共振器フィルタ
【課題】通過帯域が電子制御により可変である導波管型の共振器フィルタを提供する。
【解決手段】この共振器フィルタ1は、伝送基本モードがTE10であり、誘導性の棒状素子11が内部に複数配置されて共振器を構成している矩形導波管10と、矩形導波管10の内部に発生する磁界を所定の結合度で結合するために、矩形導波管10の内部に設けられるストリップ導体2と、ストリップ導体12に同軸伝送線路13を介して接続されており、バラクタダイオード15を有する共振周波数可変部14と、を備えている。バラクタダイオード15の容量の変化に応じて、共振器の共振周波数が変化するようになっている。
【解決手段】この共振器フィルタ1は、伝送基本モードがTE10であり、誘導性の棒状素子11が内部に複数配置されて共振器を構成している矩形導波管10と、矩形導波管10の内部に発生する磁界を所定の結合度で結合するために、矩形導波管10の内部に設けられるストリップ導体2と、ストリップ導体12に同軸伝送線路13を介して接続されており、バラクタダイオード15を有する共振周波数可変部14と、を備えている。バラクタダイオード15の容量の変化に応じて、共振器の共振周波数が変化するようになっている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばマイクロ波帯及びミリ波帯で用いられる導波管型の共振器フィルタに関し、特に通過帯域が可変になっている帯域通過型の共振器フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
導波管を用いた共振器フィルタは、様々な高周波機器に用いられている。
図12は、通過帯域が固定された導波管型の共振器フィルタ4の概略図の一例である。この共振器フィルタ4は、矩形導波管40、誘導性の導体である誘導性棒41、及び容量性素子としての容量性ポスト42を備えている。誘導性棒41と容量性ポスト42とで共振器43が構成される。
図13は、図12の共振器フィルタ4を入力端側から見た図である。図13は、矩形導波管40内の伝送基本モードTE10の電界E及び磁界Hと、誘導性棒41及び容量性ポスト42との関係を示している。図14は、矩形導波管40内の伝送基本モードTE10の電界E及び磁界Hの分布状態を示した図である。矩形導波管40内において、電界Eは半波長ごとに、図のY軸方向で反転する。磁界Hは、半波長ごとにX−Z平面で時計回りと反時計回りとで反転する。
【0003】
図15は、共振器フィルタ4の等価回路図である。誘導性棒41及び容量性ポスト42により共振器43が構成されており、通過帯域幅に応じて、誘導性棒41及び容量性ポスト42の特性が決定される。共振器フィルタ4は、このような共振器43とインピーダンスインバータ44とが交互に接続された構成である。インピーダンスインバータ44は、共振器フィルタ4が所望の通過帯域を得るために必要となる。また、インピーダンスインバータ44は、共振器フィルタ4の入出力端における特性インピーダンスと初段及び最終段の共振器43の整合をとるためにも必要な構成である。
【0004】
このように通過帯域が固定された共振器フィルタ4に対して、通過帯域が可変となっている導波管型の共振器フィルタが、従来からレーダ給電系やエネルギ応用装置(例えば、マイクロ波加熱装置)の電波源であるマグネトロンの周波数ドリフト対策として待望されている。しかし、せいぜい共振周波数同調用の金属スクリューを機械的に出し/入れする方法が提案されている程度で、実用化に至っていない。また、このような機械的な通過帯域の制御は、信頼性(寿命)が不十分であると予想される。
【0005】
同軸型の共振器フィルタの通過帯域を電子制御により可変にする発明が特許文献1に開示されている。特許文献1は、コムラインフィルタを構成する半同軸共振器の負荷容量として電圧可変の容量フィルムを利用して、共振器フィルタの通過帯域を可変にしている。電圧可変の容量フィルムを複数段のコムラインフィルタの初段と最終段の半同軸共振器の負荷容量とすることで、通過帯域を可変にする。電圧可変の容量フィルムに、バリウム・ストロンチウム・酸化チタンの合成材料を用いると、容量が0.4pF〜0.2pFの範囲で可変する。これによりコムラインフィルタの通過帯域幅が30MHzになり、共振器フィルタの通過帯域の中心周波数が2.0GHz〜2.4GHzまで可変可能になる。
【特許文献1】米国特許第6801104号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、バラクタダイオードのような半導体素子を用いていない。これは、半導体素子、特にバラクタダイオードが、マイクロ波帯でQファクタが低くフィルタの損失が増大するためである。また、バラクタダイオードの場合には耐電力が低いために、印加可能なマイクロ波帯の動作電力が制限される。
しかし、共振器フィルタの通過帯域を可変にするために半導体素子を用いることができれば、通過帯域を高速に可変可能になり、且つ信頼性の向上が期待できる。また。マイクロ波帯の共振器フィルタの場合には、挿入損失を実用範囲まで低減でき、通過帯域の可変範囲を実用上必要な1%程度にすることができ、耐電力を実用範囲まで保証できる。
【0007】
本発明は、上記の問題に鑑み、通過帯域が電子制御により可変である導波管型の共振器フィルタを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決する本発明の共振器フィルタは、伝送基本モードがTE10であり、誘導性の棒状素子が内部に複数配置されて共振器を構成している矩形導波管と、前記矩形導波管の内部に発生する電界又は磁界を所定の結合度で結合するために、前記矩形導波管の内部に設けられる導体と、前記導体に接続されており、半導体で形成された可変容量素子を有する共振周波数可変部と、を備えている。前記可変容量素子の容量の変化に応じて、前記共振器の共振周波数が変化するようになっている。そのために共振器フィルタの通過帯域が可変となる。
