説明

内燃エンジン及び自動車に適した始動用無鉛蓄電池とその製造方法及びその使用方法

特に内燃エンジン及び自動車用車両のための蓄電池、製造方法、及び使用方法であって、少なくとも1つ以上のニッケル・水素電池セル、及び/又はリチウムイオン電池セル、及び/又はリチウムポリマー電池セル、及び電気二重層コンデンサの直列−並列接続で構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮点火や火花点火の内燃エンジンの始動に用いる新規な蓄電池及びあらゆる種類の自動車用電池に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃エンジン及び自動車のための全ての公知の始動用電池(以下、「自動車用電池」という。)は、いずれの形式も二酸化鉛セル(以下、「鉛蓄電池」という。)の電気化学反応に基づいている。全ての種類の自動車用鉛蓄電池には、電極としての鉛と電解質としての硫酸(HSO)溶液が含まれており、充放電中、公知の化学反応が生じる。このような様々な種類の自動車用鉛蓄電池は、セル構造(形状、電極の製造方法、セルの形状、ガス排出路、バルブなど)、製造中の鉛の消費を減じた鉛ペースト、隔離体、電解質添加剤などの材料のみが異なる。今日知られているタイプの電池は完全に密閉されておらず、作動中は、周辺環境に対し、電池内に含有される物質の部分的な排出が常時生じている。最新式の電池、いわゆるAGMやゲル鉛電池では、このような影響は電池が充電し過ぎた場合のみ生じ得る。RoHS指令(ローズ指令;電気電子機器における特定有害物質使用制限指令)における2002/95/ECの趣意書によれば、今日知られている全ての電池は、いずれも毒性物質(鉛Pb)及び危険な物質(硫酸HSO溶液)を含有している。今日知られているこの種の自動車用鉛蓄電池では、−18〜40℃の間での作動温度を保証している。
【0003】
従来のニッケル・水素電池セル、リチウムイオン電池セル及びリチウムポリマー電池セルは、十分に高い電流を供給したり授受することができず、−20℃以下の温度でエネルギーを効果的に供給したり授受することができない。
【0004】
ニッケル・カドミウム蓄電池(NiCd)
ニッケル・カドミウム蓄電池(以下、「ニカド蓄電池」という。) は、正極がニッケルで形成され、負極がカドミウムで形成され、隔離体及び電極に固着された電解質は水酸化カリウムで形成されている。ニカド蓄電池は、通常、重量−容量比のような好ましい特性に対して優れており、高電流負荷でさえも好都合であり、小さな内部抵抗を有し、大きな電流を供給でき、迅速に充電でき、不適切な使用(過充電又は過放電)に対してはより大きな抵抗を有し、(−40℃までの)厳しい気候条件下でも作動する。このニカド蓄電池は、実際、いかなる時においても電気的特性を損なうことなく充放電時することができる。不利な点は、カドミウムを含んでいるということである。このカドミウムは、生体内に蓄積され得る毒性を有する重金属であり、重大で致命的な病気を引き起こす。ニカド蓄電池は、(〜1100mAhまでの)より小さな電池容量と、(内部抵抗を上昇させる)より大きな自己放電性を有している。
【0005】
ニッケル・水素蓄電池(NiMH)
この電池は、ニカド蓄電池から出現したものであるが、同等の容積を有していてもより高い電池容量を有し、かつ環境負荷が減じられるように設計されている。正極は、ニカド蓄電池と同様、ニッケルであるが、負極は水素吸蔵合金、例えば、水酸化ニッケル(Ni(OH))であり、電解質は、ニカド蓄電池と同様、水酸化カリウムである。ニッケル・水素蓄電池は、公称電圧が1.2〜1.25Vであり、充電方法はニカド蓄電池と同様であるが、電池容量はニカド蓄電池よりも40%程高い。また、平坦な放電特性を有し、このためより小さな自己放電性を有するが、−10℃(−20℃に耐えうる可能性がある)に低下した厳しい気候条件下で使用すると、高放電電流の可能性が電池容量の1/10に限定される。このニッケル・水素蓄電池は、蓄電し、充放電することができるが、1年に2〜3回、少なくとも1年に1回、充放電することが重要であり、また、化学反応が生じるため、蓄電池の電極が損傷し、電池容量の不可逆的損失が生じ得る。
