説明

内視鏡光学系

【課題】 励起光の反射光を効率よく検出し、蛍光観察と反射光による通常観察とを同時に行うことが可能な内視鏡光学系を提供することを目的とする。
【解決手段】 所定の直線偏光成分を持つ励起光を供給する光源部側から順に、反射光観察部と、蛍光観察部と、励起光を被検体に照射し、該被検体による反射光および蛍光を取得するプローブ部とが配設された内視鏡光学系が提供される。また、反射光観察部は、励起光および反射光を透過/反射する偏光ビームスプリッタと、偏光ビームスプリッタによって透過/反射された反射光を検出する反射光検出部とを備え、蛍光観察部は、反射光および励起光、ならびに蛍光を透過/反射するダイクロイックミラーと、ダイクロイックミラーによって透過/反射された蛍光を検出する蛍光検出部とを備え、プローブ部は、ダイクロイックミラーによって反射/透過された励起光および反射光の偏光方向を回転させる回転素子を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡の光学系、特に蛍光観察を行なう内視鏡の光学系に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、体腔内の生体組織を観察するための内視鏡システムとして、蛍光を発生する物質(蛍光染料など)を生体に塗布し、励起光により該蛍光物質を励起させて、生じる蛍光を観察する蛍光観察用の内視鏡が広く知られている。蛍光観察用の内視鏡では、励起光により励起された蛍光を2次元画像として検出し、その蛍光像から生体組織の変性や癌等の疾患状態を診断することが可能となっている。
【0003】
このような蛍光観察用内視鏡のキャリブレーションを行う場合は、試料に蛍光染料を塗布し、該試料に対して上記のように励起光を照射して蛍光観察を行ない、得られた蛍光画像に基づいて励起光の収束度合いなどを調整する方法が考えられる。また、その他の例として、特許文献1には、蛍光観察が可能な電子内視鏡において、励起光の反射光を利用したキャリブレーション方法が開示されている。特許文献1に記載のキャリブレーション方法では、まず、内視鏡の挿入部の先端を調整用のホワイトバランス治具に挿入し、励起光源を点灯させる。そして、内視鏡の先端部から照射される励起光を上記治具により反射させ、該反射光を内視鏡内の撮像素子へ導く。そして、内視鏡に接続されたプロセッサの制御部において、該撮像素子の出力に基づいて励起光の光量を測定し、焦点調整が行われるというものである。
【特許文献1】特開2007−244527号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のように試料に蛍光染料を塗布し通常の蛍光観察を行なってキャリブレーションを行う場合、試料に塗布された蛍光染料は短時間で乾いてしまうため、キャリブレーションのための焦点調整を行う時間が十分とれず、また何度も蛍光染料を塗布し直す必要があると言った問題がある。また、特許文献1に記載の電子内視鏡には、蛍光観察時における励起光の反射光を検出する機構が備わっていないため、キャリブレーションを行う際には、反射光を検出するためにわざわざホワイトバランス治具を用いて励起光を反射させる必要がある。さらに、特許文献1に記載の方法では、反射光の光量のみに基づいてキャリブレーションが行われるため、キャリブレーション精度が十分でない可能性もある。
【0005】
そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、励起光の反射光を効率よく検出し、蛍光による蛍光観察と同時に反射光による通常観察を行うことが可能な内視鏡光学系を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明により、所定の直線偏光成分を持つ励起光を供給する光源部側から順に、反射光観察部と、蛍光観察部と、励起光を被検体に照射するとともに、該被検体によって反射される反射光および該被検体が励起されて生じる蛍光を取得するプローブ部とが配設された内視鏡光学系が提供される。本発明の反射光観察部は、励起光および反射光を透過もしくは反射する偏光ビームスプリッタと、偏光ビームスプリッタによって透過もしくは反射された反射光を検出する反射光検出部とを備える。また、蛍光観察部は、反射光および偏光ビームスプリッタによって透過もしくは反射された励起光、ならびに蛍光を透過もしくは反射するダイクロイックミラーと、ダイクロイックミラーによって透過もしくは反射された蛍光を検出する蛍光検出部とを備える。さらに、プローブ部は、ダイクロイックミラーによって反射もしくは透過された励起光および反射光の偏光方向を回転させる回転素子を備える。