【0009】
半導体で形成された可変容量素子を用いることで、通過帯域を高速に可変可能になり、且つ信頼性の向上がする。また。マイクロ波帯の共振器フィルタの場合には、挿入損失を実用範囲まで低減でき、通過帯域の可変範囲を実用上必要な1%程度にすることができ、耐電力を実用範囲まで保証できる。
【0010】
前記共振周波数可変部は、例えばマイクロストリップ線路又は同軸線路からなる電子回路であり、可変容量素子の容量を容易に可変としすることができる。また、前記矩形導波管内に、複数の前記共振器が縦続に接続されて構成されてもよい。縦続接続することで、所定のフィルタ特性を実現するようにしてもよい。
【0011】
導体は、磁界に結合する場合には、例えばストリップ導体を用いることができ、電界に結合する場合には、棒状の導体素子を用いることができる。ストリップ導体は、例えば前記結合度が所定の値となるように前記磁界の方向に対して所定の角度で設けられる。結合度は、この角度により調整される。前記導体素子は、大きさ及び矩形導波管内の配置位置に応じて前記電界との前記結合度が決まる。
【発明の効果】
【0012】
上記のような本発明により、半導体で形成された可変容量素子を有する共振周波数可変部を備えることで、電気的に可変容量の容量を変化させて共振周波数を変化させることが可能になる。そのために、従来、半導体素子を用いることで期待された効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0014】
<第1実施形態>
図1は、通過帯域が電子制御により可変となっている、導波管を用いた共振器フィルタの本発明の第1実施形態であるX帯単一共振器フィルタ1の概略図である。この共振器フィルタ1は、TE10モードの矩形導波管10と共振周波数可変部14とが、同軸伝送線路13により接続された構成である。図2Aは、共振器フィルタ1の、共振周波数可変部14が矩形導波管10に接続される付近の断面図であり、図2Bは、図2Aの断面図において、共振周波数可変部14を回路図に置き換えた説明図である。
【0015】
この共振器フィルタ1は、伝送基本モードがTE10の矩形導波管10内に、共振器を構成する誘導性の導体素子としての誘導性棒11及び矩形導波管10の管軸方向に発生する磁界Hと結合するためのストリップ導体12を有している。ストリップ導体12は、磁界H方向に並んだ誘導性棒11の中間、好適には誘導性棒11間の中心に配置されており、磁界Hを結合度nで結合する。ストリップ導体12で結合したマイクロ波は、同軸伝送線路13を介して共振周波数可変部14に導かれる。
【0016】
共振周波数可変部14は、基板上に、半導体素子としてのバラクタダイオード15、接地端子16、同軸伝送線路13が接続されるバイアス回路接続端子17、バイアス端子18、及びローパスフィルタ19を有している。バラクタダイオード15は、接地端子16に一方の端子(この実施形態ではアノード端子)が接続されバイアス回路接続端子17に他方の端子(この実施形態ではカソード端子)が接続される。バイアス回路接続端子17とバイアス端子18との間には、容量性素子19a及び誘導性素子19bからなるローパスフィルタ19が設けられる。ローパスフィルタ19により、バイアス端子18への結合波の漏れるを抑圧できる。
【0017】
バイアス端子18を介して、図示しない電源からバイアス電圧が印加される。バイアス電圧はバラクタダイオード15に印加される。バイアス電圧は可変である。バラクタダイオード15は、印加されるバイアス電圧が可変であるために、その接合容量が変化する。接合容量が変化するために共振周波数が変化する。バイアス電圧を容易に印加できる構造にするため、バラクタダイオード15が実装される共振周波数可変部14はマイクロストリップ線路或いは同軸線路で構成される。
【0018】
同軸伝送線路13は、中心導体13a及び外導体13bを有しており、中心導体13aがストリップ導体12とバイアス回路接続端子17とを接続している。同軸伝送線路13により矩形導波管10内に結合波が給電される。
【0019】
図3Aは、図2Bに示された矩形導波管10及び共振周波数可変部14の等価回路図である。図3Aは、矩形導波管10と共振周波数可変部14とが結合度nを介して接続されることを示しており、矩形導波管10による共振器10aが誘導性素子及び容量性素子で表される。図3Aでは、図2Bと同じ構成要素を同じ符号で表している。バラクタダイオード15は、半導体で形成された可変容量素子であり、容量Cvが印加されるバイアス電圧により変化する。図3Bは、図3Aの等価回路図であり、矩形導波管10による共振器10aに対して並列に、バラクタダイオード15とストリップ導体12とが合成されて、バラクタダイオード15の容量Cvが結合度nの2乗倍されて得られる容量Cv・n2の容量を有する可変容量素子15aが接続される。バラクタダイオード15の容量Cvが変化することで可変容量素子15aの容量Cv・n2も変化して共振周波数が変化する。例えば、結合度nが0.1のとき、バラクタダイオード15の容量Cvは0.01倍となって共振器10aに並列接続され、共振周波数を変化させる。
図4は、結合度nが0.1(20dB)のときに、バラクタダイオード15の容量Cvを10pF、1pF、0.3pF、0.13pF、0.1pFと可変したときの共振周波数の変化を表すシミュレーション図である。バラクタダイオード15の容量Cvが10pF〜0.1pFの範囲で変化することで、共振周波数を約200MHz変化させることができる。