【0006】
リチウムイオン蓄電池
この電池は、リチウム一次電池セルから生じてきた。正極は酸化リチウムと他の金属(通常はリチウムコバルト(III)酸化物)との化合物(+LiO・Co)で形成され、負極は他の化学物質を混合した炭素で形成され、電解質はエステル化合物で形成されている(正確な組成は、特定の製造業者によって保護されているが、一般に使用されるものはテトラフルオロホウ酸リチウムLiBFである。)。リチウムイオン蓄電池は、作動電圧が3.6Vである。過電流では充電も放電もできず、不利な点は充放電中、個々の電池セルの電源保護が要請されるということである。充電中、終止電圧を超えることができず、一定の限定の下、放電が抑制されるが、これは全ての単一電池セルの保護回路の動作に起因している。リチウムイオン二次電池の作動条件は、ニッケル・水素蓄電池と同様であり、長時間蓄電していると、電池が自己放電するような特定の下限値以下での放電を避けるために、少なくとも1年に1回は充電することが必要である。エネルギー密度は120〜130Wh/kg又は200〜250Wh/dmである。
【0007】
リチウムポリマー蓄電池
この電池セルは、リチウムイオン電池セルから来ており、公称電圧、電池容量及び電流を含む各特性はリチウムイオン電池セルと同様の特性を有している。リチウムポリマー蓄電池は、リチウムイオン蓄電池とは異なり、樹脂構造のために軽量であるが、若干機械的耐久性が弱い。不利な点は、リチウムイオン電池セルと殆ど同様であり、充放電時に各電池セルの電力保護が必要であり、放電電流が低いということである。
【0008】
電気二重層コンデンサ
大体においては、電気二重層コンデンサは、特殊な技術で製造された電解コンデンサであり、コンデンサ特性、特に迅速な充放電能力を維持する一方で、数千ファラッドの高い電池容量を得ることが可能である。コンデンサの静電容量は、電極の表面積に正比例し、電極(電荷)間距離に反比例する。電気二重層コンデンサの電極は、アルミ箔を蒸着した炭素粉末で形成されている。炭素粉末の粒子は、表面積が粉末1g当たり2000mまでである。2つの電極はポリプロピレン製の隔離板によって分離され、電極間の空間は液体電解質で満たされている。電極の大きな表面積、及び特殊な炭素粒子間の極めて小さな距離(10-10m単位)は、ファラッド単位の電池容量を生成する。また、炭素粒子の粒子間距離は、コンデンサの作動電圧を約2.5Vまで低下させる。その結果、非常に高容量で非常に低い直列抵抗を有する分極されたコンデンサとなり、電気エネルギーの迅速な供給と蓄積に適している。電気二重層コンデンサの電気特性は、電気化学的な供給源(電池、蓄電池)の特性と比較することができる。電気二重層コンデンサに蓄積されるエネルギーは、直列では通常のコンデンサに蓄積されるエネルギーよりも10倍大きい。低い内部抵抗は迅速な放電を可能にする。電気二重層コンデンサによって実現された優れた電力供給は、電気二重層コンデンサの重量1kg当たりキロワット単位に達する。電気二重層コンデンサの電気特性は、−40℃以下の低温でさえも維持される。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、新たな種類の蓄電池に関し、電子制御装置の有用な使用を可能としたニッケル・水素二次電池セル、リチウムイオン二次電池セル、リチウムポリマー二次電池セル、及び電気二重層コンデンサの無鉛系の直列−並列接続を基本としている。また、本発明による蓄電池は、電子制御装置の使用がなくても同等の特性を有している。本発明は、現存の鉛電池の便利な代替手段と改良を見出したものである。本発明による二次電池は、現存の鉛電池よりも定量的にも定性的にもより良好な特性を達成できる公知の部品の結合の新たな種類のものである。
