説明

内燃機関の排気駆動過給機

【課題】内燃機関のエンジンの排気ガス流を膨張させるタービンと、エンジンに供給すべき燃焼空気流の圧縮機を備え、タービンがタービンの排気ガス流路を境界づける入口ハウジング(10)と、ノズルリング(11)と、タービンロータ(12)と、ディフューザ(13)を有し、更に入口ハウジングと、ノズルリングと、ディフューザが環状通路(20)を境界づける内燃機関の排気駆動過給機の構造の簡単化を図ることを目的とする。
【解決手段】本発明に従い、入口ハウジングに、環状通路をタービンの周囲に接続する少なくとも1個の通路(21)が一体的に形成され、タービンロータの半径方向外側を境界づけるカバーリング(15)又はディフューザに、環状通路をディフューザにより形成された排気ガス流路区域(19)に接続する少なくとも1個の通路(22)が一体的に形成される。これら通路により、過給器ないしタービンの高温部品を効果的に冷却できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に記載の内燃機関の排気駆動過給機に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の効率向上のため、内燃機関に排気駆動過給機を装備することは公知である。排気駆動過給機ないしターボチャージャの運転時、エンジンから排出される排気ガスが、排気駆動過給機のタービンにおいて膨張し、その際、タービンがエンジンに供給すべき燃焼空気を圧縮する排気駆動過給機の圧縮機を駆動する。そのような排気駆動過給機ないしターボチャージャの運転によって、内燃機関の効率を向上し得る。
【0003】
特許文献1により、タービンの排気ガス流路を境界づける入口ハウジングと、ディフューザと、ノズルリングとタービンロータとを有する内燃機関の排気駆動過給機のタービンは公知である。ノズルリングは入口ハウジングの下流に、タービンロータはノズルリングの下流に、ディフューザはタービンロータの下流に各々配置され、該タービンロータの半径方向外側はカバーリングで境界づけられ、該カバーリングはノズルリングとディフューザとの間で排気ガス流路の半径方向外側壁を形成している。入口ハウジングとディフューザは、ノズルリングおよびカバーリングと共に、排気ガス流路を軸方向部分区域において半径方向外側を取り囲み、排気ガス流路から分離された環状通路を境界づけている。
【0004】
特に排気ガス流路を境界づけるこれら構成要素ないしその一部は、排気駆動過給機の運転中に高温に曝される。そのため、構成要素又はその一部を冷却ないし絶縁することは従来から公知である。従来そのために、別個の装置として形成した冷却装置を採用しておりそのために、排気駆動過給機のタービンの構造が複雑となっている。
【特許文献1】独国特許第10125250号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の点から出発し、本発明の課題は、内燃機関の新規な排気駆動過給機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この課題は、請求項1に記載の内燃機関の排気駆動過給機によって解決される。本発明に基づき、入口ハウジングに、環状通路をタービンの周囲に接続する少なくとも1個の通路が一体形成され、タービンロータの半径方向外側を境界づけるカバーリング又はディフューザに、環状通路をディフューザにより形成された排気ガス流路区域に接続する少なくとも1個の通路が一体形成される。
【発明の効果】
【0007】
入口ハウジング並びにディフューザに一体形成された通路を介して、排気駆動過給機の高温部品ないしタービンの高温部の比較的単純な手段による効果的冷却が実現される。タービンないし排気駆動過給機の運転中に漏れが生じたとき、場合によりタービンの周囲に集まった排気ガスが吸い込まれ、排気駆動過給機のディフューザに導かれる。
【0008】
本発明の有利な実施態様を、従属請求項および以下の説明から明らかにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図を参照し本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されない。
【実施例1】
【0010】
軸流タービンとして形成したタービンを持つ排気駆動過給機を例にとり、本発明を説明する。排気駆動過給機の軸流タービンの原理的構造は特許文献1で知られ、その開示内容も明らかに本発明に関連する。なおこの特許文献1の開示内容を参酌すれば、本発明は半径流タービンにも採用できる。
【0011】
