内燃機関の軸受構造
【課題】内燃機関の回転軸を潤滑油を介してラジアルすべり軸受で支持する場合に、低温時に潤滑油の昇温を効率よく行う。
【解決手段】軸受保持部13には、潤滑油をラジアルすべり軸受30とクランクジャーナル18間の隙間に供給するための潤滑油供給路41が形成され、ラジアルすべり軸受30には、潤滑油をラジアルすべり軸受30とクランクジャーナル18間の隙間から流出させるための潤滑油流出口43が形成されている。軸受保持部13内部におけるラジアルすべり軸受30の外周囲には、潤滑油流出口43と連通する熱交換油路42が形成されており、熱交換油路42を通る潤滑油が軸受保持部13と熱交換する。
【解決手段】軸受保持部13には、潤滑油をラジアルすべり軸受30とクランクジャーナル18間の隙間に供給するための潤滑油供給路41が形成され、ラジアルすべり軸受30には、潤滑油をラジアルすべり軸受30とクランクジャーナル18間の隙間から流出させるための潤滑油流出口43が形成されている。軸受保持部13内部におけるラジアルすべり軸受30の外周囲には、潤滑油流出口43と連通する熱交換油路42が形成されており、熱交換油路42を通る潤滑油が軸受保持部13と熱交換する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の軸受構造に関し、特に、内燃機関の回転軸を潤滑油を介してラジアルすべり軸受で支持し、ラジアルすべり軸受を軸受保持部で保持する内燃機関の軸受構造に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の回転軸を潤滑油を介してラジアルすべり軸受で支持する軸受構造の関連技術が下記特許文献1に開示されている。特許文献1では、オイルパン内のオイルをメインポンプによってエンジン各部へ供給する第1オイル通路と、蓄熱タンク内のオイルをサブポンプによってクランクシャフト周辺へ供給する第2オイル通路とが設けられている。エンジンの冷間始動時には、蓄熱タンク内の高温のオイルをサブポンプによってクランクシャフト周辺(主としてジャーナル)へ向けて吐出することで、クランクシャフト周辺の暖機を促進してフリクションの低減を図る。エンジンの暖機完了後は、サブポンプによって蓄熱タンク内に高温のオイルを貯留する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−144623号公報
【特許文献2】特開平6−74237号公報
【特許文献3】特開平6−74230号公報
【特許文献4】特開2010−127375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
内燃機関の回転軸を潤滑油を介してラジアルすべり軸受で支持する場合に、低温時には、潤滑油の粘度が高いため、回転軸が回転するときの粘性摩擦損失が大きくなる。粘性摩擦損失を小さくするためには、潤滑油の温度を速やかに上昇させて潤滑油の粘度を速やかに低くすることが望ましい。
【0005】
特許文献1では、エンジンの冷間始動時に、蓄熱タンク内の高温の潤滑油をクランクシャフト周辺へ向けて吐出することで、粘性摩擦損失の低減を図っている。しかし、クランクシャフト部では熱容量が非常に大きく、クランクシャフト周辺の暖機を促進するためには大きな熱量が必要となる。そのため、クランクシャフト周辺への潤滑油の吐出では、熱効率が低く、クランクシャフト周辺の暖機が不十分となる。また、潤滑油の顕熱容量は小さく、クランクシャフト周辺の暖機を促進するのに十分な熱量を蓄熱するためには、膨大な潤滑油を蓄熱タンク内に貯留する必要がある。
【0006】
本発明は、内燃機関の回転軸を潤滑油を介してラジアルすべり軸受で支持する場合に、低温時に潤滑油の昇温を効率よく行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る内燃機関の軸受構造は、上述した目的を達成するために以下の手段を採った。
【0008】
本発明に係る内燃機関の軸受構造は、内燃機関の回転軸を潤滑油を介してラジアルすべり軸受で支持し、ラジアルすべり軸受を軸受保持部で保持する内燃機関の軸受構造であって、潤滑油をラジアルすべり軸受と回転軸間の隙間に供給するための潤滑油供給路と、ラジアルすべり軸受に形成され、ラジアルすべり軸受と回転軸間の隙間から潤滑油を流出させるための潤滑油流出口と、軸受保持部におけるラジアルすべり軸受の外周囲に形成され、潤滑油流出口と連通する熱交換油路であって、該熱交換油路を通る潤滑油を軸受保持部と熱交換させるための熱交換油路と、軸受保持部に形成され、熱交換油路と連通する潤滑油排出路と、を有することを要旨とする。
【0009】
上記構成によれば、潤滑油の粘度が高い低温時に、回転軸とラジアルすべり軸受の摺動摩擦により発熱した潤滑油を利用して、熱交換油路を通る発熱した潤滑油と軸受保持部との熱交換により軸受保持部を暖機することで、回転軸とラジアルすべり軸受間の隙間に供給される潤滑油を効率よく昇温させて粘度を低くすることができる。
【0010】
本発明の一態様では、潤滑油供給路は軸受保持部に形成され、潤滑油排出路を通る潤滑油が潤滑油供給路を通る潤滑油と熱交換するように、潤滑油排出路が潤滑油供給路に近接して配置されていることが好適である。
【0011】
本発明の一態様では、ラジアルすべり軸受と回転軸間の隙間は、回転軸方向に関して両端部が他の部分よりも狭いことが好適である。
【0012】
本発明の一態様では、軸受保持部は、軸受保持部本体にキャップを締結して構成され、熱交換油路は、キャップにおけるラジアルすべり軸受の外周囲に形成されていることが好適である。
【0013】
本発明の一態様では、軸受保持部は、軸受保持部本体にキャップを締結して構成され、熱交換油路は、軸受保持部本体におけるラジアルすべり軸受の外周囲に形成され、軸受保持部本体における熱交換油路より外周側の位置に断熱層が設けられていることが好適である。
【0014】
本発明の一態様では、潤滑油供給路は軸受保持部に形成され、潤滑油を予熱装置で予熱してから潤滑油供給路へ供給可能であることが好適である。
【0015】
本発明の一態様では、潤滑油供給路は軸受保持部に形成され、潤滑油を冷却装置で冷却してから潤滑油供給路へ供給可能であることが好適である。この態様では、冷却装置は、内燃機関の冷却液との熱交換を利用するものであることが好適である。
【0016】
本発明の一態様では、熱交換油路を通る潤滑油と熱交換するための熱交換流体が供給可能な熱交換流路が軸受保持部におけるラジアルすべり軸受の外周囲にさらに形成されていることが好適である。この態様では、熱交換流体は内燃機関の冷却液であることが好適である。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明によれば、内燃機関の回転軸を潤滑油を介してラジアルすべり軸受で支持する場合に、低温時に潤滑油の昇温を効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係る内燃機関の軸受構造の概略構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る内燃機関の軸受構造の概略構成を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る内燃機関の軸受構造の概略構成を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る内燃機関の軸受構造の概略構成を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る内燃機関の軸受構造の他の概略構成を示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係る内燃機関の軸受構造の他の概略構成を示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係る内燃機関の軸受構造の他の概略構成を示す図である。