【0007】
上述のように構成することで、効率よく反射光を検出することが可能となる。そして、上記本発明を用いてキャリブレーションを行なう場合には、励起光による蛍光画像と同時に検出した反射光に基づいた反射光画像を観察することができ、励起光の収束度合いに関するより正確な状況を把握することができ、高精度のキャリブレーションが可能となる。
【0008】
また、本発明の光源部は、励起光を供給する光源と、励起光の偏光方向を調整する波長板とを備える構成としても良い。さらに、上記励起光は、波長板によってP偏光となるように偏光方向が調整されるよう構成しても良い。
【0009】
また、上記偏光ビームスプリッタは、励起光を透過し、反射光を反射するものであっても良い。さらに、上記ダイクロイックミラーは、反射光および偏光ビームスプリッタによって透過もしくは反射された励起光を反射し、蛍光を透過するものであっても良い。
【0010】
また、励起光は、プローブ部の回転素子によってその偏光方向が45°回転されて被検体に入射し、被検体によって反射された反射光は、回転素子によってその偏光方向がさらに45°回転されて、蛍光観察部へ伝送されても良い。さらに、反射光は、プローブ部の回転素子によってS偏光となるようにその偏光方向が回転されるよう構成されても良い。
【0011】
また、上記反射光観察部は、反射光検出部によって検出された反射光に基づいて反射光画像を形成する反射光画像形成部をさらに備え、上記蛍光観察部は、蛍光検出部によって検出された蛍光に基づいて蛍光画像を形成する蛍光画像形成部をさらに備える構成であっても良い。このように構成することにより、蛍光観察による蛍光画像の観察と反射光による反射光画像の観察の両方を行なうことが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
したがって、本発明によれば、励起光の反射光を効率よく検出することで、励起光を照明しただけで蛍光観察と反射光による通常観察を同時に行うことができ、これにより高精度なキャリブレーションを行うことが可能な内視鏡光学系を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明に係る内視鏡光学系について説明する。
【0014】
図1は、本実施形態の内視鏡光学系100を示す模式図である。本実施形態の内視鏡光学系100は、共焦点光学系であり、被観察部60の蛍光観察を行なう蛍光観察用内視鏡などに採用されるものである。図1に示すように、内視鏡光学系100は、光源部10と、反射光観察部20と、蛍光観察部30と、プローブ部50と、該蛍光観察部30とプローブ部50を接続するシングルモードファイバ40(以下、「SMF40」とする)とから構成される。また、反射光観察部20および蛍光観察部30には、各部にて生成される反射光画像および蛍光画像をそれぞれ表示するためのモニタ70が接続されている。
【0015】
光源部10は、レーザー光源11、収束レンズ12、シングルモードファイバ13(以下、「SMF13」とする)、コリメータレンズ14、1/2波長板15、無偏光ビームスプリッタ16、およびパワーモニタ17から構成される。レーザー光源11は、蛍光観察のための励起光となる所定の波長のレーザー光を供給する装置である。収束レンズ12は、入射する光をSMF13に向かって収束させるためのレンズである。SMF13は、光を伝搬する経路(モード)が1つの光伝送ファイバであり、入射する光をコリメータレンズ14へ伝送するための光ファイバである。コリメータレンズ14は、入射する光を平行光にするためのレンズである。また、1/2波長板15は、入射する光の偏光方向を調整するための光学素子である。また、無偏光ビームスプリッタ16は、偏光特性を持たないビームスプリッタであり、入射する光を所定の光量比で分割するための光学素子である。また、パワーモニタ17は、光強度モニタ装置を含み、オペレーターが、光源におけるレーザー光の光量を側定するための装置である。
