説明

共焦点顕微鏡および該共焦点顕微鏡による自動焦点調節方法

【課題】本発明では、焦点検出時間の短縮、および焦点位置検出及び調整の精度向上が可能な共焦点顕微鏡および共焦点顕微鏡による自動焦点調節方法を提供することを目的とする。
【解決手段】共焦点レーザ顕微鏡100において、情報記録部10は、駆動機構7で試料5および/または対物レンズ4を、互いの相対距離の増大方向または縮小方向のいずれかの方向へ変化させる特定移動方法により、光検出器6が検出した輝度情報と位置検出部8が取得した位置情報とを相互に関連付けて記録する。演算部11は、記録された輝度情報および位置情報から、最高輝度点と焦点位置情報とを算出する。制御部12は、上記焦点位置情報に応じた試料5および/または対物レンズ4の位置になるように対物レンズおよび/または試料を移動させる際に、駆動機構7が特定移動方法を実施するように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共焦点顕微鏡および共焦点顕微鏡による自動焦点調節方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、顕微鏡などの光学機器における自動焦点調節の方法は、様々なものが利用されている。一例を、図10を参照しながら説明する。図10は、観察系と観察対象の試料との相対距離を変化させた場合の、各距離に対する画像の輝度を輝度曲線21として表したものである。図10において、横軸は、観察系と試料との距離に相当する高さ位置Z、縦軸は、各位置における輝度Lを示す。輝度曲線21において、自動焦点調節は、輝度Lが最大輝度LM1になる位置Zf1を求め、その位置Zf1に観察系を移動することにより行われる。図10の例では、矢印23のように観察系がZ方向に、Z=Z1→Z3→Z4→Z5→Z4→Z3→Z4のように間欠移動し、画像取得は、Z方向移動を停止して行っている。このように間欠移動の停止位置毎に取得した画像について輝度Lの評価を行い、焦点を特定し観察系を移動する。
【0003】
別の方法として、自動焦点検出における画像取得時に、駆動機構を静止せず、連続駆動させながら一連の画像を取得することで、焦点検出に要する時間を短縮した例が提案されている。図11は、横軸を、観察系と試料との距離に相当する高さ位置Z、縦軸を、各位置における輝度Lとして、各位置Zに対する画像の輝度Lを輝度曲線22として表した図である。この例では、矢印24のように観察系をZ=Z6→Z7→・・・→ZNのように連続移動させながら、各Z位置において試料の画像を取得する。その一連の画像を評価することによりまず焦点検出範囲を狭め、その後さらに図10に示したような間欠移動を微動作で行い、焦点位置を特定していく。この例では、光源からの光を平面走査機構を介し対物レンズを通して試料に照射し、試料の反射光を光検出器にて検出、及びメモリへ記録し、取得した情報から自動焦点検出で合焦を判断することにより、観察系を移動させる構成を持つ(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−59935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記図10に示した自動焦点調節法は、検出する焦点Zf1を一旦超えてまた戻るという動作を必要とするため、観察系を往復させて走査することが必要である。また、特許文献1に記載の自動焦点調節方法においては、粗動作で焦点位置を特定し、微動作で焦点位置を判定していくもので、複数回の走査を必要とする。さらに、いずれの方法においても、画像取得するZ位置によっては真の焦点位置がサンプリングされない場合もあり、精度が低下する恐れがある。
【0006】
上記課題に鑑み、本発明では、焦点検出時間の短縮と、焦点位置検出及び調整の精度向上が可能な共焦点顕微鏡および共焦点顕微鏡による自動焦点調節方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる共焦点顕微鏡およびその共焦点顕微鏡による自動焦点調節方法は、観察対象となる試料に光を照射する光源と前記光を前記試料上に集光させる対物レンズと、前記試料からの反射光による輝度情報を検出する光検出手段と、前記試料および/または前記対物レンズを移動させることにより前記試料と前記対物レンズとの相対距離を変化させる駆動手段と、前記相対距離に応じた前記試料および/または前記対物レンズの位置情報を検出する位置検出手段と、前記光検出手段が検出した前記輝度情報と前記位置検出手段が取得した前記位置情報とを相互に関連付けて記録する情報記録手段と、前記情報記録手段に記録された前記輝度情報および前記位置情報から、最高輝度点と、前記最高輝度点に対応する焦点位置情報とを算出する演算手段と、前記駆動手段、前記位置検出手段、前記情報記録手段および前記演算手段を制御する制御手段と、を有し、前記制御手段は、前記試料および/または前記対物レンズを、前記相対距離の増大方向または縮小方向のいずれか所定方向へ変化させるように移動する特定移動方法を実施するように前記駆動手段を制御しながら、前記相対距離の変化に応じて前記輝度情報と前記位置情報とを相互に関連付けて前記情報記録手段に記録するように制御するとともに、前記演算手段が算出した前記焦点位置情報に応じた前記試料および/または前記対物レンズの位置になるように前記対物レンズおよび/または前記試料を移動させる際に、前記駆動手段に前記特定移動方法を実施させるように制御することを特徴としている。
