説明

内視鏡診断装置

【課題】狭帯域光画像と自家蛍光画像を撮像する内視鏡診断装置において、高画質な自家蛍光画像を得ることができる内視鏡診断装置を提供する。
【解決手段】内視鏡診断装置は、所定の波長範囲の第1狭帯域光を発する第1狭帯域光光源と、第1狭帯域光とは異なる波長範囲の第2狭帯域光を発する第2狭帯域光光源と、狭帯域光観察モードの場合に、被検体に照射される第1狭帯域光の被検体からの反射光を受光して狭帯域光画像を撮像する第1撮像素子と、第1自家蛍光観察モードの場合に、第1狭帯域光が被検体に照射されることによって被検体から発せられる第1自家蛍光を受光して第1自家蛍光画像を撮像し、第2自家蛍光観察モードの場合に、第2狭帯域光が被検体に照射されることによって被検体から発せられる第2自家蛍光を受光して第2自家蛍光画像を撮像する第2撮像素子と、第1および第2自家蛍光観察モードの場合に、第1および第2狭帯域光の発光量を、狭帯域光観察モードの場合の発光量よりも増加させる光源制御部とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特殊光観察として、狭帯域光観察と自家蛍光観察を行う内視鏡診断装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、光源装置から発せられる白色光(通常光)を内視鏡先端部まで導光して被検体の被観察領域に照射し、その反射光を撮像して通常光画像(白色光画像)を取得し、通常光観察(白色光観察)を行う内視鏡装置が用いられている。これに対し、近年では、通常光観察に加えて、所定の波長範囲の狭帯域光(特殊光)を被検体の被観察領域に照射し、その反射光および自家蛍光を撮像して特殊光画像を取得し、特殊光観察を行う内視鏡装置が活用されている(特許文献1参照)。
【0003】
特殊光観察を行う内視鏡装置では、例えば、被検体体腔内の粘膜層あるいは粘膜下層に発生する新生血管の微細構造、病変部の強調等、通常の観察像では得られない生体情報を簡単に可視化できる。例えば、観察対象が癌病変部である場合、青色の狭帯域光を粘膜組織に照射すると組織表層の微細血管や微細構造の状態がより詳細に観察できるため、病変部をより正確に診断することができる。
【0004】
特許文献1に記載の電子内視鏡は、図11の概念図に示すように、特殊光観察モードの場合に、1つの励起光を観察部位に照射し、その反射光を青色(B)のカラーフィルタを持つ第1のセンサ(撮像素子)で撮像して狭帯域光画像を取得するのと同時に、自家蛍光を緑色(G),赤色(R)のカラーフィルタを持つ第2のセンサで撮像して自家蛍光画像を取得することを特徴とするものである。
【0005】
まず、通常光観察モードの場合には、400〜500nmの励起光の波長領域の光のみを通過する青色フィルタが光路上から退避した位置に配置された状態で、白色光が観察部位に照射され、その反射光が第1および第2のセンサで撮像される。そして、第1のセンサのBの色信号と、第2のセンサのG,Rの色信号とからなるR,G,Bの通常光画像の映像信号が生成される。
【0006】
一方、特殊光観察モードの場合には、青色フィルタが光路上に配置されることによって、400〜500nmの励起光が観察部位に照射され、その反射光および自家蛍光が第1および第2のセンサで撮像される。そして、第1のセンサのBの色信号からなる狭帯域光画像の映像信号と、第2のセンサのG,Rの色信号からなる自家蛍光画像の映像信号が同時に生成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−50106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1の手法では、狭帯域光画像と自家蛍光画像を同時に取得するため、両画像取得時の励起光の強度が同じになるが、自家蛍光の蛍光強度は微弱であるため、励起光の強度が同じであると高画質な自家蛍光画像を得ることができない。また、狭帯域光画像を取得するためにBに感度を持つセンサでは、つまり、Bの色信号だけでは、表層の血管しか観察することができない、等の問題点がある。
【0009】
本発明の第1の目的は、狭帯域光画像と自家蛍光画像を撮像する内視鏡診断装置において、高画質な自家蛍光画像を得ることができる内視鏡診断装置を提供することにある。
また、本発明の第2の目的は、上記第1の目的に加えて、表層から中層の血管を観察することができる内視鏡診断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、所定の波長範囲の第1狭帯域光を発する第1狭帯域光光源と、
前記第1狭帯域光とは異なる波長範囲の第2狭帯域光を発する第2狭帯域光光源と、
狭帯域光観察モードの場合に、被検体に照射される前記第1狭帯域光の該被検体からの反射光を受光して狭帯域光画像を撮像する第1撮像素子と、
第1自家蛍光観察モードの場合に、前記第1狭帯域光が前記被検体に照射されることによって該被検体から発せられる第1自家蛍光を受光して第1自家蛍光画像を撮像し、第2自家蛍光観察モードの場合に、前記第2狭帯域光が前記被検体に照射されることによって該被検体から発せられる第2自家蛍光を受光して第2自家蛍光画像を撮像する第2撮像素子と、
前記第1および第2自家蛍光観察モードの場合に、前記第1および第2狭帯域光の発光量を、前記狭帯域光観察モードの場合の発光量よりも増加させる光源制御部とを備えていることを特徴とする内視鏡診断装置を提供するものである。