図1は、本発明に基づく排気駆動過給機のタービンにおいて、軸方向に延びる排気ガス流路の半径方向外側端を断面図で示す。排気ガス流路は、入口ハウジング10と、ノズルリング11と、タービンロータ12と、ディフューザ13からなる。図1はタービンロータ12の、動翼14の半径方向外側に位置する部分を示している。その場合、タービンロータ12ないしその動翼14は、排気ガス流路の半径方向外側に位置する端部が、カバーリング15により境界づけられている。このカバーリング15は、ノズルリング11とディフューザ13との間に置かれ、排気ガス流路の円周壁を形成している。
【0012】
従って、タービンの軸方向に延びる排気ガス流路は、全部で4個の区域で構成され、その第1区域16は入口ハウジング10によって、第2区域17はノズルリング11によって、第3区域18はカバーリング15を含むタービンロータ12によって、第4区域19はディフューザ13によってそれぞれ形成されている。
【0013】
図1から解るように、更に、入口ハウジング10とディフューザ13とノズルリング11とカバーリング15は環状通路20を境界づけている。この環状通路20は、従来公知の排気駆動過給機のタービンの場合、排気ガス流路から完全に分離され、排気ガス流路の軸方向部分区域においてその半径方向外側を取り囲んでいる。
【0014】
本発明に基づき、入口ハウジング10に、環状通路20をタービンの周囲に接続する少なくとも1個の通路21が一体形成されている。
【0015】
また、ディフューザ13又はカバーリング15に、環状通路20をディフューザ13で形成した排気ガス流路区域19に接続する、少なくとも1個の通路22が一体形成されている。
【0016】
運転時、ディフューザ13で形成された排気ガス流路区域19内に、排気駆動過給機のタービンの周囲圧力に対し負圧が生じ、このため図1に矢印で示す如く、周囲空気が1個の或いは各々の通路21を経て環状通路20に吸い込まれ、該環状通路20から1個の或いは各々の通路22を経てディフューザ13の排気ガス流路区域19に吸い込まれる。
【0017】
吸い込まれた比較的冷たい周囲空気によって、特にノズルリング11並びにカバーリング15の構成要素が冷却される。排気駆動過給機に漏れが存在し或いはタービンの周囲に排気ガスが集まるとき、その排気ガスは吸い込まれ、本発明に基づく排気駆動過給機のタービンのディフューザ13に供給される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に基づく内燃機関の排気駆動過給機のタービンの部分概略断面図。
【符号の説明】
【0019】
10 入口ハウジング、11 ノズルリング、12 タービンロータ、13 ディフューザ、14 動翼、15 カバーリング、16〜19 排気ガス流路区域、20 環状通路、21、22 通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関のエンジンから出る排気ガス流を膨張するためのタービンと、内燃機関のエンジンに供給すべき燃焼空気流を圧縮するための圧縮機とを備え、タービンが、タービンの排気ガス流路を境界づける入口ハウジング(10)と、ノズルリング(11)と、タービンロータ(12)と、ディフューザ(13)とを有し、更に、入口ハウジング(10)とノズルリング(11)とディフューザ(13)とが環状通路(20)を境界づけている内燃機関の排気駆動過給機において、
入口ハウジング(10)に、環状通路(20)をタービンの周囲に接続する少なくとも1個の通路(21)が一体形成され、タービンロータ(12)の半径方向外側を境界づけるカバーリング(15)或いはディフューザ(13)に、環状通路(20)をディフューザ(13)により形成された排気ガス流路区域(19)に接続する少なくとも1個の通路(22)が一体的に形成されたことを特徴とする内燃機関の排気駆動過給機。
【請求項2】
タービンの周囲空気が、入口ハウジング(10)とディフューザ(13)或いはカバーリング(15)に設けられた通路(21、22)を介して吸い込まれ、環状通路(20)を介して、ディフューザ(13)により形成された排気ガス流路区域(19)に導入されることを特徴とする請求項1記載の排気駆動過給機。
【請求項3】
ノズルリング(11)および構築部品の構成要素を冷却するために使用されることを特徴とする請求項2記載の排気駆動過給機。
【請求項4】
タービンロータ(12)のカバーリング(15)を冷却するために使用されることを特徴とする請求項2記載の排気駆動過給機。

【図1】
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【公開番号】特開2008−45543(P2008−45543A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−188173(P2007−188173)
【出願日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(390041520)エムアーエヌ ディーゼル エスエー (59)
【Fターム(参考)】