【0008】
ここで、前記演算手段は、現在の前記位置情報と、前記焦点位置情報との前記相対距離の差を算出する位置差算出手段、を有し、前記制御手段は、前記特定移動方法を用いて前記試料および/または前記対物レンズを移動させることにより、前記相対距離を前記差を超えない移動量を段階的に変化させる段階的移動手段、を有し、前記位置差算出手段による前記差の算出と、前記段階的移動手段による前記移動とを交互に繰り返すことにより、前記試料および/または前記対物レンズを前記焦点位置情報に応じた位置に移動させることが好ましい。
【0009】
前記制御手段は、前記駆動手段に前記移動を連続して行わせるように制御するとともに、前記輝度情報と前記位置情報とを前記駆動手段の前記移動の間前記情報記録手段に複数回記録するように制御することができる。
【0010】
前記試料の画像を表示するための出力手段と、前記画像上の任意の指示点を指示する指示手段と、前記光の光軸が前記試料上の任意の点を通るように前記光および/または前記試料を移動させる走査手段と、をさらに有し、前記制御手段は、前記光軸が前記指示点を通るように前記光および/または前記試料を前記走査手段に移動させるように制御するようにしてもよい。このとき、前記走査手段は、前記指示点を通り、前記光軸に対し垂直な平面内の一直線に沿って前記光を走査することが好ましい。
【0011】
本発明にかかる共焦点顕微鏡による自動焦点調節方法は、観察対象となる試料に対物レンズを介して光を集光させて反射光を検出する共焦点顕微鏡による自動焦点調節方法であって、前記試料からの反射光による輝度情報を検出する光検出工程と、前記試料と前記対物レンズとの相対距離に応じた前記試料および/または前記対物レンズの位置情報を検出する位置情報検出工程と、前記試料および/または前記対物レンズを、前記相対距離の増大方向または縮小方向のいずれか所定方向へ変化させる特定移動方法を実施しながら、前記輝度情報と前記位置情報とを相互に関連付けて記録する情報記録工程と、前記情報記録工程で記録された前記輝度情報および前記位置情報から、最高輝度点と、前記最高輝度点に対応する焦点位置情報とを算出する演算工程と、前記特定移動方法を実施しながら前記演算工程で算出した前記焦点位置情報に応じた前記試料および/または前記対物レンズの位置になるように前記対物レンズおよび/または前記試料を移動させる移動工程と、を有することを特徴としている。
【0012】
前記演算工程は、現在の前記位置情報と、前記焦点位置情報との前記相対距離の差を算出する位置差算出工程、を有し、前記移動工程は、前記特定移動方法を用いて前記試料および/または前記対物レンズを移動させることにより、前記相対距離を前記差を超えない移動量を段階的に変化させる段階的移動工程、を有し、前記位置差算出工程と、前記段階的移動工程とを交互に繰り返すことにより、前記試料および/または前記対物レンズを前記焦点位置情報に応じた位置に移動させることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の共焦点顕微鏡および共焦点顕微鏡による自動焦点調節方法によれば、焦点検出時間の短縮、および焦点位置検出及び調整の精度向上が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施の形態による共焦点レーザ顕微鏡の構成を示すブロック図。
【図2】第1の実施の形態による顕微鏡本体の光学系の概略図。
【図3】第1の実施の形態による対物レンズによる集光状態を説明する図であり、(a)は、対物レンズと試料との相対距離が対物レンズの焦点距離より小さい状態、(b)は、対物レンズと試料との相対距離と対物レンズの焦点距離とが等しい状態、(c)は、対物レンズと試料との相対距離が対物レンズの焦点距離より大きい状態を示す。
【図4】第1の実施の形態による自動焦点調節方法の動作を示すフローチャート。
【図5】第1の実施の形態による自動焦点調節方法における対物レンズの動作を説明する図。
【図6】第1の実施の形態による共焦点レーザ顕微鏡により取得される画像を説明する図であり、(a)は、試料のXY平面における画像、(b)は、試料のXZ平面における輝度画像、(c)は、(b)の破線b−b’上におけるZ位置と輝度との関係を示す。
【図7】第1の実施の形態による焦点位置算出方法を説明する図。
【図8】第2の実施の形態による自動焦点調節方法の動作を示すフローチャート。
【図9】第2の実施の形態による自動焦点調節方法における対物レンズの動作を説明する図。
【図10】従来の自動焦点調節方法を説明する図。
【図11】従来の自動焦点調節方法を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本発明の共焦点顕微鏡およびその共焦点顕微鏡による自動焦点調節方法について説明する。
【0016】
(第1の実施の形態)
