説明

内部的に電源を中和するシステム

【課題】内部的に電源を中和するシステムを提供する。
【解決手段】2つの電極エリアと、電界質と、中和トリップ点温度で、第1の電極エリアと第2の電極エリア間でバッテリ内部の導電率を増加させる導電性材料とを備えたバッテリが開示される。1つの態様では、前記電気的導電材料は、バッテリの外部からの活性化から保護される。別の態様では、バッテリは、中和トリップ点温度で導電性を増加させるためのカスタムドープした半導体材料を備えている。また、別の態様では、バッテリは、バッテリの内部温度が、導電性材料が第1の電極エリアと第2の電極エリア間で導電性を増加させる中和トリップ点温度に達するまで、導電性材料を分離する絶縁体を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここで開示される主題は、内部的な電源の中和に関し、より詳細には、バッテリの内部温度が特定のトリップ点温度に達した場合に、バッテリ内部の導電率を自動的に増加させるものに関する。
【背景技術】
【0002】
バッテリは、ノートブック・コンピュータ、携帯電話、工具、車両(電気自動車、列車、バス等)及び動作するために電源が必要な他のシステムに広く使用されている。例えば、リチウムイオン・バッテリのような充電可能なバッテリは、比較的低いコストと高いエネルギー貯蔵能力のため選択される。
【0003】
バッテリは、電気的な仕事(外部電子移動)を実行するために化学エネルギー(内部イオン転送)を使用する。バッテリは、2つの外部電極エリア(アノードとカソード)と、電界質とを備えている。電気負荷にアノードとカソードが結合することによって、アノードは、カソードに対して負に帯電し、バッテリは、アノードからカソードに電子が流れることにより、電気負荷に電力を供給する。電解質は、イオン伝導体であり、電子絶縁体である。すなわち、電界質は、アノードとカソード間でイオンを通過させるが、アノードとカソード間で電子の流れを抑圧する。バッテリは、その外部電極を通じて、電気負荷に電子を流す(放電する)とき、電解質はイオンをバッテリ内部でアノードからカソードに流す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、内部的に電源を中和するシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
2つの電極エリアと、電界質と、中和トリップ点温度で第1の電極エリアと第2の電極エリア間でバッテリ内部の導電率を増加させる導電性材料とを備えたバッテリが開示される。1つの態様では、導電性材料は、バッテリの外部からの活性化からボイド(void)である。別の態様では、バッテリは、中和トリップ点温度で導電率を増加させるためにカスタムドープされた半導体材料を備えている。さらに別の態様では、バッテリは、バッテリの内部温度が、導電性材料が第1の電極エリアと第2の電極エリア間で電子導電性を増加させる中和トリップ点温度に達するまで、導電性材料を分離する絶縁体を備えている。
【0006】
上記した内容は概要であり、必要に応じて、簡素化、一般化、詳細の省略を含むものであり、従って、当業者は、上記概要は単に説明であって、何ら限定することを意図するものではないと理解される。別の観点から言うと、開示される発明の特徴及び態様の効果は、特許請求の範囲によってのみ限定されるものであり、以下に述べる実施の形態により限定されないことは明らかである。
【0007】
上記した態様の特徴及び効果は、添付図面と共に以下の記述を参照することにより、容易に理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、熱活性される導電材料を含むバッテリを示す図である。
【図2】図2は、電解質の導電率、内部電子伝搬、及びバッテリ電圧の関係を示す図である。
【図3】図3は、バッテリの内部温度が特定の中和トリップ点温度に達した後に導電率が増加する、熱活性する導電性材料を示す図である。
【図4】図4は、熱暴走条件が開始した後に自己を中和するバッテリを示す図である。
【図5】図5は、ノミナルドープした半導体の特性と比較したカスタムドープした半導体の特性を示す図である。
【図6−1】図6−1は、熱活性する導電性材料層を含むバッテリの電解質を示す図である。
【図6−2】図6−2は、電解質に含まれる、電解質材料と非導電性材料が結合して電子導電材料を生成する電解質を示す図である。
【図7】図7は、共通の電解質材料と熱活性される導電性材料を含むマルチセルバッテリを示す図である。
