説明

内燃機関の排気管

【課題】排気浄化触媒の浄化性能の低下を抑制でき、排気ガスセンサのセンシング性能の向上を図ることができる内燃機関の排気管を提供する。
【解決手段】排気管41は、エンジン10から排出された排気ガスを浄化する排気浄化装置42の上流側に配設され、排気ガスの状態を検出するO2センサ43が取り付けられている。排気管41には、流路断面積がその上流側および下流側よりも小さい絞り部41aが設けられている。O2センサ43は、絞り部41aの流路断面積が最小の断面積最小部41bと、排気浄化装置42側の下流端41eとの間に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の機関本体から排出された排気ガスを浄化する排気浄化触媒の上流側に配設され、排気ガスの状態を検出する排気ガスセンサが取り付けられた排気管に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の機関本体から排出された排気ガスは、炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)等の有害成分を含有している。このため、多くの内燃機関では、機関本体から排出された排気ガスを排気浄化触媒(三元触媒、酸化触媒、NOx吸蔵触媒等)に流入させ、排気浄化触媒においてこれら有害成分を浄化した後、排気ガスを大気中に放出するようにしている。
【0003】
排気浄化触媒には、排気管を介して機関本体から排出された排気ガスが導入されるようになっている。内燃機関の排気管として、O2センサや、空燃比センサなどのような排気ガスセンサが取り付けられたものが知られている(例えば、特許文献1〜4参照)。また、内燃機関の排気管に関連する先行技術文献として、例えば、特許文献5〜7などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−314275号公報
【特許文献2】特開2005−240602号公報
【特許文献3】特開平8−121155号公報
【特許文献4】特開平7−83049号公報
【特許文献5】特開2007−138811号公報
【特許文献6】特開2002−213233号公報
【特許文献7】特開2003−49640号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、排気ガスが排気浄化触媒の上流側端部の一部分に集中して当たると、その部分に付着物が堆積して、排気浄化触媒の目詰まりが発生し、排気浄化触媒の浄化性能が損なわれる可能性がある。例えば、使用燃料に、マンガン系添加物(MMT:Methylcyclopentadienyl Manganese Tricarbonyl)等のようなアンチノック剤を添加しているような場合、マンガン酸化物等の付着物が排気浄化触媒に堆積しやすくなり、排気浄化触媒の目詰まりが発生しやすくなることが懸念される。
【0006】
また、排気管の途中に屈曲部(コーナー部)が設けられている場合、排気管を流れる排気ガスの流速分布の偏りが大きくなる可能性があり、この場合にも、上述した目詰まりが発生しやすくなる。
【0007】
また、排気管を流れる排気ガスの流速分布の偏りが大きければ、排気ガスセンサが取り付けられた排気管の場合、排気ガスセンサのセンシング性能が排気ガスセンサの取付位置に大きく影響されるという問題もある。
【0008】
本発明は、そのような問題点を鑑みてなされたものであり、排気浄化触媒の浄化性能の低下を抑制でき、排気ガスセンサのセンシング性能の向上を図ることができるような内燃機関の排気管を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述の課題を解決するための手段を以下のように構成している。すなわち、本発明は、内燃機関の機関本体から排出された排気ガスを浄化する排気浄化触媒の上流側に配設され、排気ガスの状態を検出する排気ガスセンサが取り付けられた排気管であって、流路断面積がその上流側および下流側よりも小さい絞り部が設けられ、上記排気ガスセンサは、上記絞り部の流路断面積が最小の断面積最小部と、上記排気浄化触媒側の下流端との間に設けられていることを特徴としている。
【0010】
