内燃機関の吸気装置
【課題】 全開流量性能を損なうことなく、強度の確保および成形性と品質の向上を図ることを課題とする。
【解決手段】 バタフライバルブのバルブ本体3の断面形状を、エンジンの各気筒毎の燃焼室に供給される吸入空気の流れに対する抵抗の少ない流線形状としている。そして、バルブ本体3のバルブディスク5、6の表裏両側面に、軸方向部4から外周端縁に向かって軸方向部4の軸線方向に対して直交する方向に延びる複数の第1、第2スリット31、32を形成し、第1スリット31の位置を、第2スリット32の位置よりも軸方向部4の軸線方向の片側寄りにオフセット配置している。これにより、合成樹脂製のバルブ本体3の内部の内接円直径が小さくなるので、シャフト2近傍の樹脂肉厚が薄くなり、厚肉によって発生するボイドを低減することができる。
【解決手段】 バタフライバルブのバルブ本体3の断面形状を、エンジンの各気筒毎の燃焼室に供給される吸入空気の流れに対する抵抗の少ない流線形状としている。そして、バルブ本体3のバルブディスク5、6の表裏両側面に、軸方向部4から外周端縁に向かって軸方向部4の軸線方向に対して直交する方向に延びる複数の第1、第2スリット31、32を形成し、第1スリット31の位置を、第2スリット32の位置よりも軸方向部4の軸線方向の片側寄りにオフセット配置している。これにより、合成樹脂製のバルブ本体3の内部の内接円直径が小さくなるので、シャフト2近傍の樹脂肉厚が薄くなり、厚肉によって発生するボイドを低減することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の燃焼室に連通する空気流路を開閉する内燃機関の吸気装置に関するもので、特に内燃機関の燃焼室に供給する吸入空気を制御する内燃機関の吸気装置に係わる。
【背景技術】
【0002】
[従来の技術]
従来より、内燃機関の吸気装置として、内燃機関の燃焼室に供給する吸入空気の流量(吸入空気量)を調整するスロットル装置(例えば、特許文献1参照)が提案されている。そして、内燃機関のスロットル装置に用いられるスロットルバルブは、図8ないし図11に示したように、合成樹脂製のバルブ本体101の軸方向部に金属製のシャフト102をインサート成形した円板状のバタフライ型樹脂モールドバルブ(バタフライバルブ)が使用されている。
【0003】
ここで、図8および図9に示した合成樹脂製のバタフライバルブ(従来例1)は、合成樹脂製または金属製のスロットルボディ103のスロットルボア(空気流路)104内において回転軸を中心にして回転自在に収容されている。このバタフライバルブは、その回転軸方向に対して垂直方向の断面形状が、シャフト102から外周端へ向かって徐々に厚みを減少させるテーパ断面形状となっている。換言すれば、バタフライバルブは、そのバルブ本体101の表裏両側面が、シャフト102をインサート成形した軸方向部から外周端面へ向かって対称的に傾斜するテーパ断面形状をなしている。また、バルブ本体101の表裏両側面には、回転軸方向に対して垂直方向に延び、且つ各テーパ面に沿って傾斜する複数の整流リブ105が設けられている。
【0004】
そして、隣合う整流リブ105間には、所定のテーパ角度のテーパ面(スリット)106が形成されている。また、図8に示したように、バルブ本体101の外周端は、バルブ本体101の外周に沿って緩く傾斜する外周端縁107が一定幅で形成されている。この外周端縁107と各テーパ面106の終端との間は、傾斜のない平坦面となっている。また、バタフライバルブは、図8に示されるバルブ本体101の面をバルブ本体101の表側面とすると、この反対側がバルブ本体101の裏側面となり、バルブ本体101の表側面と同じ形状に形成される。
【0005】
また、図10および図11に示したバタフライバルブ(従来例2)は、回転軸方向に対して垂直方向の断面形状が、シャフト102から外周端へ向かって徐々に厚みを減少させるテーパ断面形状となっている。また、バタフライバルブは、バルブ本体101の表裏両側面において、バルブ中央(バルブ全開時のスロットルボア104の中心部)を通り回転軸方向に対して垂直方向へ延びる溝108が設けられている。溝108は、図10に示したように、2つの整流リブ105の間に形成されている。また、溝108の中央部では、シャフト102の外周面の一部がむき出しとなっている。但し、このむき出し部分のバルブ本体101の肉厚は、図11(b)に示したように、シャフト102の外径とほぼ同じとなっている。
【0006】
以上のように、特許文献1に記載の合成樹脂製のバタフライバルブ(従来例1及び2)においては、その特徴として、シャフト102の外周を被覆して回転軸方向に延びる軸方向部(バルブ本体101の軸方向部)の接線から、シャフト102の回転軸方向に対して垂直方向に向けて延びる各テーパ面106、各整流リブ105および溝108を、バルブ本体101の表裏両側面に形成することで、バタフライバルブを側面視したときに略菱形等の流線形状を構成している。このことから、スロットルボディ103のスロットルボア104内においてバタフライバルブを全開したときに、バルブ本体101の表裏両側面における吸入空気の流れがスロットルボア104に対して平行となり、バタフライバルブによって吸入空気に乱れが生じることがない。この結果、バタフライバルブを全開したときの圧力損失を低減することができ、バタフライバルブを全開したときの空気流量、すなわち、全開流量を増加させることができる。
【0007】
[従来の技術の不具合]
ところが、特許文献1に記載の合成樹脂製のバタフライバルブ(従来例1及び2)においては、バルブ本体101の軸方向部の肉厚、つまりシャフト近傍の樹脂肉厚が厚くなり、バルブ本体101の軸方向部の内部、つまりシャフト近傍の樹脂内部にボイドが発生し易くなる。
そのため、バタフライバルブを射出成形する樹脂成形型のゲートとキャビティとの容積差等によりキャビティ内に射出充填された溶融樹脂に対して保圧が十分にかからないので、バルブ本体101の成形収縮が安定せず、バルブ本体101の寸法精度が悪化する。また、合成樹脂製のバルブ本体101と金属製のシャフト102との線膨張係数の差による耐冷熱性の低下を招き、シャフト102に対するバルブ本体101の剥離、あるいはバルブ本体101とシャフト102との界面近傍が樹脂割れの基点になり易く、品質の低下を招くという問題がある。
【0008】
また、内燃機関のスロットル装置は、バタフライバルブよりも吸気下流側に生じる負圧(大気圧よりも低い吸気負圧)がバタフライバルブに加わったり、内燃機関の燃焼室内で正規の燃焼以外に燃える現象(バックファイア)を要因とする圧力変動がバタフライバルブに加わったりする可能性がある。このため、合成樹脂製のバルブ本体101の軸方向部に金属製のシャフト102をインサート成形したバタフライバルブの場合には、吸入負圧やバックファイア等の過大な圧力に耐え得る強度を確保できない可能性がある。
それらは、円板状のバタフライバルブ(バルブ本体101)の直径が大きくなる程、影響は顕著に現れると考えられる。
【特許文献1】特開2007−127191号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、全開流量性能を損なうことなく、強度の確保および品質の向上を図ることのできる内燃機関の吸気装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、空気流路を開閉して内燃機関の燃焼室に供給される空気を制御するバタフライバルブは、金属製のシャフトおよび樹脂製のバルブ本体によって構成されている。そして、バルブ本体の軸方向部の軸線方向に対して直交する方向(回転軸方向に対して垂直方向)に垂直な断面が流線形状に形成されている。
これによって、ダクト内においてバタフライバルブを全開したときに、バルブ本体の表裏両側面における空気の流れが空気流路に対して平行となり、バタフライバルブの軸方向部によって空気に乱れが生じることはない。この結果、バタフライバルブを全開したときの圧力損失を低減することができるので、バタフライバルブを全開したときの空気流量、つまり全開流量を増加させることができる。
【0011】
また、バルブ本体の表側面に、軸方向部から外周端に向かって軸方向部の軸線方向に対して直交する方向に延びる第1スリットを形成し、且つバルブ本体の裏側面に、軸方向部から外周端に向かって軸方向部の軸線方向に対して直交する方向に延びる第2スリットを形成している。そして、バルブ本体は、第1スリットの位置を第2スリットの位置に対してオフセットしている。
これによって、バルブ本体の表側面に形成されるスリット位置とバルブ本体の裏側面に形成されるスリット位置とを対向配置させた場合に比べて、樹脂製のバルブ本体の内部、つまり樹脂内部の内接円直径が小さくなり、樹脂製のバルブ本体の軸方向部の肉厚、つまりシャフト近傍の樹脂肉厚が薄くなり、厚肉によって発生するボイドを低減することができる。この結果、バルブ本体の断面形状として、内燃機関の燃焼室に供給する空気の流れに対する抵抗の少ない流線形状を維持しながらも、樹脂製のバルブ本体の軸方向部の肉厚、つまりシャフト近傍の樹脂肉厚を低減することにより、全開流量性能を損なうことなく、樹脂製のバルブ本体の強度の確保および品質の向上を図ることができる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、第1スリットのスリット幅方向の中心線を、第2スリットのスリット幅方向の中心線に対してオフセットしている。これによって、バルブ本体の断面形状として、内燃機関の燃焼室に供給する空気の流れに対する抵抗の少ない流線形状を維持しながらも、樹脂製のバルブ本体の軸方向部の肉厚、つまりシャフト近傍の樹脂肉厚を低減することにより、全開流量性能を損なうことなく、樹脂製のバルブ本体の強度の確保および成形性と品質の向上を図ることができる。
請求項3に記載の発明によれば、バタフライバルブは、バルブ本体の軸方向部にシャフトを被覆する樹脂モールドバルブである。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、バルブ本体の表側面に、軸方向部から外周端に向かって下り傾斜した第1テーパ面を形成し、且つバルブ本体の裏側面に、軸方向部から外周端に向かって下り傾斜した第2テーパ面を形成している。これによって、内燃機関の燃焼室に供給する空気の流れに対する抵抗の少ない断面形状を維持することにより、全開流量性能を損なうことはない。
請求項5に記載の発明によれば、バルブ本体の表側面の第1テーパ面に、軸方向部の軸線方向に沿って所定の間隔で設けられた複数の第1スリットを形成し、且つバルブ本体の裏側面の第2テーパ面に、軸方向部の軸線方向に沿って所定の間隔で設けられた複数の第2スリットを形成している。これによって、バルブ本体の断面形状として、内燃機関の燃焼室に供給する空気の流れに対する抵抗の少ない流線形状を維持しながらも、樹脂製のバルブ本体の軸方向部の肉厚、つまりシャフト近傍の樹脂肉厚を低減することにより、全開流量性能を損なうことなく、樹脂製のバルブ本体の強度の確保および成形性と品質の向上を図ることができる。
【0014】
請求項6に記載の発明によれば、バルブ本体は、複数の第1スリットにより互いに区画されて、軸方向部の軸線方向に沿って所定の間隔で設けられた複数の第1テーパ面を有している。また、バルブ本体は、複数の第2スリットにより互いに区画されて、軸方向部の軸線方向に沿って所定の間隔で設けられた複数の第2テーパ面を有している。
そして、複数の第1スリットのうちの少なくとも1つの第1スリットのスリット幅は、複数の第1テーパ面のうちの少なくとも1つの第1テーパ面の面幅よりも狭く、且つ複数の第2スリットのうちの少なくとも1つの第2スリットのスリット幅は、複数の第2テーパ面のうちの少なくとも1つの第2テーパ面の面幅よりも狭い。
これによって、第1スリットのスリット幅が第1テーパ面の面幅以上に広く、且つ第2スリットのスリット幅が第2テーパ面の面幅以上に広いタイプのものと比べて、樹脂製のバルブ本体の軸方向部の肉厚、つまりシャフト近傍の樹脂肉厚の減少の効果が大きいので、ボイドの発生量をより低減することができる。
【0015】
請求項7に記載の発明によれば、第1テーパ面と第2テーパ面との間の距離をa、第1スリットのスリット幅方向の一方側のスリット壁面と第2スリットのスリット幅方向の他方側のスリット壁面との間の距離をbとしたとき、a>bの関係を満足している。
