説明

内装材裏面の清浄装置

【課題】小型で、簡単に簡単に廃タイルカーペット等の使用済み内装材の裏面に付着している接着材、コンクリート、モルタル片等の付着物を除去する清浄装置を提供する。
【解決手段】使用済み内装材の裏面に対しある角度をつけてスチルワイヤーブラシを回転させると同時にスチルワイヤーブラシを上下に振動させて、スチルワイヤーブラシの内装材裏面への接圧に強弱をつけて擦ることにより、使用済み内装材の裏面に付着した接着剤やコンクリート、モルタル等の付着物を簡単にしかも安定して除去することができるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設廃材のうち、特に内装材をマテリアルリサイクルする時に、内装材裏面に付着する、接着材やコンクリート、モルタル等の付着物を除去して、リサイクル品の品質性能を向上させるための内装材裏面の清浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
年々増大する建設廃材に対し、埋め立て処分場の処理能力減少が叫ばれる中、建設廃材リサイクル法が施行され、建設現場での分別が義務付けられるとともに、地球環境保全からも埋め立て以外の方法で建設廃材をリサイクルする必要にせまられている。
【0003】
特に使用済み内装材のうちタイルカーペットについては、バッキングに積層された樹脂量が多く、これを回収して再びタイルカーペットのバッキング層に使用する方法が多く提案されている。特許文献1においては、廃タイルカーペットの裏面に付着しているコンクリート、モルタル片をコンパネクリーナーで除去し、次に温水超音波洗浄装置等で洗浄し、遠赤外線ヒーター等により乾燥加熱した後、スライス工程で、パイル層と樹脂層に分離し、パイル層は不織布に、樹脂層は再度バッキング層にリサイクルする技術が開示されている。
【0004】
特許文献2においては、廃タイルカーペットの裏面に付着している接着材、コンクリート、モルタル片等を除去する技術として、廃タイルカーペットの裏面を予熱し、スクレバーナイフに超音波振動を与え、左右に揺動させながら前記裏面の付着物を容易に分離する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2002−224653号公報(段落0008〜0014)
【特許文献2】特開2003−24817号公報(段落0010〜0013)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のような従来の技術では、設備が大型となり、リサイクルコストが上昇することから、小型で、簡単に廃タイルカーペット等の使用済み内装材の裏面に付着している接着材、コンクリート、モルタル片等の付着物を除去できる技術が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、スチルワイヤーブラシを回転させ、上下に振動させながら、使用済み内装材裏面への接圧に強弱をつけ内装材の裏面を擦ることにより、裏面に付着した接着剤やコンクリート、モルタル等の付着物を簡単にしかも安定して除去することが可能であることを見出し本発明に至ったものである。
【0007】
すなわち第1の発明に係る内装材裏面の清浄装置は、スチルワイヤーブラシを回転させる回転装置と、使用済み内装材を回転装置に送入する送入装置からなる内装材裏面の清浄装置において、使用済み内装材裏面に対し前記スチルワイヤーブラシを上下に振動させ、内装材の裏面への接圧を変化させながら内装材裏面に付着する付着物を除去することを特徴とする内装材裏面の清浄装置である。
【0008】
第2の発明に係る内装材裏面の清浄装置は、前記スチルワイヤーブラシが使用済み内装材に対し1〜10度の角度に設定された請求項1記載の内装材裏面の清浄装置である。スチルワイヤーブラシと使用済み内装材を平行にした場合を0度とし、1〜10度の僅かな角度にスチルワイヤーブラシを傾斜させてセッティングすることにより、使用済み内装材が送入装置によって移動するに従ってスチルワイヤーブラシの接圧が増すようにしている。
【0009】
