説明

内視鏡推進装置

【課題】伸縮ユニットから空気漏れが発生した場合でも、応急処置的に挿入部を管路内で推進する。
【解決手段】挿入部先端部16aに固定される内視鏡推進装置14を、第1〜第4伸縮ユニット28a〜28dで構成する。各伸縮ユニット28a〜28dで空気漏れが発生していない場合には、各伸縮ユニット28a〜28dの全てを所定の順番で拡縮径させて通常動作モードで蠕動運動を行わせる。各伸縮ユニット28a〜28dのいずれか1つ(例えば第3伸縮ユニット28c)で空気漏れが発生した場合には、残りの第1、第2、第4伸縮ユニット28a,28b,28dを所定の順番で拡縮径させて応急動作モードで蠕動運動を行わせる。空気漏れが発生してない他の正常な3個の伸縮ユニットにより、応急処置的に挿入部16を管路内で推進させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡を消化管や人工管路等の管内で推進させる内視鏡推進装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、医療分野において、大腸や小腸のような屈曲した消化管内に内視鏡の挿入部を挿入して、消化管内壁面の観察や診断、治療を施すことが行われている(特許文献1〜3参照)。この場合、消化管が複雑に屈曲しかつ比較的自由に動くS字結腸であると、このS字結腸内で挿入部を奥へ進めるためには、手技に熟練度が要求されていた。このため、S字結腸のような複雑に屈曲した消化管内でも挿入部を容易に奥へ進めることができる内視鏡が求められていた。
【0003】
近年、挿入部の先端部に取り付けられ、この挿入部を消化管内で推進させる内視鏡推進装置が開発されている(特許文献4参照)。この内視鏡推進装置は、挿入部の軸方向に沿って少なくとも3個以上設けられた伸縮ユニットからなる。これら各伸縮ユニットのうち、挿入部の最先端に位置する伸縮ユニットが挿入に固定されており、他の伸縮ユニットは挿入部に対してフリーな状態になっている。
【0004】
各伸縮ユニットは、加圧により径方向に拡径するとともに軸方向に収縮する特殊なバルーンを有しており、また、各伸縮ユニットには、それぞれ各加圧用の圧縮空気を給排するエアチューブが接続されている。各伸縮ユニットは、拡径した拡径状態ときに消化管の内壁をグリップし、縮径した縮径状態ときにグリップを解除する。内視鏡推進装置は、特許文献4の図9に記載されているような各伸縮ユニットを所定の順番で拡径・縮径させる、いわゆるミミズの移動を模した蠕動運動(以下、単に蠕動運動という)を行うことで、挿入部を消化管内で前進/後進させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−126013号公報
【特許文献2】特開2003−250749号公報
【特許文献3】特開2003−111715号公報
【特許文献4】特開2009−240713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
内視鏡推進装置により挿入部を消化管内で推進させる際に、何らかの原因で伸縮ユニットのバルーンに穴があくことがある。このような穴があいた故障伸縮ユニットに対して圧縮空気の供給を行っても穴から圧縮空気が漏れるため、この故障伸縮ユニットを拡径させて消化管の内壁をグリップさせることができない。このため、上述の蠕動運動時に所定の動作パターンで各伸縮ユニットを拡縮させた際に、本来であれば故障伸縮ユニットが消化管の内壁をグリップするタイミングで、消化管の内壁のグリップが行われない。
【0007】
このような場合には、内視鏡推進装置により挿入部を消化管内で前進させることが困難になるだけでなく、消化管内の奥まで進めた挿入部及び内視鏡推進装置の位置が後退したり、あるいは両者が消化管内から抜けたりするおそれもある。その結果、一旦、挿入部及び内視鏡推進装置を消化管内から抜き取って、内視鏡推進装置を交換する必要があり、これまでの内視鏡検査作業が無駄になってしまう。
【0008】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、蠕動運動を行う各伸縮ユニットの中に故障伸縮ユニットが発生した場合でも、挿入部を推進させることができる内視鏡推進装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の内視鏡推進装置は、管路内に挿入される内視鏡の挿入部が挿通され、前記挿入部の軸方向に沿って一列に配置されたX(Xは4以上の自然数)個の伸縮ユニットであって、前記挿入部の外周を囲む略環状の密閉空間と、前記密閉空間に接続して当該密閉空間に対し加圧用の流体を給排するための給排チューブとを有しており、前記密閉空間内に供給された前記流体による内側からの加圧により前記挿入部の径方向に拡径するとともに前記軸方向に収縮し、前記加圧が解除されたときに前記径方向に縮径するとともに前記軸方向に伸張するX個の伸縮ユニットと、X個の前記伸縮ユニットのうち、前記挿入部の最も先端側に位置する最先端伸縮ユニットを、前記挿入部に解除可能に固定する伸縮ユニット固定手段と、X個の前記伸縮ユニットの各前記密閉空間に対し、各前記給排チューブを介して前記流体を給排する給排手段と、X個の前記伸縮ユニットからの前記流体の漏れをそれぞれ検出する漏れ検出手段と、前記漏れ検出手段の検出結果に基づき、全ての前記伸縮ユニットで前記流体の漏れが発生していない場合に、全ての前記伸縮ユニットを、前記管路内を移動する推進力が生じる所定の順番で拡縮径させる第1の蠕動運動が行われるように前記給排手段を制御するとともに、(X−3)個以下の前記伸縮ユニットで前記流体の漏れが発生した場合に、他の少なくとも3個の正常な正常伸縮ユニットを前記推進力が生じる所定の順番で拡縮径させる第2の蠕動運動が行われるように前記給排手段を制御する蠕動運動制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
前記漏れ検出手段の検出結果に基づき、前記流体の漏れが発生した前記伸縮ユニットに対する前記流体の供給が停止するように、前記給排手段を制御する供給停止制御手段を備えることが好ましい。
【0011】
前記伸縮ユニットは、前記挿入部が挿通され、前記軸方向に伸縮自在な伸縮管と、前記伸縮管の外周を覆う略筒状を有し、内側からの加圧により前記径方向に拡径するとともに前記軸方向に収縮し、前記加圧が解除されたときに元の状態に復元する筒状伸縮体と、前記筒状伸縮体の両端部において前記筒状伸縮体と前記伸縮管とを固定して、前記筒状伸縮体の内周と前記伸縮管の外周との間に前記密閉空間を形成する端部固定手段と、前記給排チューブと、からなることが好ましい。
【0012】
少なくとも前記挿入部の先端から後端までを覆う長さを持ち、前記径方向に伸縮自在なカバーを備えることが好ましい。また、前記カバーは、略筒状を有しており、その先端部の内周が前記挿入部の先端の外周に隙間なく密着固定されているとともに、その後端部の開口が開放されていることが好ましい。
【0013】
前記カバーは、前記筒状伸縮体よりも前記径方向に大きく拡径可能であることが好ましい。また、前記カバーの弾性率は、前記筒状伸縮体の弾性率よりも小さいことが好ましい。また、前記漏れ検出手段は、前記筒状伸縮体、前記給排チューブ、及び前記給排チューブと前記密閉空間との接続部分からの前記流体の漏れを検出することが好ましい。
【0014】
前記第1の蠕動運動時におけるX個の前記伸縮ユニットの拡縮動作を定めた第1の動作パターンが複数設定されており、複数の前記第1の動作パターンの中からいずれか1つを選択する第1選択手段を備え、前記蠕動運動制御手段は、前記第1の蠕動運動時において、前記第1選択手段で選択された前記第1の動作パターンに基づき前記給排手段を制御することが好ましい。
【0015】
前記第2の蠕動運動時における3個以上の前記正常伸縮ユニットの拡縮動作を定めた第2の動作パターンが、前記正常伸縮ユニットの個数毎にそれぞれ1以上設定されており、前記蠕動運動制御手段は、前記第2の蠕動運動時において、前記正常伸縮ユニットの個数がY個(Yは3以上で(X−1)以下の自然数)である場合に、Y個以下の前記正常伸縮ユニットの拡縮動作を定めた前記第2の動作パターンに基づき前記給排手段を制御することが好ましい。
【0016】
複数の前記第2の動作パターンの中からいずれか1つを選択する第2選択手段を備え、前記蠕動運動制御手段は、前記第2の蠕動運動時において、前記第2選択手段で選択された前記第2の動作パターンで拡縮動作が定められている前記正常伸縮ユニットの個数が前記Y個以下である場合に、当該第2の動作パターンに基づき前記給排手段を制御することが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の内視鏡推進装置は、X個の伸縮ユニットのうちの(X−3)個以下の前記伸縮ユニットで流体の漏れが発生したときに、他の少なくとも3個の正常な正常伸縮ユニットだけで蠕動運動を行うようにしたので、応急処置的に挿入部を管路内で推進することができる。その結果、挿入部及び内視鏡推進装置を管路内から一旦抜き取って、内視鏡推進装置を交換することなく内視鏡検査を継続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】電子内視鏡システムの構成を示す斜視図である。
