説明

内燃機関の可変バルブタイミング制御装置

【課題】エンジン停止中に電動式の可変バルブタイミング装置の作動によって電気系の異常に至ることを防止できるようにする。
【解決手段】エンジン停止中にバッテリ33の充電状態やEDU31の温度に基づいて異常予測状態(可変バルブタイミング装置18を通常通りに作動させるとバッテリ上りやバッテリ劣化、EDU31の過熱等に至る可能性がある状態)であるか否かを判定し、異常予測状態であると判定した場合に、可変バルブタイミング装置18の作動を禁止する。これにより、エンジン停止中に電動式の可変バルブタイミング装置18の作動によって電気系の異常に至ることを未然に防止する。その後、スタータ32の作動時に可変バルブタイミング装置18を作動させてカム軸位相を変化させることで、スタータ32の作動中(クランキング中)に実カム軸位相を目標カム軸位相に制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関のクランク軸に対するカム軸の回転位相を変化させてバルブタイミングを変化させる電動式の可変バルブタイミング装置を備えた内燃機関の可変バルブタイミング制御装置に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
近年、車両に搭載される内燃機関(エンジン)においては、出力向上、燃費節減、排気エミッション低減等を目的として、吸気バルブや排気バルブのバルブタイミング(開閉タイミング)を変化させる可変バルブタイミング装置を採用したものがある。現在、実用化されている可変バルブタイミング装置は、クランク軸に対するカム軸の回転位相(カム軸位相)をモータ又は油圧で変化させることで、カム軸によって開閉駆動される吸気バルブや排気バルブのバルブタイミングを変化させるようにしたものが多い。
【0003】
モータを駆動源とする電動式の可変バルブタイミング装置においては、例えば、特許文献1(特開2011−94581号公報)に記載されているように、内燃機関の停止中に可変バルブタイミング装置を作動させてカム軸位相(バルブタイミング)を変化させるようにしたものがある。
【0004】
ところで、最近のガソリンエンジンは、燃費向上のために圧縮比を高くするようになってきているが、その弊害として暖機後始動時(暖機状態で始動するとき)にノックやプレイグによる異音が発生し易くなるという問題がある。この対策として、暖機後始動時に吸気バルブの閉弁タイミングを遅角して実圧縮比を低下させることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−94581号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本出願人は、電動式の可変バルブタイミング装置を搭載した内燃機関において、IGスイッチ(イグニッションスイッチ)がオフされて内燃機関が停止したときに、吸気側のカム軸位相(吸気バルブのバルブタイミング)を低温始動用の目標カム軸位相(目標バルブタイミング)まで進角させ、その後、IGスイッチがオンされたときに、暖機状態であれば、吸気側のカム軸位相を暖機後始動用の目標カム軸位相まで遅角させるシステムを研究しているが、その研究過程で次のような新たな課題が判明した。
【0007】
内燃機関の停止中で暖機状態のときに、運転者がIGスイッチのオン/オフを繰り返すと、それに伴ってカム軸位相を暖機後始動用の目標カム軸位相まで遅角させる動作と低温始動用の目標カム軸位相まで進角させる動作を交互に繰り返すように電動式の可変バルブタイミング装置が作動する。このような場合、IGスイッチのオン/オフに応じて電動式の可変バルブタイミング装置の作動が制限なく何回も繰り返されると、電力消費量が増大してバッテリ上りやバッテリ劣化が発生したり、可変バルブタイミング装置のモータの通電を制御するモータ駆動回路が過熱状態になる等の電気系の異常に至る可能性があるという問題がある。
【0008】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、内燃機関の停止中に電動式の可変バルブタイミング装置の作動によって電気系の異常に至ることを防止することができる内燃機関の可変バルブタイミング制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、内燃機関のクランク軸に対するカム軸の回転位相(以下「カム軸位相」という)を変化させてバルブタイミングを変化させる電動式の可変バルブタイミング装置を備えた内燃機関の可変バルブタイミング制御装置において、内燃機関の停止中に可変バルブタイミング装置を通常通りに作動させると電気系の異常に至る可能性がある状態(以下この状態を「異常予測状態」という)になった場合に可変バルブタイミング装置の作動を禁止又は制限する作動制限制御手段を備えた構成としたものである。
【0010】
この構成では、内燃機関の停止中に異常予測状態(可変バルブタイミング装置を通常通りに作動させると電気系の異常に至る可能性がある状態)になったときに、可変バルブタイミング装置の作動を禁止又は制限することで、内燃機関の停止中に電動式の可変バルブタイミング装置の作動によって電気系の異常(例えば、バッテリ上りやバッテリ劣化、モータ駆動回路の過熱等)に至ることを未然に防止することができる。
