説明

内径剛性を向上した螺旋巻きチューブ、およびその製造方法

幅の広い隙間(18)が、螺旋巻きチューブ(10)の壁体の半径方向の中間領域に1つ以上の層(14)に意図的に導入される。広い隙間を有する層(14)はそれぞれ、所与の螺旋巻き角度(α)での層(14)の連続する巻回における隣接する側縁間に突き合わせ接合を実現すべく通常使用される幅よりも狭く、かつ層の連続する巻回における隣接する側縁間に隙間(18)が定められるような方法で、前記所与の螺旋巻き角度(α)で巻き付けられる。幅の広い隙間(18)は、チューブ壁体の中間領域の半径方向についての可撓性を大きくする効果を有する。このような半径方向の可撓性の増大は、同じ材料で構成されているが中間領域に隙間を有していないチューブに比べ、チューブの内径剛性を改善する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の板紙層(ply)を成形用マンドレルの周囲に螺旋状に巻き付けて、層同士を接着することによって作られるチューブに関する。
【背景技術】
【0002】
螺旋巻きチューブは、チューブの外径に半径方向内向きの圧縮力が加わる様々な用途に使用されている。例えば、紙、プラスチック・フィルム、金属シート、および織物などの切れ目のない連続的な材料を、板紙製の螺旋巻きチューブで構成された巻芯の周囲に巻き付けることが、広く一般に行なわれている。巻き付けによってこれらの材料の安定な巻き物を得るために必要な巻き付け張力ゆえ、チューブへと巻き付けられた材料によって、半径方向内向きにかなりの圧縮力が加わることになる。このような力は、チューブの内径の寸法を押し縮めようとする方向である。この現象は、「内径縮小(ID comedown)」と呼ばれている。
【0003】
このような所与の荷重下での内径縮小に対する所与の板紙製チューブの耐性の程度を、本明細書ではチューブの内径剛性(ID stiffness)と称する。内径剛性は、チューブが所与の量の内径縮小で抗することができるチューブの外径への半径方向内向きの一様な圧縮圧力の大きさとして表現でき、したがって、例えば、内径剛性は、内径の縮小に関してpsi/inch(psi:pounds per square inch=lbf/in2;1lbf/in2=6895Pa、1inch=0.0254m、1psi/inch=2.71×105Pa/m)という単位を有することができる。
【0004】
織物の巻き取り用途においては、巻き付けによってチューブ上に織物材料の巻き物が形成されたのち、チューブを巻き取り装置から容易に取り外すことができるよう、大きな内径剛性を有することが望まれる。巻き取り装置は、通常は、チューブへと挿入され、芯を内側から把持すべく半径方向に拡げられる或る種のチャックまたはマンドレルを備えている。巻き付けられた材料から加わる力によってチューブの内径があまりに大きく縮んだ場合、チューブを破壊することなくチューブを巻き取り装置から取り外すことが困難に、あるいは不可能になりかねない。
【0005】
本出願の譲受人は、芯の壁体において、半径方向中央の領域の半径方向の可撓性を、この中央領域の半径方向内側および半径方向外側に位置する芯の壁体の領域に比べて大にすることによって、内径縮小にさらされやすいという巻芯の傾向を軽減できることを、すでに発見している。例えば、本明細書に参照によって組み込まれる、特許文献1を参照されたい。この特許文献1においては、この可撓性の増大が、壁体の中央領域に、この中央領域の半径方向内側および半径方向外側に位置する層の密度および強度に比べて密度および強度が低い板紙層を使用することによって達成されている。特許文献1によって提示されたアプローチは、チューブの内径剛性の向上に有効であるけれども、内径剛性のさらに大きな向上を、費用対効果の高い方法で実現することが望まれている。
【0006】
【特許文献1】米国特許第5505395号公報
【発明の開示】
【0007】