【0020】
このような共振周波数可変部14は、機械的な変動部がなく半導体素子(バラクタダイオード15)に印加するバイアス電圧を変化させるだけで所望の共振周波数を得る電子制御式である。そのために、信頼性(寿命)が半導体素子の寿命に支配され、非常に高くなる。
【0021】
共振周波数可変部14を設けることで、矩形導波管10の無負荷Qは、結合度nの2乗を介してマイクロストリップ線路の損失とバラクタダイオード15の損失(Qファクタ)が作用する。例えば結合度nが0.1のとき、n2は0.1であり、マイクロストリップ線路とバラクタダイオード15の損失は矩形導波管10に対し0.01倍しか作用しない。そのために、結合度nを挿入損失低減の条件で選択すれば、実用上問題がない挿入損失の電子制御方式の導波管フィルタ1を実現することができる。
【0022】
図5、図6は、各々図3Aの等価回路について、結合度nと振幅、共振周波数の関係をグラフ化した図である。図5は、バラクタダイオード15に必要な耐電力の結合度依存性を表している。図6は、共振周波数の変動可能範囲の結合度への依存度を表している。
図5、図6において、結合度はデシベル単位で表されている。結合度0.1は20dBに相当する。図5、図6により、結合度20dBのときに必要な耐電力は200Vであり、このときの共振周波数の変動可能範囲はバラクタダイオード15の容量Cvが0.1pF〜0.3pFの範囲で可変する場合に160MHz(約1.6%帯域)が得られる。
耐電力が200Vのバラクタダイオード15は、一般的な物であり入手が容易である。また、共振周波数の変動可能幅が1.6%帯域あれば、実用上問題となることが少ない。
【0023】
<第2実施形態>
図7は、本発明の第2実施形態の3段構成のX帯単一共振器フィルタ2の概略図である。この共振器フィルタ2は、第1実施形態の共振器フィルタ1を3段直結した構成である。1段目と3段目は同じ特性の共振器でよいが、その間に位置する2段目の共振器は1段目、3段目の共振器とは異なる特性を有する。共振器を複数段縦続に接続することで、所望のフィルタ特性を有する共振器フィルタ2とすることができる。共振器フィルタ2の場合には、所望のフィルタ特性を得るために、2段目の共振器の特性を1段目、3段目の共振器の特性とは異なるものとしている。
そのために、共振器フィルタ2では、1段目と3段目の誘導性棒11aの寸法(長さ、直径)と2段目の誘導性棒11bの寸法(長さ、直径)が異なる。また、共振器の軸長が1段目と3段目がθ1であるのに対し2段目はθ2(θ2>θ1)である。同様に、共振周波数可変部14のバラクタダイオード15へのバイアス電圧を変えて、容量値が1段目、3段目と2段目とでは異なる値に設定される。
【0024】
図8は、共振器フィルタ2のシミュレーション結果を表す図であり、各段の結合度nを0.1に固定して、バラクタダイオード15の容量値を0.03pF、0.02pF、0.01pFと変化させたときの共振器フィルタ2の特性を表している。
【0025】
誘導性棒11a、11bの寸法や共振軸の長さ、或いは、バラクタダイオード15へ印加するバイアス電圧を変える他に、結合度nを変化させることで、共振器の特性を変えるようにしてもよい。図9は、結合度nを変化させる方法の説明図である。
【0026】
図9は、図1の共振器フィルタ1の矩形導波管10を共振周波数可変部14側から見た断面図であり、ストリップ導体12の状態が変化していることを表している。
矩形導波管10内には、管軸方向に磁界Hが発生するが、ストリップ導体12と磁界Hのなす角度により結合度nが変化する。例えば管軸方向に発生する磁界Hに対してストリップ導体12の長辺が直角に位置するときの結合度をnとすると(ストリップ導体12の状態)、磁界Hの方向に対して長辺が角度Φになるように設けられたストリップ導体12aの結合度naは、(式1)で表される。
na=n・cosΦ …(1)
【0027】
(式1)から明らかなように、ストリップ導体12が磁界Hの方向に対してなす角度に応じて結合度が減少する。このために、バラクタダイオード15の容量Cvが矩形導波管10に並列接続された容量素子として共振周波数に影響を与える際には、Cv・na2となって作用する。第1実施形態、第2実施形態いずれもストリップ導体12の構成は同じなので、同様にして結合度nを変化させることができる。
このように、ストリップ導体12は、所望の結合度naが得られるように、磁界Hの方向に対して所定の角度で、同軸伝送線路13の中心同軸に固定される。
【0028】
<第3実施形態>
図10は、本発明の第3実施形態のX帯単一共振器フィルタ3の概略図である。図11Aは、共振器フィルタ3の、共振周波数可変部14が矩形導波管30に接続される付近の断面図であり、図11Bは、図11Aの断面図において、共振周波数可変部14を回路図に置き換えた説明図である。第1実施形態の構成要素と同じ構成要素については、同じ符号を用いている。
【0029】
この共振器フィルタ3は、第1実施形態の共振器フィルタ1に用いた矩形導波管10と同様に、誘導性棒11を内蔵した矩形導波管30を有している。矩形導波管30は、更に、電界Eに結合するための棒状の導体素子31を備えている。導体素子31は、磁界H方向に並んだ誘導性棒11の中間、好適には誘導性棒11間の中心に配置されている。導体素子31は、同軸伝送線路を介して共振周波数可変部14に接続される。共振周波数可変部14は、第1実施形態のそれと同じ構成、機能を有するので説明は省略する。