【0010】
新規な蓄電池の原理は、従来の鉛蓄電池を除外するためにニッケル・水素蓄電池、リチウムイオン二次電池、リチウムポリマー二次電池、及び電気二重層コンデンサを直列−並列接続させている。1つの固体複合体内での上記構成要素の恒久的な結合によって、次のことが保証される。すなわち、いかなる条件下でも全作動中の価値のある特性(特定の接続分岐点や接合部の内部抵抗、及びそれらの変動する抵抗の大きさ、導体からの熱伝導や熱移動、接続導体や終端部の電気伝導率、電気的絶縁性、機械的強度及び個々の構成要素の位置安定性)の維持、その他厳しい環境(高湿度、大気中の浸食成分、接合部の酸化等)での化学的及び機械的耐久性、作動中に適した温度環境(必要に応じて熱伝導率や熱絶縁性を得るためのエポキシ樹脂製容器の種々の充填剤の使用)、さらには、高電池容量のニッケル・水素電池セル、リチウムイオン電池セル又はリチウムポリマー電池セル等の特定の構成要素の有利な特性の最大限に利用した新種の自動車用電池の様々な部品の結合や、迅速に充電することができ、過放電時でさえも電流を供給できることを保証する。そして、比較的小さな内部抵抗と電池サイズ内に電流を供給するための可能性は、環境によって影響を受ける接合部の劣化がなく、全作動時間中、公称容量よりも少なくとも3倍である。電気二重層コンデンサは、熱損失によって引き起こされる損傷が生じることもなく、短期間で連続して数千ファラッドの高電流を供給するために使用される。この電気二重層コンデンサは高エネルギー出力を得るために小さな内部抵抗を有しており、使用される電池セルから、或いは更に接続された電力供給から極短時間で充電することができる。通常の接続では可能性がないこれらの不利益、すなわち、(リチウムポリマー電池セルで重要な)低い力学的耐久性などは十分に除去することができる。電池セルの個数は、新種の蓄電池の要求される容量と終止電圧によって与えられる。
【0011】
高い放電電流が必要な場合は、主として電気二重層コンデンサによって提供される。ニッケル・水素電池セル(リチウムイオン電池セル、リチウムポリマー電池セル)は内部抵抗値や接続導体、及び個々の分岐終端部、さらには電子制御装置が使用される場合は電子制御装置のおかげで過充電されない。特定の分岐点及び接合部は、(主として最大放電電流による)電池セルの種類に関して固有の抵抗値が選択される。
【0012】
ニッケル・水素電池セル、リチウムイオン電池セル又はリチウムポリマー電池セルの分岐点では、抵抗が電気二重層コンデンサの分岐点よりも3〜10倍高い。抵抗比及びそれらの抵抗の絶対値は、特定の構成要素の種類や性質に依存している。
【0013】
この新種の蓄電池は、公称容量の20〜30倍に達する電流値によって短期間で放電することができる。
【0014】
ニッケル・水素(リチウムイオン、リチウムポリマー)電池セルの恒久的放電流のレベル以下に放電電流が減少する間、電気二重層コンデンサは電化製品に向けて充電を開始する。電気二重層コンデンサが充電する電流は、ニッケル・水素(リチウムイオン、リチウムポリマー)電池セルの充電レベルに依存し、これらは周囲温度や要請されるエネルギー総量に依るが急激に低下していく。ここに記載したシステムは、使用される蓄電池の電池容量の10倍まで(ニッケル・水素電池セルを使用した場合)又は3倍まで(リチウムイオン電池セル、リチウムポリマー電池セルを使用した場合)恒久的にエネルギーを必要とする装備内でニッケル・水素(リチウムイオン、リチウムポリマー)電池セルの使用を可能とする。それに加えて、このような電池は、使用される蓄電池の公称容量の30倍までの大きさの数秒継続した電流を断続的に要請するが、これは今まで可能ではなかった。