【図8−1】図8−1は、中和能力を有するバッテリシステムを使用した電子システムを示す図である。
【図8−2】図8−2は、中和能力を有するバッテリシステムを使用した車両を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
上記開示の各種態様を十分に理解するために、以下の実施の形態及び図面で詳細に説明する。開示される様々な態様を不必要に不明確にすることを避けるため、ハードウェア及びソフトウェア技術に関連する公知の内容は、以下の実施の形態ではその詳細な説明を省略する。さらに、関連技術の当業者は、以下で説明する内容が1つ以上なくても、この開示の他の態様を実施できることが理解される。結局、様々な方法は、以下に開示されるステップやシーケンスを参照して述べられているが、このような記述は、開示される態様の実装を明確にするためのものであり、ステップやシーケンスはこの開示を実施するために要求されるものと理解すべきではない。むしろ、以下の内容は、開示される実施の形態の詳細な説明を提供することを意図しており、この開示がそれ自体を制限しているものと解してはならない。もっと正確に言えば、この開示の範囲内で様々に変形することができ、この開示は、「特許請求の範囲」によって定義される。
【0010】
当業者によれば、本開示の態様は、システム、方法、又はコンピュータ・プログラム・プロダクトとして実施できることが理解される。従って、本開示の態様では、回路、モジュール、又はシステムとしてここで一般的に参照されるような、全体として、ハードウェアの実装、ソフトウェアの実装、又はハードウェアとソフトウェアの組み合わせによる形態を取ることができる。
【0011】
また、本開示の態様では、開示される実施の形態による方法、装置(システム)、及びコンピュータ・プログラム・プロダクトのフローチャートの説明及び/又はブロック図を参照して、以下に記述される。フローチャートの説明及び/又はブロック図の各ブロック、並びにフローチャートの説明及び/又はブロック図のブロックの組み合わせは、コンピュータ・プログラムの指令によって実装できることが理解される。これらのコンピュータ・プログラムの指令は、マシンを生成するために、汎用用途のコンピュータ、特定用途のコンピュータ、又は他のプログラマブル・データ処理装置のプロセッサーに提供される。これらのコンピュータ・プログラムの指令は、コンピュータや他のプログラマブル・データ処理装置のプロセッサーを経由して実行され、フローチャート及び/又はブロック図の1又は複数のブロックで特定される機能や行為を実行するための手段を形成する。これらのコンピュータ・プログラムの指令は、例えば、フローチャート及び/又はブロック図の1又は複数のブロックで特定される機能/行為を実行する指令を含む製品を生産するような特定の態様で機能するために、コンピュータ、他のプログラマブル・データ処理装置、又は他のデバイスにアクセス可能なコンピュータ読み取り可能な記録媒体に格納されてもよい。
【0012】
以下の記載は、一般的に上述した開示の概要に従っており、さらに、必要に応じて、様々な態様の定義及び開示の態様を説明及び拡張する。
【0013】
図1は、熱活性される導電性材料を含むバッテリを示す図である。バッテリ(Battery)100は、カソード(Cathode)110とアノード(Anode)130からなる2つの外部の電極エリアを備えている。例えば、カソード110はバッテリ100の正側とし、アノード130はバッテリ100の負側とすることができる。一例では、カソード110とアノード130は、高いイオン伝導率(ionic conductivity)と高い導電率(electronic conductivity)を有している。
【0014】
バッテリ100は、また、高いイオン伝導率を有し、導電率がボイド(void)な電解質(Electrolyte)120を備えている。電解質120は、液体、ゲル、又は固体とすることができ、アノード130からカソード110へイオン(M)が移動することを可能とし、アノード130からカソード110へ電子が移動することを妨げる。例えば、電解質120は、エチレンカーボネート(ethylene carbonate)などの有機溶媒中のリチウム塩(例えば、LiPF、LiBF,又はLiClO)のような電解質材料を含むことにしてもよい。
【0015】