これによって、a≦bの関係に設定されたものと比べて、樹脂製のバルブ本体の軸方向部の肉厚、つまりシャフト近傍の樹脂肉厚の減少の効果が大きいので、ボイドの発生量をより低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明を実施するための最良の形態は、全開流量性能を損なうことなく、強度の確保および品質の向上を図るという目的を、内燃機関の燃焼室に供給する空気の流れに対する抵抗の少ない形状を維持しながらも、シャフト近傍の樹脂肉厚を低減することで実現した。具体的には、バルブ本体の断面形状、つまり軸方向部の軸線方向に対して直交する方向に垂直な断面を流線形状に形成している。そして、バルブ本体の表側面に形成される第1スリットの位置を、バルブ本体の裏側面に形成される第2スリットの位置に対してオフセットさせている。
【実施例1】
【0017】
[実施例1の構成]
図1ないし図7は本発明の実施例1を示したもので、図1および図2は内燃機関の電子スロットル装置を示した図で、図3および図4は合成樹脂製のバタフライバルブを示した図である。
【0018】
本実施例の内燃機関(エンジン)には、エアクリーナ、電子スロットル装置等が搭載されている。また、エンジンは、例えば自動車のエンジンルームに搭載されている。ここで、エンジンは、エアクリーナ(内燃機関のエアクリーナ)で濾過された清浄な吸入空気とインジェクタより噴射された燃料との混合気を燃焼室内で燃焼させて得られる熱エネルギーによりエンジン出力(例えばエンジン出力軸トルク=エンジントルク)を得るガソリンエンジンである。
【0019】
また、エンジンは、エンジンの各気筒の燃焼室に吸入空気を導入するための吸気ダクト(インテークダクト、吸気管)と、エンジンの各気筒の燃焼室より排気ガスを排気浄化装置を経由して外部に排出するための排気ダクト(エキゾーストダクト、排気管)とを備えている。吸気ダクトの内部には、エアクリーナで濾過された清浄な外気(クリーンエア)を、エアクリーナホース(エアホース)を経由して、電子スロットル装置のスロットルボディに導入するための吸気通路が形成されている。また、吸気ダクトは、エアクリーナケース、エアクリーナホース、スロットルボディ、サージタンクおよびインテークマニホールド等を有している。
【0020】
エンジン本体は、シリンダヘッドおよびシリンダブロック等によって構成されている。シリンダヘッドの一方側に形成される吸気ポート(インテークポート)は、ポペット型の吸気バルブ(インテークバルブ)によって開閉され、また、シリンダヘッドの他方側に形成される排気ポート(エキゾーストポート)は、ポペット型の排気バルブ(エキゾーストバルブ)によって開閉される。さらに、シリンダヘッドには、先端部がエンジンの各気筒の燃焼室内に露出するようにスパークプラグが取り付けられている。そして、シリンダヘッドには、吸気ポート内に最適なタイミングで燃料を噴射するインジェクタ(電磁式燃料噴射弁)が取り付けられている。
シリンダブロックの内部に形成されるシリンダボア内には、連接棒を介してクランクシャフトに連結されたピストンがその摺動方向に摺動自在に支持されている。
【0021】
エアクリーナは、エンジンの吸気ダクトの最上流部に設置されて、外気中に含まれる不純物(塵や埃、砂等のダスト)を捕捉して取り除く濾過エレメント(フィルタエレメント)を収容している。
エアクリーナホースは、エアクリーナとスロットルボディとを接続するインテークパイプである。また、エアクリーナホースは、柔軟性を有するゴム系弾性体(または柔軟性を有する合成樹脂等の樹脂材料)によって形成されている。このエアクリーナホースは、スロットルボディの吸気流方向における上端部に気密的に結合されている。
【0022】
本実施例の電子スロットル装置は、エンジンの吸気ダクトの途中、特にエアクリーナホースの下流端に気密的に結合されたスロットルボディと、このスロットルボディのスロットルボア壁(以下円筒部と言う)1の内部(スロットルボア11)を開閉するスロットルバルブ(バタフライバルブ)と、このバタフライバルブを駆動するモータを含むアクチュエータ(バルブ駆動装置)と、エンジンの運転状態に応じてモータのコイルへの供給電力を制御すると共に、バタフライバルブのバルブ角度に相当するスロットル開度を、点火装置および燃料噴射装置等の各システムと関連して制御するエンジン制御ユニット(以下ECUと言う)とを備えている。
【0023】
そして、電子スロットル装置は、運転者のアクセル操作量に応じてモータを駆動して、スロットル開度を変更し、エンジンの各気筒の燃焼室内に供給する吸入空気の流量(吸入空気量、吸気量)を可変制御することで、エンジン回転速度またはエンジン出力軸トルクをコントロールする内燃機関の吸気装置である。なお、アクセル操作量とは、運転者のアクセルペダルの踏み込み量に相当する。
また、電子スロットル装置は、スロットルボディおよびバタフライバルブの他に、バタフライバルブを閉弁作動方向(バルブ全閉方向に戻す方向)に付勢するリターンスプリングを備えている。なお、本実施例では、リターンスプリングとしてコイルスプリングが使用されている。
【0024】
本実施例のスロットルボディは、内部に、断面円形状のスロットルボア11が形成された円筒状の円筒部(ダクト)1を有している。このスロットルボディは、樹脂材料または金属材料によって所定の形状に形成されている。そして、スロットルボディの円筒部1は、内部にバタフライバルブを全閉位置から全開位置に至るまで回転方向に回転自在に保持するハウジングであり、サージタンク(またはインテークマニホールド)にボルト等を用いて締め付け固定されている。
なお、本実施例では、エアクリーナで濾過された吸入空気が、スロットルボディの円筒部1の図示上端部で開口した入口部からスロットルボア11内に流入し、スロットルボディの円筒部1の図示下端部で開口した出口部に接続されるサージタンク、更にインテークマニホールドを経てエンジンの各気筒の吸気ポートおよび燃焼室内に吸入されるように構成されている。
【0025】
円筒部1は、内部にバタフライバルブを開閉自在に収容している。また、円筒部1は、スロットルボア(空気流路、吸気通路)11を有している。これにより、円筒部1は、エンジンの各気筒毎の燃焼室内に吸入空気を導入するための吸気導入ダクト(ハウジング)を構成する。そして、スロットルボア11は、円筒部1の入口側開口端から出口側開口端に向けて真っ直ぐに延びている。
また、円筒部1の回転軸方向の端部(図1において図示右側端部)には、スロットル開度を検出するスロットル開度センサを保持固定するセンサカバー12が装着されている。また、スロットルボディまたは円筒部1の外壁部には、内部にモータを収容するモータハウジング13が一体的に形成されている。
【0026】
また、円筒部1には、スロットルボア11を隔てて対向して配置された一対(2つ)の第1、第2シャフト軸受け部14、15が設けられている。これらの第1、第2シャフト軸受け部14、15の内部には、バタフライバルブの回転軸方向に延びる断面円形状のシャフト収容孔がそれぞれ設けられている。
第1シャフト軸受け部14のシャフト収容孔の内周(収容孔壁面)には、シャフト2の回転軸方向の一端部(第1突出部21)を軸支する第1ベアリング(滑り軸受け)16が嵌合保持されている。つまり第1シャフト軸受け部14は、第1ベアリング16を介して、シャフト2の回転軸方向の一端部(第1突出部21)を回転方向に摺動自在に支持している。また、第2シャフト軸受け部15のシャフト収容孔の内周(収容孔壁面)には、シャフト2の回転軸方向の他端部(第2突出部22)を軸支する第2ベアリング(滑り軸受け)17が嵌合保持されている。つまり第2シャフト軸受け部15は、第2ベアリング17を介して、シャフト2の回転軸方向の他端部(第2突出部22)を回転方向に摺動自在に支持している。
ここで、第1ベアリング16として滑り軸受けが使用され、また、第2ベアリング17として滑り軸受け(またはころがり軸受け、ボールベアリング)が使用されている。
【0027】
本実施例のバタフライバルブは、エンジンの全気筒の燃焼室および吸気ポートに連通するスロットルボア11に開閉自在に設置されている。このバタフライバルブは、スロットルボディの円筒部1の内部(スロットルボア11)に開閉自在に収容されて、スロットルボディの円筒部1に対して相対回転する回転型の吸気制御バルブ、つまりシャフト2の中心軸線周りを回転してスロットルボア11を開閉する円板状のスロットルバルブである。そして、バタフライバルブは、エンジン運転時にECUからの制御信号に基づいて、全閉位置から全開位置に至るまでのバルブ作動範囲で回転動作(回転角度を変更)することで、スロットルボア11の開口面積(吸入空気流通面積)を変更して吸入空気の流量を可変制御する。
【0028】
また、バタフライバルブは、エンジン停止時にモータへの電力の供給が停止されると、例えばリターンスプリング等の付勢力によって全閉位置(または全閉位置より僅かに開いた中間開度の状態(中間位置))に戻される。
そして、バタフライバルブは、スロットルボディの円筒部1に設けられるシャフト軸受け部14、15に回転自在に支持される金属製のシャフト2、およびこのシャフト2に支持される円板状のバルブ本体3を有している。
また、バタフライバルブは、全閉位置に設定されると、バルブ本体3の表裏両側面が、スロットルボディの円筒部1の流路方向(スロットルボア11の軸線方向)に垂直な垂線に対して開弁作動方向に所定の回転角度だけ若干傾くように配置される。
ここで、本実施例のバタフライバルブは、金属により成形される円柱状のシャフト2を、その回転軸方向の両端部を突出した状態でインサート成形した樹脂モールドバルブである。
なお、バタフライバルブ、特にシャフト2およびバルブ本体3の詳細は、後述する。
【0029】
ここで、バタフライバルブのシャフト2を開弁作動方向または閉弁作動方向に駆動するアクチュエータは、電力の供給を受けると駆動力を発生するモータ、およびこのモータの出力軸の回転運動をシャフト2に伝達するための動力伝達機構を含んで構成される電動式アクチュエータである。なお、動力伝達機構は、モータの回転速度を所定の減速比となるように減速すると共に、モータの駆動力(モータトルク)を増大させる歯車減速機構によって構成されている。この歯車減速機構は、モータの出力軸に固定されたピニオンギヤ(モータギヤ)、このモータギヤと噛み合って回転する中間減速ギヤ、およびこの中間減速ギヤと噛み合って回転する最終減速ギヤを有している。なお、モータの出力軸をシャフト2に直結しても良い。
【0030】
モータは、ECUによって電子制御されるモータ駆動回路を介して、自動車に搭載されたバッテリに電気的に接続されている。このモータは、スロットルボディに一体的に形成されたモータハウジング13に内蔵されている。
ここで、例えばロータのコイルに電力の供給を受けると、バタフライバルブのシャフト2を駆動する駆動力を発生するモータは、ECUによって通電制御(駆動)されるように構成されている。このECUには、制御処理や演算処理を行うCPU、制御プログラムまたは制御ロジックや各種データを保存する記憶装置(ROMやRAM等のメモリ)、入力回路(入力部)、出力回路(出力部)、電源回路、タイマー等の機能を含んで構成される周知の構造のマイクロコンピュータが設けられている。
【0031】
そして、ECUは、図示しないイグニッションスイッチがオン(IG・ON)されると、マイクロコンピュータのメモリ内に格納された制御プログラムまたは制御ロジックに基づいて、電子スロットル装置のバタフライバルブのシャフト2を駆動するモータのコイルを通電制御すると共に、点火装置(イグニッションコイル、スパークプラグ等)および燃料噴射装置(電動フューエルポンプ、インジェクタ等)を駆動するように構成されている。これにより、エンジンの運転中に、スロットル開度(吸入空気流量)、燃料噴射量等が各々制御指令値(制御目標値)となるように制御される。
また、ECUは、イグニッションスイッチがオフ(IG・OFF)されると、マイクロコンピュータのメモリ内に格納された制御プログラムまたは制御ロジックに基づく上記のスロットル開度制御、点火制御や燃料噴射制御等を含むエンジン制御が強制的に終了されるように構成されている。
【0032】
また、ECUには、クランク角度センサ、アクセル開度センサ、およびスロットル開度センサが接続されている。また、ECUには、冷却水温センサ、吸気温センサ、エアフローメータ、および吸気圧センサが接続されている。これらの各種センサからのセンサ信号は、A/D変換器によってA/D変換された後に、マイクロコンピュータに入力されるように構成されている。
これらのクランク角度センサ、アクセル開度センサ、スロットル開度センサ、冷却水温センサ、吸気温センサ、エアフローメータおよび吸気圧センサ等によって、エンジンの運転状態を検出する運転状態検出手段が構成される。また、スロットル開度センサは、スロットル開度を検出する非接触式の回転角度検出装置であって、最終減速ギヤの内周側に固着された分割型の永久磁石(マグネット)、このマグネットによって磁化される分割型のヨーク、およびセンサカバー12のセンサ搭載部に保持固定された非接触式の磁気検出素子等によって構成されている。なお、非接触式の磁気検出素子としては、ホール素子、ホールICまたは磁気抵抗素子等のいずれかを使用する。
