説明

共通経路歪源位置高精度特定のための方法及び装置

双方向HFC CATVネットワークにおいてCPD源の位置を高精度で特定するためのシステムは、ヘッドエンドCPDレーダユニット、戻り経路スイッチ及びコンピュータを備える。レーダユニットはヘッドエンドコンバイナに接続される。戻り経路スイッチはCATVネットワークのノードとレーダユニットの間に接続される。コンピュータはレーダユニット及び戻り経路スイッチに接続される。コンピュータはレーダユニット及びスイッチを制御し、レーダユニット及びスイッチにネットワークのノードの定常的順次CPD監視を行わせる。システムは、現地に運び込まれ、ネットワークの同軸ケーブル部に沿う様々なポイントに接続される、可搬型レーダ−較正器ユニットをさらに備える。可搬型レーダユニットは、現地においてCPD源を検出するため及び時間遅延に関してネットワークを較正するために用いられる。可搬型ユニットはCATVネットワークを介してヘッドエンドレーダユニットと交信する。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の説明】
【0001】
本出願は、2005年2月22日に出願された米国仮特許出願第60/655191号及び2005年10月18日に出願された米国仮特許出願第60/727931号の恩典を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明は全般的にはCATVネットワーク監視システムに関し、さらに詳しくは、双方向広帯域ハイブリッドファイバ−同軸(HFC)ネットワークにおける共通経路歪(CPD)源または受動相互変調歪(PIM)源の位置を高精度で特定するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
現今の双方向HFC CATVネットワークにおける歪の一形態は、共通経路歪(CPD)である。この歪は、腐食によって生じる「ダイオード効果」による、コネクタ、タップ、終端等のような共通経路のコンポーネントにおける前向き経路(または下り)信号の相互変調の結果である(非特許文献1を見よ)。CPDは、HFCネットワークの戻り経路及び前向き経路のいずれにおいても複合三重ビート(CTB)成分及び複合二次(CSO)歪成分を生じさせる。さらに、CPD源の位置はCATVネットワーク内に雑音が導入される場所であることが多い。非特許文献2に示されるように、CPDの影響は戻り経路サービスにおける最も重要な問題の1つである。前向き経路において、(例えば50〜550MHzの範囲の)アナログチャネルからのCPD歪成分は(例えば550〜860MHzの範囲の)デジタルチャネルの性能低下を生じさせる。
【0004】
上記の観点から、CPDの排除の問題は現今のHFC CATVネットワークに対して極めて重要である。難題は、数100マイル(160km)、時には数1000マイル(1600km)に及ぶネットワークケーブルの、数100、時には数1000のノードの中からCPD源の位置を特定することである。
【0005】
ロドニー・イーストメント(Rodney Eastment)の特許文献1及び2に説明される、HFC CATVネットワークにおけるCPD源検出のためのシステムが知られている。これらの特許文献は、CPD源とヘッドエンド局の間のプローブ信号伝搬の時間遅延を決定するため及並びに、時間遅延に基づき、ケーブルネットワークマップ及び設計図を用いて、CPD源の位置を決定するための方法及び装置(イーストメントシステム)を開示している。
【0006】
イーストメントシステムの一欠点は、プローブ信号が前向き経路(下り)スペクトル内の59.5MHz隔てられた両側側帯波を有することである。さらに、このタイプのプローブ信号−両側側帯波チャープパルス信号−では、TV番組信号との干渉を避けるために、側帯波が前向き経路の非使用領域にあることが必要である。すなわち、イーストメントシステムにおけるプローブ信号では前向き経路スペクトル内に2つの非使用TVチャネルが必要である。現今のHFC CATVシステムにおいて、チャネルスペクトルは極めて限られており、大変貴重である。チャネルスペクトルは潜在収益源である。イーストメントシステムがネットワークにおいてCPDを間断なく監視するために用いられるとすれば、前向き経路において2つの有用なチャネルが、利用可能であるとしても、失われることになろう。
【0007】
イーストメントシステムの第2の欠点は、両側側帯波プローブ信号だけに依存することである。この結果、プローブ信号に応答して発生するCPD信号(すなわちエコー信号)の帯域幅が限定されるであろう。イーストメントシステムにおいて、エコー信号は、戻り経路スペクトル(例えば5〜50MHz)のヘッドエンドにおいて受信される、プローブ信号の二次相互変調(差)成分である。この信号の帯域幅はこの信号から決定することができる区域の分解能に比例する。すなわち、帯域幅が広いほど分解能が高くなる。イーストメントシステムのエコー信号の帯域幅は5MHzである。この帯域幅からは約100フィート(約30m)の目標分解能が得られる。多くの場合、この区間内には多くの(それぞれが潜在CPD源である)ネットワークデバイスがあり得ることを考慮すれば、この分解能では不十分である。CPD源デバイスの識別に関する曖昧さを低減または排除するためには改善された分解能が望ましい。
【0008】
分解能を改善するために、エコー信号の帯域幅を拡大しようとすれば、必然的に、前向き経路スペクトルにおいて対応するプローブ信号に必要な帯域幅が拡大する結果になることによる拘束を受ける。これは、干渉を避けるために、前向き経路スペクトルのロールオフ領域にプローブ信号をおくことが目標になっている場合に、特にそうなる。すなわち、両側側帯波チャープ信号だけに依存するシステムでは目標分解能が制限されるであろう。
【0009】
イーストメントエコー信号の帯域幅に関する別の拘束は、信号が戻り経路スペクトルの非使用領域におかれなければならないという要請である。これは、代表的な戻り経路サービス信号の存在により、インターネット及び電話法におけるような、実ネットワークトラフィックからエコー信号を弁別することが、少なくともエコー信号が非使用スペクトルにある場合よりも、困難な環境がつくられることからの要請である。前向き経路と同様、インターネット及び電話サービスの進展にともなって戻り経路スペクトルも混雑するようになった。したがって、戻り経路帯域幅は貴重である。さらに、ほとんどの場合、戻り経路スペクトルの非使用領域は低周波数側だけに、すなわち5〜15MHz領域にある。しかし、この領域においては入来雑音及びパルス雑音が最も普通であり、エコー信号を確実に検出及び処理することがここでも困難になる。
【0010】
イーストメントシステムの別の欠点は、CPDの検出のためにプローブ信号の二次差成分だけに依存することだけである。非特許文献1に、「CPDの検出には(CPDによって生じる)三次相互変調成分が重要になり得る」と示唆されている。実際、非特許文献1は、三次成分が二次成分より支配的である場合があり、歪成分だけがCPD源から現れる場合もあると示唆している。さらに、CPD源―酸化による金属/酸化物/金属接合(ダイオード効果)―の電圧−電流応答を数学的に三次多項式で表し得ることが知られている。この解析は、二次成分より三次成分が支配的であるように思われることを示唆している。したがって、二次成分及び三次成分のいずれにも依存するシステムは、雑音の多い代表的な戻り経路環境においては特に、より確実にCPDを検出すると思われる。
【0011】
非特許文献1に指摘されているように、ネットワークにおけるCPDの出現は、(おそらく温度変動により)昼夜で変わり得るし、全般的に温度変動で変わり得るし、またその他の要因の結果として変わり得る。一般にイーストメントシステムは、CPD問題に対応するため、あるいは日常保守を行うために用いられてきた。そのような業務の遂行では全てのCPD源が検出されることを保証するためのより長期間にわたるCPD環境の監視の必要性が見過ごされてきた。理想的には、ネットワークは間断なく監視されるべきである。しかし、イーストメントシステムのようなシステムでは、この要件はかなりの技術要員及びその他のリソースを必要とし、したがって経費のかかる仕事になるであろう。
【0012】
HFCネットワークの同軸ケーブル部は一般に、幹線−枝線アーキテクチャにしたがっている。CPD源が多数の並行枝線の中の特定の枝線にあれば、どの枝線にCPD源があるかを区域決定だけに基づいて分解することは困難になり得る(区域曖昧性)。イーストメントシステム適用においては、そのようなCPD源がその区域のミッドスパン(ユーティリティポール間)におかれるか否かを決定するに十分に測距分解能が高ければ、CPD源の位置を特定し得ることが示唆される。そうであれば、CPD源は通常ミッドスパンでは生じないとされているから、その特定の枝線は考慮対象から外されるであろう。この手法は理論的に聞こえるかもしれないが、CPD源位置特定は分解能だけでなく、ケーブル施設のマップ及び/または設計図の確度にも依存する。そのようなマップまたは設計図は一般に正確ではない。ケーブル施設デバイス間の距離及びケーブル長は通常ある誤差をもって指定される。多くの場合、実ケーブル長は指定されず、おそらくはユーティリティポール間の距離だけが与えられる。さらに、マップはネットワークにおけるケーブルの実伝搬速度を特定することができず、またマップは時間の経過にともなうネットワークの変更を反映することができない。したがって、非常に分解能が高いシステムをもってしても、正確な較正無しには、この手法は実用上成功し得ない。
【0013】
標準的なケーブル施設マップの短所を考えると、現地に入ってネットワークを較正することが必要である。これには一般に、ネットワーク内の較正ポイントからヘッドエンドへの較正信号の送信が含まれる。較正ポイント近傍にある実CPD源からのエコー信号によって較正信号が歪むかまたは遮蔽されるであろう可能性がある。イーストメントシステム適用は、2つの信号を分離するための、実CPDエコー信号からの「位相時間」を合せた較正信号のシフトを提案することによってこの問題に対処しようとする。この手法ではCPDエコー信号は相殺されない。すなわち、CPDエコー信号と較正信号の間の干渉の可能性が残ったままである。そのような干渉は較正に誤差を生じさせ、したがって引き続くCPD区域測定値に誤差を生じさせ得る。
【0014】
ネットワークの較正では一般に、2か所−ヘッドエンド及び較正ポイント−に技術者をおくことが必要であった。このプロセスは、両側にいる技術者の調整及び交信を必要とするため、時間がかかる。複数の技術者による較正の実施には一人の場合よりもヒューマンエラーが入る機会が多い。さらに、較正に複数の技術者を用いると費用が高くなる。さらに、この手法は他の保守作業に割り当てることができるはずの技術者を束縛する。さらに、別の技術者がCPD問題に対する並行作業に配置されている場合、時間がかかる較正が実施されている間は、彼らはシステムにアクセスできるまで待機させられる。
【特許文献1】国際出願第AU00/00235号明細書(1999年3月24日提出)
【特許文献2】国際公開第00/57571号パンフレット(2000年9月28日公開)