まず、図1〜図7を参照しながら、第1の実施の形態による共焦点レーザ顕微鏡100の構成および動作について記載する。図1は、第1の実施の形態による共焦点レーザ顕微鏡100の構成を示すブロック図である。図1に示すように、共焦点レーザ顕微鏡100は、対物レンズ4を介して試料5を観察するための装置である。以下、本明細書において、試料5に照射される光の光軸方向をZ方向、Z方向に垂直な平面内の互いに直交する2方向をXY方向という。また、対物レンズ4に対して試料5側を下方、逆側を上方という。
【0017】
共焦点レーザ顕微鏡100は、顕微鏡本体1と、制御装置9とを有している。顕微鏡本体1は、光源2、ビームスプリッタ91、走査機構3、対物レンズ4、光検出器6、駆動機構7、および位置検出器8を備え、観察対象の試料5を観察する観察系を構成している。
【0018】
光源2は、試料5に向けて光を照射する光源であり、例えば半導体レーザが用いられる。ビームスプリッタ91は、光源2からの光を試料5側に透過するとともに、試料5からの光を光検出器6側に反射する。走査機構3は、光源2が出射した光をXY方向に走査する装置であり、X方向とY方向にそれぞれ可動機構を持っている。これらの可動機構は自励発振やサーボモータなどである。走査機構3としては、例えば自励発振やサーボモータなどにより構成されたスキャナが用いられる。
【0019】
対物レンズ4は、光源2が出射し、走査機構3を含む光学系を通過した光を試料5に集光させるレンズである。光検出器6は、光エネルギを電気エネルギに変換する装置であり、光電子倍増管などが用いられ、電圧供給や信号増幅のための部品が設けられる。駆動機構7は、対物レンズ4をZ方向に移動させる装置であり、ステッピングモータなどが用いられる。位置検出器8は、対物レンズ4のZ方向の位置(以下、位置Zという)を検出するもので、レーザスケールやガラススケールなどが用いられる。
【0020】
制御装置9は、情報記録部10、演算部11、制御部12、出力部13、および指示部14を有しており、顕微鏡本体1を制御する。制御装置9としては、例えばマイクロコンピュータ等を用いることができる。情報記録部10は、光検出器6にて取得した試料5の輝度情報と、位置検出器8にて取得した対物レンズ4のZ方向の位置情報とを、相互に関連付けて記録する。情報記録部10は、例えばハードディスク等の記憶装置である。
【0021】
演算部11は、顕微鏡本体1にて取得した情報を処理するとともに、顕微鏡本体1の動作を指示する。演算部11としては、中央処理装置(CPU)などが用いられる。制御部12は、光検出器6や位置検出器8で取得した情報や、演算部11で算出した値に応じて、顕微鏡本体1の各部に動作命令を送出する。制御部12は、特に、対物レンズ4を移動させる駆動機構7の駆動量の制御と、試料5に照射する光を試料5上で走査する走査機構3などの制御を行う。制御部12としては、CPUなどが用いられる。
【0022】
出力部13は、顕微鏡本体1にて取得した情報を文字や画像などで出力する。出力部13は、例えばディスプレイなどが用いられる。指示部14は、顕微鏡本体1を操作するために備えられている。指示部14としては、キーボードやマウス、ジョイスティックなどが用いられる。試料5は、観察の対象となるもので、図示しないステージに載置されている。このステージはXY方向に移動する機構を持っていてもよい。
【0023】
次に、第1の実施の形態による共焦点レーザ顕微鏡100における撮像方法について、図2および図3を参照しながら説明する。図2は、顕微鏡本体1の光学系の概略図、図3は、対物レンズ4による集光状態を説明する図である。
【0024】
図2に示すように、顕微鏡本体1においては、対物レンズ4の焦点位置と光学的に共役な位置にピンホール93を設けている。このピンホール93により、試料5の焦点の合わない部分の情報を遮断し、焦点の合った部分の情報のみを光検出器6にて検出できる。
【0025】
顕微鏡本体1において、光源2から出射した光は走査機構3を含む光学系を通過し、対物レンズ4に到達し、対物レンズ4の焦点位置に光が集光される。ここで、対物レンズ4の焦点距離をf、対物レンズ4と試料5との相対距離をlとする。
【0026】
図3(a)は、対物レンズ4と試料5との相対距離が焦点距離よりも近いf>lの状態を示している。図3(a)に示すように、試料5の表面に対し対物レンズ4と反対側の(深い)位置に対物レンズ4の焦点位置94があった場合、試料5に照射された光の反射光は、共焦点光学系の性質上ピンホールを通過できないため検出されない。また、図3(c)のように、試料5の表面より浅い位置に対物レンズ4の焦点位置96があった場合(f<l)も、同様に検出されない。図3(b)のように、対物レンズ4の焦点距離と対物レンズ4と試料5との相対距離とが等しいとき(f=l)のみ、観察光はピンホール93を通過でき、光が検出できるようになっている。
【0027】
上記のような仕組みで試料5から反射した光は、上述したように走査機構3を含む光学系を通過し、ビームスプリッタ91により分離され、結像レンズ92によってピンホール93へ集光し、光検出器6に到達する。光検出器6に到達した光は、光電変換により電流の信号に置き換えられる。その後、光検出器6により検出され変換された電流の信号は、図示せぬヘッドアンプによる増幅、ADコンバータによりディジタル信号への変換が行われ、コンピュータ内で扱える情報となる。
【0028】
