説明

内燃機関の吸気絞り装置及び内燃機関の吸気系システム

【課題】内燃機関の吸気通路にて、燃料噴射を行うインジェクタより下流側に配置されるスロットルバルブを有する吸気絞り装置であって、燃料付着率を低減して霧化効率を向上し、良好な混合気を生成すること。
【解決手段】スロットルバルブ14は、吸気管12においてインジェクタより下流側に配置され、該インジェクタによる燃料噴射が行われる中央部側の端部(一方の長辺)から開弁する一対のバルブ体14a,14bにて構成される。これにより、スロットルバルブ14(各バルブ体14a,14b)の開弁時に、インジェクタの燃料噴射方向の障壁をなくすように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の吸気通路において、燃料噴射を行うインジェクタより下流側に配置されるスロットルバルブを有する吸気絞り装置、及びその吸気絞り装置とインジェクタとを含む吸気系システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の吸気系システムの一例としては、燃料噴射を行うインジェクタより下流側に、吸気管内を横断するように回動軸を有するバタフライ式のスロットルバルブ(例えば特許文献1参照)を組み合わせて構成されるものがある。
【0003】
ところで、インジェクタは、スロットルバルブや吸気管内側面への燃料の付着が極力少なくなるように(燃料付着率が小さくなるように)燃料噴射を行う必要がある。しかしながら、上記した吸気系システムでは、吸気管内側面への燃料の付着量が少なくなるように吸気管断面の中央部に向かって燃料を噴射すれば、スロットルバルブの構造上、該バルブへの燃料の付着量が増加し、逆にスロットルバルブへの燃料の付着量が少なくなるように該バルブの回動軸から離れた吸気管内側面寄りに燃料を噴射すれば、当然ながら吸気管内側面への燃料の付着量が増加するという問題が発生する。これにより、霧化効率が悪くなり、良好な混合気が得られないという問題があった。
【特許文献1】特開平7−279696号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、内燃機関の吸気通路において、燃料噴射を行うインジェクタより下流側に配置されるスロットルバルブを有する吸気絞り装置、及びその吸気絞り装置とインジェクタとを含む吸気系システムであって、燃料付着率を低減して霧化効率を向上し、良好な混合気を生成することを主たる目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、効果等を示しつつ説明する。
【0006】
手段1.内燃機関の吸気絞り装置は、吸気通路において燃料噴射を行うインジェクタより下流側に配置される。吸気通路に設けられるスロットルバルブは、その中央部側に開弁側端部を有する一対のバルブ体を有し、各バルブ体の開弁側端部から開弁するように構成されている。
【0007】
すなわち、スロットルバルブは、その中央部側から各バルブ体が開弁するので、その中央部(開弁側端部)に向けてインジェクタによる燃料噴射を実施することにより、スロットルバルブの開弁時にインジェクタの燃料噴射方向の障壁がなくなる。そのため、スロットルバルブへの燃料の付着量を少なくすることができる。しかも、スロットルバルブの中央部、すなわち吸気通路の中央部に向けて燃料噴射が実施可能であることから、吸気通路の内側面への燃料の付着量も少なくすることができる。これにより、燃料付着率が低減して霧化効率が向上し、良好な混合気を生成することができる。
【0008】
手段2.上記手段1において、スロットルバルブには、少なくとも中央部にアイドル運転時の吸入空気を通過させるアイドル吸気用開口が形成されている。
【0009】
すなわち、スロットルバルブの中央部に向けてインジェクタによる燃料噴射を実施することで、アイドル運転時においてもインジェクタの燃料噴射方向の障壁がアイドル吸気用開口により排除される。そのため、アイドル運転時のように吸気通路をスロットルバルブにて絞っていても、スロットルバルブへの燃料付着の発生を抑制することができる。また、アイドル吸気用開口の開口面積は、吸気通路の断面積(流路面積)と比べて十分に小さいので、該開口を通過する空気の流速は速く、これによっても良好な混合気の生成に貢献することができる。更に、アイドル吸気用開口を通過する空気の流速が速いため、これによってもスロットルバルブへの燃料の付着が生じ難くなる。