第3の発明に係る内装材裏面の清浄装置は、前記スチルワイヤーブラシの針径が0.2〜1.5mmで、長さが5〜40mmで 、針密度が30〜100本/cmである請求項1または2記載の内装材裏面の清浄装置である。スチルワイヤーブラシの針径が0.2mmを下回ると剛性不足をきたし内装材裏面の清浄効果が劣ってしまう。また、針径が1.5mmを上回ると剛性が増大し内装材裏面を損傷する恐れがある。針長さは5〜40mmであるのが好ましい。針長さが5mmを下回ると内装材裏面との接圧調整が困難となり、内装材裏面の清浄効果にバラツキをきたす。40mmを上回ると最適な清浄効果を得ることができなくなる。また、針密度は30〜100本/cmであるのが好ましい。針密度が30本/cmを下回ると内装材裏面についた付着物との接触機会が低下し清浄効果にバラツキを生じる。100本/cmを上回ると内装材裏面から剥がされた接着剤やコンクリート等の付着物がとスチルワイヤーブラシの間に目詰まりし清浄効果に支障をきたす。より好ましくは40〜80本/cmの針密度である。
【0010】
第4の発明に係る内装材裏面の清浄装置は、前記使用済み内装材が、タイルカーペットである請求項1乃至3記載の内装材裏面の清浄装置である。使用済み内装材は例えば、壁紙、カーペット、樹脂製タイル等を挙げられるが、本発明では、繊維部分と樹脂バッキング材からなるタイルカーペットが好適で、本発明の内装材裏面の清浄装置はタイルカーペットをリサイクルする場合の前処理として使われる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の内装材裏面の清浄装置は、スチルワイヤーブラシを回転させ、使用済み内装材の裏面への接圧を変化させながら擦ることにより、裏面に付着した接着材やコンクリート、モルタル等の付着物を水を使用しないで簡単に除去することができ、除去後の廃タイルカーペットの厚みにバラツキが少ないため、この後リサイクルしやすく、リサイクル品の品質も安定する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明において、スチルワイヤーブラシ5の針径は0.2〜1.5mmで、長さが5〜40mmで 、針密度が30〜100本/cmであることが重要である。針径が太くなると、剛性が増大し内装材裏面を損傷する恐れがあり、針径が細くなると、剛性不足をきたし内装材裏面の清浄効果が劣ってしまう。針長さは5mmを下回ると内装材裏面との接圧調整が困難となり、内装材裏面の清浄効果にバラツキをきたす。また、40mmを上回ると最適な清浄効果を得ることができなくなる。
【0013】
針密度についてはは30〜100本/cmであるのが好ましい。針密度が30本/cmを下回ると内装材裏面についた付着物との接触機会が低下し清浄効果にバラツキを生じる。100本/cmを上回ると内装材裏面から剥がされた接着剤やコンクリート等の付着物がスチルワイヤーブラシの間に目詰まりし清浄効果に支障をきたす。より好ましくは40〜80本/cmの針密度である。
【0014】
前記スチルワイヤーブラシの形状は、直針でも曲針でも特に限定しないし、先端の形状も特に規制されない。また、前記スチルワイヤーブラシの素材は特に限定されないがSUS304(18−8)を例示できる。
【0015】
前記スチルワイヤーブラシの回転装置は、100〜300rpmで減速機付モーターで直接回転し、使用済み内装材裏面に付着する付着物の取りやすさに応じて回転スピードを変えれられるようにするのが好ましい。スチルワイヤーブラシの大きさは使用済み内装材の巾に合わせ、やや大きめの径とすればよい。使用済み内装材が500mmのタイルカーペットの場合は、直径530mm程度あればよい。
【0016】
前記スチルワイヤーブラシの上下振動装置は、振動モーターをスチルワイヤーブラシの取りつけ台に、左右に一対ずつ(計四つ)固定し、一対の振動モーターの回転方向を各々反対方向に回転させて振動を起してやればよい。振動数や振幅は振動モーターの回転数を変化させて調整する。
【0017】
次ぎに、使用済み内装材を回転装置に送入する送入装置は、ベルトコンベアが好適である。ベルトコンベアの両サイドには使用済み内装材がスチルワイヤーブラシの回転によって、左右に逃げることを防ぐ目的でガイドが設置されている。また、ベルトコンベアには、使用済み内装材がスチルワイヤーブラシの回転によって、進行方向に前後に逃げることを防ぐ目的で、プレスローラーで使用済み内装材を押え込んで送入したり、ベルトコンベアの一定間隔に突起ガイドを設置し送入することが望ましい。