共振器フィルタ3は、第1実施形態及び第2実施形態が磁界Hに結合して共振周波数を可変にするところを、矩形導波管30の電界Eに結合して共振周波数を可変にする点で異なるが、その動作は同様である。共振器フィルタ3においても、バラクタダイオード15に印加されるバイアス電圧が変化することで、共振周波数が変化する。
【0030】
共振器フィルタ3において、結合度は、例えば以下の2通りの方法で調整することができる。
一つは、電界結合するための導体素子31の寸法(長さ、直径)を変える方法である。もう一つは、導体素子31を配置する位置を変える方法である。導体素子31の位置を矩形導波管30の断面の長辺方向に移動させることで、結合度を変えることができる。これは、伝送基本モードTE10の電界Eが長辺方向に対して、(式2)で表されるように分布するためである。
Ey=A(ωa/π)sin(πx/a)sin(ωt−βz) …(2)
Aは任意定数、ωは角周波数、aは矩形導波管30の長辺方向の長さ、xは導体素子31の長辺方向の位置(変数)、tは時間(変数)、βは位相定数、zは導体素子31の矩形導波管30の管軸方向の位置(変数)
導体素子31は、矩形導波管30の内部から導波管壁を貫通してバイアス回路接続端子17に接続されている。導体素子31は、電磁界解析や実測により、結合度が最適となるように、寸法や配置が決められる。
【0031】
以上のように、共振器フィルタ1、2、3の共振周波数は、バラクタダイオード15ののような可変容量素子の容量を変化させることで容易に変化させることができる。また、ストリップ導体12或いは導体素子31による磁界或いは電界との結合度を変化させることでも、共振周波数を変化させることができる。なお、半導体素子としてバラクタダイオード15を挙げているが、他にも容量が可変となっている半導体素子であれば、バラクタダイオード15に限定される物ではない。
そのために、電子制御により導波管を用いた共振器フィルタの通過帯域を容易に可変にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】第1実施形態の共振器フィルタの概略図。
【図2A】第1実施形態の共振器フィルタの共振周波数可変部が矩形導波管に接続される付近の断面図。
【図2B】図2Aの断面図において、共振周波数可変部を回路図に置き換えた図。
【図3A】図2Bに示された矩形導波管及び共振周波数可変部の等価回路図。
【図3B】図3Aの等価回路図。
【図4】第1実施形態の共振器フィルタのバラクタダイオードの容量と共振周波数の関係を表す図。
【図5】図3Aの等価回路について、結合度と振幅の関係をグラフ化した図。
【図6】図3Aの等価回路について、結合度と共振周波数の関係をグラフ化した図。
【図7】第2実施形態の共振器フィルタの概略図。
【図8】第2実施形態の共振器フィルタのバラクタダイオードの容量と共振周波数の関係を表す図。
【図9】第1実施形態の共振器フィルタの矩形導波管10を共振周波数可変部側から見た断面図。
【図10】第3実施形態の共振器フィルタの概略図。
【図11A】第3実施形態の共振器フィルタの共振周波数可変部が矩形導波管に接続される付近の断面図。
【図11B】図11Aの断面図において、共振周波数可変部を回路図に置き換えた図。
【図12】通過帯域が固定された導波管型の共振器フィルタの概略図。
【図13】図12の共振器フィルタを入力端側から見た図。
【図14】矩形導波管内の伝送基本モードTE10の電界及び磁界の分布状態を示した図。
【図15】図12の共振器フィルタの等価回路図。
【符号の説明】
【0033】
1、2、3…X帯単一共振器フィルタ 10、20、30、40…矩形導波管 10a、43…共振器 11、11a、11b…誘導性棒 12、12a…ストリップ導体 13…同軸伝送線路 13a…中心導体 13b…外導体 14…共振周波数可変部 15…バラクタダイオード 15a…可変容量素子 16…接地端子 17…バイアス回路接続端子 18…バイアス端子 19…ローパスフィルタ 19a…容量性素子 19b…誘導性素子 31…導体素子 4…共振器フィルタ 41…誘導性棒 42…容量性ポスト 44…インピーダンスインバータ E…電界 H…磁界
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばマイクロ波帯及びミリ波帯で用いられる導波管型の共振器フィルタに関し、特に通過帯域が可変になっている帯域通過型の共振器フィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
導波管を用いた共振器フィルタは、様々な高周波機器に用いられている。
図12は、通過帯域が固定された導波管型の共振器フィルタ4の概略図の一例である。この共振器フィルタ4は、矩形導波管40、誘導性の導体である誘導性棒41、及び容量性素子としての容量性ポスト42を備えている。誘導性棒41と容量性ポスト42とで共振器43が構成される。
図13は、図12の共振器フィルタ4を入力端側から見た図である。図13は、矩形導波管40内の伝送基本モードTE10の電界E及び磁界Hと、誘導性棒41及び容量性ポスト42との関係を示している。図14は、矩形導波管40内の伝送基本モードTE10の電界E及び磁界Hの分布状態を示した図である。矩形導波管40内において、電界Eは半波長ごとに、図のY軸方向で反転する。磁界Hは、半波長ごとにX−Z平面で時計回りと反時計回りとで反転する。
【0003】