上記構成によれば、機関本体から排気管に流入した排気ガスは、絞り部で集められ、この絞り部を通過することによって拡散される。この拡散作用によって、排気管の絞り部の下流側では、排気ガスの流速分布をできるだけ均一なものとすることができる。そして、排気浄化触媒に導入される排気ガスの流速分布の偏りを低減することができる。つまり、排気ガスが排気浄化触媒の上流側端部の一部分に集中して当たるのではなく、全体にわたって略均一に当たるようにすることができる。これにより、排気浄化触媒への付着物の堆積を抑制することができ、排気浄化触媒の目詰まりを抑制することができる。その結果、排気浄化触媒の浄化性能の低下を抑制することができる。
【0011】
また、絞り部による排気ガスの拡散作用によって、排気ガスセンサへの排気ガスのガス当たりを良好に保つことができる。これにより、排気ガスセンサのセンシング性能の向上を図ることができる。しかも、排気ガスが排気管の絞り部を通過することにともなう消音作用も得ることができる。
【0012】
本発明において、上記排気ガスセンサの取付部は、下流側に向かうにつれて流路断面積が大きくなる断面積拡大部に設けられていることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、排気管の断面積最小部よりも上流側に排気ガスセンサが設けられている場合に比べ、絞り部の断面積最小部により排気ガスセンサを排気管の上流端の開口から隠しやすくなる。言い換えれば、排気管の上流端の開口から排気管の内部を見たとき、絞り部の断面積最小部により遮られることで、排気ガスセンサが直接的には見えにくくなる。これにより、冷間始動時、排気ガスセンサの被水の可能性を低減することができ、排気ガスセンサのセンシング性能の低下を抑制することができる。
【0014】
また、本発明において、上記機関本体側の上流端における中心と、上記排気浄化触媒側の下流端における中心とを通る直線が、機関本体から流出する排気ガスの流れ方向に平行な方向から見ると、鉛直方向に対し傾いていることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、排気管を傾けない場合に比べ、排気管の上流端の開口から排気管の内部を見たとき、絞り部の断面積最小部により遮られることで、排気ガスセンサが直接的には見えにくくなる。これにより、冷間始動時、排気ガスセンサの被水の可能性を低減することができ、排気ガスセンサのセンシング性能の低下を抑制することができる。
【0016】
本発明において、上記排気ガスセンサの取付部は、鉛直方向に対する傾きが上記直線の鉛直方向に対する傾きよりも大きい部分に設けられていることが好ましい。
【0017】
この構成によれば、排気管の上流端の開口から排気管の内部を見たとき、排気ガスセンサの略全体を隠すことが可能になる。これにより、排気ガスセンサの被水の可能性をほとんどなくすことができ、排気ガスセンサのセンシング性能の低下を抑制できる。
【0018】
本発明において、上記断面積最小部は、排気ガスの流れ方向を変化させる屈曲部に設けられていることが好ましい。この場合、上述した絞り部による排気ガスの拡散作用を有効に得る観点からは、上記屈曲部は、排気ガスの流れ方向を斜め下向きに変化させるように形成され、上記絞り部は、上記屈曲部の機関本体に対向する部分を内方へ窪ませるように形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、絞り部による排気ガスの拡散作用によって、排気ガスが排気浄化触媒の上流側端部の全体にわたって略均一に当たるようにすることができる。これにより、排気浄化触媒への付着物の堆積を抑制することができ、排気浄化触媒の目詰まりを抑制することができる。その結果、排気浄化触媒の浄化性能の低下を抑制することができる。また、絞り部による排気ガスの拡散作用によって、排気ガスセンサへの排気ガスのガス当たりを良好に保つことができる。これにより、排気ガスセンサのセンシング性能の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】内燃機関の全体的な構成を概略的に示す図である。
【図2】内燃機関のシリンダヘッドに形成された吸・排気ポートを模式的に示す平面図である。
【図3】実施形態に係る内燃機関の排気管を示す正面図である。
