共焦点イメージング方法および装置
本発明は、試料の高分解能の画像を高速な走査速度で得るのに有用なイメージング装置および方法を提供するものである。水平の寸法方向が垂直の寸法方向よりも長い矩形の検出器アレイを、試料の一部の矩形画像を矩形の検出器アレイに導くよう位置決めされたイメージングオプティクスと併用することができる。走査デバイスについては、スキャン軸の寸法方向に試料を走査するよう構成することが可能であり、矩形の検出器アレイの垂直の寸法方向と、画像の2つの矩形の寸法方向のうちの短いほうが、スキャン軸の寸法方向にあり、矩形の検出器アレイの垂直の寸法方向が単軸で共焦点性を実現できるだけの十分な短さである。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本発明は、一般に光学イメージングの分野に関する。具体的には、本発明はマイクロアレイ検出用のイメージングシステムに関する。
【0002】
試料をサブミクロンの分解能で調べるための強力なツールのひとつに光学顕微鏡がある。たとえば、生物学および医学では、蛍光タグや免疫蛍光タグなどの適切な分子タグを用いて個々の分子を標識し、タグからの特有の信号を光学顕微鏡で検出して、その存在を同定する。サブミクロンの分解能での検出によって、タグ付き分子の有無のみならず、それが細胞内または組織内あるいはこれらの周囲のどこにあるのかまで判断できるようになる。
【0003】
光学顕微鏡検査システムが目指している2つの相いれない目標に、高速イメージングと高分解能イメージングの両方を提供することがある。一般に、光学顕微鏡では、分解能がイメージング速度に反比例する。よって、分解能を上げるために検査速度が低下するという犠牲を払っていることが多い。上述した葛藤に対応するためのひとつの手法に、観察対象となる試料の具体的な内容または他の実験条件に応じてシステムの分解能を選択的に決定することがある。この場合、画像を取得するまでの時間が長くなる問題があるとはいえ、低めの分解能を利用して高めの速度を実現しながら試料の該当エリアを探査した後、該当箇所の特定後に分解能を上げてイメージングを行うことが可能である。
【0004】
昨今、試料を三次元で調べる顕微鏡の機能が飛躍的に進歩してきている。共焦点顕微鏡が登場し、関連技術による改善がなされたことで、三次元空間内の離散点を、その点の周囲にある体積部分からの不要な信号を排除しつつ高分解能で検出できるようになっている。走査型共焦点顕微鏡による検査を行えば、検出点を効果的に試料のあちこちに移し、各点からの信号を収集して試料の正確な三次元画像を再構成することができる。
【0005】
光学顕微鏡検査のために開発された技術が、他の画像検出分野にも応用されている。たとえば、この技術は、数千もの分子プローブが基板表面に結合したマイクロアレイの画像を得る目的で用いられている。興味の対象である生物学的試料への曝露後にマイクロアレイ表面をイメージングすることで、数千もの標的分子を同時に評価することができ、その試料についての大量の情報が得られる。たとえば、マイクロアレイを利用して、特定の条件下で発現される遺伝子の数とタイプを求めることができ、そこからこの条件に対する生物応答についての全体論的な視野が得られる。さらに、特定の形質についての遺伝的な根拠を判断できる方法で、マイクロアレイを用いて個体の遺伝子構成の類似度や差異を評価することができる。遺伝子の発現応答ならびに個体の遺伝子構成に関する情報は、たとえば特定の疾患に対する羅患性または特定の薬剤に対する応答を判断するための診断目的や予防目的で利用可能なものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
マイクロアレイ検出は光学顕微鏡検査の進歩から恩恵を受けてきたが、マイクロアレイイメージングに関しては適切な対処がなされていない技術分野が多くある。特に、光学顕微鏡検査で画像の分解能と収集効率を高めることができたのは、三次元の共焦点検出を改善し、拡大率を変化させた結果である。しかしながら、アレイ検出は一般に二次元でしか行われず、拡大率も一定である。さらに、高分解能の光学顕微鏡検査における進歩の多くが、スキャン速度よりも分解能の改善を優先してきている。これらの進歩は、生体細胞1個から数個程度の小さな試料のイメージングには有益であるが、マイクロアレイなどの実質的に大きめの試料を高分解能で走査するには、こうした進歩が必ずしも役立つとは限らない。
【0007】
よって、マイクロアレイや他の二次元基板の高分解能かつ高速でのイメージングを可能にする走査デバイスおよび方法に需要がある。本発明は、この需要を満たし、他の利点も提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
簡単な説明
本発明は、このようなニーズに応えるためのマイクロアレイイメージングおよび解析に対する新規な方法を提供するものである。この手法は、マイクロビーズからなるアレイ、フォトリソグラフィ、プリンティング技法、電気化学などをはじめとして、広範囲にわたるマイクロアレイ技術で利用できる。この手法では、マイクロアレイを共焦点ライン走査して基板上の個別対象部位を画像化することに頼っている。走査されるラインには、マイクロアレイ上の対象部位の順に並んだラインに向かって共焦点的に導かれる、複数のレーザからの合成波長による励起で生じるレトロビームに含まれる、異なる色を読み取るために、一対の補色主波長など、光の2つ以上の波長が含まれることがある。共焦点ライン走査を用いることで、アレイの隣り合った対象部位の不要な励起が原因で生じるクロストークの可能性を著しく低減しつつ、マイクロアレイのイメージング速度が大幅に改善される。
【0009】
本発明はイメージング装置を提供するものである。このイメージング装置は、(a)試料領域の少なくとも一部に励起放射線を送るよう配置された放射線源と、(b)矩形の検出器アレイと、(c)一部についての矩形画像を矩形の検出器アレイまで導くよう配置されたイメージングオプティクスと、(d)試料領域をスキャン軸の寸法方向に走査するよう構成された走査デバイスと、を含むことができ、この走査によって矩形の検出器アレイで矩形画像を形成する試料領域の一部が入れ替わり、矩形の検出器アレイの2つの矩形の寸法方向のうち短いほうと、画像の2つの矩形の寸法方向のうち短いほうが、スキャン軸の寸法方向にあり、矩形の検出器アレイの2つの矩形の寸法方向のうち短いほうが、矩形の検出器アレイの単軸で共焦点性を実現できるだけの十分な短さであり、単軸が、矩形の検出器アレイの2つの矩形の寸法方向のうち短いほうである。
【0010】
本発明はさらに、試料の画像を得る方法を提供するものである。この方法は、(a)試料の少なくとも第1の部分を、第1の部分から放射線が発せられる条件下で励起放射線と接触させるステップと、(b)第1の部分から発せられている放射線を導いて、矩形の検出器アレイで第1の部分の矩形画像を形成するステップと、(c)試料領域をスキャン軸の寸法方向に走査することで、ステップ(a)と(b)とを繰り返し、矩形の検出器アレイで試料の第2の部分の矩形画像を形成するステップと、を含むことが可能であり、矩形の検出器アレイの2つの矩形の寸法方向のうち短いほうと、画像の2つの矩形の寸法方向のうち短いほうが、スキャン軸の寸法方向にあり、矩形の検出器アレイの2つの矩形の寸法方向のうち短いほうが、矩形の検出器アレイの単軸で共焦点性を実現できるだけの十分な短さであり、単軸が、矩形の検出器アレイの2つの矩形の寸法方向のうち短いほうである。
【0011】
また、本発明は、単軸での共焦点性を達成するためのスキャナを構成する方法を提供するものである。この方法は、(a)(i)試料領域の少なくとも一部に励起放射線を送るよう配置された放射線源と、(ii)矩形の検出器アレイと、(iii)一部についての矩形画像を矩形の検出器アレイまで導くよう配置されたイメージングオプティクスと、(iv)試料領域をスキャン軸の寸法方向に走査するよう構成された走査デバイスと、を含み、この走査によって矩形の検出器アレイで矩形画像を形成する試料領域の一部が入れ替わり、矩形の検出器アレイの2つの矩形の寸法方向のうち短いほうと、画像の2つの矩形の寸法方向のうち短いほうが、スキャン軸の寸法方向にある装置を提供するステップと、(b)矩形の検出器アレイの単軸で共焦点性を実現できるだけの十分な短さに矩形の検出器アレイの2つの矩形の寸法方向のうち短いほうを制限するよう矩形の検出器アレイまたはイメージングオプティクスを位置決めするステップと、を含むことが可能であり、単軸が、矩形の検出器アレイの2つの矩形の寸法方向のうち短いほうである。
【0012】
この方法は、詳細については後述する装置を用いて実施可能なものである。しかしながら、特定の装置に鑑みて下記に例示する方法のステップを、別の装置を用いて実施してもよいことは理解できよう。
【0013】
本発明の特定の態様によれば、生物学的マイクロアレイをイメージングするための方法が、それぞれのレーザから複数の放射光線を生成することを含む。次に、この放射光線は、放射線ラインに変換される。このラインは、高さよりも幅のほうが長い。続いて、放射線ラインを合成して1本の放射線ラインにする。マイクロアレイの一部に1本の合成放射線ラインを照射する。一部を照射した結果として生じるマイクロアレイからの放射線が、検出器アレイなどの検出器まで共焦点的に戻される。これで、検出器から受ける放射線に基づいてマイクロアレイの一部における離散的な対象部位が画像化される。別の実施形態では、2本の放射線ラインを、2本のラインがほぼ共線的になり、マイクロアレイの一部がその放射線のほぼ共線的なラインで照射されるように合成することができる。2本のラインは一般に、チャネル間のクロストークを最小限にするために各ラインの幅に等しい距離だけ離れている。特定の実施形態では、2本のほぼ共線的なライン1本につき1つすなわち、2つの検出器から受ける放射線に基づいて、マイクロアレイの一部における離散的な対象部位を画像化することができる。
【0014】
本発明では、放射線ラインの生成ならびにマイクロアレイの共焦点的な照射のために、さまざまな光学デバイスを活用することができる。たとえば、ライン生成器のオプティクスを利用して、各レーザからの放射光線をラインに変換してもよい。一例としてのライン生成器オプティクスとして、パウエルレンズなどの非球面レンズ、円柱レンズまたは回折素子があげられるが、これに限定されるものではない。この場合、マイクロアレイの一部にラインを合焦させ、マイクロアレイ上の対象部位の蛍光によって生じた放射線を検出器に戻す目的でオプティクスを用いることができる。
【0015】
別の実施形態では、個々のレーザからの放射線ラインをまず合成した後、合成光線を1本の放射線ラインに変換することができる。この1本の光線を、上記同様に、マイクロアレイの一部に向かって共焦点的に導けばよい。上述したように、合成光線を、1本の放射線ラインを形成するよう構成可能であり、あるいは、2本のラインがほぼ共線的になり、マイクロアレイの一部が放射線のほぼ共線的なラインで照射されるように構成することも可能である。
【0016】
さまざまな実施形態では、マイクロアレイを所望の方向にゆっくりと前進させ、マイクロアレイ上の対象部位のラインをイメージング目的で次々と照射することができる。ライン自体が連続したものであってもよく、または、特定の実施形態では、不連続であってもよく、いずれにしろ多数の対象部位をマイクロアレイでラインに沿って同時に照射する。
【0017】
全図をとおして類似の符号が類似の要素を示す添付の図面を参照して以下の詳細な説明を読むことで、本発明の上記の特徴および他の特徴、態様および利点が、なお一層理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は、高い分解能と画像品質を維持したままスキャン時間を速くした画像走査システムおよびアーキテクチャを提供するものである。これらの利点および他の利点は、検出器アレイのスキャン軸の寸法方向を制限することで、走査軸において共焦点性を実現する検出器アレイを構成して得られるものである。さらに詳細については後述するように、本発明の装置については、検出器アレイの単軸で、共焦点性がその寸法方向でしか起こらない要領で共焦点性を実現するように構成可能である。
【0019】
この検出器アレイは、検出器の短いほうの寸法方向がスキャン軸の寸法方向にくるような形で矩形の寸法方向を持ち得るものである。また、画像の短いほうの寸法方向がスキャン軸の寸法方向にくるように試料領域の矩形画像を検出器アレイに送る目的で、イメージングオプティクスを配置することが可能である。このように、検出器アレイが仮想スリットを形成する。仮想スリット構成を用いると、検出器の前に一般的なスリットを設ける場合にまさる利点がいくつか得られる。たとえば、検出器アレイを仮想スリットとして構成することで、標準的な寸法方向の検出器アレイをスリットと一緒に用いる構成と比較して未使用のアレイ素子が少なくなる。未使用の素子の数が減れば、データ取得効率が上がるとともに、画像処理時間が短縮される。さらに、仮想スリットを利用すると、検出器とスリットの両方をプロジェクションレンズの焦点面におくことができ、位置またはスリットと検出器との間の中継レンズの必要性の点で焦点を犠牲にすることがなくなる。
【0020】
仮想スリットを含むように構成された検出器アレイは、放射線ラインを試料まで導く構成のイメージング装置で用いられると特に有用である。放射線ラインは、短いほうの寸法方向が検出器アレイの短いほうの寸法方向に対応する単軸で共焦点性を実現できるだけの十分な短さの矩形の寸法方向を持ち得るものである。よって、励起、検出またはその両方で共焦点性を実現することが可能である。励起放射線のほぼすべてが機器の分解能に匹敵するスポット内に含まれるような形で、共焦点軸での励起誤差を抑えるための機器を構成することが可能である。
【0021】
仮想スリットを形成している検出器アレイを含む装置は、たとえば、数ミクロンからサブミクロン範囲の高分解能で試料画像を得るように構成可能なものである。特定の実施形態では、0.2から10マイクロメートルのレイリー分解能で画像を得ることができる。さらに、矩形の検出器アレイの2つの矩形の寸法方向のうちの短いほうと、イメージングオプティクスのレイリー分解能にイメージングオプティクスの倍率を掛けた積との比を利用して、単軸で共焦点性を実現するための仮想スリットのサイズと寸法を求めることができる。必要があれば、放射線ラインの場合に2つの矩形の寸法方向のうちの短いほうとイメージングオプティクスのレイリー分解能との比を選択して、単軸で共焦点性を実現することも可能である。
【0022】
このように、本発明のイメージング装置は、システムの分解能に一致するスキャン軸と直交するラインの長さ方向に沿って分解能を持つように構成可能なものである。たとえば、CCDデバイスでは、2mmの放射線ラインの長さ方向(水平軸)に沿って4000個のCCD素子を使用し、試料で0.5μmピクセルの分解能を得ることができる。不要なバックグラウンド放射線が集められてしまう量を減らしつつ、放射された実質的にすべての放射線を集めるように、放射線ラインに直交する方向(垂直軸)でのCCD素子の数「n」を選択することが可能である。
【0023】
本発明のイメージング装置はさらに、垂直軸におけるすべての画素素子が共通の「ビン」に集められ、単一の値として読み出されるように構成可能なものである。こうしたビニング法が一般的な時間遅延積分(TDI)のデザインにまさる利点として、読み出し速度を「n」分の1に短縮でき、システムは1本の軸に共焦点性を持ち、yステージでの移動と読み出しの同期タイミングの許容誤差を小さくできることがある。なお、垂直方向のピクセル数を制限すれば仮想スリットを持つようにTDIのデザインを構成できることは理解できよう。n=1のシステムデザインよりも優れたもうひとつの利点に、システムの集光効率を高めることができ、光学的配列の小さなドリフトに対する感度を落とせることがある。
【0024】
ここで図面に移り、まずは図1を参照すると、イメージング目的で試料またはマイクロアレイ14を挿入できるスキャナ12を含むものとしてイメージングシステム10が模式的に図示されている。詳細については後述するように、マイクロアレイ14は、表面に対象部位のアレイが形成される基板または支持体を含む。特定の試料から、分子(DNAまたはRNAプローブの場合は補体分子であってもよい)が結合されていてもよい遺伝子または遺伝子断片などの結合分子断片を含む各対象部位。本実施形態では、何千ものこのような対象部位を、一部または一セグメント(in portions or segments)を列状あるいは格子パターンにしてマイクロアレイ上に設けることができる。マイクロアレイ自体は、本実施形態の場合のようなマイクロビーズをはじめとするさまざまな技術で形成できるものである。本技法で画像化できる他のマイクロアレイとして、フォトリソグラフィならびに当該技術分野において周知または開発された他のプロセスによって形成されるマイクロアレイがあげられる。
【0025】
スキャナ12は、詳細については後述するマイクロアレイ14上の対象部位の共焦点ライン走査用オプティクスを含むことになる。図示の実施形態では、スキャナは、内側にマイクロアレイまたは複数のマイクロアレイを位置決め可能な試料トレー16を有する卓上のデバイスである。トレーについては、マイクロアレイ14を走査位置まで前進させた後、このマイクロアレイを後述するようにゆっくりと動かしてマイクロアレイ上に順に並んだラインの照射が可能なようにして、個別対象部位の蛍光によって生じる放射線またはレトロビームを返すように構成しておけばよい。対象部位の画像化および解析用に、レトロビームは検出器上に合焦する(これについても同じく後述する)。特定の実施形態では、多数のレトロビームを多数の異なる検出器に合焦させることが可能である。さらに詳細については後述するように、たとえば、第1の波長のレトロビームを第1の検出器に合焦させ、第2のレトロビームのレトロビームを第2の検出器に合焦させることが可能である。
【0026】
スキャナ12を動作させるための制御信号はコントローラまたはワークステーション18から出力される。ワークステーション18は、スキャナ12からイメージング信号を受信するためのソフトウェアも含む。ワークステーション18のイメージングソフトウェアは一般に、インタフェースコンポーネント22からの信号を制御および受信する汎用またはアプリケーション専用のコンピュータ20(一般にはモニタ24と入力装置26とを含むことになる)で実現されることになる。ワークステーション18で動作可能なイメージングソフトウェアは、スキャナをロードおよび初期化し、マイクロアレイ上でイメージングスキャンを実施し、データを保存するための直感的に理解できるインタフェースを提供するものであると好ましい。走査プロセスのあいだ、システム10は、マイクロアレイの画像化に用いられる放射線の波長ごとに個々のファイルを生成する(本願明細書では、赤と緑のチャネルと呼ぶ場合がある)。これらのファイルは、統合ファイルで提供されるものであってもよい。データおよび関連の画像については、従来のTIFFフォーマットまたは他の任意の好適な画像データフォーマットまたはプロトコルなどの都合のよいフォーマットで保存してもよい。図1では参照符号28で全体を示すネットワークを介するなどして、さらに高次のデータ解析用に下流側の処理・アプリケーション専用ソフトウェアといった他のネットワークコンポーネントとワークステーション18を接続してもよい。
【0027】
上述したように、マイクロアレイ14は、たとえば図2に概略的に示されるように、基板の一部または領域に配置される複数の対象部位を含むことになる。図2に示されるように、マイクロアレイ14は、ガラス、プラスチック、半導体あるいは、本願明細書の他の部分で説明するものなどの好都合な他の任意の支持体であってもよい支持体または基板30を含むことができる。この支持体30上に、個別対象部位が形成されることになる1つまたは複数の試料エリア32が設けられ、各々一般に、試料の試験に用いられるそれぞれのプローブ分子と一緒に提供される。本発明では、試料エリア32は、図2において参照符号34で全体を示す放射線ラインごとの画像化目的で走査される。放射線ラインは、図2において矢印36で全体を示すように、複数の対象部位を同時に照射する目的でライン34に沿って共焦点的に導かれる励起放射線で形成される。これによって、標的分子(遺伝的断片など)が結合することになる個別対象部位が、標的と対象部位との相互作用を示す染料の存在がゆえに蛍光を発光し、図2においてライン38で示すような放射線を返す。後述するように、こうして戻ってくる放射線すなわちレトロビームは、イメージング検出器に向かって共焦点的に導かれることになり、そこで以後の処理および解析用にラインから画像が作られる。対象部位を連続的に画像化できるようにするために、マイクロアレイ全体を参照符号40で全体を示すようにゆっくりと移動させてもよい。この場合、ライン34(これに沿って対象部位が照射される)は通常、マイクロアレイが変位するにつれてマイクロアレイ上の順に並んだ平行の場所に沿って進むことになる。
【0028】
このような共焦点ライン走査によるマイクロアレイの画像化部分の一例を図3に示す。繰り返すが、参照符号14はマイクロアレイを示し、一方、参照符号32は個別対象部位42がある試料エリアのうちの1つを示す。図示の実施形態では、対象部位はほぼ六角形のパターンで設けられている。ライン34ごとの走査は、対象部位42の順に並んだライン44を横切って進行する。詳細については後述するように、本件の共焦点ライン走査法はマイクロアレイ(micorarray)上の異なるレイアウトまたは格子パターンの対象部位で用いることができるが、共焦点ライン走査の場合には六角形のパターンを用いると対象部位間または対象部位のエッジ間の空間とその配置によるクロストークの可能性を低減できるため、特に有用である。図3において全体を参照符号46で示す六角形のまとまりを用いると、対象部位の集結密度が高いこととのバランスで、上記のようなクロストークが低減されることから最適な精度になると考えられる。
【0029】
後述するように、また、図3にも示すように、マイクロアレイ14が参照符号40で示されるように前進するにつれて、ラインに沿って位置する複数の対象部位が共焦点の放射線ライン34によって照射される。このラインは、図3の高さよりも水平方向の寸法に広くなっている。よって、このラインが、隣接するラインの対象部位を照射せずに、対象部位の行内または列内にある隣接する対象部位を照射することがある。しかしながら、本実施形態では、放射線ライン34は、図3に示す配置で対象部位のレベルで十分に細い、すなわち、対象部位が占めるエリア全体よりも狭い範囲を照射できるだけの十分な垂直方向の高さがある。現段階で想定されている実施形態では、放射線ライン34は、たとえば、長さ(水平の寸法方向)2mmで高さ(垂直の寸法方向)3mm未満である。よって、上述した画像化用のソフトウェアでは、試料の移動に伴って後述する検出器からの読み出しがシフトして各列または各行における個別対象部位が一層正確に表示される時間遅延イメージングなどの技法を用いることができる。
【0030】
説明の目的で、放射線ラインを横切ってマイクロアレイを移動させる形で本発明のいくつかの態様を例示してあるが、マイクロアレイだけでなく、あるいはマイクロアレイの代わりに放射線ラインを移動させる実施形態も利用できることは理解できよう。このように、放射線ラインおよび/またはマイクロアレイを互いに相対的にずらしてライン走査を行うことが可能である。放射線ラインによって励起される試料の一部によって、検出器アレイ上で矩形画像を形成することが可能である(後述)。
【0031】
図4は、マイクロアレイ14を画像化するための本件の共焦点ライン走査法を示す別の図である。上述したように、マイクロアレイは、支持体30が参照符号40で示されるようにゆっくりと移動するにつれてライン34に沿って照射される。図4に示されるように、ライン34は、線源48からの放射線によって形成され、導光用オプティクス50に導かれ、そこから合焦用オプティクス52に導かれる。詳しくは後述するように、放射線源48は、断面が線状の光線であるか、使用する特定の染料に応じて試料からの対応した、異なる波長で蛍光を発生させるのに用いられる複数波長の光を含む放射線ラインになる。この場合、合焦用オプティクス52は、ライン34に沿って上述したように対象部位を照射するために放射線ラインを基板30に向けて共焦点的に導く。対象部位は、基板30の表面にあってもよく、または、表面よりもわずかに下(保護フィルムまたは層の下など)にあってもよい点に留意されたい。ライン34に沿った共焦点照射では、放射線はマイクロアレイにおいてどのようなレベルで見いだされるにしても基本的に対象部位自体に焦点を結ぶことになる。
【0032】
本実施形態では、励起経路54は、個々のマイクロアレイ対象部位でプローブに結合された分子に関連した染料の蛍光によって試料から戻ってくる放射線のためのレトロビーム経路56と同一平面上にある。戻ってくる放射線も、マイクロアレイの画像ならびにマイクロアレイ上の個別対象部位の画像を再構成するのに用いられるイメージング信号を生成するための検出器60に当たるように合焦用オプティクス58によって合焦される。放射線光線を生成し、この光線をマイクロアレイに導光し、戻ってきた放射線を検出するための特定の実施形態の詳細については後述する。
【0033】
図5に概略的に示すように、本発明により対象部位を同時に画像化するのに用いられる放射線ラインは、連続したラインであっても不連続なラインであってもよい点に留意されたい。図5には、共焦点的に導光される複数の光の光線からなる不連続なライン(それにもかかわらず、これはライン34に沿って複数の点を照射する)を模式的に示してある。図5の実施形態では、別個であるが隣接した放射線源48から不連続な光線62が生成される。これらの光線は、上記のごとく、マイクロアレイに向かって共焦点的に導光され、ライン34でマイクロアレイに沿って隣接したスポット64を照射する。上述した連続共焦点ライン走査の場合と同様に、マイクロアレイは一般に、矢印40で示されるようにゆっくりと前進し、マイクロアレイに沿って順に並んだラインを照射することで対象部位の順に並んだ列または行を照射することになる。
【0034】
一般に、本発明は、ラインを同時に励起して検出する目的で用いられる。いくつかの実施形態では、対物レンズを介して励起光線を走査することで光学系が試料を横切って励起点またはスポットを指向するような方法で、ライン共焦点走査を用いることが可能である。検出システムは、レトロビームを「逆走査」せずに検出器で被励起点からの放出を画像化する。これが起こるのは、レトロビームは対物レンズに集光され、スキャン手段を介して戻る前に励起光線の光路を分割するためである。したがって、レトロビームは、対物レンズにおける最初の励起スポットの画角に応じて検出器上の異なる点に現れることになる。試料を横切る形で励起点が走査されるため、検出器における励起点の画像は、ライン形状で現れることになる。このアーキテクチャは、たとえば、スキャン手段が何らかの理由で試料からのレトロビームを受けることができないような場合に有用である。一例として、光線を極めて高速に走査することはできるがスキャンの生成に回折を利用するホログラフィや音響光学のスキャン手段があげられる。この場合、スキャン特性は波長の関数になる。蛍光のレトロビームは励起光線とは波長が異なる。
【0035】
図6および図7は、現段階で想定されている実施形態によるマイクロアレイの共焦点ライン走査用入力レーザ光線の線形化の一例について示している。図6が入射光線の変換または線形化についての立面図とみなすことのできるものを表すのに対し、図7は、上平面図を示すとみなすことができるが、これらの位置関係は、当然のことながら、後述するように走査対象となるラインとマイクロアレイの位置関係に応じて入れ換え可能なものである。図6に示されるように、レーザ(図示せず)からの入射光線66は一般に、円形のガウスビーム66の形を取ることになる。パウエルレンズなどの非球面レンズ68によって入射光線を放射線のライン70に変換し、これを対物レンズ72に導光する。図7の上面図に示されるように、非球面レンズ68は、ほぼ平らな放射線ラインを効果的に生成し、このラインが対物レンズ72によって共焦点的に集光される光線74に変換される。
【0036】
図8に示されるように、図6および図7に示される配置を用いると、マイクロアレイ上の数多くの対象部位を同時照射するのに利用可能な放射線の線状の領域が生成される。図8は、図6および図7を参照して説明したような非球面レンズによって生成された放射線ラインに沿ってシミュレートした照明のグラフ表示である。光線の相対照度を縦軸76に示し、画像の座標をミリメートル単位で横軸78に示す。図示の実施形態では、照度は参照符号80で示されるように非球面レンズのエッジ付近で急速に上昇し、参照符号82で示されるように反対側のエッジ付近で急激に降下する。これらのエッジの間で、放射線の有用なセグメント84の相対照度レベルが実質的に一定である。本実施形態では、放射線ラインの有効幅86を用いてマイクロアレイ上の対象部位の行または列を同時に照射する。図8に示されるシミュレーションでは、たとえば、有効走査長86が約1.024ミリメートルであるが、関与するオプティクスなどの数多くの要因に応じて他の有用な放射線ライン長にしてもよい。
【0037】
当業者には明らかであろうように、複数の波長で画像化を行う場合、本手法による共焦点ライン走査蛍光イメージングシステムでは、試料対象部位を照射することで多数の蛍光染料を励起させるために、長さ方向に一様な分布と幅方向に回折限界多波長ラインが得られる。図6、図7および図8に示されるライン生成器を用いる方法では、多波長光を照射するこのような線形化用のメカニズムの一例が得られる。放射線ラインで多波長を提供することに関する詳細については後述する。効果的に、図6、図7および図8に示される配置では、平行入射光線をひとつの寸法方向に広げ(fan)、垂直の寸法方向に平行化された光線を維持する。この光線を、レンズ焦点面上の回折限界ラインに対物レンズ72で収束させる。
【0038】
非球面レンズの凹形曲線に基づくと、一様な分布のラインを生成するには規定の光線径の純粋な平行入射ガウス光線が好ましい。ほぼ純粋なガウス分布を持つ光線を得るための現段階で想定されている手法に、単一モードファイバまたはファイバケーブルを用いて非球面レンズに入力を与える方法がある。
【0039】
このような単一モードファイバまたはファイバケーブルの使用についていくつかの配置を予測することができる。図9に、線状の放射線源88が、単一モードファイバピグテイル92に連結され、さらにはこれを介してライン生成器モジュール94にも連結されたレーザ90を含む第1の例示的な実施形態を示す。非球面レンズの下流にある対物レンズについては、図9では図示を省略してある。生成されたラインのプロファイルは入射光線のプロファイルに影響されやすいだけでなく、入射光線の直径、コリメーションの特徴、非球面レンズに対する光線のセンタリングにも影響されやすい。すなわち、非球面レンズは規定の入射光線径に合わせて設計すればよく、アセンブリ、特にライン生成器モジュール94のコンポーネントについては、設計性能が得られるよう整列配置させておく。
【0040】
図示の実施形態では、ライン生成器94は、スキャナでのその品質制御とパッケージングの両方を容易にするためにモジュール化されたアセンブリで事前に整列配置されたいくつかの光学部品を含む。特に、ライン生成器モジュール(modular)94は、単一モードファイバ92からの入射光線を平行化して、この平行光線を非球面レンズ100まで導光するコリメータ96を含むものであってもよい。また、特に蛍光イメージングの用途では、レーザラインフィルタ98を用いてバックグラウンドノイズを減らすようにしてもよい。図9の図は、単一モードファイバ92を両側すなわち、レーザ90とライン生成器モジュール94で事前に組み立てて終端させることができる。
【0041】
あるいは、線状の放射線源88は、図10に概略的に示される一対のファイバピグテイルのスプライスを提供することができる。図10の実施形態では、ファイバピグテイル92をあらかじめレーザ90に連結しておき、第2のファイバピグテイル102をあらかじめライン生成器モジュール94に連結しておく。これら2本のファイバ同士を、参照符号104で全体を示す中間点で接続するかスプライスすればよい。
【0042】
図11に示されるさらに他の構成では、また単一のファイバピグテイル102を利用し、これをライン生成器モジュール94と一緒にあらかじめ組み立ててもよい。しかしながら、この実施形態では、参照符号106で示されるように、アクティブカップリングによってレーザ90がファイバピグテイル92への入力を与える。
【0043】