バッテリ100は小さな内部ショートが起こると飽和が生じる。小さな内部ショートは、局所的な熱を生成し、バッテリ100を過熱及び熱暴走(thermal runaway)させる。セルの故障又は熱暴露の間、熱暴走又は熱爆発(thermal explosion)のリスクは、カソード110とアノード130間の電位差に比例する。熱暴走又は熱爆発を最小化又は除去するために、電解質120は、熱活性される導電性材料(Heat Activated Electronically Conductive Material)140を含んでいる。熱活性される導電性材料140は、中和トリップ点温度(Neutralization Trip Point Temperature)でアノード130とカソード110間の導電率を増加させ、これにより、アノード130とカソード110間の電位差を著しく減少させる(図2−4と後述する対応する記載を参照)。中和トリップ点温度は、具体的には、バッテリ100が熱暴走となるときの特定の温度である。熱活性される導電性材料140は、例えば、導電性の結合材料を生成するために、電解質材料と結合する、カスタムドープした半導体又は不活性材料で構成することができる(図6−図7と後述する対応する記載を参照)。
【0016】
図2は、電解質の導電率、内部の電子伝搬、及びバッテリ電圧の関係を示しており、グラフ200はグラフ210,220を含んでいる。グラフ210は、電解質の導電率が増加すると(y軸)、アノードとカソード間の内部の電子伝搬が増加する(x軸)ことを示している。グラフ220に示すように、アノードとカソード間の内部の電子伝搬が増加すると(x軸)、バッテリ電圧が低下する(y軸)。このことは、電子がバッテリのアノードからカソードに移動すると、アノードとカソード間の電位差が減少するという事実による。要するに、電解質の導電率が増加することにより、バッテリ電圧が減少してバッテリを中和し、それ故、熱暴走を最小化する(図4と後述する対応する記載を参照)。
【0017】
図3は、バッテリの内部温度が特定の中和トリップ点温度に達した後に導電率が増加して熱活性される導電性材料を示す図である。グラフ300は、熱活性される導電性材料(熱活性される導電性材料の特性340)に関して、導電率と温度との関係を示している。見てわかるように、熱活性される導電性材料は、中和トリップ点温度310までは、相対的に電子非導電性である。このように、バッテリが通常稼働している間は、バッテリの電解質は、バッテリのアノードとカソード間のイオンの流れがある間は、通常、バッテリのアノードとカソード間の電子の流れを抑制するように機能する。
【0018】
中和トリップ点温度310では、熱活性される導電性材料は導電率が上昇する。替わりに、バッテリのアノードとカソード間の電位差は減少して、バッテリは中和する(図4と後述する対応する記載を参照)。
【0019】
図4は、熱暴走条件が開始した後に自己を中和するバッテリを示す図である。グラフ400は、グラフ410とグラフ430を含んでいる。グラフ410は、各時間点でのバッテリ温度を示している。時間t1では、バッテリは内部のバッテリショートが発生している。例えば、バッテリが損傷したり、欠陥材料を含んでいる場合である。上述したように、低い電気抵抗は、局所的な過熱状態を引き起こし、熱暴走の原因となる場合がある。内部のバッテリショートにより電気抵抗が低くなり、グラフ410で示すように、バッテリの内部温度を上昇させる。
【0020】
バッテリの内部温度は上昇を続け、最終的に時間t2で中和トリップ点温度420に達する。この中和トリップ点温度では、電解質中のバッテリの導電性材料が活性化し、電解質を導電性にする。バッテリの電解質の導電性が増し、電子がバッテリのアノードからカソードに移動するにつれて、バッテリ電圧が減少する(グラフ430参照)。時間t3では、バッテリが中和され(アノードとカソード間の電位差がゼロかそれに近い値になる)、バッテリの温度を低下させ、最終的に公称(nominal)レベルまで低下する(グラフ410参照)。
【0021】
図5は、カスタムドープした半導体(Custom Doped Semiconductor)の特性を、ノミナルドープした半導体(Nominally Doped Semiconductor)の特性と比較した図である。バッテリの電解質を通じて導電率を増加させる1つの例は、例えば、絶縁特性から開始して導電特性に移行するような熱活性される材料を含む、カスタムドープした半導体又はカスタムドープした複合材料を使用することである。集積回路として使用されるようなノミナルドープした半導体と比較すると、カスタムドープした半導体又はカスタムドープした複合材料は、導電性となるのが低い温度「トリガー点」となるように設計される。