本発明は、チューブの壁体においてチューブの最内層と最外層との間の半径方向中間領域に位置する1つ以上の層に、幅の広い層隙間を意図的に導入することによって、前記要請に対処するとともに、他の利点を実現する。幅の広い層隙間を有する層はそれぞれ、所与の螺旋巻き角度での層の連続する巻回における隣接する側縁間に突き合わせ接合を実現するために通常使用される幅よりも幅が狭く、層の連続する巻回における隣接する側縁間に隙間が設定されるような方法で、前記所与の螺旋巻き角度で巻き付けられる。幅の広い層隙間は、チューブ壁体の中間領域の半径方向についての可撓性を大きくする効果(モジュラスを低下させる効果)を有する。このような半径方向の可撓性の増大が、同じ材料で構成されているが中間領域に層隙間を有していないチューブに比べ、チューブの内径剛性を改善する。このようにして、本発明は、チューブの設計者に、特定の用途にあわせて所望の内径剛性を達成するために操作することができる更なるパラメータを提供する。本発明は、層が全て実質的に同じ幅を有するチューブ、あるいは各層において突き合わせ接合を実現すべくチューブの内径から外径へと小さな増分で大きくなっているチューブの巻き付けにおいて使用される通常の慣例と、完全に対照的に実行される。
【0008】
チューブ壁体の中間領域は、幅の広い層隙間を有する層を2つ以上含むことができる。それら隙間を有する層は、互いに隣接していてもよく、あるいは隙間を有する層と隙間を備えない層とを半径方向において交互に配置することができる。隙間を有する層が複数存在する場合、好ましくは種々の層の隙間が、軸方向に互い違いに配置される。
【0009】
層の連続する巻回における隣接する側縁間の隙間は、好ましくは、通常の「完全な幅」の層(すなわち、完全な幅の層が同じ螺旋巻き角度で実際の層として巻き付けられたときに突き合わせ接合となる幅)の幅の約6.5パーセント〜50パーセントの幅を有し、さらに好ましくは、前記完全な層幅の約10〜40パーセントの幅を有する。したがって、例えば、完全な幅の層が4インチ(101.6mm)の幅である場合、隙間の幅は、好ましくは約0.26〜2インチ(6.6mm〜50.8mm)であり、さらに好ましくは約0.4〜1.6インチ(10.2mm〜40.6mm)である。
【0010】
望むのであれば、隙間を有する各層を、チューブにおいて隙間を有していない他の層の材料よりも大きな可撓性を有する材料で製作することができる。このようにして、チューブの半径方向における層の有効な可撓性を、さらに大きくすることができる。例えば、チューブの壁体において半径方向内側および半径方向外側に位置する領域の層を、比較的高い剛性を有するように選択でき、半径方向中間の領域の層を、比較的低い剛性を有するように選択でき、さらに1つ以上の中間層に層隙間を備えることができる。
【0011】
本発明の好ましい実施形態においては、チューブの全ての層が実質的に同じ螺旋巻き角度αで巻き付けられる。したがって、螺旋巻きの幾何学に基づくと、螺旋巻き角度α(チューブの軸を基準に測定)で巻き付けられる層において完全な突き合わせ接合を実現するためには、層の幅Wiは、
i=πDicosα
に等しくなければならず、式中Diは、層が巻き付けされる直径である。しかしながら、本発明によれば、チューブ壁体の中間領域(チューブの半径方向最外の層と半径方向最内の層との間の場所)において、幅が
W=ki・πDicosα
によって与えられる層が少なくとも1つ存在し、式中kiは、約0.5〜0.935、さらに好ましくは約0.6〜0.9の値を有するスカラーである。したがって、中間層の連続する巻回において隣接する縁と縁との間に隙間が存在し、この中間層のチューブの半径方向における可撓性が、この隙間のおかげで大きくなる。隙間を有する層が2つ以上存在する場合、それらの層が、異なるスカラーkiを有し、したがって異なる隙間幅を有してもよく、あるいはスカラーおよび隙間幅が同じであってもよい。
【0012】
以上、本発明を全般的に説明したので、以下では添付の図面を参照する。これらの図面は必ずしも比例尺ではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、本発明を、本発明の実施形態を全てではないがいくつか示した添付の図面を参照しつつ、以下でさらに詳しく説明する。実際、これらの発明は多種多様な形態で具現化することができ、本明細書に記載の実施形態のみに限られると解釈すべきではなく、これらの実施形態は、適用される法的要件を本明細書の開示が満足するように提示されているものである。全体を通じ、同種の参照番号は、同種の構成要素を指し示している。
