説明

内軸の動きを調節可能な医療器具

【課題】医療器具の管に対する内軸の動きが調節可能な、改良された医療器具を提供する。
【解決手段】第1の端部(器具チップと連結される)および第2の端部を有する管と、軸端部1が連結され、管に対して長手方向に動くことができる、管内に配置された内軸と、軸端部の第1の軸端部止めと接する第1の当付面311と、軸端部の第1の軸端部止めと略対向する、軸端部の第2の軸端部止めと接する第2の当付面とを含むことができ、軸端部は、第1の軸端部止めが第1の当付面311に接することと、第2の軸端部止めが第2の当付面に接することとによって制限される長さを摺動自在に動くことができ、第1の当付面311および第2の当付面321の一方または両方の位置が管に対して調節可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腹腔鏡処置、骨盤鏡処置、関節鏡処置、胸腔鏡処置、および/または同様のそのような処置を実施する場合に用いられる腹腔鏡器具のような電気外科装置を含む医療器具に関し、特に、腹腔鏡管を有し、腹腔鏡管内の内軸の動きを制御するための調節可能な機構を腹腔鏡管の基部側端部に有する医療器具に関する。
【背景技術】
【0002】
患者の体内に挿入するチップを管の先端に装着して用いる、腹腔鏡処置などのような医療処置は、処置に必要な切開の大きさを最小限に抑えることによって回復期間の短縮およびコストの低減をはかれるという利点を有する。たとえば、腹腔鏡手術を受けた患者は、一般に、数日から一週間の間に通常の活動に復帰できる。これに対し、より侵襲的な処置には比較的大きな切開が必要である(回復に約1か月かかる可能性がある)。(以下、「腹腔鏡(処置)」という用語を一般的に使用するが、「腹腔鏡(処置)」という用語のそのような使用は、比較的小さく切開する、たとえば、関節鏡処置、内視鏡処置、骨盤鏡処置、および/または胸腔鏡処置などのような、同様の、または関連する処置をすべて包含することを理解されたい)。
【0003】
腹腔鏡処置に用いられる医療器具は、一般に、持ち手などの駆動アセンブリを含み、駆動アセンブリが連結される管が、駆動アセンブリのそばの基部側端部から管の末端まで延びており、管は、やはり管の基部側端部から管の末端まで延びている内軸を含む。管および内軸の末端には、一般に、ツールを搭載したチップが装着され、ツールは、管とは異なる内軸の動きによって作動することができる(たとえば、ツールがはさみを含む場合は、はさみの刃を開閉することができる)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一部の腹腔鏡器具では、(一般に、管に連結されるためのバックハブと、内軸に連結されるためのヨークとを含む)チップがねじ切りによって管および内軸に装着され、ツールの正常な動作は、2組のねじ切り(医療器具の管とチップとを連結する第1のねじ切り、およびチップのヨークと内軸とを連結する第2のねじ切り)の精密な機械加工に依存する(第1および第2のねじ切りは、それぞれが互いに異なるピッチでもよく、同じピッチであってもよい)。しかしながら、一部のそのような実装では、たとえば、ピンで組み立てられる場合には、管端部のねじ切りと内軸のねじ切りとの間の距離における許容される組立公差が±0.0015インチのオーダーである場合がある。
【0005】
そのような狭い公差のために、医療器具およびチップを製造する際に複雑な機械加工および製造がしばしば必要であり、製造時には、製造された医療器具が正常に動作するために必要な微調節を行うために、組立工がしばしば、(機械加工およびテストの複数のステップを含む)反復工程を繰り返すことが必要になる。その結果、製造にかかる時間およびコストが大幅に増える可能性がある。
【0006】
そこで本発明の目的は、医療器具の管に対する内軸の動きが調節可能な、改良された医療器具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述の特徴および他の特徴に鑑み、本発明は、管内における内軸の長手方向の可動範囲を管の基部側端部において調節することが可能な医療器具を提供する。
【0008】