【0022】
典型的な半導体は熱せられると、その熱エネルギーにより半導体のいくつかの電子が放出される。放出された電子は容易に(高い導電率のため)半導体の中を移動できる。より熱エネルギーが加えられると、個々の原子からより電子が離脱し、半導体の中を自由に移動できるようになる。
【0023】
典型的には、ノミナルドープした半導体は、電子デバイスを広い温度範囲で適正に機能させるために、広い温度範囲で導電率が変化しないように設計(ドープ)されている。グラフ500で示すように、ノミナルドープした半導体の特性ライン510は、ノミナルドープした半導体は高い温度で電子の伝導が始まることを示している。カスタムドープした半導体の特性ライン520は、カスタムドープした半導体はもっと低い温度で電子の伝導が始まることを示している(初期の電子濃度でコントロールされることに加えて)。このように、半導体の導電率の特性を、バッテリの熱暴走臨界温度又は中和トリップ点温度に対応する温度にシフトさせるように、半導体をカスタムドープする。カスタムドープした半導体の材料は、例えば、シリコン(silicon)、ポリアセチレン(polyacetylene)とその誘導体(derivatives)だけでなく、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)(poly(3-hexylthiophene))、ポリ(p−フェニレンビニレン)(poly(p-phenylene vinylene):PPV)を含むことができる。
【0024】
また、図5では、カスタムドープした複合材料(Custom Doped Composite)の特性ライン530は、カスタムドープした複合材料は、絶縁特性から始まって導電特性にシフトすることが示されている。一例では、カスタムドープした複合材料は、絶縁体と、導電性材料(例えば、メタル)を含むことにしてもよい。この一例では、絶縁体が中和トリップ点温度で溶解して導電性材料と接触し、これにより、バッテリの多数の内部ショートを引き起こすようにしてもよい。他の例では、カスタムドープした複合材料は、例えば、ポリ(p−フェニレン)(Poly(p-phenylene):PPP)のような有機共役ポリマー(organic conjugated polymer)を含むことにしてもよい。この他の例では、カスタムドープした複合材料の絶縁体、半導体、又は導電体からの移行点は、リチウム(Lithium(Li))又はカリウム(Potassium(K))のドーピングレベルを調整することによって、調整することができる。
【0025】
図6−1は、熱活性する導電性材料層を含むバッテリの電解質を示す図である。内部的にバッテリを中和する一実施の形態としては、バッテリに「層(レイヤ)」を追加すること、又は既存のセラミック保護層を修正することである。バッテリ600は、アノード610,電解質620,カソード630、及び熱活性される導電性材料層(heat activated electronically conductive material layers)640を備えている。導電性材料層640は、バッテリの構造に応じて、アノード610,カソード630、電解質620のセパレーターの片側若しくは両側、又はそれらの組み合わせに配置することができる。
【0026】
例えば、一例では、導電性材料層640は、望ましい中和トリップ点温度に一致する正確な導電率移行温度を有する、熱活性される導電率を備えたカスタムドープした半導体材料で形成されてもよい。バッテリ600の温度が特定の工学的閾値まで上昇した場合に、熱活性される導電性材料層(layer)は高導電率状態に移行し、導電性材料層640を介して、アノード610からカソード630に電子が流れる。
【0027】
図6−2は、電解質に含まれる、電解質材料と非導電性材料が結合して導電性材料を生成する当該電解質を示す図である。この例では、コンポーネントA(Component A)680とコンポーネントB(Component B)690が結合して、導電性結合材料を生成した場合に、バッテリ650は中和する。この例では、コンポーネントA680は、既存の電解質材料と、添加物(additive)又は制御不純物(controlled impurities)とすることができる。コンポーネントB690は、通常のセル温度で電解質の溶媒の成分に適合し、望ましい中和トリップ点温度で反応して、コンポーネントA680と反応して高導電率を有する副生成物(byproduct)である結合材料Cを生成する、別の不活性添加物(inert additive)とすることができる。結合材料Cは、高導電性を有しているので、電解質670を通じてアノード660からカソード680へ電子が流れ、バッテリ650を中和する。