【非特許文献1】バーラト・パテル(Bharat Patel),「解説共通経路歪(Common Path Distortions Explained)」,インターネット<URL: www.scte.org/chapters/newenland/-reference/cpd/cpd2htm>
【非特許文献2】ジャック・モラン(Jack Moran),「ジャックが語る戻り経路におけるRF減損並びにDOCSIS性能またはRFワールドへのその影響(RF Impairments in the Return Path & Their Impact on a DOCSIS Performance or the RF World according to Jack)」,Motorola,2003年9月23日
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
したがって、本発明の一課題は、従来技術にともなう問題を克服する、双方向HFC CATVネットワークにおいてCPD源の位置を高精度で特定するための方法及び装置を提供することである。
【0016】
本発明の別の課題は、従来の方法及び装置よりも正確かつ確実にCPD源の位置を高精度で特定することができる方法及び装置を提供することである。
【0017】
本発明のさらなる課題は、CPD源について双方向HFC CATVネットワークを自動的に、かつ間断なく、監視する方法及び装置を提供することである。
【0018】
本発明のまた別の課題は、双方向HFC CATVネットワークの前向き経路スペクトルへのプローブ信号の注入を必要としない、CPD源の位置を高精度で特定するための方法及び装置を提供することである。
【0019】
本発明のまたさらなる課題は、既存の前向き経路TV番組信号をCPDプローブ信号として使用し、そのようなTV番組信号の相互変調成分をCPDエコー信号として処理することである。
【0020】
本発明のまた別の課題は、前向き経路にプローブ信号が注入される本発明の実施形態において、非使用前向き経路スペクトルを用いる必要を最小限に抑えることである。
【0021】
本発明のまたさらなる課題は、挟帯域CPDエコー信号の使用に限定されず、広帯域エコー信号を用いることができ、したがって改善された目標分解能を達成することができる、CPD源の位置を高精度で特定するための方法及び装置を提供することである。
【0022】
本発明のさらにまた別の課題は、二次成分及び三次成分のいずれをも含むCPD歪成分の統合スペクトルを処理することによってCPD源検出感度を高めることである。
【0023】
本発明のまたさらなる課題は、CPDエコー信号が戻り経路スペクトルの非使用領域に拘束されない、CPD源の位置を高精度で特定するための方法及び装置を提供することである。
【0024】
本発明の別の課題は、ケーブルネットワークにおける枝線の間のCPD区域曖昧性を分解できる、CPD源の位置を高精度で特定するための方法及び装置を提供することである。
【0025】
本発明のさらなる課題は、較正ポイントの近傍においてCPDエコー信号からの干渉なしに検出される較正信号を用いる、HFC CATVネットワークを較正するための方法及び装置を提供することである。
【0026】
本発明の別の課題は、ヘッドエンドでの人間の介在なしに、較正ポイントにおいてHFC CATVネットワークの較正を実行することである。
【課題を解決するための手段】
【0027】
上記及びその他の課題は、双方向HFC CATVネットワークにおけるCPD源の位置を高精度で特定するための、(a)ヘッドエンドコンバイナに接続されたヘッドエンドCPDレーダユニット、(b)CATVネットワークのノードとヘッドエンドレーダユニットの間に接続された戻り経路スイッチ及び(c)ネットワークのノードの恒常順次CPD監視のために、ヘッドエンドレーダユニット及び戻り経路スイッチを制御するためのヘッドエンドコンピュータを備えるシステムが提供される、本発明にしたがって達成される。
【0028】
本システムはさらに、CPD源の現地検出のため及び時間遅延に関してCATVネットワークを較正するための、現地に運び込まれ、CATVネットワークの同軸ケーブル部に沿う様々なポイントに接続される、可搬型レーダ−較正器ユニットを備える。可搬型レーダ−較正器ユニットはCATVネットワークを介してヘッドエンドレーダユニットと交信する。ヘッドエンドレーダユニットのCPD源検出及び較正情報は現地において可搬型レーダ−較正器ユニットで見ることができる。
【0029】
ヘッドエンドレーダユニットは、CPDプローブ信号として既存の前向き経路TV番組信号を利用する。CPD源によって生じる、これらの前向き経路信号からの歪成分は、戻り経路において受信され、ヘッドエンドからCPD源に行ってヘッドエンドに再び戻るまでの伝搬遅延時間を決定するために処理される。この方法は高精度CPD源検出段階と称される。歪成分は複合雑音信号として扱われる。この雑音信号と局発基準信号との相互相関からCPD源の時間遅延及び振幅が得られる。複合雑音信号の相互相関処理が行われる前に、通常の戻り経路サービス信号(例えば、インターネット及び電話法)を抑制するために適応フィルタを用いることができる。
【0030】
複合雑音信号処理の直前に、予備CPD源検出段階を実施することができる。この予備段階には、前向き経路への両側側帯波チャーププローブ信号の注入及び戻り経路におけるCPDエコーチャープ信号の検出が含まれる。エコーチャープ信号はプローブ信号の二次相互変調(差)成分である。エコーチャープ信号は局発基準信号を用いて「復調チャーピング」され、復調チャープ信号はコヒーレントに累積され、CPD源についての近似時間遅延を決定するために高速フーリエ変換される。この近似時間遅延は高精度CPD源検出段階で用いることができ、高精度CPD源検出段階において相互相関プロセスの焦点を絞るに役立つ。相互相関プロセスにおける近似時間遅延の使用により、相関器の複雑さが軽減され、処理時間が短縮される。もちろん、予備段階はチャーププローブ信号の使用に限定されない。
【0031】
可搬型レーダ−較正器ユニットにより、現地における最終CPD源検出段階が実施される。ユニットはいずれかのアクセス可能なポイントでネットワークの同軸ケーブル部に接続することができる。ユニットは前向き経路においてヘッドエンドレーダユニットからプローブ信号を受信する。ユニットはプローブ信号から基準信号を発生する。ユニットは戻り経路において、プローブ信号の二次相互変調(差)成分である、CPDエコー信号を受信する。ユニットは局発基準信号をエコー信号と混合して差信号をつくる。差信号は高速フーリエ変換され、CPD源の時間遅延が決定される。可搬型ユニットは、CPD源の位置をその近くまで特定することができるから、優れた結果をもたらすことができる。さらに、接続ポイントにおいて、戻り経路スペクトルは一般に、ヘッドエンドにおけるより、雑音が少ない。
【0032】
可搬型レーダ−較正器ユニット現地に行ってHFCネットワークを較正するためにも用いられる。ユニットは、ファイバノード、ケーブル施設の末端近傍の増幅器及びノードとケーブル施設の末端の間の中間にある増幅器を含めることができる、様々な較正ポイントにおいてネットワークに接続される。それぞれの較正ポイントにおいて可搬型レーダ−較正器ユニットは前向き経路内をヘッドエンドから送信されるプローブ信号から較正信号を発生する。較正信号は、実際はプローブ信号の二次差成分であり、基本的にCPD源から予想されるエコー信号の模擬信号である。しかし、較正信号はCPDエコー信号から弁別できるように変えられる。較正信号は戻り経路内をヘッドエンドレーダユニットに向けて送信され、ヘッドエンドにおいて予備CPD源検出段階について上述した処理と同様の処理を受ける。しかし、この較正モードにおいて、ヘッドエンドレーダユニットはいかなる実CPDエコー信号も相殺して、較正信号だけを処理することができる。
【0033】
HFC CATVネットワーク内のCPD源の位置を特定する方法も本発明によって考えられる。そのような方法の1つは、(a)(予備段階として)CPD源に関係付けられる近似時間遅延を決定するために両側側帯波プローブ信号を用いる段階、(b)戻り経路において受信される、前向き経路TV番組信号のCPD歪成分をCPD歪成分の局所生成模擬信号と相互相関させる段階、(c)段階(a)で決定された近似時間遅延だけCPD歪成分の模擬信号を遅延させることにより段階(b)における相互相関を誘導する段階、及び(d)段階(b)及び(c)における相互相関に基づいてCPD源の時間遅延を決定する段階を含む。本方法は、段階(b)における相互相関の実施の前に戻り経路サービス信号を抑制する段階をさらに含むことができる。本方法は、CPD源の位置を特定するためにCATVネットワークに沿う複数の接続ポイントにおいて可搬型レーダ−較正器ユニットを使用する段階をさらに含むことができる。
【0034】
可搬型レーダ−較正器ユニットを用いてCATVネットワークを較正する方法は、(a)較正ポイントにおいて可搬型レーダ−較正器ユニットをCATVネットワークに接続する段階、(b)シミュレートされたCPD歪成分を戻り経路周波数スペクトル内の、パルス列を有する、較正信号として発生する段階、(c)較正ポイント近傍にあるCPD源からの歪成分から較正信号を弁別するために較正信号のパルス列を変形する段階、(d)変形されたパルス列をもつ較正信号を戻り経路でヘッドエンドに送信し戻す段階、(e)ヘッドエンドにおいてCPD歪成分とは実質的に独立に較正信号を検出する段階、及び(f)較正ポイントの位置に関係付けられる較正された時間遅延を確立するためにヘッドエンドと較正ポイントの間の時間遅延を決定する段階を含む。段階(c)において較正信号のパルス列はパルス列のパルスを一つおきにブランキングすることによって変形することができる。段階(e)において、CPD歪成分のパルス列が相殺され、較正信号のパルス列が累積されるように、CPD歪成分のパルストレインのパルスを一つおきに反転し、較正信号及びCPD歪成分のコヒーレント累積を実施することによって較正信号を検出することができる。
【0035】
本発明のさらなる課題は、添付図面を参照する好ましい実施形態の以下の説明から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
図1は本発明のCPD位置高精度特定システムAの好ましい実施形態の簡略なブロック図を示す。システムAはHFCケーブルTVネットワークのHFCヘッドエンド及び同軸ケーブル部に組み込まれる。システムAはヘッドエンドにおいて接続される以下の装置、ヘッドエンドCPDレーダユニット1,戻り経路スイッチ3及びコンピュータ2を備える。システムAはさらにネットワークの同軸ケーブル部に直接に接続される装置−可搬型受動CPDレーダ−較正器ユニット9−を備える。汎用ヘッドエンド装置は、前向き経路信号(すなわちアナログ及びデジタルTV番組信号)を結合するためのヘッドエンドコンバイナ4,前向き経路信号を複数の光ノードに配送するための信号スプリッタ5,前向き経路信号をHFCネットワークの光ファイバ部の光ファイバノードに送信するための複数の光送信器6及び光ノードから戻り経路信号を受信し、それらをヘッドエンド受信器(図示せず)に配送するための複数の光受信器7を有する。
