説明

円筒状重量物支持装置

【課題】ポンプやタンクのような円筒状の重量物を昇降、移動、および回転可能に支持し、該円筒状重量物を所定部位に横向き状に取り付け、或いは取り外しする作業を少人数で安全に効率よく行えるようにする。
【解決手段】昇降動可能な受台5を備えたテーブルリフタ1と、該受台上に適宜間隔を離して平行に固設された一対のガイドレール13a,13bと、両端部を夫々前記ガイドレールに支持することにより該ガイドレールに沿って夫々独立して摺動自在なるように設けられた一対の支持フレーム16a,16bと、該各支持フレームをガイドレールの適宜位置に固定させる位置固定手段18と、該各支持フレーム上に適宜間隔を離して設けられ円筒状重量物30を横置き状に載置することで該円筒状重量物を回転自在に支持する一対のローラ25a,26a,25b,26bとからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプやタンクのような円筒状の重量物を所定部位に横向き状に取り付け、或いは取り外しするに際し、該円筒状重量物を昇降、移動、および回転可能に支持することで、その取り付け或いは取り外し作業を補助する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、冷凍設備機器の床下等、狭い個所にボルトによって固定された重いタンクやポンプ、或いは、大型モータ等の円筒状重量物をメンテナンスのために取り外そうとすると、従来では少なくとも二人の作業者が機器床下にかがんだ窮屈な姿勢でその重量物を手で支えつつ、これとは別の作業者がボルトを緩めなければならなかった。そのため、当該作業に多くの作業者が必要になるとともに、窮屈な作業姿勢を強いることから、腰痛の原因となったり、或いは作業中に重量物を足元に落下させたり、手・指を挟むおそれがあるなどの危険を伴い、故に、作業を常時注意深く進行させなければならず、作業に時間が掛かり作業効率がよくないなどの問題があった。また、この円筒状重量物を設備機器に取り付ける際にも、作業者が機器床下に不自然な姿勢となって該重量物を移動させ、ボルトを挿通するための取付孔を位置合わせ(芯出し)しなければならないので、さらに大変な重労働となる等の問題もあった。
【0003】
一方、下記特許文献1に示された円形長尺物の昇降台車は、スプリングを介して揺動可能に吊り下げられた枠体に一対のフリーロールを設け、該フリーロール上に円形長尺物を回転自在に支持することにより、該円形長尺物を上下/左右/前後に細かく移動できるように支持し、該円形長尺物をピン,ボルト等で取り付ける際にその取付孔の芯出しを容易に行えるようにするものである。
また下記特許文献2に示された原反用運搬車は、製紙工場や印刷工場などで長尺紙やフィルムなどの巻物を運搬するために使用される運搬車であって、起立状態に保管された巻物を台車上に掬上げられるように構成され、巻物の設置作業を容易にするものである。
さらに下記特許文献3〜7には、自動車のタイヤ交換を容易にするためのタイヤ着脱装置が縷々記載されている。
【特許文献1】特開平8−133088号公報
【特許文献2】特開昭63−287669号公報
【特許文献3】実用新案登録第3065901号公報
【特許文献4】特公昭44−1258号公報
【特許文献5】特開平11−115422号公報
【特許文献6】特開2002−154437号公報
【特許文献7】特開2003−191704号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に示された昇降台車では、スプリングを伸縮させることにより支持物である円形長尺物を微小に移動できるものであるが、スプリングの伸縮可能範囲によって移動範囲が限定されると共に、支持物の重量が略一定であることを要するので汎用性がないという問題があった。
また、特許文献2に示された原反用運搬車では、運搬車上に横置した円筒状重量物を長手方向に移動させられないので、この運搬車を使用して該円筒状重量物を所要部位に着脱しようとしても、円筒状重量物を自由に微小移動させ上記のように取付孔を芯合わせする作業が困難を伴うものであった。
また、上記特許文献3〜7に記載された装置は、いずれもタイヤ交換のために創案されたものであるので、タンクやポンプ等、種々の大きさの円筒状重量物(特に円形長尺物)を支持することに対処できないものであった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は上記のような課題を解決するための円筒状重量物支持装置を提供するもので、受台上に適宜間隔を離して平行に固設された一対のガイドレールと、両端部を夫々前記ガイドレールに支持することにより該ガイドレールに沿って夫々独立して摺動自在なるように設けられた一対の支持フレームと、該各支持フレームをガイドレールの適宜位置に固定させる位置固定手段と、該各支持フレーム上に適宜間隔を離して設けられ円筒状重量物を横置き状に載置することで該円筒状重量物を回転自在に支持する一対のローラとからなることを特徴とする。
また本発明は、上記円筒状重量物支持装置において、受台はテーブルリフタにより昇降動可能に支持されていることを特徴とする。
また本発明は、上記円筒状重量物支持装置において、支持フレーム上に設けられた一対のローラの間隔を円筒状重量物の外径に合わせて調節し得るようにしたことを特徴とする。