【0011】
具体的には、請求項2のように、電力供給源であるバッテリの充電状態を判定するバッテリ充電状態判定手段を備え、内燃機関の停止中にバッテリの充電状態に基づいて異常予測状態であるか否かを判定し、異常予測状態であると判定した場合に可変バルブタイミング装置の作動を禁止又は制限するようにしても良い。このようにすれば、例えば、内燃機関の停止中にバッテリの充電状態が所定の閾値以下になったときに、バッテリの異常予測状態(可変バルブタイミング装置を通常通りに作動させるとバッテリ上りやバッテリ劣化に至る可能性がある状態)であると判定して、可変バルブタイミング装置の作動を禁止又は制限することができ、内燃機関の停止中に電動式の可変バルブタイミング装置の作動によってバッテリ上りやバッテリ劣化に至ることを未然に防止することができる。
【0012】
また、請求項3のように、可変バルブタイミング装置の駆動源であるモータの通電を制御するモータ駆動回路の温度を判定するモータ駆動回路温度判定手段を備え、内燃機関の停止中にモータ駆動回路の温度に基づいて異常予測状態であるか否かを判定し、異常予測状態であると判定した場合に可変バルブタイミング装置の作動を禁止又は制限するようにしても良い。このようにすれば、例えば、内燃機関の停止中にモータ駆動回路の温度が所定の閾値以上になったときに、モータ駆動回路の異常予測状態(可変バルブタイミング装置を通常通りに作動させるとモータ駆動回路の過熱に至る可能性がある状態)であると判定して、可変バルブタイミング装置の作動を禁止又は制限することができ、内燃機関の停止中に電動式の可変バルブタイミング装置の作動によってモータ駆動回路の過熱に至ることを未然に防止することができる。
【0013】
更に、請求項4のように、内燃機関の停止中に可変バルブタイミング装置の作動を禁止した場合には、内燃機関のスタータの作動時に可変バルブタイミング装置を作動させてカム軸位相を変化させるようにしても良い。このようにすれば、内燃機関の停止中に可変バルブタイミング装置の作動を禁止した場合でも、次に内燃機関を始動する際のスタータの作動時に可変バルブタイミング装置を作動させて、スタータ作動中(クランキング中)にカム軸位相(バルブタイミング)を目標カム軸位相(目標バルブタイミング)に制御することができる。しかも、電動式の可変バルブタイミング装置の作動音(例えばギヤの音)をスタータの作動音に紛らわせることができ、可変バルブタイミング装置の作動音を運転者に聞こえ難くすることができる。
【0014】
また、本発明は、請求項5のように、内燃機関のクランク軸に対するカム軸の回転位相(以下「カム軸位相」という)を変化させてバルブタイミングを変化させる電動式の可変バルブタイミング装置を備えた内燃機関の可変バルブタイミング制御装置において、内燃機関のスタータの作動時に可変バルブタイミング装置を作動させてカム軸位相を変化させる制御手段を備えた構成としても良い。
【0015】
この構成では、内燃機関を始動する際のスタータの作動時に可変バルブタイミング装置を作動させて、スタータ作動中(クランキング中)にカム軸位相(バルブタイミング)を目標カム軸位相(目標バルブタイミング)に制御することができる。これにより、内燃機関の停止中に可変バルブタイミング装置を作動させる必要がなくなる又は作動させる回数を減らすことができるため、内燃機関の停止中に電動式の可変バルブタイミング装置の作動によって電気系の異常(例えば、バッテリ上りやバッテリ劣化、モータ駆動回路の過熱等)に至ることを防止することができる。しかも、電動式の可変バルブタイミング装置の作動音(例えばギヤの音)をスタータの作動音に紛らわせることができ、可変バルブタイミング装置の作動音を運転者に聞こえ難くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は本発明の実施例1におけるバルブタイミング制御システム全体の概略構成を示す図である。
【図2】図2は可変バルブタイミング装置の概略構成図である。
【図3】図3は実施例1の位相制御の実行例(その1)を説明するタイムチャートである。
【図4】図4は実施例1の位相制御の実行例(その2)を説明するタイムチャートである。
【図5】図5は目標位相設定ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】図6は実施例1の位相制御ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】図7は実施例2の位相制御の実行例を説明するタイムチャートである。
【図8】図8は実施例2の位相制御ルーチンの処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態を吸気バルブの可変バルブタイミング装置に適用して具体化した幾つかの実施例を説明する。
【実施例1】
【0018】
本発明の実施例1を図1乃至図6に基づいて説明する。
まず、図1に基づいてシステム全体の概略構成を説明する。