【図4】実施形態に係る内燃機関の排気管を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明を具体化した実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
【0022】
まず、内燃機関の全体的な構成について、図1、図2を参照して説明する。
【0023】
図1に示すように、内燃機関は、機関本体であるエンジン10と、吸気系統30と、排気系統40とを有している。
【0024】
エンジン10は、例えば、直列4気筒のガソリンエンジンである。エンジン10は、シリンダヘッド11とシリンダブロック12とが結合されて構成されている。シリンダヘッド11は、複数の燃焼室13と、各燃焼室13に接続される吸気ポート14および排気ポート15とを有している。各燃焼室13には、燃料を噴射するインジェクタ16と、燃料に点火する点火プラグ17とがそれぞれ設けられている。インジェクタ16は、燃料蓄圧容器としてのデリバリパイプ20に接続されており、このデリバリパイプ20から燃料がインジェクタ16に供給されるようになっている。
【0025】
シリンダブロック12は、複数のシリンダボア21を有する。これらのシリンダボア21は、シリンダヘッド11側の各燃焼室13に対応してそれぞれ設けられている。各シリンダボア21には、ピストン22が往復動可能に収容されている。各ピストン22は、コネクティングロッド23を介してクランクシャフト24に連結されている。
【0026】
各吸気ポート14は、インテークマニホールド18により1ヶ所に集められて吸気系統30の吸気通路(吸気管)31に接続されている。各吸気ポート14は、吸気バルブ25により開閉される。吸気バルブ25は、吸気カムシャフト26により駆動される。吸気カムシャフト26は、クランクシャフト24から取り出される動力がタイミングベルト等によって伝達されて回転駆動される。
【0027】
各排気ポート15は、エキゾーストマニホールド19により1ヶ所に集められて排気系統40の排気通路(排気管)41に接続されている。各排気ポート15は、排気バルブ27により開閉される。排気バルブ27は、排気カムシャフト28により駆動される。排気カムシャフト28は、クランクシャフト24から取り出される動力がタイミングベルト等によって伝達されて回転駆動される。
【0028】
エンジン10では、空気Aが吸気系統30から吸気ポート14に供給される。そして、この空気Aが吸気バルブ25の開弁動作にともなって燃焼室13(シリンダボア21)内に導入されて圧縮され、また、インジェクタ16から燃焼室13内に燃料が噴射されて混合気が形成される。次に、この混合気が点火プラグ17により点火されて燃焼室13内で燃焼し、その燃焼エネルギーによりピストン22が駆動されてシリンダボア21内を往復運動する。そして、このピストン22の往復運動がクランクシャフト24の回転運動に変換されて動力が発生する。また、燃焼室13内の燃焼ガスは、排気ガスExとなり、排気バルブ27の開弁動作にともなって、排気ポート15、エキゾーストマニホールド19を介して排気系統40側に排出される。
【0029】
吸気系統30は、吸気管31と、エアクリーナ32と、スロットルバルブ33とを有している。吸気管31は、空気Aをエンジン10に導入するための通路である。エアクリーナ32は、吸気管31の入口部に配置されて吸入空気中のゴミや塵などを除去する。スロットルバルブ33は、吸気管31の流路断面積を調整する流量調整弁である。この吸気系統30では、エアクリーナ32を通過した空気Aが、スロットルバルブ33を通過し、インテークマニホールド18を介してエンジン10に導入される。
【0030】
排気系統40は、排気管41と、この排気管41の下流側に配置される排気浄化装置42とを有している。排気管41は、エンジン10からの排気ガスExを外部に排出するための通路であり、例えば、ステンレス等のような金属によって形成されている。排気管41の上流端は、エキゾーストマニホールド19に接続されている。排気管41には、排気ガスExの状態を検出するO2センサ43が取り付けられている。排気浄化装置42は、排気ガスEx中の有害成分(CO、HC、NOx)を無害な成分(CO2、H2O、N2)に浄化するための触媒(例えば、三元触媒、酸化触媒、NOx吸蔵触媒など)を有している。排気浄化装置42は、触媒担体42aがケース内に保持された構成となっている。排気浄化装置42により浄化された排気ガスExは、マフラー等により消音された後、大気中に放出される。