【0011】
ここで、前記第1狭帯域光は、405nm±10nmの波長範囲の光であり、前記第2狭帯域光は、445nm±10nmの波長範囲の光であることが好ましい。
【0012】
また、前記第1自家蛍光は、FADおよびポルフィリンから発せられる自家蛍光を含み、前記第2自家蛍光は、FADから発せられる自家蛍光を含むことが好ましい。
【0013】
また、前記第1および第2狭帯域光光源はレーザ光源であり、
前記光源制御部は、前記第1および第2自家蛍光観察モードの場合の前記レーザ光源の駆動電流を、前記狭帯域光観察モードの場合の駆動電流よりも増加させることによって前記発光量を増加させるものであることが好ましい。
【0014】
さらに、前記第1撮像素子に受光される光を所定の遮光率で遮光する遮光フィルタを備え、
前記光源制御部は、前記狭帯域光観察モードの場合に、前記第1撮像素子に受光される光を前記遮光フィルタで遮光し、前記第1および第2自家蛍光観察モードの場合には、前記第2撮像素子に受光される光を前記遮光フィルタで遮光しないことによって前記発光量を増加させるものであることが好ましい。
【0015】
また、前記光源制御部は、前記第1および第2自家蛍光観察モードの場合の前記第1および第2狭帯域光光源の点灯時間を、前記狭帯域光観察モードの場合の点灯時間よりも増加させることによって前記発光量を増加させるものであることが好ましい。
【0016】
また、前記第2撮像素子には、R色、G色の波長範囲の光を3分割する分光透過率を有するR色、GR色、G色のカラーフィルタが設けられていることが好ましい。
【0017】
さらに、白色光を発する白色光光源を備え、
前記第1撮像素子は、通常光観察モードの場合に、前記被検体に照射される前記白色光の該被検体からの反射光を受光して通常光画像を撮像し、前記狭帯域光観察モードの場合に、前記被検体に所定の発光比率で照射される前記白色光および前記第1狭帯域光の該被検体からの反射光を受光して前記狭帯域光画像を撮像するものであることが好ましい。
【0018】
また、前記白色光光源は、所定の波長範囲の第3狭帯域光を発する第3狭帯域光光源と、該第3狭帯域光が照射されることによって励起発光光を発し、該第3狭帯域光と該励起発光光とで疑似白色光を生成する蛍光体とを有することが好ましい。
【0019】
また、前記白色光光源は、前記第2狭帯域光光源を前記第3狭帯域光光源として使用するものであることが好ましい。
【0020】
また、前記光源制御部は、前記第1および第2自家蛍光観察モードの場合に、前記第1および第2狭帯域光の発光量を、前記狭帯域光観察モードの場合の2倍の発光量に増加させるものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、自家蛍光観察モードの場合に、第1および第2狭帯域光(自家蛍光観察用の励起光)の発光量を、狭帯域光観察モードの場合よりも増加させることによって、高画質な自家蛍光画像を得ることができる。また、波長範囲の異なる第1および第2の狭帯域光を使用することにより、特定の自家蛍光物質のみを選択的に励起させることができる。また、狭帯域光観察モードでは、白色光と第1狭帯域光とを所定の発光比率で被検体に照射することにより、被検体の表層から中層にかけての血管を観察することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る内視鏡診断装置の構成を表す一実施形態の外観図である。
【図2】図1に示す内視鏡診断装置の内部構成を表すブロック図である。
【図3】図1に示す内視鏡診断装置の内視鏡挿入部の先端部の様子を表す概念図である。
【図4】青色レーザ光源からの青色レーザ光および青色レーザ光が蛍光体により波長変換された発光スペクトルを示すグラフである。
【図5】自家蛍光の発光波長範囲である、R色、G色の約500〜700nmの波長範囲を3分割する、R色、GR色、G色のカラーフィルタの分光透過率を表すグラフである。
【図6】図1に示す内視鏡診断装置における各観察モードの場合の処理を表す概念図である。
【図7】図1に示す内視鏡診断装置の作用を表すフローチャートである。
【図8】図1に示す内視鏡診断装置の特殊光観察モードの場合の作用を表す一例の概念図である。
【図9】自家蛍光物質の光の吸収強度特性を表す一例のグラフである。
【図10】自家蛍光物質の蛍光強度特性を表す一例のグラフである。
【図11】従来の内視鏡装置における各観察モードの場合の処理を表す一例の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明に係る内視鏡診断装置を詳細に説明する。
【0024】
図1は、本発明に係る内視鏡診断装置の構成を表す一実施形態の外観図、図2は、その内部構成を表すブロック図である。これらの図に示す内視鏡診断装置10は、波長範囲の異なる複数の光を発生する光源装置12と、光源装置12から発せられる光を導光して被検体の被観察領域に照明光を照射し、被検体からの反射光ないし自家蛍光を撮像する内視鏡装置14と、内視鏡装置14で撮像された画像を画像処理して内視鏡画像を出力するプロセッサ装置16と、プロセッサ装置16から出力される内視鏡画像を表示する表示装置18と、入力操作を受け付ける入力装置20とによって構成されている。
【0025】