本発明の一態様によれば、本医療器具は、第1の端部(第1の端部は器具チップと連結される)および第2の端部を有する管と、軸端部が連結され、管に対して長手方向に動くことができる、管内に配置された内軸と、軸端部の第1の軸端部止めと接する第1の当付面と、軸端部の第1の軸端部止めと略対向する、軸端部の第2の軸端部止めと接する第2の当付面とを含むことができ、軸端部は、第1の軸端部止めが第1の当付面に接することと、第2の軸端部止めが第2の当付面に接することとによって制限される長さを摺動自在に動くことができ、第1の当付面および第2の当付面の一方または両方の位置が管に対して調節可能である。
【0009】
本医療器具はさらに、第1の当付面を含むロックナットを有することができ、このロックナットは、管に対するロックナットの位置が調節可能となるように、管の第2の端部の内部ねじ切りと調節可能に連結することが可能である。さらに本医療器具は、位置が調節可能であるように管の第2の端部と連結された管端部外被、第1の当付面を含み管に固定的に連結された堅固な後退止め、および/または第2の当付面を含む前進止めを有することができ、前進止めの位置は管に対して調節可能である。
【0010】
ロックナットを有する医療器具の場合、ロックナットは、調節ツールを受ける凹面を含むことができる。さらに、第1の軸端部止めは、管の第2の端部を越えて管の外側に配置することが可能であり、かつ/または、本医療器具はさらに、軸受ブロックを有することができ、この軸受ブロックは、第2の当付面を含み管の内部に固定され軸端部を可動的に支持する軸受をさらに含む。さらに本医療器具は、器具チップ内に配置され、ねじ切りによって内軸と連結されるようにシャフトねじ山を含むヨークを有することができ、管は、器具チップのバックハブをねじ切りによって連結するために、管の第1の端部にねじ切りを含み、シャフトねじ山の第1のピッチが、第1の端部のねじ切りの第2のピッチと異なっている。また、本医療器具は、器具チップに装着されたツールと、管の第2端部に装着され、ユーザによって操作されたときに内軸を管に対して長手方向に動かすことが可能な駆動アセンブリとを含むことができ、器具チップのツールは、管に対するロックナットの位置に対応する範囲で開閉し、その際、軸端部が第1および第2の当付面に接することは、器具チップの可動範囲に影響しない。
【0011】
本発明の代替態様によれば、医療器具は、器具チップを連結する第1の端部、および内部ねじ切りを有する第2の端部を有する管と、管内を実質的に第2の端部から第1の端部まで延びる内軸と、内軸と連結され、管内を長手方向に動くことが可能であり、管の第1の端部に向かって位置合わせされた第1の面、および管の第2の端部に向かって位置合わせされた第2の面を含む軸端部と、管内に固定的に配置され、軸端部の第1の面と接することが可能な軸受止めと、軸端部の第2の面と接し、管に対する位置が調節可能であるように、ねじ切りによって管の内部ねじ切りと連結されたロックナットとを含むことが可能であり、軸受止めは、軸端部が沿って動くことが可能な中央凹部を含む。軸端部は、軸端部の第1の面が軸受止めに接することと、軸端部の第2の面がロックナットに接することとによって制限される長さを摺動自在に動くことが可能である。
【0012】
また、本医療器具はさらに、軸端部に固定され、軸受止めに支えられて転がることが可能な転がり軸受を含むことができ、ロックナットは、ボルトヘッドを含むことができ、本医療器具はさらに、器具チップに装着されたツールと、管の第2の端部に装着され、ユーザによって操作されたときに内軸を管に対して長手方向に動かすことが可能な駆動アセンブリとを有することができ、器具チップのツールは、管に対するロックナットの位置に対応する範囲で開閉し、その際、軸端部がロックナットおよび軸受止めに接することは、器具チップの可動範囲に影響しない。
【0013】
本医療器具はさらに、細長い溝および略C字形の断面を有する持ち手と、軸端部に固定的に連結され、管の第2の端部から延びる球状突起物とを含むことが可能であり、この球状突起物は、持ち手が駆動されたときに持ち手の細長い溝に沿って滑らかに動くことが可能なように、細長い溝内に把持されている。
【0014】
本発明のさらなる態様によれば、医療器具を動作させる方法は、第1のピッチを有する第1のねじ切りを介して、器具チップのヨークと管の内軸の末端とを連結することと、第1のねじ切りの第1のピッチと異なる第2のピッチを有する第2のねじ切りを介して、器具チップのバックハブと管の末端とを連結し、内軸を管内に管と略同軸上に配置して器具チップのツールと操作可能に連結することと、第1および第2の当付面の一方または両方の、管に対する位置を調節することと、内軸の可動範囲を第1および第2の当付面の間のみに制限することと、を含むことができる。調節は、調節ツールを用いることを含むことができる。