【図8】本発明の実施形態に係る内燃機関の軸受構造の他の概略構成を示す図である。
【図9】本発明の実施形態に係る内燃機関の軸受構造の他の概略構成を示す図である。
【図10】本発明の実施形態に係る内燃機関の軸受構造の他の概略構成を示す図である。
【図11】本発明の実施形態に係る内燃機関の軸受構造の他の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態(以下実施形態という)を図面に従って説明する。
【0020】
図1〜4は、本発明の実施形態に係る内燃機関の軸受構造の概略構成を示す図である。図1は軸受構造の回転軸方向から見た断面図を示し、図2,4は軸受構造の回転軸方向に垂直な方向から見た内部構成図を示し、図3は図2のA部の拡大図を示す。本実施形態に係る内燃機関の軸受構造では、内燃機関の回転軸であるクランクシャフトのクランクジャーナル18が潤滑油を介してラジアルすべり軸受(ジャーナルすべり軸受とも称される)30で支持され、ラジアルすべり軸受30が軸受保持部13で保持される。
【0021】
軸受保持部13は、内燃機関のシリンダブロックの一部分により構成される軸受保持部本体20と、軸受保持部本体20に締結されるキャップ21とを含んで構成される。軸受保持部13(軸受保持部本体20及びキャップ21)には、鉄やアルミニウム等の金属材料が用いられる。軸受保持部本体20の体積はキャップ21の体積よりも大きく、軸受保持部本体20の熱容量はキャップ21の熱容量よりも大きい。軸受保持部本体20には、略半円筒形状の凹曲面である軸受装着面13Aが形成されており、キャップ21には、略半円筒形状の凹曲面である軸受装着面13Bが形成されている。締結部材であるボルト15により軸受保持部本体20にキャップ21を締結することで、クランクジャーナル18が挿通される貫通孔が軸受装着面13A,13B間に形成され、半割り構造のラジアルすべり軸受30が軸受装着面13A,13Bに装着されることで軸受保持部13に保持される。
【0022】
ラジアルすべり軸受30は、回転軸の周方向に関して2分割された略半円筒形状の半割り軸受メタル31A,31Bにより構成される。一方の半割り軸受メタル31Aは軸受保持部本体20の軸受装着面13Aに装着されることで軸受装着面13Aと対向し、他方の半割り軸受メタル31Bはキャップ21の軸受装着面13Bに装着されることで軸受装着面13Bと対向し、2つの半割り軸受メタル31A,31Bの周方向に関する両端部同士を合わせることで、ラジアルすべり軸受30が構成される。各半割り軸受メタル31A,31Bは、裏金と、裏金の内周側に形成されたライニング層としての軸受合金層とを含んで構成される。裏金の種類としては、例えば鋼等が挙げられ、軸受合金層の種類としては、例えば銅−鉛合金やアルミニウム合金等が挙げられる。
【0023】
軸受保持部13及びラジアルすべり軸受30には、ラジアルすべり軸受30とクランクジャーナル18間の隙間と連通し、潤滑油をラジアルすべり軸受30とクランクジャーナル18間の隙間に供給するための潤滑油供給路41が形成されている。図1〜4に示す例では、軸受保持部本体20及び半割り軸受メタル31Aと、キャップ21及び半割り軸受メタル31Bとに潤滑油供給路41がそれぞれ形成され、これら2つの潤滑油供給路41が軸受周方向に関する位置をずらして(図1〜4に示す例では180°)配置されている。潤滑油供給路41には、オイルポンプ40の出口40bから吐出した潤滑油が供給される。オイルポンプ40の出口40b側にはオイル予熱装置52が設けられており、オイル予熱装置52を作動させることで、オイルポンプ40の出口40bから吐出した潤滑油をオイル予熱装置52で予熱(加熱)してから潤滑油供給路41へ供給することが可能である。
【0024】
本実施形態では、図2,3に示すように、ラジアルすべり軸受30(半割り軸受メタル31A,31B)の内周面は、回転軸方向(クランクシャフト軸線方向)に関して、両端部が他の部分より径方向内側(クランクジャーナル18側)へ張り出している。これによって、ラジアルすべり軸受30の内周面とクランクジャーナル18の外周面間の隙間は、回転軸方向に関して両端部が他の部分より狭くなる。回転軸方向両端部でのラジアルすべり軸受30とクランクジャーナル18間の隙間は、内燃機関の始動直後等の低温時(例えば20℃程度)に高粘度の潤滑油が軸受保持部13の回転軸方向両端面から流出しない程度の隙間に設定される。さらに、クランクシャフト(クランクジャーナル18)においては、ラジアルすべり軸受30の内周側に位置する部分の直径が、この部分より回転軸方向両側に位置する部分の直径よりも小さく、段付き形状となっている。さらに、ラジアルすべり軸受30には、ラジアルすべり軸受30とクランクジャーナル18間の隙間と連通し、潤滑油をラジアルすべり軸受30とクランクジャーナル18間の隙間から流出させるための潤滑油流出口43が形成されている。図1〜4に示す例では、半割り軸受メタル31A,31B同士の合わせ面(軸受周方向両端面)間に例えば切り欠きや窪み等によりクリアランスを形成することで潤滑油流出口43が形成されており(ただし回転軸方向両端部については潤滑油が外部へ漏れ出ないようにクリアランスを形成しないか狭くする)、潤滑油供給路41に対して軸受周方向に関する位置をずらして(図1〜4に示す例では90°)潤滑油流出口43が配置されている。ただし、潤滑油流出口43を半割り軸受メタル31Aや半割り軸受メタル31Bに形成することも可能である。
【0025】
さらに、本実施形態では、軸受保持部13内部におけるラジアルすべり軸受30の外周囲には、潤滑油流出口43と連通する複数の熱交換油路42が形成されており、各熱交換油路42を通る潤滑油が軸受保持部13と熱交換する。さらに、軸受保持部13には、各熱交換油路42と連通する潤滑油排出路44が形成されており、潤滑油排出路44を通る潤滑油が潤滑油供給路41を通る潤滑油と熱交換するように、潤滑油排出路44が潤滑油供給路41に近接して配置されている。複数の熱交換油路42の一端部が回転軸方向に互いに間隔をおいた状態で潤滑油流出口43と連通し、各熱交換油路42の他端部が潤滑油排出路44と連通する。図1〜4に示す例では、軸受保持部本体20内部における半割り軸受メタル31Aの外周囲に複数の熱交換油路42が形成され、キャップ21内部における半割り軸受メタル31Bの外周囲に複数の熱交換油路42が形成されている。そして、軸受保持部本体20に複数の潤滑油排出路44が潤滑油供給路41に近接して形成され、キャップ21に複数の潤滑油排出路44が潤滑油供給路41に近接して形成されている。なお、図1〜4を含む各図において、ラジアルすべり軸受30の厚さや、ラジアルすべり軸受30とクランクジャーナル18間の隙間や、潤滑油供給路41、熱交換油路42、潤滑油流出口43、及び潤滑油排出路44の幅等のサイズについては、説明の便宜上、実際のサイズよりも大きく図示している。