【図2】(A)は内視鏡推進装置の側面図、(B)はバルーンの内側の構造を説明するための説明図である。
【図3】第3フランジの斜視図である。
【図4】図3中のIV−IV線に沿う断面図である。
【図5】第3フランジを挿入部の後端側から見た背面図である。
【図6】第3フランジとエアチューブの接続状態を示した(A)斜視図、(B)背面図である。
【図7】第3フランジとエアチューブの接続部分の断面図である。
【図8】(A)第1フランジの背面図、(B)第2フランジの背面図、(C)第3フランジの背面図である。
【図9】推進制御装置を説明するための説明図である。
【図10】推進制御装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図11】内視鏡推進装置を用いた内視鏡検査処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【図12】(A)〜(E)は、通常動作モード時の内視鏡推進装置の動作を説明するための説明図である。
【図13】(A)〜(D)は、応急動作モード時の内視鏡推進装置の動作を説明するための説明図である。
【図14】第2実施形態の推進制御装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図15】(A)〜(D)は、第2通常動作モード時の内視鏡推進装置の動作を説明するための説明図である。
【図16】(A)〜(C)は、第3通常動作モード時の内視鏡推進装置の動作を説明するための説明図である。
【図17】(A)〜(E)は、第4通常動作モード時の内視鏡推進装置の動作を説明するための説明図である。
【図18】(A)〜(C)は、第2応急動作モード時の内視鏡推進装置の動作を説明するための説明図である。
【図19】(A)〜(E)は、第3応急動作モード時の内視鏡推進装置の動作を説明するための説明図である。
【図20】第3実施形態の推進制御装置の電気的構成を示すブロック図である。
【図21】(A)〜(E)は、第1通常動作モード時の内視鏡推進装置の動作を説明するための説明図である。
【図22】(A)〜(E)は、第2通常動作モード時の内視鏡推進装置の動作を説明するための説明図である。
【図23】(A)〜(E)は、第3通常動作モード時の内視鏡推進装置の動作を説明するための説明図である。
【図24】(A)〜(E)は、第1応急動作モード時の内視鏡推進装置の動作を説明するための説明図である。
【図25】(A)〜(C)は、第2応急動作モード時の内視鏡推進装置の動作を説明するための説明図である。
【図26】(A)、(B)は、汚れ防止カバーで覆われた第4実施形態の内視鏡の挿入部及び内視鏡推進装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[第1実施形態]
図1において、電子内視鏡システム10は、電子内視鏡11、プロセッサ装置12、光源装置13、内視鏡推進装置(自走装置)14、推進制御装置15などから構成される。電子内視鏡11は、消化管内に挿入される挿入部16と、電子内視鏡11の把持及び挿入部16の操作に用いられる操作部17と、プロセッサ装置12及び光源装置13に接続するユニバーサルコード18とを備えている。
【0020】
挿入部16は可撓性を有する棒状体である。挿入部先端部16aには、図示は省略するが、観察窓、照明窓、及び送気・送水用ノズル等が設けられている。なお、以下の説明では、挿入部16の先端側の方向及び面をそれぞれ先端側、先端面といい、挿入部16の後端側の方向及び面をそれぞれ後端側、後端面という。
【0021】
操作部17は、アングルノブ22、操作ボタン23等を備えている。アングルノブ22は、挿入部16の湾曲方向及び湾曲量を調整する際に回転操作される。操作ボタン23は、送気・送水や吸引等の各種の操作に用いられる。また、操作部17には、ユニバーサルコード18が接続されている。
【0022】
ユニバーサルコード18には、送気・送水チャンネルと、撮像信号出力用ケーブル及びライトガイドが組み込まれている。このユニバーサルコード18の先端部にはコネクタ部25aが設けられている。このコネクタ部25aは光源装置13に接続する。また、コネクタ部25aからはコネクタ部25bが分岐しており、このコネクタ部25bはプロセッサ装置12に接続する。
【0023】
推進制御装置15には、操作ユニット26が接続している。この操作ユニット26は、内視鏡推進装置14の前進・後退・停止の指示を入力するためのボタン、後述する各伸縮ユニット28a〜28dを伸縮させるタイミングをコントロールすることで内視鏡推進装置14の移動速度を調整するための速度調節ボタン、および全ての伸縮ユニット28a〜28dを伸張した状態とすることで緊急時に容易に内視鏡推進装置14を抜去するための緊急退避ボタンなどを備えている。
【0024】
プロセッサ装置12は、電子内視鏡11から入力される画像信号から内視鏡画像を生成し、この内視鏡画像に各種画像処理を施す。画像処理済みの内視鏡画像は、プロセッサ装置12にケーブル接続されたモニタ27に表示される。光源装置13は、照明光をライトガイドに供給する。
【0025】
内視鏡推進装置14は、挿入部先端部16aに取り付けられている。内視鏡推進装置14は、挿入部16の先端側から順にその軸方向(以下、挿入部軸方向という)に沿って設けられた第1〜第4伸縮ユニット28a,28b,28c,28dからなる。各伸縮ユニット28a〜28dは、それぞれ個別に、加圧によって挿入部16の径方向に拡径するとともに挿入部軸方向に収縮した拡径状態となり、加圧が解除されると元の状態(以下、縮径状態という)に復元する。内視鏡推進装置14は、各伸縮ユニット28a,28b,28c,28dを所定の動作パターンで拡縮させて、いわゆるミミズの移動を模した蠕動運動(以下、単に蠕動運動という)をすることで、消化管内で挿入部16を前進または後進させる。
【0026】
各伸縮ユニット28a〜28dには、第1〜第4エアチューブ(給排チューブ)29a,29b,29c,29dを介して、推進制御装置15から圧縮空気が供給される。推進制御装置15は、操作ユニット26からの操作信号に基づき、各エアチューブ29a〜29dへの圧縮空気の給排を制御する。
【0027】
図2(A),(B)に示すように、内視鏡推進装置14の第1〜第4伸縮ユニット28a〜28dは、挿入部16に外嵌されかつ挿入部軸方向に沿って並べて設けられた第1〜第4オーバチューブ(伸縮管)31a〜31dを備えている。各オーバチューブ31a〜31dは、挿入部軸方向に伸縮自在な蛇腹構造を有している。各オーバチューブ31a〜31dの内部空間には、挿入部16、各エアチューブ29a〜29d(第1オーバチューブ31aを除く)が挿通される。
【0028】
第1オーバチューブ31aの先端部は、挿入部先端部16aに外嵌された略環状のキャップ32の開口に嵌合している。また、第1オーバチューブ31aの後端部は、挿入部先端部16aに外嵌された略環状の第1フランジ33aの先端側の開口に嵌合している。この第1フランジ33aの後端側の開口には、第2オーバチューブ31bの先端部が嵌合している。これにより、第1オーバチューブ31aと第2オーバチューブ31bとが第1フランジ33aを介して連結される。
【0029】
以下同様に、第2〜第4オーバチューブ31b〜31dの後端部はそれぞれ第1フランジ33aと同形状の第2〜第4フランジ33b〜33dの先端側の開口に嵌合し、さらに、第3及び第4オーバチューブ31c,31dの先端部はそれぞれ第2及び第3フランジ33b,33cの後端側の開口に嵌合している。これにより、第M(Mは1〜3)オーバチューブと第(M+1)オーバチューブとが第Mフランジを介して連結される。従って、各オーバチューブ31a〜31d、キャップ(端部固定手段、伸縮ユニット固定手段)32、各フランジ(端部固定手段)33a〜33dは一体化している。
【0030】
キャップ32は、挿入部16の外周に着脱自在に固定される。これに対して各フランジ33a〜33dは、挿入部16の外周に遊嵌されており、挿入部16に固定されていない。このため、キャップ32によって、各オーバチューブ31a〜31d、各フランジ33a〜33dは、挿入部16に対してその挿入部軸方向に移動自在に保持される。
【0031】
キャップ32及び各フランジ33a〜33dの後端部の外周面には、その周方向に沿って環状溝35が形成されている。キャップ32の後端部から第4フランジ33dの後端部までの間の各部材の外周面は、1本の略筒状の弾性カバー36で覆われている。弾性カバー36は、例えば合成ゴムや天然ゴム等からなる略円筒状の弾性体と、この弾性体内に、挿入部軸方向に沿うように設けられた複数の繊維とからなる。この繊維は例えばガラスロービング繊維やカーボンロービング繊維のような、挿入部軸方向に伸縮し難い非伸縮性を有している。
【0032】
弾性カバー36は、キャップ32及び各フランジ33a〜33dのそれぞれの環状溝35に対応する位置でピアノ線37などにより括られている。これにより、弾性カバー36に、第1〜第4バルーン36a〜36d(筒状伸縮体)が形成される。第1バルーン36aは、第1オーバチューブ31aの外周を囲むとともに、両端部がキャップ32及び第1フランジ33aにそれぞれ固定される。同様に、第2バルーン36b〜第4バルーン36dは、それぞれ第2〜第4オーバチューブ31b〜31dの外周を囲み、両端部がそれぞれ第1及び第2フランジ33a,33b、第2及び第3フランジ33b,33c、第3及び第4フランジ33c,33dに固定される。これにより、各バルーン36a〜36dの内側には、それぞれ密閉された第1〜第4空気室(密閉空間)38a〜38dが形成される。