【0028】
一例では、2つの分離したコンポーネントA680,B690の替わりに、電解質670が、中和トリップ点温度よりも低い温度で非導電性となり、中和トリップ点温度以上で導電性となる、熱活性される導電性のポリマー/固体材料(又は、当該材料を含む化学物質)を含むことにしてもよい。
【0029】
図7は、共通の電解質材料と熱活性される導電性材料を含むマルチセルバッテリを示す図である。バッテリ700は、複数のセル(例えば、車載用バッテリ)と、コンポーネントA720及びコンポーネントB730を含む電解質710とを備えている。図6−2で説明したように、コンポーネントA720は、既存の電解質材料と、添加剤又は制御不純物とすることでき、また、コンポーネントB730は、通常のセル温度で電解質の成分に適合し、望ましい中和トリップ点温度で反応して、コンポーネントA680と反応し高導電率を有する副生成物である結合材料Cを生成する、他の不活性添加物とすることができる。
【0030】
一例では、バッテリ700のセルのいくつかは外部のアノード電極エリアに接続し、他のいくつかは外部のカソード電極エリアに接続してもよい。バッテリ700が中和トリップ点温度に達したとき、コンポーネントB730は、コンポーネントA720と結合して、導電性結合材料を生成する。順次、この導電性結合材料は、アノード側のセルとカソード側のセル間の導電率を増加させ、これにより、バッテリ700を中和する。他の例では、コンポーネントB730は、中和トリップ点温度で溶解するように設計された膜(skin)内に含まれるように構成してもよい。
【0031】
さらに他の例では、電解質710は、中和トリップ点温度より低い温度では非導電性であり、中和トリップ点温度以上では導電性となるような、熱活性される導電性ポリマー/個体(又は、材料内に埋め込まれた化学物質)を含むことにしてもよい。
【0032】
図8−1は、上述した中和能力を有するバッテリシステムを使用した電子システムを示す図である。電子システム(Electronic System)800は、例えば、コンピュータシステム、携帯電話、医療機器、電子おもちゃ等である。バッテリシステム(Battery System)810は、バッテリ(アノード、カソード、電解質)と、熱活性される導電性材料820とを備えている。バッテリの内部温度が中和トリップ点温度に達したとき、熱活性される導電性材料820は、バッテリのアノードとカソード間に内部的に電子を流し、これにより、バッテリが中和され、熱暴走を防ぐことができる。
【0033】
図8−2は、上述したような中和能力を有するバッテリシステムを使用した車両を示す図である。車両(Transportation vehicle)830は、例えば、バックアップ電源能力を備えた、電気自動車、電気バス、及び通勤列車システム等である。バッテリシステム840は、バッテリのバンク(不図示)及び熱活性される導電性材料850を備えている。上述したように、バッテリの内部温度が中和トリップ点温度に達したとき、熱活性される導電性材料850は、バッテリのアノードとカソード間に内部的に電子を流し、これにより、バッテリシステム840が中和され、熱暴走を防ぐことができる。
【0034】
図面のブロック図は、ここで開示した各種実施の形態による、システム、方法、及びコンピュータ・プログラムの可能な実装の構成、機能、及び動作を示している。ここで、フローチャートやブロック図の各ブロックは、特定の論理関数を実装するための1つ以上の実行可能な指示からなるモジュール、セグメント、コード部を表すことにしてもよい。代替的な実装では、ブロックに示された機能が、図面と示された順番と異なる場合があることに留意すべきである。例えば、連続して示される2つのブロックは、含まれる機能に応じて、実質的に同時に実行されてもよく、又は、逆の順番で実施されてもよい。ブロック図及び/又はフローチャートの説明の各ブロックは、ブロック図及び/又はフローチャートの説明のブロックの組み合わせは、特定の機能又は動作を実行する特定目的のハードベースのシステム、又は、特定目的のハードウェアとコンピュータ指令の組み合わせによって実装されてもよいことに留意すべきである。
【0035】
