説明

内燃機関用液体燃料

本発明は、分子中の炭素原子数が2〜6である脂肪族一価のアルコール単体若しくは混合アルコール成分を2重量%〜85重量%、炭化水素成分を15〜98重量%、を含む内燃機関用液体燃料であって、得られる内燃機関用液体燃料が、予め定められた所定温度におけるアルミニウム腐食を防止しうる量のアルミニウム腐食防止剤を含み、該アルミニウム腐食防止剤が、メタノール、グリコール類炭化水素、ケトン類炭化水素、エステル類炭化水素、アルデヒド類炭化水素、の少なくとも1種とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、既存のガソリン用内燃機関の構造または材質の変更を必要とせずに、従来のガソリンと同程度またはそれ以上の効率と出力が得られる液体燃料の改良に関する。
【背景技術】
近年の環境問題への取り組みの一環として、自動車の排出ガスによる大気汚染の問題がより一層重大視されるようになってきており、これら自動車の排出ガス中の一酸化炭素(CO)と炭化水素(HC)濃度を著しく下げ、従来のガソリンに代わり使用することのできる内燃機関用燃料として軽質ナフサにアルコールを添加したアルコール系燃料が注目されており、実用化の検討がなされている。
これら軽質ナフサとアルコールとを含む合成液体燃料は、前述のように一酸化炭素(CO)と炭化水素(HC)とともに、アルコール等には実質的に軽質ナフサ等に比較して硫黄成分が非常に少ないことからSOx等も低減できることから好ましいものの、アルコールを含有するために、これら合成液体燃料が燃料噴射装置等において、高温・高圧にて金属、特にアルミやアルミ合金等と接触すると、これらアルミやアルミ合金等が長期の使用において腐食(溶出)して故障の原因となってしまうという問題があった。
よって、本発明は前記問題点に着目してなされたもので、これらアルコールを含有する合成液体燃料による金属、特にはアルミやアルミ合金等の腐食(溶出)が生じることのない、極めて実用性に優れた内燃機関用液体燃料を提供することを目的としている。
【発明の開示】
上記した目的を達成するために、本発明の内燃機関用液体燃料は、分子中の炭素原子数が2〜6である脂肪族一価のアルコール単体若しくは混合アルコール成分を2重量%〜85重量%、炭化水素成分を15〜98重量%、を含む内燃機関用液体燃料であって、
該内燃機関用液体燃料中の前記アルコール成分がN重量%である場合に、0.002×N重量%以上或いは得られる内燃機関用液体燃料の0.1重量%のいずれか多い方の分量の水を添加したことを特徴としている。
この特徴によれば、得られる内燃機関用液体燃料中の前記アルコール成分がN重量%である場合に、0.002×N重量%以上或いは得られる内燃機関用液体燃料の0.1重量%のいずれか多い方の分量の水を添加することで、金属、特にはアルミやアルミ合金等の腐食(溶出)が生じることのない、極めて実用性に優れた内燃機関用液体燃料を得ることができる。
本発明の内燃機関用液体燃料は、分子中の炭素原子数が2〜6である脂肪族一価のアルコール単体若しくは混合アルコール成分を2重量%〜85重量%、炭化水素成分を15〜98重量%、を含む内燃機関用液体燃料であって、
得られる内燃機関用液体燃料が、予め定められた所定温度におけるアルミニウム腐食を防止しうる量のアルミニウム腐食防止剤を含み、該アルミニウム腐食防止剤が、メタノール、グリコール類炭化水素、ケトン類炭化水素、エステル類炭化水素、アルデヒド類炭化水素、のすくなとも1種であることを特徴としている。
この特徴によれば、アルミニウム腐食防止剤として、メタノール、グリコール類炭化水素、ケトン類炭化水素、エステル類炭化水素、アルデヒド類炭化水素、のすくなとも1種を用いることで、金属、特にはアルミやアルミ合金等の腐食(溶出)が生じることのない、極めて実用性に優れた内燃機関用液体燃料を得ることができるばかりか、低温時においてアルコールと炭化水素が分離したりすることを回避でき、低温安定性に優れた内燃機関用液体燃料を得ることもできる。
本発明の内燃機関用液体燃料は、前記アルミニウム腐食防止剤として少なくとも水を含むことが好ましい。
このようにすれば、アルミニウム腐食防止剤の一部として安価な水を使用することで、比較的高価な前記水以外のアルミニウム腐食防止剤の量を少なくでき、得られる内燃機関用液体燃料のコスト上昇を防止できる。
本発明の内燃機関用液体燃料は、前記内燃機関用液体燃料中に、分子中の炭素原子数が12以下であって該分子中に少なくとも1つのエーテル結合を有する少なくとも1種類のエーテル成分を含むことが好ましい。
このようにすれば、エーテル成分を含むことにより、得られる液体燃料中のアルコール成分と炭化水素成分とが長期の保管等において分離することも防止できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の実施例における内燃機関用液体燃料の製造方法を示すフロー図である。
第2図は、液体燃料中のアルコールと炭化水素成分の比率と排出ガス中の汚染ガス濃度との関係を示すグラフである。
第3図は、本実施例における各配合組成を示す図である。
第4図は、本実施例の配合1の試験結果を示す図である。
第5図は、本実施例の配合2の試験結果を示す図である。
第6図は、本実施例の配合3の試験結果を示す図である。
第7図は、本実施例の配合4の試験結果を示す図である。
第8図は、本実施例の配合5の試験結果を示す図である。
第9図は、本実施例の配合6の試験結果を示す図である。
第10図は、本実施例の配合7の試験結果を示す図である。
第11図は、本実施例の配合8の試験結果を示す図である。
第12図は、本実施例の配合9の試験結果を示す図である。
第13図は、本実施例の配合10の試験結果を示す図である。
第14図は、本実施例の配合11の試験結果を示す図である。
第15図は、本実施例の配合12の試験結果を示す図である。
第16図は、本実施例の配合13の試験結果を示す図である。
第17図は、本実施例の配合14の試験結果を示す図である。
第18図は、本実施例の配合15の試験結果を示す図である。
第19図は、本実施例の配合16(配合1+エーテル)の試験結果を示す図である。
第20図は、本実施例の配合17(配合2+エーテル)の試験結果を示す図である。
第21図は、本実施例の配合18(配合3+エーテル)の試験結果を示す図である。
第22図は、本実施例の配合19(配合4+エーテル)の試験結果を示す図である。
第23図は、本実施例の配合20(配合5+エーテル)の試験結果を示す図である。
第24図は、本実施例の配合21(配合6+エーテル)の試験結果を示す図である。
第25図は、本実施例の配合22(配合7+エーテル)の試験結果を示す図である。
第26図は、本実施例の配合23(配合8+エーテル)の試験結果を示す図である。
第27図は、本実施例の配合24(配合9+エーテル)の試験結果を示す図である。
第28図は、本実施例の配合25(配合10+エーテル)の試験結果を示す図である。
第29図は、本実施例の配合26(配合11+エーテル)の試験結果を示す図である。
第30図は、本実施例の配合27(配合12+エーテル)の試験結果を示す図である。
第31図は、本実施例の配合28(配合13+エーテル)の試験結果を示す図である。
第32図は、本実施例の配合29(配合14+エーテル)の試験結果を示す図である。
第33図は、本実施例の配合30(配合15+エーテル)の試験結果を示す図である。
第34図は、本実施例の配合0の試験結果を示す図である。
第35図は、本実施例の各配合における水及びアルミニウム腐食防止剤の添加効果を示す図である。
第36図は、アルコールの添加量とアルミ腐食との関係を示す図である。
第37図は、水の最低添加量の検証配合と検証結果を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
以下に、本発明に用いられる主原料としての前記アルコール、炭化水素並びにエーテル並びにアルミニウム腐食防止剤としてのメタノール、グリコール類炭化水素、ケトン類炭化水素、エステル類炭化水素、アルデヒド類炭化水素、並びに水の各々について、得られる合成液体燃料中の含有比率や好適に使用できるものとその理由を以下に説明する。
まず、得られる合成液体燃料の主成分となる前記主原料アルコールとしては、該アルコール分子中の炭素数が2以上で6以下の直鎖系或いは非直鎖系のアルコールを好適に使用することができる。これら主原料アルコールとして分子中の炭素数が2であるエチルアルコールよりも炭素数の多いアルコールを使用し、極性の著しく大きな炭素数1のアルコールであるメタノールを多く含有しないようにすることで、得られる合成液体燃料全体の極性が大きくなってしまうことや、これら極性の大きなメタノールにより燃料供給用のゴムパイプ等を膨潤させてしまうことを回避できるようになる。
これら主原料アルコールとしては、2級や3級の多価アルコールが存在するが、これらの高級アルコールは、その価格が高いとともに入手し難いために、得られる合成液体燃料の価格も高くなってしまうことから、1級アルコール(一価)を使用することが好ましい。
また、これらアルコール分子中に含まれる分子鎖の炭素数としては、これが7以上、特には10を越えると、通常の室温や低温時における揮発性が大きく低下してしまうとともに、燃焼において燃焼時間が長くなる傾向にあることから、炭化水素の燃焼速度との差が生じやすくなってしまいガソリン代替え燃料として不適になってしまうことから、その炭素数は10以下、特に低温を考慮する場合には、6以下とすることが好ましい。
また、これら主原料アルコールとしては、アルコール単体のみではなく、価格や入手のしやすさ、プラントの能力等により異なる適宜な2種以上のアルコールを混合して使用することができる。このように異なる2種類以上のアルコールを併用することにより、液体燃料として使用する軽質ナフサやリサイクル炭化水素の組成のばらつきによる合成燃料の比重のばらつきを、これらアルコールの比率を適宜に変化させることで調節できるようになるばかりか、その燃焼速度がそれぞれのアルコールで多少違いがあるため、これらアルコールを組み合わせることで、燃焼速度をガソリンに合わせることができるようになるとともに、これらガソリン用の施設を利用する場合の作業上の観点からも好ましく、これらアルコールの組み合わせとしては、価格や揮発性等の観点からエタノール、ノルマルプロパノール(NPA)、イソプロピルアルコール(IPA)、イソブチルアルコール(IBA)、ブチルアルコール、ペンタノール、ヘキサノール等を適宜に組み合わせることが好ましく、特に非直鎖系の脂肪族一価アルコールを用いることは、これにより得られるオクタン価を向上できることから好ましいが、本発明はこれに限定されるものではない。
これらアルコールの合成燃料中の比率としては、図2に示すように、アルコールをガソリン成分である軽質ナフサに添加していくことで、排出ガス中の一酸化炭素(CO)と炭化水素(HC)とが漸減していき、得られる燃料中のアルコール比率が25重量%以上となることで、排出ガス中の炭化水素(HC)の濃度がほぼ一定となる一方、排出ガス中の一酸化炭素(CO)の濃度は、アルコール比率が約85重量%程度まで漸減していくことが判る。そして、アルコール比率が約85重量%を越えると、ほぼアルコール単体の場合と排出ガス中の一酸化炭素(CO)と炭化水素(HC)の濃度は同一となることが判るが、アルコール比率が約85重量%を越えると、得られる燃料の燃焼速度が炭化水素の燃焼速度ではなく、アルコールの燃焼速度側となり、従来よりガソリン用に使用されている内燃機にあっては、良好な燃焼が得られず、特に高回転での燃焼速度に不適切となってしまう不都合が生じることから、85重量%以下とすることが好ましい。
また、アルコール比率の下限値は、図36に示すように、アルコールであるエタノールを軽質ナフサに添加した場合において、エタノールを2重量%しか含まないものでも、120℃で240時間の加熱においてアルミの溶出による重量減少が見られることから、これら2重量%以上において、本発明のアルミ腐食防止効果を得られることから、2重量%以上とすれば良く、前記上限値とから、アルコールの合成燃料中の比率としては2〜85重量%の範囲とすれば良い。
また、より好ましくは、図36に示す結果から、アルコール比率が10重量%を越えると、80℃で240時間においてもアルミの溶出による重量減少が生じるとともに、図2に示す結果から、アルコール比率が15重量%を下回ると特に炭化水素(HC)が著しく増加してしまい、アルコール比率が75重量%を越えると、内燃機の機種によっては、前述のように、炭化水素とアルコールとで燃焼速度に差があるために、燃焼の非同期現象により走行に支障を生じる場合があることから、これらアルコール比率としては、15〜75重量%の範囲とすれば良い。
次いで、前記炭化水素としては飽和または不飽和炭化水素を好適に使用することができるが、該炭化水素分子中に含まれる炭素数が13を越えると、その揮発性が低下して着火装置の着火能力を低下させたり、燃焼時の残査による排気ガス中のCOやHCの濃度が上昇してしまうことから、これら燃焼時の残査による排気ガス中のCOやHCの濃度や着火装置の着火能力等を考慮して適宜に選択すれば良く、好ましくは、炭素原子数が9以下の飽和または不飽和炭化水素とすれば良い。その中でも、飽和炭化水素の混合物である軽質ナフサは、価格が安価であることから好適に使用することができる。
これら軽質ナフサ中には、B(ベンゼン)、T(トルエン)、X(キシレン)等の芳香族炭化水素を含有するものが多いが、これら芳香族炭化水素の濃度が高いと、ガソリン燃料の場合と同様に、排気ガス中のCOやHCの濃度が上昇したり、これら有害なB(ベンゼン)、T(トルエン)、X(キシレン)等の芳香族炭化水素自体が排気ガス中に排出されてしまう場合があることから、これらB(ベンゼン)、T(トルエン)、X(キシレン)等の芳香族炭化水素の各々の含有率が低いものを使用することが好ましい。
また、これら軽質ナフサとしては、原油産地により内在する硫黄分濃度が大きく異なるが、これら硫黄分濃度が高いと、排気ガス中のSOxが増大してしまうことから、0.01%以下となるように脱硫することが好ましい。
また、これら軽質ナフサとともに、昨今大量に処理に窮している廃プラスティク類をリサイクル処理の一貫である油化したリサイクル油を初留点38〜60℃、終点180〜220℃まで分溜した再製油を使用することもできる。これらの再製油はプラスティクの原料であるナフサの段階で脱硫されているので、排気ガス中のSOxをより一層低減する事もできる。
これらリサイクル油を使用する場合は、初留点が60℃を上回ると、気温が低い場合や寒冷地では始動性が著しく低下してしまい、ガソリンと同等の始動性が得られなくなってしまうし、終点が220℃より高くなると、エンジン回転が高回転の時に、エンジンのパワーを設計値通りに発生させることができなくなってしまうことから、初留点38〜60℃、終点180〜220℃まで分溜した再製油とすることが好ましい。
次いで、エーテル成分としては、分子中の炭素原子数が12以下であって該分子中に少なくとも1つのエーテル結合を有する少なくとも1種類のエーテルを使用することができる。
これらエーテル成分は、必ず必要なものではないが、これらエーテル成分を加えることで、経年変化等で炭化水素成分とアルコール成分とが分離してしまうことを防止できるようになることから好ましく、これらエーテル成分を加える場合には、その比率としては、使用するその他の成分の比率組成にもよるが、得ようとする保存安定性によって適宜に選択すればよいが、通常として、5重量%以下だと前記保存安定性の効果が少なく、一方、エーテル比率が30重量%以上だと燃料としてエーテル臭が発生することと、揮発性が大幅に上昇して燃料の蒸発量が多くなり燃料としての備蓄における損失が多くなることから、5〜30重量%とすれば良い。
これら、配合するエーテルとしては、エーテル結合を少なくとも分子中に有するものであれば使用することができるが、これら使用するエーテル分子中の炭素数が多いと、エーテルの揮発性が低下するばかりか、アルコールと炭化水素との相溶性を向上させる能力が低下するとともに、その価格が高く、且つ燃料としての量の入手が難しいことから、その炭素数は12以下とすれば良い。
また、これら炭素数が比較的多いエーテルを用いる場合には、前述のように、炭化水素とアルコールとの分離が生じやすくなってしまうことから、例えばジエチレングリコールジメチルエーテルや、エチレングリコールジエチルエーテルのように、その分子中にエーテル結合を2つ以上有するものとしたり、エチレングリコールモノエチルエーテルのように、該分子中にエーテル結合の他に水酸基(OH)を有するものを用いるようにすることで、極性の低下による炭化水素とアルコールとの分離を回避することが好ましく、これらの分子中に複数のエーテル結合や該エーテル結合の他に水酸基(OH)を有するものを用いることで、従来の低炭素数のエーテルと同等或いはそれ以上の分離防止効果を得るようにしても良い。
また、これらエーテルとしては、単一のエーテルのみではなく、価格や、揮発性並びに前記炭化水素とアルコールとの相溶性の観点から、炭素数の少ないエーテルと炭素数の多いエーテルとを混合して使用するようにしても良い。
次いで、アルミニウム腐食防止剤としては、メタノール、グリコール類炭化水素、ケトン類炭化水素、エステル類炭化水素、アルデヒド類炭化水素、並びに水を使用することができる。
このアルミニウム腐食防止剤として使用するグリコール類炭化水素としては、高分子のものは粘度が高く、得られる合成燃料の粘度が上昇することから、比較的分子量の少ないエチレングリコールや、プロピレングリコール等を好適に使用することができる。
また、アルミニウム腐食防止剤として使用するケトン類炭化水素としては、分子中にケトン結合を少なくとも1つ有する炭化水素であれば良く、内在する炭素数が多いケトン類炭化水素は、その価格が高いこと等から、分子内に内在する炭素数が比較的少ないアセトンやジメチルケトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルnプロピルケトン、メチルイソブチルケトン、アセチルアセトン等を好適に使用することができる。
また、アルミニウム腐食防止剤として使用するエステル類炭化水素としては、分子中にエステル結合を少なくとも1つ有する炭化水素であれば良く、内在する炭素数が多いエステル類炭化水素は、その価格が高いこと等から、分子内に内在する炭素数が比較的少ない、ギ酸メチルや、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル等を好適に使用することができる。
また、アルミニウム腐食防止剤として使用するアルデヒド類炭化水素としては、分子中にアルデヒド結合を少なくとも1つ有する炭化水素であれば良く、内在する炭素数が多いアルデヒド類炭化水素は、その価格が高いこと等から、分子内に内在する炭素数が比較的少ない、アセトアルデヒドや、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド等を好適に使用することができる。
また、これらアルミニウム腐食防止剤としては、メタノール、グリコール類炭化水素、ケトン類炭化水素、エステル類炭化水素、アルデヒド類炭化水素、並びに水の添加量としては、これらアルミニウム腐食防止剤は、主原料となるアルコールやナフサよりも価格が高いことから、得られる合成液体燃料の所定温度、例えば80度〜120度におけるドライコロージョンによるアルミニウム腐食が発生しないようになる最少量とすれば良く、これら添加量としては、後述する実施例に示すように、使用するアルミニウム腐食防止剤の種類にもよるが、多くても10重量%以下とすれば良い。
【実施例】
図1は、本実施例の内燃機関用液体燃料の製造方法を示すフロー図である。本発明の内燃機関用液体燃料は、少なくとも1種の脂肪族一価(一級)アルコール、飽和或いは不飽和炭化水素、分子中の炭素数が12以下であって、該分子中にエーテル結合を有するエーテルを含む単一成分または混合エーテル、並びにアルミニウム腐食防止剤(水を含む)とから主に構成されており、これら各原燃料を所定重量%に計量した後、比較的重量比率の大きく、極性の一番小さな前記炭化水素としての軽量ナフサに対し、まず前記脂肪族一級アルコールよりも極性の小さなエーテルを投入、混合する。
次いで、これら軽量ナフサとエーテルの混合物に、前記計量されたアルコールとアルミニウム腐食防止剤を投入、混合する。
このアルコール並びにアルミニウム腐食防止剤を投入した後、混合した液体燃料の比重を測定し、該比重が0.735以上の所定比重以下である場合には、その比重が0.755となるように、前記アルコールを適宜に添加して比重を調整しても良い。
以下、前記した製造方法により、本実施例で作製される燃料組成の配合例を以下に示す。本実施例では、図3に示すように、ナフサに添加するアルコールの比率と組み合わせで種々の基本配合を作製し、各基本配合に、種々のアルミニウム腐食防止剤としてのメタノール、グリコール類炭化水素、ケトン類炭化水素、エステル類炭化水素、アルデヒド類炭化水素、並びに水の各々を添加した配合を作製して、各配合にアルミニウムを浸漬させて所定の高温としてアルミニウムの腐食試験を実施するとともに、各配合の低温(本実施例では零下10℃)での燃料の分離の有無による低温安定性の評価を実施した。
以下に、図4〜図34に基づいて、各配合にアルミニウム腐食防止剤を添加した場合のアルミニウムの腐食試験結果、並びに常温と低温の保存安定性の結果を説明する。
尚、アルミニウムの溶出量(重量減)の試験方法、並びに保存安定性の試験方法は以下の通りである。
<アルミニウムの溶出量試験>
▲1▼SUS製ボールミルポット(300ml)に試料燃料及び水(蒸留水)を所定量秤量し、全量で100mlとする。