−20℃以下の温度でも、すなわちこれはニッケル・水素(リチウムイオン、リチウムポリマー)電池セルの最大放電電流が20℃で到達する値の約30%に減少する温度であるが、この−20℃以下の温度でも電気二重層コンデンサは十分な電流量を供給することができ、したがって蓄電池の機能性は−40℃に低下する温度で保証される。ニッケル・水素(リチウムイオン、リチウムポリマー)電池セルの平坦な放電特性及び蓄電池の構造体に関し、この種の蓄電池は、公称容量の10%以下に過放電された場合でも公称容量の20倍まで電流を供給することができる。
【0015】
本発明の主な利点は以下の通りである。
【0016】
−新種の蓄電池は、物理的に結合していない状態ではRoHS指令における2002/95/ECの趣意書において、鉛や硫酸溶液、或いはいかなる他の危険な物質、又は毒性物質も含んでおらず、したがって生態学的に無害である(蓄電中及び作動中、物理的に結合していない状態では毒性物質及び危険な物質は、周囲の環境から完全に密閉して分離される)。
【0017】
−新種の蓄電池は、広い作動温度範囲(−40〜60℃)で利用することができる。
【0018】
−電気二重層コンデンサの使用とニッケル・水素(リチウムイオン、リチウムポリマー)電池セルの平坦な放電特性のため、公称容量の90%まで放電される蓄電池を使用した場合であっても内燃エンジンを始動させることが可能である。鉛電池の電池容量と比較し、最初に述べた電池容量の丁度半分の電池容量を有する蓄電池を、対応する装置に使用することができる。
【0019】
−蓄電池の記述されたタイプは、ニッケル・水素(リチウムイオン、リチウムポリマー)電池セルと電気二重層コンデンサの構成とを組み合わせているので、鉛電池よりも軽量かつ小型となる。ニッケル・水素(リチウムイオン、リチウムポリマー)電池セルの構成モード及び選択により、蓄積されるエネルギー密度は、150Wh/dm以上で開始する(通常の鉛蓄電池は50Wh/dm)。
【0020】
−使用されるニッケル・水素(リチウムイオン、リチウムポリマー)電池セル電気二重層コンデンサの構成、及び蓄電池自体の一体的構成のために、損傷及び振動に対する抵抗性がきわめて高い。電気二重層コンデンサが本発明の一部をなすという事実のおかげで作動温度の全範囲で連続した高い始動電流を供給することができる。
【0021】
鉛電池と比較して不利な側面は、(従来の補償用電子部品を設けないならば)蓄電池の極性反転に対する感度が考えられる。さらに40℃を超える温度でのニッケル・水素(リチウムイオン、リチウムポリマー)電池セルの一般により高い放電量が考えられる。他方、これらの不利な側面は、異なるニッケル・水素(リチウムイオン、リチウムポリマー)電池セルを使用することによって除去することができるが、−25〜−30℃の間の作動温度範囲の限定的な低温レベルを犠牲にするだけである。ニッケル・水素(リチウムイオン、リチウムポリマー)電池セルと同様、リチウムポリマー(リチウムイオン)電池セルを選択した場合、充放電電流の制御に対し電気的保護の使用を検討することが必要である。
【0022】
新種の蓄電池は、ニッケル・水素、リチウムポリマー、さらにはリチウムイオン二次電池セル又は電池セルのブロック(スキームでは「B」で示す。)、及び電気二重層コンデンサ(スキームでは「C」で示す。)を直列−並列接続からなり、(スキームでは「E」で示す)電子制御装置付き或いは電子制御装置無しでブロック内に配されている。個々の必要な特性は、異なったタイプのニッケル・水素(リチウムイオン、リチウムポリマー)電池セル、電気二重層コンデンサの適切な組み合わせや電子制御装置の設定によって調整することができる。前記方法によって、ニッケル・水素(リチウムイオン、リチウムポリマー)電池セルの利点を活用することができる。すなわち、電池容量と重量比とを比較して高い電池容量が得られると共に、不利な低放電電流を除去することができる。さらに、電気二重層コンデンサの利点は、特に、高い放電電流(約1000A)と低い内部抵抗(約1mΩ)であり、不利である低電池容量を除去することができる。このようなブロックは、公称電圧、必要な電池容量、さらに電池セルのブロックは、電子制御装置と分離するか或いは一緒に接続されるかの要求に従い、結果的に終端部を備えた一体構造の製造物を得る便利な材料に封入され、そして硬化後は、現存の鉛電池や自動車用電池の直接の代替品として使用に供される。