【0026】
オイルポンプ40から潤滑油供給路41に供給された潤滑油は、図1の矢印に示すように、ラジアルすべり軸受30の内周面とクランクジャーナル18の外周面間の隙間に流入する。ラジアルすべり軸受30は、クランクジャーナル18を潤滑油を介して回転自在に支持することで、クランクジャーナル18の径方向に沿った荷重を潤滑油を介して受ける。潤滑油は、ラジアルすべり軸受30とクランクジャーナル18間の隙間を軸受周方向(クランクジャーナル18の回転方向)に流れ、潤滑油流出口43から流出する。その際には、ラジアルすべり軸受30とクランクジャーナル18間の隙間は、回転軸方向に関して両端部が他の部分より狭いことで、潤滑油が軸受保持部13の回転軸方向両端面から流出するのが抑えられる。さらに、クランクシャフト(クランクジャーナル18)を前述の段付き形状にすることによっても、潤滑油が軸受保持部13の回転軸方向両端面から流出するのが抑えられる。ここでの潤滑油は、油膜を形成することにより、回転軸と軸受が焼き付くことなく機関を運転すること、回転軸と軸受との摩擦損失や磨耗を低減することを主な役割とするが、冷却、洗浄、防錆等の役割も果たしている。
【0027】
潤滑油流出口43から流出した潤滑油は、図1,4の矢印に示すように、各熱交換油路42を流れることで、軸受保持部13と熱交換する。各熱交換油路42から流出した潤滑油は、潤滑油排出路44を流れることで、潤滑油供給路41を流れる潤滑油と熱交換する。潤滑油排出路44から軸受保持部13外部へ流出した潤滑油は、オイルポンプ40の入口40a側へ戻る。図1では、オイルポンプ40の出口40b(オイル予熱装置52)から潤滑油供給路41に潤滑油を供給するための具体的構成、及び潤滑油排出路44からオイルポンプ40の入口40aへ潤滑油を戻すための具体的構成を簡略化しているが、周知の構成で実現可能である。
【0028】
内燃機関の始動直後等、低温時においては、潤滑油の粘度が高くなる。クランクジャーナル18がラジアルすべり軸受30に対して回転する際には、ラジアルすべり軸受30とクランクジャーナル18間の隙間に供給された潤滑油がせん断力(摺動摩擦)により発熱し、潤滑油の粘度が高いほど、せん断力による発熱量が増加する。本実施形態では、クランクジャーナル18とラジアルすべり軸受30の摺動摩擦により発熱した潤滑油が、潤滑油流出口43を介して各熱交換油路42に供給される。その際には、前述したように、摺動摩擦により発熱した潤滑油が軸受保持部13の回転軸方向両端面から流出するのが抑えられる。各熱交換油路42を通る発熱した潤滑油は、軸受保持部13(ラジアルすべり軸受30の外周囲)と熱交換を行うことで、軸受保持部13を加熱する。これによって、ラジアルすべり軸受30とクランクジャーナル18間の隙間に供給される潤滑油を外周側から加熱することができ、潤滑油の粘度を低くすることができるので、クランクジャーナル18が回転するときの粘性摩擦損失を低減することができる。その際には、軸受保持部13内部に形成する熱交換油路42の数や長さを増加させて、熱交換油路42を通る潤滑油と軸受保持部13との接触面積を増加させることで、熱交換油路42を通る発熱した潤滑油から軸受保持部13への供給熱量を増加させることができる。さらに、潤滑油排出路44を通る発熱した潤滑油が、潤滑油供給路41を通る潤滑油と熱交換することで、潤滑油供給路41を通る潤滑油を加熱する。これによっても、ラジアルすべり軸受30とクランクジャーナル18間の隙間に供給される潤滑油を加熱することができ、潤滑油の粘度を低くすることができる。
【0029】
このように、本実施形態では、内燃機関の始動直後等、潤滑油の粘度が高い低温時に、軸受保持部13内部の熱交換油路42を通る発熱した潤滑油と軸受保持部13との熱交換を利用して軸受保持部13を暖機することで、ラジアルすべり軸受30とクランクジャーナル18間の隙間に供給される潤滑油を速やかに昇温させて粘度を低くすることができる。その際には、クランクシャフトと比較して熱容量(体積)の小さい軸受保持部13に熱量を供給することで、熱量あたりの昇温効率を向上させることができる。また、ラジアルすべり軸受30とクランクジャーナル18間に存在する隙間と薄い油膜により構成される熱抵抗を利用して、軸受保持部13へ供給した熱量のクランクシャフトへの熱損失を抑えることができ、軸受保持部13の昇温を促進させることができる。さらに、クランクジャーナル18とラジアルすべり軸受30の摺動摩擦により発熱した潤滑油を利用して軸受保持部13を暖機することで、ラジアルすべり軸受30とクランクジャーナル18間の隙間に供給される潤滑油を効率よく昇温させることができる。その際には、摺動摩擦により発熱した潤滑油が軸受保持部13の回転軸方向両端面から流出するのが抑えられることで、摺動摩擦により発生した熱が軸受保持部13外部へ逃げるのが抑えられ、摺動摩擦により発生した熱を有効に利用して軸受保持部13を暖機することができる。さらに、潤滑油排出路44を通る発熱した潤滑油と潤滑油供給路41を通る潤滑油との熱交換を利用することによっても、ラジアルすべり軸受30とクランクジャーナル18間の隙間に供給される潤滑油を効率よく昇温させることができる。
【0030】
したがって、本実施形態によれば、内燃機関の始動直後等、潤滑油の粘度が高い低温時に、ラジアルすべり軸受30とクランクジャーナル18間の隙間に供給される潤滑油を効率よく昇温させて粘度を低くすることができる。その結果、クランクジャーナル18が回転するときの粘性摩擦損失を速やかに低減することができる。
【0031】
さらに、本実施形態では、内燃機関の始動直後等、潤滑油の粘度が高い低温時に、オイル予熱装置52を作動させることで、オイルポンプ40の出口40bから吐出した潤滑油をオイル予熱装置52で予熱してから潤滑油供給路41へ供給することもできる。軸受保持部13内部の潤滑油供給路41からラジアルすべり軸受30とクランクジャーナル18間の隙間に予熱した潤滑油を供給することで、軸受保持部13を暖機してラジアルすべり軸受30とクランクジャーナル18間の隙間に供給される潤滑油の粘度を低くすることができる。さらに、予熱した潤滑油の熱量のクランクシャフトへの熱損失を抑えることができる。
【0032】
本実施形態では、例えば図5,6に示すように、軸受保持部本体20における熱交換油路42より外周側の位置に断熱層58を設けることもできる。図5,6に示す例では、断熱層58が軸受保持部本体20の回転軸方向の両端部にも熱交換油路42を挟んでさらに設けられている。断熱層58の材料としては、例えばジルコニアやアルミナ等のセラミックスを用いることが可能である。軸受保持部本体20はキャップ21と比較して熱容量(体積)が大きく昇温に必要な熱量も大きくなるが、この構成例によれば、低温時に、熱交換油路42内の発熱した潤滑油から軸受保持部本体20に供給された熱量が外側へ拡散するのを断熱層58により抑えることができるので、軸受保持部本体20の昇温を効率よく行うことができる。
【0033】
また、本実施形態では、例えば図7〜9に示すように、潤滑油供給路41、熱交換油路42、及び潤滑油排出路44を、軸受保持部本体20及びキャップ21のうち、熱容量(体積)の小さい方のキャップ21だけに形成することも可能である。図7〜9に示す構成例では、図1〜4に示す構成例と比較して、軸受保持部本体20の潤滑油供給路41、熱交換油路42、及び潤滑油排出路44が省略されている。この構成例によれば、低温時に、熱容量の小さいキャップ21に熱交換油路42内の潤滑油の熱量を供給して暖機することで、熱量あたりの昇温効率をさらに向上させることができる。