【0014】
図1および1Aは、本発明の最も単純な形態による螺旋巻きチューブ10を示しており、すなわち3つの層12、14、および16のみを有する。最内層12および最外層16は、それぞれの層の連続する巻回において、隣接する側縁間に実質的に隙間が存在しないように巻かれている。「実質的に」とは、内側層および外側層を、これらの層において側縁と側縁との間に完全な突き合わせ接合が存在するように巻くことを目的にしているという意味である。しかしながら、実際には、完全な突き合わせ接合が常に実現できるとは限らず、層の縁と縁との間に小さな隙間が意に反して生じることもある。一般に、そのような意図しない隙間は、比較的小さい。
【0015】
一方、中間層14においては、比較的広い隙間18が、層の連続する巻回における隣接する側縁間に意図的に生成されている。隙間18は、層14の巻き付けの角度である螺旋巻き角度αで、チューブに沿って螺旋状に延びている。層の隙間18は、本発明の好ましい実施形態においては、層14を他の層12、16の巻き付けの角度と同じ螺旋巻き角度αで巻き付けるが層14の幅を層12、16の幅よりも狭くなるように選択することによって、生み出される。
【0016】
さらに具体的には、螺旋巻きに適用する幾何学的な検討から、完全な突き合わせ接合を達成するためには、個々の層の幅Wiが、以下の式によって螺旋巻き角度αおよび層の巻き付けの直径Diと関連付けられることが知られている。
i=πDicosα
すなわち、内側層12および外側層16が巻き付けられる直径が既知であり、螺旋巻き角度αが既知であるならば、理想的な巻き付け状況の下で完全な突き合わせ接合をもたらす内側および外側層の幅を決定することができる。実際には、層(ply)は或る選択された幅でのみ入手可能であると考えられ、したがって、入手可能な層の幅にて上記の式を満足させるためには、螺旋巻き角度を幾らか調節しなければならないと考えられ、および/または、上記式による理論的な最適幅に近い幅で入手可能な層を使用でき、層の縁と縁との間に小さな隙間または小さな重なり合いを許容することができる。チューブ設計者の意図からではなく、層材料の入手性の限界および制約、および/または層の幅および/または巻き付け角度の制御の不正確さからもたらされるこのような小さな隙間は、本明細書において「意図しない」層の隙間と称される。このような意図しない隙間は、良好な品質管理状況の下では、通常は比較的小さい(例えば、0.25インチ(6.4mm)未満)。このように、内側および外側層12および16は、これらの層の縁と縁との間にまったく隙間を有さず、あるいは最大でも比較的小さい意図しない隙間を有するのみである。
【0017】
中間層14には、層の幅を上記の式によって指定されるとおり完全な突き合わせ接合を達成するために通常使用される幅よりも小さくなるように選択することによって、隙間が意図的に設けられている。式の形態で示すならば、意図的な層隙間を有する層の幅は、
W=ki・πDicosα
によって与えられ、kiは、約0.5〜0.935、さらに好ましくは約0.6〜0.9の値の範囲にあるスカラーである。すなわち換言すれば、層の幅は、完全な突き合わせ接合(すなわち、隙間ゼロ)を達成するために通常使用される幅の50〜93.5パーセント(さらに好ましくは、60〜90パーセント)である。結果として、層の縁と縁との間に生成される隙間は、層の通常の幅の6.5〜50パーセントであり、さらに好ましくは、通常の層の幅の10〜40パーセントである。
【0018】