図12に概略的に示されるさらに別の構成では、ファイバピグテイル102をレーザ90と一緒にあらかじめ組み立ててもよい。上述したようなライン生成器モジュール94でコリメータを用いる場合とは異なり、可変ビームエキスパンダ108を利用して、上述したような非球面レンズを含む改変したモジュール110への入力を与えるようにしてもよい。図12の実施形態では、可変ビームエキスパンダ108を用いていることが理由で入射光線径と所望の直径とを一致させなければならない場合がある。
【0044】
一例としてのライン生成器モジュール94を図13に概略的に示す。上述したように、また、図13の物理的な実現例で示すように、モジュール94は、全体を参照符号112で示す入射光線を単一モードファイバ92経由で受けることができる。このモジュールから、出力放射線ライン114が放出される。図示の実施形態では、光ファイバコネクタ116が、単一モードファイバ92をモジュール94の入力側に接続する働きをする。光線は、ここからコリメータ96と、レーザラインフィルタ98(用いられる場合)と、非球面レンズ100とを介して伝搬する。繰り返すが、レーザの出力を放射線ラインに変換するための光学部品をモジュール化しておくと、システム全体の組み立て、オプティクスの整列配置、さらには必要な場合に光学部品の将来的な修理や交換が容易になるため望ましい。
【0045】
上述したように、想定される特定の実施形態では、放射線源がレーザである。他の有用な放射線源として、たとえば、アーク灯、石英ハロゲンランプおよび発光ダイオードなどのランプがあげられる。必要に応じて、特定波長での試料の励起に多岐にわたる他の放射線源を利用することが可能である。特定の用途で必要であれば、放射線源は、たとえば、UV、VISまたはIR範囲の波長をはじめとする、さまざまな波長の放射線を生成可能である。たとえば、本発明の装置には、405nm、488nm、532nmまたは633nmの光を生成するレーザを含むことが可能である。
【0046】
さらに、後述するように、このシステムには、2つ以上の放射線源を含むことも可能である。多数の放射線源が、各々異なる波長の放射線を生成できるレーザであってもよい。たとえば、異なる波長で励起されると異なる放出信号を生成する1つまたは複数のフルオロフォアが試料に含まれる用途などでは、異なる波長の放射線を生成する多数の放射線源を用いると有用な場合がある。こうした異なる放出信号を、たとえば詳細については後述する多数の検出アームを用いて同時に収集することが可能である。これの代わりに、あるいはこれに加えて、異なる波長での連続励起後に異なる放出信号を連続的に収集することも可能である。
【0047】
上述したように、本発明の特定の実施形態はさらに、放射線源からの励起放射線を受け、かつ、放射線の拡大光線をライン生成器に送るよう位置決めされたエキスパンダを含み得る。特定の実施形態では、放射線源で生成される励起光線の直径が約1mmの径である。第1のエキスパンダは、光線の直径を拡大することができる。たとえば、一実施形態によれば、エキスパンダは励起光線を直径4mmに拡大する。他の有用なビームエキスパンダは、放射光線の直径を、少なくとも約0.5mm、1mm、2mm、5mm、10mm、15mm、20mmまたはこれよりも大きくすることができる。
【0048】
同じく上述したように、本発明において有用なライン生成器には、強度分布が一様な回折限界ラインを生成するよう構成された回折素子を含み得る。たとえば、円柱形マイクロレンズアレイと集光装置とを利用することができる。円柱形マイクロレンズアレイは、励起放射線を集光装置の前側の焦点面に合焦して強度分布が一様な回折限界ラインを生成するよう構成可能なものである。ライン生成器の別の例に、角度の均一さ(angular uniformity)と集光装置を有する一次元の拡散板がある。この場合、一次元の拡散板を集光装置の前側の焦点面に設置して、強度分布が一様な回折限界ラインを生成する。必要であれば、ライン生成器に非球面の屈折レンズをさらに含むようにして、強度分布が一様な回折限界ラインを生成することも可能である。非球面の屈折レンズの一例にパウエルレンズがある。
【0049】
特定の実施形態では、直径4mmの入力励起光線を受けて、ファン角が6度になるようにライン生成器を構成することが可能である。他の有用な構成として、直径が約0.1から50mm以下の入力励起光線を受けるものがあげられるが、これに限定されるものではない。ライン生成器は、少なくとも約0.1°から約80°以下、全幅のファン角を得ることが可能である。光線径およびファン角については、放射線ラインに合った所望の形状を達成するよう選択可能である。通常、放射線ラインの幅が光線径に左右され、光線径が大きくなればなるほど放射線ラインの垂直の寸法方向が長くなるのに対し、放射線ラインの長さはファン角に左右され、ファン角が大きくなればなるほど放射線ラインの水平の寸法方向が長くなる。一般に、ラインは対物レンズの瞳で出射されるように見えるべきであるが、これは必須要件ではない。
【0050】
上述したように、ラインを生成できる多岐にわたる光学素子のいずれも、放射線源と照射対象となる試料領域との間の光路内に設置可能である。たとえば、アーク灯の焦点をスリットに合わせれば、コリメータ(collimated)を利用してラインを生成することが可能である。別の例に、焦点が結ばれるとラインを生成するアナモルフィックビームを有する端面放射型発光ダイオードレーザがある。試料領域を照射するのに用いられる放射線源自体がラインを生成できる場合もあることは理解できよう。よって、本発明において有用な放射線源には、ライン生成器を含むことが可能である。
【0051】
上述したものを含むがこれに限定されるものではない、多岐にわたる方法および装置のいずれも、放射線ラインを試料領域に導く目的で利用可能である。放射線ラインの寸法については、矩形の検出器アレイの単軸で共焦点性が得られるよう選択可能である。具体的には、放射線ラインの垂直の寸法方向を、矩形の検出器アレイの垂直の寸法方向で共焦点性が得られるよう十分に短くしておくことができる。
【0052】
本発明のライン生成器は一般に、試料領域で矩形または楕円形の形状を有する放射線ラインを生成するよう構成される。一例としての形状には、矩形、楕円形(elliptical)または卵形の形状があるが、これに限定されるものではない。ライン生成器については、後述する特性を1つまたは複数有する放射線ラインを生成するよう構成することが可能である。
【0053】
試料領域に接する放射線ラインは、放射線ラインの垂直の寸法方向と、矩形の検出器アレイの垂直の寸法方向をひとつの寸法方向での共焦点性につながるイメージングオプティクスの倍率で割った商との1/e2幅の比を持つことが可能である。たとえば、この比は、少なくとも約0.5、1、1.5、2、3またはこれよりも大きな値を取り得る。本発明の装置は、この比の上限が最大で約2、1.5、1、0.5またはそれ未満になるよう構成可能なものである。この比は、たとえば、0.5から3の範囲など、必要に応じて上記の範囲外であってもよいし範囲内であってもよい。
【0054】
試料領域に接する放射線ラインは、放射線ラインの垂直の寸法方向と、矩形の検出器アレイの垂直の寸法方向をひとつの寸法方向での共焦点性につながるイメージングオプティクスの倍率で割った商との比を持つことが可能である。たとえば、この比は、少なくとも約0.1、0.5、1、5、10またはこれよりも大きな値を取り得る。この比の上限については、最大で約10、5、1、0.5、0.1またはそれ未満にすることが可能である。この比は、たとえば、0.1から10の範囲など、必要に応じて上記の範囲外であってもよいし範囲内であってもよい。
【0055】
さらに、放射線ラインの垂直の寸法方向とイメージングオプティクスのレイリー分解能との比を、少なくとも約0.1、0.5、1、5、10またはこれよりも大きな値にすることができる。この比の上限については、最大で約10、5、1、0.5、0.1またはそれ未満にすることが可能である。この比は、たとえば、0.1から10の範囲など、必要に応じて上記の範囲外であってもよいし範囲内であってもよい。
【0056】
本願明細書では、試料領域と放射線ラインとを接触させる実施形態に関して本発明を例示しているが、試料領域に接触する放射線が、たとえば、正方形または円形などの他の形状を持ち得ることは理解できよう。
【0057】
後述するように、本発明の装置には、放射線を受けて試料領域を照明するよう位置決めされた対物レンズを含むことができる。対物レンズはさらに、試料領域から発生している放射線を集め、これを検出器アレイまで導くよう位置決め可能である。任意に、この装置は、ライン生成器から励起放射線を受け、かつ、放射線の拡大光線を対物レンズに送るよう位置決めされた第2のエキスパンダを含み得る。第2のエキスパンダはさらに、放射線ラインの画角を小さくするよう構成可能なものである。たとえば、励起光線がライン生成器および/または第2のエキスパンダを通過後、これをビームスプリッタで対物レンズに導くことができる。特定の実施形態では、対物レンズには、放射線ラインを受けて試料領域を照明するよう位置決めされた外部瞳がある。好ましくは、ビームスプリッタを、対物レンズの入射瞳付近に配置できる。また、ビームスプリッタを、対物レンズに対して軸方向または横方向の位置に配置することができる。必要があれば、対物レンズは、色補正、高開口数、テレセントリシティ、バックプレーンでの無限焦点性といった特性またはこれらの特性の組み合わせを持つものであってもよい。
【0058】
ビームスプリッタは、放射線ラインを対物レンズに導く。対物レンズは、顕微鏡の対物レンズであってもよい。この対物レンズは焦点距離が20mmであってもよい。よって、対物レンズは開口数が0.366であってもよい。さらに、対物レンズは画角が+/−3度で、直径16mmの入射瞳を持つものであってもよい。好ましくは、対物レンズはテレセントリックである。本発明において有用なテレセントリック対物レンズの一例として、米国特許第5,847,400号明細書(本願明細書に参照により援用する)に記載されているものがあげられる。
【0059】
図14は、多波長スキャナ118における上述したさまざまな構成要素の全体としての光学レイアウトを示している。スキャナ118には、複数のレーザ光源を含むことができ、このうち2つの光源を図14の実施形態に示してある。これらは、第1のレーザ120と、第2のレーザ122とを含む。第1のレーザ120は、現段階で想定されている実施形態において、所望の用途に応じて658nmのレーザ、750nmのレーザまたは635nmのレーザであってもよい。第2のレーザ122は、たとえば、488nmのレーザ、594nmのレーザまたは532nmのレーザであってもよい。当然ながら、他の波長のレーザも利用できる。本実施形態では、第2のレーザ122が488nmのレーザであれば第1のレーザ120は635nmのレーザであり、第2のレーザ122が594nmのレーザであれば第1のレーザ120は750nmのレーザであり、第2のレーザ122が532nmのレーザであれば第1のレーザ120は658nmのレーザである。各レーザの波長をどの波長にするかは、当然ながら、マイクロアレイに用いられる染料の蛍光特性によって決まってくることになるが、特定のイメージング配列に合わせて用いられるレーザの波長は、マイクロアレイのさまざまな対象部位で染料を区別できるようにするために互いに異なるものとなっている。
【0060】
各レーザ120および122はそれぞれ、上述したように単一モードファイバ124および126に連結されている。さらに、各ファイバ124および126は、上述したタイプのライン生成器モジュール94にフィードする。各モジュール94の下流には、フィルタホイール128および130を備えてもよい。フィルタホイールは、所望の機能に応じて、光を遮断、通過または減衰させる働きをする。
【0061】
レーザ120および122各々からの出力は、それぞれの単一モードファイバ124および126によってほぼ純粋なガウス分布に変換されることになり、得られる光線は、ライン生成器モジュール94で放射線ラインとも呼ばれる断面が線状の光線に変換されることになる。フィルタホイール128および130の下流では、光線合成器132によって2本の放射線ラインが合成されることになる。よって、合成放射線ライン134は、マイクロアレイを照射するための2種類の異なる波長の光を含むことになる。合成放射線ライン134は、ダイクロイックビームスプリッタ136に導かれ、このビームスプリッタが光線を合焦用オプティクス138まで導く。合焦用オプティクス138は、上述したようにマイクロアレイ14までラインに沿って共焦点的に導いて放射線ラインを集光させる顕微鏡の対物レンズからなる。本願明細書では、1本の放射線ラインを形成する合成放射線ラインに関して本発明を例示しているが、2本のラインがほぼ共線的になるように2本の放射線ラインを合成してもよいことは理解できよう。よって、合成放射線ラインで照射されるマイクロアレイの一部は、ほぼ共線的な放射線のラインで照射されることになる。チャネル間のクロストークを最小限に抑えるために、これら2本のラインは一般に各ラインの幅に等しい距離だけ離れている。
【0062】
図14に模式的に示されるように、イメージング前とイメージング中にマイクロアレイを適切に移動させ、適切な合焦を可能にするステージ上に、マイクロアレイ14を支持してもよい。このステージを、試料を移動させることで、スキャン軸(垂直)の寸法方向における矩形画像と矩形の検出器アレイの相対位置を変化させるように構成可能である。並進ステージの移動は、たとえば、放射線ラインの伝搬方向に直角で、一般にx寸法方向とy寸法方向として示される寸法方向のうちの一方または両方を含む、1つまたは複数の寸法方向にすることが可能である。特定の実施形態では、並進ステージを、検出器アレイのスキャン軸に垂直な方向に移動するよう構成することが可能である。本発明において有用なステージはさらに、一般にZ寸法方向として示される放射線ラインが伝搬する寸法方向への移動用に構成することも可能なものである。Z寸法方向への移動は、装置に焦点を合わせる上で有用なものとなり得る。図14の構成では、ステージコンポーネントは、一般に放射線ラインの焦点合わせに用いられる傾斜アクチュエータ140と、マイクロアレイを走査用の位置に配置して、走査と走査との間でマイクロアレイを大きく動かすためのY方向アクチュエータ・イジェクトコンポーネント142と、走査中にマイクロアレイを細かく動かすためのX方向アクチュエータ144と、を含む。
【0063】
マイクロアレイ14上の対象部位は、励起光線の波長に対応する波長で蛍光発光して、イメージング用の放射線を返すことができる。当業者には明らかであろうように、試料の染料が励起される波長と、これが蛍光発光する波長は、具体的な染料の吸収スペクトルおよび発光スペクトルに左右されることになる。このような戻された放射線は、図14において全体をレトロビーム146として示すようなビームスプリッタ136を介して伝搬することになる。このレトロビームは通常、イメージング目的で1つまたは複数の検出器に向かって導かれることになる。図示の実施形態では、たとえば、光線はミラー148に向かって導かれ、そこから第2のダイクロイックビームスプリッタ150に導かれる。参照符号154で示す光線の一部は、マイクロアレイにおける対象部位の蛍光染料のうちの1つに対応する所望の出力波長が得られるように光線をフィルタするミラー152によってバンドパスフィルタホイール158に導かれる。特定の実施形態では、光線のうち異なるミラーに導かれる部分が、2本のほぼ共線的なラインを形成する合成光線のそれぞれのラインになり得る。続いて、プロジェクションレンズ160が、フィルタ後の光線を電荷結合素子(CCD)センサ164に導き、このセンサが受けた光線における放射線の場所に対応する出力信号を生成する。同様に、ビームスプリッタ150からの光線の第2の部分156は、異なるバンドパスフィルタホイール158およびプロジェクションレンズ160を介してもうひとつのミラーに導かれる。第2の光線156は、電動であってもよい任意の色収差補償装置162を介して導かれてもよい。色収差補償装置162は、両方の波長チャネルを同時合焦(co−focus)する機能を果たす。最後に、フィルタホイール158およびレンズ160によってフィルタされ、合焦された光線156は、第2のCCDセンサ166に導かれる。センサ154および166からの信号の受信と処理については、制御盤168によって行ってもよい。
【0064】
本発明の矩形の検出器アレイは、本願明細書にて上述したような仮想スリットを形成するよう構成可能なものである。特定の実施形態では、仮想スリットのサイズおよび寸法を、矩形の検出器アレイの垂直の寸法方向とイメージングオプティクスのレイリー分解能にイメージングオプティクスの倍率を掛けた積との比から求めることができる。たとえば、矩形の検出器アレイの垂直の寸法方向とイメージングオプティクスのレイリー分解能にイメージングオプティクスの倍率を掛けた積との比を、0.1から10の範囲または0.5から3の範囲にすることができる。本発明の装置は、たとえば0.2から10マイクロメートルのレイリー分解能を含む、所望のまたは最適なレイリー分解能で試料の画像が得られるよう構成可能なものである。
【0065】
特定の実施形態では、矩形の検出器アレイの第1の寸法方向における検出素子数とスキャン軸の寸法方向における検出素子数とのアスペクト比を、2、10、20、50、100、1000よりも大きい、あるいはこれよりもさらに大きい値とすることができる。たとえば、ラインスキャンCCDカメラを、第1の寸法方向で四千(4,000)ピクセル、スキャン軸(垂直)の寸法方向にnピクセルを撮像するように構成することが可能である。CCDラインスキャンカメラは、ラインの長さに沿った分解能がシステム分解能と一致するように設計可能なものである。この場合、水平軸は、2mmの放射線ラインの長さに沿って約4,000個のCCD素子を含み、物体で0.5μmのピクセル分解能となる。垂直軸とも呼ばれる、水平軸に垂直な方向でのCCD素子数「n」は、バックグラウンド放射線が集められる量を減らしつつ放出される放射線を実質的にすべて集めるよう選択可能なものである。本発明の一実施形態によれば、CCDは各々が12μmサイズのピクセルを4096個有する。このサイズのCCDで2mmのラインを画像化するには、倍率を25倍にする必要がある。このため、nを6から8ピクセルの範囲にすることが可能である。設計アーキテクチャによって、励起放射線の主に100%がシステムの分解能に匹敵するスポット内に含まれるように励起誤差を共焦点軸に制限する。この場合、スポットサイズはおよそ1.0μmとなろう。
【0066】
以上、CCDラインスキャンカメラに関して装置の一例について説明してきたが、TDI動作用に構成された検出器アレイ、CMOS検出器、APD検出器、ガイガーモードのフォトンカウンターまたは本願明細書の他の部分に記載の他の検出器を含むがこれに限定されるものではない、多岐にわたる他の検出器を利用できることは理解できよう。
【0067】
概して、図14に示されるさまざまなコンポーネントの動作は、システムコントローラ170で調整できるものである。実際の用途では、システムコントローラは、レーザの動作、対物レンズ138およびマイクロアレイ支持体の移動および焦点合わせ、センサ164および166からの信号の取得と処理を制御するよう設計されたハードウェアと、ファームウェアと、ソフトウェアとを含むことになる。よって、システムコントローラは、処理済みのデータを格納し、マイクロアレイ上で蛍光発光する照射された対象部位の再構成画像を生成するためにそのデータをさらに処理することができる。
【0068】
図15は、全体を参照符号172で示す多波長スキャナの別の配置を示している。この別の配置では、別のレーザからの光線を合成し、合成光線の断面を非球面レンズで直線形状に変換する。よって、図14を参照して簡単に説明した上述の実施形態と同様に、入力レーザ120および122によって、マイクロアレイ14上のさまざまな対象部位で用いられる染料に対応する光の波長を得る。しかしながら、実施形態172では、第1のレーザ120がその光線を単一モードファイバ124に出力し、続いてコリメータ174がこの出力を平行化する。この平行出力をフィルタホイール130に導光すればよく、得られる光線176はミラー152によって図12を参照して上述したようなタイプの可変ビームエキスパンダ180に導光される。
【0069】
同様に、第2のレーザ122からの出力は、第2のフィルタホイール130を介して導光され、得られる光線178は、ミラー152を介するなどして第2の可変ビームエキスパンダ182に導光される。続いて、可変ビームエキスパンダからの出力が、光線合成器132によって合成される。合成光線182は、マイクロアレイの放射線に合った所望の波長の光を含むことになり、非球面レンズ100によってラインに変換される。上記同様、所望の波長の光を含む合成放射線ライン134が生成され、ビームスプリッタ136によってマイクロアレイ14に導かれることになる。システムの残りのコンポーネントは、基本的には図14を参照して上述したものと同一であってもよい。
【0070】
図16は、現段階で想定されている実施形態の態様による多波長スキャナのいくぶん詳細にした光学機械図を提供するものである。スキャナ184は、それ自体が多数のレーザである第1のレーザアセンブリ186を含むものであってもよい。図示の実施形態では、たとえば、レーザアセンブリ186は、488nmのレーザであってもよい第1のレーザ188と、658nmのレーザであってもよい第2のレーザ190とを含む。このシステムはさらに、たとえば、594nmのレーザ194と750nmのレーザ196とを含み得る第2のレーザアセンブリ192を含むものであってもよい。当業者には明らかであろうように、多数のレーザアセンブリ190および192を含むようにすることで、デコード機能、解析機能といった異なるタイプの走査動作を1台のスキャナで行えるようになる場合がある。たとえば、特定タイプのデコード動作用にレーザ188と190とを互いに連動させて併用してもよく、他のタイプのデコード用にレーザ194と196とを互いに連動させて併用してもよい。これらのアセンブリは、他の形で用いることのできる他のレーザを含むものであってもよく、特定の解析動作用などに635nmのレーザと532nmのレーザを利用しているアセンブリなどの他のアセンブリを設けるようにしてもよい。
【0071】
レーザアセンブリ190および192は、上述したように、レーザの出力をほぼ純粋なガウス分布に変換する単一モードファイバ122および124に連結されている。ファイバ122および124によって伝達される光は、ライン生成器モジュール94に入力され、放射線ラインが生成される。続いて、放射線の光線は、励起フィルタ128に導光され、合成器132によって合成されて合成放射線ライン134となる。フィルタホイール130は、必要に応じて光線を遮断、通過または減衰させるなどの目的で、この合成放射線ラインをフィルタすることができる。
【0072】
上述した実施形態の場合と同様に、フィルタ後の合成放射線ラインをビームスプリッタ136に導き、そこから対物レンズ138に導く。図16に示される実施形態では、対物レンズは、音声コイルなどの1つまたは複数のアクチュエータ、リニアモータステージ、圧電モータステージまたは圧電屈曲ステージを含み得る自動焦点システム198に設けられている。センサ200は、距離またはマイクロアレイ14でのシステムの合焦を検知し、マイクロアレイ14に沿って適切な深度で共焦点的に導かれる放射線ラインの動的焦点用のフィードバックを供給するよう機能する。
【0073】
また、図16は、マイクロアレイ14を走査前と走査中に移動させるための現段階で想定されている配置に関していくぶん詳細に提供するものである。たとえば、試料ハンドリングトレー202が、このトレーをイメージング位置の内外に動かすためのモータ204と一緒に設けられている。アダプター板206を設けたことで、ドッキングステーション208でマイクロアレイを位置決めすることができる。ドッキングステーションでは、アクチュエータ210によってマイクロアレイが適切に位置決めされる。ステップモータ214で制御される粗ステージ212によって、マイクロアレイに向かって共焦点的に導かれる合成放射線ラインに対するマイクロアレイの位置を粗制御することができる。粗ステージ212は、たとえば、画像化対象となる対象部位が表面に位置するマイクロアレイの一部を適宜位置決めするのに利用できるものである。リニアモータ218とリニアエンコーダ220とを含むものであってもよい精密ステージ216が、走査前と走査中にマイクロアレイを細かく位置決めして移動させる機能を果たす。
【0074】
上記同様に、マイクロアレイ上の個別対象部位の蛍光に起因する放射線は、ビームスプリッタ136を介して、バンドパスフィルタ158、プロジェクションレンズ160経由で最終的にはCCDセンサ164および166までレトロビームを導くのに用いられるミラーまたは他の光学デバイスに戻される。
【0075】
上述した配置を用いると、対象部位を同時に励起させる放射線ラインを使ってマイクロアレイ上の多数の対象部位を極めて高速かつ正確にイメージングすることができる。本発明の共焦点ライン走査法は、上述した線状の走査との組み合わせで、個別対象部位からの戻ってくる放射線間のクロストークの可能性を低減するなどの目的でマイクロアレイ上の対象部位が互いに離れている用途において特に有用であることが見いだされている。図17は、本発明の共焦点ライン走査法の態様を活用するために、六角形の格子アレイ状にされた対象部位の現段階で想定されている配置を示している。
【0076】
図17に示されるように、アレイセクション222は、所定のパターンで設けられた複数の対象部位42を含むことになる。現段階で想定されている実施形態は、図示のような六角形の集結パターンを提供するものである。このパターンは、図17において参照符号224および226で示す対象部位の隣接する列または行と呼べるものを含む。当業者には明らかであろうように、ラインの位置関係は通常、上述した共焦点的に導かれる放射線ラインによる走査方向に鑑みて考えることができる。対象部位のライン224および226に平行なラインに沿って放射線が導かれると、対象部位のラインの一部が、放射線で照明され、蛍光発光エリアが明るくなるレトロビームを返す。対象部位からなる各列または行の隣接する対象部位228および230は互いに離れることになり、これらの対象部位はいずれも、隣接する列または行226の対象部位232などの隣接する最も近い対象部位から離れることになる。各ラインの対象部位の中心を基準にするなどして、対象部位の順に並んだまたは隣接するライン間の距離を参照符号234で大まかに示すことができる。しかしながら、図17の六角形の集結パターンでは、同じライン内の隣接する対象部位の中心間の距離が、対象部位の隣接するライン間の距離よりも長いことに留意されたい。さらに、図17の位置関係では、同じライン内の隣接する対象部位の中心間の距離が、隣接するライン内の対象部位間の最短距離236よりも長い。特に、図17に示されるタイプの六角形の集結パターンでは、距離234は距離236の約0.866倍(60度のコサイン)となる。
【0077】
さらに、対象部位228、230および232にエッジ238があるとみなすと、これらのエッジは、対象部位を直線的なパターンに配置する場合よりも長い距離をあけて互いに離れることになる。すなわち、走査の軸に沿った対象部位228および232のエッジ238間の距離を投影(projection)したものを参照符号240で示すことができる。しかしながら、エッジ間の実際の距離は、参照符号242で示すように、これよりも長くなる。繰り返すが、図17に示される六角形のパターンでは、距離242は距離240よりも約15%長くなる。
【0078】
当業者には明らかであろうように、マイクロアレイ上での対象部位の密度が高くなり、結果として対象部位間の距離が短くなるにつれて、イメージング目的で、照射用の光ビームを対象部位に慎重に合焦し、レトロビームの焦点を適切に合わせる機能に対する需要が高まっていく。本手法は、対象部位のラインを共焦点的に照射する機能が得られる、優れた結果を提供するものであり、この場合、共焦点性は、放射線ラインの幅に平行で放射線ラインの長さ方向には沿っていない軸に存在する。しかしながら、高強度の対象部位から生成される画像が隣接した対象部位の非共焦点軸に波及するため、対象部位間のクロストークを、対象部位同士を区別することの相対的な不能とみなすことができる。これは、たとえば高強度の対象部位が極めて低強度の対象部位のすぐ隣に位置する場合に問題となり得る。共焦点ライン走査と非直線的にまとめられた対象部位との組み合わせ、特に六角形にまとめられた対象部位との組み合わせにすることで、画像化される対象部位間のクロストークやぼやけが低減されるため、照射・画像化される対象部位同士をかなりよく区別できるものと考えられる。
【0079】
対象部位の六角形の配置と上述した放射線ラインの位置関係との組み合わせは、第1のスキャン位置で放射線ラインによって同時に照射されるすぐ隣の対象部位間の距離が、走査用の放射線ラインによって異なる時点で照射されるすぐ隣の対象部位間の距離よりも長い本発明の実施形態の一例である。対象部位のまとまりとラインの位置関係との他の組み合わせを利用しても同様の利点を実現し得ることは、理解できよう。たとえば、直線的な格子状の円形の対象部位は六角形の格子ほど密に(closely)まとめられてはいないが、クロストークが所望の度合いで低減されるよう放射線ラインの位置関係とそのスキャン方向を選択することが可能である。具体的には、放射線ラインは、直線的な格子における対象部位の行列に対して対角をなす位置関係にすることが可能であり、この格子を横切る形で対角方向に放射線ラインを走査して、放射線ラインが直線的な格子における対象部位の行列に対して直角の位置関係にあって直角方向に走査される場合よりも対象部位間のクロストークを低減することが可能である。利点のひとつに、放射線ラインに平行な共焦点軸で隣接する対象部位間の空間が最大になるようにラインが向いていることがある。
【0080】
上述したまとまり配置は、照射対象となる対象部位の幅よりも実質的に狭い放射線ラインと併用すると特に有用である。特定の実施形態では、放射線ラインの幅(すなわちラインの短いほうの寸法方向)は、照射対象となる対象部位の幅の最大で75%、66%、50%、30%、25%または10%になる。通常、たとえば、鏡映対称または回転対称の対象部位などの形状が規則的な対象部位が好ましい。しかしながら、特定の用途で必要があれば不規則な形状の対象部位を利用することもできる。対象部位の形状が規則的であるか不規則であるかを問わず、対象部位の幅は一般に、最も広い寸法方向で測定されることになる。たとえば、この幅は断面が円形の対象部位の直径として測定される。
【0081】
図18〜図23に示されるように、数多くのアーキテクチャを用いて強度分布が一様な回折限界ラインを生成することが可能である。図18に示される、このような実施形態のうちの1つでは、円柱マイクロレンズアレイ246と集光装置248とを用いてライン生成器244を形成することができる。円柱マイクロレンズアレイ246は、第2の寸法方向を影響のないまま残して、一寸法方向で励起光線250を集光装置248の前側の焦点面に合焦するのに用いられる。集光装置248の後ろ側の焦点面に強度分布が一様な回折限界ライン252が生成されることになる。ラインの均一性は、集光装置248の入射瞳を覆う円柱マイクロレンズ246の数に関係している。円柱マイクロレンズアレイ246の数が多くなればなるほど、ラインの強度分布は一様になっていく。
【0082】
もうひとつの実施形態によれば、また、図19に示されるように、一次元の拡散板254と集光装置248とを用いてライン生成器244を形成することができる。角度一様性を有する一次元の拡散板254を集光装置248の前側の焦点面に配置する。拡散板254は入力平行光線250を一寸法方向に広げ、もうひとつの寸法方向を影響のないまま残す。集光装置248の後ろ側の焦点面に強度分布が一様な回折限界ライン252が生成されることになる。拡散板254は角度一様性があるため、生成されるラインも一様になる。
【0083】
本発明のさらにもうひとつの実施形態では、対物レンズ256を集光装置248として利用する。好ましくは、対物レンズ256は、外部瞳のサイズが15.75mmのテレセントリックレンズである。好ましくは、このサイズは、平行入力励起光線250の直径と一致するように構成されている。また、レンズの入力画角は+/−3度であり、これは視野2mmに相当する。
【0084】
図20は、上述した対物レンズ256と併用された一次元の拡散板254を示している。図20に示されるように、一次元の拡散板254が対物レンズ256の瞳絞りに配置されている。対物レンズ256は、一寸法方向で平行入射光線250を特定範囲内の異なる角度に拡散し、もうひとつの寸法方向を影響のないまま残す。拡散板254には角度一様性がある、すなわち、異なる角度に拡散される光線の強度が同じである。レンズ256は、それぞれの特定の角度の光線をライン上のある点に合焦する。ラインの均一性は、拡散板254の角感度によって決まる。加えて、放射線ライン268の長さは拡散板254のファン角によって決まる。ファン角が大きくなればなるほど、生成される放射線ライン268が長くなっていく。拡散板254のファン角が+/−3°の場合、生成されるラインの長さは2mmになる。放射線ライン268の長さを2mmよりも長くすることは可能であるが、ラインの長さ2mmで所望の均一性が得られる。