【0034】
また、本実施形態では、例えば図10に示すように、オイルポンプ40の出口40b側にオイル冷却装置62を設けることも可能である。オイル冷却装置62は、ラジエータ64で冷却された内燃機関の冷却水との熱交換により、オイルポンプ40の出口40bから吐出した潤滑油を冷却して潤滑油供給路41へ供給することが可能である。あるいは、外部サブタンク内の冷却液との熱交換を利用して潤滑油を冷却することも可能である。
【0035】
図10に示す構成例では、内燃機関の暖機後等、潤滑油の粘度が低い高温時に、ラジエータ64からオイル冷却装置62に内燃機関の冷却水を供給してオイル冷却装置62を作動させることで、オイル冷却装置62で冷却された潤滑油が軸受保持部13内部の潤滑油供給路41を通ってからラジアルすべり軸受30とクランクジャーナル18間の隙間に供給される。これによって、軸受保持部13、及びクランクジャーナル18とラジアルすべり軸受30の摺動部の冷却を行うことができる。さらに、オイル冷却装置62で冷却された潤滑油は、潤滑油流出口43から流出して各熱交換油路42を流れることで、軸受保持部13と熱交換してから潤滑油排出路44から流出する。これによって、軸受保持部13の冷却を行うことができる。したがって、内燃機関の暖機後等、高温時に、クランクジャーナル18とラジアルすべり軸受30の摺動部、及び軸受保持部13の温度を低減することができ、高温度化による油膜の油切れ、焼き付きを防止することができる。特に、ラジエータキャップ圧により温度管理されたエンジン冷却水との熱交換を行うことで、安定した潤滑油の供給と摺動部の温度管理を可能とする。また、外部サブタンクによる温度管理においても同様の効果が期待できる。
【0036】
また、本実施形態では、例えば図11に示すように、軸受保持部13内部におけるラジアルすべり軸受30の外周囲に熱交換水路68をさらに形成することも可能である。熱交換水路68には、ラジエータ66で冷却された内燃機関の冷却水が熱交換流体として供給可能であり、熱交換水路68を通る冷却水が熱交換油路42を通る潤滑油と熱交換するように、熱交換水路68が熱交換油路42に近接して配置されている。図11に示す例では、軸受保持部本体20内部における半割り軸受メタル31Aの外周囲に複数の熱交換水路68が熱交換油路42に近接して形成され、キャップ21内部における半割り軸受メタル31Bの外周囲に複数の熱交換水路68が熱交換油路42に近接して形成されている。
【0037】
図11に示す構成例では、内燃機関の暖機後等、高温時に、熱交換水路68に冷却水を流すことで、熱交換油路42を通る潤滑油と熱交換して潤滑油の冷却を行うことができる。さらに、熱交換水路68を通る冷却水が軸受保持部13と熱交換して軸受保持部13の冷却を行うことができる。したがって、内燃機関の暖機後等、高温時に、クランクジャーナル18とラジアルすべり軸受30の摺動部、及び軸受保持部13の温度を低減することができる。特に、熱容量を限定した軸受構成では、高い熱交換効率を実現することができ、潤滑油の温度制御性を向上させることが可能となる。また、ラジエータキャップ圧により温度管理されたエンジン冷却水との熱交換を行うことで、摺動部の安定した温度管理が可能となる。
【0038】
以上の説明では、本発明の実施形態に係る内燃機関の軸受構造として、クランクシャフトのクランクジャーナル18の軸受構造を例に挙げて説明した。ただし、本発明に係る内燃機関の軸受構造は、クランクシャフトのクランクジャーナル18の軸受構造以外に、例えば内燃機関のカムシャフトの軸受構造等、その他の内燃機関の回転軸の軸受構造にも適用することが可能である。
【0039】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0040】
13 軸受保持部、13A,13B 軸受装着面、18 クランクジャーナル、20 軸受保持部本体、21 キャップ、30 ラジアルすべり軸受、31A,31B 半割り軸受メタル、40 オイルポンプ、41 潤滑油供給路、42 熱交換油路、43 潤滑油流出口、44 潤滑油排出路、52 オイル予熱装置、58 断熱層、62 オイル冷却装置、64,66 ラジエータ、68 熱交換水路。
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関の軸受構造に関し、特に、内燃機関の回転軸を潤滑油を介してラジアルすべり軸受で支持し、ラジアルすべり軸受を軸受保持部で保持する内燃機関の軸受構造に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の回転軸を潤滑油を介してラジアルすべり軸受で支持する軸受構造の関連技術が下記特許文献1に開示されている。特許文献1では、オイルパン内のオイルをメインポンプによってエンジン各部へ供給する第1オイル通路と、蓄熱タンク内のオイルをサブポンプによってクランクシャフト周辺へ供給する第2オイル通路とが設けられている。エンジンの冷間始動時には、蓄熱タンク内の高温のオイルをサブポンプによってクランクシャフト周辺(主としてジャーナル)へ向けて吐出することで、クランクシャフト周辺の暖機を促進してフリクションの低減を図る。エンジンの暖機完了後は、サブポンプによって蓄熱タンク内に高温のオイルを貯留する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−144623号公報
【特許文献2】特開平6−74237号公報
【特許文献3】特開平6−74230号公報
【特許文献4】特開2010−127375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
内燃機関の回転軸を潤滑油を介してラジアルすべり軸受で支持する場合に、低温時には、潤滑油の粘度が高いため、回転軸が回転するときの粘性摩擦損失が大きくなる。粘性摩擦損失を小さくするためには、潤滑油の温度を速やかに上昇させて潤滑油の粘度を速やかに低くすることが望ましい。
【0005】
特許文献1では、エンジンの冷間始動時に、蓄熱タンク内の高温の潤滑油をクランクシャフト周辺へ向けて吐出することで、粘性摩擦損失の低減を図っている。しかし、クランクシャフト部では熱容量が非常に大きく、クランクシャフト周辺の暖機を促進するためには大きな熱量が必要となる。そのため、クランクシャフト周辺への潤滑油の吐出では、熱効率が低く、クランクシャフト周辺の暖機が不十分となる。また、潤滑油の顕熱容量は小さく、クランクシャフト周辺の暖機を促進するのに十分な熱量を蓄熱するためには、膨大な潤滑油を蓄熱タンク内に貯留する必要がある。
【0006】
本発明は、内燃機関の回転軸を潤滑油を介してラジアルすべり軸受で支持する場合に、低温時に潤滑油の昇温を効率よく行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る内燃機関の軸受構造は、上述した目的を達成するために以下の手段を採った。
【0008】