ここで、内視鏡診断装置10は、通常光を被検体に照射し、その反射光を撮像して通常光画像を表示(観察)する通常光観察モードと、特殊光を被検体に照射し、その反射光ないし自家蛍光を撮像して特殊光画像(狭帯域光画像、第1自家蛍光画像、第2自家蛍光画像)を表示する特殊光観察モード(狭帯域光観察モード、第1自家蛍光観察モード、第2自家蛍光観察モード)とを有する。各観察モードは、内視鏡装置14の切り替えスイッチ66や入力装置20から入力される指示に基づき、適宜切り替えられる。
【0026】
なお、通常光観察モードと特殊光観察モードとの間の切り替えに限定されず、通常光観察モード、特殊光観察モードの狭帯域光観察モード、第1自家蛍光観察モード、第2自家蛍光観察モードを自由に切り替えられるようにしてもよい。
【0027】
光源装置12は、光源制御部22と、それぞれ波長範囲の異なるレーザ光を発する2種のレーザ光源LD1,LD2と、コンバイナ(合波器)24と、カプラ(分波器)26とによって構成されている。
【0028】
本実施形態において、レーザ光源LD1,LD2からは、それぞれ、中心波長が異なる405nm、445nmである、所定の波長範囲(例えば、中心波長±10nm)の狭帯域光が発せられる。レーザ光源LD1は、狭帯域光画像および第1自家蛍光画像を撮像するための光源であり、レーザ光源LD2は、通常光画像および第2自家蛍光画像を撮像するための光源である。
【0029】
レーザ光源LD2は、後述するように、通常光観察モードの時に、通常光観察用の励起光を発生して、蛍光体から白色光(疑似白色光)を発生させるための光源でもある。なお、白色光を発生するための白色光光源(通常光光源)は、励起光および蛍光体の組合せに限定されず、白色光を発するものであればよく、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、白色LED(発光ダイオード)などを利用することもできる。また、通常光画像を撮像するための光源と、第2自家蛍光画像を撮像するために別々の光源を使用してもよい。さらに、レーザ光源LD1,LD2から発せられるレーザ光の波長は上記に限定されず、同様の役割を果たす波長のレーザ光を適宜選択することができる。
【0030】
レーザ光源LD1,LD2は、後述するプロセッサ装置16の制御部によって制御される光源制御部22によりそれぞれ個別にオンオフ制御および光量制御が行われ、各レーザ光源LD1,LD2の発光のタイミングや光量比率は変更自在になっている。
【0031】
レーザ光源LD1,LD2としては、ブロードエリア型のInGaN系レーザダイオードが利用でき、また、InGaNAs系レーザダイオードやGaNAs系レーザダイオード等を用いることもできる。
【0032】
光源制御部22は、通常光観察モードの場合、レーザ光源LD1を消灯、レーザ光源LD2を点灯する。また、光源制御部22は、特殊光観察モードの場合、狭帯域光観察モード、第1自家蛍光観察モード、第2自家蛍光観察モードの順序で観察モードを1フレーム時間毎に順次切り換える。なお、1フレーム時間毎に限らず複数フレーム毎に切り替えてもよい。光源制御部22は、狭帯域光観察モードの場合、レーザ光源LD1,LD2の両方を点灯し、第1自家蛍光観察モードの場合、レーザ光源LD1を点灯、レーザ光源LD2を消灯し、第2自家蛍光観察モードの場合、レーザ光源LD1を消灯、レーザ光源LD2を点灯する。また、光源制御部22は、第1および第2自家蛍光観察モードの場合、狭帯域光観察モードの場合の駆動電流の2倍の駆動電流をレーザ光源LD1,LD2に供給し、その発光量を狭帯域光観察モードの場合の2倍に増加させる。
【0033】
各レーザ光源LD1,LD2から発せられるレーザ光は、集光レンズ(図示略)を介してそれぞれ対応する光ファイバに入力され、コンバイナ24により合波され、カプラ26により4系統の光に分波されてコネクタ部32Aに伝送される。コンバイナ24およびカプラ26は、ハーフミラー、反射ミラー等によって構成される。なお、これに限らず、コンバイナ24およびカプラ26を用いずに、各レーザ光源LD1,LD2からのレーザ光を直接コネクタ部32Aに送出する構成としてもよい。
【0034】
続いて、内視鏡装置14は、被検体内に挿入される内視鏡挿入部の先端から4系統(4灯)の照明光を出射する照明光学系と、被観察領域の内視鏡画像を撮像する2系統(2眼)の撮像光学系とを有する、電子内視鏡である。内視鏡装置14は、内視鏡挿入部28と、内視鏡挿入部28の先端の湾曲操作や観察のための操作を行う操作部30と、内視鏡装置14を光源装置12およびプロセッサ装置16に着脱自在に接続するコネクタ部32A,32Bとを備える。
【0035】
内視鏡挿入部28は、可撓性を持つ軟性部34と、湾曲部36と、先端部(以降、内視鏡先端部とも呼称する)38とから構成されている。
【0036】
湾曲部36は、軟性部34と先端部38との間に設けられ、操作部30に配置されたアングルノブ40の回動操作により湾曲自在に構成されている。この湾曲部36は、内視鏡装置14が使用される被検体の部位等に応じて、任意の方向、任意の角度に湾曲でき、内視鏡先端部38を、所望の観察部位に向けることができる。
【0037】
内視鏡先端部38の先端面には、図3に示すように、被観察領域へ光を照射する2系統の照明窓42A,42Bと、被観察領域からの反射光ないし自家蛍光を撮像する2系統の観察窓44A,44Bが配置されている。