内燃機関であるエンジン11は、クランク軸12からの動力がタイミングチェーン13(又はタイミングベルト)により各スプロケット14,15を介して吸気側カム軸16と排気側カム軸17とに伝達されるようになっている。但し、吸気側カム軸16には、電動式の可変バルブタイミング装置18が設けられている。この可変バルブタイミング装置18によって、クランク軸12に対する吸気側カム軸16の回転位相(カム軸位相)を変化させることで、吸気側カム軸16によって開閉駆動される吸気バルブ(図示せず)のバルブタイミング(開閉タイミング)を変化させるようになっている。
【0019】
また、吸気側カム軸16の外周側には、吸気側カム軸16の回転に同期して所定のカム角毎にカム角信号を出力するカム角センサ19が取り付けられている。一方、クランク軸12の外周側には、クランク軸12の回転に同期して所定のクランク角毎にクランク角信号を出力するクランク角センサ20が取り付けられている。
【0020】
エンジン11には、始動時にクランク軸12を回転駆動(クランキング)するためのスタータ32が取り付けられている。また、電力供給源であるバッテリ33には、バッテリ33の充電電流や放電電流を検出する電流センサ34が接続されている。
【0021】
次に、図2に基づいて電動式の可変バルブタイミング装置18の概略構成を説明する。尚、電動式の可変バルブタイミング装置18の構成は、図2に示す構成に限定されず、適宜変更しても良い。
【0022】
可変バルブタイミング装置18の位相可変機構21は、吸気側カム軸16と同心状に配置された内歯付きのアウタギヤ22と、このアウタギヤ22の内周側に同心状に配置された外歯付きのインナギヤ23と、これらアウタギヤ22とインナギヤ23との間に配置されて両者に噛み合う遊星ギヤ24とから構成されている。アウタギヤ22は、クランク軸12と同期して回転するスプロケット14と一体的に回転するように設けられ、インナギヤ23は、吸気側カム軸16と一体的に回転するように設けられている。また、遊星ギヤ24は、アウタギヤ22とインナギヤ23に噛み合った状態でインナギヤ23の回りを円軌道を描くように旋回することで、アウタギヤ22の回転力をインナギヤ23に伝達する役割を果たすと共に、アウタギヤ22の回転速度に対する遊星ギヤ24の旋回速度(公転速度)を変化させることで、アウタギヤ22に対するインナギヤ23の回転位相(カム軸位相)を調整するようになっている。
【0023】
一方、エンジン11には、遊星ギヤ24の旋回速度を可変するためのモータ26が設けられている。このモータ26の回転軸27は、吸気側カム軸16、アウタギヤ22及びインナギヤ23と同軸上に配置され、このモータ26の回転軸27と遊星ギヤ24の支持軸25とが、径方向に延びる連結部材28を介して連結されている。これにより、モータ26の回転に伴って、遊星ギヤ24が支持軸25を中心に回転(自転)しながらインナギヤ23の外周の円軌道を旋回(公転)できるようになっている。また、モータ26には、モータ26の回転に同期して所定回転角毎にモータ回転角信号を出力するモータ回転角センサ29(図1参照)が取り付けられている。このモータ回転角センサ29の出力信号に基づいてモータ26の回転角や回転速度が検出される。
【0024】
この可変バルブタイミング装置18は、定常時に吸気側カム軸16をクランク軸12の回転速度の1/2の回転速度で駆動するようにアウタギヤ22とインナギヤ23と遊星ギヤ24が構成され、クランク軸12の回転速度の1/2の回転速度(定常時にはクランク軸12の回転速度の1/2=吸気側カム軸16の回転速度となる)に対してモータ26の回転速度を調整することで、吸気バルブのバルブタイミング(吸気側のカム軸位相)を変化させるようになっている。
【0025】
バルブタイミングを変化させないときは、モータ26の回転速度をアウタギヤ22の回転速度(クランク軸12の回転速度の1/2の回転速度)に一致させて、遊星ギヤ24の旋回速度をアウタギヤ22の回転速度に一致させることで、アウタギヤ22とインナギヤ23との回転位相の差を現状維持してバルブタイミング(カム軸位相)を現状維持する。尚、モータ26の非駆動時に、モータ26の回転軸がアウタギヤ22と同期して回転するように構成して、モータ26の回転速度がアウタギヤ22の回転速度(クランク軸12の回転速度の1/2の回転速度)に一致するようにしても良い。
【0026】
そして、バルブタイミングを変化させるときは、モータ26の回転速度をアウタギヤ22の回転速度に対して変化させて、遊星ギヤ24の旋回速度をアウタギヤ22の回転速度に対して変化させることで、アウタギヤ22とインナギヤ23との回転位相の差を変化させてバルブタイミング(カム軸位相)を変化させる。
【0027】
例えば、バルブタイミングを進角する場合には、モータ26の回転速度をアウタギヤ22の回転速度よりも速くして、遊星ギヤ24の旋回速度をアウタギヤ22の回転速度よりも速くすることで、アウタギヤ22に対するインナギヤ23の回転位相を進角してバルブタイミング(カム軸位相)を進角する。
【0028】
一方、バルブタイミングを遅角する場合には、モータ26の回転速度をアウタギヤ22の回転速度よりも遅くして、遊星ギヤ24の旋回速度をアウタギヤ22の回転速度よりも遅くすることで、アウタギヤ22に対するインナギヤ23の回転位相を遅角してバルブタイミング(カム軸位相)を遅角する。