【0016】
反射光観察部20は、偏光ビームスプリッタ21、収束レンズ22、ライトガイド23、フォトディテクタ24、および反射光画像形成部25から構成される。偏光ビームスプリッタ21は、S偏光の光を反射し、P偏光の光を透過させる偏光ビームスプリッタ面21aを有する光学素子である。尚、ここでいうS偏光とは偏光方向が入射面に垂直な直線偏光であり、P偏光とは偏光方向が入射面に平行な直線偏光である。収束レンズ22は、入射する光をライトガイド23に向かって収束させるためのレンズである。フォトディテクタ24は、検出した光を電気信号へ変換する光検出器である。そして、反射光画像形成部は、フォトディテクタ24で変換された電気信号に対して信号処理を行なって画像を形成する処理部である。また、反射光画像形成部25によって形成された画像は、モニタ70に表示される。
【0017】
蛍光観察部30は、ダイクロイックミラー31、収束レンズ32および34、エミッタフィルタ33、ライトガイド35、フォトマルチプライヤートランジスタ36(以下、「PMT36」とする。)、ならびに蛍光画像形成部37から構成される。ダイクロイックミラー31は、入射する光に直交する面に対して通常45°に傾けた状態で設置される。そして、ダイクロイックミラー31は、特定の波長光を反射し、その他の波長の光を透過するための光学素子である。収束レンズ32は、入射する光を収束しSMF40へ導くためのレンズである。また、エミッタフィルタ33は、被観察部60から発せられた蛍光とその他の不要な光とを分離するための光学素子である。具体的には、エミッタフィルタ33は、ダイクロイックミラー31を透過した蛍光から、さらに観察したい蛍光スペクトルを有する蛍光のみを透過させるために用いられる。そして、エミッタフィルタ33を性質の異なるものと取り替えることにより、観察する蛍光のスペクトルバンドを選択することが可能になる。ただし、この場合は、ダイクロミラー31も選択される波長帯に対応するものを用いる必要がある。また、エミッタフィルタ33によって、ダイクロミラー31においてどうしても透過してしまった反射光の成分を完全に遮断することができる。これにより蛍光観察におけるS/N比の向上を図ることも可能となる。収束レンズ34は、収束レンズ32と同様に、入射する光を収束してライトガイド35へ導くためのレンズである。PMT36は、高感度の光検出器であり、蛍光などの弱い光を電気信号へ変換する際に用いられる装置である。蛍光画像形成部37は、PMT36にて変換された電気信号に対して信号処理を行なって画像を形成する処理部である。また、蛍光画像形成部37によって形成された画像は、モニタ70に表示される。
【0018】
プローブ部50は、コリメータレンズ51、ファラデー回転素子52、マイクロミラー53、リレーレンズ54、および対物レンズ55から構成される。コリメータレンズ51は、入射する光を平行光にするためのレンズである。ファラデー回転素子52は、光がその進行方向に平行な磁界の中を通過する際、偏光面が回転するというファラデー効果を利用して、通過する光の偏光方向を回転させる光学素子である。マイクロミラー53は、図示しない制御部によって回動可能に制御される可動ミラーである。また、マイクロミラー53は、入射した光を二次元走査させるための2軸回動タイプのミラーである。そして、入射光は、回動状態にあるマイクロミラーで偏向され、被観察部60を二次元走査する。リレーレンズ54は、対物レンズ55からの励起光の射出位置を調節するためのビームエキスパンダの役割を備えたレンズ群である。そして、対物レンズ55は、被観察部60に励起光を集光するためのレンズである。
【0019】
SMF40は、単一の光伝搬経路を有するファイバである。また、本実施形態において、SMF40は、ベンディング(曲がり)などの外部からの何らかの外乱等によっても偏光を乱すことなく維持することが可能なPANDAファイバである。これにより、蛍光観察部30の収束レンズ32によって収束された光は、偏光状態を維持したままプローブ部50へ伝送される。また、SMF40のプローブ部50側の端部40aは、プローブ部50における光学系に励起光を供給する二次的な点光源として機能する。また、同じくSMF40の端部40aは、被観察部60で焦点を結んだ光を抽出する共焦点ピンホールとしても機能する。