【0015】
本方法はさらに、本医療器具の駆動アセンブリを駆動することと、駆動アセンブリの駆動に応じて、内軸を管に対して動かすことと、器具チップのツールを、内軸の動きに対応する範囲で開閉することとを含むことができる。さらに、ロックナットを調節することは、ロックナットに固定的に装着され、管の略外側に配置されたボルトヘッドを回すことを含むことができる。本医療器具を動作させる方法の少なくともいくつかの形態では、内軸の可動範囲を制限することは、器具チップの可動範囲に影響しない。
【0016】
本発明の他の例示的実施形態および利点については、本開示および添付図面を精査することによって理解されよう。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、医療器具の管に対する内軸の動きが調節可能な、改良された医療器具を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下の詳細な記載において本発明をさらに詳しく説明するが、その際には、本発明の特定の実施形態の限定的でない例として前述の図面を参照する。この図面における参照符号は、図面の複数の図を通して類似である要素を表している。
【0019】
本明細書に示した詳細は、例示であり、本発明の実施形態の例証的説明のみを目的としており、本発明の原理および概念的諸態様の最も有用であって容易に理解されると考えられる記述を提供するために提示されている。この点において、本発明の基本的理解に必要である以上に詳細に本発明の構造的詳細を示すことは意図していない(ただし、本発明の実施形態の例を示すために、本明細書において、さらなる例示的詳細または構造を示すことはありうる)。図面とともに行われる説明は、本発明の様々な形態が実際にどのように具現化されうるかを当業者に対して明らかにするものである。
【0020】
図1(A)および(B)に示すように、腹腔鏡手術など、たとえば、(焼灼を伴うか、伴わない)組織の切開を実施するための医療器具65は、たとえば、はさみ、鉗子、把持ツールなどのようなツール505を有するチップ500を一般に含むことができるが、これに限定されない。チップ500は、手術または医療処置を実施する医療スタッフまたは医師によって操作可能な持ち手62(または他の好適な制御装置または駆動アセンブリ)と結合された基部63から延びる管2の管端部10(すなわち、管2において、医療器具65の操作者から最も離れている端部)と連結することが可能である。たとえば、図1(B)に示すように、本発明の第1の実施形態による腹腔鏡管端部10は、(ねじ切りによってチップ500のバックハブ510に連結および/または装着することが可能な)第1のねじ切り20を含むことができる。
【0021】
管2の基部側端部(すなわち、管2において、医療器具65の操作者から最も近い端部)が、基部63の内部から後部に延び、後部から突き出ていることができ、その突き出ている管2の基部側端部から軸端部1の球1aまたは他の球状突起物が突き出ていることができる。持ち手62は、操作者が持ち手62を動かして器具65を開閉するときに、ヒンジ64を軸として相互に旋回することができる。軸端部1の先端部分を球1aまたは他の球状突起物の形で例示したが、当業者であれば容易に理解されるように、本発明によれば、この特徴は、代替として他の任意の好適な形、たとえばこれらには限定されないが、円板、ペグ、四角(または丸みのある四角)のブロック、レバーなどの形をとることが可能である。
【0022】
さらに、ヨーク550は、たとえば、第2のねじ切り551を用いて内軸100と連結することが可能である。第1のねじ切り20および第2のねじ切り551は、それぞれ異なるピッチであってよく、また、同一ピッチであってもよい。
【0023】
ツール505は、管2に対する内軸100の動きに応じて開閉する(または別の動作を行う)。ただし、バックハブ510が第1のねじ切り20と正しく連結される一方でヨーク550が内軸100と適切に連結されるためには、最初に内軸100が管2に対して正しく位置決めされることが必要である。内軸100の操作を腹腔鏡管端部10において行うのは、困難、不可能、かつ/または非実用的であろう。そこで、本発明は、管2の基部側端部における、ほぼ無限の微調節を可能にする。
【0024】