【0037】
ヘッドエンドCPDレーダユニット1は、一方は戻り経路スイッチ3の出力に接続され、他方はタップ11を介してコンバイナ4の出力に接続される、2つの入力を有する。レーダユニット1の出力(RF出力)はコンバイナ4の一方の入力に接続される。前向き経路のアナログ及びデジタルTV番組信号はコンバイナ4の他方の入力に印加される。コンバイナ4の結合出力はスプリッタ5の入力に接続される。スプリッタ5の出力は光送信器6の入力に接続される。前向き経路信号は、図1に示されるように、送信器6から光ケーブルを通じて対応する光ノード8に送信される。先に示したように、コンバイナ4の出力はタップ11を介してレーダユニット1の入力にも接続される。
【0038】
レーダユニット1及びスイッチ3の管理はコンピュータ2を用いて行われる。図1に示されるように、コンピュータ2はレーダユニット1及びスイッチ3に接続される。コンピュータ2は、スイッチ3を制御し、スイッチ3にそれぞれの光受信器7からの戻り経路信号を、個別に、循環態様またはプログラムされた(すなわち選択的)態様でレーダユニット1の入力に接続させるようにプログラムされる。さらに、コンピュータ2はレーダユニット1から受け取られる情報の処理及び格納を行う。
【0039】
図1をさらに参照すると、光ノード8の出力はネットワークの同軸ケーブル施設10に接続される。ノード8は、前向き経路光信号を同軸ケーブル施設10を通じる送信のためのRF信号に変換し、RF戻り経路信号を光受信器7への送信のための光スペクトルに変換する。同軸ケーブル施設10は一般に、ノード8と多数の加入者の家(図示せず)の間に、幹線−枝線パターンで配置される。可搬型レーダユニット9は現地に配備され、CPD源13の現場探索を行う目的のため及びケーブル施設を較正するために、様々なポイント12においてケーブル施設10に接続される。
【0040】
一般に、CPD位置高精度特定システムAは2つの基本動作モード−(1)CPD源検出モード及び(2)較正モード−を有する。
【0041】
CPD源の検出(または測距)はCPD源に及びCPD源から伝搬する信号の時間遅延ΔTを測定または決定することによって達成される。予備測距段階においては、両側側帯波変調レーダチャープパルスのような、特定のプローブ信号を用いることができる。さらに厳密な第2の段階においては、実際の前向き経路のデジタル信号またはデジタル及びアナログTV番組信号がプローブ信号として用いられる。時間遅延ΔTは実際には基準ポイント(例えばヘッドエンド)からCPD源まで進行するプローブ信号及びCPD源から進行して基準ポイントに戻るプローブ信号の歪成分の総伝搬時間である。CPD源は前向き経路内を伝搬する信号の歪成分を生じさせる。これらの前向き経路信号の低周波数歪成分は戻り経路内を伝搬してヘッドエンドに戻る。元の前向き経路信号が基準として利用できれば、これらの低周波数歪成分をCPD源の検出及び測距に利用できる。低周波数歪成分には、前向き経路信号の二次及び三次相互変調成分を含めることができる。CPD源測距におけるこれらの成分の使用を以下でさらに詳細に説明する。
【0042】
CPD源検出モード−予備段階
戻り経路スイッチ3がCPDレーダユニット1を選ばれた光ノード8の与えられた戻り経路受信器7に接続した後に、レーダユニット1がそのRF出力にCPD源検出のための特定のプローブ信号をつくる。レーダユニット1のブロック図が図2に示される。信号の形成及び処理は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)に実装することができるデジタルプロセッサ26においてデジタル形式で実行される。
【0043】
それを通って特定のプローブ信号が形成される処理チャネルには、コントローラ37,直接デジタル合成器(DDS)36,デジタル−アナログ変換器(DAC)25,低域フィルタ(LPF)24,ミクサ23,局部発振器27,帯域フィルタ(BPF)21及びアップコンバータ22がある。一実施形態において、プローブ信号はコヒーレントパルスの周期シーケンスとすることができる。続いて、プローブ信号は、局部発振器27からのキャリア信号並びにDDS36,DAC25及びLPF24で形成されたプローブ信号の平衡変調によってミクサ23において両側側帯波信号として変調される。DDS36で形成された信号は、結果が衝撃関数またはディラック関数を近似する自己相関関数を有するならば、レーダ位置探知または測距に用いられる既知の方法にしたがって周波数変調または位相変調を行うこともできる。
【0044】
DDS36で形成されるプローブ信号(ベースバンドプローブ信号)の周波数及び帯域幅は、信号の二次高調波スペクトルがHFCネットワークの戻り経路のスペクトル内に入るように選ばれる。二次高調波は戻り経路スペクトルの非使用領域にあることが望ましい。プローブ信号のパラメータの選択は以下で、例として、チャープ信号を用いてさらに詳細に説明する。
【0045】
ミクサ23における平衡変調後、プローブ信号の両側側帯波版(IFプローブ信号)は帯域フィルタ21でフィルタリングされ、その結果が前向き経路周波数スペクトル内のRF周波数帯にアップコンバートされる(RFプローブ信号)。図3a,3b,3cは、ベースバンドプローブ信号(図3a)の両側側帯波IF信号(図3b)への変調及び前向き経路スペクトル内の送信のためにRFプローブ信号(図3c)をつくるためのIF信号のアップコンバートの例を示す。図3aに示されるように、ベースバンドプローブ信号41は、低域フィルタ24に出力において、3MHzから6MHzまでの周波数帯域を有する。ミクサ23において、信号41は局部発振器27からの信号との平衡変調にかけられる。局部発振器信号の周波数は、標準値の70MHzに等しく選ばれる。得られたIFプローブ信号(図3b)は、下側帯波42,上側帯波43,及び局部発振器信号の抑制残留信号44を有する。70MHzIF信号は12MHzの帯域幅を有する。IF信号は次いでアップコンバータ22で前向き経路スペクトルのRF帯にアップコンバートされる。RFプローブ信号の中心周波数は、プローブ信号がTV番組信号に利用されるスペクトル領域を占有しないように、前向き経路スペクトルのロールオフ領域にあることが好ましい。図3cに示されるように、RFプローブ信号は、例えば860MHzより上におかれる、周波数47を中心とする。RFプローブ信号は,IF側帯波42及び43にそれぞれ関係付けられる、下側帯波45及び上側帯波46を含む。
【0046】
図4は周波数−時間ドメイングラフ上にプロットされたRF両側側帯波プローブ信号の一例を示す。両側側帯波信号は偏差が3MHzの線形周波数変調(チャープパルス)を有する(DDS36からの)ベースバンドプローブ信号から誘導される。RFプローブ信号は、アップコンバータ22の出力において、相対(ミラー)方向に線形態様で変調され、パルス持続時間Tを有する、2つのチャープパルス48及び49を表す。図4はCPD源においてRFチャープパルス48及び49から生じる二次相互変調成分51も示す。相互変調成分51はベースバンドプローブ信号の二次高調波50と一致して示される。予期されるように、二次成分50及び相互変調成分51は、ベースバンドプローブ信号の偏差の2倍となる、6MHzの偏差を有する。
【0047】
図4をさらに参照すると、相互変調成分51は、CPD源13(図1)におけるRFチャープパルス48及び49の周波数混合により形成される。この信号51は古典的レーダシステムにおけるエコー信号に類似している。しかし信号51は元の信号の反射(エコー)であるだけでなく、元の信号の相互変調成分でもある。しかし、信号51は古典的エコー信号が含んでいるであろう時間遅延情報と同じ情報を含む。信号51は、その周波数が戻り経路スペクトル内にあるから、ヘッドエンドまで伝搬して戻る。信号51はCPD源13の遠隔距離に比例するある時間遅延(ΔT)53をもってヘッドエンドに到着する。相互変調成分51の瞬間値は、初期ベースバンドチャープ信号の二次高調波50の対応値と、式:
ΔT=(ΔF・T)÷6MHz (式1)
で時間遅延(ΔT)53に正比例する、周波数オフセット(ΔF)52だけ異なる。
【0048】
図5は、前向き経路内のRF両側側帯波プローブ信号54から誘導される、戻り経路内の二次相互変調成分55の一例を示す。
【0049】
CPD源を検出するための両側側帯波信号の特性をさらに説明することが必要である。両側側帯波信号は、例えばCPD源によって生じる、非線形歪の場合には、(両側側帯波信号の)2つの側帯波からの二次相互変調成分が、両側側帯波信号を発生させるために用いられる局部発振器信号またはアップコンバータのパラメータに全く依存しないという驚くべき特性をもつ。詳しくは、例えば100〜750MHzの、数100MHzの帯域幅を有する広帯域雑音様信号を局部発振器信号として用いることができる。この場合、アップコンバータ22は不要になり、出力ミクサ23からの信号をCPD源検出のためのプローブ信号として前向き経路に直接に送り込むことができる。そのような信号のスペクトルは白色雑音に近いであろう。そのような信号は、そのエネルギースペクトル密度がヘッドエンドコンバイナ4の出力における基本雑音レベルより下にあれば、前向き経路内のRFTV番組信号と干渉しないであろう。言い換えれば、信号のエネルギーはコンバイナ4の出力における雑音のエネルギーより低くなければならない。
【0050】
上述した広帯域雑音両側側帯波信号を特許文献1における2つの相異なる信号F1及びF2とは見なし得ないことは明白である。さらに、この広帯域雑音局部発振器信号の場合、一般に、キャリア周波数の概念はない。したがって、そのような広帯域雑音信号の非線形歪の場合には、局部発振器信号が(図3及び図5におけるような)連続波(CW)キャリアである場合におけるように、プローブ信号の高精度で同じ相互変調成分が戻り経路内に形成されるであろう。両側側帯波信号のそのような適用についての機会は、特許文献1に説明されるような、F1及びF2信号の単純な使用とは基本的に異なる。
【0051】
より良い説明及びより容易な理解のために、以降の議論を、局部発振器信号がCW信号であり、RF両側側帯波プローブ信号のスペクトルが前向き経路のロールオフ領域におかれる(図3,4,5)場合に限定する。そうであっても、上に与えた広帯域雑音の例は一態様として覚えておくべきである。両側側帯波信号の二次相互変調成分が周波数変換回路(例えば局部発振器27)のパラメータに依存しないという事実及びそのような相互変調成分が(例えばDDS36からの)ベースバンドプローブ信号の二次高調波と一致するという事実により、CPD源からの相互変調成分の長期コヒーレント累積の実行が可能になる。さらに、受信器の雑音レベルよりかなり低いレベルを有する相互変調成分の検出が可能になる。CPD源からの相互変調成分は本明細書で、場合に応じて、「エコー信号」または「エコーチャープ信号」とも称されるであろう。
【0052】