【0010】
手段3.上記手段2において、アイドル吸気用開口は、各バルブ体に跨って形成される孔、又は各バルブ体間の隙間にて構成される。
【0011】
すなわち、アイドル吸気用開口を各バルブ体に跨って燃料噴射範囲に対応した形状(例えば略円形状)に形成される孔や各バルブ体間の隙間にて簡単に構成できる。
【0012】
手段4.上記手段2又は3において、アイドル吸気用開口は、スロットルバルブの中央部に設けられる中央部開口と、該中央部開口の外側に設けられる外側開口とから構成される。
【0013】
すなわち、中央部開口に向かってインジェクタによる燃料噴射が行われた際に、該中央部開口の周縁部に燃料の一部が付着すると、付着した燃料(燃料ウェット)が外側に向かい、該中央部開口の外側に設けられる外側開口から飛散することが可能である。これにより、スロットルバルブにて発生する燃料ウェットが吸気通路の内側面に到達することを抑制でき、燃料ウェットが吸気通路の内側面を伝って内燃機関本体(燃焼室)に流入することを抑制することができる。
【0014】
手段5.上記手段1〜4のいずれかにおいて、各バルブ体は、吸気通路内において対称形状をなしている。
【0015】
すなわち、各バルブ体を吸気通路内において対称形状とすることにより、バルブ体の形成が容易である。
【0016】
手段6.上記手段1〜5のいずれかにおいて、各バルブ体は、吸気通路の内側面側、又は吸気通路の内側面と中央部との中間部に回動軸を有し、該回動軸を中心に回動して開弁動作する。
【0017】
すなわち、各バルブ体の開弁動作は単純であるので、各バルブ体自体や各バルブ体を駆動する機構を簡単な構成とすることができる。
【0018】
手段7.上記手段1〜5のいずれかにおいて、各バルブ体は、吸気通路と直交する方向において互いに近接又は離間するようにスライドして開弁動作する。
【0019】
すなわち、各バルブ体の開弁動作は単純であるので、各バルブ体自体や各バルブ体を駆動する機構を簡単な構成とすることができる。
【0020】
手段8.内燃機関の吸気系システムは、上記手段1〜7のいずれかに記載のスロットルバルブを有する吸気絞り装置と、該スロットルバルブの各バルブ体の開弁側端部に向かって燃料噴射を行うインジェクタとを備えている。
【0021】
すなわち、この吸気系システムでは、上記手段1〜7のいずれかに記載のスロットルバルブが備えられ、インジェクタが各バルブ体の開弁側端部に向かって燃料噴射を行うことから、上記各手段1〜7に記載した作用効果と同様の作用効果を有している。
【0022】
手段9.上記手段8において、インジェクタは、吸気通路の中心線に沿って燃料噴射を行う。
【0023】
すなわち、スロットルバルブ(各バルブ体)は、インジェクタによる燃料噴射が行われる中央部側の端部から開弁するため、吸気通路の中心線に沿って燃料噴射を行うインジェクタを用いると、低開度からスロットルバルブが障壁となることを排除でき、スロットルバルブへの燃料の付着量もより一層少なくすることができる。しかも、吸気通路の内側面への燃料の付着量もより一層少なくすることができる。これにより、より良好な混合気を生成することができる。
【0024】
手段10.上記手段8又は9において、各バルブ体を開弁させるスロットルアクチュエータを備えており、各バルブ体は、該アクチュエータにて同じ開度となるように開弁動作する。
【0025】
すなわち、各バルブ体を同じ開度となるように開弁動作させることで、吸入空気量の制御を容易に行うことができる。また、各バルブ体は同じ開度となるように開弁動作されるので、吸入空気の空気流を乱すことを防止することができる。
【0026】
手段11.上記手段8〜10のいずれかにおいて、内燃機関は、単気筒、又は独立吸気構造の多気筒よりなる。
【0027】
すなわち、単気筒又は独立吸気構造の多気筒の内燃機関では、吸気通路が途中で分岐するというように該吸気通路が複雑でないため、良好な混合気を極力そのまま内燃機関本体(燃焼室)に供給できる、そのため、良好な混合気生成できるという効果は高い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明を内燃機関としての二輪用単気筒エンジンの吸気系システムに具体化した一実施の形態を図面に従って説明する。
【0029】