【0033】
第1〜第4バルーン36a〜36dは、その内側から加圧されたときに、挿入部16の径方向に膨張するとともに挿入部軸方向に収縮し、この加圧が解除されると弾性復元力により元の状態に復元する。
【0034】
第1伸縮ユニット28aは、第1オーバチューブ31aと、キャップ32と、第1フランジ33aと、第1バルーン36aとにより構成される。また、第N(Nは2〜4)伸縮ユニットは、第Nオーバチューブと、第(N−1)及び第Nフランジと、第Nバルーンとにより構成される。
【0035】
第1〜第4エアチューブ29a〜29dは、例えばポリ塩化ビニルなどで形成されている。第1エアチューブ29aは、第4フランジ33d、第4オーバチューブ31d、第3フランジ33c、第3オーバチューブ31c、第2フランジ33b、第2オーバチューブ31bの内部空間を通って第1フランジ33aに接続している。また、第2エアチューブ29bは、第4フランジ33d、第4オーバチューブ31d、第3フランジ33c、第3オーバチューブ31cの内部空間を通って第2フランジ33bに接続している。
【0036】
第3エアチューブ29cは、第4フランジ33d、第4オーバチューブ31dの内部空間を通って第3フランジ33cに接続している。また、第4エアチューブ29dは、第4フランジ33dに接続している。
【0037】
次に、第3フランジ33cを例に挙げてフランジの構造について説明を行う。図3〜図5に示すように、第3フランジ33cは、挿入部16が挿通されるとともに、第3及び第4オーバチューブ31c,31dが嵌合する挿通孔42を有している。また、第3フランジ33cの外周面には、上述の環状溝35の他に、第3空気室38c内で開口した開口穴43と、この開口穴43の縁から先端側に向かって長く延びた2本の略凹形状の溝44とが形成されている。
【0038】
第3フランジ33cの内周面には、その周方向に沿ってエアチューブ接続部46、第1エアチューブ支持部47、第2エアチューブ支持部48が所定間隔をあけて設けられている(図5参照)。この間隔は、エアチューブ29a〜29dの幅よりも一回り大きくなるように調整されている。
【0039】
エアチューブ接続部46は、内周面上で開口穴43の開口部分に位置する。このエアチューブ接続部46の後端面には、挿入部16の後端側に向かって突出したチューブ接続口50が形成されている。また、エアチューブ接続部46の内部には、開口穴43とチューブ接続口50とを接続する貫通口51が形成されている(図4参照)。さらに、エアチューブ接続部46の両端部には、エアチューブの側端部を支持するために略凹円弧状のガイド部52が形成されている(図5参照)。
【0040】
第1及び第2エアチューブ支持部47,48の周方向の両端部にも、エアチューブ接続部46と同様にガイド部52が形成されている。これにより、エアチューブ接続部46と第1エアチューブ接続部46との間、第1エアチューブ支持部47と第2エアチューブ支持部48との間、第2エアチューブ支持部48とエアチューブ接続部46との間にそれぞれエアチューブを支持する断面略円弧状の支持凹部54a,54b,54cが形成される(図5参照)。
【0041】
各支持凹部54a,54b,54cは、その断面積がエアチューブの断面積よりも一回り以上大きくなるように形成されている。このため、各支持凹部54a,54b,54cの内面とエアチューブの外面との間には遊びが生じる。これにより、各支持凹部54a,54b,54cは、エアチューブを挿入部軸方向にスライド移動自在に支持する。
【0042】
図6(A),(B)に示すように、第1エアチューブ29aは、支持凹部54bにより挿入部軸方向にスライド移動自在に支持される。第2エアチューブ29bは、支持凹部54aにより挿入部軸方向にスライド移動自在に支持される。第3エアチューブ29cは、チューブ接続口50に接続され、この状態で接着剤等により固定される。これにより、図7に示すように、第3エアチューブ29cが、チューブ接続口50、貫通口51、及び開口穴43を介して、第3空気室38cに接続する。
【0043】
第1、第2、第4フランジ33a,33b,33dは、第3フランジ33cと同じ構造であるのでその構造についての説明は省略する。また、第1〜第4フランジ33a〜33dは、互いのエアチューブ接続部46の位置が重ならないように取り付けられている。具体的には、第1フランジ33aを基準としたときに、挿入部16の後端側から見て第2フランジ33bは挿入部16の中心軸を中心として時計回りに90°回転し、第3フランジ33cは時計回りに180°回転し、第4フランジ33dは時計回りに270°回転している(図2(B)参照)。
【0044】
図8(A)に示すように、第1フランジ33aのチューブ接続口50には第1エアチューブ29aが接続固定される。図8(B)に示すように、第2フランジ33bのチューブ接続口50には第2エアチューブ29bが接続固定され、支持凹部54aには第1エアチューブ29aがスライド移動自在に支持される。図8(C)に示すように、第4フランジ33dのチューブ接続口50には第4エアチューブ29dが接続固定され、支持凹部54a,54b,54cにはそれぞれ第3エアチューブ29c、第2エアチューブ29b、第1エアチューブ29aがスライド移動自在に支持される。これにより、第1、第2、第4エアチューブ29a,29b,29dと、第1、第2、第4空気室38a,38b,38dとがそれぞれ接続する。
【0045】
第1エアチューブ29aは、その先端が第1フランジ33aのチューブ接続口50に固定された状態で、その第2〜第4伸縮ユニット28b〜28d内に位置する部分が第2フランジ33bの支持凹部54a、第3フランジ33cの支持凹部54b、第4フランジ33dの支持凹部54cにより挿入部軸方向にスライド移動自在に支持される。
【0046】
第2エアチューブ29bは、その先端が第2フランジ33bのチューブ接続口50に固定された状態で、その第3及び第4伸縮ユニット28c,28d内に位置する部分が第3フランジ33cの支持凹部54a、第4フランジ33dの支持凹部54bにより挿入部軸方向にスライド移動自在に支持される。
【0047】
第3エアチューブ29cは、その先端が第3フランジ33cのチューブ接続口50に固定された状態で、その第4伸縮ユニット28d内に位置する部分が第4フランジ33dの支持凹部54aによりスライド移動自在に支持される。
【0048】
このように各エアチューブ29a〜29dは、一箇所(各フランジ33a〜33dのチューブ接続口50)でそれぞれ各伸縮ユニット28a〜28dに接続固定されており、この固定部分以外の箇所では各伸縮ユニット28a〜28dのいずれの部分にも固定されない。
【0049】
図9に示すように、推進制御装置15は、コンプレッサ58と、コンプレッサ58から発生した圧縮空気を各エアチューブ29a〜29dへ導く4本の管路59a,59b,59c,59dと、各管路59a〜59dの途中に設けられた供給弁60a,60b,60c,60d及び解放弁61a,61b,61c,61dと、圧力計62a,62b,62c,62dとから構成されている。コンプレッサ58が作動している状態で解放弁を閉じて供給弁を開くと、これに対応するエアチューブを介して空気室に圧縮空気が供給される。この状態で供給弁を閉じて解放弁を開くと空気室が大気圧に戻る。
【0050】
推進制御装置15から第1〜第4エアチューブ29a〜29dをそれぞれ介して供給された圧縮空気は、第1〜第4エアチューブ29a〜29dを通って、第1〜第4空気室38a〜38d内にそれぞれ供給される。また、第1〜第4空気室38a〜38d内の圧縮空気は、解放弁61a〜61dを開放したときに、第1〜第4エアチューブ29a〜29dを通って解放弁61a〜61dからそれぞれ排出される。
【0051】
圧力計62a〜62dは、それぞれ第1エアチューブ29a及び第1空気室38a内の圧力、第2エアチューブ29b及び第2空気室38b内の圧力、第3エアチューブ29c及び第3空気室38c内の圧力、第4エアチューブ29d及び第4空気室38d内の圧力を測定する。
【0052】
図10に示すように、推進制御装置15には、上述のコンプレッサ58、各弁60a〜60d,61a〜61d、圧力計62a〜62dの他に、CPU64及びメモリ65が設けられている。CPU64は、操作ユニット26からの操作指令に基づき、メモリ65から読み出した各種プログラムやデータを逐次実行することで、推進制御装置15の各部を統括的に制御する。メモリ65のRAM領域は、CPU64が処理を実行するためのワークメモリや、各種データの一時保管先として機能する。
【0053】
メモリ65のROM領域は、上述の各種プログラム等の他に、各伸縮ユニット28a〜28dが蠕動運動を行うときの各々の拡縮のタイミング等を表す拡縮パターンデータを格納している。このROM領域には、通常拡縮パターンデータ格納部(以下、単に通常拡縮PD格納部という)67と、応急拡縮パターンデータ格納部(以下、単に応急拡縮PD格納部という)68とが設けられている。
【0054】