▲2▼前記▲1▼容器に純アルミニウムサンプル片(A1050)を浸積させ、試料燃料に浸った条件でヤスリでアルミニウムサンプル片に5本程度の傷をつける。(アルミニウムサンプル片表面の酸化被膜を除去するため。)
▲3▼ボールミルポットの雰囲気ガスを窒素に置換し、素早くふたをする。
▲4▼80℃〜120℃の所定温度に設定した定温乾燥器の中にボールミルポットを入れる。
▲5▼所定時間が経過したらボールミルポットを取り出し、ドラフト内で放冷する。
▲6▼アルミニウムサンプル片の重量減少を測定し、部分変色、或いは孔食が見られて少しでも重量減少がある場合は、重量減が0に満たなくても1と表記した。
<保存安定性試験>
燃料の配合後、室温放置1時間後の燃料の状態並びに、冷凍庫(−11℃)へ入れ、1日放置後取りだし、燃料液の状態を観察し、相溶しているものは100、白濁しているものまたは燃料が分離しているものは0として評価した。
まず、配合例0であるE−2の基本組成は、ナフサ98重量%とエタノール2重量%であり、アルコールがエタノールのみであって、その比率が、アルミ腐食を生じる最も少ない配合である。このE−2のように、アルコールの比率が少ないものであっても、120℃において120時間加熱すると、図34に示すように、ドライコロージョンによるアルミニウム腐食での重量減少があることが判る。
このE2に対して、水を0.1重量%添加すると、120℃におけるアルミニウム腐食による重量減少は無くなっており、耐腐食性が向上していることが判る。そして、更に水を、0.2重量%、0.4重量%と添加していくと、これら水を無添加のものや、水を0.1重量%添加したものは、低温であるマイナス10℃における保存性には問題がないのに対し、0.2重量%では、マイナス10℃において層分離が生じるとともに、0.4重量%の水添加では、室温でも層分離が生じることが判り、水の添加がアルミニウム腐食に効果があるが、該水添加により保存安定性が低下してしまうことが判る。
これに対し、前記水に代えて、メタノールを添加した場合の結果が図34の配合名「E2−Me」に示されている。このメタノールを添加した場合には、0.5重量%の添加において、アルミニウムの耐腐食性が向上していることが判る。更に、メタノールを0.5重量%添加したものは、室温並びに低温でも層分離を生じることが無く、常温並びに低温保存性をこれらメタノールの添加により向上でき、よってこれらメタノールをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用できることが判る。
また、グリコール類としてエチレングリコールを前記水に代えて添加した場合の結果が図34の配合名「E2−PG」に示されている。このエチレングリコールを添加した場合には、前記メタノールと同様の0.5重量%の添加において、アルミニウムの耐腐食性が向上していることが判り、120℃でも良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、室温並びに低温でも層分離を生じることが無く、常温並びに低温保存性をこれらエチレングリコールの添加により向上でき、よってこれらエチレングリコールをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用できることが判る。
また、ケトン類としてアセトンを前記水に代えて添加した場合の結果、並びに水とともに添加した場合の結果が図34の配合名「E2−Ac」に示されている。このアセトンを水無しにて単独に添加した場合には、2.0重量%の添加において、120℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、常温安定性、低温安定性とも良好な結果が得られており、これらアセトンをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用できることが判る。
また、図34の「E2−Ac」に示すアセトンと水との双方を添加した場合の結果から、水と併用することで、アセトンの配合量が少なくても、アルミニウムの耐腐食性と常温安定性、低温安定性とも良好な結果が得られることが判るとともに、該アセトンを配合することで、水単体では低温保存性が得られなかった0.2重量%の水を含む場合においても、良好な低温保存性が得られることが判かり、これらアセトンが、低温安定性の向上効果があることが判るとともに、水が、アセトンの添加量の低減効果を有することが判る。
また、エステル類としてギ酸エチルを前記水に代えて単独添加した場合の結果、並びに水とともに添加した場合の結果が図34の配合名「E2−GE」に示されている。このギ酸エチルを水無しにて単独に添加した場合には、2.0重量%の添加において、120℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、常温安定性、低温安定性とも良好な結果が得られており、これらギ酸エチルをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、図34の「E2−GE」に示すギ酸エチルと水との双方を添加した場合の結果から、水と併用することで、ギ酸エチルの配合量が少なくても、アルミニウムの耐腐食性と常温安定性、低温安定性とも良好な結果が得られることが判るとともに、該ギ酸エチルを配合することで、水単体では低温保存性が得られなかった0.2重量%の水を含む場合においても、良好な低温保存性が得られることが判かり、これらギ酸エチルが、低温安定性の向上効果があることが判るとともに、水が、ギ酸エチルの添加量の低減効果を有することが判る。
また、アルデヒド類としてブチルアルデヒドを前記水に代えて単独添加した場合の結果、並びに水とともに添加した場合の結果が図34の配合名「E2−BA」に示されている。このブチルアルデヒドを水無しにて単独に添加した場合には、1.5重量%の添加において、120℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、常温安定性、低温安定性とも良好な結果が得られており、これらブチルアルデヒドをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、図4の「E2−BA」に示すブチルアルデヒドと水とを双方配した場合の結果から、水と併用することで、ブチルアルデヒドの配合量が少なくても、アルミニウムの耐腐食性と常温安定性、低温安定性とも良好な結果が得られることが判るとともに、該ブチルアルデヒドを配合することで、水単体では低温保存性が得られなかった0.2重量%の水を含む場合においても、良好な低温保存性が得られることが判かり、これらブチルアルデヒドが、低温安定性の向上効果があることが判るとともに、水が、ブチルアルデヒドの添加量の低減効果を有することが判る。
次いで、配合例1であるE10の基本組成は、ナフサ90重量%とエタノール10重量%であり、アルコールがエタノールのみであって、その比率が比較的少ない配合である。このE10のように、アルコールの比率が少ないものであっても、前述したアルミ腐食試験(図36)に示した80℃で240時間で腐食した結果と同様に、100℃で120時間、120℃で24時間加熱すると、図4に示すように、ドライコロージョンによるアルミニウム腐食での重量減少があることが判る。
このE10に対して、100℃においては水を0.1重量%まで、120℃においては水を0.4%まで添加すると、アルミニウム腐食による重量減少は無くなっており、耐腐食性が向上していることが判る一方、これらの水を無添加のものや0.1重量%添加したものは、低温であるマイナス10℃における保存性には問題がないのに対し、120℃においてアルミニウム腐食による重量減少が起きない0.4重量%まで水を添加した場合には、これらマイナス10℃における保存性試験において、層分離が生じるとともに、腐食防止能に余裕を持たせるために0.1重量%過剰に水を加えた0.5重量%の水添加では、室温でも層分離が生じることが判り、水の添加がドライコロージョンによるアルミニウム腐食に水が効果があることが判る一方、高い温度である120℃においても良好なアルミニウム腐食防止能を水にて得ようとする場合には、該水添加により保存安定性が低下してしまうことが判る。
これに対し、前記水に代えて、メタノールを添加した場合の結果が図4の配合名「E10−Me」に示されている。このメタノールを添加した場合には、ほぼ水と同様の0.4重量%の添加において、アルミニウムの耐腐食性が向上していることが判り、100℃でも良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、低温安定性が水を0.4重量%添加した場合に比較して、層分離が生じることがなく向上していることが判る。更に、メタノールを0.5重量%添加したものは、120℃におけるアルミニウムの耐腐食性でも良好な結果が得られるとともに、室温並びに低温でも層分離を生じることが無く、常温並びに低温保存性をこれらメタノールの添加により向上でき、よってこれらメタノールをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、グリコール類としてプロピレングリコールを前記水に代えて添加した場合の結果が図4の配合名「E10−PG」に示されている。このプロピレングリコールを添加した場合には、ほぼ水と同様の0.4重量%の添加において、アルミニウムの耐腐食性が向上していることが判り、100℃でも良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、低温安定性が水を0.4重量%添加した場合に比較して、層分離が生じることがなく向上していることが判る。更に、プロピレングリコールを0.5重量%添加したものは、120℃におけるアルミニウムの耐腐食性でも良好な結果が得られるとともに、室温並びに低温でも層分離を生じることが無く、常温並びに低温保存性をこれらメタノールの添加により向上でき、よってこれらプロピレングリコールをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、ケトン類としてジエチルケトンを前記水に代えて添加した場合の結果、並びに水とともに添加した場合の結果が図4の配合名「E10−DEK」に示されている。このジエチルケトンを水無しにて単独に添加した場合には、3.5重量%の添加において、100℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られ、4.5重量%の添加において、120℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、前記両配合においても、常温安定性、低温安定性とも良好な結果が得られており、これらジエチルケトンをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、図4の「E10−DEK」に示すジエチルケトンと水との双方を添加した場合の結果から、水の添加量を低減しても良好なアルミニウムの腐食防止能が得られるとともに、これら水の添加量を低減できることから、得られる燃料の室温、並びに低温の保存安定性が向上していることが判るばかりか、前記水単体を添加した場合と同様の添加量を添加した場合に、ジエチルケトンを更に添加することで、得られる液体燃料の低温安定性が向上していることが判り、これらジエチルケトンが、水の添加量の低減効果並びに低温安定性の向上効果があることが判る。
また、エステル類としてギ酸エチルを前記水に代えて単独添加した場合の結果、並びに水とともに添加した場合の結果が図4の配合名「E10−GE」に示されている。このギ酸エチルを水無しにて単独に添加した場合には、3.0重量%の添加において、100℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られ、4.0重量%の添加において、120℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、前記両配合においても、常温安定性、低温安定性とも良好な結果が得られており、これらギ酸エチルをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、図4の「E10−GE」に示すギ酸エチルと水との双方を添加した場合の結果から、水の添加量を低減しても良好なアルミニウムの腐食防止能が得られるとともに、これら水の添加量を低減できることから、得られる燃料の室温、並びに低温の保存安定性が向上していることが判るばかりか、前記水単体を添加した場合と同様の添加量を添加した場合に、ギ酸エチルを更に添加することで、得られる液体燃料の低温安定性が向上していることが判り、これらギ酸エチルが、水の添加量の低減効果並びに低温安定性の向上効果があることが判る。
また、アルデヒド類としてプロピオンアルデヒドを前記水に代えて単独添加した場合の結果、並びに水とともに添加した場合の結果が図4の配合名「E10−PA」に示されている。このプロピオンアルデヒドを水無しにて単独に添加した場合には、1.5重量%の添加において、100℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られ、2.0重量%の添加において、120℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、前記両配合においても、常温安定性、低温安定性とも良好な結果が得られており、これらプロピオンアルデヒドをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、図4の「E10−PA」に示すプロピオンアルデヒドと水とを双方配した場合の結果から、水の添加量を低減しても良好なアルミニウムの腐食防止能が得られるとともに、これら水の添加量を低減できることから、得られる燃料の室温、並びに低温の保存安定性が向上していることが判るばかりか、前記水単体を添加した場合と同様の添加量を添加した場合に、プロピオンアルデヒドを更に添加することで、得られる液体燃料の低温安定性が向上していることが判り、これらプロピオンアルデヒドが、水の添加量の低減効果並びに低温安定性の向上効果があることが判る。
また、これらE10にエーテルを含む基本配合である「E10−E」に関して、E10と同様に水、メタノール、プロピレングリコール、ジエチルケトン、ギ酸エチル、プロピオンアルデヒドを添加してアルミニウムの腐食性並びに保存安定性についての試験を実施した結果を図19に示す。この図19に示す結果から、エーテルを添加した場合においても、前記E10の場合に得られた効果が同様に得られていることが判り、これらエーテルを配合したものでも水、メタノール、プロピレングリコール、ジエチルケトン、ギ酸エチル、プロピオンアルデヒドが有効に使用できることが判る。
次いで、配合例2であるE20の基本組成は、ナフサ80重量%とエタノール20重量%であり、前記配合例1のE10よりもアルコールであるエタノールが増加した配合である。このE20では、アルコールの比率上昇に伴って、前記E10の場合におけるアルミニウム腐食よりも、図5に示すように、100℃並びに120℃における重量減が大きくなっており、これらアルコール増加により、ドライコロージョンが発生し易くなって、アルミニウム腐食での重量減少が大きくなる傾向があることが判る。
このE20に対して、100℃においては水を0.1重量%まで、120℃においては水を例えば0.9重量%まで添加すると、図5に示すように、アルミニウム腐食による重量減少は無くなっており、耐腐食性が向上していることが判る一方、これらの水を無添加のものや0.1重量%添加したものは、低温であるマイナス10℃における保存性には問題がないのに対し、120℃においてアルミニウム腐食による重量減少が起きない0.9重量%まで水を添加したものは、マイナス10℃における低温保存性試験において、層分離が生じるとともに、1.1重量%の水添加では、室温でも層分離が生じてしまうことが判り、水の添加がドライコロージョンによるアルミニウム腐食に効果があることが判る一方、高い温度である120℃においても良好なアルミニウム腐食防止能を水にて得ようとする場合には、該水添加により保存安定性が低下してしまうことが判る。
これに対し、前記水に代えて、メタノールを添加した場合の結果が図5の配合名「E20−Me」に示されている。このメタノールを添加した場合には、0.5重量%の添加においてアルミニウムの耐腐食性が向上していることが判り、120℃でも良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、低温安定性も良好であることが判り、これらメタノールをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、グリコール類としてエチレングリコールを前記水に代えて添加した場合の結果が図5の配合名「E20−EG」に示されている。このエチレングリコールを添加した場合には、前記メタノールと同様の0.5重量%の添加において、アルミニウムの耐腐食性が向上していることが判り、120℃でも良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、低温安定性も良好であることが判り、これらエチレングリコールをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、ケトン類としてアセトンを前記水に代えて添加した場合の結果、並びに水とともに添加した場合の結果が図5の配合名「E20−Ac」に示されている。このアセトンを水無しにて単独に添加した場合には、3.0重量%の添加において、100℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られ、4.0重量%の添加において、120℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、前記両配合においても、常温安定性、低温安定性とも良好な結果が得られており、これらアセトンをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、図5の「E20−Ac」に示すアセトンと水との双方を添加した場合の結果から、水の添加量を低減しても良好なアルミニウムの腐食防止能が得られるとともに、これら水の添加量を低減できることから、得られる燃料の室温、並びに低温の保存安定性が向上していることが判るばかりか、前記水単体を添加した場合と同様の添加量を添加した場合に、アセトンを更に添加することで、得られる液体燃料の低温安定性が向上していることが判り、これらアセトンが、水の添加量の低減効果並びに低温安定性の向上効果があることが判る。
また、エステル類としてギ酸メチルを前記水に代えて単独添加した場合の結果、並びに水とともに添加した場合の結果が図5の配合名「E20−GM」に示されている。このギ酸メチルを水無しにて単独に添加した場合には、6.0重量%の添加において、100℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られ、8.0重量%の添加において、120℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、前記両配合においても、常温安定性、低温安定性とも良好な結果が得られており、これらギ酸メチルをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、図5の「E20−GM」に示すギ酸メチルと水との双方を添加した場合の結果から、水の添加量を低減しても良好なアルミニウムの腐食防止能が得られるとともに、これら水の添加量を低減できることから、得られる燃料の室温、並びに低温の保存安定性が向上していることが判るばかりか、前記水単体を添加した場合と同様の添加量を添加した場合に、ギ酸メチルを更に添加することで、得られる液体燃料の低温安定性が向上していることが判り、これらギ酸メチルが、水の添加量の低減効果並びに低温安定性の向上効果があることが判る。
また、アルデヒド類としてブチルアルデヒドを前記水に代えて単独添加した場合の結果、並びに水とともに添加した場合の結果が図5の配合名「E20−BA」に示されている。このブチルアルデヒドを水無しにて単独に添加した場合には、2.0重量%の添加において、100℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られ、2.5重量%の添加において、120℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、前記両配合においても、常温安定性、低温安定性とも良好な結果が得られており、これらブチルアルデヒドをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、図5の「E20−BA」に示すブチルアルデヒドと水との双方を添加した場合の結果から、水の添加量を低減しても良好なアルミニウムの腐食防止能が得られるとともに、これら水の添加量を低減できることから、得られる燃料の室温、並びに低温の保存安定性が向上していることが判るばかりか、前記水単体を添加した場合と同様の添加量を添加した場合に、ブチルアルデヒドを更に添加することで、得られる液体燃料の低温安定性が向上していることが判り、これらブチルアルデヒドが、水の添加量の低減効果並びに低温安定性の向上効果があることが判る。