【0029】
前述した各種センサの出力は、電子制御ユニット(以下「ECU」と表記する)30に入力される。このECU30は、マイクロコンピュータを主体として構成され、内蔵されたROM(記憶媒体)に記憶された各種のエンジン制御用のプログラムを実行することで、エンジン運転状態に応じて、燃料噴射量、点火時期、スロットル開度(吸入空気量)等を制御する。
【0030】
また、ECU30は、エンジン運転中に、カム角センサ19とクランク角センサ20の出力信号に基づいてクランク軸12に対する吸気側カム軸16の実回転位相(実カム軸位相)を演算すると共に、エンジン運転条件に応じて目標カム軸位相を演算し、この目標カム軸位相(目標バルブタイミング)と実カム軸位相(実バルブタイミング)との偏差及びエンジン回転速度に基づいて目標モータ回転速度を演算し、演算した目標モータ回転速度の信号をモータ駆動回路(以下「EDU」と表記する)31に出力する。このEDU31は、目標モータ回転速度と実モータ回転速度との偏差を小さくするようにモータ26の通電デューティ比(通電制御量)をフィードバック制御することで、実カム軸位相を目標カム軸位相にフィードバック制御する。尚、EDU31の機能をECU30に組み込むようにしても良い。
【0031】
モータ26の通電を制御するEDU31には、EDU温度(例えばEDU31内部の温度)を検出するEDU温度センサ35(モータ駆動回路温度判定手段)が設けられ、モータ26には、モータ温度(例えばモータ26内部の温度)を検出するモータ温度センサ(図示せず)が設けられている。
【0032】
また、ECU30(或はECU30とEDU31)は、後述する図5及び図6の各ルーチンを実行することで、図3及び図4のタイムチャートに示すように、IGスイッチ36(イグニッションスイッチ)がオフされてエンジン11が停止した時点t1 で、目標カム軸位相(目標バルブタイミング)を低温始動用の目標カム軸位相(例えば所定進角位置)に切り換えて、実カム軸位相(実バルブタイミング)を低温始動用の目標カム軸位相まで進角させ、その後、IGスイッチ36がオンされた時点t2 で、暖機状態であれば、目標カム軸位相を暖機後始動用の目標カム軸位相(例えば最遅角位置)に切り換えて、実カム軸位相を暖機後始動用の目標カム軸位相まで遅角させる。尚、エンジン停止中にカム軸位相を制御するために、IGスイッチ36のオフ後でも、電源ラインのメインリレーをオンすることでECU30やモータ26等へ通電できるようになっている。
【0033】
しかし、エンジン停止中で暖機状態のときに、運転者がIGスイッチ36のオン/オフを繰り返すと、それに伴って実カム軸位相を暖機後始動用の目標カム軸位相まで遅角させる動作と低温始動用の目標カム軸位相まで進角させる動作を交互に繰り返すように電動式の可変バルブタイミング装置18が作動する。このような場合、IGスイッチ36のオン/オフに応じて電動式の可変バルブタイミング装置18の作動が制限なく何回も繰り返されると、電力消費量が増大してバッテリ上りやバッテリ劣化が発生したり、EDU31が過熱状態になる等の電気系の異常に至る可能性がある。
【0034】
この対策として、本実施例1では、エンジン停止中に可変バルブタイミング装置18を通常通りに作動させると電気系の異常に至る可能性がある状態(以下この状態を「異常予測状態」という)になった場合に可変バルブタイミング装置18の作動を禁止する。但し、目標カム軸位相が低温始動用の目標カム軸位相に設定されているとき(つまり実カム軸位相を低温始動用の目標カム軸位相まで進角させるとき)には可変バルブタイミング装置18の作動を許可するようにしても良い。
【0035】
具体的には、図3に示すように、ECU30は、電流センサ34で検出したバッテリ33の充放電電流に基づいてバッテリ33の充電状態(SOC:Sate Of Charge)を算出する。例えば、電流センサ34で検出したバッテリ33の充放電電流の検出値を積算していく。この際、バッテリ33の充電電流をプラス値とし、バッテリ33の放電電流をマイナス値とすることで、充放電電流積算値をバッテリ33のSOCに応じて増減させる。これにより、充放電電流積算値をバッテリ33のSOCの検出データとして用いることが可能となる。この機能が特許請求の範囲でいうバッテリ充電状態判定手段としての役割を果たす。尚、バッテリ33のSOCの判定方法は、適宜変更しても良く、例えば、バッテリ33の開放端子電圧とSOCとの関係を表すマップを参照して、現在のバッテリ33の開放端子電圧に応じたSOCを算出するようにしても良い。
【0036】
そして、エンジン停止中にバッテリ33のSOCが所定の閾値K以下であるか否かによって、バッテリ33の異常予測状態(可変バルブタイミング装置18を通常通りに作動させるとバッテリ上りやバッテリ劣化に至る可能性がある状態)であるか否かを判定し、バッテリ33のSOCが閾値K以下になったときに、バッテリ33の異常予測状態であると判定して、可変バルブタイミング装置18の作動を禁止する(但し、目標カム軸位相=低温始動用の目標カム軸位相のときには可変バルブタイミング装置18の作動を許可するようにしても良い)。これにより、エンジン停止中に電動式の可変バルブタイミング装置18の作動によってバッテリ上りやバッテリ劣化に至ることを防止する。