ここで、ECUは、アクセル開度センサより出力されるアクセル開度信号とスロットル開度センサより出力されるスロットル開度信号との偏差がなくなるようにモータのコイルへの供給電力をフィードバック制御している。
【0033】
次に、本実施例のバタフライバルブ、特にシャフト2およびバルブ本体3の詳細を図1ないし図7に基づいて説明する。
バタフライバルブは、バルブ本体3の断面形状、つまり軸方向部4の軸線方向に対して直交する方向に垂直な断面が、軸方向部4から外周端に向かって徐々に肉厚が減少する菱形等の流線形状に形成されている。
シャフト2は、例えば真鍮、ステンレス鋼(または銅系金属を含有したアルミニウム合金またはマグネシウム合金)等の金属によって円柱形状(丸棒状)に一体的に形成されている。このシャフト2は、その回転軸方向に真っ直ぐに延びている。
そして、シャフト2は、バルブ本体3の回転軸方向の一端部(第1円筒部)18の円環状端面より外方に突出する第1突出部21、バルブ本体3の回転軸方向の他端部(第2円筒部)19の円環状端面より外方に突出する第2突出部22、および2つの第1、第2突出部21、22間に設けられて、バルブ本体3を一体的に結合するバルブ保持部を有している。2つの第1、第2突出部21、22のうちの一方の突出部(例えば第2突出部22)は、モータの出力軸に動力伝達機構を介して駆動連結されている。
【0034】
第1突出部21は、バタフライバルブのシャフト2の回転軸方向の一端側に設けられる第1シャフト軸受け部14のシャフト収容孔内に挿入されている。この第1突出部21の外周面の一部または全体は、第1ベアリング16の第1摺動孔の内周に対して回転自在に摺動する第1摺動面として機能する。
第2突出部22は、バタフライバルブのシャフト2の回転軸方向の他端側に設けられる第2シャフト軸受け部15のシャフト収容孔内に挿入されている。この第2突出部22の外周面の一部または全体は、第2ベアリング17の第2摺動孔の内周に対して回転自在に摺動する第2摺動面として機能する。
【0035】
バルブ本体3は、耐熱性に優れる熱可塑性樹脂等の合成樹脂(例えばポリフェニレンサルファイド:PPSまたはポリブチレンテレフタレート:PBTまたはポリアミド樹脂:PAまたはポリプロピレン:PPまたはポリエーテルイミド:PEI等)によって一体的に形成されている。
ここで、バルブ本体3は、スロットルボディの円筒部1の流路方向の中心軸線とシャフト2の中心軸線との交点を中心にして半径方向の外径側に放射状に延びる円板状部を有している。なお、スロットルボディの円筒部1の流路方向とは、電子スロットル装置を自動車に搭載した時の天地方向(自動車の上下方向、重力方向における上下方向)のことで、しかもスロットルボア11の軸線方向(図2において図示上下方向)のことである。
【0036】
また、バルブ本体3の円板状部は、その回転軸方向(直径方向)に延びる軸方向部(中間外径部)4を有している。この軸方向部4は、シャフト2のバルブ保持部を被覆するシャフト被覆部、つまりシャフト2のバルブ保持部をインサート成形する樹脂モールドを構成している。
バルブ本体3の軸方向部4の回転軸方向の両端には、軸方向部4の外径よりも大きい最大外径部(フランジ部)23、24が設けられている。軸方向部4と最大外径部23、24との間は、所定の傾斜角度の傾斜面(テーパ面)または円錐面となっている。
バルブ本体3の軸方向部4の回転軸方向の一端面、つまり最大外径部23の端面からは、軸方向部4および最大外径部23よりも小径の第1円筒部(最小外径部)18が突出している。また、バルブ本体3の軸方向部4の回転軸方向の他端面、つまり最大外径部24の端面からは、軸方向部4および最大外径部24よりも小径の第2円筒部(最小外径部)19が突出している。
【0037】
そして、バルブ本体3の円板状部は、軸方向部4の軸線方向に対して直交する方向に垂直な断面が流線形状に形成されている。また、バルブ本体3の円板状部は、軸方向部4を境にして、円板状部の板厚方向に段違いに配置された2つの半円板状部(上流側、下流側ディスク、以下バルブ本体3のバルブディスクと言う)5、6を有している。
なお、本実施例では、バタフライバルブの全閉時に、図1に示したように、バルブディスク5よりもバルブディスク6の方が重力方向における下方側に配置される。また、バタフライバルブは、図2に示されるバルブ本体3の面をバルブ本体3の表側面とすると、この反対側がバルブ本体3の裏側面となる。また、本実施例では、バタフライバルブの全開時に、図2に示したように、バルブディスク5よりもバルブディスク6の方が吸気流方向(流路方向)における下流側に配置される。
ここで、バルブ本体3のバルブディスク5、6の表裏両側面には、軸方向部4から外周端に向かって軸方向部4の軸線方向に対して直交する方向に下り傾斜した第1、第2テーパ面がそれぞれ形成されている。
そして、バルブ本体3のバルブディスク5の外周端は、バルブディスク5の外周に沿って緩く傾斜する外周端縁25が所定の幅(中央側の幅よりも軸受け側の幅が広い)で形成されている。また、バルブ本体3のバルブディスク6の外周端は、バルブディスク6の外周に沿って緩く傾斜する外周端縁26が所定の幅(外周端縁25よりも中央側の幅が狭く、外周端縁25よりも軸受け側の幅が狭く、中央側の幅よりも軸受け側の幅が広い)で形成されている。
【0038】
バルブ本体3のバルブディスク5、6の表側面に形成される第1テーパ面には、軸方向部4から外周端縁25、26に向かって軸方向部4の軸線方向に対して直交する方向(垂直方向)に延びる複数の第1スリット31が形成されている。
バルブ本体3のバルブディスク5、6の裏側面に形成される第2テーパ面には、軸方向部4から外周端縁25、26に向かって軸方向部4の軸線方向に対して直交する方向(垂直方向)に延びる複数の第2スリット32が形成されている。
そして、バルブ本体3の表側面に形成される第1テーパ面は、複数の第1スリット31により互いに区画されて、軸方向部4の軸線方向に沿って所定の間隔で設けられた複数の第1整流テーパ面(または第1突条リブまたは第1整流リブ)41等によって構成されている。また、バルブ本体3の裏側面に形成される第2テーパ面は、複数の第2スリット32により互いに区画されて、軸方向部4の軸線方向に沿って所定の間隔で設けられた複数の第2整流テーパ面(または第2突条リブまたは第2整流リブ)42等によって構成されている。
【0039】
複数の第1スリット31は、バルブ本体3のバルブディスク5、6の表側面上において、軸方向部4の軸線方向に沿って所定の間隔で設けられている。これらの第1スリット31は、バルブ本体3のバルブディスク5の表側面の中央部に設けられた第1溝51の中心軸線を中心にして左右対称に配置されており、また、バルブ本体3のバルブディスク6の表側面の中央部に配された最も長い第1整流テーパ面41を中心にして左右対称に配置されている。また、複数の第1スリット31は、軸方向部4から外周端縁25、26に向かってスリット幅が徐々に増加するように設けられている。そして、複数の第1スリット31は、所定の溝深さを有する溝底面の両側に、一方側(図6において図示右側)のスリット壁面(側面)および他方側(図6において図示左側)のスリット壁面(側面)が形成されている。
【0040】
そして、バルブ本体3のバルブディスク5に形成される複数の第1スリット31の溝底面は、軸方向部4側が急な傾斜角度の下り傾斜面(湾曲面、凸曲面)で、この急斜面から外周端縁25までが緩やかな傾斜角度の下り傾斜面で、外周端縁25に滑らかに繋がっている。また、バルブ本体3のバルブディスク6に形成される複数の第1スリット31の溝底面は、軸方向部4側が急な傾斜角度の下り傾斜面(湾曲面、凸曲面)で、この急斜面から外周端縁26までが緩やかな傾斜角度の下り傾斜面で、外周端縁26に滑らかに繋がっている。なお、バルブディスク6側の急斜面は、バルブディスク5側の急斜面よりも傾斜が緩やかで長い。つまり、軸方向部4は、バルブ本体3の表側面において軸方向部4の軸線方向に対して直交する垂直方向の幅が、バルブディスク5側の幅よりもバルブディスク6の幅の方が広い。
【0041】
複数の第2スリット32は、バルブ本体3のバルブディスク5、6の裏側面上において、軸方向部4の軸線方向に沿って所定の間隔で設けられている。これらの第2スリット32は、バルブ本体3のバルブディスク5の裏側面の中央部に配された最も長い第2整流テーパ面42を中心にして左右対称に配置されており、また、バルブ本体3のバルブディスク6の裏側面の中央部に設けられた第2溝52の中心軸線を中心にして左右対称に配置されている。また、複数の第2スリット32は、軸方向部4から外周端縁25、26に向かってスリット幅が徐々に増加するように設けられている。そして、複数の第2スリット32は、所定の溝深さを有する溝底面の両側に、一方側(図6において図示右側)のスリット壁面(側面)および他方側(図6において図示左側)のスリット壁面(側面)が形成されている。
【0042】
そして、バルブ本体3のバルブディスク5に形成される複数の第2スリット32の溝底面は、軸方向部4側が急な傾斜角度の下り傾斜面(湾曲面、凸曲面)で、この急斜面から外周端縁25までが緩やかな傾斜角度の下り傾斜面で、外周端縁25に滑らかに繋がっている。また、バルブ本体3のバルブディスク6に形成される複数の第2スリット32の溝底面は、軸方向部4側が急な傾斜角度の下り傾斜面(湾曲面、凸曲面)で、この急斜面から外周端縁26までが緩やかな傾斜角度の下り傾斜面で、外周端縁26に滑らかに繋がっている。なお、バルブディスク5側の急斜面は、バルブディスク6側の急斜面よりも傾斜が緩やかで長い。つまり、軸方向部4は、バルブ本体3の裏側面において軸方向部4の軸線方向に対して直交する垂直方向の幅が、バルブディスク6側の幅よりもバルブディスク5の幅の方が広い。
【0043】
複数の第1整流テーパ面41は、軸方向部4から外周端縁25、26に向かって所定の傾斜角度(テーパ角度)で下り傾斜した傾斜面で、外周端縁25、26に滑らかに繋がっている。これらの第1整流テーパ面41を、複数の第1スリット31の溝底面より板厚方向の一方側(表側面)に突出する第1突条リブまたは第1整流リブの頂面としても良い。 複数の第2整流テーパ面42は、軸方向部4から外周端縁25、26に向かって所定の傾斜角度(テーパ角度)で下り傾斜した傾斜面で、外周端縁25、26に滑らかに繋がっている。これらの第2整流テーパ面42を、複数の第2スリット32の溝底面より板厚方向の他方側(裏側面)に突出する第2突条リブまたは第2整流リブの頂面としても良い。
【0044】
そして、バルブ本体3のバルブディスク5の表側面の中央部には、バルブディスク5の中央を通り、軸方向部4の軸線方向に対して直交する方向へ真っ直ぐに延びる第1溝51が形成されている。また、バルブ本体3のバルブディスク6の裏側面の中央部には、バルブディスク6の中央を通り、軸方向部4の軸線方向に対して直交する方向へ真っ直ぐに延びる第2溝52が形成されている。
ここで、本実施例のバタフライバルブは、第1スリット31の位置を、第2スリット32の位置よりも軸方向部4の軸線方向の一方側(片側:図5および図6において図示右側)寄りにオフセット配置している。すなわち、第1スリット31のスリット幅方向の中心線は、第2スリット32のスリット幅方向の中心線に対して軸方向部4の軸線方向の片側(図5および図6において図示右側)寄りにオフセット配置されている。
【0045】
また、バタフライバルブは、図6に示したように、第1整流テーパ面41と第2整流テーパ面42との間の距離(板厚方向の寸法)をa、隣り合う第1スリット31のスリット幅方向の一方側のスリット壁面と第2スリット32のスリット幅方向の他方側のスリット壁面との間の距離(回転軸方向、軸方向部4の軸線方向、板厚方向に対して垂直方向)をbとした場合、a>bの関係を満足するように設定(設計)されている。すなわち、隣り合う第1スリット31のスリット幅方向の一方側のスリット壁面と第2スリット32のスリット幅方向の他方側のスリット壁面との間の距離(b)は、隣り合う第1整流テーパ面41と第2整流テーパ面42との間の距離をaとした場合、a>bの関係を満足するように設定(設計)されている。なお、a≦bの関係に設定されたものと比べて、合成樹脂製のバルブ本体3の軸方向部4の肉厚、つまりシャフト近傍の樹脂肉厚の減少の効果が大きいので、バルブ本体3の肉厚部(合成樹脂内部)におけるボイドの発生量をより低減することができる。
また、第1、第2スリット31、32のスリット幅(d)は、第1、第2整流テーパ面41、42の面幅をcとした場合、c>dの関係を満足するように設定(設計)されている。すなわち、複数の第1スリット31の各スリット幅(d)は、複数の第1整流テーパ面41の各テーパ面幅(c)よりも幅狭である。また、複数の第2スリット32の各スリット幅(d)は、複数の第2整流テーパ面42の各テーパ面幅(c)よりも幅狭である。なお、c≦dの関係に設定されたものと比べて、合成樹脂製のバルブ本体3の軸方向部4の肉厚、つまりシャフト近傍の樹脂肉厚の減少の効果が大きいので、バルブ本体3の肉厚部(合成樹脂内部)におけるボイドの発生量をより低減することができる。