【0085】
もうひとつの実施形態によれば、図21は、上述した対物レンズ256と併用された円柱マイクロレンズアレイ246を示す。各円柱マイクロレンズ246は、平行入射光線250の一部をサンプリングし、これを一寸法方向での対物レンズ256の瞳絞りに合焦させ、第2の寸法方向を影響のないまま残す。円柱マイクロレンズアレイ246は、一寸法方向で光線250を特定範囲内の異なる角度に広げる。ファン角は、円柱マイクロレンズ246のF値によって決まる。対物レンズ256は、それぞれの角度の光線250をライン上のある点に合焦する。合焦されるライン内の各点は、すべての円柱マイクロレンズ246からの影響を受けるため、ラインの均一性は対物レンズ256の入射瞳をカバーする円柱マイクロレンズ246の数に関係している。たとえば、本発明の一実施形態によれば、均一なライン励起268を生成する目的で、瞳絞りをカバーするのに158個のマイクロレンズが用いられる。
【0086】
図22および図23は、蛍光イメージング用に構成された中継用望遠鏡の別の実施形態を示している。中継用望遠鏡258は、一次元の拡散板254(図22参照)または円柱マイクロレンズアレイ246(図23参照)とダイクロイックビームスプリッタ260との間に位置決めされている。ダイクロイックビームスプリッタ260は、蛍光イメージング経路(レトロビーム)262を励起経路250から分離するよう構成されている。
【0087】
本発明において用いられるCCDカメラまたは他の検出器アレイは、ビニング用に構成可能なものである。ビニングを用いると、アレイ内の多数のピクセルからの電荷をひとつのピクセルにまとめることで、検出器アレイの感度が上がる。使用可能なビニングのタイプの例として、水平ビニング、垂直ビニングまたはフルビニングがある。水平ビニングでは、検出器アレイの各ラインの隣接するピクセルの対をまとめる。垂直ビニングでは、アレイの2本のラインから隣接するピクセルの対をまとめる。フルビニングは、水平ビニングと垂直ビニングとの組み合わせであり、隣接する4つのピクセルがまとめられる。
【0088】
本発明のビニングは、大きなセンサ素子セットを用いて実施可能である。図24(a)に示されるように、垂直軸のすべての画素素子が共通のビンに集められ、単一の値として読み出されるように、ラインスキャンCCDカメラとこれに対応する制御電子回路とを構成することが可能である。よって、隣接する対または隣接するグループのアレイ素子にビニングを制限する必要はない。このため、CCDカメラのピクセルなどの3つ以上のセンサ素子のセットに隣接しないセンサ素子が含まれていても、このセットをビニングすることが可能である。隣接しないセンサ素子は、たとえば、3つのセンサ素子を、第1の素子と第3の素子が間に介在する第2のセンサ素子によって互いに分離されているような線状の配置のときに発生する。
【0089】
図24(b)に示されるように、ビニングでは、単一の積分時間経過後に列に含まれるすべてのピクセルを一度にシフトさせる。この方法を本発明の装置で用いる場合の利点のひとつに、通常のTDIデザインと比較して、読み出し速度がジッタの影響を受けにくいことがある。さらに、この装置は共焦点性をひとつの軸に持つことになるため、Yステージの移動に伴う読み出しの同期タイミングの許容誤差が低減される。図24(b)は、ラインスキャンCCDカメラに投影された1μmのレーザスポットを示している。この投影像はX軸とY軸の両方に対称である。垂直軸のCCDピクセルの数を6個に制限すると、その軸に仮想スリットが形成される。TDIカメラでも同じ効果を実現でき、主な要件は、バックグラウンドノイズを拒絶しながら垂直軸のピクセル数を信号の通過に合わせて最適化することである。これを実現するには、垂直ピクセル数を限定すると同時に、レーザスポットのサイズをシステムの分解能に合うように設定する。
【0090】
本発明の別の実施形態では、仮想スリットが依然として生成されるような要領で垂直ピクセル数を制限するTDIデザインを利用する。図24(c)に示されるように、TDIでは、yステージのエンコーダ出力と同期してピクセルがシフトする。また、n=1のシステムデザインよりも優れている利点として、システムの集光効率が増し、小さな光学アライメントのドリフトに対する感度が小さくなることがあげられる。本発明で使用できる一例としてのTDIデザインおよび方法が、米国特許第5,754,291号明細書(本願明細書に参照により援用する)に記載されている。
【0091】
本発明のもうひとつの実施形態によれば、本走査システムアーキテクチャは、ラインスキャンイメージングセンサを利用して平行マルチスペクトル蛍光イメージングを用いるよう構成される。図25に示されるように、全スペクトル領域で蛍光分子を励起させるのに放射線ライン134が用いられ、ライン蛍光画像262を多数のラインスキャンイメージングセンサ266に分散させるのに色分散素子264が用いられる。このシステムは、側面からの照明または共焦点的な照明を用いて実現可能なものである。本発明のこの実施形態によれば、マルチバンドフィルタセット268を用いて多数の蛍光分子を励起および検出する。図26に示されるように、複数のセンサ266の各々を狭帯域スペクトル領域にマッピングする。センサ266は、リニアラインスキャンCCDまたはTDIラインスキャンCCDなどのイメージングセンサであってもよい。本願明細書では、センサを検出器とも呼ぶ。
【0092】
図27に示されるように、本発明のさらにもうひとつの実施形態によれば、マルチライン照明法を用いるよう走査システムアーキテクチャを構成することができる。このシステムは、側面からの照明または共焦点的な照明を用いて実現可能なものである。ここで、各ライン268は、たとえば、異なる蛍光分子を励起するなど、異なる波長で試料領域を励起する。こうして得られるマルチライン蛍光画像を、多数のラインスキャンイメージングセンサ266を用いて検出器266で集める。各センサ266は、対応した蛍光画像を生成する。スペクトル領域の異なる蛍光はすでに空間的に分離されているため、色分散素子264は不要である。マルチノッチフィルタ270を用いて、残りのレイリー散乱放射線およびラマン散乱放射線を効果的に遮断する。
【0093】
さらに、図27のシステムで色分散素子を使用する場合、スペクトル分解能のさらに高い画像を集めることが可能である。図28に示されるように、図中の各センサ群266は、単一の統合画像を生成するためのTDIモードでも動作可能である。これによって、階層的なスペクトル分解能の画像が得られる。
【0094】
この走査システムアーキテクチャは、異なるスペクトル領域で多数の染料の蛍光を同時に励起するよう設計可能なものである。一例としてのアーキテクチャに、図25のシステムに用いられている複数の色に対してライン1本あるいは、図27のシステムに用いられている複数の色に対して間隔をあけた複数のラインのものがある。放射線源は、マルチバンド励起フィルタ付きの白色光ランプであってもよいし、多数のレーザの組み合わせであってもよい。たとえば、多数のレーザの組み合わせを放射線源として用いるのであれば、図25のシステムにおけるマルチバンドフィルタセット268の励起フィルタは必要ない。また、照明は、図24に示すような共線的な照明(集光時に照明が同一の対物レンズ138を共有)であってもよく、または、図28に示すようなスライド照明(暗視野)であってもよい。共線的な照明にはマルチバンドダイクロイックビームスプリッタ136(図25に示される)を利用し、側面からの照明の実施形態ではこれを省略することができる。同じく図25に示されるように、多バンドフィルタセット82のマルチバンドエミッションフィルタ272を利用して、蛍光バンドだけを通過させて励起放射線を選択的に遮断することができる。多数のレーザを含む照明の場合、マルチノッチフィルタ270も蛍光バンドだけを通過させて励起放射線を選択的に遮断するのに利用できる。これによって、なお一層効率的な蛍光検出が行われる。
【0095】
本発明の特定の実施形態によれば、エミッションフィルタ272を画像センサ266と一体化することが可能である。一例としての位置関係を図29に示す。遮断性のマルチバンド照明および多数のレーザ照明の同図とは異なる位置関係を、それぞれ図30(a)および図30(b)に示す。
【0096】
本発明の装置または方法は、試料の二次元エリアの画像を得るのに特に有用である。よって、必要があれば、試料の3つの寸法方向のうちの2つで画像を得ることに検出を実質的に制限することが可能である。こうして、興味の対象である試料表面の画像を検出または画像化することができる。特に関係のある試料のひとつがマイクロアレイである。本発明を用いると、マイクロアレイの表面を検出または画像化し、マイクロアレイの1つまたは複数の特性を判断することができる。検出可能なマイクロアレイの一例としての特性に、標識の有無、特定のプローブが存在する場所などの特定の場所での標識の局在、あるいは特定波長または波長範囲での放射線の放出などの標識の特別な特徴があるが、これに限定されるものではない。
【0097】
このようなマイクロアレイの特性の検出は、マイクロアレイと接触する試料中における特定の標的分子の有無を判断するのに利用できる。これは、たとえば、マイクロアレイの特定のプローブへの標識された標的検体の結合に基づいて、あるいは、プローブ位置で標識を取り込み、除去または変化させる特定のプローブの標的依存性修飾によって判断可能である。マイクロアレイを用いる標的の同定またはキャラクタライズには、たとえば、米国特許出願公開第2003/0108867号明細書、同第2003/0108900号明細書、同第2003/0170684号明細書、同第2003/0207295号明細書または同第2005/0181394号明細書(いずれも本願明細書に参照により援用する)に記載されているようないくつかのアッセイのうちのどれを利用してもよい。
【0098】
たとえばマイクロアレイ上に存在する場合に本発明によって検出可能な一例としての標識としては、発色団;発光団;フルオロフォア;光学的にコードされるナノ粒子;回折格子でコードされる粒子;Ru(bpy)268+などの電気化学発光標識;または光学的な特徴に基づいて検出可能な部分があげられるが、これに限定されるものではない。本発明において有用なフルオロフォアとしては、たとえば、蛍光ランタニド錯体(ユーロピウムおよびテルビウムのものを含む)、フルオレセイン、ローダミン、テトラメチルローダミン、エオシン、エリトロシン、クマリン、メチル−クマリン、ピレン、マラカイトグリーン、Cy3、Cy5、スチルベン、ルシファーイエロー、カスケードブルー(商標)、テキサスレッド、アレクサ(alexa)染料、フィコエリシン、ボディピー(bodipy)、さらには、ホグランド(Haugland)、Molecular Probes Handbook,(オレゴン州ユージーン)第6版;シンセゲン(Synthegen)カタログ(テキサス州ヒューストン)、ラコウィッツ(Lakowicz)、Principles of Fluorescence Spectroscopy,第2版、プレナム・プレス・ニューヨーク(Plenum Press New York)(1999年)または国際公開第98/59066号パンフレット(各々本願明細書に参照により援用する)記載されているものなどの当該技術分野において周知の他のフルオロフォアがある。
【0099】
たとえば、本願明細書の他の部分に記載したものをはじめとして、当該技術分野において周知の多岐にわたるマイクロアレイのいずれも本発明における試料として利用可能である。典型的なマイクロアレイは、フィーチャとも呼ばれることがある対象部位を含み、その各々がプローブの集団を有する。各対象部位におけるプローブの集団は一般に、単一種のプローブを有する同種のものであるが、いくつかの実施形態では、この集団が各々異種のものであってもよい。アレイの対象部位またはフィーチャは一般に離散的であり、互いに間隔をあけて分離されている。プローブ対象部位のサイズおよび/または対象部位間の間隔については、アレイを、高密度、中密度または低めの密度にできるような方法で変更可能である。高密度アレイとは、対象部位が約15μm未満の間隔で離れていることを特徴とするものである。中密度アレイでは対象部位が約15から30μmの間隔で離れており、低密度アレイでは対象部位が30μmよりも広い間隔で離れている。本発明において有用なアレイは、100μm、50μm、10μm、5μm、1μmまたは0.5μm未満の間隔で離れた対象部位を有するものであってもよい。本発明の装置または方法を利用すれば、上述した密度または密度範囲で対象部位を区別できるだけの十分な分解能でアレイを画像化することが可能である。
【0100】
以上、マイクロアレイを試料として用いる場合について本発明について例示してきたが、上述した密度でフィーチャまたは対象部位を有する他の試料を上述した分解能で画像化することも可能であることは理解できよう。一例としての他の試料としては、細胞または組織などの生物学的試験片、コンピュータプロセッサに用いられているものなどの電子チップなどがあげられるが、これに限定されるものではない。マイクロアレイまたは他の試料を本発明の装置の試料領域に設置するには、本願明細書の他の場所で説明したような試料ステージにこれを配置すればよい。
【0101】
本発明の装置にはさらに、矩形の検出器アレイに作動的に結合されているか、あるいは矩形の検出器アレイからデータを得るように構成されたプロセッサを含むことが可能である。この場合、プロセッサは、画像に対して複数の機能を実行するよう構成される。プロセッサは、プログラムされたものであるか、そうでなければ、イメージングデータの解析に関与する1つまたは複数のプログラムモジュールにアクセスできる、従来のまたは汎用のコンピュータシステムを含み得る。本発明において有用な一例としてのコンピュータシステムには、インテル(Intel)(登録商標)製、IBM(登録商標)製またはモトローラ(Motorola)(登録商標)製のマイクロプロセッサを搭載したものなどのパーソナルコンピュータシステム、あるいは、スパーク(SPARC)(登録商標)ワークステーションまたはユニックス(UNIX)(登録商標)ワークステーションなどのワークステーションがあるが、これに限定されるものではない。有用なシステムとしては、マイクロソフト(Microsoft)(登録商標)ウィンドウズ(Windows)(登録商標)、ユニックス(UNIX)(登録商標)またはリナックス(LINUX)(登録商標)オペレーティングシステムを用いたものがあげられる。また、本願明細書に記載のシステムおよび方法を、クライアントサーバーシステムまたはインターネットなどの広域ネットワーク上で動作するよう実装することも可能である。
【0102】
このプロセッサを、クライアントまたはサーバーのいずれかとして動作するよう構成されたコンピュータシステムに含むことが可能である。プロセッサは、1つまたは複数のプログラムモジュールに含まれる指示を実行することができる。試料または試料領域の画像あるいは、試料または試料領域の解析結果などの1つまたは複数のプログラムモジュールからの結果を、グラフィカルユーザインタフェース経由でユーザに伝えることができる。たとえば、プロセッサに作動的に結合されたモニタまたは印刷装置を介して結果を伝えることが可能である。このように、アレイまたは他の試料の画像をグラフィカルユーザインタフェース経由でユーザに提供することができる。
【0103】
本発明の特定の態様によれば、いくつかの利点が実現される。本発明のシステムは、他の技術よりも高速に試料を走査し、コストを下げてデータ品質を改善する。具体的には、本発明の読み出し速度は従来のTDIシステムと比較してn倍に増加する。共焦点性については1つまたは複数の軸で実現可能である。加えて、本発明は、光学的アライメントのドリフトに対する感度が低くなる。
【0104】
さらに、本発明は、マルチバンドフィルタを用いた多数の蛍光分子の同時励起/検出の利点と、同じ試料についての多数のラインスキャンイメージングセンサによる並列読み出しの利点を組み合わせる。本発明は、マルチスペクトル蛍光画像を高速に同時生成することができる。特定の実施形態では、本発明の方法の装置によって、少なくとも約0.01mm2/秒の速度で試料を走査することができる。本発明の特定の用途次第では、たとえば、走査される面積に関して、少なくとも約0.02mm2/秒、0.05mm2/秒、0.1mm2/秒、1mm2/秒、1.5mm2/秒、5mm2/秒、10mm2/秒、50mm2/秒または100mm2/秒またはさらに高速な速度をはじめとして、さらに高速の走査速度を利用できる。必要があれば、たとえば、ノイズを減らすために、走査速度の上限を約0.05mm2/秒、0.1mm2/秒、1mm2/秒、1.5mm2/秒、5mm2/秒、10mm2/秒、50mm2/秒または100mm2/秒とすることができる。また、走査速度については、画像と検出器とのスキャン軸(垂直)寸法方向への相対移動率に関して測定することも可能であり、これは、たとえば、少なくとも約0.1mm/秒、0.5mm/秒、1mm/秒、10mm/秒、または100mm/秒であってもよい。繰り返すが、ノイズを減らすために、走査速度の上限を約0.5mm/秒、1mm/秒、10mm/秒または100mm/秒とすることができる。要するに、本発明を利用して、マルチスペクトル蛍光撮像装置を構成することが可能であり、これは他のイメージングシステムよりも効率的かつコスト効率の高いものである。
【0105】
以下、本願明細書で使用する用語について説明するが、これらの用語は後述の意味を持つことを意図している。
【0106】
本願明細書において使用する場合、「放射線源」という用語は、伝搬される電磁エネルギの起源または生成器を意味することを意図している。この用語には、紫外線(UV)範囲(約200から390nm)、可視光(VIS)範囲(約390から770nm)または赤外線(IR)範囲(約0.77から25ミクロン)あるいは他の範囲の電磁スペクトルで電磁放射を生成する照明源を含むことができる。放射線源には、たとえば、アーク灯または石英ハロゲンランプなどのランプ、あるいは、固体レーザまたはガスレーザなどのレーザあるいは、LED/単一モードファイバシステムなどのLEDを含むことができる。
【0107】
本願明細書において使用する場合、「励起放射線」という用語は、試料または試料領域に向かって伝搬される電磁エネルギを意味することを意図している。励起放射線は、エネルギの吸収、反射、蛍光放出または発光を含むがこれに限定されるものではない、試料からの多岐にわたる応答のうちのいずれかを誘導する形を取り得る。
【0108】
本願明細書において使用する場合、「試料領域」という用語は、検出対象となる場所を意味することを意図している。この場所としては、たとえば、検出対象となる物体を支持または含有するよう構成された支持体装置内、装置上、装置付近が考えられる。試料は、試料領域から試料が除去可能な方法で試料領域を一時的に占めるものであってもよく、または、永久的に占めるものであってもよい。たとえば、試料領域には、並進ステージ上または並進ステージ付近の場所が可能であるが、この場所はマイクロアレイが並進ステージ上に配置されるとこのアレイによって占有される。
【0109】
本願明細書において使用する場合、「検出器アレイ」という用語は、接触されたフォトンのエネルギを電気応答に変換するいくつかの素子を有するデバイスまたは装置を意味することを意図している。一例としての検出器アレイに、電荷結合素子(CCD)がある。この場合、素子は、衝突するフォトンに応答して電荷を蓄積する感光性電荷収集対象部位である。検出器アレイの別の例として、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)検出器アレイ、アバランシェフォトダイオード(APD)検出器アレイまたはガイガーモードのフォトンカウンター検出器アレイがあげられるが、これに限定されるものではない。検出器アレイの素子は、多岐にわたる配置のいずれをとるものであってもよい。たとえば、矩形の検出器アレイは、直交する形で二次元配置された素子を有し、「水平の」寸法方向と呼ばれる第1の寸法方向のほうが、「垂直の」寸法方向と呼ばれる第2の寸法方向よりも長い。正方形の検出器アレイは、直交する形で二次元配置された素子を有し、この配置の第1の寸法方向と第2の寸法方向とが同一の長さである。
【0110】
本願明細書において使用する場合、「矩形画像」という用語は、水平の寸法方向が垂直の寸法方向よりも長い直交する二次元の領域内に発生する試料または試料の一部についての光学的に形成される表示を意味することを意図している。矩形画像は、試料領域から発生している画像全体を表すものであってもよく、あるいは、さらに大きな画像の矩形の一部であってもよく、この場合のさらに大きな画像は多岐にわたる形状のうちのどのような形状のものであってもよい。
【0111】
本願明細書において使用する場合、「走査デバイス」という用語は、試料の異なる部分を次々と検出できるデバイスを意味することを意図している。走査デバイスは、たとえば、試料、放射線源、励起放射線を試料に導く光学デバイス、試料から発生している放射線を導く光学デバイスまたは検出器アレイを含む、検出装置の1つまたは複数のコンポーネントの位置を変化させることで、動作可能である。一例としての走査デバイスには、試料を横切って放射線の光線またはラインを移動させるよう構成された検流計あるいは、放射線のラインまたは光線を横切って試料を移動させるよう構成された並進ステージがあるが、これに限定されるものではない。
【0112】
本願明細書において使用する場合、「レイリー分解能」という用語は、以下の式におけるRRである。
RR=((1.22)(λ)(f))/D
式中、λは波長、fは焦点距離、Dは検出対象となる2つの物体間の距離である。この用語は、たとえば、ヘクト(Hecht)、オプティクス(Optics)、第4版、アディソン・ウィズレー(Addison Wesley)、ボストン、マサチューセッツ州(2001年)(本願明細書に参照により援用する)に記載されているようなオプティクスの当該技術分野における使用法と一致することを意図している。
【0113】
本願明細書において使用する場合、「倍率」という用語は、物体のサイズとその物体の画像のサイズとの比を意味することを意図している。たとえば、試料領域(すなわち物体)のサイズと検出器アレイでの試料領域の画像のサイズとの比から倍率を求めることができる。対物レンズおよびプロジェクションレンズを含むシステムでは、対物レンズの焦点距離とプロジェクションレンズの後側焦点距離との比から倍率を求めることができる。
【0114】
本願明細書において使用する場合、「放射線ライン」という用語は、一定方向で伝搬される電磁波または粒子の集合を意味することを意図しており、伝搬方向に直交する二次元の断面は矩形または楕円形である。放射線ラインの一例としての二次元断面には、矩形、楕円形(elliptical)または長円形状があるが、これに限定されるものではない。放射線ラインの断面幅については、一方または両方の寸法方向を、たとえば、約0.05μmから約10μmの範囲とすることができる。たとえば、放射線ラインの寸法方向を、少なくとも約0.05μm、0.1μm、0.5μm、1μm、5μmまたは10μmにすることができる。さらに、放射線ラインの寸法方向を、たとえば、最大で約0.1μm、0.5μm、1μm、5μmまたは10μmにすることができる。これらの寸法方向は単に一例であり、必要があれば他の寸法方向を有する放射線ラインを用いてもよいことは理解できよう。
【0115】
本願明細書において使用する場合、「ライン生成器」という用語は、ラインの水平軸に沿って実質的に一様な強度分布で、伝搬の光軸に垂直な平面で回折限界またはほぼ回折限界の放射線ラインを生成するよう構成される光学素子を意味することを意図している。一例としてのライン生成器には、角度一様性のある一次元拡散板、円柱マイクロレンズアレイ、回折素子またはパウエルレンズなどの非球面屈折レンズがあるが、これに限定されるものではない。角度一様性のある一次元拡散板または円柱マイクロレンズアレイは、放射線を集光装置に導くよう配置してもよい。
【0116】
本願明細書において使用する場合、「ビームスプリッタ」という用語は、放射光線の第1の部分を通過させ、その光線の第2の部分を反射する光学素子を意味することを意図している。たとえば、ビームスプリッタを、第1の波長範囲の放射線を選択的に通過させ、第2の異なる放射線範囲の放射線を反射するよう構成することができる。蛍光検出に利用する場合、ビームスプリッタは一般に、波長の短い励起放射線を反射し、波長が長めの放出放射線を透過する。
【0117】
本願明細書において使用する場合、「外部瞳」という用語は、対物レンズに関して用いられ、対物レンズの背面開口への入射瞳は、励起光線の経路における対物レンズの物理的な寸法方向よりも後ろである。
【0118】
本願明細書において使用する場合、「エキスパンダ」という用語は、放射光線の直径およびコリメーションを調節するよう構成された1つまたは複数の光学素子を意味することを意図している。たとえば、エキスパンダを、少なくとも2倍、5倍、10倍またはこれよりも多くなど、所望の量だけ放射光線の直径を大きくするよう構成することができる。エキスパンダの光学素子には、たとえば、1つまたは複数のミラーまたはレンズを含むことができる。
【0119】
本願明細書において使用する場合、「プロジェクションレンズ」という用語は、物体の画像を検出器に転送するよう構成された光学素子を意味することを意図している。たとえば、対物レンズから発生している画像を検出器アレイに転送するようにレンズを配置することが可能である。
【0120】
本願明細書において使用する場合、「光学フィルタ」という用語は、波長依存的、偏光依存的または周波数依存的な方法で、放射線の経路を選択的に通過または排除するデバイスを意味することを意図している。この用語には、さまざまな層からの反射間の建設的干渉または相殺的干渉に応じて多数の誘電体層が放射線を通過または反射させる干渉フィルタを含むことができる。干渉フィルタは、当該技術分野においてはダイクロイックフィルタまたは誘電体フィルタとも呼ばれる。この用語には、吸収による選択的波長または波長範囲を有する放射線の通路を妨害する吸収フィルタを含むことができる。吸収フィルタとしては、たとえば、着色ガラスまたは液体があげられる。
【0121】
本発明において用いられるフィルタは、たとえば、バンドパス、ショートパスおよびロングパスをはじめとする、1つまたは複数の特定のフィルタ透過特性を持つことがある。バンドパスフィルタは、放射線最大透過率(Tmax)の中心波長と帯域幅によって定義される波長範囲の放射線を選択的に通過させ、この範囲から外れる放射線の通路を遮断する。Tmaxは、中心波長で透過される放射線の割合を定義するものである。帯域幅は一般に、Tmaxの半分の透過値でフィルタを通過する波長の範囲である半値全幅(FWHM)として表される。本発明において有用なバンドパスフィルタは、FWHMが10ナノメートル(nm)、20nm、30nm、40nmまたは50nmであってもよい。ロングパスフィルタは、Tmaxとカットオン波長とで定義されるような高めの波長の放射線を選択的に通過させる。カットオン波長とは、放射線の透過量がTmaxの半分になる波長のことである。波長がカットオン波長よりも増すにつれて透過率が高くなり、波長がカットオン波長よりも小さくなるにつれて透過率が下がる。ショートパスフィルタは、Tmaxとカットオフ波長とで定義されるような低めの波長の放射線を選択的に通過させる。カットオフ波長とは、放射線の透過量がTmaxの半分になる波長のことである。波長がカットオフ波長よりも増すにつれて透過率が低くなり、波長がカットオフ波長よりも小さくなるにつれて透過率が上がる。本発明のフィルタは、Tmaxが50〜100%、60〜90%または70〜80%であってもよい。
【0122】
本願明細書において使用する場合、「マイクロアレイ」という用語は、異なるプローブ分子を相対位置に応じて互いに区別できるような方法で、1つまたは複数の基板に結合した、異なるプローブ分子の集合を示す。アレイには、基板上のアドレス指定可能な異なる場所に位置する、異なるプローブ分子またはプローブ分子の集合を含み得る。あるいは、マイクロアレイには、基板が結合される表面上の基板の場所に応じて、あるいは、液体中での基板の場所に応じて同定可能な異なるプローブ分子またはプローブ分子の集合を各々が持つ別個の基板を含み得る。表面上に別個の基板があるアレイの例としては、特に限定することなく、イルミナ・インコーポレイテッド(Illumina(登録商標),Inc.)(カリフォルニア州サンディエゴ)から入手可能なセントリックス(Sentrix)(登録商標)アレイまたはセントリックス(Sentrix)(登録商標)ビーズチップアレイあるいは、米国特許第6,266,459号明細書、同第6,355,431号明細書、同第6,770,441号明細書、同第6,859,570号明細書、PCT出願国際公開第00/63437号パンフレット(各々本願明細書に参照により援用する)に記載されているものなどのウェル内のビーズをはじめとする他のアレイがあげられる。表面上に粒子のある他のアレイとして、米国特許出願公開第2005/0227252号明細書、国際公開第05/033681号パンフレットおよび同第04/024328号パンフレットに記載されているものがあげられる。
【0123】
本発明で利用できる商業入手可能なマイクロアレイのさらに別の例としては、たとえば、アフィメトリックス(登録商標)社のジーンチップ(GeneChip)(登録商標)マイクロアレイあるいは、たとえば米国特許第5,324,633号明細書、同第5,744,305号明細書、同第5,451,683号明細書、同第5,482,867号明細書、同第5,491,074号明細書、同第5,624,711号明細書、同第5,795,716号明細書、同第5,831,070号明細書、同第5,856,101号明細書、同第5,858,659号明細書、同第5,874,219号明細書、同第5,968,740号明細書、同第5,974,164号明細書、同第5,981,185号明細書、同第5,981,956号明細書、同第6,025,601号明細書、同第6,033,860号明細書、同第6,090,555号明細書、同第6,136,269号明細書、同第6,022,963号明細書、同第6,083,697号明細書、同第6,291,183号明細書、同第6,309,831号明細書、同第6,416,949号明細書、同第6,428,752号明細書および同第6,482,591号明細書(各々、本願明細書に参照により援用する)に記載されているようなVLSIPS(商標)(超大規模固定化ポリマー合成)技術と呼ばれることもある技法に基づいて合成される他のマイクロアレイがあげられる。スポット法で作製されたマイクロアレイも本発明の方法に利用することが可能である。スポット法で作製されたマイクロアレイの一例として、アマシャム・バイオサイエンシーズ(Amersham Biosciences)から入手可能なコードリンク(CodeLink)(商標)アレイがある。本発明において有用なもうひとつのマイクロアレイに、アジレント・テクノロジーズ(Agilent Technologies)から入手可能なシュアプリント(SurePrint)(商標)技術などのインクジェット印刷法を用いて製造されるものがある。本発明において利用可能な他のマイクロアレイとしては、特に限定することなく、ビュット(Butte)、ネイチャー・レビューズ・ドラッグ・ディスカバリー(Nature Reviews Drug Discov.)1:951〜60(2002年)または米国特許第5,429,807号明細書、同第5,436,327号明細書、同第5,561,071号明細書、同第5,583,211号明細書、同第5,658,734号明細書、同第5,837,858号明細書、同第5,919,523号明細書、同第6,287,768号明細書、同第6,287,776号明細書、同第6,288,220号明細書、同第6,297,006号明細書、同第6,291,193号明細書、同第6,514,751号明細書、および国際公開第93/17126号パンフレット、同第95/35505号パンフレット(各々本願明細書に参照により援用する)に記載されているものがあげられる。
【0124】