【0023】
本発明による電池の製造方法は、ニッケル・水素、リチウムポリマー、さらにはリチウムイオン二次電池セル又はこれら電池セルのブロック、及びブロック内の電気二重層コンデンサの直列−並列接続を実現することによって特徴付けられる。結果として、より良質であり電池容量に関しても新種の電池の量的特性が得られる。
【0024】
本発明の第1の利点は、ニッケル・水素、リチウムポリマー、更にはリチウムイオン二次電池セル、又はこれら電池セルのブロック、及びブロック内の電気二重層コンデンサを使用する可能性が、上記構成要素の直列−並列接続によって、圧縮点火や火花点火の内燃エンジン、及び全ての種類の自動車始動に対し存在することである。
【0025】
本発明による電池は、直列又は並列又は直列−並列接続を使用することにより、少なくとも1つのニッケル・水素電池セル又はリチウムポリマー電池セル、さらにはリチウムイオンの二次電池セル、更にはこれらの電池セルのブロック、及び電気二重層コンデンサで構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る電池の一実施例(実施例1)を示す図である。
【図2】実施例1の充放電特性を示す図である。
【図3】本発明に係る電池の他の実施例(実施例2)を示す図である。
【図4】実施例2の充放電特性を示す図である。
【図5】電子制御装置の一実施例を示す電気回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に示す実施例では、使用される構成要素、材料及び構造の種類の選択に依存する装置の技術的特性を示している。
添付される図面及びスキームでは、本発明の特別の実施例に対する特徴及び電気的接続を示している。
【0028】
(実施例1)
スキーム1−公称容量22Ah、公称電圧1.2V及び最大放電電流2Cのニッケル・水素電池セル10個と、静電容量400F、公称電圧2.7V及び最大電流500Aの電気二重層コンデンサ5個との直列−並列接続によって構成された電池。
【0029】
スキーム1によれば、この電池は、公称容量22Ah、公称電圧1.2V及び最大放電電流2Cのニッケル・水素電池セル10個と、静電容量400F、公称電圧2.7V及び最大電流500Aの電気二重層コンデンサ5個の直列−並列接続によって構成されている。接続完了後、この電池セルパックは一体構造ユニットにエポキシ樹脂と共に封入される。この装置の技術的特性を表1に示している。
【0030】
【表1】

【0031】
充電、長時間放電、及び高電流による短期間の始動時放電の過程を図1に示している。この電池は主として100kWまでの火花点火エンジンの始動用に設計され、36〜45Ahの容量範囲の通常の自動車用鉛蓄電池と代替が可能である。この二次電池は、いかなる電子制御装置やマスター装置を有していない。
【0032】
全ての内部での接合における導体の断面積は各々10mmであり、導体は銅で形成され、特別の部分はSnAgはんだで接合されている。
【0033】
最終的な機械的形態、大きさ、エポキシ樹脂の種類、充填剤、形状、出力分布及び導体の断面積は、用途に応じて設定される。
【0034】
自動車に使用する場合、選択される大きさは207×175×175mm(L×W×H)であり、出力極性はタイプ1(開放液式)のものであり、電池極性は0である。エポキシ樹脂は、アルミニウムを主成分とする熱導電性充填剤を含有している。
