F部41は、通信回線L2を介して制御装置30などの外部装置とデータ通信を行う機能を有している。
操作入力部42は、キーボードやマウスなどの操作入力装置からなり、オペレータ操作を検出して、情報管理部45などの各種機能部へ出力する機能を有している。
画面表示部43は、LCDやPDPなどの画面表示装置からなり、情報管理部45などの各種機能部から出力された各種情報を画面表示する機能を有している。
記憶部44は、メモリやハードディスクなどの記憶装置からなり、管理装置40での処理動作に用いる各種情報やプログラムを記憶する機能を有している。
【0022】
区画情報記憶部44Aは、メモリやハードディスクなどの記憶装置からなり、入退室を管理する区画ごとに、当該区画に設けられているドアを示すドアIDと、当該区画への入室許可順位を示す区画レベルとの組からなる区画情報を記憶する記憶部である。
利用者情報記憶部44Bは、メモリやハードディスクなどの記憶装置からなり、これら区画を利用する利用者ごとに、当該利用者を示す利用者IDなどの利用者識別情報と、当該利用者の入室許可順位を示す利用者レベルとの組からなる利用者情報を記憶する記憶部である。
【0023】
情報管理部45は、CPUとプログラムとが協働してなる演算処理部により構成されており、オペレータによる操作入力部42での区画情報変更操作に応じて、区画情報記憶部44Aで記憶している区画情報の当該区画レベルを変更して保存する機能と、オペレータによる操作入力部42での利用者情報変更操作に応じて、利用者情報記憶部44Bで記憶している利用者情報の当該利用者レベルを変更して保存する機能とを有している。
【0024】
[本実施の形態の動作]
次に、本実施の形態にかかる入退室管理システムの動作について説明する。以下では、入退室管理システム1の通行可否判定動作と、管理装置40での区画情報および利用者情報の設定動作とを別個に説明する。
【0025】
まず、図6を参照して、入退室管理システム1の通行可否判定動作について説明する。図6は、入退室管理システムの通行可否判定動作を示すシーケンス図である。
【0026】
管理装置40は、通行可否判定動作を開始する前に、オペレータによる操作入力部42での情報送信操作に応じて、区画情報記憶部44Aから区画情報を読み出し、通信I/F部41を介して制御装置30へ送信するとともに(ステップ100)、利用者情報記憶部44Bから利用者情報を読み出し、通信I/F部41を介して制御装置30へ送信する(ステップ101)。
制御装置30の入退室判定部35は、通信I/F部31を介して受信した管理装置40からの区画情報および利用者情報を判定情報記憶部34Aへ保存する。
【0027】
この後、任意のドア21の通行を希望する利用者が、当該ドアと対応して設置されているリーダ端末22で自己のIDカードを操作した場合、リーダ端末22は、利用者が提示したIDカード10から利用者識別情報を読み出し(ステップ110)、この利用者識別情報と当該リーダ端末22に予め設定されている当該ドアのドアIDとを含む判定要求を、通信回線L1を介して制御装置30へ送信する(ステップ111)。
【0028】
制御装置30の入退室判定部35は、端末I/F部32によりリーダ端末22からの判定要求を受信して、この判定要求に含まれている利用者識別情報と対応する、判定情報記憶部34Aの利用者情報から、当該利用者の利用者レベルを取得し(ステップ112)、この判定要求に含まれているドアIDと対応する、判定情報記憶部34Aの区画情報から、当該区画の区画レベルを取得する(ステップ113)。
【0029】
次に、入退室判定部35は、これら利用者レベルの入室許可順位と区画レベルの入室許可順位とを比較することにより、当該利用者による当該ドアの通行可否を判定する(ステップ114)。
ここで、利用者レベルの入室許可順位が区画レベルの入室許可順位より小さい場合(ステップ115:NO)、入退室判定部35は、通行不可を示す判定結果を端末I/F部32からリーダ端末22へ通知する(ステップ116)。この際、電気錠23では施錠状態を維持させればよいことから、電気錠23に対して特別な指示は行われない。
リーダ端末22は、制御装置30からの通行不可の通知に応じて、入退室不可である旨を利用者へ表示する(ステップ117)。
【0030】
一方、ステップ115において、利用者レベルの入室許可順位が区画レベルの入室許可順位以上である場合(ステップ115:YES)、入退室判定部35は、通行可能を示す判定結果を端末I/F部32からリーダ端末22へ通知するとともに(ステップ118)、電気錠23に対して開錠を指示する(ステップ119)。
リーダ端末22は、制御装置30からの通行許可の通知に応じて、入退室許可である旨を利用者へ表示する(ステップ120)。また、電気錠23は、制御装置30からの開錠指示に応じて、ドア21を一時的に開錠する(ステップ121)。これにより、利用者はドア21を通行して、希望する区画へ入室することが可能となる。
【0031】
次に、図7を参照して、管理装置40での区画情報および利用者情報の設定動作について説明する。図7は、管理装置での区画情報および利用者情報の設定処理を示すフローチャートである。
【0032】