本願明細書において使用する場合、「時間遅延積分」または「TDI」という用語は、検出器アレイの素子からなる、異なるサブセットによる、試料の異なる部分の順次検出を意味することを意図しており、素子のサブセット間での電荷移動が、画像化対象となる試料の視運動と同期した速度かつ同一方向に行われる。たとえば、TDIを実施するには、試料の仮現運動と一致しておりこれと同期した多量の線状アレイを用いて、フレーム転送装置によって試料の連続したビデオ画像が生成されるような方法で試料を走査すればよい。この方法では、画像があるラインから次のラインに移動すると、蓄えられた電荷もそれに伴って移動する。電荷の蓄積については、電荷の列が検出器の一端からシリアルレジスタ(またはフレーム転送CCDの場合はデバイスの保存エリア)に移動するのに必要な時間全体にわたって統合(integrate)可能である。
【0125】
本願明細書において使用する場合、「集光アーム」という用語は、試料領域からの放射線を検出器に導くような位置にある光学部品または一組の光学部品を意味することを意図している。
【0126】
本願明細書では、本発明の特定の特徴についてのみ図示し説明してきたが、当業者であれば多くの改変および変更を施すことになろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の範囲内に包含されるこうした改変および変更をすべて包含することを想定したものである旨を理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】本手法の態様による、マイクロアレイを共焦点ライン走査するためのマイクロアレイ走査システムの概略図である。
【図2】画像化対象となる対象部位が位置するマイクロアレイの領域に向かって放射線ラインが導かれる様子を例示的に示す、マイクロアレイの一部の斜視図である。
【図3】本手法により、マイクロアレイ上の対象部位を画像化するための共焦点放射線ラインで照明されるマイクロアレイの一部についての一層詳細な図である。
【図4】本手法の態様による、アレイ上の対象部位を共焦点的に照射し、検出器に対して放射線を共焦点的に返す目的でマイクロアレイ表面に向かって導かれる合成放射線ラインの斜視図である。
【図5】本手法によってマイクロアレイの対象部位を同様に照射するためにラインに沿って共焦点的に導かれる放射線の一連の光線を示す同様の斜視図である。
【図6】レーザの出力をマイクロアレイの共焦点ライン走査用の放射線ラインに変換するための手法を示す側面図である。
【図7】レーザ出力を本件の共焦点ライン走査手法に用いられる放射線ラインに変換することについての同様の上面図である。
【図8】図6および図7に示す配置で生成される放射線ラインの強度特性についてのグラフ表示である。
【図9】レーザ出力を本発明による共焦点ライン走査用の放射線ラインに変換するのに用いられるモジュール状配置の第1の一例としての構成を示す図である。
【図10】レーザ出力を本発明による放射線ラインに変換するための別の配置である。
【図11】レーザ出力を本発明による放射線ラインに変換するためのさらに別の配置である。
【図12】レーザ出力を変換して放射線を整列配置させるためのさらにもうひとつの構成である。
【図13】本発明で使用するのに適した一例としてのライン生成器モジュールの断面図である。
【図14】出力がマイクロアレイの共焦点ライン走査用に合成される2本のレーザ光線を含む走査システムの概略図である。
【図15】マイクロアレイの多波長共焦点ライン走査用の別の配置の概略図である。
【図16】マイクロアレイの多波長共焦点ライン走査用の現段階で想定されている実現例の光学機械図である。
【図17】特に、イメージングで用いられる放射線ラインに対してマイクロアレイ(micorarray)上の特定タイプの対象部位のレイアウトで潜在的なクロストークを低減することで本発明の共焦点ライン走査が精度をいかに改善するかを示す、生物学的マイクロアレイ上の一連の個別対象部位の概略図である。
【図18】本発明で使用するのに適している場合がある一例としての放射線ライン生成器の概略図である。
【図19】本発明で使用するのに適している場合がある一例としての放射線ライン生成器の概略図である。
【図20】本発明で使用するのに適している場合がある一例としての放射線ライン生成器の概略図である。
【図21】本発明で使用するのに適している場合がある一例としての放射線ライン生成器の概略図である。
【図22】本発明で使用するのに適している蛍光イメージングシステムにおけるライン生成器の概略図である。
【図23】本発明で使用するのに適している蛍光イメージングシステムにおけるライン生成器の概略図である。
【図24a】本発明の特定の態様による、ラインスキャンカメラに投影されたレーザスポットならびに、ビニングおよびTDIの実現例を示す図である。
【図24b】本発明の特定の態様による、ラインスキャンカメラに投影されたレーザスポットならびに、ビニングおよびTDIの実現例を示す図である。
【図24c】本発明の特定の態様による、ラインスキャンカメラに投影されたレーザスポットならびに、ビニングおよびTDIの実現例を示す図である。
【図25】本発明の態様によるマルチスペクトル蛍光イメージングを行うよう構成された画像走査システムの概略図である。
【図26】図25に示されるシステムで用いられる一例としてのラインスキャンイメージングセンサのブロック図である。
【図27】マルチスペクトル蛍光イメージングを行うよう構成された他の画像走査システムの概略図である。
【図28】図27に示されるシステムで用いられる一例としてのラインスキャンイメージングセンサのブロック図である。
【図29】本発明で用いられる一例としてのラインスキャンイメージング検出器のブロック図である。
【図30a】本発明で用いられる他の一例としてのラインスキャンイメージング検出器のブロック図である。
【図30b】本発明で用いられる他の一例としてのラインスキャンイメージング検出器のブロック図である。
【背景技術】
【0001】
本発明は、一般に光学イメージングの分野に関する。具体的には、本発明はマイクロアレイ検出用のイメージングシステムに関する。
【0002】
試料をサブミクロンの分解能で調べるための強力なツールのひとつに光学顕微鏡がある。たとえば、生物学および医学では、蛍光タグや免疫蛍光タグなどの適切な分子タグを用いて個々の分子を標識し、タグからの特有の信号を光学顕微鏡で検出して、その存在を同定する。サブミクロンの分解能での検出によって、タグ付き分子の有無のみならず、それが細胞内または組織内あるいはこれらの周囲のどこにあるのかまで判断できるようになる。
【0003】
光学顕微鏡検査システムが目指している2つの相いれない目標に、高速イメージングと高分解能イメージングの両方を提供することがある。一般に、光学顕微鏡では、分解能がイメージング速度に反比例する。よって、分解能を上げるために検査速度が低下するという犠牲を払っていることが多い。上述した葛藤に対応するためのひとつの手法に、観察対象となる試料の具体的な内容または他の実験条件に応じてシステムの分解能を選択的に決定することがある。この場合、画像を取得するまでの時間が長くなる問題があるとはいえ、低めの分解能を利用して高めの速度を実現しながら試料の該当エリアを探査した後、該当箇所の特定後に分解能を上げてイメージングを行うことが可能である。
【0004】
昨今、試料を三次元で調べる顕微鏡の機能が飛躍的に進歩してきている。共焦点顕微鏡が登場し、関連技術による改善がなされたことで、三次元空間内の離散点を、その点の周囲にある体積部分からの不要な信号を排除しつつ高分解能で検出できるようになっている。走査型共焦点顕微鏡による検査を行えば、検出点を効果的に試料のあちこちに移し、各点からの信号を収集して試料の正確な三次元画像を再構成することができる。
【0005】
光学顕微鏡検査のために開発された技術が、他の画像検出分野にも応用されている。たとえば、この技術は、数千もの分子プローブが基板表面に結合したマイクロアレイの画像を得る目的で用いられている。興味の対象である生物学的試料への曝露後にマイクロアレイ表面をイメージングすることで、数千もの標的分子を同時に評価することができ、その試料についての大量の情報が得られる。たとえば、マイクロアレイを利用して、特定の条件下で発現される遺伝子の数とタイプを求めることができ、そこからこの条件に対する生物応答についての全体論的な視野が得られる。さらに、特定の形質についての遺伝的な根拠を判断できる方法で、マイクロアレイを用いて個体の遺伝子構成の類似度や差異を評価することができる。遺伝子の発現応答ならびに個体の遺伝子構成に関する情報は、たとえば特定の疾患に対する羅患性または特定の薬剤に対する応答を判断するための診断目的や予防目的で利用可能なものである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
マイクロアレイ検出は光学顕微鏡検査の進歩から恩恵を受けてきたが、マイクロアレイイメージングに関しては適切な対処がなされていない技術分野が多くある。特に、光学顕微鏡検査で画像の分解能と収集効率を高めることができたのは、三次元の共焦点検出を改善し、拡大率を変化させた結果である。しかしながら、アレイ検出は一般に二次元でしか行われず、拡大率も一定である。さらに、高分解能の光学顕微鏡検査における進歩の多くが、スキャン速度よりも分解能の改善を優先してきている。これらの進歩は、生体細胞1個から数個程度の小さな試料のイメージングには有益であるが、マイクロアレイなどの実質的に大きめの試料を高分解能で走査するには、こうした進歩が必ずしも役立つとは限らない。
【0007】
よって、マイクロアレイや他の二次元基板の高分解能かつ高速でのイメージングを可能にする走査デバイスおよび方法に需要がある。本発明は、この需要を満たし、他の利点も提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
簡単な説明
本発明は、このようなニーズに応えるためのマイクロアレイイメージングおよび解析に対する新規な方法を提供するものである。この手法は、マイクロビーズからなるアレイ、フォトリソグラフィ、プリンティング技法、電気化学などをはじめとして、広範囲にわたるマイクロアレイ技術で利用できる。この手法では、マイクロアレイを共焦点ライン走査して基板上の個別対象部位を画像化することに頼っている。走査されるラインには、マイクロアレイ上の対象部位の順に並んだラインに向かって共焦点的に導かれる、複数のレーザからの合成波長による励起で生じるレトロビームに含まれる、異なる色を読み取るために、一対の補色主波長など、光の2つ以上の波長が含まれることがある。共焦点ライン走査を用いることで、アレイの隣り合った対象部位の不要な励起が原因で生じるクロストークの可能性を著しく低減しつつ、マイクロアレイのイメージング速度が大幅に改善される。
【0009】
本発明はイメージング装置を提供するものである。このイメージング装置は、(a)試料領域の少なくとも一部に励起放射線を送るよう配置された放射線源と、(b)矩形の検出器アレイと、(c)一部についての矩形画像を矩形の検出器アレイまで導くよう配置されたイメージングオプティクスと、(d)試料領域をスキャン軸の寸法方向に走査するよう構成された走査デバイスと、を含むことができ、この走査によって矩形の検出器アレイで矩形画像を形成する試料領域の一部が入れ替わり、矩形の検出器アレイの2つの矩形の寸法方向のうち短いほうと、画像の2つの矩形の寸法方向のうち短いほうが、スキャン軸の寸法方向にあり、矩形の検出器アレイの2つの矩形の寸法方向のうち短いほうが、矩形の検出器アレイの単軸で共焦点性を実現できるだけの十分な短さであり、単軸が、矩形の検出器アレイの2つの矩形の寸法方向のうち短いほうである。
【0010】
本発明はさらに、試料の画像を得る方法を提供するものである。この方法は、(a)試料の少なくとも第1の部分を、第1の部分から放射線が発せられる条件下で励起放射線と接触させるステップと、(b)第1の部分から発せられている放射線を導いて、矩形の検出器アレイで第1の部分の矩形画像を形成するステップと、(c)試料領域をスキャン軸の寸法方向に走査することで、ステップ(a)と(b)とを繰り返し、矩形の検出器アレイで試料の第2の部分の矩形画像を形成するステップと、を含むことが可能であり、矩形の検出器アレイの2つの矩形の寸法方向のうち短いほうと、画像の2つの矩形の寸法方向のうち短いほうが、スキャン軸の寸法方向にあり、矩形の検出器アレイの2つの矩形の寸法方向のうち短いほうが、矩形の検出器アレイの単軸で共焦点性を実現できるだけの十分な短さであり、単軸が、矩形の検出器アレイの2つの矩形の寸法方向のうち短いほうである。
【0011】
また、本発明は、単軸での共焦点性を達成するためのスキャナを構成する方法を提供するものである。この方法は、(a)(i)試料領域の少なくとも一部に励起放射線を送るよう配置された放射線源と、(ii)矩形の検出器アレイと、(iii)一部についての矩形画像を矩形の検出器アレイまで導くよう配置されたイメージングオプティクスと、(iv)試料領域をスキャン軸の寸法方向に走査するよう構成された走査デバイスと、を含み、この走査によって矩形の検出器アレイで矩形画像を形成する試料領域の一部が入れ替わり、矩形の検出器アレイの2つの矩形の寸法方向のうち短いほうと、画像の2つの矩形の寸法方向のうち短いほうが、スキャン軸の寸法方向にある装置を提供するステップと、(b)矩形の検出器アレイの単軸で共焦点性を実現できるだけの十分な短さに矩形の検出器アレイの2つの矩形の寸法方向のうち短いほうを制限するよう矩形の検出器アレイまたはイメージングオプティクスを位置決めするステップと、を含むことが可能であり、単軸が、矩形の検出器アレイの2つの矩形の寸法方向のうち短いほうである。
【0012】
この方法は、詳細については後述する装置を用いて実施可能なものである。しかしながら、特定の装置に鑑みて下記に例示する方法のステップを、別の装置を用いて実施してもよいことは理解できよう。
【0013】
本発明の特定の態様によれば、生物学的マイクロアレイをイメージングするための方法が、それぞれのレーザから複数の放射光線を生成することを含む。次に、この放射光線は、放射線ラインに変換される。このラインは、高さよりも幅のほうが長い。続いて、放射線ラインを合成して1本の放射線ラインにする。マイクロアレイの一部に1本の合成放射線ラインを照射する。一部を照射した結果として生じるマイクロアレイからの放射線が、検出器アレイなどの検出器まで共焦点的に戻される。これで、検出器から受ける放射線に基づいてマイクロアレイの一部における離散的な対象部位が画像化される。別の実施形態では、2本の放射線ラインを、2本のラインがほぼ共線的になり、マイクロアレイの一部がその放射線のほぼ共線的なラインで照射されるように合成することができる。2本のラインは一般に、チャネル間のクロストークを最小限にするために各ラインの幅に等しい距離だけ離れている。特定の実施形態では、2本のほぼ共線的なライン1本につき1つすなわち、2つの検出器から受ける放射線に基づいて、マイクロアレイの一部における離散的な対象部位を画像化することができる。
【0014】
本発明では、放射線ラインの生成ならびにマイクロアレイの共焦点的な照射のために、さまざまな光学デバイスを活用することができる。たとえば、ライン生成器のオプティクスを利用して、各レーザからの放射光線をラインに変換してもよい。一例としてのライン生成器オプティクスとして、パウエルレンズなどの非球面レンズ、円柱レンズまたは回折素子があげられるが、これに限定されるものではない。この場合、マイクロアレイの一部にラインを合焦させ、マイクロアレイ上の対象部位の蛍光によって生じた放射線を検出器に戻す目的でオプティクスを用いることができる。
【0015】
別の実施形態では、個々のレーザからの放射線ラインをまず合成した後、合成光線を1本の放射線ラインに変換することができる。この1本の光線を、上記同様に、マイクロアレイの一部に向かって共焦点的に導けばよい。上述したように、合成光線を、1本の放射線ラインを形成するよう構成可能であり、あるいは、2本のラインがほぼ共線的になり、マイクロアレイの一部が放射線のほぼ共線的なラインで照射されるように構成することも可能である。
【0016】
さまざまな実施形態では、マイクロアレイを所望の方向にゆっくりと前進させ、マイクロアレイ上の対象部位のラインをイメージング目的で次々と照射することができる。ライン自体が連続したものであってもよく、または、特定の実施形態では、不連続であってもよく、いずれにしろ多数の対象部位をマイクロアレイでラインに沿って同時に照射する。
【0017】
全図をとおして類似の符号が類似の要素を示す添付の図面を参照して以下の詳細な説明を読むことで、本発明の上記の特徴および他の特徴、態様および利点が、なお一層理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明は、高い分解能と画像品質を維持したままスキャン時間を速くした画像走査システムおよびアーキテクチャを提供するものである。これらの利点および他の利点は、検出器アレイのスキャン軸の寸法方向を制限することで、走査軸において共焦点性を実現する検出器アレイを構成して得られるものである。さらに詳細については後述するように、本発明の装置については、検出器アレイの単軸で、共焦点性がその寸法方向でしか起こらない要領で共焦点性を実現するように構成可能である。
【0019】
この検出器アレイは、検出器の短いほうの寸法方向がスキャン軸の寸法方向にくるような形で矩形の寸法方向を持ち得るものである。また、画像の短いほうの寸法方向がスキャン軸の寸法方向にくるように試料領域の矩形画像を検出器アレイに送る目的で、イメージングオプティクスを配置することが可能である。このように、検出器アレイが仮想スリットを形成する。仮想スリット構成を用いると、検出器の前に一般的なスリットを設ける場合にまさる利点がいくつか得られる。たとえば、検出器アレイを仮想スリットとして構成することで、標準的な寸法方向の検出器アレイをスリットと一緒に用いる構成と比較して未使用のアレイ素子が少なくなる。未使用の素子の数が減れば、データ取得効率が上がるとともに、画像処理時間が短縮される。さらに、仮想スリットを利用すると、検出器とスリットの両方をプロジェクションレンズの焦点面におくことができ、位置またはスリットと検出器との間の中継レンズの必要性の点で焦点を犠牲にすることがなくなる。
【0020】
仮想スリットを含むように構成された検出器アレイは、放射線ラインを試料まで導く構成のイメージング装置で用いられると特に有用である。放射線ラインは、短いほうの寸法方向が検出器アレイの短いほうの寸法方向に対応する単軸で共焦点性を実現できるだけの十分な短さの矩形の寸法方向を持ち得るものである。よって、励起、検出またはその両方で共焦点性を実現することが可能である。励起放射線のほぼすべてが機器の分解能に匹敵するスポット内に含まれるような形で、共焦点軸での励起誤差を抑えるための機器を構成することが可能である。
【0021】
仮想スリットを形成している検出器アレイを含む装置は、たとえば、数ミクロンからサブミクロン範囲の高分解能で試料画像を得るように構成可能なものである。特定の実施形態では、0.2から10マイクロメートルのレイリー分解能で画像を得ることができる。さらに、矩形の検出器アレイの2つの矩形の寸法方向のうちの短いほうと、イメージングオプティクスのレイリー分解能にイメージングオプティクスの倍率を掛けた積との比を利用して、単軸で共焦点性を実現するための仮想スリットのサイズと寸法を求めることができる。必要があれば、放射線ラインの場合に2つの矩形の寸法方向のうちの短いほうとイメージングオプティクスのレイリー分解能との比を選択して、単軸で共焦点性を実現することも可能である。
【0022】
このように、本発明のイメージング装置は、システムの分解能に一致するスキャン軸と直交するラインの長さ方向に沿って分解能を持つように構成可能なものである。たとえば、CCDデバイスでは、2mmの放射線ラインの長さ方向(水平軸)に沿って4000個のCCD素子を使用し、試料で0.5μmピクセルの分解能を得ることができる。不要なバックグラウンド放射線が集められてしまう量を減らしつつ、放射された実質的にすべての放射線を集めるように、放射線ラインに直交する方向(垂直軸)でのCCD素子の数「n」を選択することが可能である。
【0023】
本発明のイメージング装置はさらに、垂直軸におけるすべての画素素子が共通の「ビン」に集められ、単一の値として読み出されるように構成可能なものである。こうしたビニング法が一般的な時間遅延積分(TDI)のデザインにまさる利点として、読み出し速度を「n」分の1に短縮でき、システムは1本の軸に共焦点性を持ち、yステージでの移動と読み出しの同期タイミングの許容誤差を小さくできることがある。なお、垂直方向のピクセル数を制限すれば仮想スリットを持つようにTDIのデザインを構成できることは理解できよう。n=1のシステムデザインよりも優れたもうひとつの利点に、システムの集光効率を高めることができ、光学的配列の小さなドリフトに対する感度を落とせることがある。
【0024】
ここで図面に移り、まずは図1を参照すると、イメージング目的で試料またはマイクロアレイ14を挿入できるスキャナ12を含むものとしてイメージングシステム10が模式的に図示されている。詳細については後述するように、マイクロアレイ14は、表面に対象部位のアレイが形成される基板または支持体を含む。特定の試料から、分子(DNAまたはRNAプローブの場合は補体分子であってもよい)が結合されていてもよい遺伝子または遺伝子断片などの結合分子断片を含む各対象部位。本実施形態では、何千ものこのような対象部位を、一部または一セグメント(in portions or segments)を列状あるいは格子パターンにしてマイクロアレイ上に設けることができる。マイクロアレイ自体は、本実施形態の場合のようなマイクロビーズをはじめとするさまざまな技術で形成できるものである。本技法で画像化できる他のマイクロアレイとして、フォトリソグラフィならびに当該技術分野において周知または開発された他のプロセスによって形成されるマイクロアレイがあげられる。
【0025】
スキャナ12は、詳細については後述するマイクロアレイ14上の対象部位の共焦点ライン走査用オプティクスを含むことになる。図示の実施形態では、スキャナは、内側にマイクロアレイまたは複数のマイクロアレイを位置決め可能な試料トレー16を有する卓上のデバイスである。トレーについては、マイクロアレイ14を走査位置まで前進させた後、このマイクロアレイを後述するようにゆっくりと動かしてマイクロアレイ上に順に並んだラインの照射が可能なようにして、個別対象部位の蛍光によって生じる放射線またはレトロビームを返すように構成しておけばよい。対象部位の画像化および解析用に、レトロビームは検出器上に合焦する(これについても同じく後述する)。特定の実施形態では、多数のレトロビームを多数の異なる検出器に合焦させることが可能である。さらに詳細については後述するように、たとえば、第1の波長のレトロビームを第1の検出器に合焦させ、第2のレトロビームのレトロビームを第2の検出器に合焦させることが可能である。
【0026】
スキャナ12を動作させるための制御信号はコントローラまたはワークステーション18から出力される。ワークステーション18は、スキャナ12からイメージング信号を受信するためのソフトウェアも含む。ワークステーション18のイメージングソフトウェアは一般に、インタフェースコンポーネント22からの信号を制御および受信する汎用またはアプリケーション専用のコンピュータ20(一般にはモニタ24と入力装置26とを含むことになる)で実現されることになる。ワークステーション18で動作可能なイメージングソフトウェアは、スキャナをロードおよび初期化し、マイクロアレイ上でイメージングスキャンを実施し、データを保存するための直感的に理解できるインタフェースを提供するものであると好ましい。走査プロセスのあいだ、システム10は、マイクロアレイの画像化に用いられる放射線の波長ごとに個々のファイルを生成する(本願明細書では、赤と緑のチャネルと呼ぶ場合がある)。これらのファイルは、統合ファイルで提供されるものであってもよい。データおよび関連の画像については、従来のTIFFフォーマットまたは他の任意の好適な画像データフォーマットまたはプロトコルなどの都合のよいフォーマットで保存してもよい。図1では参照符号28で全体を示すネットワークを介するなどして、さらに高次のデータ解析用に下流側の処理・アプリケーション専用ソフトウェアといった他のネットワークコンポーネントとワークステーション18を接続してもよい。
【0027】
上述したように、マイクロアレイ14は、たとえば図2に概略的に示されるように、基板の一部または領域に配置される複数の対象部位を含むことになる。図2に示されるように、マイクロアレイ14は、ガラス、プラスチック、半導体あるいは、本願明細書の他の部分で説明するものなどの好都合な他の任意の支持体であってもよい支持体または基板30を含むことができる。この支持体30上に、個別対象部位が形成されることになる1つまたは複数の試料エリア32が設けられ、各々一般に、試料の試験に用いられるそれぞれのプローブ分子と一緒に提供される。本発明では、試料エリア32は、図2において参照符号34で全体を示す放射線ラインごとの画像化目的で走査される。放射線ラインは、図2において矢印36で全体を示すように、複数の対象部位を同時に照射する目的でライン34に沿って共焦点的に導かれる励起放射線で形成される。これによって、標的分子(遺伝的断片など)が結合することになる個別対象部位が、標的と対象部位との相互作用を示す染料の存在がゆえに蛍光を発光し、図2においてライン38で示すような放射線を返す。後述するように、こうして戻ってくる放射線すなわちレトロビームは、イメージング検出器に向かって共焦点的に導かれることになり、そこで以後の処理および解析用にラインから画像が作られる。対象部位を連続的に画像化できるようにするために、マイクロアレイ全体を参照符号40で全体を示すようにゆっくりと移動させてもよい。この場合、ライン34(これに沿って対象部位が照射される)は通常、マイクロアレイが変位するにつれてマイクロアレイ上の順に並んだ平行の場所に沿って進むことになる。
【0028】
このような共焦点ライン走査によるマイクロアレイの画像化部分の一例を図3に示す。繰り返すが、参照符号14はマイクロアレイを示し、一方、参照符号32は個別対象部位42がある試料エリアのうちの1つを示す。図示の実施形態では、対象部位はほぼ六角形のパターンで設けられている。ライン34ごとの走査は、対象部位42の順に並んだライン44を横切って進行する。詳細については後述するように、本件の共焦点ライン走査法はマイクロアレイ(micorarray)上の異なるレイアウトまたは格子パターンの対象部位で用いることができるが、共焦点ライン走査の場合には六角形のパターンを用いると対象部位間または対象部位のエッジ間の空間とその配置によるクロストークの可能性を低減できるため、特に有用である。図3において全体を参照符号46で示す六角形のまとまりを用いると、対象部位の集結密度が高いこととのバランスで、上記のようなクロストークが低減されることから最適な精度になると考えられる。
【0029】
後述するように、また、図3にも示すように、マイクロアレイ14が参照符号40で示されるように前進するにつれて、ラインに沿って位置する複数の対象部位が共焦点の放射線ライン34によって照射される。このラインは、図3の高さよりも水平方向の寸法に広くなっている。よって、このラインが、隣接するラインの対象部位を照射せずに、対象部位の行内または列内にある隣接する対象部位を照射することがある。しかしながら、本実施形態では、放射線ライン34は、図3に示す配置で対象部位のレベルで十分に細い、すなわち、対象部位が占めるエリア全体よりも狭い範囲を照射できるだけの十分な垂直方向の高さがある。現段階で想定されている実施形態では、放射線ライン34は、たとえば、長さ(水平の寸法方向)2mmで高さ(垂直の寸法方向)3mm未満である。よって、上述した画像化用のソフトウェアでは、試料の移動に伴って後述する検出器からの読み出しがシフトして各列または各行における個別対象部位が一層正確に表示される時間遅延イメージングなどの技法を用いることができる。
【0030】
説明の目的で、放射線ラインを横切ってマイクロアレイを移動させる形で本発明のいくつかの態様を例示してあるが、マイクロアレイだけでなく、あるいはマイクロアレイの代わりに放射線ラインを移動させる実施形態も利用できることは理解できよう。このように、放射線ラインおよび/またはマイクロアレイを互いに相対的にずらしてライン走査を行うことが可能である。放射線ラインによって励起される試料の一部によって、検出器アレイ上で矩形画像を形成することが可能である(後述)。
【0031】
図4は、マイクロアレイ14を画像化するための本件の共焦点ライン走査法を示す別の図である。上述したように、マイクロアレイは、支持体30が参照符号40で示されるようにゆっくりと移動するにつれてライン34に沿って照射される。図4に示されるように、ライン34は、線源48からの放射線によって形成され、導光用オプティクス50に導かれ、そこから合焦用オプティクス52に導かれる。詳しくは後述するように、放射線源48は、断面が線状の光線であるか、使用する特定の染料に応じて試料からの対応した、異なる波長で蛍光を発生させるのに用いられる複数波長の光を含む放射線ラインになる。この場合、合焦用オプティクス52は、ライン34に沿って上述したように対象部位を照射するために放射線ラインを基板30に向けて共焦点的に導く。対象部位は、基板30の表面にあってもよく、または、表面よりもわずかに下(保護フィルムまたは層の下など)にあってもよい点に留意されたい。ライン34に沿った共焦点照射では、放射線はマイクロアレイにおいてどのようなレベルで見いだされるにしても基本的に対象部位自体に焦点を結ぶことになる。
【0032】
本実施形態では、励起経路54は、個々のマイクロアレイ対象部位でプローブに結合された分子に関連した染料の蛍光によって試料から戻ってくる放射線のためのレトロビーム経路56と同一平面上にある。戻ってくる放射線も、マイクロアレイの画像ならびにマイクロアレイ上の個別対象部位の画像を再構成するのに用いられるイメージング信号を生成するための検出器60に当たるように合焦用オプティクス58によって合焦される。放射線光線を生成し、この光線をマイクロアレイに導光し、戻ってきた放射線を検出するための特定の実施形態の詳細については後述する。
【0033】
図5に概略的に示すように、本発明により対象部位を同時に画像化するのに用いられる放射線ラインは、連続したラインであっても不連続なラインであってもよい点に留意されたい。図5には、共焦点的に導光される複数の光の光線からなる不連続なライン(それにもかかわらず、これはライン34に沿って複数の点を照射する)を模式的に示してある。図5の実施形態では、別個であるが隣接した放射線源48から不連続な光線62が生成される。これらの光線は、上記のごとく、マイクロアレイに向かって共焦点的に導光され、ライン34でマイクロアレイに沿って隣接したスポット64を照射する。上述した連続共焦点ライン走査の場合と同様に、マイクロアレイは一般に、矢印40で示されるようにゆっくりと前進し、マイクロアレイに沿って順に並んだラインを照射することで対象部位の順に並んだ列または行を照射することになる。
【0034】
一般に、本発明は、ラインを同時に励起して検出する目的で用いられる。いくつかの実施形態では、対物レンズを介して励起光線を走査することで光学系が試料を横切って励起点またはスポットを指向するような方法で、ライン共焦点走査を用いることが可能である。検出システムは、レトロビームを「逆走査」せずに検出器で被励起点からの放出を画像化する。これが起こるのは、レトロビームは対物レンズに集光され、スキャン手段を介して戻る前に励起光線の光路を分割するためである。したがって、レトロビームは、対物レンズにおける最初の励起スポットの画角に応じて検出器上の異なる点に現れることになる。試料を横切る形で励起点が走査されるため、検出器における励起点の画像は、ライン形状で現れることになる。このアーキテクチャは、たとえば、スキャン手段が何らかの理由で試料からのレトロビームを受けることができないような場合に有用である。一例として、光線を極めて高速に走査することはできるがスキャンの生成に回折を利用するホログラフィや音響光学のスキャン手段があげられる。この場合、スキャン特性は波長の関数になる。蛍光のレトロビームは励起光線とは波長が異なる。
【0035】
図6および図7は、現段階で想定されている実施形態によるマイクロアレイの共焦点ライン走査用入力レーザ光線の線形化の一例について示している。図6が入射光線の変換または線形化についての立面図とみなすことのできるものを表すのに対し、図7は、上平面図を示すとみなすことができるが、これらの位置関係は、当然のことながら、後述するように走査対象となるラインとマイクロアレイの位置関係に応じて入れ換え可能なものである。図6に示されるように、レーザ(図示せず)からの入射光線66は一般に、円形のガウスビーム66の形を取ることになる。パウエルレンズなどの非球面レンズ68によって入射光線を放射線のライン70に変換し、これを対物レンズ72に導光する。図7の上面図に示されるように、非球面レンズ68は、ほぼ平らな放射線ラインを効果的に生成し、このラインが対物レンズ72によって共焦点的に集光される光線74に変換される。