両側側帯波チャープ信号の場合、基準信号または「復調チャープ」信号(例えば図4の信号50)は直接デジタル合成器(DDS)31(図2)を用いて容易に高精度の確度をもって形成される。しかし、DDS36はベースバンドプローブ信号(例えば図3aの信号41)を形成し、DDS31は(例えば図5の信号55のような)ベースバンドプローブ信号の二次高調波に等価な信号を形成する。言い換えれば、DDS31からの信号は、DDS36からのプローブ信号の2倍の帯域幅及び中心周波数を有する。DDS31及びDDS36の出力周波数は、DDS31及びDDS36の入力に2進コードを与えることによって決定される。チャープ信号に対し、2進コードは2進カウンタによって形成される。DDS31及びDDS36は同じ、コントローラ37の2進カウンタによって制御される。
【0053】
図4を再び参照すれば、エコーチャープ信号51は戻り経路スペクトル内で受信される。図1において、この信号は戻り経路スイッチ3を介して光受信器7の1つから受信され、戻り経路入力を通してヘッドエンドレーダユニット1によって受信される。図2に示されるように、信号51は帯域フィルタ14でフィルタリングされ、低雑音増幅器(LNA)15で増幅され、アナログ−デジタルコンバータ(ADC)16でデジタル形式に変換される。ADC16からの信号は乗算器28の一方の入力に与えられる。DDS31で形成された信号が乗算器31の他方の入力に与えられる。DDS31は、先に説明したように、DDS36で形成されるベースバンドチャープ信号の二次高調波に等価な、復調チャープ信号(例えば図4の信号50)を形成する。この目的のため、DDS31に設定される現周波数パラメータ(すなわち、帯域幅及び中心周波数)はDDS36に設定されるパラメータに対して2倍にされる。チャープ信号の現瞬間周波数はコントローラ37の2進カウンタでつくられる2進コードによって設定される。
【0054】
乗算器28において、基準信号または復調チャープ信号50(図4)と時間遅延エコーチャープ信号51(図4)の乗算が実行される。この段階は、エコー信号の「復調チャーピング」と称される。結果は周波数オフセット(ΔF)52(図4)に等しい中心周波数を有する低周波数信号である。乗算器28からの復調チャープ信号は低域フィルタ(LPF)29でフィルタリングされ、コヒーレントアキュムレータ30に与えられる。LPF29からのパルスのコヒーレント累積はコヒーレントアキュムレータ30で行われる。コヒーレント累積はCPDレーダユニット1の背景雑音並びに、パルス雑音及び入来雑音のような、戻り経路内の様々な干渉信号のようなソースに対するCPD源検出の耐雑音性を改善する。コヒーレントアキュムレータ30の出力からの信号はコントローラ37に渡され、さらにデータインターフェース40を通して、コンピュータ2に渡される(図1及び2)。コンピュータ2において、復調チャープ信号に高速フーリエ変換(FFT)操作が施され、時間遅延ΔT(図4)が決定される。これはレーダ位置探知に用いられる標準的なチャープパルス処理方法である。次いで、時間遅延ΔT及びHFCネットワークを通る信号の伝搬速度からCPD源の区域が計算される。
【0055】
入来雑音のような強力な干渉の存在の下でのCPD源の信頼できる検出に対して、両側側帯波パルスの持続時間T及びコヒーレントに累積されるパルスの数Nは、6MHzの戻り経路内エコー信号周波数偏差において、T=3,...,5ミリ秒及びN=64,...,128に選び得ることが実用試験で示された。したがって対応するベースバンド信号の偏差は2〜3MHzになるであろう。CPD源の測距の可能な分解能はエコー信号の周波数偏差によって定まる。図4に提示される例については、可能な分解能は約70フィート(約21m)である。そのような分解能ではCPD源の位置特定には不十分な場合がある。したがって、上述したように、両側側帯波プローブ信号を用いてCPD源に対する区域が予備的に決定された後、第2の段階がとられる。第2の段階は高められた分解能を与え、CPD源に対する区域の本質的にさらに正確な決定を与える。この第2の段階はプローブ信号として実際のデジタル信号またはデジタル及びアナログRFTV番組信号に依存する。
【0056】
好ましい実施形態の1つにおいて、DDS36からのベースバンドプローブ信号は、周波数偏差が2.5MHzで中心周波数が5MHzの、一連のチャープパルスである。アップコンバータ22からの、対応するRF両側側帯波プローブ信号は7.5MHz隔てられた(中心間隔が10MHzの)上側帯波及び下側帯波を有する。すなわち、両側側帯波プローブ信号の総合帯域幅は12.5MHzである。そのようなプローブ信号の二次高調波成分または二次相互変調差成分の帯域幅は5MHzであり、中心周波数は10MHzである。本実施形態において、式(1)はΔT=(ΔF・T)÷5MHzとなる。
【0057】
CPD源検出モード−高精度段階
高精度段階において、エコー信号は実際には、CPD源における前向き経路TV番組信号の歪から生じる戻り経路内の相互変調成分の選抜である。図6に示される一例において、2つのデジタル直角振幅変調(QAM)チャネル56及び57(非隣接チャネル)の間のCPD歪から生じる二次の相互変調成分に焦点を絞る。QAMチャネル56,57のそれぞれの帯域幅は6MHzであり、チャネルの中心間隔は18MHzである。戻り経路帯域におけるチャネル56及び57の二次成分58の中心周波数は18MHzであり、帯域幅は12MHzである。信号58はガウス型雑音のように挙動すると仮定され、この仮定は、以下で説明されるように、CPD源検出器の設計に用いられる。
【0058】
エコー信号には、CPDの結果として、アナログチャネルとデジタルQAMチャネルの間で形成される三次相互変調成分も含まれ得る。この場合の例が図7に示される。アナログチャネル59とデジタルQAMチャネル60がCPD源において混合され、戻り経路帯域内に三次成分61をつくる。三次成分61の基本エネルギーの中心は周波数F=2f−fにあり、ここでfはアナログチャネル59のビデオキャリア周波数であり、fはQAMチャネル60のキャリア周波数である。
【0059】
図8(上図)を参照すると、前向き経路スペクトルはアナログTVチャネル62,デジタルQAM TVチャネル63及び両側側帯波プローブ信号64を含む。戻り経路スペクトル(下図)は、例えば、アナログチャネル62と、QAMチャネル63の間の三次成分66,QAMチャネル63の間の二次成分67及び、両側側帯波信号64からの二次成分65を含む、二次及び三次相互変調成分を示す。(相互変調成分65ではなく)相互変調成分66及び67の統合スペクトルは、戻り経路全体にわたるほど広いか、または戻り経路の一部だけの、帯域幅を有する、複合雑音信号(CNS)として扱われる。統合スペクトルは、ガウス型白色雑音に近い特性を有する、すなわちディラック関数または衝撃関数に近い自己相関関数を有することから、複合雑音信号と称される。そのような信号特性は、測定の確度及び分解能の観点から、レーダ位置探知に理想的である。本発明において、複合雑音信号はCPD源検出のためのいわゆるエコー信号として用いられる。複合雑音信号により、CPD源検出に利用できる信号エネルギーのかなりの増大が得られ、したがって、比較的「弱い」CPD源を検出するための時間遅延測定値の確度及び感度の向上がもたらされる。比較的弱いCPD源の検出は、それによってCPDが顕著な問題になる前にネットワークオペレータがCPD源を排除するに十分な時間が得られるから、イーストメントシステムに優る重要な利点である。本発明により、今では、ネットワークオペレータは、予防保守プログラムを確立し、緊急に反応しなければならない事故を最小限に抑えることができる。
【0060】
CPD源検出のためのエコー信号としての複合雑音信号の使用は、以下のように実行される。コンバイナ4の出力からの前向き経路信号のスペクトルが、タップ11を介して、ヘッドエンドCPDレーダユニット1の前向き経路入力に与えられる(図1)。レーダユニット1において前向き経路信号がCPD発生器17に受信される(図2)。CPD発生器17のブロック図が図9に示される。前向き経路信号はスプリッタ68において2つの信号経路に分けられる。一方の経路は帯域フィルタ69に入り、他方の経路は帯域フィルタ76に入る。帯域フィルタ69は例えば50〜550MHzの周波数帯域内のアナログチャネルを除く全ての信号をフィルタリングして除去する。帯域フィルタ76は例えば550〜860MHzの周波数帯域内のデジタルチャネルを除く全ての信号をフィルタリングして除去する。ここで与えられる周波数は米国のチャネル間隔並びにアナログチャネル及びデジタルチャネルに対する代表的な割当をもつNTSCシステムに基づいて選ばれた。PALシステム、または別に定められた前向き経路及び戻り経路の周波数帯域を用いるシステムについては、対応して、選ばれる周波数及び実施形態が変わるであろう。また、代表的なアナログチャネルまたはデジタルチャネルの割当が変更されるか、あるいはアナログチャネルがCATVネットワークにおいて休止される場合には、対応して、選ばれる周波数及び実施形態が同じく変わるであろう。
【0061】
帯域フィルタ69の出力は増幅器70で増幅されて、スプリッタ71で2つの経路に分けられる。2つの経路はミクサ72への入力であり、ミクサ72において、和周波数と差周波数の範囲内に入る、アナログチャネルの二次相互変調成分が形成される。500〜900MHzの範囲の和周波数(例えば2f)における成分が帯域フィルタ73によって選択され、フィルタ73の出力はミクサ74の入力に入る。
【0062】
帯域フィルタ76の出力は増幅器77で増幅され、タップ78を通過し、スプリッタ79で2つの経路に分けられる。2つの経路はミクサ80への入力であり、ミクサ80における乗算の結果としてデジタルチャネルの二次相互変調成分が形成される。5〜50MHzの範囲内の様々な周波数における成分(例えば図8の二次成分67)が帯域フィルタ81で選択されて、コンバイナ82の入力に与えられる。
【0063】
増幅器77からの増幅されたデジタルチャネル(例えばf)は、タップ78を介して、ミクサ74の別の入力に接続される。ミクサ74で、アナログチャネルとデジタルチャネルの間の三次成分(例えば図8の三次成分66)である、二次の相互変調成分(例えばF=2f−f)が形成される。ミクサ74の出力は帯域フィルタ75でフィルタリングされ、帯域フィルタ75では5〜50MHzの範囲の三次成分が選択されて、コンバイナ82の別の入力に与えられる。
【0064】
コンバイナ82の結合出力は、5〜50MHzの範囲(すなわち戻り経路スペクトル)内の、デジタルチャネルからの二次成分並びにアナログチャネル及びデジタルチャネルからの三次成分を含む。この出力が、戻り経路内で受信されると予想される複合雑音信号のゼロ時間遅延版を表す、CPD発生器17の出力である。この出力が、(実複合雑音信号である)エコー信号に対する基準として機能する。
【0065】
図2に示されるように、複合雑音信号を含む戻り経路信号は、帯域フィルタ14でフィルタリングされ、低雑音増幅器15で増幅されて、アナログ−デジタルコンバータ(ADC)16でデジタル信号に変換される。CPD発生器17の出力は、帯域フィルタ18でフィルタリングされ、低雑音増幅器19で増幅されて、アナログ−デジタルコンバータ(ADC)20でデジタル信号に変換される。ADC16及び20のサンプリング周波数はクロック発生器39から得られ、戻り経路の最高周波数の2倍以上である。