図15は、共振器フィルタ4の等価回路図である。誘導性棒41及び容量性ポスト42により共振器43が構成されており、通過帯域幅に応じて、誘導性棒41及び容量性ポスト42の特性が決定される。共振器フィルタ4は、このような共振器43とインピーダンスインバータ44とが交互に接続された構成である。インピーダンスインバータ44は、共振器フィルタ4が所望の通過帯域を得るために必要となる。また、インピーダンスインバータ44は、共振器フィルタ4の入出力端における特性インピーダンスと初段及び最終段の共振器43の整合をとるためにも必要な構成である。
【0004】
このように通過帯域が固定された共振器フィルタ4に対して、通過帯域が可変となっている導波管型の共振器フィルタが、従来からレーダ給電系やエネルギ応用装置(例えば、マイクロ波加熱装置)の電波源であるマグネトロンの周波数ドリフト対策として待望されている。しかし、せいぜい共振周波数同調用の金属スクリューを機械的に出し/入れする方法が提案されている程度で、実用化に至っていない。また、このような機械的な通過帯域の制御は、信頼性(寿命)が不十分であると予想される。
【0005】
同軸型の共振器フィルタの通過帯域を電子制御により可変にする発明が特許文献1に開示されている。特許文献1は、コムラインフィルタを構成する半同軸共振器の負荷容量として電圧可変の容量フィルムを利用して、共振器フィルタの通過帯域を可変にしている。電圧可変の容量フィルムを複数段のコムラインフィルタの初段と最終段の半同軸共振器の負荷容量とすることで、通過帯域を可変にする。電圧可変の容量フィルムに、バリウム・ストロンチウム・酸化チタンの合成材料を用いると、容量が0.4pF〜0.2pFの範囲で可変する。これによりコムラインフィルタの通過帯域幅が30MHzになり、共振器フィルタの通過帯域の中心周波数が2.0GHz〜2.4GHzまで可変可能になる。
【特許文献1】米国特許第6801104号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1では、バラクタダイオードのような半導体素子を用いていない。これは、半導体素子、特にバラクタダイオードが、マイクロ波帯でQファクタが低くフィルタの損失が増大するためである。また、バラクタダイオードの場合には耐電力が低いために、印加可能なマイクロ波帯の動作電力が制限される。
しかし、共振器フィルタの通過帯域を可変にするために半導体素子を用いることができれば、通過帯域を高速に可変可能になり、且つ信頼性の向上が期待できる。また。マイクロ波帯の共振器フィルタの場合には、挿入損失を実用範囲まで低減でき、通過帯域の可変範囲を実用上必要な1%程度にすることができ、耐電力を実用範囲まで保証できる。
【0007】
本発明は、上記の問題に鑑み、通過帯域が電子制御により可変である導波管型の共振器フィルタを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決する本発明の共振器フィルタは、伝送基本モードがTE10であり、誘導性の棒状素子が内部に複数配置されて共振器を構成している矩形導波管と、前記矩形導波管の内部に発生する電界又は磁界を所定の結合度で結合するために、前記矩形導波管の内部に設けられる導体と、前記導体に接続されており、半導体で形成された可変容量素子を有する共振周波数可変部と、を備えている。前記可変容量素子の容量の変化に応じて、前記共振器の共振周波数が変化するようになっている。そのために共振器フィルタの通過帯域が可変となる。
【0009】
半導体で形成された可変容量素子を用いることで、通過帯域を高速に可変可能になり、且つ信頼性の向上がする。また。マイクロ波帯の共振器フィルタの場合には、挿入損失を実用範囲まで低減でき、通過帯域の可変範囲を実用上必要な1%程度にすることができ、耐電力を実用範囲まで保証できる。
【0010】
前記共振周波数可変部は、例えばマイクロストリップ線路又は同軸線路からなる電子回路であり、可変容量素子の容量を容易に可変としすることができる。また、前記矩形導波管内に、複数の前記共振器が縦続に接続されて構成されてもよい。縦続接続することで、所定のフィルタ特性を実現するようにしてもよい。
【0011】
導体は、磁界に結合する場合には、例えばストリップ導体を用いることができ、電界に結合する場合には、棒状の導体素子を用いることができる。ストリップ導体は、例えば前記結合度が所定の値となるように前記磁界の方向に対して所定の角度で設けられる。結合度は、この角度により調整される。前記導体素子は、大きさ及び矩形導波管内の配置位置に応じて前記電界との前記結合度が決まる。
【発明の効果】
【0012】
上記のような本発明により、半導体で形成された可変容量素子を有する共振周波数可変部を備えることで、電気的に可変容量の容量を変化させて共振周波数を変化させることが可能になる。そのために、従来、半導体素子を用いることで期待された効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
【0014】
<第1実施形態>
図1は、通過帯域が電子制御により可変となっている、導波管を用いた共振器フィルタの本発明の第1実施形態であるX帯単一共振器フィルタ1の概略図である。この共振器フィルタ1は、TE10モードの矩形導波管10と共振周波数可変部14とが、同軸伝送線路13により接続された構成である。図2Aは、共振器フィルタ1の、共振周波数可変部14が矩形導波管10に接続される付近の断面図であり、図2Bは、図2Aの断面図において、共振周波数可変部14を回路図に置き換えた説明図である。
【0015】
この共振器フィルタ1は、伝送基本モードがTE10の矩形導波管10内に、共振器を構成する誘導性の導体素子としての誘導性棒11及び矩形導波管10の管軸方向に発生する磁界Hと結合するためのストリップ導体12を有している。ストリップ導体12は、磁界H方向に並んだ誘導性棒11の中間、好適には誘導性棒11間の中心に配置されており、磁界Hを結合度nで結合する。ストリップ導体12で結合したマイクロ波は、同軸伝送線路13を介して共振周波数可変部14に導かれる。