通常拡縮PD格納部67には、各伸縮ユニット28a〜28dの全てが正常に拡縮動作するときに使用される通常拡縮パターンデータ(以下、単に通常拡縮PDという)70が格納されている。
【0055】
応急拡縮PD格納部68には、各伸縮ユニット28a〜28dのいずれかが空気漏れにより正常に拡縮動作しないとき(以下、単に故障という)に使用される複数の応急拡縮パターンデータ(以下、単に応急拡縮PDという)71が格納されている。内視鏡推進装置14は、少なくとも3個の伸縮ユニットが正常に拡縮動作すれば蠕動運動を行うことができる。応急拡縮PD71は、正常に動作する3個の伸縮ユニットだけで蠕動運動を行うときの各々の拡縮のタイミング等を表すデータである。
【0056】
応急拡縮PD71には、例えば、正常に動作する3個の伸縮ユニットの中で、挿入部16の最も先端側に位置する先端伸縮ユニット、最も後端側に位置する後端伸縮ユニット、及び両者の間に位置する中央伸縮ユニットのそれぞれの拡縮のタイミング等が設定されている。例えば、第1伸縮ユニット28aが故障した場合には、第2伸縮ユニット28bが先端伸縮ユニットとなり、第3伸縮ユニット28cが中央伸縮ユニットとなり、第4伸縮ユニット28dが後端伸縮ユニットとなる。また、第2伸縮ユニット28bが故障した場合には、第1伸縮ユニット28aが先端伸縮ユニットとなり、第3伸縮ユニット28cが中央伸縮ユニットとなり、第4伸縮ユニット28dが後端伸縮ユニットとなる。
【0057】
CPU64は、メモリ65から読み出した各種プログラムを逐次実行することで、空気漏れ判定部73、供給停止制御部74、蠕動運動制御部75として機能する。これら各部は、内視鏡推進装置14の作動時に作動する。
【0058】
空気漏れ判定部73は、第1〜第4圧力計62a〜62dと共に本発明の漏れ検出手段を構成するものであり、各圧力計62a〜62dから入力される計測結果に基づき、それぞれ第1〜第4伸縮ユニット28a〜28dからの空気漏れの有無を判定する。各伸縮ユニット28a〜28dからの空気漏れは、それぞれ第1〜第4バルーン36a〜36d、第1〜第4エアチューブ29a〜29d、及び各バルーン36a〜36dと各エアチューブ29a〜29dとの接続部分(例えばチューブ接続口50、貫通口51など)などで発生する。
【0059】
具体的に、空気漏れ判定部73は、例えば(1)圧力計62a〜62dの計測値が突然低下した場合、(2)各伸縮ユニット28a〜28dの拡径状態への切替後に所定時間が経過しても圧力計62a〜62dの計測値が所定の値を超えない場合など圧力計62a〜62dの計測値に異常が生じた場合に、伸縮ユニット28a〜28dで空気漏れが発生していると判定する。
【0060】
空気漏れ判定部73は、全ての伸縮ユニット28a〜28dで空気漏れが発生していない場合、その旨を示す正常信号を供給停止制御部74、蠕動運動制御部75にそれぞれ送る。また、空気漏れ判定部73は、各伸縮ユニット28a〜28dのいずれかで空気漏れが発生していると判定した場合、その伸縮ユニットの情報を含むエラー信号を供給停止制御部74、蠕動運動制御部75にそれぞれ送る。
【0061】
供給停止制御部74は、空気漏れ判定部73から入力されるエラー信号に基づき、各供給弁60a〜60dを制御して、空気漏れしている伸縮ユニット28a〜28dに対する圧縮空気の供給を停止させる。
【0062】
蠕動運動制御部75は、空気漏れ判定部73から入力される正常/エラー信号に基づき、内視鏡推進装置14の蠕動運動の動作モードを決定し、この動作モードで内視鏡推進装置14に蠕動運動を行わせる。蠕動運動の動作モードは、各伸縮ユニット28a〜28dの全てが正常に拡縮動作する場合に選択される通常動作モード(第1の蠕動運動)と、各伸縮ユニット28a〜28dのいずれかが空気漏れしている場合に選択される応急動作モード(第2の蠕動運動)とがある。通常動作モードでは、全ての伸縮ユニット28a〜28dを拡縮させて蠕動運動を行う。応急動作モードでは、正常に動作する3個の伸縮ユニットだけで蠕動運動を行う。
【0063】
蠕動運動制御部75は、蠕動運動の動作モードとして通常動作モードを決定した場合、通常拡縮PD70を通常拡縮PD格納部67から読み出して、この通常拡縮PD70に基づき各伸縮ユニット28a〜28dを拡縮させて蠕動運動を行わせる。一方、蠕動運動制御部75は、蠕動運動の動作モードとして応急動作モードを決定した場合に、応急拡縮PD71を応急拡縮PD格納部68から読み出して、この応急拡縮PD71に基づき3個の正常な伸縮ユニットを拡縮させて蠕動運動を行わせる。
【0064】
次に、図11に示すフローチャートを用いて上記構成の内視鏡推進装置14の作用について説明を行う。最初に、挿入部先端部16aに内視鏡推進装置14が取り付けられ、そのキャップ32が挿入部先端部16aに固定される。このとき、各伸縮ユニット28a〜28dは縮径状態である。次いで、プロセッサ装置12及び光源装置13の電源がONされて検査準備が完了した後、挿入部先端部16a及び内視鏡推進装置14が患者の消化管内に挿入される。
【0065】
挿入部先端部16aが消化管内の所定位置、例えばS字結腸の手前まで進められた後、推進制御装置15の電源がONされる。推進制御装置15のCPU64は、コンプレッサ58を作動させるとともに、第1及び第4供給弁60a,60dを開いて第1及び第4解放弁61a,61dを閉じる。また、CPU64は、第2及び第3供給弁60b,60cを閉じて第2及び第3解放弁61b,61cを開く。これにより、第1及び第4エアチューブ29a,29dからそれぞれ第1及び第4空気室38a,38dに圧縮空気が供給される。
【0066】
図12(A)に示すように、第1及び第4空気室38a,38dへの圧縮空気の供給により、第1及び第4バルーン36a,36dが拡径するとともに挿入部軸方向に収縮する。また、第1及び第4バルーン36a,36dの拡径に伴い、汚れ防止カバー14bにおける第1及び第4バルーン36a,36dの外周に位置する部分も拡径する。なお、図面の煩雑化を防止するため、各エアチューブ29a〜29dは図示を省略している(図12(B)以降も同様)。CPU64は、圧力計62a,62dの測定結果に基づき、第1及び第4空気室38a,38d内の圧力が所定の設定圧力値に達した時に、第1及び第4供給弁60a,60dを閉じる。
【0067】
第1及び第4バルーン36a,36dの挿入部軸方向の収縮に伴い、キャップ32と第1フランジ33aとの間隔が狭まり第1オーバチューブ31aが挿入部軸方向に収縮するとともに、第3フランジ33cと第4フランジ33dとの間隔が狭まり第4オーバチューブ31dが挿入部軸方向に収縮する。これにより、第1及び第4伸縮ユニット28a,28dが縮径状態から拡径状態に変形して、第1及び第4バルーン36a,36dの外面が汚れ防止カバー14bを介して消化管の内壁に圧着される。こうして第1及び第4伸縮ユニット28a,28dが消化管の内壁をグリップする。
【0068】
次いで、操作ユニット26で前進指示が入力されると、CPU64の空気漏れ判定部73、供給停止制御部74、蠕動運動制御部75が作動する。空気漏れ判定部73は、圧力計62a〜62dの計測値をモニタして、伸縮ユニット28a〜28dからの空気漏れが発生しているか否かを判定し、この判定結果(正常信号またはエラー信号)を供給停止制御部74、蠕動運動制御部75に対して逐次送る。
【0069】
蠕動運動制御部75は、空気漏れ判定部73から正常信号が入力されたときは内視鏡推進装置14の動作モードを通常動作モードに決定して、通常拡縮PD格納部67から通常拡縮PD70を読み出す。次いで、蠕動運動制御部75は、通常拡縮PD70に基づき、各供給弁60a〜60d、解放弁61a〜61dの開閉制御を開始する。
【0070】
蠕動運動制御部75は、第2供給弁60bを開いて第2解放弁61bを閉じるとともに、第4解放弁61dを開く。これにより、第2空気室38bへ圧縮空気が供給されるとともに、第4空気室38dが大気圧に戻る。なお、第2供給弁60bは、圧力計62bで測定された第2空気室の圧力が設定圧力値に達した時に閉じられる。
【0071】
図12(B)に示すように、第2伸縮ユニット28bが拡径状態に変形して消化管の内壁をグリップするとともに、第4伸縮ユニット28dが縮径状態に変形して消化管の内壁のグリップが解除される。
【0072】
図12(C)に示すように、蠕動運動制御部75は、各供給弁及び解放弁を適宜開閉して、第1伸縮ユニット28aを縮径状態に変形させるとともに、第3伸縮ユニット28cを拡径状態に変形させて消化管の内壁をグリップさせる。この際に、第1伸縮ユニット28aの後方の第2,第3伸縮ユニット28b,28cは、消化管の内壁をグリップしている。また、キャップ32は挿入部16に固定されている一方で、他の各部材は挿入部16に対してフリーな状態になっている。このため、第1伸縮ユニット28aが挿入部軸方向へ伸長しようとする動作は、挿入部16を消化管の内壁に対して前進させる推進力に変換され、挿入部16が前進する。
【0073】
図12(D)に示すように、蠕動運動制御部75は、第2伸縮ユニット28bを縮径状態に変形させるとともに、第4伸縮ユニット28dを拡径状態に変形させる。第2伸縮ユニット28bが挿入部軸方向に伸長するときは、第2伸縮ユニット28bの後方の第3,第4伸縮ユニット28c,28dが消化管の内壁をグリップしている。図12(C)と同様に、第2伸縮ユニット28bが伸長する動作は、挿入部16を前進させる推進力に変換され、挿入部16がさらに前進する。