【0046】
[実施例1の作用]
次に、本実施例の内燃機関の吸気装置(電子スロットル装置)の作用を図1ないし図7に基づいて簡単に説明する。
【0047】
ECUは、エンジンキースイッチがオン、つまりイグニッションスイッチがオン(IG・ON)されると、電子スロットル装置(バタフライバルブ等)のモータを通電制御すると共に、点火装置(イグニッションコイル、スパークプラグ等)および燃料噴射装置(電動フューエルポンプ、インジェクタ等)を駆動する。これにより、エンジンが運転される。
ここで、運転者がアクセルペダルを踏み込むと、アクセル開度センサより出力されたアクセル開度信号がECUに入力される。そして、ECUによってバタフライバルブが所定のスロットル開度(回転角度)となるようにモータへの電力の供給が成されて、モータの出力軸が回転する。これにより、モータの出力軸に駆動連結されたシャフト2が、リターンスプリングの付勢力に抗してアクセルペダルの踏み込み量(アクセル操作量)に対応した回転角度分だけ回転する。
【0048】
したがって、シャフト2に保持されたバタフライバルブが、全閉位置より全開位置側へ開く方向(開弁作動方向)に駆動される。
そして、エンジンの特定気筒が排気行程から、吸気バルブが開弁し、ピストンが下降する吸気行程に移行すると、ピストンの下降に従って当該気筒の燃焼室内の負圧(大気圧よりも低い圧力)が大きくなり、開弁している吸気ポートから混合気が吸い込まれる。このとき、吸気ダクトの途中、つまりスロットルボディのスロットルボア11が所定のバルブ角度(電子スロットル装置のスロットル開度)だけ開かれるので、エンジン回転速度がアクセルペダルの踏み込み量(アクセル操作量)に対応した速度に変更される。
【0049】
[実施例1の効果]
以上のように、本実施例の内燃機関の電子スロットル装置のスロットルバルブとして使用されるバタフライバルブは、スロットルボディの円筒部1に設けられる第1、第2シャフト軸受け部14、15に回転自在に支持される金属製のシャフト2、およびこのシャフト2に支持される合成樹脂製のバルブ本体3によって構成されている。このバタフライバルブは、合成樹脂製のバルブ本体3の軸方向部4の中心部に金属製のシャフト2をインサート成形(被覆)した樹脂モールドバルブである。
【0050】
そして、バタフライバルブは、バルブ本体3の軸方向部4の軸線方向に対して直交する方向(回転軸方向に対して垂直方向)に垂直な断面が、菱形等の流線形状に形成されている。すなわち、バルブ本体3の断面形状は、エンジンの各気筒毎の燃焼室に供給される吸入空気の流れに対する抵抗の少ない断面形状となっている。
これによって、スロットルボディの円筒部1内において、バタフライバルブを全開したときに、バルブ本体3の表裏両側面における吸入空気の流れがスロットルボア11に対して平行となり、バタフライバルブのバルブ本体3の軸方向部4によって吸入空気に乱れが生じることはない。この結果、バタフライバルブを全開したときの圧力損失を低減することができるので、バタフライバルブを全開したときの空気流量、つまり全開流量を増加させることができる。
【0051】
また、バルブ本体3のバルブディスク5、6の表裏両側面に、軸方向部4から外周端25、26に向かって軸方向部4の軸線方向に対して直交する方向に延びる複数の第1、第2スリット31、32を形成している。本実施例のバタフライバルブは、第1スリット31の位置を、第2スリット32の位置よりも軸方向部4の軸線方向の一方側(片側:図5および図6において図示右側)寄りにオフセット配置している。すなわち、第1スリット31のスリット幅方向の中心線は、第2スリット32のスリット幅方向の中心線に対して軸方向部4の軸線方向の片側(図5および図6において図示右側)寄りにオフセット配置されている。つまり、第1スリット31のスリット幅の中心は、バルブ本体3のバルブディスク5、6の表裏両側面で対向位置(シャフト2の軸対称)に形成されていない。
【0052】
これによって、バルブ本体101の表側面に形成されるテーパ面(スリット)106の中心位置とバルブ本体101の裏側面に形成されるテーパ面(スリット)106の中心位置とを対向配置させた場合(図7(a)参照)に比べて、合成樹脂製のバルブ本体3の内部、つまり樹脂内部の内接円直径が小さくなる(図7(b)参照)。具体的には、バルブ本体3、101の板厚を同一とし、バルブ本体3、101の表裏両側面のスリット溝底面間の距離を同一とした場合であっても、バルブ本体101の表裏両側面に形成されるスリット106の各エッジに接する樹脂内部の内接円直径がφ3.6であるのに対し、バルブ本体3のバルブディスク5、6の表裏両側面に形成される第1、第2スリット31、32の各エッジに接する樹脂内部の内接円直径はφ3.1となり、図7(a)に示した従来例1及び2と比べて合成樹脂製のバルブ本体3の内部、つまり樹脂内部の内接円直径が小さくなることが分かる。
【0053】
したがって、本実施例の内燃機関の電子スロットル装置のスロットルバルブとして使用されるバタフライバルブにおいては、合成樹脂製のバルブ本体3の軸方向部4の肉厚、つまりシャフト2近傍の樹脂肉厚が薄くなり、合成樹脂内部におけるボイドの発生量を低減することができる。この結果、バルブ本体3の断面形状として、エンジンの各気筒毎の燃焼室に供給する吸入空気の流れに対する抵抗の少ない流線形状を維持しながらも、合成樹脂製のバルブ本体3の軸方向部4の肉厚、つまりシャフト2近傍の樹脂肉厚を低減することにより、全開流量性能を損なうことなく、合成樹脂製のバルブ本体3の強度の確保および樹脂成形性と品質の向上を図ることができる。
【0054】
[変形例]
本実施例では、本発明のバルブを、内燃機関(エンジン)の燃焼室に供給される吸入空気量を制御するバタフライバルブに適用しているが、内燃機関(エンジン)の燃焼室において混合気の燃焼を促進させるための吸気渦流を発生させる吸気流制御バルブに適用しても良い。また、本発明のバルブを、内燃機関(エンジン)の吸気通路を開閉する吸気通路開閉装置の弁体に適用しても良い。
本実施例では、バタフライバルブのシャフト2を駆動するアクチュエータを、モータおよび動力伝達機構を備えた電動式アクチュエータによって構成しているが、バルブのシャフトを駆動するアクチュエータを、電磁式または電動式負圧制御弁を備えた負圧作動式アクチュエータによって構成しても良い。
【0055】
また、本発明の内燃機関の吸気装置を、アクセルペダルの踏み込み量をワイヤーを介して機械的にバタフライバルブのシャフト2に伝えてバタフライバルブを作動させるスロットル装置に適用しても良い。
また、エンジンとして、ディーゼルエンジンを用いても良い。また、エンジンとして、多気筒エンジンだけでなく、単気筒エンジンを用いても良い。
本実施例では、エアクリーナケースとスロットルボディとの間にエアクリーナホース(エアホース)を接続しているが、エアクリーナケースとスロットルボディとの間にインテークダクトを接続しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】内燃機関の電子スロットル装置を示した平面図である(実施例1)。
【図2】内燃機関の電子スロットル装置を示した断面図である(実施例1)。
【図3】合成樹脂製のバタフライバルブを示した斜視図である(実施例1)。
【図4】合成樹脂製のバタフライバルブを示した平面図である(実施例1)。
【図5】(a)は合成樹脂製のバタフライバルブを図4の下側から見た側面図で、(b)は図4のA−A断面図である(実施例1)。
【図6】合成樹脂製のバタフライバルブの主要部を示した断面図である(実施例1)。
【図7】(a)は合成樹脂製のバタフライバルブを示した断面図である(従来例1及び2)。(b)は合成樹脂製のバタフライバルブの主要部を示した断面図である(実施例1)。
【図8】内燃機関の吸気装置を示した断面図である(従来例1)。
【図9】(a)はバタフライバルブを図8の左側から見た側面図で、(b)は図8のB−B断面図で、(c)は図8のC−C断面図である(従来例1)。
【図10】内燃機関の吸気装置を示した断面図である(従来例2)。
【図11】(a)はバタフライバルブを図10の左側から見た側面図で、(b)は図10のD−D断面図で、(c)は図10のE−E断面図である(従来例2)。
【符号の説明】
【0057】
1 スロットルボディの円筒部(ダクト、スロットルボア壁)
2 バタフライバルブ(樹脂モールドバルブ)のシャフト
3 バタフライバルブ(樹脂モールドバルブ)のバルブ本体
4 バルブ本体の軸方向部(樹脂モールド)
5 バルブ本体のバルブディスク(半円板状部、プレートバルブ)
6 バルブ本体のバルブディスク(半円板状部、プレートバルブ)
11 スロットルボア(空気流路、吸気通路)
21 シャフトの第1突出部
22 シャフトの第2突出部
25 バルブ本体のバルブディスクの外周端縁
26 バルブ本体のバルブディスクの外周端縁
31 バルブ本体のバルブディスクの第1スリット
32 バルブ本体のバルブディスクの第2スリット
41 バルブ本体のバルブディスクの第1整流テーパ面
42 バルブ本体のバルブディスクの第2整流テーパ面
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の燃焼室に連通する空気流路を開閉する内燃機関の吸気装置に関するもので、特に内燃機関の燃焼室に供給する吸入空気を制御する内燃機関の吸気装置に係わる。
【背景技術】
【0002】
[従来の技術]
従来より、内燃機関の吸気装置として、内燃機関の燃焼室に供給する吸入空気の流量(吸入空気量)を調整するスロットル装置(例えば、特許文献1参照)が提案されている。そして、内燃機関のスロットル装置に用いられるスロットルバルブは、図8ないし図11に示したように、合成樹脂製のバルブ本体101の軸方向部に金属製のシャフト102をインサート成形した円板状のバタフライ型樹脂モールドバルブ(バタフライバルブ)が使用されている。
【0003】
ここで、図8および図9に示した合成樹脂製のバタフライバルブ(従来例1)は、合成樹脂製または金属製のスロットルボディ103のスロットルボア(空気流路)104内において回転軸を中心にして回転自在に収容されている。このバタフライバルブは、その回転軸方向に対して垂直方向の断面形状が、シャフト102から外周端へ向かって徐々に厚みを減少させるテーパ断面形状となっている。換言すれば、バタフライバルブは、そのバルブ本体101の表裏両側面が、シャフト102をインサート成形した軸方向部から外周端面へ向かって対称的に傾斜するテーパ断面形状をなしている。また、バルブ本体101の表裏両側面には、回転軸方向に対して垂直方向に延び、且つ各テーパ面に沿って傾斜する複数の整流リブ105が設けられている。
【0004】
そして、隣合う整流リブ105間には、所定のテーパ角度のテーパ面(スリット)106が形成されている。また、図8に示したように、バルブ本体101の外周端は、バルブ本体101の外周に沿って緩く傾斜する外周端縁107が一定幅で形成されている。この外周端縁107と各テーパ面106の終端との間は、傾斜のない平坦面となっている。また、バタフライバルブは、図8に示されるバルブ本体101の面をバルブ本体101の表側面とすると、この反対側がバルブ本体101の裏側面となり、バルブ本体101の表側面と同じ形状に形成される。
【0005】
また、図10および図11に示したバタフライバルブ(従来例2)は、回転軸方向に対して垂直方向の断面形状が、シャフト102から外周端へ向かって徐々に厚みを減少させるテーパ断面形状となっている。また、バタフライバルブは、バルブ本体101の表裏両側面において、バルブ中央(バルブ全開時のスロットルボア104の中心部)を通り回転軸方向に対して垂直方向へ延びる溝108が設けられている。溝108は、図10に示したように、2つの整流リブ105の間に形成されている。また、溝108の中央部では、シャフト102の外周面の一部がむき出しとなっている。但し、このむき出し部分のバルブ本体101の肉厚は、図11(b)に示したように、シャフト102の外径とほぼ同じとなっている。
【0006】