管理装置40の情報管理部45は、オペレータによる操作入力部42での初期設定操作に応じて(ステップ150:YES)、操作入力部42や通信I/F部41を介して外部装置から入力された区画情報を取得して、区画ごとに区画レベルを設定し、区画情報記憶部44Aへ保存するとともに(ステップ151)、操作入力部42や通信I/F部41を介して外部装置から入力された利用者情報を取得して、利用者ごとに利用者レベルを設定し、利用者情報記憶部44Bへ保存する(ステップ152)。
この後、情報管理部45は、これら区画情報と利用者情報を、通信I/F部41を介して制御装置30へ送信する(ステップ153)。
【0033】
一方、情報管理部45は、オペレータによる操作入力部42での設定変更操作に応じて(ステップ160:YES)、区画情報記憶部44Aから区画情報を読み出して、当該区画情報の区画レベルを操作入力部42から入力された区画レベルへ変更した後、区画情報記憶部44Aへ保存し(ステップ161)、この区画情報を、通信I/F部41を介して制御装置30へ送信する(ステップ162)。
【0034】
図8は、区画情報の設定例である。ここでは、図3の区画情報の設定例に基づいて、共用部と応接室に区画レベル「1」が設定されており、会議室と執務室に区画レベル「2」が設定されており、実験室に区画レベル「3」が設定されている。したがって、このような入退室管理状況では、利用者レベル「1」の部外者は、共用部のドアD1および応接室のドアD2を通行することができる。また、会議室のドアD3や、執務室A,BのドアD4,D5については、利用者レベルが「2」以上の社員が通行でき、実験室のドアD6は、利用者レベルが「3」以上の研究者のみが通行できる。
【0035】
図9は、区画情報の他の設定例である。図8の入退室管理状況において、緊急時や夜間・休日などの防犯時、さらには侵入警報発令時に、共用部と応接室への入室を禁止する場合、管理装置40の情報管理部45において、共用部と応接室の区画レベルを「2」に変更する。これにより、利用者レベル「1」の部外者は、共用部のドアD1さらには応接室のドアD2を通行することができなくなり、極めて簡素な作業で、セキュリティ性を高めることができる。
【0036】
図10は、区画情報の他の設定例である。図8の入退室管理状況において、会議室を開放して展示会を行うため、会議室に対する部外者の入室を許可する場合、管理装置40の情報管理部45において、会議室の区画レベルを「1」に変更する。これにより、利用者レベル「1」の部外者は、会議室のドアD3を通行することができるようになり、極めて簡素な作業で、入退室管理状況を変更できる。
【0037】
[本実施の形態の効果]
このように、本実施の形態は、入退室を管理する区画ごとに、当該区画に設けられているドアを示すドアIDと、当該区画への入室許可順位を示す区画レベルとの組からなる区画情報を記憶する区画情報記憶部44Aと、これら区画を利用する利用者ごとに、当該利用者を示す利用者識別情報と、当該利用者の入室許可順位を示す利用者レベルとの組からなる利用者情報を記憶する利用者情報記憶部44Bと、区画情報変更操作に応じて、区画情報記憶部44Aで記憶している区画情報の当該区画レベルを変更して保存する情報管理部45とを設けている。
【0038】
そして、任意のドアの通行可否を判断する際、入退室判定部35において、リーダ端末22から送信された利用者識別情報とドアIDとを受信し、当該利用者識別情報に対応する利用者情報から取得した利用者レベルの入室許可順位と、当該ドアIDに対応する区画情報から取得した区画レベルの入室許可順位とを比較することにより、当該利用者による当該ドアの通行可否を判定し、当該判定結果に基づいて当該ドアに設けられている電気錠の開閉を指示するようにしたものである。
【0039】
これにより、区画やドアの追加・削除が発生した場合、侵入警報発令時やテロ対策などの緊急時、あるいは一時的に入退室管理状況の変更が必要になった場合でも、情報管理部45により、変更対象となる区画の区画情報に含まれている区画レベルを変更するだけで、新たな入退室管理状況を提供することができる。したがって、従来のように個々の利用者情報を書き換える必要がなくなり、大きな作業負担を必要とすることなく、入退室管理状況を容易に変更することが可能となる。
【0040】
また、本実施の形態では、利用者情報変更操作に応じて、情報管理部45で、利用者情報記憶部44Bで記憶している利用者情報の当該利用者レベルを変更して保存するようにしたので、特定の利用者に関する入室許可順位を容易に変更することができる。これにより、侵入警報発令時やテロ対策などの緊急時、あるいは一時的に入退室管理状況の変更が必要になった場合でも、情報管理部45により、変更対象となる利用者の利用者情報に含まれている利用者レベルを変更するだけで、特定の利用者に関する入退室管理状況を容易に変更することができる。
【0041】
[実施の形態の拡張]
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をすることができる。
【0042】