次に、第1の実施の形態による共焦点レーザ顕微鏡100を用いた自動焦点調節の動作手順を、図4〜図6を主に参照しながら説明する。図4は、自動焦点調節の一連の動作を示すフローチャートであり、図5は、自動焦点調節における対物レンズ4の動作を説明する図、図6は、光検出器6で取得される画像を説明する図である。自動焦点調節に関するすべての駆動機構7および走査機構3の動作は、制御部12により行われる。
【0029】
図4において、ステップ51では、試料5のどの位置に焦点を合わせるかを選択する。ここでは、例えば、図6(a)の点Pが焦点を合わせる位置に相当する。焦点を合わせる位置の選択は、試料5の平面画像情報81を出力部13に表示させ、指示部14を用いて焦点を合わせる位置、ここでは指示点Pを選択することで行う。出力部13に表示させる平面画像情報81としては、光検出器6や、図示しないCCDカメラなど、任意の方法で得られた試料5の画像情報を用いることができる。
【0030】
ステップ52では、ステップ51で選択された指示点Pに応じて走査機構3を調整する。走査機構3は上述のようにX方向とY方向にそれぞれ可動機構を持っているが、ここでは、選択された指示点Pの位置(X=Xp、Y=Yp)のY座標に合わせるように走査機構3のY成分を調整する。すなわち、走査機構3のY方向の位置は、図6の例では指定された指示点PのY座標であるY=Ypに固定させる。このようにY方向の位置を固定してX方向に走査することで、選択した指定点Pを含むX情報(X方向のライン情報)を取得できる。また、走査機構3を固定するY方向の位置を調整することによって、試料5の任意の位置での断面情報(XZ情報)を取得できる。
【0031】
ステップ53では、対物レンズ4が自動焦点検出の開始位置に移動する。図5のS31がこの動作に対応している。図5において、横軸は時間T、縦軸は位置Zを表している。ここで、位置Zは、下方が試料5に近い方向、上方が試料5から遠い方向として表している。また、位置Z=Zfは、図6の点Pに対する焦点位置である。自動焦点検出動作を開始する前、対物レンズ4はZ=Z0に位置しているとする。自動焦点検出を開始する際には、対物レンズ4をZ=Z10に移動する。自動焦点検出動作の開始前より、試料5に近い位置に移動していることが確認できる。なお、本実施の形態においては、対物レンズ4が上下動しても試料5に接触しない移動量が登録されており、この開始位置Z=Z10は、登録された移動量に準じて設定される。開始位置は、別の方法で予め設定できるようにしてもよい。
【0032】
ステップ54では、例えば、公差やバックラッシュ等、駆動機構7の特性の影響を取り除くため、対物レンズ4の位置を一定量α上昇移動し、Z=Z11に位置させる。図5のS32が、この動作に対応する。このとき、一定量αは駆動機構7で生じる誤差の最大値にマージンを持たせた値が採用される。
【0033】
ステップ55では、試料5の断面走査(XZ走査)を行う。図5のS33が、この動作に対応している。高さ方向(Z方向)の走査範囲は、ステップ54後の対物レンズ4の位置、すなわち、駆動機構7の特性の影響を取り除いた位置Z=Z11から、自動焦点検出の終了位置Z=Z14まで、対物レンズ4と試料5との相対距離が広がる方向へ、駆動機構7を静止させずに、対物レンズ4を連続移動させる。なお、自動焦点検出の終了位置は、対物レンズ毎に登録された移動量や、予め設定された終了位置によって決定される。
【0034】
ここで、断面走査とは、走査機構3のX成分を、光源2からの光をステップ52で固定したY成分の位置Y=YpでXライン上に振り(X走査)、同時に駆動機構7により対物レンズ4を上昇させ、試料5からの反射光を光検出器6で検出することである。ここで、X方向のライン走査の速度(自励発振であれば共振周波数)は対物レンズ4のZ方向の移動速度に比してとても速く、X方向の1ライン走査中に上昇する対物レンズ4の高さは、対物レンズ4の焦点深度と比してほぼ一定と見なせる。例えば、走査機構3のX方向の共振周波数には4kHz、対物レンズ4のZ方向の移動速度には100マイクロメートル毎秒などが採用される。この場合、1ライン走査毎に対物レンズ4は25ナノメートル移動する。
【0035】
また断面走査では、図6(a)に示すように、ステップ51で選択された焦点検出位置Pを通る破線a−a’上を断面走査することにより、図6(b)のようなXZ平面の画像を得られる。前述した共焦点レーザ顕微鏡100の撮像方法で述べたように、光検出器6には焦点の合った位置の情報のみ取得されるので、図6(b)のようなコントラストの画像82が取得される。図6(c)は、図6(b)のb−b’における輝度曲線83を示している。輝度曲線83からもわかるように、輝度の最大値、すなわち画像82では、ちょうど中間あたりの白い帯状の部分が、試料5の焦点のあった位置である。
【0036】
上述のように、光源2から試料5に照射された光は試料5によって反射し、再び顕微鏡本体1の光学系を通過し、光検出器6に到達する。光検出器6は、到達した光の輝度情報を取得する。取得された輝度情報は、何回目のライン走査かを示す情報とともに、ライン情報として情報記録部10に記録される。このとき、取得した1ラインのライン情報と同期して、位置検出器8により、1ライン走査時の対物レンズ4の位置情報が取得される。位置情報は、ライン情報と相互に関連付けて情報記録部10に記録される。