また本発明は、上記円筒状重量物支持装置において、テーブルリフタの底部に該テーブルリフタを移動可能にする転動方向自在輪を付設したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
請求項1に記載の支持装置では、個々の円筒状重量物の長さに合わせて一対の支持フレームの設定間隔を調整することができることから種々の長さの円筒状重量物を横置き状に安定して支持でき汎用性がある。また、支持フレームを位置固定させる手段を設けたことにより、移動時等に揺動しても円筒状重量物を脱落させるおそれがない。そして、該円筒状重量物の支持位置および回転状態を微細に調節できるので、円筒状重量物を横向き状に取り付け、或いは取り外す作業を少ない人員で安全にしかも効率よく実施できるようになる。
請求項2に記載の支持装置では、テーブルリフタにより受台を昇降させ円筒状重量物の高さを自在に調節可能となる。
請求項3に記載の支持装置では、種々の外径の円筒状重量物を安定的に回転可能に支持でき汎用性がある。
請求項4に記載の支持装置では、テーブルリフタを左右/前後に自在方向に移動できるようにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
図1は本発明に係る円筒状重量物支持装置の外観斜視図、図2はその平面図、図3はそのX−X線断面図である。図中、1はテーブルリフタで、該テーブルリフタは長方形状の台枠2上に支点軸4にて開閉可能なX脚状に支持脚3a,3bを設け、該支持脚3a,3b上に長方形板状の受台5が水平に支持されている。そして、一方の支持脚3aの横架軸6に油圧シリンダ7の基端部を連結し、該油圧シリンダ7の作動軸8先端を他方の支持脚3bの横架軸9に連結している。このため油圧シリンダ7を油圧ポンプ(図示せず)に接続し作動油を送給することにより、該支持脚3a,3bが開閉し、受台5を水平状態を維持しつつ昇降動するように構成されている。10は台枠2の4隅に突設したタイヤハウス12内に設けられた転動方向自在輪(キャスター)で、該テーブルリフタは該転動方向自在輪によって支持されることにより水平な床面上を四方に軽く移動可能なるようにしている。なお、11は該転動方向自在輪に設けられたブレーキペダルで、該ブレーキペダルを操作することにより該自在輪の回転を止められ該テーブルリフタを移動不能に停止できる。
【0008】
しかして、受台5上面の一方の長側辺寄りに側面L字形の一対の起立片14a,14bを相対するように夫々ボルトにより固設し、該起立片に丸棒状のガイドレール13aの両端部を貫挿しナット15を締着するとともに、受台5上面の他方の長側辺寄りに側面L字形の一対の起立片14c,14dを相対するように夫々ボルトにより固設し、該起立片に丸棒状のガイドレール13bの両端部を貫挿しナット15を締着することにより、この一対の丸棒状のガイドレール13a,13bを受台5上に適宜間隔を離して平行に固設している。16a,16bは該ガイドレール13a,13bと直交状に配置された長方形板状の一対の支持フレームで、該支持フレーム16aの両端部上面に軸受体17a,17bを固着し、該支持フレーム16bの両端部上面に軸受体17c,17dを固着し、一方の軸受体17a,17cにガイドレール13aを貫挿し、他方の軸受体17b,17dにガイドレール13bを貫挿することにより、該各支持フレーム16a,16bを該ガイドレール13a,13bに沿って夫々独立して進退自在なるように設けている。なお、該各支持フレーム16a,16bはその下面が受台5の上面から少し離間するように支持され、該支持フレーム16a,16bの進退動が妨げられないようにしている。
【0009】
また、18は該各支持フレーム16a,16bをガイドレール13a,13bの適宜位置に固定させるために設けられた位置固定手段で、該位置固定手段は、ガイドレール13a,13bと同程度の長さの硬質のフラットバー19に透孔20を略全長に亘って開設し、該フラットバーの一端を固着部材としてのボルト21により軸受体17aの外側面に固着し、係止部材としての蝶螺子22を該透孔20に遊挿して該蝶螺子22を軸受体17cの外側面に螺合し、さらに係止部材としての蝶螺子23を該透孔20に遊挿して該蝶螺子23を起立片14bの外側面に螺合してなる。このため蝶螺子22および蝶螺子23を緩めた状態では両支持フレーム16a,16bは夫々独立して進退自在となり、一方の蝶螺子23を締結することにより支持フレーム16aを適宜位置にて進退動不能に固定でき、他方の蝶螺子22を締結することにより支持フレーム16bを適宜位置に進退動不能に固定できる。
【0010】
また、支持フレーム16a上に一対のローラ25a,26aを前記ガイドレール13a,13bと直交する面内にて回転自在なるように夫々軸支体27aに支承させることにより適宜間隔を離して設けるとともに、支持フレーム16b上に一対のローラ25b,26bを回転自在なるように同じく夫々軸支体27bに支承させることにより適宜間隔を離して設ける。28は支持フレーム16a,16bにガイドレール13a,13bと直交する方向に長手なるように開設された長孔で、該長孔28は該各支持フレーム16a,16bの中央部から両端部寄り亘り2条平行なるように開設される。また、軸支体27a,27bは側面L字形に形成されているとともにローラを回転自在に支承し得るように上半部が二股状に形成されたもので、該各軸支体を支持フレーム16a,16bの各長孔28上に起立状に配置し、固定部材であるボルト29aを隣り合う各長孔28と該各軸支体27a,27bの基部に2本宛貫挿し、該各ボルト29aにナット29bを締め付けることにより該各軸支体27を支持フレーム16a,16bの上面に固定している。このため、該各ナット29bを緩めることにより、該各軸支体は長孔28に沿って移動可能となり、ローラ25a,26aの間隔、およびローラ25b,26bの間隔を適宜調節(図3に破断線で示す。)できるようにしている。