図4は、図1および1Aの3層チューブを製作するためのプロセスを示している。内側層12が、円柱形のマンドレル20へと螺旋状に巻き付けられる。接着剤が、層12の外側向きの表面に塗布される。次いで、中間層14が内側層12の上へと巻き付けられ、接着剤が、層14の外側向きの表面に塗布される。最後に、外側層16が中間層14の上へと巻き付けられる。全ての層は、同じ巻き付け角度αで巻き付けられている。層は、それらの対向する面へと塗布された接着剤によって一体に接着され、マンドレル上にチューブが形成される。ワインディングベルト22がチューブをスクリュー状に回転させ、チューブがマンドレル下を(図4の右方向へと)前進する。次いでチューブは、適切な切断装置(図示しない)によって個々の長さへと切断される。
【0019】
図示のとおり、中間層14は、内側および外側層よりも狭い。この結果、図1Aに最もよく表されるように、層14の連続する巻回において隣り合う側縁と側縁との間に隙間18が形成される。
【0020】
隙間18がチューブに沿って概ね均一であるよう、細幅の層14を、マンドレル上へと巻き付けるときに適切な軸方向の位置に保つため、好ましくは、装置が層位置決め機構を含む。層位置決め機構は、層の縁を沿わせて案内する縁ストッパ26などを含むことができる。層の側縁と側縁との間に所望の隙間が生み出されるような方法で層を巻き付けるべく、層を適切に位置させるため、縁ストッパ26の軸方向の位置を調節することができる。縁ストッパに代えて、他の層位置決め機構を使用することも可能である。さらに、巻き付けに先立って2層積層構造を形成すべくチューブの幅広い(すなわち通常の幅である)層の1つへと細幅層14を接着し、次いでこの2層積層を、他の幅広い層の巻き付けと基本的に同じやり方でマンドレルに巻き付けることも可能である。
【0021】
本発明は、様々な数の層および様々な種類の層を有するチューブに適用可能である。例えば、図2および図2Aは、内側から外側へと5つの層32、34、36、38、および40で作られたチューブ30を示している。中間の3つの層34、36、38がそれぞれ、層の隣接する側縁と側縁との間に隙間18を有する一方で、最も内側および最も外側の層は、隙間を有していない。図示のとおり、隣接する層(層34および36、ならびに層36および38)の隙間18は、好ましくは或る1つの層の隙間が隣接する層の隙間と、たとえ部分的であっても重なることがないよう、互い違いに配置されている。隙間を互い違いにすることによって、隙間がチューブの壁体の中間領域の全体にわたって概ね一様なやり方で分散され、好ましい。
【0022】
図3は、本発明のさらに別の実施形態を、6つの層52、54、56、58、60、および62を有するチューブ50の形態で示している。このチューブ50は、チューブ50の中央の層56が隙間を有しておらず、この中央層の両側に位置して互いに隣接していない層54および58が、隙間18を有する点で、先に説明したチューブ30と相違している。さらに、チューブ50は、かなり薄い外側層62を含む点においても相違している。このような層は、滑らかな表面仕上げや特定の色彩など、チューブの外表面に特定の特性を実現するために含むことができる。さらに、チューブの内表面に特定の特性が必要とされるのであれば、このような層をチューブの最内層として含むことも可能である。
【0023】
本発明は、同じチューブ壁体内に種々の等級の板紙からなる層を有する多等級板紙チューブに適用可能である。例えば、チューブの壁体の中間領域に幅の広い層隙間を導入する目的の1つが、その領域において半径方向の圧縮可能性または可撓性を大にすることにあることから、中間領域を、少なくとも部分的に、チューブの壁体において半径方向内側および半径方向外側に位置する領域に使用される板紙よりも可撓性が大きい板紙で形成すると、好都合であろう。一例として、図2および2Aのチューブ30においては、内側および外側層32および40を、比較的可撓性の小さい板紙で構成でき、中間層34、36、および38を、比較的可撓性の大きい板紙で構成できる。可撓性の小さい板紙は、一般に高い等級の板紙であり、通常は可撓性の大きい板紙よりも密度が大である。
【0024】
構成の異なる4つの板紙チューブを製作し、それらの内径剛性を割り出すべく試験した。全てのチューブは14または15の層を有し、いずれの場合も厚さ0.300インチ(7.64mm)の壁体が作り出された。チューブは、3.701インチ(94mm)の内径および4.301インチ(109mm)の外径を有し、全ての層は、70度の螺旋巻き角度で巻き付けられていた。