また、これらE20にエーテルを含む基本配合である「E20−E」に関して、E20と同様に水、メタノール、エチレングリコール、アセトン、ギ酸メチル、ブチルアルデヒドを添加してアルミニウムの腐食性並びに保存安定性についての試験を実施した結果を図20に示す。この図20に示す結果から、エーテルを添加した場合においても、前記E20の場合に得られた効果が同様に得られていることが判り、これらエーテルを配合したものでも水、メタノール、エチレングリコール、アセトン、ギ酸メチル、ブチルアルデヒドが有効に使用できることが判る。
次いで、配合例3であるE50の基本組成は、ナフサ50重量%とエタノール50重量%であり、前記配合例2のE20よりも更にアルコールであるエタノールが増加した配合である。このE50では、アルコールの比率上昇に伴って、前記E20の場合におけるアルミニウム腐食よりも、図6に示すように、100℃並びに120℃における重量減が大きくなっており、これらアルコール増加により、ドライコロージョンが発生し易くなって、アルミニウム腐食での重量減少が大きくなる傾向があることが判る。
このE50に対して、100℃においては水を0.1重量%まで、120℃においては水を例えば3.4重量%まで添加すると、図6に示すように、アルミニウム腐食による重量減少は無くなっており、耐腐食性が向上していることが判る一方、これらの水を無添加のものや0.1重量%添加したものは、低温であるマイナス10℃における保存性には問題がないのに対し、120℃においてアルミニウム腐食による重量減少が起きない3.4重量%まで水を添加したものは、マイナス10℃における低温保存性試験において、層分離が生じるとともに、3.6重量%の水添加では、室温でも層分離が生じてしまうことが判り、水の添加がドライコロージョンによるアルミニウム腐食に効果があることが判る一方、高い温度である120℃においても良好なアルミニウム腐食防止能を水にて得ようとする場合には、該水添加により保存安定性が低下してしまうことが判る。
これに対し、前記水に代えて、メタノールを添加した場合の結果が図6の配合名「E50−Me」に示されている。このメタノールを添加した場合には、0.8重量%の添加において100℃、1.0重量%の添加において120℃におけるアルミニウムの耐腐食性が向上していることが判るとともに、低温安定性も良好であることが判り、これらメタノールをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、グリコール類としてエチレングリコールを前記水に代えて添加した場合の結果が図6の配合名「E50−EG」に示されている。このエチレングリコールを添加した場合には、前記メタノールとほぼ同様の0.7重量%の添加において、100℃におけるアルミニウムの耐腐食性が向上していることが判り、更に1.0重量%の添加において120℃におけるアルミニウムの耐腐食性が向上していることが判るとともに、低温安定性も良好であることが判り、これらエチレングリコールをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、ケトン類としてメチルエチルケトンを前記水に代えて添加した場合の結果、並びに水とともに添加した場合の結果が図6の配合名「E50−MEK」に示されている。このメチルエチルケトンを水無しにて単独に添加した場合には、4.0重量%の添加において、100℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られ、6.0重量%の添加において120℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、前記両配合においても、常温安定性、低温安定性とも良好な結果が得られており、これらメチルエチルケトンをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、図6の「E50−MEK」に示すメチルエチルケトンと水との双方を添加した場合の結果から、水の添加量を低減しても良好なアルミニウムの腐食防止能が得られるとともに、これら水の添加量を低減できることから、得られる燃料の室温、並びに低温の保存安定性が向上していることが判るばかりか、前記水単体を添加した場合と同様の添加量を添加した場合に、これらメチルエチルケトンを更に添加することで、得られる液体燃料の低温安定性が向上していることが判り、これらメチルエチルケトンが、水の添加量の低減効果並びに低温安定性の向上効果があることが判る。
また、エステル類としてギ酸エチルを前記水に代えて単独添加した場合の結果、並びに水とともに添加した場合の結果が図6の配合名「E50−GE」に示されている。このギ酸エチルを水無しにて単独に添加した場合には、6.0重量%の添加において、100℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られ、10.0重量%の添加において、120℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、前記両配合においても、常温安定性、低温安定性とも良好な結果が得られており、これらギ酸エチルをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、図6の「E50−GE」に示すギ酸エチルと水との双方を添加した場合の結果から、水の添加量を低減しても良好なアルミニウムの腐食防止能が得られるとともに、これら水の添加量を低減できることから、得られる燃料の室温、並びに低温の保存安定性が向上していることが判るばかりか、前記水単体を添加した場合と同様の添加量を添加した場合に、ギ酸エチルを更に添加することで、得られる液体燃料の低温安定性が向上していることが判り、これらギ酸エチルが、水の添加量の低減効果並びに低温安定性の向上効果があることが判る。
また、アルデヒド類としてアセトアルデヒドを前記水に代えて単独添加した場合の結果、並びに水とともに添加した場合の結果が図6の配合名「E50−AA」に示されている。このアセトアルデヒドを水無しにて単独に添加した場合には、3.0重量%の添加において、100℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られ、4.0重量%の添加において、120℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、前記両配合においても、常温安定性、低温安定性とも良好な結果が得られており、これらアセトアルデヒドをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、図6の「E50−AA」に示すアセトアルデヒドと水との双方を添加した場合の結果から、水の添加量を低減しても良好なアルミニウムの腐食防止能が得られるとともに、これら水の添加量を低減できることから、得られる燃料の室温、並びに低温の保存安定性が向上していることが判るばかりか、前記水単体を添加した場合と同様の添加量を添加した場合に、アセトアルデヒドを更に添加することで、得られる液体燃料の低温安定性が向上していることが判り、これらアセトアルデヒドが、水の添加量の低減効果並びに低温安定性の向上効果があることが判る。
また、これらE50にエーテルを含む基本配合である「E50−E」に関して、E50と同様に水、メタノール、エチレングリコール、メチルエチルケトン、ギ酸エチル、アセトアルデヒドを添加してアルミニウムの腐食性並びに保存安定性についての試験を実施した結果を図21に示す。この図21に示す結果から、エーテルを添加した場合においても、前記E50の場合に得られた効果が同様に得られていることが判り、これらエーテルを配合したものでも水、メタノール、エチレングリコール、メチルエチルケトン、ギ酸エチル、アセトアルデヒドが有効に使用できることが判る。
次いで、配合例4であるIN40の基本組成は、ナフサ60重量%、イソプロピルアルコール20重量%、nブタノール20重量%であり、アルコールの種類がエタノールに比較して炭素数の多いイソプロピルアルコールとnブタノールの2種類である配合である。このIN40でも、図7に示すように、前記E50と同様のドライコロージョンによるアルミニウム腐食での重量減少があることが判る。
このIN40に対して、90℃においては水を0.1重量%まで、120℃においては水を例えば3.6重量%まで添加すると、図7に示すように、アルミニウム腐食による重量減少は無くなっており、耐腐食性が向上していることが判る一方、これらの水を無添加のものや0.1重量%添加したものは、低温であるマイナス10℃における保存性には問題がないのに対し、120℃においてアルミニウム腐食による重量減少が起きない3.6重量%水を添加したものは、マイナス10℃における低温保存性試験において、層分離が生じるとともに、3.8重量%の水添加では、室温でも層分離が生じることが判り、水の添加がドライコロージョンによるアルミニウム腐食に効果があることが判る一方、高い温度である120℃においても良好なアルミニウム腐食防止能を水にて得ようとする場合には、該水添加により保存安定性が低下してしまうことが判る。
これに対し、前記水に代えて、メタノールを添加した場合の結果が図7の配合名「IN40−Me」に示されている。このメタノールを添加した場合には、0.8重量%の添加において、100℃でも良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、低温安定性も良好な結果を示している。また、1.7重量%の添加したものは、120℃におけるアルミニウムの耐腐食性でも良好な結果が得られるとともに、室温並びに低温でも層分離を生じることが無く、常温並びに低温保存性をこれらメタノールの添加により向上でき、よってこれらメタノールをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、図7の「IN40−Me」に示すメタノールと水との双方を添加した場合の結果から、水の添加量を低減しても良好なアルミニウムの腐食防止能が得られるとともに、これら水の添加量を低減できることから、得られる燃料の室温、並びに低温の保存安定性が向上していることが判るばかりか、前記水単体を添加した場合と同様の添加量を添加した場合に、これらメタノールを更に添加することで、得られる液体燃料の低温安定性が向上していることが判り、これらメタノールが、水の添加量の低減効果並びに低温安定性の向上効果があることが判る。
また、グリコール類としてエチレングリコールを前記水に代えて添加した場合の結果が図7の配合名「IN40−EG」に示されている。このエチレングリコールを添加した場合には、1.5重量%の添加において、アルミニウムの耐腐食性が向上していることが判り、100℃でも良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、低温安定性も良好な結果を示している。また、3.0重量%の添加したものは、120℃におけるアルミニウムの耐腐食性でも良好な結果が得られるとともに、室温並びに低温でも層分離を生じることが無く、常温並びに低温保存性をこれらエチレングリコールの添加により向上でき、よってこれらエチレングリコールをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、図7の「IN40−EG」に示すエチレングリコールと水との双方を添加した場合の結果から、水の添加量を低減しても良好なアルミニウムの腐食防止能が得られるとともに、これら水の添加量を低減できることから、得られる燃料の室温、並びに低温の保存安定性が向上していることが判り、これらエチレングリコールが、水の添加量の低減効果を有することが判る。
また、ケトン類としてアセトンを前記水に代えて添加した場合の結果、並びに水とともに添加した場合の結果が図7の配合名「IN40−Ac」に示されている。このアセトンを水無しにて単独に添加した場合には、0.2重量%の添加において、100℃並びに120℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、常温安定性、低温安定性とも良好な結果が得られており、これらアセトンをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、図7の「IN40−Ac」に示すアセトンと水との双方を添加した場合の結果から、水の添加量を低減しても良好なアルミニウムの腐食防止能が得られるとともに、これら水の添加量を低減できることから、得られる燃料の室温、並びに低温の保存安定性が向上していることが判るばかりか、前記水単体を添加した場合と同様の添加量を添加した場合に、これらアセトンを更に添加することで、得られる液体燃料の低温安定性が向上していることが判り、これらアセトンが、水の添加量の低減効果並びに低温安定性の向上効果があることが判る。
また、エステル類としてギ酸メチルを前記水に代えて単独添加した場合の結果、並びに水とともに添加した場合の結果が図7の配合名「IN40−GM」に示されている。このギ酸メチルを水無しにて単独に添加した場合には、1.5重量%の添加において、100℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られ、3.0重量%の添加において、120℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、前記両配合においても、常温安定性、低温安定性とも良好な結果が得られており、これらギ酸メチルをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、図7の「IN40−GM」に示すギ酸メチルと水との双方を添加した場合の結果から、水の添加量を低減しても良好なアルミニウムの腐食防止能が得られるとともに、これら水の添加量を低減できることから、得られる燃料の室温、並びに低温の保存安定性が向上していることが判るばかりか、前記水単体を添加した場合と同様の添加量を添加した場合に、ギ酸メチルを更に添加することで、得られる液体燃料の低温安定性が向上していることが判り、これらギ酸メチルが、水の添加量の低減効果並びに低温安定性の向上効果があることが判る。
また、アルデヒド類としてブチルアルデヒドを前記水に代えて単独添加した場合の結果、並びに水とともに添加した場合の結果が図7の配合名「IN40−BA」に示されている。このブチルアルデヒドを水無しにて単独に添加した場合には、0.3重量%の添加において、100℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られ、0.5重量%の添加において、120℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、前記両配合においても、常温安定性、低温安定性とも良好な結果が得られており、これらブチルアルデヒドをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、図7の「IN40−BA」に示すブチルアルデヒドと水との双方を添加した場合の結果から、水の添加量を低減しても良好なアルミニウムの腐食防止能が得られるとともに、これら水の添加量を低減できることから、得られる燃料の室温、並びに低温の保存安定性が向上していることが判り、これらアセトアルデヒドが、水の添加量の低減効果を有することが判る。
また、これらIN40にエーテルを含む基本配合である「IN40−E」に関して、IN40と同様に水、メタノール、エチレングリコール、アセトン、ギ酸メチル、ブチルアルデヒドを添加してアルミニウムの腐食性並びに保存安定性についての試験を実施した結果を図22に示す。この図22に示す結果から、エーテルを添加した場合においても、前記IN40の場合に得られた効果が、エチレングリコールとブチルアルデヒドにおける低温安定性を除き、ほぼ同様に得られていることが判り、これらエーテルを配合したものでも水、メタノール、エチレングリコール、アセトン、ギ酸メチル、ブチルアルデヒドが有効に使用できることが判る。
次いで、配合例5であるIN15の基本組成は、ナフサ85重量%、イソプロピルアルコール10重量%、nブタノール5重量%であり、アルコールの比率が前記「IN40」よりも少ない配合である。
このIN15に対して、90℃においては水を0.1重量%まで、120℃においては水を0.6重量%まで添加すると、図8に示すように、アルミニウム腐食による重量減少は無くなっており、耐腐食性が向上していることが判る一方、これらの水を無添加のものや0.1重量%添加したものは、低温であるマイナス10℃における保存性には問題がないのに対し、120℃においてアルミニウム腐食による重量減少が起きない0.6重量%まで水を添加したものは、マイナス10℃における低温保存性試験において、層分離が生じるとともに、0.8重量%の水添加では、室温でも層分離が生じることが判り、水の添加がドライコロージョンによるアルミニウム腐食に効果があることが判る一方、高い温度である120℃においても良好なアルミニウム腐食防止能を水にて得ようとする場合には、該水添加により保存安定性が低下してしまうことが判る。
これに対し、前記水に代えて、メタノールを添加した場合の結果が図8の配合名「IN15−Me」に示されている。このメタノールを添加した場合には、0.5重量%の添加において100℃でも良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、低温安定性も良好な結果を示している。また、1.5重量%の添加したものは、120℃におけるアルミニウムの耐腐食性でも良好な結果が得られるとともに、室温並びに低温でも層分離を生じることが無く、常温並びに低温保存性をこれらメタノールの添加により向上でき、よってこれらメタノールをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、図8の「IN15−Me」に示すメタノールと水との双方を添加した場合の結果から、水の添加量を低減しても良好なアルミニウムの腐食防止能が得られるとともに、これら水の添加量を低減できることから、得られる燃料の室温、並びに低温の保存安定性が向上していることが判るばかりか、前記水単体を添加した場合と同様の添加量を添加した場合に、これらメタノールを更に添加することで、得られる液体燃料の低温安定性が向上していることが判り、これらメタノールが、水の添加量の低減効果並びに低温安定性の向上効果があることが判る。
また、グリコール類としてプロピレングリコールを前記水に代えて添加した場合の結果が図8の配合名「IN15−PG」に示されている。このプロピレングリコールを添加した場合には、2.0重量%の添加において、アルミニウムの耐腐食性が向上していることが判り、100℃でも良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、低温安定性も良好な結果を示している。また、4.0重量%の添加したものは、120℃におけるアルミニウムの耐腐食性でも良好な結果が得られるとともに、室温並びに低温でも層分離を生じることが無く、常温並びに低温保存性をこれらプロピレングリコールの添加により向上でき、よってこれらプロピレングリコールをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、図8の「IN15−PG」に示すプロピレングリコールと水との双方を添加した場合の結果から、水の添加量を低減しても良好なアルミニウムの腐食防止能が得られるとともに、これら水の添加量を低減できることから、得られる燃料の室温、並びに低温の保存安定性が向上していることが判り、これらプロピレングリコールが、水の添加量の低減効果を有することが判る。
また、ケトン類としてメチルイソブチルケトンを前記水に代えて添加した場合の結果、並びに水とともに添加した場合の結果が図8の配合名「IN15−MBK」に示されている。このメチルイソブチルケトンを水無しにて単独に添加した場合には、0.3重量%の添加において100℃おける良好なアルミニウムの耐腐食性が得られ、0.5重量%の添加において120℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、両配合共に常温安定性、低温安定性とも良好な結果が得られており、これらメチルイソブチルケトンをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、図8の「IN15−MBK」に示すメチルイソブチルケトンと水との双方を添加した場合の結果から、水の添加量を低減しても良好なアルミニウムの腐食防止能が得られるとともに、これら水の添加量を低減できることから、得られる燃料の室温、並びに低温の保存安定性が向上していることが判るばかりか、前記水単体を添加した場合と同様の添加量を添加した場合に、これらメチルイソブチルケトンを更に添加することで、得られる液体燃料の低温安定性が向上していることが判り、これらメチルイソブチルケトンが、水の添加量の低減効果並びに低温安定性の向上効果があることが判る。
また、エステル類としてギ酸エチルを前記水に代えて単独添加した場合の結果、並びに水とともに添加した場合の結果が図8の配合名「IN15−GE」に示されている。このギ酸エチルを水無しにて単独に添加した場合には、1.0重量%の添加において、100℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られ、5.0重量%の添加において、120℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、前記両配合においても、常温安定性、低温安定性とも良好な結果が得られており、これらギ酸エチルをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、図8の「IN15−GE」に示すギ酸エチルと水との双方を添加した場合の結果から、水の添加量を低減しても良好なアルミニウムの腐食防止能が得られるとともに、これら水の添加量を低減できることから、得られる燃料の室温、並びに低温の保存安定性が向上していることが判るばかりか、前記水単体を添加した場合と同様の添加量を添加した場合に、ギ酸エチルを更に添加することで、得られる液体燃料の低温安定性が向上していることが判り、これらギ酸エチルが、水の添加量の低減効果並びに低温安定性の向上効果があることが判る。