【0037】
また、図4に示すように、ECU30は、エンジン停止中にEDU温度センサ35で検出したEDU温度が所定の閾値T1 以上であるか否かによって、EDU31の異常予測状態(可変バルブタイミング装置18を通常通りに作動させるとEDU31の過熱に至る可能性がある状態)であるか否かを判定し、EDU温度が閾値T1 以上になったときに、EDU31の異常予測状態であると判定して、可変バルブタイミング装置18の作動を禁止する(但し、目標カム軸位相=低温始動用の目標カム軸位相のときには可変バルブタイミング装置18の作動を許可するようにしても良い)。これにより、エンジン停止中に電動式の可変バルブタイミング装置18の作動によってEDU31の過熱に至ることを防止する。
【0038】
また、ECU30は、エンジン停止中にモータ温度センサ(図示せず)で検出したモータ温度が所定の閾値T2 以上であるか否かによって、モータ26の異常予測状態(可変バルブタイミング装置18を通常通りに作動させるとモータ26の過熱に至る可能性がある状態)であるか否かを判定し、モータ温度が閾値T2 以上になったときに、モータ26の異常予測状態であると判定して、可変バルブタイミング装置18の作動を禁止する(但し、目標カム軸位相=低温始動用の目標カム軸位相のときには可変バルブタイミング装置18の作動を許可するようにしても良い)。これにより、エンジン停止中に電動式の可変バルブタイミング装置18の作動によってモータ26の過熱に至ることを防止する。
【0039】
更に、図3及び図4に示すように、ECU30は、エンジン停止中に可変バルブタイミング装置18の作動を禁止した場合には、スタータスイッチ37がオンされた時点t3 で、可変バルブタイミング装置18の作動を許可することで、スタータ32の作動時に可変バルブタイミング装置18を作動させてカム軸位相を変化させる。これにより、スタータ32の作動中(クランキング中)に実カム軸位相を目標カム軸位相に制御する。
以下、本実施例1でECU30(或はECU30とEDU31)が実行する図5及び図6の各ルーチンの処理内容を説明する。
【0040】
[目標位相設定ルーチン]
図5に示す目標位相設定ルーチンは、ECU30の電源オン中に所定周期で繰り返し実行される。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ101で、エンジン停止中(例えばエンジン回転速度=0)であるか否かを判定し、エンジン停止中ではない(つまりエンジン運転中である)と判定された場合には、ステップ106に進み、エンジン運転状態に応じて目標カム軸位相を設定する。
【0041】
その後、上記ステップ101で、エンジン停止中であると判定された場合には、ステップ102に進み、IGスイッチ36がオフ(OFF)であるか否かを判定し、IGスイッチ36がオフであると判定された場合には、ステップ104に進み、目標カム軸位相を低温始動用の目標カム軸位相(例えば所定進角位置)に設定する。
【0042】
一方、上記ステップ102で、IGスイッチ36がオン(ON)であると判定された場合には、ステップ103に進み、エンジン11が暖機状態であるか否かを、例えば、冷却水温が所定温度以上であるか否かによって判定する。
【0043】
このステップ103で、エンジン11が暖機状態ではないと判定された場合には、ステップ104に進み、目標カム軸位相を低温始動用の目標カム軸位相(例えば所定進角位置)に設定する。
【0044】
これに対して、上記ステップ103で、エンジン11が暖機状態であると判定された場合には、ステップ105に進み、目標カム軸位相を暖機後始動用の目標カム軸位相(例えば最遅角位置)に設定する。
【0045】
[位相制御ルーチン]
図6に示す位相制御ルーチンは、ECU30の電源オン中に所定周期で繰り返し実行され、特許請求の範囲でいう作動制限制御手段としての役割を果たす。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ201で、エンジン停止中(例えばエンジン回転速度=0)であるか否かを判定し、エンジン停止中ではない(つまりエンジン運転中である)と判定された場合には、ステップ211に進み、エンジン運転中の位相制御を実行する。
【0046】
その後、上記ステップ201で、エンジン停止中であると判定された場合には、ステップ202に進み、目標カム軸位相が低温始動用の目標カム軸位相に設定されているか否かを判定し、目標カム軸位相が低温始動用の目標カム軸位相に設定されていると判定された場合には、ステップ208に進み、可変バルブタイミング装置18(VCT)の作動を許可する。
【0047】
一方、上記ステップ202で、目標カム軸位相が低温始動用の目標カム軸位相に設定されていない(つまり目標カム軸位相が暖機後始動用の目標カム軸位相に設定されている)と判定された場合には、次のステップ203〜205で、異常予測状態(可変バルブタイミング装置18を通常通りに作動させると電気系の異常に至る可能性がある状態)であるか否かを、例えば、次の(1) 〜(3) の条件によって判定する。
【0048】
(1) バッテリ33のSOCが所定の閾値K以下であること(ステップ203)