【0038】
照明窓42Aの奥には、2系統の光ファイバ46A,48Aが収納されている。光ファイバ46A,48Aは、光源装置12からコネクタ部32Aを介してスコープ先端部38まで敷設されている。光ファイバ46Aの先端部(照明窓42A側)にはレンズ50A等の光学系が取り付けられている。一方、光ファイバ48Aの先端部には蛍光体54Aが配置され、さらに蛍光体54Aの先にレンズ52A等の光学系が取り付けられている。
【0039】
同様に、照明窓42Bの奥には、先端部にレンズ50B等の光学系を有する光ファイバ46Bと、先端部に蛍光体54Bおよびレンズ52B等の光学系を有する光ファイバ48Bの、2系統の光ファイバが収納されている。
【0040】
ここで、内視鏡先端部38において、照明窓42A,42Bは、図3に示すように、観察窓44Aを挟んでその両脇側に配置されている。この場合、光ファイバ46A,46Bは、両者を結ぶ線が観察窓44A上を横切るように、観察窓44Aを挟んでその両脇側に配置され、光ファイバ48A,48Bは、光ファイバ46A,46Bを結ぶ線と光ファイバ48A,48Bを結ぶ線が観察窓44A上で交差するように、観察窓44Aを挟んでその両脇側に配置されている。そして、両脇側に配置された光ファイバ46A,46Bから同一照明光(自家蛍光観察用の励起光、狭帯域光)を照射し、光ファイバ48A,48Bからも同一照明光(白色光)を照射することにより、照明光の照明むらの発生を防止することができる。
【0041】
蛍光体54A,54Bは、レーザ光源LD2からの青色レーザ光の一部を吸収して緑色〜黄色に励起発光する複数種の蛍光物質(例えばYAG系蛍光物質、或いはBAM(BaMgAl1017)等の蛍光物質)を含んで構成される。通常光観察用の励起光が蛍光体54A,54Bに照射されると、蛍光体54A,54Bから発せられる緑色〜黄色の励起発光光(蛍光)と、蛍光体54A,54Bにより吸収されず透過した青色レーザ光とが合わされて、白色光(疑似白色光)が生成される。
【0042】
図4は、青色レーザ光源からの青色レーザ光及び青色レーザ光が蛍光体により波長変換された発光スペクトルを示すグラフである。レーザ光源LD2から発せられる青色レーザ光は、中心波長445nmの輝線で表され、青色レーザ光による蛍光体54A,54Bからの励起発光光は、概ね450nm〜700nmの波長範囲で発光強度が増大する分光強度分布となる。この励起発光光と青色レーザ光との合波光によって、上述した疑似白色光が形成される。
【0043】
ここで、本発明でいう白色光とは、厳密に可視光の全ての波長成分を含むものに限らず、例えば、上述した疑似白色光を始めとして、基準色であるR,G,B等、特定の波長帯の光を含むものであればよい。つまり、本発明のいう白色光には、例えば、緑色から赤色にかけての波長成分を含む光や、青色から緑色にかけての波長成分を含む光等も広義に含まれるものとする。
【0044】
照明窓42A側および照明窓42B側の照明光学系は同等の構成および作用のものであって、照明窓42A,42Bからは、基本的に同時に同等の照明光が照射される。なお、照明窓42A,42Bからそれぞれ異なる照明光を照射させることもできる。また、4系統の照明光を出射する照明光学系を有することは必須ではなく、例えば、2系統ないし1系統の照明光を出射する照明光学系でも同等の機能を実現することができる。
【0045】
観察窓44Aの奥には、被検体の被観察領域の像光を取り込むための対物レンズユニット56A等の光学系が取り付けられ、さらに対物レンズユニット56Aの奥には、被観察領域の画像情報を取得するCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の撮像素子58A(第1撮像素子)が取り付けられている。同様に、観察窓44Bの奥には、対物レンズユニット56B等の光学系が取り付けられ、さらに対物レンズユニット56Bの奥には、撮像素子58B(第2撮像素子)が取り付けられている。撮像素子58Aは通常光観察用および狭帯域光観察用、撮像素子58Bは自家蛍光観察用である。
【0046】
撮像素子58A,58Bは、対物レンズユニット56A,56Bからの光を受光面(撮像面)で受光し、受光した光を光電変換して撮像信号(アナログ信号)を出力する。撮像素子58Aの受光面には、可視光の約370〜720nmの波長範囲を3分割する分光透過率を有する、R色、G色、B色のカラーフィルタが設けられ、R画素、G画素、B画素の3色の画素を1組として、複数組の画素がマトリクス状に配列されている。また、撮像素子58Bの受光面には、図5に示すように、自家蛍光の発光波長範囲である、R色、G色の約500〜700nmの波長範囲を3分割する分光透過率を有する、R色、GR色、G色のカラーフィルタが設けられている。撮像素子58Bのカラーフィルタは、特許文献1の図4に記載されたものと同様のものである。
【0047】
なお、自家蛍光の蛍光強度は微弱であるため、自家蛍光観察用の撮像素子58Bは、通常光観察用および狭帯域光観察用の撮像素子58Aよりも高感度のものを使用することが望ましい。
【0048】
