説明

共通ポイントカード

【課題】 顧客に配布するまたは顧客から回収したポイントを安全に管理するためのセキ
ュリティ機能を持つポイントカードを提供する。
【解決手段】 ポイントカード上のポイントアプリケーションに、カードの用途が、顧客
が所有するものなのか、店舗でポイントの配布または回収に使用するものなのか、ポイン
ト管理者が生成したポイントを管理するために使用するものなのか等を決定する属性デー
タ、共通ポイントを受け取る際に、送り側のカードがどの属性データを持っているかによ
って、受け入れを許可または拒否するかどうかを決定する受入属性データ、一度に移動可
能なポイント額を示す上限額データを予め記録し、ポイント取引実行指示を取引システム
から受けた後、ポイント受け入れ側のカードが、送り側のカードの属性データを参照し、
受入属性データと比較する。また移動するポイント額を上限額データと比較する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードの利用にて複数店舗間で共通に使用できるポイントの取引を実行する
システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のポイントソリューションでは、特許文献1にあるように、配布前または回収後のポイントの保管は、セキュリティ対策を施したセンターで行い、複数店舗間でポイントの配布または回収を行った後に、各店舗からのポイント配布または回収集計結果をセンターに集約し、各店舗が負担すべきポイント配布費用または各店舗が負担したポイント回収費用の清算を行う方法がある。
【0003】
【特許文献1】特開2003−141428
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、各店舗が負担すべきポイント配布費用または各店舗が負担したポイント回収費
用の清算を円滑に行うため、配布前または回収後のポイントの保管をセンターで行うので
はなく、各店舗で行おうとすると、ポイントを安全に保管するため、各店舗にてセンター
と同様の強固なセキュリティ対策を行う必要があり、十分な費用対効果を得ることができ
ない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記問題を解決するための本発明の特徴は、カードにそのカードの用途が、顧客が所有
するものなのか、店舗でポイントの配布または回収に使用するものなのか、ポイント管理
者が生成したポイントを管理するために使用するものなのか等を決定するデータ(属性デ
ータ)と、共通ポイントを受け取る際に、送り側のカードがどの属性データを持っている
かによって、受け入れを許可または拒否するかどうかを決定するデータ(受入属性データ
)を備え、カードがポイント取引実行指示を取引システムから受けた後、ポイント受け入
れ側のカードが、送り側のカードの属性データを参照し、受入属性データと比較すること
で、ポイント移動を実行するかどうかを決定し、万が一、店舗からポイント配布または回
収用のカードが盗難等の手段により第三者の手に渡っても、それらのカードが店舗で利用
される他のポイント配布または回収用のカードとポイント移動できないように設定してお
くことで、盗難にあったポイントが不正に使用されることを防止する構造としたことであ
る。
【発明の効果】
【0006】
共通ポイントソリューションにおいて、カードに属性データとその属性データを基に、
そのカードからのポイント取引を受け入れるかどうかを判断する情報である受入属性デー
タを、カードのポイントアプリケーションに設定し、万一配布用ポイントを保存した配布
用カードまたは回収したポイントを保存した回収用カードが盗難にあっても、それらのカ
ードに蓄積されたポイントが店舗の回収カードと取引できないよう設定することで、セキ
ュリティを高めることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面を用いて、本発明のポイントカードのうち、受け入れ側カードにて属性デー
タと受入属性データの比較および上限額データとポイント移動額の比較を行うカードを、
異なる店舗が共通で使用するポイントカードとして利用する場合の実施例を説明する。図
1は本発明のブロック図である。本実施例でのシステム構成は、取引システム101、管
理用カード111、配布用カード121、回収用カード131、顧客用カード141等か
ら構成する。
【0008】
取引システム101は、管理用カード111、配布用カード121、回収用カード13
1、顧客用カード141の情報を読み取りまたは書き込みするための2つのカードリーダ
/ライタ、送信用カードリーダ/ライタ102および受信用カードリーダ/ライタ103