【0035】
(実施例2)
スキーム2−公称容量4.5Ah、公称電圧1.2Vおよび最大放電電流10Cのニッケル・水素電池セル110個と、静電容量400F、公称電圧2.7V及び最大電流500Aの電気二重層コンデンサ10個との直列−並列接続によって組み立てられた電池。
【0036】
スキーム2によれば、この電池は、公称容量4500mAh、公称電圧1.2V及び最大放電電流40Cのニッケル・水素電池セル110個と、静電容量400F、公称電圧2.7V及び最大電流500Aの電気二重層コンデンサ10個との直列−並列接続によって構成されている。接続完了後、この電池セルパックは一体構造ユニットにエポキシ樹脂と共に封入される。この装置の技術的特性を表2に示している。
【0037】
【表2】

【0038】
充電、長時間放電、及び高電流による短期間の始動時放電の過程を図4に示している。この二次電池は主として200kWまでの火花点火エンジンおよび圧縮点火エンジンの始動用に設計され、100Ahまでの容量の自動車用鉛蓄電池と代替が可能である。この電池は、電子制御装置E(後述する図3参照)を備えており、この電子制御装置Eは、過去に蓄電池の極性変化が生じたか否か、或いは15Vより高い電圧を有する電源に接続されたことがあるか否かを示すものである。
【0039】
電池セルBを直列接続する導体の断面積は各々10mmであり、電気二重層コンデンサを直列接続する導体の断面積は20mmであり、全ての分岐点に引き込まれる接続終端部の断面積は、25mmである。全ての導体と全ての終端部は銅で形成され、特定部分はSnAgはんだで接合されている。
【0040】
最終的な機械的形態、大きさ、エポキシ樹脂の種類、充填剤、形状、出力分布及び導体の断面積は、用途に応じて設定される。自動車に使用する場合、選択される大きさは207×175×175mm(L×W×H)であり、出力極性がタイプ1のものであり、電池極性は0である。エポキシ樹脂は、アルミニウムを主成分とする熱導電性充填剤を含有している。
【0041】
図5は電子制御装置の一実施例を示す電気回路図である。
【0042】
図5の左に示す電子制御装置は、公称電流40mAの安全ヒューズ、作動電圧15Vのツェナーダイオード及び十分な断面積を有する接続導体で構成されている。
【0043】
この電子制御装置は、15Vのツェナーダイオードと公称電流40mAのヒューズとから構成され、これらが直列接続されている。電池極性が反転すると、ツェナーダイオードDは開放され、電流は電流遮断を引き起こす安全ヒューズPを介して流れる。電圧が15Vよりも高くなるような電源に接続されると、ツェナーダイオードは電圧が安定するように逆方向に流れる。電源電圧が約17Vを超えると、安全ヒューズを介して流れる電流は40mAを超えてしまい、このため安全ヒューズは遮断する。安全ヒューズ又は更にはツェナーダイオードの状態は、蓄電池の極性変化が生じたか否か、又は上述した電圧よりも高電圧の電源に接続されているか否かを示すことになる。
【0044】
図5の右に示す電子制御装置は、前述の装置に加えて、作動電圧8Vの電圧安定化回路Sと、0〜20Vの電圧を測定し表示することができる電圧測定モジュールMを備えている。
【0045】
この電子制御装置は、左図に示すブロック構成と、電圧測定モジュールMを有しており、電圧測定モジュールMは20Vの測定範囲に設定された電圧安定装置Sを介して電力を供給し、本装置に供給される。また、この電子制御装置は、過去に極性が変化したか否かや上述した電圧よりも高い電圧の電源に接続していたか否かの情報の他、電池の現在の電圧状態も示す。
【産業上の利用可能性】
【0046】
この種の蓄電池は、主として圧縮点火や火花点火の内燃エンジンの始動用に設計され、さらに全ての種類の電池、とりわけ、自動車用車両に使用される従来の鉛電池に代わる環境に優しい最新のメンテナンス不要の代替品である。