光源装置12から光ファイバ46A,46Bおよび48A,48Bによって導光された光は、内視鏡先端部38から被検体の被観察領域に向けて照射される。そして、照明光が照射された被観察領域の様子が対物レンズユニット56A,56Bにより撮像素子58A、58Bの受光面上に結像され、撮像素子58A、58Bにより光電変換されて撮像される。撮像素子58A、58Bからは、撮像された被検体の被観察領域の撮像信号(アナログ信号)が出力される。
【0049】
撮像素子58Aから出力される画像(通常光画像、狭帯域光画像)の撮像信号(アナログ信号)、および、撮像素子58Bから出力される画像(自家蛍光画像)の撮像信号(アナログ信号)は、それぞれ、スコープケーブル62A,62Bを通じてA/D変換器64A,64Bに入力される。A/D変換器64A,64Bは、それぞれ、撮像素子58A,58Bからの撮像信号(アナログ信号)を画像信号(デジタル信号)に変換する。変換後の画像信号は、コネクタ部32Bを介してプロセッサ装置16の画像処理部に入力される。
【0050】
ここで、通常光観察モードの場合、レーザ光源LD2から発せられる通常光観察用の励起光が光ファイバ48A,48Bによって導光されて蛍光体54A,54Bに照射され、蛍光体54A,54Bから発せられる白色光が、照明窓42A,42Bから被検体の被観察領域に照射される。そして、白色光が照射された被検体の被観察領域からの反射光が対物レンズユニット56Aにより集光され、撮像素子58Aによって通常光画像が撮像される。
【0051】
狭帯域光観察モードの場合、通常光観察用の励起光に加えて、さらにレーザ光源LD1から発せられる狭帯域光が光ファイバ46A,46Bによって導光され、上記の白色光と狭帯域光とが所定の発光比率で内視鏡先端部38から被検体の被観察領域に向けて同時に照射される。そして、白色光および狭帯域光が照射された被検体の被観察領域からの反射光が対物レンズユニット56Aにより集光され、撮像素子58Aによって狭帯域光画像が撮像される。なお、表層血管だけを観察したい場合には白色光を照射せず狭帯域光だけを照射して狭帯域光画像を撮像してもよい。
【0052】
自家蛍光観察モード(第1および第2自家蛍光観察モード)の場合、レーザ光源LD1ないしLD2から発せられる自家蛍光観察用の励起光が光ファイバ46A,46Bによって導光され、内視鏡先端部38から、被検体の被観察領域に向けて照射される。そして、励起光が照射された被検体の被観察領域から発せられる自家蛍光が対物レンズユニット56Bにより集光され、撮像素子58Bによって自家蛍光画像(第1および第2自家蛍光画像)が撮像される。
【0053】
以下、自家蛍光観察用の励起光と自家蛍光物質との関係について説明する。
【0054】
図9は、自家蛍光物質の光の吸収強度特性を表す一例のグラフである。同図の縦軸は自家蛍光物質の光の吸収強度(a.u.:任意単位)、横軸は波長(nm)である。このグラフには、自家蛍光物質である、FAD(Flavin Adenine Dinucleotide)およびポルフィリン(Porphyrin)の吸収強度特性が示されている。また、同図には、本実施形態で自家蛍光観察用の励起光として用いられるレーザ光の中心波長405nm,445nmも示してある。
【0055】
FADは、約270〜540nmの波長範囲の光を吸収する特性を有する。FADの光の吸収強度は、波長が約270nmから大きくなるに従って次第に大きくなり、波長約380nmで1つ目の極大を迎え、その後、波長が大きくなるに従って次第に小さくなり、波長約420nmで極小を迎える。そして、吸収強度は、波長が約420nmから大きくなるに従って再び次第に大きくなり、波長約460nmで2つ目の極大を迎え、その後、波長が大きくなるに従って次第に小さくなる。
【0056】
ポルフィリンは、約340〜450nmの波長範囲の光を吸収する特性を有する。ポルフィリンの光の吸収強度は、波長約390nmで最大となり、それよりも波長が小さくなる、もしくは大きくなるに従って次第に小さくなる。
【0057】
つまり、第1自家蛍光観察モードの場合に、自家蛍光観察用の励起光として、中心波長405nmのレーザ光を被検体に照射することによって、被観察領域のFADおよびポルフィリンの両方を励起させて自家蛍光を発生させることができる。また、第2自家蛍光観察モードの場合に、自家蛍光観察用の励起光として、中心波長445nmのレーザ光を被検体に照射することによって、被観察領域の主としてFADを励起させて自家蛍光を発生させることができる。
【0058】
続いて、図10は、自家蛍光物質の蛍光強度特性を表す一例のグラフである。同図の縦軸は自家蛍光物質の蛍光強度(a.u.)、横軸は波長(nm)である。このグラフは、図9に示すグラフに対応するものであり、自家蛍光観察用の励起光として、中心波長405nm、445nmのレーザ光を被検体の被観察領域に照射した場合に、自家蛍光物質から発せられた自家蛍光の蛍光強度分布を示している。
【0059】
第1自家蛍光観察モードにおいて、励起光として中心波長405nmのレーザ光を被検体に照射した場合、励起光を照射した被観察領域から約480〜740nmの波長範囲の自家蛍光が発せられている。自家蛍光の蛍光強度は、波長が約480nmから大きくなるに従って次第に大きくなり、波長約560nmで1つ目の極大を迎え、その後、波長が大きくなるに従って次第に小さくなり、波長約610nmで極小を迎える。そして、蛍光強度は、波長が約610nmから大きくなるに従って再び次第に大きくなり、波長約630nmで2つ目の極大を迎え、その後、波長が大きくなるに従って次第に小さくなっている。この場合、1つ目の極大近傍での自家蛍光物質は主としてFADであり、2つ目の極大近傍での自家蛍光物質は主としてポルフィリンである。