また、アルデヒド類としてプロピオンアルデヒドを前記水に代えて単独添加した場合の結果、並びに水とともに添加した場合の結果が図8の配合名「IN15−PA」に示されている。このプロピオンアルデヒドを水無しにて単独に添加した場合には、0.2重量%の添加において、100℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られ、0.4重量%の添加において、120℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、前記両配合においても、常温安定性、低温安定性とも良好な結果が得られており、これらプロピオンアルデヒドをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、図8の「IN15−PA」に示すプロピオンアルデヒドと水との双方を添加した場合の結果から、水の添加量を低減しても良好なアルミニウムの腐食防止能が得られるとともに、これら水の添加量を低減できることから、得られる燃料の室温、並びに低温の保存安定性が向上していることが判り、これらプロピオンアルデヒドが、水の添加量の低減効果を有することが判る。
また、これらIN15にエーテルを含む基本配合である「IN15−E」に関して、IN15と同様に水、メタノール、プロピオングリコール、メチルイソブチルケトン、ギ酸エチル、プロピオンアルデヒドを添加してアルミニウムの腐食性並びに保存安定性についての試験を実施した結果を図23に示す。この図23に示す結果から、エーテルを添加した場合においても、前記IN15の場合に得られた効果が、同様に得られていることが判り、これらエーテルを配合したものでも水、メタノール、プロピオングリコール、メチルイソブチルケトン、ギ酸エチル、プロピオンアルデヒドが有効に使用できることが判る。
次いで、配合例6であるIN75の基本組成は、ナフサ25重量%、イソプロピルアルコール35重量%、nブタノール40重量%であり、アルコールの比率が前記「IN40」よりも多い配合である。このIN75でも、図9に示すように、前記IN15と同様のドライコロージョンによるアルミニウム腐食での重量減少があることが判る。
このIN75に対して、90℃においては、水を0.1重量%添加しても、燃料中に含まれるアルコールの総量が約75重量%と大きいことから、良好なアルミニウムの耐腐食性が得られず、該アルコール総量に0.002を乗じた0.15重量%を上回る値である0.2重量%の水を添加した場合には、良好なアルミニウムの耐腐食性が得られることが判る。また、120℃においては、水を0.8重量%まで添加すると、120℃で良好なアルミニウムの耐腐食性が得られることが判り、水の添加がドライコロージョンによるアルミニウム腐食に効果があることが判る。
これに対し、前記水に代えて、メタノールを添加した場合の結果が図9の配合名「IN75−Me」に示されている。このメタノールを添加した場合には、1.0重量%の添加において100℃でも良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、低温安定性も良好な結果を示している。また、2.0重量%の添加したものは、120℃におけるアルミニウムの耐腐食性でも良好な結果が得られるとともに、室温並びに低温でも層分離を生じることが無く、常温並びに低温保存性をこれらメタノールの添加により向上でき、よってこれらメタノールをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、図9の「IN75−Me」に示すメタノールと水との双方を添加した場合の結果から、メタノールと水とを混合することで、より少ないメタノール量で良好なアルミニウムの腐食防止能が得られるとともに、良好な室温、並びに低温の保存安定性が得られることが判り、これら水がメタノールの添加量の低減効果があることが判る。
また、グリコール類としてエチレングリコールを前記水に代えて添加した場合の結果が図9の配合名「IN75−EG」に示されている。このエチレングリコールを添加した場合には、3.0重量%の添加において、アルミニウムの耐腐食性が向上していることが判り、100℃でも良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、低温安定性も良好な結果を示している。また、6.0重量%の添加したものは、120℃におけるアルミニウムの耐腐食性でも良好な結果が得られるとともに、室温並びに低温でも層分離を生じることが無く、常温並びに低温保存性をこれらエチレングリコールルの添加により向上でき、よってこれらエチレングリコールをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、図9の「IN75−EG」に示すエチレングリコールと水との双方を添加した場合の結果から、エチレングリコールと水とを混合することで、より少ないエチレングリコール量で良好なアルミニウムの腐食防止能が得られるとともに、良好な室温、並びに低温の保存安定性が得られることが判り、これら水がエチレングリコールの添加量の低減効果を有することが判る。
また、ケトン類としてメチルnプロピルケトンを前記水に代えて添加した場合の結果、並びに水とともに添加した場合の結果が図9の配合名「IN75−MPK」に示されている。このメチルnプロピルケトンを水無しにて単独に添加した場合には、0.2重量%の添加において100℃並びに120℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、両配合共に常温安定性、低温安定性とも良好な結果が得られており、これらメチルnプロピルケトンをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、図9の「IN75−MPK」に示すメチルnプロピルケトンと水との双方を添加した場合の結果から、メチルnプロピルケトンと水とを混合することで、より少ないメチルnプロピルケトン量で良好なアルミニウムの腐食防止能が得られるとともに、良好な室温、並びに低温の保存安定性が得られることが判り、これら水がメチルnプロピルケトンの添加量の低減効果を有することが判る。
また、エステル類としてギ酸エチルを前記水に代えて単独添加した場合の結果、並びに水とともに添加した場合の結果が図9の配合名「IN75−GE」に示されている。このギ酸エチルを水無しにて単独に添加した場合には、2.0重量%の添加において、100℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られ、3.5重量%の添加において、120℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、前記両配合においても、常温安定性、低温安定性とも良好な結果が得られており、これらギ酸エチルをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、図9の「IN75−GE」に示すギ酸エチルと水との双方を添加した場合の結果から、ギ酸エチルと水とを混合することで、より少ないギ酸エチル量で良好なアルミニウムの腐食防止能が得られるとともに、良好な室温、並びに低温の保存安定性が得られることが判り、これら水がギ酸エチルの添加量の低減効果を有することが判る。
また、アルデヒド類としてアセトアルデヒドを前記水に代えて単独添加した場合の結果、並びに水とともに添加した場合の結果が図9の配合名「IN75−AA」に示されている。このアセトアルデヒドを水無しにて単独に添加した場合には、0.3重量%の添加において、100℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られ、0.6重量%の添加において、120℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、前記両配合においても、常温安定性、低温安定性とも良好な結果が得られており、これらアセトアルデヒドをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、図9の「IN75−AA」に示すアセトアルデヒドと水との双方を添加した場合の結果から、アセトアルデヒドと水とを混合することで、より少ないアセトアルデヒド量で良好なアルミニウムの腐食防止能が得られるとともに、良好な室温、並びに低温の保存安定性が得られることが判り、これら水がアセトアルデヒドの添加量の低減効果があることが判る。
また、これらIN75にエーテルを含む基本配合である「IN75−E」に関して、IN75と同様に水、メタノール、エチレングリコール、メチルnプロピルケトン、ギ酸エチル、アセトアルデヒドを添加してアルミニウムの腐食性並びに保存安定性についての試験を実施した結果を図24に示す。この図24に示す結果から、エーテルを添加した場合においても、前記IN75の場合に得られた効果が、同様に得られていることが判り、これらエーテルを配合したものでも水、メタノール、エチレングリコール、メチルnプロピルケトン、ギ酸エチル、アセトアルデヒドが有効に使用できることが判る。
次いで、配合例7であるEIB40の基本組成は、ナフサ60重量%、エタノール20重量%、イソブチルアルコール20重量%であり、前記IN40の配合の場合と、使用するアルコールが異なる配合である。このEIB40でも、図10に示すように、前記E50並びにIN40と同様のドライコロージョンによるアルミニウム腐食での重量減少があることが判る。
このEIB40に対して、90℃においては水を0.1重量%まで、120℃においては水を例えば4.8重量%まで添加すると、図10に示すように、アルミニウム腐食による重量減少は無くなっており、耐腐食性が向上していることが判る一方、これらの水を無添加のものや0.1重量%添加したものは、低温であるマイナス10℃における保存性には問題がないのに対し、120℃においてアルミニウム腐食による重量減少が起きない4.8重量%まで水を添加したものは、マイナス10℃における低温保存性試験において、層分離が生じるとともに、5.1重量%の水添加では、室温でも層分離が生じることが判り、水の添加がドライコロージョンによるアルミニウム腐食に効果があることが判る一方、高い温度である120℃においても良好なアルミニウム腐食防止能を水にて得ようとする場合には、該水添加により保存安定性が低下してしまうことが判る。
これに対し、前記水に代えて、メタノールを添加した場合の結果が図10の配合名「EIB40−Me」に示されている。このメタノールを添加した場合には、1.5重量%の添加において100℃でも良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、低温安定性も良好な結果を示している。また、2.0重量%の添加したものは、120℃におけるアルミニウムの耐腐食性でも良好な結果が得られるとともに、室温並びに低温でも層分離を生じることが無く、常温並びに低温保存性をこれらメタノールの添加により向上でき、よってこれらメタノールをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、図10の「EIB40−Me」に示すメタノールと水との双方を添加した場合の結果から、水の添加量を低減しても良好なアルミニウムの腐食防止能が得られるとともに、これら水の添加量を低減できることから、得られる燃料の室温、並びに低温の保存安定性が向上していることが判り、これらメタノールが、水の添加量の低減効果を有することが判る。
また、グリコール類としてエチレングリコールを前記水に代えて添加した場合の結果が図10の配合名「EIB40−EG」に示されている。このエチレングリコールを添加した場合には、1.0重量%の添加において、アルミニウムの耐腐食性が向上していることが判り、100℃でも良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、低温安定性も良好な結果を示している。また、2.0重量%の添加したものは、120℃におけるアルミニウムの耐腐食性でも良好な結果が得られるとともに、室温並びに低温でも層分離を生じることが無く、常温並びに低温保存性をこれらエチレングリコールの添加により向上でき、よってこれらエチレングリコールをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、図10の「EIB40−EG」に示すエチレングリコールと水との双方を添加した場合の結果から、水の添加量を低減しても良好なアルミニウムの腐食防止能が得られるとともに、これら水の添加量を低減できることから、得られる燃料の室温、並びに低温の保存安定性が向上していることが判り、これらエチレングリコールが、水の添加量の低減効果を有することが判る。
また、ケトン類としてアセトンを前記水に代えて添加した場合の結果、並びに水とともに添加した場合の結果が図10の配合名「EIB40−Ac」に示されている。このアセトンを水無しにて単独に添加した場合には、0.2重量%の添加において、アルミニウムの耐腐食性が向上していることが判り、100℃でも良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、低温安定性も良好な結果を示している。また、3.0重量%の添加したものは、120℃におけるアルミニウムの耐腐食性でも良好な結果が得られるとともに、室温並びに低温でも層分離を生じることが無く、常温安定性、低温安定性とも良好な結果が得られており、これらアセトンをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、図10の「EIB40−Ac」に示すアセトンと水との双方を添加した場合の結果から、水の添加量を低減しても良好なアルミニウムの腐食防止能が得られるとともに、これら水の添加量を低減できることから、得られる燃料の室温、並びに低温の保存安定性が向上していることが判るばかりか、前記水単体を添加した場合と同様の添加量を添加した場合に、これらアセトンを更に添加することで、得られる液体燃料の低温安定性が向上していることが判り、これらアセトンが、水の添加量の低減効果並びに低温安定性の向上効果があることが判る。
また、エステル類としてギ酸メチルを前記水に代えて単独添加した場合の結果、並びに水とともに添加した場合の結果が図10の配合名「EIB40−GM」に示されている。このギ酸メチルを水無しにて単独に添加した場合には、2.5重量%の添加において、100℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られ、5.0重量%の添加において、120℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、前記両配合においても、常温安定性、低温安定性とも良好な結果が得られており、これらギ酸メチルをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、図10の「EIB40−GM」に示すギ酸メチルと水との双方を添加した場合の結果から、水の添加量を低減しても良好なアルミニウムの腐食防止能が得られるとともに、これら水の添加量を低減できることから、得られる燃料の室温、並びに低温の保存安定性が向上していることが判るばかりか、前記水単体を添加した場合と同様の添加量を添加した場合に、ギ酸メチルを更に添加することで、得られる液体燃料の低温安定性が向上していることが判り、これらギ酸メチルが、水の添加量の低減効果並びに低温安定性の向上効果があることが判る。
また、アルデヒド類としてブチルアルデヒドを前記水に代えて単独添加した場合の結果、並びに水とともに添加した場合の結果が図10の配合名「EIB40−BA」に示されている。このブチルアルデヒドを水無しにて単独に添加した場合には、0.6重量%の添加において、100℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られ、1.0重量%の添加において、120℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、前記両配合においても、常温安定性、低温安定性とも良好な結果が得られており、これらブチルアルデヒドをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、図10の「EIB40−BA」に示すブチルアルデヒドと水との双方を添加した場合の結果から、水の添加量を低減しても良好なアルミニウムの腐食防止能が得られるとともに、これら水の添加量を低減できることから、得られる燃料の室温、並びに低温の保存安定性が向上していることが判るばかりか、前記水単体を添加した場合と同様の添加量を添加した場合に、ブチルアルデヒドを更に添加することで、得られる液体燃料の低温安定性が向上していることが判り、これらブチルアルデヒドが、水の添加量の低減効果並びに低温安定性の向上効果があることが判る。
また、これらEIB40にエーテルを含む基本配合である「EIB40−E」に関して、EIB40と同様に水、メタノール、エチレングリコール、アセトン、ギ酸メチル、ブチルアルデヒドを添加してアルミニウムの腐食性並びに保存安定性についての試験を実施した結果を図25に示す。この図25に示す結果から、エーテルを添加した場合においても、前記EIB40の場合に得られた効果が同様に得られていることが判り、これらエーテルを配合したものでも水、メタノール、エチレングリコール、アセトン、ギ酸メチル、ブチルアルデヒドを有効に使用できることが判る。
次いで、配合例8であるEIB15の基本組成は、ナフサ85重量%、エタノール5重量%、イソブチルアルコール10重量%であり、前記IN15の配合の場合と、使用するアルコールが異なる配合である。このEIB15でも、図11に示すように、前記E10並びにIN15と同様のドライコロージョンによるアルミニウム腐食での重量減少があることが判る。
このEIB15に対して、90℃においては水を0.1重量%まで、120℃においては水を0.6重量%まで添加すると、図11に示すように、アルミニウム腐食による重量減少は無くなっており、耐腐食性が向上していることが判る一方、これらの水を無添加のものや0.1重量%添加したものは、低温であるマイナス10℃における保存性には問題がないのに対し、120℃においてアルミニウム腐食による重量減少が起きない0.6重量%まで水を添加した場合には、前記マイナス10℃における保存性試験において層分離が生じるとともに、0.8重量%の水添加では、室温でも層分離が生じることが判り、水の添加がドライコロージョンによるアルミニウム腐食に効果があることが判る一方、高い温度である120℃においても良好なアルミニウム腐食防止能を水にて得ようとする場合には、該水添加により保存安定性が低下してしまうことが判る。
これに対し、前記水に代えて、メタノールを添加した場合の結果が図11の配合名「EIB15−Me」に示されている。このメタノールを添加した場合には、1.0重量%の添加において、アルミニウムの耐腐食性が向上していることが判り、100℃でも良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、低温安定性も良好な結果を示している。また、1.5重量%の添加したものは、120℃におけるアルミニウムの耐腐食性でも良好な結果が得られるとともに、室温並びに低温でも層分離を生じることが無く、常温並びに低温保存性をこれらメタノールの添加により向上でき、よってこれらメタノールをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、図11の「EIB15−Me」に示すメタノールと水との双方を添加した場合の結果から、水の添加量を低減しても良好なアルミニウムの腐食防止能が得られるとともに、これら水の添加量を低減できることから、得られる燃料の室温、並びに低温の保存安定性が向上していることが判り、これらメタノールが、水の添加量の低減効果を有することが判るばかりか、前記水単体を添加した場合と同様の添加量を添加した場合に、これらメタノールを更に添加することで、得られる液体燃料の低温安定性が向上していることが判り、これらメタノールが、水の添加量の低減効果並びに低温安定性の向上効果があることが判る。
また、グリコール類としてプロピレングリコールを前記水に代えて添加した場合の結果が図11の配合名「EIB15−PG」に示されている。このプロピレングリコールを添加した場合には、1.5重量%の添加において、アルミニウムの耐腐食性が向上していることが判り、100℃でも良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、低温安定性も良好な結果を示している。また、3.0重量%の添加したものは、120℃におけるアルミニウムの耐腐食性でも良好な結果が得られるとともに、室温並びに低温でも層分離を生じることが無く、常温並びに低温保存性をこれらエチレングリコールの添加により向上でき、よってこれらプロピレングリコールをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、図11の「EIB15−PG」に示すプロピレングリコールと水との双方を添加した場合の結果から、水の添加量を低減しても良好なアルミニウムの腐食防止能が得られるとともに、これら水の添加量を低減できることから、得られる燃料の室温、並びに低温の保存安定性が向上していることが判り、これらプロピレングリコールが、水の添加量の低減効果を有することが判る。