本発明の実施の形態を説明したが、この開示及びその広い側面から逸脱することなしに、ここに記載された技術に基づいて、当業者によって各種変形や変更が可能であることはいうまでもない。従って、この開示の精神及び範囲内での各種変形や変更は、特許請求の範囲に含まれる。この開示は、特許請求の範囲によってのみ定義されることは明らかである。導入される、特許請求の範囲の要素の特定の部材が意図される場合、そのような意図は特許請求の範囲で明確に言及されており、かかる言及のない場合は、そのように制限されないことは、当業者にとって明らかである。非制限の例として、理解のために、特許請求の範囲では、その構成要素を説明するために、「少なくとも1つの」や「1つ以上」の語句を使用しており、かかる構成要素の数は限定されない。
【符号の説明】
【0036】
100 バッテリ
110 カソード
120 電解質
130 アノード
140 熱活性される導電性材料
310、410 中和トリップ点温度
340 熱活性される導電性材料の特性
510 ノミナルドープした半導体の特性
520 カスタムドープした半導体の特性
530 カスタムドープした複合材料の特性
720 コンポーネントA
730 コンポーネントB
800 電子システム
810 バッテリシステム
830 車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電極エリア及び第2の電極エリアと、
前記第1の電極エリアは、前記第2の電極エリアに対して負に帯電し、
前記第1の電極エリアと前記第2の電極エリアを結合し、前記第1の電極エリアと前記第2の電極エリア間でバッテリ内部の電子の流れを抑制し、かつ、前記第1の電極エリアと前記第2の電極エリア間でバッテリ内部のイオンの流れを可能する電解質と、
中和トリップ点温度で、前記第1の電極エリアと前記第2の電極エリア間でバッテリ内部の導電率を増加させる導電性材料と、
を備えたバッテリを有するシステム。
【請求項2】
前記導電性材料は、前記バッテリの外部の活性化からボイドである請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記導電性材料は、さらに、前記中和トリップ点温度で前記導電率を増加させる半導体材料を含む請求項1に記載のバッテリ。
【請求項4】
前記半導体材料は、ノミナルドープとは異なるカスタムドープがされている請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記バッテリは、さらに、
前記バッテリの内部温度が、前記導電性材料が前記第1の電極エリアと前記第2の電極エリア間でバッテリ内部の導電率を増加させる前記中和トリップ点温度に達するまで、前記導電性材料を分離する絶縁体を備えた請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記バッテリは、さらに、非導電性であり、前記電解質と結合した際に前記導電性材料を生成する不活性材料を備えた請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記導電性材料は、前記第1の電極エリアと前記第2の電極エリア間で複数のショートを生じさせ、前記複数のショートは、前記第1の電極エリアと前記第2の電極エリア間の導電率を増加させる請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記バッテリは、複数のセルを備え、前記導電性材料は、前記複数のセル内に存在する請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記導電性材料は、さらに、前記バッテリの内部温度が導電特性に移行する前記中和トリップ点温度に達するまで、絶縁特性を示す複合材料を含む請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
電力を消費する1つ以上のシステムコンポーネントと、
前記1つ以上のシステムコンポーネントに電力を供給するバッテリと、
を備え、
前記バッテリは、
第1の電極エリア及び第2の電極エリアと、
前記第1の電極エリアは、前記第2の電極エリアに対して負に帯電し、
前記第1の電極エリアと前記第2の電極エリアを結合し、前記第1の電極エリアと前記第2の電極エリア間のバッテリ内部で電子が流れるのを抑制し、かつ、前記第1の電極エリアと前記第2の電極エリア間のバッテリ内部でイオンが流れるようにする電解質と、