【0060】
第2自家蛍光観察モードにおいて、励起光として中心波長445nmのレーザ光を被検体に照射した場合、励起光を照射した被観察領域から約480〜720nmの波長範囲の自家蛍光が発せられている。自家蛍光の蛍光強度は、波長約560nmで最大となり、それよりも波長が小さくなる、もしくは大きくなるに従って次第に小さくなっている。この場合の自家蛍光物質は主としてFADである。
【0061】
このように、自家蛍光観察用の励起光として、中心波長405nmおよび445nmのレーザ光という中心波長の異なる2種類の狭帯域光を被検体の被観察領域に照射することにより、FADおよびポルフィリンの両方、もしくは主としてFADを励起させて自家蛍光を発生させることができ、FADとポルフィリンのそれぞれの特徴に応じた自家蛍光分布を取得することができる。このように、自家蛍光観察用の励起光の中心波長を変えることにより、特定の自家蛍光物質を選択的に励起させることができる。
【0062】
なお、図示はしていないが、操作部30及び内視鏡挿入部28の内部には、組織採取用処置具等を挿入する鉗子チャンネルや、送気・送水用のチャンネル等、各種のチャンネルが設けられている。
【0063】
続いて、プロセッサ装置16は、制御部68と、画像処理部70と、記憶部72とを備えている。制御部68には、表示装置18および入力装置20が接続されている。プロセッサ装置16は、内視鏡装置14の切り替えスイッチ66や入力装置20から入力される指示に基づき、光源装置12の光源制御部22を制御するとともに、内視鏡装置14から入力される画像信号を画像処理し、表示用画像を生成して表示装置18に出力する。
【0064】
制御部68は、内視鏡装置14の切り替えスイッチ66や入力装置20からの指示、例えば、観察モード等の指示に基づいて、画像処理部70および光源装置12の光源制御部22の動作を制御する。
【0065】
画像処理部70は、制御部68の制御の基で、観察モードに基づき、通常光画像、狭帯域光画像、自家蛍光画像の画像種別に応じて、内視鏡装置14から入力される画像信号に対して所定の画像処理を施す。画像処理部70で処理された画像信号は、制御部68に送られて、制御部68で各種情報と共に内視鏡観察画像にされて表示装置18に表示され、必要に応じて、メモリやストレージ装置からなる記憶部72に記憶される。
【0066】
画像処理部70は、通常光画像処理部70Aと、狭帯域光画像処理部70Bと、自家蛍光画像処理部70Cとを備えている。通常光観察モードおよび狭帯域光観察モードの場合には、A/D変換器64Aからの画像信号(画像データ)が、通常光画像処理部70A、狭帯域光画像処理部70Bに供給される。また、自家蛍光観察モードの場合には、A/D変換器64Bからの画像信号が、自家蛍光画像処理部70Cに供給される。
【0067】
通常光画像処理部70A、狭帯域光画像処理部70B、自家蛍光画像処理部70Cは、それぞれ、通常光観察モード、狭帯域光観察モード、自家蛍光観察モードの場合に、通常光画像、狭帯域光画像、自家蛍光画像の画像信号に対して、それぞれの内視鏡画像に適した所定の画像処理を施し、通常光画像信号(通常光画像)、狭帯域光画像信号(狭帯域光画像)、自家蛍光画像信号(自家蛍光画像)を出力(生成)する。
【0068】
図6の概念図に示すように、通常光画像処理部70Aは、通常光観察モードの場合に、通常光画像のR,G,Bの各チャンネル(画素)の画像データ(画像信号)を用いて通常光画像をカラー表示するための通常光画像信号を出力する。
【0069】
狭帯域光画像処理部70Bは、狭帯域光観察モードの場合に、狭帯域光画像のBチャンネル(Bch)の画像データをBチャンネルおよびGチャンネル(Gch)に割り当て、Gチャンネルの画像データをRチャンネル(Rch)に割り当てることによって、狭帯域光画像を疑似カラー表示するための狭帯域光画像信号を出力する。
【0070】
自家蛍光画像処理部70Cは、自家蛍光観察モードの場合に、自家蛍光画像のGチャンネルの画像データをBチャンネル、GRチャンネル(GRch)の画像データをGチャンネル、Gチャンネルの画像データをRチャンネルに割り当てることによって、自家蛍光画像を疑似カラー表示するための自家蛍光画像信号を出力する。また、自家蛍光の強度は微弱なため、自家蛍光画像処理部70Cによって所定の信号増幅処理が行われる。
【0071】
通常光画像信号、狭帯域光画像信号、自家蛍光画像信号は、例えば、1枚(1フレーム)の画像を単位として記憶部72に記憶される。
【0072】
画像処理部70からは、通常光画像信号、狭帯域光画像信号、自家蛍光画像信号が出力され、制御部68に入力される。制御部68により、観察モードに従って、通常光画像信号、狭帯域光画像信号、自家蛍光画像信号に基づき、通常光画像、狭帯域光画像、自家蛍光画像のいずれかが表示装置18に表示される。
【0073】
次に、図6に示す概念図、および、図7に示すフローチャートを参照して、内視鏡診断装置10の作用を説明する。
【0074】
まず、制御部22により、観察モードが、通常光観察モードかどうかの判定が行われる(ステップS1)。
【0075】