【0047】
また、本発明は電気自動車、電気スクータ、車椅子などの「駆動電池」として使用することができる。さらに、バックアップ電源システム等にも利用可能である。
【符号の説明】
【0048】
B ニッケル・水素電池セル
C 電気二重層コンデンサ
P 安全ヒューズ
D ツェナーダイオード
S 電圧安定化回路
E 電子制御装置






【特許請求の範囲】
【請求項1】
無鉛系であって、直列−並列接続で接続された少なくとも1つ以上のニッケル・水素電池セルと電気二重層コンデンサとで構成されていることを特徴とする自動車用電池。
【請求項2】
直列−並列接続で接続された少なくとも1つ以上のニッケル・水素電池セル及び/又はリチウムイオン電池セル及び/又はリチウムポリマー電池セル、及び電気二重層コンデンサとで構成されていることを特徴とする請求項1記載の自動車用電池。
【請求項3】
ニッケル・水素二次電池セル、リチウムポリマー二次電池セル、及び/又はリチウムイオン二次電池セル、及び/又はこれら電池セルのブロック、及び電気二重層コンデンサの直列−並列接続が、ブロックに接続されていることを特徴とする請求項2記載の自動車用電池。
【請求項4】
ニッケル・水素二次電池セル、リチウムポリマー二次電池セル、及び/又はリチウムイオン二次電池セル、及び/又はこれらの電池セルブロック、及び電気二重層コンデンサの直列−並列接続が、電子制御装置を有するブロックに接続されていることを特徴とする請求項1乃至3記載の自動車用電池。
【請求項5】
前記電子制御装置は、ツェナーダイオード及び/又は電圧安定化回路及び/又は電圧測定モジュールからなることを特徴とする請求項4記載の自動車用電池。
【請求項6】
ニッケル・水素二次電池セル、リチウムポリマー二次電池セル、及び/又はリチウムイオン二次電池セル、及び/又はこれらの電池セルブロック、及び電気二重層コンデンサの直列−並列接続が、ブロック内で接合され、かつ全ての電池セルが固体の一体構造ブロックであることを特徴とする請求項1〜5記載の自動車用電池。
【請求項7】
前記固体の一体構造ブロックは、エポキシ樹脂と共に封入された電池セル及び電気二重層コンデンサで構成されることを特徴とする請求項6記載の自動車用電池。
【請求項8】
少なくとも1つ以上のニッケル・水素電池セル及び/又はリチウムイオン電池セル及び/又はリチウムポリマー電池セル、及び電気二重層コンデンサの直列−並列接続は25Cを超える放電に対して構成された配線を有する一体構造ユニットに恒久的に接続することを特徴とする自動車用電池の製造方法。
【請求項9】
25Cを超える放電に対して構成された配線を有する一体構造ユニットに恒久的に接続されるように直列−並列接続された少なくとも1つ以上のニッケル・水素電池セル及び/又はリチウムイオン電池セル及び/又はリチウムポリマー電池セル及び/又は電気二重層コンデンサを圧縮点火内燃エンジン及び火花点火内燃エンジンを始動するための自動車用無鉛電池として、又は全ての種類の自動車用電池装置として、かつ現在の二酸化鉛を使用した自動車用電池に対して無鉛で環境に優しい直接代替品として使用することを特徴とする蓄電池の使用方法。

【公表番号】特表2011−521399(P2011−521399A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−550024(P2010−550024)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【国際出願番号】PCT/CZ2009/000039
【国際公開番号】WO2009/111999
【国際公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(510246116)
【Fターム(参考)】