第1の構成は、呼び幅4インチ(10.16mm)、厚さ0.020インチ(0.51mm)の比較的高密度の板紙(本明細書では板紙Aと称する)からなる15の層を有し、いずれの層にも隙間は存在しなかった。
第2の構成は、呼び幅4インチ(10.16mm)の同じ高密度の板紙Aからなる5つの内側層および4つの外側層を有するとともに、幅が約4インチ(10.16mm)で厚さ0.024インチ(0.61mm)の低密度の板紙(本明細書では板紙Bと称する)からなる5つの中間層を有し、やはりいずれの層も隙間を有していなかった。
第3の構成は、第2の構成と類似しているが、5つの中間層の板紙Bがほぼ3インチ(76.2mm)の幅であり、したがってこれらの層において約1インチ(25.4mm)幅の隙間が生成されていた。
第4の構成は、第2および第3の構成と類似しているが、5つの中間層の板紙Bがほぼ2.5インチ(63.5mm)幅であり、したがってこれらの層において約1.5インチ(38.1mm)幅の隙間が生成されていた。
それぞれの構成について複数のチューブを内径剛性に関して試験し、それぞれの構成について結果を平均した。結果を、以下の表に示す。
【0025】
【表1】

【0026】
この結果は、より可撓性の大きい板紙(板紙B)を単純に使用することによってチューブの中間領域の可撓性を大きくした場合、生じる内径剛性の向上は、全てが板紙Aであるチューブに比べ、約16パーセントという穏やかなものであるのに対し、板紙Bの層に1インチ(25.4mm)の隙間を導入することによって、全てが板紙Aであるチューブに比べ、内径剛性が77パーセント向上し、さらに1.5インチ(38.1mm)の隙間であれば、全てが板紙Aである場合の内径剛性の2倍を超えることを示している。A/B/Aチューブを互いに比較した場合、1インチ(25.4mm)の隙間を有するチューブの内径剛性は、隙間無しのチューブの内径剛性よりも約52パーセント大きく、1.5インチ(38.1mm)の隙間を有するチューブの内径剛性は、隙間無しのチューブの内径剛性よりも約81パーセント大きいことが分かる。このように、隙間が、内径剛性について劇的に有益な効果をもたらすことが明らかである。
【0027】
以上の説明および添付の図面に示した教唆の利益を得た当業者であれば、本明細書に記載した本発明について多くの変更および他の実施形態が思い浮かぶであろう。したがって、本発明は、本明細書に開示した特定の実施形態に限定されるものではなく、変更および他の実施形態も添付の特許請求の範囲の技術的範囲に含まれるべきものであることを、理解すべきである。本明細書において特定の用語が使用されているが、それらは包括的かつ説明のための意味でのみ使用されており、本発明を限定する目的で使用されているものではない。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】3つの構造層を有し、中間層が隙間を有する、本発明の一実施形態によるチューブの部分断面図である。
【図1A】中間層を見せるためにチューブの外側層が部分的に除去されている、図1のチューブの正面図である。
【図2】5つの構造層を有し、隣接する3つの中間層が隙間を互い違いに有する、本発明の他の実施形態を示す図1と同様の図である。
【図2A】互い違いの隙間が示されている、図2のチューブの一部分についての軸方向の断面図である。
【図3】5つの構造層を有し、中央の層は隙間を有しておらず、中央の層の両側の層が隙間を有する、本発明の別の実施形態を示す図1および2と同様の図である。
【図4】成形用マンドレルへと巻き付けられる3つの層を示しており、中間層が他の2つの層よりも狭くなっている、本発明によるチューブ形成装置の上面概略図である。
【符号の説明】
【0029】
10,30,50 螺旋巻きチューブ
12,14,16 層
18 隙間
20 マンドレル
22 ワインディングベルト
26 縁ストッパ
32,34,36,38,40 層