【0020】
次に、本実施形態の内視鏡光学系100の作用について、以下に詳述する。本実施形態における観察の対象となる被観察部60には、蛍光観察のために、蛍光染料が塗布されている。まず、本実施形態では、光源部10のレーザー光源11から488nmの波長を有するアルゴンレーザーが励起光として照射される。励起光は、まず収束レンズ12に入射し、SMF13に向かって収束される。SMF13は、入射した励起光を伝送し、コリメータレンズ14に対して射出する。コリメータレンズ14に入射した励起光は、コリメータレンズ14にて平行光とされ、1/2波長板15に入射する。1/2波長板15では、励起光の偏光方向が入射面に平行な直線偏光、すなわちP偏光となるように調整される。そして、1/2波長版15で偏光された励起光は、無偏光ビームスプリッタ16へ入射する。無偏光ビームスプリッタ16に入射された励起光は、所定の光量比でパワーモニタ17と、反射光検出部20の偏光ビームスプリッタ21とに分割される。パワーモニタ17では、無偏光ビームスプリッタ16からの光を検出し、オペレーターによって励起光の光量を常にモニタリングできるようになっている。
【0021】
次に、偏光ビームスプリッタ21に入射した励起光は、偏光ビームスプリッタ21を透過して、ダイクロイックミラー31に入射する。これは、当該励起光が上述のように1/2波長板15にて略P偏光成分のみを含むように偏光されているためである。また、本実施形態においては、ダイクロイックミラー31は、蛍光を分離するために500〜580nmの波長を有する光のみを透過し、その他の光を反射するように形成されている。このようなダイクロイックミラー31により、488nmの波長を有する励起光は反射され、収束レンズ32に入射する。収束レンズ32は、入射した励起光をSMF40へ向かって収束させる。
【0022】
SMF40は、入射した励起光を伝送し、プローブ部50のコリメータレンズ51に入射させる。そして、コリメータレンズ51によって平行光とされた励起光は、ファラデー回転素子52に入射する。ファラデー回転素子52に入射した励起光は、入射面に対してその偏光方向が45°回転され、マイクロミラー53に入射する。本実施形態においては、マイクロミラー53は、2軸に回動して励起光を反射する構成となっている。そして、マイクロミラー53によって反射された励起光は、リレーレンズ54を介して対物レンズ55に入射し、対物レンズ55から被観察部60に照射される。被観察部60に照射された励起光は、被観察部60によって反射され、反射光となって対物レンズ55に入射する。また同時に、励起光によって被観察部60が励起されたことにより生じた蛍光も対物レンズ55に入射する。
【0023】
対物レンズ55に入射した蛍光および反射光は、リレーレンズ54を介してマイクロミラー53に入射する。そして、マイクロミラー53によって反射され、ファラデー回転素子52に入射する。ファラデー回転素子52に入射した反射光は、偏光方向が入射面に対して45°回転される。これにより、反射光はプローブ部50に入射してきた励起光と比べて、偏光方向が90°回転されたことになる。このように偏光された反射光および蛍光は、コリメータレンズ51により収束されてSMF40の端部40aに入射する。そして端部40aによって、被観察部60で焦点を結んだ光のみが抽出され、蛍光観察部30へ伝送される。
【0024】
蛍光観察部30に伝送された蛍光および反射光は、収束レンズ32によって平行光にされ、ダイクロイックミラー31に入射する。ここで、励起光によって励起された被観察部60からの蛍光は、500〜580nmの波長を有する光である。従って、当該蛍光は、ダイクロイックミラー31を透過してエミッタフィルタ33に入射する。一方、被観察部60によって反射された反射光は、励起光と同じ488nmの波長を有する。そのため、当該反射光は、ダイクロイックミラー31によって反射され、反射光観察部20の偏光ビームスプリッタ21に入射する。
【0025】