本発明に係る内燃機関の軸受構造は、内燃機関の回転軸を潤滑油を介してラジアルすべり軸受で支持し、ラジアルすべり軸受を軸受保持部で保持する内燃機関の軸受構造であって、潤滑油をラジアルすべり軸受と回転軸間の隙間に供給するための潤滑油供給路と、ラジアルすべり軸受に形成され、ラジアルすべり軸受と回転軸間の隙間から潤滑油を流出させるための潤滑油流出口と、軸受保持部におけるラジアルすべり軸受の外周囲に形成され、潤滑油流出口と連通する熱交換油路であって、該熱交換油路を通る潤滑油を軸受保持部と熱交換させるための熱交換油路と、軸受保持部に形成され、熱交換油路と連通する潤滑油排出路と、を有することを要旨とする。
【0009】
上記構成によれば、潤滑油の粘度が高い低温時に、回転軸とラジアルすべり軸受の摺動摩擦により発熱した潤滑油を利用して、熱交換油路を通る発熱した潤滑油と軸受保持部との熱交換により軸受保持部を暖機することで、回転軸とラジアルすべり軸受間の隙間に供給される潤滑油を効率よく昇温させて粘度を低くすることができる。
【0010】
本発明の一態様では、潤滑油供給路は軸受保持部に形成され、潤滑油排出路を通る潤滑油が潤滑油供給路を通る潤滑油と熱交換するように、潤滑油排出路が潤滑油供給路に近接して配置されていることが好適である。
【0011】
本発明の一態様では、ラジアルすべり軸受と回転軸間の隙間は、回転軸方向に関して両端部が他の部分よりも狭いことが好適である。
【0012】
本発明の一態様では、軸受保持部は、軸受保持部本体にキャップを締結して構成され、熱交換油路は、キャップにおけるラジアルすべり軸受の外周囲に形成されていることが好適である。
【0013】
本発明の一態様では、軸受保持部は、軸受保持部本体にキャップを締結して構成され、熱交換油路は、軸受保持部本体におけるラジアルすべり軸受の外周囲に形成され、軸受保持部本体における熱交換油路より外周側の位置に断熱層が設けられていることが好適である。
【0014】
本発明の一態様では、潤滑油供給路は軸受保持部に形成され、潤滑油を予熱装置で予熱してから潤滑油供給路へ供給可能であることが好適である。
【0015】
本発明の一態様では、潤滑油供給路は軸受保持部に形成され、潤滑油を冷却装置で冷却してから潤滑油供給路へ供給可能であることが好適である。この態様では、冷却装置は、内燃機関の冷却液との熱交換を利用するものであることが好適である。
【0016】
本発明の一態様では、熱交換油路を通る潤滑油と熱交換するための熱交換流体が供給可能な熱交換流路が軸受保持部におけるラジアルすべり軸受の外周囲にさらに形成されていることが好適である。この態様では、熱交換流体は内燃機関の冷却液であることが好適である。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本発明によれば、内燃機関の回転軸を潤滑油を介してラジアルすべり軸受で支持する場合に、低温時に潤滑油の昇温を効率よく行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態に係る内燃機関の軸受構造の概略構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る内燃機関の軸受構造の概略構成を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る内燃機関の軸受構造の概略構成を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る内燃機関の軸受構造の概略構成を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る内燃機関の軸受構造の他の概略構成を示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係る内燃機関の軸受構造の他の概略構成を示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係る内燃機関の軸受構造の他の概略構成を示す図である。
【図8】本発明の実施形態に係る内燃機関の軸受構造の他の概略構成を示す図である。
【図9】本発明の実施形態に係る内燃機関の軸受構造の他の概略構成を示す図である。
【図10】本発明の実施形態に係る内燃機関の軸受構造の他の概略構成を示す図である。
【図11】本発明の実施形態に係る内燃機関の軸受構造の他の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態(以下実施形態という)を図面に従って説明する。
【0020】
図1〜4は、本発明の実施形態に係る内燃機関の軸受構造の概略構成を示す図である。図1は軸受構造の回転軸方向から見た断面図を示し、図2,4は軸受構造の回転軸方向に垂直な方向から見た内部構成図を示し、図3は図2のA部の拡大図を示す。本実施形態に係る内燃機関の軸受構造では、内燃機関の回転軸であるクランクシャフトのクランクジャーナル18が潤滑油を介してラジアルすべり軸受(ジャーナルすべり軸受とも称される)30で支持され、ラジアルすべり軸受30が軸受保持部13で保持される。
【0021】
軸受保持部13は、内燃機関のシリンダブロックの一部分により構成される軸受保持部本体20と、軸受保持部本体20に締結されるキャップ21とを含んで構成される。軸受保持部13(軸受保持部本体20及びキャップ21)には、鉄やアルミニウム等の金属材料が用いられる。軸受保持部本体20の体積はキャップ21の体積よりも大きく、軸受保持部本体20の熱容量はキャップ21の熱容量よりも大きい。軸受保持部本体20には、略半円筒形状の凹曲面である軸受装着面13Aが形成されており、キャップ21には、略半円筒形状の凹曲面である軸受装着面13Bが形成されている。締結部材であるボルト15により軸受保持部本体20にキャップ21を締結することで、クランクジャーナル18が挿通される貫通孔が軸受装着面13A,13B間に形成され、半割り構造のラジアルすべり軸受30が軸受装着面13A,13Bに装着されることで軸受保持部13に保持される。
【0022】
ラジアルすべり軸受30は、回転軸の周方向に関して2分割された略半円筒形状の半割り軸受メタル31A,31Bにより構成される。一方の半割り軸受メタル31Aは軸受保持部本体20の軸受装着面13Aに装着されることで軸受装着面13Aと対向し、他方の半割り軸受メタル31Bはキャップ21の軸受装着面13Bに装着されることで軸受装着面13Bと対向し、2つの半割り軸受メタル31A,31Bの周方向に関する両端部同士を合わせることで、ラジアルすべり軸受30が構成される。各半割り軸受メタル31A,31Bは、裏金と、裏金の内周側に形成されたライニング層としての軸受合金層とを含んで構成される。裏金の種類としては、例えば鋼等が挙げられ、軸受合金層の種類としては、例えば銅−鉛合金やアルミニウム合金等が挙げられる。
【0023】
軸受保持部13及びラジアルすべり軸受30には、ラジアルすべり軸受30とクランクジャーナル18間の隙間と連通し、潤滑油をラジアルすべり軸受30とクランクジャーナル18間の隙間に供給するための潤滑油供給路41が形成されている。図1〜4に示す例では、軸受保持部本体20及び半割り軸受メタル31Aと、キャップ21及び半割り軸受メタル31Bとに潤滑油供給路41がそれぞれ形成され、これら2つの潤滑油供給路41が軸受周方向に関する位置をずらして(図1〜4に示す例では180°)配置されている。潤滑油供給路41には、オイルポンプ40の出口40bから吐出した潤滑油が供給される。オイルポンプ40の出口40b側にはオイル予熱装置52が設けられており、オイル予熱装置52を作動させることで、オイルポンプ40の出口40bから吐出した潤滑油をオイル予熱装置52で予熱(加熱)してから潤滑油供給路41へ供給することが可能である。