【0031】
この実施形態では、図2に示すように、シリンダヘッド11とエキゾーストマニホールド19とが一体構造となっている。すなわち、シリンダヘッド11内にエキゾーストマニホールド19が一体形成されている。このエキゾーストマニホールド19により、複数の排気ポート15がシリンダヘッド11内の1ヶ所(エキゾーストマニホールド19の集合部19a)に集められる。そして、このエキゾーストマニホールド19と排気浄化装置42とが排気管41を介して連結されている。
【0032】
このような構成では、複数の燃焼室13からの排気ガスExが、シリンダヘッド11内に設けられたエキゾーストマニホールド19の集合部19aに集められた後、排気管41を介して排気浄化装置42に導入される。この場合、エキゾーストマニホールドの集合部がシリンダヘッドの外部にある構成と比較すると、シリンダヘッド11から排気浄化装置42までの排気管41の長さが短縮される。これにより、冷間始動時にて排気温度の低下が抑制されるので、排気浄化装置42の暖機が迅速に行われる。また、シリンダヘッド11とエキゾーストマニホールド19とが一体構造を有することにより、エンジン10の熱容量が低減される。これにより、冷間始動時にてエンジン10の暖機が早期に行われる。
【0033】
次に、実施形態の特徴部分について説明する。
【0034】
この実施形態の特徴部分は、排気管41において、流路断面積がその上流側および下流側よりも小さい絞り部41aが設けられており、この絞り部41aの流路断面積が最小の断面積最小部41bと、排気浄化装置42側の下流端41eとの間にO2センサ43が設けられている点にある。
【0035】
図3、図4に示すように、排気管41の上流端41cは、フランジ41dによりエンジン10に接続され、排気管41の内部がエキゾーストマニホールド19の集合部19aに連通されている。排気管41の下流端41eは、排気浄化装置42のケースに接続されている。排気管41の途中には、側面視で略90度下向きに屈曲する屈曲部41fが設けられている。屈曲部41fにより、排気ガスExの流れ方向が下向きに変化させられるようになっている。
【0036】
排気管41の途中には、流路断面積がその上流側および下流側よりも小さい絞り部41aが設けられている。絞り部41aは、排気管41の屈曲部41fおよびその周辺に設けられたくびれ部分となっている。この実施形態では、絞り部41aは、図3に示すように、正面視で(エキゾーストマニホールド19から流出する排気ガスExの流れ方向に平行な方向から見ると、)、左右両側の部分を内方(中心側)へ窪ませた形状となっている。図3の例では、絞り部41aの断面積最小部41bにおける幅W1が、排気浄化装置42の触媒担体42aの幅W2よりも小さくなっている。
【0037】
また、図4に示すように、側面視で(エンジン10の気筒列方向に平行な方向から見ると、)、エンジン10(エキゾーストマニホールド19)に対向する部分を内方へ窪ませた形状となっている。図4の例では、絞り部41aの断面積最小部41bにおけるエキゾーストマニホールド19に対向する部分が、排気浄化触媒42の触媒担体42aのエキゾーストマニホールド19側の部分よりも内側(図4では、左側)に位置している。
【0038】
絞り部41aには、流路断面積が最小の断面積最小部41bが設けられている。具体的には、絞り部41aは、上流側から下流側にかけて、流路断面積が徐々に小さくなる断面積縮小部41gと、流路断面積が最小の断面積最小部41bと、流路断面積が徐々に大きくなる断面積拡大部41hとが設けられている。絞り部41aの断面積拡大部41hにO2センサ43が取り付けられている。
【0039】
排気管41は、図3に示すように、正面視で、鉛直方向に対し傾いている。つまり、排気管41の上流端41cにおける中心C1と、下流端41eにおける中心C2とを通る直線L1が鉛直方向に対し傾いている。そして、O2センサ43は、断面積拡大部41hにおいて、鉛直方向に対する傾きが直線L1の鉛直方向に対する傾きよりも大きい部分(図3では、右側の部分)に配置されている。この場合、O2センサ43の取付角度θ1、つまり、O2センサ43の中心軸の傾斜角度が大きくなる部分にO2センサ43が配置されており、O2センサ43が鉛直下方に近い角度で取り付けられている。