【0036】
図8に示されるように、図6および図7に示される配置を用いると、マイクロアレイ上の数多くの対象部位を同時照射するのに利用可能な放射線の線状の領域が生成される。図8は、図6および図7を参照して説明したような非球面レンズによって生成された放射線ラインに沿ってシミュレートした照明のグラフ表示である。光線の相対照度を縦軸76に示し、画像の座標をミリメートル単位で横軸78に示す。図示の実施形態では、照度は参照符号80で示されるように非球面レンズのエッジ付近で急速に上昇し、参照符号82で示されるように反対側のエッジ付近で急激に降下する。これらのエッジの間で、放射線の有用なセグメント84の相対照度レベルが実質的に一定である。本実施形態では、放射線ラインの有効幅86を用いてマイクロアレイ上の対象部位の行または列を同時に照射する。図8に示されるシミュレーションでは、たとえば、有効走査長86が約1.024ミリメートルであるが、関与するオプティクスなどの数多くの要因に応じて他の有用な放射線ライン長にしてもよい。
【0037】
当業者には明らかであろうように、複数の波長で画像化を行う場合、本手法による共焦点ライン走査蛍光イメージングシステムでは、試料対象部位を照射することで多数の蛍光染料を励起させるために、長さ方向に一様な分布と幅方向に回折限界多波長ラインが得られる。図6、図7および図8に示されるライン生成器を用いる方法では、多波長光を照射するこのような線形化用のメカニズムの一例が得られる。放射線ラインで多波長を提供することに関する詳細については後述する。効果的に、図6、図7および図8に示される配置では、平行入射光線をひとつの寸法方向に広げ(fan)、垂直の寸法方向に平行化された光線を維持する。この光線を、レンズ焦点面上の回折限界ラインに対物レンズ72で収束させる。
【0038】
非球面レンズの凹形曲線に基づくと、一様な分布のラインを生成するには規定の光線径の純粋な平行入射ガウス光線が好ましい。ほぼ純粋なガウス分布を持つ光線を得るための現段階で想定されている手法に、単一モードファイバまたはファイバケーブルを用いて非球面レンズに入力を与える方法がある。
【0039】
このような単一モードファイバまたはファイバケーブルの使用についていくつかの配置を予測することができる。図9に、線状の放射線源88が、単一モードファイバピグテイル92に連結され、さらにはこれを介してライン生成器モジュール94にも連結されたレーザ90を含む第1の例示的な実施形態を示す。非球面レンズの下流にある対物レンズについては、図9では図示を省略してある。生成されたラインのプロファイルは入射光線のプロファイルに影響されやすいだけでなく、入射光線の直径、コリメーションの特徴、非球面レンズに対する光線のセンタリングにも影響されやすい。すなわち、非球面レンズは規定の入射光線径に合わせて設計すればよく、アセンブリ、特にライン生成器モジュール94のコンポーネントについては、設計性能が得られるよう整列配置させておく。
【0040】
図示の実施形態では、ライン生成器94は、スキャナでのその品質制御とパッケージングの両方を容易にするためにモジュール化されたアセンブリで事前に整列配置されたいくつかの光学部品を含む。特に、ライン生成器モジュール(modular)94は、単一モードファイバ92からの入射光線を平行化して、この平行光線を非球面レンズ100まで導光するコリメータ96を含むものであってもよい。また、特に蛍光イメージングの用途では、レーザラインフィルタ98を用いてバックグラウンドノイズを減らすようにしてもよい。図9の図は、単一モードファイバ92を両側すなわち、レーザ90とライン生成器モジュール94で事前に組み立てて終端させることができる。
【0041】
あるいは、線状の放射線源88は、図10に概略的に示される一対のファイバピグテイルのスプライスを提供することができる。図10の実施形態では、ファイバピグテイル92をあらかじめレーザ90に連結しておき、第2のファイバピグテイル102をあらかじめライン生成器モジュール94に連結しておく。これら2本のファイバ同士を、参照符号104で全体を示す中間点で接続するかスプライスすればよい。
【0042】
図11に示されるさらに他の構成では、また単一のファイバピグテイル102を利用し、これをライン生成器モジュール94と一緒にあらかじめ組み立ててもよい。しかしながら、この実施形態では、参照符号106で示されるように、アクティブカップリングによってレーザ90がファイバピグテイル92への入力を与える。
【0043】
図12に概略的に示されるさらに別の構成では、ファイバピグテイル102をレーザ90と一緒にあらかじめ組み立ててもよい。上述したようなライン生成器モジュール94でコリメータを用いる場合とは異なり、可変ビームエキスパンダ108を利用して、上述したような非球面レンズを含む改変したモジュール110への入力を与えるようにしてもよい。図12の実施形態では、可変ビームエキスパンダ108を用いていることが理由で入射光線径と所望の直径とを一致させなければならない場合がある。
【0044】
一例としてのライン生成器モジュール94を図13に概略的に示す。上述したように、また、図13の物理的な実現例で示すように、モジュール94は、全体を参照符号112で示す入射光線を単一モードファイバ92経由で受けることができる。このモジュールから、出力放射線ライン114が放出される。図示の実施形態では、光ファイバコネクタ116が、単一モードファイバ92をモジュール94の入力側に接続する働きをする。光線は、ここからコリメータ96と、レーザラインフィルタ98(用いられる場合)と、非球面レンズ100とを介して伝搬する。繰り返すが、レーザの出力を放射線ラインに変換するための光学部品をモジュール化しておくと、システム全体の組み立て、オプティクスの整列配置、さらには必要な場合に光学部品の将来的な修理や交換が容易になるため望ましい。
【0045】
上述したように、想定される特定の実施形態では、放射線源がレーザである。他の有用な放射線源として、たとえば、アーク灯、石英ハロゲンランプおよび発光ダイオードなどのランプがあげられる。必要に応じて、特定波長での試料の励起に多岐にわたる他の放射線源を利用することが可能である。特定の用途で必要であれば、放射線源は、たとえば、UV、VISまたはIR範囲の波長をはじめとする、さまざまな波長の放射線を生成可能である。たとえば、本発明の装置には、405nm、488nm、532nmまたは633nmの光を生成するレーザを含むことが可能である。
【0046】
さらに、後述するように、このシステムには、2つ以上の放射線源を含むことも可能である。多数の放射線源が、各々異なる波長の放射線を生成できるレーザであってもよい。たとえば、異なる波長で励起されると異なる放出信号を生成する1つまたは複数のフルオロフォアが試料に含まれる用途などでは、異なる波長の放射線を生成する多数の放射線源を用いると有用な場合がある。こうした異なる放出信号を、たとえば詳細については後述する多数の検出アームを用いて同時に収集することが可能である。これの代わりに、あるいはこれに加えて、異なる波長での連続励起後に異なる放出信号を連続的に収集することも可能である。
【0047】
上述したように、本発明の特定の実施形態はさらに、放射線源からの励起放射線を受け、かつ、放射線の拡大光線をライン生成器に送るよう位置決めされたエキスパンダを含み得る。特定の実施形態では、放射線源で生成される励起光線の直径が約1mmの径である。第1のエキスパンダは、光線の直径を拡大することができる。たとえば、一実施形態によれば、エキスパンダは励起光線を直径4mmに拡大する。他の有用なビームエキスパンダは、放射光線の直径を、少なくとも約0.5mm、1mm、2mm、5mm、10mm、15mm、20mmまたはこれよりも大きくすることができる。
【0048】
同じく上述したように、本発明において有用なライン生成器には、強度分布が一様な回折限界ラインを生成するよう構成された回折素子を含み得る。たとえば、円柱形マイクロレンズアレイと集光装置とを利用することができる。円柱形マイクロレンズアレイは、励起放射線を集光装置の前側の焦点面に合焦して強度分布が一様な回折限界ラインを生成するよう構成可能なものである。ライン生成器の別の例に、角度の均一さ(angular uniformity)と集光装置を有する一次元の拡散板がある。この場合、一次元の拡散板を集光装置の前側の焦点面に設置して、強度分布が一様な回折限界ラインを生成する。必要であれば、ライン生成器に非球面の屈折レンズをさらに含むようにして、強度分布が一様な回折限界ラインを生成することも可能である。非球面の屈折レンズの一例にパウエルレンズがある。
【0049】
特定の実施形態では、直径4mmの入力励起光線を受けて、ファン角が6度になるようにライン生成器を構成することが可能である。他の有用な構成として、直径が約0.1から50mm以下の入力励起光線を受けるものがあげられるが、これに限定されるものではない。ライン生成器は、少なくとも約0.1°から約80°以下、全幅のファン角を得ることが可能である。光線径およびファン角については、放射線ラインに合った所望の形状を達成するよう選択可能である。通常、放射線ラインの幅が光線径に左右され、光線径が大きくなればなるほど放射線ラインの垂直の寸法方向が長くなるのに対し、放射線ラインの長さはファン角に左右され、ファン角が大きくなればなるほど放射線ラインの水平の寸法方向が長くなる。一般に、ラインは対物レンズの瞳で出射されるように見えるべきであるが、これは必須要件ではない。
【0050】
上述したように、ラインを生成できる多岐にわたる光学素子のいずれも、放射線源と照射対象となる試料領域との間の光路内に設置可能である。たとえば、アーク灯の焦点をスリットに合わせれば、コリメータ(collimated)を利用してラインを生成することが可能である。別の例に、焦点が結ばれるとラインを生成するアナモルフィックビームを有する端面放射型発光ダイオードレーザがある。試料領域を照射するのに用いられる放射線源自体がラインを生成できる場合もあることは理解できよう。よって、本発明において有用な放射線源には、ライン生成器を含むことが可能である。
【0051】
上述したものを含むがこれに限定されるものではない、多岐にわたる方法および装置のいずれも、放射線ラインを試料領域に導く目的で利用可能である。放射線ラインの寸法については、矩形の検出器アレイの単軸で共焦点性が得られるよう選択可能である。具体的には、放射線ラインの垂直の寸法方向を、矩形の検出器アレイの垂直の寸法方向で共焦点性が得られるよう十分に短くしておくことができる。
【0052】
本発明のライン生成器は一般に、試料領域で矩形または楕円形の形状を有する放射線ラインを生成するよう構成される。一例としての形状には、矩形、楕円形(elliptical)または卵形の形状があるが、これに限定されるものではない。ライン生成器については、後述する特性を1つまたは複数有する放射線ラインを生成するよう構成することが可能である。
【0053】
試料領域に接する放射線ラインは、放射線ラインの垂直の寸法方向と、矩形の検出器アレイの垂直の寸法方向をひとつの寸法方向での共焦点性につながるイメージングオプティクスの倍率で割った商との1/e2幅の比を持つことが可能である。たとえば、この比は、少なくとも約0.5、1、1.5、2、3またはこれよりも大きな値を取り得る。本発明の装置は、この比の上限が最大で約2、1.5、1、0.5またはそれ未満になるよう構成可能なものである。この比は、たとえば、0.5から3の範囲など、必要に応じて上記の範囲外であってもよいし範囲内であってもよい。
【0054】
試料領域に接する放射線ラインは、放射線ラインの垂直の寸法方向と、矩形の検出器アレイの垂直の寸法方向をひとつの寸法方向での共焦点性につながるイメージングオプティクスの倍率で割った商との比を持つことが可能である。たとえば、この比は、少なくとも約0.1、0.5、1、5、10またはこれよりも大きな値を取り得る。この比の上限については、最大で約10、5、1、0.5、0.1またはそれ未満にすることが可能である。この比は、たとえば、0.1から10の範囲など、必要に応じて上記の範囲外であってもよいし範囲内であってもよい。
【0055】
さらに、放射線ラインの垂直の寸法方向とイメージングオプティクスのレイリー分解能との比を、少なくとも約0.1、0.5、1、5、10またはこれよりも大きな値にすることができる。この比の上限については、最大で約10、5、1、0.5、0.1またはそれ未満にすることが可能である。この比は、たとえば、0.1から10の範囲など、必要に応じて上記の範囲外であってもよいし範囲内であってもよい。
【0056】
本願明細書では、試料領域と放射線ラインとを接触させる実施形態に関して本発明を例示しているが、試料領域に接触する放射線が、たとえば、正方形または円形などの他の形状を持ち得ることは理解できよう。
【0057】
後述するように、本発明の装置には、放射線を受けて試料領域を照明するよう位置決めされた対物レンズを含むことができる。対物レンズはさらに、試料領域から発生している放射線を集め、これを検出器アレイまで導くよう位置決め可能である。任意に、この装置は、ライン生成器から励起放射線を受け、かつ、放射線の拡大光線を対物レンズに送るよう位置決めされた第2のエキスパンダを含み得る。第2のエキスパンダはさらに、放射線ラインの画角を小さくするよう構成可能なものである。たとえば、励起光線がライン生成器および/または第2のエキスパンダを通過後、これをビームスプリッタで対物レンズに導くことができる。特定の実施形態では、対物レンズには、放射線ラインを受けて試料領域を照明するよう位置決めされた外部瞳がある。好ましくは、ビームスプリッタを、対物レンズの入射瞳付近に配置できる。また、ビームスプリッタを、対物レンズに対して軸方向または横方向の位置に配置することができる。必要があれば、対物レンズは、色補正、高開口数、テレセントリシティ、バックプレーンでの無限焦点性といった特性またはこれらの特性の組み合わせを持つものであってもよい。
【0058】
ビームスプリッタは、放射線ラインを対物レンズに導く。対物レンズは、顕微鏡の対物レンズであってもよい。この対物レンズは焦点距離が20mmであってもよい。よって、対物レンズは開口数が0.366であってもよい。さらに、対物レンズは画角が+/−3度で、直径16mmの入射瞳を持つものであってもよい。好ましくは、対物レンズはテレセントリックである。本発明において有用なテレセントリック対物レンズの一例として、米国特許第5,847,400号明細書(本願明細書に参照により援用する)に記載されているものがあげられる。
【0059】
図14は、多波長スキャナ118における上述したさまざまな構成要素の全体としての光学レイアウトを示している。スキャナ118には、複数のレーザ光源を含むことができ、このうち2つの光源を図14の実施形態に示してある。これらは、第1のレーザ120と、第2のレーザ122とを含む。第1のレーザ120は、現段階で想定されている実施形態において、所望の用途に応じて658nmのレーザ、750nmのレーザまたは635nmのレーザであってもよい。第2のレーザ122は、たとえば、488nmのレーザ、594nmのレーザまたは532nmのレーザであってもよい。当然ながら、他の波長のレーザも利用できる。本実施形態では、第2のレーザ122が488nmのレーザであれば第1のレーザ120は635nmのレーザであり、第2のレーザ122が594nmのレーザであれば第1のレーザ120は750nmのレーザであり、第2のレーザ122が532nmのレーザであれば第1のレーザ120は658nmのレーザである。各レーザの波長をどの波長にするかは、当然ながら、マイクロアレイに用いられる染料の蛍光特性によって決まってくることになるが、特定のイメージング配列に合わせて用いられるレーザの波長は、マイクロアレイのさまざまな対象部位で染料を区別できるようにするために互いに異なるものとなっている。
【0060】
各レーザ120および122はそれぞれ、上述したように単一モードファイバ124および126に連結されている。さらに、各ファイバ124および126は、上述したタイプのライン生成器モジュール94にフィードする。各モジュール94の下流には、フィルタホイール128および130を備えてもよい。フィルタホイールは、所望の機能に応じて、光を遮断、通過または減衰させる働きをする。
【0061】
レーザ120および122各々からの出力は、それぞれの単一モードファイバ124および126によってほぼ純粋なガウス分布に変換されることになり、得られる光線は、ライン生成器モジュール94で放射線ラインとも呼ばれる断面が線状の光線に変換されることになる。フィルタホイール128および130の下流では、光線合成器132によって2本の放射線ラインが合成されることになる。よって、合成放射線ライン134は、マイクロアレイを照射するための2種類の異なる波長の光を含むことになる。合成放射線ライン134は、ダイクロイックビームスプリッタ136に導かれ、このビームスプリッタが光線を合焦用オプティクス138まで導く。合焦用オプティクス138は、上述したようにマイクロアレイ14までラインに沿って共焦点的に導いて放射線ラインを集光させる顕微鏡の対物レンズからなる。本願明細書では、1本の放射線ラインを形成する合成放射線ラインに関して本発明を例示しているが、2本のラインがほぼ共線的になるように2本の放射線ラインを合成してもよいことは理解できよう。よって、合成放射線ラインで照射されるマイクロアレイの一部は、ほぼ共線的な放射線のラインで照射されることになる。チャネル間のクロストークを最小限に抑えるために、これら2本のラインは一般に各ラインの幅に等しい距離だけ離れている。
【0062】
図14に模式的に示されるように、イメージング前とイメージング中にマイクロアレイを適切に移動させ、適切な合焦を可能にするステージ上に、マイクロアレイ14を支持してもよい。このステージを、試料を移動させることで、スキャン軸(垂直)の寸法方向における矩形画像と矩形の検出器アレイの相対位置を変化させるように構成可能である。並進ステージの移動は、たとえば、放射線ラインの伝搬方向に直角で、一般にx寸法方向とy寸法方向として示される寸法方向のうちの一方または両方を含む、1つまたは複数の寸法方向にすることが可能である。特定の実施形態では、並進ステージを、検出器アレイのスキャン軸に垂直な方向に移動するよう構成することが可能である。本発明において有用なステージはさらに、一般にZ寸法方向として示される放射線ラインが伝搬する寸法方向への移動用に構成することも可能なものである。Z寸法方向への移動は、装置に焦点を合わせる上で有用なものとなり得る。図14の構成では、ステージコンポーネントは、一般に放射線ラインの焦点合わせに用いられる傾斜アクチュエータ140と、マイクロアレイを走査用の位置に配置して、走査と走査との間でマイクロアレイを大きく動かすためのY方向アクチュエータ・イジェクトコンポーネント142と、走査中にマイクロアレイを細かく動かすためのX方向アクチュエータ144と、を含む。
【0063】
マイクロアレイ14上の対象部位は、励起光線の波長に対応する波長で蛍光発光して、イメージング用の放射線を返すことができる。当業者には明らかであろうように、試料の染料が励起される波長と、これが蛍光発光する波長は、具体的な染料の吸収スペクトルおよび発光スペクトルに左右されることになる。このような戻された放射線は、図14において全体をレトロビーム146として示すようなビームスプリッタ136を介して伝搬することになる。このレトロビームは通常、イメージング目的で1つまたは複数の検出器に向かって導かれることになる。図示の実施形態では、たとえば、光線はミラー148に向かって導かれ、そこから第2のダイクロイックビームスプリッタ150に導かれる。参照符号154で示す光線の一部は、マイクロアレイにおける対象部位の蛍光染料のうちの1つに対応する所望の出力波長が得られるように光線をフィルタするミラー152によってバンドパスフィルタホイール158に導かれる。特定の実施形態では、光線のうち異なるミラーに導かれる部分が、2本のほぼ共線的なラインを形成する合成光線のそれぞれのラインになり得る。続いて、プロジェクションレンズ160が、フィルタ後の光線を電荷結合素子(CCD)センサ164に導き、このセンサが受けた光線における放射線の場所に対応する出力信号を生成する。同様に、ビームスプリッタ150からの光線の第2の部分156は、異なるバンドパスフィルタホイール158およびプロジェクションレンズ160を介してもうひとつのミラーに導かれる。第2の光線156は、電動であってもよい任意の色収差補償装置162を介して導かれてもよい。色収差補償装置162は、両方の波長チャネルを同時合焦(co−focus)する機能を果たす。最後に、フィルタホイール158およびレンズ160によってフィルタされ、合焦された光線156は、第2のCCDセンサ166に導かれる。センサ154および166からの信号の受信と処理については、制御盤168によって行ってもよい。
【0064】
本発明の矩形の検出器アレイは、本願明細書にて上述したような仮想スリットを形成するよう構成可能なものである。特定の実施形態では、仮想スリットのサイズおよび寸法を、矩形の検出器アレイの垂直の寸法方向とイメージングオプティクスのレイリー分解能にイメージングオプティクスの倍率を掛けた積との比から求めることができる。たとえば、矩形の検出器アレイの垂直の寸法方向とイメージングオプティクスのレイリー分解能にイメージングオプティクスの倍率を掛けた積との比を、0.1から10の範囲または0.5から3の範囲にすることができる。本発明の装置は、たとえば0.2から10マイクロメートルのレイリー分解能を含む、所望のまたは最適なレイリー分解能で試料の画像が得られるよう構成可能なものである。
【0065】
特定の実施形態では、矩形の検出器アレイの第1の寸法方向における検出素子数とスキャン軸の寸法方向における検出素子数とのアスペクト比を、2、10、20、50、100、1000よりも大きい、あるいはこれよりもさらに大きい値とすることができる。たとえば、ラインスキャンCCDカメラを、第1の寸法方向で四千(4,000)ピクセル、スキャン軸(垂直)の寸法方向にnピクセルを撮像するように構成することが可能である。CCDラインスキャンカメラは、ラインの長さに沿った分解能がシステム分解能と一致するように設計可能なものである。この場合、水平軸は、2mmの放射線ラインの長さに沿って約4,000個のCCD素子を含み、物体で0.5μmのピクセル分解能となる。垂直軸とも呼ばれる、水平軸に垂直な方向でのCCD素子数「n」は、バックグラウンド放射線が集められる量を減らしつつ放出される放射線を実質的にすべて集めるよう選択可能なものである。本発明の一実施形態によれば、CCDは各々が12μmサイズのピクセルを4096個有する。このサイズのCCDで2mmのラインを画像化するには、倍率を25倍にする必要がある。このため、nを6から8ピクセルの範囲にすることが可能である。設計アーキテクチャによって、励起放射線の主に100%がシステムの分解能に匹敵するスポット内に含まれるように励起誤差を共焦点軸に制限する。この場合、スポットサイズはおよそ1.0μmとなろう。
【0066】
以上、CCDラインスキャンカメラに関して装置の一例について説明してきたが、TDI動作用に構成された検出器アレイ、CMOS検出器、APD検出器、ガイガーモードのフォトンカウンターまたは本願明細書の他の部分に記載の他の検出器を含むがこれに限定されるものではない、多岐にわたる他の検出器を利用できることは理解できよう。
【0067】
概して、図14に示されるさまざまなコンポーネントの動作は、システムコントローラ170で調整できるものである。実際の用途では、システムコントローラは、レーザの動作、対物レンズ138およびマイクロアレイ支持体の移動および焦点合わせ、センサ164および166からの信号の取得と処理を制御するよう設計されたハードウェアと、ファームウェアと、ソフトウェアとを含むことになる。よって、システムコントローラは、処理済みのデータを格納し、マイクロアレイ上で蛍光発光する照射された対象部位の再構成画像を生成するためにそのデータをさらに処理することができる。
【0068】
図15は、全体を参照符号172で示す多波長スキャナの別の配置を示している。この別の配置では、別のレーザからの光線を合成し、合成光線の断面を非球面レンズで直線形状に変換する。よって、図14を参照して簡単に説明した上述の実施形態と同様に、入力レーザ120および122によって、マイクロアレイ14上のさまざまな対象部位で用いられる染料に対応する光の波長を得る。しかしながら、実施形態172では、第1のレーザ120がその光線を単一モードファイバ124に出力し、続いてコリメータ174がこの出力を平行化する。この平行出力をフィルタホイール130に導光すればよく、得られる光線176はミラー152によって図12を参照して上述したようなタイプの可変ビームエキスパンダ180に導光される。
【0069】
同様に、第2のレーザ122からの出力は、第2のフィルタホイール130を介して導光され、得られる光線178は、ミラー152を介するなどして第2の可変ビームエキスパンダ182に導光される。続いて、可変ビームエキスパンダからの出力が、光線合成器132によって合成される。合成光線182は、マイクロアレイの放射線に合った所望の波長の光を含むことになり、非球面レンズ100によってラインに変換される。上記同様、所望の波長の光を含む合成放射線ライン134が生成され、ビームスプリッタ136によってマイクロアレイ14に導かれることになる。システムの残りのコンポーネントは、基本的には図14を参照して上述したものと同一であってもよい。
【0070】
図16は、現段階で想定されている実施形態の態様による多波長スキャナのいくぶん詳細にした光学機械図を提供するものである。スキャナ184は、それ自体が多数のレーザである第1のレーザアセンブリ186を含むものであってもよい。図示の実施形態では、たとえば、レーザアセンブリ186は、488nmのレーザであってもよい第1のレーザ188と、658nmのレーザであってもよい第2のレーザ190とを含む。このシステムはさらに、たとえば、594nmのレーザ194と750nmのレーザ196とを含み得る第2のレーザアセンブリ192を含むものであってもよい。当業者には明らかであろうように、多数のレーザアセンブリ190および192を含むようにすることで、デコード機能、解析機能といった異なるタイプの走査動作を1台のスキャナで行えるようになる場合がある。たとえば、特定タイプのデコード動作用にレーザ188と190とを互いに連動させて併用してもよく、他のタイプのデコード用にレーザ194と196とを互いに連動させて併用してもよい。これらのアセンブリは、他の形で用いることのできる他のレーザを含むものであってもよく、特定の解析動作用などに635nmのレーザと532nmのレーザを利用しているアセンブリなどの他のアセンブリを設けるようにしてもよい。
【0071】
レーザアセンブリ190および192は、上述したように、レーザの出力をほぼ純粋なガウス分布に変換する単一モードファイバ122および124に連結されている。ファイバ122および124によって伝達される光は、ライン生成器モジュール94に入力され、放射線ラインが生成される。続いて、放射線の光線は、励起フィルタ128に導光され、合成器132によって合成されて合成放射線ライン134となる。フィルタホイール130は、必要に応じて光線を遮断、通過または減衰させるなどの目的で、この合成放射線ラインをフィルタすることができる。
【0072】
上述した実施形態の場合と同様に、フィルタ後の合成放射線ラインをビームスプリッタ136に導き、そこから対物レンズ138に導く。図16に示される実施形態では、対物レンズは、音声コイルなどの1つまたは複数のアクチュエータ、リニアモータステージ、圧電モータステージまたは圧電屈曲ステージを含み得る自動焦点システム198に設けられている。センサ200は、距離またはマイクロアレイ14でのシステムの合焦を検知し、マイクロアレイ14に沿って適切な深度で共焦点的に導かれる放射線ラインの動的焦点用のフィードバックを供給するよう機能する。
【0073】
また、図16は、マイクロアレイ14を走査前と走査中に移動させるための現段階で想定されている配置に関していくぶん詳細に提供するものである。たとえば、試料ハンドリングトレー202が、このトレーをイメージング位置の内外に動かすためのモータ204と一緒に設けられている。アダプター板206を設けたことで、ドッキングステーション208でマイクロアレイを位置決めすることができる。ドッキングステーションでは、アクチュエータ210によってマイクロアレイが適切に位置決めされる。ステップモータ214で制御される粗ステージ212によって、マイクロアレイに向かって共焦点的に導かれる合成放射線ラインに対するマイクロアレイの位置を粗制御することができる。粗ステージ212は、たとえば、画像化対象となる対象部位が表面に位置するマイクロアレイの一部を適宜位置決めするのに利用できるものである。リニアモータ218とリニアエンコーダ220とを含むものであってもよい精密ステージ216が、走査前と走査中にマイクロアレイを細かく位置決めして移動させる機能を果たす。
【0074】
上記同様に、マイクロアレイ上の個別対象部位の蛍光に起因する放射線は、ビームスプリッタ136を介して、バンドパスフィルタ158、プロジェクションレンズ160経由で最終的にはCCDセンサ164および166までレトロビームを導くのに用いられるミラーまたは他の光学デバイスに戻される。
【0075】
上述した配置を用いると、対象部位を同時に励起させる放射線ラインを使ってマイクロアレイ上の多数の対象部位を極めて高速かつ正確にイメージングすることができる。本発明の共焦点ライン走査法は、上述した線状の走査との組み合わせで、個別対象部位からの戻ってくる放射線間のクロストークの可能性を低減するなどの目的でマイクロアレイ上の対象部位が互いに離れている用途において特に有用であることが見いだされている。図17は、本発明の共焦点ライン走査法の態様を活用するために、六角形の格子アレイ状にされた対象部位の現段階で想定されている配置を示している。
【0076】
図17に示されるように、アレイセクション222は、所定のパターンで設けられた複数の対象部位42を含むことになる。現段階で想定されている実施形態は、図示のような六角形の集結パターンを提供するものである。このパターンは、図17において参照符号224および226で示す対象部位の隣接する列または行と呼べるものを含む。当業者には明らかであろうように、ラインの位置関係は通常、上述した共焦点的に導かれる放射線ラインによる走査方向に鑑みて考えることができる。対象部位のライン224および226に平行なラインに沿って放射線が導かれると、対象部位のラインの一部が、放射線で照明され、蛍光発光エリアが明るくなるレトロビームを返す。対象部位からなる各列または行の隣接する対象部位228および230は互いに離れることになり、これらの対象部位はいずれも、隣接する列または行226の対象部位232などの隣接する最も近い対象部位から離れることになる。各ラインの対象部位の中心を基準にするなどして、対象部位の順に並んだまたは隣接するライン間の距離を参照符号234で大まかに示すことができる。しかしながら、図17の六角形の集結パターンでは、同じライン内の隣接する対象部位の中心間の距離が、対象部位の隣接するライン間の距離よりも長いことに留意されたい。さらに、図17の位置関係では、同じライン内の隣接する対象部位の中心間の距離が、隣接するライン内の対象部位間の最短距離236よりも長い。特に、図17に示されるタイプの六角形の集結パターンでは、距離234は距離236の約0.866倍(60度のコサイン)となる。
【0077】
さらに、対象部位228、230および232にエッジ238があるとみなすと、これらのエッジは、対象部位を直線的なパターンに配置する場合よりも長い距離をあけて互いに離れることになる。すなわち、走査の軸に沿った対象部位228および232のエッジ238間の距離を投影(projection)したものを参照符号240で示すことができる。しかしながら、エッジ間の実際の距離は、参照符号242で示すように、これよりも長くなる。繰り返すが、図17に示される六角形のパターンでは、距離242は距離240よりも約15%長くなる。
【0078】
当業者には明らかであろうように、マイクロアレイ上での対象部位の密度が高くなり、結果として対象部位間の距離が短くなるにつれて、イメージング目的で、照射用の光ビームを対象部位に慎重に合焦し、レトロビームの焦点を適切に合わせる機能に対する需要が高まっていく。本手法は、対象部位のラインを共焦点的に照射する機能が得られる、優れた結果を提供するものであり、この場合、共焦点性は、放射線ラインの幅に平行で放射線ラインの長さ方向には沿っていない軸に存在する。しかしながら、高強度の対象部位から生成される画像が隣接した対象部位の非共焦点軸に波及するため、対象部位間のクロストークを、対象部位同士を区別することの相対的な不能とみなすことができる。これは、たとえば高強度の対象部位が極めて低強度の対象部位のすぐ隣に位置する場合に問題となり得る。共焦点ライン走査と非直線的にまとめられた対象部位との組み合わせ、特に六角形にまとめられた対象部位との組み合わせにすることで、画像化される対象部位間のクロストークやぼやけが低減されるため、照射・画像化される対象部位同士をかなりよく区別できるものと考えられる。