【0024】
本実施形態では、図2,3に示すように、ラジアルすべり軸受30(半割り軸受メタル31A,31B)の内周面は、回転軸方向(クランクシャフト軸線方向)に関して、両端部が他の部分より径方向内側(クランクジャーナル18側)へ張り出している。これによって、ラジアルすべり軸受30の内周面とクランクジャーナル18の外周面間の隙間は、回転軸方向に関して両端部が他の部分より狭くなる。回転軸方向両端部でのラジアルすべり軸受30とクランクジャーナル18間の隙間は、内燃機関の始動直後等の低温時(例えば20℃程度)に高粘度の潤滑油が軸受保持部13の回転軸方向両端面から流出しない程度の隙間に設定される。さらに、クランクシャフト(クランクジャーナル18)においては、ラジアルすべり軸受30の内周側に位置する部分の直径が、この部分より回転軸方向両側に位置する部分の直径よりも小さく、段付き形状となっている。さらに、ラジアルすべり軸受30には、ラジアルすべり軸受30とクランクジャーナル18間の隙間と連通し、潤滑油をラジアルすべり軸受30とクランクジャーナル18間の隙間から流出させるための潤滑油流出口43が形成されている。図1〜4に示す例では、半割り軸受メタル31A,31B同士の合わせ面(軸受周方向両端面)間に例えば切り欠きや窪み等によりクリアランスを形成することで潤滑油流出口43が形成されており(ただし回転軸方向両端部については潤滑油が外部へ漏れ出ないようにクリアランスを形成しないか狭くする)、潤滑油供給路41に対して軸受周方向に関する位置をずらして(図1〜4に示す例では90°)潤滑油流出口43が配置されている。ただし、潤滑油流出口43を半割り軸受メタル31Aや半割り軸受メタル31Bに形成することも可能である。
【0025】
さらに、本実施形態では、軸受保持部13内部におけるラジアルすべり軸受30の外周囲には、潤滑油流出口43と連通する複数の熱交換油路42が形成されており、各熱交換油路42を通る潤滑油が軸受保持部13と熱交換する。さらに、軸受保持部13には、各熱交換油路42と連通する潤滑油排出路44が形成されており、潤滑油排出路44を通る潤滑油が潤滑油供給路41を通る潤滑油と熱交換するように、潤滑油排出路44が潤滑油供給路41に近接して配置されている。複数の熱交換油路42の一端部が回転軸方向に互いに間隔をおいた状態で潤滑油流出口43と連通し、各熱交換油路42の他端部が潤滑油排出路44と連通する。図1〜4に示す例では、軸受保持部本体20内部における半割り軸受メタル31Aの外周囲に複数の熱交換油路42が形成され、キャップ21内部における半割り軸受メタル31Bの外周囲に複数の熱交換油路42が形成されている。そして、軸受保持部本体20に複数の潤滑油排出路44が潤滑油供給路41に近接して形成され、キャップ21に複数の潤滑油排出路44が潤滑油供給路41に近接して形成されている。なお、図1〜4を含む各図において、ラジアルすべり軸受30の厚さや、ラジアルすべり軸受30とクランクジャーナル18間の隙間や、潤滑油供給路41、熱交換油路42、潤滑油流出口43、及び潤滑油排出路44の幅等のサイズについては、説明の便宜上、実際のサイズよりも大きく図示している。
【0026】
オイルポンプ40から潤滑油供給路41に供給された潤滑油は、図1の矢印に示すように、ラジアルすべり軸受30の内周面とクランクジャーナル18の外周面間の隙間に流入する。ラジアルすべり軸受30は、クランクジャーナル18を潤滑油を介して回転自在に支持することで、クランクジャーナル18の径方向に沿った荷重を潤滑油を介して受ける。潤滑油は、ラジアルすべり軸受30とクランクジャーナル18間の隙間を軸受周方向(クランクジャーナル18の回転方向)に流れ、潤滑油流出口43から流出する。その際には、ラジアルすべり軸受30とクランクジャーナル18間の隙間は、回転軸方向に関して両端部が他の部分より狭いことで、潤滑油が軸受保持部13の回転軸方向両端面から流出するのが抑えられる。さらに、クランクシャフト(クランクジャーナル18)を前述の段付き形状にすることによっても、潤滑油が軸受保持部13の回転軸方向両端面から流出するのが抑えられる。ここでの潤滑油は、油膜を形成することにより、回転軸と軸受が焼き付くことなく機関を運転すること、回転軸と軸受との摩擦損失や磨耗を低減することを主な役割とするが、冷却、洗浄、防錆等の役割も果たしている。
【0027】
潤滑油流出口43から流出した潤滑油は、図1,4の矢印に示すように、各熱交換油路42を流れることで、軸受保持部13と熱交換する。各熱交換油路42から流出した潤滑油は、潤滑油排出路44を流れることで、潤滑油供給路41を流れる潤滑油と熱交換する。潤滑油排出路44から軸受保持部13外部へ流出した潤滑油は、オイルポンプ40の入口40a側へ戻る。図1では、オイルポンプ40の出口40b(オイル予熱装置52)から潤滑油供給路41に潤滑油を供給するための具体的構成、及び潤滑油排出路44からオイルポンプ40の入口40aへ潤滑油を戻すための具体的構成を簡略化しているが、周知の構成で実現可能である。
【0028】
内燃機関の始動直後等、低温時においては、潤滑油の粘度が高くなる。クランクジャーナル18がラジアルすべり軸受30に対して回転する際には、ラジアルすべり軸受30とクランクジャーナル18間の隙間に供給された潤滑油がせん断力(摺動摩擦)により発熱し、潤滑油の粘度が高いほど、せん断力による発熱量が増加する。本実施形態では、クランクジャーナル18とラジアルすべり軸受30の摺動摩擦により発熱した潤滑油が、潤滑油流出口43を介して各熱交換油路42に供給される。その際には、前述したように、摺動摩擦により発熱した潤滑油が軸受保持部13の回転軸方向両端面から流出するのが抑えられる。各熱交換油路42を通る発熱した潤滑油は、軸受保持部13(ラジアルすべり軸受30の外周囲)と熱交換を行うことで、軸受保持部13を加熱する。これによって、ラジアルすべり軸受30とクランクジャーナル18間の隙間に供給される潤滑油を外周側から加熱することができ、潤滑油の粘度を低くすることができるので、クランクジャーナル18が回転するときの粘性摩擦損失を低減することができる。その際には、軸受保持部13内部に形成する熱交換油路42の数や長さを増加させて、熱交換油路42を通る潤滑油と軸受保持部13との接触面積を増加させることで、熱交換油路42を通る発熱した潤滑油から軸受保持部13への供給熱量を増加させることができる。さらに、潤滑油排出路44を通る発熱した潤滑油が、潤滑油供給路41を通る潤滑油と熱交換することで、潤滑油供給路41を通る潤滑油を加熱する。これによっても、ラジアルすべり軸受30とクランクジャーナル18間の隙間に供給される潤滑油を加熱することができ、潤滑油の粘度を低くすることができる。
【0029】