エミッタフィルタ33に入射した蛍光は、エミッタフィルタ33にてさらに不要な光がカットされ、収束レンズ34に入射する。そして、当該蛍光は、収束レンズ34によってライトガイド35に向かって収束され、ライトガイド35によってPMT36に伝送される。PMT36では、検出された蛍光が電気信号へ変換される。そして、蛍光画像形成部37は、PMT36から電気信号を受信し、周知の信号処理を行って蛍光画像を形成する。その後、蛍光画像形成部37にて形成された蛍光画像は、モニタ70に送られ、モニタ70にて表示される。
【0026】
一方、偏光ビームスプリッタ21に入射した反射光は、プローブ部50のファラデー回転素子52によってその偏光方向が合計90°回転されたことにより、偏光方向が入射面に垂直な直線偏光、すなわち、略S偏光成分のみを含むように偏光されている。そのため、反射光は偏光ビームスプリッタ21の偏光ビームスプリッタ面21aにおいて略全反射され、収束レンズ22に入射する。収束レンズ22に入射した反射光は、ライトガイド23を介してフォトディテクタ24へ伝送される。フォトディテクタ24は、伝送された反射光を検出し、電気信号へ変換する。反射光画像形成部25は、フォトディテクタ24から電気信号を受信し、周知の信号処理を行って反射光画像を形成する。反射光画像形成部25にて形成された反射光画像も、蛍光画像と共にモニタ70へ送られ、モニタ70に表示される。
【0027】
上記のように、本実施形態においては、回転素子52を用いて回転させた反射光を、偏光ビームスプリッタ21を用いてフォトディテクタ24へ導くことが可能な構成となっている。この構成により、フォトディテクタ24にて十分な反射光が検出され、反射光画像を形成することができる。そのため、本実施形態の光学系を用いた内視鏡においては、蛍光観察による蛍光画像の観察と同時に、反射光による反射光画像の観察を行なうことが可能となる。
【0028】
また、本実施形態における光学系を備えた内視鏡においてキャリブレーションを行なう場合には、当該内視鏡を用いてパターン図などを通常と同じように観察するだけで、反射光による画像を得ることができる。そのため、従来のように、蛍光試料を塗布した試料を用いたり、反射光を検出するための特別な治具を使用したりする必要がない。また、反射光を効率よく検出して画像を形成することで、反射光の光量のみに基づいてキャリブレーションを行なう場合に比べ、励起光の収束度合いに関するより正確な状況を把握することができ、高精度のキャリブレーションが可能となる。
【0029】
以上が本発明の実施形態であるが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく様々な範囲で変形が可能である。例えば、上記実施形態においては、内視鏡光学系100は、共焦点光学系として説明したが、SMF40を除去することで、共焦点以外の光学系として構成することも可能である。
【0030】
また、上記実施形態においては、偏光ビームスプリッタ21は、励起光を透過し、反射光を反射するよう構成されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、入射する励起光と反射光とを異なる方向に射出するものであれば良い。具体的には、偏光ビームスプリッタ21は、励起光を反射し、反射光を透過するものであっても良い。また、ダイクロイックミラー31についても、上記実施形態のように反射光および励起光を反射し、蛍光を透過するものに限らず、反射光および励起光と、蛍光とを異なる方向へ射出するものであれば良い。具体的には、ダイクロイックミラー31は、反射光および励起光を透過し、蛍光を反射するものであっても良い。
【0031】
また、上記実施形態においては、プローブ部50においてファラデー回転素子52を用いて励起光や反射光を回転する構成としているが、これに限定されるものではなく、例えば、1/4波長板を用いて偏向方向を調整しても良い。さらに、反射光観察部20および蛍光観察部30において、ライトガイドを用いてフォトディテクタ、およびPMTへ蛍光および反射光を伝送しているが、ライトガイドを除去して、収束レンズから直接検出を行うように構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係る内視鏡光学系を示す模式図である。
【符号の説明】
【0033】
10 光源部
11 レーザー光源
15 1/2波長板
16 無偏光ビームスプリッタ
20 反射光観察部
21 偏光ビームスプリッタ
24 フォトディテクタ