(2) EDU温度が所定の閾値T1 以上であること(ステップ204)
(3) モータ温度が所定の閾値T2 以上であること(ステップ205)
【0049】
上記ステップ203〜205で全て「No」と判定された場合には、異常予測状態ではないと判断して、ステップ208に進み、可変バルブタイミング装置18(VCT)の作動を許可する。
【0050】
可変バルブタイミング装置18(VCT)の作動を許可した場合には、ステップ209に進み、実カム軸位相と目標カム軸位相との差の絶対値が所定値よりも大きいか否かを判定し、実カム軸位相と目標カム軸位相との差の絶対値が所定値よりも大きいと判定されれば、ステップ210に進み、可変バルブタイミング装置18(VCT)を作動させて、実カム軸位相を目標カム軸位相に制御(例えばフィードバック制御)する。
【0051】
これに対して、上記ステップ203〜205のうちのいずれか1つで「Yes」と判定された場合には、異常予測状態であると判断する。
例えば、上記ステップ203で、バッテリ33のSOCが閾値K以下であると判定された場合には、バッテリ33の異常予測状態(可変バルブタイミング装置18を通常通りに作動させるとバッテリ上りやバッテリ劣化に至る可能性がある状態)であると判断して、ステップ206に進み、可変バルブタイミング装置18(VCT)の作動を禁止する。
【0052】
また、上記ステップ204で、EDU温度が所定の閾値T1 以上であると判定された場合には、EDU31の異常予測状態(可変バルブタイミング装置18を通常通りに作動させるとEDU31の過熱に至る可能性がある状態)であると判断して、ステップ206に進み、可変バルブタイミング装置18(VCT)の作動を禁止する。
【0053】
また、上記ステップ205で、モータ温度が所定の閾値T2 以上であると判定された場合には、モータ26の異常予測状態(可変バルブタイミング装置18を通常通りに作動させるとモータ26の過熱に至る可能性がある状態)であると判断して、ステップ206に進み、可変バルブタイミング装置18(VCT)の作動を禁止する。
【0054】
可変バルブタイミング装置18(VCT)の作動を禁止した場合には、ステップ207に進み、スタータスイッチ37がオン(ON)されたか否かを判定し、まだスタータスイッチ37がオフ(OFF)であると判定された場合には、可変バルブタイミング装置18(VCT)の作動を禁止したまま、本ルーチンを終了する。
【0055】
その後、上記ステップ207で、スタータスイッチ37がオン(ON)されたと判定された時点で、ステップ208に進み、可変バルブタイミング装置18(VCT)の作動を許可する。この場合、実カム軸位相と目標カム軸位相との差の絶対値が所定値よりも大きいと判定されれば、可変バルブタイミング装置18(VCT)を作動させて、実カム軸位相を目標カム軸位相に制御する(ステップ209、210)。
【0056】
以上説明した本実施例1では、エンジン停止中にバッテリ33のSOCが所定の閾値K以下であるか否かによって、バッテリ33の異常予測状態(可変バルブタイミング装置18を通常通りに作動させるとバッテリ上りやバッテリ劣化に至る可能性がある状態)であるか否かを判定し、バッテリ33のSOCが閾値K以下になったときに、バッテリ33の異常予測状態であると判定して、可変バルブタイミング装置18の作動を禁止するようにしたので、エンジン停止中に電動式の可変バルブタイミング装置18の作動によってバッテリ上りやバッテリ劣化に至ることを未然に防止することができる。
【0057】
また、本実施例1では、エンジン停止中にEDU温度センサ35で検出したEDU温度が所定の閾値T1 以上であるか否かによって、EDU31の異常予測状態(可変バルブタイミング装置18を通常通りに作動させるとEDU31の過熱に至る可能性がある状態)であるか否かを判定し、EDU温度が閾値T1 以上になったときに、EDU31の異常予測状態であると判定して、可変バルブタイミング装置18の作動を禁止するようにしたので、エンジン停止中に電動式の可変バルブタイミング装置18の作動によってEDU31の過熱に至ることを未然に防止することができる。
【0058】
また、本実施例1では、エンジン停止中にモータ温度センサで検出したモータ温度が所定の閾値T2 以上であるか否かによって、モータ26の異常予測状態(可変バルブタイミング装置18を通常通りに作動させるとモータ26の過熱に至る可能性がある状態)であるか否かを判定し、モータ温度が閾値T2 以上になったときに、モータ26の異常予測状態であると判定して、可変バルブタイミング装置18の作動を禁止するようにしたので、エンジン停止中に電動式の可変バルブタイミング装置18の作動によってモータ26の過熱に至ることを未然に防止することができる。
【0059】
更に、本実施例1では、エンジン停止中に可変バルブタイミング装置18の作動を禁止した場合には、スタータ32の作動時に可変バルブタイミング装置18を作動させてカム軸位相を変化させるようにしたので、エンジン停止中に可変バルブタイミング装置18の作動を禁止した場合でも、次にエンジン11を始動する際のスタータ32の作動中(クランキング中)に実カム軸位相を目標カム軸位相に制御することができると共に、電動式の可変バルブタイミング装置18の作動音(例えばギヤの音)をスタータ32の作動音に紛らわせることができ、可変バルブタイミング装置18の作動音を運転者に聞こえ難くすることができる。