、システム管理者が直接操作したり、POSレジ等別の端末からの情報を入力したりするた
めの情報入力手段104、システム管理者に操作結果や処理結果等を通知するための情報
通知手段105、システムの操作や処理結果等の記録を行ったり、システムに入力された
情報を一時的に記録したりする情報記憶手段106、取引システム全体の動作を制御する
制御手段107等から構成し、ポイント発行者サイトや各店舗に少なくとも1台以上設置
され、店員等専用のオペレータによって操作されるシステムである。
【0009】
管理用カード111、管理用カード121、回収用カード131、顧客用カード141
は、ポイントアプリケーション151を搭載するカードである。管理用カード111、管
理用カード121、回収用カード131、顧客用カード141の相違点とポイントアプリ
ケーション151の詳細については、図2を用いて後述する。
【0010】
図2はポイントアプリケーション151が所有するデータテーブルとそのテーブルに格
納するデータの一例を示す図である。データテーブルには、カードID152、残高デー
タ153、属性データ154、受入属性データ155、上限額データ156から構成する
。カードID152には、そのカードを一意に決定する数値データを記録する。残高デー
タ153には、そのカードに記録されたポイントの残量を数値データとして記録する。属
性データ154には、そのカードの用途が、顧客が所有するものなのか、店舗でポイント
の配布または回収に使用するものなのか、ポイント管理者が生成したポイントを管理する
ために使用するものなのか等を決定するデータを記録し、本実施例では、1バイトのバイ
ナリデータを設定するものとする。受入属性データ155には、そのカードがポイントを
受け取る際に、送り側のカードがどの属性データ154を持っているかによって、受け入
れを許可または拒否するかどうかを決定するデータを記録し、本実施例では、32バイト
のバイナリデータを設定するものとし、その32バイトのデータを256ビットに変換し
、最下位ビットを属性データ0に対応、最下位から2ビット目を属性データ1に対応、以
下同様に最上位ビットを属性データFFにそれぞれ対応するものとして、該当ビットが0
であればその属性データを持つカードからのポイント移動を受け入れず、該当ビットが1
であればその属性データを持つカードからのポイント移動を受け入れるものとする。上限
値データ156には、そのカードが一度のポイント移動で別のカードから受け入れられる
ポイント額の上限値を表す数値データを記録する。
【0011】
図3は本実施例の全体の流れを示すフロー図である。まずポイントサービスの利用を希
望する店舗はポイント発行者にポイントサービス利用の申し込みを行う。その際、店舗は
自店で配布予定ポイント額に相当する料金をポイント発行者に支払い、ポイント発行者は
店舗が支払った料金分のポイントを、取引システム101を使用して、管理用カード11
1からその店舗用の配布用カード121に配布する。店舗にて顧客がポイント配布対象の
サービスまたは製品等を購入した場合、店舗は取引システム101を使用して自店の配布
用カード121からその顧客が所有する顧客用カード141に、顧客が購入したポイント
配布対象のサービスまたは製品等に相当するポイントを配布する。店舗が所有する配布用
カード121の残高が、ポイントサービスを提供するために十分でなければ、店舗は自店
で追加で配布するポイントを入手するために、追加で配布するポイント額に相当する料金
をポイント発行者に支払い、ポイント発行者は店舗が支払った料金分のポイントを、取引
システム101を使用して、管理用カード111からその店舗用の配布用カード121に
配布する。店舗にて顧客が過去に取得したポイントを使用してサービスまたは製品等を購
入したとき、店舗は取引システム101を使用してその顧客が所有する顧客用カード14
1から自店の回収用カード131に、顧客が使用したポイント額を回収する。回収したポ
イント総額が、店舗が予め決定しておいた額に達した場合、店舗はポイント発行者にポイ
ントの返却を申請し、ポイント発行者は、取引システム101を使用してその店舗が所有
する回収用カード131から管理用カード111に回収し、回収したポイント額に相当す
る金額をその店舗に支払う。
【0012】
図4は取引システム101を使用した2枚のカード間でのポイント取引の手順を示すフ
ロー図である。オペレータは送信側カードを送信用カードリーダ/ライタ102に、受信
側カードを受信用カードリーダ/ライタ102にそれぞれ挿入する。オペレータは情報入
力手段104を使用して、ポイント取引額を取引システム101に入力する。制御手段1
07は、送信用カードリーダ/ライタ102および受信用カードリーダ/ライタ103を