ステップS1において、観察モードが通常光観察モードであると判定された場合(ステップS1でYES)、光源制御部22の制御により、レーザ光源LD1が消灯され、レーザ光源LD2が点灯される(ステップS2)。レーザ光源LD2から発せられる中心波長445nmのレーザ光は蛍光体54A,54Bに照射され、蛍光体54A,54Bから発せられる白色光が被検体に照射され、その反射光が撮像素子58A(第1撮像素子)で受光されて通常光画像が撮像される。通常光画像は、図6に示すように、通常光画像のB,G,Rの画像データに基づいてカラー表示される(通常光画像処理)。
【0076】
その後、観察モードが切り替えられると(信号切替)、ステップS1へ戻る(ステップS3)。
【0077】
一方、ステップS1において、観察モードが通常光観察モードではない、つまり、特殊光観察モードであると判定された場合(ステップS1でNO)、制御部68の制御により、図8の概念図に示すように、1フレーム時間毎に、狭帯域光観察モード、第1自家蛍光観察モード、第2自家蛍光観察モードの順序で特殊光観察が順次行われる。
【0078】
まず、狭帯域光観察モードの場合には、光源制御部22の制御により、レーザ光源LD1,LD2の両方が点灯される(ステップS4)。レーザ光源LD1から発せられる中心波長405nmのレーザ光と、レーザ光源LD2から発せられる中心波長445nmのレーザ光によって励起され、蛍光体54A,54Bから発せられる白色光とが、所定の発光比率で被検体に同時に照射され、その反射光が撮像素子58A(第1撮像素子)で受光されて狭帯域光画像が撮像される。狭帯域光画像は、図6に示すように、狭帯域光画像のBチャンネル(Bch)の画像データをBチャンネルおよびGチャンネル(Gch)に割り当て、Gチャンネルの画像データをRチャンネル(Rch)に割り当てることによって疑似カラー表示される(狭帯域光画像処理)。
【0079】
狭帯域光観察モードでは、中心波長405nmのレーザ光と白色光とを所定の発光比率で被検体に照射することにより、被検体の表層から中層にかけての血管を観察することができる。
【0080】
続いて、第1自家蛍光観察モードの場合には、光源制御部22の制御により、レーザ光源LD1が点灯され、レーザ光源LD2が消灯される(ステップS5)。レーザ光源LD1には、狭帯域光観察モードの時の2倍の駆動電流(狭帯域光観察モードの場合のレーザ光の出力値を300mWとすると、第1自家蛍光観察モードの場合のレーザ光の出力値を600mWとする)が供給され、レーザ光源LD1から発せられるレーザ光の発光量は、狭帯域光観察モードの時の2倍の発光量となる。レーザ光源LD1から発せられる中心波長405nmのレーザ光が被検体に照射され、被検体からの自家蛍光(前述のように、FADおよびポルフィリンからの自家蛍光を含む)が撮像素子58B(第2撮像素子)で受光されて第1自家蛍光画像が撮像される。第1自家蛍光画像は、図6に示すように、第1自家蛍光画像のGチャンネル(Gch)の画像データをBチャンネル(Bch)、GRチャンネル(GRch)の画像データをGチャンネル、Gチャンネルの画像データをRチャンネル(Rch)に割り当てることによって疑似カラー表示される(第1自家蛍光画像処理)。
【0081】
続いて、第2自家蛍光観察モードの場合には、光源制御部22の制御により、レーザ光源LD1が消灯され、レーザ光源LD2が点灯される(ステップS6)。同様に、レーザ光源LD2から発せられるレーザ光の発光量が、狭帯域光観察モードの時の2倍の発光量となる。レーザ光源LD2から発せられる中心波長445nmのレーザ光が被検体に照射され、被検体からの自家蛍光(前述のように、FADからの自家蛍光を含む)が撮像素子58B(第2撮像素子)で受光されて第2自家蛍光画像が撮像される。これ以後の作用は、第1自家蛍光観察モードの場合と同じである(第2自家蛍光画像処理)。
【0082】
上記のように、自家蛍光観察モードの場合に、自家蛍光観察用の励起光の発光量を、狭帯域光観察モードの場合の2倍に増加させることによって、高画質な自家蛍光画像を得ることができる。また、撮像素子58Bには、前述のように、500nm〜700nmの波長範囲を3分割するG,GR,Rのカラーフィルタが設けられているため、励起光の受光をカットするとともに、500nm〜700nmの波長範囲の自家蛍光に関して、色変化を細かく再現することができる。
【0083】
なお、レーザ光の発光量を変化させる方法は、レーザ光源の駆動電流を増加させることに限定されず、例えば、撮像素子58Aに受光される光を所定の遮光率で遮光するNDフィルタ(減光フィルタ)を用いて、狭帯域光観察モードの場合に、光源制御部22の制御により、NDフィルタを光路上に挿入して撮像素子58Aに受光される光を減光し、自家蛍光観察モードの場合には、NDフィルタを撮像素子58Bの光路上には挿入しない、つまり、撮像素子58Bに受光される光を遮光しないことによって、励起光の発光量を増加させてもよい。または、自家蛍光観察モードの場合のレーザ光源の点灯時間を、狭帯域光観察モードの場合の2倍に増加させることによって、励起光の発光量を増加させてよい。また、自家蛍光観察モードの時の発光量を狭帯域光観察モードの時の2倍にすることは必須ではなく、自家蛍光観察モードの場合の発光量を狭帯域光観察モードの場合の発光量よりも増加させればよい。
【0084】
その後、観察モードが切り替えられると、ステップS1へ戻る(ステップS7)。
【0085】
本発明は、基本的に以上のようなものである。