なお、本実施の形態では、区画情報と利用者情報を管理装置40で記憶しておき、これら区画情報と利用者情報を制御装置30へダウンロードして制御装置30で入退室を判定する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、制御装置30の入退室判定部35の機能を管理装置40に設け、入退室の判定については、管理装置40で実行してもよい。
【0043】
また、本実施の形態では、IDカード10を用いてリーダ端末22を操作することにより利用者識別情報を入力する場合を例として説明したが、リーダ端末22での利用者識別情報の入力方法については、これに限定されるものではない。例えば、リーダ端末22に設けられたキーボードから利用者の利用者識別情報を操作入力してもよく、リーダ端末22のカメラやセンサで、利用者の指紋などの生体情報を利用者識別情報として入力してもよい。
また、利用者レベルをIDカード10に記録しておき、リーダ端末22でIDカード10から読み出した利用者レベルに基づき、入退室判定部35で通行可否を判定してもよい。
【0044】
また、本実施の形態では、管理装置40の情報管理部45において、オペレータ操作に応じて区画情報を変更する場合を例として説明したが、日時に応じて自動的に変更するようにしてもよい。例えば、区画情報記憶部44Aに、図8に示すような就業時用の区画情報と、図9に示すようなセキュリティ性が高い休業時用の区画情報を記憶しておき、CPUのタイマ機能を利用して、情報管理部45により就業日時を管理し、就業期間の開始時に就業時用の区画情報を制御装置30へ送信して設定し、休業期間の開始時に休業時用の区画情報を制御装置30へ送信して設定すればよい。これにより、就業状態に適切なセキュリティ性を持つ入退室管理状況を自動的に提供することが可能となる。
【符号の説明】
【0045】
1…入退室管理システム、10…IDカード、20…区画、21…ドア、22…リーダ端末、23…電気錠、30…制御装置、31…通信I/F部、32…端末I/F部、34…記憶部、34A…判定情報記憶部、35…入退室判定部、40…管理装置、41…通信I/F部、42…操作入力部、43…画面表示部、44…記憶部、44A…区画情報記憶部、44B…利用者情報記憶部、45…情報管理部、L1,L2…通信回線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入退室を管理する区画ごとに、当該区画に設けられているドアを示すドアIDと、当該区画への入室許可順位を示す区画レベルとの組からなる区画情報を記憶する区画情報記憶部と、
これら区画を利用する利用者ごとに、当該利用者を示す利用者識別情報と、当該利用者の入室許可順位を示す利用者レベルとの組からなる利用者情報を記憶する利用者情報記憶部と、
区画情報変更操作に応じて、前記区画情報記憶部で記憶している前記区画情報の当該区画レベルを変更して保存する情報管理部と、
前記ドアごとに設けられて、利用者の入力操作に応じて、入力された当該利用者の利用者識別情報と当該ドアのドアIDとを送信するリーダ端末と、
前記リーダ端末から送信された前記利用者識別情報と前記ドアIDとを受信し、当該利用者識別情報に対応する前記利用者情報から取得した利用者レベルの入室許可順位と、当該ドアIDに対応する前記区画情報から取得した区画レベルの入室許可順位とを比較することにより、当該利用者による当該ドアの通行可否を判定し、当該判定結果に基づいて当該ドアに設けられている電気錠の開閉を指示する入退室判定部と
を備えることを特徴とする入退室管理システム。
【請求項2】
区画情報記憶部が、入退室を管理する区画ごとに、当該区画に設けられているドアを示すドアIDと、当該区画への入室許可順位を示す区画レベルとの組からなる区画情報を記憶する区画情報記憶ステップと、
利用者情報記憶部が、これら区画を利用する利用者ごとに、当該利用者を示す利用者識別情報と、当該利用者の入室許可順位を示す利用者レベルとの組からなる利用者情報を記憶する利用者情報記憶ステップと、
情報管理部が、区画情報変更操作に応じて、前記区画情報記憶部で記憶している前記区画情報の当該区画レベルを変更して保存する情報管理ステップと、
リーダ端末が、前記ドアごとに設けられて、利用者の入力操作に応じて、入力された当該利用者の利用者識別情報と当該ドアのドアIDとを送信する送信ステップと、
入退室判定部が、前記リーダ端末から送信された前記利用者識別情報と前記ドアIDとを受信し、当該利用者識別情報に対応する前記利用者情報から取得した利用者レベルの入室許可順位と、当該ドアIDに対応する前記区画情報から取得した区画レベルの入室許可順位とを比較することにより、当該利用者による当該ドアの通行可否を判定し、当該判定結果に基づいて当該ドアに設けられている電気錠の開閉を指示する入退室判定ステップと
を備えることを特徴とする入退室管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−74647(P2011−74647A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−226738(P2009−226738)
【出願日】平成21年9月30日(2009.9.30)
【出願人】(000006666)株式会社山武 (1,808)
【Fターム(参考)】