たとえば、図2から図4に示すように、内軸100は、管2内で、軸端部1と連結される(軸端部1の先端に球1aを装着することができる)。管2内で、第1および第2の軸受止め310および320が軸端部1を囲むことが可能であり、軸端部1は、1つまたは複数の軸受(転がり軸受、流体軸受、または他の任意の好適な軸受であってもよい)により軸受止め310および320に沿って管2内を長手方向に動くことが可能である。軸受止め310と320は、軸線を通る平面により二分割された半円筒状をなしている。代替として、たとえば、軸端部1は、含油軸受または流体軸受によって、または摩擦滑りによって、または他の任意の好適な構成によって、管2内を長手方向に動くこともできる。軸受止め310および320には、軸端部1がこれに沿って動くことが可能な中央凹部313および323を有している。
【0025】
管2の末端から内側に向かって、めねじ切り210を延ばすことが可能である。さらに、管2の基部側端部は、管2内でねじ切りによってめねじ切り210と連結されたロックナット400を有することができる(ただし、これ以外の任意の好適な、調節可能な連結方式、たとえば、摩擦圧入、ペグアンドソケット機構、バレルピンと適合凹面などを用いて、管2とロックナット400とを調節可能に連結することも可能である)。ロックナット400は、めねじ切り210内で回すことによって管2に対する位置を調節するために、道具または指を挿入することが可能な凹面410を含むことができる。たとえば、ユーザは、(たとえば、内軸100の変位幅を短くするために)ロックナット400を時計回りに回すことによって管2のさらに中に入るように調節することができる。逆に、ユーザは、(たとえば、内軸100の変位幅を長くするために)ロックナット400を反時計回りに回すことによって管2の外に出るように調節することも可能である。たとえば、凹面410は、(たとえば、図3および4に例示したように)軸端部1の外周の周囲に広がる略円形状を有することができる。一方、代替として、凹面410は、アレンレンチやキーソケット方式のツールで一般的に用いられているような、角のある形状(たとえば、特に六角形または矩形)、または他の任意の好適な形状を有することができ、軸端部1の全外周の周囲には開いていないことなども可能である。
【0026】
軸受止め310および320は、任意の適切な方法、たとえば、接着、ねじ切り、溶接および/または鋳造などで、管2の基部側端部との一体型として形成されることで、管2内に固定することが可能である。さらに、たとえば、軸端部と管2の内部表面との間に、たとえば、エラストマーポリマー、プラスチック、ポリエチレン、ポリエーテルエーテルケトン、ゴム、ゲルなどの弾性材料や他の任意の好適な材料で製造可能なシールまたはガスケット110を配置することも可能である(ただし、シールまたはガスケット110を省略することも可能である)。シールまたはガスケット110は、たとえば、管2の内部を外部環境に対して密閉することが可能であり、Oリング形状または他の任意の好適な形状を有することができる。
【0027】
「遊び」、すなわち、軸端部1(および、それに対応して内軸100)の可動範囲の長さは、1つの方向については、第1の軸受止め310の当付面311と第2の軸受止め320の当付面321とによって制限される。当付面311および321は、軸端部1が管2の末端に向かって動くことが可能な範囲の最も末端寄りの点になる。反対の方向については、「遊び」は、ロックナット400によって制限される。ロックナット400は、軸端部1(および、それに対応して内軸100)が管2の基部側端部に向かって動くことが可能な範囲の最も基部寄りの点になる。たとえば、図3に示すように、軸端部1の末端部分にあるフランジまたは張りが、管端部の方向に移動したときに、第1の軸受止め310の当付面311および第2の軸受止め320の当付面321に接して止まり、また、基部側の方向へ移動したときには、同じフランジまたは張りか、軸端部1の基部側部分に配置された別のフランジまたは張りが、ロックナット400の対応するフランジまたは張りに接して止まり、ロックナット400を越えて進むことを阻止される。
【0028】
図4は後者の例を示しており、軸端部1の張りがロックナット400に接している。そのような構造になっているので、外科医、組み立て担当者、または他の医療器具65のユーザは、持ち手62を操作して、軸端部1の球1a(または球状突起物)を引いたり押したりすることによって、ロックナット400によって設定される最も基部側寄りの点と、第1および第2の軸受止め310および320によって設定される最も末端寄りの点との間で軸端部1および内軸100を管2内で長手方向に滑らかに動かして、管2の末端においてツール505を開閉することができる(持ち手62は、その先端部分に沿って延びた細長い溝(図示せず)を有することができ、たとえば、図1(A)に示すように、その細長い溝が球1aまたは球状突起物をしっかりつかめるように、持ち手62の断面が略C字形であることが可能である)。