以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
【符号の説明】
【0086】
10 内視鏡診断装置
12 光源装置
14 内視鏡装置
16 プロセッサ装置
18 表示装置
20 入力装置
22 光源制御部
24 コンバイナ
26 カプラ
28 内視鏡挿入部
30 操作部
32A,32B コネクタ部
34 軟性部
36 湾曲部
38 先端部
40 アングルノブ
42A,42B 照明窓
44A,44B 観察窓
46A,46B,48A,48B 光ファイバ
50A,50B,52A,52B レンズ
54A,54B 蛍光体
56A,56B 対物レンズユニット
58A,58B 撮像素子
62A,62B スコープケーブル
64A,64B A/D変換器
66 切り替えスイッチ
68 制御部
70 画像処理部
70A 通常光画像処理部
70B 狭帯域光画像処理部
70C 自家蛍光画像処理部
72 記憶部
LD1,LD2 レーザ光源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の波長範囲の第1狭帯域光を発する第1狭帯域光光源と、
前記第1狭帯域光とは異なる波長範囲の第2狭帯域光を発する第2狭帯域光光源と、
狭帯域光観察モードの場合に、被検体に照射される前記第1狭帯域光の該被検体からの反射光を受光して狭帯域光画像を撮像する第1撮像素子と、
第1自家蛍光観察モードの場合に、前記第1狭帯域光が前記被検体に照射されることによって該被検体から発せられる第1自家蛍光を受光して第1自家蛍光画像を撮像し、第2自家蛍光観察モードの場合に、前記第2狭帯域光が前記被検体に照射されることによって該被検体から発せられる第2自家蛍光を受光して第2自家蛍光画像を撮像する第2撮像素子と、
前記第1および第2自家蛍光観察モードの場合に、前記第1および第2狭帯域光の発光量を、前記狭帯域光観察モードの場合の発光量よりも増加させる光源制御部とを備えていることを特徴とする内視鏡診断装置。
【請求項2】
前記第1狭帯域光は、405nm±10nmの波長範囲の光であり、前記第2狭帯域光は、445nm±10nmの波長範囲の光である請求項1に記載の内視鏡診断装置。
【請求項3】
前記第1自家蛍光は、FADおよびポルフィリンから発せられる自家蛍光を含み、前記第2自家蛍光は、FADから発せられる自家蛍光を含む請求項1または2に記載の内視鏡診断装置。
【請求項4】
前記第1および第2狭帯域光光源はレーザ光源であり、
前記光源制御部は、前記第1および第2自家蛍光観察モードの場合の前記レーザ光源の駆動電流を、前記狭帯域光観察モードの場合の駆動電流よりも増加させることによって前記発光量を増加させるものである請求項1〜3のいずれかに記載の内視鏡診断装置。
【請求項5】
さらに、前記第1撮像素子に受光される光を所定の遮光率で遮光する遮光フィルタを備え、
前記光源制御部は、前記狭帯域光観察モードの場合に、前記第1撮像素子に受光される光を前記遮光フィルタで遮光し、前記第1および第2自家蛍光観察モードの場合には、前記第2撮像素子に受光される光を前記遮光フィルタで遮光しないことによって前記発光量を増加させるものである請求項1〜3のいずれかに記載の内視鏡診断装置。
【請求項6】
前記光源制御部は、前記第1および第2自家蛍光観察モードの場合の前記第1および第2狭帯域光光源の点灯時間を、前記狭帯域光観察モードの場合の点灯時間よりも増加させることによって前記発光量を増加させるものである請求項1〜3のいずれかに記載の内視鏡診断装置。
【請求項7】
前記第2撮像素子には、R色、G色の波長範囲の光を3分割する分光透過率を有するR色、GR色、G色のカラーフィルタが設けられている請求項1〜6のいずれかに記載の内視鏡診断装置。
【請求項8】
さらに、白色光を発する白色光光源を備え、
前記第1撮像素子は、通常光観察モードの場合に、前記被検体に照射される前記白色光の該被検体からの反射光を受光して通常光画像を撮像し、前記狭帯域光観察モードの場合に、前記被検体に所定の発光比率で照射される前記白色光および前記第1狭帯域光の該被検体からの反射光を受光して前記狭帯域光画像を撮像するものである請求項1〜7のいずれかに記載の内視鏡診断装置。
【請求項9】
前記白色光光源は、所定の波長範囲の第3狭帯域光を発する第3狭帯域光光源と、該第3狭帯域光が照射されることによって励起発光光を発し、該第3狭帯域光と該励起発光光とで疑似白色光を生成する蛍光体とを有する請求項8に記載の内視鏡診断装置。
【請求項10】
前記白色光光源は、前記第2狭帯域光光源を前記第3狭帯域光光源として使用するものである請求項9に記載の内視鏡診断装置。
【請求項11】
前記光源制御部は、前記第1および第2自家蛍光観察モードの場合に、前記第1および第2狭帯域光の発光量を、前記狭帯域光観察モードの場合の2倍の発光量に増加させるものである請求項1〜10のいずれかに記載の内視鏡診断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−130629(P2012−130629A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−287566(P2010−287566)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】