また、ケトン類としてジエチルケトンを前記水に代えて添加した場合の結果、並びに水とともに添加した場合の結果が図11の配合名「EIB15−DEK」に示されている。このジエチルケトンを水無しにて単独に添加した場合には、1.0重量%の添加において、アルミニウムの耐腐食性が向上していることが判り、100℃でも良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、低温安定性も良好な結果を示している。また、1.5重量%の添加したものは、120℃におけるアルミニウムの耐腐食性でも良好な結果が得られるとともに、室温並びに低温でも層分離を生じることが無く、常温安定性、低温安定性とも良好な結果が得られており、これらジエチルケトンをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、図11の「EIB15−DEK」に示すジエチルケトンと水との双方を添加した場合の結果から、水の添加量を低減しても良好なアルミニウムの腐食防止能が得られるとともに、これら水の添加量を低減できることから、得られる燃料の室温、並びに低温の保存安定性が向上していることが判るばかりか、前記水単体を添加した場合と同様の添加量を添加した場合に、これらジエチルケトンを更に添加することで、得られる液体燃料の低温安定性が向上していることが判り、これらジエチルケトンが、水の添加量の低減効果並びに低温安定性の向上効果があることが判る。
また、エステル類として酢酸メチルを前記水に代えて単独添加した場合の結果、並びに水とともに添加した場合の結果が図11の配合名「EIB15−SM」に示されている。この酢酸メチルを水無しにて単独に添加した場合には、2.0重量%の添加において、100℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られ、3.0重量%の添加において、120℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、前記両配合においても、常温安定性、低温安定性とも良好な結果が得られており、これら酢酸メチルをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、図11の「EIB15−SM」に示す酢酸メチルと水との双方を添加した場合の結果から、水の添加量を低減しても良好なアルミニウムの腐食防止能が得られるとともに、これら水の添加量を低減できることから、得られる燃料の室温、並びに低温の保存安定性が向上していることが判るばかりか、前記水単体を添加した場合と同様の添加量を添加した場合に、酢酸メチルを更に添加することで、得られる液体燃料の低温安定性が向上していることが判り、これら酢酸メチルが、水の添加量の低減効果並びに低温安定性の向上効果があることが判る。
また、アルデヒド類としてプロピオンアルデヒドを前記水に代えて単独添加した場合の結果、並びに水とともに添加した場合の結果が図11の配合名「EIB15−PA」に示されている。このプロピオンアルデヒドを水無しにて単独に添加した場合には、0.6重量%の添加において、100℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られ、1.0重量%の添加において、120℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、前記両配合においても、常温安定性、低温安定性とも良好な結果が得られており、これらアセトアルデヒドをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、図11の「EIB15−PA」に示すプロピオンアルデヒドと水との双方を添加した場合の結果から、水の添加量を低減しても良好なアルミニウムの腐食防止能が得られるとともに、これら水の添加量を低減できることから、得られる燃料の室温、並びに低温の保存安定性が向上していることが判り、これらプロピオンアルデヒドが、水の添加量の低減効果を有することが判る。
また、これらEIB15にエーテルを含む基本配合である「EIB15−E」に関して、EIB15と同様に水、メタノール、プロピレングリコール、ジエチルケトン、酢酸メチル、プロピオンアルデヒドを添加してアルミニウムの腐食性並びに保存安定性についての試験を実施した結果を図26に示す。この図26に示す結果から、エーテルを添加した場合においても、前記EIB15の場合に得られた効果が同様に得られていることが判り、これらエーテルを配合したものでも水、メタノール、プロピレングリコール、ジエチルケトン、酢酸メチル、プロピオンアルデヒドを有効に使用できることが判る。
次いで、配合例9であるEIB75の基本組成は、ナフサ25重量%、エタノール35重量%、イソブチルアルコール40重量%であり、EIB40に対して、アルコールの割合が増えた配合である。このEIB75でも、図12に示すように、前記EIB40と同様のドライコロージョンによるアルミニウム腐食での重量減少があることが判る。
このEIB75に対して、90℃においては、水を0.1重量%添加しても、燃料中に含まれるアルコールの総量が約75重量%と大きいことから、良好なアルミニウムの耐腐食性が得られず、該アルコール総量に0.002を乗じた0.15重量%を上回る値である0.2重量%の水を添加した場合には、良好なアルミニウムの耐腐食性が得られることが判る。また、120℃においては、水を1.2重量%まで添加すると、120℃で良好なアルミニウムの耐腐食性が得られることが判り、水の添加がドライコロージョンによるアルミニウム腐食に効果があることが判る。
これに対し、前記水に代えて、メタノールを添加した場合の結果が図12の配合名「EIB75−Me」に示されている。このメタノールを添加した場合には、1.5重量%の添加において、アルミニウムの耐腐食性が向上していることが判り、100℃でも良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、低温安定性も良好な結果を示している。また、2.0重量%の添加したものは、120℃におけるアルミニウムの耐腐食性でも良好な結果が得られるとともに、室温並びに低温でも層分離を生じることが無く、常温並びに低温保存性をこれらメタノールの添加により向上でき、よってこれらメタノールをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、図12の「EIB75−Me」に示すメタノールと水との双方を添加した場合の結果から、メタノールと水とを混合することで、より少ないメタノール量で良好なアルミニウムの腐食防止能が得られるとともに、良好な室温、並びに低温の保存安定性が得られることが判り、これら水がメタノールの添加量の低減効果があることが判る。
また、グリコール類としてエチレングリコールを前記水に代えて添加した場合の結果が図12の配合名「EIB75−EG」に示されている。このエチレングリコールを添加した場合には、3.0重量%の添加において、アルミニウムの耐腐食性が向上していることが判り、100℃でも良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、低温安定性も良好な結果を示している。また、5.0重量%の添加したものは、120℃におけるアルミニウムの耐腐食性でも良好な結果が得られるとともに、室温並びに低温でも層分離を生じることが無く、常温並びに低温保存性をこれらエチレングリコールの添加により向上でき、よってこれらエチレングリコールをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、図12の「EIB75−EG」に示すエチレングリコールと水との双方を添加した場合の結果から、エチレングリコールと水とを混合することで、より少ないエチレングリコール量で良好なアルミニウムの腐食防止能が得られるとともに、良好な室温、並びに低温の保存安定性が得られることが判り、これら水がエチレングリコールの添加量の低減効果があることが判る。
また、ケトン類としてメチルエチルケトンを前記水に代えて添加した場合の結果、並びに水とともに添加した場合の結果が図12の配合名「EIB75−MEK」に示されている。このメチルエチルケトンを水無しにて単独に添加した場合には、3.0重量%の添加において、100℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られ、5.0重量%の添加において、120℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、両配合において常温安定性、低温安定性とも良好な結果が得られており、これらメチルエチルケトンをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、図12の「EIB75−MEK」に示すメチルエチルケトンと水との双方を添加した場合の結果から、メチルエチルケトンと水とを混合することで、より少なメチルエチルケトン量で良好なアルミニウムの腐食防止能が得られるとともに、良好な室温、並びに低温の保存安定性が得られることが判り、これら水がメチルエチルケトンの添加量の低減効果があることが判る。
また、エステル類としてギ酸メチルを前記水に代えて単独添加した場合の結果、並びに水とともに添加した場合の結果が図12の配合名「EIB75−GM」に示されている。このギ酸メチルを水無しにて単独に添加した場合には、4.0重量%の添加において、100℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られ、8.0重量%の添加において、120℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、前記両配合においても、常温安定性、低温安定性とも良好な結果が得られており、これらギ酸メチルをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、図12の「EIB75−GM」に示すギ酸メチルと水との双方を添加した場合の結果から、ギ酸メチルと水とを混合することで、より少ないギ酸メチル量で良好なアルミニウムの腐食防止能が得られるとともに、良好な室温、並びに低温の保存安定性が得られることが判り、これら水がギ酸メチルの添加量の低減効果があることが判る。
また、アルデヒド類としてアセトアルデヒドを前記水に代えて単独添加した場合の結果、並びに水とともに添加した場合の結果が図12の配合名「EIB75−AA」に示されている。このアセトアルデヒドを水無しにて単独に添加した場合には、0.8重量%の添加において、100℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られ、1.0重量%の添加において、120℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、前記両配合においても、常温安定性、低温安定性とも良好な結果が得られており、これらアセトアルデヒドをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、図12の「EIB75−AA」に示すアセトアルデヒドと水との双方を添加した場合の結果から、アセトアルデヒドと水とを混合することで、より少ないアセトアルデヒド量で良好なアルミニウムの腐食防止能が得られるとともに、良好な室温、並びに低温の保存安定性が得られることが判り、これら水がアセトアルデヒドの添加量の低減効果があることが判る。
また、これらEIB75にエーテルを含む基本配合である「EIB75−E」に関して、EIB75と同様に水、メタノール、エチレングリコール、メチルエチルケトン、ギ酸メチル、アセトアルデヒドを添加してアルミニウムの腐食性並びに保存安定性についての試験を実施した結果を図27に示す。この図27に示す結果から、エーテルを添加した場合においても、前記EIB75の場合に得られた効果が同様に得られていることが判り、これらエーテルを配合したものでも水、メタノール、エチレングリコール、メチルエチルケトン、ギ酸メチル、アセトアルデヒドが有効に使用できることが判る。
次いで、配合例10であるPNB30の基本組成は、ナフサ70重量%、イソプロピルアルコール10重量%、nブタノール10重量%、イソブチルアルコール10重量%であり、アルコールの種類が、3種類と増加した配合である。
このPNB30に対して、80℃においては水を0.1重量%まで、120℃においては水を例えば1.8重量%まで添加すると、図13に示すように、アルミニウム腐食による重量減少は無くなっており、耐腐食性が向上していることが判る一方、これらの水を無添加のものや0.1重量%添加したものは、低温であるマイナス10℃における保存性には問題がないのに対し、120℃においてアルミニウム腐食による重量減少が起きない1.8重量%まで水を添加した場合には、前記マイナス10℃における保存性試験において、層分離が生じるとともに、2.0重量%の水添加では、室温でも層分離が生じることが判り、水の添加がドライコロージョンによるアルミニウム腐食に効果があることが判る一方、高い温度である120℃においても良好なアルミニウム腐食防止能を水にて得ようとする場合には、該水添加により保存安定性が低下してしまうことが判る。
これに対し、前記水に代えて、メタノールを添加した場合の結果が図13の配合名「PNB30−Me」に示されている。このメタノールを添加した場合には、1.0重量%の添加において100℃でも良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、低温安定性も良好な結果を示している。また、1.5重量%の添加したものは、120℃におけるアルミニウムの耐腐食性でも良好な結果が得られるとともに、室温並びに低温でも層分離を生じることが無く、常温並びに低温保存性をこれらメタノールの添加により向上でき、よってこれらメタノールをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、図13の「PNB30−Me」に示すメタノールと水との双方を添加した場合の結果から、水の添加量を低減しても良好なアルミニウムの腐食防止能が得られるとともに、これら水の添加量を低減できることから、得られる燃料の室温、並びに低温の保存安定性が向上していることが判るばかりか、前記水単体を添加した場合と同様の添加量を添加した場合に、これらメタノールを更に添加することで、得られる液体燃料の低温安定性が向上していることが判り、これらメタノールが、水の添加量の低減効果並びに低温安定性の向上効果があることが判る。
また、グリコール類としてエチレングリコールを前記水に代えて添加した場合の結果が図13の配合名「PNB30−EG」に示されている。このエチレングリコールを添加した場合には、2.0重量%の添加において、アルミニウムの耐腐食性が向上していることが判り、100℃でも良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、低温安定性も良好な結果を示している。また、2.5重量%の添加したものは、120℃におけるアルミニウムの耐腐食性でも良好な結果が得られるとともに、室温並びに低温でも層分離を生じることが無く、常温並びに低温保存性をこれらエチレングリコールの添加により向上でき、よってこれらエチレングリコールをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、図13の「PNB30−EG」に示すエチレングリコールと水との双方を添加した場合の結果から、水の添加量を低減しても良好なアルミニウムの腐食防止能が得られるとともに、これら水の添加量を低減できることから、得られる燃料の室温、並びに低温の保存安定性が向上していることが判り、これらエチレングリコールが、水の添加量の低減効果を有することが判る。
また、ケトン類としてアセトンを前記水に代えて添加した場合の結果、並びに水とともに添加した場合の結果が図13の配合名「PNB30−Ac」に示されている。このアセトンを水無しにて単独に添加した場合には、0.2重量%の添加において100℃並びに120℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、両配合共に常温安定性、低温安定性とも良好な結果が得られており、これらアセトンをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、図13の「PNB30−Ac」に示すアセトンと水との双方を添加した場合の結果から、水の添加量を低減しても良好なアルミニウムの腐食防止能が得られるとともに、これら水の添加量を低減できることから、得られる燃料の室温、並びに低温の保存安定性が向上していることが判るばかりか、前記水単体を添加した場合と同様の添加量を添加した場合に、これらアセトンを更に添加することで、得られる液体燃料の低温安定性が向上していることが判り、これらアセトンが、水の添加量の低減効果並びに低温安定性の向上効果があることが判る。
また、エステル類としてギ酸メチルを前記水に代えて単独添加した場合の結果、並びに水とともに添加した場合の結果が図13の配合名「PNB30−GM」に示されている。このギ酸メチルを水無しにて単独に添加した場合には、1.5重量%の添加において、100℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られ、2.5重量%の添加において、120℃における良好なアルミニウムの酎腐食性が得られるとともに、前記両配合においても、常温安定性、低温安定性とも良好な結果が得られており、これらギ酸メチルをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、図13の「PNB30−GM」に示すギ酸メチルと水との双方を添加した場合の結果から、水の添加量を低減しても良好なアルミニウムの腐食防止能が得られるとともに、これら水の添加量を低減できることから、得られる燃料の室温、並びに低温の保存安定性が向上していることが判るばかりか、前記水単体を添加した場合と同様の添加量を添加した場合に、ギ酸メチルを更に添加することで、得られる液体燃料の低温安定性が向上していることが判り、これらギ酸メチルが、水の添加量の低減効果並びに低温安定性の向上効果があることが判る。
また、アルデヒド類としてブチルアルデヒドを前記水に代えて単独添加した場合の結果、並びに水とともに添加した場合の結果が図13の配合名「PNB30−BA」に示されている。このブチルアルデヒドを水無しにて単独に添加した場合には、0.4重量%の添加において、100℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られ、0.5重量%の添加において、120℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、前記両配合においても、常温安定性、低温安定性とも良好な結果が得られており、これらブチルアルデヒドをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、図13の「PNB30−BA」に示すブチルアルデヒドと水との双方を添加した場合の結果から、水の添加量を低減しても良好なアルミニウムの腐食防止能が得られるとともに、これら水の添加量を低減できることから、得られる燃料の室温、並びに低温の保存安定性が向上していることが判り、これらブチルアルデヒドが、水の添加量の低減効果を有することが判る。
また、これらPNB30にエーテルを含む基本配合である「PNB30−E」に関して、PNB30と同様に水、メタノール、エチレングリコール、アセトン、ギ酸メチル、ブチルアルデヒドを添加してアルミニウムの腐食性並びに保存安定性についての試験を実施した結果を図28に示す。この図28に示す結果から、エーテルを添加した場合においても、前記PNB30の場合に得られた効果が、同様に得られていることが判り、これらエーテルを配合したものでも水、メタノール、エチレングリコール、アセトン、ギ酸メチル、ブチルアルデヒドが有効に使用できることが判る。
次いで、配合例11であるPNB15の基本組成は、ナフサ85重量%、イソプロピルアルコール5重量%、nブタノール5重量%、イソブチルアルコール5重量%であり、アルコールの種類が3種類であるが、その比率が少ない配合である。このPNB15でも、図14に示すように、他の配合と同様のドライコロージョンによるアルミニウム腐食での重量減少があることが判る。
このPNB15に対して、80℃(処理時間120時間)においては水を0.1重量%まで、120℃(処理時間24時間)においては水を0.5重量%まで添加すると、図14に示すように、アルミニウム腐食による重量減少は無くなっており、耐腐食性が向上していることが判る一方、これらの水を無添加のものや0.1重量%添加したものは、低温であるマイナス10℃における保存性には問題がないのに対し、120℃においてアルミニウム腐食による重量減少が起きない0.5重量%まで水を添加した場合には、前記マイナス10℃における保存性試験において、層分離が生じるとともに、0.7重量%の水添加では、室温でも層分離が生じることが判り、水の添加がドライコロージョンによるアルミニウム腐食に効果があることが判る一方、高い温度である120℃においても良好なアルミニウム腐食防止能を水にて得ようとする場合には、該水添加により保存安定性が低下してしまうことが判る。