【0060】
尚、上記実施例1では、エンジン停止中にバッテリ33のSOCが閾値K以下になったときに、可変バルブタイミング装置18の作動を禁止するようにしたが、これに限定されず、例えば、エンジン停止中にバッテリ33のSOCが所定値以下になったときに、可変バルブタイミング装置18の作動回数を所定の上限回数で制限するようにしても良い。その際、バッテリ33のSOCに応じて上限回数を設定するようにしても良い。或は、エンジン停止中にバッテリ33のSOCが所定値以下になったときに、可変バルブタイミング装置18の作動速度を所定の上限速度で制限するようにしても良い。その際、バッテリ33のSOCに応じて上限速度を設定するようにしても良い。
【0061】
また、上記実施例1では、エンジン停止中にEDU温度が閾値T1 以上になったときに、可変バルブタイミング装置18の作動を禁止するようにしたが、これに限定されず、例えば、エンジン停止中にEDU温度が所定値以上になったときに、可変バルブタイミング装置18の作動回数を所定の上限回数で制限するようにしても良い。その際、EDU温度に応じて上限回数を設定するようにしても良い。或は、エンジン停止中にEDU温度が所定値以上になったときに、可変バルブタイミング装置18の作動速度を所定の上限速度で制限するようにしても良い。その際、EDU温度に応じて上限速度を設定するようにしても良い。
【0062】
また、上記実施例1では、エンジン停止中にモータ温度が閾値T2 以上になったときに、可変バルブタイミング装置18の作動を禁止するようにしたが、これに限定されず、例えば、エンジン停止中にモータ温度が所定値以上になったときに、可変バルブタイミング装置18の作動回数を所定の上限回数で制限するようにしても良い。その際、モータ温度に応じて上限回数を設定するようにしても良い。或は、エンジン停止中にモータ温度が所定値以上になったときに、可変バルブタイミング装置18の作動速度を所定の上限速度で制限するようにしても良い。その際、モータ温度に応じて上限速度を設定するようにしても良い。
【0063】
また、上記実施例1では、EDU温度やモータ温度を温度センサで検出するようにしたが、これに限定されず、例えば、可変バルブタイミング装置18の作動状態、冷却水温、油温、吸気温、外気温等のうちの少なくとも1つに基づいて、EDU温度やモータ温度を推定(算出)するようにしても良い。
【実施例2】
【0064】
次に、図7及び図8を用いて本発明の実施例2を説明する。但し、前記実施例1と実質的に同一部分については説明を省略又は簡略化し、主として前記実施例1と異なる部分について説明する。
【0065】
本実施例2では、ECU30(或はECU30とEDU31)により後述する図8の位相制御ルーチンを実行することで、図7のタイムチャートに示すように、エンジン停止中にスタータスイッチ37がオフされているときには、可変バルブタイミング装置18の作動を禁止する(但し、目標カム軸位相=低温始動用の目標カム軸位相のときには可変バルブタイミング装置18の作動を許可するようにしても良い)。その後、スタータスイッチ37がオンされた時点t3 で、可変バルブタイミング装置18の作動を許可することで、スタータ32の作動時に可変バルブタイミング装置18を作動させてカム軸位相を変化させる。これにより、スタータ32の作動中(クランキング中)に実カム軸位相を目標カム軸位相に制御する。
【0066】
図8の位相制御ルーチンは、ECU30の電源オン中に所定周期で繰り返し実行され、特許請求の範囲でいう制御手段としての役割を果たす。本ルーチンが起動されると、まず、ステップ301で、エンジン停止中(例えばエンジン回転速度=0)であるか否かを判定し、エンジン停止中ではない(つまりエンジン運転中である)と判定された場合には、ステップ308に進み、エンジン運転中の位相制御を実行する。
【0067】
その後、上記ステップ301で、エンジン停止中であると判定された場合には、ステップ302に進み、目標カム軸位相が低温始動用の目標カム軸位相に設定されているか否かを判定し、目標カム軸位相が低温始動用の目標カム軸位相に設定されていると判定された場合には、ステップ305に進み、可変バルブタイミング装置18(VCT)の作動を許可する。
【0068】
一方、上記ステップ302で、目標カム軸位相が低温始動用の目標カム軸位相に設定されていない(つまり目標カム軸位相が暖機後始動用の目標カム軸位相に設定されている)と判定された場合には、ステップ303に進み、スタータスイッチ37がオン(ON)されたか否かを判定し、まだスタータスイッチ37がオフ(OFF)であると判定された場合には、ステップ304に進み、可変バルブタイミング装置18(VCT)の作動を禁止する。
【0069】
その後、上記ステップ303で、スタータスイッチ37がオン(ON)されたと判定された時点で、ステップ305に進み、可変バルブタイミング装置18(VCT)の作動を許可する。
【0070】