以上のように、特許文献1に記載の合成樹脂製のバタフライバルブ(従来例1及び2)においては、その特徴として、シャフト102の外周を被覆して回転軸方向に延びる軸方向部(バルブ本体101の軸方向部)の接線から、シャフト102の回転軸方向に対して垂直方向に向けて延びる各テーパ面106、各整流リブ105および溝108を、バルブ本体101の表裏両側面に形成することで、バタフライバルブを側面視したときに略菱形等の流線形状を構成している。このことから、スロットルボディ103のスロットルボア104内においてバタフライバルブを全開したときに、バルブ本体101の表裏両側面における吸入空気の流れがスロットルボア104に対して平行となり、バタフライバルブによって吸入空気に乱れが生じることがない。この結果、バタフライバルブを全開したときの圧力損失を低減することができ、バタフライバルブを全開したときの空気流量、すなわち、全開流量を増加させることができる。
【0007】
[従来の技術の不具合]
ところが、特許文献1に記載の合成樹脂製のバタフライバルブ(従来例1及び2)においては、バルブ本体101の軸方向部の肉厚、つまりシャフト近傍の樹脂肉厚が厚くなり、バルブ本体101の軸方向部の内部、つまりシャフト近傍の樹脂内部にボイドが発生し易くなる。
そのため、バタフライバルブを射出成形する樹脂成形型のゲートとキャビティとの容積差等によりキャビティ内に射出充填された溶融樹脂に対して保圧が十分にかからないので、バルブ本体101の成形収縮が安定せず、バルブ本体101の寸法精度が悪化する。また、合成樹脂製のバルブ本体101と金属製のシャフト102との線膨張係数の差による耐冷熱性の低下を招き、シャフト102に対するバルブ本体101の剥離、あるいはバルブ本体101とシャフト102との界面近傍が樹脂割れの基点になり易く、品質の低下を招くという問題がある。
【0008】
また、内燃機関のスロットル装置は、バタフライバルブよりも吸気下流側に生じる負圧(大気圧よりも低い吸気負圧)がバタフライバルブに加わったり、内燃機関の燃焼室内で正規の燃焼以外に燃える現象(バックファイア)を要因とする圧力変動がバタフライバルブに加わったりする可能性がある。このため、合成樹脂製のバルブ本体101の軸方向部に金属製のシャフト102をインサート成形したバタフライバルブの場合には、吸入負圧やバックファイア等の過大な圧力に耐え得る強度を確保できない可能性がある。
それらは、円板状のバタフライバルブ(バルブ本体101)の直径が大きくなる程、影響は顕著に現れると考えられる。
【特許文献1】特開2007−127191号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、全開流量性能を損なうことなく、強度の確保および品質の向上を図ることのできる内燃機関の吸気装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、空気流路を開閉して内燃機関の燃焼室に供給される空気を制御するバタフライバルブは、金属製のシャフトおよび樹脂製のバルブ本体によって構成されている。そして、バルブ本体の軸方向部の軸線方向に対して直交する方向(回転軸方向に対して垂直方向)に垂直な断面が流線形状に形成されている。
これによって、ダクト内においてバタフライバルブを全開したときに、バルブ本体の表裏両側面における空気の流れが空気流路に対して平行となり、バタフライバルブの軸方向部によって空気に乱れが生じることはない。この結果、バタフライバルブを全開したときの圧力損失を低減することができるので、バタフライバルブを全開したときの空気流量、つまり全開流量を増加させることができる。
【0011】
また、バルブ本体の表側面に、軸方向部から外周端に向かって軸方向部の軸線方向に対して直交する方向に延びる第1スリットを形成し、且つバルブ本体の裏側面に、軸方向部から外周端に向かって軸方向部の軸線方向に対して直交する方向に延びる第2スリットを形成している。そして、バルブ本体は、第1スリットの位置を第2スリットの位置に対してオフセットしている。
これによって、バルブ本体の表側面に形成されるスリット位置とバルブ本体の裏側面に形成されるスリット位置とを対向配置させた場合に比べて、樹脂製のバルブ本体の内部、つまり樹脂内部の内接円直径が小さくなり、樹脂製のバルブ本体の軸方向部の肉厚、つまりシャフト近傍の樹脂肉厚が薄くなり、厚肉によって発生するボイドを低減することができる。この結果、バルブ本体の断面形状として、内燃機関の燃焼室に供給する空気の流れに対する抵抗の少ない流線形状を維持しながらも、樹脂製のバルブ本体の軸方向部の肉厚、つまりシャフト近傍の樹脂肉厚を低減することにより、全開流量性能を損なうことなく、樹脂製のバルブ本体の強度の確保および品質の向上を図ることができる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、第1スリットのスリット幅方向の中心線を、第2スリットのスリット幅方向の中心線に対してオフセットしている。これによって、バルブ本体の断面形状として、内燃機関の燃焼室に供給する空気の流れに対する抵抗の少ない流線形状を維持しながらも、樹脂製のバルブ本体の軸方向部の肉厚、つまりシャフト近傍の樹脂肉厚を低減することにより、全開流量性能を損なうことなく、樹脂製のバルブ本体の強度の確保および成形性と品質の向上を図ることができる。
請求項3に記載の発明によれば、バタフライバルブは、バルブ本体の軸方向部にシャフトを被覆する樹脂モールドバルブである。
【0013】
請求項4に記載の発明によれば、バルブ本体の表側面に、軸方向部から外周端に向かって下り傾斜した第1テーパ面を形成し、且つバルブ本体の裏側面に、軸方向部から外周端に向かって下り傾斜した第2テーパ面を形成している。これによって、内燃機関の燃焼室に供給する空気の流れに対する抵抗の少ない断面形状を維持することにより、全開流量性能を損なうことはない。
請求項5に記載の発明によれば、バルブ本体の表側面の第1テーパ面に、軸方向部の軸線方向に沿って所定の間隔で設けられた複数の第1スリットを形成し、且つバルブ本体の裏側面の第2テーパ面に、軸方向部の軸線方向に沿って所定の間隔で設けられた複数の第2スリットを形成している。これによって、バルブ本体の断面形状として、内燃機関の燃焼室に供給する空気の流れに対する抵抗の少ない流線形状を維持しながらも、樹脂製のバルブ本体の軸方向部の肉厚、つまりシャフト近傍の樹脂肉厚を低減することにより、全開流量性能を損なうことなく、樹脂製のバルブ本体の強度の確保および成形性と品質の向上を図ることができる。
【0014】
請求項6に記載の発明によれば、バルブ本体は、複数の第1スリットにより互いに区画されて、軸方向部の軸線方向に沿って所定の間隔で設けられた複数の第1テーパ面を有している。また、バルブ本体は、複数の第2スリットにより互いに区画されて、軸方向部の軸線方向に沿って所定の間隔で設けられた複数の第2テーパ面を有している。
そして、複数の第1スリットのうちの少なくとも1つの第1スリットのスリット幅は、複数の第1テーパ面のうちの少なくとも1つの第1テーパ面の面幅よりも狭く、且つ複数の第2スリットのうちの少なくとも1つの第2スリットのスリット幅は、複数の第2テーパ面のうちの少なくとも1つの第2テーパ面の面幅よりも狭い。
これによって、第1スリットのスリット幅が第1テーパ面の面幅以上に広く、且つ第2スリットのスリット幅が第2テーパ面の面幅以上に広いタイプのものと比べて、樹脂製のバルブ本体の軸方向部の肉厚、つまりシャフト近傍の樹脂肉厚の減少の効果が大きいので、ボイドの発生量をより低減することができる。
【0015】
請求項7に記載の発明によれば、第1テーパ面と第2テーパ面との間の距離をa、第1スリットのスリット幅方向の一方側のスリット壁面と第2スリットのスリット幅方向の他方側のスリット壁面との間の距離をbとしたとき、a>bの関係を満足している。
これによって、a≦bの関係に設定されたものと比べて、樹脂製のバルブ本体の軸方向部の肉厚、つまりシャフト近傍の樹脂肉厚の減少の効果が大きいので、ボイドの発生量をより低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明を実施するための最良の形態は、全開流量性能を損なうことなく、強度の確保および品質の向上を図るという目的を、内燃機関の燃焼室に供給する空気の流れに対する抵抗の少ない形状を維持しながらも、シャフト近傍の樹脂肉厚を低減することで実現した。具体的には、バルブ本体の断面形状、つまり軸方向部の軸線方向に対して直交する方向に垂直な断面を流線形状に形成している。そして、バルブ本体の表側面に形成される第1スリットの位置を、バルブ本体の裏側面に形成される第2スリットの位置に対してオフセットさせている。
【実施例1】
【0017】
[実施例1の構成]
図1ないし図7は本発明の実施例1を示したもので、図1および図2は内燃機関の電子スロットル装置を示した図で、図3および図4は合成樹脂製のバタフライバルブを示した図である。
【0018】
本実施例の内燃機関(エンジン)には、エアクリーナ、電子スロットル装置等が搭載されている。また、エンジンは、例えば自動車のエンジンルームに搭載されている。ここで、エンジンは、エアクリーナ(内燃機関のエアクリーナ)で濾過された清浄な吸入空気とインジェクタより噴射された燃料との混合気を燃焼室内で燃焼させて得られる熱エネルギーによりエンジン出力(例えばエンジン出力軸トルク=エンジントルク)を得るガソリンエンジンである。
【0019】
また、エンジンは、エンジンの各気筒の燃焼室に吸入空気を導入するための吸気ダクト(インテークダクト、吸気管)と、エンジンの各気筒の燃焼室より排気ガスを排気浄化装置を経由して外部に排出するための排気ダクト(エキゾーストダクト、排気管)とを備えている。吸気ダクトの内部には、エアクリーナで濾過された清浄な外気(クリーンエア)を、エアクリーナホース(エアホース)を経由して、電子スロットル装置のスロットルボディに導入するための吸気通路が形成されている。また、吸気ダクトは、エアクリーナケース、エアクリーナホース、スロットルボディ、サージタンクおよびインテークマニホールド等を有している。
【0020】
エンジン本体は、シリンダヘッドおよびシリンダブロック等によって構成されている。シリンダヘッドの一方側に形成される吸気ポート(インテークポート)は、ポペット型の吸気バルブ(インテークバルブ)によって開閉され、また、シリンダヘッドの他方側に形成される排気ポート(エキゾーストポート)は、ポペット型の排気バルブ(エキゾーストバルブ)によって開閉される。さらに、シリンダヘッドには、先端部がエンジンの各気筒の燃焼室内に露出するようにスパークプラグが取り付けられている。そして、シリンダヘッドには、吸気ポート内に最適なタイミングで燃料を噴射するインジェクタ(電磁式燃料噴射弁)が取り付けられている。
シリンダブロックの内部に形成されるシリンダボア内には、連接棒を介してクランクシャフトに連結されたピストンがその摺動方向に摺動自在に支持されている。
【0021】
エアクリーナは、エンジンの吸気ダクトの最上流部に設置されて、外気中に含まれる不純物(塵や埃、砂等のダスト)を捕捉して取り除く濾過エレメント(フィルタエレメント)を収容している。
エアクリーナホースは、エアクリーナとスロットルボディとを接続するインテークパイプである。また、エアクリーナホースは、柔軟性を有するゴム系弾性体(または柔軟性を有する合成樹脂等の樹脂材料)によって形成されている。このエアクリーナホースは、スロットルボディの吸気流方向における上端部に気密的に結合されている。
【0022】
本実施例の電子スロットル装置は、エンジンの吸気ダクトの途中、特にエアクリーナホースの下流端に気密的に結合されたスロットルボディと、このスロットルボディのスロットルボア壁(以下円筒部と言う)1の内部(スロットルボア11)を開閉するスロットルバルブ(バタフライバルブ)と、このバタフライバルブを駆動するモータを含むアクチュエータ(バルブ駆動装置)と、エンジンの運転状態に応じてモータのコイルへの供給電力を制御すると共に、バタフライバルブのバルブ角度に相当するスロットル開度を、点火装置および燃料噴射装置等の各システムと関連して制御するエンジン制御ユニット(以下ECUと言う)とを備えている。
【0023】
そして、電子スロットル装置は、運転者のアクセル操作量に応じてモータを駆動して、スロットル開度を変更し、エンジンの各気筒の燃焼室内に供給する吸入空気の流量(吸入空気量、吸気量)を可変制御することで、エンジン回転速度またはエンジン出力軸トルクをコントロールする内燃機関の吸気装置である。なお、アクセル操作量とは、運転者のアクセルペダルの踏み込み量に相当する。
また、電子スロットル装置は、スロットルボディおよびバタフライバルブの他に、バタフライバルブを閉弁作動方向(バルブ全閉方向に戻す方向)に付勢するリターンスプリングを備えている。なお、本実施例では、リターンスプリングとしてコイルスプリングが使用されている。
【0024】
本実施例のスロットルボディは、内部に、断面円形状のスロットルボア11が形成された円筒状の円筒部(ダクト)1を有している。このスロットルボディは、樹脂材料または金属材料によって所定の形状に形成されている。そして、スロットルボディの円筒部1は、内部にバタフライバルブを全閉位置から全開位置に至るまで回転方向に回転自在に保持するハウジングであり、サージタンク(またはインテークマニホールド)にボルト等を用いて締め付け固定されている。