このように、本実施形態では、内燃機関の始動直後等、潤滑油の粘度が高い低温時に、軸受保持部13内部の熱交換油路42を通る発熱した潤滑油と軸受保持部13との熱交換を利用して軸受保持部13を暖機することで、ラジアルすべり軸受30とクランクジャーナル18間の隙間に供給される潤滑油を速やかに昇温させて粘度を低くすることができる。その際には、クランクシャフトと比較して熱容量(体積)の小さい軸受保持部13に熱量を供給することで、熱量あたりの昇温効率を向上させることができる。また、ラジアルすべり軸受30とクランクジャーナル18間に存在する隙間と薄い油膜により構成される熱抵抗を利用して、軸受保持部13へ供給した熱量のクランクシャフトへの熱損失を抑えることができ、軸受保持部13の昇温を促進させることができる。さらに、クランクジャーナル18とラジアルすべり軸受30の摺動摩擦により発熱した潤滑油を利用して軸受保持部13を暖機することで、ラジアルすべり軸受30とクランクジャーナル18間の隙間に供給される潤滑油を効率よく昇温させることができる。その際には、摺動摩擦により発熱した潤滑油が軸受保持部13の回転軸方向両端面から流出するのが抑えられることで、摺動摩擦により発生した熱が軸受保持部13外部へ逃げるのが抑えられ、摺動摩擦により発生した熱を有効に利用して軸受保持部13を暖機することができる。さらに、潤滑油排出路44を通る発熱した潤滑油と潤滑油供給路41を通る潤滑油との熱交換を利用することによっても、ラジアルすべり軸受30とクランクジャーナル18間の隙間に供給される潤滑油を効率よく昇温させることができる。
【0030】
したがって、本実施形態によれば、内燃機関の始動直後等、潤滑油の粘度が高い低温時に、ラジアルすべり軸受30とクランクジャーナル18間の隙間に供給される潤滑油を効率よく昇温させて粘度を低くすることができる。その結果、クランクジャーナル18が回転するときの粘性摩擦損失を速やかに低減することができる。
【0031】
さらに、本実施形態では、内燃機関の始動直後等、潤滑油の粘度が高い低温時に、オイル予熱装置52を作動させることで、オイルポンプ40の出口40bから吐出した潤滑油をオイル予熱装置52で予熱してから潤滑油供給路41へ供給することもできる。軸受保持部13内部の潤滑油供給路41からラジアルすべり軸受30とクランクジャーナル18間の隙間に予熱した潤滑油を供給することで、軸受保持部13を暖機してラジアルすべり軸受30とクランクジャーナル18間の隙間に供給される潤滑油の粘度を低くすることができる。さらに、予熱した潤滑油の熱量のクランクシャフトへの熱損失を抑えることができる。
【0032】
本実施形態では、例えば図5,6に示すように、軸受保持部本体20における熱交換油路42より外周側の位置に断熱層58を設けることもできる。図5,6に示す例では、断熱層58が軸受保持部本体20の回転軸方向の両端部にも熱交換油路42を挟んでさらに設けられている。断熱層58の材料としては、例えばジルコニアやアルミナ等のセラミックスを用いることが可能である。軸受保持部本体20はキャップ21と比較して熱容量(体積)が大きく昇温に必要な熱量も大きくなるが、この構成例によれば、低温時に、熱交換油路42内の発熱した潤滑油から軸受保持部本体20に供給された熱量が外側へ拡散するのを断熱層58により抑えることができるので、軸受保持部本体20の昇温を効率よく行うことができる。
【0033】
また、本実施形態では、例えば図7〜9に示すように、潤滑油供給路41、熱交換油路42、及び潤滑油排出路44を、軸受保持部本体20及びキャップ21のうち、熱容量(体積)の小さい方のキャップ21だけに形成することも可能である。図7〜9に示す構成例では、図1〜4に示す構成例と比較して、軸受保持部本体20の潤滑油供給路41、熱交換油路42、及び潤滑油排出路44が省略されている。この構成例によれば、低温時に、熱容量の小さいキャップ21に熱交換油路42内の潤滑油の熱量を供給して暖機することで、熱量あたりの昇温効率をさらに向上させることができる。
【0034】
また、本実施形態では、例えば図10に示すように、オイルポンプ40の出口40b側にオイル冷却装置62を設けることも可能である。オイル冷却装置62は、ラジエータ64で冷却された内燃機関の冷却水との熱交換により、オイルポンプ40の出口40bから吐出した潤滑油を冷却して潤滑油供給路41へ供給することが可能である。あるいは、外部サブタンク内の冷却液との熱交換を利用して潤滑油を冷却することも可能である。
【0035】
図10に示す構成例では、内燃機関の暖機後等、潤滑油の粘度が低い高温時に、ラジエータ64からオイル冷却装置62に内燃機関の冷却水を供給してオイル冷却装置62を作動させることで、オイル冷却装置62で冷却された潤滑油が軸受保持部13内部の潤滑油供給路41を通ってからラジアルすべり軸受30とクランクジャーナル18間の隙間に供給される。これによって、軸受保持部13、及びクランクジャーナル18とラジアルすべり軸受30の摺動部の冷却を行うことができる。さらに、オイル冷却装置62で冷却された潤滑油は、潤滑油流出口43から流出して各熱交換油路42を流れることで、軸受保持部13と熱交換してから潤滑油排出路44から流出する。これによって、軸受保持部13の冷却を行うことができる。したがって、内燃機関の暖機後等、高温時に、クランクジャーナル18とラジアルすべり軸受30の摺動部、及び軸受保持部13の温度を低減することができ、高温度化による油膜の油切れ、焼き付きを防止することができる。特に、ラジエータキャップ圧により温度管理されたエンジン冷却水との熱交換を行うことで、安定した潤滑油の供給と摺動部の温度管理を可能とする。また、外部サブタンクによる温度管理においても同様の効果が期待できる。
【0036】
また、本実施形態では、例えば図11に示すように、軸受保持部13内部におけるラジアルすべり軸受30の外周囲に熱交換水路68をさらに形成することも可能である。熱交換水路68には、ラジエータ66で冷却された内燃機関の冷却水が熱交換流体として供給可能であり、熱交換水路68を通る冷却水が熱交換油路42を通る潤滑油と熱交換するように、熱交換水路68が熱交換油路42に近接して配置されている。図11に示す例では、軸受保持部本体20内部における半割り軸受メタル31Aの外周囲に複数の熱交換水路68が熱交換油路42に近接して形成され、キャップ21内部における半割り軸受メタル31Bの外周囲に複数の熱交換水路68が熱交換油路42に近接して形成されている。
【0037】
図11に示す構成例では、内燃機関の暖機後等、高温時に、熱交換水路68に冷却水を流すことで、熱交換油路42を通る潤滑油と熱交換して潤滑油の冷却を行うことができる。さらに、熱交換水路68を通る冷却水が軸受保持部13と熱交換して軸受保持部13の冷却を行うことができる。したがって、内燃機関の暖機後等、高温時に、クランクジャーナル18とラジアルすべり軸受30の摺動部、及び軸受保持部13の温度を低減することができる。特に、熱容量を限定した軸受構成では、高い熱交換効率を実現することができ、潤滑油の温度制御性を向上させることが可能となる。また、ラジエータキャップ圧により温度管理されたエンジン冷却水との熱交換を行うことで、摺動部の安定した温度管理が可能となる。
【0038】
以上の説明では、本発明の実施形態に係る内燃機関の軸受構造として、クランクシャフトのクランクジャーナル18の軸受構造を例に挙げて説明した。ただし、本発明に係る内燃機関の軸受構造は、クランクシャフトのクランクジャーナル18の軸受構造以外に、例えば内燃機関のカムシャフトの軸受構造等、その他の内燃機関の回転軸の軸受構造にも適用することが可能である。
【0039】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0040】