【0029】
利点として、管2に対する内軸100の可動範囲の調節を管2の基部側端部で行うことが可能なので、管2の末端でのねじ切りのための精密機械加工または他の複雑な組み立ての工程の必要性を低減するか、なくすことが可能である。さらに、医療器具65の使いやすさを高めることが可能である。
【0030】
本発明の第2の実施形態を図5に例示する。ここでは、管2の基部側端部が第1の実施形態と略同様であるが、異なるのは、軸端部1の中央部分から張りまたはフランジを凸状に延ばす代わりに、軸端部1の中央部分の半径を小さくして、そこに第1の軸受ブロック330および第2の軸受ブロック340を一様に突き出させることが可能である点である。さらに、(第1の実施形態で例示したように)軸受を軸端部1に固定する代わりに、軸受ブロック330および/または340に固定することができる。さらに、ガスケットまたはシール110も同様に、たとえば、軸端部1に固定する代わりに軸受ブロック330および/または340に固定することができる。
【0031】
さらに、図5に示すように、軸端部1は、第1の軸端部止め150を管2内に含む。軸端部止め150は、軸端部1が最も基部寄りの位置まで引かれたときに、第1および第2の軸受ブロック330および340(第1の当付面)に接して止まる。逆に、軸端部1の張り105(フランジまたは面としても説明可能)が、管2の(基部側方向の)略外側(ロックナット400の凹面410内)に位置していて、第2の軸端部止め151を構成している。一方、ロックナット400には、この第2の軸端部止め151に対応させて第2の当付面402が形成されている。したがって、軸端部1が、管2内で、管2の最も末端寄りの位置まで押し込まれると、張り105(軸端部止め151)がロックナット400の当付面402に接し、軸端部1および内軸100の末端方向への動きがそこで止まる。
【0032】
図6は、本発明の第3の実施形態を示す。第3の実施形態は、多くの態様において第1および/または第2の実施形態(または他の任意の好適な、本発明の実施形態)と略同様であることが可能であり、さらに、ロックナット400に固定されるボルトヘッド420を含む。ボルトヘッド420は、ロックナット400とは別に形成された後でロックナットに溶接されるか別の方法で接合することができる。あるいは、ボルトヘッド420は、たとえば鋳造または機械加工(あるいは、他の任意の好適な方法)によって、単一材料で実質的にロックナット400との一体型として形成することが可能である。ボルトヘッド420は、標準的な、または標準的でないレンチ500と適合する六角形パターンを含むことが可能であり、ボルトヘッド420を用いると、ボルトヘッド420と、したがってロックナット400とを、手、またはレンチ600のようなツールで調節することができる。
【0033】
利点として、管2の外まで延びるボルトヘッド420を有することにより、軸端部1とロックナット400との間で(調達または操作がデリケートあるいは困難な場合がある)標準的でないツールを凹面410に挿入することが不要である。その代わりに、レンチ600のような標準的なツールをねじ切り210内で回して、管2に対するロックナット400の長手方向の位置を調節することができる。
【0034】
図7は、本発明の第4の実施形態による、管2の基部側端部を示す。第4の実施形態は、様々な態様において、任意の先述の実施形態(または他の任意の好適な、本発明の実施形態)と略同様であり得、管2の基部側端部に調節可能に装着された管端部外被900の内部に配置された1つまたは複数の前進止め335と、1つまたは複数の堅固な後退止め401とを含む。前進止め335は、たとえば、溶接、圧入、ねじ切り、スナップリングの使用、または他の任意の好適な位置決め手法によって、管端部外被900内において固定的または調節可能に位置決めすることが可能である。管2に対する管端部外被900の位置を調節することにより、管2に対する軸端部1の可動範囲を定めている最も前進方向寄りの位置と最も末端寄りの位置とを調節することも可能であり、その場合、調節ツールは必ずしも必要ではない(たとえば、ユーザは、管端部外被900全体を手で回すことによって相対位置を単純に調節することができる)(ただし、逆に、調節ツールの使用を禁じているわけではない)。