【0066】
ADC16の出力は、複合雑音信号だけでなく、インターネット、ペイパービュー及び電話信号のような、一般的な戻り経路サービス信号も含む。これらのサービス信号は複合雑音信号の処理の観点からは実際上干渉信号である。したがって、それらの影響は適応(白色化)フィルタ34によって最小化される。フィルタ34は有限インパルス応答(FIR)フィルタであり、その係数は初めにコンピュータ2で計算され、さらにコントローラ37によって割り当てられる。
【0067】
フィルタ34の係数は、初めにADC16からの戻り経路スペクトルのサンプルを得て、コントローラ37を用いて、それらをFIFOメモリ38に格納することによって決定される。サンプルは次いでデータインターフェース40を介してコンピュータ2に転送される。FIFOメモリ38は、ADC16における量子化の周波数及び分解能が高いことから、本実施形態に用いられる。したがって、FIFOメモリ38はADC16のサンプリングレートとデータインターフェース40の速度を整合させるためのバッファとして用いられる。戻り経路スペクトルのサンプルはコンピュータ2に渡され、そこで高速フーリエ変換(TFT)がそれらのサンプルに施される。得られた戻り経路スペクトルのエネルギー(振幅)の推定値に基づいて、適応フィルタ34の周波数応答が合成される。フィルタ34の所望の応答は戻り経路内のサービス信号の周波数応答の反転または鏡像である。実用上は、得られた推定エネルギースペクトルの近似鏡像が用いられる。適応フィルタ34の位相応答は線形になるように選ばれる。コンピュータ2における逆FFT操作により、フィルタ34に対する係数が決定される。係数は次いで、データインターフェース40を介して、コントローラ37に転送され、次いで適応フィルタ34に転送される(図2)。係数は説明したばかりの過程を経て絶えず更新される。
【0068】
図10は戻り経路内の信号のエネルギースペクトル83及び対応する適応フィルタ34の周波数応答84の例を示す。フィルタ34の作動原理は、最大(レベル)スペクトル成分を有する信号の最大抑制である。
【0069】
エコー信号として複合雑音信号を用いる方法の吟味に戻る。図2を参照すれば、ADC16からの戻り経路スペクトルサンプルは適応フィルタ34に入り、適応フィルタ34において、上で説明したように、最大振幅の不要(サービス)信号の抑制(白色化)が達成される。フィルタ34の出力は主に複合雑音信号またはエコー信号である。この信号は相関器35においてCPD発生器17(の出力)からの基準信号と相関される。フィルタ34の出力は相関器35の第1の入力に与えられ、CPD発生器17からのデジタル化された基準信号が相関器35の第2の入力に与えられる。相関器35のブロック図が図11に示される。
【0070】
図11に示されるように、CPD発生器17からの(時間遅延がゼロの)出力信号は可変遅延線85に入る。遅延線85における初期時間遅延は、両側側帯波信号手法を用いるCPD源までの時間遅延測定(すなわち上述した予備段階)の予備的結果に基づく、コントローラ37からの制御信号92によって割り当てられる。遅延線85に割り当てられる時間遅延は、最小で、CPDの出現は一般に不可能であるHFCネットワークの光ファイバー部における時間遅延に等しくすることができる。遅延線85の出力はN+1本の相関処理チャネルに入る。第1のチャネルを除き、それぞれのチャネルはT・jの遅延時間を有する固定遅延線86を含む。ここでj=1→Nである。時間TはADC16及びADC20のサンプリング周期に等しくなるように選ばれる。例えば、サンプリング周波数が100MHzであれば、T=10ナノ秒である。チャネル数N+1はHFCネットワークにおける時間遅延の最大範囲(すなわち、ヘッドエンドから同軸ケーブル施設10の最遠デバイスまでの総時間遅延)に基づいて選ばれる。十分に大きな数の統計の解析により、現行のHFCネットワークにおいて、この時間遅延の大きさは平均して20マイクロ秒までであることが示される。そのような場合、全遅延範囲を完全にカバーするには2000本のオーダーの相関チャネルが必要であろう。今日では、これはFPGAによって可能である。
【0071】
図11を再び参照すれば、遅延線86のそれぞれ及び1本の非遅延チャネルからの信号(基準信号の遅延版)は、N+1個の乗算器87の内の対応する1つの乗算器に入る。適応フィルタ34の出力(エコー信号)が、信号線90を介して、乗算器87の他方の入力に与えられる。乗算器87の出力はそれぞれ積分器88で積分され、その結果がレジスタ89に格納される。積分時間及びレジスタ89からの積分結果の読出しの制御はコントローラ37からの制御信号91によって達成される。相関器35で実施された相互相関のN+1個のサンプルはコントローラ37にわたされる。これらのサンプルは、CPD発生器17からの基準信号とCPD源からの複合雑音信号の相互相関関数を表す。この関数の最大値はCPD源からのエコー信号の時間遅延に対応するであろう。
【0072】
図12は、(偏差が6MHzの)両側側帯波チャープエコー信号のコヒーレント累積の応答を、2つのCPD源の存在の下での、複合雑音エコー信号の相互相関処理の応答と比較する。曲線93はチャープエコー信号を用いたとき(予備段階)の応答であり、曲線94は複合雑音信号を用いたとき(高精度段階)の応答である。後者の場合には分解能がほぼ一桁向上していることが容易に分かる。さらに、上述したように、後者の場合には信号対雑音比の向上によって時間遅延の測定値の確度が高まる。
【0073】
本発明は、複合雑音信号の相互相関処理の使用による、CPD源検出に限定されない。相互相関処理は古典的な時間ドメインレーダ処理手法である。別の古典的な手法は周波数ドメインにおけるフィルタリング処理を行うことである。
【0074】
すなわち、ヘッドエンドレーダユニット1を用いるCPD源の検出プロセスは−(1)両側側帯波信号を用いてCPD源の存在を検出する予備段階、及び(2)複合雑音信号の使用を含む高精度測定段階−を含む。先に述べた段階で決定された時間遅延に基づいて、またその時間遅延が関係付けられるノードに割り当てられた許容値に基づいて、CPD源の候補位置、またはCPD源がある候補領域(または候補区域)を、ケーブル施設電子マップ及び/またはネットワークデータベースを用いて、特定することができる。CPD源の候補位置または候補区域を自動的に特定できるように、システムAとケーブル施設10の電子マップ及び/またはデータベースの間にインターフェースがあることが好ましい。
【0075】
上述したように、それぞれのノードには許容値が割り当てられ、許容値はCPD源(通常はネットワーク内デバイス)の候補位置及び/または候補区域の選択における一要因となり得る。ノードに割り当てられる許容値は、そのノード内のネットワークデバイスの数、配置及び較正確度に基づいて決定される。例えば、特定のノードが最近較正されていなければ、そのノードには緩い許容値が割り当てられるであろう。ノードが最近較正されていれば、ヘッドエンドレーダユニット1のシステム許容値のような、より厳しい許容値が割り当てられるであろう。許容値はコンピュータ2で自動的に決定されることが好ましいが、手動で割り当てることもできる。
【0076】
多くの場合、高精度測定段階及びケーブル施設電子マップの使用の後であっても、CPD源の位置にある程度の不確定性が残り得る。既に述べたように、現行のHFCネットワークの同軸ケーブル施設の最小遅延と最大遅延の間の平均範囲は20マイクロ秒までである。この平均に関して出現する可能性のあるCPD源の数は総数約1000であり得る。これは、遅延の一様分布を仮定すれば、遅延20ナノ秒当り約1つのCPD源であり、8フィート(約2.4m)毎に1つのCPD源と等価である。曖昧さは、時間遅延の測定値の確度に関する限界によるだけでなく、マップに示されるような、ケーブル長に関する初期データの不正確さにもよる。特に、マップはケーブル長を示すことはできず、ケーブルが繋がれているポールの間の距離を示す。曖昧さの尤度の観点からはCPD源検出プロセスにおいて第3の段階−曖昧さを解くことができる段階−を実施することが望ましい。本発明において、第3の段階は可搬型受動レーダ−較正器ユニット9(図1)を用いて実行される。名称が暗示するように、このデバイスは二重の目的:(a)HFCネットワークの較正及び(b)CPD源の現地捜索及び位置特定を有する。
【0077】
予備段階を省略して高精度段階の下でCPD源検出を直接に実施できることは当然である。図2に示されるように、そのような実施形態には、戻り経路信号入力及び前向き経路信号入力、帯域フィルタ14,低雑音増幅器15,ADC16,デジタルプロセッサ16,適応フィルタ34,相関器35,CPD発生器17,帯域フィルタ18,低雑音増幅器19,ADC20,コントローラ37,FIFOメモリ38,クロック発生器39及びデータインターフェース40だけが必要となるであろう。図2の残りのハードウエアはスイッチを切るかまたは排除することができよう。そのような実施形態において、相関器35にはかなりの本数(例えば2000本まで)の相関チャネルが必要であろう。しかし、上述したように、今日これはFPGAを用いることで可能である。
【0078】
検出モード−最終段階
HFCネットワークの較正は後に説明する。ここではCPD源検出の最終段階に焦点を絞る。この最終ステップにおいて、ユニット9についての動作の基本は受動レーダである。ユニット9は様々な「接続ポイント」において同軸ケーブル施設10に接続される。用語「接続ポイント」はユニット9がケーブル施設に接続するいかなるポイントも意味する。例えば、接続ポイントは図14a及び14bに示されるような確立された試験ポイントとすることができるだけでなく、同軸ケーブル施設10内のいずれかアクセス可能なポイントとすることもできる。ユニット9に対する最初の接続ポイントは通常、ファイバノードとヘッドエンドレーダユニット1で取得された時間遅延データによって示唆される候補デバイスの位置の間のどこかにあるデバイスにある。接続ポイントにおいて、レーダユニット9は、前向き経路からの信号とCPD源からのエコー信号を同時に拾い上げる。レーダユニット9は次いでエコー信号を処理して、CPD源に関係付けられる時間遅延を決定する。
【0079】
ユニット9はケーブルシステムのどの枝線にCPD源があるかの分解も可能にする。ユニット9はネットワーク内のユニット9の接続点から時間遅延を測定する。この測定は通常、レーダユニット9はヘッドエンドよりCPD源に近接し、通常は単位置における戻り経路雑音がヘッドエンドにおける雑音より少ないから、ヘッドエンドにおける測定より正確である。ユニット9から決定される時間遅延により通常は捜査範囲が狭められる。ユニット9は、CPD地点において保守が実施された後にCPD源が除去されたことを確認するためにも用いられる。これは、現地においてレーダユニット9によって、またヘッドエンドユニット1からの確認測定結果をレーダユニット9で見ることによって、極めて簡便に実施される。
【0080】