介して、それぞれ送信側カードおよび受信側カードにポイント取引開始コマンドを送信す
る。送信側カードは、送信側カードの属性データ154を、送信用カードリーダ/ライタ
102を介して取引システム101に返信し、制御手段107は、その受信した属性デー
タ154を、受信用カードリーダ/ライタ103を介して受信側カードに送信する。受信
側カードは受信した送信側カードの属性データ154を、受信側カードの受入属性データ
155と比較する。受信側カードの受入属性データ155が送信側カードの属性データ1
54を受け入れるよう設定されていれば、次に受信側カードの上限値データ156とポイ
ント移動額を比較する。ポイント移動額が、受信側カードの上限値データ156以下であ
れば、受信側カードは受信用カードリーダ/ライタ103を介して取引システム101に
取引許可を取引システムに返信する。制御手段107は、送信用カードリーダ/ライタ1
02および受信用カードリーダ/ライタ103を介して、それぞれ送信側カードおよび受
信側カードにポイント取引続行コマンドを送信する。送信側カードは、送信側カードの残
高データ153から移動分のポイント額を減少させ、受信側カードは、受信側カードの残
高データ153を移動分のポイント額分増加させる。送信側カードは送信用カードリーダ
/ライタ102を介して、受信側カードは受信用カードリーダ/ライタ103を介して、
それぞれポイント取引完了を取引システム101に返信する。一方、受信側カードの受入
属性データ155が送信側カードの属性データ154を受け入れるよう設定されていない
か、ポイント移動額が受信側カードの上限値データ156以下でなければ、受信側カード
は受信用カードリーダ/ライタ103を介してポイント取引拒否を取引システム101に
返信し、取引システム101はポイント取引を中断する。ポイント取引完了またはポイン
ト取引中断メッセージを受信した取引システム101の制御部107は、ポイント取引結
果を、情報記憶手段106に記録する。
【0013】
図5は取引システム101の情報通知手段105で表示される、取引システム101の
画面遷移図の一例である。取引システム101の起動画面201では、カードを送信用カ
ードリーダ/ライタ102および受信用カードリーダ/ライタ103に挿入することを促
すメッセージと、終了ボタン202が設置されている。送信用カードリーダ/ライタ10
2および受信用カードリーダ/ライタ103それぞれにカードが挿入されると、取引画面
211に移行する。終了ボタン202が押下されるとシステムは終了する。
【0014】
取引画面211は、送信側カードのカードID152を表示するIDボックス212お
よび残高データ153を表示する残高ボックス213、受信側カードのカードID152
を表示するIDボックス214および残高データ153を表示する残高ボックス215、
取引額を入力する取引額ボックス216、取引ボタン、戻るボタンが設置されている。取
引ボタン217は通常非アクティブ状態となっており、取引額ボックス216に数値デー
タが入力されている場合のみ押下可能となっている。取引ボタン217が押下されると、
取引確認画面231に移行する。戻るボタン218が押下されるかカードが送信側カード
リーダ/ライタ102または受信用カードリーダ/ライタ103から引き抜かれると、業
務完了確認画面221に移行する。
【0015】
業務完了確認画面221は、OKボタン222が設置されている。OKボタン222が
押下されると、起動画面201に移行する。
【0016】
取引確認画面231は、続行ボタン232と中止ボタン233が設置されている。続行
ボタン232が押下されると、ポイント取引が実行され、取引が正常に完了した場合、取
引完了確認画面241に移行し、取引が受信側カードに拒否された場合、取引拒否確認画
面251に移行する。
【0017】
取引完了確認画面241は、OKボタン242が設置されている。OKボタン242が
押下されると、取引画面211に移行する。
【0018】
取引拒否確認画面251は、OKボタン252が設置されている。OKボタン252が
押下されると、取引画面211に移行する。
【0019】
本実施例では、取引システム101へのデータ入力は専門のオペレータが行うことを想
定しているが、データ入力は、専門のオペレータ以外の人によって行われてもよいし、PO
Sレジ等別の端末によって行われてもよい。
【0020】
本実施例では、属性データは1バイトのバイナリデータで設定するものとしているが、
そのカードの用途を一意に決定するデータであれば、どのようなフォーマットであっても
よい。
【0021】
本実施例では、受入属性データは32バイトのバイナリデータで設定するものとしてい