【0016】
共振周波数可変部14は、基板上に、半導体素子としてのバラクタダイオード15、接地端子16、同軸伝送線路13が接続されるバイアス回路接続端子17、バイアス端子18、及びローパスフィルタ19を有している。バラクタダイオード15は、接地端子16に一方の端子(この実施形態ではアノード端子)が接続されバイアス回路接続端子17に他方の端子(この実施形態ではカソード端子)が接続される。バイアス回路接続端子17とバイアス端子18との間には、容量性素子19a及び誘導性素子19bからなるローパスフィルタ19が設けられる。ローパスフィルタ19により、バイアス端子18への結合波の漏れるを抑圧できる。
【0017】
バイアス端子18を介して、図示しない電源からバイアス電圧が印加される。バイアス電圧はバラクタダイオード15に印加される。バイアス電圧は可変である。バラクタダイオード15は、印加されるバイアス電圧が可変であるために、その接合容量が変化する。接合容量が変化するために共振周波数が変化する。バイアス電圧を容易に印加できる構造にするため、バラクタダイオード15が実装される共振周波数可変部14はマイクロストリップ線路或いは同軸線路で構成される。
【0018】
同軸伝送線路13は、中心導体13a及び外導体13bを有しており、中心導体13aがストリップ導体12とバイアス回路接続端子17とを接続している。同軸伝送線路13により矩形導波管10内に結合波が給電される。
【0019】
図3Aは、図2Bに示された矩形導波管10及び共振周波数可変部14の等価回路図である。図3Aは、矩形導波管10と共振周波数可変部14とが結合度nを介して接続されることを示しており、矩形導波管10による共振器10aが誘導性素子及び容量性素子で表される。図3Aでは、図2Bと同じ構成要素を同じ符号で表している。バラクタダイオード15は、半導体で形成された可変容量素子であり、容量Cvが印加されるバイアス電圧により変化する。図3Bは、図3Aの等価回路図であり、矩形導波管10による共振器10aに対して並列に、バラクタダイオード15とストリップ導体12とが合成されて、バラクタダイオード15の容量Cvが結合度nの2乗倍されて得られる容量Cv・n2の容量を有する可変容量素子15aが接続される。バラクタダイオード15の容量Cvが変化することで可変容量素子15aの容量Cv・n2も変化して共振周波数が変化する。例えば、結合度nが0.1のとき、バラクタダイオード15の容量Cvは0.01倍となって共振器10aに並列接続され、共振周波数を変化させる。
図4は、結合度nが0.1(20dB)のときに、バラクタダイオード15の容量Cvを10pF、1pF、0.3pF、0.13pF、0.1pFと可変したときの共振周波数の変化を表すシミュレーション図である。バラクタダイオード15の容量Cvが10pF〜0.1pFの範囲で変化することで、共振周波数を約200MHz変化させることができる。
【0020】
このような共振周波数可変部14は、機械的な変動部がなく半導体素子(バラクタダイオード15)に印加するバイアス電圧を変化させるだけで所望の共振周波数を得る電子制御式である。そのために、信頼性(寿命)が半導体素子の寿命に支配され、非常に高くなる。
【0021】
共振周波数可変部14を設けることで、矩形導波管10の無負荷Qは、結合度nの2乗を介してマイクロストリップ線路の損失とバラクタダイオード15の損失(Qファクタ)が作用する。例えば結合度nが0.1のとき、n2は0.1であり、マイクロストリップ線路とバラクタダイオード15の損失は矩形導波管10に対し0.01倍しか作用しない。そのために、結合度nを挿入損失低減の条件で選択すれば、実用上問題がない挿入損失の電子制御方式の導波管フィルタ1を実現することができる。
【0022】
図5、図6は、各々図3Aの等価回路について、結合度nと振幅、共振周波数の関係をグラフ化した図である。図5は、バラクタダイオード15に必要な耐電力の結合度依存性を表している。図6は、共振周波数の変動可能範囲の結合度への依存度を表している。
図5、図6において、結合度はデシベル単位で表されている。結合度0.1は20dBに相当する。図5、図6により、結合度20dBのときに必要な耐電力は200Vであり、このときの共振周波数の変動可能範囲はバラクタダイオード15の容量Cvが0.1pF〜0.3pFの範囲で可変する場合に160MHz(約1.6%帯域)が得られる。
耐電力が200Vのバラクタダイオード15は、一般的な物であり入手が容易である。また、共振周波数の変動可能幅が1.6%帯域あれば、実用上問題となることが少ない。
【0023】
<第2実施形態>
図7は、本発明の第2実施形態の3段構成のX帯単一共振器フィルタ2の概略図である。この共振器フィルタ2は、第1実施形態の共振器フィルタ1を3段直結した構成である。1段目と3段目は同じ特性の共振器でよいが、その間に位置する2段目の共振器は1段目、3段目の共振器とは異なる特性を有する。共振器を複数段縦続に接続することで、所望のフィルタ特性を有する共振器フィルタ2とすることができる。共振器フィルタ2の場合には、所望のフィルタ特性を得るために、2段目の共振器の特性を1段目、3段目の共振器の特性とは異なるものとしている。
そのために、共振器フィルタ2では、1段目と3段目の誘導性棒11aの寸法(長さ、直径)と2段目の誘導性棒11bの寸法(長さ、直径)が異なる。また、共振器の軸長が1段目と3段目がθ1であるのに対し2段目はθ2(θ2>θ1)である。同様に、共振周波数可変部14のバラクタダイオード15へのバイアス電圧を変えて、容量値が1段目、3段目と2段目とでは異なる値に設定される。