なお、本実施例では、エアクリーナで濾過された吸入空気が、スロットルボディの円筒部1の図示上端部で開口した入口部からスロットルボア11内に流入し、スロットルボディの円筒部1の図示下端部で開口した出口部に接続されるサージタンク、更にインテークマニホールドを経てエンジンの各気筒の吸気ポートおよび燃焼室内に吸入されるように構成されている。
【0025】
円筒部1は、内部にバタフライバルブを開閉自在に収容している。また、円筒部1は、スロットルボア(空気流路、吸気通路)11を有している。これにより、円筒部1は、エンジンの各気筒毎の燃焼室内に吸入空気を導入するための吸気導入ダクト(ハウジング)を構成する。そして、スロットルボア11は、円筒部1の入口側開口端から出口側開口端に向けて真っ直ぐに延びている。
また、円筒部1の回転軸方向の端部(図1において図示右側端部)には、スロットル開度を検出するスロットル開度センサを保持固定するセンサカバー12が装着されている。また、スロットルボディまたは円筒部1の外壁部には、内部にモータを収容するモータハウジング13が一体的に形成されている。
【0026】
また、円筒部1には、スロットルボア11を隔てて対向して配置された一対(2つ)の第1、第2シャフト軸受け部14、15が設けられている。これらの第1、第2シャフト軸受け部14、15の内部には、バタフライバルブの回転軸方向に延びる断面円形状のシャフト収容孔がそれぞれ設けられている。
第1シャフト軸受け部14のシャフト収容孔の内周(収容孔壁面)には、シャフト2の回転軸方向の一端部(第1突出部21)を軸支する第1ベアリング(滑り軸受け)16が嵌合保持されている。つまり第1シャフト軸受け部14は、第1ベアリング16を介して、シャフト2の回転軸方向の一端部(第1突出部21)を回転方向に摺動自在に支持している。また、第2シャフト軸受け部15のシャフト収容孔の内周(収容孔壁面)には、シャフト2の回転軸方向の他端部(第2突出部22)を軸支する第2ベアリング(滑り軸受け)17が嵌合保持されている。つまり第2シャフト軸受け部15は、第2ベアリング17を介して、シャフト2の回転軸方向の他端部(第2突出部22)を回転方向に摺動自在に支持している。
ここで、第1ベアリング16として滑り軸受けが使用され、また、第2ベアリング17として滑り軸受け(またはころがり軸受け、ボールベアリング)が使用されている。
【0027】
本実施例のバタフライバルブは、エンジンの全気筒の燃焼室および吸気ポートに連通するスロットルボア11に開閉自在に設置されている。このバタフライバルブは、スロットルボディの円筒部1の内部(スロットルボア11)に開閉自在に収容されて、スロットルボディの円筒部1に対して相対回転する回転型の吸気制御バルブ、つまりシャフト2の中心軸線周りを回転してスロットルボア11を開閉する円板状のスロットルバルブである。そして、バタフライバルブは、エンジン運転時にECUからの制御信号に基づいて、全閉位置から全開位置に至るまでのバルブ作動範囲で回転動作(回転角度を変更)することで、スロットルボア11の開口面積(吸入空気流通面積)を変更して吸入空気の流量を可変制御する。
【0028】
また、バタフライバルブは、エンジン停止時にモータへの電力の供給が停止されると、例えばリターンスプリング等の付勢力によって全閉位置(または全閉位置より僅かに開いた中間開度の状態(中間位置))に戻される。
そして、バタフライバルブは、スロットルボディの円筒部1に設けられるシャフト軸受け部14、15に回転自在に支持される金属製のシャフト2、およびこのシャフト2に支持される円板状のバルブ本体3を有している。
また、バタフライバルブは、全閉位置に設定されると、バルブ本体3の表裏両側面が、スロットルボディの円筒部1の流路方向(スロットルボア11の軸線方向)に垂直な垂線に対して開弁作動方向に所定の回転角度だけ若干傾くように配置される。
ここで、本実施例のバタフライバルブは、金属により成形される円柱状のシャフト2を、その回転軸方向の両端部を突出した状態でインサート成形した樹脂モールドバルブである。
なお、バタフライバルブ、特にシャフト2およびバルブ本体3の詳細は、後述する。
【0029】
ここで、バタフライバルブのシャフト2を開弁作動方向または閉弁作動方向に駆動するアクチュエータは、電力の供給を受けると駆動力を発生するモータ、およびこのモータの出力軸の回転運動をシャフト2に伝達するための動力伝達機構を含んで構成される電動式アクチュエータである。なお、動力伝達機構は、モータの回転速度を所定の減速比となるように減速すると共に、モータの駆動力(モータトルク)を増大させる歯車減速機構によって構成されている。この歯車減速機構は、モータの出力軸に固定されたピニオンギヤ(モータギヤ)、このモータギヤと噛み合って回転する中間減速ギヤ、およびこの中間減速ギヤと噛み合って回転する最終減速ギヤを有している。なお、モータの出力軸をシャフト2に直結しても良い。
【0030】
モータは、ECUによって電子制御されるモータ駆動回路を介して、自動車に搭載されたバッテリに電気的に接続されている。このモータは、スロットルボディに一体的に形成されたモータハウジング13に内蔵されている。
ここで、例えばロータのコイルに電力の供給を受けると、バタフライバルブのシャフト2を駆動する駆動力を発生するモータは、ECUによって通電制御(駆動)されるように構成されている。このECUには、制御処理や演算処理を行うCPU、制御プログラムまたは制御ロジックや各種データを保存する記憶装置(ROMやRAM等のメモリ)、入力回路(入力部)、出力回路(出力部)、電源回路、タイマー等の機能を含んで構成される周知の構造のマイクロコンピュータが設けられている。
【0031】
そして、ECUは、図示しないイグニッションスイッチがオン(IG・ON)されると、マイクロコンピュータのメモリ内に格納された制御プログラムまたは制御ロジックに基づいて、電子スロットル装置のバタフライバルブのシャフト2を駆動するモータのコイルを通電制御すると共に、点火装置(イグニッションコイル、スパークプラグ等)および燃料噴射装置(電動フューエルポンプ、インジェクタ等)を駆動するように構成されている。これにより、エンジンの運転中に、スロットル開度(吸入空気流量)、燃料噴射量等が各々制御指令値(制御目標値)となるように制御される。
また、ECUは、イグニッションスイッチがオフ(IG・OFF)されると、マイクロコンピュータのメモリ内に格納された制御プログラムまたは制御ロジックに基づく上記のスロットル開度制御、点火制御や燃料噴射制御等を含むエンジン制御が強制的に終了されるように構成されている。
【0032】
また、ECUには、クランク角度センサ、アクセル開度センサ、およびスロットル開度センサが接続されている。また、ECUには、冷却水温センサ、吸気温センサ、エアフローメータ、および吸気圧センサが接続されている。これらの各種センサからのセンサ信号は、A/D変換器によってA/D変換された後に、マイクロコンピュータに入力されるように構成されている。
これらのクランク角度センサ、アクセル開度センサ、スロットル開度センサ、冷却水温センサ、吸気温センサ、エアフローメータおよび吸気圧センサ等によって、エンジンの運転状態を検出する運転状態検出手段が構成される。また、スロットル開度センサは、スロットル開度を検出する非接触式の回転角度検出装置であって、最終減速ギヤの内周側に固着された分割型の永久磁石(マグネット)、このマグネットによって磁化される分割型のヨーク、およびセンサカバー12のセンサ搭載部に保持固定された非接触式の磁気検出素子等によって構成されている。なお、非接触式の磁気検出素子としては、ホール素子、ホールICまたは磁気抵抗素子等のいずれかを使用する。
ここで、ECUは、アクセル開度センサより出力されるアクセル開度信号とスロットル開度センサより出力されるスロットル開度信号との偏差がなくなるようにモータのコイルへの供給電力をフィードバック制御している。
【0033】
次に、本実施例のバタフライバルブ、特にシャフト2およびバルブ本体3の詳細を図1ないし図7に基づいて説明する。
バタフライバルブは、バルブ本体3の断面形状、つまり軸方向部4の軸線方向に対して直交する方向に垂直な断面が、軸方向部4から外周端に向かって徐々に肉厚が減少する菱形等の流線形状に形成されている。
シャフト2は、例えば真鍮、ステンレス鋼(または銅系金属を含有したアルミニウム合金またはマグネシウム合金)等の金属によって円柱形状(丸棒状)に一体的に形成されている。このシャフト2は、その回転軸方向に真っ直ぐに延びている。
そして、シャフト2は、バルブ本体3の回転軸方向の一端部(第1円筒部)18の円環状端面より外方に突出する第1突出部21、バルブ本体3の回転軸方向の他端部(第2円筒部)19の円環状端面より外方に突出する第2突出部22、および2つの第1、第2突出部21、22間に設けられて、バルブ本体3を一体的に結合するバルブ保持部を有している。2つの第1、第2突出部21、22のうちの一方の突出部(例えば第2突出部22)は、モータの出力軸に動力伝達機構を介して駆動連結されている。
【0034】
第1突出部21は、バタフライバルブのシャフト2の回転軸方向の一端側に設けられる第1シャフト軸受け部14のシャフト収容孔内に挿入されている。この第1突出部21の外周面の一部または全体は、第1ベアリング16の第1摺動孔の内周に対して回転自在に摺動する第1摺動面として機能する。
第2突出部22は、バタフライバルブのシャフト2の回転軸方向の他端側に設けられる第2シャフト軸受け部15のシャフト収容孔内に挿入されている。この第2突出部22の外周面の一部または全体は、第2ベアリング17の第2摺動孔の内周に対して回転自在に摺動する第2摺動面として機能する。
【0035】
バルブ本体3は、耐熱性に優れる熱可塑性樹脂等の合成樹脂(例えばポリフェニレンサルファイド:PPSまたはポリブチレンテレフタレート:PBTまたはポリアミド樹脂:PAまたはポリプロピレン:PPまたはポリエーテルイミド:PEI等)によって一体的に形成されている。
ここで、バルブ本体3は、スロットルボディの円筒部1の流路方向の中心軸線とシャフト2の中心軸線との交点を中心にして半径方向の外径側に放射状に延びる円板状部を有している。なお、スロットルボディの円筒部1の流路方向とは、電子スロットル装置を自動車に搭載した時の天地方向(自動車の上下方向、重力方向における上下方向)のことで、しかもスロットルボア11の軸線方向(図2において図示上下方向)のことである。
【0036】
また、バルブ本体3の円板状部は、その回転軸方向(直径方向)に延びる軸方向部(中間外径部)4を有している。この軸方向部4は、シャフト2のバルブ保持部を被覆するシャフト被覆部、つまりシャフト2のバルブ保持部をインサート成形する樹脂モールドを構成している。
バルブ本体3の軸方向部4の回転軸方向の両端には、軸方向部4の外径よりも大きい最大外径部(フランジ部)23、24が設けられている。軸方向部4と最大外径部23、24との間は、所定の傾斜角度の傾斜面(テーパ面)または円錐面となっている。
バルブ本体3の軸方向部4の回転軸方向の一端面、つまり最大外径部23の端面からは、軸方向部4および最大外径部23よりも小径の第1円筒部(最小外径部)18が突出している。また、バルブ本体3の軸方向部4の回転軸方向の他端面、つまり最大外径部24の端面からは、軸方向部4および最大外径部24よりも小径の第2円筒部(最小外径部)19が突出している。
【0037】
そして、バルブ本体3の円板状部は、軸方向部4の軸線方向に対して直交する方向に垂直な断面が流線形状に形成されている。また、バルブ本体3の円板状部は、軸方向部4を境にして、円板状部の板厚方向に段違いに配置された2つの半円板状部(上流側、下流側ディスク、以下バルブ本体3のバルブディスクと言う)5、6を有している。
なお、本実施例では、バタフライバルブの全閉時に、図1に示したように、バルブディスク5よりもバルブディスク6の方が重力方向における下方側に配置される。また、バタフライバルブは、図2に示されるバルブ本体3の面をバルブ本体3の表側面とすると、この反対側がバルブ本体3の裏側面となる。また、本実施例では、バタフライバルブの全開時に、図2に示したように、バルブディスク5よりもバルブディスク6の方が吸気流方向(流路方向)における下流側に配置される。
ここで、バルブ本体3のバルブディスク5、6の表裏両側面には、軸方向部4から外周端に向かって軸方向部4の軸線方向に対して直交する方向に下り傾斜した第1、第2テーパ面がそれぞれ形成されている。