るが、例えば受け入れる属性データをそのままテキストデータとして羅列して設定すると
いうように、受信側カードがポイント移動を受け入れる送信側カードの属性データを正し
く設定できるのであれば、どのようなフォーマットであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】受け入れ側カードにて属性データと受入属性データの比較および上限額データとポイント移動額の比較を行うカードを、異なる店舗が共通で使用するポイントカードとして利用する場合のブロック図である。
【図2】カードに搭載されるポイントアプリケーションが所有するデータテーブルである。
【図3】本実施例のスキーム全体の流れを示すフロー図である。
【図4】取引システムを使用した2枚のカード間でのポイント取引の手順を示すフロー図である。
【図5】取引システムの情報通知手段で表示される、取引システムの画面遷移図である。
【符号の説明】
【0023】
101…取引システム、102…送信用カードリーダ/ライタ、103…受信用カード
リーダ/ライタ、104…情報入力手段、105…情報通知手段、106…情報記憶手段
、107…制御手段、111…管理用カード、121…配布用カード、131…回収用カ
ード、141…顧客用カード、151…ポイントアプリケーション、152…カードID
、153…残高データ、154…属性データ、155…受入属性データ、156…上限額
データ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードに記録されている情報を読み取りまたは書き込みするためのカード情報入出力手
段、システム管理者が直接操作したり、POSレジ等別の端末からの情報を入力するため
の入力手段、システム管理者に操作結果や処理結果等を通知するための通知手段、システ
ム操作や処理結果の記録を行ったり、システムに入力された情報を一時的に記録したりす
る記憶手段、システム全体の制御を行う制御手段を備え、制御手段は入力手段を介してポ
イント移動指示を受け取ると、カード情報入出力手段を介して2枚のカードにポイント移
動実行を指示するポイントシステムにおいて、カードの用途が、顧客が所有するものなの
か、店舗でポイントの配布または回収に使用するものなのか、ポイント管理者が生成した
ポイントを管理するために使用するものなのか等を決定するデータ(以下、属性データと
記述する)と、共通ポイントを受け入れる際に、送り側のカードがどの属性データを持っ
ているかによって、受け入れを許可または拒否するかどうかを決定するデータ(以下、受
入属性データと記述する)を予め記録し、ポイント取引実行指示を取引システムから受け
た後、ポイント受け入れ側のカードが、送り側のカードの属性データを参照し、受入属性
データと比較することで、ポイント移動を実行するかどうかを決定することを特徴とする
ICカード。
【請求項2】
請求項1記載のICカードにおいて、受入属性データの代わりに、共通ポイントを送り
出す際に、受け取り側のカードがどの属性データを持っているかによって、送り出しを許
可または拒否するかどうかを決定するデータ(以下、送出属性データと記述する)を予め
記録し、ポイント取引実行指示を取引システムから受けた後、ポイント送り出し側のカー
ドが、受け側のカードの属性データを参照し、送出属性データと比較することで、ポイン
ト移動を実行するかどうかを決定することを特徴とする請求項1記載のICカード。
【請求項3】
請求項1に記載のICカードにおいて、カードに一度に移動可能なポイント額を示すデ
ータ(以下、上限額データと記述する)を予め記録し、ポイント取引実行指示を取引シス
テムから受けた後、ポイント受け入れ側のカードが、移動ポイント額が上限額データを超
える場合にはポイント移動を拒否することを特徴とする請求項1に記載のICカード。
【請求項4】
請求項2記載のICカードにおいて、カードに一度に移動可能なポイント額を示すデー
タ(以下、上限額データと記述する)を予め記録し、ポイント取引実行指示を取引システ
ムから受けた後、ポイント送り出し側のカードが、移動ポイント額が上限額データを超え
る場合にはポイント移動を拒否することを特徴とする請求項2に記載のICカード。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−11641(P2007−11641A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−190895(P2005−190895)
【出願日】平成17年6月30日(2005.6.30)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】