【実施例】
【0018】
本発明の内装材裏面の清浄装置について図面を参照して説明する。図1は本発明の内装材裏面の清浄装置の一実施形態を示す概略図である。円盤状のスチルワイヤーブラシ5を回転させる回転装置2と、使用済み内装材7に対し前記スチルワイヤーブラシ5を上下に振動させる振動装置4と、使用済み内装材7を回転装置2に送入する送入装置6と、使用済み内装材7をずれないように把持するガイド8と、コンクリート、モルタル等の付着物の埃を集塵する集塵機(図示せず)とからなっている。
【0019】
使用済み内装材7は、裏面を上にして、送入装置6の上をガイド8によって位置を規制されながら回転するスチルワイヤーブラシ5に一定速度で送られる。次に、回転するスチルワイヤーブラシ5が使用済み内装材7の裏面に対して7°の角度で当るようにセットされ、1mm上下に振動しながら使用済み内装材7への接圧に強弱を付け、内装材7の裏面に付着した、接着材、コンクリート、モルタル等の付着物を削り取り、集塵機で集塵する。
【0020】
本実施例ではスチルワイヤーブラシ5が使用済み内装材7の裏面に対し7°の角度をもって設定されているので、使用済み内装材7は送入装置6上をガイド8によって方向が揃えられて進むにつれて、スチルワイヤーブラシ5の接圧を徐々に強く受けるようになっている。始めは弱い接圧で裏面を擦られる事により、大きく取れやすい付着物が徐々に取り除かれる。コンベアベルトによって先に送られるにつれて強い接圧となり、それまでに取り除けなかった細かく取れにくい付着物を除去する。
【0021】
さらに、スチルワイヤーブラシ5は1mm上下に振動しながら使用済み内装材7への接圧に強弱を付けるので、タイルカーペットの裏面に付着した取りにくい付着物を取ることができる。また使用済み内装材7の裏面から剥がされた付着物はスチルワイヤーブラシ5の域外に飛ばされ、集塵機で集塵される。
【産業上の利用可能性】
【0022】
ワイヤーブラシを回転しながら上下に振動させ、平面を連続的に磨いたり、清掃するような用途に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】内装材裏面の清浄装置の一実施形態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0024】
1 内装材裏面の清浄装置
2 回転装置
3 取り付け台
4 振動モーター
5 スチルワイヤーブラシ
6 送入装置
7 使用済み内装材(タイルカーペット)
8 ガイド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スチルワイヤーブラシを回転させる回転装置と、使用済み内装材を回転装置に送入する送入装置からなる内装材裏面の清浄装置において、使用済み内装材裏面に対し前記スチルワイヤーブラシを上下に振動させ、内装材の裏面への接圧を変化させながら内装材裏面に付着する付着物を除去することを特徴とする内装材裏面の清浄装置。
【請求項2】
前記スチルワイヤーブラシが使用済み内装材に対し1〜10度の角度に設定された請求項1記載の内装材裏面の清浄装置。
【請求項3】
前記スチルワイヤーブラシの針径が0.2〜1.5mmで、長さが5〜40mmで 、針密度が30〜100本/cmである請求項1または2記載の内装材裏面の清浄装置。
【請求項4】
前記使用済み内装材が、タイルカーペットである請求項1乃至3記載の内装材裏面の清浄装置。

【図1】
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【公開番号】特開2006−136786(P2006−136786A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−327761(P2004−327761)
【出願日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【出願人】(390014487)住江織物株式会社 (294)
【Fターム(参考)】