可搬型レーダユニット9のブロック図が図13に示される。ユニット9は、前向き経路信号に対する入力及び戻り経路信号に対する入力/出力を有する。前向き経路信号に対する入力において、ユニット9はヘッドエンドレーダユニット1によって形成された両側側帯波チャープ信号を受信する。この信号の選択受信はチューナー95を用いて達成される。両側側帯波チャープ信号は中間周波数でスプリッタ96にわたされる。IFチャープ信号はスプリッタ96において2つの信号経路に分けられる。2つの経路はミクサ97への入力であり、ミクサ97における乗算の結果、チャープ信号の二次相互変調成分が形成される。(例えば図5におけるように、6〜12MHzの範囲にある)二次差成分(例えば図4の二次成分50)が帯域フィルタ98で選択される。フィルタ98の出力はタップ99及びタップ105を通過して、ミクサ104に与えられる。ミクサ104に与えられる信号はチャープ基準信号と見なされる。
【0081】
戻り経路入力/出力において、戻り経路信号はスイッチ101に入り、帯域フィルタ102に回される。帯域フィルタ102により、CPD源からのチャープエコー信号(例えば図4の信号51)が低雑音増幅器103にわたされて増幅されることが可能になる。増幅されたエコーチャープ信号は次いでミクサ104の他方の入力に与えられる。ミクサ104は、エコー信号をミクサ97でつくられた前向き経路チャープ信号の二次差成分(例えば図4の信号50)と混合する。この後者のプロセスはエコー信号の復調チャーピングと称されることがある。ミクサ104の出力(すなわち復調チャープ信号)はΔFだけ異なる周波数(図4)における一連の無変調パルスである。この出力は低域フィルタ106でフィルタリングされ、アナログ−デジタルコンバータ(ADC)107でデジタル形式に変換される。ADC107の出力はデジタル信号プロセッサ111に受け取られ、デジタル信号プロセッサ111において、信号対雑音比を高めるために復調チャープ信号のコヒーレント累積が行われる。コヒーレント累積は前向き経路チャープ信号の二次差成分からのチャープパルスを用いて同期化される。差成分パルスは、タップ105から引き出され、振幅検波器108で包絡線検波されて、コンパレータ109で整形される。コヒーレント累積の結果として得られた信号はFFTプロセッサ112でFFT処理にかけられてディスプレイ114に表示される。スペクトルの最大値はCPD源からのエコー信号に対応するであろう。さらに、それぞれの公称周波数は、式(1)にしたがって、可搬型レーダユニット9の接続ポイントからCPD源までの時間遅延を決定するであろう。
【0082】
次に受動レーダユニット9を用いるCPD源位置特定の一方法の例を以下の段階で説明する:
(1)上述した高精度段階中に識別された可能な候補(通常は増幅器またはタップのようなケーブルデバイス)のリストから、見いだされるべきCPD源が選択される。これらの候補デバイスあるいはそれらがおかれている枝線または区域が、ケープル施設マップ上で高精度で特定される;
(2)候補デバイスが1つしかリストにないかまたは示されていなければ、またそれがおかれているノードが較正されていれば、そのデバイスに行って問題を解決するだけである。ノードが較正されていなければ、そのファイバノードに行き、以下で説明するように較正を行わなければならない。この較正後、段階(2)が反復される;
(3)いくつかの候補枝線または候補区域が識別されていれば、どの区域または枝線がCPD源を含むかを決定する。それぞれの区域にはCPD源になり得るであろう多くの候補デバイスがあり得る。複数の区域が識別されていることは複数のCPD源があることを意味しない。(ノード内のデバイスの較正の量及び確度からコンピュータ2内で自動的に決定される)システムAにおいて指定されるような現在の許容値を前提にすれば、ヘッドエンドからの評定距離が同じである領域がいくつかある。正しい区域を決定するため、以下の段階−
(a)ケーブル施設マップを用いて複数の区域に供給している増幅器を見いだす(識別される候補区域が多くなるほど、増幅器はファイバノードのより近くになければならないであろう);
(b)可搬型レーダユニット9をもって選択された増幅器に行き、CPD源までの時間遅延を見いだす。CPDが示されなければ、問題のCPD源を通り過ぎてしまっているかも知れず、あるいはCPD源は別の枝線にある。したがって、ファイバノードにより近いデバイスを見いだして、段階(b)を反復する;
(c)選択された増幅器またはデバイス及び段階(b)で決定された時間遅延に基づいて、候補区域または候補CPD源を再び識別する。1つの区域だけが識別されれば、以下の段階(4)に進んでその区域内のデバイスを見いだす。複数の区域が再び識別されれば、新しく識別された区域に供給している増幅器に関して段階(a)及び(b)を反復する−
ことが好ましい;
(4)正しい区域が単離された後の次の段階は、実CPD源である、その区域内のデバイスを見いだすことである。これは以下の段階−
(a)単離された区域の直前の増幅器またはデバイスにレーダユニット9を接続する;
(b)レーダユニット9を用いてCPD源までの時間遅延を決定する;
(c)段階(a)で選択された増幅器またはデバイス及び段階(b)で決定された時間遅延に基づいて、CPD源の位置が場所のマップまたはデータベースから識別される−
によって達成することができる。
【0083】
CPDがその線路の末端にあるデバイスから生じているように思われ、信号が同様の距離にある複数のデバイスを含む複数の経路に分かれていれば、CPD源の位置を決定するために1つの経路を切り離す必要があり得る。
【0084】
CPD問題が解決された後、このことはヘッドエンドレーダユニット1で確認されるべきである。ヘッドエンドレーダユニット1が以前の問題箇所に極めて近い範囲内にあるCPD源を表示し続けていれば、複数のCPD源があったようである。これらの別のCPD源は振幅が初めのCPD源より小さいはずである。
【0085】
可搬型レーダユニット9により、現地における以下の作業:
− ケーブル施設10のどの枝線にCPD源があるかを高精度で決定する;
− 現地で直接にCPD源の存在範囲の精度を高める;及び
− CPD除去作業が行われた後に、CPD源が排除されたという事実を確認する;
の一人の専門技術者による実施が可能になる。
【0086】
CPD源検出の有効性は主にケーブル系統マップ上で与えられるデータの信頼性によって決定される。そのようなデータには、隣り合うケーブルデバイス(例えば、増幅器、マルチタップ等)間の距離及びケーブル内の相対信号速度を含めることができる。このデータは必ずしも精度が高くはなく、時間の経過にともなうネットワークへの変更及び季節変動を反映しているとは限らない。この結果、好ましい実施形態において、最も有効なCPD源検出を達成するためには、HFCネットワークの較正が絶対に必要である。システムAの較正モードを以下に説明する。
【0087】
CPD源検出モード及び較正モードのいずれにおいても可搬型レーダユニット9はケーブル施設10に沿う様々な接続ポイントに接続される。多くの確立された接続ポイントの内の例が図14a及び14bに示される。図14aは幹線増幅器116における接続ポイントを示す。詳しくは、レーダユニット9の前向き経路入力が前向き経路増幅器の出力にある試験ポイント117に接続され、レーダユニット9の戻り経路入力/出力が戻り経路増幅器の出力にある試験ポイント118に接続される。同じ接続配置が、前向き経路及び戻り経路RF増幅器の出力において、光ファイバノード8(図1)でなされる。別の接続配置では、ユニット9の前向き経路入力を、試験ポイント117の代りに、幹線増幅器116の出力(または光ファイバノードの出力)に接続することになろう。レーダユニット9の戻り経路入力/出力と試験ポイントタップ118の間にパワー遮断プローブまたはフィルタを挿入することができる。増幅器またはファイバノードにおける戻り経路コンバイナの場合、レーダユニット9の戻り経路入力/出力は(通常はCPD源検出のため)、別々にコンバイナの戻り経路入力に接続することができる。
【0088】
図14bは、方向性タップまたはマルチタップのような、タップ120における接続ポイントを示す。この場合、ダイプレックスフィルタ121がタップ120の出力ポートとレーダユニット9の間に接続される。レーダユニット9の前向き経路がダイプレックスフィルタ121の高域通過出力に接続され、レーダユニット9の戻り経路入力/出力がダイプレックスフィルタ121の低域通過出力に接続される。タップ120とダイプレックスフィルタ121の間にパワー遮断プローブまたはフィルタを挿入することもできる。
【0089】
CPD源検出モードの予備段階、高精度段階及び最終段階の全てを、レーダユニット9と同様の、可搬型レーダユニットで実施できることは当然である。そのような可搬型レーダユニットは、CPD源検出モードの3つの段階の全てを実行するために必要なヘッドエンドレーダユニット1のCPD源検出能力及び制御の全てを有するであろう。そのような場合、可搬型レーダユニットは能動レーダユニットと見なされるであろう。
【0090】
較正モード
較正モードにおいて、レーダユニット9(図13)は、CPD源検出モードで行われるのと同じ態様で前向き経路入力において前向き経路信号を受信する。RF両側側帯波チャーププローブ信号がチューナー95で選択される。信号は次いで先に説明したように処理される。図13を再度参照すれば、デジタル信号プロセッサ111のコントローラ113からのモード制御信号によってスイッチ101が作動する。較正モードにおいては、スイッチ101が増幅器100の出力を可搬型レーダユニット9の出力に切り換える。増幅器100の出力は戻り経路スペクトル内でヘッドエンドに送信される較正信号を含む。較正信号は前向き経路両側側帯波チャープ信号の二次差成分の増幅版である。較正信号は一連のチャープパルスである(例えば図4の信号50)。この(チャープパルスを含む)二次成分はタップ99から引き出され、増幅器100で増幅される。同時に、これらの二次チャープパルスはタップ105から引き出され、検波器108で包絡線検波されてコンパレータ109で整形される。コンパレータ109の出力はコントローラ113に入る。コントローラ113はコンパレータ出力を用いて二次チャープパルスのそれぞれを(増幅器100を切り離すことによって)ブランキングする制御信号を形成する。この結果、スイッチ101の出力における(すなわちレーダユニット9の出力における)較正信号は、較正信号においてはパルスが一つおきにブランキングされていることを除いて、CPD源からのエコー信号と正確に同じ一連のチャープパルスを有するであろう。これにより、レーダユニット1による較正信号と較正試験ポイント近傍のCPD源からのエコー信号の間の弁別が可能になる。
【0091】
次に較正モードにおけるヘッドエンドレーダユニット1(図2)の動作を吟味する。CPD源からのエコー信号及び可搬型レーダユニット9からの較正信号がレーダユニット1の戻り経路入力で受信される。これらの信号は、帯域フィルタ14,低雑音増幅器15,ADC16,乗算器28及び低域フィルタ29によって、先に説明した処理と同じ処理を受ける。較正モードにおいては、低域フィルタ29の出力が第2のコヒーレントアキュムレータ32に供給される。位相反転器33が低域フィルタ出力のパルス(すなわちそれぞれの二次パルス)の位相を一つおきに180°反転させる。したがって、アキュムレータ32におけるコヒーレント累積中に、第1のパルスは反転された第2のパルスで減算され、以下同様である。すなわち、エコー信号から導かれパルスは累積されない(これらのパルスは相殺される)。しかし、較正信号から導かれるパルスは、全ての第2のパルスは元々ブランキングされている(すなわち、較正パルスについては位相反転がおこらない)から、パルスが累積される。この概念が図15a〜eに示される。