図1に示すエンジン10において、エンジン本体11に接続される吸気管12には、燃料噴射を実施するインジェクタ13が設けられ、該インジェクタ13より下流側に、吸入空気量を調整する吸気絞り装置を構成するスロットルバルブ14が設けられている。
【0030】
インジェクタ13は、略円柱状をなしており、吸気管12に挿入されている。吸気管12は、スロットルバルブ14を配置する部分(スロットルボディ)以外が円筒状に形成される一方、該バルブ14を配置する部分が該バルブ14の形状(正方形状)に応じて断面正方形状の四角筒状に形成されている。なお、このような吸気管12においては、形状の異なる部位の繋ぎ目が滑らかに繋がるように形成されている。インジェクタ13は、その中心線が吸気管12の中心線L1と一致するようにして支持部材(図示略)により吸気管12に対して支持されている。この場合、インジェクタ13の外側面と吸気管12の内側面との間の空間は、十分に吸入空気量を確保できるように設定されており、またインジェクタ13を支持する支持部材は、吸入空気の流れを大きく妨げない例えばシャフト状をなしている。
【0031】
スロットルバルブ14は、図2に示すようにインジェクタ13側から見て、正方形板状をなしている。スロットルバルブ14は、それぞれ長方形板状の同形状(対称形状)をなす一対のバルブ体14a,14bからなる。各バルブ体14a,14bは、全閉状態(図2に示す状態)において、吸気管12の流路方向と直交するように一方の長辺を相互に対向させて該吸気管12を閉塞するようにして配置される。各バルブ体14a,14bにおける一方の長辺の中央には、その端部から半円状に切り欠かれ両バルブ体14a,14bに跨って略円形状をなす中央部開口14cが形成されている。つまり、中央部開口14cは、吸気管12内におけるスロットルバルブ14の中央部に位置している。
【0032】
中央部開口14cの周囲には、該開口14cと同心円上に等間隔に6個(各バルブ体14a,14bに3個ずつ)の外側開口14dが形成されている。外側開口14dは、中央部開口14cよりも直径の小さい円形状の同形状に形成されている。スロットルバルブ14に形成される中央部開口14c及び外側開口14dは、これらを合計した開口面積がエンジン10のアイドル運転時に必要な吸入空気量と対応する開口面積となるように、各直径寸法がそれぞれ設定されている。
【0033】
各バルブ体14a,14bの他方の長辺には回動軸15a,15bが設けられており、各回動軸15a,15bにはDCモータ等よりなるスロットルアクチュエータ16が駆動連結されている。スロットルアクチュエータ16は、各バルブ体14a,14bを図2に示す全閉位置から一方の長辺側を吸気管12の下流側に回動させて開弁駆動させるようになっている(図1参照)。各バルブ体14a,14bの一方の長辺側が吸気管12の内側面に当接する位置が全開位置である。また、スロットルアクチュエータ16は、各バルブ体14a,14bの開度(スロットル開度)が同じとなるように駆動する。そして、スロットルアクチュエータ16は、エンジン10の運転状態やドライバの要求に応じたスロットル開度となるように各バルブ体14a,14bの開度(スロットル開度)がECU(図示略)にて制御される。
【0034】
このようなエンジン10の吸気系システムでは、インジェクタ13は吸気管12の中心線L1に沿って燃料噴射を行っており、アイドル運転時、すなわちスロットルバルブ14が図2に示す全閉状態時においては、該バルブ14の中央部開口14cより若干直径が大きい円形噴射領域Aに対して燃料噴射が行われるように設定されている。
【0035】
これにより、アイドル運転時においては、インジェクタ13から噴射された燃料が空気と共にスロットルバルブ14の中央部開口14cを通過し、また外側開口14dからは空気が通過して、エンジン本体11(燃焼室)に混合気として供給される。この場合、インジェクタ13の燃料噴射方向の障壁が該開口14cにより排除されるので、インジェクタ13が噴射した霧化の良好な燃料により、良好な混合気を生成できる。また、インジェクタ13の燃料噴射方向の障壁がなくなることから、スロットルバルブ14への燃料の付着、すなわち燃料ウェットの発生が抑制される。更に、中央部開口14cの開口面積(直径)が吸気管12の断面積(流路面積)と比べて十分に小さいので、該開口14cを通過する空気の流速は速く、これによっても良好な混合気を生成するのに貢献できる。また、中央部開口14cを通過する空気の流速が速いとスロットルバルブ14への燃料の付着が生じ難くなるので、これによっても燃料ウェットの発生の抑制に貢献できる。