【0024】
図8は、共振器フィルタ2のシミュレーション結果を表す図であり、各段の結合度nを0.1に固定して、バラクタダイオード15の容量値を0.03pF、0.02pF、0.01pFと変化させたときの共振器フィルタ2の特性を表している。
【0025】
誘導性棒11a、11bの寸法や共振軸の長さ、或いは、バラクタダイオード15へ印加するバイアス電圧を変える他に、結合度nを変化させることで、共振器の特性を変えるようにしてもよい。図9は、結合度nを変化させる方法の説明図である。
【0026】
図9は、図1の共振器フィルタ1の矩形導波管10を共振周波数可変部14側から見た断面図であり、ストリップ導体12の状態が変化していることを表している。
矩形導波管10内には、管軸方向に磁界Hが発生するが、ストリップ導体12と磁界Hのなす角度により結合度nが変化する。例えば管軸方向に発生する磁界Hに対してストリップ導体12の長辺が直角に位置するときの結合度をnとすると(ストリップ導体12の状態)、磁界Hの方向に対して長辺が角度Φになるように設けられたストリップ導体12aの結合度naは、(式1)で表される。
na=n・cosΦ …(1)
【0027】
(式1)から明らかなように、ストリップ導体12が磁界Hの方向に対してなす角度に応じて結合度が減少する。このために、バラクタダイオード15の容量Cvが矩形導波管10に並列接続された容量素子として共振周波数に影響を与える際には、Cv・na2となって作用する。第1実施形態、第2実施形態いずれもストリップ導体12の構成は同じなので、同様にして結合度nを変化させることができる。
このように、ストリップ導体12は、所望の結合度naが得られるように、磁界Hの方向に対して所定の角度で、同軸伝送線路13の中心同軸に固定される。
【0028】
<第3実施形態>
図10は、本発明の第3実施形態のX帯単一共振器フィルタ3の概略図である。図11Aは、共振器フィルタ3の、共振周波数可変部14が矩形導波管30に接続される付近の断面図であり、図11Bは、図11Aの断面図において、共振周波数可変部14を回路図に置き換えた説明図である。第1実施形態の構成要素と同じ構成要素については、同じ符号を用いている。
【0029】
この共振器フィルタ3は、第1実施形態の共振器フィルタ1に用いた矩形導波管10と同様に、誘導性棒11を内蔵した矩形導波管30を有している。矩形導波管30は、更に、電界Eに結合するための棒状の導体素子31を備えている。導体素子31は、磁界H方向に並んだ誘導性棒11の中間、好適には誘導性棒11間の中心に配置されている。導体素子31は、同軸伝送線路を介して共振周波数可変部14に接続される。共振周波数可変部14は、第1実施形態のそれと同じ構成、機能を有するので説明は省略する。
共振器フィルタ3は、第1実施形態及び第2実施形態が磁界Hに結合して共振周波数を可変にするところを、矩形導波管30の電界Eに結合して共振周波数を可変にする点で異なるが、その動作は同様である。共振器フィルタ3においても、バラクタダイオード15に印加されるバイアス電圧が変化することで、共振周波数が変化する。
【0030】
共振器フィルタ3において、結合度は、例えば以下の2通りの方法で調整することができる。
一つは、電界結合するための導体素子31の寸法(長さ、直径)を変える方法である。もう一つは、導体素子31を配置する位置を変える方法である。導体素子31の位置を矩形導波管30の断面の長辺方向に移動させることで、結合度を変えることができる。これは、伝送基本モードTE10の電界Eが長辺方向に対して、(式2)で表されるように分布するためである。
Ey=A(ωa/π)sin(πx/a)sin(ωt−βz) …(2)
Aは任意定数、ωは角周波数、aは矩形導波管30の長辺方向の長さ、xは導体素子31の長辺方向の位置(変数)、tは時間(変数)、βは位相定数、zは導体素子31の矩形導波管30の管軸方向の位置(変数)
導体素子31は、矩形導波管30の内部から導波管壁を貫通してバイアス回路接続端子17に接続されている。導体素子31は、電磁界解析や実測により、結合度が最適となるように、寸法や配置が決められる。
【0031】
以上のように、共振器フィルタ1、2、3の共振周波数は、バラクタダイオード15ののような可変容量素子の容量を変化させることで容易に変化させることができる。また、ストリップ導体12或いは導体素子31による磁界或いは電界との結合度を変化させることでも、共振周波数を変化させることができる。なお、半導体素子としてバラクタダイオード15を挙げているが、他にも容量が可変となっている半導体素子であれば、バラクタダイオード15に限定される物ではない。
そのために、電子制御により導波管を用いた共振器フィルタの通過帯域を容易に可変にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】第1実施形態の共振器フィルタの概略図。
【図2A】第1実施形態の共振器フィルタの共振周波数可変部が矩形導波管に接続される付近の断面図。
【図2B】図2Aの断面図において、共振周波数可変部を回路図に置き換えた図。
【図3A】図2Bに示された矩形導波管及び共振周波数可変部の等価回路図。
【図3B】図3Aの等価回路図。
【図4】第1実施形態の共振器フィルタのバラクタダイオードの容量と共振周波数の関係を表す図。
【図5】図3Aの等価回路について、結合度と振幅の関係をグラフ化した図。
【図6】図3Aの等価回路について、結合度と共振周波数の関係をグラフ化した図。
【図7】第2実施形態の共振器フィルタの概略図。