【0079】
対象部位の六角形の配置と上述した放射線ラインの位置関係との組み合わせは、第1のスキャン位置で放射線ラインによって同時に照射されるすぐ隣の対象部位間の距離が、走査用の放射線ラインによって異なる時点で照射されるすぐ隣の対象部位間の距離よりも長い本発明の実施形態の一例である。対象部位のまとまりとラインの位置関係との他の組み合わせを利用しても同様の利点を実現し得ることは、理解できよう。たとえば、直線的な格子状の円形の対象部位は六角形の格子ほど密に(closely)まとめられてはいないが、クロストークが所望の度合いで低減されるよう放射線ラインの位置関係とそのスキャン方向を選択することが可能である。具体的には、放射線ラインは、直線的な格子における対象部位の行列に対して対角をなす位置関係にすることが可能であり、この格子を横切る形で対角方向に放射線ラインを走査して、放射線ラインが直線的な格子における対象部位の行列に対して直角の位置関係にあって直角方向に走査される場合よりも対象部位間のクロストークを低減することが可能である。利点のひとつに、放射線ラインに平行な共焦点軸で隣接する対象部位間の空間が最大になるようにラインが向いていることがある。
【0080】
上述したまとまり配置は、照射対象となる対象部位の幅よりも実質的に狭い放射線ラインと併用すると特に有用である。特定の実施形態では、放射線ラインの幅(すなわちラインの短いほうの寸法方向)は、照射対象となる対象部位の幅の最大で75%、66%、50%、30%、25%または10%になる。通常、たとえば、鏡映対称または回転対称の対象部位などの形状が規則的な対象部位が好ましい。しかしながら、特定の用途で必要があれば不規則な形状の対象部位を利用することもできる。対象部位の形状が規則的であるか不規則であるかを問わず、対象部位の幅は一般に、最も広い寸法方向で測定されることになる。たとえば、この幅は断面が円形の対象部位の直径として測定される。
【0081】
図18〜図23に示されるように、数多くのアーキテクチャを用いて強度分布が一様な回折限界ラインを生成することが可能である。図18に示される、このような実施形態のうちの1つでは、円柱マイクロレンズアレイ246と集光装置248とを用いてライン生成器244を形成することができる。円柱マイクロレンズアレイ246は、第2の寸法方向を影響のないまま残して、一寸法方向で励起光線250を集光装置248の前側の焦点面に合焦するのに用いられる。集光装置248の後ろ側の焦点面に強度分布が一様な回折限界ライン252が生成されることになる。ラインの均一性は、集光装置248の入射瞳を覆う円柱マイクロレンズ246の数に関係している。円柱マイクロレンズアレイ246の数が多くなればなるほど、ラインの強度分布は一様になっていく。
【0082】
もうひとつの実施形態によれば、また、図19に示されるように、一次元の拡散板254と集光装置248とを用いてライン生成器244を形成することができる。角度一様性を有する一次元の拡散板254を集光装置248の前側の焦点面に配置する。拡散板254は入力平行光線250を一寸法方向に広げ、もうひとつの寸法方向を影響のないまま残す。集光装置248の後ろ側の焦点面に強度分布が一様な回折限界ライン252が生成されることになる。拡散板254は角度一様性があるため、生成されるラインも一様になる。
【0083】
本発明のさらにもうひとつの実施形態では、対物レンズ256を集光装置248として利用する。好ましくは、対物レンズ256は、外部瞳のサイズが15.75mmのテレセントリックレンズである。好ましくは、このサイズは、平行入力励起光線250の直径と一致するように構成されている。また、レンズの入力画角は+/−3度であり、これは視野2mmに相当する。
【0084】
図20は、上述した対物レンズ256と併用された一次元の拡散板254を示している。図20に示されるように、一次元の拡散板254が対物レンズ256の瞳絞りに配置されている。対物レンズ256は、一寸法方向で平行入射光線250を特定範囲内の異なる角度に拡散し、もうひとつの寸法方向を影響のないまま残す。拡散板254には角度一様性がある、すなわち、異なる角度に拡散される光線の強度が同じである。レンズ256は、それぞれの特定の角度の光線をライン上のある点に合焦する。ラインの均一性は、拡散板254の角感度によって決まる。加えて、放射線ライン268の長さは拡散板254のファン角によって決まる。ファン角が大きくなればなるほど、生成される放射線ライン268が長くなっていく。拡散板254のファン角が+/−3°の場合、生成されるラインの長さは2mmになる。放射線ライン268の長さを2mmよりも長くすることは可能であるが、ラインの長さ2mmで所望の均一性が得られる。
【0085】
もうひとつの実施形態によれば、図21は、上述した対物レンズ256と併用された円柱マイクロレンズアレイ246を示す。各円柱マイクロレンズ246は、平行入射光線250の一部をサンプリングし、これを一寸法方向での対物レンズ256の瞳絞りに合焦させ、第2の寸法方向を影響のないまま残す。円柱マイクロレンズアレイ246は、一寸法方向で光線250を特定範囲内の異なる角度に広げる。ファン角は、円柱マイクロレンズ246のF値によって決まる。対物レンズ256は、それぞれの角度の光線250をライン上のある点に合焦する。合焦されるライン内の各点は、すべての円柱マイクロレンズ246からの影響を受けるため、ラインの均一性は対物レンズ256の入射瞳をカバーする円柱マイクロレンズ246の数に関係している。たとえば、本発明の一実施形態によれば、均一なライン励起268を生成する目的で、瞳絞りをカバーするのに158個のマイクロレンズが用いられる。
【0086】
図22および図23は、蛍光イメージング用に構成された中継用望遠鏡の別の実施形態を示している。中継用望遠鏡258は、一次元の拡散板254(図22参照)または円柱マイクロレンズアレイ246(図23参照)とダイクロイックビームスプリッタ260との間に位置決めされている。ダイクロイックビームスプリッタ260は、蛍光イメージング経路(レトロビーム)262を励起経路250から分離するよう構成されている。
【0087】
本発明において用いられるCCDカメラまたは他の検出器アレイは、ビニング用に構成可能なものである。ビニングを用いると、アレイ内の多数のピクセルからの電荷をひとつのピクセルにまとめることで、検出器アレイの感度が上がる。使用可能なビニングのタイプの例として、水平ビニング、垂直ビニングまたはフルビニングがある。水平ビニングでは、検出器アレイの各ラインの隣接するピクセルの対をまとめる。垂直ビニングでは、アレイの2本のラインから隣接するピクセルの対をまとめる。フルビニングは、水平ビニングと垂直ビニングとの組み合わせであり、隣接する4つのピクセルがまとめられる。
【0088】
本発明のビニングは、大きなセンサ素子セットを用いて実施可能である。図24(a)に示されるように、垂直軸のすべての画素素子が共通のビンに集められ、単一の値として読み出されるように、ラインスキャンCCDカメラとこれに対応する制御電子回路とを構成することが可能である。よって、隣接する対または隣接するグループのアレイ素子にビニングを制限する必要はない。このため、CCDカメラのピクセルなどの3つ以上のセンサ素子のセットに隣接しないセンサ素子が含まれていても、このセットをビニングすることが可能である。隣接しないセンサ素子は、たとえば、3つのセンサ素子を、第1の素子と第3の素子が間に介在する第2のセンサ素子によって互いに分離されているような線状の配置のときに発生する。
【0089】
図24(b)に示されるように、ビニングでは、単一の積分時間経過後に列に含まれるすべてのピクセルを一度にシフトさせる。この方法を本発明の装置で用いる場合の利点のひとつに、通常のTDIデザインと比較して、読み出し速度がジッタの影響を受けにくいことがある。さらに、この装置は共焦点性をひとつの軸に持つことになるため、Yステージの移動に伴う読み出しの同期タイミングの許容誤差が低減される。図24(b)は、ラインスキャンCCDカメラに投影された1μmのレーザスポットを示している。この投影像はX軸とY軸の両方に対称である。垂直軸のCCDピクセルの数を6個に制限すると、その軸に仮想スリットが形成される。TDIカメラでも同じ効果を実現でき、主な要件は、バックグラウンドノイズを拒絶しながら垂直軸のピクセル数を信号の通過に合わせて最適化することである。これを実現するには、垂直ピクセル数を限定すると同時に、レーザスポットのサイズをシステムの分解能に合うように設定する。
【0090】
本発明の別の実施形態では、仮想スリットが依然として生成されるような要領で垂直ピクセル数を制限するTDIデザインを利用する。図24(c)に示されるように、TDIでは、yステージのエンコーダ出力と同期してピクセルがシフトする。また、n=1のシステムデザインよりも優れている利点として、システムの集光効率が増し、小さな光学アライメントのドリフトに対する感度が小さくなることがあげられる。本発明で使用できる一例としてのTDIデザインおよび方法が、米国特許第5,754,291号明細書(本願明細書に参照により援用する)に記載されている。
【0091】
本発明のもうひとつの実施形態によれば、本走査システムアーキテクチャは、ラインスキャンイメージングセンサを利用して平行マルチスペクトル蛍光イメージングを用いるよう構成される。図25に示されるように、全スペクトル領域で蛍光分子を励起させるのに放射線ライン134が用いられ、ライン蛍光画像262を多数のラインスキャンイメージングセンサ266に分散させるのに色分散素子264が用いられる。このシステムは、側面からの照明または共焦点的な照明を用いて実現可能なものである。本発明のこの実施形態によれば、マルチバンドフィルタセット268を用いて多数の蛍光分子を励起および検出する。図26に示されるように、複数のセンサ266の各々を狭帯域スペクトル領域にマッピングする。センサ266は、リニアラインスキャンCCDまたはTDIラインスキャンCCDなどのイメージングセンサであってもよい。本願明細書では、センサを検出器とも呼ぶ。
【0092】
図27に示されるように、本発明のさらにもうひとつの実施形態によれば、マルチライン照明法を用いるよう走査システムアーキテクチャを構成することができる。このシステムは、側面からの照明または共焦点的な照明を用いて実現可能なものである。ここで、各ライン268は、たとえば、異なる蛍光分子を励起するなど、異なる波長で試料領域を励起する。こうして得られるマルチライン蛍光画像を、多数のラインスキャンイメージングセンサ266を用いて検出器266で集める。各センサ266は、対応した蛍光画像を生成する。スペクトル領域の異なる蛍光はすでに空間的に分離されているため、色分散素子264は不要である。マルチノッチフィルタ270を用いて、残りのレイリー散乱放射線およびラマン散乱放射線を効果的に遮断する。
【0093】
さらに、図27のシステムで色分散素子を使用する場合、スペクトル分解能のさらに高い画像を集めることが可能である。図28に示されるように、図中の各センサ群266は、単一の統合画像を生成するためのTDIモードでも動作可能である。これによって、階層的なスペクトル分解能の画像が得られる。
【0094】
この走査システムアーキテクチャは、異なるスペクトル領域で多数の染料の蛍光を同時に励起するよう設計可能なものである。一例としてのアーキテクチャに、図25のシステムに用いられている複数の色に対してライン1本あるいは、図27のシステムに用いられている複数の色に対して間隔をあけた複数のラインのものがある。放射線源は、マルチバンド励起フィルタ付きの白色光ランプであってもよいし、多数のレーザの組み合わせであってもよい。たとえば、多数のレーザの組み合わせを放射線源として用いるのであれば、図25のシステムにおけるマルチバンドフィルタセット268の励起フィルタは必要ない。また、照明は、図24に示すような共線的な照明(集光時に照明が同一の対物レンズ138を共有)であってもよく、または、図28に示すようなスライド照明(暗視野)であってもよい。共線的な照明にはマルチバンドダイクロイックビームスプリッタ136(図25に示される)を利用し、側面からの照明の実施形態ではこれを省略することができる。同じく図25に示されるように、多バンドフィルタセット82のマルチバンドエミッションフィルタ272を利用して、蛍光バンドだけを通過させて励起放射線を選択的に遮断することができる。多数のレーザを含む照明の場合、マルチノッチフィルタ270も蛍光バンドだけを通過させて励起放射線を選択的に遮断するのに利用できる。これによって、なお一層効率的な蛍光検出が行われる。
【0095】
本発明の特定の実施形態によれば、エミッションフィルタ272を画像センサ266と一体化することが可能である。一例としての位置関係を図29に示す。遮断性のマルチバンド照明および多数のレーザ照明の同図とは異なる位置関係を、それぞれ図30(a)および図30(b)に示す。
【0096】
本発明の装置または方法は、試料の二次元エリアの画像を得るのに特に有用である。よって、必要があれば、試料の3つの寸法方向のうちの2つで画像を得ることに検出を実質的に制限することが可能である。こうして、興味の対象である試料表面の画像を検出または画像化することができる。特に関係のある試料のひとつがマイクロアレイである。本発明を用いると、マイクロアレイの表面を検出または画像化し、マイクロアレイの1つまたは複数の特性を判断することができる。検出可能なマイクロアレイの一例としての特性に、標識の有無、特定のプローブが存在する場所などの特定の場所での標識の局在、あるいは特定波長または波長範囲での放射線の放出などの標識の特別な特徴があるが、これに限定されるものではない。
【0097】
このようなマイクロアレイの特性の検出は、マイクロアレイと接触する試料中における特定の標的分子の有無を判断するのに利用できる。これは、たとえば、マイクロアレイの特定のプローブへの標識された標的検体の結合に基づいて、あるいは、プローブ位置で標識を取り込み、除去または変化させる特定のプローブの標的依存性修飾によって判断可能である。マイクロアレイを用いる標的の同定またはキャラクタライズには、たとえば、米国特許出願公開第2003/0108867号明細書、同第2003/0108900号明細書、同第2003/0170684号明細書、同第2003/0207295号明細書または同第2005/0181394号明細書(いずれも本願明細書に参照により援用する)に記載されているようないくつかのアッセイのうちのどれを利用してもよい。
【0098】
たとえばマイクロアレイ上に存在する場合に本発明によって検出可能な一例としての標識としては、発色団;発光団;フルオロフォア;光学的にコードされるナノ粒子;回折格子でコードされる粒子;Ru(bpy)268+などの電気化学発光標識;または光学的な特徴に基づいて検出可能な部分があげられるが、これに限定されるものではない。本発明において有用なフルオロフォアとしては、たとえば、蛍光ランタニド錯体(ユーロピウムおよびテルビウムのものを含む)、フルオレセイン、ローダミン、テトラメチルローダミン、エオシン、エリトロシン、クマリン、メチル−クマリン、ピレン、マラカイトグリーン、Cy3、Cy5、スチルベン、ルシファーイエロー、カスケードブルー(商標)、テキサスレッド、アレクサ(alexa)染料、フィコエリシン、ボディピー(bodipy)、さらには、ホグランド(Haugland)、Molecular Probes Handbook,(オレゴン州ユージーン)第6版;シンセゲン(Synthegen)カタログ(テキサス州ヒューストン)、ラコウィッツ(Lakowicz)、Principles of Fluorescence Spectroscopy,第2版、プレナム・プレス・ニューヨーク(Plenum Press New York)(1999年)または国際公開第98/59066号パンフレット(各々本願明細書に参照により援用する)記載されているものなどの当該技術分野において周知の他のフルオロフォアがある。
【0099】
たとえば、本願明細書の他の部分に記載したものをはじめとして、当該技術分野において周知の多岐にわたるマイクロアレイのいずれも本発明における試料として利用可能である。典型的なマイクロアレイは、フィーチャとも呼ばれることがある対象部位を含み、その各々がプローブの集団を有する。各対象部位におけるプローブの集団は一般に、単一種のプローブを有する同種のものであるが、いくつかの実施形態では、この集団が各々異種のものであってもよい。アレイの対象部位またはフィーチャは一般に離散的であり、互いに間隔をあけて分離されている。プローブ対象部位のサイズおよび/または対象部位間の間隔については、アレイを、高密度、中密度または低めの密度にできるような方法で変更可能である。高密度アレイとは、対象部位が約15μm未満の間隔で離れていることを特徴とするものである。中密度アレイでは対象部位が約15から30μmの間隔で離れており、低密度アレイでは対象部位が30μmよりも広い間隔で離れている。本発明において有用なアレイは、100μm、50μm、10μm、5μm、1μmまたは0.5μm未満の間隔で離れた対象部位を有するものであってもよい。本発明の装置または方法を利用すれば、上述した密度または密度範囲で対象部位を区別できるだけの十分な分解能でアレイを画像化することが可能である。
【0100】
以上、マイクロアレイを試料として用いる場合について本発明について例示してきたが、上述した密度でフィーチャまたは対象部位を有する他の試料を上述した分解能で画像化することも可能であることは理解できよう。一例としての他の試料としては、細胞または組織などの生物学的試験片、コンピュータプロセッサに用いられているものなどの電子チップなどがあげられるが、これに限定されるものではない。マイクロアレイまたは他の試料を本発明の装置の試料領域に設置するには、本願明細書の他の場所で説明したような試料ステージにこれを配置すればよい。
【0101】
本発明の装置にはさらに、矩形の検出器アレイに作動的に結合されているか、あるいは矩形の検出器アレイからデータを得るように構成されたプロセッサを含むことが可能である。この場合、プロセッサは、画像に対して複数の機能を実行するよう構成される。プロセッサは、プログラムされたものであるか、そうでなければ、イメージングデータの解析に関与する1つまたは複数のプログラムモジュールにアクセスできる、従来のまたは汎用のコンピュータシステムを含み得る。本発明において有用な一例としてのコンピュータシステムには、インテル(Intel)(登録商標)製、IBM(登録商標)製またはモトローラ(Motorola)(登録商標)製のマイクロプロセッサを搭載したものなどのパーソナルコンピュータシステム、あるいは、スパーク(SPARC)(登録商標)ワークステーションまたはユニックス(UNIX)(登録商標)ワークステーションなどのワークステーションがあるが、これに限定されるものではない。有用なシステムとしては、マイクロソフト(Microsoft)(登録商標)ウィンドウズ(Windows)(登録商標)、ユニックス(UNIX)(登録商標)またはリナックス(LINUX)(登録商標)オペレーティングシステムを用いたものがあげられる。また、本願明細書に記載のシステムおよび方法を、クライアントサーバーシステムまたはインターネットなどの広域ネットワーク上で動作するよう実装することも可能である。
【0102】
このプロセッサを、クライアントまたはサーバーのいずれかとして動作するよう構成されたコンピュータシステムに含むことが可能である。プロセッサは、1つまたは複数のプログラムモジュールに含まれる指示を実行することができる。試料または試料領域の画像あるいは、試料または試料領域の解析結果などの1つまたは複数のプログラムモジュールからの結果を、グラフィカルユーザインタフェース経由でユーザに伝えることができる。たとえば、プロセッサに作動的に結合されたモニタまたは印刷装置を介して結果を伝えることが可能である。このように、アレイまたは他の試料の画像をグラフィカルユーザインタフェース経由でユーザに提供することができる。
【0103】
本発明の特定の態様によれば、いくつかの利点が実現される。本発明のシステムは、他の技術よりも高速に試料を走査し、コストを下げてデータ品質を改善する。具体的には、本発明の読み出し速度は従来のTDIシステムと比較してn倍に増加する。共焦点性については1つまたは複数の軸で実現可能である。加えて、本発明は、光学的アライメントのドリフトに対する感度が低くなる。
【0104】
さらに、本発明は、マルチバンドフィルタを用いた多数の蛍光分子の同時励起/検出の利点と、同じ試料についての多数のラインスキャンイメージングセンサによる並列読み出しの利点を組み合わせる。本発明は、マルチスペクトル蛍光画像を高速に同時生成することができる。特定の実施形態では、本発明の方法の装置によって、少なくとも約0.01mm2/秒の速度で試料を走査することができる。本発明の特定の用途次第では、たとえば、走査される面積に関して、少なくとも約0.02mm2/秒、0.05mm2/秒、0.1mm2/秒、1mm2/秒、1.5mm2/秒、5mm2/秒、10mm2/秒、50mm2/秒または100mm2/秒またはさらに高速な速度をはじめとして、さらに高速の走査速度を利用できる。必要があれば、たとえば、ノイズを減らすために、走査速度の上限を約0.05mm2/秒、0.1mm2/秒、1mm2/秒、1.5mm2/秒、5mm2/秒、10mm2/秒、50mm2/秒または100mm2/秒とすることができる。また、走査速度については、画像と検出器とのスキャン軸(垂直)寸法方向への相対移動率に関して測定することも可能であり、これは、たとえば、少なくとも約0.1mm/秒、0.5mm/秒、1mm/秒、10mm/秒、または100mm/秒であってもよい。繰り返すが、ノイズを減らすために、走査速度の上限を約0.5mm/秒、1mm/秒、10mm/秒または100mm/秒とすることができる。要するに、本発明を利用して、マルチスペクトル蛍光撮像装置を構成することが可能であり、これは他のイメージングシステムよりも効率的かつコスト効率の高いものである。
【0105】
以下、本願明細書で使用する用語について説明するが、これらの用語は後述の意味を持つことを意図している。
【0106】
本願明細書において使用する場合、「放射線源」という用語は、伝搬される電磁エネルギの起源または生成器を意味することを意図している。この用語には、紫外線(UV)範囲(約200から390nm)、可視光(VIS)範囲(約390から770nm)または赤外線(IR)範囲(約0.77から25ミクロン)あるいは他の範囲の電磁スペクトルで電磁放射を生成する照明源を含むことができる。放射線源には、たとえば、アーク灯または石英ハロゲンランプなどのランプ、あるいは、固体レーザまたはガスレーザなどのレーザあるいは、LED/単一モードファイバシステムなどのLEDを含むことができる。
【0107】
本願明細書において使用する場合、「励起放射線」という用語は、試料または試料領域に向かって伝搬される電磁エネルギを意味することを意図している。励起放射線は、エネルギの吸収、反射、蛍光放出または発光を含むがこれに限定されるものではない、試料からの多岐にわたる応答のうちのいずれかを誘導する形を取り得る。
【0108】
本願明細書において使用する場合、「試料領域」という用語は、検出対象となる場所を意味することを意図している。この場所としては、たとえば、検出対象となる物体を支持または含有するよう構成された支持体装置内、装置上、装置付近が考えられる。試料は、試料領域から試料が除去可能な方法で試料領域を一時的に占めるものであってもよく、または、永久的に占めるものであってもよい。たとえば、試料領域には、並進ステージ上または並進ステージ付近の場所が可能であるが、この場所はマイクロアレイが並進ステージ上に配置されるとこのアレイによって占有される。
【0109】
本願明細書において使用する場合、「検出器アレイ」という用語は、接触されたフォトンのエネルギを電気応答に変換するいくつかの素子を有するデバイスまたは装置を意味することを意図している。一例としての検出器アレイに、電荷結合素子(CCD)がある。この場合、素子は、衝突するフォトンに応答して電荷を蓄積する感光性電荷収集対象部位である。検出器アレイの別の例として、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)検出器アレイ、アバランシェフォトダイオード(APD)検出器アレイまたはガイガーモードのフォトンカウンター検出器アレイがあげられるが、これに限定されるものではない。検出器アレイの素子は、多岐にわたる配置のいずれをとるものであってもよい。たとえば、矩形の検出器アレイは、直交する形で二次元配置された素子を有し、「水平の」寸法方向と呼ばれる第1の寸法方向のほうが、「垂直の」寸法方向と呼ばれる第2の寸法方向よりも長い。正方形の検出器アレイは、直交する形で二次元配置された素子を有し、この配置の第1の寸法方向と第2の寸法方向とが同一の長さである。
【0110】
本願明細書において使用する場合、「矩形画像」という用語は、水平の寸法方向が垂直の寸法方向よりも長い直交する二次元の領域内に発生する試料または試料の一部についての光学的に形成される表示を意味することを意図している。矩形画像は、試料領域から発生している画像全体を表すものであってもよく、あるいは、さらに大きな画像の矩形の一部であってもよく、この場合のさらに大きな画像は多岐にわたる形状のうちのどのような形状のものであってもよい。
【0111】
本願明細書において使用する場合、「走査デバイス」という用語は、試料の異なる部分を次々と検出できるデバイスを意味することを意図している。走査デバイスは、たとえば、試料、放射線源、励起放射線を試料に導く光学デバイス、試料から発生している放射線を導く光学デバイスまたは検出器アレイを含む、検出装置の1つまたは複数のコンポーネントの位置を変化させることで、動作可能である。一例としての走査デバイスには、試料を横切って放射線の光線またはラインを移動させるよう構成された検流計あるいは、放射線のラインまたは光線を横切って試料を移動させるよう構成された並進ステージがあるが、これに限定されるものではない。
【0112】
本願明細書において使用する場合、「レイリー分解能」という用語は、以下の式におけるRRである。
RR=((1.22)(λ)(f))/D
式中、λは波長、fは焦点距離、Dは検出対象となる2つの物体間の距離である。この用語は、たとえば、ヘクト(Hecht)、オプティクス(Optics)、第4版、アディソン・ウィズレー(Addison Wesley)、ボストン、マサチューセッツ州(2001年)(本願明細書に参照により援用する)に記載されているようなオプティクスの当該技術分野における使用法と一致することを意図している。
【0113】
本願明細書において使用する場合、「倍率」という用語は、物体のサイズとその物体の画像のサイズとの比を意味することを意図している。たとえば、試料領域(すなわち物体)のサイズと検出器アレイでの試料領域の画像のサイズとの比から倍率を求めることができる。対物レンズおよびプロジェクションレンズを含むシステムでは、対物レンズの焦点距離とプロジェクションレンズの後側焦点距離との比から倍率を求めることができる。
【0114】
本願明細書において使用する場合、「放射線ライン」という用語は、一定方向で伝搬される電磁波または粒子の集合を意味することを意図しており、伝搬方向に直交する二次元の断面は矩形または楕円形である。放射線ラインの一例としての二次元断面には、矩形、楕円形(elliptical)または長円形状があるが、これに限定されるものではない。放射線ラインの断面幅については、一方または両方の寸法方向を、たとえば、約0.05μmから約10μmの範囲とすることができる。たとえば、放射線ラインの寸法方向を、少なくとも約0.05μm、0.1μm、0.5μm、1μm、5μmまたは10μmにすることができる。さらに、放射線ラインの寸法方向を、たとえば、最大で約0.1μm、0.5μm、1μm、5μmまたは10μmにすることができる。これらの寸法方向は単に一例であり、必要があれば他の寸法方向を有する放射線ラインを用いてもよいことは理解できよう。
【0115】
本願明細書において使用する場合、「ライン生成器」という用語は、ラインの水平軸に沿って実質的に一様な強度分布で、伝搬の光軸に垂直な平面で回折限界またはほぼ回折限界の放射線ラインを生成するよう構成される光学素子を意味することを意図している。一例としてのライン生成器には、角度一様性のある一次元拡散板、円柱マイクロレンズアレイ、回折素子またはパウエルレンズなどの非球面屈折レンズがあるが、これに限定されるものではない。角度一様性のある一次元拡散板または円柱マイクロレンズアレイは、放射線を集光装置に導くよう配置してもよい。
【0116】
本願明細書において使用する場合、「ビームスプリッタ」という用語は、放射光線の第1の部分を通過させ、その光線の第2の部分を反射する光学素子を意味することを意図している。たとえば、ビームスプリッタを、第1の波長範囲の放射線を選択的に通過させ、第2の異なる放射線範囲の放射線を反射するよう構成することができる。蛍光検出に利用する場合、ビームスプリッタは一般に、波長の短い励起放射線を反射し、波長が長めの放出放射線を透過する。
【0117】
本願明細書において使用する場合、「外部瞳」という用語は、対物レンズに関して用いられ、対物レンズの背面開口への入射瞳は、励起光線の経路における対物レンズの物理的な寸法方向よりも後ろである。
【0118】
本願明細書において使用する場合、「エキスパンダ」という用語は、放射光線の直径およびコリメーションを調節するよう構成された1つまたは複数の光学素子を意味することを意図している。たとえば、エキスパンダを、少なくとも2倍、5倍、10倍またはこれよりも多くなど、所望の量だけ放射光線の直径を大きくするよう構成することができる。エキスパンダの光学素子には、たとえば、1つまたは複数のミラーまたはレンズを含むことができる。
【0119】
本願明細書において使用する場合、「プロジェクションレンズ」という用語は、物体の画像を検出器に転送するよう構成された光学素子を意味することを意図している。たとえば、対物レンズから発生している画像を検出器アレイに転送するようにレンズを配置することが可能である。
【0120】
本願明細書において使用する場合、「光学フィルタ」という用語は、波長依存的、偏光依存的または周波数依存的な方法で、放射線の経路を選択的に通過または排除するデバイスを意味することを意図している。この用語には、さまざまな層からの反射間の建設的干渉または相殺的干渉に応じて多数の誘電体層が放射線を通過または反射させる干渉フィルタを含むことができる。干渉フィルタは、当該技術分野においてはダイクロイックフィルタまたは誘電体フィルタとも呼ばれる。この用語には、吸収による選択的波長または波長範囲を有する放射線の通路を妨害する吸収フィルタを含むことができる。吸収フィルタとしては、たとえば、着色ガラスまたは液体があげられる。
【0121】
本発明において用いられるフィルタは、たとえば、バンドパス、ショートパスおよびロングパスをはじめとする、1つまたは複数の特定のフィルタ透過特性を持つことがある。バンドパスフィルタは、放射線最大透過率(Tmax)の中心波長と帯域幅によって定義される波長範囲の放射線を選択的に通過させ、この範囲から外れる放射線の通路を遮断する。Tmaxは、中心波長で透過される放射線の割合を定義するものである。帯域幅は一般に、Tmaxの半分の透過値でフィルタを通過する波長の範囲である半値全幅(FWHM)として表される。本発明において有用なバンドパスフィルタは、FWHMが10ナノメートル(nm)、20nm、30nm、40nmまたは50nmであってもよい。ロングパスフィルタは、Tmaxとカットオン波長とで定義されるような高めの波長の放射線を選択的に通過させる。カットオン波長とは、放射線の透過量がTmaxの半分になる波長のことである。波長がカットオン波長よりも増すにつれて透過率が高くなり、波長がカットオン波長よりも小さくなるにつれて透過率が下がる。ショートパスフィルタは、Tmaxとカットオフ波長とで定義されるような低めの波長の放射線を選択的に通過させる。カットオフ波長とは、放射線の透過量がTmaxの半分になる波長のことである。波長がカットオフ波長よりも増すにつれて透過率が低くなり、波長がカットオフ波長よりも小さくなるにつれて透過率が上がる。本発明のフィルタは、Tmaxが50〜100%、60〜90%または70〜80%であってもよい。