25 反射光画像形成部
30 蛍光観察部
31 ダイクロイックミラー
24 PMT
25 蛍光画像形成部
40 SMF
50 プローブ部
51 ファラデー回転素子
53 マイクロミラー
60 被観察部
70 モニタ
100 内視鏡光学系

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の直線偏光成分を持つ励起光を供給する光源部側から順に、反射光観察部と、蛍光観察部と、前記励起光を被検体に照射するとともに、該被検体によって反射される反射光および該被検体が励起されて生じる蛍光を取得するプローブ部とが配設された内視鏡光学系であって、
前記反射光観察部は、
前記励起光および前記反射光を反射もしくは透過する偏光ビームスプリッタと、
前記偏光ビームスプリッタによって反射もしくは透過された前記反射光を検出する反射光検出部とを備え、
前記蛍光観察部は、
前記反射光および前記偏光ビームスプリッタによって透過もしくは反射された前記励起光、ならびに前記蛍光を透過もしくは反射するダイクロイックミラーと、
前記ダイクロイックミラーによって透過もしくは反射された前記蛍光を検出する蛍光検出部とを備え、
前記プローブ部は、
前記ダイクロイックミラーによって反射もしくは透過された励起光および前記反射光の偏光方向を回転させる回転素子を備えることを特徴とする、内視鏡光学系。
【請求項2】
前記光源部は、
前記励起光を供給する光源と、
前記励起光の偏光方向を調整する波長板とを備えることを特徴とする、請求項1に記載の内視鏡光学系。
【請求項3】
前記励起光は、前記波長板によってP偏光となるように偏光方向が調整されることを特徴とする請求項2に記載の内視鏡光学系。
【請求項4】
前記偏光ビームスプリッタは、前記励起光を透過し、前記反射光を反射することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の内視鏡光学系。
【請求項5】
前記ダイクロイックミラーは、前記反射光および前記偏光ビームスプリッタによって透過もしくは反射された前記励起光を反射し、前記蛍光を透過することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の内視鏡光学系。
【請求項6】
前記励起光は、前記プローブ部の回転素子によってその偏光方向が45°回転されて被検体に入射し、
前記被検体によって反射された前記反射光は、前記回転素子によってその偏光方向がさらに45°回転されて、前記蛍光観察部へ伝送されることを特徴とする、請求項1から5のいずれかに記載の内視鏡光学系。
【請求項7】
前記反射光は、前記プローブ部の回転素子によってS偏光となるようにその偏光方向が回転されることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の内視鏡光学系。
【請求項8】
前記反射光観察部は、前記反射光検出部によって検出された反射光に基づいて反射光画像を形成する反射光画像形成部をさらに備え、
前記蛍光観察部は、前記蛍光検出部によって検出された蛍光に基づいて蛍光画像を形成する蛍光画像形成部をさらに備えることを特徴とする、請求項1から7の何れかに記載の内視鏡光学系。
【請求項9】
前記内視鏡光学系は、共焦点光学系であることを特徴とする、請求項1から8の何れかに記載の内視鏡光学系。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の内視鏡光学系と、
前記反射光検出部によって検出された反射光に基づく反射光画像、および前記蛍光検出部によって検出された蛍光に基づく蛍光画像を表示するモニタとからなる内視鏡システム。

【図1】
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【公開番号】特開2010−142570(P2010−142570A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−325837(P2008−325837)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(000113263)HOYA株式会社 (3,820)
【Fターム(参考)】