【0074】
図12(E)に示すように、蠕動運動制御部75は、第3伸縮ユニット28cを縮径状態に変形させるとともに、第1伸縮ユニット28aを拡径状態に変形させる。この状態では、第3伸縮ユニット28cが挿入部軸方向に伸長したとしても、第1伸縮ユニット28aが挿入部軸方向に収縮にして消化管の内壁をグリップしているので、挿入部16は前進しない。この図12(E)の状態は、図12(A)に示した初期状態と同じである。
【0075】
蠕動運動制御部75は、上述の図12(A)、図12(B)、図12(C)、図12(D)の各状態が順番に繰り返し実行されるように、各供給弁及び解放弁を適宜開閉する。これにより、各伸縮ユニット28a〜28dが図12(A)〜図12(D)で説明したような通常動作モードで蠕動運動をすることで、消化管内で挿入部16が前進する。
【0076】
図11に戻って、蠕動運動制御部75は、操作ユニット26で前進停止操作がなされるか、あるいは空気漏れ判定部73より空気漏れが発生した旨を示す監視結果が入力されるまで、各伸縮ユニット28a〜28dによる通常動作モードでの蠕動運動を継続する。
【0077】
この際に、例えば第3伸縮ユニット28cの各部(第3バルーン36c、第3エアチューブ29c、及び両者の接続部分)のいずれかで空気漏れが発生すると、第3伸縮ユニット28cが縮径状態に変形するとともに、第3圧力計62cの計測値に上述したような異常が生じる。この場合、空気漏れ判定部73は、第3伸縮ユニット28cで空気漏れが発生した旨を示すエラー信号を、供給停止制御部74及び蠕動運動制御部75に対して送る。
【0078】
供給停止制御部74は、空気漏れ判定部73からのエラー信号を受信したときに、第3供給弁60aを閉じて第3解放弁61cを開く。これにより、空気漏れが発生している第3伸縮ユニット28cに対する圧縮空気の供給が停止される。第3バルーン36cから消化管内へ空気漏れが発生した場合は、消化管が膨張して患者に著しい不快感や苦痛を与えるおそれがあるが、第3バルーン36cへの圧縮空気の供給を停止することでこのような問題の発生が防止される。
【0079】
蠕動運動制御部75は、空気漏れ判定部73から受信したエラー信号に基づき、正常な伸縮ユニットが蠕動運動に必要な3個以上ない場合、各供給弁60a〜60dを閉じて各解放弁61a〜61dを開く緊急停止制御を行う。これにより、各伸縮ユニット28a〜28dが全て縮径状態になるため、挿入部16及び内視鏡推進装置14を消化管内から抜き取ることができる。
【0080】
これに対して、第3伸縮ユニット28cは故障しているが他の3個の伸縮ユニット28a,28c,28dが正常に拡縮動作する場合、蠕動運動制御部75は、内視鏡推進装置14の動作モードを応急動作モードに決定して、応急拡縮PD格納部68から応急拡縮PD71を読み出す。次いで、蠕動運動制御部75は、応急拡縮PD71に基づき、各供給弁60a,60b,60d、解放弁61a,61b,61dの開閉制御を開始する。なお、応急動作モードへの移行が決定された場合には、その旨をモニタ27などに表示する。
【0081】
図13(A)に示すように、蠕動運動制御部75は、各供給弁及び解放弁を適宜開閉して、第1及び第4伸縮ユニット28a,28dを拡径状態に変形させるとともに、第2伸縮ユニット28bを縮径状態に変形させる。これにより、第1及び第4伸縮ユニット28a,28dが消化管の内壁をグリップする。
【0082】
図13(B)に示すように、蠕動運動制御部75は、第2伸縮ユニット28bを拡径状態に変形させて消化管の内壁をグリップさせるとともに、第4伸縮ユニット28dを縮径状態に変形させる。第4伸縮ユニット28dが挿入部軸方向に伸長したときに、第1伸縮ユニット28aが消化管の内壁をグリップしているので、挿入部16は前進しない。
【0083】
図13(C)に示すように、蠕動運動制御部75は、第1伸縮ユニット28aを縮径状態に変形させるとともに、第4伸縮ユニット28dを拡径状態に変形させて消化管の内壁をグリップさせる。第1伸縮ユニット28aが挿入部軸方向に伸長するときは、少なくとも第2伸縮ユニット28bが消化管の内壁をグリップしている。このため、第1伸縮ユニット28aが伸長する動作は、挿入部16を前進させる推進力に変換され、挿入部16が前進する。
【0084】
図13(D)に示すように、蠕動運動制御部75は、第1伸縮ユニット28aを拡径状態に変形させて消化管の内壁をグリップさせるとともに、第2伸縮ユニット28bを縮径状態に変形させる。第2伸縮ユニット28bが挿入部軸方向に伸長したときに第1伸縮ユニット28aが挿入部軸方向に収縮するため、挿入部16は前進しない。この図13(D)の状態は、図13(A)に示した状態と同じである。
【0085】
蠕動運動制御部75は、上述の図13(A)、図13(B)、図13(C)の各状態が順番に繰り返し実行されるように、各供給弁及び解放弁を適宜開閉する。これにより、各伸縮ユニット28a,28b,28dが図13(A)〜図13(C)で説明した応急動作モードで蠕動運動をすることで、消化管内で挿入部16が前進する。
【0086】
このように第3伸縮ユニット28cが故障した場合でも、正常な3個の第1、第2、第4伸縮ユニット28a,28b,28dだけで蠕動運動を行うことで、応急処置的に挿入部16を消化管内で推進させることができる。このため、一旦、挿入部16及び内視鏡推進装置14を消化管内から抜き取って、内視鏡推進装置14を交換する必要がなくなるので、内視鏡検査を継続することができる。その結果、内視鏡検査を最初からやり直す手間が防止される。
【0087】
また、各伸縮ユニット28a〜28dのいずれでも消化管の内壁をグリップしない状態が発生することが防止される。その結果、消化管内の奥まで進めた挿入部及び内視鏡推進装置の位置が後退したり、あるいは両者が消化管内から抜けたりすることが防止される。
【0088】
図11に戻って、蠕動運動制御部75は、操作ユニット26で前進停止操作がなされるか、あるいは空気漏れ判定部73から第1、第2、第4伸縮ユニット28a,28b,28dのいずれかで空気漏れが発生した旨を示す新たなエラー信号が入力されるまで、上述の応急動作モードでの蠕動運動を継続する。これにより、挿入部先端部16aを所望の検査位置まで進めることができる。次いで、必要な検査あるいは医療処置が終了した後、操作ユニット26で後進操作あるいは全伸縮ユニット28a〜28dを縮径状態に切り替える操作がなされて、挿入部16及び内視鏡推進装置14が消化管内から抜き取られる。
【0089】
上記第1実施形態では、第3伸縮ユニット28cが故障した場合を例に挙げて説明したが、第1、第2、第4伸縮ユニット28a,28b,28dのいずれかが故障した場合でも、他の3個の伸縮ユニットが正常に拡縮動作可能であれば、これら3個を蠕動運動させることで、挿入部16を消化管内で推進させることができる。
【0090】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明を行う。上記第1実施形態では、蠕動運動の通常動作モード及び応急動作モードがそれぞれ一種類しか設定されていないが、第2実施形態では両動作モードがそれぞれ複数種類設定されている。なお、第2実施形態は、通常動作モード及び応急動作モードが複数種類である点を除けば、上記第1実施形態と基本的に同じ構成であり、上記第1実施形態と機能・構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する。
【0091】
図14に示すように、第2実施形態の推進制御装置79には、第1実施形態で説明した通常拡縮PD格納部67、応急拡縮PD格納部68、及び蠕動運動制御部75の代わりに、通常拡縮PD格納部80、応急拡縮PD格納部81、及び蠕動運動制御部82が設けられている。また、操作ユニット26には通常動作モード切替スイッチ(第1選択手段)26a、応急動作モード切替スイッチ(第2選択手段)26bが設けられている。
【0092】
通常動作モード切替スイッチ26aは、通常動作モードの切り替えに用いられる。また、応急動作モード切替スイッチ26bは、応急動作モードの切り替えに用いられる。第2実施形態では、通常動作モードとして第1〜第4通常動作モードが設定され、応急動作モードとして第1〜第3応急動作モードが設定されている。
【0093】
通常拡縮PD格納部80には、第1〜第4通常動作モードにそれぞれ対応した通常拡縮PD70が格納されている。また、応急拡縮PD格納部81には、第1〜第3応急動作モードにそれぞれ対応した応急拡縮PD71が格納されている。
【0094】
蠕動運動制御部82は、基本的には第1実施形態の蠕動運動制御部75と同じ処理を行う。ただし、蠕動運動制御部82は、空気漏れ判定部73の判定結果に基づき、通常動作モード切替スイッチ26aで選択された第1〜第4通常動作モードのいずれか、あるいは応急動作モード切替スイッチ26bで選択された第1〜第3応急動作モードのいずれかで各伸縮ユニットを蠕動運動させる。
【0095】
次に本発明の第2実施形態の内視鏡推進装置14の作用について説明を行う。なお、推進制御装置15の電源をONした時までの処理は第1実施形態と同じであるので、説明は省略する。
【0096】