そして、バルブ本体3のバルブディスク5の外周端は、バルブディスク5の外周に沿って緩く傾斜する外周端縁25が所定の幅(中央側の幅よりも軸受け側の幅が広い)で形成されている。また、バルブ本体3のバルブディスク6の外周端は、バルブディスク6の外周に沿って緩く傾斜する外周端縁26が所定の幅(外周端縁25よりも中央側の幅が狭く、外周端縁25よりも軸受け側の幅が狭く、中央側の幅よりも軸受け側の幅が広い)で形成されている。
【0038】
バルブ本体3のバルブディスク5、6の表側面に形成される第1テーパ面には、軸方向部4から外周端縁25、26に向かって軸方向部4の軸線方向に対して直交する方向(垂直方向)に延びる複数の第1スリット31が形成されている。
バルブ本体3のバルブディスク5、6の裏側面に形成される第2テーパ面には、軸方向部4から外周端縁25、26に向かって軸方向部4の軸線方向に対して直交する方向(垂直方向)に延びる複数の第2スリット32が形成されている。
そして、バルブ本体3の表側面に形成される第1テーパ面は、複数の第1スリット31により互いに区画されて、軸方向部4の軸線方向に沿って所定の間隔で設けられた複数の第1整流テーパ面(または第1突条リブまたは第1整流リブ)41等によって構成されている。また、バルブ本体3の裏側面に形成される第2テーパ面は、複数の第2スリット32により互いに区画されて、軸方向部4の軸線方向に沿って所定の間隔で設けられた複数の第2整流テーパ面(または第2突条リブまたは第2整流リブ)42等によって構成されている。
【0039】
複数の第1スリット31は、バルブ本体3のバルブディスク5、6の表側面上において、軸方向部4の軸線方向に沿って所定の間隔で設けられている。これらの第1スリット31は、バルブ本体3のバルブディスク5の表側面の中央部に設けられた第1溝51の中心軸線を中心にして左右対称に配置されており、また、バルブ本体3のバルブディスク6の表側面の中央部に配された最も長い第1整流テーパ面41を中心にして左右対称に配置されている。また、複数の第1スリット31は、軸方向部4から外周端縁25、26に向かってスリット幅が徐々に増加するように設けられている。そして、複数の第1スリット31は、所定の溝深さを有する溝底面の両側に、一方側(図6において図示右側)のスリット壁面(側面)および他方側(図6において図示左側)のスリット壁面(側面)が形成されている。
【0040】
そして、バルブ本体3のバルブディスク5に形成される複数の第1スリット31の溝底面は、軸方向部4側が急な傾斜角度の下り傾斜面(湾曲面、凸曲面)で、この急斜面から外周端縁25までが緩やかな傾斜角度の下り傾斜面で、外周端縁25に滑らかに繋がっている。また、バルブ本体3のバルブディスク6に形成される複数の第1スリット31の溝底面は、軸方向部4側が急な傾斜角度の下り傾斜面(湾曲面、凸曲面)で、この急斜面から外周端縁26までが緩やかな傾斜角度の下り傾斜面で、外周端縁26に滑らかに繋がっている。なお、バルブディスク6側の急斜面は、バルブディスク5側の急斜面よりも傾斜が緩やかで長い。つまり、軸方向部4は、バルブ本体3の表側面において軸方向部4の軸線方向に対して直交する垂直方向の幅が、バルブディスク5側の幅よりもバルブディスク6の幅の方が広い。
【0041】
複数の第2スリット32は、バルブ本体3のバルブディスク5、6の裏側面上において、軸方向部4の軸線方向に沿って所定の間隔で設けられている。これらの第2スリット32は、バルブ本体3のバルブディスク5の裏側面の中央部に配された最も長い第2整流テーパ面42を中心にして左右対称に配置されており、また、バルブ本体3のバルブディスク6の裏側面の中央部に設けられた第2溝52の中心軸線を中心にして左右対称に配置されている。また、複数の第2スリット32は、軸方向部4から外周端縁25、26に向かってスリット幅が徐々に増加するように設けられている。そして、複数の第2スリット32は、所定の溝深さを有する溝底面の両側に、一方側(図6において図示右側)のスリット壁面(側面)および他方側(図6において図示左側)のスリット壁面(側面)が形成されている。
【0042】
そして、バルブ本体3のバルブディスク5に形成される複数の第2スリット32の溝底面は、軸方向部4側が急な傾斜角度の下り傾斜面(湾曲面、凸曲面)で、この急斜面から外周端縁25までが緩やかな傾斜角度の下り傾斜面で、外周端縁25に滑らかに繋がっている。また、バルブ本体3のバルブディスク6に形成される複数の第2スリット32の溝底面は、軸方向部4側が急な傾斜角度の下り傾斜面(湾曲面、凸曲面)で、この急斜面から外周端縁26までが緩やかな傾斜角度の下り傾斜面で、外周端縁26に滑らかに繋がっている。なお、バルブディスク5側の急斜面は、バルブディスク6側の急斜面よりも傾斜が緩やかで長い。つまり、軸方向部4は、バルブ本体3の裏側面において軸方向部4の軸線方向に対して直交する垂直方向の幅が、バルブディスク6側の幅よりもバルブディスク5の幅の方が広い。
【0043】
複数の第1整流テーパ面41は、軸方向部4から外周端縁25、26に向かって所定の傾斜角度(テーパ角度)で下り傾斜した傾斜面で、外周端縁25、26に滑らかに繋がっている。これらの第1整流テーパ面41を、複数の第1スリット31の溝底面より板厚方向の一方側(表側面)に突出する第1突条リブまたは第1整流リブの頂面としても良い。 複数の第2整流テーパ面42は、軸方向部4から外周端縁25、26に向かって所定の傾斜角度(テーパ角度)で下り傾斜した傾斜面で、外周端縁25、26に滑らかに繋がっている。これらの第2整流テーパ面42を、複数の第2スリット32の溝底面より板厚方向の他方側(裏側面)に突出する第2突条リブまたは第2整流リブの頂面としても良い。
【0044】
そして、バルブ本体3のバルブディスク5の表側面の中央部には、バルブディスク5の中央を通り、軸方向部4の軸線方向に対して直交する方向へ真っ直ぐに延びる第1溝51が形成されている。また、バルブ本体3のバルブディスク6の裏側面の中央部には、バルブディスク6の中央を通り、軸方向部4の軸線方向に対して直交する方向へ真っ直ぐに延びる第2溝52が形成されている。
ここで、本実施例のバタフライバルブは、第1スリット31の位置を、第2スリット32の位置よりも軸方向部4の軸線方向の一方側(片側:図5および図6において図示右側)寄りにオフセット配置している。すなわち、第1スリット31のスリット幅方向の中心線は、第2スリット32のスリット幅方向の中心線に対して軸方向部4の軸線方向の片側(図5および図6において図示右側)寄りにオフセット配置されている。
【0045】
また、バタフライバルブは、図6に示したように、第1整流テーパ面41と第2整流テーパ面42との間の距離(板厚方向の寸法)をa、隣り合う第1スリット31のスリット幅方向の一方側のスリット壁面と第2スリット32のスリット幅方向の他方側のスリット壁面との間の距離(回転軸方向、軸方向部4の軸線方向、板厚方向に対して垂直方向)をbとした場合、a>bの関係を満足するように設定(設計)されている。すなわち、隣り合う第1スリット31のスリット幅方向の一方側のスリット壁面と第2スリット32のスリット幅方向の他方側のスリット壁面との間の距離(b)は、隣り合う第1整流テーパ面41と第2整流テーパ面42との間の距離をaとした場合、a>bの関係を満足するように設定(設計)されている。なお、a≦bの関係に設定されたものと比べて、合成樹脂製のバルブ本体3の軸方向部4の肉厚、つまりシャフト近傍の樹脂肉厚の減少の効果が大きいので、バルブ本体3の肉厚部(合成樹脂内部)におけるボイドの発生量をより低減することができる。
また、第1、第2スリット31、32のスリット幅(d)は、第1、第2整流テーパ面41、42の面幅をcとした場合、c>dの関係を満足するように設定(設計)されている。すなわち、複数の第1スリット31の各スリット幅(d)は、複数の第1整流テーパ面41の各テーパ面幅(c)よりも幅狭である。また、複数の第2スリット32の各スリット幅(d)は、複数の第2整流テーパ面42の各テーパ面幅(c)よりも幅狭である。なお、c≦dの関係に設定されたものと比べて、合成樹脂製のバルブ本体3の軸方向部4の肉厚、つまりシャフト近傍の樹脂肉厚の減少の効果が大きいので、バルブ本体3の肉厚部(合成樹脂内部)におけるボイドの発生量をより低減することができる。
【0046】
[実施例1の作用]
次に、本実施例の内燃機関の吸気装置(電子スロットル装置)の作用を図1ないし図7に基づいて簡単に説明する。
【0047】
ECUは、エンジンキースイッチがオン、つまりイグニッションスイッチがオン(IG・ON)されると、電子スロットル装置(バタフライバルブ等)のモータを通電制御すると共に、点火装置(イグニッションコイル、スパークプラグ等)および燃料噴射装置(電動フューエルポンプ、インジェクタ等)を駆動する。これにより、エンジンが運転される。
ここで、運転者がアクセルペダルを踏み込むと、アクセル開度センサより出力されたアクセル開度信号がECUに入力される。そして、ECUによってバタフライバルブが所定のスロットル開度(回転角度)となるようにモータへの電力の供給が成されて、モータの出力軸が回転する。これにより、モータの出力軸に駆動連結されたシャフト2が、リターンスプリングの付勢力に抗してアクセルペダルの踏み込み量(アクセル操作量)に対応した回転角度分だけ回転する。
【0048】
したがって、シャフト2に保持されたバタフライバルブが、全閉位置より全開位置側へ開く方向(開弁作動方向)に駆動される。
そして、エンジンの特定気筒が排気行程から、吸気バルブが開弁し、ピストンが下降する吸気行程に移行すると、ピストンの下降に従って当該気筒の燃焼室内の負圧(大気圧よりも低い圧力)が大きくなり、開弁している吸気ポートから混合気が吸い込まれる。このとき、吸気ダクトの途中、つまりスロットルボディのスロットルボア11が所定のバルブ角度(電子スロットル装置のスロットル開度)だけ開かれるので、エンジン回転速度がアクセルペダルの踏み込み量(アクセル操作量)に対応した速度に変更される。
【0049】
[実施例1の効果]
以上のように、本実施例の内燃機関の電子スロットル装置のスロットルバルブとして使用されるバタフライバルブは、スロットルボディの円筒部1に設けられる第1、第2シャフト軸受け部14、15に回転自在に支持される金属製のシャフト2、およびこのシャフト2に支持される合成樹脂製のバルブ本体3によって構成されている。このバタフライバルブは、合成樹脂製のバルブ本体3の軸方向部4の中心部に金属製のシャフト2をインサート成形(被覆)した樹脂モールドバルブである。
【0050】
そして、バタフライバルブは、バルブ本体3の軸方向部4の軸線方向に対して直交する方向(回転軸方向に対して垂直方向)に垂直な断面が、菱形等の流線形状に形成されている。すなわち、バルブ本体3の断面形状は、エンジンの各気筒毎の燃焼室に供給される吸入空気の流れに対する抵抗の少ない断面形状となっている。
これによって、スロットルボディの円筒部1内において、バタフライバルブを全開したときに、バルブ本体3の表裏両側面における吸入空気の流れがスロットルボア11に対して平行となり、バタフライバルブのバルブ本体3の軸方向部4によって吸入空気に乱れが生じることはない。この結果、バタフライバルブを全開したときの圧力損失を低減することができるので、バタフライバルブを全開したときの空気流量、つまり全開流量を増加させることができる。
【0051】
また、バルブ本体3のバルブディスク5、6の表裏両側面に、軸方向部4から外周端25、26に向かって軸方向部4の軸線方向に対して直交する方向に延びる複数の第1、第2スリット31、32を形成している。本実施例のバタフライバルブは、第1スリット31の位置を、第2スリット32の位置よりも軸方向部4の軸線方向の一方側(片側:図5および図6において図示右側)寄りにオフセット配置している。すなわち、第1スリット31のスリット幅方向の中心線は、第2スリット32のスリット幅方向の中心線に対して軸方向部4の軸線方向の片側(図5および図6において図示右側)寄りにオフセット配置されている。つまり、第1スリット31のスリット幅の中心は、バルブ本体3のバルブディスク5、6の表裏両側面で対向位置(シャフト2の軸対称)に形成されていない。
【0052】
これによって、バルブ本体101の表側面に形成されるテーパ面(スリット)106の中心位置とバルブ本体101の裏側面に形成されるテーパ面(スリット)106の中心位置とを対向配置させた場合(図7(a)参照)に比べて、合成樹脂製のバルブ本体3の内部、つまり樹脂内部の内接円直径が小さくなる(図7(b)参照)。具体的には、バルブ本体3、101の板厚を同一とし、バルブ本体3、101の表裏両側面のスリット溝底面間の距離を同一とした場合であっても、バルブ本体101の表裏両側面に形成されるスリット106の各エッジに接する樹脂内部の内接円直径がφ3.6であるのに対し、バルブ本体3のバルブディスク5、6の表裏両側面に形成される第1、第2スリット31、32の各エッジに接する樹脂内部の内接円直径はφ3.1となり、図7(a)に示した従来例1及び2と比べて合成樹脂製のバルブ本体3の内部、つまり樹脂内部の内接円直径が小さくなることが分かる。