【0092】
図15aはヘッドエンドレーダユニット1で形成された一連のコヒーレントチャープ両側側帯波パルス122を示す。図15bは、アキュムレータ23におけるコヒーレント累積直前の信号の、位相反転器33でつくられた、一連の位相シフト123を示す。図15cはCPD源からの一連のエコーパルス124のタイミングを示す。図15b及び15cからわかるように、第2のエコー信号パルスのそれぞれはアキュムレータ32で180°反転されているであろう。図15dは可搬型レーダユニット9からの一連の較正パルス125のタイミングを示す。較正パルスの全てが同相であり、したがってアキュムレータ32におけるコヒーレント累積中にそれぞれが互いに相殺し合うことはないであろうことが図15b及び15dから明らかである。
【0093】
図15eは、6周期にわたる、アキュムレータ32におけるコヒーレント累積の結果を示す。CPD源からのエコー信号パルス126が第1周期にあり、第2周期で反転パルスによって相殺され、第3周期で第3のパルス126が現れ、第4周期で反転パルスによって相殺され、第5周期で第5のパルス126が現れ、第6周期で相殺される。結果はCPDエコー信号からのパルスのゼロ累積である。図15eにおいて、較正パルス127が第1周期にあり、第2(ブランキング)周期にそのまま残り、第3周期において第2の較正パルスが累積し、累積は第4周期にそのまま残り、第5周期において第3の較正パルスがさらに累積し、総較正パルス累積が第6周期にある。すなわち、CPDエコーパルスは抑制され、較正パルスが(RF検出及び測距時間間隔で)アキュムレータ32に累積される。この方法により、較正信号のパラメータ(例えば時間遅延)が、CPDエコー信号からの干渉なしに、表出して測定されるであろう確率が高くなる。この方法は較正の確度をかなり高める。
【0094】
較正信号が、上述したように、表出して測定された後、ヘッドエンドレーダユニット1がその受領確認を可搬型レーダユニット9に送信する。すなわち、レーダユニット1は確認情報信号をレーダユニット9に送信する。この情報信号は、チャープパルスとチャープパルスの間の区間に(図16を見よ)、5MHzの周波数でDDS36を用いてコントローラ37によって形成される。図16はヘッドエンドレーダユニット1からの両側側帯波チャープパルス129と131の間の区間に挿入された情報信号130を示すことでこのことを示す。情報信号は、現在時刻、ノード番号及び較正信号の測定されたパラメータ(例えば時間遅延及び振幅)を含むこともできる。後者の情報ビットにより、可搬型レーダユニット9のオペレータがヘッドエンドレーダユニット1で測定されたままの較正信号のパラメータを現地で見ることが可能になる。送信チャネルは強い干渉の影響を受けないから、上記及び同様の情報の送信に通常の振幅変調を用いることができる。
【0095】
図17はアップコンバータ22の出力における情報信号130のスペクトルを示す。信号130は、ミクサ23における平衡変調の結果として、下側帯波132及び上側帯波133を有する。側帯波132及び133はそれぞれ、RFチャープ信号の側帯波134及び135のスペクトル内に入る。側帯波132及び133は、中心間で、10MHz隔てられる。
【0096】
図13を参照すれば、RF両側側帯波チャープ信号及び情報信号は可搬型レーダユニット9で受信される。図18は、両側側帯波チャープ信号の二次差成分(すなわち、図13の帯域フィルタ98の出力)のスペクトル136を示す。スペクトル136内に情報信号スペクトル137も示される。情報信号は振幅検波器108で検波され、コンパレータ109における整形後、データ受信器110に入る。ノード番号及びヘッドエンドにおいて測定された較正信号パラメータに関する情報はコントローラ113に格納され、ディスプレイ114に表示される。この結果、可搬型レーダユニット9のオペレータは、現在の試験ポイントの較正の実施が成功し、ヘッドエンドにおいて登録され、彼または彼女が次のポイントを構成するために移動できることを、現地で、知る。
【0097】
較正プロセスにより、HFCネットワークに関する電子マップ及びネットワークデバイスデータベースの更新が可能になる。較正により、あるデバイスについて計算された時間遅延が測定された時間遅延で置き換えられ、よってCPD源検出モードの確度及び速度が高められる。少なくとも、CPD源を見つけるためにはファイバノードが較正されてから現地に入るべきである。HFCネットワークにおいて、遅延の大半(70〜90%)は光ファイバによるであろう。したがって、ヘッドエンドとファイバノードの間の時間遅延を決定してからでないと、正確な結果を得ることはできない。さらに、ノード内の他の2つのポイントが較正されることが好ましい。2つのそのような他のポイントはケーブル施設10の末端近傍の増幅器及びそのノードとケーブル施設10の末端の間の中間点近傍の増幅器とすることができる。ノードに近い方の増幅器とケーブル施設10の末端に近い方の増幅器の間で選択がなされる必要があれば、ノードに近い方のデバイスが選ばれるべきである。これらのポイントが較正された後のさらなる較正は、優先度の問題になる。さらに較正を行うことなく許容できる結果が達成されれば、さらに別のデバイスを較正する必要はないであろう。マップの距離または確度に若干の不確定性があるようであれば、さらに較正を行うことが有益であろう。
【0098】
図16を再び参照すれば、可搬型レーダユニット9のCPD源検出モードにおいても情報信号130を用いることができる。検出モードにおいて、情報信号130は較正モードについて既述したような態様で送信及び受信される。検出モードにおいて、信号130はヘッドエンドレーダユニット1で検出されたCPD源の振幅及び時間遅延パラメータを含むことができる。この情報は可搬型レーダユニット9のディスプレイ114(図13)に表示される。これにより、レーダユニット9のオペレータは、ある場合には、レーダユニット9の結果より正確であり得るヘッドエンド結果を見ることが可能になる。ヘッドエンド結果を見ることは、CPD源が適切に識別されて修理されたか否かのチェックに有用である。これは、特定のCPD信号が寄生AM変調によって歪んでいる状況においても、あるいは線路の枝線分岐端においてCPD源を捜索している間にも、用いられる。
【0099】
ヘッドエンドレーダユニット1は、順次(一度に1つ)態様または循環態様でHFCネットワークのそれぞれのノードに接続する。好ましい動作モードにおいて、一日、一週間、一月及び一年をかけてCPD問題についてノードが定常的に監視されるように、ヘッドエンドレーダユニット1は間断なくノードを巡回する。この動作はコンピュータ2及び戻り経路スイッチ3(図1)を用いて行われる。
【0100】
特定のノードが現地で較正されているときは、ヘッドエンドレーダユニット1が巡回してきて較正下のノードに接続するまで、較正を延期することができる。この延期時間は、もちろん、ユニット1が接続するノードの数及びユニット1が1つのノードにおいて信号を処理するに必要な時間に依存する。例えば、両側側帯波チャープパルスの持続時間が3ミリ秒であり、累積されるパルスの数が32であれば、現行のコンピュータの速度を考慮すると、1つのノードについての処理時間は約200ミリ秒である。1つのヘッドエンド(またはHUB)についての平均ノード数は約50〜100である。したがって、ヘッドエンドレーダユニット1が較正下にあるノードに戻るまでの時間は長くとも約10〜20秒をこえるはずはない。この時間が許容できなければ、あるいは時間が上記の要因によって長くなれば、較正下にある1つまたは複数のノードにより速やかに戻るように、ヘッドエンドユニット1をプログラムすることができる。言い換えれば、較正下にあるノードは、特定の日、週またはその他の期間に、較正の予定が組まれていない他のノードよりも頻繁にレーダユニット1に接続されるように予定が組まれる。
【0101】
ヘッドエンドの全動作は人の関与なしに自動的に達成される。較正の結果の全てはそれぞれのノードについて記録され、現地から戻ると、技術者は、較正がなされたケーブル施設のポイント、どのシーケンスで較正がなされたか、及びいつ較正がなされたかをシステム管理者に報告する。管理者は次いで、較正モードにおける時間遅延の測定値及び較正が行われた対応するデバイスの識別データを含む、較正結果を適切なデータベースに入れる。別の実施形態において、較正結果は自動的に可搬型レーダユニット9からヘッドエンドレーダユニット1に送信され、ヘッドエンドレーダユニット1において、情報が受信され、デジタル形式に変換されて、適切なデータベースに格納される。較正結果はさらに、通常はマップデータベースから生成されるHFCネットワークの電子マップを自動的に更新するために用いることができる。
【0102】
本発明の好ましい実施形態を本明細書に詳しく説明し、図面に示したが、本発明がそれだけに限定されないことは当然である。当業者には、添付される特許請求の範囲に定められる、本発明の精神及び範囲を逸脱することのない、本発明の多くの改変、等価物及び適合が明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】CPD源の位置を高精度で特定するための本発明のシステム及びシステムの双方向HFC CATVネットワークへの接続の簡略化なブロック図である
【図2】本発明にしたがって構成されたヘッドエンドCPDレーダユニットの簡略なブロック図である
【図3】図2のヘッドエンドレーダユニットにおいて両側側帯波RFプローブ信号を形成するプロセスを説明する図であり、図3aベースバンドプローブ信号を示し、図3bはプローブ信号のIF両側側帯波変調版を示し、図3cはプローブ信号のRF両側側帯波変調版を示す
【図4】前向き経路内のチャープ両側側帯波プローブ信号及び戻り経路内の対応するチャープエコー信号の周波数−時間ドメイン図である
【図5】前向き経路内のRF両側側帯波プローブ信号及び戻り経路内のこの信号の二次相互変調成分の周波数図である
【図6】前向き経路内の2つの非隣接デジタルQAM TVチャネル及び戻り経路内のこれらのチャネルの二次相互変調成分の周波数図である
【図7】前向き経路内のアナログTVチャネル及び単デジタルQAM TVチャネル及び戻り経路内のこれらの信号の三次相互変調成分の周波数図である
【図8】上図は前向き経路スペクトルのロールオフ領域にアナログチャネル及びデジタルQAMチャネル並びに両側側帯波プローブ信号を含む前向き経路における代表的な振幅スペクトルを示し、下図はデジタルチャネル及びアナログチャネルの二次及び三次相互変調成分並びにプローブ信号の二次相互変調成分を含む戻り経路における代表的な複合振幅スペクトルを示す、一対の周波数図である