【0035】
管端部外被900は、軸端部1の基部側方向への動きを止める1つまたは複数の堅固な後退止め401を含むことが可能であり、堅固な後退止め401は、たとえば、管端部外被900との一体型として形成することが可能である。代替として、堅固な後退止め401は、管端部外被900とは別に形成された後で、たとえば、溶接、接着、摩擦嵌合または摩擦圧入、ねじ切り、または他の任意の好適な方法で管端部外被900に接合することが可能である。
【0036】
たとえば、図7に示すように、腹腔鏡器具は、管端部外被900またはその近傍から管2の末端またはその近傍まで延びる外装220を含むことが可能であり、内軸100は、(たとえば、ねじ切り215によって)管2と調節可能に連結することが可能なスリーブ221で密閉することが可能である。ねじ切り215の代替として、スリーブ221は、摩擦嵌合または圧入、スナップリング、バレルピンおよびバレルホール、ラチェット式機構、または他の任意の好適な方法で管2に固定することが可能である。さらに、内軸100が沿って動く軸受は、(たとえば、特に、転がり軸受、流体軸受、および/または伸縮軸受として)たとえば、スリーブ221と略同一の広がりを有するか、かつ/または前進止め335上に配置することが可能である。結果として、たとえば、管2の基部側端部近くの軸受を不要にすることができる。
【0037】
第7の実施形態による腹腔鏡器具の可能な動作の例として、ユーザ(たとえば、外科医、助手、ツール組み立て担当者など)は、外装220の先まで延びる、管2のスリーブ221の露出ねじ切り部分215を、管端部外被900の開口部901に挿入することによって、管端部外被900を管2に装着かつ/または連結することができる。ユーザは、その後、管2および/または管端部外被900を回すことによって、ねじ切り215を介して、管端部外被900と管2とをねじ切りによって連結することができる。さらにユーザは、管2に対する管端部外被900の位置をねじ切りで調節することによって、堅固な後退止め401および/または前進止め335の位置を設定または調節して、軸端部1の可動範囲を調節することができる。
【0038】
別の代替として、堅固な後退止め401は、たとえば、先述のどの実施形態でも説明したように、管端部外被900内に調節可能に配置されたロックナット400を含むことができ、かつ/または、前進止め335も、(ねじ切り、スナップリング、圧入、または他の任意の好適な方法によって)管端部外被900内に調節可能に配置することが可能である。そのような構成にすると、たとえば、軸端部1の末端側および基部側の両方向への動きが調節可能になるので、腹腔鏡器具65の利便性を高めることができる。さらに別の代替として、たとえば、スリーブ221は、スリーブ221の内部表面にねじ切り215を有することができ、管端部外被900は、その外側にねじ切りを有することができ、そのような実装で、管端部外被900のねじ切り部分とスリーブ221とが嵌合可能である。
【0039】
さらに、ツール505をはさみの形でチップ500上に含むものとして腹腔鏡器具65を例示してきたが、本発明は、それに限定されず、代替として、たとえば、把持ツール、光学機器および/またはライト、電気または熱による焼灼ツール、または他の任意の、腹腔鏡器具または他の外科器具または内科器具での使用に好適なツールを含むことができることを理解されたい。さらに、チップ500のチップ可動範囲は、一般には、本発明のいくつかの実施形態による、軸の基部側方向および/または末端方向への動きに対する調節可能な制約に必ずしも影響されなくてもよい。
【0040】
先述の各例は説明目的でのみ提示されたものであって、本発明を限定するものと解釈されるべきではないことに注意されたい。いくつかの実施形態を参照しながら本発明を説明してきたが、本明細書で用いた文言は、説明および例示の文言であって、限定の文言ではないことを理解されたい。現在記載されていて、かつ補正されている添付の特許請求項の範囲において、本発明の範囲および趣旨を逸脱することなく、本発明の各種態様の変更を行うことが可能である。
【0041】