【図8】第2実施形態の共振器フィルタのバラクタダイオードの容量と共振周波数の関係を表す図。
【図9】第1実施形態の共振器フィルタの矩形導波管10を共振周波数可変部側から見た断面図。
【図10】第3実施形態の共振器フィルタの概略図。
【図11A】第3実施形態の共振器フィルタの共振周波数可変部が矩形導波管に接続される付近の断面図。
【図11B】図11Aの断面図において、共振周波数可変部を回路図に置き換えた図。
【図12】通過帯域が固定された導波管型の共振器フィルタの概略図。
【図13】図12の共振器フィルタを入力端側から見た図。
【図14】矩形導波管内の伝送基本モードTE10の電界及び磁界の分布状態を示した図。
【図15】図12の共振器フィルタの等価回路図。
【符号の説明】
【0033】
1、2、3…X帯単一共振器フィルタ 10、20、30、40…矩形導波管 10a、43…共振器 11、11a、11b…誘導性棒 12、12a…ストリップ導体 13…同軸伝送線路 13a…中心導体 13b…外導体 14…共振周波数可変部 15…バラクタダイオード 15a…可変容量素子 16…接地端子 17…バイアス回路接続端子 18…バイアス端子 19…ローパスフィルタ 19a…容量性素子 19b…誘導性素子 31…導体素子 4…共振器フィルタ 41…誘導性棒 42…容量性ポスト 44…インピーダンスインバータ E…電界 H…磁界
【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝送基本モードがTE10であり、誘導性の棒状素子が内部に複数配置されて共振器を構成している矩形導波管と、
前記矩形導波管の内部に発生する電界又は磁界を所定の結合度で結合するために、前記矩形導波管の内部に設けられる導体と、
前記導体に接続されており、半導体で形成された可変容量素子を有する共振周波数可変部と、を備えており、
前記可変容量素子の容量の変化に応じて、前記共振器の共振周波数が変化するようになっている、
共振器フィルタ。
【請求項2】
前記共振周波数可変部は、マイクロストリップ線路又は同軸線路からなる電子回路である、
請求項1記載の共振器フィルタ。
【請求項3】
前記矩形導波管内には、複数の前記共振器が縦続に接続されて構成されて所定のフィルタ特性を有している、
請求項1又は2記載の共振器フィルタ。
【請求項4】
前記導体はストリップ導体であり、前記磁界に結合するようになっている、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の共振器フィルタ。
【請求項5】
前記ストリップ導体は、前記結合度が所定の値となるように前記磁界の方向に対して所定の角度で設けられる、
請求項4記載の共振器フィルタ。
【請求項6】
前記導体は棒状の導体素子であり、前記電界に結合するようになっている、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の共振器フィルタ。
【請求項7】
前記導体素子は、大きさ及び矩形導波管内の配置位置に応じて前記電界との前記結合度が決まるようになっている、
請求項6記載の共振器フィルタ。
【請求項1】
伝送基本モードがTE10であり、誘導性の棒状素子が内部に複数配置されて共振器を構成している矩形導波管と、
前記矩形導波管の内部に発生する電界又は磁界を所定の結合度で結合するために、前記矩形導波管の内部に設けられる導体と、
前記導体に接続されており、半導体で形成された可変容量素子を有する共振周波数可変部と、を備えており、
前記可変容量素子の容量の変化に応じて、前記共振器の共振周波数が変化するようになっている、
共振器フィルタ。
【請求項2】
前記共振周波数可変部は、マイクロストリップ線路又は同軸線路からなる電子回路である、
請求項1記載の共振器フィルタ。
【請求項3】
前記矩形導波管内には、複数の前記共振器が縦続に接続されて構成されて所定のフィルタ特性を有している、
請求項1又は2記載の共振器フィルタ。
【請求項4】
前記導体はストリップ導体であり、前記磁界に結合するようになっている、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の共振器フィルタ。
【請求項5】
前記ストリップ導体は、前記結合度が所定の値となるように前記磁界の方向に対して所定の角度で設けられる、
請求項4記載の共振器フィルタ。
【請求項6】
前記導体は棒状の導体素子であり、前記電界に結合するようになっている、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の共振器フィルタ。
【請求項7】
前記導体素子は、大きさ及び矩形導波管内の配置位置に応じて前記電界との前記結合度が決まるようになっている、
請求項6記載の共振器フィルタ。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2009−118048(P2009−118048A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−287204(P2007−287204)
【出願日】平成19年11月5日(2007.11.5)
【出願人】(000219004)島田理化工業株式会社 (205)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月5日(2007.11.5)
【出願人】(000219004)島田理化工業株式会社 (205)
【Fターム(参考)】
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