52,54,56,58,60,62 層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半径方向内向きの圧縮荷重に対する内径剛性を向上させるべく形成された螺旋巻きチューブであって、
或る軸を中心として螺旋状に巻き付けられ、チューブを形成すべく相互に接着された複数の層を有し、該チューブの壁体が、半径方向内側に位置する内側領域と、半径方向外側に位置する外側領域と、前記内側および外側領域の間に位置する半径方向中間領域とを含み、前記各領域のそれぞれが、少なくとも1つの板紙層を含み、
前記中間領域が、前記内側および外側領域の層よりも幅が狭い細幅層を含み、該細幅層は、該細幅層の連続する巻回における隣接する側縁間に隙間が存在するように巻き付けられており、該中間領域の隙間が、該中間領域のチューブ半径方向におけるモジュラスを、前記内側および外側領域より低めることにより、当該チューブの内径剛性を向上させている、螺旋巻きチューブ。
【請求項2】
前記細幅層の隣接する側縁間の隙間は、前記細幅層と同じ螺旋巻き角度で巻き付けられた層が完全な突き合わせ接合となる幅の約6.5〜50パーセントの幅を有している、請求項1に記載の螺旋巻きチューブ。
【請求項3】
前記細幅層の隣接する側縁間の隙間は、前記細幅層と同じ螺旋巻き角度で巻き付けられた層が完全な突き合わせ接合となる幅の約10〜40パーセントの幅を有している、請求項1に記載の螺旋巻きチューブ。
【請求項4】
前記中間領域が、層の連続する巻回における隣接する側縁間に隙間を有する細幅層を2つ以上含んでいる、請求項1に記載の螺旋巻きチューブ。
【請求項5】
隙間を有する前記各細幅層が、互いに半径方向に隣接していない、請求項4に記載の螺旋巻きチューブ。
【請求項6】
隙間を有する前記各細幅層が、互いに半径方向に隣接しており、前記隣接する細幅層の隙間が、軸方向に交互に配置されている、請求項4に記載の螺旋巻きチューブ。
【請求項7】
前記中間領域が、内側および外側領域の層の材料よりも半径方向に大きな可撓性を有する材料で形成されている層を含んでいる、請求項1に記載の螺旋巻きチューブ。
【請求項8】
前記大きな可撓性を有する層が、層の連続する巻回における隣接する側縁間に隙間を有する細幅層でもある、請求項7に記載の螺旋巻きチューブ。
【請求項9】
前記内側および外側領域の層は、層の連続する巻回における隣接する側縁間に実質的に隙間を有さないで巻き付けられるが、製造上の公差に起因する意図しない隙間は有してもよく、かつ前記中間領域の細幅層は、層の連続する巻回における隣接する側縁間に、前記内側および外側領域に意図せずに生じるいかなる隙間よりも大きい隙間を有するように意図的に巻き付けられている、請求項1に記載の螺旋巻きチューブ。
【請求項10】
前記内側領域が、複数の層を含んでいる、請求項1に記載の螺旋巻きチューブ。
【請求項11】
前記外側領域が、複数の層を含んでいる、請求項1に記載の螺旋巻きチューブ。
【請求項12】
前記中間領域が、複数の層を含んでいる、請求項1に記載の螺旋巻きチューブ。
【請求項13】
前記中間領域は、前記細幅層よりも実質的に幅が広く、かつ前記細幅層と等しい螺旋巻き角度で巻き付けられている少なくとも1つの層を含んでいる、請求項12に記載の螺旋巻きチューブ。
【請求項14】
半径方向内向きの圧縮荷重に対する内径剛性を向上させるべく形成された螺旋巻きチューブであって、
或る軸を中心として螺旋巻き角度αで螺旋状に巻き付けられ、チューブを形成すべく相互に接着された複数の板紙層を有し、各層がそれぞれ直径Diで巻き付けられ、前記各層が少なくとも半径方向外側に位置する層と、半径方向内側に位置する層と、前記外側および内側に位置する層の間に位置する半径方向中間層とを含み、
前記外側および内側に位置する層は、それぞれ、
i=πDicosα
で実質的に与えられる幅Wiの層を有し、かつ前記中間層は、
W=ki・πDicosα
で与えられる幅を有し、式中kiは、約0.5〜約0.935の値を有するスカラーであり、これによって該中間層の連続する巻回における隣接する側縁間に隙間が存在し、該隙間により、前記中間層のチューブ半径方向におけるモジュラスが効果的に低減されている、螺旋巻きチューブ。