【0037】
ステップ56では、演算部11が、取得した輝度情報および位置情報から焦点位置27を特定する。この処理は別途後述する。ここでは、所定の情報処理により焦点位置を示すZ=Zf(図5参照)が特定されたものとする。
【0038】
ステップ57では、対物レンズ4を、特定した焦点位置である図5の位置27よりも一定量β低い位置Z=Z12へ下降移動する。図5のS34がこの動作に対応する。ステップ58では、駆動機構7の特性の影響を取り除くため、対物レンズ4の位置が一定量α上昇移動し、Z=Z13となる。図5のS35がこの動作に相当する。このステップ58は前述のステップ54の動作と同様である。
【0039】
ステップ59では、ステップ58後の対物レンズ4の位置Z=Z13から特定した焦点位置Z=Zfとなる位置29(図5参照)へ、対物レンズ4を上昇移動させる。このとき、ステップ58後の対物レンズ4の位置情報を位置検出器8にて取得し、検出した位置Z=Z13と特定した焦点位置Z=Zfの残差量分だけ、駆動機構7により対物レンズ4を移動する。以上の動作により、対物レンズ4を点Pに対する焦点位置Z=Zfに移動および配置する。
【0040】
ここで、ステップ56の焦点位置検出の演算部11による処理手順を、図7を用いて説明する。図7は、本実施の形態において焦点位置を算出する方法を説明する図である。図7においては、縦割りに3つの情報が記載されている。左側(以下、左欄という)は、ステップ55の断面走査時において、走査開始から何ライン目の走査であるかを示すライン情報Lである。中央(以下、中央欄という)は、ライン情報に対応する輝度情報を示す輝度曲線601、右側(以下、右欄という)は、左欄のライン情報に対応する対物レンズ4の高さ情報(位置Z)である。駆動機構7は、連続駆動しながら対物レンズ4を上昇させる。このとき取得されるライン情報は、離散的に取得された情報であり、中央欄に示す複数の丸印602、603、・・・、604が、ステップ55の断面走査時に対物レンズ4の一定の高さ毎にサンプリングされた輝度情報である。図7では横方向の点線の矢印、例えば矢印608がライン情報と位置情報との同期を表現している。
【0041】
図7の輝度曲線601は、図6(b)において、破線b−b’上におけるZ位置と輝度情報のグラフ、すなわち、図6(c)の曲線83である。ここで破線b−b’上の情報は、はじめにステップ51で選択した焦点検出位置P点を通る情報である。
【0042】
ステップ56ではまず、取得した輝度情報の補完を行う。断面走査により取得した輝度情報は上述のように離散的な情報であるため、検出したい焦点位置はこのサンプリング間隔の間に存在する可能性がある。そこで、取得した輝度情報を所定の関数で補完し、サンプリングでの欠落部分を補完する。図7の丸印602、603、・・・、604をつなぐ曲線601がこれに相当する。所定の関数としては、例えばガウス関数を用いることができる。
【0043】
次に、補完された情報の最高輝度点を検出する。図7では、横方向の破線607の位置が最高輝度点609である。また最高輝度点609の位置は、図7のライン情報Lにおいて、73.3ライン目であるとする。このライン情報Lを用いて、検出した最高輝度点609に対応する位置Zを算出する。最高輝度点609が73.3ライン目の時、加重平均を用いて最高輝度点609に対応する位置Zを計算すると、
400×(1−(73.3−73))+500×(73.3−73)=430
となり、最高輝度点609に対応する位置Z=430と求められ、これが焦点位置となる。以上の動作により、共焦点レーザ顕微鏡100において、自動的に焦点位置を検出する。焦点位置に対物レンズ4を移動させる方法は、上述の通りである。
【0044】
以上説明したように、第1の実施の形態による共焦点レーザ顕微鏡100において自動焦点調節を行う際には、出力部13に表示された画像上で、指示部14により試料5上の焦点を合わせたい指示点Pを指示する。次いで、走査機構3を用いて、例えばY方向を固定した状態で点P上をX走査する位置に光軸を移動させる。その後、試料5に接触する危険のない所定の距離まで対物レンズ4をZ方向に試料5に近づける。例えば公差やバックラッシュ等の駆動機構7の特性の影響を取り除くため、対物レンズ4の位置を一定量α上昇移動、すなわち試料5との距離が増大する方向に移動する。
【0045】
その後、駆動機構7を連続して駆動し、対物レンズ4を試料5から遠ざかる方向に移動させながら輝度情報をサンプリングする。情報記録部10は、サンプリングした輝度情報と、サンプリング時の対物レンズ4の位置Zを示す位置情報とを互いに関連付けて記録する。演算部11は、情報記録部10に記録された情報を用いて最高輝度点と焦点位置とを算出する。駆動機構7は、焦点位置よりも試料5に近い側に対物レンズ4をいったん移動させ、さらに、特性の影響を取り除くため一定量α上昇移動させる。しかる後、焦点位置Z=Zfになるように対物レンズ4を試料5から遠ざけていく。
【0046】