【0122】
本願明細書において使用する場合、「マイクロアレイ」という用語は、異なるプローブ分子を相対位置に応じて互いに区別できるような方法で、1つまたは複数の基板に結合した、異なるプローブ分子の集合を示す。アレイには、基板上のアドレス指定可能な異なる場所に位置する、異なるプローブ分子またはプローブ分子の集合を含み得る。あるいは、マイクロアレイには、基板が結合される表面上の基板の場所に応じて、あるいは、液体中での基板の場所に応じて同定可能な異なるプローブ分子またはプローブ分子の集合を各々が持つ別個の基板を含み得る。表面上に別個の基板があるアレイの例としては、特に限定することなく、イルミナ・インコーポレイテッド(Illumina(登録商標),Inc.)(カリフォルニア州サンディエゴ)から入手可能なセントリックス(Sentrix)(登録商標)アレイまたはセントリックス(Sentrix)(登録商標)ビーズチップアレイあるいは、米国特許第6,266,459号明細書、同第6,355,431号明細書、同第6,770,441号明細書、同第6,859,570号明細書、PCT出願国際公開第00/63437号パンフレット(各々本願明細書に参照により援用する)に記載されているものなどのウェル内のビーズをはじめとする他のアレイがあげられる。表面上に粒子のある他のアレイとして、米国特許出願公開第2005/0227252号明細書、国際公開第05/033681号パンフレットおよび同第04/024328号パンフレットに記載されているものがあげられる。
【0123】
本発明で利用できる商業入手可能なマイクロアレイのさらに別の例としては、たとえば、アフィメトリックス(登録商標)社のジーンチップ(GeneChip)(登録商標)マイクロアレイあるいは、たとえば米国特許第5,324,633号明細書、同第5,744,305号明細書、同第5,451,683号明細書、同第5,482,867号明細書、同第5,491,074号明細書、同第5,624,711号明細書、同第5,795,716号明細書、同第5,831,070号明細書、同第5,856,101号明細書、同第5,858,659号明細書、同第5,874,219号明細書、同第5,968,740号明細書、同第5,974,164号明細書、同第5,981,185号明細書、同第5,981,956号明細書、同第6,025,601号明細書、同第6,033,860号明細書、同第6,090,555号明細書、同第6,136,269号明細書、同第6,022,963号明細書、同第6,083,697号明細書、同第6,291,183号明細書、同第6,309,831号明細書、同第6,416,949号明細書、同第6,428,752号明細書および同第6,482,591号明細書(各々、本願明細書に参照により援用する)に記載されているようなVLSIPS(商標)(超大規模固定化ポリマー合成)技術と呼ばれることもある技法に基づいて合成される他のマイクロアレイがあげられる。スポット法で作製されたマイクロアレイも本発明の方法に利用することが可能である。スポット法で作製されたマイクロアレイの一例として、アマシャム・バイオサイエンシーズ(Amersham Biosciences)から入手可能なコードリンク(CodeLink)(商標)アレイがある。本発明において有用なもうひとつのマイクロアレイに、アジレント・テクノロジーズ(Agilent Technologies)から入手可能なシュアプリント(SurePrint)(商標)技術などのインクジェット印刷法を用いて製造されるものがある。本発明において利用可能な他のマイクロアレイとしては、特に限定することなく、ビュット(Butte)、ネイチャー・レビューズ・ドラッグ・ディスカバリー(Nature Reviews Drug Discov.)1:951〜60(2002年)または米国特許第5,429,807号明細書、同第5,436,327号明細書、同第5,561,071号明細書、同第5,583,211号明細書、同第5,658,734号明細書、同第5,837,858号明細書、同第5,919,523号明細書、同第6,287,768号明細書、同第6,287,776号明細書、同第6,288,220号明細書、同第6,297,006号明細書、同第6,291,193号明細書、同第6,514,751号明細書、および国際公開第93/17126号パンフレット、同第95/35505号パンフレット(各々本願明細書に参照により援用する)に記載されているものがあげられる。
【0124】
本願明細書において使用する場合、「時間遅延積分」または「TDI」という用語は、検出器アレイの素子からなる、異なるサブセットによる、試料の異なる部分の順次検出を意味することを意図しており、素子のサブセット間での電荷移動が、画像化対象となる試料の視運動と同期した速度かつ同一方向に行われる。たとえば、TDIを実施するには、試料の仮現運動と一致しておりこれと同期した多量の線状アレイを用いて、フレーム転送装置によって試料の連続したビデオ画像が生成されるような方法で試料を走査すればよい。この方法では、画像があるラインから次のラインに移動すると、蓄えられた電荷もそれに伴って移動する。電荷の蓄積については、電荷の列が検出器の一端からシリアルレジスタ(またはフレーム転送CCDの場合はデバイスの保存エリア)に移動するのに必要な時間全体にわたって統合(integrate)可能である。
【0125】
本願明細書において使用する場合、「集光アーム」という用語は、試料領域からの放射線を検出器に導くような位置にある光学部品または一組の光学部品を意味することを意図している。
【0126】
本願明細書では、本発明の特定の特徴についてのみ図示し説明してきたが、当業者であれば多くの改変および変更を施すことになろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の範囲内に包含されるこうした改変および変更をすべて包含することを想定したものである旨を理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】本手法の態様による、マイクロアレイを共焦点ライン走査するためのマイクロアレイ走査システムの概略図である。
【図2】画像化対象となる対象部位が位置するマイクロアレイの領域に向かって放射線ラインが導かれる様子を例示的に示す、マイクロアレイの一部の斜視図である。
【図3】本手法により、マイクロアレイ上の対象部位を画像化するための共焦点放射線ラインで照明されるマイクロアレイの一部についての一層詳細な図である。
【図4】本手法の態様による、アレイ上の対象部位を共焦点的に照射し、検出器に対して放射線を共焦点的に返す目的でマイクロアレイ表面に向かって導かれる合成放射線ラインの斜視図である。
【図5】本手法によってマイクロアレイの対象部位を同様に照射するためにラインに沿って共焦点的に導かれる放射線の一連の光線を示す同様の斜視図である。
【図6】レーザの出力をマイクロアレイの共焦点ライン走査用の放射線ラインに変換するための手法を示す側面図である。
【図7】レーザ出力を本件の共焦点ライン走査手法に用いられる放射線ラインに変換することについての同様の上面図である。
【図8】図6および図7に示す配置で生成される放射線ラインの強度特性についてのグラフ表示である。
【図9】レーザ出力を本発明による共焦点ライン走査用の放射線ラインに変換するのに用いられるモジュール状配置の第1の一例としての構成を示す図である。
【図10】レーザ出力を本発明による放射線ラインに変換するための別の配置である。
【図11】レーザ出力を本発明による放射線ラインに変換するためのさらに別の配置である。
【図12】レーザ出力を変換して放射線を整列配置させるためのさらにもうひとつの構成である。
【図13】本発明で使用するのに適した一例としてのライン生成器モジュールの断面図である。
【図14】出力がマイクロアレイの共焦点ライン走査用に合成される2本のレーザ光線を含む走査システムの概略図である。
【図15】マイクロアレイの多波長共焦点ライン走査用の別の配置の概略図である。
【図16】マイクロアレイの多波長共焦点ライン走査用の現段階で想定されている実現例の光学機械図である。
【図17】特に、イメージングで用いられる放射線ラインに対してマイクロアレイ(micorarray)上の特定タイプの対象部位のレイアウトで潜在的なクロストークを低減することで本発明の共焦点ライン走査が精度をいかに改善するかを示す、生物学的マイクロアレイ上の一連の個別対象部位の概略図である。
【図18】本発明で使用するのに適している場合がある一例としての放射線ライン生成器の概略図である。
【図19】本発明で使用するのに適している場合がある一例としての放射線ライン生成器の概略図である。
【図20】本発明で使用するのに適している場合がある一例としての放射線ライン生成器の概略図である。
【図21】本発明で使用するのに適している場合がある一例としての放射線ライン生成器の概略図である。
【図22】本発明で使用するのに適している蛍光イメージングシステムにおけるライン生成器の概略図である。
【図23】本発明で使用するのに適している蛍光イメージングシステムにおけるライン生成器の概略図である。
【図24a】本発明の特定の態様による、ラインスキャンカメラに投影されたレーザスポットならびに、ビニングおよびTDIの実現例を示す図である。
【図24b】本発明の特定の態様による、ラインスキャンカメラに投影されたレーザスポットならびに、ビニングおよびTDIの実現例を示す図である。
【図24c】本発明の特定の態様による、ラインスキャンカメラに投影されたレーザスポットならびに、ビニングおよびTDIの実現例を示す図である。
【図25】本発明の態様によるマルチスペクトル蛍光イメージングを行うよう構成された画像走査システムの概略図である。
【図26】図25に示されるシステムで用いられる一例としてのラインスキャンイメージングセンサのブロック図である。
【図27】マルチスペクトル蛍光イメージングを行うよう構成された他の画像走査システムの概略図である。
【図28】図27に示されるシステムで用いられる一例としてのラインスキャンイメージングセンサのブロック図である。
【図29】本発明で用いられる一例としてのラインスキャンイメージング検出器のブロック図である。
【図30a】本発明で用いられる他の一例としてのラインスキャンイメージング検出器のブロック図である。
【図30b】本発明で用いられる他の一例としてのラインスキャンイメージング検出器のブロック図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)試料領域の少なくとも一部に励起放射線を送るよう配置された放射線源と、
(b)矩形の検出器アレイと、
(c)前記一部についての矩形画像を前記矩形の検出器アレイまで導くよう配置されたイメージングオプティクスと、
(d)前記試料領域をスキャン軸の寸法方向に走査するよう構成された走査デバイスと、を含み、この走査によって前記矩形の検出器アレイで矩形画像を形成する前記試料領域の一部が入れ替わり、
前記矩形の検出器アレイの2つの矩形の寸法方向のうち短いほうと、前記画像の2つの矩形の寸法方向のうち短いほうが、前記スキャン軸の寸法方向にあり、
前記矩形の検出器アレイの2つの矩形の寸法方向のうち前記短いほうが、前記矩形の検出器アレイの単軸で共焦点性を実現できるだけの十分な短さであり、前記単軸が、前記矩形の検出器アレイの2つの矩形の寸法方向のうち前記短いほうである、イメージング装置。
【請求項2】
前記矩形の検出器アレイの2つの矩形の寸法方向のうち前記短いほうと、イメージングオプティクスのレイリー分解能にイメージングオプティクスの倍率を掛けた積との比が、0.1から10の範囲内にある、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記放射線源からの励起放射線を受け、かつ、放射線ラインを前記試料領域に送るよう位置決めされたライン生成器をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記放射線ラインを受けて前記試料領域を照明するよう位置決めされた対物レンズをさらに含む、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記イメージングオプティクスが前記対物レンズを含み、前記対物レンズがさらに、前記試料領域から発生している放射線を集めるよう位置決めされ、前記試料領域から発生している前記放射線が、前記矩形の検出器アレイに導かれる前記矩形画像を形成する、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記放射線ラインを前記試料領域から発生している前記放射線から分離し、前記試料領域から発生している前記放射線を矩形の検出器アレイに導光するよう位置決めされたビームスプリッタをさらに含む、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記対物レンズが、前記放射線ラインを受けて前記試料領域を照明するよう位置決めされた外部瞳を有する、請求項4に記載の装置。
【請求項8】
前記放射線源からの励起放射線を受け、かつ、前記放射線の拡大光線を前記ライン生成器に送るよう位置決めされた第1のエキスパンダをさらに含む、請求項4に記載の装置。
【請求項9】
前記ライン生成器から前記励起放射線を受け、かつ、前記放射線の拡大光線を前記対物レンズに送るよう位置決めされた第2のエキスパンダをさらに含み、前記第2のエキスパンダがさらに、前記放射線ラインの画角を小さくするよう構成される、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記対物レンズが、色補正と、高開口数と、テレセントリシティと、バックプレーンでの無限焦点性と、からなる群から選択される特性を有する、請求項4に記載の装置。
【請求項11】
前記ライン生成器は、全ファン角が6度であり、直径が4mm以下の入射光線を受けるよう構成される、請求項3に記載の装置。
【請求項12】
前記ライン生成器が、円柱マイクロレンズアレイと、角度一様性を有する一次元の拡散板と、非球面屈折レンズと、回折素子またはパウエルレンズと、をさらに含む、請求項3に記載の装置。
【請求項13】
前記ライン生成器が、強度分布が一様な回折限界ラインを生成するための回折素子をさらに含む、請求項3に記載の装置。
【請求項14】
前記放射線ラインの2つの矩形の寸法方向のうちの短いほうが、前記矩形の検出器アレイの単軸で共焦点性を実現できるだけの短さであり、前記単軸が、前記矩形の検出器アレイの2つの矩形の寸法方向のうち前記短いほうである、請求項3に記載の装置。
【請求項15】
前記放射線ラインの2つの矩形の寸法方向のうちの短いほうと、2つの矩形の寸法方向のうちの前記短いほうをイメージングオプティクスの倍率で割った商との比が、0.1から10の範囲内にある、請求項3に記載の装置。
【請求項16】
前記放射線ラインの2つの矩形の寸法方向のうちの短いほうとイメージングオプティクスのレイリー分解能との比が、0.1から10の範囲内にある、請求項3に記載の装置。
【請求項17】
前記放射線ラインの2つの矩形の寸法方向のうちの短いほうの1/e^2幅と、前記矩形の検出器アレイの2つの矩形の寸法方向のうち前記短いほうをイメージングオプティクスの倍率で割った商との比が、0.5から2の範囲にある、請求項3に記載の装置。
【請求項18】
前記試料領域から発生している放射線を集めるよう位置決めされたプロジェクションレンズをさらに含み、前記試料領域から発生している前記放射線が、前記矩形の検出器アレイに導かれる前記矩形画像を形成する、請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記試料領域から発生している放射線を集めるよう位置決めされたバンドパスフィルタをさらに含み、前記試料領域から発生している前記放射線が、前記矩形の検出器アレイに導かれる前記矩形画像を形成する、請求項1に記載の装置。
【請求項20】
前記試料領域から発生している放射線を集めるよう位置決めされたエミッションフィルタをさらに含み、前記試料領域から発生している前記放射線が、前記矩形の検出器アレイに導かれる前記矩形画像を形成する、請求項1に記載の装置。
【請求項21】
試料を前記試料領域に供給するよう位置決めされた並進ステージをさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項22】
前記並進ステージが、前記試料を前記スキャン軸の寸法方向に動かすよう構成される、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記並進ステージに支持されるマイクロアレイをさらに含み、これによって前記アレイが前記試料領域に供給される、請求項21に記載の装置。
【請求項24】
前記矩形の検出器アレイが、TDI(時間遅延積分)動作用に構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項25】
前記矩形の検出器アレイが、ラインスキャンCCDカメラ、CMOS検出器アレイ、アバランシェフォトダイオード(APD)アレイまたはガイガーモードのフォトンカウンターアレイを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項26】
前記矩形の検出器のアスペクト比が20よりも大きい、請求項1に記載の装置。
【請求項27】
前記放射線源が少なくとも1種のレーザを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項28】
前記試料領域から発生している放射線を集めるよう位置決めされた多数の集光アームを含み、前記試料領域から発生している前記放射線が、多数の矩形の検出器アレイに導かれる多数の矩形画像を形成する、請求項1に記載の装置。
【請求項29】
前記装置が、0.2から10マイクロメートルのレイリー分解能を有する前記試料の画像を得るよう構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項30】
試料の画像を得る方法であって、
(a)試料の少なくとも第1の部分を、前記第1の部分から放射線が発せられる条件下で励起放射線と接触させるステップと、
(b)前記第1の部分から発せられている前記放射線を導いて、矩形の検出器アレイで前記第1の部分の矩形画像を形成するステップと、
(c)前記試料領域をスキャン軸の寸法方向に走査するステップであって、ステップ(a)と(b)とを繰り返し、前記矩形の検出器アレイで前記試料の第2の部分の矩形画像を形成するステップと、を含み、
前記矩形の検出器アレイの2つの矩形の寸法方向のうち短いほうと、前記画像の2つの矩形の寸法方向のうち短いほうが、前記スキャン軸の寸法方向にあり、
前記矩形の検出器アレイの2つの矩形の寸法方向のうち前記短いほうが、前記矩形の検出器アレイの単軸で共焦点性を実現できるだけの十分な短さであり、前記単軸が、前記矩形の検出器アレイの2つの矩形の寸法方向のうち前記短いほうである、方法。
【請求項31】
前記矩形の検出器アレイの2つの矩形の寸法方向のうち前記短いほうと、前記矩形画像のレイリー分解能に矩形画像の倍率を掛けた積との比が、0.1から10の範囲内にある。請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記試料の少なくとも一部と接触する前記励起放射線が放射線ラインを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記放射線ラインの2つの矩形の寸法方向のうちの短いほうが、前記矩形の検出器アレイの単軸で共焦点性を実現できるだけの短さであり、前記単軸が、前記矩形の検出器アレイの2つの矩形の寸法方向のうち前記短いほうである、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記放射線ラインの2つの矩形の寸法方向のうちの短いほうと、前記矩形の検出器アレイの2つの矩形の寸法方向のうち前記短いほうを倍率で割った商との比が、0.1から10の範囲内にある、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記放射線ラインの2つの矩形の寸法方向のうちの短いほうの1/e^2幅と、前記矩形の検出器アレイの2つの矩形の寸法方向のうち前記短いほうを倍率で割った商との比が、0.5から2の範囲内にある、請求項30に記載の方法。
【請求項36】
前記試料を前記走査するステップが、前記試料を動かすことによって前記矩形画像と前記矩形の検出器アレイとの相対位置を前記スキャン軸の寸法方向に変化させるステップを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項37】
前記走査するステップがTDI(時間遅延積分)を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項38】
前記矩形の検出器アレイの2つの矩形の寸法方向のうち短いほうにおけるすべての画素素子が共通のビンに集められ、単一の値として読み出される、請求項30に記載の方法。
【請求項39】
前記励起放射線が、UV放射と、VIS放射と、IR放射と、からなる群から選択される範囲の放射線を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項40】
前記試料の前記画像のデータ表示をコンピュータ読取可能なメモリに格納するステップをさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項41】
前記試料の前記画像のグラフ表示を、前記コンピュータ読取可能なメモリに作動的に接続されたモニタに表示するステップをさらに含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記試料が複数の個別対象部位を有するマイクロアレイを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項43】
前記個別対象部位同士が、0.1から50マイクロメートルの範囲の距離だけ離れている、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記個別対象部位同士を区別することをさらに含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記試料の前記画像が0.2から10マイクロメートルのレイリー分解能を有する、請求項30に記載の方法。
【請求項46】
単軸で共焦点性を実現するようスキャナを構成する方法であって、
(a)
(i)試料領域の少なくとも一部に励起放射線を送るよう配置された放射線源と、
(ii)矩形の検出器アレイと、
(iii)前記一部についての矩形画像を前記矩形の検出器アレイまで導くよう配置されたイメージングオプティクスと、
(iv)前記試料領域をスキャン軸の寸法方向に走査するよう構成された走査デバイスと、を含み、この走査によって前記矩形の検出器アレイで矩形画像を形成する前記試料領域の一部が入れ替わり、
前記矩形の検出器アレイの2つの矩形の寸法方向のうち短いほうと、前記画像の2つの矩形の寸法方向のうち短いほうが、前記スキャン軸の寸法方向にある装置を提供するステップと、
(b)前記矩形の検出器アレイの単軸で共焦点性を実現できるだけの十分な短さに前記矩形の検出器アレイの2つの矩形の寸法方向のうち前記短いほうを制限するよう前記矩形の検出器アレイまたは前記イメージングオプティクスを位置決めするステップと、を含み、前記単軸が、前記矩形の検出器アレイの2つの矩形の寸法方向のうち前記短いほうである、方法。
【請求項47】
レーザ光源と、
レーザ光をシングルモード伝送で伝播させるために前記レーザ光源に接続された単一モード光ファイバケーブルと、
前記レーザ光源からのレーザ光を放射線のラインに変換するためのライン照明器であって、前記レーザ光源からのレーザ光を受けるように配置されたコリメータと、前記コリメータからの平行光を前記放射線のラインに変換するための非球面レンズと、含むライン照明器と、
前記放射線のラインをマイクロアレイ表面の平面に導くための焦点調整装置と、
を含む、マイクロアレイをイメージングするためのシステム。
【請求項48】
前記ライン照明器が、前記レーザ光源からのレーザ光を、所望のライン長にわたって強度が実質的に一様な放射線のラインに変換するよう構成される、請求項47に記載のシステム。
【請求項49】
前記コリメータと前記非球面レンズとが前記モジュール内であらかじめ整列配置され、設置時に前記モジュール内でさらに整列配置をさせることなく前記モジュールを前記システムに設置できる、請求項47に記載のシステム。
【請求項50】
前記焦点調整装置が、ラインの狭い寸法方向に回折限界のある放射線の一様なラインを生成するよう構成される、請求項47に記載のシステム。
【請求項51】
前記コリメータと前記非球面レンズとの間に介在するモジュール内に配置されたレーザラインフィルタをさらに含む、請求項47に記載のシステム。
【請求項52】
前記非球面レンズがパウエルレンズである、請求項47に記載のシステム。
【請求項53】
前記非球面レンズが円柱レンズである、請求項47に記載のシステム。
【請求項54】
前記マイクロアレイ上の個別対象部位同士が、約0.1から50マイクロメートルの範囲の距離だけ離れている、請求項47に記載のシステム。
【請求項55】
前記システムが、前記個別対象部位同士を区別するよう構成される、請求項54に記載のシステム。
【請求項56】
前記システムが、約0.2から10マイクロメートルのレイリー分解能で前記マイクロアレイの画像を得られるよう構成される、請求項47に記載のシステム。
【請求項57】
前記ライン照明器が一体のコネクタを含み、前記単一モード光ファイバケーブルが、前記ライン照明器への連結用の相手方コネクタで終端される、請求項47に記載のシステム。
【請求項58】
前記単一モード光ファイバケーブルの一端が前記ライン照明器と一体的に連結される、請求項47に記載のシステム。
【請求項59】
前記単一モード光ファイバケーブルの一端が前記ライン照明器と着脱自在に連結される、請求項47に記載のシステム。
【請求項60】
一端が前記レーザ光源に連結され、他端が前記単一モード光ファイバケーブルに連結された第2の光ファイバケーブルを含む、請求項47に記載のシステム。
【請求項61】
前記第2の光ファイバケーブルが単一モード光ファイバケーブルである、請求項60に記載のシステム。
【請求項62】
前記光ファイバケーブルが光コネクタを介して互いに連結される、請求項61に記載のシステム。
【請求項63】
前記光ファイバケーブルが互いにスプライス接合される、請求項61に記載のシステム。
【請求項64】
前記単一モード光ファイバケーブルが、波長約405nm、488nm、532nmまたは633nmのレーザ光のシングルモード伝送用に構成される、請求項47に記載のシステム。
【請求項65】
レーザ光源と、
前記レーザ光源に連結された光ファイバケーブルと、
前記レーザ光源からのレーザ光を放射線のラインに変換するためのライン照明器であって、前記レーザ光源からのレーザ光を受けるように配置されたコリメータと、前記コリメータからの平行光を前記放射線のラインに変換するための非球面レンズと、含むライン照明器と、
一端が第1の単一モード光ファイバケーブルに連結され、他端が前記ライン照明器に連結された第2の光ファイバケーブルであって、これらの光ファイバケーブルのうちの少なくとも1つが単一モード光ファイバケーブルである、第2の光ファイバケーブルと、
前記放射線のラインをマイクロアレイ表面の平面に導くための焦点調整装置と、
を含む、マイクロアレイをイメージングするためのシステム。
【請求項66】
各々が所定の異なる周波数帯でレーザ光を出力するよう構成された第1および第2のレーザ光源と、
レーザ光をシングルモード伝送で伝送するための、それぞれ第1および第2のレーザ光源に連結された第1および第2の単一モード光ファイバケーブルと、
前記それぞれのレーザ光源からのレーザ光を放射線のラインに変換するための、それぞれ前記第1および第2の単一モード光ファイバケーブルに連結された第1および第2のライン照明器であって、各々が、前記レーザ光源からのレーザ光を受けるように配置されたコリメータと、前記コリメータからの平行光を前記放射線のラインに変換するための非球面レンズと、を含むライン照明器と、
前記放射線のラインをマイクロアレイ表面の平面に導くための焦点調整装置と、
を含む、マイクロアレイをイメージングするためのシステム。
【請求項67】
前記第1および第2の照明器からの放射線のラインを合成するための合成器と、
前記マイクロアレイに前記放射線の合成ラインを共焦点的に照射し、前記マイクロアレイからの放射線を戻すための手段と、
前記戻された放射線を受け、かつ、前記マイクロアレイの解析に用いられる信号を生成するための検出器と、
をさらに含む、請求項66に記載のシステム。
【請求項68】
レーザ光源と、ライン照明器と、焦点調整装置と、ステージとを、以下の構成、すなわち、
前記レーザ光源が単一モード光ファイバケーブルを介して前記ライン照明器に連結され、前記光ファイバケーブルが前記レーザ光源からのレーザ光をシングルモード伝送で伝送するよう構成され、前記ライン照明器が前記レーザ光源からのレーザ光を放射線のラインに変換するよう構成され、
前記ライン照明器が、前記レーザ光源からのレーザ光を受けるように配置されたコリメータと、前記コリメータからの平行光を前記放射線のラインに変換するための非球面レンズと、を含み、
前記焦点調整装置が、前記放射線のラインを平面に向けて導き、
前記ステージが、その平面にマイクロアレイ表面を配置するよう構成された
構成に配置するステップを含む、マイクロアレイのイメージング用システムを形成するための方法。
【請求項69】
レーザ光を生成するステップと、
前記レーザ光を、光源からのレーザ光をシングルモード伝送で伝送するよう構成された単一モード光ファイバケーブルを介して、前記光源からのレーザ光を放射線のラインに変換するよう構成され、かつ、前記光源からのレーザ光を受けるように配置されたコリメータと、前記コリメータからの平行光を前記放射線のラインに変換するための非球面レンズと、を含むライン照明器に伝送するステップと、
焦点調整装置を用いて、前記放射線のラインを導くステップと、を含み、前記放射線のラインがマイクロアレイの表面で平面に導かれる、
マイクロアレイをイメージングするための方法。
【請求項70】
第1および第2の波長のレーザ光を生成するステップと、
前記第1および第2の波長のレーザ光を、各々がそれぞれの光源からのレーザ光をシングルモード伝送で伝送するよう構成された、それぞれ第1および第2の単一モード光ファイバケーブルを介して、各々が前記それぞれの光源からのレーザ光を放射線のラインに変換するよう構成され、かつ、前記それぞれの光源からのレーザ光を受けるように配置されたコリメータと、前記コリメータからの平行光を前記放射線のラインに変換するための非球面レンズと、を含むそれぞれのライン照明器に伝送するステップと、
前記ライン照明器からの放射線のラインを合成するステップと、
焦点調整装置を用いて、前記合成された放射線のラインを、マイクロアレイの表面で平面に導くことで、前記マイクロアレイを前記合成された放射線のラインで共焦点的に照射するステップと、
前記マイクロアレイから戻ってくる放射線を、前記マイクロアレイ解析用の信号を生成するよう構成された検出器に導くステップと、
を含む、マイクロアレイをイメージングするための方法。
【請求項71】
離散的な対象部位のアレイを解析するための方法であって、
前記アレイの第1のラインにおいて第1の複数の対象部位を同時に検出するステップと、
前記アレイの第2のラインにおいて第2の複数の対象部位を同時に検出するステップと、を含み、
前記第2のラインが前記第1のラインとほぼ平行であり、
前記第1および第2の複数の対象部位の最も近いエッジを通る際に距離Dが前記第1のラインと前記第2のラインとを隔て、
前記複数の対象部位各々での隣接する対象部位の最も近いエッジ間の距離がDより大きい、方法。
【請求項72】
前記アレイが生物学的マイクロアレイを含む、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記アレイが表面上の離散的対象部位を含む、請求項71に記載の方法。
【請求項74】
前記第1の複数の対象部位が放射線ラインと同時に照射される、請求項71に記載の方法。
【請求項75】
前記放射線ラインが前記アレイを横切って移動し、前記第1の複数の対象部位および前記第2の複数の対象部位を連続的に照射する、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記第1の複数の対象部位が放射線で連続的に照射され、前記対象部位から戻ってくる放射線が検出器でラインを形成する、請求項74に記載の方法。
【請求項77】