【0036】
スロットルバルブ14の中央部開口14cの周縁部に燃料の一部が付着した場合では、付着した燃料(燃料ウェット)が外側に向かい、外側開口14dから飛散することが可能となっている。これにより、スロットルバルブ14にて発生する燃料ウェットが吸気管12の内側面に到達することが抑制され、燃料ウェットが吸気管12の内側面を伝ってエンジン本体11に流入することが抑制される。
【0037】
一方で、通常運転時においてスロットルバルブ14(各バルブ体14a,14b)が開弁すると、該バルブ14の中央部分、すなわちインジェクタ13の噴射領域A部分から開弁する。これにより、インジェクタ13の燃料噴射方向の障壁がなくなり、この開弁時においても良好な混合気を生成できると共に、スロットルバルブ14での燃料ウェットの発生が抑制される。
【0038】
以上詳述した本実施の形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
【0039】
本実施の形態の吸気系システムでは、スロットルバルブ14は、吸気管12においてインジェクタ13より下流側に配置され、該インジェクタ13による燃料噴射が行われる中央部側の端部(一方の長辺)から開弁する一対のバルブ体14a,14bにて構成されている。従って、スロットルバルブ14(各バルブ体14a,14b)の開弁時には、インジェクタ13の燃料噴射方向の障壁がなくなるので、スロットルバルブ14への燃料の付着量を少なくすることができる。しかも、スロットルバルブ14の中央部、すなわち吸気管12の中央部に向けて燃料噴射が実施可能であることから、吸気管12の内側面への燃料の付着量も少なくすることができる。これにより、燃料付着率が低減して霧化効率が向上し、良好な混合気を生成することができる。
【0040】
本実施の形態のスロットルバルブ14には、図2に示す全閉位置(アイドル運転時の開弁位置)でアイドル運転時に必要な空気量に対応した中央部開口14c及び外側開口14dが形成されている。従って、アイドル運転時においてもインジェクタ13の燃料噴射方向の障壁が中央部開口14cにより排除されるので、アイドル運転時のように吸気管12をスロットルバルブ14にて絞っていても、スロットルバルブ14への燃料付着の発生を抑制することができる。また、中央部開口14cの開口面積は、吸気管12の断面積(流路面積)と比べて十分に小さいので、該開口14cを通過する空気の流速は速く、これによっても良好な混合気の生成に貢献することができる。更に、中央部開口14cを通過する空気の流速が速いため、これによってもスロットルバルブ14への燃料の付着が生じ難い。
【0041】
本実施の形態の中央部開口14cは、各バルブ体14a,14bに跨って略円形状に形成される孔(切り欠き)にて構成される。従って、中央部開口14cを簡単に構成できる。
【0042】
本実施の形態では、アイドル運転時の吸気用開口として中央部開口14cと、該中央部開口14cの外側に設けられる外側開口14dとから構成される。従って、中央部開口14c(該開口14cを含む領域A)に向かってインジェクタ13による燃料噴射が行われた際に、該中央部開口14cの周縁部に燃料の一部が付着すると、付着した燃料(燃料ウェット)が外側に向かい、該中央部開口14cの外側に設けられる外側開口14dから飛散することが可能である。これにより、スロットルバルブ14にて発生する燃料ウェットが吸気管12の内側面に到達することを抑制でき、燃料ウェットが吸気管12の内側面を伝ってエンジン本体11(燃焼室)に流入することを抑制することができる。
【0043】
本実施の形態の各バルブ体14a,14bは、吸気管12内において対称形状をなしている。従って、各バルブ体14a,14bの形成が容易である。
【0044】
本実施の形態の各バルブ体14a,14bは、吸気管12の内側面側(他方の長辺側)に回動軸15a,15bを有し、該回動軸15a,15bを中心に回動して開弁動作する。従って、各バルブ体14a,14bの開弁動作は単純であるので、各バルブ体14a,14b自体や各バルブ体14a,14bを駆動する機構を簡単な構成とすることができる。
【0045】