第1の実施の形態において、共焦点レーザ顕微鏡100は、本発明の共焦点顕微鏡に相当し、光検出器6は、本発明の光検出手段に相当し、駆動機構7は、駆動手段に相当し、位置検出部8は、位置検出手段に相当し、情報記録部10は、情報記録手段に相当し、演算部11は、演算手段に相当し、制御部12は、制御手段に相当する。また、出力部13は、本発明の出力手段に相当し、指示部14は、指示手段に相当し、走査機構3は、走査手段に相当する。また、第1の実施の形態においては、本発明の特定移動方法として、対物レンズ4を試料5から遠ざける方向に移動させる方法を使用している。
【0047】
上記のように、第1の実施の形態においては、焦点検出を行う前と、検出後に対物レンズ4を焦点位置へ移動させる前とに、駆動機構7の特性除去のため一定量αの移動を行っている。また、焦点位置を検出する際に対物レンズ4を移動させる方向と、焦点位置の検出後に焦点位置に対物レンズ4を移動させる方向とを同一にした。このことにより、駆動機構7の特性の影響を受けることなく、精度よく対物レンズ4を焦点位置に移動させることが可能になる。
【0048】
また、焦点位置を検出する際には、試料5の画像上で焦点検出の対象とする点を指定することができる。このとき、走査機構3はY方向を固定して、しかもZ方向には連続駆動による1回の断面走査(XZ走査)を行うので、焦点検出時間を短縮することができる。また、取得した離散的な輝度情報を補完し、サンプリング以上の分解能で焦点位置を検出し、ライン情報と同期した位置情報から焦点位置を算出するので、輝度情報のサンプリング間隔に依存しない精度のよい焦点位置を検出することができる。
【0049】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態による共焦点レーザ顕微鏡および共焦点レーザ顕微鏡による自動焦点調節方法について説明する。第2の実施の形態において、第1の実施の形態による共焦点レーザ顕微鏡100の構成および動作と同様のものについては、同一番号を付し、詳細説明を省略する。
【0050】
第2の実施の形態による共焦点レーザ顕微鏡の構成は、第1の実施の形態による共焦点レーザ顕微鏡100と同様であるので、説明を省略する。第2の実施の形態による共焦点レーザ顕微鏡100における自動焦点調整の動作について、図8〜図10を参照しながら説明する。第2の実施の形態においては、対物レンズ4を焦点位置に移動させる際、追込み制御を用いる点で第1の実施の形態とは異なっている。
【0051】
ここで、追込み制御とは、駆動機構7をある決定量ずつ間欠駆動させ、対物レンズ4を、所定の位置にある状態から位置を徐々に焦点位置へ近づけていく制御をいう。以下の説明において、共焦点レーザ顕微鏡100で観察する試料5の焦点位置は、既に任意の方法で検出されているものとする。この任意の方法とは、第1の実施の形態におけるステップ51からステップ56の方法でもよいし、従来技術の山登りサーボ方式、その他いかなる方法を適用してもよい。
【0052】
図8は、第2の実施の形態による共焦点レーザ顕微鏡100における自動焦点調節方法の動作を示すフローチャート、図9は、図8に対応する対物レンズ4の動作を説明する図である。図9の動作は、図5のS34からS36の動作に相当する。図8に示すように、ステップ61では、対物レンズ4を、所定の位置から予め検出された焦点位置(図9では位置Z=Zf)より一定量β低い位置Z=Z20へ下降移動する。図9のS41がこの動作である。ここで所定の位置とは、焦点検出のための試料5の一連の走査が終わった対物レンズ4の位置となる。焦点検出動作として第1の実施の形態による焦点検出動作を行った際には、図5のS33の終了位置Z=Z14となる。
【0053】
ステップ62では、駆動機構7の特性の影響を取り除くため、対物レンズ4の位置を一定量α上昇移動させ、位置Z=Z21に配置する。図9のS42がこの動作であり、ステップ62は、第1の実施の形態によるステップ54およびステップ58の動作と同様である。
【0054】
ステップ63では、ステップ62後の対物レンズ4の位置情報を位置検出器8にて取得する。ステップ64では、ステップ63で取得した対物レンズ4の位置情報と、予め検出された焦点位置の残差を評価する。検出された焦点位置Z=Zfとステップ63で検出した対物レンズ4の現在位置との差が規定量以内、またはステップ63で検出した対物レンズ4の現在位置が、検出された焦点位置を上方に超えていないかを判定する。
【0055】
ここで、条件内の規定量には例えば10ナノメートル以内が採用される。この値は限りなく小さい方が良いが、10ナノメートルは駆動機構7の最小分解能より大きく取ることで、駆動機構7の特性のバラつきに対処できる値である。ステップ64の判定がYesの場合には、焦点位置調整は完了する。判定がNoの場合、ステップ65に進む。
【0056】
ステップ65は、焦点位置調整の終了条件を満たしていない場合である。ステップ65では、ステップ63によって取得された対物レンズ4の現在位置と、予め検出された焦点位置Z=Zfとの間の位置に対物レンズ4を移動させる。このときの移動先の位置には、例えば対物レンズ4の現在位置と予め検出された焦点位置との中点の位置が採用される。
【0057】
なお、この移動先の位置は、対物レンズ4の現在位置と予め検出された焦点位置との中点の位置に限らず、任意に設定することができる。但し、この対物レンズの移動量が短いと、追込みにかかる回数が多くなり、移動に要する時間が増加する。また、対物レンズ4の移動量を長くすると、駆動機構7の特性の影響が追い込み制御で吸収しきれなくなるため、対物レンズ4と焦点位置の中点の位置が好ましい。