前記放射線ラインの幅がD未満である、請求項74に記載の方法。
【請求項78】
前記放射線ラインが、前記第1のラインおよび前記第2のラインに沿って前記対象部位に共焦点的に導かれる、請求項74に記載の方法。
【請求項79】
前記放射線ラインが、複数の対象部位に延在している所望の長さに沿って実質的に連続したものである、請求項74に記載の方法。
【請求項80】
前記対象部位がほぼ対称の形状である、請求項71に記載の方法。
【請求項81】
前記対象部位が、ほぼ六角形の格子状に配置され、前記第1および第2のラインが前記格子のラインに平行である、請求項71に記載の方法。
【請求項82】
前記対象部位からの放射線を、前記対象部位の解析用の信号を生成する検出器に戻すステップをさらに含む、請求項71に記載の方法。
【請求項83】
前記対象部位の一連のラインを連続的に照射するステップを含み、各ラインが放射線ラインで照射され、
対象部位の隣接するライン各々における隣接する対象部位の最も近いエッジ間の距離が、対象部位の隣接するラインにおける対象部位の最も近いエッジを通る平行線間の距離よりも長い、離散的な対象部位のアレイを解析するための方法。
【請求項84】
(a)対象部位のラインを放射線で照射するステップと、
(b)前記対象部位の複数のラインに対してステップ(a)を繰り返すステップと、
(c)前記対象部位のライン各々から、前記対象部位の解析用の信号を生成する検出器に放射線を戻すステップと、を含み、
前記対象部位が、アレイ表面で非直線的な格子状に配置されることで、対象部位の各ラインにおける隣接する対象部位の最も近いエッジ間の距離が、対象部位の複数のラインの隣接するラインにおける前記対象部位の最も近いエッジを通る平行線間の距離よりも長く、
前記検出器によって検出される画像が、平行線に沿った軸に直交する軸において共焦点である、離散的な対象部位を有するアレイを解析するための方法。
【請求項85】
アレイの第1のラインにおいて第1の複数の対象部位を同時に検出し、
前記アレイの第2のラインにおいて第2の複数の対象部位を同時に検出するように構成され、
前記第2のラインが前記第1のラインとほぼ平行であり、
前記第1および第2の複数の対象部位の最も近いエッジを通る際に距離Dが前記第1のラインと前記第2のラインとを隔て、
複数の対象部位各々での隣接する対象部位の最も近いエッジ間の距離がDより大きい、離散的な対象部位のアレイを解析するためのシステム。
【請求項86】
対象部位の一連のラインを連続的に照射するように構成され、各ラインが放射線ラインで照射され、
対象部位の隣接するライン各々における隣接する対象部位の最も近いエッジ間の距離が、対象部位の隣接するラインにおける対象部位の最も近いエッジを通る平行線間の距離よりも長い、離散的な対象部位のアレイを解析するためのシステム。
【請求項87】
(a)複数の対象部位を放射線のラインで同時に照射し、
(b)対象部位の複数のラインに対してステップ(a)を繰り返し、
(c)前記複数の対象部位の各々から、前記対象部位の解析用の信号を生成する検出器に放射線を戻すように構成され、
前記対象部位が、アレイ表面で非直線的な格子状に配置され、
対象部位の各ラインにおける隣接する対象部位の最も近いエッジ間の距離が、対象部位の複数のラインの隣接するラインにおける対象部位の最も近いエッジを通る平行線間の距離よりも長く、
前記検出器によって検出される画像が、平行線に沿った軸に直交する軸において共焦点である、離散的な対象部位のアレイを解析するためのシステム。
【請求項88】
(a)ラインに沿って配置された複数の対象部位を放射線で連続的に照射し、
(b)前記対象部位の複数のラインに対してステップ(a)を繰り返し、
(c)前記複数の対象部位の各々から、前記対象部位の解析用の信号を生成する検出器に放射線を戻すように構成され、
前記複数の対象部位から戻される放射線が検出器でラインを形成し、
前記対象部位が、アレイ表面で非直線的な格子状に配置され、
対象部位の各ラインにおける隣接する対象部位の最も近いエッジ間の距離が、対象部位の複数のラインの隣接するラインにおける対象部位の最も近いエッジを通る平行線間の距離よりも長く、
前記検出器によって検出される画像が、平行線に沿った軸に直交する軸において共焦点である、離散的な対象部位のアレイを解析するためのシステム。
【請求項1】
(a)試料領域の少なくとも一部に励起放射線を送るよう配置された放射線源と、
(b)矩形の検出器アレイと、
(c)前記一部についての矩形画像を前記矩形の検出器アレイまで導くよう配置されたイメージングオプティクスと、
(d)前記試料領域をスキャン軸の寸法方向に走査するよう構成された走査デバイスと、を含み、この走査によって前記矩形の検出器アレイで矩形画像を形成する前記試料領域の一部が入れ替わり、
前記矩形の検出器アレイの2つの矩形の寸法方向のうち短いほうと、前記画像の2つの矩形の寸法方向のうち短いほうが、前記スキャン軸の寸法方向にあり、
前記矩形の検出器アレイの2つの矩形の寸法方向のうち前記短いほうが、前記矩形の検出器アレイの単軸で共焦点性を実現できるだけの十分な短さであり、前記単軸が、前記矩形の検出器アレイの2つの矩形の寸法方向のうち前記短いほうである、イメージング装置。
【請求項2】
前記矩形の検出器アレイの2つの矩形の寸法方向のうち前記短いほうと、イメージングオプティクスのレイリー分解能にイメージングオプティクスの倍率を掛けた積との比が、0.1から10の範囲内にある、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記放射線源からの励起放射線を受け、かつ、放射線ラインを前記試料領域に送るよう位置決めされたライン生成器をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記放射線ラインを受けて前記試料領域を照明するよう位置決めされた対物レンズをさらに含む、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記イメージングオプティクスが前記対物レンズを含み、前記対物レンズがさらに、前記試料領域から発生している放射線を集めるよう位置決めされ、前記試料領域から発生している前記放射線が、前記矩形の検出器アレイに導かれる前記矩形画像を形成する、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記放射線ラインを前記試料領域から発生している前記放射線から分離し、前記試料領域から発生している前記放射線を矩形の検出器アレイに導光するよう位置決めされたビームスプリッタをさらに含む、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記対物レンズが、前記放射線ラインを受けて前記試料領域を照明するよう位置決めされた外部瞳を有する、請求項4に記載の装置。
【請求項8】
前記放射線源からの励起放射線を受け、かつ、前記放射線の拡大光線を前記ライン生成器に送るよう位置決めされた第1のエキスパンダをさらに含む、請求項4に記載の装置。
【請求項9】
前記ライン生成器から前記励起放射線を受け、かつ、前記放射線の拡大光線を前記対物レンズに送るよう位置決めされた第2のエキスパンダをさらに含み、前記第2のエキスパンダがさらに、前記放射線ラインの画角を小さくするよう構成される、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記対物レンズが、色補正と、高開口数と、テレセントリシティと、バックプレーンでの無限焦点性と、からなる群から選択される特性を有する、請求項4に記載の装置。
【請求項11】
前記ライン生成器は、全ファン角が6度であり、直径が4mm以下の入射光線を受けるよう構成される、請求項3に記載の装置。
【請求項12】
前記ライン生成器が、円柱マイクロレンズアレイと、角度一様性を有する一次元の拡散板と、非球面屈折レンズと、回折素子またはパウエルレンズと、をさらに含む、請求項3に記載の装置。
【請求項13】
前記ライン生成器が、強度分布が一様な回折限界ラインを生成するための回折素子をさらに含む、請求項3に記載の装置。
【請求項14】
前記放射線ラインの2つの矩形の寸法方向のうちの短いほうが、前記矩形の検出器アレイの単軸で共焦点性を実現できるだけの短さであり、前記単軸が、前記矩形の検出器アレイの2つの矩形の寸法方向のうち前記短いほうである、請求項3に記載の装置。
【請求項15】
前記放射線ラインの2つの矩形の寸法方向のうちの短いほうと、2つの矩形の寸法方向のうちの前記短いほうをイメージングオプティクスの倍率で割った商との比が、0.1から10の範囲内にある、請求項3に記載の装置。
【請求項16】
前記放射線ラインの2つの矩形の寸法方向のうちの短いほうとイメージングオプティクスのレイリー分解能との比が、0.1から10の範囲内にある、請求項3に記載の装置。
【請求項17】
前記放射線ラインの2つの矩形の寸法方向のうちの短いほうの1/e^2幅と、前記矩形の検出器アレイの2つの矩形の寸法方向のうち前記短いほうをイメージングオプティクスの倍率で割った商との比が、0.5から2の範囲にある、請求項3に記載の装置。
【請求項18】
前記試料領域から発生している放射線を集めるよう位置決めされたプロジェクションレンズをさらに含み、前記試料領域から発生している前記放射線が、前記矩形の検出器アレイに導かれる前記矩形画像を形成する、請求項1に記載の装置。
【請求項19】
前記試料領域から発生している放射線を集めるよう位置決めされたバンドパスフィルタをさらに含み、前記試料領域から発生している前記放射線が、前記矩形の検出器アレイに導かれる前記矩形画像を形成する、請求項1に記載の装置。
【請求項20】
前記試料領域から発生している放射線を集めるよう位置決めされたエミッションフィルタをさらに含み、前記試料領域から発生している前記放射線が、前記矩形の検出器アレイに導かれる前記矩形画像を形成する、請求項1に記載の装置。
【請求項21】
試料を前記試料領域に供給するよう位置決めされた並進ステージをさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項22】
前記並進ステージが、前記試料を前記スキャン軸の寸法方向に動かすよう構成される、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記並進ステージに支持されるマイクロアレイをさらに含み、これによって前記アレイが前記試料領域に供給される、請求項21に記載の装置。
【請求項24】
前記矩形の検出器アレイが、TDI(時間遅延積分)動作用に構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項25】
前記矩形の検出器アレイが、ラインスキャンCCDカメラ、CMOS検出器アレイ、アバランシェフォトダイオード(APD)アレイまたはガイガーモードのフォトンカウンターアレイを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項26】
前記矩形の検出器のアスペクト比が20よりも大きい、請求項1に記載の装置。
【請求項27】
前記放射線源が少なくとも1種のレーザを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項28】
前記試料領域から発生している放射線を集めるよう位置決めされた多数の集光アームを含み、前記試料領域から発生している前記放射線が、多数の矩形の検出器アレイに導かれる多数の矩形画像を形成する、請求項1に記載の装置。
【請求項29】
前記装置が、0.2から10マイクロメートルのレイリー分解能を有する前記試料の画像を得るよう構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項30】
試料の画像を得る方法であって、
(a)試料の少なくとも第1の部分を、前記第1の部分から放射線が発せられる条件下で励起放射線と接触させるステップと、
(b)前記第1の部分から発せられている前記放射線を導いて、矩形の検出器アレイで前記第1の部分の矩形画像を形成するステップと、
(c)前記試料領域をスキャン軸の寸法方向に走査するステップであって、ステップ(a)と(b)とを繰り返し、前記矩形の検出器アレイで前記試料の第2の部分の矩形画像を形成するステップと、を含み、
前記矩形の検出器アレイの2つの矩形の寸法方向のうち短いほうと、前記画像の2つの矩形の寸法方向のうち短いほうが、前記スキャン軸の寸法方向にあり、
前記矩形の検出器アレイの2つの矩形の寸法方向のうち前記短いほうが、前記矩形の検出器アレイの単軸で共焦点性を実現できるだけの十分な短さであり、前記単軸が、前記矩形の検出器アレイの2つの矩形の寸法方向のうち前記短いほうである、方法。
【請求項31】
前記矩形の検出器アレイの2つの矩形の寸法方向のうち前記短いほうと、前記矩形画像のレイリー分解能に矩形画像の倍率を掛けた積との比が、0.1から10の範囲内にある。請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記試料の少なくとも一部と接触する前記励起放射線が放射線ラインを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
前記放射線ラインの2つの矩形の寸法方向のうちの短いほうが、前記矩形の検出器アレイの単軸で共焦点性を実現できるだけの短さであり、前記単軸が、前記矩形の検出器アレイの2つの矩形の寸法方向のうち前記短いほうである、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記放射線ラインの2つの矩形の寸法方向のうちの短いほうと、前記矩形の検出器アレイの2つの矩形の寸法方向のうち前記短いほうを倍率で割った商との比が、0.1から10の範囲内にある、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記放射線ラインの2つの矩形の寸法方向のうちの短いほうの1/e^2幅と、前記矩形の検出器アレイの2つの矩形の寸法方向のうち前記短いほうを倍率で割った商との比が、0.5から2の範囲内にある、請求項30に記載の方法。
【請求項36】
前記試料を前記走査するステップが、前記試料を動かすことによって前記矩形画像と前記矩形の検出器アレイとの相対位置を前記スキャン軸の寸法方向に変化させるステップを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項37】
前記走査するステップがTDI(時間遅延積分)を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項38】
前記矩形の検出器アレイの2つの矩形の寸法方向のうち短いほうにおけるすべての画素素子が共通のビンに集められ、単一の値として読み出される、請求項30に記載の方法。
【請求項39】
前記励起放射線が、UV放射と、VIS放射と、IR放射と、からなる群から選択される範囲の放射線を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項40】
前記試料の前記画像のデータ表示をコンピュータ読取可能なメモリに格納するステップをさらに含む、請求項30に記載の方法。
【請求項41】
前記試料の前記画像のグラフ表示を、前記コンピュータ読取可能なメモリに作動的に接続されたモニタに表示するステップをさらに含む、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記試料が複数の個別対象部位を有するマイクロアレイを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項43】
前記個別対象部位同士が、0.1から50マイクロメートルの範囲の距離だけ離れている、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記個別対象部位同士を区別することをさらに含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記試料の前記画像が0.2から10マイクロメートルのレイリー分解能を有する、請求項30に記載の方法。
【請求項46】
単軸で共焦点性を実現するようスキャナを構成する方法であって、
(a)
(i)試料領域の少なくとも一部に励起放射線を送るよう配置された放射線源と、
(ii)矩形の検出器アレイと、
(iii)前記一部についての矩形画像を前記矩形の検出器アレイまで導くよう配置されたイメージングオプティクスと、
(iv)前記試料領域をスキャン軸の寸法方向に走査するよう構成された走査デバイスと、を含み、この走査によって前記矩形の検出器アレイで矩形画像を形成する前記試料領域の一部が入れ替わり、
前記矩形の検出器アレイの2つの矩形の寸法方向のうち短いほうと、前記画像の2つの矩形の寸法方向のうち短いほうが、前記スキャン軸の寸法方向にある装置を提供するステップと、
(b)前記矩形の検出器アレイの単軸で共焦点性を実現できるだけの十分な短さに前記矩形の検出器アレイの2つの矩形の寸法方向のうち前記短いほうを制限するよう前記矩形の検出器アレイまたは前記イメージングオプティクスを位置決めするステップと、を含み、前記単軸が、前記矩形の検出器アレイの2つの矩形の寸法方向のうち前記短いほうである、方法。
【請求項47】
レーザ光源と、
レーザ光をシングルモード伝送で伝播させるために前記レーザ光源に接続された単一モード光ファイバケーブルと、
前記レーザ光源からのレーザ光を放射線のラインに変換するためのライン照明器であって、前記レーザ光源からのレーザ光を受けるように配置されたコリメータと、前記コリメータからの平行光を前記放射線のラインに変換するための非球面レンズと、含むライン照明器と、
前記放射線のラインをマイクロアレイ表面の平面に導くための焦点調整装置と、
を含む、マイクロアレイをイメージングするためのシステム。
【請求項48】
前記ライン照明器が、前記レーザ光源からのレーザ光を、所望のライン長にわたって強度が実質的に一様な放射線のラインに変換するよう構成される、請求項47に記載のシステム。
【請求項49】
前記コリメータと前記非球面レンズとが前記モジュール内であらかじめ整列配置され、設置時に前記モジュール内でさらに整列配置をさせることなく前記モジュールを前記システムに設置できる、請求項47に記載のシステム。
【請求項50】
前記焦点調整装置が、ラインの狭い寸法方向に回折限界のある放射線の一様なラインを生成するよう構成される、請求項47に記載のシステム。
【請求項51】
前記コリメータと前記非球面レンズとの間に介在するモジュール内に配置されたレーザラインフィルタをさらに含む、請求項47に記載のシステム。
【請求項52】
前記非球面レンズがパウエルレンズである、請求項47に記載のシステム。
【請求項53】
前記非球面レンズが円柱レンズである、請求項47に記載のシステム。
【請求項54】
前記マイクロアレイ上の個別対象部位同士が、約0.1から50マイクロメートルの範囲の距離だけ離れている、請求項47に記載のシステム。
【請求項55】
前記システムが、前記個別対象部位同士を区別するよう構成される、請求項54に記載のシステム。
【請求項56】
前記システムが、約0.2から10マイクロメートルのレイリー分解能で前記マイクロアレイの画像を得られるよう構成される、請求項47に記載のシステム。
【請求項57】
前記ライン照明器が一体のコネクタを含み、前記単一モード光ファイバケーブルが、前記ライン照明器への連結用の相手方コネクタで終端される、請求項47に記載のシステム。
【請求項58】
前記単一モード光ファイバケーブルの一端が前記ライン照明器と一体的に連結される、請求項47に記載のシステム。
【請求項59】
前記単一モード光ファイバケーブルの一端が前記ライン照明器と着脱自在に連結される、請求項47に記載のシステム。
【請求項60】
一端が前記レーザ光源に連結され、他端が前記単一モード光ファイバケーブルに連結された第2の光ファイバケーブルを含む、請求項47に記載のシステム。
【請求項61】
前記第2の光ファイバケーブルが単一モード光ファイバケーブルである、請求項60に記載のシステム。
【請求項62】
前記光ファイバケーブルが光コネクタを介して互いに連結される、請求項61に記載のシステム。
【請求項63】
前記光ファイバケーブルが互いにスプライス接合される、請求項61に記載のシステム。
【請求項64】
前記単一モード光ファイバケーブルが、波長約405nm、488nm、532nmまたは633nmのレーザ光のシングルモード伝送用に構成される、請求項47に記載のシステム。
【請求項65】
レーザ光源と、
前記レーザ光源に連結された光ファイバケーブルと、
前記レーザ光源からのレーザ光を放射線のラインに変換するためのライン照明器であって、前記レーザ光源からのレーザ光を受けるように配置されたコリメータと、前記コリメータからの平行光を前記放射線のラインに変換するための非球面レンズと、含むライン照明器と、
一端が第1の単一モード光ファイバケーブルに連結され、他端が前記ライン照明器に連結された第2の光ファイバケーブルであって、これらの光ファイバケーブルのうちの少なくとも1つが単一モード光ファイバケーブルである、第2の光ファイバケーブルと、
前記放射線のラインをマイクロアレイ表面の平面に導くための焦点調整装置と、
を含む、マイクロアレイをイメージングするためのシステム。
【請求項66】
各々が所定の異なる周波数帯でレーザ光を出力するよう構成された第1および第2のレーザ光源と、
レーザ光をシングルモード伝送で伝送するための、それぞれ第1および第2のレーザ光源に連結された第1および第2の単一モード光ファイバケーブルと、
前記それぞれのレーザ光源からのレーザ光を放射線のラインに変換するための、それぞれ前記第1および第2の単一モード光ファイバケーブルに連結された第1および第2のライン照明器であって、各々が、前記レーザ光源からのレーザ光を受けるように配置されたコリメータと、前記コリメータからの平行光を前記放射線のラインに変換するための非球面レンズと、を含むライン照明器と、
前記放射線のラインをマイクロアレイ表面の平面に導くための焦点調整装置と、
を含む、マイクロアレイをイメージングするためのシステム。
【請求項67】
前記第1および第2の照明器からの放射線のラインを合成するための合成器と、
前記マイクロアレイに前記放射線の合成ラインを共焦点的に照射し、前記マイクロアレイからの放射線を戻すための手段と、
前記戻された放射線を受け、かつ、前記マイクロアレイの解析に用いられる信号を生成するための検出器と、
をさらに含む、請求項66に記載のシステム。
【請求項68】
レーザ光源と、ライン照明器と、焦点調整装置と、ステージとを、以下の構成、すなわち、
前記レーザ光源が単一モード光ファイバケーブルを介して前記ライン照明器に連結され、前記光ファイバケーブルが前記レーザ光源からのレーザ光をシングルモード伝送で伝送するよう構成され、前記ライン照明器が前記レーザ光源からのレーザ光を放射線のラインに変換するよう構成され、
前記ライン照明器が、前記レーザ光源からのレーザ光を受けるように配置されたコリメータと、前記コリメータからの平行光を前記放射線のラインに変換するための非球面レンズと、を含み、
前記焦点調整装置が、前記放射線のラインを平面に向けて導き、
前記ステージが、その平面にマイクロアレイ表面を配置するよう構成された
構成に配置するステップを含む、マイクロアレイのイメージング用システムを形成するための方法。
【請求項69】
レーザ光を生成するステップと、
前記レーザ光を、光源からのレーザ光をシングルモード伝送で伝送するよう構成された単一モード光ファイバケーブルを介して、前記光源からのレーザ光を放射線のラインに変換するよう構成され、かつ、前記光源からのレーザ光を受けるように配置されたコリメータと、前記コリメータからの平行光を前記放射線のラインに変換するための非球面レンズと、を含むライン照明器に伝送するステップと、
焦点調整装置を用いて、前記放射線のラインを導くステップと、を含み、前記放射線のラインがマイクロアレイの表面で平面に導かれる、
マイクロアレイをイメージングするための方法。
【請求項70】
第1および第2の波長のレーザ光を生成するステップと、
前記第1および第2の波長のレーザ光を、各々がそれぞれの光源からのレーザ光をシングルモード伝送で伝送するよう構成された、それぞれ第1および第2の単一モード光ファイバケーブルを介して、各々が前記それぞれの光源からのレーザ光を放射線のラインに変換するよう構成され、かつ、前記それぞれの光源からのレーザ光を受けるように配置されたコリメータと、前記コリメータからの平行光を前記放射線のラインに変換するための非球面レンズと、を含むそれぞれのライン照明器に伝送するステップと、
前記ライン照明器からの放射線のラインを合成するステップと、
焦点調整装置を用いて、前記合成された放射線のラインを、マイクロアレイの表面で平面に導くことで、前記マイクロアレイを前記合成された放射線のラインで共焦点的に照射するステップと、
前記マイクロアレイから戻ってくる放射線を、前記マイクロアレイ解析用の信号を生成するよう構成された検出器に導くステップと、
を含む、マイクロアレイをイメージングするための方法。
【請求項71】
離散的な対象部位のアレイを解析するための方法であって、
前記アレイの第1のラインにおいて第1の複数の対象部位を同時に検出するステップと、
前記アレイの第2のラインにおいて第2の複数の対象部位を同時に検出するステップと、を含み、
前記第2のラインが前記第1のラインとほぼ平行であり、
前記第1および第2の複数の対象部位の最も近いエッジを通る際に距離Dが前記第1のラインと前記第2のラインとを隔て、
前記複数の対象部位各々での隣接する対象部位の最も近いエッジ間の距離がDより大きい、方法。
【請求項72】
前記アレイが生物学的マイクロアレイを含む、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
前記アレイが表面上の離散的対象部位を含む、請求項71に記載の方法。
【請求項74】
前記第1の複数の対象部位が放射線ラインと同時に照射される、請求項71に記載の方法。
【請求項75】
前記放射線ラインが前記アレイを横切って移動し、前記第1の複数の対象部位および前記第2の複数の対象部位を連続的に照射する、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記第1の複数の対象部位が放射線で連続的に照射され、前記対象部位から戻ってくる放射線が検出器でラインを形成する、請求項74に記載の方法。
【請求項77】
前記放射線ラインの幅がD未満である、請求項74に記載の方法。
【請求項78】
前記放射線ラインが、前記第1のラインおよび前記第2のラインに沿って前記対象部位に共焦点的に導かれる、請求項74に記載の方法。
【請求項79】
前記放射線ラインが、複数の対象部位に延在している所望の長さに沿って実質的に連続したものである、請求項74に記載の方法。
【請求項80】
前記対象部位がほぼ対称の形状である、請求項71に記載の方法。
【請求項81】
前記対象部位が、ほぼ六角形の格子状に配置され、前記第1および第2のラインが前記格子のラインに平行である、請求項71に記載の方法。
【請求項82】
前記対象部位からの放射線を、前記対象部位の解析用の信号を生成する検出器に戻すステップをさらに含む、請求項71に記載の方法。
【請求項83】
前記対象部位の一連のラインを連続的に照射するステップを含み、各ラインが放射線ラインで照射され、
対象部位の隣接するライン各々における隣接する対象部位の最も近いエッジ間の距離が、対象部位の隣接するラインにおける対象部位の最も近いエッジを通る平行線間の距離よりも長い、離散的な対象部位のアレイを解析するための方法。
【請求項84】
(a)対象部位のラインを放射線で照射するステップと、
(b)前記対象部位の複数のラインに対してステップ(a)を繰り返すステップと、
(c)前記対象部位のライン各々から、前記対象部位の解析用の信号を生成する検出器に放射線を戻すステップと、を含み、
前記対象部位が、アレイ表面で非直線的な格子状に配置されることで、対象部位の各ラインにおける隣接する対象部位の最も近いエッジ間の距離が、対象部位の複数のラインの隣接するラインにおける前記対象部位の最も近いエッジを通る平行線間の距離よりも長く、
前記検出器によって検出される画像が、平行線に沿った軸に直交する軸において共焦点である、離散的な対象部位を有するアレイを解析するための方法。
【請求項85】
アレイの第1のラインにおいて第1の複数の対象部位を同時に検出し、
前記アレイの第2のラインにおいて第2の複数の対象部位を同時に検出するように構成され、
前記第2のラインが前記第1のラインとほぼ平行であり、
前記第1および第2の複数の対象部位の最も近いエッジを通る際に距離Dが前記第1のラインと前記第2のラインとを隔て、
複数の対象部位各々での隣接する対象部位の最も近いエッジ間の距離がDより大きい、離散的な対象部位のアレイを解析するためのシステム。
【請求項86】
対象部位の一連のラインを連続的に照射するように構成され、各ラインが放射線ラインで照射され、
対象部位の隣接するライン各々における隣接する対象部位の最も近いエッジ間の距離が、対象部位の隣接するラインにおける対象部位の最も近いエッジを通る平行線間の距離よりも長い、離散的な対象部位のアレイを解析するためのシステム。
【請求項87】
(a)複数の対象部位を放射線のラインで同時に照射し、
(b)対象部位の複数のラインに対してステップ(a)を繰り返し、
(c)前記複数の対象部位の各々から、前記対象部位の解析用の信号を生成する検出器に放射線を戻すように構成され、
前記対象部位が、アレイ表面で非直線的な格子状に配置され、
対象部位の各ラインにおける隣接する対象部位の最も近いエッジ間の距離が、対象部位の複数のラインの隣接するラインにおける対象部位の最も近いエッジを通る平行線間の距離よりも長く、
前記検出器によって検出される画像が、平行線に沿った軸に直交する軸において共焦点である、離散的な対象部位のアレイを解析するためのシステム。
【請求項88】
(a)ラインに沿って配置された複数の対象部位を放射線で連続的に照射し、
(b)前記対象部位の複数のラインに対してステップ(a)を繰り返し、
(c)前記複数の対象部位の各々から、前記対象部位の解析用の信号を生成する検出器に放射線を戻すように構成され、
前記複数の対象部位から戻される放射線が検出器でラインを形成し、
前記対象部位が、アレイ表面で非直線的な格子状に配置され、
対象部位の各ラインにおける隣接する対象部位の最も近いエッジ間の距離が、対象部位の複数のラインの隣接するラインにおける対象部位の最も近いエッジを通る平行線間の距離よりも長く、
前記検出器によって検出される画像が、平行線に沿った軸に直交する軸において共焦点である、離散的な対象部位のアレイを解析するためのシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24a】
【図24b】
【図24c】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30a】
【図30b】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
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【図20】
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【図22】
【図23】
【図24a】
【図24b】
【図24c】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30a】
【図30b】
【公表番号】特表2009−517662(P2009−517662A)
【公表日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−542410(P2008−542410)
【出願日】平成18年11月21日(2006.11.21)
【国際出願番号】PCT/US2006/045058
【国際公開番号】WO2007/062039
【国際公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(500358711)イルミナ インコーポレイテッド (7)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月21日(2006.11.21)
【国際出願番号】PCT/US2006/045058
【国際公開番号】WO2007/062039
【国際公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(500358711)イルミナ インコーポレイテッド (7)
【Fターム(参考)】
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