本実施の形態のインジェクタ13は、吸気管12の中心線L1に沿って燃料噴射を行う。従って、スロットルバルブ14(各バルブ体14a,14b)は、インジェクタ13による燃料噴射が行われる中央部側の端部から開弁するため、吸気管12の中心線L1に沿って燃料噴射を行うインジェクタ13を用いると、低開度からスロットルバルブ14が障壁となることを排除でき、スロットルバルブ14への燃料の付着量もより一層少なくすることができる。しかも、吸気管12の内側面への燃料の付着量もより一層少なくすることができる。これにより、より良好な混合気を生成することができる。
【0046】
本実施の形態の各バルブ体14a,14bは、スロットルアクチュエータ16にて同じ開度となるように開弁動作する。従って、各バルブ体14a,14bを同じ開度となるように開弁動作させることで、吸入空気量の制御を容易に行うことができる。また、各バルブ体14a,14bは同じ開度となるように開弁動作されるので、吸入空気の空気流を乱すことを防止することができる。
【0047】
本実施の形態では、単気筒エンジン10に適用している。従って、単気筒エンジン10では、吸気管が途中で分岐するというように該吸気管が複雑でないため、良好な混合気を極力そのままエンジン本体11(燃焼室)に供給できる、そのため、良好な混合気生成できるという効果は高い。
【0048】
なお、本発明は上記実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施しても良い。
【0049】
上記実施の形態で示したスロットルバルブ14の構成は一例であり、これに限定されるものではなく、適宜変更しても良い。例えば、図3や図4のように構成しても良い。
【0050】
図3に示す形態では、吸気管21(この場合、スロットルボディ)内に設けられるスロットルバルブ22が上記実施の形態と同様に長方形板状をなす一対の各バルブ体22a,22bにて構成されている。図3に示す全閉状態において、各バルブ体22a,22b間に隙間が形成され、該隙間にてアイドル運転時の吸気用開口22cが構成される。因みに、吸気用開口22cは、インジェクタによる燃料噴射が行われるスロットルバルブ22の中央部の領域Aとオーバーラップしている。また、各バルブ体22a,22bは、各長辺間の中間部にそれぞれ回動軸23a,23bが設けられ、該回動軸23a,23bに駆動連結されるスロットルアクチュエータ24により開弁動作される。このような構成のスロットルバルブ22であっても、上記実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0051】
また、図4に示す形態では、円筒形の吸気管25(この場合、スロットルボディ)内に設けられるスロットルバルブ26がそれぞれ半円板状をなす一対の各バルブ体26a,26bにて構成されている。図4に示す全閉状態において、各バルブ体26a,26b間に隙間が形成され、該隙間にてアイドル運転時の吸気用開口26cが構成される。因みに、吸気用開口26cは、インジェクタによる燃料噴射が行われるスロットルバルブ26の中央部の領域Aとオーバーラップしている。また、各バルブ体26a,26bは、吸気管25に対し流路と直交する方向において互いに近接又は離間するようにスロットルアクチュエータ27にてスライドして開弁動作する。このような構成のスロットルバルブ26であっても、上記実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0052】
また、これら図3及び図4に示す形態においても、上記実施の形態と同様に、吸気用開口22c,26cの外側に外側開口を設けても良い。
【0053】
上記実施の形態では、インジェクタ13全体を吸気管12内に配置したが、インジェクタ13の先端部分だけを吸気管12内に配置しても良い。またこの場合、インジェクタ13の燃料噴射方向を上記実施の形態のように吸気管12の中心線L1に沿って行っても良く、その中心線L1に対して斜めからスロットルバルブ14の中央部に向かって行うようにしても良い。
【0054】
上記実施の形態では、インジェクタ13のみで燃料噴射を行う構成であるが、スロットルバルブ14の上流側と下流側にそれぞれインジェクタを配置する、いわゆるツインインジェクタ式を採用したエンジンに適用しても良い。
【0055】
上記実施の形態では、二輪用単気筒エンジンに適用したが、四輪用エンジンに適用しても良い。また、2気筒以上の多気筒エンジンに適用しても良い。この場合、独立吸気構造の多気筒エンジンに適用すれば、単気筒エンジンに適用した場合と同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】一実施の形態におけるエンジンの吸気系システムを示す概略構成図である。