電源ON後、必要に応じて各切替スイッチ26a,26bで通常動作モード、応急動作モードの設定が行われる。次いで、操作ユニット26で前進指示が入力されると、空気漏れ判定部73、供給停止制御部74、蠕動運動制御部82が作動する。なお、空気漏れ判定部73及び供給停止制御部74が行う処理は第1実施形態と同じであるため、説明は適宜省略する。
【0097】
蠕動運動制御部82は、空気漏れ判定部73が各伸縮ユニット28a〜28dで空気漏れが発生していないと判定した場合、通常動作モード切替スイッチ26aで選択された第1〜第4通常動作モードのいずれかに対応する通常拡縮PD70を通常拡縮PD格納部80から読み出して、この通常拡縮PD70に基づき、各供給弁60a〜60d、解放弁61a〜61dの開閉制御を開始する。
【0098】
<第1通常動作モード>
通常動作モード切替スイッチ26aで第1通常動作モードが選択された場合、蠕動運動制御部82は、上記図12(A)〜(D)で説明したように各伸縮ユニット28a〜28dを蠕動運動させる。
【0099】
<第2通常動作モード>
通常動作モード切替スイッチ26aで第2通常動作モードが選択された場合、蠕動運動制御部82は、図15(A)に示すような第3伸縮ユニット28c以外を拡径状態に変形した状態、図15(B)に示すような第4伸縮ユニット28d以外を拡径状態に変形した状態、図15(C)に示すような第1伸縮ユニット28a以外を拡径状態に変形した状態、図15(D)に示すような第2伸縮ユニット28b以外を拡径状態に変形した状態が順番に繰り返し実行されるように、各供給弁及び解放弁を適宜開閉する。これにより、各伸縮ユニット28a〜28dが第2通常動作モードで蠕動運動して、挿入部16が消化管内で前進する。
【0100】
<第3通常動作モード>
通常動作モード切替スイッチ26aで第3通常動作モードが選択された場合、蠕動運動制御部82は、図16(A)に示すような第1伸縮ユニット28a以外を縮径状態に変形した状態、図16(B)に示すような全伸縮ユニット28a〜28dを拡径状態に変形した状態、図16(C)に示すような第4伸縮ユニット28d以外を縮径状態に変形した状態が順番に繰り返し実行されるように、各供給弁及び解放弁を適宜開閉する。これにより、各伸縮ユニット28a〜28dが第3通常動作モードで蠕動運動して、挿入部16が消化管内で前進する。
【0101】
<第4通常動作モード>
通常動作モード切替スイッチ26aで第4通常動作モードが選択された場合、蠕動運動制御部82は、図17(A)に示すような第1伸縮ユニット28a以外を縮径状態に変形した状態、この状態から図17(B)に示すような第2伸縮ユニット28bを拡径状態に変形した状態、次いで図17(C)に示すように第3及び第4伸縮ユニット28c、28dを順番に拡径状態に変形した状態、この状態から図17(D)に示すような第1伸縮ユニット28aを縮径状態に変形した状態、次いで図17に示すように第2及び第3伸縮ユニット28b、28cを順番に縮径状態に変形した状態が順番に繰り返し実行されるように、各供給弁及び解放弁を適宜開閉する。これにより、各伸縮ユニット28a〜28dが第4通常動作モードで蠕動運動して、挿入部16が消化管内で前進する。
【0102】
このように蠕動運動制御部82は、各伸縮ユニット28a〜28dが正常に拡縮動作する場合、通常動作モード切替スイッチ26aで選択された通常動作モードで各伸縮ユニット28a〜28dを蠕動運動させることができる。なお、各伸縮ユニット28a〜28dが各通常動作モードのいずれかで蠕動運動しているときに、通常動作モード切替スイッチ26aを操作して通常動作モードを切り替えることもできる。
【0103】
一方、蠕動運動制御部82は、空気漏れ判定部73が例えば第3伸縮ユニット28cで空気漏れが発生したと判定した場合、応急動作モード切替スイッチ26bで選択された第1〜第3応急動作モードのいずれかに対応する応急拡縮PD71を応急拡縮PD格納部81から読み出して、この応急拡縮PD71に基づき第1、第2、第4伸縮ユニット28a,28b,28dを蠕動運動させる。
【0104】
<第1応急動作モード>
応急動作モード切替スイッチ26bで第1応急動作モードが選択された場合、蠕動運動制御部82は、上記図13(A)〜(D)で説明したように各伸縮ユニット28a,28b,28dを蠕動運動させる。
【0105】
<第2応急動作モード>
応急動作モード切替スイッチ26bで第2応急動作モードが選択された場合、蠕動運動制御部82は、図18(A)に示すような第1伸縮ユニット28aだけを拡径状態に変形した状態、図18(B)に示すような第3伸縮ユニット28c以外を拡径状態に変形した状態、図18(C)に示すような第4伸縮ユニット28dだけを拡径状態に変形した状態が順番に繰り返し実行されるように、各供給弁及び解放弁を適宜開閉する。これにより、各伸縮ユニット28a,28b,28dが第2応急動作モードで蠕動運動して、挿入部16が消化管内で前進する。
【0106】
<第3応急動作モード>
応急動作モード切替スイッチ26bで第3応急動作モードが選択された場合、蠕動運動制御部82は、図19(A)に示すような第1伸縮ユニット28aだけを拡径した状態、この状態から図19(B)に示すような第2伸縮ユニット28bを拡径状態に変形した状態、次いで図19(C)に示すような第4伸縮ユニット28dを拡径状態に変形した状態、この状態から図19(D)に示すような第1伸縮ユニット28aを縮径状態に変形した状態、次いで図19(E)に示すような第2伸縮ユニット28bを縮径状態に変形した状態が順番に繰り返し実行されるように、各供給弁及び解放弁を適宜開閉する。これにより、各伸縮ユニット28a,28b,28dが第3応急動作モードで蠕動運動して、挿入部16が消化管内で前進する。
【0107】
なお、第3伸縮ユニット28cの代わりに、第1、第2、第4伸縮ユニット28a,28b,28dのいずれかが故障した場合でも、他の3個の伸縮ユニットが正常に拡縮動作可能であれば、これらを上記第1〜第3応急動作モードのいずれかで蠕動運動させることができる。
【0108】
このように蠕動運動制御部82は、各伸縮ユニット28a〜28dのいずれかで空気漏れが発生した場合、応急動作モード切替スイッチ26bで選択された応急動作モードで、残りの正常な3個の伸縮ユニットを蠕動運動させることができる。なお、この蠕動運動時に、応急動作モード切替スイッチ26bを操作して応急動作モードを切り替えることもできる。
【0109】
上記第2実施形態では、蠕動運動の通常動作モードとして第1〜第4通常動作モードを例に挙げて説明を行ったが、4個の伸縮ユニットをそれぞれ拡縮させて挿入部16を消化管内で推進可能な動作モードであれば特に限定はされない。また、応急動作モードとして第1〜第3応急動作モードを例に挙げて説明を行ったが、3個の伸縮ユニットをそれぞれ拡縮させて挿入部16を消化管内で推進可能な動作モードであれば特に限定はされない。
【0110】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について説明を行う。上記第1及び第2実施形態では、内視鏡推進装置14が4個の各伸縮ユニット28a〜28dで構成されているが、第3実施形態では、内視鏡推進装置84が5個の第1〜第5伸縮ユニット28a〜28e(図21参照)で構成されている。この第3実施形態は、伸縮ユニットの構成数の他、通常動作モードとして3種類の第1〜第3通常動作モードが設定され、さらに応急動作モードとして2種類の第1〜第2応急動作モードが設定されている点を除けば、基本的に上記第2実施形態と同じ構成であり、上記第2実施形態と機能・構成上同一のものについては、同一符号を付してその説明は省略する。
【0111】
図20に示すように、推進制御装置85は、第5伸縮ユニット28eの第5エアチューブ29eに圧縮空気の給排を行うための供給弁60e、解放弁61e、圧力計62eが設けられている点を除けば、第2実施形態の推進制御装置79と同じ構成である。
【0112】
通常拡縮PD格納部80には、3種類の第1〜第3通常動作モードにそれぞれ対応した通常拡縮PD87が格納されている。通常拡縮PD87は、全伸縮ユニット28a〜28eを拡縮させて蠕動運動を行うときの各々の拡縮のタイミング等を表すデータである。
【0113】
応急拡縮PD格納部81には、2種類の第1〜第2応急動作モードにそれぞれ対応した応急拡縮PD88が格納されている。第1応急動作モードに対応した応急拡縮PD88は、正常に動作する4個の伸縮ユニットだけを拡縮させて蠕動運動を行うときの各々の拡縮のタイミング等を表すデータである。また、第2応急動作モードに対応した応急拡縮PD88は、正常に動作する3個の伸縮ユニットだけを拡縮させて蠕動運動を行うときの各々の拡縮のタイミング等を表すデータである。
【0114】
空気漏れ判定部89は、第5圧力計62eの計測値に基づき、第5伸縮ユニット28eからの空気漏れの有無を判定する点を除けば、上記第1及び第2実施形態の空気漏れ判定部73と同じである。また、供給停止制御部90は、第5伸縮ユニット28eから空気漏れが発生したときに、第5伸縮ユニット28eへの圧縮空気の供給を停止させる点を除けば、上記第1及び第2実施形態の供給停止制御部74と同じである。
【0115】
蠕動運動制御部91は、基本的には第2実施形態の蠕動運動制御部82と同じ処理を行う。ただし、蠕動運動制御部91は、空気漏れ判定部89が全伸縮ユニット28a〜28eで空気漏れが発生していないと判定した場合、通常動作モード切替スイッチ26aで選択された第1〜第3通常動作モードのいずれかで全伸縮ユニット28a〜28eを蠕動運動させる。