【0053】
したがって、本実施例の内燃機関の電子スロットル装置のスロットルバルブとして使用されるバタフライバルブにおいては、合成樹脂製のバルブ本体3の軸方向部4の肉厚、つまりシャフト2近傍の樹脂肉厚が薄くなり、合成樹脂内部におけるボイドの発生量を低減することができる。この結果、バルブ本体3の断面形状として、エンジンの各気筒毎の燃焼室に供給する吸入空気の流れに対する抵抗の少ない流線形状を維持しながらも、合成樹脂製のバルブ本体3の軸方向部4の肉厚、つまりシャフト2近傍の樹脂肉厚を低減することにより、全開流量性能を損なうことなく、合成樹脂製のバルブ本体3の強度の確保および樹脂成形性と品質の向上を図ることができる。
【0054】
[変形例]
本実施例では、本発明のバルブを、内燃機関(エンジン)の燃焼室に供給される吸入空気量を制御するバタフライバルブに適用しているが、内燃機関(エンジン)の燃焼室において混合気の燃焼を促進させるための吸気渦流を発生させる吸気流制御バルブに適用しても良い。また、本発明のバルブを、内燃機関(エンジン)の吸気通路を開閉する吸気通路開閉装置の弁体に適用しても良い。
本実施例では、バタフライバルブのシャフト2を駆動するアクチュエータを、モータおよび動力伝達機構を備えた電動式アクチュエータによって構成しているが、バルブのシャフトを駆動するアクチュエータを、電磁式または電動式負圧制御弁を備えた負圧作動式アクチュエータによって構成しても良い。
【0055】
また、本発明の内燃機関の吸気装置を、アクセルペダルの踏み込み量をワイヤーを介して機械的にバタフライバルブのシャフト2に伝えてバタフライバルブを作動させるスロットル装置に適用しても良い。
また、エンジンとして、ディーゼルエンジンを用いても良い。また、エンジンとして、多気筒エンジンだけでなく、単気筒エンジンを用いても良い。
本実施例では、エアクリーナケースとスロットルボディとの間にエアクリーナホース(エアホース)を接続しているが、エアクリーナケースとスロットルボディとの間にインテークダクトを接続しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】内燃機関の電子スロットル装置を示した平面図である(実施例1)。
【図2】内燃機関の電子スロットル装置を示した断面図である(実施例1)。
【図3】合成樹脂製のバタフライバルブを示した斜視図である(実施例1)。
【図4】合成樹脂製のバタフライバルブを示した平面図である(実施例1)。
【図5】(a)は合成樹脂製のバタフライバルブを図4の下側から見た側面図で、(b)は図4のA−A断面図である(実施例1)。
【図6】合成樹脂製のバタフライバルブの主要部を示した断面図である(実施例1)。
【図7】(a)は合成樹脂製のバタフライバルブを示した断面図である(従来例1及び2)。(b)は合成樹脂製のバタフライバルブの主要部を示した断面図である(実施例1)。
【図8】内燃機関の吸気装置を示した断面図である(従来例1)。
【図9】(a)はバタフライバルブを図8の左側から見た側面図で、(b)は図8のB−B断面図で、(c)は図8のC−C断面図である(従来例1)。
【図10】内燃機関の吸気装置を示した断面図である(従来例2)。
【図11】(a)はバタフライバルブを図10の左側から見た側面図で、(b)は図10のD−D断面図で、(c)は図10のE−E断面図である(従来例2)。
【符号の説明】
【0057】
1 スロットルボディの円筒部(ダクト、スロットルボア壁)
2 バタフライバルブ(樹脂モールドバルブ)のシャフト
3 バタフライバルブ(樹脂モールドバルブ)のバルブ本体
4 バルブ本体の軸方向部(樹脂モールド)
5 バルブ本体のバルブディスク(半円板状部、プレートバルブ)
6 バルブ本体のバルブディスク(半円板状部、プレートバルブ)
11 スロットルボア(空気流路、吸気通路)
21 シャフトの第1突出部
22 シャフトの第2突出部
25 バルブ本体のバルブディスクの外周端縁
26 バルブ本体のバルブディスクの外周端縁
31 バルブ本体のバルブディスクの第1スリット
32 バルブ本体のバルブディスクの第2スリット
41 バルブ本体のバルブディスクの第1整流テーパ面
42 バルブ本体のバルブディスクの第2整流テーパ面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)内燃機関の燃焼室に連通する空気流路を形成するダクトと、
(b)このダクトの内部に収容されて、前記空気流路を開閉するバタフライバルブと
を備えた内燃機関の吸気装置において、
前記バタフライバルブは、前記ダクトに回転自在に支持される金属製のシャフト、およびこのシャフトに支持される樹脂製のバルブ本体を有し、
前記バルブ本体は、その回転軸方向に延びる軸方向部を有し、この軸方向部の軸線方向に対して直交する方向に垂直な断面が流線形状に形成されており、
前記バルブ本体の表側面には、前記軸方向部から外周端に向かって前記軸方向部の軸線方向に対して直交する方向に延びる第1スリットが形成されており、
前記バルブ本体の裏側面には、前記軸方向部から外周端に向かって前記軸方向部の軸線方向に対して直交する方向に延びる第2スリットが形成されており、
前記第1スリットの位置は、前記第2スリットの位置に対してオフセットされていることを特徴とする内燃機関の吸気装置。
【請求項2】
請求項1に記載の内燃機関の吸気装置において、
前記第1スリットのスリット幅方向の中心線は、前記第2スリットのスリット幅方向の中心線に対してオフセットされていることを特徴とする内燃機関の吸気装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の内燃機関の吸気装置において、
前記バタフライバルブは、前記軸方向部に前記シャフトを被覆する樹脂モールドバルブであることを特徴とする内燃機関の吸気装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1つに記載の内燃機関の吸気装置において、 前記バルブ本体の表側面には、前記軸方向部から外周端に向かって下り傾斜した第1テーパ面が形成されており、
前記バルブ本体の裏側面には、前記軸方向部から外周端に向かって下り傾斜した第2テーパ面が形成されていることを特徴とする内燃機関の吸気装置。
【請求項5】
請求項4に記載の内燃機関の吸気装置において、
前記第1スリットは、前記軸方向部の軸線方向に沿って所定の間隔で設けられた複数の第1スリットよりなり、
前記第2スリットは、前記軸方向部の軸線方向に沿って所定の間隔で設けられた複数の第2スリットよりなり、
前記第1テーパ面には、前記複数の第1スリットが形成されており、
前記第2テーパ面には、前記複数の第2スリットが形成されていることを特徴とする内燃機関の吸気装置。
【請求項6】
請求項5に記載の内燃機関の吸気装置において、
前記第1テーパ面は、前記複数の第1スリットにより互いに区画されて、前記軸方向部の軸線方向に沿って所定の間隔で設けられた複数の第1テーパ面よりなり、
前記第2テーパ面は、前記複数の第2スリットにより互いに区画されて、前記軸方向部の軸線方向に沿って所定の間隔で設けられた複数の第2テーパ面よりなり、
前記複数の第1スリットのうちの少なくとも1つの第1スリットのスリット幅は、前記複数の第1テーパ面のうちの少なくとも1つの第1テーパ面の面幅よりも狭く、
前記複数の第2スリットのうちの少なくとも1つの第2スリットのスリット幅は、前記複数の第2テーパ面のうちの少なくとも1つの第2テーパ面の面幅よりも狭いことを特徴とする内燃機関の吸気装置。
【請求項7】
請求項4ないし請求項6のうちのいずれか1つに記載の内燃機関の吸気装置において、 前記第1テーパ面と前記第2テーパ面との間の距離をa、
前記第1スリットのスリット幅方向の一方側のスリット壁面と前記第2スリットのスリット幅方向の他方側のスリット壁面との間の距離をbとしたとき、
a>b
の関係を満足していることを特徴とする内燃機関の吸気装置。
【請求項1】
(a)内燃機関の燃焼室に連通する空気流路を形成するダクトと、
(b)このダクトの内部に収容されて、前記空気流路を開閉するバタフライバルブと
を備えた内燃機関の吸気装置において、
前記バタフライバルブは、前記ダクトに回転自在に支持される金属製のシャフト、およびこのシャフトに支持される樹脂製のバルブ本体を有し、
前記バルブ本体は、その回転軸方向に延びる軸方向部を有し、この軸方向部の軸線方向に対して直交する方向に垂直な断面が流線形状に形成されており、
前記バルブ本体の表側面には、前記軸方向部から外周端に向かって前記軸方向部の軸線方向に対して直交する方向に延びる第1スリットが形成されており、
前記バルブ本体の裏側面には、前記軸方向部から外周端に向かって前記軸方向部の軸線方向に対して直交する方向に延びる第2スリットが形成されており、
前記第1スリットの位置は、前記第2スリットの位置に対してオフセットされていることを特徴とする内燃機関の吸気装置。
【請求項2】
請求項1に記載の内燃機関の吸気装置において、
前記第1スリットのスリット幅方向の中心線は、前記第2スリットのスリット幅方向の中心線に対してオフセットされていることを特徴とする内燃機関の吸気装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の内燃機関の吸気装置において、
前記バタフライバルブは、前記軸方向部に前記シャフトを被覆する樹脂モールドバルブであることを特徴とする内燃機関の吸気装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1つに記載の内燃機関の吸気装置において、 前記バルブ本体の表側面には、前記軸方向部から外周端に向かって下り傾斜した第1テーパ面が形成されており、
前記バルブ本体の裏側面には、前記軸方向部から外周端に向かって下り傾斜した第2テーパ面が形成されていることを特徴とする内燃機関の吸気装置。
【請求項5】
請求項4に記載の内燃機関の吸気装置において、
前記第1スリットは、前記軸方向部の軸線方向に沿って所定の間隔で設けられた複数の第1スリットよりなり、
前記第2スリットは、前記軸方向部の軸線方向に沿って所定の間隔で設けられた複数の第2スリットよりなり、
前記第1テーパ面には、前記複数の第1スリットが形成されており、
前記第2テーパ面には、前記複数の第2スリットが形成されていることを特徴とする内燃機関の吸気装置。
【請求項6】
請求項5に記載の内燃機関の吸気装置において、
前記第1テーパ面は、前記複数の第1スリットにより互いに区画されて、前記軸方向部の軸線方向に沿って所定の間隔で設けられた複数の第1テーパ面よりなり、
前記第2テーパ面は、前記複数の第2スリットにより互いに区画されて、前記軸方向部の軸線方向に沿って所定の間隔で設けられた複数の第2テーパ面よりなり、
前記複数の第1スリットのうちの少なくとも1つの第1スリットのスリット幅は、前記複数の第1テーパ面のうちの少なくとも1つの第1テーパ面の面幅よりも狭く、
前記複数の第2スリットのうちの少なくとも1つの第2スリットのスリット幅は、前記複数の第2テーパ面のうちの少なくとも1つの第2テーパ面の面幅よりも狭いことを特徴とする内燃機関の吸気装置。
【請求項7】
請求項4ないし請求項6のうちのいずれか1つに記載の内燃機関の吸気装置において、 前記第1テーパ面と前記第2テーパ面との間の距離をa、
前記第1スリットのスリット幅方向の一方側のスリット壁面と前記第2スリットのスリット幅方向の他方側のスリット壁面との間の距離をbとしたとき、
a>b
の関係を満足していることを特徴とする内燃機関の吸気装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−90748(P2010−90748A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−259433(P2008−259433)
【出願日】平成20年10月6日(2008.10.6)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000116574)愛三工業株式会社 (1,018)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月6日(2008.10.6)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000116574)愛三工業株式会社 (1,018)
【Fターム(参考)】
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