これに対し、前記水に代えて、メタノールを添加した場合の結果が図14の配合名「PNB15−Me」に示されている。このメタノールを添加した場合には、0.8重量%の添加において、アルミニウムの耐腐食性が向上していることが判り、100℃でも良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、低温安定性も良好な結果を示している。また、1.5重量%の添加したものは、120℃におけるアルミニウムの耐腐食性でも良好な結果が得られるとともに、室温並びに低温でも層分離を生じることが無く、常温並びに低温保存性をこれらメタノールの添加により向上でき、よってこれらメタノールをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、図14の「PNB15−Me」に示すメタノールと水との双方を添加した場合の結果から、水の添加量を低減しても良好なアルミニウムの腐食防止能が得られるとともに、これら水の添加量を低減できることから、得られる燃料の室温、並びに低温の保存安定性が向上していることが判るばかりか、前記水単体を添加した場合と同様の添加量を添加した場合に、これらメタノールを更に添加することで、得られる液体燃料の低温安定性が向上していることが判り、これらメタノールが、水の添加量の低減効果並びに低温安定性の向上効果があることが判る。
また、グリコール類としてプロピレングリコールを前記水に代えて添加した場合の結果が図14の配合名「PNB15−PG」に示されている。このプロピレングリコールを添加した場合には、3.0重量%の添加において、アルミニウムの耐腐食性が向上していることが判り、100℃でも良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、低温安定性も良好な結果を示している。また、4.0重量%の添加したものは、120℃におけるアルミニウムの耐腐食性でも良好な結果が得られるとともに、室温並びに低温でも層分離を生じることが無く、常温並びに低温保存性をこれらプロピレングリコールの添加により向上でき、よってこれらプロピレングリコールをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、図14の「PNB15−PG」に示すプロピレングリコールと水との双方を添加した場合の結果から、水の添加量を低減しても良好なアルミニウムの腐食防止能が得られるとともに、これら水の添加量を低減できることから、得られる燃料の室温、並びに低温の保存安定性が向上していることが判り、これらプロピレングリコールが、水の添加量の低減効果を有することが判る。
また、ケトン類としてメチルnプロピルケトンを前記水に代えて添加した場合の結果、並びに水とともに添加した場合の結果が図14の配合名「PNB15−MPK」に示されている。このメチルnプロピルケトンを水無しにて単独に添加した場合には、0.3重量%の添加において100℃おける良好なアルミニウムの耐腐食性が得られ、0.5重量%の添加において120℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、両配合共に常温安定性、低温安定性とも良好な結果が得られており、これらメチルnプロピルケトンをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、図14の「PNB15−MPK」に示すメチルnプロピルケトンと水との双方を添加した場合の結果から、水の添加量を低減しても良好なアルミニウムの腐食防止能が得られるとともに、これら水の添加量を低減できることから、得られる燃料の室温、並びに低温の保存安定性が向上していることが判るばかりか、前記水単体を添加した場合と同様の添加量を添加した場合に、これらメチルnプロピルケトンを更に添加することで、得られる液体燃料の低温安定性が向上していることが判り、これらメチルnプロピルケトンが、水の添加量の低減効果並びに低温安定性の向上効果があることが判る。
また、エステル類として酢酸メチルを前記水に代えて単独添加した場合の結果、並びに水とともに添加した場合の結果が図14の配合名「PNB15−SM」に示されている。この酢酸メチルを水無しにて単独に添加した場合には、1.5重量%の添加において、100℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られ、6.0重量%の添加において、120℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、前記両配合においても、常温安定性、低温安定性とも良好な結果が得られており、これら酢酸メチルをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、図14の「PNB15−SM」に示す酢酸メチルと水との双方を添加した場合の結果から、水の添加量を低減しても良好なアルミニウムの腐食防止能が得られるとともに、これら水の添加量を低減できることから、得られる燃料の室温、並びに低温の保存安定性が向上していることが判るばかりか、前記水単体を添加した場合と同様の添加量を添加した場合に、酢酸メチルを更に添加することで、得られる液体燃料の低温安定性が向上していることが判り、これら酢酸メチルが、水の添加量の低減効果並びに低温安定性の向上効果があることが判る。
また、アルデヒド類としてアセトアルデヒドを前記水に代えて単独添加した場合の結果、並びに水とともに添加した場合の結果が図14の配合名「PNB15−AA」に示されている。このアセトアルデヒドを水無しにて単独に添加した場合には、0.3重量%の添加において、100℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られ、0.5重量%の添加において、120℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、前記両配合においても、常温安定性、低温安定性とも良好な結果が得られており、これらアセトアルデヒドをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、図14の「PNB15−AA」に示すアセトアルデヒドと水との双方を添加した場合の結果から、水の添加量を低減しても良好なアルミニウムの腐食防止能が得られるとともに、これら水の添加量を低減できることから、得られる燃料の室温、並びに低温の保存安定性が向上していることが判り、これらアセトアルデヒドが、水の添加量の低減効果を有することが判る。
また、これらPNB15にエーテルを含む基本配合である「PNB15−E」に関して、PNB15と同様に水、メタノール、プロピレングリコール、メチルnプロピルケトン、酢酸メチル、アセトアルデヒドを添加してアルミニウムの腐食性並びに保存安定性についての試験を実施した結果を図29に示す。この図29に示す結果から、エーテルを添加した場合においても、前記PNB15の場合に得られた効果が、同様に得られていることが判り、これらエーテルを配合したものでも水、メタノール、プロピレングリコール、メチルnプロピルケトン、酢酸メチル、アセトアルデヒドが有効に使用できることが判る。
次いで、配合例12であるPNB75の基本組成は、ナフサ25重量%、イソプロピルアルコール25重量%、nブタノール25重量%、イソブチルアルコール25重量%であり、アルコールの種類が、3種類であり、且つ高アルコール比率の配合である。
このPNB75に対して、80℃(処理時間120時間)においては、水を0.1重量%添加しても、燃料中に含まれるアルコールの総量が約75重量%と大きいことから、良好なアルミニウムの耐腐食性が得られず、該アルコール総量に0.002を乗じた0.15重量%を上回る値である0.2重量%の水を添加した場合には、良好なアルミニウムの耐腐食性が得られることが判る。また、120℃(処理時間24時間)においては、水を例えば10.0重量%まで添加すると、120℃で良好なアルミニウムの耐腐食性が得られることが判る一方、これらの水を無添加のものや0.1重量%或いは0.2重量%添加したものは、低温であるマイナス10℃における保存性には問題がないのに対し、120℃においてアルミニウム腐食による重量減少が起きない10.0重量%まで水を添加したものは、マイナス10℃における低温保存性試験において、層分離が生じるとともに、10.5重量%の水添加では、室温でも層分離が生じてしまうことが判り、水の添加がドライコロージョンによるアルミニウム腐食に効果があることが判る一方、高い温度である120℃においても良好なアルミニウム腐食防止能を水にて得ようとする場合には、該水添加により保存安定性が低下してしまうことが判る。
これに対し、前記水に代えて、メタノールを添加した場合の結果が図15の配合名「PNB75−Me」に示されている。このメタノールを添加した場合には、1.0重量%の添加において100℃でも良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、低温安定性も良好な結果を示している。また、2.0重量%の添加したものは、120℃におけるアルミニウムの耐腐食性でも良好な結果が得られるとともに、室温並びに低温でも層分離を生じることが無く、常温並びに低温保存性をこれらメタノールの添加により向上でき、よってこれらメタノールをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、図15の「PNB75−Me」に示すメタノールと水との双方を添加した場合の結果から、水の添加量を低減しても良好なアルミニウムの腐食防止能が得られるとともに、これら水の添加量を低減できることから、得られる燃料の室温、並びに低温の保存安定性が向上していることが判るばかりか、前記水単体を添加した場合と同様の添加量を添加した場合に、これらメタノールを更に添加することで、得られる液体燃料の低温安定性が向上していることが判り、これらメタノールが、水の添加量の低減効果並びに低温安定性の向上効果があることが判る。
また、グリコール類としてエチレングリコールを前記水に代えて添加した場合の結果が図15の配合名「PNB75−EG」に示されている。このエチレングリコールを添加した場合には、4.0重量%の添加において、アルミニウムの耐腐食性が向上していることが判り、100℃でも良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、低温安定性も良好な結果を示している。また、6.0重量%の添加したものは、120℃におけるアルミニウムの耐腐食性でも良好な結果が得られるとともに、室温並びに低温でも層分離を生じることが無く、常温並びに低温保存性をこれらエチレングリコールの添加により向上でき、よってこれらエチレングリコールをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、図15の「PNB75−EG」に示すエチレングリコールと水との双方を添加した場合の結果から、水の添加量を低減しても良好なアルミニウムの腐食防止能が得られるとともに、これら水の添加量を低減できることから、得られる燃料の室温、並びに低温の保存安定性が向上していることが判り、これらエチレングリコールが、水の添加量の低減効果を有することが判る。
また、ケトン類としてメチルエチルケトンを前記水に代えて添加した場合の結果、並びに水とともに添加した場合の結果が図15の配合名「PNB75−MEK」に示されている。このメチルエチルケトンを水無しにて単独に添加した場合には、0.3重量%の添加において100℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られ、0.5重量%の添加において120℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、両配合共に常温安定性、低温安定性とも良好な結果が得られており、これらメチルエチルケトンをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、図15の「PNB75−MEK」に示すメチルエチルケトンと水との双方を添加した場合の結果から、水の添加量を低減しても良好なアルミニウムの腐食防止能が得られるとともに、これら水の添加量を低減できることから、得られる燃料の室温、並びに低温の保存安定性が向上していることが判るばかりか、前記水単体を添加した場合と同様の添加量を添加した場合に、これらメチルエチルケトンを更に添加することで、得られる液体燃料の低温安定性が向上していることが判り、これらメチルエチルケトンが、水の添加量の低減効果並びに低温安定性の向上効果があることが判る。
また、エステル類としてギ酸エチルを前記水に代えて単独添加した場合の結果、並びに水とともに添加した場合の結果が図15の配合名「PNB75−GE」に示されている。このギ酸エチルを水無しにて単独に添加した場合には、4.0重量%の添加において、100℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られ、6.0重量%の添加において、120℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、前記両配合においても、常温安定性、低温安定性とも良好な結果が得られており、これらギ酸エチルをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、図15の「PNB75−GE」に示すギ酸エチルと水との双方を添加した場合の結果から、水の添加量を低減しても良好なアルミニウムの腐食防止能が得られるとともに、これら水の添加量を低減できることから、得られる燃料の室温、並びに低温の保存安定性が向上していることが判るばかりか、前記水単体を添加した場合と同様の添加量を添加した場合に、ギ酸エチルを更に添加することで、得られる液体燃料の低温安定性が向上していることが判り、これらギ酸エチルが、水の添加量の低減効果並びに低温安定性の向上効果があることが判る。
また、アルデヒド類としてプロピオンアルデヒドを前記水に代えて単独添加した場合の結果、並びに水とともに添加した場合の結果が図15の配合名「PNB75−PA」に示されている。このプロピオンアルデヒドを水無しにて単独に添加した場合には、0.3重量%の添加において、100℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られ、0.5重量%の添加において、120℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、前記両配合においても、常温安定性、低温安定性とも良好な結果が得られており、これらプロピオンアルデヒドをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、図15の「PNB75−PA」に示すプロピオンアルデヒドと水との双方を添加した場合の結果から、水の添加量を低減しても良好なアルミニウムの腐食防止能が得られるとともに、これら水の添加量を低減できることから、得られる燃料の室温、並びに低温の保存安定性が向上していることが判り、これらプロピオンアルデヒドが、水の添加量の低減効果を有することが判る。
また、これらPNB75にエーテルを含む基本配合である「PNB75−E」に関して、PNB75と同様に水、記メタノール、エチレングリコール、メチルエチルケトン、ギ酸エチル、プロピオンアルデヒドを添加してアルミニウムの腐食性並びに保存安定性についての試験を実施した結果を図30に示す。この図30に示す結果から、エーテルを添加した場合においても、前記PNB75の場合に得られた効果が、同様に得られていることが判り、これらエーテルを配合したものでも水、メタノール、エチレングリコール、メチルエチルケトン、ギ酸エチル、プロピオンアルデヒドを有効に使用できることが判る。
次いで、配合例13であるEIPP30の基本組成は、ナフサ70重量%、エタノール10重量%、イソプロピルアルコール10重量%、1−ペンタノール10重量%であり、アルコールの種類を、前記PNB30とは異なる組み合わせとした配合である。
このEIPP30に対して、80℃(処理時間120時間)においては水を0.1重量%まで、120℃(処理時間24時間)においては水を例えば2.5重量%まで、添加すると、図16に示すように、アルミニウム腐食による重量減少は無くなっており、耐腐食性が向上していることが判る一方、これらの水を無添加のものや0.1重量%添加したものは、低温であるマイナス10℃における保存性には問題がないのに対し、120℃においてアルミニウム腐食による重量減少が起きない2.5重量%まで水を添加したものは、マイナス10℃における低温保存性試験において、層分離が生じるとともに、3.0重量%の水添加では、室温でも層分離が生じてしまうことが判り、水の添加がドライコロージョンによるアルミニウム腐食に効果があることが判る一方、高い温度である120℃においても良好なアルミニウム腐食防止能を水にて得ようとする場合には、該水添加により保存安定性が低下してしまうことが判る。
これに対し、前記水に代えて、メタノールを添加した場合の結果が図16の配合名「EIPP30−Me」に示されている。このメタノールを添加した場合には、1.5重量%の添加において100℃でも良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、低温安定性も良好な結果を示している。また、2.5重量%の添加したものは、120℃におけるアルミニウムの耐腐食性でも良好な結果が得られるとともに、室温並びに低温でも層分離を生じることが無く、常温並びに低温保存性をこれらメタノールの添加により向上でき、よってこれらメタノールをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、図16の「EIPP30−Me」に示すメタノールと水との双方を添加した場合の結果から、水の添加量を低減しても良好なアルミニウムの腐食防止能が得られるとともに、これら水の添加量を低減できることから、得られる燃料の室温、並びに低温の保存安定性が向上していることが判り、これらメタノールが、水の添加量の低減効果を有することが判る。
また、グリコール類としてエチレングリコールを前記水に代えて添加した場合の結果が図16の配合名「EIPP30−EG」に示されている。このエチレングリコールを添加した場合には、2.0重量%の添加において、アルミニウムの耐腐食性が向上していることが判り、100℃でも良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、低温安定性も良好な結果を示している。また、5.0重量%の添加したものは、120℃におけるアルミニウムの耐腐食性でも良好な結果が得られるとともに、室温並びに低温でも層分離を生じることが無く、常温並びに低温保存性をこれらエチレングリコールの添加により向上でき、よってこれらエチレングリコールをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、図16の「EIPP30−EG」に示すエチレングリコールと水との双方を添加した場合の結果から、水の添加量を低減しても良好なアルミニウムの腐食防止能が得られるとともに、これら水の添加量を低減できることから、得られる燃料の室温、並びに低温の保存安定性が向上していることが判り、これらエチレングリコールが、水の添加量の低減効果を有することが判る。
また、ケトン類としてアセトンを前記水に代えて添加した場合の結果、並びに水とともに添加した場合の結果が図16の配合名「EIPP30−Ac」に示されている。このアセトンを水無しにて単独に添加した場合には、3.0重量%の添加において100℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られ、4.0重量%の添加において120℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、両配合共に常温安定性、低温安定性とも良好な結果が得られており、これらアセトンをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、図16の「EIPP30−Ac」に示すアセトンと水との双方を添加した場合の結果から、水の添加量を低減しても良好なアルミニウムの腐食防止能が得られるとともに、これら水の添加量を低減できることから、得られる燃料の室温、並びに低温の保存安定性が向上していることが判るばかりか、前記水単体を添加した場合と同様の添加量を添加した場合に、これらアセトンを更に添加することで、得られる液体燃料の低温安定性が向上していることが判り、これらアセトンが、水の添加量の低減効果並びに低温安定性の向上効果があることが判る。
また、エステル類としてギ酸メチルを前記水に代えて単独添加した場合の結果、並びに水とともに添加した場合の結果が図16の配合名「EIPP30−GM」に示されている。このギ酸メチルを水無しにて単独に添加した場合には、1.5重量%の添加において、100℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られ、6.0重量%の添加において、120℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、前記両配合においても、常温安定性、低温安定性とも良好な結果が得られており、これらギ酸メチルをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、図16の「EIPP30−GM」に示すギ酸メチルと水との双方を添加した場合の結果から、水の添加量を低減しても良好なアルミニウムの腐食防止能が得られるとともに、これら水の添加量を低減できることから、得られる燃料の室温、並びに低温の保存安定性が向上していることが判るばかりか、前記水単体を添加した場合と同様の添加量を添加した場合に、ギ酸メチルを更に添加することで、得られる液体燃料の低温安定性が向上していることが判り、これらギ酸メチルが、水の添加量の低減効果並びに低温安定性の向上効果があることが判る。