【請求項15】
前記外側および内側に位置する層の間に複数の中間層を含み、該各中間層は、それぞれの層が隙間を有するように、
W=ki・πDicosα
によって与えられる幅を有している、請求項14に記載の螺旋巻きチューブ。
【請求項16】
前記複数の中間層のうち、隙間を有しかつ半径方向に隣接している中間層は、それぞれの隙間が軸方向に交互に配置されるように巻き付けられている、請求項15に記載の螺旋巻きチューブ。
【請求項17】
螺旋巻きチューブを、当該チューブへの半径方向内向きの圧縮荷重に対して当該チューブの内径剛性を向上させるべく製造する方法であって、
1つ以上の内側層を成形用マンドレルの周囲に螺旋状に巻き付け、マンドレル上にチューブ壁体内側領域を形成するステップと、
1つ以上の中間層を、マンドレル上の前記チューブ壁体内側領域の周囲に螺旋状に巻き付け、チューブ壁体中間領域を形成するステップと、
1つ以上の外側層を前記チューブ壁体中間領域の周囲に螺旋状に巻き付け、チューブ壁体外側領域を形成するステップとを含み、
半径方向に隣接する各層は、チューブを形成すべく相互に接着され、
前記内側および外側層は、層の連続する巻回における隣接する側縁間に実質的に隙間がないように巻き付けられ、
少なくとも1つの中間層が、層の連続する巻回における隣接する側縁間に実質的にゼロでない隙間を有するように供給されることにより、前記チューブ壁体中間領域のチューブ半径方向におけるモジュラスを低減して、当該チューブの内径剛性を向上させている、方法。
【請求項18】
複数の中間層が、層の連続する巻回における隣接する側縁間に実質的にゼロでない隙間を有するように供給される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記少なくとも1つの中間層は、該中間層の隣接する側縁間の隙間が、該中間層と同じ螺旋巻き角度で巻き付けられた層が完全な突き合わせ接合となる幅の約6.5パーセント〜50パーセントの幅を有するように供給される、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも1つの中間層は、該中間層の隣接する側縁間の隙間が、該中間層と同じ螺旋巻き角度で巻き付けられた層が完全な突き合わせ接合となる幅の約10パーセント〜40パーセントの幅を有するように供給される、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
前記1つの中間層の隣接する側縁間の隙間は、前記内側および外側層の幅よりも実質的に小さい幅を有する中間層を供給し、該中間層を、前記内側および外側層の螺旋巻き角度と実質的に同じ螺旋巻き角度で巻き付けることによって生成される、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記1つの中間層は、その巻き付けに先立って2層の積層体を形成すべく前記内側および外側層のうちの1つに接着され、その後に前記2層の積層体が巻き付けられる、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記1つの中間層は、巻き付けの際に隙間が生成されるように該層を軸方向の所望の位置に位置決めするための層位置決め機構を使用することによって、マンドレルの軸方向の位置に位置決めされる、請求項21に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−514585(P2006−514585A)
【公表日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−567976(P2004−567976)
【出願日】平成15年3月21日(2003.3.21)
【国際出願番号】PCT/US2003/008594
【国際公開番号】WO2004/069529
【国際公開日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【出願人】(599057065)ソノコ・デヴェロップメント,インコーポレイテッド (7)
【Fターム(参考)】