【0011】
この支持装置では、キャンドポンプ等の円筒状重量物30の外径に合わせてローラ25a,26aおよびローラ25b,26bの間隔を微調節するとともに、蝶螺子22,23を緩め、該円筒状重量物30の長さに合わせて支持フレーム16a,16bの間隔を適宜調節することにより、図4,図5に使用状態を例示したように、該円筒状重量物30がこの4個のローラ上に安定して横置き状に載置されるようにする。そして、該テーブルリフタ1を転動方向自在輪10を備えていることから水平方向に自由に移動させることができる。なおこの移動時には蝶螺子22,23を締めることで両支持フレーム16a,16bを位置固定できることから円筒状重量物30を無用に揺動させ脱落させるようなおそれがない。
【0012】
そして所要作業位置に移動できたところでブレーキペダル11を操作し該テーブルリフタ1を移動不能に停止させ、油圧シリンダ7に接続された油圧ポンプを作動させて該油圧シリンダ7を伸縮動させ、受台5を昇降させることにより該円筒状重量物30の支持高さを調節する。また、蝶螺子23を緩めることでガイドレール13a,13bに沿って支持フレーム16a,16bを摺動可能となり該円筒状重量物30を細かく前後動させられるので、該円筒状重量物30の一端に設けられたフランジ31を例えば冷凍機本体32の下部側面に形成されたフランジ33に対し容易に位置合わせすることができ、その状態で上記4個のローラを滑動させ該円筒状重量物30を微動回転させられるので、該フランジ31の取付孔31aとフランジ33の取付孔とを合致(芯出)させ、ボルト34を容易に挿通または抜脱できるようになる。このように円筒状重量物30の高さ,位置および回転状態を自在に調整できることによりボルト34の着脱作業も容易になる。このため、この支持装置を使用することにより少人数の作業者でも安全に短時間で円筒状重量物30を横向き状に取り付け、或いは取り外しできるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0013】
本発明に係る円筒状重量物支持装置は、個々の円筒状重量物の長さや外径に合わせて支持フレームやローラの間隔を調整できるので、円筒状重量物の大きさに対する汎用性がある。このため、実施形態に示したポンプを着脱する作業だけでなく、種々の円筒状重量物を所要部位に横向き状に着脱する際に使用でき、その作業環境を大幅に改善し得る可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態である円筒状重量物支持装置の斜視図。
【図2】本発明の実施形態である円筒状重量物支持装置の平面図。
【図3】図2のX−X線断面図。
【図4】本発明の実施形態である円筒状重量物支持装置の使用状態を示す側面図。
【図5】本発明の実施形態である円筒状重量物支持装置の使用状態を示す正面図。
【符号の説明】
【0015】
1 テーブルリフタ
5 受台
10 転動方向自在輪
13a,13b ガイドレール
16a,16b 支持フレーム
17a〜17d 軸受体
18 位置固定手段
19 フラットバー
20 透孔
22,23 蝶螺子
25a,26a,25b,26b ローラ
27a,27b 軸支体
30 円筒状重量物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受台上に適宜間隔を離して平行に固設された一対のガイドレールと、両端部を夫々前記ガイドレールに支持することにより該ガイドレールに沿って夫々独立して摺動自在なるように設けられた一対の支持フレームと、該各支持フレームをガイドレールの適宜位置に固定させる位置固定手段と、該各支持フレーム上に適宜間隔を離して設けられ円筒状重量物を横置き状に載置することで該円筒状重量物を回転自在に支持する一対のローラとからなることを特徴とした円筒状重量物支持装置。
【請求項2】
受台はテーブルリフタにより昇降動可能に支持されていることを特徴とした請求項1に記載の円筒状重量物支持装置。
【請求項3】
支持フレーム上に設けられた一対のローラの間隔を円筒状重量物の外径に合わせて調節し得るようにしたことを特徴とする請求項1または2に記載の円筒状重量物支持装置。
【請求項4】
テーブルリフタの底部に該テーブルリフタを移動可能にする転動方向自在輪を付設したことを特徴とする請求項2または3に記載の円筒状重量物支持装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−175961(P2006−175961A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−370256(P2004−370256)
【出願日】平成16年12月21日(2004.12.21)
【出願人】(504334784)株式会社デンソーファシリティーズ (9)
【Fターム(参考)】