【図2】吸気管のスロットルバルブ部分の断面図である。
【図3】別例における吸気管のスロットルバルブ部分の断面図である。
【図4】別例における吸気管のスロットルバルブ部分の断面図である。
【符号の説明】
【0057】
10…エンジン(内燃機関)、12…吸気管(吸気通路)、13…インジェクタ、14…スロットルバルブ、14a,14b…バルブ体、14c…中央部開口(アイドル吸気用開口)、14d…外側開口(アイドル吸気用開口)、15a,15b…回動軸、16…スロットルアクチュエータ、22…スロットルバルブ、22a,22b…バルブ体、23a,23b…回動軸、24…スロットルアクチュエータ、26…スロットルバルブ、26a,26b…バルブ体、27…スロットルアクチュエータ、L1…中心線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の吸気通路において、燃料噴射を行うインジェクタより下流側に配置される吸気絞り装置であって、
前記吸気通路に設けられるスロットルバルブは、その中央部側に開弁側端部を有する一対のバルブ体を有し、各バルブ体の開弁側端部から開弁するように構成されていることを特徴とする内燃機関の吸気絞り装置。
【請求項2】
前記スロットルバルブには、少なくとも中央部にアイドル運転時の吸入空気を通過させるアイドル吸気用開口が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の吸気絞り装置。
【請求項3】
前記アイドル吸気用開口は、前記各バルブ体に跨って形成される孔、又は前記各バルブ体間の隙間にて構成されることを特徴とする請求項2に記載の内燃機関の吸気絞り装置。
【請求項4】
前記アイドル吸気用開口は、前記中央部に設けられる中央部開口と、該中央部開口の外側に設けられる外側開口とから構成されることを特徴とする請求項2又は3に記載の内燃機関の吸気絞り装置。
【請求項5】
前記各バルブ体は、前記吸気通路内において対称形状をなしていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の内燃機関の吸気絞り装置。
【請求項6】
前記各バルブ体は、前記吸気通路の内側面側、又は前記吸気通路の内側面と前記中央部との中間部に回動軸を有し、該回動軸を中心に回動して開弁動作することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の内燃機関の吸気絞り装置。
【請求項7】
前記各バルブ体は、前記吸気通路と直交する方向において互いに近接又は離間するようにスライドして開弁動作することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の内燃機関の吸気絞り装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載のスロットルバルブを有する吸気絞り装置と、
前記スロットルバルブの各バルブ体の開弁側端部に向かって燃料噴射を行うインジェクタと
を備えたことを特徴とする内燃機関の吸気系システム。
【請求項9】
前記インジェクタは、前記吸気通路の中心線に沿って燃料噴射を行うことを特徴とする請求項8に記載の内燃機関の吸気系システム。
【請求項10】
前記各バルブ体を開弁させるスロットルアクチュエータを備えており、
前記各バルブ体は、前記アクチュエータにて同じ開度となるように開弁動作することを特徴とする請求項8又は9に記載の内燃機関の吸気系システム。
【請求項11】
内燃機関は、単気筒、又は独立吸気構造の多気筒よりなることを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載の内燃機関の吸気系システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−194085(P2006−194085A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−3281(P2005−3281)
【出願日】平成17年1月11日(2005.1.11)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】