【図9】図2のヘッドエンドレーダユニットに用いられる、本発明のCPD発生器の簡略なブロック図である
【図10】上図は戻り経路サービス信号を含む戻り経路の代表的な振幅スペクトルであり、下図は戻り経路サービス信号を抑制するように構成された対応する適応フィルタの周波数応答である、一対の周波数図である
【図11】複合雑音信号として戻り経路スペクトル内の相互変調成分を処理するための、図2のヘッドエンドレーダユニットに含まれるN+1チャネル相関器のブロック図である
【図12】6MHzの周波数偏差を有する両側側帯波チャーププローブ信号の時間(または空間)分解能をスペクトル帯域幅が50MHzの複合雑音信号の時間(または空間)分解能と比較している、振幅対時間遅延グラフである
【図13】可搬型受動CPDレーダ−較正器ユニットの簡略なブロック図である
【図14】可搬型レーダ−較正器ユニットに対する同軸ケーブルネットワークの一般的な接続ポイントを示す図であり、図14aは幹線増幅器の試験ポイントへの接続を示し、図14bはタップのポートへの接続を示す
【図15】較正モードにおいて、CPD源からのエコー信号を抑制すると同時にヘッドエンドレーダユニットのコヒーレントアキュムレータにおいて較正信号を検出するプロセスを示す一連の時間図である
【図16】ヘッドエンドレーダユニットから可搬型受動CPDレーダ−較正器ユニットに送信されるプローブ信号パルスの間への情報信号の配置を示す時間ドメイン信号図である
【図17】ヘッドエンドレーダユニットから可搬型受動CPDレーダ−較正器ユニットに送信されるような、両側側帯波変調RFプローブ信号のスペクトル内に含まれる両側側帯波変調情報信号のスペクトル図である
【図18】可搬型受動CPDレーダ−較正器ユニットで発生される、図17の情報信号及びプローブ信号の二次差成分のスペクトル図である
【符号の説明】
【0104】
1 ヘッドエンドCPDレーダユニット
2 コンピュータ
3 戻り経路スイッチ
4 ヘッドエンドコンバイナ
5 信号スプリッタ
6 光送信器
7 光受信器
8 光ノード
9 可搬型受動CPDレーダ−較正器ユニット
10 同軸ケーブル施設
11 タップ
12 接続ポイント
13 CPD源
A CPD位置高精度特定システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
双方向HFC CATVネットワークにおいてCPD源の位置を高精度で特定するためのシステムにおいて、
(a)ヘッドエンドコンバイナに接続されたヘッドエンドCPDレーダユニット、
(b)前記CATVネットワークのノードと前記ヘッドエンドレーダユニットの間に接続された戻り経路スイッチ、及び
(c)前記ネットワークの前記ノードの定常的順次CPD監視のために前記ヘッドエンドレーダユニット及び前記戻り経路スイッチを制御するためのヘッドエンドコンピュータ、
を備えることを特徴とするシステム。
【請求項2】
CPD源の現地検出のため及び時間遅延に関して前記CATVネットワークを較正するために、現地に運び込まれ、前記CATVネットワークの同軸ケーブル部に沿う様々なポイントに接続される、可搬型レーダ−較正器ユニットであって、前記CATVネットワークを介して前記ヘッドエンドレーダユニットと交信する可搬型レーダ−較正器ユニットをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
CATVネットワークにおけるCPD源の位置を特定する方法において、
(a)前記CPD源に関係付けられる近似時間遅延を決定するために両側側帯波プローブ信号を用いる段階、
(b)戻り経路において受信される、前向き経路TV番組信号のCPD歪成分を局所的につくられた前記CPD歪成分の模擬信号と相互相関させる段階、
(c)前記段階(a)において決定された前記近似時間遅延だけ前記CPD歪成分の前記模擬信号を遅延させることによって前記段階(b)における前記相互相関を誘導する段階、及び
(d)前記段階(b)及び(c)の前記相互相関に基づいて前記CPD源の時間遅延を決定する段階、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
(e)前記工程(b)において前記相互相関を実施する前に戻り経路サービス信号を抑制する段階、
をさらに含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
(f)前記CPD源の位置を特定するために前記CATVネットワークに沿う複数の接続ポイントにおいて可搬型レーダ−較正器ユニットを使用する段階、
をさらに含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項6】
可搬型レーダ−較正器ユニットを使用するCATVネットワークを較正する方法において、
(a)較正ポイントにおいて前記CATVネットワークに前記可搬型ユニットを接続する段階、
(b)戻り経路周波数スペクトル内の、パルス列を有する、較正信号として、シミュレートされたCPD歪成分を発生する段階、
(c)前記較正信号を前記構成ポイントの近くにあるCPD源からの歪成分から弁別するために前記較正信号の前記パルス列を変形する段階、
(d)前記変形されたパルス列をもつ前記較正信号を戻り経路でヘッドエンドに送信して戻す段階、
(e)前記CPD歪成分に実質的に独立に前記ヘッドエンドにおいて前記較正信号を検出する段階、及び
(f)前記構成ポイントの位置に関係付けられる較正された時間遅延を確立するために前記ヘッドエンドと前記構成ポイントの間の時間遅延を決定する段階、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
前記段階(c)において前記較正信号の前記パルス列が前記パルス列のパルスを一つおきにブランキングすることによって変形されることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記CPD歪成分のパルス列が相殺されて前記較正信号の前記パルス列が累積されるように、前記CPD歪成分の前記パルス列のパルスを一つおきに反転し、前記較正信号及び前記CPD歪成分のコヒーレント累積を実施することによって、前記段階(e)において前記較正信号が検出されることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前向き経路で前向き経路信号を伝え、戻り経路で戻り経路信号を伝えるCATVネットワークにおいてCPD源を検出するための装置において、前記装置が、
(a)前記前向き信号を受信するために前記CATVネットワークの前記前向き経路に接続される第1の入力、
(b)基準信号として用いるために前記前向き経路信号から複数の相互変調成分を発生する、前記第1の入力に接続されるCPD発生器、
(c)前記CPD源でつくられた前記前向き経路信号の複数の歪成分を含む前記戻り経路信号を受信するために前記CATVネットワークの前記戻り経路に接続される第2の入力、及び
(d)前記基準信号及び前記CPD源でつくられた前記複数の歪成分に基づいて前記CPD源に関係付けられる、基準ポイントから前記CPD源までの前記前向き経路信号の伝搬時間及び前記CPD源から前記基準ポイントまでの前記歪成分の伝搬時間の関数である、時間遅延を決定する、前記CPD発生器及び前記第2の入力に接続されるプロセッサ、
を有することを特徴とする装置。
【請求項10】
前記プロセッサが前記基準信号を受けるための前記CPD発生器に接続される第1の入力及び前記CPD源でつくられた前記複数の歪成分を受けるための第2の入力を有する相関器を有し、前記基準信号が前記時間遅延を決定するために前記複数の歪成分と相関されることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記CATVネットワークの前記戻り経路信号がサービス信号を含み、前記装置が前記第2の入力と前記プロセッサの間に接続されたフィルタをさらに有し、前記サービス信号が前記プロセッサにおける前記複数の歪成分の処理に実質的に干渉しないように、前記フィルタが前記サービス信号を実質的に抑制するように適合されていることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記前向き経路信号が複数のデジタルQAMテレビジョン信号を含み、前記CPD発生器で発生される前記複数の相互変調成分が前記複数のデジタルQAM信号の間の相互変調成分を含むことを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項13】
前記前向き経路信号が複数のアナログテレビジョン信号をさらに含み、前記CPD発生器で発生される前記複数の相互変調成分が前記複数のアナログ信号と前記複数のデジタルQAM信号の間の相互変調成分を含むことを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前向き経路で前向き経路信号を伝え、戻り経路で戻り経路信号を伝えるCATVネットワークにおいてCPD源を検出する方法において、前記方法が、
(a)前記CATVネットワークの前記前向き経路から前記前向き経路信号を受信する段階、
(b)基準信号として用いるために前記前向き経路信号から複数の相互変調成分を発生する段階、
(c)前記CATVネットワークの前記戻り経路から、前記CPD源でつくられた前記前向き経路信号の複数の歪成分を含む、前記戻り経路信号を受信する段階、及び
(d)前記基準信号及び前記CPD源でつくられた前記複数の歪成分に基づいて前記CPD源に関係付けられる、基準ポイントから前記CPD源までの前記前向き経路信号の伝搬時間及び前記CPD源から前記基準ポイントまでの前記歪成分の伝搬時間の関数である、時間遅延を決定する段階、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
前記段階(d)が、前記時間遅延を決定するために前記基準信号を前記CPD源でつくられた前記複数の歪成分と相関させる段階を含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記CATVネットワークの前記戻り経路信号がサービス信号を含み、前記方法が、前記サービス信号が前記段階(d)における前記時間遅延決定に実質的に干渉しないように、前記サービス信号を実質的に抑制する段階をさらに含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公表番号】特表2008−532388(P2008−532388A)
【公表日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−557144(P2007−557144)
【出願日】平成18年2月22日(2006.2.22)
【国際出願番号】PCT/US2006/006360
【国際公開番号】WO2006/091708
【国際公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【出願人】(507282071)アーコム ディジタル エルエルシー (3)
【氏名又は名称原語表記】ARCOM DIGITAL, LLC
【Fターム(参考)】