本明細書では、特定の手段、材料、および実施形態を参照しながら本発明を説明してきたが、本発明は、本明細書で開示された詳細に限定されるものではなく、むしろ、添付の特許請求項の範囲に含まれる、機能的に等価なあらゆる構造、方法、および用途に拡張される。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】(A)は管と連結されたチップを含む腹腔鏡器具の例を示す概略側面図であり、(B)は(A)に示した腹腔鏡器具の末端から取り外されたチップを示す側面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態による、管の基部側端部、内軸、軸端部、およびロックナットを示す一部切欠き斜視図である。
【図3】第1の実施形態による、内軸および軸端部が、器具が「開いた」状態での位置にある場合の、管の基部側端部、および管の基部側端部に関連する部品を示す切欠き側面図である。
【図4】第1の実施形態による、内軸および軸端部が、器具が「閉じた」状態での位置にある場合の、管の基部側端部、および管の基部側端部に関連する部品を示す切欠き側面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態による医療器具の管の基部側端部を示す切欠き図である。
【図6】本発明の第3の実施形態による、管の基部側端部と、ボルトヘッドを有する軸端部とを示す一部切欠き斜視図である。
【図7】本発明の第4の実施形態による、管の基部側端部と、調節可能な前進止めを有する管端部外被とを示す切欠き側面図である。
【符号の説明】
【0043】
1 軸端部
1a 球
2 管
10 腹腔鏡管端部
20 第1のねじ切り
62 持ち手
63 基部
65 医療器具
100 内軸
105 張り
110 ガスケット
150 軸端部止め
220 外装
210 めねじ切り
221 スリーブ
215 ねじ切り
310 320 軸受止め
311 321 当付面
330 340 軸受ブロック
335 前進止め
400 ロックナット
401 後退止め
410 凹面
420 ボルトヘッド
500 チップ
600 レンチ
505 ツール
510 バックハブ
550 ヨーク
551 第2のねじ切り
900 管端部外被

【特許請求の範囲】
【請求項1】
器具チップと連結されるように構成された第1の端部と、第2の端部とを有する管と、
前記管内に配置された内軸と、
前記内軸と連結され、前記管に対して長手方向に動くように構成された軸端部と、
前記軸端部の第1の軸端部止めと接するように構成された第1の当付面と、
前記軸端部の前記第1の軸端部止めと略対向する、前記軸端部の第2の軸端部止めと接するように構成された第2の当付面とを備え、
前記軸端部が、前記第1の軸端部止めが前記第1の当付面に接することと、前記第2の軸端部止めが前記第2の当付面に接することとによって制限される長さを摺動自在に動くように構成され、
前記第1の当付面と前記第2の当付面とのうちの少なくとも一方の位置が前記管に対して調節可能である医療器具。
【請求項2】
前記第1の当付面を含むロックナットをさらに備え、前記管に対する前記ロックナットの位置が調節可能であるように、前記ロックナットが、前記管の前記第2の端部の内部ねじ切りと調節可能に連結されるように構成された、請求項1に記載の医療器具。
【請求項3】
位置が調節可能であるように、前記管の前記第2の端部と連結されるように構成された管端部外被と、
前記第1の当付面を含み前記管に固定的に連結された堅固な後退止めと、をさらに備える、請求項1に記載の医療器具。
【請求項4】
前記第2の当付面を含む前進止めをさらに備え、
前記前進止めの位置が前記管に対して調節可能である、請求項1に記載の医療器具。
【請求項5】
前記ロックナットが、調節ツールを受けるように構成された凹面を含む、請求項2に記載の医療器具。
【請求項6】
前記第1の軸端部止めが、前記管の前記第2の端部を越えて前記管の外側に配置された、請求項1に記載の医療器具。
【請求項7】
前記第2の当付面を含み前記管の内部に固定された軸受ブロックをさらに備え、
前記軸受ブロックが、前記軸端部を可動的に支持するように構成された軸受をさらに含む、請求項1に記載の医療器具。
【請求項8】
前記器具チップ内に配置され、ねじ切りによって前記内軸と連結されるように構成されたシャフトねじ山を含むヨークをさらに備え、
前記管が、前記器具チップのバックハブをねじ切りによって連結するように構成されたねじ切りを前記管の前記第1の端部に含み、
前記シャフトねじ山の第1のピッチが、前記第1の端部のねじ切りの第2のピッチと異なる、請求項1に記載の医療器具。