また、アルデヒド類としてブチルアルデヒドを前記水に代えて単独添加した場合の結果、並びに水とともに添加した場合の結果が図16の配合名「EIPP30−BA」に示されている。このブチルアルデヒドを水無しにて単独に添加した場合には、0.6重量%の添加において、100℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られ、1.0重量%の添加において、120℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、前記両配合においても、常温安定性、低温安定性とも良好な結果が得られており、これらブチルアルデヒドをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、図16の「EIPP30−BA」に示すブチルアルデヒドと水との双方を添加した場合の結果から、水の添加量を低減しても良好なアルミニウムの腐食防止能が得られるとともに、これら水の添加量を低減できることから、得られる燃料の室温、並びに低温の保存安定性が向上していることが判り、これらブチルアルデヒドが、水の添加量の低減効果を有することが判る。
また、これらEIPP30にエーテルを含む基本配合である「EIPP30−E」に関して、EIPP30と同様に水、メタノール、エチレングリコール、アセトン、ギ酸メチル、ブチルアルデヒドを添加してアルミニウムの腐食性並びに保存安定性についての試験を実施した結果を図31に示す。この図31に示す結果から、エーテルを添加した場合においても、前記EIPP30の場合に得られた効果が、同様に得られていることが判り、これらエーテルを配合したものでも水、メタノール、エチレングリコール、アセトン、ギ酸メチル、ブチルアルデヒドが有効に使用できることが判る。
次いで、配合例14であるEIPP15の基本組成は、ナフサ85重量%、エタノール5重量%、イソプロピルアルコール5重量%、1−ペンタノール5重量%であり、アルコールの種類を、前記PNB30とは異なる組み合わせとしその比率が少ない配合である。
このEIPP15に対して、80℃(処理時間120時間)においては水を0.1重量%まで、120℃(処理時間24時間)においては水を0.8重量%まで、添加すると、図17に示すように、アルミニウム腐食による重量減少は無くなっており、耐腐食性が向上していることが判る一方、これらの水を無添加のものや0.1重量%添加したものは、低温であるマイナス10℃における保存性には問題がないのに対し、120℃においてアルミニウム腐食による重量減少が起きない0.8重量%まで水を添加したものは、マイナス10℃における低温保存性試験において、層分離が生じるとともに、1.0重量%の水添加では、室温でも層分離が生じることが判り、水の添加がドライコロージョンによるアルミニウム腐食に効果があることが判る一方、高い温度である120℃においても良好なアルミニウム腐食防止能を水にて得ようとする場合には、該水添加により保存安定性が低下してしまうことが判る。
これに対し、前記水に代えて、メタノールを添加した場合の結果が図17の配合名「EIPP15−Me」に示されている。このメタノールを添加した場合には、1.0重量%の添加において、アルミニウムの耐腐食性が向上していることが判り、100℃でも良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、低温安定性も良好な結果を示している。また、2.0重量%の添加したものは、120℃におけるアルミニウムの耐腐食性でも良好な結果が得られるとともに、室温並びに低温でも層分離を生じることが無く、常温並びに低温保存性をこれらメタノールの添加により向上でき、よってこれらメタノールをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、図17の「EIPP15−Me」に示すメタノールと水との双方を添加した場合の結果から、水の添加量を低減しても良好なアルミニウムの腐食防止能が得られるとともに、これら水の添加量を低減できることから、得られる燃料の室温、並びに低温の保存安定性が向上していることが判り、これらメタノールが、水の添加量の低減効果を有することが判る。
また、グリコール類としてプロピレングリコールを前記水に代えて添加した場合の結果が図17の配合名「EIPP15−PG」に示されている。このプロピレングリコールを添加した場合には、2.5重量%の添加において、アルミニウムの耐腐食性が向上していることが判り、100℃でも良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、低温安定性も良好な結果を示している。また、4.0重量%の添加したものは、120℃におけるアルミニウムの耐腐食性でも良好な結果が得られるとともに、室温並びに低温でも層分離を生じることが無く、常温並びに低温保存性をこれらプロピレングリコールの添加により向上でき、よってこれらプロピレングリコールをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、図17の「EIPP15−PG」に示すプロピレングリコールと水との双方を添加した場合の結果から、水の添加量を低減しても良好なアルミニウムの腐食防止能が得られるとともに、これら水の添加量を低減できることから、得られる燃料の室温、並びに低温の保存安定性が向上していることが判り、これらプロピレングリコールが、水の添加量の低減効果を有することが判る。
また、ケトン類としてジエチルケトンを前記水に代えて添加した場合の結果、並びに水とともに添加した場合の結果が図17の配合名「EIPP15−DEK」に示されている。このジエチルケトンを水無しにて単独に添加した場合には、2.0重量%の添加において100℃おける良好なアルミニウムの耐腐食性が得られ、3.0重量%の添加において120℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、両配合共に常温安定性、低温安定性とも良好な結果が得られており、これらジエチルケトンをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、図17の「EIPP15−DEK」に示すジエチルケトンと水との双方を添加した場合の結果から、水の添加量を低減しても良好なアルミニウムの腐食防止能が得られるとともに、これら水の添加量を低減できることから、得られる燃料の室温、並びに低温の保存安定性が向上していることが判るばかりか、前記水単体を添加した場合と同様の添加量を添加した場合に、これらジエチルケトンを更に添加することで、得られる液体燃料の低温安定性が向上していることが判り、これらジエチルケトンが、水の添加量の低減効果並びに低温安定性の向上効果があることが判る。
また、エステル類として酢酸メチルを前記水に代えて単独添加した場合の結果、並びに水とともに添加した場合の結果が図14の配合名「EIPP15−SM」に示されている。この酢酸メチルを水無しにて単独に添加した場合には、1.2重量%の添加において、100℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られ、4.0重量%の添加において、120℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、前記両配合においても、常温安定性、低温安定性とも良好な結果が得られており、これら酢酸メチルをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、図17の「EIPP15−SM」に示す酢酸メチルと水との双方を添加した場合の結果から、水の添加量を低減しても良好なアルミニウムの腐食防止能が得られるとともに、これら水の添加量を低減できることから、得られる燃料の室温、並びに低温の保存安定性が向上していることが判るばかりか、前記水単体を添加した場合と同様の添加量を添加した場合に、酢酸メチルを更に添加することで、得られる液体燃料の低温安定性が向上していることが判り、これら酢酸メチルが、水の添加量の低減効果並びに低温安定性の向上効果があることが判る。
また、アルデヒド類としてプロピオンアルデヒドを前記水に代えて単独添加した場合の結果、並びに水とともに添加した場合の結果が図14の配合名「EIPP15−PA」に示されている。このプロピオンアルデヒドを水無しにて単独に添加した場合には、0.5重量%の添加において、100℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られ、0.8重量%の添加において、120℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、前記両配合においても、常温安定性、低温安定性とも良好な結果が得られており、これらプロピオンアルデヒドをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、図17の「EIPP15−PA」に示すプロピオンアルデヒドと水との双方を添加した場合の結果から、水の添加量を低減しても良好なアルミニウムの腐食防止能が得られるとともに、これら水の添加量を低減できることから、得られる燃料の室温、並びに低温の保存安定性が向上していることが判り、これらプロピオンアルデヒドが、水の添加量の低減効果を有することが判る。
また、これらEIPP15にエーテルを含む基本配合である「EIPP15−E」に関して、EIPP15と同様に水、メタノール、プロピレングリコール、ジエチルケトン、酢酸メチル、プロピオンアルデヒドを添加してアルミニウムの腐食性並びに保存安定性についての試験を実施した結果を図32に示す。この図32に示す結果から、エーテルを添加した場合においても、前記EIPP15の場合に得られた効果が、同様に得られていることが判り、これらエーテルを配合したものでも水、メタノール、プロピレングリコール、ジエチルケトン、酢酸メチル、プロピオンアルデヒドが有効に使用できることが判る。
次いで、配合例15であるEIPP75の基本組成は、ナフサ25重量%、エタノール25重量%、イソプロピルアルコール25重量%、1−ペンタノール25重量%であり、アルコールの種類が、前記PNB75と異なる3種類であり、且つ高アルコール比率の配合である。このEIPP75でも、図18に示すように、前記EIPP15と同様のドライコロージョンによるアルミニウム腐食での重量減少があることが判る。
このEIPP75に対して、80℃(処理時間120時間)においては水を0.1重量%添加しても、図18に示すように、燃料中に含まれるアルコールの総量が約75重量%と大きいことから、良好なアルミニウムの耐腐食性が得られず、該アルコール総量に0.002を乗じた0.15重量%を上回る値である0.2重量%の水を添加した場合には、良好なアルミニウムの耐腐食性が得られることが判る。また、120℃においては、水を1.7重量%まで添加すると、120℃で良好なアルミニウムの耐腐食性が得られることが判り、水の添加がドライコロージョンによるアルミニウム腐食に効果があることが判る。
これに対し、前記水に代えて、メタノールを添加した場合の結果が図18の配合名「EIPP75−Me」に示されている。このメタノールを添加した場合には、2.0重量%の添加において、アルミニウムの耐腐食性が向上していることが判り、100℃でも良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、低温安定性も良好な結果を示している。また、3.0重量%の添加したものは、120℃におけるアルミニウムの耐腐食性でも良好な結果が得られるとともに、室温並びに低温でも層分離を生じることが無く、常温並びに低温保存性をこれらメタノールの添加により向上でき、よってこれらメタノールをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、図18の「EIPP75−Me」に示すメタノールと水との双方を添加した場合の結果から、メタノールと水とを混合することで、より少ないメタノール量で良好なアルミニウムの腐食防止能が得られるとともに、良好な室温、並びに低温の保存安定性が得られることが判り、これら水がメタノールの添加量の低減効果があることが判る。
また、グリコール類としてエチレングリコールを前記水に代えて添加した場合の結果が図18の配合名「EIPP75−EG」に示されている。このエチレングリコールを添加した場合には、4.0重量%の添加において、アルミニウムの耐腐食性が向上していることが判り、100℃でも良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、低温安定性も良好な結果を示している。また、8.0重量%の添加したものは、120℃におけるアルミニウムの耐腐食性でも良好な結果が得られるとともに、室温並びに低温でも層分離を生じることが無く、常温並びに低温保存性をこれらエチレングリコールの添加により向上でき、よってこれらエチレングリコールをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、図18の「EIPP75−EG」に示すエチレングリコールと水との双方を添加した場合の結果から、エチレングリコールと水とを混合することで、より少ないエチレングリコール量で良好なアルミニウムの腐食防止能が得られるとともに、良好な室温、並びに低温の保存安定性が得られることが判り、これら水がエチレングリコールの添加量の低減効果があることが判る。
また、ケトン類としてメチルエチルケトンを前記水に代えて添加した場合の結果、並びに水とともに添加した場合の結果が図18の配合名「EIPP75−MEK」に示されている。このメチルエチルケトンを水無しにて単独に添加した場合には、3.0重量%の添加において100℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られ、5.0重量%の添加において120℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、両配合共に常温安定性、低温安定性とも良好な結果が得られており、これらメチルエチルケトンをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、図18の「EIPP75−MEK」に示すメチルエチルケトンと水との双方を添加した場合の結果から、メチルエチルケトンと水とを混合することで、より少なメチルエチルケトン量で良好なアルミニウムの腐食防止能が得られるとともに、良好な室温、並びに低温の保存安定性が得られることが判り、これら水がメチルエチルケトンの添加量の低減効果があることが判る。
また、エステル類としてギ酸メチルを前記水に代えて単独添加した場合の結果、並びに水とともに添加した場合の結果が図18の配合名「EIPP75−GM」に示されている。このギ酸メチルを水無しにて単独に添加した場合には、3.0重量%の添加において、100℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られ、9.0重量%の添加において、120℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、前記両配合においても、常温安定性、低温安定性とも良好な結果が得られており、これらギ酸メチルをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、図18の「EIPP75−GM」に示すギ酸メチルと水との双方を添加した場合の結果から、ギ酸メチルと水とを混合することで、より少なギ酸メチル量で良好なアルミニウムの腐食防止能が得られるとともに、良好な室温、並びに低温の保存安定性が得られることが判り、これら水がギ酸メチルの添加量の低減効果があることが判る。
また、アルデヒド類としてアセトアルデヒドを前記水に代えて単独添加した場合の結果、並びに水とともに添加した場合の結果が図15の配合名「EIPP75−AA」に示されている。このアセトアルデヒドを水無しにて単独に添加した場合には、0.5重量%の添加において、100℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られ、1.0重量%の添加において、120℃における良好なアルミニウムの耐腐食性が得られるとともに、前記両配合においても、常温安定性、低温安定性とも良好な結果が得られており、これらアセトアルデヒドをアルミニウム腐食防止剤として良好に使用することができることが判る。
また、図18の「EIPP75−AA」に示すアセトアルデヒドと水との双方を添加した場合の結果から、水の添加量を低減しても良好なアルミニウムの腐食防止能が得られるとともに、これら水の添加量を低減できることから、得られる燃料の室温、並びに低温の保存安定性が向上していることが判り、これらアセトアルデヒドが、水の添加量の低減効果を有することが判る。
また、これらEIPP75にエーテルを含む基本配合である「EIPP75−E」に関して、EIPP75と同様に水、メタノール、エチレングリコール、メチルエチルケトン、ギ酸メチル、アセトアルデヒドを添加してアルミニウムの腐食性並びに保存安定性についての試験を実施した結果を図33に示す。この図33に示す結果から、エーテルを添加した場合においても、前記EIPP75の場合に得られた効果が、同様に得られていることが判り、これらエーテルを配合したものでも水、メタノール、エチレングリコール、メチルエチルケトン、ギ酸メチル、アセトアルデヒドを有効に使用できることが判る。
以上、本発明の実施例を図4〜図34に基づいて説明してきたが、これら各配合における水や各アルミニウム腐食防止剤の添加効果についてまとめたものが図35である。
この図35に示すように、アルミニウム腐食防止剤として、メタノール、グリコール類、ケトン類、エステル類、アルデヒド類を使用することで、単体添加によるアルミニウム腐食防止効果、或いは、添加する水の低減効果と添加水量の低減による保存安定性向上のいずれかの効果が得られることが判り、これらを用いることで、よりアルミニウム腐食防止能に優れ、より安定した保存安定性を有する燃料を得ることができる。
また、図35に示すように、水を添加することで、アルミニウム腐食防止効果が全ての配合において確認できることが判り、水の添加がアルミニウム腐食防止に有効であることが確認できる。
これら添加する水の量は、前記配合例0〜配合例15における水添加の例にも示すように、得られる液体燃料中に含まれるアルコール比率が50重量%未満のアルコール比率が低い領域においては、0.1重量%以上の水を添加することで、低温である80℃等における腐食に対して効果を得ることができるが、アルコール比率が50重量%以上の場合、例えば前記IN75やEIB75、PNB75、EIPP75に示すように、0.1重量%の水の添加では腐食による重量減少を防止できない場合があり、0.2重量%の水の添加では腐食による重量減少を防止できていることから、これらアルコール比率が50重量%以上の場合には、この0.1重量%と0.2重量%との間に、アルコール比率に応じた水の最低添加量が存在することが考えられることから、図37に示す検証試験を実施した。
この検証試験においては、図37に示すように、ナフサ25重量%、イソプロピルアルコール35重量%、イソブチルアルコール35重量%から成るIPB75の配合を用い、水の添加量を0.05重量%単位にて変化させてアルミニウムの腐食試験を実施した。
その結果、図37に示すように、アルコール比率である75重量%に対して0.13%となる0.1重量%の水添加では、前記IN75やEIB75、PNB75、EIPP75と同様に、腐食による重量減少が生じてしまうのに対し、アルコール比率である75重量%に対して0.2%(=重量比率×0.002)となる0.15重量%の水添加では、腐食による重量減少が生じていないことから、アルコール比率が50重量%以上の場合には、アルコール比率に対して0.2%(=重量比率×0.002)以上の水を添加すれば良いことが判る。
また、添加する水の上限は、前述したように、水を単体で添加すると、低温安定性や室温安定性が低下することから、得られる燃料の使用環境等から、水の添加量を、アルミ腐食防止効果が得られる最小限に留めるようにすれば良い。
尚、本発明の実施形態を前記実施例にて説明してきたが、本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲における変更や追加、つまりは、本発明の内燃機関用燃料の特性が大幅に変わることのない範囲にて他の原燃料や添加剤(金属等を含む)を加える事等は任意とされ、これらの内燃機関用燃料も本発明に含まれることは言うまでもない。
また、前記実施例では、ガソリン燃料を主体に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、これらの燃料としてジーゼル燃料等のその他の内燃機関にも適用可能である。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】