【0058】
ステップ65の後は再びステップ63に戻り、位置検出器8によりステップ65後の対物レンズ4の現在位置を新しく取得する。この後、再びステップ64にて対物レンズ4の現在位置と予め検出された焦点位置の残差が評価される。この評価が判定条件を満たすまで、上述したステップ65、ステップ63、およびステップ64の動作がフローチャートに従って実行される。図9のS43、S44が、追込み制御の対物レンズ4の動作である。ステップ64の条件が満たされると、対物レンズ4の焦点位置307(Z=Zf)への移動完了と見なし、合焦完了となる。
【0059】
以上のように、第2の実施の形態による共焦点レーザ顕微鏡100を用いた自動焦点調節方法によれば、例えば第1の実施の形態による焦点検出方法で焦点検出を行った後、制御部12は、焦点位置よりも試料5に近く、かつ対物レンズ4の移動により試料5と接触することのない位置に、対物レンズ4を移動させる。ここで、駆動機構7の特性の影響を除去するため、対物レンズ4は一定量α移動する。その移動後、演算部11は、現在の対物レンズ4の位置と、目標である焦点位置との残差を算出し、制御部12は、駆動機構7を駆動して、現在の位置と焦点位置との中点まで対物レンズ4を移動する。さらにその移動後、演算部11は同様に残差を算出し、制御部12が駆動機構7を駆動して、残差の半分ずつ対物レンズ4を焦点位置に近づける動作を繰り返す。対物レンズ4が、焦点位置に一定量以上近づいたとき、または焦点位置を越えたときに、制御部12は合焦状態と判定して処理を終了する。
【0060】
以上説明したように、第2の実施の形態による共焦点レーザ顕微鏡100および自動焦点調節動作によれば、以下のような効果がある。すなわち、上記のような追込み制御を用いた対物レンズ4の動作により対物レンズ4を徐々に移動させることにより、目標とする焦点位置に正確に移動・配置できる。また、本実施の形態においては、対物レンズ4の1回の移動毎に現在位置の取得を行う。よって、対物レンズ4の移動位置が仮に駆動機構7の特性の影響により本来移動させたかった位置でない場合でも、取得した対物レンズ4の移動後の位置と目標となる焦点位置とで次の移動量を決定することができる。このような処理により、本来対物レンズ4を移動させたかった量と、実際に対物レンズ4が移動した量との誤差に依存せず、発生した誤差を吸収することができ、より精度の高い焦点調節を行うことができる。
第2の実施の形態において、演算部11は、本発明の位置差算出手段に相当し、制御部12は、段階的移動手段に相当する。
【0061】
以上のように、本発明の共焦点顕微鏡および共焦点顕微鏡による自動焦点調節方法によれば、焦点検出時間の短縮および、焦点位置検出及び調整の精度向上が可能である。
【0062】
なお、本発明は、以上に述べた実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の構成または実施形態を取ることができる。例えば、第1の実施の形態、および第2の実施の形態において、共焦点レーザ顕微鏡100の光学系の構成は上記に限定されず、同様の作用効果を有するものであれば他の構成でもよい。また、観察系と試料5との相対距離の変化を対物レンズ4の移動で実現しているが、試料5の置かれたステージの移動または対物レンズ4とステージとの両方の移動により相対距離を変化させる手段であれば他の構成および動作を有する手段が適用可能である。
【0063】
第1の実施の形態および第2の実施の形態において、対物レンズ4と試料5の相対距離を変化させる方向を対物レンズ4と試料5の相対距離の広がる方向に限定しているが、この方向は対物レンズ4と試料5の相対距離が狭まる方向でも構わない。しかし、焦点位置検出および焦点位置への移動という一連の焦点調節動作において、その向きは統一しなくてはならない。
【0064】
さらに、第2の実施の形態において、対物レンズ4の移動の目標位置は検出された焦点位置だったが、この目標位置は焦点位置に限らない。例えば、試料5の観察時に重要な対物レンズ4の位置がある場合等、対物レンズ4を移動させる特定の位置であってもかまわない。
【0065】
なお、第1の実施の形態および第2の実施の形態において、対物レンズ4は1個とは限らず、それぞれ図示しないレボルバに取り付けられて上記光軸に挿脱される複数の対物レンズ4を備えることにより、共焦点レーザ顕微鏡100において複数個の対物レンズを使用できるようにしてもよい。また、ここでは焦点を調節する対象の指定点Pに対し走査機構3の位置Yを固定してXZ情報を取得したが、走査機構3の位置XをX=Xpに固定してYZ情報を取得する方法を採用してもよい。また、X=Xp、Y=Ypの位置に走査機構3のXY両方の位置を固定して、Z方向に対物レンズ4を移動させて輝度情報を求めてもよい。
【符号の説明】
【0066】
1 顕微鏡本体
2 光源
3 走査機構
4 対物レンズ
5 試料
6 光検出器
7 駆動機構
8 位置検出器
9 制御装置
10 情報記録部
11 演算部
12 制御部
13 出力部
14 指示部
100 共焦点レーザ顕微鏡