【0116】
また、蠕動運動制御部82は、空気漏れ判定部89が各伸縮ユニット28a〜28eのうちの1個または2個の伸縮ユニットから空気漏れが発生していると判定した場合、応急動作モード切替スイッチ26bで選択された第1〜第2応急動作モードのいずれかで正常な4個または3個の伸縮ユニットを蠕動運動させる。さらに、蠕動運動制御部82は、空気漏れ判定部89が2個の伸縮ユニットから空気漏れが発生していると判定した場合、応急動作モード切替スイッチ26bの操作に関係なく、第2応急動作モードで正常な3個の伸縮ユニットを蠕動運動させる。
【0117】
次に、本発明の第3実施形態の内視鏡推進装置84の作用について説明を行う。なお、推進制御装置85の電源がONされて、操作ユニット26で前進指示が入力されるまでの処理の流れは第1及び第2実施形態と基本的に同じであるので、説明は省略する。
【0118】
蠕動運動制御部91は、空気漏れ判定部89が各伸縮ユニット28a〜28eで空気漏れが発生していないと判定した場合、通常動作モード切替スイッチ26aで選択された第1〜第3通常動作モードのいずれかに対応する通常拡縮PD87を通常拡縮PD格納部80から読み出して、この通常拡縮PD87に基づき、各伸縮ユニット28a〜28eを拡縮させる。
【0119】
<第1通常動作モード>
通常動作モード切替スイッチ26aで第1通常動作モードが選択された場合、蠕動運動制御部91は、図21(A)に示すような第1及び第5伸縮ユニット28a,28eだけを拡径状態に変形した状態、図21(B)に示すような第1及び第2伸縮ユニット28a,28bだけを拡径状態に変形した状態、図21(C)に示すような第2及び第3伸縮ユニット28b,28cだけを拡径状態に変形した状態、図21(D)に示すような第3及び第4伸縮ユニット28c,28dだけを拡径状態に変形した状態、図21(E)に示すような第4及び第5伸縮ユニット28d,28eだけを拡径状態に変形した状態が順番に繰り返し実行されるように、各供給弁及び解放弁を適宜開閉する。これにより、各伸縮ユニット28a〜28eが第1通常動作モードで蠕動運動して、挿入部16が消化管内で前進する。
【0120】
<第2通常動作モード>
通常動作モード切替スイッチ26aで第2通常動作モードが選択された場合、蠕動運動制御部91は、図22(A)に示すよう第1、第2、第5伸縮ユニット28a,28b,28eだけを拡径状態に変形した状態、図22(B)に示すような第1〜第3伸縮ユニット28a〜28cだけを拡径状態に変形した状態、図22(C)に示すような第2〜第4伸縮ユニット28b〜28dだけを拡径状態に変形した状態、図22(D)に示すような第3〜第5伸縮ユニット28c〜28eだけを拡径状態に変形した状態、図22(E)に示すような第1、第4、第5伸縮ユニット28a,28d,28eだけを拡径状態に変形した状態が順番に繰り返し実行されるように、各供給弁及び解放弁を適宜開閉する。これにより、各伸縮ユニット28a〜28eが第2通常動作モードで蠕動運動して、挿入部16が消化管内で前進する。
【0121】
<第3通常動作モード>
通常動作モード切替スイッチ26aで第3通常動作モードが選択された場合、蠕動運動制御部91は、図23(A)に示すような第1〜第3伸縮ユニット28a〜28cだけを拡径状態に変形した状態、図23(B)に示すような第3〜第5伸縮ユニット28c〜28eだけを拡径状態に変形した状態、図23(C)に示すような第1、第2、第5伸縮ユニット28a,28b,28eだけを拡径状態に変形した状態、図23(D)に示すような第2〜第4伸縮ユニット28b〜28dだけを拡径状態に変形した状態、図23(E)に示すような第1、第4、第5伸縮ユニット28a,28d,28eだけを拡径状態に変形した状態が順番に繰り返し実行されるように、各供給弁及び解放弁を適宜開閉する。これにより、各伸縮ユニット28a〜28eが第3通常動作モードで蠕動運動して、挿入部16が消化管内で前進する。
【0122】
このように第3実施形態も、全伸縮ユニット28a〜28eが正常である場合には、通常動作モード切替スイッチ26aで選択された通常動作モードで各伸縮ユニット28a〜28eを蠕動運動させることができる。
【0123】
一方、蠕動運動制御部91は、空気漏れ判定部89が例えば第4伸縮ユニット28dで空気漏れが発生したと判定した場合、応急動作モード切替スイッチ26bで選択された第1〜第2応急動作モードのいずれかに対応する応急拡縮PD88を応急拡縮PD格納部81から読み出して、この応急拡縮PD88に基づき少なくとも3個の伸縮ユニットを蠕動運動させる。
【0124】
<第1応急動作モード>
応急動作モード切替スイッチ26bで第1応急動作モードが選択された場合、蠕動運動制御部91は、図24(A)〜図24(E)に示すように正常な4個の第1〜第3、第5伸縮ユニット28a〜28c,28eを蠕動運動させる。各第1〜第3、第5伸縮ユニット28a〜28c,28eの拡縮のタイミングは、上述の図12で説明した通常動作モードと基本的に同じであり、図12中の第4伸縮ユニット28dの拡縮動作を図24中の第5伸縮ユニット28eの拡縮動作に置き換えればよいので、具体的な説明は省略する。
【0125】
<第2応急動作モード>
応急動作モード切替スイッチ26bで第2応急動作モードが選択された場合、蠕動運動制御部91は、図25(A)〜図25(C)に示すように正常な3個の第1〜第3伸縮ユニット28a〜28cを蠕動運動させる。各第1〜第3伸縮ユニット28a〜28cの拡縮のタイミングは、上述の図13で説明した応急動作モードと基本的に同じであり、図13中の第4伸縮ユニット28dの拡縮動作を図25中の第3伸縮ユニット28cの拡縮動作に置き換えればよいので、具体的な説明は省略する。なお、図25では正常な3個の伸縮ユニットの組み合せとして第1〜第3伸縮ユニット28a〜28cを例に挙げて説明を行ったが、3個の伸縮ユニットの組み合わせは適宜変えてもよい。
【0126】
また、蠕動運動制御部91は、空気漏れ判定部89が各伸縮ユニット28a〜28eのうちの2個の伸縮ユニットで空気漏れが発生したと判定した場合に、応急動作モード切替スイッチ26bの操作に関係なく、第2応急動作モードに対応する応急拡縮PD88を応急拡縮PD格納部81から読み出す。次いで、蠕動運動制御部91は、この応急拡縮PD88に基づき、上記図25で説明したように3個の伸縮ユニットを蠕動運動させる。
【0127】
このように蠕動運動制御部91は、各伸縮ユニット28a〜28dのいずれか1つまたはいずれか2つで空気漏れが発生した場合、残りの正常な少なくとも3個の伸縮ユニットを蠕動運動させることで、挿入部16を消化管内で前進させることができる。
【0128】
上記第3実施形態では、第4伸縮ユニット28dが故障した場合を例に挙げて説明したが、他の伸縮ユニット28a〜28c,28eが故障した場合でも、少なくとも3個の伸縮ユニットが正常に拡縮動作可能であれば、これら3個または4個の伸縮ユニットを蠕動運動させることで、挿入部16を消化管内で前進させることができる。
【0129】
上記第3実施形態では、蠕動運動の通常動作モードとして第1〜第3通常動作モードを例に挙げて説明を行ったが、4個の伸縮ユニットをそれぞれ拡縮させて挿入部16を消化管内で推進可能な動作モードであれば特に限定はされない。また、応急動作モードとして第1〜第2応急動作モードを例に挙げて説明を行ったが、3個以上の伸縮ユニットをそれぞれ拡縮させて挿入部16を消化管内で推進可能な動作モードであれば特に限定はされない。
【0130】
上記第3実施形態では、内視鏡推進装置84が5個の伸縮ユニット28a〜28eで構成される場合について説明を行ったが、6個以上の伸縮ユニットで構成される内視鏡推進装置に対しても本発明を適用することができる。この場合に、1個または複数個の伸縮ユニットから空気漏れが発生したときでも、少なくとも3個以上の伸縮ユニットが正常に拡縮動作可能であれば、これらを蠕動運動させることにより、挿入部16を消化管内で推進することができる。
【0131】
[第4実施形態]
次に、図26(A)、(B)を用いて本発明の第4実施形態について説明を行う。上記第1〜第3実施形態の内視鏡推進装置14,84は、消化管内に直に挿入されるため、内視鏡検査後に洗浄消毒処理を施す必要がある。これに対して第4実施形態では、内視鏡推進装置14が使い捨ての汚れ防止カバー96で覆われている。
【0132】
汚れ防止カバー96は、例えば天然ゴム、合成ゴム等で形成され、内視鏡推進装置14の先端から操作部17の先端付近までを覆う略筒状を有している。汚れ防止カバー96は、各バルーン36a〜36dよりも径方向に大きく拡径可能である。このため、各バルーン36a〜36dの拡径が汚れ防止カバー96により妨げられることが防止される。また、汚れ防止カバー96の弾性率は、各バルーン36a〜36dの弾性率よりも小さくなっている。このため、各バルーン36a〜36dが拡径した状態から縮径した状態に切り替わったときに、汚れ防止カバー96も縮径して各バルーン36a〜36dの外周に密着した状態が保たれる。
【0133】