13 軸受保持部、13A,13B 軸受装着面、18 クランクジャーナル、20 軸受保持部本体、21 キャップ、30 ラジアルすべり軸受、31A,31B 半割り軸受メタル、40 オイルポンプ、41 潤滑油供給路、42 熱交換油路、43 潤滑油流出口、44 潤滑油排出路、52 オイル予熱装置、58 断熱層、62 オイル冷却装置、64,66 ラジエータ、68 熱交換水路。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の回転軸を潤滑油を介してラジアルすべり軸受で支持し、ラジアルすべり軸受を軸受保持部で保持する内燃機関の軸受構造であって、
潤滑油をラジアルすべり軸受と回転軸間の隙間に供給するための潤滑油供給路と、
ラジアルすべり軸受に形成され、ラジアルすべり軸受と回転軸間の隙間から潤滑油を流出させるための潤滑油流出口と、
軸受保持部におけるラジアルすべり軸受の外周囲に形成され、潤滑油流出口と連通する熱交換油路であって、該熱交換油路を通る潤滑油を軸受保持部と熱交換させるための熱交換油路と、
軸受保持部に形成され、熱交換油路と連通する潤滑油排出路と、
を有する、内燃機関の軸受構造。
【請求項2】
請求項1に記載の内燃機関の軸受構造であって、
潤滑油供給路は軸受保持部に形成され、
潤滑油排出路を通る潤滑油が潤滑油供給路を通る潤滑油と熱交換するように、潤滑油排出路が潤滑油供給路に近接して配置されている、内燃機関の軸受構造。
【請求項3】
請求項1または2に記載の内燃機関の軸受構造であって、
ラジアルすべり軸受と回転軸間の隙間は、回転軸方向に関して両端部が他の部分よりも狭い、内燃機関の軸受構造。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1に記載の内燃機関の軸受構造であって、
軸受保持部は、軸受保持部本体にキャップを締結して構成され、
熱交換油路は、キャップにおけるラジアルすべり軸受の外周囲に形成されている、内燃機関の軸受構造。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1に記載の内燃機関の軸受構造であって、
軸受保持部は、軸受保持部本体にキャップを締結して構成され、
熱交換油路は、軸受保持部本体におけるラジアルすべり軸受の外周囲に形成され、
軸受保持部本体における熱交換油路より外周側の位置に断熱層が設けられている、内燃機関の軸受構造。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1に記載の内燃機関の軸受構造であって、
潤滑油供給路は軸受保持部に形成され、
潤滑油を予熱装置で予熱してから潤滑油供給路へ供給可能である、内燃機関の軸受構造。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか1に記載の内燃機関の軸受構造であって、
潤滑油供給路は軸受保持部に形成され、
潤滑油を冷却装置で冷却してから潤滑油供給路へ供給可能である、内燃機関の軸受構造。
【請求項8】
請求項7に記載の内燃機関の軸受構造であって、
冷却装置は、内燃機関の冷却液との熱交換を利用するものである、内燃機関の軸受構造。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1に記載の内燃機関の軸受構造であって、
熱交換油路を通る潤滑油と熱交換するための熱交換流体が供給可能な熱交換流路が軸受保持部におけるラジアルすべり軸受の外周囲にさらに形成されている、内燃機関の軸受構造。
【請求項10】
請求項9に記載の内燃機関の軸受構造であって、
熱交換流体は内燃機関の冷却液である、内燃機関の軸受構造。
【請求項1】
内燃機関の回転軸を潤滑油を介してラジアルすべり軸受で支持し、ラジアルすべり軸受を軸受保持部で保持する内燃機関の軸受構造であって、
潤滑油をラジアルすべり軸受と回転軸間の隙間に供給するための潤滑油供給路と、
ラジアルすべり軸受に形成され、ラジアルすべり軸受と回転軸間の隙間から潤滑油を流出させるための潤滑油流出口と、
軸受保持部におけるラジアルすべり軸受の外周囲に形成され、潤滑油流出口と連通する熱交換油路であって、該熱交換油路を通る潤滑油を軸受保持部と熱交換させるための熱交換油路と、
軸受保持部に形成され、熱交換油路と連通する潤滑油排出路と、
を有する、内燃機関の軸受構造。
【請求項2】
請求項1に記載の内燃機関の軸受構造であって、
潤滑油供給路は軸受保持部に形成され、
潤滑油排出路を通る潤滑油が潤滑油供給路を通る潤滑油と熱交換するように、潤滑油排出路が潤滑油供給路に近接して配置されている、内燃機関の軸受構造。
【請求項3】
請求項1または2に記載の内燃機関の軸受構造であって、
ラジアルすべり軸受と回転軸間の隙間は、回転軸方向に関して両端部が他の部分よりも狭い、内燃機関の軸受構造。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1に記載の内燃機関の軸受構造であって、
軸受保持部は、軸受保持部本体にキャップを締結して構成され、
熱交換油路は、キャップにおけるラジアルすべり軸受の外周囲に形成されている、内燃機関の軸受構造。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1に記載の内燃機関の軸受構造であって、
軸受保持部は、軸受保持部本体にキャップを締結して構成され、
熱交換油路は、軸受保持部本体におけるラジアルすべり軸受の外周囲に形成され、
軸受保持部本体における熱交換油路より外周側の位置に断熱層が設けられている、内燃機関の軸受構造。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1に記載の内燃機関の軸受構造であって、
潤滑油供給路は軸受保持部に形成され、
潤滑油を予熱装置で予熱してから潤滑油供給路へ供給可能である、内燃機関の軸受構造。
【請求項7】
請求項1〜5のいずれか1に記載の内燃機関の軸受構造であって、
潤滑油供給路は軸受保持部に形成され、
潤滑油を冷却装置で冷却してから潤滑油供給路へ供給可能である、内燃機関の軸受構造。
【請求項8】
請求項7に記載の内燃機関の軸受構造であって、
冷却装置は、内燃機関の冷却液との熱交換を利用するものである、内燃機関の軸受構造。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1に記載の内燃機関の軸受構造であって、
熱交換油路を通る潤滑油と熱交換するための熱交換流体が供給可能な熱交換流路が軸受保持部におけるラジアルすべり軸受の外周囲にさらに形成されている、内燃機関の軸受構造。
【請求項10】
請求項9に記載の内燃機関の軸受構造であって、
熱交換流体は内燃機関の冷却液である、内燃機関の軸受構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−197922(P2012−197922A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−64143(P2011−64143)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【Fターム(参考)】
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