【0040】
次に、上記構成の排気管41による効果について説明する。
【0041】
エンジン10のエキゾーストマニホールド19から排気管41に流入した排気ガスExは、絞り部41aで集められ、この絞り部41aを通過することによって拡散される。この拡散作用によって、排気管41の絞り部41aの下流側では、排気ガスExの流速分布をできるだけ均一なものとすることができる。そして、排気浄化装置42の触媒担体42aに導入される排気ガスExの流速分布の偏りを低減することができる。つまり、排気ガスExが触媒担体42aの上流側端部の一部分に集中して当たるのではなく、全体にわたって略均一に当たるようにすることができる。これにより、触媒担体42aへの付着物の堆積を抑制することができ、触媒担体42aの目詰まりを抑制することができる。その結果、排気浄化装置42の浄化性能の低下を抑制することができる。
【0042】
また、絞り部41aによる排気ガスExの拡散作用によって、O2センサ43への排気ガスExのガス当たりを良好に保つことができる。これにより、O2センサ43のセンシング性能の向上を図ることができる。しかも、排気ガスExが排気管41の絞り部41aを通過することにともなう消音作用も得ることができる。なお、この実施形態では、絞り部41aの形状を、排気管41のエキゾーストマニホールド19に対向する部分を内方へ窪ませた形状としており、絞り部41aによる排気ガスExの拡散作用を有効に得られるようにしている。
【0043】
また、O2センサ43の取付部を絞り部41aの断面積拡大部41hとしているので、排気管41の断面積最小部41aよりも上流側にO2センサ43が設けられている場合に比べ、断面積最小部41bによりO2センサ43を排気管41の上流端41cの開口から隠しやすくなる。言い換えれば、排気管41の上流端41cの開口から排気管41の内部を見たとき、断面積最小部41bにより遮られることで、O2センサ43が直接的には見えにくくなっている。これにより、冷間始動時、O2センサ43の被水の可能性を低減することができ、O2センサ43のセンシング性能の低下を抑制することができる。
【0044】
この点について詳しく説明すると、例えば、冬場のような低温の環境下での始動時などには、エンジン10のガス出口(エキゾーストマニホールド19のガス出口)に水滴が溜まり、その水滴がガス出口から流出した排気ガスExによって吹き飛ばされる。そして、水滴は、自重により下方に落下しながら排気ガスExの流れに乗って排気管41の内部へ飛散される。ここで、O2センサ43が排気管41の上流端41cの開口から見える位置に設けられていれば、O2センサ43に水滴がかかりやすくなり、被水の可能性が高くなる。その結果、O2センサ43のセンシング性能に悪影響を及ぼすことになる。
【0045】
この実施形態では、O2センサ43の取付部を絞り部41aの断面積拡大部41hとして、O2センサ43の被水の可能性ができるだけ低くなるようにしている。この場合、排気管41を鉛直方向に対し傾けて設置しているので、傾けない場合に比べ、O2センサ43の先端部と排気管41の上流端41cの開口軸線L2(図3)との距離D1を大きくすることができる。これにより、O2センサ43の被水の可能性がさらに低くなる。
【0046】
しかも、絞り部41aの断面積拡大部41hにおいて、取付角度θ1(図3)が大きくなるような位置にO2センサ43を配置しているので、排気管41の上流端41cの開口から排気管41の内部を見たとき、O2センサ43の略全体を隠すことが可能になる。これにより、O2センサ43の被水の可能性をほとんどなくすことができ、O2センサ43のセンシング性能の低下を抑制できる。
【0047】
−他の実施形態−
以上、本発明の実施形態について説明したが、ここに示した実施形態は一例であり、さまざまに変形することが可能である。
【0048】
上記実施形態では、排気ガスセンサの例としてO2センサを挙げたが、O2センサに替えて排気ガスの状態を検出する他のセンサ(例えば、空燃比センサ)を用いる構成としてもよい。
【0049】