可変バルブタイミング装置18(VCT)の作動を許可した場合には、ステップ306に進み、実カム軸位相と目標カム軸位相との差の絶対値が所定値よりも大きいか否かを判定し、実カム軸位相と目標カム軸位相との差の絶対値が所定値よりも大きいと判定されれば、ステップ307に進み、可変バルブタイミング装置18(VCT)を作動させて、実カム軸位相を目標カム軸位相に制御(例えばフィードバック制御)する。
【0071】
以上説明した本実施例2では、エンジン11を始動する際のスタータ32の作動時に可変バルブタイミング装置18を作動させてカム軸位相を変化させるようにしたので、スタータ32の作動中(クランキング中)に実カム軸位相を目標カム軸位相に制御することができる。これにより、エンジン停止中に可変バルブタイミング装置18を作動させる必要がなくなる又は作動させる回数を減らすことができるため、エンジン停止中に電動式の可変バルブタイミング装置18の作動によって電気系の異常(例えば、バッテリ上りやバッテリ劣化、EDU31の過熱等)に至ることを防止することができる。しかも、電動式の可変バルブタイミング装置18の作動音(例えばギヤの音)をスタータ32の作動音に紛らわせることができ、可変バルブタイミング装置18の作動音を運転者に聞こえ難くすることができる。
【0072】
尚、上記各実施例1,2では、本発明を吸気バルブの可変バルブタイミング装置に適用したが、排気バルブの可変バルブタイミング装置に本発明を適用しても良い。更に、可変バルブタイミング装置の位相可変機構は、上記実施例で説明した構成(図2参照)に限定されず、他の方式の位相可変機構を用いても良く、要は、モータ等の電気アクチュエータでクランク軸に対するカム軸の回転位相を変化させてバルブタイミングを変化させる電動式の可変バルブタイミング装置であれば良い。
【符号の説明】
【0073】
11…エンジン(内燃機関)、12…クランク軸、16…吸気側カム軸、18…可変バルブタイミング装置、19…カム角センサ、20…クランク角センサ、26…モータ、29…モータ回転角センサ、30…ECU(作動制限制御手段,バッテリ充電状態判定手段,制御手段)、31…EDU(モータ駆動回路)、32…スタータ、33…バッテリ、34…電流センサ、35…EDU温度センサ(モータ駆動回路温度判定手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関のクランク軸に対するカム軸の回転位相(以下「カム軸位相」という)を変化させてバルブタイミングを変化させる電動式の可変バルブタイミング装置を備えた内燃機関の可変バルブタイミング制御装置において、
内燃機関の停止中に前記可変バルブタイミング装置を通常通りに作動させると電気系の異常に至る可能性がある状態(以下この状態を「異常予測状態」という)になった場合に前記可変バルブタイミング装置の作動を禁止又は制限する作動制限制御手段を備えていることを特徴とする内燃機関の可変バルブタイミング制御装置。
【請求項2】
電力供給源であるバッテリの充電状態を判定するバッテリ充電状態判定手段を備え、
前記作動制限制御手段は、内燃機関の停止中に前記バッテリの充電状態に基づいて前記異常予測状態であるか否かを判定し、前記異常予測状態であると判定した場合に前記可変バルブタイミング装置の作動を禁止又は制限することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の可変バルブタイミング制御装置。
【請求項3】
前記可変バルブタイミング装置の駆動源であるモータの通電を制御するモータ駆動回路の温度を判定するモータ駆動回路温度判定手段を備え、
前記作動制限制御手段は、内燃機関の停止中に前記モータ駆動回路の温度に基づいて前記異常予測状態であるか否かを判定し、前記異常予測状態であると判定した場合に前記可変バルブタイミング装置の作動を禁止又は制限することを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の可変バルブタイミング制御装置。
【請求項4】
前記作動制限制御手段は、内燃機関の停止中に前記可変バルブタイミング装置の作動を禁止した場合には、内燃機関のスタータの作動時に前記可変バルブタイミング装置を作動させて前記カム軸位相を変化させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の内燃機関の可変バルブタイミング制御装置。
【請求項5】
内燃機関のクランク軸に対するカム軸の回転位相(以下「カム軸位相」という)を変化させてバルブタイミングを変化させる電動式の可変バルブタイミング装置を備えた内燃機関の可変バルブタイミング制御装置において、
内燃機関のスタータの作動時に前記可変バルブタイミング装置を作動させて前記カム軸位相を変化させる制御手段を備えていることを特徴とする内燃機関の可変バルブタイミング制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−24065(P2013−24065A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−157424(P2011−157424)
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】