【図19】

【図20】

【図21】

【図22】

【図23】

【図24】

【図25】

【図26】

【図27】

【図28】

【図29】

【図30】

【図31】

【図32】

【図33】

【図34】

【図35】

【図36】

【図37】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
分子中の炭素原子数が2〜6である脂肪族一価のアルコール単体若しくは混合アルコール成分を2重量%〜85重量%、炭化水素成分を15〜98重量%、を含む内燃機関用液体燃料であって、
該内燃機関用液体燃料中の前記アルコール成分がN重量%である場合に、0.002×N重量%以上或いは得られる内燃機関用液体燃料の0.1重量%のいずれか多い方の分量の水を添加したことを特徴とする内燃機関用液体燃料。
【請求項2】
分子中の炭素原子数が2〜6である脂肪族一価のアルコール単体若しくは混合アルコール成分を2重量%〜85重量%、炭化水素成分を15〜98重量%、を含む内燃機関用液体燃料であって、
得られる内燃機関用液体燃料が、予め定められた所定温度におけるアルミニウム腐食を防止しうる量のアルミニウム腐食防止剤を含み、該アルミニウム腐食防止剤が、メタノール、グリコール類炭化水素、ケトン類炭化水素、エステル類炭化水素、アルデヒド類炭化水素、の少なくとも1種であることを特徴とする内燃機関用液体燃料。
【請求項3】
前記内燃機関用液体燃料が、前記アルミニウム腐食防止剤として少なくとも水を含む請求項2に記載の内燃機関用液体燃料。
【請求項4】
前記内燃機関用液体燃料中に、分子中の炭素原子数が12以下であって該分子中に少なくとも1つのエーテル結合を有する少なくとも1種類のエーテル成分を含む請求項1〜3のいずれかに記載の内燃機関用液体燃料。

【国際公開番号】WO2004/058926
【国際公開日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【発行日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−562860(P2004−562860)
【国際出願番号】PCT/JP2003/009838
【国際出願日】平成15年8月1日(2003.8.1)
【出願人】(000130776)株式会社サンギ (17)
【Fターム(参考)】