上記実施形態では、排気管が下方に屈曲している例を挙げて説明したが、排気管の屈曲方向および屈曲角度は特に限定されず、任意の屈曲方向および屈曲角度の排気管に本発明を適用することが可能である。また、直管形状の排気管に対しても同様に本発明を適用することが可能である。
【0050】
また、上記実施形態では、排気管が鉛直方向に対し傾いている例を挙げて説明したが、排気管の傾斜角度については特に限定されない。なお、排気ガスセンサの被水を防ぐ観点からは、上述したように、排気管が鉛直方向に対し傾いていることが好ましいが、鉛直方向に沿って延びる排気管に対しても本発明を適用することは可能である。
【0051】
上記実施形態では、機関本体のシリンダヘッドにエキゾーストマニホールドが一体的に内蔵されている例を挙げて説明したが、エキゾーストマニホールドが機関本体のシリンダヘッドと別体である場合にも本発明を適用することが可能である。この場合、エキゾーストマニホールドと排気浄化触媒との間に設けられる排気管に絞り部を設ける構成とすればよい。
【0052】
以上では、内燃機関の機関本体が直列4気筒のガソリンエンジンである例を挙げて説明した。内燃機関の機関本体の気筒数、エンジン形式は、特に限定されず、他の気筒数、他のエンジン形式のガソリンエンジンについても本発明を適用することが可能である。また、内燃機関の機関本体がディーゼルエンジンである場合にも同様に本発明を適用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、内燃機関の機関本体から排出された排気ガスを浄化する排気浄化触媒の上流側に配設され、排気ガスの状態を検出する排気ガスセンサが取り付けられた排気管に適用することが可能である。
【符号の説明】
【0054】
10 エンジン
19 エキゾーストマニホールド
40 排気系統
41 排気管
41a 絞り部
41b 断面積最小部
41c 上流端
41e 下流端
41f 屈曲部
41g 断面積縮小部
41h 断面積拡大部
42 排気浄化装置
43 O2センサ
Ex 排気ガス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の機関本体から排出された排気ガスを浄化する排気浄化触媒の上流側に配設され、排気ガスの状態を検出する排気ガスセンサが取り付けられた排気管であって、
流路断面積がその上流側および下流側よりも小さい絞り部が設けられ、
上記排気ガスセンサは、上記絞り部の流路断面積が最小の断面積最小部と、上記排気浄化触媒側の下流端との間に設けられていることを特徴とする内燃機関の排気管。
【請求項2】
請求項1に記載の内燃機関の排気管において、
上記排気ガスセンサの取付部は、下流側に向かうにつれて流路断面積が大きくなる断面積拡大部に設けられていることを特徴とする内燃機関の排気管。
【請求項3】
請求項2に記載の内燃機関の排気管において、
上記機関本体側の上流端における中心と、上記排気浄化触媒側の下流端における中心とを通る直線が、機関本体から流出する排気ガスの流れ方向に平行な方向から見ると、鉛直方向に対し傾いていることを特徴とする内燃機関の排気管。
【請求項4】
請求項3に記載の内燃機関の排気管において、
上記排気ガスセンサの取付部は、鉛直方向に対する傾きが上記直線の鉛直方向に対する傾きよりも大きい部分に設けられていることを特徴とする内燃機関の排気管。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載の内燃機関の排気管において、
上記断面積最小部は、排気ガスの流れ方向を変化させる屈曲部に設けられていることを特徴とする内燃機関の排気管。
【請求項6】
請求項5に記載の内燃機関の排気管において、
上記屈曲部は、排気ガスの流れ方向を斜め下向きに変化させるように形成され、
上記絞り部は、上記屈曲部の機関本体に対向する部分を内方へ窪ませるように形成されていることを特徴とする内燃機関の排気管。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−17261(P2011−17261A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−161130(P2009−161130)
【出願日】平成21年7月7日(2009.7.7)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】