汚れ防止カバー96の先端部は、例えばピアノ線97などにより括られており、この先端部の内周は挿入部先端部16aの外周に隙間なく密着固定されている。また、汚れ防止カバー96の後端部の開口96aは開放されている。この開口96aは操作部17の周囲に位置している。このため、内視鏡検査中においても、開口96aが常に患者の体外に位置する。これにより、消化管内の液体が内視鏡推進装置14の外周に付着することが防止される。
【0134】
また、上記第1〜第3実施形態では、各伸縮ユニットのバルーンから空気漏れが発生した場合に、圧縮空気の供給が停止するまでの間にバルーンから漏れた圧縮空気により消化管が膨張して患者に著しい不快感や苦痛を与えたり、あるいは消化管を傷つけたりするおそれがある。これに対して、第4実施形態では汚れ防止カバー96の後端部が開放されているため、図26(B)に示すように、例えば第2バルーン36bにあいた穴98から漏れた圧縮空気は、汚れ防止カバー96の内部を通って開口96aから患者の体外へ排出される(一点鎖線で表示)。その結果、バルーンから漏れた圧縮空気により消化管が膨張することが防止される。
【0135】
上記第4実施形態では、内視鏡推進装置14の外周を覆うカバーとして使い捨ての汚れ防止カバー96を例に挙げて説明を行ったが、例えばバルーンから消化管への空気漏れを防止するためのカバーや、アレルギー性材料からなるバルーンと消化管の内壁との接触防止するための低アレルギー材料カバーなどの各種カバーを用いることができる。
【0136】
上記実施形態では、第1〜第4エアチューブ29a〜29dをそれぞれ第1〜第4フランジ33a〜33dに接続しているが、第1〜第4伸縮ユニット28a〜28dの任意の1箇所に接続してもよい。例えば、第1〜第4オーバチューブ31a〜31dにその内面と外面とを貫通する貫通穴を設けて、各オーバチューブ31a〜31dの貫通穴にそれぞれ各エアチューブ29a〜29dを接続してもよい。
【0137】
上記実施形態では、弾性カバー36(図2参照)をピアノ線37で括ることより第1〜第4バルーン36a〜36dを形成しているが、各第1〜第4バルーン36a〜36d(筒状伸縮体)をそれぞれ別個に取り付けてもよい。
【0138】
上記各実施形態では、各伸縮ユニット28a〜28dがそれぞれ個別のオーバチューブ31a〜31dを備えているが、例えば、挿入部16の軸方向に長く延びた一本のオーバチューブの外周に、その軸方向に沿って複数のバルーン36a〜36d、キャップ32及びフランジ33a〜33dを設けることによって、各伸縮ユニットを構成してもよい。
【0139】
上記各実施形態では、各バルーン36a〜36dの両端部と、各オーバチューブ31a〜31dの両端部とをそれぞれキャップ32、各フランジ33a〜33dを介して固定しているが、フランジを介さずに、圧着や接着等の各種方法を用いて両者を固定してもよい。
【0140】
上記実施形態では、第Q(Qは1〜3)オーバチューブと第(Q+1)オーバチューブとが共通の第Qフランジを介して接続されているが、この第Qフランジを第Qオーバチューブに接続するフランジと、第(Q+1)オーバチューブに接続するフランジとに分けてもよい。
【0141】
上記実施形態では、内視鏡推進装置14が電子内視鏡11の挿入部16に取り付けられる場合について説明を行ったが、本発明の内視鏡推進装置は、消化管や人工管路等の各種管内に挿入される各種内視鏡の挿入部に取り付け可能である。
【符号の説明】
【0142】
11 電子内視鏡
14,84 内視鏡推進装置
15,79,85 推進制御装置
16 挿入部
28a〜28d 第1〜第4伸縮ユニット
29a〜29d 第1〜第4エアチューブ
31a〜31d 第1〜第4オーバチューブ
33a〜33d 第1〜第4フランジ
36a〜36d 第1〜第4バルーン
38a〜38d 第1〜第4空気室
64 CPU
73,89 空気漏れ判定部
74,90 供給停止制御部
75,82,91 蠕動運動制御部
96 汚れ防止カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管路内に挿入される内視鏡の挿入部が挿通され、前記挿入部の軸方向に沿って一列に配置されたX(Xは4以上の自然数)個の伸縮ユニットであって、前記挿入部の外周を囲む略環状の密閉空間と、前記密閉空間に接続して当該密閉空間に対し加圧用の流体を給排するための給排チューブとを有しており、前記密閉空間内に供給された前記流体による内側からの加圧により前記挿入部の径方向に拡径するとともに前記軸方向に収縮し、前記加圧が解除されたときに前記径方向に縮径するとともに前記軸方向に伸張するX個の伸縮ユニットと、
X個の前記伸縮ユニットのうち、前記挿入部の最も先端側に位置する最先端伸縮ユニットを、前記挿入部に解除可能に固定する伸縮ユニット固定手段と、
X個の前記伸縮ユニットの各前記密閉空間に対し、各前記給排チューブを介して前記流体を給排する給排手段と、
X個の前記伸縮ユニットからの前記流体の漏れをそれぞれ検出する漏れ検出手段と、
前記漏れ検出手段の検出結果に基づき、全ての前記伸縮ユニットで前記流体の漏れが発生していない場合に、全ての前記伸縮ユニットを、前記管路内を移動する推進力が生じる所定の順番で拡縮径させる第1の蠕動運動が行われるように前記給排手段を制御するとともに、(X−3)個以下の前記伸縮ユニットで前記流体の漏れが発生した場合に、他の少なくとも3個の正常な正常伸縮ユニットを前記推進力が生じる所定の順番で拡縮径させる第2の蠕動運動が行われるように前記給排手段を制御する蠕動運動制御手段と、
を備えることを特徴とする内視鏡推進装置。
【請求項2】
前記漏れ検出手段の検出結果に基づき、前記流体の漏れが発生した前記伸縮ユニットに対する前記流体の供給が停止するように、前記給排手段を制御する供給停止制御手段を備えることを特徴とする請求項1記載の内視鏡推進装置。
【請求項3】
前記伸縮ユニットは、
前記挿入部が挿通され、前記軸方向に伸縮自在な伸縮管と、
前記伸縮管の外周を覆う略筒状を有し、内側からの加圧により前記径方向に拡径するとともに前記軸方向に収縮し、前記加圧が解除されたときに元の状態に復元する筒状伸縮体と、
前記筒状伸縮体の両端部において前記筒状伸縮体と前記伸縮管とを固定して、前記筒状伸縮体の内周と前記伸縮管の外周との間に前記密閉空間を形成する端部固定手段と、
前記給排チューブと、からなることを特徴とする請求項1または2記載の内視鏡推進装置。
【請求項4】
少なくとも前記挿入部の先端から後端までを覆う長さを持ち、前記径方向に伸縮自在なカバーを備えることを特徴とする請求項1ないし3いずれか1項記載の内視鏡推進装置。
【請求項5】
前記カバーは、略筒状を有しており、その先端部の内周が前記挿入部の先端の外周に隙間なく密着固定されているとともに、その後端部の開口が開放されていることを特徴とする請求項4記載の内視鏡推進装置。
【請求項6】
前記カバーは、前記筒状伸縮体よりも前記径方向に大きく拡径可能であることを特徴とする請求項4または5記載の内視鏡推進装置。
【請求項7】
前記カバーの弾性率は、前記筒状伸縮体の弾性率よりも小さいことを特徴とする請求項4ないし6いずれか1項記載の内視鏡推進装置。
【請求項8】
前記漏れ検出手段は、前記筒状伸縮体、前記給排チューブ、及び前記給排チューブと前記密閉空間との接続部分からの前記流体の漏れを検出することを特徴とする請求項3ないし7いずれか1項記載の内視鏡推進装置。
【請求項9】
前記第1の蠕動運動時におけるX個の前記伸縮ユニットの拡縮動作を定めた第1の動作パターンが複数設定されており、
複数の前記第1の動作パターンの中からいずれか1つを選択する第1選択手段を備え、
前記蠕動運動制御手段は、前記第1の蠕動運動時において、前記第1選択手段で選択された前記第1の動作パターンに基づき前記給排手段を制御することを特徴とする請求項1ないし8いずれか1項記載の内視鏡推進装置。
【請求項10】
前記第2の蠕動運動時における3個以上の前記正常伸縮ユニットの拡縮動作を定めた第2の動作パターンが、前記正常伸縮ユニットの個数毎にそれぞれ1以上設定されており、
前記蠕動運動制御手段は、前記第2の蠕動運動時において、前記正常伸縮ユニットの個数がY個(Yは3以上で(X−1)以下の自然数)である場合に、Y個以下の前記正常伸縮ユニットの拡縮動作を定めた前記第2の動作パターンに基づき前記給排手段を制御することを特徴とする請求項1ないし9いずれか1項記載の内視鏡推進装置。
【請求項11】
複数の前記第2の動作パターンの中からいずれか1つを選択する第2選択手段を備え、
前記蠕動運動制御手段は、前記第2の蠕動運動時において、前記第2選択手段で選択された前記第2の動作パターンで拡縮動作が定められている前記正常伸縮ユニットの個数が前記Y個以下である場合に、当該第2の動作パターンに基づき前記給排手段を制御することを特徴とする請求項10記載の内視鏡推進装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2012−81131(P2012−81131A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−230731(P2010−230731)
【出願日】平成22年10月13日(2010.10.13)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【出願人】(599011687)学校法人 中央大学 (110)
【Fターム(参考)】