【請求項9】
前記器具チップに装着されたツールと、
前記管の前記第2の端部に装着され、ユーザによって操作されたときに前記内軸を前記管に対して長手方向に動かすように構成された駆動アセンブリと、をさらに備え、
前記器具チップの前記ツールが、前記管に対する前記ロックナットの位置に対応する範囲で開閉し、
前記軸端部が前記第1および第2の当付面に接することが、前記器具チップの可動範囲に影響しない、請求項1に記載の医療器具。
【請求項10】
器具チップを連結するように構成された第1の端部と、内部ねじ切りを有する第2の端部とを有する管と、
前記管内を実質的に前記第2の端部から前記第1の端部まで延びる内軸と、
前記内軸と連結され、前記管内を長手方向に動くように構成された軸端部であって、前記管の前記第1の端部に向かって位置合わせされた第1の面と、前記管の前記第2の端部に向かって位置合わせされた第2の面とを含む軸端部と、
前記管内に固定的に配置され、前記軸端部の前記第1の面と接するように構成された軸受止めと、
前記軸端部の前記第2の面と接するように構成され、前記管に対する位置が調節可能であるように、ねじ切りによって前記管の前記内部ねじ切りと連結されたロックナットとを備え、
前記軸受止めが、前記軸端部が沿って動くことが可能な中央凹部を含む医療器具。
【請求項11】
前記軸端部は、前記軸端部の前記第1の面が前記軸受止めに接することと、前記軸端部の前記第2の面が前記ロックナットに接することとによって制限される長さを摺動自在に動くように構成された、請求項10に記載の医療器具。
【請求項12】
前記軸端部に固定され、前記軸受止めに支えられて転がるように構成された転がり軸受をさらに備える、請求項10に記載の医療器具。
【請求項13】
前記ロックナットがボルトヘッドを含む、請求項10に記載の医療器具。
【請求項14】
前記器具チップに装着されたツールと、
前記管の前記第2端部に装着され、ユーザによって操作されたときに前記内軸を前記管に対して長手方向に動かすように構成された駆動アセンブリと、をさらに備え、
前記器具チップの前記ツールが、前記管に対する前記ロックナットの位置に対応する範囲で開閉し、
前記軸端部が前記ロックナットおよび前記軸受止めに接することが、前記器具チップの可動範囲に影響しない、請求項10に記載の医療器具。
【請求項15】
細長い溝と略C字形の断面とを有する持ち手と、
前記軸端部に固定的に連結され、前記管の前記第2の端部から延びる球状突起物と、をさらに備え、
前記球状突起物が、前記持ち手が駆動されたときに前記持ち手の前記細長い溝に沿って滑らかに動くことが可能なように、前記細長い溝内に把持されている、請求項10に記載の医療器具。
【請求項16】
医療器具を動作させる方法であって、
第1のピッチを有する第1のねじ切りを介して、器具チップのヨークと管の内軸の末端とを連結することと、
前記第1のねじ切りの前記第1のピッチと異なる第2のピッチを有する第2のねじ切りを介して、前記器具チップのバックハブと前記管の末端とを連結し、前記内軸を前記管内に前記管と略同軸上に配置して前記器具チップのツールと操作可能に連結することと、
第1および第2の当付面のうちの少なくとも一方の、前記管に対する位置を調節することと、
前記内軸の可動範囲を前記第1および第2の当付面の間のみに制限することと、を含む方法。
【請求項17】
前記調節が、調節ツールを用いることを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記医療器具の駆動アセンブリを駆動することと、
前記駆動アセンブリの駆動に応じて、前記内軸を前記管に対して動かすことと、
前記器具チップのツールを、前記内軸の動きに対応する範囲で開くか閉じることと、をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記ロックナットを調節することが、前記ロックナットに固定的に装着され、前記管の略外側に配置されたボルトヘッドを回すことを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記内軸の可動範囲を制限することが、前記器具チップの可動範囲に影響しない、請求項16に記載の医療器具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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