【特許請求の範囲】
【請求項1】
観察対象となる試料に光を照射する光源と、
前記光を前記試料上に集光させる対物レンズと、
前記試料からの反射光による輝度情報を検出する光検出手段と、
前記試料および/または前記対物レンズを移動させることにより前記試料と前記対物レンズとの相対距離を変化させる駆動手段と、
前記相対距離に応じた前記試料および/または前記対物レンズの位置情報を検出する位置検出手段と、
前記光検出手段が検出した前記輝度情報と前記位置検出手段が取得した前記位置情報とを相互に関連付けて記録する情報記録手段と、
前記情報記録手段に記録された前記輝度情報および前記位置情報から、最高輝度点と、前記最高輝度点に対応する焦点位置情報とを算出する演算手段と、
前記駆動手段、前記位置検出手段、前記情報記録手段および前記演算手段を制御する制御手段と、を有し、
前記制御手段は、
前記試料および/または前記対物レンズを、前記相対距離の増大方向または縮小方向のいずれか所定方向へ変化させるように移動する特定移動方法を実施するように前記駆動手段を制御しながら、前記相対距離の変化に応じて前記輝度情報と前記位置情報とを相互に関連付けて前記情報記録手段に記録するように制御するとともに、
前記演算手段が算出した前記焦点位置情報に応じた前記試料および/または前記対物レンズの位置になるように前記対物レンズおよび/または前記試料を移動させる際に、前記駆動手段に前記特定移動方法を実施させるように制御することを特徴とする共焦点顕微鏡。
【請求項2】
前記演算手段は、
現在の前記位置情報と、前記焦点位置情報との前記相対距離の差を算出する位置差算出手段を有し、
前記制御手段は、
前記特定移動方法を用いて前記試料および/または前記対物レンズを移動させることにより、前記相対距離を前記差を超えない移動量を段階的に変化させる段階的移動手段を有し、
前記位置差算出手段による前記差の算出と、前記段階的移動手段による前記移動とを交互に繰り返すことにより、前記試料および/または前記対物レンズを前記焦点位置情報に応じた位置に移動させることを特徴とする請求項1に記載の共焦点顕微鏡。
【請求項3】
前記制御手段は、
前記駆動手段に前記移動を連続して行わせるように制御するとともに、
前記輝度情報と前記位置情報とを前記駆動手段の前記移動の間前記情報記録手段に複数回記録するように制御することを特徴とする請求項1に記載の共焦点顕微鏡。
【請求項4】
前記試料の画像を表示するための出力手段と、
前記画像上の任意の指示点を指示する指示手段と、
前記光の光軸が前記試料上の任意の点を通るように前記光および/または前記試料を移動させる走査手段と、をさらに有し、
前記制御手段は、
前記光軸が前記指示点を通るように前記光および/または前記試料を前記走査手段に移動させるように制御することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の共焦点顕微鏡。
【請求項5】
前記走査手段は、前記指示点を通り、前記光軸に対し垂直な平面内の一直線に沿って前記光を走査することを特徴とする請求項4に記載の共焦点顕微鏡。
【請求項6】
観察対象となる試料に対物レンズを介して光を集光させて反射光を検出する共焦点顕微鏡による自動焦点調節方法であって、
前記試料からの反射光による輝度情報を検出する光検出工程と、
前記試料と前記対物レンズとの相対距離に応じた前記試料および/または前記対物レンズの位置情報を検出する位置情報検出工程と、
前記試料および/または前記対物レンズを、前記相対距離の増大方向または縮小方向のいずれか所定方向へ変化させる特定移動方法を実施しながら、前記輝度情報と前記位置情報とを相互に関連付けて記録する情報記録工程と、
前記情報記録工程で記録された前記輝度情報および前記位置情報から、最高輝度点と、前記最高輝度点に対応する焦点位置情報とを算出する演算工程と、
前記特定移動方法を実施しながら前記演算工程で算出した前記焦点位置情報に応じた前記試料および/または前記対物レンズの位置になるように前記対物レンズおよび/または前記試料を移動させる移動工程と、
を有することを特徴とする共焦点顕微鏡による自動焦点調節方法。
【請求項7】
前記演算工程は、
現在の前記位置情報と、前記焦点位置情報との前記相対距離の差を算出する位置差算出工程を有し、
前記移動工程は、
前記特定移動方法を用いて前記試料および/または前記対物レンズを移動させることにより、前記相対距離を前記差を超えない移動量を段階的に変化させる段階的移動工程を有し、
前記位置差算出工程と、前記段階的移動工程とを交互に繰り返すことにより、前記試料および/または前記対物レンズを前記焦点位置情報に応じた位置に移動させることを特徴とする請求項6に記載の共焦点顕微鏡による自動焦点調節方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−78727(P2012−78727A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−226027(P2010−226027)
【出願日】平成22年10月5日(2010.10.5)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】