中和トリップ点温度で、前記第1の電極エリアと前記第2の電極エリア間でバッテリ内部の導電率を増加させる導電性材料と、
を備えたシステム。
【請求項11】
前記1つ以上のシステムコンポーネントは、さらに、
1つ以上のプロセッサーと、
少なくとも1つの前記プロセッサーによってアクセス可能なメモリと、
少なくとも1つの前記プロセッサーによってアクセス可能な不揮発性ストレージエリアと、
を備えた請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記1つ以上のシステムコンポーネントは、
車両に搭載され、前記車両を駆動するために前記バッテリから電力を受け取るモータを備えた請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記導電性材料は、さらに、前記中和トリップ点温度で前記導電率を増加させる半導体材料を含む請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記バッテリは、さらに、
前記バッテリの内部温度が、前記導電性材料が前記第1の電極エリアと前記第2の電極エリア間でバッテリ内部の導電率を増加させる前記中和トリップ点温度に達するまで、前記導電性材料を分離する絶縁体を備えた請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
さらに、非導電性であり、前記電解質と結合した際に前記導電性材料を生成する不活性材料を備えた請求項10に記載のシステム。
【請求項16】
前記バッテリは、複数のセルを備え、前記導電性材料は、前記複数のセル内に存在することを特徴とする請求項10に記載のシステム。
【請求項17】
前記導電性材料は、前記バッテリの内部温度が、導電特性に移行する前記中和トリップ点温度に達するまで、絶縁特性を示す複合材料を含む請求項10に記載のシステム。
【請求項18】
第1の電極エリア及び第2の電極エリアをバッテリ内に設けるステップと、
前記第1の電極エリアは、前記第2の電極エリアに対して負に帯電し、
前記第1の電極エリアと前記第2の電極エリアを結合し、前記第1の電極エリアと前記第2の電極エリア間でバッテリ内部の電子の流れを抑制し、かつ、前記第1の電極エリアと前記第2の電極エリア間のバッテリ内部のイオンの流れを可能とする電解質を前記バッテリ内に設けるステップと、
中和トリップ点温度で、前記第1の電極エリアと前記第2の電極エリア間でバッテリ内部の導電率を増加させる導電性材料を前記バッテリ内に設けるステップと、
を含むバッテリの製造方法。
【請求項19】
前記中和トリップ点温度で前記導電率を増加させる半導体材料を前記バッテリ内に設けるステップを含む請求項18に記載のバッテリの製造方法。
【請求項20】
前記バッテリの内部温度が、前記導電性材料が前記第1の電極エリアと前記第2の電極エリア間でバッテリ内部の導電率を増加させる前記中和トリップ点温度に達するまで、前記導電性材料を分離する絶縁体を前記バッテリ内に設けるステップと、
を含む請求項18に記載のバッテリの製造方法。
【請求項21】
さらに、非導電性であり、前記電解質と結合した際に前記導電性材料を生成する不活性材料を前記バッテリ内に設けるステップを含む請求項18に記載のバッテリの製造方法。
【請求項22】
前記バッテリは、複数のセルを備え、前記導電性材料は、前記複数のセル内に存在することを特徴とする請求項18に記載のバッテリの製造方法。
【請求項23】
前記導電性材料は、前記バッテリの内部温度が、導電特性に移行する前記中和トリップ点温度に達するまで、絶縁特性を示す複合材料を含む請求項18に記載のバッテリの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図7】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【公開番号】特開2011−181494(P2011−181494A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−17815(P2011−17815)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(505205731)レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド (292)
【復代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
【Fターム(参考)】